説明

固定研磨粒子及びそれから作製される物品

研磨粒子は、外周を有する実質的に球状の金属含有マトリクスと、金属含有マトリクスの外周に少なくとも部分的に埋め込まれている約8マイクロメートル未満の平均直径を有する超砥粒材料とを含む。研磨粒子は、約200マイクロメートル未満の平均直径を有する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
物品(業界では時に「工作物」と呼ばれる)を研磨する又は仕上げるために、現在の業界では、研磨プロセスにおいてダイヤモンドスラリー等の研磨スラリーと共に金属ラップ盤を用いることを含む手法が行われている。スラリーの充填された金属盤を使用することの潜在的問題点の1つは、盤の表面が最終的に研磨スラリーで飽和するため、それ以上に工作物を仕上げる又は研磨することができなくなることである。飽和が生じると、ユーザは、典型的には研削により金属ラップ盤の表面を再仕上げすることを一般的に行う。この再仕上げプロセスには多くの労力を要する、その理由は、盤が重くて扱いにくく、時間がかかり、また懸濁液中に金属片を含有する廃棄物が生じるためである。研削再仕上げ工程はまた、破壊的なプロセスである、その理由は、各再研削中、金属ラップ盤の一部が除去されるためである。
【0002】
別の工業的手法では、固定研磨材を用いて工作物を研磨する又は仕上げることができる。固定研磨材は、典型的には、研磨層、接着剤、裏材、及び所望により他の適合する材料を含む。固定研磨剤が使用中実質的に平らな状態を保つことが非常に望ましい。固定研磨剤の不均一さは、不均一な研磨、望ましくない結果と言い換えられる。固定研磨剤は、典型的には、研磨鉱物(ダイヤモンド等)、裏材に鉱物を付着させるために用いられる樹脂、及び基材に研磨鉱物裏材を付着させる接着剤を有する。接着剤は典型的には、感圧性接着剤である。これら固定研磨剤を用いて、アルミナ−チタン−カーボン(AlTiC)ローバーを研磨することができる。研磨工程は、約10〜20ポンド/平方インチ(psi)及び最高041MPa(60psi)もの圧力で行われる。固定研磨剤に不均一さ、凹凸、及び/又はうねりが存在する場合、かかる固定研磨剤の使用は工作物のクラウニングを導く可能性がある。クラウニングは、工作物の望ましくない丸み又はそれによるロールオフである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示は、耐久性金属系研磨複合粒子を提供することにより、上記問題に取り組む。この粒子を用いて、実質的に平らな固定研磨物品を形成することができる。固定研磨物品の平坦さが制御されているため、この開示における種々の実施形態は、例えば、ハードディスクドライブに用いられる集積回路(IC)チップ又はローバーの半導体仕上げ等の仕上げ及び研磨用の用途を見出した。
【0004】
本開示は、約8マイクロメートル未満の平均直径を有する非常に小さな超砥粒材料を用いる金属系研磨粒子を提供する。1つの実施形態では、超砥粒材料は、約0.5マイクロメートル未満の平均直径を有する。別の実施形態では、超砥粒材料は、約0.2〜0.3マイクロメートルの平均直径を有する。これらの寸法では、超砥粒材料は粉末形態である。かかる微細な材料から研磨粒子を形成する際には、加工上の課題及び取扱上の課題がある。この開示では、本発明者らは、これらの課題にもかかわらず、研磨粒子及びその粒子から作製される固定研磨物品を製造する方法を見出した。更に、この固定研磨物品は、ハードディスクドライブ仕上げ業界の一部で現在用いられている、多くの労力を要する再加工プロセスを行う必要がない。
【0005】
本明細書に開示されている金属系研磨粒子はまた、スラリー型用途でも用いることができる。つまり、研磨粒子は、溶液中に分散して、例えば、金属ラップ盤、適合性パッド、又は宝石研磨若しくは光学レンズ研磨で用いられるもの等のタンブラ系と共に用いるための研磨スラリーを形成する。
【0006】
本開示はまた、光重合性接着剤の使用を通して、圧盤等の剛性基材に金属系研磨物品を付着させるための、有用で、コスト効率がよく、且つ製造可能なプロセスについて記載する。有利なことに、光重合性接着剤は、可視光源を用いて硬化され、可視光源は、例えば、紫外線源に比べて、業界で容易に入手可能であり、一般的に危険性が低いと認められている。1つの実施形態では、光重合性接着剤は、Bステージ化可能接着剤である。
【0007】
1つの態様では、本開示は、外周を有する実質的に球状の金属含有マトリクスと、金属含有マトリクスの外周に少なくとも部分的に埋め込まれている約8マイクロメートル未満の平均直径を有する超砥粒材料とを含む金属系研磨粒子に関する。各研磨粒子は、約200マイクロメートル未満の平均直径を有する。1つの実施形態では、研磨粒子は、約100マイクロメートル未満の平均直径を有する。別の実施形態では、研磨粒子は、約25〜35マイクロメートルの平均直径を有する。
【0008】
別の態様では、本開示は、(a)対向する第1の表面及び第2の表面を有する裏材と、(b)裏材の第1の表面上に配置される接着剤と、(c)接着剤上に配置される複数の研磨粒子であって、各研磨粒子が、外周を有する実質的に球状の金属含有マトリクスと、金属含有マトリクスの外周に少なくとも部分的に埋め込まれている約8マイクロメートル未満の平均直径を有する超砥粒材料とを含み、約200マイクロメートル未満の平均直径を有する研磨粒子と、を含む固定研磨物品に関する。
【0009】
更に別の態様では、本開示は、(a)対向する第1の表面及び第2の表面とを有する裏材を提供する工程と、(b)接着剤を基材の第1の表面上に塗布する工程と、(c)接着剤でコーティングされている裏材の第1の表面上に複数の研磨粒子を配置する工程であって、各複数の研磨粒子が、外周を有する実質的に球状の金属含有マトリクスと、金属含有マトリクスの外周に少なくとも部分的に埋め込まれている約8マイクロメートル未満の平均直径を有する超砥粒材料とを含み、約200マイクロメートル未満の平均直径を有する研磨粒子である工程と、を含む固定研磨物品を作製する方法に関する。研磨物品は、以下の更なる工程を用いて剛性基材に付着させることができる、(d)対向する第1の表面及び第2の表面を有する実質的に平らな第1の剛性基材を提供する工程と、(e)剛性基材の第1の表面上に光重合性接着剤を塗布する工程と、(f)固定研磨粒子を含有する裏材の第2の表面を、光重合性接着剤を含有する剛性基材の第1の表面に接触させて積み重ね体を形成する工程と、(g)固定研磨粒子を実質的に平らな第2の剛性基材で被覆して、光重合性接着剤を整列させることにより、研磨粒子の厚さの差を補正する工程と、(h)積み重ね体を可視光に曝露して、光重合性接着剤をガラス化させ、第1の剛性基材に固定研磨粒子の裏材を固着させるガラス化接着剤を得る工程。
【0010】
本明細書で使用する用語を以下に定義する。
「Bステージ化可能接着剤」とは、一般的に、接着剤が元来の塗布部位を超えて流れる現象であるスランピングを低減するために、接着剤が分配時に十分濃厚(又は粘稠)であることを意味する。
「延性」金属又は金属合金とは、引き伸ばす又は金槌で叩いて薄くすることができるものである。
「固定研磨物品」とは、一般的に、金属研磨粒子が基材に付着していることを意味する。
「金属含有マトリクス」とは、一般的に、超砥粒が付着している、埋め込まれている、若しくはその両方である金属又は金属合金を意味する。
「ガラス化接着剤」とは、一般的に、接着剤が光源、好ましくは可視光源を用いることにより、ガラス質に変換されていることを意味する。
【0011】
本開示は、図面を参照してより良く説明することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1a】それぞれ(i)露出面を有する金属合金粒子、及び(ii)金属合金ビーズの露出面に少なくとも部分的に埋め込まれている超砥粒材料を含有する研磨粒子の、4,000倍の倍率の走査型電子顕微鏡(SEM)画像。
【図1b】それぞれ(i)露出面を有する金属合金粒子、及び(ii)金属合金ビーズの露出面に少なくとも部分的に埋め込まれている超砥粒材料を含有する研磨粒子の、4,000倍の倍率の走査型電子顕微鏡(SEM)画像。
【図2a】それぞれ研磨に用いた前と後の研磨物品の1,200倍の倍率のSEM画像。
【図2b】それぞれ研磨に用いた前と後の研磨物品の1,200倍の倍率のSEM画像。
【図3】本開示に係る研磨物品を作製するための代表的なプロセスの概略図。
【図4】図3の研磨物品の剛性基材への付着の概略断面図。
【図5】図4の物品の剛性基材への硬化の概略断面図。
【0013】
図は理想化されており、一定の縮尺で描かれておらず、単に説明の目的だけを意図する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書において用いられる全ての数字は用語「約」で修飾されているとみなされる。終端点による数値範囲の列挙には、その範囲内に含まれる全ての数値が包含される(例えば、1〜5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5が包含される)。特に指示しない限り、本明細書で引用された全ての部は重量による。分子量は全て重量平均分子量である。
【0015】
図1aは、スズ−ビスマスの場合の金属合金ビーズのSEM画像を示す。図1bは、黒色の点として示されている、多結晶ダイヤモンドの超砥粒材料を複数含有するスズ−ビスマス金属合金マトリクスを有する研磨粒子のSEM画像を示す。
【0016】
図2aは、複数の研磨粒子が裏材に付着している固定研磨物品のSEM画像を示す。図に示すように、裏材に付着している粒子は、実質的に球状であり、付着している樹脂(接着剤とも呼ばれる)から突出しているドーム状部分を有している。図2bは、工作物を研磨するのに用いた後の固定研磨物品のSEM画像を示す。使用中、研削作用のために、ドーム状突出部の上部が円形の輪郭から平面的な輪郭に変化すると考えられる。ドーム状突出部は、視覚的には、部分的に切頭されているように見える。ドーム状突出部の外周に元来存在していた多結晶ダイヤモンドは、ここでは切頭型ドームの平面領域上に存在している。この形状では、多結晶ダイヤモンドは、工作物を研磨するための研磨材として特に有用である。更に、両方の図は、実質的に単層の構成において粒子間にギャップが存在するように、裏材の表面上に詰められている粒子を示す。図に示すように、これらの図では、図4及び5を参照して更に説明されるように、粒子間にギャップが存在することにより、照射された可視光が粒子層を通過することができる。
【0017】
図3は、本明細書に記載される研磨粒子を用いて固定研磨物品を作製するために用いることができる代表的なプロセスの概略図を示す。巻出ロール100から、対向する第1の表面10a及び第2の表面10bを有する裏材10が巻き出され、ローラー110に導かれ、そこで接着剤コーティングステーション120が、裏材10の第1の表面10aに接着剤12を塗布する。粘着性接着剤で接着剤コーティングされた裏材は、ホッパー130の下を通過し、そこに複数の研磨粒子14が落下する。研磨粒子は、接着剤コーティングされた裏材に付着し、固定研磨物品16が形成する。次いで、ウェブがローラー140上を通過し、そこで基材の裏材に接着していない過剰な研磨粒子が脱落し、再利用のために容器170に回収される。次いで、研磨粒子を含むウェブは1対のニップローラー150a及び150bを通過し、そこで粒子は基材の接着剤がコーティングされた第1の表面上で実質的に単層の構成にされる。次いで、このウェブは固定研磨物品の製品ロール160に巻き取られる。
【0018】
図4は、図3の研磨粒子の圧盤等の剛性基材への部分的付着の図の概略断面図を示す。研磨物品16は、接着剤12を用いて裏材10に付着している研磨粒子14を含む。裏材及び粒子は、厚さ及び直径が実質的に均一であるように表されているが、左右又は中央で厚さが変動してもよい。第1の剛性基材18の第1の表面18a上に、光重合性接着剤20を分配することができる。この図は、接着剤20が均一な厚さを有していなくてもよいことを示す。
【0019】
図5は、第1の剛性基材18と第2の剛性基材22との間に挟まれて積み重ね体を形成している図4の研磨物品の概略断面図を示す。第1の剛性基材18及び第2の剛性基材20の平坦さは、固定研磨粒子の平坦さに影響を与え得る。したがって、表面が非常に平坦であるであるだけでなく厚さも均一である第1の剛性基材及び第2の剛性基材を有することが有益である。第1の剛性基材及び第2の剛性基材の少なくとも1つは、可視光を通過させて接着剤20を光重合させることにより接着剤20をガラス化するために透明である。この図5では、可視光源170は、積み重ね体の粒子側に露出している。研磨粒子間に空間又はギャップが存在するため、照射された可視光の一部は光重合性接着剤層に通過する。第1の剛性基材が照射された可視光の一部を透過する限り、表面18aの通過等、第1の剛性基材を通して接着剤20を光重合させることは本開示の範囲内である。第1の剛性基材と固定研磨物品との間に接着結合を形成するために接着剤20を重合又はガラス化させた後、工作物の研磨又は仕上げに用いるための研磨工具上にこの組み合わせを実装できる。
【0020】
図1〜5は、裏材の第1の側面上に配置された金属系研磨粒子を示すが、裏材の反対側の第2の側面上に配置された研磨粒子を有することも本開示の範囲内である。更に、研磨粒子を、剛性基材の第1の側面若しくは第2の側面、又は両方の側面上に配置できる。
【0021】
別の用途では、金属系研磨粒子は、金属圧盤等の剛性基材の表面上に配置され、1層超の粒子を有する。この場合、研磨粒子は、粒子が重なり合って積み重なるように、圧盤の第1の表面上に充填される。研磨粒子は、例えば、室温硬化エポキシ樹脂系を用いて圧盤の表面に配置又は付着できる。多層研磨粒子が、圧盤表面に付着できる。
【0022】
1つの態様では、研磨粒子は、金属含有マトリクス(大部分は球状)、超砥粒、及び粉砕媒体を容器に充填することにより作製できる。次いで、典型的には室温で、一定の期間容器を粉にする。圧延プロセスにより超砥粒材料が金属含有マトリクスに侵入し、付着し、金属含有マトリクスから突出すると考えられる。金属含有マトリクスの外周は、純金属又は金属合金から超砥粒と金属又は金属合金との複合材に変化する。外周近傍の金属含有マトリクスの表面も超砥粒材料を含み、これは金属含有マトリクスに埋め込まれているとみなされる。表面下の超砥粒材料は、外周から突出している超砥粒材料を局部的に硬くすることにより、研磨粒子の性能を向上させると考えられる。性能の向上とは、一般的に、研磨粒子の研磨耐用期間が延び、工作物の材料の除去速度が速くなることを意味する。露出している超砥粒材料が、工作物を研削、研磨、又は仕上げる。圧延プロセス後、典型的には、混合物をふるい等の分離器に通し、そこで粉砕媒体を研磨粒子から分離する。金属含有マトリクスとして用いるのに好適な材料としては、スズ、スズ−ビスマス合金等のスズ合金、及び銅、インジウム、鉄等の他の延性金属、並びにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。他の延性金属又は金属合金を用いてもよい。超砥粒材料として用いるのに好適な材料としては、ダイヤモンド、多結晶ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素が挙げられるが、これらに限定されない。超砥粒の種々の組み合わせを用いてもよい。
【0023】
裏材に用いることができる種々の材料としては、ポリエステルテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリカーボネート、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
本開示では、可視光により重合され得る限り、任意の光重合性接着剤を用いてもよい。1つの実施形態では、可視光による重合後の光重合性接着剤のガラス転移温度(T)は、20℃超である。接着剤の成分を混合するプロセス中、接着剤の成分を可視光に曝露しないよう注意する必要がある。好適な光重合性接着剤としては、以下の参照文献に開示されているものが挙げられる。米国特許第4,735,632号「Coated Abrasive Binder Containing Ternary Photinitiator System」、同第4,828,583号「Coated Abrasive Binder Containing Ternary Photo−initiator System」、米国特許第5,545,676号「Ternary Photoinitiator System for Addition Polymerization」、同第5,998,495号「Ternary Photoinitiator System for Curing Epoxy/Polyol Resin Compositions」、同第6,025,406号「Ternary Photoinitiator System for Curing Epoxy Resins」、同第6,043,295(2000)号「Ternary Photoinitiator System for Curing of Epoxy Resins」、同第6,187,833号「Ternary Photoinitiator System for Curing Epoxy/Polyol Resin Compositions」、同第6,187,836号「Compositions Featuring Cationically Active and Free Radically Active Functional Groups and Methods for Polymerizing Such Compositions」、同第6,395,124号「Method of Producing a Laminated Structure」、同第6,765,036号「Ternary Photoinitiator System for Cationically Polymerizable Resins」、及び同第7,262,228号「Photoinitiator Systems with Anthracene−Based Electron Donors for Curing Cationically Polymerizable Resins」。
【0025】
本開示で使用するのに特に有用な光重合性接着剤は、米国特許第7,262,228号に記載されており、これは、(i)カチオン重合性樹脂と、(ii)ヨードニウム塩、可視光増感剤、及び電子供与体化合物、又は電子供与体化合物の組み合わせを含む光反応開始剤系とを含む光重合性組成物を提供する。電子供与体化合物(1又は複数)は、アントラセン系である。
【0026】
有用なカチオン重合性樹脂としては、例えば、エポキシ(ケイ素含有エポキシを含む)、オキセタン、スピロ−オルトカーボネート、及びビニルエーテル樹脂、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0027】
有用なエポキシ樹脂は、オキシラン環、即ち以下の式の基を有する有機化合物である。
【化1】


これは、開環により重合可能である。そのような材料は、概してエポキシドと呼ばれるものであり、モノマー型エポキシ化合物とポリマー型エポキシドとがあり、脂肪族、脂環式、芳香族、又は複素環式であり得る。これらの物質は一般に、平均で、1分子あたり少なくとも1つの重合性エポキシ基を有し、好ましくは1分子あたり少なくとも約1.5、より好ましくは少なくとも約2つの重合性エポキシ基を有する。ポリマー型エポキシドとしては、末端エポキシ基を有する直鎖状のポリマー(例えば、ポリオキシアルキレングリコールのジグリシジルエーテル)、骨格にオキシラン単位を有するポリマー(例えば、ポリブタジエンポリエポキシド)、及びペンダントエポキシ基を有するポリマー(例えば、グリシジルメタクリレートポリマー又はコポリマー)などが挙げられる。エポキシドは、純粋な化合物であってもよく又は1分子当たり1個、2個又はそれ以上のエポキシ基を含有する化合物の混合物であってもよい。1分子あたりのエポキシ基の「平均」数は、エポキシ樹脂中のエポキシ基の総数を、存在するエポキシ含有分子の総数で除することにより求められる。
【0028】
これらのエポキシ樹脂は、低分子量モノマー物質から高分子量ポリマーまで多岐にわたっていてもよく、その骨格及び置換基の性質によって大きく異なる場合がある。例えば、骨格は任意の種類であってもよく、その骨格上の置換基は、室温でカチオン重合に実質的に干渉しない任意の基であってもよい。許容しうる置換基の例は、ハロゲン、エステル基、エーテル、スルホネート基、シロキサン基、ニトロ基、リン酸基等である。エポキシ樹脂の分子量は、約58〜約100,000又はそれ以上にわたって変化してもよい。
【0029】
特に好ましいエポキシ樹脂としては、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−2−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−2−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、及びビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジパートに代表されるエポキシシクロヘキサンカルボキシレートのようなシクロヘキセンオキシド基を含有するものが挙げられる。この性質の有用なエポキシドの更に詳細な一覧には、米国特許第3,117,099号、及び同第6,245,828号、国際公開第01/51540号、欧州特許公開第0 412 430号、及び特開昭51−033541号を参照する。他の有用なエポキシ樹脂としては、以下の式のグリシジルエーテルモノマーが挙げられる。
【化2】


式中、R’はアルキル又はアリールであり、nは1から6の整数である。例は、エピクロロヒドリン(例えば、2,2−ビス−(2,3−エポキシプロポキシフェノール)プロパンのジグリシジルエーテル)などの過剰のクロロヒドリンを多価フェノールと反応させることにより得られる多価フェノールのグリシジルエーテルである。この種のエポキシドの更なる例が、米国特許第3,018,262号、並びにLee及びNevilleによるHandbook of Epoxy Resins,McGraw−Hill Book Co.,New York(1967)に記載されている。
【0030】
本明細書において用い得る市販のエポキシ樹脂が多数存在する。具体的には、容易に入手可能なエポキシドとしては、オクタデシレンオキシド、エピクロロヒドリン、スチレンオキシド、ビニルシクロヘキセンオキシド、グリシドール、グリシジルメタクリレート、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(例えば、Shell Chemical Co.から商品名「Epon 828」、「Epon 825」、「Epon 1004」及び「Epon 1010」として、Dow Chemical Co.から「DER−331」、「DER−332」、及び「DER−334」として入手可能なもの)、ビニルシクロヘキセンジオキシド(例えば、Dow Chemical Co.の子会社であるUnion Carbide Corp.製「ERL−4206」)、3,4−エポキシシクロへキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート(例えば、Union Carbide Corp.製「ERL−4221」又は「CYRACURE UVR 6110」又は「UVR 6105」)、3,4−エポキシ−6−メチルシクロへキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチル−シクロヘキセンカルボキシレート(例えば、Union Carbide Corp.製「ERL−4201」)、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロへキシルメチル)アジパート(例えば、Union Carbide Corp.製「ERL−4289」)、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル(例えば、Union Carbide Corp.製「ERL−0400」)、ポリプロピレングリコールから修飾された脂肪族エポキシ(例えば、Union Carbide Corp.製「ERL−4050」及び「ERL−4052」)、ジペンテンジオキシド(例えば、Union Carbide Corp.製「ERL−4269」)、エポキシ化ポリブタジエン(例えば、FMC Corp.製「Oxiron 2001」)、エポキシ官能基を有するシリコーン樹脂、難燃剤エポキシ樹脂(例えば、Dow Chemical Co.「DER−580」、臭素化ビスフェノール型エポキシ樹脂)、フェノールホルムアルデヒドノボラックの1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル(例えば、Dow Chemical Co.製「DEN−431」及び「DEN−438」)、及びレゾルシノールジグリシジルエーテル(例えば、Koppers Company,Inc.製「Kopoxite」)、ビス(3,4−エポキシシクロへキシル)アジパート(例えば、Union Carbide Corp.製「ERL−4299」又は「UVR−6128」)、2−(3,4−エポキシシクロへキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン(例えば、Union Carbide Corp.製「ERL−4234」)、ビニルシクロヘキセンモノオキシド1,2−エポキシヘキサデカン(例えば、Union Carbide Corp.製「UVR−6216」)、アルキルグリシジルエーテル、例えば、アルキルC〜C10グリシジルエーテル(例えば、Shell Chemical Co.製「HELOXY Modifier 7」)、アルキルC12〜C14グリシジルエーテル(例えば、Shell Chemical Co.製「HELOXY Modifier 8」)、ブチルグリシジルエーテル(例えば、Shell Chemical Co.製「HELOXY Modifier 61」)、クレシルグリシジルエーテル(例えば、Shell Chemical Co.製「HELOXY Modifier 62」)、p−t−ブチルフェニルグリシジルエーテル(例えば、Shell Chemical Co.製「HELOXY Modifier 65」)、多官能性グリシジルエーテル、例えば、1,4−ブタンジオールのジグリシジルエーテル(例えば、Shell Chemical Co.製「HELOXY Modifier 67」)、ネオペンチルグリコールのジグリシジルエーテル(例えば、Shell Chemical Co.製「HELOXY Modifier 68」)、シクロヘキサンメタノールのジグリシジルエーテル(例えば、Shell Chemical Co.製「HELOXY Modifier 107」)、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル(例えば、Shell Chemical Co.製「HELOXY Modifier 44」)、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル(例えば、Shell Chemical Co.製「HELOXY Modifier 48」)、脂肪族ポリオールのポリグリシジルエーテル(例えば、Shell Chemical Co.製「HELOXY Modifier 84」)、ポリグリコールジエポキシド(例えば、Shell Chemical Co.製「HELOXY Modifier 32」)、ビスフェノールFエポキシド(例えば、Ciba−Geigy Corp.製「EPN−1138」又は「GY−281」)、9,9−ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)−フェニル]フルオレノン(例えば、Shell Chemical Co.製「Epon 1079」)が挙げられる。
【0031】
更に他の有用なエポキシ樹脂は、アクリル酸エステル又はグリシドール、例えばグリシジルアクリレート及びグリシジルメタクリレートと、1つ以上の共重合可能なビニル化合物とのコポリマーを含有する。こうしたコポリマーの例は、1:1スチレン−グリシジルメタクリレート、1:1メチルメタクリレート−グリシジルアクリレート、及び62.5:24:13.5メチルメタクリレート−エチルアクリレート−グリシジルメタクリレートである。
【0032】
他の有用なエポキシ樹脂としては、エピクロロヒドリン、アルキレンオキシド、例えば、プロピレンオキシド、スチレンオキシド;アルケニルオキシド、例えば、ブタジエンオキシド;グリシジルエステル、例えば、エチルグリシデートが挙げられる。
【0033】
特に好ましいエポキシドは、ケイ素を含有するものであり、その有用な例は、国際公開第01/51540号に記載されており、例えば、7−オキサビ−シクロ[4.1.0]ヘプタン;3,3’,3’’,3’’’−[(2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン−2,4,6,8−テトライル)テトラ−2,1−エタンジイル]テトラキス−;7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン,3,3’,3’’,3’’’,3’’’’−[(2,4,6,8,10−ペンタメチルシクロ−ペンタ−シロキサン−2,4,6,8,10−ペンタイル)ペンタ−2,1−エタンジイル]ペンタキス−,シラン;メチルビス[2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−イル)エチル]フェニル−;シラン,ジメチルビス[2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−イル)メチル]−;シラン,ジメチル[2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−イル)メチル][2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−イル)エチル]−;シラン,1,4−フェニレンビス[ジメチル[2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−イル)エチル]]−;シラン1,2−エチレンビス[ジメチル[2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−イル)エチル]]−;シラン;ジメチルビス[2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−イル)エチル]−;1,3−ビス[2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチル]−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン;シラン2,5−biシクロ[2.2.1.]ヘプチレンビス[ジメチル[2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−イル)エチル]]−;シラン1,6−ヘキシレンビス[ジメチル[2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−イル)エチル]]−;シラン1,1’,1’’−(1,2,4−シクロへキシレントリス(ジメチル[2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−イル)エチル]))−;トリシロキサン,3−[[ジメチル[2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−イル)エチル]シリル]オキシ]−1,1,5,5−テトラメチル−1,5−ビス[2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−イル)エチル]−3−フェニル−;ジシロキサン1,1’,1’’−(1,2,4−シクロヘキサントリイルトリ−2,1−エタンジイル)トリス[1,1,3,3−テトラメチル−3−[2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−イル)エチル]]−;トリシロキサン,3,3−ビス[[ジメチル[2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−イル)エチル]シリル]オキシ]−1,1,5,5−テトラメチル−1,5−ビス[2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−イル)エチル]−;トリシロキサン,3−[[ジメチル[2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−イル)エチル]シリル]オキシ]−1,1,3,5,5−ペンタメチル−1,5−ビス[2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−イル)エチル]−1,3,5,7−テトラキス(2,1−エタンジイル−3,4−エポキシシクロへキシル)−1,3,5,7−テトラメチルシクロ−テトラシロキサン、及び1,3,5,7,9−ペンタキス(2,1−エタンジイル−3,4−エポキシシクロへキシル)−1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロペンタシロキサンである。
【0034】
上記エポキシ樹脂に加えて、光重合性接着剤は、所望により、米国特許第5,545,676号に記載されているような、少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合を有するモノマーを含むことができる。これらのモノマーは、光重合性接着剤を、よりBステージ化可能にすることができる。有用なモノマーとしては、ジ−又はポリ−(メタ)アクリレート、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ヘキシルアクリレート、ステアリルアクリレート、アリルアクリレート、グリセロールジアクリレート、グリセロールトリアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート(ジメタクリレート)、1,3−プロパンジオールジアクリレート、1,3−プロパンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリメタクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、ビス[1−(2−アクリルオキシ)]−p−エトキシフェニルジメチルメタン,ビス[1−(3−アクリルオキシ−2−ヒドロキシ)]−p−プロポキシフェニルジメチルメタン、トリスヒドロキシエチル−イソシアヌレートトリメタクリレート;分子量200〜500のポリエチレングリコールのビス−アクリレート及びビス−メタクリレート、米国特許第4,652,274号に記載のもの等のアクリレート化オリゴマーと同第4,642,126号に記載のもの等のアクリレート化オリゴマーとの共重合可能な混合物;不飽和アミド、例えば、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、ジエチレントリアミントリス−アクリルアミド及びベータ−メタクリルアミノエチルメタクリレート;並びにビニル化合物、例えば、スチレン、ジアリルフタレート、ジビニルスクシネート、ジビニルアジパート、及びジビニルフタレートが挙げられる。所望により、2つ以上のモノマーの混合物を用いることができる。
【0035】
更に、光重合性接着剤は、所望により、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つのヒドロキシル官能基を有するヒドロキシル含有物質を含むことができる。ポリオールは、エポキシ樹脂と反応することができ、架橋剤として、また光重合性接着剤の硬化速度を上昇させる機能を有する。好ましくは、ヒドロキシル含有物質は、2つ以上の一級又は二級脂肪族ヒドロキシル基(即ち、ヒドロキシル基が非芳香族炭素原子に直接結合している)を含有する。ヒドロキシル基は、末端に位置する場合があり、又はポリマー若しくはコポリマーからのペンダントである場合もある。ヒドロキシル含有有機物質の分子量は、非常に低い(例えば、32)から非常に高い(例えば、百万以上)まで変動し得る。好適なヒドロキシル含有物質は、低分子量、即ち、約32〜200、中分子量、即ち、約200〜10,000、又は高分子量、即ち、約10,000超を有することができる。
【0036】
ヒドロキシル含有物質は、所望により、室温でカチオン重合に実質的に干渉しない他の官能基を含有し得る。したがって、ヒドロキシル含有物質は事実上非芳香族あってもよく、又は芳香族官能基を含有してもよい。ヒドロキシル含有物質は、最終的なヒドロキシル含有物質が室温でカチオン重合に実質的に干渉しない限り、所望により分子の骨格に、窒素、酸素、イオウなどのへテロ原子を含有することができる。ヒドロキシル含有物質は、例えば、天然由来又は合成調製されたセルロース系物質から選択され得る。無論、ヒドロキシル含有物質はまた、熱不安定性又は光分解不安定性であり得る基を実質的に含まない、即ち、物質は、約100℃未満の温度において、又は光共重合性組成物の所望の重合状態の間に遭遇する場合がある化学光の存在下において、揮発性成分を分解又は遊離しない。
【0037】
1個のヒドロキシル官能基を有する好適なヒドロキシル含有物質の代表的な例としては、アルカノール、ポリオキシアルキレングリコールのモノアルキルエーテル、アルキレン−グリコールのモノアルキルエーテル、及び当該技術分野において既知である他のものが挙げられる。
【0038】
有用なモノマーポリヒドロキシ有機物質の代表的な例としては、アルキレングリコール(例えば、1,2−エタンジオール;1,3−プロパンジオール;1,4−ブタンジオール;1,6−ヘキサンジオール;1,8−オクタンジオール;2−エチル−1,6−ヘキサンジオール;ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン;1,18−ジヒドロキシオクタデカン;3−クロロ−1,2−プロパンジオール);ポリヒドロキシアルカン(例えば、グリセリン、トリ−メチロールエタン、ペンタエリスリトール、ソルビトール)、及びN,N−ビス(ヒドロキシエチル)ベンズアミド等の他のポリヒドロキシ化合物;2−ブチン−1,4−ジオール;4,4−ビス(ヒドロキシメチル)ジフェニルスルホン;ヒマシ油等が挙げられる。
【0039】
有用なポリマーヒドロキシル含有物質の代表的な例としては、ポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレングリコールが挙げられ、具体的には、ジオールの場合100〜5000、又はトリオールの場合70〜3300のヒドロキシ当量に相当する約200〜約10,000の分子量を有するポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレングリコールジオール及びトリオール;分子量が変動するポリテトラヒドロフラン又は「ポリTHF」等のポリテトラメチレンエーテルグリコール;ヒドロキシプロピル及びヒドロキシエチルアクリレート及びメタクリレートと、アクリレートエステル、ビニルハロゲン化物、又はスチレン等の他のフリーラジカル重合性モノマーとのコポリマー;酢酸ビニルコポリマーの加水分解又は部分的加水分解により形成されるペンダントヒドロキシ基を含むコポリマー、ペンダントヒドロキシル基を含むポリビニルアセタール樹脂;ヒドロキシエチル化及びヒドロキシプロピル化セルロース等の変性セルロースポリマー;ヒドロキシ−終端ポリエステル;ヒドロキシ−終端ポリアクトン、及び特にポリカプロラクトン;フッ素化ポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレングリコール;並びにヒドロキシ−終端ポリアルカジエンである。
【0040】
有用な市販のヒドロキシル含有物質としては、「TERATHANE」シリーズのポリテトラメチレンエーテルグリコール、例えば、「TERATHANE」650、1000、2000及び2900(du Pont de Nemours,Wilmington,DEから入手可能)、平均分子量250のポリテトラヒドロフラン(Sigma−Aldrich,St.Louis,MOから入手可能)、「PEP」シリーズの二級ヒドロキシル基を有するポリオキシアルキレンテトロール、例えば、「PEP」450、550及び650;「BUTVAR」シリーズのポリビニルアセタール、例えば、「BUTVAR」B−72A、B−73、B−76、B−90及びB−98(Monsanto Chemical Company,St.Louis,MOから入手可能);並びに「FORMVAR」シリーズの樹脂、例えば、7/70、12/85、7/95S、7/95E、15/95S及び15/95E(Monsanto Chemical Companyから入手可能);「TONE」シリーズのポリカプロラクトンポリオール、例えば、「TONE」0200、0210、0230、0240、0300及び0301(Union Carbideから入手可能);「PARAPLEX U−148」脂肪族ポリエステルジオール(Rohm and Haas,Philadelphia,PAから入手可能)、「MULTRON」Rシリーズの飽和ポリエステルポリオール、例えば、「MULTRON」R−2、R−12A、R−16、R−18、R−38、R−68及びR−74(Mobay Chemical Co.から入手可能);約100の当量を有する「KLUCEL E」ヒドロキシプロピル化セルロース(Hercules Inc.から入手可能);約400のヒドロキシル当量を有する「Alcohol Soluble Butyrate」セルロースアセテートブチラートエステル(Eastman Kodak Co.,Rochester,NYから入手可能);ポリエーテルポリオール、例えば、ポリプロピレングリコールジオール(例えば、「ARCOL PPG−425」、「Arcol PPG−725」、「ARCOL PPG−1025」、「ARCOL PPG−2025」、「ARCOL PPG−3025」、「ARCOL PPG−4025」 ARCO Chemical Co.製);ポリプロピレングリコールトリオール(例えば、「ARCOL LT−28」、「ARCOL LHT−42」、「ARCOL LHT 112」、「ARCOL LHT 240」、「ARCOL LG−56」、「ARCOL LG−168」、「ARCOL LG−650」(ARCO Chemical Co.製);エチレンオキシド末端保護ポリオキシプロピレントリオール又はジオール(例えば、「ARCOL 11−27」、「ARCOL 11−34」、「ARCOL E−351」、「ARCOL E−452」、「ARCOL E−785」、「ARCOL E−786」(ARCO Chemical Co.製);エトキシ化ビス−フェノールA;プロピレンオキシド又はエチレンオキシド系ポリオール(例えば、「VORANOL」ポリエーテルポリオール(Dow Chemical Co.製)が挙げられる。
【0041】
所望によりpにおいて用いられるヒドロキシル含有有機物質の量は、ヒドロキシル含有物質と樹脂との適合性、ヒドロキシル含有物質の当量及び官能基、最終硬化組成物における所望の物理的特性、所望の光重合速度などのような要因に依存して、広い範囲にわたって変化してもよい。
【0042】
光重合性接着剤で用いるための光反応開始剤系の一部を形成する有用な可視光増感剤は、上記カチオン重合性樹脂に部分的に又は完全に可溶性であるべきである。増感剤はまた、カチオン重合プロセスに実質的に干渉する官能基を含まず、約400〜約1000ナノメートルの範囲内の波長のどこかで光を吸収することができなければならない。好ましい可視光増感剤は、1つ以上のカルボニル官能基を含有する。
【0043】
好適な可視光増感剤は、以下の分類の化合物を含んでもよい。ケトン、クマリン染料(例えば、ケトクマリン)、キサンテン染料、フルオロン染料、フルオレセイン染料、アミノケトン染料、p−置換アミノスチリルケトン化合物、及びこれらの組み合わせ。ケトン(例えば、モノケトン又はアルファ−ジケトン)、クマリン染料(例えば、ケトクマリン)、キサンテン染料、フルオロン染料、及びフルオレセイン染料が、特に好ましい可視光増感剤である。深い硬化(例えば、高度充填複合材の硬化)を必要とする用途の場合、光重合に望ましい照射波長で、約1,000 lmole−1cm−1未満、より好ましくは約又は100 lmole−1cm−1未満の減衰係数を有する増感剤を用いるのが好ましい。アルファ−ジケトンは、この特性を有する可視光増感剤の部類の例であり、歯科用途に特に好ましい。深い硬化はまた、光への曝露時に増感剤の減衰係数が低下する場合、1000 lmole−1cm−1超の減衰係数を有する可視光増感剤を用いて達成され得る。キサンテン染料、フルオロン染料、及びフルオレセイン染料は、この特性を有する可視光増感剤の部類の例である。
【0044】
1例として、ケトン可視光増感剤の好ましい部類は、以下の式を有する:
ACO(X)
式中、XはCO又はCRであり、ここでR及びRは同一であることも又は異なることもでき、且つ水素、アルキル、アルカリール又はアラルキルであることができ、bは0であり、A及びBは同一であることも又は異なることもでき、且つ置換(1つ以上の非干渉置換基を有する)若しくは非置換アリール、アルキル、アルカリール、若しくはアラルキル基であることができるか、又はA及びBは、置換若しくは非置換脂環式環、芳香環、芳香族複素環若しくは縮合芳香環であり得る環状構造を共に形成し得る。
【0045】
上記式の好適なケトンとしては、2,2−、4,4−又は2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、ジ−2−ピリジルケトン、ジ−2−フラニルケトン、ジ−2−チオフェニルケトン、ベンゾイン、フルオレノン、カルコン、ミヒラーケトン、2−フルオロ−9−フルオレノン、2−クロロチオキサントン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、1−又は2−アセトナフトン、9−アセチルアントラセン、2−、3−又は9−アセチルフェナアントレン、4−アセチルビフェニル、プロピオフェノン、n−ブチロフェノン、バレロフェノン、2−、3−又は4−アセチルピリジン、3−アセチルクマリンなどのようなモノケトン(b=0)が挙げられる。好適なジケトンとしては、アントラキノン、フェナントレンキノン、o−、m−及びp−ジアセチルベンゼン、1,3−、1,4−、1,5−、1,6−、1,7−及び1,8−ジアセチルナフタレン、1,5−、1,8−及び9,10−ジアセチルアントラセンなどのようなアラルキルジケトンが挙げられる。好適なl−ジケトン(b=1及びx=CO)としては、2,3−ブタンジオン、2,3−ペンタンジオン、2,3−ヘキサンジオン、3,4−ヘキサンジオン、2,3−ヘプタンジオン、3,4−ヘプタンジオン、2,3−オクタンジオン、4,5−オクタンジオン、ベンジル、2,2’−3,3’−及び4,4’−ジヒドロキシルベンジル、フリル、ジ−3,3’−インドリルエタンジオン、2,3−ボルナンジオン(カンファーキノン)、ビアセチル、1,2−シクロヘキサンジオン、1,2−ナフタキノン、アセナフタキノン、1−フェニル−1,2−プロパンジオール等が挙げられる。
【0046】
特に好ましい可視光増感剤の例としては、アルファ−ジケトン:カンファーキノン;グリオキサール;ビアセチル;3,3,6,6−テトラメチルシクロヘキサンジオン;3,3,7,7−テトラメチル−1,2−シクロヘプタンジオン;3,3,8,8−テトラメチル−1,2−シクロオクタンジオン;3,3,18,18−テトラメチル−1,2−シクロオクタデカンジオン;ジピバロイル;ベンジル;フリル;ヒドロキシベンジル;2,3−ブタンジオン;2,3−ペンタンジオン;2,3−ヘキサンジオン;3,4−ヘキサンジオン;2,3−ヘプタンジオン;3,4−ヘプタンジオン;2,3−オクタンジオン;4,5−オクタンジオン;1,2−シクロヘキサンジオン,及び1−フェニル−1,2−プロパンジオンが挙げられる。無論、カンファーキノンが最も好ましい可視光増感剤である。
【0047】
好ましいフルオロン染料の例としては、フルオレセイン、4’5’−ジブロモフルオレセイン、エリスロシンB、エチルエオシン、エオシンY、及びエリスロシン、黄味がかったブレンドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
光反応開始剤の別の成分は、アントラセン系電子供与体化合物又はかかる化合物の組み合わせである。種々のアントラセン系化合物を光反応開始剤系で用いることができ、一般的に、アントラセン系電子供与体化合物を除いたこと以外は同じ組成物と比べて、所望の波長の可視光に曝露したとき、カチオン重合性樹脂を含む組成物の重合速度及び/又は重合の深さを増大させることができる。
【0049】
より詳細には、以下に示された化学構造Iに適合するアントラセン系電子供与体化合物を使用できる。
【化3】

【0050】
上記構造Iでは、R〜R10置換基は、カチオン重合に実質的に有害な効果を有さない任意の置換基であってもよく、H、アルキル基、アリール基、及び/又はアルコキシ基から独立して選択され、好ましくは、C〜C10アルキル基及び/又はC〜C10アルコキシ基である。最も好ましいR−基の置換基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、t−ブチル、メトキシ、及びエトキシである。
【0051】
特に有用なアントラセン系化合物としては、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン(EDMOA)、9,10−ジメチルアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、1,4−ジメトキシアントラセン、9−メチルアントラセン、2−エチルアントラセン、2−t−ブチルアントラセン、2,6−ジ−t−ブチルアントラセン、9,10−ジフェニル−2,6−ジ−t−ブチルアントラセン、及びそれらの組み合わせが挙げられる。2,6−ジ−t−ブチルアントラセン誘導体以外のこれらの化合物の全ては、Sigma−Aldrich,St.Louis,MOから入手できる。
【0052】
1つの実施形態では、光反応開始剤系は、2つ以上のアントラセン系化合物の組み合わせを含む。混合物は、構造Iの置換アントラセンと組み合わせられる、非置換アントラセン(即ち、R1〜10は全てHである)、又は最大約400ナノメートル未満の光吸収を有する別のアントラセンを含んでもよく、好ましくは、アルキル又はアルコキシ置換アントラセン、例えば、EDMOA、2,6−ジ−t−ブチルアントラセン又は9,10−ジメチルアントラセンを含んでもよい。或いは、系は、2つ以上の置換アントラセンを含んでもよい。
【0053】
或いは、本明細書に開示される好ましいアントラセン系化合物の多くは、任意の更なるアントラセン系化合物の非存在下で用いられるときでさえも、性能の向上を示す。具体的には、アルコキシ置換アントラセン、例えば、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン(EDMOA)、9,10−ジエトキシアントラセン、及び1,4−ジメトキシアントラセンは、唯一の電子供与体として用いられるとき、既に報告されているアントラセンに比べて、優れた硬化速度及び/又は硬化深さを有することが示されている。したがって、光反応開始剤系は、9,10−ジエトキシアントラセン、又は1,4−ジメトキシアントラセンを、単独で、又は1つ以上の更なる置換アントラセン、若しくは非置換アントラセンと組み合わせて含んでもよい。
【0054】
アントラセン系化合物は、好ましくは、以下の特性の1つ以上(より好ましくは、全てではなくとも数個の)を有してもよい。(a)重合性組成物に可溶性又は部分的に可溶性である、(b)組成物を光重合するために使用される光の波長、典型的には、可視光増感剤が最高の吸収を示す波長において顕著な量の光を吸収しない、これは、可視光増感剤の性能に悪影響を及ぼさないことを意味する、(c)飽和カロメル電極(SCE)に対して測定した場合、ゼロ超であるが、1,4−ジメトキシベンゼン未満である、酸化電位(Eox)を有する、(d)pkbは約8超である、(e)光重合性樹脂に対して付与する好ましくない色つきは高々ほんの僅かしかない、(f)引き起こす重合阻害はほんの僅かしかない。特定の組成物に対してアントラセン系化合物の選択に影響を与える可能性のあるその他の因子としては、選択された、カチオン重合性樹脂、ヨードニウム塩、及び可視光増感剤、並びにカチオン重合性組成物の保存安定性が挙げられる。
【0055】
好ましいアントラセン系化合物は、ゼロ超且つ1,4−ジメトキシベンゼン以下であるEoxを有するが、飽和カロメル電極(SCE)を用いて測定した場合、電子供与体化合物は約1.35ボルト未満のEoxを有することがより好ましく、Eoxが約0.5〜約1.34ボルト(対SCE)であることが更により好ましい。Eox値は実験的に測定できる、又は定評のある参照出典、例えばN.L.Weinburg,Ed.,Technique of Electroorganic Synthesis Part II Techniques of Chemistry,Vol.V(1975)及びC.K.Mann and K.K.Barnes,Electrochemical Reactions in Nonaqueous Systems(1970)から得ることもできる。
【0056】
有利なことに、アントラセン系電子供与体化合物は、電子供与体化合物を含まない組成物に比べて、カチオン重合性樹脂の重合速度(ゲルタイムで測定して)を加速できる。光重合性組成物の多くの用途に対して、米国公開特許第6,765,036号(Dede等)に報告されたようなゲルタイムプロトコルによって確定されたように、ゲルタイムは60分未満が好ましく、より好ましくは約10分未満であり、最も好ましくは約2分未満である。簡潔に述べると、カチオン重合性樹脂と所望の可視光増感剤、ヨードニウム塩、及び電子供与体化合物とを組み合わせ、均質になるまで混合することにより、特定のカチオン重合性組成物における重合速度に対する硬化について電子供与体化合物及び同等の化合物を評価した。光重合性組成物を、底面に直接接触した状態で固定されているポリエステルフィルムを備える直径6mm×厚さ2.5mmのテフロン型に移すことにより、各サンプルのゲルタイムを評価した。サンプルを、10mmの距離でVISILUX 2又はELIPAR Trilight(後者の場合、標準的な光強度モードを用いる)歯科用硬化光の光導体の直下に置いた。サンプルに最高120秒間照射し、硬く、粘着性のない表面が観察されるまで、プラスチックプローブで表面をプロービングすることによりゲルタイムを確定した。
【0057】
光開始剤系中の個々の構成要素は、光重合性において有効な量(即ち、カチオン重合性樹脂の光重合を開始することができることができる、又はより好ましくは、重合速度を加速することができる光開始剤系をもたらすに有効な量)で供給される。好ましくは、可視光増感剤は光重合性組成物全体を基準として約0.05重量%〜5.0重量%で存在し、さらに好ましくは約0.10重量%〜2.0重量%である。ヨードニウム塩は、組成物全体を基準として、好ましくは約0.05重量%〜10.0重量%で存在し、より好ましくは約0.10重量%〜5.0重量%であり、最も好ましくは約0.50重量%〜3.0重量%である。電子供与体化合物(1又は複数)(即ち、アントラセン)は、組成物全体を基準として、好ましくは約0.01重量%〜5.0重量%で存在し、より好ましくは約0.05重量%〜1.0重量%であり、最も好ましくは約0.05重量%〜0.50重量%である。
【0058】
光重合性接着剤は、単に「安全な光」条件下で成分を混合することにより調製される。この混合物をに影響を与えるとき、必要に応じて、好適な不活性溶媒を用いてもよい。接着剤の成分と感知できるほど反応しない限り、いかなる溶媒を用いてもよい。好適な溶媒の例としては、アセトン、ジクロロメタン、アセトニトリル、及びラクトンが挙げられる。重合される液体材料を別の重合される液体又は固体の材料の溶媒として使用できる。無溶媒の組成物は、穏やかに加熱して溶解を促進して又はせずに、単にヨードニウム錯塩、増感剤、及び電子供与体をカチオン重合性樹脂に溶解させることにより調製できる。
【実施例】
【0059】
(実施例1)
研磨粒子の形成
1リットルの容器に、平均直径20〜25マイクロメートルの共晶スズ−ビスマス灰色粉末(Indium Corp.of America,Utica,New York製)25グラム、0.5mmのジルコニア粉砕媒体(東ソー株式会社、日本、東京製)100グラム、及び多結晶ダイヤモンド(UK Abrasives,Northbrook,Illinois製)0.25グラムを充填した。この混合物を100毎分回転数で24時間粉砕して、ダイヤモンドをスズ−ビスマス粉末中及び上に沈着させた。灰色のスズ−ビスマス合金は、圧延後ほぼ黒色の多結晶ダイヤモンドに変化し、多結晶ダイヤモンドがスズ−ビスマス合金の外周のほぼ全体に付着していることが証明された。
【0060】
圧延後、混合物を40マイクロメートルのふるいに通して、粉砕媒体からダイヤモンドを含むスズ−ビスマス粒子(研磨粒子)を分離した。
【0061】
固定研磨物品の形成
同じ大きさのアルミニウム基材に付着している63.5×63.5cm(25×25インチ)のポリエステルテレフタレート(PET)シートを、PETがエポキシ/MEK溶液でわずかに曇るように、1部のエポキシ樹脂と50部のメチルエチルケトン(MEK)との溶液に浸漬した紙タオルで拭いた。
【0062】
次いで、上記のように作製した研磨粒子を曇ったPETに注いだ。次いで、傾けて軽く叩くことにより、曇ったPET上に研磨粒子を広げて、曇ったPETに付着しているほぼ単層の粒子を作製した。63.5×63.5cm(25×25インチ)のScotchpak(登録商標)1022剥離ライナのシート(3M Company,St.Paul,Minnesota製)で、実質的に単層の研磨粒子を被覆した。次いでゴムのローラーを用いて、他の粒子上に積み重ねられていてもよい任意の流れ出た粒子を曇ったPETに押し付けて、研磨物品を得た。
【0063】
可視光の非存在下で、5グラムのポリテトラヒドロフラン(Aldrich,Milwaukee,Wisconsin製)、94グラムの3,4−エポキシシクロヘキスルメチル−3,4−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート(Michigan製)、1グラムのRHODORSIL 2074(Bluestar Silicones,Rock Hill,South Carolina)として販売されている4−メチルフェニル−4−イソプロピルフェニルヨードニウム、0.2グラムのカンファーキノン(Aldrich製)、及び0.2グラムの1,4−ジメトキシアントラセン(Aldrich製)を容器に充填することにより、光重合性接着剤を作製した。混合物を室温で30時間攪拌した。
【0064】
可視光の非存在下で、光重合性接着剤が完全に圧盤を被覆するように、上記のように作製した光重合性接着剤を、ゴムのローラーを用いて第1の剛性基材の第1の表面、平面陽極酸化アルミニウム圧盤に塗布した。わずかに過剰な光重合性接着剤を用いて、研磨物品及び光重合性接着剤の厚さの変動をうまく補正することができた。上記のように作製した129×129cm2(20×20インチ)の正方形の固定研磨物品を、粒子の大きさをはかり、光重合性接着剤でコーティングされた圧盤に適用した。固定研磨物品をゴムのローラーを用いてなでて、捕捉されている気泡を全て除去した。清潔な50.8×50.8cm(20×20インチの)窓ガラスの平坦なシートを、接着剤粒子上に置いて、積み重ね体を得、それを10分間平衡化させた。その後、4つ積み重なった500ワットのハロゲンランプをガラスに向け、10分間ランプのスイッチを入れて、重合させ、接着剤をガラス化した。次いで、ランプを消し、積み重ね体を室温まで冷却した。1時間後、接着剤は重合したように見えた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)外周を有する実質的に球状の金属含有マトリクスと、(ii)前記金属含有マトリクスの前記外周に少なくとも部分的に埋め込まれている約8マイクロメートル未満の平均直径を有する超砥粒材料とを含み、約200マイクロメートル未満の平均直径を有する研磨粒子。
【請求項2】
前記超砥粒材料が、約0.2〜0.3マイクロメートルの平均直径を有し、前記粒子が、約50マイクロメートル未満の平均直径を有する、請求項1に記載の研磨粒子。
【請求項3】
前記金属含有マトリクスが、スズ、スズ合金、銅、銅合金、インジウム、インジウム合金、及び共晶スズ−ビスマス合金からなる群から選択される、請求項1に記載の研磨粒子。
【請求項4】
前記超砥粒材料が、ダイヤモンド、多結晶ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の研磨粒子。
【請求項5】
実質的に球状の金属含有マトリクスの表面下に配置された超砥粒材料を更に含む、請求項1に記載の研磨粒子。
【請求項6】
対向する第1の表面及び第2の表面を有する裏材と、
前記裏材の第1の表面及び第2の表面のうちの少なくとも1つの上に配置される接着剤と、
前記接着剤上に配置される複数の研磨粒子であって、各研磨粒子が、(i)外周を有する実質的に球状の金属含有マトリクスと、(ii)金属含有マトリクスの外周に少なくとも部分的に埋め込まれている約8マイクロメートル未満の平均直径を有する超砥粒材料とを含み、約200マイクロメートル未満の平均直径を有する研磨粒子と、を含む固定研磨物品。
【請求項7】
前記研磨粒子が、一部の粒子の間にギャップが存在する実質的に単層構成である、又は前記研磨粒子が互いに積み重なっている、請求項6に記載の固定研磨物品。
【請求項8】
前記裏材の第2の表面が研磨粒子を含有せず、前記固定研磨物品が、光重合性接着剤で前記裏材の第2の表面に付着している剛性基材を更に含む、請求項6に記載の固定研磨物品。
【請求項9】
物品の40.6cm(16インチ)のサンプルの高さの差が約2マイクロメートル未満であるように実質的に平らである、請求項8に記載の固定研磨物品。
【請求項10】
前記裏材が可視光を透過し、前記光重合性接着剤が、約400〜1000ナノメートルの波長を有する可視光を用いて硬化される、請求項8に記載の固定研磨物品。
【請求項11】
前記超砥粒材料が、約0.2〜0.3マイクロメートルの平均直径を有し、前記粒子が、約50マイクロメートル未満の平均直径を有する、請求項6に記載の研磨粒子。
【請求項12】
前記金属含有マトリクスが、スズ、スズ合金、銅、銅合金、インジウム、インジウム合金、及び共晶スズ−ビスマス合金からなる群から選択される、請求項6に記載の研磨粒子。
【請求項13】
前記超砥粒材料が、ダイヤモンド、多結晶ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項6に記載の粒子。
【請求項14】
対向する第1の表面及び第2の表面を有する裏材を提供する工程と、
接着剤を前記基材の第1の表面上に塗布する工程と、
接着剤でコーティングされている裏材の第1の表面上に複数の研磨粒子を配置する工程であって、各研磨粒子が、(i)外周を有する実質的に球状の金属含有マトリクスと、(ii)金属含有マトリクスの外周に少なくとも部分的に埋め込まれている約8マイクロメートル未満の平均直径を有する超砥粒材料とを含み、約200マイクロメートル未満の平均直径を有する研磨粒子である工程と、を含む固定研磨物品を作製する方法。
【請求項15】
対向する第1の表面及び第2の表面を有する実質的に平らな第1の剛性基材を提供する工程と、
前記剛性基材の前記第1の表面上に光重合性接着剤を塗布する工程と、
固定研磨粒子を含有する前記裏材の前記第2の表面を、光重合性接着剤を含有する前記剛性基材の前記第1の表面に接触させて積み重ね体を形成する工程と、
固定研磨粒子を実質的に平らな第2の剛性基材で被覆して、光重合性接着剤を整列させることにより、研磨粒子の厚さの差を補正する工程と、
前記積み重ね体を可視光に曝露して、前記光重合性接着剤をガラス化させて、前記第1の剛性基材に前記固定研磨粒子の前記裏材を固着させるガラス化接着剤を得る工程を更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の剛性基材、第2の剛性基材、及び裏材の少なくとも1つが可視光を透過し、前記光重合性接着剤が、約400〜1000ナノメートルの波長を有する可視光を用いて硬化される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記研磨粒子が、一部の粒子の間にギャップが存在する実質的に単層構成である、又は前記研磨粒子が互いに積み重なっている、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記超砥粒材料が、約0.2〜0.3マイクロメートルの平均直径を有し、前記研磨粒子が、約50マイクロメートル未満の平均直径を有する、請求項14に記載の研磨粒子。
【請求項19】
前記金属含有マトリクスが、スズ、スズ合金、銅、銅合金、インジウム、インジウム合金、及び共晶スズ−ビスマス合金からなる群から選択される、請求項14に記載の研磨粒子。
【請求項20】
前記超砥粒材料が、ダイヤモンド、多結晶ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項14に記載の研磨粒子。

【図1a】
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【図1b】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−526954(P2011−526954A)
【公表日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−516702(P2011−516702)
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【国際出願番号】PCT/US2009/048800
【国際公開番号】WO2010/002725
【国際公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】