土壌浄化工法
【課題】透気性の低い土壌においてもVOCを十分に除去することが出来て、VOCを除去すべき領域の全域におけるVOCの除去が可能な土壌染浄化工法の提供。
【解決手段】隣接する掘削孔(2A、2B)から噴射された高圧流体ジェット(3)で切削された領域を一部重複させて流体流路(23)を形成し、流体流路(23)を介して掘削孔(2A)から加熱用流体を供給し土壌汚染物質回収用掘削孔(2B)から吸引することにより、土壌を加熱すると共に、土壌から遊離した汚染物質(VOC)を地上側へ吸引する。
【解決手段】隣接する掘削孔(2A、2B)から噴射された高圧流体ジェット(3)で切削された領域を一部重複させて流体流路(23)を形成し、流体流路(23)を介して掘削孔(2A)から加熱用流体を供給し土壌汚染物質回収用掘削孔(2B)から吸引することにより、土壌を加熱すると共に、土壌から遊離した汚染物質(VOC)を地上側へ吸引する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば揮発性化合物(VOC)等の汚染物質により汚染された土壌を浄化する土壌浄化技術に関する。
【背景技術】
【0002】
係る汚染土壌の浄化技術については、従来から種々提案されている。
例えば、吸引井戸と加熱井戸とを掘削して、真空ポンプを用いて土壌中の揮発性化合物(VOC)を吸引井戸から吸引することにより、土壌中から有害なVOCを除去する技術が存在する(特許文献1参照)。
【0003】
しかし、この技術においては、粘性土地盤ではVOCを十分に吸引することが困難である。
また、加熱井戸から離隔した領域には熱が十分に伝達されず、VOCが土壌から遊離しないので、加熱井戸から離隔した領域に存在するVOCの除去が十分に行われないという問題を有している。
【特許文献1】特許第3658936号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、粘性土地盤(透気性の低い土壌)においてもVOCを十分に除去することが出来て、しかも、VOCを除去すべき領域の全域におけるVOCの除去が可能な土壌染浄化工法の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の土壌浄化工法は、土壌が汚染された領域に鉛直方向へ延在する加熱用流体(高温の高圧水、気液混合流、固液混合流、粉流体との混合液を含む)循環用の掘削孔(供給井2A)及び土壌汚染物質(VOC)回収用の掘削孔(吸引井2B)を(複数)掘削する工程(図2)と、所定深度で当該掘削孔を中心に半径方向外方に高圧流体ジェット(高温の高圧水ジェット3)を噴射する工程(図3、図4)とを含み、当該高圧流体ジェット(3)を噴射する工程(図3、図4)では、隣接する掘削孔(2A、2B)から噴射された高圧流体ジェット(3)で切削された領域が(一部)重複させ、以って、隣接する掘削孔(2A、2B)同士を高圧流体ジェット(3)で切削された領域を介して連通せしめ、加熱用流体循環用の掘削孔(2A)から加熱用流体(高温の高圧水)を供給し土壌汚染物質回収用の掘削孔(2B)から吸引し以って土壌を加熱する加熱用流体循環工程(図7)を含み、該加熱用流体循環工程(図7)では、(高温の高圧水により加熱されて)土壌から遊離した汚染物質(VOC)を土壌汚染物質回収用の掘削孔(2B)から地上側へ吸引しており、前記高圧流体ジェット(3)及び加熱用流体は、流体(水)を加圧手段(加圧ポンプPP)により加圧して加熱手段(HE)により加熱してから噴射され供給されることを特徴としている(請求項1:図1〜図11、図15、図16)。
【0006】
本発明において、前記加熱用流体循環工程(図5、図10、図7)において、加熱用流体を循環させて土壌(Gp)を加熱した後に、加熱用流体の循環を停止してから、土壌(Gp)から遊離した汚染物質(VOC)を土壌汚染物質回収用の掘削孔(2、21、23及び/又は、空間E)を介して回収することが出来る。
或いは、加熱用流体を循環させつつ、加熱用流体と共に(土壌Gpから遊離した)汚染物質(VOC)を土壌汚染物質(VOC)回収用の掘削孔(2、21、23及び/又は、空間E)を介して回収することも出来る。
【0007】
また、本発明において、高圧流体ジェット(3)で切削された領域を介して隣接する掘削孔同士を連通する流体流路(23)は、複数の異なる鉛直方向位置(深度)に形成されても良いし(図5、図10、図11)、所定の鉛直方向位置(深度)にのみ形成されていても良い(図15、図16)。
【0008】
これに加えて、高圧流体ジェット(3)で土壌を切削する際に、流体透過性が良好な粒体(多孔質の粒子やビーズ等)を高圧流体ジェット(3)と共に噴射し、係る流体透過性が良好な粒体(多孔質の粒子やビーズ等)を高圧流体ジェット(3)で切削した流域に残存せしめて、流体の経路を確保することが好ましい。
【0009】
本発明において、高圧流体ジェット(3)で切削された領域を介して隣接する掘削孔同士を連通せしめる流体流路(23)は複数の異なる鉛直方向位置(深度)に形成されており、流体流路(23)の鉛直方向における間隔(図5の符号H)は、
H=2(πat)1/2(1−(T−T0)/(Ts−T0))
なる式で表され、ここで、aは施工土壌(Gp)の熱拡散率(=1.4478×10−3)、tは加熱用流体(高温の高圧水)による加熱時間(hour)、Tsは加熱用流体(高温の高圧水)の表面温度、T0は流体流路(23)から最も離隔した領域(中央領域GpC)の初期の温度(=20℃)、Tは流体流路(23)から最も離隔した領域(中央領域GpC)の目標温度(=VOCの沸点80℃)であることが好ましい(請求項2:図5、図6)。
【0010】
また本発明において、土壌汚染物質(VOC)を回収して除去するべき施工現場に平面形状が正六角形状の領域(エリアA2〜A5・・・)を設定し、前記加熱用流体(高温の高圧水)循環用の掘削孔(供給井2A)を正六角形状の中心に相当する箇所に削孔し、土壌汚染物質(VOC)回収用の掘削孔(吸引井2B)を正六角形状の頂点に相当する箇所に(6箇所)削孔し、土壌汚染物質(VOC)は平面形状が正六角形状の領域(エリアA2〜A5・・・)毎に回収されるのが好ましい(請求項3:図13、図14)。
【発明の効果】
【0011】
上述する構成を具備する本発明によれば、土壌が汚染された領域に鉛直方向へ延在する加熱用流体循環用の掘削孔(供給井2A)及び土壌汚染物質回収用の掘削孔(吸引井2B)を(複数)掘削する工程(図2)と、所定深度で当該掘削孔を中心に半径方向外側に高圧流体ジェット(3)を噴射する工程(図3、図4)とを含み、当該高圧流体ジェット(3)を噴射する工程(図3、図4)では、隣接する掘削孔(2A、2B)から噴射された高圧流体ジェット(3)で切削された領域が(一部)重複させている(請求項1)ので、高圧流体ジェット(3)で切削された領域により、その(一部)重複した領域を介して、隣接する掘削孔同士を連通せしめることが出来る。換言すれば、高圧流体ジェット(3)で切削された領域によって、流体流路(23)を形成することが出来る。
【0012】
係る流体流路(23)を形成することができるため、施工地盤が粘性土層であっても、加熱用流体循環用の掘削孔(供給井2A)から供給された加熱流体(高温の高圧水)は流体流路(23)を経由して土壌汚染物質回収用の掘削孔(吸引井2B)から吸引される。その間に、加熱用流体循環用の掘削孔(供給井2A)近傍の領域のみならず、流体流路(23)近傍の領域をも加熱するので、揮発性物質(VOC)は気化されて土壌から浸出し、加熱流体(高温の高圧水)と共に、土壌汚染物質回収用の掘削孔(吸引井2B)から吸引され、回収される。そのため、VOCの除去が確実に行われる。
【0013】
すなわち本発明では、流体流路(23)を介して隣接する掘削孔(2A、2B)同士を高圧流体ジェット(3)で切削された領域を介して連通せしめることが出来るので、加熱用流体循環用の掘削孔(2A)から加熱用流体(例えば、高温の高圧水)を供給し、土壌汚染物質回収用の掘削孔(2B)から吸引し、以って土壌を加熱すること(加熱用流体循環工程:図7)が可能となる。
そして、加熱用流体を循環させることにより、高圧流体ジェット(3)で切削された領域、或いはその近傍の領域に存在する汚染物質(例えばVOC)が加熱されて、土壌から分離し移動し易くなる。
【0014】
これに加えて、高圧流体ジェット(3)で切削することにより、汚染されている領域、例えば粘性土層が切削されてVOCの様な汚染物質が粘性土層から浸出し易くなる。
【0015】
土壌から分離し移動した汚染物質(VOC等)は、加熱用流体と共に、或いは、加熱用流体を循環させた後に、(加熱用流体により加熱されて)土壌(例えば粘性土層)から遊離した汚染物質(VOC)を土壌汚染物質回収用の掘削孔(2B)から地上側へ吸引される。
ここで、上述した(切削された領域によって形成された)流体流路(23)を、複数の異なる深度に形成すれば、汚染領域が鉛直方向に広い範囲に亘っている場合であっても、汚染物質を確実に除去することが出来る。
【0016】
ここで、本発明では、前記高圧流体ジェット(3)及び加熱用流体は、流体(水)を加圧手段(加圧ポンプPP)により加圧して加熱手段(HE)により加熱してから噴射され供給されるので(請求項1)、高圧流体あるいは加熱流体が水(沸点が100℃)である場合も、加圧手段(加圧ポンプPP)により加圧することにより、液相の状態を維持したまま、150℃以上まで加熱する事が出来る。
従って、ジェットとしての掘削力を維持した状態で、150℃まで加熱された高圧水を噴射しあるいは供給井(2A)に供給することが可能となる。
【0017】
本発明において、流体流路(23)は複数の異なる鉛直方向位置(深度)に形成されており、流体流路(23)の鉛直方向における間隔(図5の符号H)を、
H=2(πat)1/2(1−(T−T0)/(Ts−T0))
なる式で表現される間隔に設定すれば(請求項2)、加熱用流体(高温の高圧水)による加熱時間(hour)に対応して、流体流路(23)から最も離隔した領域(中央領域GpC)の目標温度をVOCが汚染土壌から遊離する温度(VOCの沸点80℃)にする事ができる。
その結果、本発明が施工される現場のVOCは汚染土壌から遊離して、確実に回収されるのである。
【0018】
さらに本発明において、土壌汚染物質(VOC)を回収して除去するべき施工現場に平面形状が正六角形状の領域(エリアA2〜A5・・・)を設定し、正六角形状の領域(エリアA2〜A5・・・)毎にVOCを回収すれば(請求項3)、当該平面形状が正六角形状の領域(エリアA2〜A5・・・)においてはVOCの除去が為されない様な領域が生じない。そして、正六角形状の領域は、ハニカム構造の様に隙間なく配置することが出来るので、施工現場全体に亘って、未施工領域が生じることがことが防止される。
そして、VOCの濃度に対応して、適正な除去作業を行うのに必要且つ十分な領域のみを設定してVOC除去作業を行い、以って、不必要なコストを抑制することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
先ず、図1で示す様な第1工程(仕切り工程)を実施する。
図1の第1工程「仕切り工程」においては、図1に示すように、土壌Gにおける汚染領域(汚染土壌)Gpを、隔壁部材であるシートパイル1によって、(例えば直方体形状に)仕切る。
なお、地下水脈が存在しない場合や、地下水レベルが汚染領域(汚染土壌)Gpよりも遥かに下方である場合等においては、第1工程「仕切り工程」を省略することが可能である。
【0020】
図2に示す第2工程では、汚染土壌Gpに到達する様な複数(図2では3本のみ図示)の鉛直方向のボーリング孔(あるいは井戸)2A、2B、2Bを削孔する。
図10を参照して後述するが、中央の井戸は加熱用流体が供給される井戸(供給井)2Aである。左右の2本は加熱用流体及びVOCを回収(吸引)する井戸(吸引井)2Bである。
【0021】
図3(縦断面図)及び図4(図3に対応する平面図)は何れも第3工程「流体流路形成工程」を示している。
第3工程「流体流路形成工程」では、先ず、図3において、井戸2A、2B、2Bに噴射装置11を挿入する。
噴射装置11が所定の深度に到達したならば、噴射装置11を回転しつつ高圧流体(例えば高圧水)3を噴射する。そして、噴射装置11を鉛直方向については極めて狭い範囲のみ移動させる。噴射装置11は高圧水を噴射して回転することにより、高圧水ジェットにより汚染土壌Gpを切削する。そして、汚染土壌Gpを切削しつつ、鉛直方向に短い距離だけ移動する。
【0022】
図4は高圧水3により切削された領域(図4において符号JAA、JAB1、JAB2で示す)を平面で示している。
図4で示す様に、高圧水ジェット3により切削された領域JAA、JAB1、JAB2は、その一部が重複している。換言すれば、領域JAA、JAB1、JAB2の一部が必ず重複する様に、噴射装置11から高圧水ジェット3を噴射しつつ回転するのである。
【0023】
ここで、高圧水で切削された領域は、流体が移動し易い状態となるので、図4で示す様に汚染土壌Gpを切削することによって、図4中、太い破線で示す部分は流体が流れ易い状態となる。換言すれば、図4において、太い破線で示す部分には、流体流路23が形成されるのである。
そして、形成された流体流路23を経由することによって、鉛直の井戸2Aと2B、2Bとの間で流体(例えば高温の水)が流過することが可能となる。
【0024】
ここで、時間の経過とともに、切削した部分(図4の円形部分及び隣接する円形部分の重なり合った部分)が上下の粘性土により潰れてしまう恐れが存在する。切削した部分が潰れてしまうと、流体が流過出来なくなってしまうため、流体の経路を確保する必要性が生じる。
図3、図4で示す第3工程「流体流路形成工程」、すなわち高圧水ジェット3で土壌を切削して流体流路を形成する工程を実行するに際して、図示しない多孔質の粒子や、図示しないビーズの様に、流体透過性が良好な粒体を高圧水ジェット3と共に噴射することが好ましい。係る流体透過性が良好な粒体が高圧水ジェット3で切削した流域に残存すれば、流体の経路が確保できるからである。
但し、後述する様に、本発明では流体流路を流れる流体が高温の高圧水であり、前記切削した部分(図4の円形部分及び隣接する円形部分の重なり合った部分)が潰れてしまっても、潰れた部分を切削しつつ進行して、流体流路を再度形成する事ができる。
【0025】
図3、図4で示す第3工程「流体流路形成工程」、すなわち高圧水ジェット3で土壌を切削して流体流路23を形成する工程において、高圧水ジェット3として、加熱されて高温(例えば、150℃程度)となった高圧水を噴射することが可能である。
汚染土壌Gpが粘性土層で或る場合に、揮発性化合物VOC(汚染物質)を土粒子から分離して除去することが困難な状態となっている。これに対して、粘性土層を高圧水ジェット3で切削すれば、汚染物質(例えば揮発性化合物VOC)が粘性土から浸出するので、施工対象領域からの除去が促進される。高圧水ジェット3を使って粘性土層を切削することにより、粘性土層Gpbに染み込んだ汚染物質(すなわち、従来技術では除去し難かった汚染物質)が粘性土層から浸出して、除去し易い状態となるからである。
【0026】
ここで、粘性土層から浸出した汚染物質は、当該土壌を加熱することにより、容易に土壌から分離、移動する。
従って、高圧水ジェット3が高温(例えば、150℃程度)であれば、高圧水ジェット3により切削された領域JAA、JAB1、JAB2から、VOCを容易に分離、移動することが可能となる。
但し、VOCが井戸2A、2Bから大気中に拡散しないように、拡散防止機構を設けておく必要がある。
【0027】
大気圧下では水の沸点は100℃であり、大気圧と同一の圧力の水を100℃以上に昇温することは出来ない。しかし、圧力が上昇すれば沸点は上昇する。従って、高圧水ジェット3用の水(図3では符号HWで示す)は、その沸点が例えば150℃程度まで上昇する程度まで加圧装置PPにより加圧され、加圧後、加熱装置HEにより、例えば150℃程度まで昇温される。
ここで、加圧装置PPとしては、例えば公知のポンプを適用することが出来る。そして、高圧水ジェット3を加熱する加熱装置HEとしては、公知の各種ヒータを適用することが出来る。なお加熱装置HEは、通過する際における圧力損失が低いタイプのものが好適である。圧力損失が大きいタイプであれば、加熱装置HEを通過した際に減圧するため、高圧水HWが気液混合流となってしまう可能性があり、土壌切削の点からは好ましくないからである。
【0028】
図3、図4で示す第3工程「流体流路形成工程」により、井戸2A、2B間で流体流路23(1段目の流体流路23)が形成されたならば、次に、深度(あるいは鉛直方向位置)を変えて、当該第3工程「流体流路形成工程」(図3、図4を参照して説明した工程:流体流路23を形成する工程)を繰り返す。
第3工程「流体流路形成工程」を繰り返した結果が、図5で模式的に示されている。
図5の状態では、隣接する井戸2A、2B同士が、深度の異なる複数の流体流路23で連通し、その内の井戸2Aには後述する加熱流体供給管24を挿入し、他の井戸2Bには後述する流体吸引管25を挿入した状態が示されている。
【0029】
図10を参照して後述するが、「加熱及び吸収工程」では、流体流路23に150℃の高圧水を流過させ、その熱量により土壌中のVOCを蒸発させて、吸引井2Bより吸引する。ここで、土壌中のVOCの沸点は80℃である。
図5において、流体流路23の鉛直方向における間隔Hは、上下の流体流路23に150℃の高圧水を流した場合に、流体流路23から鉛直方向距離H/2だけ隔たった鉛直方向中央の領域GpC(図5において、点線で示す領域)の温度が80℃以上となる様に設定されなければならない。
以下において、図6を参照して、流体流路23の鉛直方向における間隔Hについて、説明する。
【0030】
図6は、図5における鉛直方向に隔たった2本の流体流路23と、その中央の領域GpC(図6では点線で示す)とを模式的に示している。
高温(150℃)の高圧水が流体流路23を流れている状態を、表面温度Ts=150℃の平板に近似して考える。
中央領域GpCの初期の温度T0=20℃、土壌Gpの熱拡散率a=1.4478×10−3(日本建設機械化協会「地盤凍結工法」参照)とする。
誤差関数をΦ(ξ)とすれば、図6において、次式(1)が成立する
(T−T0)/(Ts−T0)=1−Φ(ξ)・・・(1)
但し、Tは中央領域GpCの目標温度(=VOCの沸点80℃)である。
【0031】
誤差関数Φ(ξ)は、次の近似式(2)で表現される。
式(2)
ここで、 ξ=x/(2(at)1/2)・・・(3)
但し、xは表面温度Tsの平板から中央領域GpCまでの距離、tは表面温度Tsの平板による加熱時間(h:高温の高圧水による加熱時間)である。
【0032】
実際の施工を考慮すると、式(2)のξ2以上の高次項は無視することができるので、式(2)は次の式(4)のように変形することができる。
Φ(ξ)=2ξ/π1/2・・・(4)
式(4)を式(1)に代入すれば、
(T−T0)/(Ts−T0)=1−(2ξ/π1/2)・・・(5)
∴ ξ=(π1/2/2)(1−(T−T0)/(Ts−T0))・・・(6)
【0033】
式(6)に式(3)を代入して、
x/(2(at)1/2)=(π1/2/2)(1−(T−T0)/(Ts−T0))
x=(πat)1/2(1−(T−T0)/(Ts−T0))・・・(7)
この式(7)により求められたxは、図5におけるH/2に相当する。従って、図5における流体流路23の間隔Hは、
H=2(πat)1/2(1−(T−T0)/(Ts−T0))・・・(8)
ここで、上述した様に、xは表面温度Tsの平板から中央領域GpCまでの距離、Tsは高温高圧水の表面温度(=150℃)、T0は中央領域GpCの初期の温度(=20℃)、Tは中央領域GpCの目標温度(=VOCの沸点80℃)、aは土壌Gpの熱拡散率(=1.4478×10−3)、tは表面温度Tsの平板による加熱時間(h:高温の高圧水による加熱時間)である。
【0034】
図5で示す状態は、換言すれば、図7で説明する第4工程「鉛直管挿入工程」が施工可能な状態である。
図7の第4工程「鉛直管挿入工程」では、井戸2A内に、加熱流体供給管24を挿入し、加熱流体供給管24を地上側の加熱流体供給源16に接続している。
ここで、加熱流体としては高温(150℃)の高圧水(図7では符号HWで示す)が用いられ、加熱流体供給源16は、沸点が例えば150℃程度となるまで水を昇圧させる加圧装置PPと、昇圧された水(高圧水)を加熱する加熱装置HEとを有している。
【0035】
加熱装置PPとしては、例えば公知のポンプを適用することが出来る。加熱装置HEも、公知の各種ヒータを適用することが出来る。
なお加熱装置HEは、通過する際における圧力損失が低いタイプのものが好適である。但し、高圧水は加熱流体として投入され、土壌切削の作用はさほど奏しないので、図3、図4で示す第3工程「流体流路形成工程」の様に、加熱装置HEを通過した後に気液混合流となったとしても、悪影響は少ない。
【0036】
加熱流体供給源16から加熱流体供給管24に供給された高温の高圧水は、加熱流体供給管24、水平の流体流路23を流れる際に、加熱流体供給管24の周囲及び流体流路23の周囲の汚染土壌Gpを昇温し、汚染土壌Gpに含まれる汚染物質VOCを遊離させる。汚染土壌Gpから遊離したVOCは、流体流路23から取り込まれる。
図6を参照して上述した通り、鉛直方向位置が異なる流体流路23の間の領域においても、VOCの沸点以上の温度となる様に加熱されるので、図5における中央領域GpCにおけるVOCも気化する。
【0037】
図7で示す第4工程「鉛直管挿入工程」では、井戸2B内に、流体流路23で吸収したVOCを地上側に吸引するための吸引管25を挿入する。吸引管25は地上側で、例えば図示しない吸引ポンプに接続される。
後述する様に、図示しない吸引ポンプで吸引管25に負圧を作用させることにより、汚染土壌Gpから遊離したVOCは、流体流路23から吸引されるのである。
【0038】
図7の1本の井戸2Bの断面を更に詳細に示したのが図8である。
図8の井戸2Bにおいて、井戸2Bの内壁と吸引管25との間には隙間が生じる。井戸2Bの開口部において係る隙間を放置しておけば、回収しようとする汚染物質である揮発性化合物VOCが、当該隙間及び開口部を介して、大気中に拡散してしまう恐れがある。
これに対して、井戸2Bの開口部から所定の深さに至る鉛直方向領域では、当該隙間に、例えばベントナイトやグラウト材を充填して、井戸2Bの内壁と吸引管25との間の隙間にシール14を構成している。
【0039】
尚、当該シール14の下方には、通気性の良い砂15を充填して、施工途中の吸引管24の「ガタツキ」を抑制すると共に、施工終了時に吸引管24を撤去する際に吸引管24の引抜きを容易にしている。
【0040】
ここで、土壌における通気性が良好な場合には、後述する様に吸引管24で負圧を作用させた際に、土壌中に存在するVOCを吸引せずに、通気性が良好な土壌を解して大気が吸引管24に吸引されてしまう恐れがある。その様な現象における大気の流れを、図9では矢印Sで示している。
図9で示す第5工程「地表被覆工程」では、地表面Gfから大気が土壌Gを浸透して、吸引管25の下端から吸引管25内に混入してしまう現象(矢印Sで示す)を防止するために、地表面Gfに非透過性のシート4を敷くのである。
【0041】
また、汚染土壌Gpの通気性が良いと、加熱されて土壌から遊離したVOCが地表面GFから大気中に拡散してしまう恐れがある。その様な大気中へのVOC拡散防止のためにも、シート4を敷いて、地表を被覆するのである。
なお、汚染土壌Gpの大半が粘性土層Gpbで形成されている場合には、矢印Sで示す空気の流れが生じる可能性が低く、大気が汚染土壌Gpに浸透する可能性も低いので、シート4を省くことが出来る。
【0042】
図10は第6工程である「加熱及び吸収工程」における加熱状態を示している。
図10において、加熱流体供給管24の上流側に設けた加熱流体供給源16から、加熱用の高温高圧水HWを井戸2Aに挿入した加熱流体供給管24内に供給する。
加熱流体供給管24に供給された高温の高圧水HWは、加熱流体供給管24、流体流路23を経由して、吸引管25で吸引される。吸引管25で吸引されるまでの間に、高温の高圧水HWが保有する熱量Hは、加熱流体供給管24や流体流路23周辺の汚染土壌Gpに伝達され、また、吸引管25の管壁を介して汚染土壌Gpに伝達される。
【0043】
前述したように、吸引管25は図示しない吸引手段(例えば吸引ポンプ)に接続されており、その吸引手段によって、高温の高圧水を地中から地上側へ吸引している。
高温の高圧水が保有する熱量Hが汚染土壌Gpに投入される結果、汚染土壌Gpから揮発性化合物VOCが遊離する。
また、図3、図4で示す第3工程「流体流路形成工程」において、井戸2A、2B、2Bの周辺の領域JAA、JAB1、JAB2は高圧水ジェット3により切削、撹拌されるので、従来技術ではVOCの浸出あるいは遊離が困難であった粘性土層であっても、VOCが浸出し易い状態となっている。従って、領域JAA、JAB1、JAB2の流体流路23を構成していない領域であっても、図10、図11で示す第6工程「加熱及び吸収工程」において高温の高圧水HWが流体流路を流れる際に、高温高圧水HWの熱量により、VOCが土壌から容易に分離、移動するのである。
【0044】
図示の実施形態では、加熱流体供給源16の加熱装置HE(図7参照)で、例えば150℃程度まで昇温された高圧水が、加熱流体として加熱流体供給管24に供給されている。
しかしながら、例えば、加熱流体供給管24に加熱手段(例えばニクロム線等)を設け、加熱流体供給源16側から沸点が150℃異常となる様に昇圧された高圧水を加熱流体供給管24内に供給し、加熱手段(ニクロム線)に通電することによって、供給された高圧水を加熱流体供給管24内で加熱する。そして、高温になった高圧水を、流体流路23、吸引管25に流過させても良い。
【0045】
図11は、第6工程「加熱及び吸収工程」における汚染物質吸収の状態を示している。
図11の第6工程では、図10で示す加熱工程によって汚染土壌Gpから遊離したVOCを流体流路23を流れる高圧水に吸収して取り込み(図10では、VOCの流れを矢印Vで示す)、その取り込んだVOCを、流体流路23、吸引管25を経由して地上側の図示しない処理設備に送り込む。
流体流路23、吸引管25内の矢印F2は、VOCと混合した高圧水(加熱流体)の流れの向きを示している。
【0046】
第6工程「加熱及び吸収工程」(図10、図11)では、基本的には、加熱流体である高圧水を地中に供給しながら、供給した高圧水によってVOCを吸引する。しかし、高温の高圧水を供給して汚染土壌Gpを加熱した後に、高温の高圧水供給を一旦停止し、高温の高圧水を供給した井戸2Aを閉塞してから、吸引井2BからVOCを吸引しても良い。
【0047】
次に、図12〜図15を参照して、第2実施形態について説明する。
図1〜図11においては、高温の高圧水が供給される井戸(供給井)2Aと、その左右に配置している高圧水及びVOCを回収(吸引)する井戸(吸引井)2Bとは、直線状に配置して示されているが、広い範囲にわたる汚染土壌を洗浄する場合には、一定のエリア毎に区切って、個々のエリア毎に供給井2Aから高温の高圧水を供給し、吸引井2Bより高圧水及びVOCを吸引する。
その様なエリアとして、例えば図12において輪郭を点線で示すエリアA12、A12−2のように、エリアの輪郭を正方形(四角形)に設定し、正方形の中心に供給井2Aを設け、正方形の各頂点に吸引井2Bを設けることが考えられる。
【0048】
しかし、係る正方形(四角形)の輪郭を有するエリアA12、A12−2では、図3、図4で示す第3工程「流体流路形成工程」において、井戸2A、2B、2Bの周辺の領域(図4における領域JAA、JAB1、JAB2)を高圧水ジェット3により切削、撹拌する際に、図12において符号Uで示す領域(図12においてハッチングを付して示す領域)については、高圧水ジェット3による切削、撹拌が行われない可能性がある。
そして、図10、図11の第6工程「加熱及び吸収工程」で、流体流路23に高温の高圧水を流しても、高温高圧水が保有する熱量が係る領域Uに存在するVOCには伝達されず、領域Uの土壌からVOCが遊離せずに、そのまま残存してしまう可能がある。
【0049】
図3、図4で示す第3工程「流体流路形成工程」において、噴射装置11(図3参照)からの高圧水ジェット3の圧力を高圧にして、図12の領域U(高圧水ジェット3による切削、撹拌が行われない領域)を無くすることも考えられるが、高圧水ジェット3の圧力を変更すると、噴射装置11や加圧装置PP(図3参照)その他の機器の使用を全て変更しなければならず、大変なコスト増となってしまう。また、高圧水ジェット3の圧力を変更すると、浄化の効果判定が困難になってしまう。
【0050】
これに対して、本発明の第2実施形態では、図13で示す様に、平面形状が正六角形状のエリアA2(図13において、輪郭を点線で示すエリア)に設定し、正六角形の各頂点に吸引井2Bを配置し、正六角形の中心に供給井2Aを設ける。ここで、正六角形の各頂点は、正六角形の中心から頂点までの距離を半径とする円の円周上に位置するので、その中心に位置する供給井2Aは、各吸引井2Bから等距離に位置していることとなる。
図3、図4で示す第3工程「流体流路形成工程」において、高圧水ジェット3により切削、撹拌する距離を、供給井2Aと吸引井2Bとの距離よりも若干長い距離に設定しておけば、図13で示す様に、正六角形内の全ての領域が高圧水ジェット3で切削、撹拌されることとなり、図12で示す様な領域Uは生じない。
【0051】
図12で示す第2実施形態に従って、供給井2Aと吸引井2Bの設置位置を決定すれば、噴射装置11の仕様を変更すること無く、土壌からVOCが遊離せずにそのまま残存してしまう領域を無くすることが出来る。また、高圧水ジェット3の圧力が同一であるため、浄化効果の判定が容易且つ客観的に行われる。
【0052】
また、図14で示す様に、汚染を浄化するべき領域に、多数の正六角形状のエリアA2〜A5・・・を隣接して設定し、各エリアの中心に供給井2A2〜2A5を設け、各エリアの頂点に吸引井2B2〜2B5を設けれ、個々のエリア毎に図1〜図11で説明したようなVOC除去処理を実行する。
図13で説明した通り、正六角形状のエリアの内部にはVOCが遊離せずにそのまま残存してしまう領域は存在しないように処理することができる。そして、図14で示す様に、吸引井と供給井を共通化することにより、正六角形状のエリアA2〜A5は、隙間が生じないように隣接することができる
【0053】
具体的には、例えば図14で示す様に、先ず、供給井2A2と、吸引井2B2−1〜2B2−6により、エリアA2のVOCの除去を行う。次に、供給井2A3と、吸引井2B3−1、2B2−6、2B2−5、2B3−4〜2B3−6により、エリアA3のVOCの除去を行う。以下、エリアA4、A5・・・において、VOCを除去すれば、図14で明示されている様に、正六角形状のエリアA2〜A5・・・は、隙間なく隣接させることが出来るので、広範囲に亘ってVOCを回収あるいは除去する際にも、未処理領域を作ること無く、処理をする事が出来るのである。
【0054】
ここで、例えば図14のエリアA2〜A4におけるVOCの濃度が極めて濃い場合には、例えば、供給井2B2−5、吸引井2B2−6、2A2、2B2−4、2A4、2B3−4、2A3を有するエリアAO23を設定し、エリアAO23におけるVOC除去を行う。
エリアAO23は、エリアA2、A3、A4と重複しており、係る重複したエリアAO23においてもVOC回収作業あるいは除去作業を行うことにより、VOC濃度が濃い場合に対処することが出来る。
【0055】
一方、VOC濃度が薄い場合において、図14で示す様に全てのエリアA2〜A5・・・でVOC除去作業を行うと、作業コストの点で問題がある。その様な場合には、図14のエリアA2〜A5の全てにおいてVOC除去を行わずに、例えば、一つおきのエリア(エリアA2とエリアA5)においてのみ、VOC除去作業を行う様にしても良い。
換言すれば、正六角形のエリア毎に第1実施形態で説明したVOCの除去作業を行う様にすれば、VOCの濃度を考慮して、VOC除去作業を行うべき正六角形のエリアを適宜設定すれば良い。
【0056】
このように、図13、図14で示す第2実施形態によれば、VOCの除去が為されない様な領域を生じることが防止される。
そして、VOCの濃度に対応して、適正な除去作業を行うのに必要且つ十分な領域のみを設定してVOC除去作業を行い、以って、不必要なコストを抑制することが出来る。
【0057】
図1〜図11の第1実施形態では、隣接する井戸2Bは複数本(複数層)の流体流路23で連通している。しかし、単一(単層)の流体流路(図15の符号231)で隣接する井戸(2Bに挿通した吸引管25)に連通しても良い。
【0058】
図15、図16の第3実施形態は、その様な場合に係る実施形態である。
図15は、第1実施形態の図10と対応する図である。
図15において、加熱流体供給管24に供給された高温の加熱流体Fは、流体流路231を経由して、吸引管25で吸引される。その間に、加熱流体Fが保有する熱量Hを、加熱流体供給管24、流体流路231、吸引管25の管壁を介して汚染土壌Gpに投入する。
【0059】
また図16は、第1実施形態の図11と対応する図である。
図16において、図15で示す加熱工程によって汚染土壌Gpから遊離したVOC(VOCの流れを矢印Vで示す)を、流体流路231を介して吸引し、吸引されたVOCを、流体流路231、吸引管25を経由して地上側の図示しない処理設備に送り込んでいる。
【0060】
図15、図16の第3実施形態におけるその他の構成及び作用効果については、第1実施形態と同様であり、以降の説明を省略する。
【0061】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではない旨を付記する。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の第1実施形態の第1工程を説明する工程図。
【図2】第1実施形態の第2工程を説明する工程図。
【図3】第1実施形態の第3工程を説明する工程図。
【図4】図3に対応する平面図。
【図5】第1実施形態において、第4工程「鉛直管挿入工程」の施工可能な状態を示す図。
【図6】流体流路の間隔を計算するための模式図。
【図7】第1実施形態の第4工程を説明する工程図。
【図8】図7の部分詳細図。
【図9】第1実施形態の第5工程を説明する工程図。
【図10】第1実施形態の第6工程の加熱工程を説明する工程図。
【図11】第1実施形態の第6工程の吸収工程を説明する工程図。
【図12】第2実施形態を説明するための平面模式図。
【図13】第2実施形態の作用効果を説明するための平面模式図。
【図14】第2実施形態のその他の作用効果を説明するための平面模式図。
【図15】第3実施形態における加熱工程を説明する工程図。
【図16】第3実施形態における吸収工程を説明する工程図。
【符号の説明】
【0063】
1・・・シートパイル
2A、2B・・・鉛直掘削孔/鉛直ボーリング孔
3・・・高圧流体ジェット
4・・・布状部材/シート
PP・・・加圧装置
HE・・・加熱装置
11・・・噴射装置
14・・・シール
15・・・通気性の良い砂
16・・・加熱流体供給源
21・・・VOC回収用ボーリング孔
22・・・切削用ボーリング孔
23・・・流体流路
24・・・加熱流体供給管
25・・・吸引管
G・・・土壌
Gp・・・汚染土壌
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば揮発性化合物(VOC)等の汚染物質により汚染された土壌を浄化する土壌浄化技術に関する。
【背景技術】
【0002】
係る汚染土壌の浄化技術については、従来から種々提案されている。
例えば、吸引井戸と加熱井戸とを掘削して、真空ポンプを用いて土壌中の揮発性化合物(VOC)を吸引井戸から吸引することにより、土壌中から有害なVOCを除去する技術が存在する(特許文献1参照)。
【0003】
しかし、この技術においては、粘性土地盤ではVOCを十分に吸引することが困難である。
また、加熱井戸から離隔した領域には熱が十分に伝達されず、VOCが土壌から遊離しないので、加熱井戸から離隔した領域に存在するVOCの除去が十分に行われないという問題を有している。
【特許文献1】特許第3658936号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、粘性土地盤(透気性の低い土壌)においてもVOCを十分に除去することが出来て、しかも、VOCを除去すべき領域の全域におけるVOCの除去が可能な土壌染浄化工法の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の土壌浄化工法は、土壌が汚染された領域に鉛直方向へ延在する加熱用流体(高温の高圧水、気液混合流、固液混合流、粉流体との混合液を含む)循環用の掘削孔(供給井2A)及び土壌汚染物質(VOC)回収用の掘削孔(吸引井2B)を(複数)掘削する工程(図2)と、所定深度で当該掘削孔を中心に半径方向外方に高圧流体ジェット(高温の高圧水ジェット3)を噴射する工程(図3、図4)とを含み、当該高圧流体ジェット(3)を噴射する工程(図3、図4)では、隣接する掘削孔(2A、2B)から噴射された高圧流体ジェット(3)で切削された領域が(一部)重複させ、以って、隣接する掘削孔(2A、2B)同士を高圧流体ジェット(3)で切削された領域を介して連通せしめ、加熱用流体循環用の掘削孔(2A)から加熱用流体(高温の高圧水)を供給し土壌汚染物質回収用の掘削孔(2B)から吸引し以って土壌を加熱する加熱用流体循環工程(図7)を含み、該加熱用流体循環工程(図7)では、(高温の高圧水により加熱されて)土壌から遊離した汚染物質(VOC)を土壌汚染物質回収用の掘削孔(2B)から地上側へ吸引しており、前記高圧流体ジェット(3)及び加熱用流体は、流体(水)を加圧手段(加圧ポンプPP)により加圧して加熱手段(HE)により加熱してから噴射され供給されることを特徴としている(請求項1:図1〜図11、図15、図16)。
【0006】
本発明において、前記加熱用流体循環工程(図5、図10、図7)において、加熱用流体を循環させて土壌(Gp)を加熱した後に、加熱用流体の循環を停止してから、土壌(Gp)から遊離した汚染物質(VOC)を土壌汚染物質回収用の掘削孔(2、21、23及び/又は、空間E)を介して回収することが出来る。
或いは、加熱用流体を循環させつつ、加熱用流体と共に(土壌Gpから遊離した)汚染物質(VOC)を土壌汚染物質(VOC)回収用の掘削孔(2、21、23及び/又は、空間E)を介して回収することも出来る。
【0007】
また、本発明において、高圧流体ジェット(3)で切削された領域を介して隣接する掘削孔同士を連通する流体流路(23)は、複数の異なる鉛直方向位置(深度)に形成されても良いし(図5、図10、図11)、所定の鉛直方向位置(深度)にのみ形成されていても良い(図15、図16)。
【0008】
これに加えて、高圧流体ジェット(3)で土壌を切削する際に、流体透過性が良好な粒体(多孔質の粒子やビーズ等)を高圧流体ジェット(3)と共に噴射し、係る流体透過性が良好な粒体(多孔質の粒子やビーズ等)を高圧流体ジェット(3)で切削した流域に残存せしめて、流体の経路を確保することが好ましい。
【0009】
本発明において、高圧流体ジェット(3)で切削された領域を介して隣接する掘削孔同士を連通せしめる流体流路(23)は複数の異なる鉛直方向位置(深度)に形成されており、流体流路(23)の鉛直方向における間隔(図5の符号H)は、
H=2(πat)1/2(1−(T−T0)/(Ts−T0))
なる式で表され、ここで、aは施工土壌(Gp)の熱拡散率(=1.4478×10−3)、tは加熱用流体(高温の高圧水)による加熱時間(hour)、Tsは加熱用流体(高温の高圧水)の表面温度、T0は流体流路(23)から最も離隔した領域(中央領域GpC)の初期の温度(=20℃)、Tは流体流路(23)から最も離隔した領域(中央領域GpC)の目標温度(=VOCの沸点80℃)であることが好ましい(請求項2:図5、図6)。
【0010】
また本発明において、土壌汚染物質(VOC)を回収して除去するべき施工現場に平面形状が正六角形状の領域(エリアA2〜A5・・・)を設定し、前記加熱用流体(高温の高圧水)循環用の掘削孔(供給井2A)を正六角形状の中心に相当する箇所に削孔し、土壌汚染物質(VOC)回収用の掘削孔(吸引井2B)を正六角形状の頂点に相当する箇所に(6箇所)削孔し、土壌汚染物質(VOC)は平面形状が正六角形状の領域(エリアA2〜A5・・・)毎に回収されるのが好ましい(請求項3:図13、図14)。
【発明の効果】
【0011】
上述する構成を具備する本発明によれば、土壌が汚染された領域に鉛直方向へ延在する加熱用流体循環用の掘削孔(供給井2A)及び土壌汚染物質回収用の掘削孔(吸引井2B)を(複数)掘削する工程(図2)と、所定深度で当該掘削孔を中心に半径方向外側に高圧流体ジェット(3)を噴射する工程(図3、図4)とを含み、当該高圧流体ジェット(3)を噴射する工程(図3、図4)では、隣接する掘削孔(2A、2B)から噴射された高圧流体ジェット(3)で切削された領域が(一部)重複させている(請求項1)ので、高圧流体ジェット(3)で切削された領域により、その(一部)重複した領域を介して、隣接する掘削孔同士を連通せしめることが出来る。換言すれば、高圧流体ジェット(3)で切削された領域によって、流体流路(23)を形成することが出来る。
【0012】
係る流体流路(23)を形成することができるため、施工地盤が粘性土層であっても、加熱用流体循環用の掘削孔(供給井2A)から供給された加熱流体(高温の高圧水)は流体流路(23)を経由して土壌汚染物質回収用の掘削孔(吸引井2B)から吸引される。その間に、加熱用流体循環用の掘削孔(供給井2A)近傍の領域のみならず、流体流路(23)近傍の領域をも加熱するので、揮発性物質(VOC)は気化されて土壌から浸出し、加熱流体(高温の高圧水)と共に、土壌汚染物質回収用の掘削孔(吸引井2B)から吸引され、回収される。そのため、VOCの除去が確実に行われる。
【0013】
すなわち本発明では、流体流路(23)を介して隣接する掘削孔(2A、2B)同士を高圧流体ジェット(3)で切削された領域を介して連通せしめることが出来るので、加熱用流体循環用の掘削孔(2A)から加熱用流体(例えば、高温の高圧水)を供給し、土壌汚染物質回収用の掘削孔(2B)から吸引し、以って土壌を加熱すること(加熱用流体循環工程:図7)が可能となる。
そして、加熱用流体を循環させることにより、高圧流体ジェット(3)で切削された領域、或いはその近傍の領域に存在する汚染物質(例えばVOC)が加熱されて、土壌から分離し移動し易くなる。
【0014】
これに加えて、高圧流体ジェット(3)で切削することにより、汚染されている領域、例えば粘性土層が切削されてVOCの様な汚染物質が粘性土層から浸出し易くなる。
【0015】
土壌から分離し移動した汚染物質(VOC等)は、加熱用流体と共に、或いは、加熱用流体を循環させた後に、(加熱用流体により加熱されて)土壌(例えば粘性土層)から遊離した汚染物質(VOC)を土壌汚染物質回収用の掘削孔(2B)から地上側へ吸引される。
ここで、上述した(切削された領域によって形成された)流体流路(23)を、複数の異なる深度に形成すれば、汚染領域が鉛直方向に広い範囲に亘っている場合であっても、汚染物質を確実に除去することが出来る。
【0016】
ここで、本発明では、前記高圧流体ジェット(3)及び加熱用流体は、流体(水)を加圧手段(加圧ポンプPP)により加圧して加熱手段(HE)により加熱してから噴射され供給されるので(請求項1)、高圧流体あるいは加熱流体が水(沸点が100℃)である場合も、加圧手段(加圧ポンプPP)により加圧することにより、液相の状態を維持したまま、150℃以上まで加熱する事が出来る。
従って、ジェットとしての掘削力を維持した状態で、150℃まで加熱された高圧水を噴射しあるいは供給井(2A)に供給することが可能となる。
【0017】
本発明において、流体流路(23)は複数の異なる鉛直方向位置(深度)に形成されており、流体流路(23)の鉛直方向における間隔(図5の符号H)を、
H=2(πat)1/2(1−(T−T0)/(Ts−T0))
なる式で表現される間隔に設定すれば(請求項2)、加熱用流体(高温の高圧水)による加熱時間(hour)に対応して、流体流路(23)から最も離隔した領域(中央領域GpC)の目標温度をVOCが汚染土壌から遊離する温度(VOCの沸点80℃)にする事ができる。
その結果、本発明が施工される現場のVOCは汚染土壌から遊離して、確実に回収されるのである。
【0018】
さらに本発明において、土壌汚染物質(VOC)を回収して除去するべき施工現場に平面形状が正六角形状の領域(エリアA2〜A5・・・)を設定し、正六角形状の領域(エリアA2〜A5・・・)毎にVOCを回収すれば(請求項3)、当該平面形状が正六角形状の領域(エリアA2〜A5・・・)においてはVOCの除去が為されない様な領域が生じない。そして、正六角形状の領域は、ハニカム構造の様に隙間なく配置することが出来るので、施工現場全体に亘って、未施工領域が生じることがことが防止される。
そして、VOCの濃度に対応して、適正な除去作業を行うのに必要且つ十分な領域のみを設定してVOC除去作業を行い、以って、不必要なコストを抑制することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
先ず、図1で示す様な第1工程(仕切り工程)を実施する。
図1の第1工程「仕切り工程」においては、図1に示すように、土壌Gにおける汚染領域(汚染土壌)Gpを、隔壁部材であるシートパイル1によって、(例えば直方体形状に)仕切る。
なお、地下水脈が存在しない場合や、地下水レベルが汚染領域(汚染土壌)Gpよりも遥かに下方である場合等においては、第1工程「仕切り工程」を省略することが可能である。
【0020】
図2に示す第2工程では、汚染土壌Gpに到達する様な複数(図2では3本のみ図示)の鉛直方向のボーリング孔(あるいは井戸)2A、2B、2Bを削孔する。
図10を参照して後述するが、中央の井戸は加熱用流体が供給される井戸(供給井)2Aである。左右の2本は加熱用流体及びVOCを回収(吸引)する井戸(吸引井)2Bである。
【0021】
図3(縦断面図)及び図4(図3に対応する平面図)は何れも第3工程「流体流路形成工程」を示している。
第3工程「流体流路形成工程」では、先ず、図3において、井戸2A、2B、2Bに噴射装置11を挿入する。
噴射装置11が所定の深度に到達したならば、噴射装置11を回転しつつ高圧流体(例えば高圧水)3を噴射する。そして、噴射装置11を鉛直方向については極めて狭い範囲のみ移動させる。噴射装置11は高圧水を噴射して回転することにより、高圧水ジェットにより汚染土壌Gpを切削する。そして、汚染土壌Gpを切削しつつ、鉛直方向に短い距離だけ移動する。
【0022】
図4は高圧水3により切削された領域(図4において符号JAA、JAB1、JAB2で示す)を平面で示している。
図4で示す様に、高圧水ジェット3により切削された領域JAA、JAB1、JAB2は、その一部が重複している。換言すれば、領域JAA、JAB1、JAB2の一部が必ず重複する様に、噴射装置11から高圧水ジェット3を噴射しつつ回転するのである。
【0023】
ここで、高圧水で切削された領域は、流体が移動し易い状態となるので、図4で示す様に汚染土壌Gpを切削することによって、図4中、太い破線で示す部分は流体が流れ易い状態となる。換言すれば、図4において、太い破線で示す部分には、流体流路23が形成されるのである。
そして、形成された流体流路23を経由することによって、鉛直の井戸2Aと2B、2Bとの間で流体(例えば高温の水)が流過することが可能となる。
【0024】
ここで、時間の経過とともに、切削した部分(図4の円形部分及び隣接する円形部分の重なり合った部分)が上下の粘性土により潰れてしまう恐れが存在する。切削した部分が潰れてしまうと、流体が流過出来なくなってしまうため、流体の経路を確保する必要性が生じる。
図3、図4で示す第3工程「流体流路形成工程」、すなわち高圧水ジェット3で土壌を切削して流体流路を形成する工程を実行するに際して、図示しない多孔質の粒子や、図示しないビーズの様に、流体透過性が良好な粒体を高圧水ジェット3と共に噴射することが好ましい。係る流体透過性が良好な粒体が高圧水ジェット3で切削した流域に残存すれば、流体の経路が確保できるからである。
但し、後述する様に、本発明では流体流路を流れる流体が高温の高圧水であり、前記切削した部分(図4の円形部分及び隣接する円形部分の重なり合った部分)が潰れてしまっても、潰れた部分を切削しつつ進行して、流体流路を再度形成する事ができる。
【0025】
図3、図4で示す第3工程「流体流路形成工程」、すなわち高圧水ジェット3で土壌を切削して流体流路23を形成する工程において、高圧水ジェット3として、加熱されて高温(例えば、150℃程度)となった高圧水を噴射することが可能である。
汚染土壌Gpが粘性土層で或る場合に、揮発性化合物VOC(汚染物質)を土粒子から分離して除去することが困難な状態となっている。これに対して、粘性土層を高圧水ジェット3で切削すれば、汚染物質(例えば揮発性化合物VOC)が粘性土から浸出するので、施工対象領域からの除去が促進される。高圧水ジェット3を使って粘性土層を切削することにより、粘性土層Gpbに染み込んだ汚染物質(すなわち、従来技術では除去し難かった汚染物質)が粘性土層から浸出して、除去し易い状態となるからである。
【0026】
ここで、粘性土層から浸出した汚染物質は、当該土壌を加熱することにより、容易に土壌から分離、移動する。
従って、高圧水ジェット3が高温(例えば、150℃程度)であれば、高圧水ジェット3により切削された領域JAA、JAB1、JAB2から、VOCを容易に分離、移動することが可能となる。
但し、VOCが井戸2A、2Bから大気中に拡散しないように、拡散防止機構を設けておく必要がある。
【0027】
大気圧下では水の沸点は100℃であり、大気圧と同一の圧力の水を100℃以上に昇温することは出来ない。しかし、圧力が上昇すれば沸点は上昇する。従って、高圧水ジェット3用の水(図3では符号HWで示す)は、その沸点が例えば150℃程度まで上昇する程度まで加圧装置PPにより加圧され、加圧後、加熱装置HEにより、例えば150℃程度まで昇温される。
ここで、加圧装置PPとしては、例えば公知のポンプを適用することが出来る。そして、高圧水ジェット3を加熱する加熱装置HEとしては、公知の各種ヒータを適用することが出来る。なお加熱装置HEは、通過する際における圧力損失が低いタイプのものが好適である。圧力損失が大きいタイプであれば、加熱装置HEを通過した際に減圧するため、高圧水HWが気液混合流となってしまう可能性があり、土壌切削の点からは好ましくないからである。
【0028】
図3、図4で示す第3工程「流体流路形成工程」により、井戸2A、2B間で流体流路23(1段目の流体流路23)が形成されたならば、次に、深度(あるいは鉛直方向位置)を変えて、当該第3工程「流体流路形成工程」(図3、図4を参照して説明した工程:流体流路23を形成する工程)を繰り返す。
第3工程「流体流路形成工程」を繰り返した結果が、図5で模式的に示されている。
図5の状態では、隣接する井戸2A、2B同士が、深度の異なる複数の流体流路23で連通し、その内の井戸2Aには後述する加熱流体供給管24を挿入し、他の井戸2Bには後述する流体吸引管25を挿入した状態が示されている。
【0029】
図10を参照して後述するが、「加熱及び吸収工程」では、流体流路23に150℃の高圧水を流過させ、その熱量により土壌中のVOCを蒸発させて、吸引井2Bより吸引する。ここで、土壌中のVOCの沸点は80℃である。
図5において、流体流路23の鉛直方向における間隔Hは、上下の流体流路23に150℃の高圧水を流した場合に、流体流路23から鉛直方向距離H/2だけ隔たった鉛直方向中央の領域GpC(図5において、点線で示す領域)の温度が80℃以上となる様に設定されなければならない。
以下において、図6を参照して、流体流路23の鉛直方向における間隔Hについて、説明する。
【0030】
図6は、図5における鉛直方向に隔たった2本の流体流路23と、その中央の領域GpC(図6では点線で示す)とを模式的に示している。
高温(150℃)の高圧水が流体流路23を流れている状態を、表面温度Ts=150℃の平板に近似して考える。
中央領域GpCの初期の温度T0=20℃、土壌Gpの熱拡散率a=1.4478×10−3(日本建設機械化協会「地盤凍結工法」参照)とする。
誤差関数をΦ(ξ)とすれば、図6において、次式(1)が成立する
(T−T0)/(Ts−T0)=1−Φ(ξ)・・・(1)
但し、Tは中央領域GpCの目標温度(=VOCの沸点80℃)である。
【0031】
誤差関数Φ(ξ)は、次の近似式(2)で表現される。
式(2)
ここで、 ξ=x/(2(at)1/2)・・・(3)
但し、xは表面温度Tsの平板から中央領域GpCまでの距離、tは表面温度Tsの平板による加熱時間(h:高温の高圧水による加熱時間)である。
【0032】
実際の施工を考慮すると、式(2)のξ2以上の高次項は無視することができるので、式(2)は次の式(4)のように変形することができる。
Φ(ξ)=2ξ/π1/2・・・(4)
式(4)を式(1)に代入すれば、
(T−T0)/(Ts−T0)=1−(2ξ/π1/2)・・・(5)
∴ ξ=(π1/2/2)(1−(T−T0)/(Ts−T0))・・・(6)
【0033】
式(6)に式(3)を代入して、
x/(2(at)1/2)=(π1/2/2)(1−(T−T0)/(Ts−T0))
x=(πat)1/2(1−(T−T0)/(Ts−T0))・・・(7)
この式(7)により求められたxは、図5におけるH/2に相当する。従って、図5における流体流路23の間隔Hは、
H=2(πat)1/2(1−(T−T0)/(Ts−T0))・・・(8)
ここで、上述した様に、xは表面温度Tsの平板から中央領域GpCまでの距離、Tsは高温高圧水の表面温度(=150℃)、T0は中央領域GpCの初期の温度(=20℃)、Tは中央領域GpCの目標温度(=VOCの沸点80℃)、aは土壌Gpの熱拡散率(=1.4478×10−3)、tは表面温度Tsの平板による加熱時間(h:高温の高圧水による加熱時間)である。
【0034】
図5で示す状態は、換言すれば、図7で説明する第4工程「鉛直管挿入工程」が施工可能な状態である。
図7の第4工程「鉛直管挿入工程」では、井戸2A内に、加熱流体供給管24を挿入し、加熱流体供給管24を地上側の加熱流体供給源16に接続している。
ここで、加熱流体としては高温(150℃)の高圧水(図7では符号HWで示す)が用いられ、加熱流体供給源16は、沸点が例えば150℃程度となるまで水を昇圧させる加圧装置PPと、昇圧された水(高圧水)を加熱する加熱装置HEとを有している。
【0035】
加熱装置PPとしては、例えば公知のポンプを適用することが出来る。加熱装置HEも、公知の各種ヒータを適用することが出来る。
なお加熱装置HEは、通過する際における圧力損失が低いタイプのものが好適である。但し、高圧水は加熱流体として投入され、土壌切削の作用はさほど奏しないので、図3、図4で示す第3工程「流体流路形成工程」の様に、加熱装置HEを通過した後に気液混合流となったとしても、悪影響は少ない。
【0036】
加熱流体供給源16から加熱流体供給管24に供給された高温の高圧水は、加熱流体供給管24、水平の流体流路23を流れる際に、加熱流体供給管24の周囲及び流体流路23の周囲の汚染土壌Gpを昇温し、汚染土壌Gpに含まれる汚染物質VOCを遊離させる。汚染土壌Gpから遊離したVOCは、流体流路23から取り込まれる。
図6を参照して上述した通り、鉛直方向位置が異なる流体流路23の間の領域においても、VOCの沸点以上の温度となる様に加熱されるので、図5における中央領域GpCにおけるVOCも気化する。
【0037】
図7で示す第4工程「鉛直管挿入工程」では、井戸2B内に、流体流路23で吸収したVOCを地上側に吸引するための吸引管25を挿入する。吸引管25は地上側で、例えば図示しない吸引ポンプに接続される。
後述する様に、図示しない吸引ポンプで吸引管25に負圧を作用させることにより、汚染土壌Gpから遊離したVOCは、流体流路23から吸引されるのである。
【0038】
図7の1本の井戸2Bの断面を更に詳細に示したのが図8である。
図8の井戸2Bにおいて、井戸2Bの内壁と吸引管25との間には隙間が生じる。井戸2Bの開口部において係る隙間を放置しておけば、回収しようとする汚染物質である揮発性化合物VOCが、当該隙間及び開口部を介して、大気中に拡散してしまう恐れがある。
これに対して、井戸2Bの開口部から所定の深さに至る鉛直方向領域では、当該隙間に、例えばベントナイトやグラウト材を充填して、井戸2Bの内壁と吸引管25との間の隙間にシール14を構成している。
【0039】
尚、当該シール14の下方には、通気性の良い砂15を充填して、施工途中の吸引管24の「ガタツキ」を抑制すると共に、施工終了時に吸引管24を撤去する際に吸引管24の引抜きを容易にしている。
【0040】
ここで、土壌における通気性が良好な場合には、後述する様に吸引管24で負圧を作用させた際に、土壌中に存在するVOCを吸引せずに、通気性が良好な土壌を解して大気が吸引管24に吸引されてしまう恐れがある。その様な現象における大気の流れを、図9では矢印Sで示している。
図9で示す第5工程「地表被覆工程」では、地表面Gfから大気が土壌Gを浸透して、吸引管25の下端から吸引管25内に混入してしまう現象(矢印Sで示す)を防止するために、地表面Gfに非透過性のシート4を敷くのである。
【0041】
また、汚染土壌Gpの通気性が良いと、加熱されて土壌から遊離したVOCが地表面GFから大気中に拡散してしまう恐れがある。その様な大気中へのVOC拡散防止のためにも、シート4を敷いて、地表を被覆するのである。
なお、汚染土壌Gpの大半が粘性土層Gpbで形成されている場合には、矢印Sで示す空気の流れが生じる可能性が低く、大気が汚染土壌Gpに浸透する可能性も低いので、シート4を省くことが出来る。
【0042】
図10は第6工程である「加熱及び吸収工程」における加熱状態を示している。
図10において、加熱流体供給管24の上流側に設けた加熱流体供給源16から、加熱用の高温高圧水HWを井戸2Aに挿入した加熱流体供給管24内に供給する。
加熱流体供給管24に供給された高温の高圧水HWは、加熱流体供給管24、流体流路23を経由して、吸引管25で吸引される。吸引管25で吸引されるまでの間に、高温の高圧水HWが保有する熱量Hは、加熱流体供給管24や流体流路23周辺の汚染土壌Gpに伝達され、また、吸引管25の管壁を介して汚染土壌Gpに伝達される。
【0043】
前述したように、吸引管25は図示しない吸引手段(例えば吸引ポンプ)に接続されており、その吸引手段によって、高温の高圧水を地中から地上側へ吸引している。
高温の高圧水が保有する熱量Hが汚染土壌Gpに投入される結果、汚染土壌Gpから揮発性化合物VOCが遊離する。
また、図3、図4で示す第3工程「流体流路形成工程」において、井戸2A、2B、2Bの周辺の領域JAA、JAB1、JAB2は高圧水ジェット3により切削、撹拌されるので、従来技術ではVOCの浸出あるいは遊離が困難であった粘性土層であっても、VOCが浸出し易い状態となっている。従って、領域JAA、JAB1、JAB2の流体流路23を構成していない領域であっても、図10、図11で示す第6工程「加熱及び吸収工程」において高温の高圧水HWが流体流路を流れる際に、高温高圧水HWの熱量により、VOCが土壌から容易に分離、移動するのである。
【0044】
図示の実施形態では、加熱流体供給源16の加熱装置HE(図7参照)で、例えば150℃程度まで昇温された高圧水が、加熱流体として加熱流体供給管24に供給されている。
しかしながら、例えば、加熱流体供給管24に加熱手段(例えばニクロム線等)を設け、加熱流体供給源16側から沸点が150℃異常となる様に昇圧された高圧水を加熱流体供給管24内に供給し、加熱手段(ニクロム線)に通電することによって、供給された高圧水を加熱流体供給管24内で加熱する。そして、高温になった高圧水を、流体流路23、吸引管25に流過させても良い。
【0045】
図11は、第6工程「加熱及び吸収工程」における汚染物質吸収の状態を示している。
図11の第6工程では、図10で示す加熱工程によって汚染土壌Gpから遊離したVOCを流体流路23を流れる高圧水に吸収して取り込み(図10では、VOCの流れを矢印Vで示す)、その取り込んだVOCを、流体流路23、吸引管25を経由して地上側の図示しない処理設備に送り込む。
流体流路23、吸引管25内の矢印F2は、VOCと混合した高圧水(加熱流体)の流れの向きを示している。
【0046】
第6工程「加熱及び吸収工程」(図10、図11)では、基本的には、加熱流体である高圧水を地中に供給しながら、供給した高圧水によってVOCを吸引する。しかし、高温の高圧水を供給して汚染土壌Gpを加熱した後に、高温の高圧水供給を一旦停止し、高温の高圧水を供給した井戸2Aを閉塞してから、吸引井2BからVOCを吸引しても良い。
【0047】
次に、図12〜図15を参照して、第2実施形態について説明する。
図1〜図11においては、高温の高圧水が供給される井戸(供給井)2Aと、その左右に配置している高圧水及びVOCを回収(吸引)する井戸(吸引井)2Bとは、直線状に配置して示されているが、広い範囲にわたる汚染土壌を洗浄する場合には、一定のエリア毎に区切って、個々のエリア毎に供給井2Aから高温の高圧水を供給し、吸引井2Bより高圧水及びVOCを吸引する。
その様なエリアとして、例えば図12において輪郭を点線で示すエリアA12、A12−2のように、エリアの輪郭を正方形(四角形)に設定し、正方形の中心に供給井2Aを設け、正方形の各頂点に吸引井2Bを設けることが考えられる。
【0048】
しかし、係る正方形(四角形)の輪郭を有するエリアA12、A12−2では、図3、図4で示す第3工程「流体流路形成工程」において、井戸2A、2B、2Bの周辺の領域(図4における領域JAA、JAB1、JAB2)を高圧水ジェット3により切削、撹拌する際に、図12において符号Uで示す領域(図12においてハッチングを付して示す領域)については、高圧水ジェット3による切削、撹拌が行われない可能性がある。
そして、図10、図11の第6工程「加熱及び吸収工程」で、流体流路23に高温の高圧水を流しても、高温高圧水が保有する熱量が係る領域Uに存在するVOCには伝達されず、領域Uの土壌からVOCが遊離せずに、そのまま残存してしまう可能がある。
【0049】
図3、図4で示す第3工程「流体流路形成工程」において、噴射装置11(図3参照)からの高圧水ジェット3の圧力を高圧にして、図12の領域U(高圧水ジェット3による切削、撹拌が行われない領域)を無くすることも考えられるが、高圧水ジェット3の圧力を変更すると、噴射装置11や加圧装置PP(図3参照)その他の機器の使用を全て変更しなければならず、大変なコスト増となってしまう。また、高圧水ジェット3の圧力を変更すると、浄化の効果判定が困難になってしまう。
【0050】
これに対して、本発明の第2実施形態では、図13で示す様に、平面形状が正六角形状のエリアA2(図13において、輪郭を点線で示すエリア)に設定し、正六角形の各頂点に吸引井2Bを配置し、正六角形の中心に供給井2Aを設ける。ここで、正六角形の各頂点は、正六角形の中心から頂点までの距離を半径とする円の円周上に位置するので、その中心に位置する供給井2Aは、各吸引井2Bから等距離に位置していることとなる。
図3、図4で示す第3工程「流体流路形成工程」において、高圧水ジェット3により切削、撹拌する距離を、供給井2Aと吸引井2Bとの距離よりも若干長い距離に設定しておけば、図13で示す様に、正六角形内の全ての領域が高圧水ジェット3で切削、撹拌されることとなり、図12で示す様な領域Uは生じない。
【0051】
図12で示す第2実施形態に従って、供給井2Aと吸引井2Bの設置位置を決定すれば、噴射装置11の仕様を変更すること無く、土壌からVOCが遊離せずにそのまま残存してしまう領域を無くすることが出来る。また、高圧水ジェット3の圧力が同一であるため、浄化効果の判定が容易且つ客観的に行われる。
【0052】
また、図14で示す様に、汚染を浄化するべき領域に、多数の正六角形状のエリアA2〜A5・・・を隣接して設定し、各エリアの中心に供給井2A2〜2A5を設け、各エリアの頂点に吸引井2B2〜2B5を設けれ、個々のエリア毎に図1〜図11で説明したようなVOC除去処理を実行する。
図13で説明した通り、正六角形状のエリアの内部にはVOCが遊離せずにそのまま残存してしまう領域は存在しないように処理することができる。そして、図14で示す様に、吸引井と供給井を共通化することにより、正六角形状のエリアA2〜A5は、隙間が生じないように隣接することができる
【0053】
具体的には、例えば図14で示す様に、先ず、供給井2A2と、吸引井2B2−1〜2B2−6により、エリアA2のVOCの除去を行う。次に、供給井2A3と、吸引井2B3−1、2B2−6、2B2−5、2B3−4〜2B3−6により、エリアA3のVOCの除去を行う。以下、エリアA4、A5・・・において、VOCを除去すれば、図14で明示されている様に、正六角形状のエリアA2〜A5・・・は、隙間なく隣接させることが出来るので、広範囲に亘ってVOCを回収あるいは除去する際にも、未処理領域を作ること無く、処理をする事が出来るのである。
【0054】
ここで、例えば図14のエリアA2〜A4におけるVOCの濃度が極めて濃い場合には、例えば、供給井2B2−5、吸引井2B2−6、2A2、2B2−4、2A4、2B3−4、2A3を有するエリアAO23を設定し、エリアAO23におけるVOC除去を行う。
エリアAO23は、エリアA2、A3、A4と重複しており、係る重複したエリアAO23においてもVOC回収作業あるいは除去作業を行うことにより、VOC濃度が濃い場合に対処することが出来る。
【0055】
一方、VOC濃度が薄い場合において、図14で示す様に全てのエリアA2〜A5・・・でVOC除去作業を行うと、作業コストの点で問題がある。その様な場合には、図14のエリアA2〜A5の全てにおいてVOC除去を行わずに、例えば、一つおきのエリア(エリアA2とエリアA5)においてのみ、VOC除去作業を行う様にしても良い。
換言すれば、正六角形のエリア毎に第1実施形態で説明したVOCの除去作業を行う様にすれば、VOCの濃度を考慮して、VOC除去作業を行うべき正六角形のエリアを適宜設定すれば良い。
【0056】
このように、図13、図14で示す第2実施形態によれば、VOCの除去が為されない様な領域を生じることが防止される。
そして、VOCの濃度に対応して、適正な除去作業を行うのに必要且つ十分な領域のみを設定してVOC除去作業を行い、以って、不必要なコストを抑制することが出来る。
【0057】
図1〜図11の第1実施形態では、隣接する井戸2Bは複数本(複数層)の流体流路23で連通している。しかし、単一(単層)の流体流路(図15の符号231)で隣接する井戸(2Bに挿通した吸引管25)に連通しても良い。
【0058】
図15、図16の第3実施形態は、その様な場合に係る実施形態である。
図15は、第1実施形態の図10と対応する図である。
図15において、加熱流体供給管24に供給された高温の加熱流体Fは、流体流路231を経由して、吸引管25で吸引される。その間に、加熱流体Fが保有する熱量Hを、加熱流体供給管24、流体流路231、吸引管25の管壁を介して汚染土壌Gpに投入する。
【0059】
また図16は、第1実施形態の図11と対応する図である。
図16において、図15で示す加熱工程によって汚染土壌Gpから遊離したVOC(VOCの流れを矢印Vで示す)を、流体流路231を介して吸引し、吸引されたVOCを、流体流路231、吸引管25を経由して地上側の図示しない処理設備に送り込んでいる。
【0060】
図15、図16の第3実施形態におけるその他の構成及び作用効果については、第1実施形態と同様であり、以降の説明を省略する。
【0061】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではない旨を付記する。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の第1実施形態の第1工程を説明する工程図。
【図2】第1実施形態の第2工程を説明する工程図。
【図3】第1実施形態の第3工程を説明する工程図。
【図4】図3に対応する平面図。
【図5】第1実施形態において、第4工程「鉛直管挿入工程」の施工可能な状態を示す図。
【図6】流体流路の間隔を計算するための模式図。
【図7】第1実施形態の第4工程を説明する工程図。
【図8】図7の部分詳細図。
【図9】第1実施形態の第5工程を説明する工程図。
【図10】第1実施形態の第6工程の加熱工程を説明する工程図。
【図11】第1実施形態の第6工程の吸収工程を説明する工程図。
【図12】第2実施形態を説明するための平面模式図。
【図13】第2実施形態の作用効果を説明するための平面模式図。
【図14】第2実施形態のその他の作用効果を説明するための平面模式図。
【図15】第3実施形態における加熱工程を説明する工程図。
【図16】第3実施形態における吸収工程を説明する工程図。
【符号の説明】
【0063】
1・・・シートパイル
2A、2B・・・鉛直掘削孔/鉛直ボーリング孔
3・・・高圧流体ジェット
4・・・布状部材/シート
PP・・・加圧装置
HE・・・加熱装置
11・・・噴射装置
14・・・シール
15・・・通気性の良い砂
16・・・加熱流体供給源
21・・・VOC回収用ボーリング孔
22・・・切削用ボーリング孔
23・・・流体流路
24・・・加熱流体供給管
25・・・吸引管
G・・・土壌
Gp・・・汚染土壌
【特許請求の範囲】
【請求項1】
土壌が汚染された領域に鉛直方向へ延在する加熱用流体循環用の掘削孔及び土壌汚染物質回収用の掘削孔を掘削する工程と、所定深度で当該掘削孔を中心に半径方向外方に高圧流体ジェットを噴射する工程とを含み、当該高圧流体ジェットを噴射する工程では、隣接する掘削孔から噴射された高圧流体ジェットで切削された領域が重複させ、以って、隣接する掘削孔同士を高圧流体ジェットで切削された領域を介して連通せしめ、加熱用流体循環用の掘削孔から加熱用流体を供給し土壌汚染物質回収用の掘削孔から吸引し以って土壌を加熱する加熱用流体循環工程を含み、該加熱用流体循環工程では、土壌から遊離した汚染物質を土壌汚染物質回収用の掘削孔から地上側へ吸引しており、前記高圧流体ジェット及び加熱用流体は、流体を加圧手段により加圧して加熱手段により加熱してから噴射され供給されることを特徴とする土壌浄化工法。
【請求項2】
高圧流体ジェットで切削された領域を介して隣接する掘削孔同士を連通せしめる流体流路は複数の異なる鉛直方向位置に形成されており、流体流路の鉛直方向における間隔は、
H=2(πat)1/2(1−(T−T0)/(Ts−T0))
なる式で表され、ここで、aは施工土壌の熱拡散率、tは加熱用流体による加熱時間、Tsは加熱用流体の表面温度、T0は流体流路から最も離隔した領域の初期の温度、Tは流体流路から最も離隔した領域の目標温度である請求項1の土壌浄化工法。
【請求項3】
土壌汚染物質を回収して除去するべき施工現場に平面形状が正六角形状の領域を設定し、前記加熱用流体循環用の掘削孔を正六角形状の中心に相当する箇所に削孔し、土壌汚染物質回収用の掘削孔を正六角形状の頂点に相当する箇所に削孔し、土壌汚染物質は平面形状が正六角形状の領域毎に回収される請求項1、2の何れかの土壌浄化工法。
【請求項1】
土壌が汚染された領域に鉛直方向へ延在する加熱用流体循環用の掘削孔及び土壌汚染物質回収用の掘削孔を掘削する工程と、所定深度で当該掘削孔を中心に半径方向外方に高圧流体ジェットを噴射する工程とを含み、当該高圧流体ジェットを噴射する工程では、隣接する掘削孔から噴射された高圧流体ジェットで切削された領域が重複させ、以って、隣接する掘削孔同士を高圧流体ジェットで切削された領域を介して連通せしめ、加熱用流体循環用の掘削孔から加熱用流体を供給し土壌汚染物質回収用の掘削孔から吸引し以って土壌を加熱する加熱用流体循環工程を含み、該加熱用流体循環工程では、土壌から遊離した汚染物質を土壌汚染物質回収用の掘削孔から地上側へ吸引しており、前記高圧流体ジェット及び加熱用流体は、流体を加圧手段により加圧して加熱手段により加熱してから噴射され供給されることを特徴とする土壌浄化工法。
【請求項2】
高圧流体ジェットで切削された領域を介して隣接する掘削孔同士を連通せしめる流体流路は複数の異なる鉛直方向位置に形成されており、流体流路の鉛直方向における間隔は、
H=2(πat)1/2(1−(T−T0)/(Ts−T0))
なる式で表され、ここで、aは施工土壌の熱拡散率、tは加熱用流体による加熱時間、Tsは加熱用流体の表面温度、T0は流体流路から最も離隔した領域の初期の温度、Tは流体流路から最も離隔した領域の目標温度である請求項1の土壌浄化工法。
【請求項3】
土壌汚染物質を回収して除去するべき施工現場に平面形状が正六角形状の領域を設定し、前記加熱用流体循環用の掘削孔を正六角形状の中心に相当する箇所に削孔し、土壌汚染物質回収用の掘削孔を正六角形状の頂点に相当する箇所に削孔し、土壌汚染物質は平面形状が正六角形状の領域毎に回収される請求項1、2の何れかの土壌浄化工法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2007−253010(P2007−253010A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−78308(P2006−78308)
【出願日】平成18年3月22日(2006.3.22)
【出願人】(390002233)ケミカルグラウト株式会社 (79)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月22日(2006.3.22)
【出願人】(390002233)ケミカルグラウト株式会社 (79)
【Fターム(参考)】
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