説明

固体粒子を含有する流体を基材に塗布するノズル及びフィルタ機構及びシステム

本発明は、固体粒子を含有する流体(118)を塗布するシステムに関する。当該システムは、ノズル機構(110)及び搬送装置(150)を備える。搬送装置(150)の搬送方向(130)とノズル機構(110、210、310、410)の流出路(124)との間に形成される角度は、鈍角である。本発明は、1つのこのようなシステムのためのノズル機構(110)及びフィルタ機構(570)にも関する。上記ノズル機構(110)は、エンドピース受け部材(112)及びそれに固定されるエンドピース(114)を備える。流路がノズル機構(110)に形成され、この流路は、接続路(120)と、隣接する分配路(122)と、隣接する流出路(124)とを備える。接続路(120)及び分配路(122)は、エンドピース受け部材(112)に形成され、流路内の全ての方向転換は90°未満である。フィルタ機構(570)は、流体供給ライン(574)と、流体排出ライン(576)と、流路(587)と、扁平なフィルタ部材(580、581、582)とを備え、当該フィルタ部材の断面積は実質的に同じサイズである。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体粒子を含有する流体をノズル機構に対して移動可能な基材に塗布するノズル機構であって、エンドピース受け部材及びそれに取り付けられるエンドピースを有し、流体供給ラインに接続され得る接続路と、下流で接続する分配路と、さらに下流で接続して流体流出スリットにつながる流出路とを有する流体路が形成されている、ノズル機構に関する。本発明は、上記のノズル機構を有し、且つノズル機構と基材との間の相対運動させるように配列される搬送装置を有する、粒子を含有する流体を基材に塗布するシステムにも関する。最後に、本発明は、上記のシステムで用いるフィルタ機構に関する。
【背景技術】
【0002】
このような機構及びシステムは、(溶融)接着剤、塗料、ローション、コーティング材料等の種々の流体材料を、ビーズ、ライン、ドットの形態で、又は表面全体に連続的又は断続的に塗布するために用いられる。このようなシステムは、流体源、例えば(加熱)接着剤槽を含むか、又はこのような供給源に接続され、このような供給源からフィルタ機構を通して流体が搬送される。流体の搬送は、システムに属するポンプと、下流で接続され、同様にシステムに属するとともに必要な場合は加熱される接続ホースとを用いて行われる場合がある。接続ホースは、このいわゆる(溶融及び)搬送装置を下流に位置するいわゆるアプリケータヘッドに接続し、アプリケータヘッドは、流体供給ラインと、流体供給ラインに接続される弁機構と、ノズル機構とを含む。流体の流れは、弁機構によって遮断及び放出される。弁が開くと、流体がフィルタ機構、接続ホース、流体供給ライン、及びノズル機構内に位置する流体路を通って流れ、圧力下で流体流出スリットから出る。このようにして、搬送装置を用いてノズル機構に対して、より厳密には流体流出スリットに対して移動させられる基材に、流体が塗布される。これらのシステムには、流体が塗布されている間にノズル機構が基材と接触しているものがあるが(接触型)、ノズル機構と基材との間でギャップが保たれる装置もある。
【0003】
種々の産業分野において、コーティング粉体の重要性は高まりつつある。例えば、熱活性型の粉体、水和剤、又は超吸収性の粉体が、おむつ、ナプキン、病院の洗濯用品、又は他の衛生用品等の衛生品業界において、カーペット、壁装材、椅子張り生地等の家庭用繊維製品に関する衣料業界において、化粧品業界におけるいわゆる「フィルドローション(filled lotion)」又は「ピーリング」として、コーティングされたフィルタの生産において、及び多くの他の製品のために、用いられることがしばしばある。原理上、このような粉体は、液体の担体物質の混合物の形態で塗布することができる。しかしながら、固体粒子を含有する流体は分離する傾向を示し、これが既知の塗布システムでは種々の場所に粒子が付着することにつながるため、既知の塗布システムはこのような固体粒子を含有する流体を塗布するのに適していない。付着は、固体成分を含む軟膏(亜鉛軟膏等)又は同様の(ペースト状の)流体の自動塗布に関する主要な問題でもある。これにより、これらのシステムは非常に短時間(数分の1ミリ秒(fractions of milliseconds:一瞬))で対応する場所が詰まる傾向があり、その結果、固体粒子を含有する流体の塗布は全く不可能となるか、又は少なくとも塗布パターンが乱れ、且つ/又は使用不可能となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、固体粒子又は粉状粒子を含有する流体を塗布する際の上記の問題を解決する、システム、ノズル機構、及びフィルタ機構を作製することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の問題は、冒頭に記載したタイプのノズル機構であって、接続路及び分配路は、エンドピース受け部材(112、312)内に少なくとも部分的に形成され、流体路内の全ての方向転換が90°未満である、ノズル機構によって解決される。
【0006】
本発明は、ノズル機構内の、速度の激しい変化により乱流が起こる場所に、粉状の固体粒子が特に付着するという知識に基づくものである。方向が、したがって速度が激しく変化しない実質的に直線状の流れを確実にするよう留意することにより、本発明による装置において流体からの固体粒子の分離とその付着とが回避される。これは一方で、流体路の個々の部分、すなわち接続路、分配路、及び流出路内で、またこれらのゾーン間の遷移部で、90°未満の偏角しか生じないことを意味する。流体の粘度に応じて、全ての偏角は、45°未満の範囲であることが好ましく、25°未満であることが特に好ましい。この措置によって最大限に確保される層流は、固体粒子と流体との分離を防止する。
【0007】
好ましくは、分配路は、接続路と整合するか又は接続路の中心軸からの傾きが90°未満である床と、少なくとも1つの周面とを有するホッパとして形成され、床及び少なくとも1つの周面は、アール部の形態で互いにつながる。この場合も、流体の粘度に応じて、床と接続路の中心軸との間の角度は、45°未満、場合によっては25°未満であることが好ましい。
【0008】
好ましくは、分配路は、流体流出スリットに対して垂直な断面で見ると流れ方向に徐々に細くなり、且つ上記断面に対して垂直に見ると徐々に広がっており、分配路の断面はほぼ一定である。この措置により、流れ方向を横切る所望の方向、すなわち流体流出スリットの方向に流体が分配されるようになる一方で、断面が一定であるため流速は低下しないことが確実になる。流出スリットの全幅にわたって均一な圧力分布に加えて、これは一方では、急激又は不連続な膨脹とは対照的に、固体粒子を堆積させる可能性があるデッドスペース(dead cavities)がないという利点を有する。他方では、固体粒子が同様に特に付着するような流速が遅い場所もない。
【0009】
別の好ましい実施形態では、分配路の床及び少なくとも1つの周面は研磨される。これにより、表面粗さが低下し、付着の傾向も低下する。
【0010】
別の好ましい実施形態では、エンドピースは、基材を導入するための接触面を有し、この接触面は、片側が流体流出スリットによって境界付けられ、流体流出スリットに対して垂直な平面で見ると、流出路の中心軸と流体流出スリットの領域の接触面との間には鋭角が形成される。
【0011】
固体粒子が速度変化の激しい場所に付着する傾向は通常、流出スリットのうち流体がその表面張力により付着する可能性がある場所及びその結果流速が低下する場所に、材料の小塊を蓄積させ、材料の小塊は制御されずに不規則な間隔で剥がれ落ちる。これにより、不均一な塗布パターンが生じる。流出路内の流体の流れ方向が基材の(相対)運動方向の成分を得るようにノズル機構を回転させた場合、流体の流出と基材表面上への堆積(塗布)との間の速度変化は、流出路が基材表面に対して90°の角度にある既知のノズル機構の場合よりも小さい。別の言い方をすると、流出/塗布時の流体の流れの偏角も90°未満である。その結果、流体の流れに対する妨げは、従来技術からこれまで既知であった装置の場合よりも大きくないため、流出スリットにおける材料の蓄積が防止される。
【0012】
本発明の最後に述べた実施形態では、流出路の中心軸と流体流出スリットの領域の接触面との間の角度が既知のノズル機構又はエンドピースのように90°ではなく、ノズル機構の回転角度の量だけ小さくなることにより、流体流出スリットに隣接する接触面が、接触塗布のために流体流出スリットの領域で基材と接線接触することが考慮に入れられる。
【0013】
本発明によるノズル機構の上記の問題に関する別の改善法は、ノズル機構が、加圧ガス源に接続可能であり、且つガス流出オリフィスにつながるガス加圧路を有し、このガス加圧路は、ガス流出オリフィスから出るガスの流れが流体流出スリットに向かって流れ、流体路のうち接触面に面していない側に位置するノズル機構の外面に集まり得るいかなる流体に、ガスの流れが当たるように、流体路のうち接触面に面していない側に配置されることによって達成される。
【0014】
最後に述べた措置は、流体を付着させない効果もあり、したがって、流体が基材の表面上に堆積するまで流体を均一に流すようにする。これは、流体流出スリットの汚れ及び(部分的な)閉塞と、不均一な塗布パターンとの防止にさらに効果的である。
【0015】
上記の問題はさらに、上記のノズル機構のうちいずれかを有する、冒頭に記載のシステムであって、流体流出スリットの流去(流出)側における、ノズル機構の流出路の中心軸と搬送装置との間の角度は、流体流出スリットに対して垂直な断面で見ると鈍角である、システムによって解決される。
【0016】
流体流出スリットの流去側、すなわち接触面から遠い流出路の側における、流出路の中心軸と基材との間の角度を拡大すれば、上述の結果が得られる。すなわち、この場合、流出路内の流体の流れ方向は、ノズル機構と基材との相対運動の方向の成分を得る。これは、流体の流出と塗布との間の速度変化を小さくする効果を有する。
【0017】
さらに、上記の問題は、かかるシステムで用いるフィルタ機構であって、流体供給ラインと、流体排出ラインと、流体供給ライン及び流体排出ラインを接続する流路と、流路内に配置される扁平なフィルタ部材とを有し、流体供給ライン、流体排出ライン、流路、及びフィルタ機構の断面積は、実質的に同じサイズである、フィルタ機構によって解決される。
【0018】
軸方向入口を有する円筒状のフィルタ部材を有するフィルタ機構が、従来技術から既知である。フィルタ機構おいて、流体は、収縮した断面を通ってフィルタ内部へ流れ込み、方向転換させられた後に、円筒状の周面を通って半径方向に出る。これにより、比較的小型の構成で比較的大きなフィルタ表面が可能となるが、それはいずれにしても、流体が流れる断面の拡大も意味する。その結果、流速はフィルタの内部及び外部の両方で低下し、固体粒子は、上記の理由により、フィルタ又はフィルタを囲むフィルタハウジングを通って流路に、特にデッドスペース又はデッドコーナーに堆積する可能性がある。
【0019】
好ましくは、フィルタ機構には、流路内に配置される複数の平板状(扁平な)フィルタ部材があり、そのメッシュサイズは流れ方向に小さくなる。
【0020】
このような機構は、種々のスクリーンの直列配列が粒状の大量生産品を異なるサイズ画分に分ける役割を果たす、スクリーニング技術から既知である。これに対して、本発明の機構は、断面積を拡大しないことにより、既知の円筒状フィルタと比較してフィルタ領域が意図的に縮小するという問題に立ち向かう。フィルタの耐用寿命が短くなるという結果は、流れ方向に次々に配置されるフィルタ部材のメッシュサイズが小さくなることにより、すなわち、濾液に応じてほぼ同量のフィルタケーキがフィルタそれぞれにおいて分離されるようにすることにより、本発明により少なくともある程度は補償される。
【0021】
有利には、流路の進路は実質的に直線状であり、フィルタ部材の表面は流れ方向に対して垂直である。
【0022】
流れ方向が直線状であるため、流体を半径方向に偏向させる必要はない。これにより、流速が均一になるため、流路の領域に固体粒子が付着するのが防止される。この効果は、既存の技術から既知の円筒状のフィルタ部材を有するフィルタ機構とは対照的に、流れ方向に対して垂直なフィルタ部材を通って流体がまっすぐに流れることができることにより、強化される。
【0023】
次に、本発明のさらなる機能、特徴、及び利点を、図面を用いて例示的な実施形態に基づき、より詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1に示すシステム100は、本発明によるノズル機構110及び搬送装置150を有する。ノズル機構110は、エンドピース受け部材112、エンドピース114、及びノズルピース116から構成される。流体118、例えば固体粒子と混合された液体形態の(溶融)接着剤、塗料、ローション、又は他のコーティング剤が、流体供給システム(さらに詳細には説明しない)によってノズル機構110に給送される。この流体供給システムは、ノズル機構に形成される流路と連通し、流路は複数の部分、すなわち、流体供給システムに接続される接続路120と、下流で接続する分配路122と、下流で分配路122と流れ接続して流体流出スリット126につながる流出路124とを含む。
【0025】
接続路120は、エンドピース受け部材112の斜めの貫通孔により形成される(図1Aも参照されたい)。貫通孔自体は方向転換しない。図1からの例示的な実施形態の分配路122は、完全にエンドピース受け部材112にあるホッパの形態に設計される。代替的に、分配路は、例えば、半分がエンドピース受け部材に形成され、半分がエンドピースに形成されてもよい。ホッパは、接続路120の口部の領域で深くなっており、流出路124の方向に、エンドピース受け部材112とエンドピース114との間の境界面に対して斜めに延びる床128によって片側が境界付けられる楔形に広がっている。接続路120と分配路122との間の遷移部は、ほぼ同一平面上にあり、床も曲がっていないため、図1及び図1Aに示す平面上の流体の流れも偏向されない。接続路120の中心軸と分配路122の床128との間の角度は、図示の例示的な実施形態ではわずか10°である。
【0026】
分配路122の楔形の断面は、図1に示す図では小さくなっている。ノズル機構に対して垂直な図でノズル機構の2つの異なる例示的な実施形態を示す、図2及び図4において分かるように、所望の塗布幅に応じて周面164により境界付けられる分配路は、図の平面(plane of representation)又は断面に対して垂直に延びる流体流出スリット126の方向に程度の大小の差はあるが広がる。ホッパの深さを調整することにより、分配路122の断面を実質的に一定に保つことができ、これにより流路内の流体の均一な流速が確保される。図1に示す先細りと、図2及び図4において認識できる分配路の広がりとは、いずれもひと続きであるため、急激又は不規則な広がりを伴って生じるとともに粒子が集まりやすいデッドスペースが防止される。
【0027】
さらに、流体の流速は、接続路120の断面を分配路122の断面に合わせることによって最適化することができる。
【0028】
流出路124は、エンドピース受け部材112とエンドピース114との間の境界面に形成される。流出路124は、分配路122の下側部分から下流に延びる空所(clearing)によって形成される。この空所は、例えば、エンドピース受け部材112とエンドピース114との間に挿入されるスペーサシートの形態であってもよく、又は適当なフライス削りによってエンドピース受け部材112又はエンドピース114に組み込まれてもよい。空所は、エンドピース受け部材112に形成される分配路122との重複部を有し、この重複部に流体118が流れる。流出路124は、図示の断面に対して垂直な平面上で、空所の2つの縁260、262、又は460、462によって側方が境界付けられることにより、流体流出スリット126の幅を画定する(図2及び図4を参照されたい)。
【0029】
流出路は完全に直線状に延び、分配路122から流出路への遷移部もわずかに方向転換するだけである。分配路122の床128と流出路124との間の角度は、わずか10°である。したがって、接続路120、分配路122、及び流出路124は、それら自体が偏向するのではなく、互いに対して位置決めされるため、流体の流れ全体が25°を超えて偏向されることはない。
【0030】
図1は、搬送方向130にノズル機構110まで送られてノズル機構110と接触している基材132も示す。したがって、これは接触型の塗布システムである。このために、エンドピース114には接触面134がある。後者は、図の平面上に、流体流出スリット126の地点における接線が流出路124の中心軸に対して直角であるアール部を有する。
【0031】
既知の塗布システムでは、ノズル機構110は、流出路が基材132の表面の上に直立するように基材に対して配置されるが、本発明によるシステムでは、ノズル機構110の流出路124が鉛直方向から基材132の搬送経路に対して傾斜している。図示の例示的な実施形態では、傾斜角度は10°である。一方では、これにより、流体流出スリット126のうち接触面134とは反対の側(流去側)で、流出路124の中心軸と基材132の表面との間に傾斜角が形成される。他方では、流体流出スリット126は基材132の表面から上昇している。これら両方の効果により、点線135(図1を参照)で示す流体の流れの偏向が従来技術から既知のように直角に行われるのではなく、小さな偏向角度で行われることを1つの理由として、流体流出スリット126の領域に粒子が付着するのが防止される。さらに、流体流出スリット126は、従来では直接接触する基材132の表面によって遮断されない。
【0032】
塗布中の流体、特に固体粒子の蓄積の防止を助けるために、ノズル機構110のノズルピース116は加圧ガス路142も有し、加圧ガス路142は、加圧ガス源(図示せず)に接続することができるとともに、スリットの形態のガス流オリフィス140につながる。加圧ガス路は、ガス流出オリフィス140から流れるガスの流れ、好ましくは空気の流れが流体流出スリット126に流れても、流体が流体流出スリットのうち接触面134に面していない側への付着によってこびり付くことができないような向きにされる。流体流出スリットから出る流体は、ガス流により捕らえられて、流体流出スリットのこの側に位置するノズル機構の外面から基材132の表面の方向へ導かれる。したがって、流体は、材料の小塊が蓄積して剥がれ落ちるまでには至らない。
【0033】
図1に示す本発明によるシステムの例示的な実施形態は、2つのローラ152、154を有し、搬送ベルト上に配置された基材がそれらの周面にわたって給送される。しかしながら、搬送装置150の設計は、本発明によるシステムにとって重要ではない。代替的に、ローラ152、154の代わりに、例えば可動ステージ又は任意の他の搬送装置があってもよい。
【0034】
さらに、接触面134は、アール部が流体流出スリット126の領域で基材表面132と接線接触するように設計することもできる。これにより、この領域における接触面134と流出路の中心軸との間の角度が鋭角になる。この例示的な実施形態でも、基材に対する遷移部における流体の流れの偏向は、90°未満のままである。この措置により、基材との流出路又は流出スリットの接触が確保される接触型のノズル機構が確実になり、これは流体の粘度によっては有利であり得る。
【0035】
図2及び図3は、この場合もエンドピース受け部材312及びエンドピース314から成るノズル機構210及び310を、正面図(図2)及び上面図(図3)で示している。正面図では、接続路220、分配路222、及び流出路224の経路が破線で示される。二重線を用いて、分配路222の上部及び側部との境界を成す周面264が、アール部266の形態で床128(図2及び図3では認識できない)につながることを示す。これにより、粒子が集まる可能性がある空洞を表す角張った遷移部が回避される。流出路224の上部は、スペーサシート、エンドピース、又はエンドピース受け部材に組み込まれる空所の、上述の縁260、262又は460、462によって境界付けられる。これにより、流出路224及び流体流出スリット126の幅が画定される。
【0036】
図4に示すノズル機構410の実施形態は、図2に示す実施形態と原理上は同一である。唯一の違いは、塗布幅が図2よりも小さいことであり、これは、図2よりも狭い分配路422と、2つの縁460、462により境界付けられる図2よりも狭い流出路424とにより保証される。図4に示す例示的な実施形態も、アール部466の形態で分配路422の床につながる、分配路422の周面464を有する。
【0037】
本発明によるノズル機構は、これらの例示的な実施形態に限定されない。例えば、エンドピース若しくはエンドピース受け部材におけるスペーサシート又はフライス削り部分(milling)に示される、一続きの空所の代わりに、櫛状の構造を設けることもできる。これにより、1つの流出路の代わりに、互いに隣接して配置される複数の流出路が形成され、これらの流出路は、それに応じて互いに隣接して配列される流体流出スリットにつながる。
【0038】
半断面図として図5に示す本発明によるフィルタ機構570の例示的な実施形態は、円筒軸573に沿った主延在方向を有する円筒対称なハウジング572を含む。ハウジング572は軸方向の一端に、流体供給ラインとして、入口孔575が円筒軸573と同軸上に位置合わせされる半径方向にシールされる入口継手574を有する。ハウジング572の反対端には、流体排出ラインとして、ねじ継手577を接続部材として有する同様に軸方向にシールされる出口継手576がある。出口継手576及びねじ継手577は、タップ穴578を有し、タップ穴578も同様にハウジング572の円筒軸573と同軸上に位置合わせされる。流体供給ライン574、ハウジング572、及び流体排出ライン576が同軸配列されていることにより、フィルタ機構570内の流れ方向は完全に直線状である。さらに、言うに値するほどの断面の収縮がないため、フィルタ機構570を流れる流体の乱流及び速度変化の大部分が防止される。これにより、固体粒子のいかなる付着も抑えられる。
【0039】
図示の例示的な実施形態では、全部で3つの平板状フィルタ部材又はディスク580、581、582がハウジング572内に位置する。フィルタディスクの表面は、円筒状のハウジング573に対して、したがって流体の流れ方向に対して垂直である。この措置には、流れの偏向が起こらないという効果もある。フィルタディスク580には、濾過材(filter medium)として、環状のキャリアフレーム(carrier frame)及び濾布が取り付けられているか、又は内部に張られていることが好ましい。図5に示す複数のこのようなフィルタディスク580、581、582の配列では、流れ方向に1つのフィルタディスクから次のフィルタディスクへと、布のメッシュサイズを小さくすることが有利であることが分かっている。このメッシュサイズの漸次変化(graduation)は、ほぼ同量の粒径の大きすぎる濾過すべき不純物又は粒子が、各フィルタディスクにおいて分離されるように、粒子の粒径を考慮して行われることが好ましい。これにより、全体としてフィルタ機構の耐用寿命を延ばすことが可能である。
【0040】
フィルタディスク580、581、582は、スペーサスリーブ584、585、586によってハウジング572内に均等な間隔で配列される。スペーサスリーブ及びフィルタディスクを洗浄又は交換するためには、入口継手574を取り外した後で、これらをハウジング572から取り出すことができる。異なる長さのスペーサスリーブを用いることにより、ハウジング572内に1つ、2つ、又はそれ以上の数のフィルタディスクを同じ間隔又は異なる間隔で配置することができる。
【0041】
図6では、図5からのフィルタ機構670が、本発明による例示的なシステムにおいて固体粒子を含有する流体を塗布するために用いられる。より厳密に言うと、図示の機構は、本システムに属する溶融/搬送装置690である。溶融/搬送装置690では、顆粒又は塊の形態でタンク部分691に導入されるホットメルト接着剤が、溶融されて、モータにより駆動されるポンプ692(例えばギヤポンプ)によってフィルタ機構670の方向に搬送される。弁695及びバイパスライン696が、タンク691及びポンプ692を接続する吸引ライン693と、ポンプ692及びフィルタ機構670を接続する圧力ライン694との間に接続される。弁695を用いて、バイパスライン696を開く流体の最高圧力を設定することができる。
【0042】
圧力ライン694は、フィルタ機構670と平行の向きであるため、圧力ラインからフィルタ機構への遷移部においても流体の流れの偏向は生じない。図6に示す例示的な実施形態とは対照的に、圧力ライン694を入口継手574の入口孔575の下面と同一平面上に配列させることにより、そうしない場合に形成されてしまう空洞に重力によって固体粒子が集まることをできなくすることが有利であると分かっている。別の好ましい例示的な実施形態では、圧力ライン694は、少なくとも圧力ライン694に接続されるフィルタ機構670の流体供給ライン574の領域において、入口孔575と同じ断面を有する。
【0043】
これは、この断面に向かって流れ方向に沿って圧力ライン694を徐々に拡大することにより、又は圧力ライン694が全長にわたってフィルタ機構670の入口孔575と同じ断面を有するようにすることにより、達成することができる。いずれの場合も、圧力ラインからフィルタ機構への遷移部において流速の急激な低下はなく、流体が分離して固体粒子が堆積する傾向が低減される。
【0044】
出口側では、接続ホース698が、ねじ継手577によってフィルタ機構670の流体排出ライン576に接続される。後者は、フィルタ機構670を本発明によるノズル機構に接続する。通常は、さらなる接続部材が接続ホース698とノズル機構との間に接続される。これらは、塗布プロセスを制御する弁と、接続ホース698及びノズル機構の接続路の両方と連通する流体供給ラインとを含む。このシステムの場合、接続ホース698は、ホットメルト接着剤を塗布するために加熱することができるため、溶融/搬送装置690からノズル機構までの搬送経路に沿って、最適な処理温度及び流動性が維持される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】流出ギャップに対して垂直な平面にノズル機構及び搬送装置を有する、本発明によるシステムの実施形態の断面図である。
【図1A】図1からの実施形態によるノズル機構の断面図である。
【図2】本発明によるノズル機構の第1の例示的な実施形態の正面図である。
【図3】図2からのノズル機構の上面図である。
【図4】本発明によるノズル機構の第2の例示的な実施形態の正面図である。
【図5】本発明によるフィルタ機構の実施形態の部分側断面図である。
【図6】本発明によるシステムの溶融/搬送装置に設置された、図5によるフィルタ機構の側断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンドピース受け部材(112、312)及びそれに取り付けられるエンドピース(114、314)を有し、流体供給ラインに接続され得る接続路(120、220、420)と、下流で接続される分配路(122、222、422)と、さらに下流で接続されて流体流出スリット(126)につながる流出路(124、224、424)とを有する流体路が形成されている、固体粒子を含有する流体(118)をノズル機構(110、210、310、410)に対して移動可能な基材(132)に塗布するノズル機構(110、210、310、410)であって、
前記接続路(120、220、420)及び前記分配路(122、222、422)は、前記エンドピース受け部材(112、312)内に少なくとも部分的に形成され、前記流体路内の全ての方向転換が90°未満であることを特徴とする、ノズル機構。
【請求項2】
弁機構(110、210、310、410)であって、
前記分配路(122、222、422)は、前記接続路(120、220、420)と同一平面上にあるか又は該接続路(120、220、420)の中心軸に対する傾きが90°未満である床(128)を有するとともに周面(164、264、464)を有するホッパの形態であり、前記床(128)及び前記少なくとも1つの周面(164、264、464)は、アール部(266、466)の形態で互いにつながることを特徴とする、請求項1に記載の弁機構。
【請求項3】
弁機構(110、210、310、410)であって、
前記分配路(122、222、422)は、前記流体流出スリット(126)に対して垂直な断面で見ると流れ方向に徐々に細くなり、且つ前記断面に対して垂直な方向には徐々に広がっており、前記分配路(122、222、422)の断面はほぼ一定であることを特徴とする、請求項2に記載の弁機構。
【請求項4】
弁機構(110、210、310、410)であって、
前記分配路(122、222、422)の前記床(128)及び前記少なくとも1つの周面(164、264、464)は、研磨されることを特徴とする、請求項2又は3に記載の弁機構。
【請求項5】
弁機構(110、210、310、410)であって、
前記エンドピース(114、314)は、前記流体流出スリット(126)によって片側が境界付けられる、前記基材(132)を導入するための接触面を有し、前記流出路(124、224、424)の中心軸と前記流体流出スリット(126)の領域の前記接触面との間は、前記流体流出スリット(126)に対して垂直な平面で見ると鋭角であることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の弁機構。
【請求項6】
弁機構(110、210、310、410)であって、
加圧ガス源に接続可能であり、且つ前記ガス流出オリフィス(140)から出るガスの流れが前記流体流出スリット(126)に向かって流れても、前記流体路のうち前記接触面に面していない側に位置する前記ノズル機構(110、210、310、410)の外面に集まり得るいかなる流体(118)にも、前記ガスの流れが当たらないように、前記流体路のうち前記接触面に面していない側に配置される、加圧ガス路(142)を特徴とする、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の弁機構。
【請求項7】
弁機構(110、210、310、410)であって、
前記エンドピース受け部材(112、312)と前記エンドピース(114、314)との間に配置され、前記床(128)の反対側で前記分配路(122、222、422)との境界を成し、且つ周方向で前記流出路(124、224、424)との境界を成す空所を有する、スペーサシートを特徴とする、先行の請求項のいずれか1項に記載の弁機構。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載のノズル機構(110、210、310、410)と、該ノズル機構(110、210、310、410)と基材(132)との間のを相対運動をさせるように構成される搬送装置(150)とを有する、固体粒子を含有する流体(118)を前記基材(132)に塗布するシステムであって、
前記流体流出スリット(126)の流去側における、前記ノズル機構(110、210、310、410)の前記流出路(124、224、424)の中心軸と前記搬送装置(150)の搬送方向(130)との間の角度は、前記流体流出スリット(126)に対して垂直な断面で見ると鈍角であることを特徴とする、システム。
【請求項9】
流体供給ライン(575)と、流体排出ライン(578)と、前記流体供給ライン及び前記流体排出ラインを接続する流路(587)と、該流路内に配置される平板状フィルタ部材(580、581、582)を有するフィルタ機構(570、670)とを有し、前記流体供給ライン(574)、前記流体排出ライン(576)、前記流路(587)、及び前記フィルタ部材(580、581、582)の断面積は、実質的に同じサイズである、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
流れ方向に小さくなるメッシュサイズを有する複数の平板状フィルタ部材(580、581、582)が、前記流路(587)内に配置されることを特徴とする、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記流路(587)の経路は、実質的に直線状であり、前記フィルタ部材(580、581、582)の表面は、前記流路の流れ方向に対して垂直であることを特徴とする、請求項9又は10に記載のシステム。
【請求項12】
流れ方向と一致する主延在方向を有し、且つ前記フィルタ部材(580、581、582)がスペーサスリーブ(584、585、586)によって取り外し可能に挿入される、ハウジング(572)を特徴とする、請求項9ないし11のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
請求項9又は10に記載のシステムで用いるフィルタ機構(570、670)であって、流体供給ライン(575)と、流体排出ライン(578)と、前記流体供給ライン及び前記流体排出ラインを接続する流路(587)と、該流路内に配置される平板状フィルタ部材(580、581、582)とを有し、前記流体供給ライン(574)、前記流体排出ライン(576)、前記流路(587)、及び前記フィルタ部材(580、581、582)の断面積は、実質的に同じサイズである、フィルタ機構。
【請求項14】
フィルタ機構(570、670)であって、流れ方向に小さくなるメッシュサイズを有する複数の平板状フィルタ部材(580、581、582)が、前記流路(587)内に配置されることを特徴とする、請求項13に記載のフィルタ機構。
【請求項15】
フィルタ機構(570、670)であって、前記流路(587)の経路は、実質的に直線状であり、前記フィルタ部材(580、581、582)の表面は、前記流路の流れ方向に対して垂直であることを特徴とする、請求項13又は14に記載のフィルタ機構。
【請求項16】
フィルタ機構(570、670)であって、流れ方向と一致する主延在方向を有し、且つ前記フィルタ部材(580、581、582)がスペーサスリーブ(584、585、586)によって取り外し可能に挿入される、ハウジング(572)を特徴とする、請求項13ないし15のいずれか1項に記載のフィルタ機構。

【図1】
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【図1A】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−502201(P2007−502201A)
【公表日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522981(P2006−522981)
【出願日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【国際出願番号】PCT/EP2004/009016
【国際公開番号】WO2005/016554
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(391019120)ノードソン コーポレーション (150)
【氏名又は名称原語表記】NORDSON CORPORATION
【Fターム(参考)】