説明

土壌汚染調査装置

【課題】
地中の地下水の有無に拘わらず土壌汚染の調査を正確に行うことができる土壌汚染調査装置を提供する。
【解決手段】
地面Eに穿った穴の内部に給水管28を介して水を給水ポンプ6により供給する。給水ポンプ6により水の供給を行いながら、その水を供給した前記穴の部位から水回収管27の内周と給水管28の外周との間の水回収通路を介して水を貯水容器8a内に真空ポンプ7により回収する。真空ポンプ7により水の回収を行いながら、その回収した水に溶解した調査対象物質の濃度を濃度センサにより調査する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中に存在するトリクロロエチレンやテトラクロロエチレン等の揮発性有機化合物(volatile organic compounds 以下「VOCs」という。)からなる汚染物質を調査するための土壌汚染調査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示されている従来の土壌汚染調査装置においては、まず、掘削機により表層汚染調査用掘削ビットに回転力と打撃力を作用させて所定の深さまで地盤の掘削を行う。次に、掘削機のドリルヘッドから表層汚染調査用掘削ビットを取外した後に、地下空気採取管の検知管を表層汚染調査用掘削ビットの胴体内部に挿入する。その後、気体採取セットの真空式定量ポンプを作動させて検知管を経由して所定の地下の空気を採取し、汚染ガス等を分析・測定するようにしている。
【特許文献1】特開平2003−82976号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の土壌汚染調査装置は、掘削を行った地盤の地中に貫入した表層汚染調査用掘削ビットから空気を採取するようにしているため、その作業の際、地中に貫入した表層汚染調査用掘削ビットとその外周の地盤との間に生じた隙間から地上の空気が浸入して該空気も採取されてしまい、その結果、土壌汚染調査の精度が悪くなり正確な調査ができないという問題があった。
また、地中には、地下水が流れている地盤があり、そのような場所では表層汚染調査用掘削ビットを貫入して空気を採取しようとする地点に水しか存在しない場合があるので、そのような場合は空気を採取することができないため、調査自体ができないという問題もあった。
【0004】
本発明はこのような問題を解消するためになされたもので、地中の地下水の有無に拘わらず土壌汚染の調査を正確に行うことができる土壌汚染調査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を達成するために、本発明に係る土壌汚染調査装置は、地面に穿った穴の内部に給水通路を介して水を供給する給水手段と、この給水手段により水の供給を行いながら、その水を供給した前記穴の部位から水回収通路を介して水を回収する水回収手段と、この水回収手段により水の回収を行いながら、その回収した水に溶解した調査対象物質の濃度を調査する調査手段とを備えているものである。
【0006】
請求項2に記載した発明に係る土壌汚染調査装置は、請求項1に記載の土壌汚染調査装置において、前記水回収手段は、前記水回収通路を介して回収した水を導入する複数の貯水容器と、該貯水容器内の圧力を減圧する減圧手段と、前記水回収通路を介して回収した水を前記複数の貯水容器のうちの一部の貯水容器に導入すると共にその一部の貯水容器の水が予め設定された水位まで貯留したとき、前記水回収通路を介して回収した水を他の一部の貯水容器に切り替えて導入する切替手段と、前記貯水容器内に貯留した水を該貯水容器の外部に排出する排水手段とを備えているものである。
【0007】
請求項3に記載した発明に係る土壌汚染調査装置は、請求項2に記載の土壌汚染調査装置において、前記減圧手段による減圧により前記貯水容器内で気化した気体の濃度を前記調査手段によって調査するようにしたものである。
【0008】
請求項4に記載した発明に係る土壌汚染調査装置は、請求項2または請求項3に記載の土壌汚染調査装置において、前記水回収通路を流れる水の経路から見て、前記複数の貯水容器の上流側に水泥分離手段を配設したものである。
【0009】
請求項5に記載した発明に係る土壌汚染調査装置は、請求項1ないし請求項4のうち何れか一つに記載の土壌汚染調査装置において、地中を掘削する掘削部材が先端部に固定された試錐管を、その軸芯回りに試錐手段により回転させて前記掘削部材により地中を掘削するようにし、前記給水通路に供給された水を前記掘削部材に穿設した水供給孔から排出し、この排出した水によって前記掘削部材で掘削した土を泥水とし、この泥水を前記掘削部材近傍の前記試錐管の先端部または前記掘削部材のうち少なくとも何れか一方に穿設した水回収孔を介して前記水回収通路に導入し、前記給水手段により供給した水を回収するようにしたものである。
【0010】
請求項6に記載した発明に係る土壌汚染調査装置は、請求項5に記載の土壌汚染調査装置において、前記給水通路と水回収通路とを前記試錐管内に設けたものである。
【0011】
請求項7に記載した発明に係る土壌汚染調査装置は、請求項6に記載の土壌汚染調査装置において、前記試錐管内に外管を配設し、この外管内に間隙を隔てて内管を配設し、前記外管の内周と前記内管の外周との間の空間または前記内管内のうちの何れか一方を前記給水通路とする一方、他方を前記水回収通路としたものである。
【0012】
請求項8に記載した発明に係る土壌汚染調査装置は、請求項7に記載の土壌汚染調査装置において、前記試錐管の内周と前記外管の外周との間に間隙を設け、この間隙を、地中に貫入した前記試錐管とその外周の土との摩擦抵抗を低減する試錐液を供給する試錐液供給通路とし、この試錐液供給通路に供給された試錐液を、前記試錐管または前記掘削部材のうちの少なくとも何れか一方に穿設した試錐液排出孔を介して排出するようにしたものである。
【0013】
請求項9に記載した発明に係る土壌汚染調査装置は、請求項8に記載の土壌汚染調査装置において、前記試錐管の後端の開口から前記外管および内管を突出させ、前記試錐管の後端の開口と前記外管の外周との間を閉塞する閉塞部材を配設し、この閉塞部材は、前記試錐管の軸芯を通る仮想平面を接合面とする一対の半体からなり、前記閉塞部材は前記接合面を介して接離自在に接合され、前記閉塞部材に穿設した連通路を介して試錐液供給手段により前記試錐液を前記試錐液供給通路に供給するようにしたものである。
【0014】
請求項10に記載した発明に係る土壌汚染調査装置は、請求項7ないし請求項9のうち何れか一つに記載の土壌汚染調査装置において、前記内管及び外管の先端部をそれぞれ前記掘削部材に離脱可能に固定し、前記試錐管の後端の開口から突出した前記内管及び外管の部位に外力を付与することによって前記内管及び外管の先端部を前記掘削部材から離脱可能としたものである。
【0015】
請求項11に記載した発明に係る土壌汚染調査装置は、請求項10に記載の土壌汚染調査装置において、前記内管内を前記給水通路とし、該内管の先端部を前記掘削部材に対して前記内管の軸芯方向に離脱可能に螺合して固定し、前記外管の先端部を前記掘削部材に対して前記外管の軸芯方向に離脱可能に連結し、前記内管と外管との後端部側同士をこれら両管の軸芯方向に互いに相対変位不能に連結し、前記試錐管を、その軸芯回りに所定の回転角度で前記試錐手段により正逆往復回転させて前記掘削部材により地中を掘削するようにしたものである。
【0016】
請求項12に記載した発明に係る土壌汚染調査装置は、請求項5ないし請求項11のうち何れか一つに記載の土壌汚染調査装置において、前記掘削部材に前記水回収孔を穿設すると共に前記水回収通路を前記掘削部材の内部まで延設して水回収部となし、この水回収部と前記掘削部材の外部とを前記水回収孔を介して連通させ、この水回収孔を介して前記泥水を前記水回収手段により前記水回収部に導入する一方、前記給水通路から分岐してなる分岐通路を前記水回収部に開口して水噴射孔となし、前記水回収通路を流れる水の経路から見て、前記水回収孔より上流側に前記水噴射孔を位置付け、前記給水通路を流れる水の一部を前記水噴射孔から前記水回収通路の水流方向に略沿うよう噴射させるようにしたものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、地面に穿った穴の内部に水を供給すると共にその水を供給した穴の部位から水を回収するようにしたので、調査したい地中の場所に存在する調査対象物質を水に溶出させて、その溶出後の水を回収することができ、地中の地下水の有無に拘わらず地中に含まれる調査対象物質を確実に採取することができる。このため、調査の精度が向上し、土壌汚染の調査を正確に行うことができる。
【0018】
また、給水手段による水の供給と水回収手段による水の回収と、その回収した水の調査とを並行して行うようにしたので、土壌汚染の調査を迅速に行うことができ、かつ、調査の結果を速やかに知ることができる。
【0019】
請求項2記載の発明によれば、水を導入した貯水容器内の圧力を減圧手段で減圧するようにしたので、水に溶解している調査対象物質を容易に気化させて分離することができる。また、貯水容器の水が予め設定された水位まで貯留したとき他の貯水容器に切り替える切替手段と、貯留した水を該貯水容器の外部に排出する排水手段とを適宜操作するだけで連続して水を回収すると共にその回収した水に溶解している調査対象物質を連続して調査することができる。
【0020】
請求項3記載の発明によれば、減圧手段による減圧により貯水容器内で気化した気体の濃度を調査するようにしたので、地中に含まれる調査対象物質を単純な装置で容易に抽出することができ、速やかに土壌汚染の調査を行うことができる。
【0021】
請求項4記載の発明によれば、複数の貯水容器の上流側に水泥分離手段を配設したため、減圧手段には泥水が浸入することがないので、減圧手段は機能が損なわれることがなく十分な耐久性を確保することができる。
【0022】
請求項5記載の発明によれば、掘削部材によって掘削された泥と水供給孔から排出された水とが掘削部材の回転によって十分に攪拌された泥水とされるため、泥に混在する調査対象物質を確実に水に溶出させることができるので、その溶出後の水を回収することで地中に含まれる調査対象物質を確実に採取することができる。
【0023】
請求項6記載の発明によれば、給水通路と水回収通路とを試錐管内に設けたので、試錐管を地中に貫入した状態で水の供給及び回収を行うことができ、土壌汚染の調査を効率的に行うことができる。また、給水通路と水回収通路とを試錐管内に設けたことで、給水通路と水回収通路とをコンパクトに配設することができる。
【0024】
請求項7記載の発明によれば、試錐管内に外管及び内管を配設することによって給水通路と水回収通路とを設けたので、外管及び内管を試錐管内にコンパクトに収納することができると共に外管及び内管を同時に取り扱い易い上、給水通路及び水回収通路を単純な構造で試錐管内に互いに液密に区画形成することができる。
【0025】
請求項8記載の発明によれば、試錐管の内周と前記外管の外周との間を試錐液供給通路としたので、単純な構造で、かつ、試錐管内の通路面積を全て活用して、給水通路,水回収通路及び掘削液供給通路を試錐管内に互いに液密に区画形成することができる。
【0026】
請求項9記載の発明によれば、試錐管の後端の開口と外管との間を閉塞する閉塞部材を接離自在に接合される一対の半体で構成したので、閉塞部材の着脱作業が容易となる。
【0027】
請求項10記載の発明によれば、試錐管の後端の開口から突出した内管及び外管の部位に外力を付与することによって内管及び外管の先端部を掘削部材から離脱可能としたので、試錐管を地中に貫入させた状態で内管及び外管だけを掘削部材から離脱することができる。
【0028】
請求項11記載の発明によれば、給水通路とした内管を掘削部材に対して螺合して固定したので、高圧の水を給水通路に供給しても水圧で掘削部材から内管が離脱することはない。また、試錐手段により地中を掘削する際、試錐管を正逆往復回転させるようにしたので、内管を掘削部材に螺合して固定すると共に外管を掘削部材に連結したにも拘わらず、内管及び外管が掘削部材から離脱することなく掘削作業を行うことができる。
【0029】
請求項12記載の発明によれば、掘削部材によって掘削された泥と水供給孔から排出された水とでできた泥水が水回収部に導入された後、水噴射孔からの水の噴流によって該泥水を効率的に回収することができるので、掘削作業を円滑に行うことができる。
【0030】
また、水回収孔が泥で目詰まりして泥水が一時的に回収されなくなる場合が想定されるが、そのような場合でも、給水通路に供給される水の一部を水噴射孔から水回収部に噴射するようにしたので、水回収通路には水回収部を介して水噴射孔から常に水が供給されるため、水回収孔の目詰まりに起因して水回収通路も泥で目詰まりするということがない。そのため、掘削部材の回転により水回収孔の目詰まりが解消されると、再び正常に泥水が水回収通路から回収される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明に係る土壌汚染調査装置の一実施の形態を図1ないし図10によって詳細に説明する。
図1は本発明に係る土壌汚染調査装置を装備した作業車の構成を示す側面図、図2は本発明に係る土壌汚染調査装置を上方から見た状態を示す平面図である。図3は試錐管の先端部に掘削部材が固定された状態を示す断面図であり、図4の(a)及び(b)は掘削部材を横断した状態を示す拡大断面図であり、同図の(c)は掘削部材を先端側から見た外観の状態を示す拡大図である。図5は本発明に係る土壌汚染調査装置の構成を示すブロック図であり、図6は試錐管の後端部に固定される閉塞部材の構成を示す図であり、図7は給水管及び水回収管に接続される三方継手の構成を示す図である。図8は試錐管に穿設された浄化剤供給孔の構成を示す断面図であり、図9は給水管,水回収管及び試錐管が載置された枠体を正面から見た外観の状態を示す図であり、図10はその枠体を左側方から見た外観の状態を示す図である。なお、図1,図2及び図5については、作図の都合上、それぞれの構成部材の縮尺の比率は互いに異ならせて図示している。
【0032】
図1及び図2において、符号1で示すものは、この実施の形態による土壌汚染調査装置2を装備した作業車を示す。図2は、後述する試錐管24を装着する前の作業車1を示す平面図である。この作業車1には、左右一対の無限軌道帯3,3と、この無限軌道帯3,3(図1は左側のみを示す。)を駆動して作業車1を走行させるエンジン4と、掘削しながら地盤に穴を穿つための試錐手段5と、本発明でいう給水手段を構成する給水ポンプ6と、本発明でいう減圧手段を構成する真空ポンプ7と第1貯水容器8a及び第2貯水容器8b等を備えている。真空ポンプ7と第1貯水容器8a及び第2貯水容器8bとは本発明でいう水回収手段を構成する。試錐手段5,給水ポンプ6,真空ポンプ7,第1貯水容器8a,第2貯水容器8b及び後述する制御盤25等によって土壌汚染調査装置2が構成されている。土壌汚染調査装置2は、作業車1に装備された台座11上に設置され固定されている。
【0033】
無限軌道帯3,3は、駆動スプロケット12及び従動スプロケット13…に巻き回され、エンジン4は、作業車1の後部における左右一対の無限軌道帯3,3の間に配置されている。作業車1の後部には、操作盤14が配設され、この操作盤14に配設された第1操作子14aを操作してエンジン4の駆動力を駆動スプロケット12に作業車1が前進方向もしくは後進方向に走行するように伝達または遮断して作業車1を走行または停止させる。また、操作盤14に配設された第2操作子14bを操作して左右一対の無限軌道帯3,3のそれぞれの回転速度を異ならせて作業車1の進行方向を変更する。
【0034】
左右一対の無限軌道帯3,3の上方で、かつ、操作盤14の前方には、基体15が設けられ、台座11は、昇降自在に基体15によって支持されている。台座11は基体15にリンク部材16で連結され、台座11と基体15との間には油圧シリンダ17aが架設されている。油圧シリンダ17aは、操作盤14に設けられた第3操作子14cを操作することによってエンジン4の右側面部に配設された油圧ポンプ17bにより伸縮駆動され、油圧シリンダ17aは任意の伸縮位置で固定できるように構成されている。
【0035】
これによって、台座11は基体15に対して鉛直方向の任意の位置で支持される。台座11が基体15に対して鉛直方向下方に変位したとき、それに伴って、台座11に立設された支持部材11aに軸支された円形状の回転体21が基体15に連結されたワイヤ18の張力によって時計回りに回転させられ、回転体21の回転角度が支持部材11aに固定されたエンコーダ22によって測定される。その測定値の信号が、台座11に搭載された制御盤25内のコントローラ23に送信され、コントローラ23内に配設されたメモリ23aに測定値データとして記憶される(図5を参照)。コントローラ23は土壌汚染調査装置2を制御するためのものである。
【0036】
また、図1に示すように、台座11は最高位置と最低位置との間をストロークSだけ変位可能に構成され、台座11が最高位置から最低位置まで降下した回数は、図示しないカウンタで計測されメモリ23aに記憶される。この回数とエンコーダ22によって測定された回転角度とに基づいて、地面Eに穴を穿つための円筒状の試錐管24が地中に貫入する深度がコントローラ23内に設けられた演算手段により演算され求められる。なお、台座11が最低位置まで降下したときは、その旨を作業者に報知する表示灯(図示せず)が点灯する。
【0037】
また、コントローラ23内には、タイマ23bが配設されており、試錐手段5による掘削が開始されてからの時間がタイマ23bによって計測される。そして、タイマ23bによる計測時間と、エンコーダ22により測定された深度データと、後述する濃度センサ54により測定された測定データとが関連付けられてメモリ23aに記憶されるようになっており、これによって、地中における深度ごとのVOCsの濃度が時間の経過とも関連付けられてメモリ23aに記憶される。
【0038】
台座11が鉛直方向下方に変位して回転体21が時計回りに回転するとき、回転体21と支持部材11a側との間に架設されたトーションバネ(図示せず)が撓んで回転体21を反時計回りに回転させようとするトルクが作用するようになっており、このトーションバネは、台座11が鉛直方向上方に変位したとき、回転体21を反時計回りに回転させるように作用する。
【0039】
試錐手段5は、台座11の前部に固定され、試錐管24を把持した状態で試錐管24をその軸芯L1回りに所定の回転角度(正逆300度の回転角度)で往復回転させるためのクランプ5aと、このクランプ5aに回転力を伝達するための試錐管回転モータ5bとを備える。試錐管24の回転速度は、台座11に搭載された制御盤25に設けられた操作スイッチ25aを操作して無段階に調節することができる。また、掘削の作業中、地中に石等の障害物があった場合はその障害物を粉砕して除去するために、その分、掘削作業の時間が長くなることがあるが、そのような場合は、制御盤25に設けられた操作スイッチ25bを操作してその旨をメモリ23aに記憶させ、障害物除去作業が発生した時間帯と、そのときの深度及び濃度の測定データとの関係が後で測定データを整理する際に分かるようにしている。
【0040】
図9に示すように、試錐管24は、一定の長さ(2メートル)を有する複数の筒状の分割管73…と、分割管73…に螺着される筒状の試錐管継手76…とで構成され、分割管73…及び試錐管継手76…はステンレス製の部材からなる。試錐管継手76…の両端部の内周面にそれぞれ刻設された雌ネジ部に分割管73…のそれぞれの両端部外周面に刻設された雄ネジ部を螺合して分割管73と試錐管継手76とを次々に連結することによって長尺の1本の試錐管24が構成される。なお、分割管73…及び試錐管継手76…のネジ部はテーパネジ構造とされ、互いに強固に螺合することによって緩み難くされている。
【0041】
図3に示すように、試錐管24の先端部を構成する試錐管継手76には、地中を掘削するための略円柱状の掘削部材26が螺着され、試錐管24内には、本発明でいう外管を構成する硬質ナイロン樹脂製の水回収管27が挿入され、水回収管27内には給水ポンプ6によって水が供給されるテフロン(登録商標、正確にはPTFE(ポリテトラフルオロエチレン))樹脂製の給水管28が挿入されている。水回収管27及び給水管28は、共に円管状の横断面を有しており、給水管28は、本発明でいう内管を構成する。また、給水管28内は本発明でいう給水通路を構成し、給水管28外周と水回収管27内周との間の間隙は本発明でいう水回収通路を構成する。
【0042】
掘削部材26は、その先端部の掘削部26aと、この掘削部26aが螺着される筒状の掘削部材本体26bと、試錐管24の先端部を構成する試錐管継手76に螺着される連結部材37とからなり、掘削部材本体26bの内部には、略円柱状の空洞からなる水回収部32が掘削部材26の軸芯L2(掘削部材26が固定された試錐管24の軸芯L1と同軸)に沿って形成され、掘削部26aに水供給孔33が軸芯L2方向に穿設されており、この水供給孔33は、掘削部26aに設けられた第1連通路34を介して給水管28と連通する。
【0043】
第1連通路34の水供給孔33とは反対側の端部に刻設された雌ネジ部に、筒状の給水管用継手部材35の一端部外周面に刻設された雄ネジ部が螺合され、給水管用継手部材35の他端部には、給水管28の先端部28aが嵌着され、クランプ部材(図示せず)で強固に把持される。このため、給水管28が嵌着されたまま給水管用継手部材35の雄ネジ部を緩めることによって、給水管28を掘削部材26に対して給水管28の軸芯方向に離脱させることができる。
なお、給水管用継手部材35内及び掘削部26aの第1連通路34も本発明でいう給水通路を構成する。
【0044】
第1連通路34の中途部から分岐通路34bが分岐され、その分岐通路34bの終端が水回収部32の底部32aに開口して水噴射孔36を形成している。図3の矢視A−A線に沿う拡大断面図として図示した図4の(a)に示すように、水噴射孔36は、掘削部材26の軸芯L2から半径方向に偏倚した部位で軸芯L2回りの円周方向に所定の角度(5度〜15度の範囲で適宜設定)だけ傾斜して穿設されている。
【0045】
連結部材37は、長手方向中間部が大径とされ、それより小径とされた両端部に雄ネジ部がそれぞれ刻設された円管状の部材からなり、該雄ネジ部の一方が、掘削部26aとは反対側の掘削部材本体26bの端部内周面に刻設された雌ネジ部に螺着され、連結部材37内には水回収部32に連通する第2連通路37aが掘削部材26の軸芯L2に沿って形成されている。第2連通路37aの水回収部32とは反対側の端部内周面には雌ネジ部が刻設され、この雌ネジ部に、筒状の水回収管用継手部材38の一端部外周面に刻設された雄ネジ部が螺合され、水回収管用継手部材38の他端部の小径部には、水回収管27の先端部27aが嵌着され、クランプ部材(図示せず)で強固に把持される。このため、水回収管27が嵌着されたまま水回収管用継手部材38の雄ネジ部を緩めることによって、水回収管27を掘削部材26に対して水回収管27の軸芯方向に離脱させることができる。掘削部材本体26b内の水回収部32と連結部材37の第2連通路37aと水回収管用継手部材38の内部は本発明でいう水回収通路を構成する。而して、水回収部32の中心部を貫通して給水管28が配設されることになる。なお、試錐管継手76と連結部材37,連結部材37と掘削部材本体26b及び掘削部材本体26bと掘削部26aのそれぞれのネジ部はテーパネジ構造とされ、互いに強固に螺合することによって緩み難くされている。
【0046】
また、図3及び図3の矢視B−B線に沿う拡大断面図として図示した図4の(b)に示すように、掘削部材26の掘削部材本体26bには、掘削部材26の外部と水回収部32とを連通する水回収孔32b…が掘削部材26の軸芯L2に平行に延びる長孔形状に形成され、これらの水回収孔32b…は軸芯L2回りに等角度間隔に4個形成されている。水回収孔32b…を長孔形状に形成したことで、水回収孔32b…の開口面積を十分確保でき、かつ、大きな粒土は水回収孔32b…を通過することができないため細かな土だけが泥水となって回収される。なお、水回収孔32b…の外部側の周囲は泥水が通過しやすいように大きく面取りされている(図3を参照)。而して、水回収通路を構成する水回収部32と連結部材37の第2連通路37aとを流れる水の経路から見て、水回収孔32b…より上流側に水噴射孔36が位置付けられ、給水管28内の給水通路を流れる水の一部が水噴射孔36から水回収部32の水流方向に略沿うよう噴射される。
【0047】
掘削部材26の掘削部26aは掘削部本体41を備え、掘削部本体41には、掘削部材26の軸芯L2に平行に掘削ロッド42…が螺合により植設されている。掘削部材26を先端側から見た外観の拡大した状態を図示した図4の(c)に示すように、掘削ロッド42…は、掘削部材26の軸芯L2の周囲を囲むように3本の掘削ロッド42が掘削部本体41の円柱状突部41aに植設され、前記3本の掘削ロッド42を囲むように6本の掘削ロッド42が円柱状突部41aの周囲に形成された環状段部41bに植設されている。なお、掘削部26aは、合計9本の掘削ロッド42が螺合された状態で熱処理されて硬化された後、掘削ロッド42…の先端が研磨機で研磨されて掘削に適した形状に成形されている。
【0048】
図1に示すように、本発明でいう水泥分離手段を構成する水泥分離容器43が一対の保持部材43aを介して台座11の支持部材11aに固定されており、図5に示すように、水泥分離容器43の上部に、後述する第3接続管71が接続され、水泥分離容器43の上部と第1貯水容器8a及び第2貯水容器8bのそれぞれの底部とが、本発明でいう水回収通路を構成する第1接続管44を介して接続されている。これによって、水回収通路を流れる水の経路から見て、貯水容器8a,8bの上流側に水泥分離容器43が配設される。水泥分離容器43の底部には、水泥分離容器43内の泥を排出するときに取り外すゴム製の栓部材45が着脱自在に嵌入されている。水泥分離容器43は、水と泥とを分離するためのもので略円筒状の透明の容器からなり、水泥分離容器43の容量は、土壌汚染調査の対象となっている1箇所の地点における地中を予定された深度まで掘削したときに地上に排出される泥の体積に相当する容積より少しだけ多い容量とされている。そして、水泥分離容器43の外表面には、深度1メートル分の泥の量に相当する位置ごとに目盛が付けられ、この目盛と泥の貯留量との関係から試錐作業中のおおよその深度を把握することができる。
【0049】
第1接続管44の中途部には、水泥分離容器43と第1貯水容器8aとの間の通路を開閉する第1電磁弁46aと、水泥分離容器43と第2貯水容器8bとの間の通路を開閉する第2電磁弁46bとが配設されている。第1電磁弁46a及び第2電磁弁46bは、本発明でいう切替手段を構成する。
【0050】
また、第1貯水容器8aと第1電磁弁46aとの間の第1接続管44における中途部から分岐して設けられた第1排水管47aの中途部には、第1貯水容器8a内に貯留した水を排出する際に開弁する第3電磁弁46cが配設されている。一方、第2貯水容器8bと第2電磁弁46bとの間の第1接続管44における中途部から分岐して設けられた第2排水管47bの中途部には第2貯水容器8b内に貯留した水を排出する際に開弁する第4電磁弁46dが配設されている。第3電磁弁46c及び第4電磁弁46dは、本発明でいう排水手段を構成する。
【0051】
第1貯水容器8aと第2貯水容器8bとには、貯留する水の水位が予め設定された最高水位又は最低水位の何れかに到達したことを検出して、その検出信号を、コントローラ23に送信する第1水位検出センサ48aと第2水位検出センサ48bとがそれぞれ配設されている。
【0052】
貯水容器8a,8b内のそれぞれの上部には、台座11に搭載された加圧ポンプ52が第2接続管51を介して接続され、貯水容器8a,8b内に貯留した水を排水管47a,47bを介して排出する際に貯水容器8a,8b内を加圧ポンプ52によって加圧する。第2接続管51の中途部には、加圧ポンプ52と第1貯水容器8aとの間の通路を開閉する第5電磁弁46eと、加圧ポンプ52と第2貯水容器8bとの間の通路を開閉する第6電磁弁46fとが配設されている。
【0053】
また、第2接続管51の中途部には、貯水容器8a,8b内から吸い出された気体が排出される排気管53の一端が接続され、排気管53の中途部には真空ポンプ7が接続され、貯水容器8a,8b内の圧力が真空ポンプ7によって減圧される。また、第2接続管51の中途部には、真空ポンプ7と第1貯水容器8aとの間の通路を開閉する第7電磁弁46gと、真空ポンプ7と第2貯水容器8bとの間の通路を開閉する第8電磁弁46hとが配設されている。
【0054】
排気管53の中途部には、気体が流れる経路から見て、真空ポンプ7より下流側に、本発明でいう調査手段を構成する濃度センサ54が接続されている。制御盤25に配設された表示装置25cの複数の発光ダイオード(以下「LED」という。)が、濃度センサ54により測定された測定データに応じて、その個数だけ点灯する。
上述した第1電磁弁46aないし第8電磁弁46h,表示装置25c及び濃度センサ54は、コントローラ23にそれぞれ電気的に接続されている。
【0055】
試錐管24の後端部を構成する試錐管継手76には、図6に示すように、アルミニウム合金製の閉塞部材55が装着される。すなわち、水回収管27及び給水管28が突出した試錐管継手76の開口と水回収管27との間が閉塞部材55によって閉塞され、この閉塞部材55は、試錐管24の後端部を構成する試錐管継手76に装着したとき、試錐管24の軸芯L1を通る仮想平面を接合面とする一対の半体55a,55bからなり、これらの半体55a,55bにそれぞれ一体に形成されたヒンジ部56のヒンジ孔にピン57が挿入され、このピン57の軸芯L3回りに互いに半体55a,55b同士を接近する方向または離間する方向に回動させて半体55a,55bが接合または離脱される。
【0056】
半体55a,55bのヒンジ部56とは反対側に凹状の凹部58a,58bがそれぞれ形成され、半体55bの凹部58b内に棒状の係止部材61の一端部が回転自在に軸支されている。半体55a,55b同士を接合した状態で、半体55aの凹部58a内に係止部材61を挿入して係止部材61の他端部に螺合されたネジ部材61aを半体55aの端面に圧接するようにねじ込むことによって半体55a,55b同士が強固に接合される。
水回収管27の外周と閉塞部材55との間および半体55a,55bの接合面84a,84b同士の間は半体55a,55bのそれぞれに装着されたシール部材たるリングシール62a,62b同士等の圧接によって液密にシールされる。
【0057】
ところで、掘削作業時に試錐管24がその軸芯L1回りに正逆300度の回転角度で往復回転したときは、試錐管24と共にその軸芯L1回りに閉塞部材55も回転するが、水回収管27とリングシール62a,62bとは摺動自在とされているので閉塞部材55と水回収管27とは相対的に回転することができ、試錐管24及び閉塞部材55の回転に連れ回されて水回収管27も回転することはない。
【0058】
半体55a,55b同士が接合された状態の閉塞部材55における内部と外部とは、一方の半体55aに形成された連通路63によって連通される。また、試錐管24の後端部を構成する試錐管継手76の内周と水回収管27の外周との間に設けられた間隙が試錐液供給通路64とされ、この試錐液供給通路64と半体55aの連通路63とが連通される。そして、本発明でいう試錐液供給手段を構成する試錐液供給ポンプ65により試錐液容器66内に貯留された試錐液が、連通路63に接続された配管81を介して供給される(図1を参照)。このとき、試錐管24の後端部を構成する試錐管継手76の端面は半体55a,55bに形成された段部83a,83bに当接しているため、試錐液供給ポンプ65により供給された試錐液で閉塞部材55内の圧力が上昇しても、その圧力により該試錐管継手76が閉塞部材55から抜け出ることはない。
なお、試錐液供給ポンプ65及び試錐液容器66は地面Eに設置される。
【0059】
試錐液供給通路64に供給された試錐液は、試錐管24の先端部を構成する試錐管継手76に軸芯L1回りに等角度間隔に4個穿設された試錐液排出孔67…を介して試錐管24の外部に排出される(図3を参照)。試錐液は、ベントナイトを主成分として水に懸濁させた懸濁液からなり、地中に貫入した試錐管24とその外周の土との摩擦抵抗を低減する機能,掘削部材26の掘削部26aで掘削した泥を水回収通路を介して搬送する機能,試錐管24が地中から引き抜かれたとき、地面Eに穿った穴の内周面に擁壁を形成する機能等を有する。
【0060】
図7に示すように、試錐管24の後端部を構成する試錐管継手76から突出した水回収管27の後端部27bには、略T字状をした三方継手68が接続される。三方継手68は、筒状の主継手部68aと、この主継手部68aの長手方向中途部から分岐した分岐部68bとからなり、主継手部68aの一端部に水回収管27の後端部27bが接続され、水回収管27内から突出した給水管28は主継手部68aの中空部を貫通し主継手部68aの他端部の開口から突出して、その突出端部は、図1に示すように給水ポンプ6に接続されており、作業車1の近傍の地面Eに設置された貯水槽69に貯留された水が給水管28を介して給水ポンプ6により供給される。
【0061】
主継手部68aの他端部の開口と給水管28との間の間隙はゴム製の栓部材70で液密に閉塞される。この結果、水回収管27と給水管28との後端部側同士が、これら両管27,28の軸芯方向に互いに相対変位不能に三方継手68及び栓部材70によって連結される。三方継手68の分岐部68bの端部は、第3接続管71を介して水泥分離容器43の上部に接続される(図1を参照)。而して、水回収管27の内周と給水管28の外周との間の水回収通路は、三方継手68を介して第3接続管71と連通し、図7に示す矢印のように、水がそれぞれ流れる。水泥分離容器43の上部と貯水容器8a,8bとは第1接続管44を介して接続されており、この第1接続管44の中途部には、水泥分離容器43で泥を除去できなかった場合を想定して念のために除泥フィルタ72が配設されている。
【0062】
分割管73…の中途部には、図8に示すように、分割管73…の内部と外部とを連通する浄化剤供給孔73b…が分割管73…の長手方向に沿って等間隔で複数箇所穿設され、かつ、その複数箇所ごとに分割管73…の軸芯回りに等角度間隔に4個ずつ穿設されている。図8中に、一部を拡大して示すように、浄化剤供給孔73b…には、ステンレス製の細い短線を不織布状に形成した円盤状のフィルタ74が装着され、さらに、フィルタ74が脱落しないように分割管73…の外部のフィルタ74の上から抜け止め部材75が装着されている。フィルタ74の目の粗さは、試錐液中のベントナイトは透過できないが後述する浄化剤は透過できる大きさとされている。
【0063】
なお、試錐作業を行う場合は、長尺の1本の試錐管24のままでは取り扱いが不便であるので、試錐作業の前は、試錐管24を複数の分割管73…に分解した状態で取り扱う。図9及び図10に示すように、分割管73…のそれぞれの一端部には試錐管継手76を予め螺着しておき、その試錐管継手76が螺着された分割管73…を、給水管28が挿入された水回収管27の外周に一定の間隔を隔てて環装する。分割管73…の本数は、地中に貫入する試錐管24の長さに相当する分より少し多い数量とし、水回収管27及び給水管28は試錐管24の長さよりさらに10メートル以上長い管長とする。試錐管継手76が螺着された分割管73…が環装されたまま水回収管27を給水管28と共にとぐろ状に巻いた状態で枠体77に載置しておく。この枠体77の下部にはキャスタ77aが設けられているので、水回収管27,給水管28及び複数の分割管73…を載置した状態で所望の場所に枠体77を容易に移動させることができる。
【0064】
(土壌汚染調査の作業工程)
上述した土壌汚染調査装置2を使用して土壌汚染の調査を行う場合は、以下の作業工程で行われる。
(1)まず、複数の分割管73…が環装され、とぐろ状に巻かれた水回収管27及び給水管28が載置された枠体77,土壌汚染調査装置2が装備された作業車1,試錐液供給ポンプ65その他の機具を土壌汚染の調査を行う現場まで運搬する。
【0065】
(2)次に、試錐する地点に作業車1を設置した後、水回収管27及び給水管28が連結された掘削部材26が螺着された分割管73を枠体77から取り出して試錐手段5のクランプ5aの孔内に貫入して掘削部材26の掘削部26aを地面Eに接地させる。
なお、水回収管27及び給水管28がそれぞれ嵌着された水回収管用継手部材38及び給水管用継手部材35は掘削部材26の連結部材37及び掘削部26aにそれぞれ螺合されているが、これらの螺合はネジ長さの中途部までしか螺合せずに螺合に余裕を持たせ、掘削の際に試錐管24が軸芯L1回りに正逆300度の回転角度で往復回転しても、それに伴って水回収管27及び給水管28も回転しないようにしている。
【0066】
(3)次に、エンジン4を運転した状態で、操作盤14の第3操作子14cを操作して、油圧ポンプ17bを作動させて油圧シリンダ17aを伸張させて台座11を最高位置まで上昇させ、その最高位置で、試錐手段5のクランプ5aにより試錐管24を強固に把持させる。
【0067】
(4)次に、制御盤25の操作スイッチ25aを操作して試錐管回転モータ5bを駆動させて正逆300度の回転角度で試錐管24を往復回転させる。このとき、油圧ポンプ17bの作動を停止して油圧シリンダ17aの油圧を減少させ、土壌汚染調査装置2が設置された台座11自体の荷重によって下方に向かう推力が試錐管24に付与され、この推力と試錐管24の回転とによって掘削部材26により掘削が行われる。このため、試錐管24を地中に貫入させるための特別な荷重付与手段が不要となる。
【0068】
(5)一方、貯水槽69に貯留された水が給水ポンプ6によって給水管28を介して供給され、その水が掘削部材26の掘削部26aに穿設された水供給孔33から噴射される。この水の噴射と掘削部26aの回転による攪拌とによって、掘削された土が泥水となって掘削部材26の水回収孔32b…から水回収部32に回収された後、その泥水が、真空ポンプ7による減圧作用によって水回収管27と給水管28との間の水回収通路を介して水泥分離容器43内に導入される。
【0069】
(6)この水泥分離容器43内で泥が分離された後の水が第1接続管44の中途部に配設された除泥フィルタ72を通過して第1貯水容器8aに導入され、この導入された水で第1貯水容器8a内の水位が予め設定された水位に到達したとき、第1水位検出センサ48aからの信号をコントローラ23が受信して、コントローラ23によって第1電磁弁46aが閉弁されると共に第2電磁弁46bが開弁される。このとき、第3電磁弁46c及び第4電磁弁46dは閉弁されている。
【0070】
これによって、水泥分離容器43からの水が第1接続管44及び第2電磁弁46bを通過して第2貯水容器8b内に導入される。水が第2貯水容器8b内に導入されている間、コントローラ23によって第3電磁弁46cが開弁され、第1貯水容器8a内に貯留された水が第1排水管47aを介して排水される。このとき、コントローラ23によって第5電磁弁46eが開弁されると共に加圧ポンプ52が駆動され、これによって、第2接続管51を介して第1貯水容器8a内の圧力が増加させられ第1貯水容器8a内の水が強制的に排出される。
【0071】
(7)第1貯水容器8a内の水が排出され、第1貯水容器8a内の水位が予め設定された最低水位になったとき、第1水位検出センサ48aからの信号をコントローラ23が受信し、コントローラ23によって加圧ポンプ52の駆動が停止されると共に第3電磁弁46c及び第5電磁弁46eが共に閉弁される。
【0072】
(8)第2貯水容器8b内の水位が予め設定された最高水位に到達したとき、第2水位検出センサ48bからの信号をコントローラ23が受信して、コントローラ23によって第1電磁弁46aが開弁されると共に第2電磁弁46bが閉弁される。これによって、水泥分離容器43からの水が第1接続管44及び第1電磁弁46aを通過して第1貯水容器8a内に再び導入される。水が第1貯水容器8a内に導入されている間、コントローラ23によって第4電磁弁46dが開弁され、第2貯水容器8b内に貯留された水が第2排水管47bを介して排水される。
【0073】
このとき、コントローラ23によって第6電磁弁46fが開弁されると共に加圧ポンプ52が駆動され、これによって、第2接続管51を介して第2貯水容器8b内の圧力が増加させられ第2貯水容器8b内の水が強制的に排出される。第2貯水容器8b内の水が排出されると、コントローラ23によって加圧ポンプ52の駆動が停止されると共に第4電磁弁46d及び第6電磁弁46fが共に閉弁される。
【0074】
(9)以下、同様の工程が繰り返され、給水管28を介して連続して水が地面Eの穴内に供給されると共にその供給された水が連続して第1貯水容器8aまたは第2貯水容器8bに交互に回収される。
【0075】
(10)第1貯水容器8aまたは第2貯水容器8b内から交互に真空ポンプ7によって吸い出された気体は排気管53に排出され、その気体に含まれるVOCsの濃度が濃度センサ54によって測定された後、その測定値の信号とエンコーダ22によって測定された測定値の信号がコントローラ23に送信されて、測定値データとしてコントローラ23内のメモリ23aに記憶される。
【0076】
このとき、濃度センサ54による測定値データとエンコーダ22による測定値データとコントローラ23内のタイマ23bによって計測された時間とが関連付けられてメモリ23aに記憶されるようになっており、これによって、地中における深度ごとのVOCsの濃度がその測定された時の時間と共にメモリ23aに記憶される。
【0077】
また、表示装置25cのLEDが濃度センサ54による測定値に応じてコントローラ23によって点灯される。これによって、VOCsの濃度を視覚的に容易に認識することができる。また、濃度センサ54及びエンコーダ22による測定値のデータがコントローラ23内のメモリ23aに記憶されるので、その記憶された測定値のデータをコントローラ23に接続された外部機器で適宜変換して外部機器のモニタに表示させることもできる。
【0078】
(11)試錐管24と水回収管27との間の試錐液供給通路64に試錐液供給ポンプ65により試錐液が供給される。この試錐液は、試錐管24の試錐液排出孔67…から試錐管24の外部に排出される。この排出された試錐液の一部は、掘削部材26の水回収孔32b…から回収された泥水と一緒になって、真空ポンプ7による減圧作用によって水回収管27と給水管28との間の水回収通路を流れる。このとき、泥水の中の泥は試錐液によって搬送されながら水泥分離容器43内に導入される。
【0079】
(12)台座11が最低位置まで降下したら、制御盤25の操作スイッチ25aを操作して試錐管回転モータ5bを停止して試錐管24の回転を停止させる。次に、試錐手段5のクランプ5aを緩めて試錐管24の把持を解除し、操作盤14の第3操作子14cを操作して油圧ポンプ17bを作動させて油圧シリンダ17aを伸張させ台座11を最高位置まで上昇させて、その最高位置でクランプ5aにより試錐管24を再び強固に把持させる。
【0080】
(13)次に、制御盤25の操作スイッチ25aを操作して試錐管回転モータ5bを駆動させて再び試錐管24を回転させ、操作盤14の第3操作子14cを操作して油圧ポンプ17bの作動を停止して油圧シリンダ17aの油圧を減少させる。これによって、台座11自体の荷重によって掘削部材26により掘削が行われる。
【0081】
(14)掘削部材26による掘削によって地中の深度が深くなり、試錐管24の長さが不足する場合は、制御盤25の操作スイッチ25aを操作して試錐管回転モータ5bを停止し、試錐管24の回転を停止させると共に試錐液供給ポンプ65も停止させる。
【0082】
(15)試錐管24の後端部を構成する試錐管継手76に固定した閉塞部材55の半体55a,55bを、係止部材61による係止を解除して試錐管継手76から離脱させた後、枠体77から次の分割管73(試錐管継手76が一端部に螺着されたもの)を水回収管27に沿って移動させ、閉塞部材55を離脱させた試錐管24の後端部(試錐管継手76)に、前記次の分割管73を螺合させ、分割管73を継ぎ足す。継ぎ足した分割管73の他端部(試錐管継手76)に閉塞部材55の半体55a,55bを装着して接合し、係止部材61により係止する。
【0083】
(16)次に、制御盤25の操作スイッチ25aを操作して試錐管回転モータ5bを駆動して試錐管24を再び回転させると共に試錐液供給ポンプ65も駆動させ試錐液の供給を再び行う。
【0084】
(17)以下、同様の工程が繰り返され、掘削部材26によって、予定された地中の深度まで掘削される。
【0085】
(他の地点の土壌汚染調査の作業工程)
予定された地点の土壌汚染調査が終了した後、同じ調査区域における他の地点の土壌汚染調査を行う場合は、以下の作業工程で行われる。
【0086】
(1)制御盤25の操作スイッチ25aを操作して試錐管回転モータ5bを停止して試錐管24の回転を停止させると共に試錐液供給ポンプ65も停止させる。
【0087】
(2)試錐管24の後端部(試錐管継手76)に固定した閉塞部材55を離脱させた後、クランプ5aによって試錐管24を把持した状態で操作盤14の第3操作子14cを操作して油圧ポンプ17bを作動させ、台座11を上昇させて地中から試錐管24を引き抜く。このとき、試錐管24外周に接する地中には、試錐液による擁壁が形成されているので、試錐管24を引き抜く際に試錐管24外周と地中との間に作用する摩擦力は低減される。
【0088】
(3)次に、地上に引き出された試錐管24の分割管73を回転して、その分割管73と地中に貫入している試錐管24の後端部(試錐管継手76)との螺合を緩め、地上に引き出された分割管73を取り外した後、試錐手段5のクランプ5aを緩めて試錐管24の把持を解除し、操作盤14の第3操作子14cを操作して油圧ポンプ17bの作動を停止させて油圧シリンダ17aを収縮させ台座11を最低位置まで下降させて、地中に貫入した試錐管24をクランプ5aにより再び強固に把持させる。
【0089】
(4)取り外された分割管73は一端部に試錐管継手76が螺着されたまま、給水管28が挿入された水回収管27の外周に環装された状態で枠体77に載置する。
【0090】
(5)次に、クランプ5aによって試錐管24を把持した状態で操作盤14の第3操作子14cを操作して油圧ポンプ17bを作動させ、再び台座11を上昇させて、まだ地中に貫入している試錐管24を引き抜く。
【0091】
(6)以下、同様の工程が繰り返され、地中に貫入した全ての試錐管24を引き抜く。
【0092】
なお、上述した試錐管24の引き抜き作業の際、給水管28及び水回収管27は、掘削部材26に連結したままであったが、試錐管24の引き抜き作業を行う前に、試錐管24の後端から外部に突出している給水管28及び水回収管27の部位を回転させて給水管28の先端部28a及び水回収管27の先端部27aがそれぞれ嵌着されている給水管用継手部材35及び水回収管用継手部材38を掘削部材26から離脱させて試錐管24内から給水管28及び水回収管27を予め引き出しておいてもよい。
【0093】
(7)地中に貫入した全ての試錐管24が引き抜かれた後、作業車1の操作盤14の第1操作子14a及び第2操作子14bを操作して作業車1を他の地点に移動させると共に枠体77等もその地点に移動させ、その地点の土壌汚染の調査を、上述した(1)ないし(6)の工程と同様の工程で行う。
【0094】
なお、上述した土壌汚染調査では、その調査が終了した地点の地中から試錐管24を引き抜くようにしたが、試錐管24を地中に貫入したままにしておくこともできる。そのようにすれば、土壌汚染調査の終了後、試錐管24内に水を供給しながら吸水して、浄化剤供給孔73b…のフィルタ74に詰まった試錐液中のベントナイトを除去したのち、試錐管24にポンプ等を接続して浄化剤供給孔73b…を介して地下水を定期的に採取し、その水質を調査することができる。
【0095】
また、土壌を浄化するための浄化剤供給用管(図示せず)を試錐管24内に挿入して浄化剤供給孔73b…から浄化剤を地中に排出して供給することもできる。
その結果、土壌汚染調査の終了後に浄化作業を継続して行うことができ、浄化作業のために新たに試錐管を地中に貫入させたり、その試錐管を引き抜いたりする試錐作業を省略することができる。このため、土壌汚染調査と浄化作業とを共に行う場合は、これらの作業を効率的に行うことができる。
なお、浄化剤としては、水,オゾンガス,オゾンが溶解したオゾン水又は界面活性剤等がある。
また、土壌を浄化する方法としては、汚染された区域を挟んで地中に貫入された複数の試錐管の一方の試錐管に浄化剤を供給手段で供給して、他方の試錐管から真空ポンプ等で吸引する方法がある。この方法によって、一方の試錐管から他方の試錐管に向かって浄化剤が地中を流れ、その間にVOCs等の土壌の汚染物質が浄化剤によって溶出して浄化剤と共に他方の試錐管から回収される。
【0096】
上述したように構成された土壌汚染調査装置2によれば、地面Eに穿った穴の内部に水を供給すると共にその水を供給した穴の部位から水を回収するようにしたので、調査したい地中の場所に存在する調査対象物質を水に溶出させて、その溶出後の水を回収することができ、地中の地下水の有無に拘わらず地中に含まれる調査対象物質を確実に採取することができる。このため、調査の精度が向上し、土壌汚染の調査を正確に行うことができる。
【0097】
また、この実施の形態による土壌汚染調査装置2によれば、給水ポンプ6による水の供給と真空ポンプ7による水の回収と、その回収した水の調査とを並行して行うようにしたので、土壌汚染の調査を迅速に行うことができ、かつ、調査の結果を速やかに知ることができる。
【0098】
また、この実施の形態による土壌汚染調査装置2によれば、水を導入した第1貯水容器8a及び第2貯水容器8b内の圧力を真空ポンプ7で減圧するようにしたので、水に溶解したVOCs等の調査対象物質を容易に気化させて分離することができる。また、第1貯水容器8a及び第2貯水容器8bのうちの一方の容器内の水が予め設定された水位まで貯留したとき他方の貯水容器に切り替える第1電磁弁46a及び第2電磁弁46bと、貯留した水を該貯水容器の外部に排出する第3電磁弁46c及び第4電磁弁46dとを適宜操作するだけで連続して水を回収すると共にその回収した水に溶解したVOCs等の調査対象物質を連続して調査することができる。
【0099】
また、この実施の形態による土壌汚染調査装置2によれば、真空ポンプ7による減圧により第1貯水容器8a及び第2貯水容器8b内で気化したVOCs等の濃度を調査するようにしたので、地中に含まれる調査対象物質を単純な装置で容易に抽出することができ、速やかに土壌汚染の調査を行うことができる。
【0100】
また、この実施の形態による土壌汚染調査装置2によれば、第1貯水容器8a及び第2貯水容器8bの上流側に水泥分離容器43を配設したため、真空ポンプ7,第1電磁弁46a,第2電磁弁46b,第3電磁弁46c及び第4電磁弁46dには泥水が浸入することがないので、真空ポンプ7や電磁弁46a〜46dは機能が損なわれることがなく十分な耐久性を確保することができる。
【0101】
また、この実施の形態による土壌汚染調査装置2によれば、掘削部材26によって掘削された泥と水供給孔33から排出された水とが掘削部材26の回転によって十分に攪拌された泥水とされるため、泥に混在する調査対象物質を確実に水に溶出させることができるので、その溶出した水を回収することで地中に含まれる調査対象物質を確実に採取することができる。
【0102】
また、この実施の形態による土壌汚染調査装置2によれば、給水通路と水回収通路とを試錐管24内に設けたので、試錐管24を地中に貫入した状態で水の供給及び回収を行うことができ、土壌汚染の調査を効率的に行うことができる。また、給水通路と水回収通路とを試錐管24内に設けたことで、給水通路と水回収通路とをコンパクトに配設することができる。
【0103】
また、この実施の形態による土壌汚染調査装置2によれば、試錐管24内に水回収管27及び給水管28を配設することによって給水通路と水回収通路とを設けたので、水回収管27及び給水管28を試錐管24内にコンパクトに収納することができると共に水回収管27及び給水管28を同時に取り扱い易い上、給水通路及び水回収通路を単純な構造で試錐管24内に互いに液密に区画形成することができる。
【0104】
また、この実施の形態による土壌汚染調査装置2によれば、試錐管24の内周と水回収管27の外周との間を試錐液供給通路64としたので、単純な構造で、かつ、試錐管24内の通路面積を全て活用して、給水通路,水回収通路及び試錐液供給通路64を試錐管24内に互いに液密に区画形成することができる。
【0105】
また、この実施の形態による土壌汚染調査装置2によれば、試錐管24の後端部を構成する試錐管継手76の開口と水回収管27との間を閉塞する閉塞部材55を接離自在に接合される一対の半体55a,55bで構成したので、閉塞部材55の着脱作業が容易となる。
【0106】
また、この実施の形態による土壌汚染調査装置2によれば、試錐管24の後端部を構成する試錐管継手76の開口から突出した水回収管27及び給水管28の部位を回転させることによって、給水管28の先端部28a及び水回収管27の先端部27aがそれぞれ嵌着されている給水管用継手部材35及び水回収管用継手部材38を掘削部材26から離脱させることができるので、試錐管24を地中に貫入させた状態で水回収管27及び給水管28だけを掘削部材26から離脱することができる。
【0107】
また、この実施の形態による土壌汚染調査装置2によれば、給水管用継手部材35を介して給水管28を掘削部材26に対して螺合して固定したので、高圧の水を給水管28に供給しても水圧で掘削部材26から給水管28が離脱することはない。また、試錐手段5により地中を掘削する際、試錐管24を正逆往復回転させるようにしたので、水回収管27及び給水管28を、水回収管用継手部材38及び給水管用継手部材35を介して掘削部材26にそれぞれ螺合して固定したにも拘わらず、水回収管27及び給水管28が掘削部材26から離脱することなく掘削作業を行うことができる。
【0108】
また、この実施の形態による土壌汚染調査装置2によれば、掘削部材26によって掘削された泥と水供給孔33から排出された水とでできた泥水が水回収部32に導入された後、水噴射孔36からの水の噴流によって該泥水を効率的に回収することができるので、掘削作業を円滑に行うことができる。
【0109】
さらにまた、水回収孔32b…が泥で目詰まりして泥水が一時的に回収されなくなる場合も想定されるが、そのような場合でも、給水通路に供給される水の一部を水噴射孔36から水回収部32に噴射するようにしたので、水回収管27の内周と給水管28の外周との間の水回収通路には水回収部32を介して水噴射孔36から常に水が供給されるため、水回収孔32b…の目詰まりに起因して水回収通路も泥で目詰まりするということがない。そのため、掘削部材26の回転により水回収孔32b…の目詰まりが自然に解消されると、再び正常に泥水が水回収通路から回収される。
【0110】
上述した実施の形態においては、貯水容器として第1貯水容器8aと第2貯水容器8bとの2個の容器を配設する例を示したが、本発明は、このような構成に囚われることなく、3個以上の容器を配設し、その一部の容器から順番に水を貯留するように切り替えてもよい。例えば貯水容器を6個設ける場合では、2個ずつ順番に水を貯留するように切り替えてもよい。
【0111】
また、この実施の形態においては、貯水容器8a,8b内を加圧して貯留した水を強制的に排出するように加圧ポンプ52を配設したが、本発明は、このような構成に囚われることなく、該加圧ポンプ52を省略することもできる。その場合は、貯水容器8a,8bからの排水に要する時間が長くなり、回収された水を再び貯留するときまでに排水が完了しない虞があるが、その分、貯水容器の個数を多くするようにすればよい。
【0112】
また、この実施の形態においては、真空ポンプ7による減圧により第1貯水容器8a及び第2貯水容器8b内で気化したVOCs等の濃度を調査する例を示したが、本発明は、このような構成に囚われることなく、第1接続管44の中途部に配設された除泥フィルタ72を通過した直後の水を分岐させて再び第1接続管44に戻すように配管を追加し、その分岐させた配管内を流れている水を空気に晒すことなく一定量だけ採取した後、その採取した水に一定量の空気を強制的に通過させて水に溶解しているVOCs等を空気に混入させ、その空気に混入したVOCs等の濃度を濃度センサで調査するようにしてもよい。なお、この調査方法の場合は、VOCs等の濃度を連続的に調査することはできないが、分岐させた配管からの水の採取作業を短い一定の時間ごとに定期的に行い、その都度、その採取した水に混入したVOCs等の濃度を調査するようにすれば略連続的な測定データを得ることができる。また、このような定期的な水の採取による調査方法の場合は、貯水容器8a,8b及び真空ポンプ7に代えて、うず巻ポンプ等の汎用性のあるポンプを使用してもよい。この場合は、該ポンプが本発明でいう水回収手段を構成する。
【0113】
また、この実施の形態においては、給水管28内を給水通路とし、給水管28外周と水回収管27内周との間の間隙を水回収通路とし、試錐管24の内周と水回収管27の外周との間の間隙を試錐液供給通路64としたが、このような構成に囚われることなく、3つの通路を適宜選択してそれぞれの通路を決定してもよい。
【0114】
また、この実施の形態においては、掘削部材26の掘削部材本体26bに水回収孔32b…を形成したが、このような構成に囚われることなく、掘削部材26近傍の試錐管24(試錐管24の先端部を構成する試錐管継手76を含む。)に複数の水回収孔を穿設する一方、掘削部材本体26bの水回収孔32b…を廃止するか、又は廃止しないで穿設したままにしておいてもよい。
【0115】
また、この実施の形態においては、試錐管24の先端部を構成する試錐管継手76に試錐液排出孔67を穿設したが、このような構成に囚われることなく、試錐液供給通路64を掘削部材26内まで延設すると共にこれに連通する試錐液排出孔を掘削部材26の適当な位置に穿設する一方、試錐管24の先端部を構成する試錐管継手76の試錐液排出孔67を廃止するか、又は廃止しないで穿設したままにしておいてもよい。
【0116】
また、この実施の形態においては、水回収管27が嵌着された水回収管用継手部材38と掘削部材26の連結部材37とは螺合構造で連結したが、このような構成に囚われることなく、両者を互いに単に嵌合する嵌合構造で接続するようにしてもよい。このような構成にしたとしても、水回収管27と給水管28とは三方継手68によって連結され、かつ、給水管用継手部材35を介して給水管28が掘削部26aに螺合されているので、水回収管27が嵌着された水回収管用継手部材が掘削部材26の連結部材37から抜け出て離脱することはない。
【0117】
また、この実施の形態においては、試錐手段5により試錐管24をその軸芯L1回りに正逆300度の回転角度で往復回転させるようにしたが、このような構成に囚われることなく、試錐管24を一定方向に回転させるようにしてもよい。この場合は、水回収管27が嵌着された水回収管用継手部材38と掘削部材26の連結部材37との接続及び給水管28が嵌着された給水管用継手部材35と掘削部材26の掘削部26aとの接続をそれぞれ互いに軸方向の相対変位が不能で、かつ、相対回転は可能とする液密な接続構造とする。
【0118】
さらにまた、この実施の形態においては、浄化剤供給孔73b…が穿設された試錐管24を使用したが、このような構成に囚われることなく、浄化剤供給孔73b…が穿設されていない試錐管を使用してもよい。そのような試錐管を使用した場合は、土壌汚染調査が終了したら、直ちに試錐管を地中から引き抜くことになるが、その引き抜き工程の際、試錐液を試錐管内に供給しながら引き抜くようにすれば試錐管を引き抜いた後の地中の穴に試錐液が充填されて穴が崩壊することがない。
【0119】
そして、試錐管を引き抜いた後、地下水の定期的な水質調査や土壌の浄化を行う場合は、浄化剤供給孔が穿設された試錐管を地中の穴に貫入する作業を行う必要があるが、穴には試錐液が充填されているだけなので比較的小さな押圧力を該試錐管に付与するだけで試錐管を穴に貫入させることができる。このため、この試錐管の先端部には、上述したような掘削部材26を固定する必要はなく単に先端が尖った安価な部材を固定すれば足り、この結果、掘削部材としては、掘削作業を行う1本の試錐管だけに固定するために1個だけ用意すれば足りるので、ダイヤモンドビットのような掘削性能の優れた高価な掘削ビットが設けられた掘削部材を使用したとしても工具全体の費用の増加は殆どない。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】図1は本発明に係る土壌汚染調査装置を装備した作業車の構成を示す側面図である。
【図2】図2は本発明に係る土壌汚染調査装置を上方から見た状態を示す平面図である。
【図3】図3は試錐管の先端部に掘削部材が固定された状態を示す断面図である。
【図4】図4の(a)は図3の矢視A−A線に沿う拡大断面図、同図の(b)は図3の矢視B−B線に沿う拡大断面図、同図の(c)は掘削部材を先端側から見た外観の状態を示す拡大図である。
【図5】図5は本発明に係る土壌汚染調査装置の構成を示すブロック図である。
【図6】図6は試錐管の後端部に固定される閉塞部材の構成を示す図である。
【図7】図7は給水管及び水回収管に接続される三方継手の構成を示す図である。
【図8】図8は試錐管に穿設された浄化剤供給孔の構成を示す断面図である。
【図9】図9は給水管,水回収管及び試錐管が載置された枠体を正面から見た外観の状態を示す図である。
【図10】図10は給水管,水回収管及び試錐管が載置された枠体を左側方から見た外観の状態を示す図である。
【符号の説明】
【0121】
2 土壌汚染調査装置
5 試錐手段
6 給水ポンプ(給水手段)
7 真空ポンプ(水回収手段、減圧手段)
8a 第1貯水容器(水回収手段)
8b 第2貯水容器(水回収手段)
24 試錐管
26 掘削部材
27 水回収管(外管)
27a 外管の先端部
28 給水管(内管)
28a 内管の先端部
32 水回収部
32b 水回収孔
33 水供給孔
34b 分岐通路
36 水噴射孔
43 水泥分離容器(水泥分離手段)
46a 第1電磁弁(切替手段)
46b 第2電磁弁(切替手段)
46c 第3電磁弁(排水手段)
46d 第4電磁弁(排水手段)
54 濃度センサ(調査手段)
55 閉塞部材
55a 半体
55b 半体
63 連通路
64 試錐液供給通路
65 試錐液供給ポンプ(試錐液供給手段)
67 試錐液排出孔
84a 接合面
84b 接合面
E 地面
L1 軸芯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面に穿った穴の内部に給水通路を介して水を供給する給水手段と、この給水手段により水の供給を行いながら、その水を供給した前記穴の部位から水回収通路を介して水を回収する水回収手段と、この水回収手段により水の回収を行いながら、その回収した水に溶解した調査対象物質の濃度を調査する調査手段とを備えた土壌汚染調査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の土壌汚染調査装置において、前記水回収手段は、前記水回収通路を介して回収した水を導入する複数の貯水容器と、該貯水容器内の圧力を減圧する減圧手段と、前記水回収通路を介して回収した水を前記複数の貯水容器のうちの一部の貯水容器に導入すると共にその一部の貯水容器の水が予め設定された水位まで貯留したとき、前記水回収通路を介して回収した水を他の一部の貯水容器に切り替えて導入する切替手段と、前記貯水容器内に貯留した水を該貯水容器の外部に排出する排水手段とを備えている土壌汚染調査装置。
【請求項3】
請求項2に記載の土壌汚染調査装置において、前記減圧手段による減圧により前記貯水容器内で気化した気体の濃度を前記調査手段によって調査するようにした土壌汚染調査装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の土壌汚染調査装置において、前記水回収通路を流れる水の経路から見て、前記複数の貯水容器の上流側に水泥分離手段を配設した土壌汚染調査装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のうち何れか一つに記載の土壌汚染調査装置において、地中を掘削する掘削部材が先端部に固定された試錐管を、その軸芯回りに試錐手段により回転させて前記掘削部材により地中を掘削するようにし、前記給水通路に供給された水を前記掘削部材に穿設した水供給孔から排出し、この排出した水によって前記掘削部材で掘削した土を泥水とし、この泥水を前記掘削部材近傍の前記試錐管の先端部または前記掘削部材のうち少なくとも何れか一方に穿設した水回収孔を介して前記水回収通路に導入し、前記給水手段により供給した水を回収するようにした土壌汚染調査装置。
【請求項6】
請求項5に記載の土壌汚染調査装置において、前記給水通路と水回収通路とを前記試錐管内に設けた土壌汚染調査装置。
【請求項7】
請求項6に記載の土壌汚染調査装置において、前記試錐管内に外管を配設し、この外管内に間隙を隔てて内管を配設し、前記外管の内周と前記内管の外周との間の空間または前記内管内のうちの何れか一方を前記給水通路とする一方、他方を前記水回収通路とした土壌汚染調査装置。
【請求項8】
請求項7に記載の土壌汚染調査装置において、前記試錐管の内周と前記外管の外周との間に間隙を設け、この間隙を、地中に貫入した前記試錐管とその外周の土との摩擦抵抗を低減する試錐液を供給する試錐液供給通路とし、この試錐液供給通路に供給された試錐液を、前記試錐管または前記掘削部材のうちの少なくとも何れか一方に穿設した試錐液排出孔を介して排出するようにした土壌汚染調査装置。
【請求項9】
請求項8に記載の土壌汚染調査装置において、前記試錐管の後端の開口から前記外管および内管を突出させ、前記試錐管の後端の開口と前記外管の外周との間を閉塞する閉塞部材を配設し、この閉塞部材は、前記試錐管の軸芯を通る仮想平面を接合面とする一対の半体からなり、前記閉塞部材は前記接合面を介して接離自在に接合され、前記閉塞部材に穿設した連通路を介して試錐液供給手段により前記試錐液を前記試錐液供給通路に供給するようにした土壌汚染調査装置。
【請求項10】
請求項7ないし請求項9のうち何れか一つに記載の土壌汚染調査装置において、前記内管及び外管の先端部をそれぞれ前記掘削部材に離脱可能に固定し、前記試錐管の後端の開口から突出した前記内管及び外管の部位に外力を付与することによって前記内管及び外管の先端部を前記掘削部材から離脱可能とした土壌汚染調査装置。
【請求項11】
請求項10に記載の土壌汚染調査装置において、前記内管内を前記給水通路とし、該内管の先端部を前記掘削部材に対して前記内管の軸芯方向に離脱可能に螺合して固定し、前記外管の先端部を前記掘削部材に対して前記外管の軸芯方向に離脱可能に連結し、前記内管と外管との後端部側同士をこれら両管の軸芯方向に互いに相対変位不能に連結し、前記試錐管を、その軸芯回りに所定の回転角度で前記試錐手段により正逆往復回転させて前記掘削部材により地中を掘削するようにした土壌汚染調査装置。
【請求項12】
請求項5ないし請求項11のうち何れか一つに記載の土壌汚染調査装置において、前記掘削部材に前記水回収孔を穿設すると共に前記水回収通路を前記掘削部材の内部まで延設して水回収部となし、この水回収部と前記掘削部材の外部とを前記水回収孔を介して連通させ、この水回収孔を介して前記泥水を前記水回収手段により前記水回収部に導入する一方、前記給水通路から分岐してなる分岐通路を前記水回収部に開口して水噴射孔となし、前記水回収通路を流れる水の経路から見て、前記水回収孔より上流側に前記水噴射孔を位置付け、前記給水通路を流れる水の一部を前記水噴射孔から前記水回収通路の水流方向に略沿うよう噴射させるようにした土壌汚染調査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−13936(P2008−13936A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−183588(P2006−183588)
【出願日】平成18年7月3日(2006.7.3)
【出願人】(591211711)カルト株式会社 (20)
【Fターム(参考)】