説明

固液分離装置

【課題】簡単な構造で、効率的に固液を分離して排水及び凝集物の排出を円滑に行うことができ、稼動効率を大幅に向上させることができる固液分離装置を提供する。
【解決手段】砂、砂利ぶんを除去した泥水に凝集剤を反応処理させた濁水が投入される処理空間を有する槽体12と、槽体12の下部側部分に対応して設けられ、濁水中の沈殿する凝集物を下端側の収束位置に収束させる収束部14と、槽体12の上部側部分に対応して設けられ、濁水を濾過した水のみを横方向に向けて流出させる濾過部16と、濾過部16から横方向に向けて流出された水を受けて槽体12の外側に連続的に排水する排水機構18と、槽体12の収束部14の収束位置CPに設けられ、沈殿した凝集物を槽体12の外側に連続的に排出する凝集物排出機構20と、を備えた固液分離装置10から構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築や土木工事の際に生じる泥水又は河川や池、湖、海、ダム等の水等から砂、砂利ぶんを除いた後の微粒子ぶんを含む泥水を凝集処理した濁水を清水と凝集物に分離する固液分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建設や土木工事の際の地盤の掘削時に多量の水が地上に発生したり、多量の水を用いて掘削を行なうことがある。また、近時高圧ジェット水による地盤の掘削が行なわれており、騒音発生や余堀りスペースを減少させながら所望の地盤掘削が行なわれる。この際、高圧の水を掘削地盤に噴射させると同時に排出用のホースをジェット水の噴射ノズル付近に配置させ地上側に吸引排出させながら掘削を行なっている。このような建設、土木等の工事で発生した泥水をそのまま地上に放出したり、あるいは、地上側に吸引排出された泥水をそのまま地上に連続放出させることは今日、法規制の関係から許容されないようになっている。このような泥水の処理を行なう方法として種々の提案がなされている。また、本出願人は特許文献1にて泥水処理システムの技術を提案した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3541293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の泥水処理システムでは、砂、砂利ぶんを除去した泥水に凝集剤を投入してフロックを生じさせフロック濁水とさせる反応部と、反応部から導入させたフロック濁水を浄化して清水として排出させる清水生成装置と、を含み、清水生成装置は、受容器と、受容器より小さなサイズであり同受容器内に配置されフロック濁水を導入させて少なくとも周側面側の微小孔から受容器内に濾過後の清水を排出させる多孔壁ろ過手段と、を備えている。これにより、スペース効率が良く極めて簡単な構造で、大量かつ高速に排水することができ、高い処理効率を発揮できるものであった。しかしながら、特許文献1のものでは、多孔壁体の網目を通過しないフロック固形分は網目体の内部に保持されるので堆積量が多くなった場合には、処理を一時中断して重機バケット等で掬い取る必要があった。したがって、掬い取り作業の工程のために作業が煩雑で、時間もかかることから、さらなる処理効率の向上を目指し新たな技術開発を行った。
【0005】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、その一つの目的は、簡単な構造で、効率的に固液を分離して排水及び凝集物の排出を円滑に行うことができ、稼動効率を大幅に向上させることができる固液分離装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は、砂、砂利ぶんを除去した泥水に凝集剤を反応処理させた濁水Wmが投入される処理空間22を有する槽体12と、槽体12の処理空間22の下端から上下中間位置MPまでの下部側22L部分に対応して設けられ、濁水中の沈殿する凝集物を下端側の収束位置CPに収束させる収束部14と、槽体12の処理空間22の上下中間位置から上端までの上部側22U部分に対応して設けられ、濁水を濾過した水のみを横方向に向けて流出させる濾過部16と、濾過部16から横方向に向けて流出された水を受けて槽体12の外側に連続的に排水する排水機構18と、槽体12の収束部14の収束位置CPに設けられ、沈殿した凝集物を槽体12の外側に連続的に排出する凝集物排出機構20と、を備えたことを特徴とする固液分離装置10から構成される。
【0007】
また、濾過部16は、槽体12の処理空間22の上部側22Uの側面に縦に設けられた網体30からなり、排水機構18は、網体30から横方向に向けて流出させた水Wfを集めて流すように網体30の横側に設けられた樋部42を含むこととしてもよい。
【0008】
また、網体30は、槽体12の処理空間22の上部側22Uの周囲を囲むように設けられるととともに、樋部42は、網体30の外側を平面視で周回状に囲むように設けられたこととしてもよい。
【0009】
また、槽体12の上部側22Uは、濾過部16となる網体30で形成された内側壁と、網体30との間に樋部42の幅に対応した間隔をあけて対向配置された外側壁(48)と、の二重側壁構造50で設けられたこととしてもよい。
【0010】
また、樋部42は、網体30の下端位置より段下がり位置に底壁44が形成されたこととしてもよい。
【0011】
また、濾過部16は、粗い網目の金属網体32に微細網目のシート状網体34を重ねた状態で支持させて構成されたこととしてもよい。
【0012】
また、収束部14は、処理空間22の下部側の横断面積を凝集物排出機構20に向かって次第に狭くさせた収束案内壁26を含むこととしてもよい。
【0013】
また、凝集物排出機構20は、螺旋羽根56が取り付けられた回転軸54を軸周り回転させることにより凝集物を回転軸方向に沿って搬送するスクリュー装置58を含むこととしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の固液分離装置によれば、砂、砂利ぶんを除去した泥水に凝集剤を反応処理させた濁水が投入される処理空間を有する槽体と、槽体の処理空間の下端から上下中間位置までの下部側部分に対応して設けられ、濁水中の沈殿する凝集物を下端側の収束位置に収束させる収束部と、槽体の処理空間の上下中間位置から上端までの上部側部分に対応して設けられ、濁水を濾過した水のみを横方向に向けて流出させる濾過部と、濾過部から横方向に向けて流出された水を受けて槽体の外側に連続的に排水する排水機構と、槽体の収束部の収束位置に設けられ、沈殿した凝集物を槽体の外側に連続的に排出する凝集物排出機構と、を備えたことから、高速かつ効率的に固液分離して濾過した水を排水できるとともに、槽体内に貯留する凝集物を凝集物排出機構で効率的に排出できる。その結果、いちいち重機による掬い取り作業を必要とせず処理を中断させることないので、凝集処理した濁水を連続的又は間欠的に投入しながら、連続的又は間欠的に排水と凝集物の排出を行えるので、処理効率を大幅に向上できる。
【0015】
また、濾過部は、槽体の処理空間の上部側の側面に縦に設けられた網体からなり、排水機構は、網体から横方向に向けて流出させた水を集めて流すように網体の横側に設けられた樋部を含む構成とすることにより、簡単な構成で効率良く固液分離できる濾過部及び排水機構を具体的に実現できる。
【0016】
また、網体は、槽体の処理空間の上部側の周囲を囲むように設けられるととともに、樋部は、網体の外側を平面視で周回状に囲むように設けられたことにより、濾過した水を効率良く樋部に流出して、処理効率を向上しうると同時に、装置のスペース効率も良いうえ、低コストで製造できる。
【0017】
また、槽体の上部側は、濾過部となる網体で形成された内側壁と、網体との間に樋部の幅に対応した間隔をあけて対向配置された外側壁と、の二重側壁構造で設けられた構成とすることにより、装置構成が簡単で、スペース効率が良いうえ、一体的に組み付けられて強度も高く、現場や処理場への移動、運搬を円滑に行える。
【0018】
また、樋部は、網体の下端位置より段下がり位置に底壁が形成された構成とすることにより、濾過した水を高速に効率良く槽体の外側に排水でき、排水効率を向上できる。
【0019】
また、濾過部は、粗い網目の金属網体に微細網目のシート状網体を重ねた状態で支持させて構成されることにより、施工、メンテナンスを簡単に行える。
【0020】
また、収束部は、処理空間の下部側の横断面積を凝集物排出機構に向かって次第に狭くさせた収束案内壁を含む構成とすることにより、比重の差により沈殿する凝集物を簡単な構成で効率良く収束して排出することができる。
【0021】
また、凝集物排出機構は、螺旋羽根が取り付けられた回転軸を軸周り回転させることにより凝集物を回転軸方向に沿って搬送するスクリュー装置を含む構成とすることにより、効率良く連続的に凝集物を排出できる凝集物排出機構を簡単な構成で、低コストで製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る固液分離装置の平面図である。
【図2】図1の固液分離装置の一部断面した斜視図である。
【図3】図1の固液分離装置のA−A線断面の拡大図である。
【図4】図1の固液分離装置のB−B線断面図である。
【図5】図1の固液分離装置のC−C線断面図である。
【図6】泥水を処理する際の概略流れ説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の固液分離装置の実施の形態について説明する。本発明の固液分離装置は、例えば、建設工事、土木工事の際に生じる汚水や、河川、湖、沼、海等の自然水域、ダム等の人口水域等で浚渫する際に生じる汚水、生活排水や工場排水等の処理に利用でき、水と凝集物とを効率的に分離できるものである。図1ないし図5は、本発明の固液分離装置の一実施形態を示している。図1、図2に示すように、本実施形態において、固液分離装置10は、槽体12と、槽体12に設けられた収束部14と、濾過部16と、排水機構18と、凝集物排出機構20と、を備えている。
【0024】
本実施形態に係る固液分離装置10では、建設・土木工事等で生じる汚泥が混じった汚水から砂、砂利ぶんを除去しシルトや粘土質等の微粒子ぶんを含む汚水に凝集剤を反応処理させた濁水を固液分離処理する。すなわち、図6に示すように、汚泥混じりの汚水Wdは固液分離装置10に投入される前に、例えば、5mm以上の大きさの礫、石、砂利等を取り除くスクリーン102と、5mm〜75μmの大きさの砂利、砂等を取り除く分級装置104と、を順に通過させて砂、砂利ぶんを取り除く。そして、75μm以下の微粒子成分を含む泥水Waは反応槽106において凝集剤が投入されて凝集反応処理される。その凝集処理後の濁水Wmが固液分離装置10に投入されて水Wfと凝集物とに固液分離処理する。
【0025】
図1、図2、図3に示すように、槽体12は、内部に濁水Wmが投入される処理空間22を備えている。本実施形態では、槽体12は、例えば、耐水性のあってある程度の強度を有する金属板材や鋼材等を組み付けて構成されており、全体としては平面視で一方向に長い横長矩形状で、長手方向に交差する縦断面形状が略ホームベース状となる略五角形箱状の貯留槽で形成されている。槽体12は、支持枠24で支持されており、工事現場又は処理施設等の地面等に置いて設置される。槽体12は、上面全体が開口されており、上面の開口から処理空間22に濁水が投入される。槽体12の処理空間22は、上下中間位置MPで分割されて2つの処理部が構成されており、それらの上下空間を互いに連通している。処理空間22は、例えば、縦断面で略ホームベース形状の最下端の頂角を成すようにV字状に傾斜した2辺の上端を結ぶ位置(MP)で分割され、矩形状となる上部側22U部分と、略三角形状となる下部側22L部分と、に分割されている。これらの処理空間22の分割部分では、下部側22Lに対応して収束部14が設けられ、処理空間22の上部側22Uに対応して濾過部16が設けられる。さらに、槽体12には、処理空間22の上部側22Uの外側の周囲を囲むように排水機構18が設けられている。なお、槽体12の上端側の隅部部分には、例えば、固液分離装置10をクレーン等で吊るすことができるように、ワイヤー等を接続できる吊支部23が上方に突設されている。なお、槽体12の形状は、矩形箱状や円筒状等その他任意の形状でもよい。また、槽体12の大きさは任意でよく、処理能力に応じて大きさが設定される。
【0026】
図1、図3、図4に示すように、収束部14は、投入された濁水中の沈殿する凝集物を槽体12の下端側の収束位置CPに収束させる収束手段である。収束部14は、槽体12の処理空間22の下端から上下中間位置MPまでの下部側22L部分に対応して設けられている。本実施形態では、収束部14は、例えば、槽体12の下部側に略三角柱状の空間を形成するように、逆ハ字状に傾斜して配置された収束案内壁26と、長手方向の両側端面を閉鎖する逆三角形状の端壁28と、で囲まれて形成されている。収束案内壁26は、収束部14の横断面積を下部側に向けて次第に狭くなるように形成された傾斜底壁からなる。また、収束案内壁26の逆ハ字の下端には、円弧状に凹設された凹溝29が接続されており、収束部14の下端側を閉鎖しているとともに収束位置CPとなっている。収束案内壁26は、濁水を受けると沈殿する凝集物をその傾斜面に沿って凹溝29に収束する。これにより収束部14では、駆動力を使わずに比重の差により底側に沈殿する凝集物を自然に収束位置CPに収束できる。凹溝29には、凝集物排出機構20が設置されている。本実施形態では、傾斜底壁26、端壁28、凹溝29は槽体12下部の外壁を形成している。なお、収束部14は、上記形状によるものに限らず、例えば、逆円錐状、逆多角錐形状等その他任意に形状してもよい。また、槽体12を矩形箱状に形成し、内部に収束案内壁26を設置して収束部を形成してもよい。
【0027】
図1、図2、図3、図4に示すように、濾過部16は、槽体12に投入された濁水を濾過する濾過手段であり、濾過した水Wfのみを横方向に向けて流出させる。濾過部16は、槽体12の処理空間22の上下中間位置MPから上端までの上部側部分に対応して設けられている。本実施形態では、濾過部16は、水を通すとともに凝集物を通さないような小さい孔が多数形成された網体30を含む。網体30は、処理空間22の上部側22Uの直方体状の空間の四周を囲むような側面部分に配置され、網目の孔貫通方向が横に向くように縦に立てて形成されている。すなわち、槽体12の平面視矩形状に対応して、平行に配置された1対の長辺網体と平行に配置された1対の短辺網体との4つの網体30が設置され、四周内側壁を構成している。さらに、網体30は、例えば、粗い網目の金属網体32を支持体として微細網目の可撓性のシート状網体34を張設して設けられている。金属網体34は、例えば、グレーチングやパンチング孔付き金属板等のような剛性が高い硬質の金網からなる。金属網体34は、槽体22の上部側22Uに鋼材を矩形枠状に組み付けられた枠体36に支持されている。シート状網体34は、例えば、合成樹脂製の可撓性シート網体からなる。シート状網体34は、金属網体36の処理空間22内側となる内側面に重ねた状態で張設され、端部を枠体36に固定させて支持される。シート状網体34の固定方法は、例えば、シート状網体34の上下端縁を枠体36に密着させた状態で細長い帯板38をあてがってボルト等の締結部材40で締結することにより、該枠体36と帯板38とシート状網体の端縁を挟持して固定されている。
【0028】
図1、図2、図3、図4に示すように、排水機構18は、濾過部16から横に向けて流出させた濾過された水Wfを受けて槽体12の外側に連続的に排水することができる排水手段である。本実施形態では、排水機構18は、網体30の横側の近接位置に設けられている。排水機構18は、例えば、平面視で濾過部16の網体30の外側に設けられ、上方側から水を受け入れるように上面を開口した樋部42を有する。樋部42は、平面視で矩形状に構成された網体30の各辺長さに対応した長さで網体30の外側を囲むように配置されているとともに、各辺の樋部42を連通して周回状に配置されている。すなわち、樋部42は、槽体12の平面視矩形状に対応して、平行に配置された1対の長辺樋部と平行に配置された1対の短辺樋部との4つの樋部42が設置され、それらの4つの樋部の端部どうしを接続している。樋部42は、例えば、底壁44と、底壁44の両側に立ち上がった側壁46、48と、を有している。樋部42の底壁44は、網体30の下端位置より段下がり位置に形成されている。樋部42の側壁のうち、網体30側(内側)に配置される第1側壁46は、上端が網体30の下端と同じ高さに合わせられた状態で上部側を枠体36に固定されている。第1側壁46は、網体30の下端と樋部の底壁44とを接続しており、網体30から流出した水を遮水している。一方、第1側壁46に対向する外側の第2側壁48は、上端が網体30の上端と同じ高さに設定されている。樋部42の第2側壁48は、網体30との間に樋部42の幅に対応した間隔をあけて対向配置されているとともに、槽体12の外側壁も兼ねた四周側壁を構成しており、樋部42の外側を遮水している。すなわち、槽体12の上部側22Uは、濾過部を構成している網体30で形成された内側壁と、排水機構18の一部を構成している樋部42の第2側壁48からなる外側壁と、の二重側壁構造50となっている。よって、槽体12の上部側は、網体30による内側壁の内側に処理対象の濁水が投入される処理空間22Uが形成されるとともに、網体30と第2側壁からなる外側壁との間に樋部42が形成されている。なお、樋部42の形状は、任意でよく例えば、底壁はU字状に形成されていてもよい。図1、図2、図5に示すように、排水機構18には、樋部42で受けた水Wfを集めて槽体12の外側に排水する排水部52が設けられている。排水部52は、例えば、槽体12と略同じ高さで設けられた中空の矩形箱状に形成されており、平面視矩形状に周回した樋部42の1つの隅部位置に配置され、開口53を介して樋部42と内部連通されている。排水部52に流れてきた水は、排水部の下端側に設けられた排水管60から外部に排水される。なお、排水管60には排水ポンプ等を取り付けて強制的に排水するようにしてもよい。
【0029】
図1、図2、図3、図4に示すように、凝集物排出機構20は、槽体12の収束部14の収束位置CPに設けられ、沈殿して堆積する凝集物を槽体12の外側に連続的に排出する排出手段である。本実施形態では、凝集物排出機構20は、螺旋羽根56が取り付けられた回転軸54を軸周り回転させることにより凝集物を回転軸54方向に沿って強制的に搬送するスクリュー装置58を含む。本実施形態では、スクリュー装置58は、凹溝29に沿ってその全長に亘って配置されるとともに、一端部を槽体12から外部に突出させて凹溝29の一端に内部連通して接続された導出管72内に設置されている。回転軸54の両端には、径が小さな突出軸54a、54bが軸方向に突設されており、一端側の突出軸54aは一方の端壁28側に設けられた軸支部61に軸支され、他端側の突出軸54bは導出管72の端面壁に軸支されている。回転軸54の他端側の突出軸54bにはスクリュー装置58を回転駆動する駆動装置62に連係されている。駆動装置62は、例えば、回転軸54の端部の突出軸54aに取り付けられた従動プーリ64と、モータ66と、モータの出力軸に取り付けられた駆動プーリ68と、駆動プーリ68と従動プーリ64とに掛け回されたベルト70と、を有している。モータ66は、例えば導出管72の端部に固定的に取り付けられたケース71に支持されており、駆動プーリ68、ベルト70、従動プーリ64は、ケース71に収容されている。モータ66を駆動してスクリュー装置68を軸回り回転させると、螺旋羽根56により導出管72側に向けて強制的に搬送される。導出管72には、例えば、管軸方向に交差して排出管76が接続されており、排出管76に介設されたポンプ74で強制的に外側に排出される。凝集物排出機構20は、連続的に駆動させてもよいし、一定時間ごとに間欠的に駆動させてもよい。
【0030】
次に、本実施形態に係る固液分離装置10の作用を説明する。例えば、建設、土木工事の際に生じた砂利や石等を含む汚水Wdは、図6に示すように、スクリーン102を通して5mm以上の礫、石、砂利等を除去する。石等を除去した汚水Wsは、任意の分級機104により処理されて、例えば、75μm〜5mmの大きさの砂、砂利ぶんを除去する。その砂、砂利ぶんを除去してシルトや粘土等の75μm以下の微粒子ぶんを含む汚水Waは、反応槽106で凝集剤で凝集反応させる。そしてその凝集反応させた濁水Wmを固液分離装置10の槽体12に投入する。濁水を槽体12に投入されると、処理空間22内に次第に貯留されていき、水位が濾過部16を構成している網体30の下端以上になると、網体30の網目を水が横に向けて流出して排水機構18の樋部42で受けられる。樋部42で受けられた水Wfは、排水部52から槽体12の外側に排出される。一方、槽体12の濾過部16を通過しない凝集物は水との比重の差により下部側22Lに沈殿していくが、収束部14により収束位置CPすなわち凹溝29の凝集物排出機構20に向けて収束される。収束された凝集物は、凝集物排出機構20を駆動させることで螺旋羽根56により一方向に向けて強制的に搬送され、最終的には槽体12から排出される。このようにして、本実施形態の固液分離装置10に濁水を投入するだけで上部側の濾過部16から濾過した水を高速かつ大量に連続的に排水できるとともに、堆積する凝集物を重機を使用しなくても槽体12の外側へ円滑に排出することができる。これにより、処理を一時中断させることなく、連続的に濁水を投入して効率良く固液分離処理し連続的に排水及び凝集物の排出を行え、処理効率を大幅に向上しうる。なお、固液分離して排出された水や凝集物は種々の用途に再利用することもできる。
【0031】
以上説明した本発明の固液分離装置は、上記した実施形態のみの構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の本質を逸脱しない範囲において、任意の改変を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明の固液分離装置は、例えば、建築、土木工事の際に生じる泥水、浚渫の際に生じる泥水、生活排水、工場排水等の汚水を凝集反応させた後の固液を分離する処理に適用できる。
【符号の説明】
【0033】
10 固液分離装置
12 槽体
14 収束部
16 濾過部
18 排水機構
20 凝集物排出機構
22 処理空間
26 傾斜底壁
30 網体
32 金属網体
34 シート状網体
42 樋部
44 底壁
48 第2側壁
50 二重側壁構造
MP 上下中間位置
CP 収束位置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
砂、砂利ぶんを除去した泥水に凝集剤を反応処理させた濁水が投入される処理空間を有する槽体と、
槽体の処理空間の下端から上下中間位置までの下部側部分に対応して設けられ、濁水中の沈殿する凝集物を下端側の収束位置に収束させる収束部と、
槽体の処理空間の上下中間位置から上端までの上部側部分に対応して設けられ、濁水を濾過した水のみを横方向に向けて流出させる濾過部と、
濾過部から横方向に向けて流出された水を受けて槽体の外側に連続的に排水する排水機構と、
槽体の収束部の収束位置に設けられ、沈殿した凝集物を槽体の外側に連続的に排出する凝集物排出機構と、を備えたことを特徴とする固液分離装置。
【請求項2】
濾過部は、槽体の処理空間の上部側の側面に縦に設けられた網体からなり、
排水機構は、網体から横方向に向けて流出させた水を集めて流すように網体の横側に設けられた樋部を含むことを特徴とする請求項1記載の固液分離装置。
【請求項3】
網体は、槽体の処理空間の上部側の周囲を囲むように設けられるととともに、樋部は、網体の外側を平面視で周回状に囲むように設けられたことを特徴とする請求項2記載の固液分離装置。
【請求項4】
槽体の上部側は、濾過部となる網体で形成された内側壁と、網体との間に樋部の幅に対応した間隔をあけて対向配置された外側壁と、の二重側壁構造で設けられたことを特徴とする請求項2又は3記載の固液分離装置。
【請求項5】
樋部は、網体の下端位置より段下がり位置に底壁が形成されたことを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載の固液分離装置。
【請求項6】
濾過部は、粗い網目の金属網体に微細網目のシート状網体を重ねた状態で支持させて構成されたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の固液分離装置。
【請求項7】
収束部は、収容空間の下部側の横断面積を凝集物排出機構に向かって次第に狭くさせた収束案内壁を含むことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の固液分離装置。
【請求項8】
凝集物排出機構は、螺旋羽根が取り付けられた回転軸を軸周り回転させることにより凝集物を回転軸方向に沿って搬送するスクリュー装置を含むことを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の固液分離装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−161769(P2012−161769A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−25616(P2011−25616)
【出願日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【出願人】(598092133)有限会社中道環境開発 (3)
【Fターム(参考)】