説明

圧力センサパッケージ

【課題】圧力導入孔から光の照射又は異物の混入を防止し、延いては圧力センサの特性の低下を防止し得る圧力センサパッケージを提供する。
【解決手段】圧力センサパッケージ1Aは、圧力センサ10を実装した箱状のパッケージ本体20と、圧力センサ10の上側に設けられたダイアフラム11の上方に空間21を確保した状態でパッケージ本体20を覆うリッド30とを備えている。パッケージ本体20は、樹脂からなっている。パッケージ本体20には、外部から空間21に連通する圧力導入孔29が形成されている。圧力導入孔29は、圧力センサ10に接続されてパッケージ本体20の外側まで延びる金属配線パターンに少なくとも一部が沿って設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイアフラム型の圧力センサを実装した圧力センサパッケージに関するものである。
【背景技術】
【0002】
圧力センサは、気体や液体の圧力を、ダイアフラムを介して感圧素子にて計測し、電気信号に変換して出力する機器である。原理的には、ダイアフラムの表面に半導体ひずみゲージを形成し、外部からの力(圧力)によってダイアフラムが変形して発生する圧力感応抵抗素子であるピエゾ抵抗効果による電気抵抗の変化を電気信号に変換している。
【0003】
上記圧力センサは、外部からの力(圧力)としてどのような圧力を使用するかによって、絶対真空を基準にして表した圧力を測定する絶対圧力センサと、大気圧等のある任意の比較する圧力(基準圧)に対して表した圧力を測定する差圧(相対圧)圧力センサとの2種類に大別される。
【0004】
上記のダイアフラム型の圧力センサを実装した圧力センサパッケージに関する従来技術として、例えば、特許文献1に開示された圧力センサパッケージが知られている。
【0005】
上記特許文献1に開示された圧力センサパッケージ100は、図7に示すように、絶対圧力センサ110が固定された矩形箱状のパッケージ101と、パッケージ101の上側開口を覆う蓋部であるリッド120とを備えている。上記絶対圧力センサ110は、その内部に真空のキャビティ111を有しており、この真空のキャビティ111と外部との差圧によるダイアフラム112の変形をダイアフラム112の周辺に配した複数の図示しないピエゾ抵抗によりその大きさを検出するものとなっている。絶対圧力センサ110の検出値は、矩形箱状のパッケージ101の下側に形成された外部接続端子102を介して図示しない外部装置に出力されるようになっている。
【0006】
上記リッド120には、絶対圧力センサ110の直上に、つまりリッド120の中央位置に導圧部である開口121が形成されており、これによって、圧力センサパッケージ100の内部が測定対象圧力に晒されるようになっている。
【0007】
また、他の従来の圧力センサパッケージとして、特許文献2に開示されたものがある。上記特許文献2に開示された圧力センサパッケージ200では、図8(a)(b)に示すように、平面形状が方形の蓋体220における1つの対角線上の両端側に圧力導入孔221・221が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−96505号公報(2010年4月30日公開)
【特許文献2】特開2010−281569号公報(2010年12月16日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記従来の特許文献1・2に開示された圧力センサパッケージでは、いずれも蓋体に圧力導入孔が形成されている。
【0010】
この結果、圧力センサの上に圧力導入孔が存在しているので、圧力センサに光が照射され、圧力センサの特性が低下するという問題を有している。
【0011】
また、圧力センサパッケージをシート状で作製し、組立後に個片化する場合、圧力導入孔から水、切削屑等の異物が混入し、圧力センサの特性を低下させる可能性がある。
【0012】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、圧力導入孔から光の照射又は異物の混入を防止し、延いては圧力センサの特性の低下を防止し得る圧力センサパッケージを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の圧力センサパッケージは、上記課題を解決するために、圧力センサを実装した箱状のパッケージ本体と、該圧力センサのダイアフラムの上方に空間を確保した状態で上記パッケージ本体を覆う蓋体とを備えた圧力センサパッケージにおいて、上記パッケージ本体は、樹脂からなっており、上記パッケージ本体には、外部から上記空間に連通する圧力導入孔が形成されていると共に、上記圧力導入孔は、圧力センサに接続されて上記パッケージ本体の外側まで延びる金属配線パターンに少なくとも一部が沿って設けられていることを特徴としている。
【0014】
上記の発明によれば、パッケージ本体には、外部から上記空間に連通する圧力導入孔が形成されている。そして、圧力導入孔は、圧力センサに接続されてパッケージ本体の外側まで延びる金属配線パターンに少なくとも一部が沿って設けられている。すなわち、本発明の圧力センサパッケージでは、圧力導入孔は蓋体に設けられているのではなく、パッケージ本体に設けられている。このため、圧力センサの上に圧力導入孔が存在するということがなくなる。
【0015】
この結果、圧力センサに光が照射され、圧力センサの特性が低下するということがない。
【0016】
また、圧力センサパッケージをシート状で作製し、組立後に個片化する場合においても、圧力センサの上に圧力導入孔が存在するときには、圧力導入孔から水、切削屑等の異物が混入し易い。しかし、本発明では、圧力導入孔はパッケージ本体に設けられているので、圧力導入孔から水、切削屑等の異物が混入する可能性は小さい。このため、圧力センサに異物が混入することによる圧力センサにおける特性の低下も生じない。
【0017】
さらに、本発明では、パッケージ本体は、樹脂からなっている。すなわち、この種の圧力センサパッケージでは、従来では、パッケージ本体は薄くても硬いセラミックが使用されることが多かった。このため、圧力センサパッケージが高価になると共に、パッケージ本体の加工も容易ではないので歩掛りも向上できなかった。
【0018】
この点、本発明では、パッケージ本体を樹脂にて形成しているので、安価である。また、射出成形等により容易に複雑な加工を行うことができる。
【0019】
この結果、安価で生産性の高い圧力センサパッケージを提供することができる。
【0020】
したがって、圧力導入孔から光の照射又は異物の混入を防止し、延いては圧力センサの特性の低下を防止し得る圧力センサパッケージを提供することができる。
【0021】
本発明の圧力センサパッケージでは、前記圧力導入孔は、前記パッケージ本体の底面に形成されており、上記パッケージ本体の底面に形成された前記金属配線パターンである貫通電極配線に平行に設けられているとすることができる。
【0022】
すなわち、本発明では、圧力導入孔は、パッケージ本体の底面に穿設され、かつダイアフラムの上方の空間に連通する貫通孔からなっている。
【0023】
したがって、確実に、圧力導入孔から光の照射又は異物の混入を防止し、延いては圧力センサの特性の低下を防止し得る圧力センサパッケージを提供することができる。
【0024】
尚、この種の圧力センサパッケージにおいては、圧力センサからの取り出し配線は、通常、パッケージ本体の底面に形成された貫通配線によって行われる。したがって、貫通配線のための貫通孔を形成する工程において、圧力導入孔のための貫通孔を形成すればよいので、圧力導入孔のための貫通孔を穿設する工程を別途に設けるという手間は発生しない。この結果、圧力導入孔は、パッケージ本体の底面に形成されており、上記パッケージ本体の底面に形成された前記金属配線パターンである貫通電極配線に平行に設けられていることになる。
【0025】
本発明の圧力センサパッケージでは、前記圧力導入孔の前記空間への開口位置は、前記圧力センサを実装したパッケージ本体の圧力センサ実装床よりも高く、かつ前記蓋体とパッケージ本体との接触面の位置よりも低いことが好ましい。
【0026】
すなわち、圧力センサを実装したパッケージ本体の圧力センサ実装床では、通常、接着剤にて、圧力センサが圧力センサ実装床に接着される。このとき、圧力導入孔の前記空間への開口位置が、圧力センサ実装床よりも同じか又は低い場合には、接着剤が圧力導入孔の前記空間への開口位置に流れ込んで、圧力導入孔が閉塞される虞がある。
【0027】
この点、本発明では、圧力導入孔の前記空間への開口位置は、圧力センサを実装したパッケージ本体の圧力センサ実装床よりも高いので、圧力導入孔が接着剤によって閉塞されることはない。
【0028】
また、圧力導入孔の前記空間への開口位置は、蓋体とパッケージ本体との接触面の位置よりも低いので、圧力導入孔が蓋体で閉塞されることもない。
【0029】
本発明の圧力センサパッケージでは、前記パッケージ本体には、圧力センサに接続された金属配線パターンが、パッケージ本体内部から外側壁面を介して外底面に延びて設けられており、前記圧力導入孔は、上記外側壁面に延びる金属配線パターンと平行になっているとすることができる。
【0030】
これにより、貫通配線を設けることなく、圧力センサからの信号線等の配線を取り出すことができる。したがって、パッケージ本体に貫通配線のための貫通孔を設ける必要が無くなり、工数の低減を図ることができる。
【0031】
本発明の圧力センサパッケージでは、前記圧力導入孔は、パッケージ本体の側面に形成されていると共に、上記パッケージ本体には、圧力センサに接続された金属配線パターンが、パッケージ本体内部から上記圧力導入孔を通り、外側壁面を介して外底面に延びて設けられているとすることができる。
【0032】
これにより、圧力導入孔はパッケージ本体の側面に形成されているので、圧力センサの上に圧力導入孔が存在するということがなくなる。この結果、圧力センサに光が照射され、圧力センサの特性が低下するということがない。
【0033】
また、圧力センサパッケージをシート状で作製し、組立後に個片化する場合においても、圧力センサの上に圧力導入孔が存在するときには、圧力導入孔から水、切削屑等の異物が混入し易い。しかし、本発明では、圧力導入孔はパッケージ本体の側面に設けられているので、圧力導入孔から水、切削屑等の異物が混入する可能性は小さい。このため、圧力センサに異物が混入することによる圧力センサにおける特性の低下も生じない。
【0034】
また、本発明では、パッケージ本体には、圧力センサに接続された金属配線パターンが、パッケージ本体内部から上記圧力導入孔を通り、外側壁面を介して外底面に延びて設けられている。このため、貫通配線を設けることなく、圧力センサからの信号線等の配線を取り出すことができる。また、従来の圧力センサパッケージでは、蓋体に貫通穴を設けているので、穴を開けるための追加工が必要になる。一方、本発明では、蓋体に貫通穴を形成する必要がなくなるので、その点で、作製工数を削減することができる。尚、本発明において、パッケージ本体の側面に圧力導入孔を形成するには、射出成形により行うことができる。
【0035】
本発明の圧力センサパッケージでは、前記圧力導入孔は、パッケージ本体の側面に形成されていると共に、前記パッケージ本体の側面に形成された圧力導入孔には、内側から外側に向かって下がる傾斜面が形成されているとすることができる。
【0036】
これにより、パッケージ本体の側面に形成された圧力導入孔に傾斜面が形成され、かつその傾斜面は内側に向けて外側よりも高くなっているので、圧力導入孔から水、切削屑等の異物が混入し難い構成となっている。
【0037】
このため、圧力導入孔から水、切削屑等の異物が混入するのを防止することができ、延いては圧力センサの特性の低下を防止することができる。
【0038】
本発明の圧力センサパッケージでは、前記圧力導入孔は、パッケージ本体の側面に形成されていると共に、前記パッケージ本体の側面に形成された圧力導入孔は、撥水処理され又は表面粗さ調整されているとすることができる。
【0039】
これにより、圧力導入孔が撥水処理されている場合には、水の浸入を防止することができる。また、圧力導入孔が表面粗さ調整されている場合には、切削屑等の異物の混入を防止することができる。
【0040】
本発明の圧力センサパッケージでは、前記圧力導入孔には、空気を通過させる共に水に対しては不通過とする通気樹脂が充填されているとすることができる。
【0041】
これにより、圧力導入孔は通気樹脂にて塞がれていることになる。しかしながら、圧力導入孔に充填された通気樹脂は空気を通過させるので、圧力導入孔においては外気と圧力センサパッケージの内部におけるキャビティの上側に設けられたダイアフラムの上方の空間との連通は確保される。
【0042】
一方、圧力導入孔に充填された通気樹脂は、水を通過しないようになっている。したがって、水又は切削屑等の異物の混入を確実に防止することができる。
【0043】
本発明の圧力センサパッケージでは、前記蓋体の裏面には、絶縁膜が設けられていることが好ましい。
【0044】
これにより、金属からなる蓋体が、圧力センサ、ワイヤ又は金属配線パターンと短絡するのを防止することができる。
【0045】
本発明の圧力センサパッケージでは、前記パッケージ本体には、上記蓋体との接触部分の一部に、該蓋体を接地させるための貫通配線が形成されていることが好ましい。尚、蓋体は、金属又は非導電体のいずれであってもよい。また、接地は、例えば、圧力センサパッケージに接続される外部装置等を介して行われる。
【0046】
これにより、蓋体に溜まった電荷を、貫通配線を介して接地することができる。
【発明の効果】
【0047】
本発明の圧力センサパッケージは、以上のように、パッケージ本体は、樹脂からなっており、上記パッケージ本体には、外部から上記空間に連通する圧力導入孔が形成されていると共に、上記圧力導入孔は、圧力センサに接続されて上記パッケージ本体の外側まで延びる金属配線パターンに少なくとも一部が沿って設けられているものである。
【0048】
それゆえ、圧力導入孔から光の照射又は異物の混入を防止し、延いては圧力センサの特性の低下を防止し得る圧力センサパッケージを提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】(a)は本発明における圧力センサパッケージの実施の一形態を示すものであって、圧力センサパッケージの構成を示す平面図であり、(b)は図1(a)のA−A’線断面図であり、(c)は図1(a)のB−B’線断面図であり、(d)は図1(a)のC−C’線断面図である。
【図2】(a)は本発明における圧力センサパッケージの変形例を示すものであって、圧力センサパッケージの構成を示す平面図であり、(b)は図2(a)のA−A’線断面図であり、(c)は図2(a)のB−B’線断面図であり、(d)は図2(a)のC−C’線断面図である。
【図3】(a)は本発明における圧力センサパッケージの他の変形例を示すものであって、圧力センサパッケージの構成を示す平面図であり、(b)は図3(a)のA−A’線断面図であり、(c)は図3(a)のB−B’線断面図であり、(d)は図3(a)のC−C’線断面図であり、(e)は図3(a)のD−D’線断面図である。
【図4】(a)は本発明における圧力センサパッケージの他の実施の形態を示すものであって、圧力センサパッケージの構成を示す平面図であり、(b)は図4(a)のA−A’線断面図であり、(c)は図4(a)のB−B’線断面図であり、(d)は図4(a)のC−C’線断面図であり、(e)は図4(a)のD−D’線断面図である。
【図5】(a)は本発明における圧力センサパッケージの他の変形例を示すものであって、圧力センサパッケージの構成を示す平面図であり、(b)は図5(a)のA−A’線断面図であり、(c)は図5(a)のB−B’線断面図であり、(d)は図5(a)のC−C’線断面図である。
【図6】(a)は本発明における圧力センサパッケージのさらに他の変形例を示すものであって、圧力センサパッケージの構成を示す平面図であり、(b)は図6(a)のA−A’線断面図であり、(c)は図6(a)のB−B’線断面図であり、(d)は図6(a)のC−C’線断面図である。
【図7】従来の圧力センサパッケージの構成を示す断面図である。
【図8】従来の他の圧力センサパッケージの構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について図1〜図3に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0051】
本実施の形態の圧力センサパッケージは、例えば絶対圧力センサ等の圧力センサを実装したパッケージとなっており、以下においては、圧力センサは絶対圧力センサであるとして説明する。尚、必ずしもこれに限らず、圧力センサは、大気圧等のある任意の比較する圧力(基準圧)に対して表した圧力を測定する差圧(相対圧)圧力センサであってもよい。
【0052】
本実施の形態の圧力センサパッケージ1Aの構成について、図1(a)〜(d)に基づいて説明する。図1(a)は本実施の形態の圧力センサパッケージ1Aの構成を示す平面図であり、図1(b)は図1(a)のA−A’線断面図であり、図1(c)は図1(a)のB−B’線断面図であり、図1(d)は図1(a)のC−C’線断面図である。
【0053】
尚、本実施の形態では、圧力導入孔が、パッケージ本体の底面に形成されている圧力センサパッケージについて説明する。
【0054】
本実施の形態の圧力センサパッケージ1Aは、図1(a)〜(d)に示すように、圧力センサ10を実装した例えば矩形の箱状のパッケージ本体20と、後述するキャビティ12の上側に空間21を確保した状態でパッケージ本体20の開口部分を覆う蓋体としてのリッド30とを備えている。
【0055】
上記の圧力センサ10は、絶対圧力センサであり、ダイアフラム11の周縁に複数の圧力感応抵抗素子としての図示しないピエゾ抵抗を形成し、該ピエゾ抵抗の形成面とは反対側の面に例えば円筒形状の真空状態の空間部からなるキャビティ12を形成した半導体センサ基板13を有している。
【0056】
上記構成の絶対圧力センサからなる圧力センサ10では、ダイアフラム11が外面に付加される上記空間21の圧力に応じて歪むと、その歪み度合いに応じて複数のピエゾ抵抗の抵抗値が変化し、この複数のピエゾ抵抗にて構成されたブリッジ回路の中点電位がセンサ出力として図示しない外部装置に出力される。これによって、絶対圧力が測定できるようになっている。
【0057】
上記箱状のパッケージ本体20は、樹脂にて射出成形にて形成されており、2段の凹部を有してなっている。すなわち、パッケージ本体20は、浅広凹部22と、該浅広凹部22の内側に形成された狭深凹部23とからなっており、浅広凹部22及び狭深凹部23のいずれも水平断面が方形となっている。
【0058】
そして、前述した圧力センサ10が、パッケージ本体20の狭深凹部23における圧力センサ実装床としての狭深凹部底23aに接着剤であるダイボンディング樹脂24にて接着されて実装されている。本実施の形態では、圧力センサ10におけるダイアフラム11の上面の位置は、浅広凹部22の浅広凹部底22aよりも高い位置となっている。そして、圧力センサ10のダイアフラム11の周囲には、複数のパッド14が形成されており、このパッド14には例えば金(Au)からなるワイヤ15が接続されている。
【0059】
ワイヤ15の他端は、パッケージ本体20における浅広凹部22の浅広凹部底22aに形成されたワイヤボンディングパッド25に接続されている。そして、ワイヤボンディングパッド25は、パッケージ本体20における浅広凹部22の浅広凹部底22aに形成された貫通電極配線としての貫通ビア配線26、及びパッケージ本体20の裏面である外底面20aに形成された外部接続端子27に接続されている。尚、ワイヤボンディングパッド25、貫通ビア配線26、及び外部接続端子27は本発明の金属配線パターンを構成している。
【0060】
この結果、圧力センサ10の前記ピエゾ抵抗からの電気信号がワイヤ15、ワイヤボンディングパッド25、貫通ビア配線26及び外部接続端子27を介して図示しない外部装置に電気的に接続されるようになっている。
【0061】
上記リッド30は、例えば金属板からなっており、パッケージ本体20の開口部分を覆っている。リッド30は、本実施の形態では、パッケージ本体20における方形の浅広凹部22の4隅において浅広凹部底22aから立ち上がる台座28に載置された状態で接着されている。尚、リッド30は、必ずしも金属板に限らず、非導電体からなっていてもよい。また、接着箇所は、必ずしも4隅には限らない。
【0062】
ここで、上記金属板からなるリッド30においては、電荷が溜まる場合がある。このように、リッド30が電荷を持った場合には、このリッド30の電荷が圧力センサ10に対して悪影響を及ぼすことがある。例えば、圧力センサ10の電圧変動が大きくなる等の障害が発生する。
【0063】
そこで、本実施の形態においては、リッド30が電荷を持つことを防止するために、図2(a)〜(d)に示すように、リッド30に貫通配線よしての接地線40を設けた圧力センサパッケージ1Bとすることが可能である。すなわち、リッド30を接地する場合には、例えば、リッド30が接触している台座28にアース貫通孔41を形成し、このアース貫通孔41に接地線40を設ける。そして、パッケージ本体20の外底面20aには、接地線40に接続される外部接続端子42を設ける。これにより、リッド30に溜まった電荷は、接地線40、外部接続端子42を介して図示しない外部装置のアースに接地される。
【0064】
次に、上記構成の圧力センサパッケージ1A・1Bでは、キャビティ12の上側に設けられたダイアフラム11の上方の空間21と外気とを連通する圧力導入孔が必須である。この圧力導入孔は、従来では、加工の容易性等からリッドに設けられていたが、リッドに圧力導入孔を設けた場合には、圧力センサに光が照射され、圧力センサの特性が低下するという問題を有している。また、圧力センサパッケージをシート状で作製し、組立後に個片化する場合、圧力導入孔から水、切削屑等の異物が混入し、圧力センサの特性を低下させる可能性があった。
【0065】
そこで、本実施の形態の圧力センサパッケージ1A・1Bでは、この問題を解決するために、図1(a)及び図1(d)に示すように、圧力導入孔29は、パッケージ本体20の外底面20aに1個形成されている。尚、本実施の形態では、圧力導入孔29が1個しか設けられていないが、必ずしもこれに限らず、複数個設けられていてもよい。
【0066】
すなわち、本実施の形態の圧力センサパッケージ1A・1Bでは、パッケージ本体20の外底面20aからパッケージ本体20における浅広凹部22の浅広凹部底22aに向けて貫通孔が形成されることにより、圧力導入孔29が形成されている。この結果、圧力導入孔29の浅広凹部底22aでの開口位置は、パッケージ本体20の狭深凹部23における狭深凹部底23aの位置よりも高く、リッド30の接着位置である台座28よりも低い位置となっている。
【0067】
この圧力導入孔29の断面形状は、本実施の形態では円形となっており、円の直径は例えば直径約0.1mmとなっている。ただし、必ずしも円形に限らず、方形、多角形、楕円等でもよい。また、寸法もこれに限らない。
【0068】
この結果、圧力導入孔29はパッケージ本体20に設けられているので、圧力センサ10に光が照射され、圧力センサ10の特性が低下するという問題が発生しない。また、圧力センサパッケージ1A・1Bをシート状で作製し、組立後に個片化する場合、圧力導入孔29から水、切削屑等の異物が混入し、圧力センサ10の特性を低下させるという問題も発生しないものとなっている。
【0069】
このように、本実施の形態の圧力センサパッケージ1A・1Bは、圧力センサ10を実装した箱状のパッケージ本体20と、圧力センサ10のダイアフラム11の上方に空間21を確保した状態でパッケージ本体20を覆うリッド30とを備えている。そして、パッケージ本体20には、外部から空間21に連通する圧力導入孔29が形成されている。この圧力導入孔29は、圧力センサ10に接続されてパッケージ本体20の外側まで延びる、ワイヤボンディングパッド25、貫通ビア配線26及び外部接続端子27からなる金属配線パターンに少なくとも一部が沿って設けられている。
【0070】
上記の構成によれば、本実施の形態の圧力センサパッケージ1A・1Bでは、圧力導入孔29はリッド30に設けられているのではなく、パッケージ本体20に設けられている。このため、圧力センサ10の上に圧力導入孔29が存在するということがなくなる。
【0071】
この結果、圧力センサ10に光が照射され、圧力センサ10の特性が低下するということがない。
【0072】
また、圧力センサパッケージ1A・1Bをシート状で作製し、組立後に個片化する場合においても、圧力センサ10の上に圧力導入孔29が存在するときには、圧力導入孔29から水、切削屑等の異物が混入し易い。しかし、本実施の形態では、圧力導入孔29はパッケージ本体20に設けられているので、圧力導入孔29から水、切削屑等の異物が混入する可能性は小さい。このため、圧力センサ10に異物が混入することによる圧力センサ10における特性の低下も生じない。
【0073】
さらに、本実施の形態では、パッケージ本体20は、樹脂からなっている。すなわち、この種の圧力センサパッケージでは、従来では、パッケージ本体は薄くても硬いセラミックが使用されることが多かった。このため、圧力センサパッケージが高価になると共に、パッケージ本体20の加工も複雑になり加工が難しかった。
【0074】
この点、本実施の形態では、パッケージ本体20を樹脂にて形成しているので、安価である。また、射出成形等により容易に複雑な加工を行うことができる。
【0075】
この結果、安価で生産性の高い圧力センサパッケージ1A・1B・1Cを提供することができる。
【0076】
したがって、圧力導入孔29から光の照射又は異物の混入を防止し、延いては圧力センサ10の特性の低下を防止し得る圧力センサパッケージ1A・1Bを提供することができる。
【0077】
また、本実施の形態の圧力センサパッケージ1A・1Bでは、圧力導入孔29は、パッケージ本体20の外底面20aに形成されており、パッケージ本体20の外底面20aに形成された金属配線パターンである貫通ビア配線26に平行に設けられている。すなわち、本実施の形態では、圧力導入孔29は、パッケージ本体20の外底面20aに穿設され、かつダイアフラム11の上方の空間21に連通する貫通孔からなっている。
【0078】
したがって、確実に、圧力導入孔29から光の照射又は異物の混入を防止し、延いては圧力センサ10の特性の低下を防止し得る圧力センサパッケージ1A・1Bを提供することができる。
【0079】
尚、この種の圧力センサパッケージ1A・1Bにおいては、圧力センサ10からの取り出し配線は、通常、パッケージ本体20の外底面20aに形成された貫通ビア配線26によって行われる。したがって、貫通ビア配線26のための貫通孔を形成する工程において、圧力導入孔29のための貫通孔を形成すればよいので、圧力導入孔29のための貫通孔を穿設する工程を別途に設けるという手間は発生しない。この結果、圧力導入孔29は、パッケージ本体20の外底面20aに形成されており、パッケージ本体20の外底面20aに形成された金属配線パターンである貫通ビア配線26に平行に設けられていることになる。
【0080】
また、圧力導入孔29をパッケージ本体20の外底面20aに形成した圧力センサパッケージ1A・1Bにおいては、圧力センサパッケージ1A・1Bをシート状で作製し、組立後に個片化するときに、一般的に、パッケージ本体20の外底面20aに延伸テープを貼着して個片化する。したがって、この延伸テープによって、圧力導入孔29が塞がれるので、水、切削屑等の異物の混入を確実に防止することができる。
【0081】
また、本実施の形態の圧力センサパッケージ1A・1Bでは、圧力導入孔29の空間21への開口位置は、圧力センサ10を実装したパッケージ本体20の狭深凹部底23aよりも高く、かつリッド30とパッケージ本体20との接触面の位置よりも低い。
【0082】
すなわち、圧力センサ10を実装したパッケージ本体20の狭深凹部底23aでは、通常、ダイボンディング樹脂24等の接着剤にて、圧力センサ10が狭深凹部底23aに接着される。このとき、圧力導入孔29の空間21への開口位置が、狭深凹部底23aよりも同じか又は低い場合には、ダイボンディング樹脂24が圧力導入孔29の空間21への開口位置に流れ込んで、圧力導入孔29が閉塞される虞がある。
【0083】
この点、本実施の形態では、圧力導入孔29の空間21への開口位置は、圧力センサ10を実装したパッケージ本体20の狭深凹部底23aよりも高いので、圧力導入孔29がダイボンディング樹脂24によって閉塞されることはない。
【0084】
また、圧力導入孔29の空間21への開口位置は、リッド30とパッケージ本体20との接触面の位置よりも低いので、圧力導入孔29がリッド30で閉塞されることもない。
【0085】
尚、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変更が可能である。例えば、上記実施の形態では、圧力センサ10からの電気信号の取り出しは、貫通ビア配線26を介したものとなっていた。しかしながら、必ずしもこれに限定されず、例えば、パッケージ本体20の外側壁面を介して外底面20aに延びる金属配線パターンを有する圧力センサパッケージ1Cとすることも可能である。
【0086】
このような圧力センサパッケージ1Cの構成を、図3(a)〜(e)に基づいて説明する。図3(a)は本実施の形態の圧力センサパッケージ1Cの構成を示す平面図であり、図3(b)は図3(a)のA−A’線断面図であり、図3(c)は図3(a)のB−B’線断面図であり、図3(d)は図3(a)のC−C’線断面図であり、図3(e)は図3(a)のD−D’線断面図である。
【0087】
上記圧力センサパッケージ1Cは、図3(a)〜(e)に示すように、パッケージ本体20には、圧力センサ10に接続されたワイヤ15に接続された金属配線パターンとしての壁面露出金属配線パターン50が、パッケージ本体20の内部から外側壁面20bを介して外底面20aに延びて設けられている。すなわち、壁面露出金属配線パターン50は、浅広凹部22の浅広凹部底22aに設けられたワイヤボンディングパッド部51、浅広凹部22の傾斜立ち上がり面22bに沿って立ち上がる傾斜立ち上がり部52、外側壁面20bに沿う外側壁面部53、外底面20aに沿う外底面部54からなっている。尚、壁面露出金属配線パターン50において傾斜立ち上がり部52を設けているのは、リッド30との接触を回避するためである。また、リッド30と壁面露出金属配線パターン50との接触を避けるために、図3(d)に示すように、パッケージ本体20の上面には、隙間20cが形成されている。
【0088】
ここで、本実施の形態では、リッド30の裏面に絶縁膜31が設けられていることが好ましい。これにより、リッド30と壁面露出金属配線パターン50等との短絡を防止することができる。
【0089】
このように、本実施の形態の圧力センサパッケージ1Cでは、パッケージ本体20には、圧力センサ10に接続された壁面露出金属配線パターン50が、パッケージ本体20の内部から外側壁面20bを介して外底面20aに延びて設けられており、圧力導入孔29は、外側壁面に延びる壁面露出金属配線パターン50と平行になっているとすることができる。
【0090】
これにより、貫通ビア配線26を設けることなく、圧力センサ10からの信号線等の配線を取り出すことができる。また、従来の圧力センサパッケージでは、蓋体に貫通穴を設けているので、穴を開けるための追加工が必要になる。一方、本実施の形態では、リッド30に貫通穴を形成する必要がなくなるので、その点で、作製工数を削減することができる。尚、本実施の形態において、パッケージ本体20の側面に圧力導入孔29を形成するには、射出成形により行うことができる。
【0091】
また、本実施の形態の圧力センサパッケージ1Cでは、リッド30の裏面には、絶縁膜31が設けられている。これにより、金属からなるリッド30が、圧力センサ10、ワイヤ15又は壁面露出金属配線パターン50と短絡するのを防止することができる。
【0092】
また、本実施の形態の圧力センサパッケージ1A・1B・1Cでは、パッケージ本体20には、リッド30との接触部分の一部に、該リッド30を接地させるための接地線40が形成されていることが好ましい。これにより、リッド30に溜まった電荷を、接地線40を介して接地することができる。
【0093】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について図4〜図6に基づいて説明すれば、以下のとおりである。尚、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0094】
前記実施の形態1の圧力センサパッケージ1A・1B・1Cは、圧力導入孔29が、パッケージ本体20の底面に形成されているものであった。
【0095】
これに対して、本実施の形態の圧力センサパッケージ2A・2B・2Cは、圧力導入孔29が、パッケージ本体20の側面に形成されている点が異なっている。
【0096】
本実施の形態の圧力センサパッケージ2Aの構成について、図4(a)〜(e)に基づいて説明する。図4(a)は本実施の形態の圧力センサパッケージ2Aの構成を示す平面図であり、図4(b)は図4(a)のA−A’線断面図であり、図4(c)は図4(a)のB−B’線断面図であり、図4(d)は図4(a)のC−C’線断面図であり、図4(e)は図4(a)のD−D’線断面図である。
【0097】
本実施の形態の圧力センサパッケージ2Aの構成は、圧力導入孔29が、パッケージ本体20の側面に形成されている点以外は、前記圧力センサパッケージ1Aの構成と同じである。
【0098】
すなわち、圧力センサパッケージ2Aは、図4(a)〜(e)に示すように、圧力センサ10を実装した例えば矩形の箱状のパッケージ本体20と、キャビティ12の上側に空間21を確保した状態でパッケージ本体20の開口部分を覆う蓋体としてのリッド30とを備えている。
【0099】
上記の圧力センサ10は、絶対圧力センサであり、ダイアフラム11の周縁に複数の圧力感応抵抗素子としての図示しないピエゾ抵抗を形成し、該ピエゾ抵抗の形成面とは反対側の面に例えば円筒形状の真空状態の空間部からなるキャビティ12を形成した半導体センサ基板13を有している。
【0100】
上記箱状のパッケージ本体20は、樹脂にて射出成形にて形成されており、2段の凹部を有してなっている。すなわち、パッケージ本体20は、浅広凹部22と、該浅広凹部22の内側に形成された狭深凹部23とからなっており、浅広凹部22及び狭深凹部23のいずれも水平断面が方形となっている。
【0101】
そして、前述した圧力センサ10が、パッケージ本体20の狭深凹部23における狭深凹部底23aにダイボンディング樹脂24にて接着されて実装されている。本実施の形態では、圧力センサ10におけるダイアフラム11の上面の位置は、浅広凹部22の浅広凹部底22aよりも高い位置となっている。そして、圧力センサ10のダイアフラム11の周囲には、複数のパッド14が形成されており、このパッド14には例えば金(Au)からなるワイヤ15が接続されている。
【0102】
ワイヤ15の他端は、パッケージ本体20における浅広凹部22の浅広凹部底22aに形成されたワイヤボンディングパッド25に接続されている。そして、ワイヤボンディングパッド25は、パッケージ本体20における浅広凹部22の浅広凹部底22aに形成された貫通ビア配線26、及びパッケージ本体20の裏面である外底面20aに形成された外部接続端子27に接続されている。
【0103】
この結果、圧力センサ10の前記ピエゾ抵抗からの電気信号がワイヤ15、ワイヤボンディングパッド25、貫通ビア配線26及び外部接続端子27を介して図示しない外部装置に電気的に接続されるようになっている。
【0104】
上記リッド30は、例えば金属板からなっており、パッケージ本体20の開口部分を覆っている。リッド30は、本実施の形態では、パッケージ本体20における方形の浅広凹部22の4隅において浅広凹部底22aから立ち上がる台座28に載置された状態で接着されている。
【0105】
尚、本実施の形態の圧力センサパッケージ2Aにおいても、前記実施の形態1の圧力センサパッケージ1Bにおいて、図2(a)〜(d)に示したように、リッド30に貫通配線としての接地線40を設けた圧力センサパッケージとすることが可能である。すなわち、リッド30を接地する場合には、例えば、リッド30が接触している台座28にアース貫通孔41を形成し、このアース貫通孔41に接地線40を設ける。そして、パッケージ本体20の外底面20aには、接地線40に接続される外部接続端子42を設ければよい。これにより、圧力センサ10の電圧変動が大きくなるのを防止することができる。
【0106】
次に、本実施の形態の圧力センサパッケージ2Aでは、圧力導入孔60は、図4(a)及び図4(d)(e)に示すように、パッケージ本体20の側面に形成されている。そして、この圧力導入孔60には、内側から外側に向かって垂下する傾斜面20dが形成されている。これにより、上からの光の入射を遮り、かつ水、切削屑等の異物の混入を防止することができる。また、この傾斜面20dには、撥水処理又は表面粗さ調整しておくことが好ましい。尚、圧力センサパッケージ2Aでは、パッケージ本体20の側面に形成されている圧力導入孔60は、直線的な孔となっているが、必ずしもこれに限らず、例えば、迷路状等の曲線孔となっていてもよい。これにより、水、切削屑等の異物の混入をさらに防止することができる。
【0107】
このように、本実施の形態の圧力センサパッケージ2Aでは、圧力導入孔60はパッケージ本体20の側面に形成されているので、圧力センサ10の上に圧力導入孔が存在するということがなくなる。この結果、圧力センサ10に光が照射され、圧力センサ10の特性が低下するということがない。
【0108】
また、圧力センサパッケージ2Aをシート状で作製し、組立後に個片化する場合においても、圧力センサ10の上に圧力導入孔が存在するときには、圧力導入孔から水、切削屑等の異物が混入し易い。しかし、本実施の形態では、圧力導入孔60はパッケージ本体20の側面に設けられているので、圧力導入孔60から水、切削屑等の異物が混入する可能性は小さい。このため、圧力センサ10に異物が混入することによる圧力センサ10における特性の低下も生じない。
【0109】
また、本実施の形態の圧力センサパッケージ2Aでは、パッケージ本体20の側面に形成された圧力導入孔60には、内側から外側に向かって垂下する傾斜面20dが形成されている。これにより、圧力導入孔60から水、切削屑等の異物が混入し難い構成となっている。
【0110】
このため、圧力導入孔60から水、切削屑等の異物が混入するのを防止することができ、延いては圧力センサ10の特性の低下を防止することができる。
【0111】
また、本実施の形態の圧力センサパッケージ2Aでは、パッケージ本体20の側面に形成された圧力導入孔60は、撥水処理又は表面粗さ調整されていることが好ましい。
【0112】
これにより、圧力導入孔60が撥水処理されている場合には、水の浸入を防止することができる。また、圧力導入孔60が表面粗さ調整されている場合には、切削屑等の異物の混入を防止することができる。
【0113】
また、本実施の形態の圧力センサパッケージ2Aでは、パッケージ本体20には、リッド30との接触部分の一部に、該リッド30を接地させるための貫通ビア配線26が形成されていることが好ましい。これにより、リッド30に溜まった電荷を、貫通ビア配線26を介して接地することができる。
【0114】
尚、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0115】
例えば、図5(a)(b)(c)(d)に示すように、圧力導入孔60には、空気を通過させる共に水に対しては不通過とする通気樹脂61が充填された圧力センサパッケージ2Bとすることができる。
【0116】
これにより、圧力導入孔60は通気樹脂61にて塞がれていることになる。しかしながら、圧力導入孔60に充填された通気樹脂61は空気を通過させるので、圧力導入孔60においては外気と、圧力センサパッケージ2Bの内部におけるキャビティ12の上側に設けられたダイアフラム11の上方の空間21との連通は確保される。
【0117】
一方、圧力導入孔60に充填された通気樹脂61は、水を通過しないようになっている。したがって、水又は切削屑等の異物の混入を確実に防止することができる。
【0118】
尚、このような通気樹脂61として、例えばシリコーン系樹脂が好ましい。
【0119】
ここで、上記圧力センサパッケージ2A・2Bでは、圧力センサ10からの電気信号の取り出しは、貫通ビア配線26を介したものとなっている。しかしながら、必ずしもこれに限定されず、本実施の形態においても、実施の形態1の圧力センサパッケージ1Cと同様に、パッケージ本体20の外側壁面を介して外底面20aに延びる金属配線パターンを有する圧力センサパッケージ2Cとすることが可能である。
【0120】
このような圧力センサパッケージ2Cの構成を、図6(a)〜(d)に基づいて説明する。図6(a)は本実施の形態の圧力センサパッケージ2Cの構成を示す平面図であり、図6(b)は図6(a)のA−A’線断面図であり、図6(c)は図6(a)のB−B’線断面図であり、図6(d)は図6(a)のC−C’線断面図である。
【0121】
上記圧力センサパッケージ2Cは、図6(a)〜(d)に示すように、パッケージ本体20には、圧力センサ10に接続されたワイヤ15に接続された金属配線パターンとしての壁面露出金属配線パターン50が、パッケージ本体20の内部から外側壁面20bを介して外底面20aに延びて設けられている。すなわち、壁面露出金属配線パターン50は、浅広凹部22の浅広凹部底22aに設けられたワイヤボンディングパッド部51、浅広凹部22の傾斜立ち上がり面22bに沿って立ち上がる傾斜立ち上がり部52、外側壁面20bに沿う外側壁面部53、外底面20aに沿う外底面部54からなっている。尚、壁面露出金属配線パターン50において傾斜立ち上がり部52を設けているのは、リッド30との接触を回避するためである。
【0122】
尚、本実施の形態においても、前記圧力センサパッケージ1Cと同様に、リッド30の裏面に絶縁膜31を設けておくことが好ましい。これにより、リッド30と壁面露出金属配線パターン50等との短絡を防止することができる。
【0123】
このように、本実施の形態の圧力センサパッケージ2Cでは、圧力導入孔60は、パッケージ本体20の側面に形成されていると共に、パッケージ本体20には、圧力センサ10に接続された壁面露出金属配線パターン50が、パッケージ本体20の内部から圧力導入孔60を通り、外側壁面20bを介して外底面20aに延びて設けられている。
【0124】
これにより、圧力導入孔60はパッケージ本体20の側面に形成されているので、圧力センサ10の上に圧力導入孔が存在するということがなくなる。この結果、圧力センサ10に光が照射され、圧力センサ10の特性が低下するということがない。
【0125】
また、圧力センサパッケージ2Cをシート状で作製し、組立後に個片化する場合においても、圧力センサ10の上に圧力導入孔が存在するときには、圧力導入孔から水、切削屑等の異物が混入し易い。しかし、本実施の形態では、圧力導入孔60はパッケージ本体20の側面に設けられているので、圧力導入孔60から水、切削屑等の異物が混入する可能性は小さい。このため、圧力センサ10に異物が混入することによる圧力センサ10における特性の低下も生じない。
【0126】
また、本実施の形態では、パッケージ本体20には、圧力センサ10に接続された壁面露出金属配線パターン50が、パッケージ本体20の内部から圧力導入孔60を通り、外側壁面20bを介して外底面20aに延びて設けられている。このため、貫通ビア配線26を設けることなく、圧力センサ10からの信号線等の配線を取り出すことができる。このため、貫通ビア配線26を設けることなく、圧力センサ10からの信号線等の配線を取り出すことができる。また、従来の圧力センサパッケージでは、蓋体に貫通穴を設けているので、穴を開けるための追加工が必要になる。一方、本実施の形態では、リッド30に貫通穴を形成する必要がなくなるので、その点で、作製工数を削減することができる。尚、本実施の形態において、パッケージ本体20の側面に圧力導入孔60を形成するには、射出成形により行うことができる。
【0127】
さらに、本実施の形態では、パッケージ本体20の側面に設けた圧力導入孔60を利用して、パッケージ本体20の内部から圧力導入孔60を通り、外側壁面20bを介して外底面20aに延びて設けられた壁面露出金属配線パターン50を通すために、パッケージ本体20の側面に設けた圧力導入孔60を利用している。したがって、圧力導入孔60を別途に設ける必要性がないものとなっている。
【0128】
また、本実施の形態の圧力センサパッケージ2A・2B・2Cでは、リッド30の裏面に絶縁膜31が設けられていることが好ましい。これにより、リッド30と壁面露出金属配線パターン50等との短絡を防止することができる。
【0129】
また、本実施の形態の圧力センサパッケージ2A・2B・2Cでは、パッケージ本体20には、リッド30との接触部分の一部に、該リッド30を接地させるための接地線40が形成されていることが好ましい。これにより、リッド30に溜まった電荷を、接地線40を介して接地することができる。
【0130】
また、本実施の形態の圧力センサパッケージ2A・2B・2Cでは、パッケージ本体20は、樹脂からなっている。
【0131】
すなわち、この種の圧力センサパッケージ2A・2B・2Cでは、従来では、パッケージ本体は薄くても硬いセラミックが使用されることが多かった。このため、圧力センサパッケージが高価になると共に、パッケージ本体の加工も複雑になり加工が難しかった。
【0132】
この点、本実施の形態では、パッケージ本体20を樹脂にて形成しているので、安価である。また、射出成形等により容易に複雑な加工を行うことができる。したがって、安価で生産性の高い圧力センサパッケージ2A・2B・2Cを提供することができる。
【0133】
例えば、前述したように、パッケージ本体20の側面に形成されている圧力導入孔60を例えば迷路状等の曲線孔とすることが可能であるが、従来のセラミックではこのような加工は複雑になり困難であるが、樹脂であれば、そのような加工も容易である。
【0134】
尚、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0135】
本発明の圧力センサパッケージは、ダイアフラム型の圧力センサを実装した圧力センサパッケージであり、絶対圧力センサ及び差圧(相対圧)圧力センサの両方に適用できる。また、本発明の圧力センサパッケージの適用分野としては、気圧計、水圧計等の圧力計及びそれを利用した高度計等が考えられる。
【符号の説明】
【0136】
1A・1B・1C 圧力センサパッケージ
2A・2B・2C 圧力センサパッケージ
10 圧力センサ
11 ダイアフラム
12 キャビティ
14 パッド
15 ワイヤ
20 パッケージ本体
20a 外底面(底面)
20b 外側壁面
20c 隙間
20d 傾斜面
21 空間
22 浅広凹部
22a 浅広凹部底
23 狭深凹部
23a 狭深凹部底(圧力センサ実装床)
24 ダイボンディング樹脂(接着剤)
25 ワイヤボンディングパッド(金属配線パターン)
26 貫通ビア配線(貫通電極配線、金属配線パターン)
27 外部接続端子(金属配線パターン)
28 台座
29 圧力導入孔
30 リッド(蓋体)
40 接地線(貫通配線)
41 アース貫通孔
42 外部接続端子
50 壁面露出金属配線パターン(金属配線パターン)
51 ワイヤボンディングパッド部
52 傾斜立ち上がり部
53 外側壁面部
54 外底面部
60 圧力導入孔
61 通気樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力センサを実装した箱状のパッケージ本体と、該圧力センサのダイアフラムの上方に空間を確保した状態で上記パッケージ本体を覆う蓋体とを備えた圧力センサパッケージにおいて、
上記パッケージ本体は、樹脂からなっており、
上記パッケージ本体には、外部から上記空間に連通する圧力導入孔が形成されていると共に、
上記圧力導入孔は、圧力センサに接続されて上記パッケージ本体の外側まで延びる金属配線パターンに少なくとも一部が沿って設けられていることを特徴とする圧力センサパッケージ。
【請求項2】
前記圧力導入孔は、前記パッケージ本体の底面に形成されており、上記パッケージ本体の底面に形成された前記金属配線パターンである貫通電極配線に平行に設けられていることを特徴とする請求項1記載の圧力センサパッケージ。
【請求項3】
前記圧力導入孔の前記空間への開口位置は、前記圧力センサを実装したパッケージ本体の圧力センサ実装床よりも高く、かつ前記蓋体とパッケージ本体との接触面の位置よりも低いことを特徴とする請求項2記載の圧力センサパッケージ。
【請求項4】
前記パッケージ本体には、圧力センサに接続された金属配線パターンが、パッケージ本体内部から外側壁面を介して外底面に延びて設けられており、
前記圧力導入孔は、上記外側壁面に延びる金属配線パターンと平行になっていることを特徴とする請求項1記載の圧力センサパッケージ。
【請求項5】
前記圧力導入孔は、パッケージ本体の側面に形成されていると共に、
上記パッケージ本体には、圧力センサに接続された金属配線パターンが、パッケージ本体内部から上記圧力導入孔を通り、外側壁面を介して外底面に延びて設けられていることを特徴とする請求項1記載の圧力センサパッケージ。
【請求項6】
前記圧力導入孔は、パッケージ本体の側面に形成されていると共に、
前記パッケージ本体の側面に形成された圧力導入孔には、内側から外側に向かって下がる傾斜面が形成されていることを特徴とする請求項1記載の圧力センサパッケージ。
【請求項7】
前記圧力導入孔は、パッケージ本体の側面に形成されていると共に、
前記パッケージ本体の側面に形成された圧力導入孔は、撥水処理され又は表面粗さ調整されていることを特徴とする請求項1記載の圧力センサパッケージ。
【請求項8】
前記圧力導入孔には、空気を通過させる共に水に対しては不通過とする通気樹脂が充填されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の圧力センサパッケージ。
【請求項9】
前記蓋体の裏面には、絶縁膜が設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の圧力センサパッケージ。
【請求項10】
前記パッケージ本体には、上記蓋体との接触部分の一部に、該蓋体を接地させるための貫通配線が形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の圧力センサパッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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