説明

固液分離装置及びこの固液分離装置を有する水処理装置

【課題】 本発明は、小型で安価な処理性能の安定した固液分離装置及び、その固液分離装置を備えた水処理装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 活性汚泥槽と、この活性汚泥槽に空気を供給する空気供給装置と、上記活性汚泥槽内に浸漬させる濾過ユニットと、この濾過ユニットに連結される間欠定量ポンプAと、上記空気供給装置及び間欠定量ポンプAへと空気を供給する送風機とを備えた固液分離装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般家庭等から排出される排水を処理する水処理装置に備えられている固液分離装置であって、特に活性汚泥の分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般家庭等から排出される排水を処理する水処理装置は、広く普及しているが、設置場所を制限されることから小型化が望まれている。水処理装置の小型化のためには、固液分離機能を安定化することが重要であり、固液分離機能の安定化については、濾過膜を使った装置が、特許文献1にて提案されている。
特許文献1では、膜濾過装置によって小型化が実現でき、更に、機械式のポンプを使わずにエアリフトポンプを使うことで、低コスト化も実現できた。
【0003】
また、空気を駆動源とするポンプは、小型の水処理装置ではエアリフトポンプが一般的であるが、その他にも、例えば、特許文献2に開示されている。
【特許文献1】特開2000−51664号公報
【特許文献2】特公昭57−5593号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されるものは、水位が最低水位(L.W.L)よりも高い場合にのみ、濾過水移送管との水位差による水頭圧で濾過水が得られる。そのため、最低水位(L.W.L)時には、水位差がなくなり、濾過水を得る事ができない。
また、水位が最高水位(H.W.L)にある場合でも、水位差は水深に比べ小さく、十分な水頭圧を得る事ができない。そのため、必要水量を得るには、水位の変動幅を大きくとるか、又は有効膜面積を大きく取らなければならないという課題がある。
【0005】
エアリフトポンプは、水処理装置には広く一般的に用いられているが、その特性から、少量の空気量では揚程(水を汲み上げる高さ)をあまり高くとる事ができないという弱点がある。
また、エアリフトポンプへの空気供給管と他の処理装置への空気供給管とは、連通している場合がほとんどであり、流量調整による水位の変動幅が大きい場合、空気バランスを取る事が難しく、水位が最低水位(L.W.L)にある場合の移送水量と最高水位(H.W.L)にある場合の移送水量とでは、水量の変動幅が大きく、定量性が保てないため、処理性能に悪影響を与えるという課題もある。
【0006】
本発明は、上記問題点を鑑みてなされたものであり、小型で安価な処理性能の安定した固液分離装置及び、その固液分離装置を備えた水処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下のものに関する。
(1)活性汚泥槽と、この活性汚泥槽に空気を供給する空気供給装置と、上記活性汚泥槽内に浸漬させる濾過ユニットと、この濾過ユニットに連結される間欠定量ポンプAと、上記空気供給装置及び間欠定量ポンプAへと空気を供給する送風機とを備えた固液分離装置。
(2)項(1)において、活性汚泥槽が、微生物固定化用の流動担体を有する固液分離装置。
(3)項(1)又は(2)において、濾過ユニットが、濾過材として液中膜又は不織布を用いる固液分離装置。
(4)項(1)乃至(3)の何れかに記載の固液分離装置と、この固液分離装置の前段に設けられる嫌気処理槽とを有する水処理装置。
(5)項(4)において、活性汚泥槽が、流量調整機能と、濾過ユニットに連結される間欠定量ポンプAとは別に他の間欠定量ポンプBとを有し、間欠定量ポンプA及びBが、送風機からの空気を移送する共通の空気供給管により連通し、間欠定量ポンプBの吸込管取水口が、上記活性汚泥槽の低水位に設置される水処理装置。
(6)項(4)又は(5)の水処理装置において、送風機が、間欠運転される水処理装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、従来の重力沈降による、例えば沈殿槽のような固液分離装置に比べ、小型化が可能になり、しかも濾過ユニットにより強制的に固液分離するため、分離性能に優れた固液分離装置及び水処理装置を提供できる。
また、空気を駆動源とするポンプを使用するため、機械式のポンプに比べ安価な固液分離装置及び水処理装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明にて述べる活性汚泥槽は、排水に含まれる有機物を好気処理する室である。活性汚泥槽内へは、後述する空気供給装置から空気を吐出させ、室内をばっ気撹拌し、槽内を好気性に保つ。尚、槽内の溶存酸素濃度は、1mg/L以上が好ましい。
また、槽内の汚泥濃度(MLSS濃度)は、3,000〜20,000mg/Lが好ましく、5,000〜15,000mg/Lがより好ましい。
3,000mg/L未満の場合は、活性汚泥のフロックができにくいため、濾過ユニットの濾過材に生物膜が付着しやすく目詰まりの原因となるため、汚泥投入をして3,000mg/L以上になるように調整する。
逆に20,000mg/Lを超えるようになると、濾過ユニットでの透過抵抗が増大し計画透過水量を得られなくなる恐れがあるため、汚泥を引き抜き20,000mg/L以下になるように調整する。
【0010】
本発明にて述べる空気供給装置は、活性汚泥槽内に空気を供給できれば特に制限されるものでない。具体的には、パイプに一定間隔で孔を開けたものや、平面積の広い箱状直方体に一定間隔で孔を開けたもの等を用いることができる。
槽内の汚泥濃度が高濃度になると目詰まりしやすくなるため、孔径は直径2.5mm〜10mmが好ましく、3mm〜5mmがより好ましい。孔径2.5mm未満の場合は、空気供給圧が15kPa程度、汚泥濃度が3,000mg/L以上の場合、数ヶ月で目詰まりを起す場合がある。孔径10mm以上の場合は気泡径が大きくなり、同一空気量での気泡表面積が低下するため、水中への酸素溶解効率が極端に悪化し処理性能に悪影響を及ぼす。
尚、空気供給装置は、濾過ユニットの濾過材に空気の気泡が当たる位置に設置する。気泡が濾過材に付着した生物膜を剥ぎ取り、目詰まりしにくくするためである。
【0011】
活性汚泥槽には、流動担体を備えることが好ましい。流動担体は、微生物が付着できれば特に制限されるものでない。具体的には、粒状・円筒状・立方体状で、比重が1.0前後、大きさが10mm程度のもの等を用いることができる。フロックを形成できない微生物の棲家を提供することで、濾過材への生物膜の付着が低減できる。
また、流動担体自体が濾過材へ当たることで、濾過材に付着した生物膜を剥ぎ取り、目詰まりしにくくなる。
流動担体の比重は、好ましくは0.94〜0.98である。この範囲では、微生物が付着後に比重が1.0に近くなり流動しやすくなる。
また、流動担体の充填率は70%以下が好ましい。70%を越えると担体同士の衝突により流動が阻害され、流動しにくくなる。
【0012】
本発明にて述べる濾過ユニットは、濾過水排出口を備える濾過材と、濾過材を支持する支持体と、濾過水排出口に連結された濾過水排出管とを備えている。
濾過材は、濾過機能を備えていれば特に制限されるものでない。具体的には、平膜や中空糸膜で、特に孔径が0.1μm〜10μm程度の精密濾過膜(MF膜)や、孔径10μm〜1mm程度に相当する不織布を用いることができる。
尚、濾過材数は計画透過水量によって決定される。
【0013】
濾過材を支持する支持体は、濾過材を活性汚泥槽内に固定するものであれば特に制限されるものでない。具体的には、例えば上記平膜に対応するものであれば、濾過材の濾過水透過部分が垂直になるように固定するために、濾過材の端面を挟みこむように鉛直方向にガイドを設ける。これは、濾過材が破損・劣化した場合に濾過材ごと交換できるように、上下方向に移動ができるようにするためである。
【0014】
尚、濾過材が複数個必要な場合は、濾過材を平行に並べるように、鉛直方向のガイドも濾過材の数に対応した数を用意する。濾過材と濾過材の間隔は、濾過材間を流動担体が流通することを考慮して、担体の大きさ(担体の最大長さ部分)の2〜3倍程度とすることが好ましい。これより狭い場合は、濾過材間に流動担体が入り込まず、流動担体による濾過材の生物膜剥離効果が期待できない。また、これより広い場合は、ユニット自体が大きくなってしまい、全体として固液分離装置の小型化に相反する。
【0015】
濾過水排出管は、濾過材からの濾過水排出口に連結された通水管であり、通水できれば特に制限されるものでない。具体的には、パイプやチューブ等を用いることができる。
複数の濾過水排出口がある場合には、各々の濾過水排出口を並列に連結して、濾過水排出管の端末をひとつにすることが好ましい。この際、濾過水排出管の端末の口径面積が、各々の濾過水排出口の合計面積よりも大きいことが好ましい。こうすることで、配管抵抗による水頭損失が低減され、より多くの濾過水量を得ることができる。
【0016】
本発明にて述べる間欠定量ポンプは、上記特許文献2にて開示されたものと同等のものを用いることができる。間欠定量ポンプの吸込管(ポンプへの流入口)は、濾過水排出管と連結させる。間欠定量ポンプ内の高水位(H.W.L)の位置は、上記濾過材の上端よりも低い位置に設置する。この位置に設置することで、常に濾過材に水圧がかかり、常時濾過水を得る事が可能である。好ましくは、濾過材の規定使用水圧の上限と、間欠定量ポンプ内の高水位(H.W.L)と濾過材の上端との水頭差による水頭圧と、が等しくなるように間欠定量ポンプ内の高水位(H.W.L)の位置を設定する。こうすることで、より多くの濾過水を得ることができる。
尚、間欠定量ポンプの吸込管に逆流防止用の逆止弁を設ける場合もあるが、この場合、濾過材への水圧が十分に高いため逆流が起こりにくく必ずしも設ける必要はない。
【0017】
本発明にて述べる送風機(ブロワー)は、間欠定量ポンプ及び空気供給装置に空気を供給できれば特に制限されるものでない。具体的には、ダイアフラムポンプ、ロータリーブロワー等を、用いることができる。送風機は、間欠定量ポンプ用、空気供給装置用と各々に設けても、兼用にしてもよい。
尚、その他の空気が必要な処理装置がある場合は、その処理装置への空気供給と兼用にしてよい。
【0018】
本発明にて述べる水処理装置は、固液分離装置と嫌気処理槽とを備える。
嫌気処理槽は、固液分離装置の前段、即ち上流に設けられ、嫌気性の処理機能を有している槽であれば特に制限されるものでなく、具体的には、沈殿分離槽、嫌気濾床槽等を用いることができる。嫌気処理槽は、汚水に含まれる有機物を嫌気処理し、固液分離された上澄水を固液分離装置に移送する。一方、固液分離された汚泥は嫌気消化される。
【0019】
本発明にて述べる水処理装置に、流量調整機能を付加する場合は、以下のようにすることができる。
流量調整機能は、多大な流入ピークを緩和するための機能であり、貯留機能と送水機能とを備える。
貯留機能は、流入した汚水を一時的に貯留しておく機能であり、活性汚泥槽上部を水位変動させて機能を持たせる事ができる。この場合の低水位(L.W.L)の設定は、空気供給管が連通した他の間欠定量ポンプの吸込管取水口位置で決定される。
送水機能は、濾過ユニットに連結された間欠定量ポンプに兼用できる。送水先は固液分離装置の後段の処理装置となる。
他の間欠定量ポンプの送水先は、嫌気処理槽が好ましい。このようにすることで、脱窒効果が期待でき、有機物も消費されるため、処理性能の安定化を図ることができる。
【0020】
送風機は、タイマー機能を併設したものを用いることで、活性汚泥槽の間欠運転ができる。このようにすることで、脱窒効果が期待でき、有機物も消費されるため、処理性能の安定化を図ることができる。送風機を兼用とすることで、送風機停止中はばっ気が停止し濾過材面に気泡が当たらないが、間欠定量ポンプも停止するため、濾過材が目詰まりする恐れがない。
【実施例】
【0021】
以下、本発明の実施例を図面により説明する。図1は本発明に係る1実施例である水処理装置の概略立面図である。
水処理装置1は、嫌気濾床槽2、固液分離装置3、消毒槽4を有している。
嫌気濾床槽2は、濾床21を有しており、濾材は網様円筒濾材である。
固液分離装置3は、活性汚泥槽31、空気供給装置32、濾過ユニット33と、間欠定量ポンプ34、送風機35で構成される。
【0022】
以下、排水の流れに沿って説明する。
排水は、流入口11を通って嫌気濾床槽2に流れ込む。流れ込んだ排水中の固形物は、濾床21に捕捉され、嫌気分解された後、嫌気濾床槽2の底部に沈降する。沈降した固形物は汚泥と共に清掃時に引抜かれる。なお、移流路22は清掃孔を兼ねている。固形物が分離された排水は移流口23より固液分離装置3へ移流する。
固液分離装置3の活性汚泥槽31に流れ込んだ水は、空気供給装置32から放出された気泡によって好気状態に保たれた槽内で好気処理される。好気処理された水は、濾過ユニット33にて濾過され、間欠定量ポンプ34を経て、消毒槽4にて滅菌され流出口12から放流される。
【0023】
濾過ユニット33は、濾過水排出口332を備える濾過材331と、この濾過材331を支持する支持体333と、濾過水排出口332に連結された濾過水排出管334を有している。
濾過材331は、ポリプロピレン製スパンボンド不織布(日本不織布株式会社製、商品名:スプリトップ、品番:SP−1070EHY)を使用した。ポリプロピレン製不織布は、疎水性で水に馴染みにくいので、親水剤を生地に練り込んだ親水性の物が好ましい。親水性の物は初期から性能を発揮できる。
長時間運転していると、いずれ濾過材面に生物膜等が付着し閉塞する。そこで、付着した生物膜を剥ぎ取るため、空気供給装置32を濾過材331の直下に配置し、気泡が濾過材面に当たるようにする。更に、直径12mmの円筒状の流動担体(図示略)を充填率30%投入し、流動する担体も濾過材面に当たるようにする。
【0024】
活性汚泥槽31内の水は、濾過材331を通過し、上部にある濾過水排出口332に集められる。そして、濾過水排出管334を通じて間欠定量ポンプ34に送られる。
間欠定量ポンプ34は、十分な濾過水頭圧が得られるように、濾過材331の高さの約1/2の位置に設置する。尚、濾過水排出管334も水没するようにする。
活性汚泥槽31の水位は、間欠定量ポンプ34から消毒槽4に処理水が送られるに従い、低下する。そこで、水位検知手段36を活性汚泥槽31内に設け、濾過材331が気中に露出しないように、低水位(L.W.L)を感知し、空気供給停止手段37(本実施例では電磁弁を使用)で間欠定量ポンプ34への空気供給を止める。水位検知手段36は、特に制限はなく、具体的には水位センサー等が使われる。空気供給停止手段37も特に制限はなく、具体的には電磁弁等が使われる。
【0025】
本実施例では、活性汚泥槽31内に、沈殿部311を設けている。沈殿部311では、活性汚泥の重力沈降により、上部が上澄水域、下部が活性汚泥域に分かれる。万一、送風機35の故障等で、間欠定量ポンプ34が停止した場合は、沈殿部311の上部の上澄水が、オーバーフロー口312を介して消毒槽4に移送される。沈殿部311底部の連通部には、流動担体が流出しないように多孔部材(図示略)を設ける。なお、活性汚泥槽31の汚泥の引き抜きは、流動担体が系外に引抜かれないようにこの沈殿部311から行う。
沈殿部311には、活性汚泥槽31の汚泥濃度が高くなるに従いスカムが発生するため、オーバーフロー口312にスカムバッフル313を設け、スカムの消毒槽4への流出を防止する。この沈殿部311には、活性汚泥槽31の汚泥濃度が高くなり過ぎないようにスカム化して汚泥を貯留する機能もある。
【0026】
送風機35には、タイマーが搭載され、送風機35の運転・停止サイクルが可能である。送風機35の運転中、活性汚泥槽31内が好気状態、停止中は活性汚泥槽31内が嫌気状態となり、脱窒が期待できる。運転・停止の間隔は、流入負荷や活性汚泥濃度等の条件によって異なるため、可変タイマーとしている。
【0027】
以下、本発明の他の実施例を図面により説明する。図2は本発明に係る他の実施例である水処理装置の概略立面図、図3〜8は間欠定量ポンプの動作を示す概略図である。
本実施例では、沈殿部311内に、もう1台の間欠定量ポンプ34bが設置されている。間欠定量ポンプ34と間欠定量ポンプ34bとは、空気供給管351で連通している。
活性汚泥槽31の水位が低水位(L.W.L)よりも上にある場合には、両方の間欠定量ポンプ内に水が供給され、給水・送水が行われている。この時の間欠定量ポンプ34、34bの送水量比は、各々の間欠定量ポンプ内の水面積比となる。例えば、間欠定量ポンプ34の送水量を2Q、間欠定量ポンプ34bの送水量を3Qとしたい場合は、間欠定量ポンプ34内の水面積(水平断面積)を2S、間欠定量ポンプ34b内の水面積を3Sとすれば良い。
【0028】
図3は、給水工程を示す図である。この工程では、間欠定量ポンプ34の吐出管342から空気が逃げるため、間欠定量ポンプ34、34bとも水頭圧が生じ、間欠定量ポンプ34は濾過水排出管に連結された吸込管341から、間欠定量ポンプ34bは吸込管341bの取水口から水が供給される。
図4は、給水工程から送水工程に切り替わる瞬間の図である。間欠定量ポンプ34内のU字管344頂部にまで水面が達する(H.W.L)と、U字管344底部に水が流れ込みトラップが形成される。すると、空気の逃げ場所がなくなり、間欠定量ポンプ34、34b内の両方の水面に空気圧がかかる。この時、逆止弁343が閉じ、逆流を防ぐ。
図5は、送水工程を示す図である。間欠定量ポンプ34、34b内の両方の水面にかかった空気圧により、吐出管342、342bから各々水が吐出される。そして、間欠定量ポンプ34、34b内の水面は徐々に下がって行く。
図6は、送水工程から給水工程に切り替わる瞬間の図である。間欠定量ポンプ34内のU字管344底部にまで水面が達する(L.W.L)と、トラップが切れて吐出管342から空気が逃げ、間欠定量ポンプ34、34b内の両方の水面にかかった空気圧は水頭圧に負け、再び図3に示す給水工程になる。吐出管342、342bの残水は間欠定量ポンプ34、34b内に戻される。
【0029】
ところが、活性汚泥槽31の水位が低水位(L.W.L)の場合には、間欠定量ポンプ34は吸込管341から供給されるものの、間欠定量ポンプ34bは吸込管341bの取水口から水が供給されない。そして、間欠定量ポンプ34内のU字管344頂部にまで水面が達する(H.W.L)と、吐出管342、342bから各々水が吐出される(図7参照)。
その後直ぐに、間欠定量ポンプ34bは送水されるべき水が無くなり、空になる(図8参照)。この時、空気供給管351から供給された空気は、そのまま吐出管342bから逃げてしまうため、間欠定量ポンプ34内の水面には空気圧がかからず吐出管342から送水されない。活性汚泥槽31の水位が低水位(L.W.L)である限りこの状態が継続される。
すなわち、吸込管341bが、水位検知手段であり、間欠定量ポンプ34bが空気供給停止手段となる。
【0030】
沈殿部311には、スカムが浮上するが、間欠定量ポンプ34bにより嫌気濾床槽2に返送され、再処理され、処理性能の安定化が図られる。スカムは徐々に返送されるため肥厚せず、異常なピークかかった場合等でも、スカムバッフル313を越えてオーバーフロー口312から消毒槽4へ流出する恐れもない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る1実施例である水処理装置の概略立面図である。
【図2】本発明に係る他の実施例である水処理装置の概略立面図である。
【図3】水位が低水位(L.W.L)よりも上にある場合の間欠定量ポンプの給水工程図。
【図4】水位が低水位(L.W.L)よりも上にある場合の給水工程から送水工程に切り替わる瞬間の図。
【図5】水位が低水位(L.W.L)よりも上にある場合の間欠定量ポンプの送水工程図。
【図6】水位が低水位(L.W.L)よりも上にある場合の送水工程から給水工程に切り替わる瞬間の図。
【図7】水位が低水位(L.W.L)時の給水工程から送水工程に切り替わる瞬間の図。
【図8】水位が低水位(L.W.L)時の送水工程が終わった時の図。
【符号の説明】
【0032】
1…水処理装置、2…嫌気濾床槽、3…固液分離装置、4…消毒槽、
11…流入口、12…流出口、
21…濾床、22…移流路、23…移流口、
31…活性汚泥槽、32…空気供給装置、33…濾過ユニット、34…間欠定量ポンプ、
35…送風機、36…水位検知手段、37…空気供給停止手段
311…沈殿部、312…オーバーフロー口、313…スカムバッフル
331…濾過材、332…濾過水排出口、333…支持体、334…濾過水排出管、
34b…間欠定量ポンプ、
341…吸込管、341b…吸込管、342…吐出管、342b…吐出管、
343…逆止弁、344…U字管、351…空気供給管。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性汚泥槽と、この活性汚泥槽に空気を供給する空気供給装置と、上記活性汚泥槽内に浸漬させる濾過ユニットと、この濾過ユニットに連結される間欠定量ポンプAと、上記空気供給装置及び間欠定量ポンプAへと空気を供給する送風機とを備えた固液分離装置。
【請求項2】
請求項1において、活性汚泥槽が、微生物固定化用の流動担体を有する固液分離装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、濾過ユニットが、濾過材として液中膜又は不織布を用いる固液分離装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載の固液分離装置と、この固液分離装置の前段に設けられる嫌気処理槽とを有する水処理装置。
【請求項5】
請求項4において、活性汚泥槽が、流量調整機能と、濾過ユニットに連結される間欠定量ポンプAとは別に他の間欠定量ポンプBとを有し、間欠定量ポンプA及びBが、送風機からの空気を移送する共通の空気供給管により連通し、間欠定量ポンプBの吸込管取水口が、上記活性汚泥槽の低水位に設置される水処理装置。
【請求項6】
請求項4又は5の水処理装置において、送風機が、間欠運転される水処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−253901(P2008−253901A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−97340(P2007−97340)
【出願日】平成19年4月3日(2007.4.3)
【出願人】(301050924)株式会社日立ハウステック (234)
【Fターム(参考)】