固体薄膜コンデンサ
【解決手段】固体薄膜コンデンサが提供される。固体薄膜コンデンサの態様は、遷移金属の第1電極層と、遷移金属の酸化物の絶縁層と、金属酸化物の第2電極層とを含む。固体薄膜コンデンサ並びに前記コンデンサを含む装置を作製する方法も提供される。コンデンサは、陰極アークで作製された1つ以上の構造体、即ち、陰極アーク堆積プロセスを利用して作製される構造体を有し得る。それらの構造体は、応力がない金属構造体、多孔質層、及び、細密褶曲を表す層であり得る。本発明の態様は、化学気相堆積を利用して及び/又はスパッタ堆積により容量性構造を作製する方法を更に含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
合衆国法典第35巻米国特許法第119章(e)に従って、本出願は、(2009年7月23日に、「固体薄膜コンデンサ」と題して出願された)米国仮特許出願整理番号第61/228,027号の出願日の優先権を主張し、その開示内容は、本明細書に参照としてそのまま組み込まれている。
【0002】
本発明は、固体電子機器に関する。より具体的には、本発明は、半導体基板上への容量性構造の形成及び利用に関する。
【背景技術】
【0003】
コンデンサは、一組の電極の間の電界中にエネルギーを保存する受動素子である。コンデンサは、エネルギー保存装置として電子回路内に利用されることが多い。(例えば、電子回路内に利用されるような)小型の電解コンデンサ、基本的な平行板型コンデンサ、及び機械的可変コンデンサを含む、多岐にわたる異なる種類のコンデンサが開発されている。一般に、平行板型コンデンサについては、容量は、コンデンサの誘電材料の誘電率、電極面積、及び電極間の距離に依存する。薄膜コンデンサは、電子回路内に利用され、当該分野で周知の金属・酸化膜・半導体(MOS)型、PN接合型、多結晶シリコン・絶縁体・多結晶シリコン(PIP)型、金属・絶縁体・金属(MIM)型、及び他の適切な容量性構造等の、様々な構造があり得る。
【0004】
当該分野では、寸法が更に小さく、装置の能力が増強され得るが、装置の外形が縮小され得るような、更に複雑で埋込可能な医療装置を作製しようとする継続的な要望がある。この目的で、埋込可能な医療装置を作製するために、様々な異なる製造技術が用いられている。
【0005】
米国特許出願公開第20060058588号、第20050160827号、第20050160826号、第20050160825号、第20050160824号、20050160823号、第20040254483号、第20040220637号、第20040215049号及び第20040193021号には、医療機器を作製するのに、微細電気機械システム(MEMS)作製等の平面加工技術を利用することが記載されている。その構造を作製するある態様に用いられ得る堆積技術として、電気鍍金、プラズマ噴霧、スパッタ、eビーム式蒸着、物理気相堆積、化学気相堆積、プラズマ増強化学気相堆積等が挙げられるが、それらに限定されない。材料除去技術として、反応性イオンエッチング、異方性化学エッチング、等方性化学エッチング、例えば、化学機械研磨、レーザ溶発、放電加工(EDM)等による平坦化等が挙げられるが、これらに限定されない。リソグラフィー所定動作にも関心がある。
【0006】
周知の種類の材料堆積の所定動作は、陰極アーク蒸着である。イオンビーム蒸着の一形態である陰極アーク蒸着では、電弧が陰極と陽極との間に生成され、その陽極が、陰極由来のイオンを陰極から解放させることにより、イオンビームが生成される。次に、結果として得られるイオンビーム、即ち、陰極材料イオンのプラズマが、基板(即ち、その上に構造が作製される材料)の表面に接触し、陰極材料で、ある実施形態では、基板が存在する雰囲気から得られる元素で構成される構造が、基板表面上に堆積される。様々な陰極アーク蒸着の所定動作及びシステムを記載する、数多くの特許及び公表された出願を利用することができる。そのような公表文書として、米国特許第6,929,727号、第6,821,399号、第6,770,178号、第6,702,931号、第6,663,755号、第6,645,354号、第6,608,432号、第6,602,390号、第6,548,817号、第6,465,793号、第6,465,780号、第6,436,254号、6,409,898号、第6,331,332号、第6,319,369号、第6,261,421号、第6,224,726号、第6,036,828号、第6,031,239号、第6,027,619号、第6,026,763号、第6,009,829号、第5,972,185号、第5,932,078号、5,902,462号、第5,895,559号、第5,518,597号、第5,468,363号、第5,401,543号、第5,317,235号、第5,282,944号、第5,279,723号、第5,269,896号、第5,126,030号、第4,936,960号、並びに、米国特許出願公開第20050249983号、第20050189218号、第20050181238号、第20040168637号、第20040103845号、第20040055538号、第20040026242号、第20030209424号、第20020144893号、第20020140334号及び20020139662号が挙げられる。
【0007】
陰極アーク蒸着の所定動作は知られているが、本出願の発明者の知る限り、そのような所定動作は、現在まで、動翼等のような大型産業用部品上に被膜を作製する等の、医療機器ではない用途、及び宝飾品の製造のみに利用されている。
【0008】
医療装置設計及び作製にMEMS所定動作等の平面加工の所定動作を用いることにより、十分な進歩がなされているにもかかわらず、複雑さが更に増し、寸法仕様が更に縮小され、埋込可能な医療装置を作製するのに用いられ得る、新たな製造技術を開発しようとする継続的な要求がある。特に関心があるのは、複雑な3次元構造を含む様々な異なる構造で、所望の形態、例えば、応力のない厚い層、多孔質層、及び、細密褶曲を有する層で堆積材料の組成を作り出すのに用いられ得る、所定動作を確認することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/0058588号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、半導体基板上にコンデンサを形成するのに用いられる従来技術で要求されるのは、コンデンサに割り当てられる基板領域が、他の電気素子の形成に対応するのに最適に利用され得ないことである。従って、半導体基板上にコンデンサ素子を形成する改良技術を提供しようとする未解決の要求がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的及び本発明に照合して明らかになる他の目的を達成するために、固体薄膜コンデンサが提供される。固体薄膜コンデンサの態様として、遷移金属の第1電極層と遷移金属の酸化物の絶縁層と金属酸化物の第2電極層とで構成される多層構造が挙げられる。固体薄膜コンデンサ、並びに、前記コンデンサを含む装置を作製する方法も提供される。本発明は、更に、応力がない厚い金属構造体で形成される容量性構造を半導体基板上に、アスペクト比が高い基板位置内にも作製するのを可能にする。更に、本発明の代わりの実施形態では、多孔質金属構造体と、その表面上に細密褶曲が表れる金属層とを作製することができる。そのように、本発明により、以前は可能ではなかった半導体装置を設計することができ、従って、装置の全寸法を縮小しつつ、電子装置の機能性を十分に改良することができる。
【0012】
本発明の代わりの態様として、陰極アークにより作製される1つ以上の構造、即ち、陰極アーク蒸着プロセスを利用して作製される構造を有するコンデンサが挙げられる。それらの構造は、応力がない厚い金属構造体、多孔質層、及び、細密褶曲が表れる層であり得る。本発明の実施形態として、陰極アーク蒸着プロセスを利用して、同様に、化学気相堆積により及び/又はスパッタ堆積によりコンデンサを作製する方法が挙げられる。
【0013】
本明細書で述べられる全ての公表文書は、前記方法及び/又は材料に関して引用され、その方法及び材料を開示、記載するために、参照として本明細書に組み込まれている。この明細書で述べられる全ての公表文書は、特許、特許出願は、参照としてそのまま、及び、全ての目的のために、各々の個別の公表文書、特許、又は特許出願が参照として組み込まれるように具体的に及び個別に示されるのと同じ程度に、本明細書に組み込まれている。
【0014】
そのような組み込みとして、2007年6月21日に出願された「陰極アーク蒸着により作製される金属2元及び3元化合物」と題するPCT出願整理番号第PCT/US2007/014505号、2007年6月21日に出願された「陰極アークで生成された構造を含む埋込可能な医療装置」と題するPCT出願整理番号第PCT/US2007/014509号、2006年6月21日に出願された「陰極アークで生成された構造を含む埋込可能な医療装置」と題する米国仮出願整理番号第60/805,464号、2006年6月22日に出願された「陰極アーク蒸着で密閉封止された埋込可能な構造体」と題する米国仮出願整理番号第60/805,578号、2006年6月22日に出願された「陰極アークで生成された構造体を含む埋込可能な医療装置」と題する米国仮出願整理番号第60/805,576号、2006年6月22日に出願された「陰極アーク蒸着により作製される腐食しない金属化合物」と題する米国仮出願整理番号第60/805,581号、2006年10月25日に出願された「陰極アークで生成された微細線アンテナを含む医療装置」と題する米国仮出願整理番号第60/862,928号、2007年2月8日に出願された「陰極アーク蒸着により作製された金属2元及び3元化合物」と題する米国仮出願整理番号第60/888,908号、2007年2月16日に出願された「陰極アーク蒸着により作製された金属2元及び3元化合物」と題する米国仮出願整理番号第60/890,306号、及び、2007年5月10日に出願された「陰極アーク蒸着により作製された金属2元及び3元化合物」と題する米国仮出願整理番号第60/917,297号が挙げられる。
【0015】
更に、そのような組み込まれる公表文書として、米国特許第6,929,727号、第6,821,399号、第6,770,178号、第6,702,931号、第6,663,755号、第6,645,354号、第6,608,432号、第6,602,390号、第6,548,817号、第6,465,793号、第6,465,780号、第6,436,254号、第6,409,898号、第6,331,332号、第6,319,369号、第6,261,421号、第6,224,726号、第6,036,828号、第6,031,239号、第6,027,619号、第6,026,763号、第6,009,829号,第5,972,185号、第5,932,078号、第5,902,462号、第5,895,559号、第5,518,597号、第5,468,363号、第5,401,543号、第5,317,235号、第5,282,944号、第5,279,723号、第5,269,896号、第5,126,030号、第4,936,960号、並びに、米国特許出願公開第20050249983号、第20050189218号、第20050181238号、第20040168637号、第20040103845号、第20040055538号、第20040026242号、第20030209424号、20020144893号、第20020140334号及び第20020139662号が挙げられる。
【0016】
本明細書で考察される又は述べられる公表文書は、本発明の出願日前にそれらを開示するためにのみ与えられる。本明細書では、先行発明により、そのような公表文書に先立つ権利が本発明に与えられないことを承認するものとして解釈されるべきではない。更に、本明細書で与えられる公表文書の日付は、実際の公表日と異なる場合があり、個別に確認する必要があり得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態による陰極アークプラズマ源の概略図である。
【図2】本発明の実施形態に従って陰極アーク蒸着により堆積された白金層の図である。
【図3】本発明の実施形態に従って陰極アーク蒸着により堆積され、層が表面細密褶曲を表す白金層の図である。
【図4A】本発明の実施形態による、密封された集積回路の異なる3次元図である。
【図4B】本発明の実施形態による、密封された集積回路の異なる3次元図である。
【図5】本発明の実施形態による多孔質カソード下地層を有する電池の実施形態を示す図である。
【図6A】本発明の代わりの実施形態による多重密封集積回路を有し、陰極アークで生成された導電性給電貫通穴が存在する、組立部品の異なる断面図である。
【図6B】本発明の代わりの実施形態による多重密封集積回路を有し、陰極アークで生成された導電性給電貫通穴が存在する、組立部品の異なる断面図である。
【図7A】陰極アークで生成された厚い金属構造体が、チップの片側にアンテナを形成している、ICチップの断面を示す図である。
【図7B】厚い金属が、チップの片側にアンテナを形成している、ICチップの断面を示す図である。
【図8】埋込可能な医療装置、及び、本発明の改良されたRF遠隔計測アンテナを用いる外部プログラム装置の簡略化された概略図である。
【図9】外部プログラム装置及びIPGの主要機能遠隔計測伝送ブロックの簡略化された回路ブロック図である。
【図10】外部プログラム装置及び埋込可能な医療装置の主要機能上りリンク及び下りリンク遠隔計測伝送機能の簡略化された回路ブロック図である。
【図11】一態様による固体薄膜コンデンサを示す図である。
【図12A】本発明の一態様による密封固体薄膜コンデンサを作製する方法を示す図である。
【図12B】本発明の一態様による密封固体薄膜コンデンサを作製する方法を示す図である。
【図12C】本発明の一態様による密封固体薄膜コンデンサを作製する方法を示す図である。
【図12D】本発明の一態様による密封固体薄膜コンデンサを作製する方法を示す図である。
【図12E】本発明の一態様による密封固体薄膜コンデンサを作製する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
固体薄膜コンデンサが提供される。固体薄膜コンデンサの態様として、遷移金属の第1電極層と遷移金属の酸化物の絶縁層と金属酸化物の第2電極層とで構成される多層構造が挙げられる。固体薄膜コンデンサ、並びに、前記コンデンサを含む装置を作製する方法も提供される。用語「固体」は、本明細書で用いられる場合、機械的回路又は真空管回路ではなく、半導体を利用する装置又は回路を指す。従って、固体コンデンサは、移動部分があり得ず、従って、機械的動作がない。幾つかの事例では、固体コンデンサは、コンデンサを通り抜ける電流が、真空又は真空管を通って流れずに、一方の電極から他方の電極へ流れるように設定される。
【0019】
本発明の様々な態様の更なる記載では、半導体回路及び半導体回路を含む装置の構造体の設計及び製造方法、並びに、前記構造体の利用が示される。本発明の固体薄膜コンデンサを利用する様々な用途が考察される。次に、固体薄膜コンデンサが、より詳細に更に検討される。固体薄膜コンデンサを作製する方法が検討される。
【0020】
本発明の方法は、半導体装置設計者及び製造者に、容量性回路素子を作製するのに重要な新たな手段を提供する。本発明の所定動作及びシステムを利用して、半導体装置製造者は、今まで他の回路素子の近くに作製することができなかった薄膜コンデンサを作製することができる。本発明の更なる記載では、最初に、陰極アークで生成される構造を含む半導体装置の実施形態が検討され、続いて、その構造及びシステムを作製する陰極アーク蒸着方法が検討され、その構造及びシステムは、前記方法を実施する際に利用されるように設定される。
【0021】
陰極アークで生成された構造を有する埋込可能な医療装置
上に要約されたように、本発明は、陰極アークで生成される容量性構造を含む埋込可能な医療装置等の半導体装置を提供する。埋込可能な医療装置とは、生体上又は生体内に配置されるように設定される装置を意味し、ある実施形態では、埋込可能な医療装置は、生体内に埋め込まれるように設定される。埋込可能な装置のある態様は、体内に見られる高濃度の塩、高湿度の環境を含む生理環境中で、2日以上にわたり、例えば、約1週間以上、約4週間以上、約6ヶ月以上、約1年以上、例えば、約5年以上にわたり、機能性を維持するように設定される。ある実施形態では、埋込可能な装置は、生理部位に埋め込まれた場合、約1年〜約80年の範囲又はそれ以上、例えば、約5〜約70年又はそれ以上の期間にわたり、約10〜約50年の範囲又はそれ以上の期間にわたり、機能性を維持するように設定される。本発明の埋込可能な医療装置の寸法は、変化してもよい。しかしながら、埋込可能な医療装置は埋め込むことができるので、本装置のある態様の寸法は、その装置を成人のヒトの中に配置することができない程には大きくない。例えば、埋込可能な医療装置は、ヒトの血管内に適合するように寸法が定められ得る。
【0022】
本発明の埋込可能な医療装置の機能は、幅広く変化してもよく、心臓用装置、薬物送達装置、分析物検出装置、神経刺激装置等を含むが、これらに限定されない。そのように、埋込可能な医療装置として、埋込可能な心臓用ペースメーカー、埋込可能な除細動器、ペースメーカー除細動器、薬物送達ポンプ、心筋刺激装置、心臓監視装置又は他の生理監視装置、神経及び筋肉刺激装置、脳深部刺激装置、人工内耳、人工心臓等が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の様々な種類の埋込可能な医療機器の説明上の実施形態が、より詳しく以下に検討される。
【0023】
上記に要約されたように、本発明の埋込可能な医療装置として、陰極アーク蒸着プロセスにより作製される1つ以上の構造が挙げられる。図1には、陰極アークプラズマ蒸着システムの実施例が示される。イオンビーム蒸着の一形態である陰極アークプラズマ蒸着では、電弧が陰極100と陽極102との間に生成され、前記陽極が、陰極100由来のイオンをその陰極から解放させることにより、イオンビーム104又はプラズマビーム104が生成される。次に、結果として得られるイオンビーム104、即ち、陰極材料イオンのプラズマは、基板108(即ち、その上に構造が作製される材料)の表面に接触し、陰極材料で、ある実施形態では、基板108が存在する雰囲気から得られる元素で構成される構造110が、基板表面106上に堆積される。例えば、図1を参照する。要望に応じて、例えば、産物構造体が、陰極材料及び(炭素、窒素等のような)1つ以上の追加の元素の化合物である場合、関心のあるその1つ以上の追加の元素用の供給源ガスを導入するために、ガス吸入口112が与えられ得る。図1では、中性の巨大粒子114も示され、それらの粒子は、要望に応じて、堆積前にプラズマから選別されても、されなくてもよい。
【0024】
陰極アークで作製される本発明の構造体は、ある態様では、応力がない厚い金属構造体である。ある態様では、構造体の厚さが、約0.01μm〜約500μm、例えば、約0.1μm〜約150μmの範囲である。ある態様では、構造が、約1μm以上の厚さであり、例えば、約25μm以上の厚さであり、約50μm以上の厚さを含む。その厚さは、約75,85,95,100μm又はそれ以上の程度の大きさであってもよい。ある態様では、構造の厚さは、約1〜約200μm、例えば、約10〜約100μmの範囲である。
【0025】
陰極アークで作製される構造は、ある態様では、応力がない。「応力がない」とは、構造に、その構造の機能性を弱めることになる欠陥がないことを意味する。そのように、「応力がない」ことは、構造が堆積される基板108からその構造を剥がす、例えば、離層することになる応力と比較して、応力が低いことを意味する。従って、それらの構造には、亀裂、間隙、穴、又は他の欠陥、特に、構造の機能、例えば、装置の内部体積を密閉し、導電素子の役割をする構造体の能力を弱めることになる欠陥がない。図2は、本発明の別の態様に従って作製される応力がない白金層の図を与える。
【0026】
更に他の態様では、構造は、表面細密褶曲を表す層である。表面細密褶曲とは、刻み目又は裂け目により分離された一連の突起を意味する。ある態様では、所与の突起範囲の頂部から計測される所与の刻み目の深さが、約0.1μ〜約1000μm、例えば、約1μm〜約10μmの範囲である。図3は、本発明の別の態様により作製される表面細密褶曲を表す、10μmの厚さの白金層の図を与える。更に他の態様では、陰極アーク構造体は、多孔質構造体である。
【0027】
上記のように、構造体は、ある態様では、金属構造体である。ある態様では、金属構造体は、生理適合性金属を含む構造体である。関心のある生理適合性金属として、金(Au)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、オスミウム(As)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)バナジウム(V)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、イリジウム(Ir)、タリウム(Tl)、タンタル(Ta)等が挙げられるが、これらに限定されない。ある態様では、金属構造体は、単一金属の純粋な金属構造体である。更に他の態様では、金属構造体は、金属と、1つ以上の追加の元素、例えば、上に列挙された金属又は他の金属、例えば、クロム(Cr)、タングステン(W)等との合金であってもよい。更に他の態様では、構造体は、金属と追加の元素との化合物であってもよく、関心のある化合物として、炭化物、酸化物、窒化物等が挙げられ得るが、これらに限定されない。関心のある化合物の例として、2元化合物、例えば、Ptlr、PtTi、TiW等、並びに、3元化合物、例えば、炭窒化物等が挙げられる。
【0028】
ある態様では、非金属構造体が望まれる。例えば、ある態様では、層は、ダイヤモンド状炭素等の炭素である。本発明の方法のこれらの用途では、本方法に用いられる陰極金属は、黒鉛である。ある態様では、ダイヤモンド状炭素層は、1つ以上の追加の元素、例えば、窒素、金、白金等を加え得る。そのような構造の用途は様々であり、例えば、医療用埋込材のための被膜である。
【0029】
ある態様では、作製される構造体は、一方の元素の他方の元素に対する勾配を含んでもよく、例えば、第2元素の量が第1表面から第2表面に向けて増加する、金属層である。陰極アークで作製される構造を構成し得る追加の材料は、2007年6月21日に出願された「陰極アーク蒸着により作製される金属2元及び3元化合物」と題する同時係属のPCT出願整理番号第PCT/US2007/014505号(弁理士整理番号第PRTS−048W02号)に記載され、その開示内容は、本明細書に参照として組み込まれている。
【0030】
金属構造体が陰極アークで堆積される基板108は、様々な異なる材料で構成され、様々な異なる構造を有し得る。堆積が生じる基板108の表面は、平面であっても、平面でなくてもよく、例えば、様々な穴、溝等があってもよい。基板108は、任意の数の異なる材料、例えば、シリコン(例えば、単一結晶、多結晶、非結晶等)、二酸化シリコン(ガラス)、セラミックス、炭化シリコン、アルミナ、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化硼素、酸化ベリリウム、中でも、ダイヤモンド様炭素、焼結材料等で構成され得る。基板108は、導電材料と半導電材料(Ge等)との複合物であってもよく、高濃度でドープされた及び/又は加熱された半導体シリコン、例えば、1つ以上の導電素子が半導電又は非導電性の支持体上に存在する、以下に記載されるような回路層を含む。
【0031】
陰極アークで作製される、本対象の埋込可能な医療装置の構造体は、様々な異なる構造を有し、それらの構造が見られる埋込可能な医療装置の、様々な異なる機能を満たし得る。例えば、本発明の方法のある用途では、陰極アークで作製される構造体は、埋込可能な医療装置の部品の表面の少なくとも一部分を覆う層である。これらの態様では、層は、層の機能に応じて、表面の一部分のみを覆ってもよく、表面の全体を覆ってもよい。層には、数多くの目的があり得る。本発明の方法の他の用途では、陰極アークで作製される構造体は、層構造体でなく、例えば、給電貫通穴、識別子、アンテナ等であり、その非層構造体にも、数多くの機能があり得る。各々の層構造体及び非層構造体は、ここで、より詳細に検討される。
【0032】
層構造を有する構造体
直前に要約されたように、本発明の方法のある用途では、陰極アークで作製される構造体は、層構造体であり、層構造体とは、層構造を有し、従って、それらの長さと幅が、高さよりも十分に、例えば、5倍以上、例えば、50倍以上大きく、100倍以上を含むことを意味する。層構造体の目的に応じて、層は、様々な異なる構造を有し得る。
【0033】
密閉層
ある態様では、1つ以上の層構造体が、装置外部環境から、装置の内部容積を密閉する役割をする。そのような密閉層は、装置の単一表面上に、又は装置の1を超える表面上に存在し得る。例えば、密閉層は、装置のあらゆる表面に存在し得る。ある態様では、陰極アーク蒸着構造は、「埋込可能な密封構造体」と題し、WO2006/069323として公表されたPCT/US2005/046815、及び、2007年4月12日に出願された「空隙のない埋込可能な密封構造体」と題するPCT/US2007/09270で記載される密閉層であり、その開示内容は、本明細書に参照として組み込まれている。それらの層は、装置全体を包み込み、例えば、その装置全体を、即ち、装置の全表面を取り囲む密閉層を与えてもよく、2007年4月12日に出願され、その開示内容が本発明に参照として組み込まれている、「空隙のない埋込可能な密封構造体」と題するPCT出願整理番号第PCT/US2007/09270号に記載されるように、装置の一部分を包み込んでもよい。
【0034】
陰極アークで作製された層を含む埋込可能な医療装置の実施例は、図4A及び4Bに与えられる。図4Aは、本発明の態様による密封構造体の3次元図を与える。図4Aでは、構造体400が、保持体402と密閉層404とを含み、密閉層404は、陰極アーク蒸着により堆積されている。密閉層404と保持体402とは、保持体内に密封容積(図示せず)を確定するように設定される。外部接続素子406、408、410、412、414及び416も示され、それらの素子は、保持体の底にある導電性給電貫通穴(図示されず)に結合される。
【0035】
図4Bは、本発明の態様による密封構造体の3次元切り抜き図を与える。図4Bでは、保持体402及び密閉層404は、(例えば、集積回路を含む)作動体420を保持する密封容積418を確定する。作動体420は、はんだ合金(例えば、鉛錫、金錫、銀錫、又は他の適切な合金)422を有する導電性(例えば、白金)給電貫通穴又は層間導通穴406に電気的に結合する。
【0036】
ある態様では、作動体と保持体及び/又は密閉層の壁との間のいずれかの空間が、絶縁材料により占有され得る。いずれかの便利な絶縁材料が用いられてもよく、代表的な絶縁材料として、液体、例えば、シリコンオイル、エラストマー類、熱硬化性樹脂、熱硬化性プラスチック、エポキシ、シリコーン、液晶ポリマー類、ポリアミド類、ポリイミド類、ベンゾシクロブテン、セラミック糊等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
本発明の態様により作製され得る密閉層の追加の実施例は、公表されたPCT出願整理番号第WO2006/069323号、及び、2007年4月12日に出願された「空隙のない埋込可能な密封構造体」と題する係属中のPCT出願第PCT/US2007/09270号に与えられ、それらの開示内容は、本明細書に参照として組み込まれている。
【0038】
図2は、本発明の実施形態に従って、陰極アーク蒸着により堆積された白金層200の図である。図3は、本発明の実施形態に従って、陰極アーク蒸着により堆積され、表面細密褶曲300を表す、白金層200の図を与える。
【0039】
細密褶曲層
上記に要約されたように、陰極アーク蒸着構造体は、細密褶曲層であってもよく、図3に見られるように細密褶曲表面300を表す。そのような層は、様々な異なる用途に利用される。例えば、埋込材上に細密褶曲表面を与えることは、骨結合が望まれる用途に利用される。細密褶曲層は、堆積金属(例えば、Pt)と金属化合物(例えば、TiO2)の両方の中に作製することができる。細密褶曲層は、様々な骨埋込装置上に堆積することができる。埋込装置は、金属埋込材であっても、高分子、例えば、PEEK及びPEKK埋込材であってもよい。関心のある骨埋込装置として、股関節埋込材、骨接合ねじ、歯科用埋込材、板、保持棒等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
要望に応じて、細密褶曲は、例えば、骨の成長を補助し、細菌の繁殖を遅らせるための活性薬剤で充填することができる。関心のある活性薬剤として、有機高分子類、例えば、再吸収増強、血管新生、細胞移入及び増殖、鉱化作用、骨形成、溶骨細胞及び/又は骨芽細胞の増殖等のような数多くの特性を与える骨関連蛋白質類を含む、蛋白質類が挙げられるが、これらに限定されない。関心のある特定の蛋白質として、オステオネクチン、骨シアロ蛋白質類(Bsp)、α−2HS−糖蛋白質類、骨グラ蛋白質(Bgp)、基質グラ蛋白質、骨燐糖蛋白質、骨燐蛋白質、骨プロテオグリカン、蛋白脂質、骨形態形成蛋白質、軟骨誘導因子、血小板由来成長因子、骨格成長因子等が挙げられ、粒子状の増量剤として、無機水溶塩類、例えば、NaCl、硫酸カルシウムが挙げられ、糖類として、例えば、蔗糖、果糖及びブドウ糖が挙げられ、医薬活性薬剤として、例えば、抗生物質(ゲンタマイシン)が挙げられ、その他同様のものが挙げられる。
【0041】
褶曲層300には、骨埋込装置以外の装置上も活性薬剤を蓄積するものとしても関心がある。例えば、ある医療用途では、活性薬剤で覆われたステントに関心がある。そのような装置は、層の刻み目又は裂け目が、関心のある活性薬剤を蓄積又は貯蔵する役割をする、本発明の細密褶曲層を含んでもよく、その細密褶曲は、例えば、加圧下で、表面に溶液中の薬剤をしみ込ませることにより充填することができる。関心のある活性薬剤として、(a)ヘパリン、ヘパリン誘導体類、ウロキナーゼ、及びPPack(デキストロフェニルアラニン・プロリン・アルギニン・クロロメチルケトン)等の抗血栓剤、(b)デキサメタゾン、プレドニゾロン、コルチコステロン、ブデソニド、エストロゲン、スルファサラジン、及びメサラミン等の抗炎症剤、(c)パクリタキセル、5−フルオロウラシル、シスプラチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、エポチロン類、エンドスタチン、アンギオスタチン、アンギオペプチン、平滑筋細胞の増殖を阻止する能力があるモノクローナル抗体類、チミジンキナーゼ抑制剤等の抗悪性腫瘍剤/抗増殖剤/抗有糸分裂剤、(d)リドカイン、ブピバカイン及びロピバカイン等の麻酔剤、(e)D−フェニルアラニル−プロリル−アルギニン・クロロメチルケトン、RGDペプチドを含む化合物、ヘパリン、ヒルジン、抗トロンビン化合物、血小板受容体拮抗薬、抗血栓抗体、抗血小板受容体抗体、アスピリン、プロスタグランジン阻害剤、血小板抑制剤及びマダニ抗血小板ペプチド等の抗凝血剤、(f)成長因子、転写活性化因子、及び翻訳促進剤等の血管細胞成長促進剤、(g)成長因子抑制剤、成長因子受容体拮抗薬、転写抑制因子、翻訳抑制因子、複製阻害剤、阻害抗体、成長因子に対する抗体、成長因子及び細胞毒で構成される二機能性分子、抗体及び細胞毒で構成される二機能性分子等の血管細胞成長抑制剤、(h)蛋白質キナーゼ阻害薬及びチロシンキナーゼ阻害薬(例えば、チルホスチン類、ゲニステイン、キノキサリン類)、(i)プロスタサイクリン類似体、(j)コレステロール低下薬、(k)アンギオポエチン類、(l)トリクロサン、セファロスポリン類、アミノグリコシド類及びニトロフラントイン等の抗菌剤、(m)細胞毒薬物、細胞増殖抑制剤及び細胞増殖影響因子、(n)血管拡張薬、(o)内因性血管活性機構に干渉する薬剤、(p)モノクローナル抗体類等の白血球動員の抑制剤、(q)サイトカイン類、及び(r)ホルモンが挙げられるが、これらに限定されない。ある態様では、抗炎症剤、例えば、デキサメタゾン等のような糖質コルチコステロイド類に関心がある。
【0042】
多孔質層
陰極アークで堆積された多孔質層にも関心がある。陰極アークで堆積された多孔質層は、様々な異なる医療装置部品に利用され、例えば、電極、埋込材被膜等であるが、これらに限定されない。陰極アークで作製される多孔質層が利用される対象の、関心のある1種類の部品は、高表面領域電極部品であり、そのような部品は、様々な異なる埋込可能な装置に、例えば、作動体(センサ又は刺激装置)として、電源部品等として利用される。
【0043】
本発明の発明電池の態様として、高表面領域カソードを有する構造が挙げられる。高表面領域カソードとは、表面領域が、電池内でカソードにより覆われる固体支持体の表面領域の約2倍以上である、例えば、約10倍以上であるカソードを意味する。ある態様では、電極の活性領域は、表面領域が、電極の基本的な幾何学形状に由来する同位の表面領域の103倍以上、例えば、107倍以上又は109倍以上である。ある態様では、カソードの表面領域は、約0.01mm2〜約100mm2の範囲であり、例えば、約0.1mm2〜約50mm2であり、約1mm2〜約10mm2を含む。ある態様では、高表面領域カソードは、カソードが、多孔質下地層上にある活性陰極材料で構成されることにより得られる。加えて、電池は、固体支持体の表面上にあるアノードを含む。
【0044】
特定の態様に応じて、カソードとアノードとは、同じ支持体上にあっても、異なる支持体上にあってもよく、例えば、2つ以上の異なる支持体は、互いに結合されて、例えば「フリップチップ」の態様で存在するような、電池構造体を作り出す。同様に、所与の電池中のカソード及びアノードの数は、態様に応じて変化し得る。例えば、所与の態様として、1つのアノードとカソードとを有する単一の電池、複数のアノード及び/又はカソードを有する単一の電池、又は、各々が1つ以上のカソード及び/又はアノードで構成される2つ以上の異なる電池が挙げられる。関心のある電池構造として、2007年2月14日に出願された「高表面領域カソードを有する薬剤情報システム電源」と題する出願整理番号第60/889,870号に記載され、その開示内容が本明細書に参照として組み込まれている、構造が挙げられるが、これらに限定されない。図5は、本発明の態様による電池の概略図を与える。図5に示される電池500は、上面504を有する固体支持体502を含む。上面504上には、カソード506及びアノード508がある。カソード506は、多孔質下地層510と活性陰極材料512とを含む。それらの素子の各々は、ここでは、より詳しく以下に記載される。図示される態様は、カソードが多孔質下地層を含むが、ある態様では、アノードが、多孔質下地層を含むのに対し、他の態様では、カソードとアノードとの両方が、多孔質下地層を有する。
【0045】
多孔質下地層510は、活性陰極材料512を機械的に支え、陰極材料と素子、例えば、固体支持体502上に存在する回路との間に、電流経路を与える層である(より詳しく以下に記載される)。多孔質下地層は、導電材料、例えば、銅、チタン、アルミニウム、黒鉛等のような様々な異なる材料から作製され得る。それらの材料は、純粋な材料であっても、合金等に見られるように2つ以上の元素で構成される材料であってもよい。下地層の厚さは、変化してもよく、ある態様では、厚さが、約0.01μm〜約100μm、例えば、約0.05μm〜約50μmであり、約0.01μm〜約10μmを含む範囲である。固体支持体の表面上の長さ及び幅に対する多孔質下地層の寸法は、要望に応じて、活性陰極材料の同寸法と同一の空間に広がっても、そうでなくてもよい。
【0046】
上記に要約されたように、カソード下地層は、粗くてもよく、多孔質であってもよい。下地層の多孔性又は粗さは、カソードに所望の表面領域を与える限り、変化してもよい。ある態様では、カソード下地層の多孔質性又は粗さは、多孔質下地層がない同等のカソードから得られる領域の約1.5倍以上〜約1000倍以上に、例えば、約2〜約100倍又はそれ以上に、例えば、約2〜約10倍又はそれ以上に有効表面領域を拡大するように選択される。表面領域の拡大は、粗い又は多孔質の電極の電気化学容量又は周期性ボルタモグラムを同じ材料の滑らかな電極のそれと比較することにより、判定することができる。粗さは、例えば、原子間力顕微鏡(AFM)、電子顕微鏡、又はブルナウアー・エメット・テラー(BET)分析等の他の技術によっても判定され得る。
【0047】
本発明によれば、所望の多孔質カソード下地層を作製するために、陰極アーク蒸着の所定動作を用いる。そのような所定動作では、陰極アークで生成される金属イオンプラズマが、例えば、上記のような多孔質カソード下地層の所望の構造体を作製するのに十分な条件下で、基板108、例えば、表面502と接触する。金属イオンの陰極アークで生成されるイオンプラズマビーム104は、何れかの便利な所定動作を利用して生成され得る。以下に記載されるように、陰極アーク所定動作によりイオンビームを生成する際に、陰極材料イオンのイオンビームが生成されるように、十分な出力の電弧が、陰極と1つ以上の陽極との間に生成される。結果として得られるビームは、イオンが基板表面106に接触し、陰極材料を含む基板表面106上に構造体を作り出すように、基板108の少なくとも1つの表面に向けられる。
【0048】
多孔質カソード(又は、アノード)下地層の頂部には、活性カソード(又は、アノード)材料がある。活性陰極材料は、様々な異なる材料を含み得る。ある態様では、陰極材料として銅が挙げられ、ある態様では、陰極材料としてのヨウ化銅(Cui)又は塩化銅に特に関心がある。要望に応じて、例えば、電池の電圧を増強するために、活性材料は、追加の元素、例えば、硫黄等を加えられてもよい。活性陰極材料は、電着、例えば、電気鍍金、又は蒸着、例えば、化学気相堆積等を含む、いずれかの便利な所定動作を利用して、多孔質下地層上に与えられてもよい。アノード材料は、様々な異なる材料を含み得る。ある態様では、アノード材料として、マグネシウム(Mg)材料又はマグネシウム合金が挙げられる。活性アノード材料は、電着、例えば、電気鍍金、又は、蒸着、例えば、化学気相堆積等のいずれかの便利な所定動作を利用して、多孔質下地層上に与えられてもよい。
【0049】
非層構造を有する構造体
ある態様では、陰極アーク蒸着構造体は、医療装置の層ではない3次元部品であり、そのような部品は、構造及び機能が幅広く変化し得る。より詳しく以下に記載される、本対象の堆積所定動作を利用して作製され得る関心のある3次元部品として、導線素子、例えば、埋込可能な医療装置内に見られる層間導通穴又は他の導電線、通信素子、例えば、アンテナ、識別部品、例えば、装置上の識別標識、指向部品、例えば、装置を撮像下に仕向けるのに用いられる表面素子、組織相互作用素子等の作動体、例えば、電極等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
層間導通穴及び類似の構造体
ある態様では、陰極アーク蒸着構造体は、前記装置の3次元導線素子である。ある態様では、導線素子は、前記装置の2つの異なる構造体を導通させる役割を果たす。ある態様では、導線素子は、層間導通穴であり、その層間導通穴は、前記装置の高アスペクト比の通路内に存在し得る。高アスペクト比の通路とは、高さ対幅の比率が約100まで又はそれ以上、例えば、約1〜約50である、通路を意味する。
【0051】
図6Aは、本発明の別の態様に従って、陰極アークで作製された導電性給電貫通穴を含む密封構造の断面図を与える。この態様では、保持体600は、2つの異なる並列した、例えば、配列形式のウェル602及び604を含み、各々のウェルは、2つの異なる作動体606及び608(例えば、集積回路)を収容する。各々のウェルは、側面610と底612とを含む。各々のウェルの底には、陰極アークで作製された導電性給電貫通穴614、616、618、及び620も示される。集積回路606及び608の配線622、624、626、及び628を導電性給電貫通穴に電気的に結合するのは、ハンダ接続630、632、634、及び636である。異なるハンダ接続を互いに分離するのは、絶縁材料638である。図示されないが、適切な絶縁材料は、作動子と支持体のウェルの側面/底との間の空間内に存在し得る。加えて、密封層は、給電貫通穴と反対の表面上に存在するが、図6Aには示されていない。図6Aの表示は、密封された2つの異なる集積回路のみを示すが、本発明の構造体は、いずれかの便利な配置内に、更に多くの集積回路、例えば、4、5、6又はそれ以上の回路を含んでもよい。パッケージ設計毎の複数のチップの一態様では、チップが、組立部品の一部分で高電圧に耐えるように作製又は設計される。同伴のチップは、第1チップよりも電圧耐性が低いが、心臓ペーシングからの高電圧に、又は、組立部品の別の部分からの他の部品要求に耐える能力を必要としないことになる。これらのチップの両方は、同じ密封パッケージ内に、例えば、同じウェル内に又は並列するウェル内に入れられ、ハンダ処理で取り付けられ、次に、絶縁材料(即ち、注封材)で適所に固定され、例えば、以下に検討されるように、平坦化又は背面をラップ仕上げされ、次に、密閉層で覆われる。
【0052】
上記の実施例は、単一の本発明の耐腐食性密封パッケージ内に2つのチップを相乗的に与えることについての指針を与えるが、これらの組立部品は、4、5、6までの又はそれ以上のチップに対処することができる。そのような大型の組立部品では、これらの組立部品が、互いの頂部に積み重ねられ、密封保護される医療装置部品に、更なる機能性を加え得るという利点もある。
【0053】
図6Bでは、構造体640は、支持体642を含み、側面644と底646が、ウェル648を定める。ウェル648内には、互いの頂部に積み重ねられた2つの異なる作動体650及び652が存在する。各々のウェルの底には、陰極アークで作製される導電性給電貫通穴654及び656も示される。集積回路650の配線658及び660を導電性給電貫通穴に電気的に結合するのは、ハンダ接続662及び664である。異なるハンダ接続を互いに分離するのは、絶縁材料666である。図示されないが、適切な絶縁材料が、作動子と支持体のウェルの側面/底との間の空間内に存在し得る。加えて、密封層は、給電貫通穴と反対の表面上に存在するが、図6Bには示されていない。
【0054】
通信素子
上記に考察されたように、関心のある陰極アークで作製される構造体は、アンテナ構造体を含む。陰極アーク蒸着プロセスの特性のために、今まで実現することができなかったアンテナ構造体を、ここで容易に作製することができる。アンテナ構造体は、直線であっても、直線でなくてもよく、所望により、2次元又は3次元構造である。
【0055】
直線ではないアンテナの一態様は、陰極アーク蒸着の所定動作により容易に作製され、図7A及び7Bに示される。図7Aは、ICチップの断面を示し、陰極アークで蒸着された厚い金属構造体は、チップの片側にアンテナを形成する。厚い金属は、支柱なしで立っている。厚い金属は、基板108によっても支えられ得る。図7Bは、厚い金属が、チップの片面又は両面にアンテナを形成する、ICチップの断面を示す。これらの図に示される厚い金属製のアンテナは、陰極アークにより、適切なマスクを利用して、支持体上にアンテナ構造体を堆積して容易に作製される。
【0056】
金属構造体が陰極アークで蒸着される基板108は、様々な異なる材料で構成され、様々な異なる構造を有し得る。蒸着が起こる基板108の表面は、平面であっても、平面でなくてもよく、例えば、様々な穴、溝等があってもよい。例えば、基板108内の穴は、上記のように、貼付層を堆積した後に給電貫通穴として現れてもよく、2006年6月22日に出願された係属米国仮出願整理番号第601,805,576号に更に考察されるようなものであり、その開示内容は、本明細書に参照として組み込まれている。基板108は、任意の数の異なる材料で構成されてよく、関心のある絶縁材料は、例えば、シリコン(例えば、単結晶、多結晶、非結晶等)、二酸化シリコン(ガラス)、セラミック、テフロン(登録商標)等があるが、これらに限定されない。
【0057】
貼付層及び基板108に加えて、本対象の微細縞状のアンテナは、接地面層も含んでよい。接地面層は、いずれかの適切な導電材料で作製されてもよく、ある態様では、アンテナが動作可能に結合される装置の一部、例えば、埋込可能な医療装置の導電性筐体であってもよい。
【0058】
ある態様では、貼付層は、例えば、体液から貼付層を保護する役割をする適切な絶縁材料から作製される保護層で覆われてもよい。ある態様では、この保護層は、例えば、米国特許第5,861,019号に記載され、その開示内容が本明細書に参照として組み込まれているような、無作為な構造体として設定されてもよい。
【0059】
方法
陰極アークで作製される構造体を含む埋込可能な医療装置を製造する方法も提供され、その方法は、陰極アーク蒸着の所定動作を利用して、構造体を作製することを含む。
【0060】
本発明の方法は、例えば、上記のような、埋込可能な医療装置の所望の構造体を作製するのに十分な条件下で、陰極アークで生成された金属イオンプラズマを基板108の表面に接触させることを含む。金属イオンの陰極アークで生成されたイオンプラズマビーム104は、いずれかの便利な所定動作を利用して生成される。陰極アークの所定動作によりイオンビームを生成する際に、陰極材料イオンのイオンビームが生成されるように、十分な出力の電弧が、陰極と1つ以上の陽極との間に生成される。結果として得られるビームは、イオンが基板表面106に接触し、陰極材料を含む基板表面106上に構造体を作り出すように、基板108の少なくとも1つの表面に向けられる。例えば、図1を参照する。陰極アーク蒸着により構造を作製するために、いずれかの便利な所定動作を用いてもよい。本発明での利用に適合し得る当該分野で周知の所定動作として、米国特許第6,929,727号、第6,821,399号、第6,770,178号、第6,702,931号、第6,663,755号、第6,645,354号、第6,608,432号、第6,602,390号、第6,548,817号、第6,465,793号、第6,465,780号、第6,436,254号、第6,409,898号、第6,331,332号、第6,319,369号、第6,261,421号、第6,224,726号、第6,036,828号、第6,031,239号、第6,027,619号、第6,026,763号、第6,009,829号,第5,972,185号、第5,932,078号、第5,902,462号、第5,895,559号、第5,518,597号、第5,468,363号、第5,401,543号、第5,317,235号、第5,282,944号、第5,279,723号、第5,269,896号、第5,126,030号、第4,936,960号、並びに、米国特許出願公開第20050249983号、第20050189218号、第20050181238号、第20040168637号、第20040103845号、第20040055538号、第20040026242号、第20030209424号、第20020144893号、第20020140334号及び第20020139662号に記載されるものが挙げられ得るが、これらに限定されず、これらの開示内容は、本明細書に参照して組み込まれている。ある態様では、例えば、その開示内容が本明細書に参照により組み込まれる、「空隙のない埋込可能な密封構造体」と題して2007年4月12日に出願されたPCT出願整理番号第PCT12007/09270に記載されているように、例えば、陰極アークにより蒸着される材料の層内に基板108を包むように、基板108のすべての表面がプラズマに接触してもよい。
【0061】
ある態様では、用いられる陰極アーク蒸着の所定動作は、例えば、上記のような、基板108の表面上に、応力がない厚い金属構造体を作製するものである。そのように、本方法は、基板108の表面上に、厚さが約1μm以上である、例えば、厚さが約25μm以上であり、厚さが約50μm以上であり、厚さが約75、85、95又は100μm又はそれ以上の大きさであり得る、欠陥がない金属層を作製する方法である。
【0062】
本発明によれば、基板表面106上への陰極アーク蒸着により、基板表面106上に材料層を堆積するための改良された方法が提供される。ある態様では、基板108は、変形又は力に曝されており、そのような変形又は力に曝されていない基板108上への蒸着により作製される同位の層と比較して、特性が十分に改良された層を作製する。
【0063】
本発明による応力工学の方法は、例えば、シリコン基板108上への、成長応力が大きく且つ圧縮性である、陰極アーク金属膜又はスパッタ金属膜の形成のような、多岐にわたる材料作製用途にも有効に用いられる。金属膜の熱膨張係数は、Si基板材料の熱膨張係数よりも大きいので、室温でのその膜内の応力は、高温で堆積することにより縮小することができる。高い堆積温度では、その膜は尚も圧縮性であるが、基板108上で冷却されるにつれて、その膜は、応力がない状態に近づく。しかしながら、そのような高温での膜形成条件は、基板108上にある集積回路(IC)装置の他の層に害を及ぼし得る。本発明によれば、スパッタ金属層から開放されるのに必要とされるような一定量の圧縮歪みを基板108の頂面に与えるように、例えば、圧迫要素を用いることでスパッタ堆積中に基板108を圧迫し、次に、堆積後にその圧迫を解放することにより、同じようなほぼ応力がない状態を得ることができる。
【0064】
本発明の方法は、反対に、成長応力はほとんどないが、堆積又は他の高温処理の制約のために高温で堆積されなければならない層を作製することに適用することもできる。そのような事例では、熱膨張不整合歪みが、本発明の実施によって、堆積温度で基板108を加熱することにより相殺され得る。この方法では、堆積中の歪みは、ほとんどないか又は全くなく、歪みは、冷却中に生成されるが、次に、その歪みは、ウェーハの圧迫を取り除くことにより解放される。
【0065】
ある態様では、本対象の方法でのプラズマと基板108表面との接触は、堆積金属構造体が被る圧縮力及び引張力が互いに実質的に相殺され、堆積された金属構造体に歪みがないように起こる。これらの態様では、基板108と陰極との間の距離、基板108の温度、及び、プラズマを生成するのに用いられる出力を含む、堆積プロセスの様々なパラメータは、産物金属層に歪みがないように選択される。これらの態様では、基板108と陰極との間の距離は、約1mm〜約0.5mの範囲である。プラズマ生成に用いられる出力は、約1ワット〜約1キロワット又はそれ以上、例えば、約5キロワット以上の範囲である。
【0066】
ある態様では、プラズマビーム104は、構造が作製される基板表面106の平面に実質的に直交する方向で基板表面106に接触する。「実質的に直交する」とは、イオンビームが基板平面に接触する際のイオンビーム流の角度が、ある態様でそのイオンビーム流が基板表面106の平面の法線方向にあるような直交を含めて、直交から±15°、例えば、±10°、±5°であることを意味する。
【0067】
そのように、方法の態様は、産物層に歪み(例えば、圧縮力又は伸張力)が蓄積するのを妨げる又は促す印加力条件を基板108全体にわたって与えるように、層を形成する間に最適な加熱又は冷却(又は、圧縮力)を基板108に施すことにより、層材料の特性が歪みに依存する医療用埋込材の中に利用される歪みがない膜又は層を堆積する方法を含む。本発明の方法は、相互接続として利用される白金、イリジウム及びチタン、酸化イリジウム及び窒化チタン電極、並びに、生体医療装置の密閉化に用いられる様々な絶縁膜等の、比較的厚い(100ミクロンまでの)生体融合性金属に特に重要である。
【0068】
この方法は、反対に、成長歪みが引張性である層を作製するのに適用することもできる。この事例では、熱膨張不整合歪みは、本発明の実施によって、堆積温度で基板108を加熱することにより相殺され得る。この方法では、堆積中の歪みは、ほとんどないか又は全くなく、歪みは、冷却中に生成されるが、次に、その歪みは、ウェーハの圧迫を取り除くことにより解放される。
【0069】
ある態様では、基板表面106は、その基板表面に、基板108と熱膨張係数が異なる材料で形成される部材を固定しており、膜形成材料の産物膜を形成することは、基板108と前記基板に固定される部材とを加熱及び/又は冷却することを含む。
【0070】
特定の態様に応じて、基板表面106は、滑らかであっても、不規則なものであってもよく、基板表面106は、不規則なものである場合、堆積材料で充填されることになる穴又は溝又は類似の構造を有し得る。本発明の方法のある態様では、堆積条件(例えば、ガス構成、出力)は、多孔質被膜を産出するように選択され得る。例えば、反応ガスの圧力は、最終産物中に所望の多孔性を設けるように選択され得る。例えば、N2が反応ガスである場合、白金、金、ルテニウム、イリジウム及びモリブデン等の多くの金属の多孔質構造体を作製するために、約0.01〜760torr、例えば、0.1〜100torrの範囲である圧力が用いられる。CΣHβが反応ガスである場合、白金、金、ルテニウム、イリジウム及びモリブデン等の多くの金属の多孔質構造体を作製するために、約0.01〜760torr、例えば、0.1〜100torrの範囲である圧力が用いられる。関心のある堆積条件に関する更なる詳細は、本明細書と同日付で出願された「陰極アーク蒸着により作製される金属2元及び3元化合物」と題する係属中のPCT出願整理番号第PCT/US2007/に与えられ、その開示内容は、本発明に参照として組み込まれている。ある態様では、1つ以上のマスクが、陰極アーク蒸着の所定動作に関連して用いられ得る。そのようなマスクは、堆積構造体の所望の形状を備え得る。光リソグラフィー処理の所定動作等に用いられる従来のマスクのような、いずれかの便利なマスクが用いられてもよい。上記のように、本対象の方法により堆積される構造体は、様々な異なる構造を有してもよく、堆積構造の意図される機能に応じて、層、導線であってもよく、3次元構造等を有してもよい。
【0071】
堆積構造体の組成は、陰極材料及びプラズマ生成雰囲気の選択に基づいて選択され得る。そのように、特定の陰極材料及びプラズマ生成雰囲気は、所望の組成の金属層を作製するように選択される。ある態様では、陰極は、金属又は金属合金で構成され、関心のある金属として、金(au)、銀(ag)、ニッケル(ni)、オスミウム(os)、パラジウム(pd)、白金(pt)、ロジウム(rh)、イリジウム(ir)、チタン(ti)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0072】
堆積構造体が陰極と同じ組成であるそれらの態様では、イオンビームは、真空中で生成され得る。堆積構造体が炭素、酸素又は窒素等の別の元素との金属合金である更に他の態様では、プラズマは、他の元素、例えば、酸素含有雰囲気、窒素含有雰囲気、炭素含有雰囲気等の雰囲気中で生成され得る。
【0073】
ある態様では、陰極材料中の第2元素の勾配が、堆積構造体中に、例えば、堆積が発生している間に雰囲気中の第2元素の量が変化するように、例えば、増加又は減少するように、プラズマ生成中に雰囲気を変更することにより作り出される。
【0074】
ある態様では、基板表面106に接触するイオンビームが選別されず、イオンビームは、陰極材料の巨大粒子を含む。更に他の態様では、イオンビームが選別されてもよく、完全ではないが実質的に巨大粒子がないそのビームは、基板表面106に接触する。いずれかの便利な選別所定動作を用いてもよく、例えば、米国特許第6,663,755号、6,031,239号、6,027,619号、5,902,462号、5,317,235号及び5,279,723号、並びに、米国特許出願公開第20050249983号、第20050181238号、第20040168637号、第20040103845号及び第20020007796号に記載されるものであり、その開示内容が本明細書に参照として組み込まれている。
【0075】
上記で検討されたように、ある態様では、陰極アーク蒸着構造体は、埋込可能な医療装置の2つ以上の構造、例えば、図6A及び6Bに示される導電性給電貫通穴又は層間導通穴を導通させる導電素子である。これらの態様のうちのあるものでは、ヒト体内への埋込材として利用することを目的とした多重層化生体融合性構造体が作製され、その構造体の中では、マイクロプロセッサ又は他の部品が、異なる層に配置され、前記構造の各々の回路層を分離する絶縁層を通じて鉛直方向に相互に接続されており、鉛直方向の相互接続が、本発明に記載されるような陰極アーク蒸着により作製される。各々の回路層は、別のウェーハ又は薄膜材料内に作製され、次に、層構造体上に移され、下記のように相互に接続され得る。
【0076】
例えば、Pt、Ir、Ti、又はそれらの合金で構成される生体融合性層金属導体は、陰極アーク蒸着技術により、例えば、3次元電気回路と、シリコン基板108上に形成された層間導通穴、又は、マイクロプロセッサ若しくは他の素子を含む容器を通る電気接続とを定めるような外部(例えば、シリコン)マスクを介して、パターン付けされたシリコン基板108上に堆積される。これらの方法は、例えば、上述したように、実質的に完全にイオン化された金属イオンのビームに第1部分を曝すことを含む。本方法は、非選別式と同様に選別式の陰極真空アーク技術を利用して高指向性イオンビームを生成し、層間導通穴又は溝が高アスペクト比であっても、共形金属被膜を形成することができる。本方法により、層間導通穴及び溝を充填して、導電相互接続を形成することもでき、例えば、白金の薄膜及び厚膜並びに相互接続を堆積して形成する。
【0077】
ある態様では、構造体は、鉛直方向に積み重ねられ、埋込可能な装置に利用されるデータ処理、制御システム、及びプログラム可能計算のための回路素子が相互に接続される。ある態様では、本構造は、同じ又は別の半導体ウェーハ内に作製され、次に積み重ねられる相互接続回路及びマイクロプロセッサを含む。この回路は、シリコン又は他の適切な材料の表面に沿って通常迂回する多数の薄膜金属配線を含んでもよい。本発明では、回路の機能ブロックは、鉛直方向に配置された2つ以上の部分に分割されてもよく、前記回路の一部分がバルクチップ上にあり、埋込式マイクロプロセッサチップと部品とを含む空洞を有するSI基盤ウェーハなど残りのブロックは本明細書に記載される陰極アーク蒸着の所定動作により作製される仲介用層間導通穴を通じて電気的に接続されている。回路は、バルクシリコン、酸化シリコン内に、又は、ガリウム砒素等のHI−V族材料内に、又は、バルクSi、SOI、及び/又は薄膜GaAsを含む複合構造内に形成することができる。装置の様々な層は、層を互いに結合する絶縁層、及び、接着剤等の高分子材料を含み得る絶縁層を通り抜けるように延びている導電接続又は鉛直方向のバスを利用して積み重ねることができる。隣接する回路層の間に熱遮断及び電気遮蔽を用いて、熱劣化又は混信を削減又は防止することができる。
【0078】
陰極アーク蒸着システム
陰極アークで作製される構造体を含む移植可能な医療装置を作製する本対象の方法を実施する際に用いられ得る、陰極アーク蒸着システムも提供される。本対象のシステムの態様は、陰極アークプラズマ源と基板装着部とを含む。陰極アークプラズマ源(即ち、プラズマ発生源)は、変わり得るが、ある態様では、陰極、1つ以上の陽極、及び、プラズマ発生中に陰極からイオン化された陰極材料を作り出すのに十分な電弧を生成するための陰極と陽極との間の電力源を含む。プラズマ発生源は、陰極ターゲットからの正帯電イオンを含むDC又はパルス化プラズマビーム104を生成する。基板装着部は、構造体が堆積される基板108を保持するように設定される。ある態様では、基板装着部は、その装着部上にある基板108の温度を制御するための、例えば、装着部上の基板108の温度を所望の値に上昇又は下降させるための温度調節器を含むものである。いずれかの便利な温度調節器は、冷却素子、加熱素子等のような装着部に動作可能に接続され得る。ある態様では、温度センサは、装着部上にある基板108の温度を測定するためにあり得る。ある態様では、システムは、基板108装着部と陰極との間の距離が調節され得るように設定される。言い換えれば、システムは、基板装着部と陰極が互いに対して移動し得るように設定される。ある態様では、システムは、基板装着部と陰極との間の距離が要望に応じて増加又は減少し得るように、基板装着部が陰極に対して移動することができるように設定される。ある態様では、システムは、陰極と基板装着部との間の距離が要望に応じて増加又は減少し得るように、陰極が基板装着部に対して移動することができるように設定される。要望に応じて、システムは、1つ以上の入力パラメータ、例えば、陰極材料、エネルギー、基板仕様、堆積雰囲気を考慮して、基板装着部と陰極とを互いに対して配置するための適切な距離を測定する素子を含み、例えば、上記で考察されたように、基板108の引張力により堆積材料内にあるいずれの圧縮力も相殺されることを確保することにより、応力のない厚い産物層を作製し得る。ある態様では、陰極アークプラズマ生成素子及び基板108は、制御された環境、例えば、真空又は制御された雰囲気を与える密閉チャンバ内にあり、システムの2つの部品は、同じチャンバ内にあっても、陰極から基板108へイオンを移動させるイオン搬送構造体により相互に接続された異なるチャンバ内にあってもよい。
【0079】
ある態様では、システムは、完全ではないが実質的に巨大粒子がないイオンビームが基板108に接触するように、生成されたプラズマから巨大粒子を選別する役割をする選別素子を更に含む。いずれかの便利な選別素子が存在してもよく、関心のある選別素子として、米国特許第6,663,755号、第6,031,239号、第6,027,619号、第5,902,462号、第5,317,235号及び第5,279,723号、並びに、米国特許出願公開第20050249983号、第20050181238号、第20040168637号、第20040103845号及び第20020007796号に記載されるものが挙げられるが、これらに限定されず、それらの開示内容は、本明細書に参照として組み込まれる。ある態様では、選別素子は、照準線がなく、発生源と基板108との間の選別器を通る単一の跳ね返り経路がないように、2つの曲管を有する。ある態様では、システムは、選別器を通り、基板108上へプラズマビーム104を操縦するビーム操縦装置を更に含む。ある態様では、システムは、イオンビーム調節器、例えば、パルス化され、振幅が調節された電気的バイアスを、選別されたプラズマビームに与えるビーム偏倚装置を含む。これらの態様では、この偏倚装置は、処理装置とパルス発生モジュールとを含み、パルス発生モジュールは、処理装置の制御下でパルス化され、振幅が調節された電気バイアスを生成し、パルス発生モジュールは、プログラム可能論理装置と電源と切換回路とを含み、切換回路は、プラグラム可能論理装置により制御され、電源出力は、切換回路を介して基板108に結合され、プログラム可能論理装置は、電源と切換回路の両方の動作を制御する。
【0080】
ある態様では、システムは、基板108にバイアス電圧を加える素子を更に含む。これらの態様のうちのあるものでは、バイアス電圧印加は、正イオンが堆積するために基板108上で発生する静電荷を分散させることと、入射イオンのエネルギーが既定のエネルギー範囲内に入るのを確保することとの両方を行うように働く。
【0081】
陰極アーク蒸着システムは、2006年6月22日に出願された「陰極アークで作製された構造体を含む埋込可能な医療装置」と題する米国仮出願整理番号第60/805,576号に更に記載され、その開示内容は、本明細書に参照として組み込まれている。
【0082】
システム
本発明により陰極アークで作製された素子を含む1つ以上の埋込可能な医療装置を含むシステムも提供される。例えば、上記のような貼付アンテナ等の、陰極アークで作製されたアンテナを有する埋込可能な装置を含むシステムが、提供される。本発明のそのようなシステムは、被験体、例えば、ヒトの体内に情報を送るシステムと見なされてよく、そのシステムは、情報を伝送するように設定された無線機を含む第1の埋込可能な医療装置と、情報を伝送するように設定された無線機を含む第2の装置との両方を含み、第1の装置及び第2の装置のうちの少なくとも1つは、例えば、上記のような、本発明による微細縞型アンテナを含む。本発明の一態様は、図8に示され、そのシステムは、埋込可能な医療装置、例えば、IPGと外部プログラミングユニットとを含む。図8は、本発明による、外部プログラム書込装置802と埋め込まれた医療装置、例えば、心臓ペースメーカーIPG800との間の双方向遠隔計測通信の簡略化された概略図である。IPG800は、患者804の中に、患者の皮膚又は筋肉の下に埋め込まれ、通常、皮膚表面に向けられている。IPG800は、少なくとも1つの心臓調速導線808の調速/感受電極及び導線を介して、患者804の心臓806に電気的に結合される。IPG800は、プログラムされた動作モード及び電源に従って、感受及び調速機能の時間を調節するマイクロコンピュータ又はデジタル状態機械を用い得る操作システムを含む。IPG800は、心臓情報を検出する感受信号増幅器、患者活動センサ、又は、心臓の出力に必要な情報を感受する他の生理センサ、及び、先行技術で十分に知られている方法で操作システムを制御しながら心臓806の少なくとも1つの心房に調速パルスを伝送するパルス発生出力回路も含む。操作システムは、様々なプログラムに組み込まれた操作モードと操作システムにより利用されるパラメータ値とを保存する、メモリレジスタ又はRAMを含む。メモリレジスタ又はRAMは、感受された心臓活動から編集された及び/又は装置操作履歴に関連するデータ、又は、検索又は問い合わせ命令を受け取り次第出力される、感受された遠隔計測用生理パラメータを保存するのに利用され得る。これらの機能及び操作の全ては、当該分野で十分に知られており、その多くは、他のプログラム可能で埋込可能な医療装置内で用いられ、操作命令と、装置動作を制御するためのデータと、装置機能又は患者の容態を診断するために後に取り出すためのデータとを保存する。プログラム命令又はデータは、IPG800の表面内の又はその表面上のIPGRF遠隔計測アンテナ810と、外部のプログラム書込装置802に接続される外部RF遠隔計測アンテナ812との間で伝送される。外部RF遠隔計測アンテナ812は、患者804からある距離だけ離れた外部のプログラム書込装置の容器の上に配置することができる。例えば、外部プログラム書込装置802及び外部RF遠隔計測アンテナ812は、患者804から数メートル程度離れて立ってもよい。更に、患者は、動いてもよく、実時間ECG又は生理パラメータを上りリンク遠隔計測で問い合わせている間、トレッドミル等上で運動することができる。プログラム書込装置802は、従来のフェライトコアとワイヤコイルと先行技術のRF遠隔計測アンテナとを用い、従って、従来のプログラム書込装置RFヘッドとそのようなIPGで選択的に利用するための関連ソフトウェアとを更に有する、既存のIPGを遍くプログラムするようにも設計され得る。
【0083】
上りリンク遠隔計測伝送908では、外部RF遠隔計測アンテナ812は、遠隔計測受信アンテナとして働き、IPGRF遠隔計測アンテナ810は、遠隔計測送信アンテナとして働く。反対に、下りリンク遠隔計測伝送30では、外部RF遠隔計測アンテナ812は、遠隔計測送信アンテナとして働き、IPGRF遠隔計測アンテナ810は、遠隔計測受信アンテナとして働く。
【0084】
ここで図9を参照して、図9は、図8の外部プログラム書込装置802及びIPG800の主要機能遠隔計測伝送ブロックの簡略化された回路ブロック図を示す。プログラム書込装置802内の外部RF遠隔計測アンテナ812は、遠隔計測送信機900と遠隔計測受信機902とを含む遠隔計測無線機に結合される。遠隔計測送信機900及び遠隔計測受信機902は、制御回路と、上記に組み込まれた本発明の譲受人に譲渡された特許及び係属中の出願に記載されるような、マイクロプロセッサ及びソフトウェアの制御下で動作するレジスタとに結合される。同様に、IPG800内では、IPGRF遠隔計測アンテナ810は、遠隔計測送信機904及び遠隔計測受信機906を含む遠隔計測無線機に結合される。遠隔計測送信機904及び遠隔計測受信機906は、制御回路と、上に組み込まれた本発明の譲受人に譲渡された特許及び係属中の出願に記載されるような、マイクロプロセッサ及びソフトウェアの制御下で動作するレジスタとに結合される。
【0085】
上りリンク遠隔計測伝送908では、遠隔計測データは、いずれかの便利な遠隔計測形式に符号化され得る。例えば、データ符号化又は変調は、例えば、周波数シフトキー(FSK)であっても、搬送周波数の位相差シフトキー(DPSK)変調の形式であってもよい。上りリンク遠隔計測伝送908を初期化するために、外部プログラム書込装置802内の遠隔計測送信機900は、利用者により生成された問い合わせ命令に応答して有効になり、下りリンク遠隔計測伝送910内に問い合わせ命令を生成する。問い合わせ命令は、受信機906内で受信、復調され、埋込可能な医療装置中央処理ユニット(CPU)、例えば、マイクロコンピュータ(図示せず)の入力に加えられる。埋込可能な医療装置マイクロコンピュータは、送信機904に加えられる適切な上りリンクデータ情報を生成することにより応答し、符号化された上りリンク遠隔計測情報908を生成する。上記のデータ符号化及び伝送形式のいずれかを用いてもよい。
【0086】
図8及び図9のシステムは、単に説明のためのものであって、本対象のアンテナが用いられ得るシステムの1つの型にすぎない。それらのシステムには、数多くの異なる部品又は素子があり得る。そのような素子として、センサ、作動体、例えば、1つ以上のセンサからの情報に応答して、例えば、心臓の刺激の時間調節を制御するための処理素子、例えば、埋込可能な医療装置と体外の場所との間で情報を遠隔計測で交換するための遠隔計測送信機、薬物送達素子等が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0087】
ある態様では、埋込可能な医療システムは、心血管用途、例えば、調速用途、心臓再同期化治療用途等に用いられるものである。
【0088】
システムの利用として、この装置で得られたデータの視覚化が挙げられ得る。本発明者のうちの幾人かは、本発明のシステムを利用して集められる複数源のセンサ情報を調節するための、様々な表示器及びソフトウェアツールを開発している。これらの実施例は、国際PCT出願整理番号第PCT/US2006/012246号に見ることができ、その出願同様にその出願の優先権主張の基礎となる出願の開示内容は、本発明に参照としてそのまま組み込まれている。
【0089】
要求に応じて、本発明による埋込可能な態様を利用して得られるデータは、埋込可能なコンピュータにより記録することができる。そのようなデータは、自動分析又は手動分析のために、コンピュータシステムに、及び、インターネットを含むコンピュータネットワークに周期的に転送することができる。遠隔に位置する外部医療装置、又は、患者の身体上の更に近くの医療装置、又は、患者の身体内の別の多重房室監視/治療送達システムのうちのいずれかのとの通信を可能にするために、上りリンク及び下りリンク遠隔計測能力が、所与の埋込可能なシステムに与えられてもよい。上記の種類の保存された生理データ並びに実時間で生成される生理データ及び非生理データは、下りリンク遠隔計測で伝送された問い合わせ命令に応答して、上りリンクRF遠隔計測により、システムから外部プログラム書込装置又は他の遠隔医療装置へ伝送することができる。実時間生理データとして、通常、実時間で抽出された情報レベルが、例えば、心内の心電図振幅値、及び、本発明により開発された次元情報を含むセンサ出力情報が挙げられる。生理状態に関連がない患者データとして、現時点でプログラムされた装置操作モード及びパラメータ値、電池の状況、装置ID、患者ID、埋込の日付、装置プログラム履歴、実時間事象標識等が挙げられる。埋込可能なペースメーカー及びICDの面では、そのような患者データとして、プログラムされたセンサ振幅感度、調速又は心臓除細動パルス振幅、エネルギー、及びパルス幅、調速又は心臓除細動導線インピーダンス、装置の性能に関連する累積統計、例えば、検出された不整脈事象及び適用される治療に関連するデータが挙げられる。従って、多重心房監視/治療送達システムでは、そのような様々な実時間生理又は非生理データ、若しくは、保存された生理又は非生理データが現れ、そのように現れるデータは、本明細書では、「患者データ」と総称される。
【0090】
図10は、本発明の別の態様による医療診断及び/又は処置システム1000のブロック図である。基盤100は、電源1002、遠隔装置1004、データ収集器1006、及び外部記録装置1008を含む。動作中は、遠隔装置1004が、患者の身体の中に配置され(例えば、摂取される又は埋め込まれる)、患者の身体の内部又は外部に位置し得る電源1002からの電力を受け入れる。
【0091】
遠隔装置1004は、センサ、作動体及び/又は送信ユニットのいずれかの組み合わせを含み得る電子装置、機械装置、又は電気機械装置である。センサユニットは、遠隔装置1004が埋め込まれている患者804の生理状態に関連する様々なパラメータを検出、計測する作動体ユニットは、遠隔装置内のセンサユニット又は外部コントローラの制御下で、患者の身体又は生理プロセスのある面に影響を与える行動を実行する。送信ユニットは、例えば、センサユニットからの計測データを含む情報、又は、作動体の動き若しくは遠隔装置の単なる存在を示す他の情報を、データ収集器1006に送信する。ある態様では、伝送は、無線で実行される。
【0092】
電源1002として、遠隔装置1004に送達され得る電力のいずれかの電源を挙げることができる。ある態様では、電源1002は、遠隔装置1004内に組み込まれる電池又は類似の自己完結型電源であってもよい。他の態様では、電源1002は、患者の身体の外部にあり、電力を無線で送達する。
【0093】
データ収集器1006は、患者804内に埋め込まれ、または外部で患者の皮膚に接続され得る。データ収集器1006は、遠隔装置1004内の送信ユニットからの情報を検出する受信アンテナと、その受信情報を保存、処理及び/又は再送信するように設定された制御ロジックとを含む。遠隔装置1004が送信機を含まない態様では、データ収集器1006は省かれてもよい。
【0094】
外部記録装置1008は、収集データ及び関連情報(例えば、データ収集器1006の処理動作の結果)を従事者にアクセス可能にする、いずれかの装置を利用して、実装され得る。ある態様では、データ収集器1006は、患者804又は介護従事者により直接読み出され得る、又は、保存されたデータを読み出すコンピュータに通信可能に接続され得る、外部部品を含み、その外部部品は、外部記録装置1008の役割をする。他の態様では、外部記録装置1008は、例えば、405MHz帯でのRF結合を利用して内部ペースメーカー缶又は他のデータ収集器と通信する、従来のペースメーカー棒のような装置であってもよい。
【0095】
基盤1000は、任意の数の電源1002と、埋込可能な医療装置と見なされ得る遠隔装置1004とを含むことができる。ある態様では、センサ/作動体ネットワーク(システム)は、患者の身体内に作製され、患者804のための様々な診断及び/又は治療活動を実行することができる。本発明の記述は、本明細書では、患者804に関連するある事例で与えられる。用語「患者」は、本明細書で用いられる場合、動物等の生物全体を指す。ある態様では、動物は、「哺乳類」又は「哺乳動物」であり、これらの用語は、肉食生物目(例えば、犬及び猫)、齧歯目(例えば、マウス、モルモット、及びラット)、ウサギ目(例えば、兎)及び霊長目(例えば、ヒト、チンパンジー、及び猿)を含む、哺乳綱内にある生物を記述するために広く利用される。ある態様では、被験体、例えば、患者804は、ヒトである。
【0096】
本発明のシステムを利用する方法も提供される。一般に、本発明の方法は、例えば、第1医療装置と第2医療装置とを含み、それら装置のうちの一方が埋込可能であり得る、上記のような本発明のシステムを準備することと、前記装置のうちの少なくとも1つの上にある微細縞型アンテナを介して、システムの第1装置と第2装置との間の通信を有効にすることとを含む。その準備工程は、用いられる特定のシステムに応じて、少なくとも第1医療装置を被験体内に埋め込むことを含み得る。ある態様では、有効化行程は、情報を第1装置から第2装置へ送信することを含む。ある態様では、伝送行程は、情報を第2装置から前記第1装置へ送信することを含む。情報は、いずれかの便利な周波数のものであり、ある態様では、周波数は、約400〜約405MHzの範囲である。情報の特性は、大きく変化してもよく、患者804から得られる1つ以上のデータと、埋込装置から得られる、装置機能についてのデータと、埋込装置、電源等のための制御情報とを含んでもよい。
【0097】
ここで、一般に図面を、特に図11を参照して、図11は、固体薄膜コンデンサ1100を示す。コンデンサ1100は、シリコン等の、しかしこれに限定されない、基板1102上に形成され得る。コンデンサ1100の層は、基板1102の上面1104に形成され得る。例えば、第1電極層1106は、タンタル等の、しかしこれに限定されない、遷移金属で構成され得る。絶縁層1108は、五酸化タンタル(Ta2O5)等の、しかしこれに限定されない、遷移金属の酸化物で構成され得る。第2電極層1110は、二酸化マンガン(MnO2)等の、しかしこれに限定されない、金属酸化物で構成され得る。明快さのために、図11の層及び他の形状は、ある厚さがあるように示され、他の寸法は、必ずしも縮尺通りに描かれているわけではない。しかしながら、実際には、本明細書に記載されるように、他の寸法及びアスペクト比が用いられてもよいと理解されるべきである。
【0098】
コンデンサ1100は、密閉層1112により、基板1102の上面1104で、コンデンサ1100の層1106、1108及び1110にわたり密封され得る。密閉層1112は、薄膜不活性層であり得る。図示されるように、密閉層1112は、基板1102と協働し、周囲環境から層1106、1108及び1110を密閉する包膜を形成する。層1106、1108及び1110の特定の脆弱点は、縁1114である。縁1114が保護されていない場合、腐食性流体又は物質が、層1106、1108及び1110の間を浸透し、コンデンサの剥離及び欠陥が発生し得る。従って、密閉層1112は、縁1114を覆う。密閉層1112は、基板1102の上面1104の周辺部分1116も覆い、層1106、1108及び1110の縁1114が保護されるのを確保する。図示されていないが、密閉コンデンサ1100と密閉層1112の外部の部品との間に電気通信を設けるために、導電性給電貫通穴が、コンデンサ1100の第1電極層1106及び第2電極層1110に対して設けられる。
【0099】
本発明のコンデンサ1110は、薄膜コンデンサ1100である。コンデンサ1100が薄膜コンデンサ1100である場合、そのコンデンサ1100は、層1106、1108及び1110を含み、例えば、第1電極層1106、絶縁層1108、及び第2電極層1110のうちの1つ以上であり、これらの層1106、1108及び1110は、薄い。コンデンサ層1106、1108及び1110は、薄い場合、平均厚が、10μm以下であってもよく、例えば、7μm以下であり、5μm以下を含み、例えば、3μm以下であり、ある事例では、1μm以下であり、例えば、0.1μm以下である。ある事例では、層1106、1108及び1110は、厚さの範囲が、0.1〜100μmであり、例えば、0.1〜10μm、例えば、0.1〜7μmであり、0.1〜5μmを含み、例えば、0.1〜3μmであり、例えば、0.1〜1μmである。本発明の薄膜コンデンサ1100は、コンデンサ1100の寸法及び重量を最小限にするように設定されてもよいが、容量値を有効範囲内に尚も維持する。
【0100】
固体薄膜コンデンサ1100は、全寸法が小さくてもよい。要望に応じて、固体薄膜コンデンサ1100は、集積回路の一部であるように設定され得る。ある事例では、固体薄膜コンデンサ1100は、50mm2以下の、例えば、10mm2以下の、1mm2以下を含む全領域を占有する。本発明の固体薄膜コンデンサ1100の容量は、変化し得る。ある事例では、本発明の固体薄膜コンデンサ1100は、容量が、0.01μF/mm2〜1F/mm2、例えば、0.01μF/mm2〜0.5μF/mm2であり、0.02μF/mm2〜0.2μF/mm2を含む範囲であるように設定される。
【0101】
本発明の固体薄膜コンデンサ1100の態様は、第1電極層1106と、第1電極層1106上にある絶縁層1108と、絶縁層1106上にある第2電極層1110とを含む。そのように、本発明の固体薄膜コンデンサ1100は、固体材料の絶縁層1108により互いに分離された第1電極層1106と第2電極層1110とを含む。
【0102】
第1電極層1106及び第2電極層1110は、いずれかの便利な構造を有し得る。関心があるのは、絶縁層1108により分離された平行板として設定される第1電極層1106及び第2電極層1110である。平行板は、平行板の一方の構造が平行板の他方の構造に対応する、共形構造を含む、様々な異なる構造を有し得る。ある事例では、第1電極層1106と第2電極層1110とは、絶縁層1108により互いに分離された平面で平行なプレートである。
【0103】
第1電極層1106は、純金属、金属合金等を含む、いずれかの便利な導電性材料で形成され得る。関心のある特定の金属として、タンタル、銀、動、金、鉄、チタン、クロム、タングステン、ニッケル、及びコバルト等の遷移金属が挙げられるが、これらに限定されない。そのような遷移金属の合金も関心がある。第1電極層1106の厚さは、変化し得る。関心があるのは、平均厚が10μm以下、例えば、7μm以下であり、5μm以下を含む、例えば、3μm以下、ある事例では1μm以下である、第1電極層1106である。要望に応じて、第1電極層1106の平均厚の範囲は、0.1〜10μmであってもよく、例えば、0.1〜7μmであり、0.1〜5μmを含み、例えば、0.1〜3μmであり、例えば、0.1〜1μmである。ある事例では、第1電極層1106は、平均厚が、5μmである。上記で検討されたように、第1電極層1106の構造は、変化し得る。第1電極層1106が平面板として設定される場合、その平面板は、コンデンサ1100の意図された利用に適切な寸法を有し得る。ある事例では、第1電極層1106は、50mm2以下の、例えば、10mm2以下の、1mm2以下を含む全領域を占有するように設定される。
【0104】
絶縁層1108が第1及び第2電極層1110を分離するように、第1電極層1106上にある絶縁層1108は、様々な異なる絶縁性材料から作製され得る。ある事例では、絶縁層1108として、非導電性絶縁材料が挙げられ、例えば、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、それらの組み合わせ等であるが、これらに限定されない。ある事例では、絶縁層1108は、第1電極層1106に利用される遷移金属の酸化物である。ある事例では、絶縁層1108は、五酸化タンタル(Ta2O5)を含む。絶縁層1108の厚さは、変化し得る。ある事例では、絶縁層1108は、平均厚が、5μm以下であり、例えば、3μm以下であり、ある事例では、1μm以下であり、0.1μm以下を含み、例えば、0.05μm以下である。関心があるのは、平均厚が0.01〜5μm、例えば、0.01〜3μmであり、0.05〜1μmを含み、例えば、0.1〜0.5μmの範囲である、絶縁層1108である。ある事例では、絶縁層1108は、平均厚が、0.1μmである。
【0105】
第2電極層1100は、いずれかの便利な導電性材料から作製されてもよい。関心があるのは、二酸化マンガン、酸化イリジウム、酸化白金、酸化パラジウム、酸化ルテニウム、これらの組み合わせ等の、しかしこれらに限定されない、金属酸化物で形成される第2電極層1110である。ある事例では、第2電極層1110は、二酸化マンガン(MnO2)を含む。第1電極層と同様に、第2電極層1110は、厚さが変化し得る。ある事例では、第2電極層は、平均厚が、10μm以下、例えば、7μm以下であり、5μm以下を含み、例えば、3μm以下であり、ある事例では、1μm以下である。関心があるのは、平均厚が0.1〜30μm、例えば、0.1〜7μmであり、0.1〜5μmを含み、例えば、0.1〜3μm、例えば、0.1〜1μmの範囲である、第2電極層1110である。ある事例では、第2電極層1110は、平均厚が5μmである。上に検討されたように、第2電極層1110の構造は、変化し得る。第2電極層1110が平面板として設定される場合、その平面板は、コンデンサ1100の意図された利用に適切な寸法を有し得る。第2電極層1110の寸法は、第1電極層1106の寸法に整合しても、しなくてもよい。ある事例では、第2電極層1110は、50mm2以下の、例えば、10mm2以下の、1mm2以下を含む全領域を占有するように設定される。
【0106】
要望に応じて、コンデンサ1100の第1電極層1106及び/又は第2電極層1110は、高表面領域を有する表面を含む。従って、第1電極層1106及び/又は第2電極層1110は、高表面領域電極であり得る。「高表面領域」とは、表面領域が、基板表面1102の実表面の直交する長さ及び幅寸法によってのみ確定される同位の代わりの平面基板表面1102の表面領域よりも大きい、実表面を有する層を意味する。例えば、実表面は、長方形層の上面であり、従って、長さと幅とを有し得る。表面の特徴、例えば、多孔性、細密褶曲性等のために、第1電極層1106及び/又は第2電極層1110の実表面は、基板表面1102と同じ直交する長さ及び幅を有するが、そのような特徴がない、即ち、表面が滑らかである、表面の表面領域よりも大きい表面領域を有する。直交する長さ及び幅寸法によってのみ確定される表面領域を有し、滑らかである、後者の基板表面1102は、実表面の同位の仮想表面である。言い換えれば、実表面の同位の仮想表面は、関心のある実表面の長さ及び幅よってのみ確定されることになり、表面の表面領域が増加することになる表面特性がない、完全に滑らかな表面と仮定される、表面である。そのように、関心のある電極層1106及び1110の実表面は、実表面の長さ及び幅寸法よってのみ確定される同位の仮想表面の表面領域よりも大きい表面領域を有するものである。ある事例では、関心のある表面の表面領域は、表面の長さ及び幅寸法によってのみ確定される表面の同位の表面領域の2倍以上であり、例えば、5倍以上であり、10倍以上を含む。ある事例では、電極層1106又は1110の関心のある表面の実表面領域は、電極層1106又は1110の関心のある表面の長さ及び幅寸法よってのみ確定される同位の表面領域よりも大きい。ある事例では、電極層1106又は1110の表面の表面領域は、0.01mm2〜100mm2、例えば、0.1mm2〜50mm2であり、1mm2〜10mm2を含む範囲である。電極層1106又は1110の所与の表面の表面領域は、(例えば、粗い層又は多孔質層として存在する)高表面領域層の電気化学容量又は周期性ボルタモグラムを、同じ材料の滑らかな層の電気化学容量又は周期性ボルタモグラムと比較することにより判定することができる。粗さは、原子力間顕微鏡(AFM)、電子顕微鏡、又はブルナウアー・エメット・テラー(BET)分析等の他の技術により判定されてもよい。所望の高表面領域を設けるために、電極層1106及び1110は、粗い又は多孔質の表面を含み得る。電極層1106及び1110の多孔質性又は粗さは、電極層1106及び1110の表面に所望の高表面領域を与える限り、変化してもよい。代わりに、コンデンサ1100の電極層1106及び1110は、所望の高表面領域を与える表面細密褶曲300を有し得る。表面細密褶曲300とは、刻み目又は裂け目により分離された一連の突起を意味する。所与の突起範囲の頂部から計測される際の所与の刻み目の深さは、ある事例では、0.1μm〜1000μm、例えば、1μm〜10μmの範囲である。
【0107】
図3は、本発明の一態様により作製される表面細密褶曲300を表す10mmの厚さの白金層200の図を示す。
【0108】
コンデンサ1100の薄膜層1106、1108及び1110は、固体支持体の表面上に配置され得る。固体支持体は、小さくてもよく、例えば、幅が、0.01mm〜100mm、例えば、0.1mm〜20mmであり、0.5mm〜2mmを含む範囲であるように、長さが、0.01mm〜100mm、例えば、0.1mm〜20mmであり、0.5mm〜2mmを含む範囲であるように、高さが、0.01mm〜10mm、例えば、0.05mm〜2mmであり、0.1mm〜0.5mmを含む範囲であるように、寸法が定められる。固体支持素子は、様々な異なる構造を取ってもよく、例えば、チップ構造、円筒構造、球構造、円盤構造等であるが、これらに限定されない。特定の構造は、意図された用途、製造方法等に基づいて選択され得る。固体支持体が作製される元の材料は、装置が設定される利用対象の特定の装置に応じて、かなり変わり得るが、ある事例では、固体支持体は、シリコン等の半導体材料で構成される。
【0109】
ある事例では、WO/2008/101107として公表されたPCT出願整理番号第PCT/US2008/053999号(その開示内容は、本明細書に参照として組み込まれる)に記載されるような高表面領域電極は、本発明のコンデンサ1100の第1電極層1106及び/又は第2電極層1110として用いられる。
【0110】
要望に応じて、本発明の固体薄膜コンデンサ1100は、コンデンサ1100が、少なくともその意図された寿命期間にわたり機能性を維持するように、埋め込み環境からコンデンサ1100を密閉する密閉構造1112を含み得る。密閉構造1112の性質は、埋め込み環境内で所望の時間期間にわたり、例えば、1日以上、1週間以上、1ヶ月以上、1年以上、5年以上、10年以上、25年以上、40年以上にわたりコンデンサ1100の機能性を維持する限り、変化してもよい。
【0111】
ある事例では、密閉構造1112は、空隙がない共形密閉層であり、その密閉層は、コンデンサ1100の外面の少なくとも一部分の上にある。ある事例では、この空隙がない共形密閉層は、コンデンサ1100の実質的に全ての外面上に存在し得る。代わりに、この空隙のない共形密閉層1112は、コンデンサ1100のある表面上のみに、例えば、コンデンサ1100の一表面上のみに、一表面の一部分上でも存在し得る。そのように、本発明の幾つかのコンデンサ1100は、空隙がない共形密閉層1112内に完全に包み込まれる。そのような事例では、導電性給電貫通穴は、密閉層1112内に包み込まれたコンデンサと、包み込み密閉層1112の外側に位置する他の素子又は装置との間での電気的通信を可能にするように与えられる。他のコンデンサ1100は、コンデンサの上面のみが、空隙がない共形密閉層1112で覆われるように設定される。
【0112】
空隙がない共形密閉層1112は、その厚さが、その層が接続するコンデンサ1100の全体積を実質的に増加させないようなものである点で、「薄膜」被膜であり得る。層に起因し得る、その構造の体積のあらゆる増加は、体積で10%以下であってもよく、例えば、5%以下であり、1%以下を含む。ある事例では、密閉層1112は、厚さが、0.1〜10.0μmの範囲内であり、例えば、厚さが、0.3〜3.0μmの範囲内であり、厚さが、1.0μmの範囲内を含む。
【0113】
密閉層1112は、いずれかの数の異なる所定動作を利用して、コンデンサ1100上に作製されてもよく、その所定動作は、プラズマ増強化学気相堆積、物理気相堆積、スパッタ、蒸着、陰極アーク蒸着、低圧化学気相堆積等の平面処理の所定動作を含むが、これらに限定されない。
【0114】
本発明のコンデンサ1100で用いられ得る、空隙がない共形密閉層1112の追加の記載は、公表番号第WO/2007/120884号で公表されたPCT出願整理番号第PCT/US2007/009270号で与えられ、その開示内容は、本明細書で参照として組み込まれている。
【0115】
密封構造としては、少なくとも1つの導電性給電貫通穴と密閉層とを有する耐腐食性支持体に関心がある。密閉層及び保持体は、コンデンサ部品、例えば、第1電極層1106及び第2電極層1110と、絶縁層1108とを取り囲む密封容器を定めるように構成される。導電性給電貫通穴は、白金、イリジウム等のような金属、金属及び半導体の合金、窒化物、半導体又はある他の便利な材料であってもよい。ある事例では、耐腐食性保持体は、シリコン又はセラミックを含む。寸法は変化し得るが、耐腐食性保持体は、1mm以上の厚さであり、例えば、50mm以上の厚さである壁を有し得る。壁は、厚さの範囲が、1〜125mmであり、25〜100mmを含む。密閉層は、金属のものであり得る。関心のある金属として、白金及び白金合金等の貴金属及びそれらの合金が挙げられる。密閉層の寸法も、変化し得る。範囲は、ある事例では、0.5mm以上の厚さであり、例えば、2.0mm以上の厚さであり、20mm以上の厚さを含む。密閉層の厚さは、範囲が、0.5〜100mmであり、例えば、1〜50mmである。ある配置では、構造は、密封体積中にある絶縁性材料を更に含む。ある事例では、密封体積は、1pl〜1mlの範囲である。
【0116】
ある事例では、耐腐食保持体は、コンデンサ1100が、一面以外の全ての面で、保持体の壁により閉ざされるように、コンデンサ1100を保持するように設定された構造である。例えば、保持体は、側面と底とを含み得る。保持体は、コンデンサ1100が、一面以外の全ての面で閉ざされる体積内に保持されるように、コンデンサ1100を含む限り、様々な異なる構造を有してもよい。
【0117】
従って、保持体の形状は、要望に応じて、正方形、円、卵形、長方形、又はある他の形状であってもよい。本発明のセンサのために用いられ得る耐腐食性保持体の追加の記述は、公表番号WO/2006/069323号で公表されたPCT出願整理番号第PCT/US2005/046815号に与えられ、その開示内容は、本明細書に参照として組み込まれている。
【0118】
本発明の固体薄膜コンデンサ1100は、電気回路の一部であるように設定され得る。要望に応じて、1つ以上のコンデンサ1100が、所与の電気回路内で並列に若しくは直列に、又は、所与の電気回路内で並列と直列の両方で接続されるように設定され得る。関心のある電気回路は、その回路の1つ以上の部分を有してもよく、各部分は、直列に接続される1つ以上のコンデンサ1100を含み、その回路の1つ以上の部分は、平行に接続される。従って、本発明の態様では、本発明の1つ以上の固体薄膜コンデンサ1100を含む電気回路を更に含む。
【0119】
本発明のコンデンサ1100は、電気エネルギーを保存するように設定されたエネルギー保存装置であり得る。例えば、エネルギーは、電極表面上に保存される。関心のあるコンデンサ1100として、回路装置、例えば、集積回路装置等の装置へのエネルギー源であるように設定される(言い換えれば、エネルギーを装置に放出するように設定される)コンデンサが挙げられる。代わりに、コンデンサ1100は、フィルタとして設定され得る。例えば、コンデンサ1100は、交流(AC)がコンデンサ1100を通り抜け、直流(DC)がコンデンサ1100を通り抜けるのを妨げるのを可能にするように設定され得る。そのようなフィルタコンデンサは、関心のある回路又は回路部品の両端での電流及び電圧過渡を削減するように設定され得る。その回路は、電池、マイクロプロセッサ、トランジスタ、抵抗素子、コイル等の部品であり得る。要望に応じて、フィルタコンデンサ1100は、動作可能に結合される関心のある回路内の雑音量を削減するように設定され得る。
【0120】
固体薄膜コンデンサ1100は、いずれかの便利な方法を利用して作製され得る。関心のある一方法では、第1電極層1106が、固体支持体又は基板1102の表面上に与えられる。次に、絶縁層1108は、第1電極層1106の表面上に作製される。第1電極層1106が、遷移金属から作製される場合、絶縁層1108は、遷移金属の酸化物であり得る。次に、第2電極層1110は、絶縁層1108上に堆積される。第2電極層1110は、金属酸化物から作製され得る。
【0121】
様々な異なる作製技術のうちのいずれかを利用して、本対象のコンデンサ1100を作製してもよい。例えば、鋳造、堆積及び材料除去、例えば、微細電気機械システム(MEMS)作製所定動作等の平面処理技術は用いられ得る。コンデンサの様々な層は、いずれかの便利な所定動作を利用して作製され得る。ある事例では、本対象のコンデンサ1100の層1106、1108及び1110は、薄膜蒸着技術を利用して作製される。本対象のコンデンサ1100の層1106、1108及び1110は、陰極アーク蒸着、スパッタ(スパッタ堆積)、蒸発堆積、電子ビーム物理的蒸気堆積、パルス化レーザ堆積等の物理気相堆積技術を利用して作製されてもよい。コンデンサ層1106、1108及び1110は、大気圧化学気相堆積(APCVD)、低圧化学気相堆積(LPCVD)、超高真空化学気相堆積(UHVCVD)、エアゾール支援化学気相堆積(AACVD)、直接液体注入化学気相堆積(DLICVD)、マイクロ波プラズマ支援化学気相堆積(MPCVD)、プラズマ増強化学気相堆積(PECVD)、原子層化学気相堆積(ALCVD)、有機金属化学気相堆積(MOCVD)、熱フィラメント化学気相堆積(HFCVD)、ハイブリッド式物理化学気相堆積(HPCVD)、高速化学気相堆積(RTCVD)等のような化学気相堆積技術を利用しても作製され得る。
【0122】
関心のある一所定動作では、第1電極層1106は、固体支持体又は基板1102の表面上に第1電極層1106を陰極アーク蒸着することにより作製される。関心のある陰極アーク蒸着の所定動作として、WO2007/149546として公表されたPCT出願番号第PCT/US2007/014509号に記載される所定動作が挙げられ、その開示内容は、本明細書に参照として組み込まれている。次に、絶縁層1108は、第1電極層1106の表面を酸化することにより作製される。代わりに、絶縁層1108は、第1電極層1106上に絶縁層1108を化学気相堆積することにより作製され得る。要望に応じて、絶縁層1108は、酸化と化学気相堆積とを組み合わせて作製され得る。次に、第2電極層1100が、絶縁層1108の表面上に第2電極層1100をスパッタ堆積することにより作製される。コンデンサ層1106、1108及び1110の作製に続いて、コンデンサ層1106、1108及び1110は、上に検討されたように、密閉構造1112中に密封され得る。例えば、作製所定動作は、陰極アーク堆積により、コンデンサ1100上に空隙のない共形密閉層1112を作製することを更に含み得る。
【0123】
ここで一般的に図面を、特に図12A〜12Eを参照して、図12A〜12Eは、本発明に従って密封固体薄膜コンデンサ1100を製造するのに用いられ得る処理の所定動作の一連の図を示す。図12Aでは、初期基板1200が示され、基板1200として、ある事例では、シリコンが挙げられ得る。図12Bに示されるように、コンデンサ1100の作製は、固体支持体1200の上面1204上に第1電極層1202を形成することにより始まる。本明細書に記載されるように、第1電極層1202を形成することは、基板1200の上面1204上に第1電極層1202を陰極アーク堆積することを含み得る。図12Cに示されるように、本方法は、第1電極層1202上に絶縁層1206を作製することを更に含み得る。ある事例では、絶縁層1206の作製は、第1電極層1202の表面を酸化することを含む。他の事例では、絶縁層1206を作製することは、第1電極層1202上に絶縁層1206を化学気相堆積することを含む。図12Dに示されるように、本方法は、絶縁層1206上に第2電極層1208を堆積することを更に含む。第2電極層1208を堆積することは、絶縁層1206の表面上に第2電極層1208をスパッタ堆積することを含み得る。図12Eに示されるように、本方法は、装置上に、コンデンサ層1202、1206、及び1208にわたり密閉層1210を作製することを更に含み得る。密閉層1210は、陰極アーク蒸着により、コンデンサ層1106、1108、及び1110にわたり作製され得る。
【0124】
有用性
本発明の固体薄膜コンデンサ1100は、様々な異なる用途に利用される。例えば、固体薄膜コンデンサ1100は、他の用途の中でも、電圧を制御するように設定された結合切離コンデンサ1100、回路中の雑音を削減し易くするように設定された結合切離コンデンサ1100、回路中の雑音を迂回させるように設定された迂回コンデンサ1100、及び、回路中のエネルギーを保存、放出するように設定されたエネルギー保存コンデンサ1100として利用され得る。ある事例では、コンデンサ1100は、電子回路に利用される。電子回路では、コンデンサ1100は、他の用途の中でも、回路中の雑音を削減し易くするように設定されたフィルタ、ある情報を安定的に生成するように設定された振動回路、ある情報を選択するように設定された調節回路、温度揺らぎを補償するように設定された迂回回路として利用され得る。
【0125】
本発明の固体薄膜コンデンサ1100は、回路、RF回路、随時動作ランダムアクセスメモリ(DRAM)、非揮発性強誘電性ランダムアクセスメモリ(NVFRAM(登録商標))、マイクロ波装置内の随時動作調節可能素子等に利用され得る。
【0126】
本発明の固体薄膜コンデンサ1100は、集積回路にも利用され、この場合、薄膜コンデンサ1100を利用するのが望ましい。コンデンサ1100が上記のように密封される場合、コンデンサ1100は、コンデンサ1100及び前記コンデンサが接続される装置が、腐食性液体、腐食性気体、微生物等のような苛酷な周囲条件に曝される用途に利用され得る。
【0127】
身体に接続される装置に本発明のコンデンサ1100を利用することに関心があり、その装置として、埋込可能な医療装置、身体上に配置されるように設定された装置、摂取型装置等が挙げられるが、これらに限定されない。埋込可能な医療装置は、生体上に又は生体内に配置されるように設定される装置を意味する。埋込可能な医療装置は、生体内に埋め込まれるように設定されている装置であってもよい。埋込可能な装置が、被験体の身体内に見られる高濃度の塩、高湿度環境を含む生理環境内に、2日以上にわたり、例えば、1週間以上、4週間以上、6ヶ月以上、1年以上、例えば、5年以上にわたり存在する場合、機能性を維持するように設定されていることを意味する。ある事例では、埋込可能な医療装置は、1年〜8年以上、例えば、5年〜7年以上、10年〜50年以上を含む範囲の期間にわたり生理部位に埋め込まれた場合に、機能性を維持するように設定され得る。
【0128】
本発明の埋込可能な医療装置の寸法は、変化し得る。装置は、成人内に装置を配置することができない程度には大きくはなり得ない。
【0129】
本発明の固体薄膜コンデンサ1100が利用される、関心のある一種類の医療装置は、埋込可能な作動装置である。表現法「作動装置」は、センサ、活性化装置、センサ/活性化装置、アクチュエータ(電気機械又は電気アクチュエータ)又は、身体内で所望の機能を実行するのに利用され得るいずれかの他の装置である埋込可能な装置を幅広く指す。ある事例では、固体薄膜コンデンサ1100は、密封集積回路を基盤とする作動部品の、エネルギー保存部品等の部品であり、そのような部品として、密封集積回路部品、及び、集積回路部品のいずれかの密封構造の外にある電極等の露曝される作動部品が挙げられる。本発明の固体薄膜コンデンサ1100が利用され得る、集積回路を基盤とする作動装置として、WO/2004/052182として公表されたPCT出願整理番号第PCT/US2003/039524号、WO/2006/029090として公表されたPCT出願整理番号第PCT/US2005/031559号、WO/2006/069322として公表されたPCT出願整理番号第PCT/US2005/046811号、WO/2006/069323として公表されたPCT出願整理番号第PCT/US2005/046815号、WO/2007/028035として公表されたPCT出願整理番号第PCT/US2006/034258号、WO/2007/075974として公表されたPCT出願整理番号第PCT/US2006/048944号、WO/2007/120884として公表されたPCT出願整理番号第PCT/US2007/009270号、及びWO/2007/149546として公表されたPCT出願整理番号第PCT/US2007/014509号に記載される装置が挙げられ、これらの開示内容は、本明細書に参照として組み込まれている。ある事例では、固体薄膜コンデンサ1100は、多重配線の作動体の部品であり、例えば、米国特許第7,214,189号、及び、20040193021として公表された米国特許出願整理番号第10/734,490号に開示される部品である(これら特許及び出願の開示内容は、本明細書に参照として組み込まれている)。ある事例では、固体薄膜コンデンサ1100は、多重配線上の付随部品であり、例えば、20080255647として公表された米国特許出願整理番号第11/793,904号、及び、20080312726として公表された米国特許出願整理番号第11/794,016号に開示される部品であり、これらの開示内容は、本明細書に参照として組み込まれている。
【0130】
本発明の固体薄膜コンデンサ1100は、摂取可能な事象標識装置及びシステムの部品としても利用され、その装置及びシステムとして、WO/2006/116718として公表されたPCT出願整理番号第PCT/US2006/016370号、WO/2008/052136として公表されたPCT出願整理番号第PCT/US2007/082563号、WO/2008/063626として公表されたPCT出願整理番号第PCT/US2007/024225号、WO/2008/066617として公表されたPCT出願整理番号第PCT/US2007/022257号、WO/2008/095183として公表されたPCT出願整理番号第PCT/US2008/052845号、WO/2008/101107として公表されたPCT出願整理番号第PCT/US2008/053999号、WO/2008/112577として公表されたPCT出願整理番号第PCT/US2008/056296号、WO/2008/112578として公表されたPCT出願整理番号第PCT/US2008/056299号、及びWO/2009/042812として公表されたPCT出願整理番号第PCT/US2008/077753号に開示されるものが挙げられ、これらの開示内容は、本明細書で参照として組み込まれている。ある事例では、本発明の固体薄膜コンデンサ1100は、摂取可能な事象標識(IEM)識別装置の部品である。上の出願で検討されたように、識別装置は、識別回路部品を含む部品である。識別回路部品は、IEMが標的生理位置と接触した後に、検出可能な情報を作成するように設定される。IEM識別回路部品は、IEMが、胃腸管の位置、例えば、口、食道、胃、小腸、大腸等のような標的生理位置と接触した後に作動する限り、IEMが設計された対象の特定の環境設定及び意図された用途に応じて変化してもよい。識別回路部品は、IEMが胃液等の標的部位の液体と接触した後に作動するように設定され得る。特定用途の要求に応じて、識別回路部品により生成される情報は、一般情報(IEMが標的部位に接触したことを単に識別する情報)であっても、固有の情報(バッチ内の一群の又は複数の異なる標識からの特定のIEMが、標的生理部位に接触したことをある方法で一意に識別する現時点の特性情報)であってもよい。
【0131】
上記の発明は、明確に理解するために説明及び実例として、ある程度詳細に記載されたが、付属の請求項の趣旨又は範囲から逸脱することなく、その発明にある変更及び修正が行われ得ることは、本発明の教示内容に照合して、当業者に容易に明らかである。その上理解されるべきことは、本明細書に用いられる用語が、特定の態様のみを記述する目的のためのものであり、本発明を限定することを意図しておらず、本発明の範囲が、付属の請求項によってのみ限定されることである。
【0132】
値の範囲が与えられる場合、文脈が特に明確に指示しない限り、その範囲の上限と下限との間の下限の単位の10分の1までの各々の介在値、及び、その言及された範囲内のいずれかの他の言及された値又は介在値は、本発明内に包含されると理解される。これらのより小さな範囲の上限及び下限は、より小さな範囲内に個別に含まれてもよく、本発明内にも包含され、言及された範囲内のいずれかの具体的に除外された制限に従う。言及された範囲が、制限の一方又は両方を含む場合、これらの含まれる制限のうちのいずれか又は両方を除外する範囲も、本発明に含まれる。
【0133】
本明細書で引用された全ての公表文書及び特許は、各々の個別の公表文書又は特許が、参照として組み込まれるように具体的に及び個別に指示されるように、本明細書に参照として組み込まれており、引用された公表文書に関連する方法及び/又は材料を開示、記述するように、本明細書に参照として組み込まれている。あらゆる公表文書の引用は、出願日の前にそれを開示するためのものであり、先行発明により、そのような公表文書に先立つ権利が本発明に与えられないことを承認するものとして、解釈されるべきではない。更に、与えられる公表文書の日付は、実際の公表日とは異なる場合があり、個別に確認される必要があり得る。
【0134】
単数形は、本明細書及び特許請求の範囲で用いられる場合、文脈が特に明確に指示しない限り、複数の指示対象を含むことを注記する。更に、特許請求の範囲は、いずれの任意選択要素も除外するように記述され得ることを注記する。そのように、この記述は、特許請求の範囲の要素の詳述に関連して「単独で」、「単に」等のそのような除外用語を利用するために、又は、「否定的」制限を利用するために、先行する基礎として用いられることを意図している。
【0135】
本開示を読んだ後、当業者に明らかなように、本明細書に記載され、説明される個別の態様の各々は、本発明の範囲又は趣旨から逸脱せずに、いずれかの他の幾つかの態様の特徴から容易に分離され得る、又は、それらの特徴と容易に組み合わせられ得る個別の成分及び特徴を有する。詳述されたいずれの方法も、詳述された事象の順序で、又は、論理的にあり得る他のいずれかの順序で実行することができる。
【0136】
従って、前述は、本発明の原理を単に説明するものである。当業者は、本明細書に明確に記載され、図示されていないが本発明の原理を具体化し、本発明の趣旨及び範囲内に含まれる、本発明の原理を様々な装置を考案することできると理解される。更に、本明細書に詳述される全ての実施例及び暫定的言語は、原理上、読者が本発明の原理と、本発明者により与えられる構想とを理解し、技術を進めるのを補助することを意図しており、そのような具体的に詳述された実施例及び条件に限定されないものと解釈されるべきである。更に、本発明の原理及び態様並びにそれらの特定例を詳述する本明細書での全ての記述は、それらの構造的均等物と機能的均等物の両方を包含することを意図している。加えて、そのような均等物は、現時点で周知の均等物と、将来開発される均等物、即ち、構造に関係なく同じ機能を実行するいずれかの開発要素の両方を含むと意図される。従って、本発明の範囲は、本明細書に示され、記載される模範的構成に限定されることを意図していない。むしろ、本発明の範囲及び趣旨は、付属の図面により具体化される。
【技術分野】
【0001】
合衆国法典第35巻米国特許法第119章(e)に従って、本出願は、(2009年7月23日に、「固体薄膜コンデンサ」と題して出願された)米国仮特許出願整理番号第61/228,027号の出願日の優先権を主張し、その開示内容は、本明細書に参照としてそのまま組み込まれている。
【0002】
本発明は、固体電子機器に関する。より具体的には、本発明は、半導体基板上への容量性構造の形成及び利用に関する。
【背景技術】
【0003】
コンデンサは、一組の電極の間の電界中にエネルギーを保存する受動素子である。コンデンサは、エネルギー保存装置として電子回路内に利用されることが多い。(例えば、電子回路内に利用されるような)小型の電解コンデンサ、基本的な平行板型コンデンサ、及び機械的可変コンデンサを含む、多岐にわたる異なる種類のコンデンサが開発されている。一般に、平行板型コンデンサについては、容量は、コンデンサの誘電材料の誘電率、電極面積、及び電極間の距離に依存する。薄膜コンデンサは、電子回路内に利用され、当該分野で周知の金属・酸化膜・半導体(MOS)型、PN接合型、多結晶シリコン・絶縁体・多結晶シリコン(PIP)型、金属・絶縁体・金属(MIM)型、及び他の適切な容量性構造等の、様々な構造があり得る。
【0004】
当該分野では、寸法が更に小さく、装置の能力が増強され得るが、装置の外形が縮小され得るような、更に複雑で埋込可能な医療装置を作製しようとする継続的な要望がある。この目的で、埋込可能な医療装置を作製するために、様々な異なる製造技術が用いられている。
【0005】
米国特許出願公開第20060058588号、第20050160827号、第20050160826号、第20050160825号、第20050160824号、20050160823号、第20040254483号、第20040220637号、第20040215049号及び第20040193021号には、医療機器を作製するのに、微細電気機械システム(MEMS)作製等の平面加工技術を利用することが記載されている。その構造を作製するある態様に用いられ得る堆積技術として、電気鍍金、プラズマ噴霧、スパッタ、eビーム式蒸着、物理気相堆積、化学気相堆積、プラズマ増強化学気相堆積等が挙げられるが、それらに限定されない。材料除去技術として、反応性イオンエッチング、異方性化学エッチング、等方性化学エッチング、例えば、化学機械研磨、レーザ溶発、放電加工(EDM)等による平坦化等が挙げられるが、これらに限定されない。リソグラフィー所定動作にも関心がある。
【0006】
周知の種類の材料堆積の所定動作は、陰極アーク蒸着である。イオンビーム蒸着の一形態である陰極アーク蒸着では、電弧が陰極と陽極との間に生成され、その陽極が、陰極由来のイオンを陰極から解放させることにより、イオンビームが生成される。次に、結果として得られるイオンビーム、即ち、陰極材料イオンのプラズマが、基板(即ち、その上に構造が作製される材料)の表面に接触し、陰極材料で、ある実施形態では、基板が存在する雰囲気から得られる元素で構成される構造が、基板表面上に堆積される。様々な陰極アーク蒸着の所定動作及びシステムを記載する、数多くの特許及び公表された出願を利用することができる。そのような公表文書として、米国特許第6,929,727号、第6,821,399号、第6,770,178号、第6,702,931号、第6,663,755号、第6,645,354号、第6,608,432号、第6,602,390号、第6,548,817号、第6,465,793号、第6,465,780号、第6,436,254号、6,409,898号、第6,331,332号、第6,319,369号、第6,261,421号、第6,224,726号、第6,036,828号、第6,031,239号、第6,027,619号、第6,026,763号、第6,009,829号、第5,972,185号、第5,932,078号、5,902,462号、第5,895,559号、第5,518,597号、第5,468,363号、第5,401,543号、第5,317,235号、第5,282,944号、第5,279,723号、第5,269,896号、第5,126,030号、第4,936,960号、並びに、米国特許出願公開第20050249983号、第20050189218号、第20050181238号、第20040168637号、第20040103845号、第20040055538号、第20040026242号、第20030209424号、第20020144893号、第20020140334号及び20020139662号が挙げられる。
【0007】
陰極アーク蒸着の所定動作は知られているが、本出願の発明者の知る限り、そのような所定動作は、現在まで、動翼等のような大型産業用部品上に被膜を作製する等の、医療機器ではない用途、及び宝飾品の製造のみに利用されている。
【0008】
医療装置設計及び作製にMEMS所定動作等の平面加工の所定動作を用いることにより、十分な進歩がなされているにもかかわらず、複雑さが更に増し、寸法仕様が更に縮小され、埋込可能な医療装置を作製するのに用いられ得る、新たな製造技術を開発しようとする継続的な要求がある。特に関心があるのは、複雑な3次元構造を含む様々な異なる構造で、所望の形態、例えば、応力のない厚い層、多孔質層、及び、細密褶曲を有する層で堆積材料の組成を作り出すのに用いられ得る、所定動作を確認することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/0058588号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、半導体基板上にコンデンサを形成するのに用いられる従来技術で要求されるのは、コンデンサに割り当てられる基板領域が、他の電気素子の形成に対応するのに最適に利用され得ないことである。従って、半導体基板上にコンデンサ素子を形成する改良技術を提供しようとする未解決の要求がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的及び本発明に照合して明らかになる他の目的を達成するために、固体薄膜コンデンサが提供される。固体薄膜コンデンサの態様として、遷移金属の第1電極層と遷移金属の酸化物の絶縁層と金属酸化物の第2電極層とで構成される多層構造が挙げられる。固体薄膜コンデンサ、並びに、前記コンデンサを含む装置を作製する方法も提供される。本発明は、更に、応力がない厚い金属構造体で形成される容量性構造を半導体基板上に、アスペクト比が高い基板位置内にも作製するのを可能にする。更に、本発明の代わりの実施形態では、多孔質金属構造体と、その表面上に細密褶曲が表れる金属層とを作製することができる。そのように、本発明により、以前は可能ではなかった半導体装置を設計することができ、従って、装置の全寸法を縮小しつつ、電子装置の機能性を十分に改良することができる。
【0012】
本発明の代わりの態様として、陰極アークにより作製される1つ以上の構造、即ち、陰極アーク蒸着プロセスを利用して作製される構造を有するコンデンサが挙げられる。それらの構造は、応力がない厚い金属構造体、多孔質層、及び、細密褶曲が表れる層であり得る。本発明の実施形態として、陰極アーク蒸着プロセスを利用して、同様に、化学気相堆積により及び/又はスパッタ堆積によりコンデンサを作製する方法が挙げられる。
【0013】
本明細書で述べられる全ての公表文書は、前記方法及び/又は材料に関して引用され、その方法及び材料を開示、記載するために、参照として本明細書に組み込まれている。この明細書で述べられる全ての公表文書は、特許、特許出願は、参照としてそのまま、及び、全ての目的のために、各々の個別の公表文書、特許、又は特許出願が参照として組み込まれるように具体的に及び個別に示されるのと同じ程度に、本明細書に組み込まれている。
【0014】
そのような組み込みとして、2007年6月21日に出願された「陰極アーク蒸着により作製される金属2元及び3元化合物」と題するPCT出願整理番号第PCT/US2007/014505号、2007年6月21日に出願された「陰極アークで生成された構造を含む埋込可能な医療装置」と題するPCT出願整理番号第PCT/US2007/014509号、2006年6月21日に出願された「陰極アークで生成された構造を含む埋込可能な医療装置」と題する米国仮出願整理番号第60/805,464号、2006年6月22日に出願された「陰極アーク蒸着で密閉封止された埋込可能な構造体」と題する米国仮出願整理番号第60/805,578号、2006年6月22日に出願された「陰極アークで生成された構造体を含む埋込可能な医療装置」と題する米国仮出願整理番号第60/805,576号、2006年6月22日に出願された「陰極アーク蒸着により作製される腐食しない金属化合物」と題する米国仮出願整理番号第60/805,581号、2006年10月25日に出願された「陰極アークで生成された微細線アンテナを含む医療装置」と題する米国仮出願整理番号第60/862,928号、2007年2月8日に出願された「陰極アーク蒸着により作製された金属2元及び3元化合物」と題する米国仮出願整理番号第60/888,908号、2007年2月16日に出願された「陰極アーク蒸着により作製された金属2元及び3元化合物」と題する米国仮出願整理番号第60/890,306号、及び、2007年5月10日に出願された「陰極アーク蒸着により作製された金属2元及び3元化合物」と題する米国仮出願整理番号第60/917,297号が挙げられる。
【0015】
更に、そのような組み込まれる公表文書として、米国特許第6,929,727号、第6,821,399号、第6,770,178号、第6,702,931号、第6,663,755号、第6,645,354号、第6,608,432号、第6,602,390号、第6,548,817号、第6,465,793号、第6,465,780号、第6,436,254号、第6,409,898号、第6,331,332号、第6,319,369号、第6,261,421号、第6,224,726号、第6,036,828号、第6,031,239号、第6,027,619号、第6,026,763号、第6,009,829号,第5,972,185号、第5,932,078号、第5,902,462号、第5,895,559号、第5,518,597号、第5,468,363号、第5,401,543号、第5,317,235号、第5,282,944号、第5,279,723号、第5,269,896号、第5,126,030号、第4,936,960号、並びに、米国特許出願公開第20050249983号、第20050189218号、第20050181238号、第20040168637号、第20040103845号、第20040055538号、第20040026242号、第20030209424号、20020144893号、第20020140334号及び第20020139662号が挙げられる。
【0016】
本明細書で考察される又は述べられる公表文書は、本発明の出願日前にそれらを開示するためにのみ与えられる。本明細書では、先行発明により、そのような公表文書に先立つ権利が本発明に与えられないことを承認するものとして解釈されるべきではない。更に、本明細書で与えられる公表文書の日付は、実際の公表日と異なる場合があり、個別に確認する必要があり得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態による陰極アークプラズマ源の概略図である。
【図2】本発明の実施形態に従って陰極アーク蒸着により堆積された白金層の図である。
【図3】本発明の実施形態に従って陰極アーク蒸着により堆積され、層が表面細密褶曲を表す白金層の図である。
【図4A】本発明の実施形態による、密封された集積回路の異なる3次元図である。
【図4B】本発明の実施形態による、密封された集積回路の異なる3次元図である。
【図5】本発明の実施形態による多孔質カソード下地層を有する電池の実施形態を示す図である。
【図6A】本発明の代わりの実施形態による多重密封集積回路を有し、陰極アークで生成された導電性給電貫通穴が存在する、組立部品の異なる断面図である。
【図6B】本発明の代わりの実施形態による多重密封集積回路を有し、陰極アークで生成された導電性給電貫通穴が存在する、組立部品の異なる断面図である。
【図7A】陰極アークで生成された厚い金属構造体が、チップの片側にアンテナを形成している、ICチップの断面を示す図である。
【図7B】厚い金属が、チップの片側にアンテナを形成している、ICチップの断面を示す図である。
【図8】埋込可能な医療装置、及び、本発明の改良されたRF遠隔計測アンテナを用いる外部プログラム装置の簡略化された概略図である。
【図9】外部プログラム装置及びIPGの主要機能遠隔計測伝送ブロックの簡略化された回路ブロック図である。
【図10】外部プログラム装置及び埋込可能な医療装置の主要機能上りリンク及び下りリンク遠隔計測伝送機能の簡略化された回路ブロック図である。
【図11】一態様による固体薄膜コンデンサを示す図である。
【図12A】本発明の一態様による密封固体薄膜コンデンサを作製する方法を示す図である。
【図12B】本発明の一態様による密封固体薄膜コンデンサを作製する方法を示す図である。
【図12C】本発明の一態様による密封固体薄膜コンデンサを作製する方法を示す図である。
【図12D】本発明の一態様による密封固体薄膜コンデンサを作製する方法を示す図である。
【図12E】本発明の一態様による密封固体薄膜コンデンサを作製する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
固体薄膜コンデンサが提供される。固体薄膜コンデンサの態様として、遷移金属の第1電極層と遷移金属の酸化物の絶縁層と金属酸化物の第2電極層とで構成される多層構造が挙げられる。固体薄膜コンデンサ、並びに、前記コンデンサを含む装置を作製する方法も提供される。用語「固体」は、本明細書で用いられる場合、機械的回路又は真空管回路ではなく、半導体を利用する装置又は回路を指す。従って、固体コンデンサは、移動部分があり得ず、従って、機械的動作がない。幾つかの事例では、固体コンデンサは、コンデンサを通り抜ける電流が、真空又は真空管を通って流れずに、一方の電極から他方の電極へ流れるように設定される。
【0019】
本発明の様々な態様の更なる記載では、半導体回路及び半導体回路を含む装置の構造体の設計及び製造方法、並びに、前記構造体の利用が示される。本発明の固体薄膜コンデンサを利用する様々な用途が考察される。次に、固体薄膜コンデンサが、より詳細に更に検討される。固体薄膜コンデンサを作製する方法が検討される。
【0020】
本発明の方法は、半導体装置設計者及び製造者に、容量性回路素子を作製するのに重要な新たな手段を提供する。本発明の所定動作及びシステムを利用して、半導体装置製造者は、今まで他の回路素子の近くに作製することができなかった薄膜コンデンサを作製することができる。本発明の更なる記載では、最初に、陰極アークで生成される構造を含む半導体装置の実施形態が検討され、続いて、その構造及びシステムを作製する陰極アーク蒸着方法が検討され、その構造及びシステムは、前記方法を実施する際に利用されるように設定される。
【0021】
陰極アークで生成された構造を有する埋込可能な医療装置
上に要約されたように、本発明は、陰極アークで生成される容量性構造を含む埋込可能な医療装置等の半導体装置を提供する。埋込可能な医療装置とは、生体上又は生体内に配置されるように設定される装置を意味し、ある実施形態では、埋込可能な医療装置は、生体内に埋め込まれるように設定される。埋込可能な装置のある態様は、体内に見られる高濃度の塩、高湿度の環境を含む生理環境中で、2日以上にわたり、例えば、約1週間以上、約4週間以上、約6ヶ月以上、約1年以上、例えば、約5年以上にわたり、機能性を維持するように設定される。ある実施形態では、埋込可能な装置は、生理部位に埋め込まれた場合、約1年〜約80年の範囲又はそれ以上、例えば、約5〜約70年又はそれ以上の期間にわたり、約10〜約50年の範囲又はそれ以上の期間にわたり、機能性を維持するように設定される。本発明の埋込可能な医療装置の寸法は、変化してもよい。しかしながら、埋込可能な医療装置は埋め込むことができるので、本装置のある態様の寸法は、その装置を成人のヒトの中に配置することができない程には大きくない。例えば、埋込可能な医療装置は、ヒトの血管内に適合するように寸法が定められ得る。
【0022】
本発明の埋込可能な医療装置の機能は、幅広く変化してもよく、心臓用装置、薬物送達装置、分析物検出装置、神経刺激装置等を含むが、これらに限定されない。そのように、埋込可能な医療装置として、埋込可能な心臓用ペースメーカー、埋込可能な除細動器、ペースメーカー除細動器、薬物送達ポンプ、心筋刺激装置、心臓監視装置又は他の生理監視装置、神経及び筋肉刺激装置、脳深部刺激装置、人工内耳、人工心臓等が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の様々な種類の埋込可能な医療機器の説明上の実施形態が、より詳しく以下に検討される。
【0023】
上記に要約されたように、本発明の埋込可能な医療装置として、陰極アーク蒸着プロセスにより作製される1つ以上の構造が挙げられる。図1には、陰極アークプラズマ蒸着システムの実施例が示される。イオンビーム蒸着の一形態である陰極アークプラズマ蒸着では、電弧が陰極100と陽極102との間に生成され、前記陽極が、陰極100由来のイオンをその陰極から解放させることにより、イオンビーム104又はプラズマビーム104が生成される。次に、結果として得られるイオンビーム104、即ち、陰極材料イオンのプラズマは、基板108(即ち、その上に構造が作製される材料)の表面に接触し、陰極材料で、ある実施形態では、基板108が存在する雰囲気から得られる元素で構成される構造110が、基板表面106上に堆積される。例えば、図1を参照する。要望に応じて、例えば、産物構造体が、陰極材料及び(炭素、窒素等のような)1つ以上の追加の元素の化合物である場合、関心のあるその1つ以上の追加の元素用の供給源ガスを導入するために、ガス吸入口112が与えられ得る。図1では、中性の巨大粒子114も示され、それらの粒子は、要望に応じて、堆積前にプラズマから選別されても、されなくてもよい。
【0024】
陰極アークで作製される本発明の構造体は、ある態様では、応力がない厚い金属構造体である。ある態様では、構造体の厚さが、約0.01μm〜約500μm、例えば、約0.1μm〜約150μmの範囲である。ある態様では、構造が、約1μm以上の厚さであり、例えば、約25μm以上の厚さであり、約50μm以上の厚さを含む。その厚さは、約75,85,95,100μm又はそれ以上の程度の大きさであってもよい。ある態様では、構造の厚さは、約1〜約200μm、例えば、約10〜約100μmの範囲である。
【0025】
陰極アークで作製される構造は、ある態様では、応力がない。「応力がない」とは、構造に、その構造の機能性を弱めることになる欠陥がないことを意味する。そのように、「応力がない」ことは、構造が堆積される基板108からその構造を剥がす、例えば、離層することになる応力と比較して、応力が低いことを意味する。従って、それらの構造には、亀裂、間隙、穴、又は他の欠陥、特に、構造の機能、例えば、装置の内部体積を密閉し、導電素子の役割をする構造体の能力を弱めることになる欠陥がない。図2は、本発明の別の態様に従って作製される応力がない白金層の図を与える。
【0026】
更に他の態様では、構造は、表面細密褶曲を表す層である。表面細密褶曲とは、刻み目又は裂け目により分離された一連の突起を意味する。ある態様では、所与の突起範囲の頂部から計測される所与の刻み目の深さが、約0.1μ〜約1000μm、例えば、約1μm〜約10μmの範囲である。図3は、本発明の別の態様により作製される表面細密褶曲を表す、10μmの厚さの白金層の図を与える。更に他の態様では、陰極アーク構造体は、多孔質構造体である。
【0027】
上記のように、構造体は、ある態様では、金属構造体である。ある態様では、金属構造体は、生理適合性金属を含む構造体である。関心のある生理適合性金属として、金(Au)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、オスミウム(As)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)バナジウム(V)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、イリジウム(Ir)、タリウム(Tl)、タンタル(Ta)等が挙げられるが、これらに限定されない。ある態様では、金属構造体は、単一金属の純粋な金属構造体である。更に他の態様では、金属構造体は、金属と、1つ以上の追加の元素、例えば、上に列挙された金属又は他の金属、例えば、クロム(Cr)、タングステン(W)等との合金であってもよい。更に他の態様では、構造体は、金属と追加の元素との化合物であってもよく、関心のある化合物として、炭化物、酸化物、窒化物等が挙げられ得るが、これらに限定されない。関心のある化合物の例として、2元化合物、例えば、Ptlr、PtTi、TiW等、並びに、3元化合物、例えば、炭窒化物等が挙げられる。
【0028】
ある態様では、非金属構造体が望まれる。例えば、ある態様では、層は、ダイヤモンド状炭素等の炭素である。本発明の方法のこれらの用途では、本方法に用いられる陰極金属は、黒鉛である。ある態様では、ダイヤモンド状炭素層は、1つ以上の追加の元素、例えば、窒素、金、白金等を加え得る。そのような構造の用途は様々であり、例えば、医療用埋込材のための被膜である。
【0029】
ある態様では、作製される構造体は、一方の元素の他方の元素に対する勾配を含んでもよく、例えば、第2元素の量が第1表面から第2表面に向けて増加する、金属層である。陰極アークで作製される構造を構成し得る追加の材料は、2007年6月21日に出願された「陰極アーク蒸着により作製される金属2元及び3元化合物」と題する同時係属のPCT出願整理番号第PCT/US2007/014505号(弁理士整理番号第PRTS−048W02号)に記載され、その開示内容は、本明細書に参照として組み込まれている。
【0030】
金属構造体が陰極アークで堆積される基板108は、様々な異なる材料で構成され、様々な異なる構造を有し得る。堆積が生じる基板108の表面は、平面であっても、平面でなくてもよく、例えば、様々な穴、溝等があってもよい。基板108は、任意の数の異なる材料、例えば、シリコン(例えば、単一結晶、多結晶、非結晶等)、二酸化シリコン(ガラス)、セラミックス、炭化シリコン、アルミナ、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化硼素、酸化ベリリウム、中でも、ダイヤモンド様炭素、焼結材料等で構成され得る。基板108は、導電材料と半導電材料(Ge等)との複合物であってもよく、高濃度でドープされた及び/又は加熱された半導体シリコン、例えば、1つ以上の導電素子が半導電又は非導電性の支持体上に存在する、以下に記載されるような回路層を含む。
【0031】
陰極アークで作製される、本対象の埋込可能な医療装置の構造体は、様々な異なる構造を有し、それらの構造が見られる埋込可能な医療装置の、様々な異なる機能を満たし得る。例えば、本発明の方法のある用途では、陰極アークで作製される構造体は、埋込可能な医療装置の部品の表面の少なくとも一部分を覆う層である。これらの態様では、層は、層の機能に応じて、表面の一部分のみを覆ってもよく、表面の全体を覆ってもよい。層には、数多くの目的があり得る。本発明の方法の他の用途では、陰極アークで作製される構造体は、層構造体でなく、例えば、給電貫通穴、識別子、アンテナ等であり、その非層構造体にも、数多くの機能があり得る。各々の層構造体及び非層構造体は、ここで、より詳細に検討される。
【0032】
層構造を有する構造体
直前に要約されたように、本発明の方法のある用途では、陰極アークで作製される構造体は、層構造体であり、層構造体とは、層構造を有し、従って、それらの長さと幅が、高さよりも十分に、例えば、5倍以上、例えば、50倍以上大きく、100倍以上を含むことを意味する。層構造体の目的に応じて、層は、様々な異なる構造を有し得る。
【0033】
密閉層
ある態様では、1つ以上の層構造体が、装置外部環境から、装置の内部容積を密閉する役割をする。そのような密閉層は、装置の単一表面上に、又は装置の1を超える表面上に存在し得る。例えば、密閉層は、装置のあらゆる表面に存在し得る。ある態様では、陰極アーク蒸着構造は、「埋込可能な密封構造体」と題し、WO2006/069323として公表されたPCT/US2005/046815、及び、2007年4月12日に出願された「空隙のない埋込可能な密封構造体」と題するPCT/US2007/09270で記載される密閉層であり、その開示内容は、本明細書に参照として組み込まれている。それらの層は、装置全体を包み込み、例えば、その装置全体を、即ち、装置の全表面を取り囲む密閉層を与えてもよく、2007年4月12日に出願され、その開示内容が本発明に参照として組み込まれている、「空隙のない埋込可能な密封構造体」と題するPCT出願整理番号第PCT/US2007/09270号に記載されるように、装置の一部分を包み込んでもよい。
【0034】
陰極アークで作製された層を含む埋込可能な医療装置の実施例は、図4A及び4Bに与えられる。図4Aは、本発明の態様による密封構造体の3次元図を与える。図4Aでは、構造体400が、保持体402と密閉層404とを含み、密閉層404は、陰極アーク蒸着により堆積されている。密閉層404と保持体402とは、保持体内に密封容積(図示せず)を確定するように設定される。外部接続素子406、408、410、412、414及び416も示され、それらの素子は、保持体の底にある導電性給電貫通穴(図示されず)に結合される。
【0035】
図4Bは、本発明の態様による密封構造体の3次元切り抜き図を与える。図4Bでは、保持体402及び密閉層404は、(例えば、集積回路を含む)作動体420を保持する密封容積418を確定する。作動体420は、はんだ合金(例えば、鉛錫、金錫、銀錫、又は他の適切な合金)422を有する導電性(例えば、白金)給電貫通穴又は層間導通穴406に電気的に結合する。
【0036】
ある態様では、作動体と保持体及び/又は密閉層の壁との間のいずれかの空間が、絶縁材料により占有され得る。いずれかの便利な絶縁材料が用いられてもよく、代表的な絶縁材料として、液体、例えば、シリコンオイル、エラストマー類、熱硬化性樹脂、熱硬化性プラスチック、エポキシ、シリコーン、液晶ポリマー類、ポリアミド類、ポリイミド類、ベンゾシクロブテン、セラミック糊等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
本発明の態様により作製され得る密閉層の追加の実施例は、公表されたPCT出願整理番号第WO2006/069323号、及び、2007年4月12日に出願された「空隙のない埋込可能な密封構造体」と題する係属中のPCT出願第PCT/US2007/09270号に与えられ、それらの開示内容は、本明細書に参照として組み込まれている。
【0038】
図2は、本発明の実施形態に従って、陰極アーク蒸着により堆積された白金層200の図である。図3は、本発明の実施形態に従って、陰極アーク蒸着により堆積され、表面細密褶曲300を表す、白金層200の図を与える。
【0039】
細密褶曲層
上記に要約されたように、陰極アーク蒸着構造体は、細密褶曲層であってもよく、図3に見られるように細密褶曲表面300を表す。そのような層は、様々な異なる用途に利用される。例えば、埋込材上に細密褶曲表面を与えることは、骨結合が望まれる用途に利用される。細密褶曲層は、堆積金属(例えば、Pt)と金属化合物(例えば、TiO2)の両方の中に作製することができる。細密褶曲層は、様々な骨埋込装置上に堆積することができる。埋込装置は、金属埋込材であっても、高分子、例えば、PEEK及びPEKK埋込材であってもよい。関心のある骨埋込装置として、股関節埋込材、骨接合ねじ、歯科用埋込材、板、保持棒等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
要望に応じて、細密褶曲は、例えば、骨の成長を補助し、細菌の繁殖を遅らせるための活性薬剤で充填することができる。関心のある活性薬剤として、有機高分子類、例えば、再吸収増強、血管新生、細胞移入及び増殖、鉱化作用、骨形成、溶骨細胞及び/又は骨芽細胞の増殖等のような数多くの特性を与える骨関連蛋白質類を含む、蛋白質類が挙げられるが、これらに限定されない。関心のある特定の蛋白質として、オステオネクチン、骨シアロ蛋白質類(Bsp)、α−2HS−糖蛋白質類、骨グラ蛋白質(Bgp)、基質グラ蛋白質、骨燐糖蛋白質、骨燐蛋白質、骨プロテオグリカン、蛋白脂質、骨形態形成蛋白質、軟骨誘導因子、血小板由来成長因子、骨格成長因子等が挙げられ、粒子状の増量剤として、無機水溶塩類、例えば、NaCl、硫酸カルシウムが挙げられ、糖類として、例えば、蔗糖、果糖及びブドウ糖が挙げられ、医薬活性薬剤として、例えば、抗生物質(ゲンタマイシン)が挙げられ、その他同様のものが挙げられる。
【0041】
褶曲層300には、骨埋込装置以外の装置上も活性薬剤を蓄積するものとしても関心がある。例えば、ある医療用途では、活性薬剤で覆われたステントに関心がある。そのような装置は、層の刻み目又は裂け目が、関心のある活性薬剤を蓄積又は貯蔵する役割をする、本発明の細密褶曲層を含んでもよく、その細密褶曲は、例えば、加圧下で、表面に溶液中の薬剤をしみ込ませることにより充填することができる。関心のある活性薬剤として、(a)ヘパリン、ヘパリン誘導体類、ウロキナーゼ、及びPPack(デキストロフェニルアラニン・プロリン・アルギニン・クロロメチルケトン)等の抗血栓剤、(b)デキサメタゾン、プレドニゾロン、コルチコステロン、ブデソニド、エストロゲン、スルファサラジン、及びメサラミン等の抗炎症剤、(c)パクリタキセル、5−フルオロウラシル、シスプラチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、エポチロン類、エンドスタチン、アンギオスタチン、アンギオペプチン、平滑筋細胞の増殖を阻止する能力があるモノクローナル抗体類、チミジンキナーゼ抑制剤等の抗悪性腫瘍剤/抗増殖剤/抗有糸分裂剤、(d)リドカイン、ブピバカイン及びロピバカイン等の麻酔剤、(e)D−フェニルアラニル−プロリル−アルギニン・クロロメチルケトン、RGDペプチドを含む化合物、ヘパリン、ヒルジン、抗トロンビン化合物、血小板受容体拮抗薬、抗血栓抗体、抗血小板受容体抗体、アスピリン、プロスタグランジン阻害剤、血小板抑制剤及びマダニ抗血小板ペプチド等の抗凝血剤、(f)成長因子、転写活性化因子、及び翻訳促進剤等の血管細胞成長促進剤、(g)成長因子抑制剤、成長因子受容体拮抗薬、転写抑制因子、翻訳抑制因子、複製阻害剤、阻害抗体、成長因子に対する抗体、成長因子及び細胞毒で構成される二機能性分子、抗体及び細胞毒で構成される二機能性分子等の血管細胞成長抑制剤、(h)蛋白質キナーゼ阻害薬及びチロシンキナーゼ阻害薬(例えば、チルホスチン類、ゲニステイン、キノキサリン類)、(i)プロスタサイクリン類似体、(j)コレステロール低下薬、(k)アンギオポエチン類、(l)トリクロサン、セファロスポリン類、アミノグリコシド類及びニトロフラントイン等の抗菌剤、(m)細胞毒薬物、細胞増殖抑制剤及び細胞増殖影響因子、(n)血管拡張薬、(o)内因性血管活性機構に干渉する薬剤、(p)モノクローナル抗体類等の白血球動員の抑制剤、(q)サイトカイン類、及び(r)ホルモンが挙げられるが、これらに限定されない。ある態様では、抗炎症剤、例えば、デキサメタゾン等のような糖質コルチコステロイド類に関心がある。
【0042】
多孔質層
陰極アークで堆積された多孔質層にも関心がある。陰極アークで堆積された多孔質層は、様々な異なる医療装置部品に利用され、例えば、電極、埋込材被膜等であるが、これらに限定されない。陰極アークで作製される多孔質層が利用される対象の、関心のある1種類の部品は、高表面領域電極部品であり、そのような部品は、様々な異なる埋込可能な装置に、例えば、作動体(センサ又は刺激装置)として、電源部品等として利用される。
【0043】
本発明の発明電池の態様として、高表面領域カソードを有する構造が挙げられる。高表面領域カソードとは、表面領域が、電池内でカソードにより覆われる固体支持体の表面領域の約2倍以上である、例えば、約10倍以上であるカソードを意味する。ある態様では、電極の活性領域は、表面領域が、電極の基本的な幾何学形状に由来する同位の表面領域の103倍以上、例えば、107倍以上又は109倍以上である。ある態様では、カソードの表面領域は、約0.01mm2〜約100mm2の範囲であり、例えば、約0.1mm2〜約50mm2であり、約1mm2〜約10mm2を含む。ある態様では、高表面領域カソードは、カソードが、多孔質下地層上にある活性陰極材料で構成されることにより得られる。加えて、電池は、固体支持体の表面上にあるアノードを含む。
【0044】
特定の態様に応じて、カソードとアノードとは、同じ支持体上にあっても、異なる支持体上にあってもよく、例えば、2つ以上の異なる支持体は、互いに結合されて、例えば「フリップチップ」の態様で存在するような、電池構造体を作り出す。同様に、所与の電池中のカソード及びアノードの数は、態様に応じて変化し得る。例えば、所与の態様として、1つのアノードとカソードとを有する単一の電池、複数のアノード及び/又はカソードを有する単一の電池、又は、各々が1つ以上のカソード及び/又はアノードで構成される2つ以上の異なる電池が挙げられる。関心のある電池構造として、2007年2月14日に出願された「高表面領域カソードを有する薬剤情報システム電源」と題する出願整理番号第60/889,870号に記載され、その開示内容が本明細書に参照として組み込まれている、構造が挙げられるが、これらに限定されない。図5は、本発明の態様による電池の概略図を与える。図5に示される電池500は、上面504を有する固体支持体502を含む。上面504上には、カソード506及びアノード508がある。カソード506は、多孔質下地層510と活性陰極材料512とを含む。それらの素子の各々は、ここでは、より詳しく以下に記載される。図示される態様は、カソードが多孔質下地層を含むが、ある態様では、アノードが、多孔質下地層を含むのに対し、他の態様では、カソードとアノードとの両方が、多孔質下地層を有する。
【0045】
多孔質下地層510は、活性陰極材料512を機械的に支え、陰極材料と素子、例えば、固体支持体502上に存在する回路との間に、電流経路を与える層である(より詳しく以下に記載される)。多孔質下地層は、導電材料、例えば、銅、チタン、アルミニウム、黒鉛等のような様々な異なる材料から作製され得る。それらの材料は、純粋な材料であっても、合金等に見られるように2つ以上の元素で構成される材料であってもよい。下地層の厚さは、変化してもよく、ある態様では、厚さが、約0.01μm〜約100μm、例えば、約0.05μm〜約50μmであり、約0.01μm〜約10μmを含む範囲である。固体支持体の表面上の長さ及び幅に対する多孔質下地層の寸法は、要望に応じて、活性陰極材料の同寸法と同一の空間に広がっても、そうでなくてもよい。
【0046】
上記に要約されたように、カソード下地層は、粗くてもよく、多孔質であってもよい。下地層の多孔性又は粗さは、カソードに所望の表面領域を与える限り、変化してもよい。ある態様では、カソード下地層の多孔質性又は粗さは、多孔質下地層がない同等のカソードから得られる領域の約1.5倍以上〜約1000倍以上に、例えば、約2〜約100倍又はそれ以上に、例えば、約2〜約10倍又はそれ以上に有効表面領域を拡大するように選択される。表面領域の拡大は、粗い又は多孔質の電極の電気化学容量又は周期性ボルタモグラムを同じ材料の滑らかな電極のそれと比較することにより、判定することができる。粗さは、例えば、原子間力顕微鏡(AFM)、電子顕微鏡、又はブルナウアー・エメット・テラー(BET)分析等の他の技術によっても判定され得る。
【0047】
本発明によれば、所望の多孔質カソード下地層を作製するために、陰極アーク蒸着の所定動作を用いる。そのような所定動作では、陰極アークで生成される金属イオンプラズマが、例えば、上記のような多孔質カソード下地層の所望の構造体を作製するのに十分な条件下で、基板108、例えば、表面502と接触する。金属イオンの陰極アークで生成されるイオンプラズマビーム104は、何れかの便利な所定動作を利用して生成され得る。以下に記載されるように、陰極アーク所定動作によりイオンビームを生成する際に、陰極材料イオンのイオンビームが生成されるように、十分な出力の電弧が、陰極と1つ以上の陽極との間に生成される。結果として得られるビームは、イオンが基板表面106に接触し、陰極材料を含む基板表面106上に構造体を作り出すように、基板108の少なくとも1つの表面に向けられる。
【0048】
多孔質カソード(又は、アノード)下地層の頂部には、活性カソード(又は、アノード)材料がある。活性陰極材料は、様々な異なる材料を含み得る。ある態様では、陰極材料として銅が挙げられ、ある態様では、陰極材料としてのヨウ化銅(Cui)又は塩化銅に特に関心がある。要望に応じて、例えば、電池の電圧を増強するために、活性材料は、追加の元素、例えば、硫黄等を加えられてもよい。活性陰極材料は、電着、例えば、電気鍍金、又は蒸着、例えば、化学気相堆積等を含む、いずれかの便利な所定動作を利用して、多孔質下地層上に与えられてもよい。アノード材料は、様々な異なる材料を含み得る。ある態様では、アノード材料として、マグネシウム(Mg)材料又はマグネシウム合金が挙げられる。活性アノード材料は、電着、例えば、電気鍍金、又は、蒸着、例えば、化学気相堆積等のいずれかの便利な所定動作を利用して、多孔質下地層上に与えられてもよい。
【0049】
非層構造を有する構造体
ある態様では、陰極アーク蒸着構造体は、医療装置の層ではない3次元部品であり、そのような部品は、構造及び機能が幅広く変化し得る。より詳しく以下に記載される、本対象の堆積所定動作を利用して作製され得る関心のある3次元部品として、導線素子、例えば、埋込可能な医療装置内に見られる層間導通穴又は他の導電線、通信素子、例えば、アンテナ、識別部品、例えば、装置上の識別標識、指向部品、例えば、装置を撮像下に仕向けるのに用いられる表面素子、組織相互作用素子等の作動体、例えば、電極等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
層間導通穴及び類似の構造体
ある態様では、陰極アーク蒸着構造体は、前記装置の3次元導線素子である。ある態様では、導線素子は、前記装置の2つの異なる構造体を導通させる役割を果たす。ある態様では、導線素子は、層間導通穴であり、その層間導通穴は、前記装置の高アスペクト比の通路内に存在し得る。高アスペクト比の通路とは、高さ対幅の比率が約100まで又はそれ以上、例えば、約1〜約50である、通路を意味する。
【0051】
図6Aは、本発明の別の態様に従って、陰極アークで作製された導電性給電貫通穴を含む密封構造の断面図を与える。この態様では、保持体600は、2つの異なる並列した、例えば、配列形式のウェル602及び604を含み、各々のウェルは、2つの異なる作動体606及び608(例えば、集積回路)を収容する。各々のウェルは、側面610と底612とを含む。各々のウェルの底には、陰極アークで作製された導電性給電貫通穴614、616、618、及び620も示される。集積回路606及び608の配線622、624、626、及び628を導電性給電貫通穴に電気的に結合するのは、ハンダ接続630、632、634、及び636である。異なるハンダ接続を互いに分離するのは、絶縁材料638である。図示されないが、適切な絶縁材料は、作動子と支持体のウェルの側面/底との間の空間内に存在し得る。加えて、密封層は、給電貫通穴と反対の表面上に存在するが、図6Aには示されていない。図6Aの表示は、密封された2つの異なる集積回路のみを示すが、本発明の構造体は、いずれかの便利な配置内に、更に多くの集積回路、例えば、4、5、6又はそれ以上の回路を含んでもよい。パッケージ設計毎の複数のチップの一態様では、チップが、組立部品の一部分で高電圧に耐えるように作製又は設計される。同伴のチップは、第1チップよりも電圧耐性が低いが、心臓ペーシングからの高電圧に、又は、組立部品の別の部分からの他の部品要求に耐える能力を必要としないことになる。これらのチップの両方は、同じ密封パッケージ内に、例えば、同じウェル内に又は並列するウェル内に入れられ、ハンダ処理で取り付けられ、次に、絶縁材料(即ち、注封材)で適所に固定され、例えば、以下に検討されるように、平坦化又は背面をラップ仕上げされ、次に、密閉層で覆われる。
【0052】
上記の実施例は、単一の本発明の耐腐食性密封パッケージ内に2つのチップを相乗的に与えることについての指針を与えるが、これらの組立部品は、4、5、6までの又はそれ以上のチップに対処することができる。そのような大型の組立部品では、これらの組立部品が、互いの頂部に積み重ねられ、密封保護される医療装置部品に、更なる機能性を加え得るという利点もある。
【0053】
図6Bでは、構造体640は、支持体642を含み、側面644と底646が、ウェル648を定める。ウェル648内には、互いの頂部に積み重ねられた2つの異なる作動体650及び652が存在する。各々のウェルの底には、陰極アークで作製される導電性給電貫通穴654及び656も示される。集積回路650の配線658及び660を導電性給電貫通穴に電気的に結合するのは、ハンダ接続662及び664である。異なるハンダ接続を互いに分離するのは、絶縁材料666である。図示されないが、適切な絶縁材料が、作動子と支持体のウェルの側面/底との間の空間内に存在し得る。加えて、密封層は、給電貫通穴と反対の表面上に存在するが、図6Bには示されていない。
【0054】
通信素子
上記に考察されたように、関心のある陰極アークで作製される構造体は、アンテナ構造体を含む。陰極アーク蒸着プロセスの特性のために、今まで実現することができなかったアンテナ構造体を、ここで容易に作製することができる。アンテナ構造体は、直線であっても、直線でなくてもよく、所望により、2次元又は3次元構造である。
【0055】
直線ではないアンテナの一態様は、陰極アーク蒸着の所定動作により容易に作製され、図7A及び7Bに示される。図7Aは、ICチップの断面を示し、陰極アークで蒸着された厚い金属構造体は、チップの片側にアンテナを形成する。厚い金属は、支柱なしで立っている。厚い金属は、基板108によっても支えられ得る。図7Bは、厚い金属が、チップの片面又は両面にアンテナを形成する、ICチップの断面を示す。これらの図に示される厚い金属製のアンテナは、陰極アークにより、適切なマスクを利用して、支持体上にアンテナ構造体を堆積して容易に作製される。
【0056】
金属構造体が陰極アークで蒸着される基板108は、様々な異なる材料で構成され、様々な異なる構造を有し得る。蒸着が起こる基板108の表面は、平面であっても、平面でなくてもよく、例えば、様々な穴、溝等があってもよい。例えば、基板108内の穴は、上記のように、貼付層を堆積した後に給電貫通穴として現れてもよく、2006年6月22日に出願された係属米国仮出願整理番号第601,805,576号に更に考察されるようなものであり、その開示内容は、本明細書に参照として組み込まれている。基板108は、任意の数の異なる材料で構成されてよく、関心のある絶縁材料は、例えば、シリコン(例えば、単結晶、多結晶、非結晶等)、二酸化シリコン(ガラス)、セラミック、テフロン(登録商標)等があるが、これらに限定されない。
【0057】
貼付層及び基板108に加えて、本対象の微細縞状のアンテナは、接地面層も含んでよい。接地面層は、いずれかの適切な導電材料で作製されてもよく、ある態様では、アンテナが動作可能に結合される装置の一部、例えば、埋込可能な医療装置の導電性筐体であってもよい。
【0058】
ある態様では、貼付層は、例えば、体液から貼付層を保護する役割をする適切な絶縁材料から作製される保護層で覆われてもよい。ある態様では、この保護層は、例えば、米国特許第5,861,019号に記載され、その開示内容が本明細書に参照として組み込まれているような、無作為な構造体として設定されてもよい。
【0059】
方法
陰極アークで作製される構造体を含む埋込可能な医療装置を製造する方法も提供され、その方法は、陰極アーク蒸着の所定動作を利用して、構造体を作製することを含む。
【0060】
本発明の方法は、例えば、上記のような、埋込可能な医療装置の所望の構造体を作製するのに十分な条件下で、陰極アークで生成された金属イオンプラズマを基板108の表面に接触させることを含む。金属イオンの陰極アークで生成されたイオンプラズマビーム104は、いずれかの便利な所定動作を利用して生成される。陰極アークの所定動作によりイオンビームを生成する際に、陰極材料イオンのイオンビームが生成されるように、十分な出力の電弧が、陰極と1つ以上の陽極との間に生成される。結果として得られるビームは、イオンが基板表面106に接触し、陰極材料を含む基板表面106上に構造体を作り出すように、基板108の少なくとも1つの表面に向けられる。例えば、図1を参照する。陰極アーク蒸着により構造を作製するために、いずれかの便利な所定動作を用いてもよい。本発明での利用に適合し得る当該分野で周知の所定動作として、米国特許第6,929,727号、第6,821,399号、第6,770,178号、第6,702,931号、第6,663,755号、第6,645,354号、第6,608,432号、第6,602,390号、第6,548,817号、第6,465,793号、第6,465,780号、第6,436,254号、第6,409,898号、第6,331,332号、第6,319,369号、第6,261,421号、第6,224,726号、第6,036,828号、第6,031,239号、第6,027,619号、第6,026,763号、第6,009,829号,第5,972,185号、第5,932,078号、第5,902,462号、第5,895,559号、第5,518,597号、第5,468,363号、第5,401,543号、第5,317,235号、第5,282,944号、第5,279,723号、第5,269,896号、第5,126,030号、第4,936,960号、並びに、米国特許出願公開第20050249983号、第20050189218号、第20050181238号、第20040168637号、第20040103845号、第20040055538号、第20040026242号、第20030209424号、第20020144893号、第20020140334号及び第20020139662号に記載されるものが挙げられ得るが、これらに限定されず、これらの開示内容は、本明細書に参照して組み込まれている。ある態様では、例えば、その開示内容が本明細書に参照により組み込まれる、「空隙のない埋込可能な密封構造体」と題して2007年4月12日に出願されたPCT出願整理番号第PCT12007/09270に記載されているように、例えば、陰極アークにより蒸着される材料の層内に基板108を包むように、基板108のすべての表面がプラズマに接触してもよい。
【0061】
ある態様では、用いられる陰極アーク蒸着の所定動作は、例えば、上記のような、基板108の表面上に、応力がない厚い金属構造体を作製するものである。そのように、本方法は、基板108の表面上に、厚さが約1μm以上である、例えば、厚さが約25μm以上であり、厚さが約50μm以上であり、厚さが約75、85、95又は100μm又はそれ以上の大きさであり得る、欠陥がない金属層を作製する方法である。
【0062】
本発明によれば、基板表面106上への陰極アーク蒸着により、基板表面106上に材料層を堆積するための改良された方法が提供される。ある態様では、基板108は、変形又は力に曝されており、そのような変形又は力に曝されていない基板108上への蒸着により作製される同位の層と比較して、特性が十分に改良された層を作製する。
【0063】
本発明による応力工学の方法は、例えば、シリコン基板108上への、成長応力が大きく且つ圧縮性である、陰極アーク金属膜又はスパッタ金属膜の形成のような、多岐にわたる材料作製用途にも有効に用いられる。金属膜の熱膨張係数は、Si基板材料の熱膨張係数よりも大きいので、室温でのその膜内の応力は、高温で堆積することにより縮小することができる。高い堆積温度では、その膜は尚も圧縮性であるが、基板108上で冷却されるにつれて、その膜は、応力がない状態に近づく。しかしながら、そのような高温での膜形成条件は、基板108上にある集積回路(IC)装置の他の層に害を及ぼし得る。本発明によれば、スパッタ金属層から開放されるのに必要とされるような一定量の圧縮歪みを基板108の頂面に与えるように、例えば、圧迫要素を用いることでスパッタ堆積中に基板108を圧迫し、次に、堆積後にその圧迫を解放することにより、同じようなほぼ応力がない状態を得ることができる。
【0064】
本発明の方法は、反対に、成長応力はほとんどないが、堆積又は他の高温処理の制約のために高温で堆積されなければならない層を作製することに適用することもできる。そのような事例では、熱膨張不整合歪みが、本発明の実施によって、堆積温度で基板108を加熱することにより相殺され得る。この方法では、堆積中の歪みは、ほとんどないか又は全くなく、歪みは、冷却中に生成されるが、次に、その歪みは、ウェーハの圧迫を取り除くことにより解放される。
【0065】
ある態様では、本対象の方法でのプラズマと基板108表面との接触は、堆積金属構造体が被る圧縮力及び引張力が互いに実質的に相殺され、堆積された金属構造体に歪みがないように起こる。これらの態様では、基板108と陰極との間の距離、基板108の温度、及び、プラズマを生成するのに用いられる出力を含む、堆積プロセスの様々なパラメータは、産物金属層に歪みがないように選択される。これらの態様では、基板108と陰極との間の距離は、約1mm〜約0.5mの範囲である。プラズマ生成に用いられる出力は、約1ワット〜約1キロワット又はそれ以上、例えば、約5キロワット以上の範囲である。
【0066】
ある態様では、プラズマビーム104は、構造が作製される基板表面106の平面に実質的に直交する方向で基板表面106に接触する。「実質的に直交する」とは、イオンビームが基板平面に接触する際のイオンビーム流の角度が、ある態様でそのイオンビーム流が基板表面106の平面の法線方向にあるような直交を含めて、直交から±15°、例えば、±10°、±5°であることを意味する。
【0067】
そのように、方法の態様は、産物層に歪み(例えば、圧縮力又は伸張力)が蓄積するのを妨げる又は促す印加力条件を基板108全体にわたって与えるように、層を形成する間に最適な加熱又は冷却(又は、圧縮力)を基板108に施すことにより、層材料の特性が歪みに依存する医療用埋込材の中に利用される歪みがない膜又は層を堆積する方法を含む。本発明の方法は、相互接続として利用される白金、イリジウム及びチタン、酸化イリジウム及び窒化チタン電極、並びに、生体医療装置の密閉化に用いられる様々な絶縁膜等の、比較的厚い(100ミクロンまでの)生体融合性金属に特に重要である。
【0068】
この方法は、反対に、成長歪みが引張性である層を作製するのに適用することもできる。この事例では、熱膨張不整合歪みは、本発明の実施によって、堆積温度で基板108を加熱することにより相殺され得る。この方法では、堆積中の歪みは、ほとんどないか又は全くなく、歪みは、冷却中に生成されるが、次に、その歪みは、ウェーハの圧迫を取り除くことにより解放される。
【0069】
ある態様では、基板表面106は、その基板表面に、基板108と熱膨張係数が異なる材料で形成される部材を固定しており、膜形成材料の産物膜を形成することは、基板108と前記基板に固定される部材とを加熱及び/又は冷却することを含む。
【0070】
特定の態様に応じて、基板表面106は、滑らかであっても、不規則なものであってもよく、基板表面106は、不規則なものである場合、堆積材料で充填されることになる穴又は溝又は類似の構造を有し得る。本発明の方法のある態様では、堆積条件(例えば、ガス構成、出力)は、多孔質被膜を産出するように選択され得る。例えば、反応ガスの圧力は、最終産物中に所望の多孔性を設けるように選択され得る。例えば、N2が反応ガスである場合、白金、金、ルテニウム、イリジウム及びモリブデン等の多くの金属の多孔質構造体を作製するために、約0.01〜760torr、例えば、0.1〜100torrの範囲である圧力が用いられる。CΣHβが反応ガスである場合、白金、金、ルテニウム、イリジウム及びモリブデン等の多くの金属の多孔質構造体を作製するために、約0.01〜760torr、例えば、0.1〜100torrの範囲である圧力が用いられる。関心のある堆積条件に関する更なる詳細は、本明細書と同日付で出願された「陰極アーク蒸着により作製される金属2元及び3元化合物」と題する係属中のPCT出願整理番号第PCT/US2007/に与えられ、その開示内容は、本発明に参照として組み込まれている。ある態様では、1つ以上のマスクが、陰極アーク蒸着の所定動作に関連して用いられ得る。そのようなマスクは、堆積構造体の所望の形状を備え得る。光リソグラフィー処理の所定動作等に用いられる従来のマスクのような、いずれかの便利なマスクが用いられてもよい。上記のように、本対象の方法により堆積される構造体は、様々な異なる構造を有してもよく、堆積構造の意図される機能に応じて、層、導線であってもよく、3次元構造等を有してもよい。
【0071】
堆積構造体の組成は、陰極材料及びプラズマ生成雰囲気の選択に基づいて選択され得る。そのように、特定の陰極材料及びプラズマ生成雰囲気は、所望の組成の金属層を作製するように選択される。ある態様では、陰極は、金属又は金属合金で構成され、関心のある金属として、金(au)、銀(ag)、ニッケル(ni)、オスミウム(os)、パラジウム(pd)、白金(pt)、ロジウム(rh)、イリジウム(ir)、チタン(ti)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0072】
堆積構造体が陰極と同じ組成であるそれらの態様では、イオンビームは、真空中で生成され得る。堆積構造体が炭素、酸素又は窒素等の別の元素との金属合金である更に他の態様では、プラズマは、他の元素、例えば、酸素含有雰囲気、窒素含有雰囲気、炭素含有雰囲気等の雰囲気中で生成され得る。
【0073】
ある態様では、陰極材料中の第2元素の勾配が、堆積構造体中に、例えば、堆積が発生している間に雰囲気中の第2元素の量が変化するように、例えば、増加又は減少するように、プラズマ生成中に雰囲気を変更することにより作り出される。
【0074】
ある態様では、基板表面106に接触するイオンビームが選別されず、イオンビームは、陰極材料の巨大粒子を含む。更に他の態様では、イオンビームが選別されてもよく、完全ではないが実質的に巨大粒子がないそのビームは、基板表面106に接触する。いずれかの便利な選別所定動作を用いてもよく、例えば、米国特許第6,663,755号、6,031,239号、6,027,619号、5,902,462号、5,317,235号及び5,279,723号、並びに、米国特許出願公開第20050249983号、第20050181238号、第20040168637号、第20040103845号及び第20020007796号に記載されるものであり、その開示内容が本明細書に参照として組み込まれている。
【0075】
上記で検討されたように、ある態様では、陰極アーク蒸着構造体は、埋込可能な医療装置の2つ以上の構造、例えば、図6A及び6Bに示される導電性給電貫通穴又は層間導通穴を導通させる導電素子である。これらの態様のうちのあるものでは、ヒト体内への埋込材として利用することを目的とした多重層化生体融合性構造体が作製され、その構造体の中では、マイクロプロセッサ又は他の部品が、異なる層に配置され、前記構造の各々の回路層を分離する絶縁層を通じて鉛直方向に相互に接続されており、鉛直方向の相互接続が、本発明に記載されるような陰極アーク蒸着により作製される。各々の回路層は、別のウェーハ又は薄膜材料内に作製され、次に、層構造体上に移され、下記のように相互に接続され得る。
【0076】
例えば、Pt、Ir、Ti、又はそれらの合金で構成される生体融合性層金属導体は、陰極アーク蒸着技術により、例えば、3次元電気回路と、シリコン基板108上に形成された層間導通穴、又は、マイクロプロセッサ若しくは他の素子を含む容器を通る電気接続とを定めるような外部(例えば、シリコン)マスクを介して、パターン付けされたシリコン基板108上に堆積される。これらの方法は、例えば、上述したように、実質的に完全にイオン化された金属イオンのビームに第1部分を曝すことを含む。本方法は、非選別式と同様に選別式の陰極真空アーク技術を利用して高指向性イオンビームを生成し、層間導通穴又は溝が高アスペクト比であっても、共形金属被膜を形成することができる。本方法により、層間導通穴及び溝を充填して、導電相互接続を形成することもでき、例えば、白金の薄膜及び厚膜並びに相互接続を堆積して形成する。
【0077】
ある態様では、構造体は、鉛直方向に積み重ねられ、埋込可能な装置に利用されるデータ処理、制御システム、及びプログラム可能計算のための回路素子が相互に接続される。ある態様では、本構造は、同じ又は別の半導体ウェーハ内に作製され、次に積み重ねられる相互接続回路及びマイクロプロセッサを含む。この回路は、シリコン又は他の適切な材料の表面に沿って通常迂回する多数の薄膜金属配線を含んでもよい。本発明では、回路の機能ブロックは、鉛直方向に配置された2つ以上の部分に分割されてもよく、前記回路の一部分がバルクチップ上にあり、埋込式マイクロプロセッサチップと部品とを含む空洞を有するSI基盤ウェーハなど残りのブロックは本明細書に記載される陰極アーク蒸着の所定動作により作製される仲介用層間導通穴を通じて電気的に接続されている。回路は、バルクシリコン、酸化シリコン内に、又は、ガリウム砒素等のHI−V族材料内に、又は、バルクSi、SOI、及び/又は薄膜GaAsを含む複合構造内に形成することができる。装置の様々な層は、層を互いに結合する絶縁層、及び、接着剤等の高分子材料を含み得る絶縁層を通り抜けるように延びている導電接続又は鉛直方向のバスを利用して積み重ねることができる。隣接する回路層の間に熱遮断及び電気遮蔽を用いて、熱劣化又は混信を削減又は防止することができる。
【0078】
陰極アーク蒸着システム
陰極アークで作製される構造体を含む移植可能な医療装置を作製する本対象の方法を実施する際に用いられ得る、陰極アーク蒸着システムも提供される。本対象のシステムの態様は、陰極アークプラズマ源と基板装着部とを含む。陰極アークプラズマ源(即ち、プラズマ発生源)は、変わり得るが、ある態様では、陰極、1つ以上の陽極、及び、プラズマ発生中に陰極からイオン化された陰極材料を作り出すのに十分な電弧を生成するための陰極と陽極との間の電力源を含む。プラズマ発生源は、陰極ターゲットからの正帯電イオンを含むDC又はパルス化プラズマビーム104を生成する。基板装着部は、構造体が堆積される基板108を保持するように設定される。ある態様では、基板装着部は、その装着部上にある基板108の温度を制御するための、例えば、装着部上の基板108の温度を所望の値に上昇又は下降させるための温度調節器を含むものである。いずれかの便利な温度調節器は、冷却素子、加熱素子等のような装着部に動作可能に接続され得る。ある態様では、温度センサは、装着部上にある基板108の温度を測定するためにあり得る。ある態様では、システムは、基板108装着部と陰極との間の距離が調節され得るように設定される。言い換えれば、システムは、基板装着部と陰極が互いに対して移動し得るように設定される。ある態様では、システムは、基板装着部と陰極との間の距離が要望に応じて増加又は減少し得るように、基板装着部が陰極に対して移動することができるように設定される。ある態様では、システムは、陰極と基板装着部との間の距離が要望に応じて増加又は減少し得るように、陰極が基板装着部に対して移動することができるように設定される。要望に応じて、システムは、1つ以上の入力パラメータ、例えば、陰極材料、エネルギー、基板仕様、堆積雰囲気を考慮して、基板装着部と陰極とを互いに対して配置するための適切な距離を測定する素子を含み、例えば、上記で考察されたように、基板108の引張力により堆積材料内にあるいずれの圧縮力も相殺されることを確保することにより、応力のない厚い産物層を作製し得る。ある態様では、陰極アークプラズマ生成素子及び基板108は、制御された環境、例えば、真空又は制御された雰囲気を与える密閉チャンバ内にあり、システムの2つの部品は、同じチャンバ内にあっても、陰極から基板108へイオンを移動させるイオン搬送構造体により相互に接続された異なるチャンバ内にあってもよい。
【0079】
ある態様では、システムは、完全ではないが実質的に巨大粒子がないイオンビームが基板108に接触するように、生成されたプラズマから巨大粒子を選別する役割をする選別素子を更に含む。いずれかの便利な選別素子が存在してもよく、関心のある選別素子として、米国特許第6,663,755号、第6,031,239号、第6,027,619号、第5,902,462号、第5,317,235号及び第5,279,723号、並びに、米国特許出願公開第20050249983号、第20050181238号、第20040168637号、第20040103845号及び第20020007796号に記載されるものが挙げられるが、これらに限定されず、それらの開示内容は、本明細書に参照として組み込まれる。ある態様では、選別素子は、照準線がなく、発生源と基板108との間の選別器を通る単一の跳ね返り経路がないように、2つの曲管を有する。ある態様では、システムは、選別器を通り、基板108上へプラズマビーム104を操縦するビーム操縦装置を更に含む。ある態様では、システムは、イオンビーム調節器、例えば、パルス化され、振幅が調節された電気的バイアスを、選別されたプラズマビームに与えるビーム偏倚装置を含む。これらの態様では、この偏倚装置は、処理装置とパルス発生モジュールとを含み、パルス発生モジュールは、処理装置の制御下でパルス化され、振幅が調節された電気バイアスを生成し、パルス発生モジュールは、プログラム可能論理装置と電源と切換回路とを含み、切換回路は、プラグラム可能論理装置により制御され、電源出力は、切換回路を介して基板108に結合され、プログラム可能論理装置は、電源と切換回路の両方の動作を制御する。
【0080】
ある態様では、システムは、基板108にバイアス電圧を加える素子を更に含む。これらの態様のうちのあるものでは、バイアス電圧印加は、正イオンが堆積するために基板108上で発生する静電荷を分散させることと、入射イオンのエネルギーが既定のエネルギー範囲内に入るのを確保することとの両方を行うように働く。
【0081】
陰極アーク蒸着システムは、2006年6月22日に出願された「陰極アークで作製された構造体を含む埋込可能な医療装置」と題する米国仮出願整理番号第60/805,576号に更に記載され、その開示内容は、本明細書に参照として組み込まれている。
【0082】
システム
本発明により陰極アークで作製された素子を含む1つ以上の埋込可能な医療装置を含むシステムも提供される。例えば、上記のような貼付アンテナ等の、陰極アークで作製されたアンテナを有する埋込可能な装置を含むシステムが、提供される。本発明のそのようなシステムは、被験体、例えば、ヒトの体内に情報を送るシステムと見なされてよく、そのシステムは、情報を伝送するように設定された無線機を含む第1の埋込可能な医療装置と、情報を伝送するように設定された無線機を含む第2の装置との両方を含み、第1の装置及び第2の装置のうちの少なくとも1つは、例えば、上記のような、本発明による微細縞型アンテナを含む。本発明の一態様は、図8に示され、そのシステムは、埋込可能な医療装置、例えば、IPGと外部プログラミングユニットとを含む。図8は、本発明による、外部プログラム書込装置802と埋め込まれた医療装置、例えば、心臓ペースメーカーIPG800との間の双方向遠隔計測通信の簡略化された概略図である。IPG800は、患者804の中に、患者の皮膚又は筋肉の下に埋め込まれ、通常、皮膚表面に向けられている。IPG800は、少なくとも1つの心臓調速導線808の調速/感受電極及び導線を介して、患者804の心臓806に電気的に結合される。IPG800は、プログラムされた動作モード及び電源に従って、感受及び調速機能の時間を調節するマイクロコンピュータ又はデジタル状態機械を用い得る操作システムを含む。IPG800は、心臓情報を検出する感受信号増幅器、患者活動センサ、又は、心臓の出力に必要な情報を感受する他の生理センサ、及び、先行技術で十分に知られている方法で操作システムを制御しながら心臓806の少なくとも1つの心房に調速パルスを伝送するパルス発生出力回路も含む。操作システムは、様々なプログラムに組み込まれた操作モードと操作システムにより利用されるパラメータ値とを保存する、メモリレジスタ又はRAMを含む。メモリレジスタ又はRAMは、感受された心臓活動から編集された及び/又は装置操作履歴に関連するデータ、又は、検索又は問い合わせ命令を受け取り次第出力される、感受された遠隔計測用生理パラメータを保存するのに利用され得る。これらの機能及び操作の全ては、当該分野で十分に知られており、その多くは、他のプログラム可能で埋込可能な医療装置内で用いられ、操作命令と、装置動作を制御するためのデータと、装置機能又は患者の容態を診断するために後に取り出すためのデータとを保存する。プログラム命令又はデータは、IPG800の表面内の又はその表面上のIPGRF遠隔計測アンテナ810と、外部のプログラム書込装置802に接続される外部RF遠隔計測アンテナ812との間で伝送される。外部RF遠隔計測アンテナ812は、患者804からある距離だけ離れた外部のプログラム書込装置の容器の上に配置することができる。例えば、外部プログラム書込装置802及び外部RF遠隔計測アンテナ812は、患者804から数メートル程度離れて立ってもよい。更に、患者は、動いてもよく、実時間ECG又は生理パラメータを上りリンク遠隔計測で問い合わせている間、トレッドミル等上で運動することができる。プログラム書込装置802は、従来のフェライトコアとワイヤコイルと先行技術のRF遠隔計測アンテナとを用い、従って、従来のプログラム書込装置RFヘッドとそのようなIPGで選択的に利用するための関連ソフトウェアとを更に有する、既存のIPGを遍くプログラムするようにも設計され得る。
【0083】
上りリンク遠隔計測伝送908では、外部RF遠隔計測アンテナ812は、遠隔計測受信アンテナとして働き、IPGRF遠隔計測アンテナ810は、遠隔計測送信アンテナとして働く。反対に、下りリンク遠隔計測伝送30では、外部RF遠隔計測アンテナ812は、遠隔計測送信アンテナとして働き、IPGRF遠隔計測アンテナ810は、遠隔計測受信アンテナとして働く。
【0084】
ここで図9を参照して、図9は、図8の外部プログラム書込装置802及びIPG800の主要機能遠隔計測伝送ブロックの簡略化された回路ブロック図を示す。プログラム書込装置802内の外部RF遠隔計測アンテナ812は、遠隔計測送信機900と遠隔計測受信機902とを含む遠隔計測無線機に結合される。遠隔計測送信機900及び遠隔計測受信機902は、制御回路と、上記に組み込まれた本発明の譲受人に譲渡された特許及び係属中の出願に記載されるような、マイクロプロセッサ及びソフトウェアの制御下で動作するレジスタとに結合される。同様に、IPG800内では、IPGRF遠隔計測アンテナ810は、遠隔計測送信機904及び遠隔計測受信機906を含む遠隔計測無線機に結合される。遠隔計測送信機904及び遠隔計測受信機906は、制御回路と、上に組み込まれた本発明の譲受人に譲渡された特許及び係属中の出願に記載されるような、マイクロプロセッサ及びソフトウェアの制御下で動作するレジスタとに結合される。
【0085】
上りリンク遠隔計測伝送908では、遠隔計測データは、いずれかの便利な遠隔計測形式に符号化され得る。例えば、データ符号化又は変調は、例えば、周波数シフトキー(FSK)であっても、搬送周波数の位相差シフトキー(DPSK)変調の形式であってもよい。上りリンク遠隔計測伝送908を初期化するために、外部プログラム書込装置802内の遠隔計測送信機900は、利用者により生成された問い合わせ命令に応答して有効になり、下りリンク遠隔計測伝送910内に問い合わせ命令を生成する。問い合わせ命令は、受信機906内で受信、復調され、埋込可能な医療装置中央処理ユニット(CPU)、例えば、マイクロコンピュータ(図示せず)の入力に加えられる。埋込可能な医療装置マイクロコンピュータは、送信機904に加えられる適切な上りリンクデータ情報を生成することにより応答し、符号化された上りリンク遠隔計測情報908を生成する。上記のデータ符号化及び伝送形式のいずれかを用いてもよい。
【0086】
図8及び図9のシステムは、単に説明のためのものであって、本対象のアンテナが用いられ得るシステムの1つの型にすぎない。それらのシステムには、数多くの異なる部品又は素子があり得る。そのような素子として、センサ、作動体、例えば、1つ以上のセンサからの情報に応答して、例えば、心臓の刺激の時間調節を制御するための処理素子、例えば、埋込可能な医療装置と体外の場所との間で情報を遠隔計測で交換するための遠隔計測送信機、薬物送達素子等が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0087】
ある態様では、埋込可能な医療システムは、心血管用途、例えば、調速用途、心臓再同期化治療用途等に用いられるものである。
【0088】
システムの利用として、この装置で得られたデータの視覚化が挙げられ得る。本発明者のうちの幾人かは、本発明のシステムを利用して集められる複数源のセンサ情報を調節するための、様々な表示器及びソフトウェアツールを開発している。これらの実施例は、国際PCT出願整理番号第PCT/US2006/012246号に見ることができ、その出願同様にその出願の優先権主張の基礎となる出願の開示内容は、本発明に参照としてそのまま組み込まれている。
【0089】
要求に応じて、本発明による埋込可能な態様を利用して得られるデータは、埋込可能なコンピュータにより記録することができる。そのようなデータは、自動分析又は手動分析のために、コンピュータシステムに、及び、インターネットを含むコンピュータネットワークに周期的に転送することができる。遠隔に位置する外部医療装置、又は、患者の身体上の更に近くの医療装置、又は、患者の身体内の別の多重房室監視/治療送達システムのうちのいずれかのとの通信を可能にするために、上りリンク及び下りリンク遠隔計測能力が、所与の埋込可能なシステムに与えられてもよい。上記の種類の保存された生理データ並びに実時間で生成される生理データ及び非生理データは、下りリンク遠隔計測で伝送された問い合わせ命令に応答して、上りリンクRF遠隔計測により、システムから外部プログラム書込装置又は他の遠隔医療装置へ伝送することができる。実時間生理データとして、通常、実時間で抽出された情報レベルが、例えば、心内の心電図振幅値、及び、本発明により開発された次元情報を含むセンサ出力情報が挙げられる。生理状態に関連がない患者データとして、現時点でプログラムされた装置操作モード及びパラメータ値、電池の状況、装置ID、患者ID、埋込の日付、装置プログラム履歴、実時間事象標識等が挙げられる。埋込可能なペースメーカー及びICDの面では、そのような患者データとして、プログラムされたセンサ振幅感度、調速又は心臓除細動パルス振幅、エネルギー、及びパルス幅、調速又は心臓除細動導線インピーダンス、装置の性能に関連する累積統計、例えば、検出された不整脈事象及び適用される治療に関連するデータが挙げられる。従って、多重心房監視/治療送達システムでは、そのような様々な実時間生理又は非生理データ、若しくは、保存された生理又は非生理データが現れ、そのように現れるデータは、本明細書では、「患者データ」と総称される。
【0090】
図10は、本発明の別の態様による医療診断及び/又は処置システム1000のブロック図である。基盤100は、電源1002、遠隔装置1004、データ収集器1006、及び外部記録装置1008を含む。動作中は、遠隔装置1004が、患者の身体の中に配置され(例えば、摂取される又は埋め込まれる)、患者の身体の内部又は外部に位置し得る電源1002からの電力を受け入れる。
【0091】
遠隔装置1004は、センサ、作動体及び/又は送信ユニットのいずれかの組み合わせを含み得る電子装置、機械装置、又は電気機械装置である。センサユニットは、遠隔装置1004が埋め込まれている患者804の生理状態に関連する様々なパラメータを検出、計測する作動体ユニットは、遠隔装置内のセンサユニット又は外部コントローラの制御下で、患者の身体又は生理プロセスのある面に影響を与える行動を実行する。送信ユニットは、例えば、センサユニットからの計測データを含む情報、又は、作動体の動き若しくは遠隔装置の単なる存在を示す他の情報を、データ収集器1006に送信する。ある態様では、伝送は、無線で実行される。
【0092】
電源1002として、遠隔装置1004に送達され得る電力のいずれかの電源を挙げることができる。ある態様では、電源1002は、遠隔装置1004内に組み込まれる電池又は類似の自己完結型電源であってもよい。他の態様では、電源1002は、患者の身体の外部にあり、電力を無線で送達する。
【0093】
データ収集器1006は、患者804内に埋め込まれ、または外部で患者の皮膚に接続され得る。データ収集器1006は、遠隔装置1004内の送信ユニットからの情報を検出する受信アンテナと、その受信情報を保存、処理及び/又は再送信するように設定された制御ロジックとを含む。遠隔装置1004が送信機を含まない態様では、データ収集器1006は省かれてもよい。
【0094】
外部記録装置1008は、収集データ及び関連情報(例えば、データ収集器1006の処理動作の結果)を従事者にアクセス可能にする、いずれかの装置を利用して、実装され得る。ある態様では、データ収集器1006は、患者804又は介護従事者により直接読み出され得る、又は、保存されたデータを読み出すコンピュータに通信可能に接続され得る、外部部品を含み、その外部部品は、外部記録装置1008の役割をする。他の態様では、外部記録装置1008は、例えば、405MHz帯でのRF結合を利用して内部ペースメーカー缶又は他のデータ収集器と通信する、従来のペースメーカー棒のような装置であってもよい。
【0095】
基盤1000は、任意の数の電源1002と、埋込可能な医療装置と見なされ得る遠隔装置1004とを含むことができる。ある態様では、センサ/作動体ネットワーク(システム)は、患者の身体内に作製され、患者804のための様々な診断及び/又は治療活動を実行することができる。本発明の記述は、本明細書では、患者804に関連するある事例で与えられる。用語「患者」は、本明細書で用いられる場合、動物等の生物全体を指す。ある態様では、動物は、「哺乳類」又は「哺乳動物」であり、これらの用語は、肉食生物目(例えば、犬及び猫)、齧歯目(例えば、マウス、モルモット、及びラット)、ウサギ目(例えば、兎)及び霊長目(例えば、ヒト、チンパンジー、及び猿)を含む、哺乳綱内にある生物を記述するために広く利用される。ある態様では、被験体、例えば、患者804は、ヒトである。
【0096】
本発明のシステムを利用する方法も提供される。一般に、本発明の方法は、例えば、第1医療装置と第2医療装置とを含み、それら装置のうちの一方が埋込可能であり得る、上記のような本発明のシステムを準備することと、前記装置のうちの少なくとも1つの上にある微細縞型アンテナを介して、システムの第1装置と第2装置との間の通信を有効にすることとを含む。その準備工程は、用いられる特定のシステムに応じて、少なくとも第1医療装置を被験体内に埋め込むことを含み得る。ある態様では、有効化行程は、情報を第1装置から第2装置へ送信することを含む。ある態様では、伝送行程は、情報を第2装置から前記第1装置へ送信することを含む。情報は、いずれかの便利な周波数のものであり、ある態様では、周波数は、約400〜約405MHzの範囲である。情報の特性は、大きく変化してもよく、患者804から得られる1つ以上のデータと、埋込装置から得られる、装置機能についてのデータと、埋込装置、電源等のための制御情報とを含んでもよい。
【0097】
ここで、一般に図面を、特に図11を参照して、図11は、固体薄膜コンデンサ1100を示す。コンデンサ1100は、シリコン等の、しかしこれに限定されない、基板1102上に形成され得る。コンデンサ1100の層は、基板1102の上面1104に形成され得る。例えば、第1電極層1106は、タンタル等の、しかしこれに限定されない、遷移金属で構成され得る。絶縁層1108は、五酸化タンタル(Ta2O5)等の、しかしこれに限定されない、遷移金属の酸化物で構成され得る。第2電極層1110は、二酸化マンガン(MnO2)等の、しかしこれに限定されない、金属酸化物で構成され得る。明快さのために、図11の層及び他の形状は、ある厚さがあるように示され、他の寸法は、必ずしも縮尺通りに描かれているわけではない。しかしながら、実際には、本明細書に記載されるように、他の寸法及びアスペクト比が用いられてもよいと理解されるべきである。
【0098】
コンデンサ1100は、密閉層1112により、基板1102の上面1104で、コンデンサ1100の層1106、1108及び1110にわたり密封され得る。密閉層1112は、薄膜不活性層であり得る。図示されるように、密閉層1112は、基板1102と協働し、周囲環境から層1106、1108及び1110を密閉する包膜を形成する。層1106、1108及び1110の特定の脆弱点は、縁1114である。縁1114が保護されていない場合、腐食性流体又は物質が、層1106、1108及び1110の間を浸透し、コンデンサの剥離及び欠陥が発生し得る。従って、密閉層1112は、縁1114を覆う。密閉層1112は、基板1102の上面1104の周辺部分1116も覆い、層1106、1108及び1110の縁1114が保護されるのを確保する。図示されていないが、密閉コンデンサ1100と密閉層1112の外部の部品との間に電気通信を設けるために、導電性給電貫通穴が、コンデンサ1100の第1電極層1106及び第2電極層1110に対して設けられる。
【0099】
本発明のコンデンサ1110は、薄膜コンデンサ1100である。コンデンサ1100が薄膜コンデンサ1100である場合、そのコンデンサ1100は、層1106、1108及び1110を含み、例えば、第1電極層1106、絶縁層1108、及び第2電極層1110のうちの1つ以上であり、これらの層1106、1108及び1110は、薄い。コンデンサ層1106、1108及び1110は、薄い場合、平均厚が、10μm以下であってもよく、例えば、7μm以下であり、5μm以下を含み、例えば、3μm以下であり、ある事例では、1μm以下であり、例えば、0.1μm以下である。ある事例では、層1106、1108及び1110は、厚さの範囲が、0.1〜100μmであり、例えば、0.1〜10μm、例えば、0.1〜7μmであり、0.1〜5μmを含み、例えば、0.1〜3μmであり、例えば、0.1〜1μmである。本発明の薄膜コンデンサ1100は、コンデンサ1100の寸法及び重量を最小限にするように設定されてもよいが、容量値を有効範囲内に尚も維持する。
【0100】
固体薄膜コンデンサ1100は、全寸法が小さくてもよい。要望に応じて、固体薄膜コンデンサ1100は、集積回路の一部であるように設定され得る。ある事例では、固体薄膜コンデンサ1100は、50mm2以下の、例えば、10mm2以下の、1mm2以下を含む全領域を占有する。本発明の固体薄膜コンデンサ1100の容量は、変化し得る。ある事例では、本発明の固体薄膜コンデンサ1100は、容量が、0.01μF/mm2〜1F/mm2、例えば、0.01μF/mm2〜0.5μF/mm2であり、0.02μF/mm2〜0.2μF/mm2を含む範囲であるように設定される。
【0101】
本発明の固体薄膜コンデンサ1100の態様は、第1電極層1106と、第1電極層1106上にある絶縁層1108と、絶縁層1106上にある第2電極層1110とを含む。そのように、本発明の固体薄膜コンデンサ1100は、固体材料の絶縁層1108により互いに分離された第1電極層1106と第2電極層1110とを含む。
【0102】
第1電極層1106及び第2電極層1110は、いずれかの便利な構造を有し得る。関心があるのは、絶縁層1108により分離された平行板として設定される第1電極層1106及び第2電極層1110である。平行板は、平行板の一方の構造が平行板の他方の構造に対応する、共形構造を含む、様々な異なる構造を有し得る。ある事例では、第1電極層1106と第2電極層1110とは、絶縁層1108により互いに分離された平面で平行なプレートである。
【0103】
第1電極層1106は、純金属、金属合金等を含む、いずれかの便利な導電性材料で形成され得る。関心のある特定の金属として、タンタル、銀、動、金、鉄、チタン、クロム、タングステン、ニッケル、及びコバルト等の遷移金属が挙げられるが、これらに限定されない。そのような遷移金属の合金も関心がある。第1電極層1106の厚さは、変化し得る。関心があるのは、平均厚が10μm以下、例えば、7μm以下であり、5μm以下を含む、例えば、3μm以下、ある事例では1μm以下である、第1電極層1106である。要望に応じて、第1電極層1106の平均厚の範囲は、0.1〜10μmであってもよく、例えば、0.1〜7μmであり、0.1〜5μmを含み、例えば、0.1〜3μmであり、例えば、0.1〜1μmである。ある事例では、第1電極層1106は、平均厚が、5μmである。上記で検討されたように、第1電極層1106の構造は、変化し得る。第1電極層1106が平面板として設定される場合、その平面板は、コンデンサ1100の意図された利用に適切な寸法を有し得る。ある事例では、第1電極層1106は、50mm2以下の、例えば、10mm2以下の、1mm2以下を含む全領域を占有するように設定される。
【0104】
絶縁層1108が第1及び第2電極層1110を分離するように、第1電極層1106上にある絶縁層1108は、様々な異なる絶縁性材料から作製され得る。ある事例では、絶縁層1108として、非導電性絶縁材料が挙げられ、例えば、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、それらの組み合わせ等であるが、これらに限定されない。ある事例では、絶縁層1108は、第1電極層1106に利用される遷移金属の酸化物である。ある事例では、絶縁層1108は、五酸化タンタル(Ta2O5)を含む。絶縁層1108の厚さは、変化し得る。ある事例では、絶縁層1108は、平均厚が、5μm以下であり、例えば、3μm以下であり、ある事例では、1μm以下であり、0.1μm以下を含み、例えば、0.05μm以下である。関心があるのは、平均厚が0.01〜5μm、例えば、0.01〜3μmであり、0.05〜1μmを含み、例えば、0.1〜0.5μmの範囲である、絶縁層1108である。ある事例では、絶縁層1108は、平均厚が、0.1μmである。
【0105】
第2電極層1100は、いずれかの便利な導電性材料から作製されてもよい。関心があるのは、二酸化マンガン、酸化イリジウム、酸化白金、酸化パラジウム、酸化ルテニウム、これらの組み合わせ等の、しかしこれらに限定されない、金属酸化物で形成される第2電極層1110である。ある事例では、第2電極層1110は、二酸化マンガン(MnO2)を含む。第1電極層と同様に、第2電極層1110は、厚さが変化し得る。ある事例では、第2電極層は、平均厚が、10μm以下、例えば、7μm以下であり、5μm以下を含み、例えば、3μm以下であり、ある事例では、1μm以下である。関心があるのは、平均厚が0.1〜30μm、例えば、0.1〜7μmであり、0.1〜5μmを含み、例えば、0.1〜3μm、例えば、0.1〜1μmの範囲である、第2電極層1110である。ある事例では、第2電極層1110は、平均厚が5μmである。上に検討されたように、第2電極層1110の構造は、変化し得る。第2電極層1110が平面板として設定される場合、その平面板は、コンデンサ1100の意図された利用に適切な寸法を有し得る。第2電極層1110の寸法は、第1電極層1106の寸法に整合しても、しなくてもよい。ある事例では、第2電極層1110は、50mm2以下の、例えば、10mm2以下の、1mm2以下を含む全領域を占有するように設定される。
【0106】
要望に応じて、コンデンサ1100の第1電極層1106及び/又は第2電極層1110は、高表面領域を有する表面を含む。従って、第1電極層1106及び/又は第2電極層1110は、高表面領域電極であり得る。「高表面領域」とは、表面領域が、基板表面1102の実表面の直交する長さ及び幅寸法によってのみ確定される同位の代わりの平面基板表面1102の表面領域よりも大きい、実表面を有する層を意味する。例えば、実表面は、長方形層の上面であり、従って、長さと幅とを有し得る。表面の特徴、例えば、多孔性、細密褶曲性等のために、第1電極層1106及び/又は第2電極層1110の実表面は、基板表面1102と同じ直交する長さ及び幅を有するが、そのような特徴がない、即ち、表面が滑らかである、表面の表面領域よりも大きい表面領域を有する。直交する長さ及び幅寸法によってのみ確定される表面領域を有し、滑らかである、後者の基板表面1102は、実表面の同位の仮想表面である。言い換えれば、実表面の同位の仮想表面は、関心のある実表面の長さ及び幅よってのみ確定されることになり、表面の表面領域が増加することになる表面特性がない、完全に滑らかな表面と仮定される、表面である。そのように、関心のある電極層1106及び1110の実表面は、実表面の長さ及び幅寸法よってのみ確定される同位の仮想表面の表面領域よりも大きい表面領域を有するものである。ある事例では、関心のある表面の表面領域は、表面の長さ及び幅寸法によってのみ確定される表面の同位の表面領域の2倍以上であり、例えば、5倍以上であり、10倍以上を含む。ある事例では、電極層1106又は1110の関心のある表面の実表面領域は、電極層1106又は1110の関心のある表面の長さ及び幅寸法よってのみ確定される同位の表面領域よりも大きい。ある事例では、電極層1106又は1110の表面の表面領域は、0.01mm2〜100mm2、例えば、0.1mm2〜50mm2であり、1mm2〜10mm2を含む範囲である。電極層1106又は1110の所与の表面の表面領域は、(例えば、粗い層又は多孔質層として存在する)高表面領域層の電気化学容量又は周期性ボルタモグラムを、同じ材料の滑らかな層の電気化学容量又は周期性ボルタモグラムと比較することにより判定することができる。粗さは、原子力間顕微鏡(AFM)、電子顕微鏡、又はブルナウアー・エメット・テラー(BET)分析等の他の技術により判定されてもよい。所望の高表面領域を設けるために、電極層1106及び1110は、粗い又は多孔質の表面を含み得る。電極層1106及び1110の多孔質性又は粗さは、電極層1106及び1110の表面に所望の高表面領域を与える限り、変化してもよい。代わりに、コンデンサ1100の電極層1106及び1110は、所望の高表面領域を与える表面細密褶曲300を有し得る。表面細密褶曲300とは、刻み目又は裂け目により分離された一連の突起を意味する。所与の突起範囲の頂部から計測される際の所与の刻み目の深さは、ある事例では、0.1μm〜1000μm、例えば、1μm〜10μmの範囲である。
【0107】
図3は、本発明の一態様により作製される表面細密褶曲300を表す10mmの厚さの白金層200の図を示す。
【0108】
コンデンサ1100の薄膜層1106、1108及び1110は、固体支持体の表面上に配置され得る。固体支持体は、小さくてもよく、例えば、幅が、0.01mm〜100mm、例えば、0.1mm〜20mmであり、0.5mm〜2mmを含む範囲であるように、長さが、0.01mm〜100mm、例えば、0.1mm〜20mmであり、0.5mm〜2mmを含む範囲であるように、高さが、0.01mm〜10mm、例えば、0.05mm〜2mmであり、0.1mm〜0.5mmを含む範囲であるように、寸法が定められる。固体支持素子は、様々な異なる構造を取ってもよく、例えば、チップ構造、円筒構造、球構造、円盤構造等であるが、これらに限定されない。特定の構造は、意図された用途、製造方法等に基づいて選択され得る。固体支持体が作製される元の材料は、装置が設定される利用対象の特定の装置に応じて、かなり変わり得るが、ある事例では、固体支持体は、シリコン等の半導体材料で構成される。
【0109】
ある事例では、WO/2008/101107として公表されたPCT出願整理番号第PCT/US2008/053999号(その開示内容は、本明細書に参照として組み込まれる)に記載されるような高表面領域電極は、本発明のコンデンサ1100の第1電極層1106及び/又は第2電極層1110として用いられる。
【0110】
要望に応じて、本発明の固体薄膜コンデンサ1100は、コンデンサ1100が、少なくともその意図された寿命期間にわたり機能性を維持するように、埋め込み環境からコンデンサ1100を密閉する密閉構造1112を含み得る。密閉構造1112の性質は、埋め込み環境内で所望の時間期間にわたり、例えば、1日以上、1週間以上、1ヶ月以上、1年以上、5年以上、10年以上、25年以上、40年以上にわたりコンデンサ1100の機能性を維持する限り、変化してもよい。
【0111】
ある事例では、密閉構造1112は、空隙がない共形密閉層であり、その密閉層は、コンデンサ1100の外面の少なくとも一部分の上にある。ある事例では、この空隙がない共形密閉層は、コンデンサ1100の実質的に全ての外面上に存在し得る。代わりに、この空隙のない共形密閉層1112は、コンデンサ1100のある表面上のみに、例えば、コンデンサ1100の一表面上のみに、一表面の一部分上でも存在し得る。そのように、本発明の幾つかのコンデンサ1100は、空隙がない共形密閉層1112内に完全に包み込まれる。そのような事例では、導電性給電貫通穴は、密閉層1112内に包み込まれたコンデンサと、包み込み密閉層1112の外側に位置する他の素子又は装置との間での電気的通信を可能にするように与えられる。他のコンデンサ1100は、コンデンサの上面のみが、空隙がない共形密閉層1112で覆われるように設定される。
【0112】
空隙がない共形密閉層1112は、その厚さが、その層が接続するコンデンサ1100の全体積を実質的に増加させないようなものである点で、「薄膜」被膜であり得る。層に起因し得る、その構造の体積のあらゆる増加は、体積で10%以下であってもよく、例えば、5%以下であり、1%以下を含む。ある事例では、密閉層1112は、厚さが、0.1〜10.0μmの範囲内であり、例えば、厚さが、0.3〜3.0μmの範囲内であり、厚さが、1.0μmの範囲内を含む。
【0113】
密閉層1112は、いずれかの数の異なる所定動作を利用して、コンデンサ1100上に作製されてもよく、その所定動作は、プラズマ増強化学気相堆積、物理気相堆積、スパッタ、蒸着、陰極アーク蒸着、低圧化学気相堆積等の平面処理の所定動作を含むが、これらに限定されない。
【0114】
本発明のコンデンサ1100で用いられ得る、空隙がない共形密閉層1112の追加の記載は、公表番号第WO/2007/120884号で公表されたPCT出願整理番号第PCT/US2007/009270号で与えられ、その開示内容は、本明細書で参照として組み込まれている。
【0115】
密封構造としては、少なくとも1つの導電性給電貫通穴と密閉層とを有する耐腐食性支持体に関心がある。密閉層及び保持体は、コンデンサ部品、例えば、第1電極層1106及び第2電極層1110と、絶縁層1108とを取り囲む密封容器を定めるように構成される。導電性給電貫通穴は、白金、イリジウム等のような金属、金属及び半導体の合金、窒化物、半導体又はある他の便利な材料であってもよい。ある事例では、耐腐食性保持体は、シリコン又はセラミックを含む。寸法は変化し得るが、耐腐食性保持体は、1mm以上の厚さであり、例えば、50mm以上の厚さである壁を有し得る。壁は、厚さの範囲が、1〜125mmであり、25〜100mmを含む。密閉層は、金属のものであり得る。関心のある金属として、白金及び白金合金等の貴金属及びそれらの合金が挙げられる。密閉層の寸法も、変化し得る。範囲は、ある事例では、0.5mm以上の厚さであり、例えば、2.0mm以上の厚さであり、20mm以上の厚さを含む。密閉層の厚さは、範囲が、0.5〜100mmであり、例えば、1〜50mmである。ある配置では、構造は、密封体積中にある絶縁性材料を更に含む。ある事例では、密封体積は、1pl〜1mlの範囲である。
【0116】
ある事例では、耐腐食保持体は、コンデンサ1100が、一面以外の全ての面で、保持体の壁により閉ざされるように、コンデンサ1100を保持するように設定された構造である。例えば、保持体は、側面と底とを含み得る。保持体は、コンデンサ1100が、一面以外の全ての面で閉ざされる体積内に保持されるように、コンデンサ1100を含む限り、様々な異なる構造を有してもよい。
【0117】
従って、保持体の形状は、要望に応じて、正方形、円、卵形、長方形、又はある他の形状であってもよい。本発明のセンサのために用いられ得る耐腐食性保持体の追加の記述は、公表番号WO/2006/069323号で公表されたPCT出願整理番号第PCT/US2005/046815号に与えられ、その開示内容は、本明細書に参照として組み込まれている。
【0118】
本発明の固体薄膜コンデンサ1100は、電気回路の一部であるように設定され得る。要望に応じて、1つ以上のコンデンサ1100が、所与の電気回路内で並列に若しくは直列に、又は、所与の電気回路内で並列と直列の両方で接続されるように設定され得る。関心のある電気回路は、その回路の1つ以上の部分を有してもよく、各部分は、直列に接続される1つ以上のコンデンサ1100を含み、その回路の1つ以上の部分は、平行に接続される。従って、本発明の態様では、本発明の1つ以上の固体薄膜コンデンサ1100を含む電気回路を更に含む。
【0119】
本発明のコンデンサ1100は、電気エネルギーを保存するように設定されたエネルギー保存装置であり得る。例えば、エネルギーは、電極表面上に保存される。関心のあるコンデンサ1100として、回路装置、例えば、集積回路装置等の装置へのエネルギー源であるように設定される(言い換えれば、エネルギーを装置に放出するように設定される)コンデンサが挙げられる。代わりに、コンデンサ1100は、フィルタとして設定され得る。例えば、コンデンサ1100は、交流(AC)がコンデンサ1100を通り抜け、直流(DC)がコンデンサ1100を通り抜けるのを妨げるのを可能にするように設定され得る。そのようなフィルタコンデンサは、関心のある回路又は回路部品の両端での電流及び電圧過渡を削減するように設定され得る。その回路は、電池、マイクロプロセッサ、トランジスタ、抵抗素子、コイル等の部品であり得る。要望に応じて、フィルタコンデンサ1100は、動作可能に結合される関心のある回路内の雑音量を削減するように設定され得る。
【0120】
固体薄膜コンデンサ1100は、いずれかの便利な方法を利用して作製され得る。関心のある一方法では、第1電極層1106が、固体支持体又は基板1102の表面上に与えられる。次に、絶縁層1108は、第1電極層1106の表面上に作製される。第1電極層1106が、遷移金属から作製される場合、絶縁層1108は、遷移金属の酸化物であり得る。次に、第2電極層1110は、絶縁層1108上に堆積される。第2電極層1110は、金属酸化物から作製され得る。
【0121】
様々な異なる作製技術のうちのいずれかを利用して、本対象のコンデンサ1100を作製してもよい。例えば、鋳造、堆積及び材料除去、例えば、微細電気機械システム(MEMS)作製所定動作等の平面処理技術は用いられ得る。コンデンサの様々な層は、いずれかの便利な所定動作を利用して作製され得る。ある事例では、本対象のコンデンサ1100の層1106、1108及び1110は、薄膜蒸着技術を利用して作製される。本対象のコンデンサ1100の層1106、1108及び1110は、陰極アーク蒸着、スパッタ(スパッタ堆積)、蒸発堆積、電子ビーム物理的蒸気堆積、パルス化レーザ堆積等の物理気相堆積技術を利用して作製されてもよい。コンデンサ層1106、1108及び1110は、大気圧化学気相堆積(APCVD)、低圧化学気相堆積(LPCVD)、超高真空化学気相堆積(UHVCVD)、エアゾール支援化学気相堆積(AACVD)、直接液体注入化学気相堆積(DLICVD)、マイクロ波プラズマ支援化学気相堆積(MPCVD)、プラズマ増強化学気相堆積(PECVD)、原子層化学気相堆積(ALCVD)、有機金属化学気相堆積(MOCVD)、熱フィラメント化学気相堆積(HFCVD)、ハイブリッド式物理化学気相堆積(HPCVD)、高速化学気相堆積(RTCVD)等のような化学気相堆積技術を利用しても作製され得る。
【0122】
関心のある一所定動作では、第1電極層1106は、固体支持体又は基板1102の表面上に第1電極層1106を陰極アーク蒸着することにより作製される。関心のある陰極アーク蒸着の所定動作として、WO2007/149546として公表されたPCT出願番号第PCT/US2007/014509号に記載される所定動作が挙げられ、その開示内容は、本明細書に参照として組み込まれている。次に、絶縁層1108は、第1電極層1106の表面を酸化することにより作製される。代わりに、絶縁層1108は、第1電極層1106上に絶縁層1108を化学気相堆積することにより作製され得る。要望に応じて、絶縁層1108は、酸化と化学気相堆積とを組み合わせて作製され得る。次に、第2電極層1100が、絶縁層1108の表面上に第2電極層1100をスパッタ堆積することにより作製される。コンデンサ層1106、1108及び1110の作製に続いて、コンデンサ層1106、1108及び1110は、上に検討されたように、密閉構造1112中に密封され得る。例えば、作製所定動作は、陰極アーク堆積により、コンデンサ1100上に空隙のない共形密閉層1112を作製することを更に含み得る。
【0123】
ここで一般的に図面を、特に図12A〜12Eを参照して、図12A〜12Eは、本発明に従って密封固体薄膜コンデンサ1100を製造するのに用いられ得る処理の所定動作の一連の図を示す。図12Aでは、初期基板1200が示され、基板1200として、ある事例では、シリコンが挙げられ得る。図12Bに示されるように、コンデンサ1100の作製は、固体支持体1200の上面1204上に第1電極層1202を形成することにより始まる。本明細書に記載されるように、第1電極層1202を形成することは、基板1200の上面1204上に第1電極層1202を陰極アーク堆積することを含み得る。図12Cに示されるように、本方法は、第1電極層1202上に絶縁層1206を作製することを更に含み得る。ある事例では、絶縁層1206の作製は、第1電極層1202の表面を酸化することを含む。他の事例では、絶縁層1206を作製することは、第1電極層1202上に絶縁層1206を化学気相堆積することを含む。図12Dに示されるように、本方法は、絶縁層1206上に第2電極層1208を堆積することを更に含む。第2電極層1208を堆積することは、絶縁層1206の表面上に第2電極層1208をスパッタ堆積することを含み得る。図12Eに示されるように、本方法は、装置上に、コンデンサ層1202、1206、及び1208にわたり密閉層1210を作製することを更に含み得る。密閉層1210は、陰極アーク蒸着により、コンデンサ層1106、1108、及び1110にわたり作製され得る。
【0124】
有用性
本発明の固体薄膜コンデンサ1100は、様々な異なる用途に利用される。例えば、固体薄膜コンデンサ1100は、他の用途の中でも、電圧を制御するように設定された結合切離コンデンサ1100、回路中の雑音を削減し易くするように設定された結合切離コンデンサ1100、回路中の雑音を迂回させるように設定された迂回コンデンサ1100、及び、回路中のエネルギーを保存、放出するように設定されたエネルギー保存コンデンサ1100として利用され得る。ある事例では、コンデンサ1100は、電子回路に利用される。電子回路では、コンデンサ1100は、他の用途の中でも、回路中の雑音を削減し易くするように設定されたフィルタ、ある情報を安定的に生成するように設定された振動回路、ある情報を選択するように設定された調節回路、温度揺らぎを補償するように設定された迂回回路として利用され得る。
【0125】
本発明の固体薄膜コンデンサ1100は、回路、RF回路、随時動作ランダムアクセスメモリ(DRAM)、非揮発性強誘電性ランダムアクセスメモリ(NVFRAM(登録商標))、マイクロ波装置内の随時動作調節可能素子等に利用され得る。
【0126】
本発明の固体薄膜コンデンサ1100は、集積回路にも利用され、この場合、薄膜コンデンサ1100を利用するのが望ましい。コンデンサ1100が上記のように密封される場合、コンデンサ1100は、コンデンサ1100及び前記コンデンサが接続される装置が、腐食性液体、腐食性気体、微生物等のような苛酷な周囲条件に曝される用途に利用され得る。
【0127】
身体に接続される装置に本発明のコンデンサ1100を利用することに関心があり、その装置として、埋込可能な医療装置、身体上に配置されるように設定された装置、摂取型装置等が挙げられるが、これらに限定されない。埋込可能な医療装置は、生体上に又は生体内に配置されるように設定される装置を意味する。埋込可能な医療装置は、生体内に埋め込まれるように設定されている装置であってもよい。埋込可能な装置が、被験体の身体内に見られる高濃度の塩、高湿度環境を含む生理環境内に、2日以上にわたり、例えば、1週間以上、4週間以上、6ヶ月以上、1年以上、例えば、5年以上にわたり存在する場合、機能性を維持するように設定されていることを意味する。ある事例では、埋込可能な医療装置は、1年〜8年以上、例えば、5年〜7年以上、10年〜50年以上を含む範囲の期間にわたり生理部位に埋め込まれた場合に、機能性を維持するように設定され得る。
【0128】
本発明の埋込可能な医療装置の寸法は、変化し得る。装置は、成人内に装置を配置することができない程度には大きくはなり得ない。
【0129】
本発明の固体薄膜コンデンサ1100が利用される、関心のある一種類の医療装置は、埋込可能な作動装置である。表現法「作動装置」は、センサ、活性化装置、センサ/活性化装置、アクチュエータ(電気機械又は電気アクチュエータ)又は、身体内で所望の機能を実行するのに利用され得るいずれかの他の装置である埋込可能な装置を幅広く指す。ある事例では、固体薄膜コンデンサ1100は、密封集積回路を基盤とする作動部品の、エネルギー保存部品等の部品であり、そのような部品として、密封集積回路部品、及び、集積回路部品のいずれかの密封構造の外にある電極等の露曝される作動部品が挙げられる。本発明の固体薄膜コンデンサ1100が利用され得る、集積回路を基盤とする作動装置として、WO/2004/052182として公表されたPCT出願整理番号第PCT/US2003/039524号、WO/2006/029090として公表されたPCT出願整理番号第PCT/US2005/031559号、WO/2006/069322として公表されたPCT出願整理番号第PCT/US2005/046811号、WO/2006/069323として公表されたPCT出願整理番号第PCT/US2005/046815号、WO/2007/028035として公表されたPCT出願整理番号第PCT/US2006/034258号、WO/2007/075974として公表されたPCT出願整理番号第PCT/US2006/048944号、WO/2007/120884として公表されたPCT出願整理番号第PCT/US2007/009270号、及びWO/2007/149546として公表されたPCT出願整理番号第PCT/US2007/014509号に記載される装置が挙げられ、これらの開示内容は、本明細書に参照として組み込まれている。ある事例では、固体薄膜コンデンサ1100は、多重配線の作動体の部品であり、例えば、米国特許第7,214,189号、及び、20040193021として公表された米国特許出願整理番号第10/734,490号に開示される部品である(これら特許及び出願の開示内容は、本明細書に参照として組み込まれている)。ある事例では、固体薄膜コンデンサ1100は、多重配線上の付随部品であり、例えば、20080255647として公表された米国特許出願整理番号第11/793,904号、及び、20080312726として公表された米国特許出願整理番号第11/794,016号に開示される部品であり、これらの開示内容は、本明細書に参照として組み込まれている。
【0130】
本発明の固体薄膜コンデンサ1100は、摂取可能な事象標識装置及びシステムの部品としても利用され、その装置及びシステムとして、WO/2006/116718として公表されたPCT出願整理番号第PCT/US2006/016370号、WO/2008/052136として公表されたPCT出願整理番号第PCT/US2007/082563号、WO/2008/063626として公表されたPCT出願整理番号第PCT/US2007/024225号、WO/2008/066617として公表されたPCT出願整理番号第PCT/US2007/022257号、WO/2008/095183として公表されたPCT出願整理番号第PCT/US2008/052845号、WO/2008/101107として公表されたPCT出願整理番号第PCT/US2008/053999号、WO/2008/112577として公表されたPCT出願整理番号第PCT/US2008/056296号、WO/2008/112578として公表されたPCT出願整理番号第PCT/US2008/056299号、及びWO/2009/042812として公表されたPCT出願整理番号第PCT/US2008/077753号に開示されるものが挙げられ、これらの開示内容は、本明細書で参照として組み込まれている。ある事例では、本発明の固体薄膜コンデンサ1100は、摂取可能な事象標識(IEM)識別装置の部品である。上の出願で検討されたように、識別装置は、識別回路部品を含む部品である。識別回路部品は、IEMが標的生理位置と接触した後に、検出可能な情報を作成するように設定される。IEM識別回路部品は、IEMが、胃腸管の位置、例えば、口、食道、胃、小腸、大腸等のような標的生理位置と接触した後に作動する限り、IEMが設計された対象の特定の環境設定及び意図された用途に応じて変化してもよい。識別回路部品は、IEMが胃液等の標的部位の液体と接触した後に作動するように設定され得る。特定用途の要求に応じて、識別回路部品により生成される情報は、一般情報(IEMが標的部位に接触したことを単に識別する情報)であっても、固有の情報(バッチ内の一群の又は複数の異なる標識からの特定のIEMが、標的生理部位に接触したことをある方法で一意に識別する現時点の特性情報)であってもよい。
【0131】
上記の発明は、明確に理解するために説明及び実例として、ある程度詳細に記載されたが、付属の請求項の趣旨又は範囲から逸脱することなく、その発明にある変更及び修正が行われ得ることは、本発明の教示内容に照合して、当業者に容易に明らかである。その上理解されるべきことは、本明細書に用いられる用語が、特定の態様のみを記述する目的のためのものであり、本発明を限定することを意図しておらず、本発明の範囲が、付属の請求項によってのみ限定されることである。
【0132】
値の範囲が与えられる場合、文脈が特に明確に指示しない限り、その範囲の上限と下限との間の下限の単位の10分の1までの各々の介在値、及び、その言及された範囲内のいずれかの他の言及された値又は介在値は、本発明内に包含されると理解される。これらのより小さな範囲の上限及び下限は、より小さな範囲内に個別に含まれてもよく、本発明内にも包含され、言及された範囲内のいずれかの具体的に除外された制限に従う。言及された範囲が、制限の一方又は両方を含む場合、これらの含まれる制限のうちのいずれか又は両方を除外する範囲も、本発明に含まれる。
【0133】
本明細書で引用された全ての公表文書及び特許は、各々の個別の公表文書又は特許が、参照として組み込まれるように具体的に及び個別に指示されるように、本明細書に参照として組み込まれており、引用された公表文書に関連する方法及び/又は材料を開示、記述するように、本明細書に参照として組み込まれている。あらゆる公表文書の引用は、出願日の前にそれを開示するためのものであり、先行発明により、そのような公表文書に先立つ権利が本発明に与えられないことを承認するものとして、解釈されるべきではない。更に、与えられる公表文書の日付は、実際の公表日とは異なる場合があり、個別に確認される必要があり得る。
【0134】
単数形は、本明細書及び特許請求の範囲で用いられる場合、文脈が特に明確に指示しない限り、複数の指示対象を含むことを注記する。更に、特許請求の範囲は、いずれの任意選択要素も除外するように記述され得ることを注記する。そのように、この記述は、特許請求の範囲の要素の詳述に関連して「単独で」、「単に」等のそのような除外用語を利用するために、又は、「否定的」制限を利用するために、先行する基礎として用いられることを意図している。
【0135】
本開示を読んだ後、当業者に明らかなように、本明細書に記載され、説明される個別の態様の各々は、本発明の範囲又は趣旨から逸脱せずに、いずれかの他の幾つかの態様の特徴から容易に分離され得る、又は、それらの特徴と容易に組み合わせられ得る個別の成分及び特徴を有する。詳述されたいずれの方法も、詳述された事象の順序で、又は、論理的にあり得る他のいずれかの順序で実行することができる。
【0136】
従って、前述は、本発明の原理を単に説明するものである。当業者は、本明細書に明確に記載され、図示されていないが本発明の原理を具体化し、本発明の趣旨及び範囲内に含まれる、本発明の原理を様々な装置を考案することできると理解される。更に、本明細書に詳述される全ての実施例及び暫定的言語は、原理上、読者が本発明の原理と、本発明者により与えられる構想とを理解し、技術を進めるのを補助することを意図しており、そのような具体的に詳述された実施例及び条件に限定されないものと解釈されるべきである。更に、本発明の原理及び態様並びにそれらの特定例を詳述する本明細書での全ての記述は、それらの構造的均等物と機能的均等物の両方を包含することを意図している。加えて、そのような均等物は、現時点で周知の均等物と、将来開発される均等物、即ち、構造に関係なく同じ機能を実行するいずれかの開発要素の両方を含むと意図される。従って、本発明の範囲は、本明細書に示され、記載される模範的構成に限定されることを意図していない。むしろ、本発明の範囲及び趣旨は、付属の図面により具体化される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体薄膜コンデンサ装置において、
第1表面を有する半導体基板と、
第1電極層と絶縁層と第2電極層とを含む薄膜コンデンサとを備えており、
前記第1電極層は、前記第1表面上に配置されて、遷移金属を含み、
前記絶縁層は、前記第1電極層上に配置されて、遷移金属の酸化物を含み、
前記第2電極層は、前記絶縁層上に配置されて、金属酸化物を含み、
前記絶縁層が、前記第1電極層及び前記第2電極層の間に配置されており、
前記半導体基板内に位置し、前記半導体基板及び前記第1電極層により取り囲まれている電気回路素子を備え、
前記固体薄膜コンデンサが、前記半導体基板の前記第1表面から延び、前記電気回路素子が、前記固体薄膜コンデンサ及び前記半導体基板により取り囲まれている
ことを特徴とする固体薄膜コンデンサ装置。
【請求項2】
前記第1電極層の実表面領域が、前記半導体基板の前記第1表面の表面領域の50%よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1電極層、前記絶縁層及び前記第2電極層の各々の実表面領域が、前記半導体基板の前記第1表面の表面領域の50%よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第1電極層の実表面領域が、前記半導体基板の前記第1表面の表面領域の50%よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記第1電極層、前記絶縁層及び前記第2電極層の各々の実表面領域が、前記半導体基板の前記第1表面の表面領域の90%よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記薄膜コンデンサの容量が、0.01マイクロファラッド〜0.5マイクロファラッドの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記薄膜コンデンサの周りに配置される密封構造体を更に備え、前記半導体基板と組み合わせて前記薄膜コンデンサの密封を形成することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記密封構造体が、前記半導体基板を更に取り囲むことを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記第1電極層の平均厚が、0.1マイクロメートル〜10マイクロメートルの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記絶縁層の平均厚が、0.05マイクロメータ〜1.0マイクロメータの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記第2電極層の平均厚が、0.1マイクロメータ〜10マイクロメータの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記遷移金属がタンタルであり、前記遷移金属の酸化物が酸化タンタルであり、前記金属酸化物が二酸化マンガンであることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記第1電極層及び前記第2電極層の各々の、前記絶縁層に接触する実表面が、前記半導体基板の前記第1表面の直交する長さ寸法及び幅寸法により確定される表面領域よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記第1電極層及び前記第2電極層が前記絶縁層に接触し、各々の層の実表面が、前記半導体基板の前記第1表面の直交する長さ寸法及び幅寸法により確定される表面領域よりも少なくとも2倍大きいことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項15】
第2薄膜コンデンサを更に備え、前記薄膜コンデンサと前記第2薄膜コンデンサとが直列に接触していることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項16】
第2薄膜コンデンサを更に備え、前記薄膜コンデンサと前記第2薄膜コンデンサとが並列に接触していることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項17】
埋込可能な作動装置内に含まれていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項18】
摂取可能な事象標識装置内に含まれていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記表面が多孔質表面であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項20】
少なくとも1つの表面が表面細密褶曲を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項21】
固体薄膜コンデンサを形成する方法において、
a.電気回路素子が少なくとも1つある半導体基板を提供することと、
b.前記半導体基板の遷移金属を含む第1表面上に、第1電極層を堆積することと、
c.前記第1電極層上に配置されるように、遷移金属の酸化物を含む絶縁層を堆積することと、
d.前記絶縁層上に配置されるように、金属酸化物を含む第2電極層を堆積することとを含んでおり、
前記絶縁層が、前記第1電極層と前記第2電極層との間に配置され、第1電極層、絶縁層及び第2電極層を含むことにより、薄膜コンデンサが形成され、前記薄膜コンデンサと前記半導体基板との組み合わせが前記電気回路素子を取り囲むようにしたことを特徴とする方法。
【請求項22】
陰極アーク蒸着により、前記第1電極層を前記半導体基板の表面上に堆積することを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記第1電極層の表面を酸化することにより、前記絶縁層を作成することを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項24】
化学気相堆積により、前記絶縁層を前記第1電極層の表面上に作成することを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項25】
スパッタ堆積により、前記第2電極層を前記絶縁層の表面上に作成することを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記半導体基板と組み合わせて、前記コンデンサを密封することを更に含むことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項1】
固体薄膜コンデンサ装置において、
第1表面を有する半導体基板と、
第1電極層と絶縁層と第2電極層とを含む薄膜コンデンサとを備えており、
前記第1電極層は、前記第1表面上に配置されて、遷移金属を含み、
前記絶縁層は、前記第1電極層上に配置されて、遷移金属の酸化物を含み、
前記第2電極層は、前記絶縁層上に配置されて、金属酸化物を含み、
前記絶縁層が、前記第1電極層及び前記第2電極層の間に配置されており、
前記半導体基板内に位置し、前記半導体基板及び前記第1電極層により取り囲まれている電気回路素子を備え、
前記固体薄膜コンデンサが、前記半導体基板の前記第1表面から延び、前記電気回路素子が、前記固体薄膜コンデンサ及び前記半導体基板により取り囲まれている
ことを特徴とする固体薄膜コンデンサ装置。
【請求項2】
前記第1電極層の実表面領域が、前記半導体基板の前記第1表面の表面領域の50%よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1電極層、前記絶縁層及び前記第2電極層の各々の実表面領域が、前記半導体基板の前記第1表面の表面領域の50%よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第1電極層の実表面領域が、前記半導体基板の前記第1表面の表面領域の50%よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記第1電極層、前記絶縁層及び前記第2電極層の各々の実表面領域が、前記半導体基板の前記第1表面の表面領域の90%よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記薄膜コンデンサの容量が、0.01マイクロファラッド〜0.5マイクロファラッドの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記薄膜コンデンサの周りに配置される密封構造体を更に備え、前記半導体基板と組み合わせて前記薄膜コンデンサの密封を形成することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記密封構造体が、前記半導体基板を更に取り囲むことを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記第1電極層の平均厚が、0.1マイクロメートル〜10マイクロメートルの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記絶縁層の平均厚が、0.05マイクロメータ〜1.0マイクロメータの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記第2電極層の平均厚が、0.1マイクロメータ〜10マイクロメータの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記遷移金属がタンタルであり、前記遷移金属の酸化物が酸化タンタルであり、前記金属酸化物が二酸化マンガンであることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記第1電極層及び前記第2電極層の各々の、前記絶縁層に接触する実表面が、前記半導体基板の前記第1表面の直交する長さ寸法及び幅寸法により確定される表面領域よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記第1電極層及び前記第2電極層が前記絶縁層に接触し、各々の層の実表面が、前記半導体基板の前記第1表面の直交する長さ寸法及び幅寸法により確定される表面領域よりも少なくとも2倍大きいことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項15】
第2薄膜コンデンサを更に備え、前記薄膜コンデンサと前記第2薄膜コンデンサとが直列に接触していることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項16】
第2薄膜コンデンサを更に備え、前記薄膜コンデンサと前記第2薄膜コンデンサとが並列に接触していることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項17】
埋込可能な作動装置内に含まれていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項18】
摂取可能な事象標識装置内に含まれていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記表面が多孔質表面であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項20】
少なくとも1つの表面が表面細密褶曲を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項21】
固体薄膜コンデンサを形成する方法において、
a.電気回路素子が少なくとも1つある半導体基板を提供することと、
b.前記半導体基板の遷移金属を含む第1表面上に、第1電極層を堆積することと、
c.前記第1電極層上に配置されるように、遷移金属の酸化物を含む絶縁層を堆積することと、
d.前記絶縁層上に配置されるように、金属酸化物を含む第2電極層を堆積することとを含んでおり、
前記絶縁層が、前記第1電極層と前記第2電極層との間に配置され、第1電極層、絶縁層及び第2電極層を含むことにより、薄膜コンデンサが形成され、前記薄膜コンデンサと前記半導体基板との組み合わせが前記電気回路素子を取り囲むようにしたことを特徴とする方法。
【請求項22】
陰極アーク蒸着により、前記第1電極層を前記半導体基板の表面上に堆積することを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記第1電極層の表面を酸化することにより、前記絶縁層を作成することを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項24】
化学気相堆積により、前記絶縁層を前記第1電極層の表面上に作成することを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項25】
スパッタ堆積により、前記第2電極層を前記絶縁層の表面上に作成することを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記半導体基板と組み合わせて、前記コンデンサを密封することを更に含むことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図12D】
【図12E】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図12D】
【図12E】
【公表番号】特表2013−500589(P2013−500589A)
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−521852(P2012−521852)
【出願日】平成22年7月23日(2010.7.23)
【国際出願番号】PCT/US2010/043128
【国際公開番号】WO2011/011736
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(505222679)プロテウス デジタル ヘルス, インコーポレイテッド (65)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月23日(2010.7.23)
【国際出願番号】PCT/US2010/043128
【国際公開番号】WO2011/011736
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(505222679)プロテウス デジタル ヘルス, インコーポレイテッド (65)
【Fターム(参考)】
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