圧力センサ
【課題】ゲージ抵抗25a〜25d、35a〜35dがそれぞれ形成されている第1、第2センサ部20、30を備えた圧力センサにおいて、従来の圧力センサより圧力の検出精度を向上させることができる圧力センサを提供する。
【解決手段】第1、第2センサ部20、30を同一形状にすると共に正方板状とし、同一形状とした第1、第2凹部12、13にそれぞれシール部材50が滴下される第1、第2滴下領域12a、13aを備える。そして、第1滴下領域12aに対する第1センサ部20におけるゲージ抵抗25a〜25dの配置と、第2滴下領域13aに対する第2センサ部30におけるゲージ抵抗35a〜35dの配置とを同一にする。
【解決手段】第1、第2センサ部20、30を同一形状にすると共に正方板状とし、同一形状とした第1、第2凹部12、13にそれぞれシール部材50が滴下される第1、第2滴下領域12a、13aを備える。そして、第1滴下領域12aに対する第1センサ部20におけるゲージ抵抗25a〜25dの配置と、第2滴下領域13aに対する第2センサ部30におけるゲージ抵抗35a〜35dの配置とを同一にする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力に応じて電気的信号を出力する第1、第2センサ部をケースに備え、第1センサ部で検出された圧力と第2センサ部で検出された圧力との差圧を検出する圧力センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、圧力を検出する第1、第2センサ部および第1、第2センサ部から出力された信号を演算する回路チップ等をケースに収納してなる圧力センサが知られている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、このような圧力センサでは、板状のケースの一面に同一形状の第1、第2凹部が備えられており、一面と反対側の他面に第1、第2凹部にそれぞれ達し、ケースの厚さ方向に貫通するように同一形状の第1、第2圧力導入孔が形成されている。また、第1、第2凹部には、それぞれ圧力検出用の第1、第2センサ部が配設されており、これにより、第1、第2センサ部のうち圧力導入孔側と当該圧力導入孔と反対側が区画されている。
【0003】
これら第1、第2センサ部は、正方板状とされており、それぞれ中心部分にダイヤフラムを有すると共に、外縁部分にパッド部を備えている。そして、第1、第2センサ部は、製造工程を簡略化するために同一の部材を用いて構成されており、互いに同一形状とされている。また、各ダイヤフラムにはブリッジ回路を構成するように形成された四個のゲージ抵抗がそれぞれ備えられている。なお、各ゲージ抵抗は、一方向と平行になる方向を長手方向とし、複数回折り返された線により構成されるパターンとされている。
【0004】
上記のような圧力センサでは、第1凹部、第1圧力導入孔および第1センサ部の配置(平面レイアウト)と、第2凹部、第2圧力導入孔および第2センサ部の配置(平面レイアウト)とを同一にすることにより、第1凹部および第1圧力導入孔に起因して第1センサ部に印加される応力と、第2凹部および第2圧力導入孔に起因して第2センサ部に印加される応力とが同じになるようにしている。
【0005】
このような圧力センサでは、第1、第2センサ部から検出された圧力に基づく信号が回路チップに出力され、回路チップにて、第1センサ部にて検出された圧力と第2センサ部にて検出された圧力との差圧が演算される。このとき、第1、第2センサ部から出力される信号には、それぞれ第1、第2凹部および第1、第2圧力導入孔に起因する応力を含んだ信号が出力されるが、第1凹部、第1圧力導入孔および第1センサ部の配置(平面レイアウト)と、第2凹部、第2圧力導入孔および第2センサ部の配置(平面レイアウト)とを同一にすることにより、回路チップにて第1、第2センサ部が検出した圧力の差を演算したときに、第1、第2センサ部に印加される応力を検出結果から除去できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−8762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような圧力センサにおいて、本発明者らは、第1、第2センサ部と、第1、第2凹部の底面との間の隙間を封止するようにシール部材を配置し、第1、第2圧力導入孔から第1、第2凹部に測定媒体が侵入することを防止することを考えた。しかしながら、シール部材は、第1、第2凹部にそれぞれ第1、第2センサ部を配設した後、第1、第2凹部に滴下されることにより第1、第2センサ部の周囲に配置される。このとき、シール部材は、滴下された領域から凝固しつつ、濡れ拡がることにより第1、第2センサ部の周囲に配置される。したがって、シール部材を第1、第2センサ部の周囲に均等に配置することは困難である。具体的には、第1、第2センサ部のうち、シール部材が滴下される領域に最も近い部分では、シール部材が滴下される領域に最も遠い部分よりもシール部材が多く配置されることになる。
【0008】
この場合、第1凹部、第1圧力導入孔および第1センサ部の配置と、第2凹部、第2圧力導入孔および第2センサ部の配置とが同一であっても、第1センサ部の周囲に配置されるシール部材の形状と、第2センサ部の周囲に配置されるシール部材の形状とが異なるときには、第1センサ部に形成されたゲージ抵抗と、これらの各ゲージ抵抗に対応する第2センサ部に形成された各ゲージ抵抗とに対してそれぞれシール部材から異なる応力が印加されることになるという問題がある。例えば、第1センサ部に形成されたゲージ抵抗のうちの一つのゲージ抵抗と、当該ゲージ抵抗に対応する第2センサ部に形成されたゲージ抵抗にはそれぞれシール部材から異なる応力が印加されることになる。
【0009】
また、第1凹部、第1圧力導入孔および第1センサ部の配置と、第2凹部、第2圧力導入孔および第2センサ部の配置とが同一であり、第1センサ部の周囲に配置されるシール部材の形状と、第2センサ部の周囲に配置されるシール部材の形状とが同じ場合であっても、第1凹部に対する第1センサ部に形成されたゲージ抵抗の配置と、第2凹部に対する第2センサ部に形成されたゲージ抵抗の配置とが異なる場合がある。例えば、第1、第2センサ部および回路チップをL字状に配置する、すなわち回路チップに対して一方向に第1センサ部を配置し、該一方向と垂直方向に第2センサ部を配置する場合には、第1、第2センサ部は、それぞれパッド部に最も近い一辺が回路チップ側に向けて配置されるため、第1センサ部と第2センサ部とは互いに90度回転した状態で配置される。図16は、第1、第2センサ部および回路チップをL字状にケースに配置した際の上面図である。
【0010】
図16に示されるように、第1、第2センサ部J20、J30および回路チップJ40をL字状に配置した場合には、第1センサ部J20と第2センサ部J30とは正方板状とされているので、第1凹部J12および第1センサ部J20の配置と、第2凹部J13および第2センサ部J20の配置とは同一になるが、第1凹部J12に対する第1センサ部J20に形成された各ゲージ抵抗J25a〜J25dの配置と、第2凹部J13に対する第2センサ部J30に形成された各ゲージ抵抗J35a〜J35dの配置とが異なることになる。具体的には、第1センサ部J20に形成されている各ゲージ抵抗J25a〜25dの長手方向と、第2センサ部J30に形成されている各ゲージ抵抗J35a〜J35dの長手方向とが平行にならなくなる。この場合、第1凹部J12に対するシール部材J50を滴下する滴下領域の配置と、第2凹部J13に対するシール部材J50を滴下する滴下領域の配置とを同一にした場合には、第1センサ部J20の周囲に配置されるシール部材J50の形状と、第2センサ部J30の周囲に配置されるシール部材J50の形状とを同一にすることはできる。しかしながら、第1センサ部J20に形成されたゲージ抵抗J25a〜J25dのうち、例えば、一つのゲージ抵抗J25aとシール部材J50の配置と、第2センサ部J30に形成されたゲージ抵抗J35a〜J35dのうち、第1センサ部J20のゲージ抵抗J25aに対応するゲージ抵抗J35aとシール部材J50の配置とが異なることになり、各ゲージ抵抗J25a、J35aにはそれぞれシール部材J50から異なる応力が印加されることになる。
【0011】
そして、回路チップでは、第1センサ部にて検出された圧力と第2センサ部にて検出された圧力の差を算出しているが、第1、第2センサ部に印加されるシール部材からの応力が除去されずに応力の一部が演算結果に残り、圧力センサの検出結果に誤差が生じるという問題がある。
【0012】
本発明は上記点に鑑みて、ゲージ抵抗がそれぞれ形成されている第1、第2センサ部を備えた圧力センサにおいて、従来の圧力センサより圧力の検出精度を向上させることができる圧力センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、第1、第2センサ部(20、30)を同一形状にすると共に、正方板状とし、第1凹部(12)にシール部材(50)が滴下される第1滴下領域(12a)を備えると共に、第2凹部(13)にシール部材(50)が滴下される第2滴下領域(13a)を備え、第1凹部(12)と第2凹部(13)とを同一形状とし、第1滴下領域(12a)に対する第1センサ部(20)に形成されているゲージ抵抗(25a〜25d)の配置と第2滴下領域(13a)に対する第2センサ部(30)に形成されているゲージ抵抗(35a〜35d)の配置とを同一としていることを特徴としている。
【0014】
このような圧力センサでは、第1、第2センサ部(20、30)は同一形状の正方板状とされ、第1、第2凹部(12、13)にはそれぞれ第1、第2滴下領域(12a、13a)が備えられており、第1、第2センサ部(20、30)は、第1滴下領域(12a)に対する第1センサ部(20)のゲージ抵抗(25a〜25d)の配置と、第2滴下領域(13a)に対する第2センサ部(30)のゲージ抵抗(35a〜35d)の配置とが同一となるように、それぞれ第1、第2凹部(12、13)に配設されている。
【0015】
したがって、第1、第2滴下領域(12a、13a)に対してシール部材(50)を滴下することにより、第1凹部(12)において第1センサ部(20)の周囲に配置されるシール部材(50)の形状と、第2凹部(13)において第2センサ部(30)の周囲に配置されるシール部材(50)の形状とを同じにすることができる。このため、第1センサ部(20)の各ゲージ抵抗(25a〜25d)と、これらのゲージ抵抗(25a〜25d)に対応する第2センサ部(30)の各ゲージ抵抗(35a〜35d)とに対してそれぞれシール部材(50)から印加される応力を同じにすることができる。すなわち、回路チップ(40)で第1、第2センサ部(20、30)が検出した圧力の差を演算した際に、第1、第2センサ部(20、30)の各ゲージ抵抗(25a〜25d、35a〜35d)に印加されるシール部材(50)からの応力を検出結果から除去することができ、高精度に差圧を検出することができる。
【0016】
例えば、請求項2に記載の発明のように、第1滴下領域(12a)に対する第1センサ部(20)に形成されているゲージ抵抗(25a〜25d)のパターンと、第2滴下領域(13a)に対する第2センサ部(30)に形成されているゲージ抵抗(35a〜35d)のパターンとを同一とすることができる。
【0017】
また、請求項3に記載の発明のように、第1、第2センサ部(20、30)それぞれに形成されているゲージ抵抗(25a〜25d、35a〜35d)を、一方向と平行になる方向を長手方向とし、複数回折り返された線により構成されるパターンとすることができる。
【0018】
さらに、請求項4に記載の発明のように、第1、第2凹部(12、13)の開口部を矩形状とし、第1滴下領域(12a)を第1凹部(12)の矩形状を構成する隣り合う二辺が交差する角部に備え、第2滴下領域(13a)を第2凹部(13)の矩形状を構成する隣り合う二辺が交差する角部に備え、第1凹部(12)の矩形状を構成する隣り合う二辺が交差する角部のうち、第1滴下領域(12a)を備える角部と対角に位置する角部および第1滴下領域(12a)を備える角部と隣り合う角部の三つの角部のうち少なくとも一つの角部を面取りし、第2凹部(13)の矩形状を構成する隣り合う二辺が交差する角部のうち、第2滴下領域(13a)を備える角部と対角に位置する角部および第2滴下領域(13a)を備える角部と隣り合う角部の三つの角部のうち少なくとも一つの角部を面取りすることができる。
【0019】
このような圧力センサでは、第1、第2凹部(12、13)のうち、第1滴下領域(12a)を備える角部と対角に位置する角部および第1滴下領域(12a)を備える角部と隣り合う角部の三つの角部のうち少なくとも一つの角部を面取りしている。したがって、第1、第2凹部(12、13)のうち第1、第2滴下領域(12a、13a)から離れた部分にもシール部材(50)を配置しやすくなる。すなわち、シール部材(50)は、凝固しつつ、濡れ広がることにより第1、第2センサ部(20、30)の周囲に配置されるが、面取りされた領域ではシール部材(50)の流入面積が小さくなることにより流入速度が速くなる。つまり、第1、第2凹部(12、13)のうち第1、第2滴下領域(12a、13a)から離れた部分にシール部材(50)が流入する時間を短くすることができ、当該部分にシール部材(50)を凝固する前に流入しやすくなる。
【0020】
したがって、このような圧力センサでは、第1、第2凹部(12、13)における角部を面取りしていない圧力センサと比較して、第1、第2センサ部(20、30)の周囲にシール部材(50)を均等に配置しやすくすることができ、第1、第2センサ部(20、30)の各ゲージ抵抗(25a〜25d、35a〜35d)に印加される応力を均等にすることができる。
【0021】
また、請求項5に記載の発明のように、第1凹部(12)に第1滴下領域(12a)を二つ備えると共に、第2凹部(13)に第2滴下領域(13a)を二つ備え、一方の第1滴下領域(12a)を隣り合う二辺が交差する角部に備えると共に、他方の第1滴下領域(12a)を当該角部と対角に位置する角部に備え、一方の第2滴下領域(13a)を隣り合う二辺が交差する角部に備えると共に、他方の第2滴下領域(13a)を当該角部と対角に位置する角部に備え、第1凹部(12)における二つの第1滴下領域(12a)が備えられる角部と異なる二つの角部の少なくとも一方を面取りし、第2凹部(13)における二つの第2滴下領域(13a)が備えられる角部と異なる二つの角部の少なくとも一方を面取りすることができる。
【0022】
さらに、請求項6に記載の発明のように、一方の第1滴下領域(12a)を、第1凹部(12)における第1辺から第1凹部(12)側と反対側に突出させると共に、第1辺と、第1辺と隣り合う第2辺とが交差する角部と終端を一致させ、他方の第1滴下領域(12a)を、第2辺と相対する第3辺から第1凹部(12)側と反対側に突出させると共に、第3辺と、第3辺と隣り合い、かつ第1辺と相対する第4辺とが交差する角部と終端を一致させ、第2滴下領域(13a)を、第2凹部(13)における第1辺から第1凹部(12)側と反対側に突出させると共に、第1辺と、第1辺と隣り合う第2辺とが交差する角部と終端を一致させ、他方の第2滴下領域(13a)を、第2辺と相対する第3辺から第1凹部(12)側と反対側に突出させると共に、第3辺と、第3辺と隣り合い、かつ第1辺と相対する第4辺とが交差する角部と終端を一致させ、第1凹部(12)のうち第2辺と第4辺とが交差する角部を面取し、第2凹部(13)のうち第2辺と第4辺とが交差する角部を面取りすることができる。
【0023】
また、請求項7に記載の発明のように、第1凹部(12)に第1滴下領域(12a)を一つ備えると共に、第2凹部(13)に第2滴下領域(13a)を一つ備え、第1凹部(12)のうち第1滴下領域(12a)が備えられる角部と対角に位置する角部を面取りすると共に、第2凹部(13)のうち第2滴下領域(13a)が備えられる角部と対角に位置する角部を面取りすることができる。
【0024】
さらに、請求項8に記載の発明のように、第1滴下領域(12a)を、第1凹部(12)における第1辺から第1凹部(12)側と反対側に突出させると共に、第1辺と、第1辺と隣り合う第2辺とが交差する角部と終端を一致させ、第2滴下領域(13a)を、第2凹部(13)における第1辺から第1凹部(12)側と反対側に突出させると共に、第1辺と、第1辺と隣り合う第2辺とが交差する角部と終端を一致させ、第1凹部(12)のうち第1凹部(12)における第2辺と相対する第3辺と第1辺と相対する第4辺とが交差する角部を面取りし、第2凹部(13)のうち第2辺と相対する第3辺と第1辺と相対する第4辺とが交差する角部を面取りすることができる。
【0025】
さらに、請求項9に記載の発明のように、第1、第2センサ部(20、30)に、それぞれダイヤフラム(23、33)の外縁部であって、ゲージ抵抗(25a〜25d、35a〜35d)と回路チップ(40)との間に、第1、第2パッド部(26、36)を備えることもできる。
【0026】
このような圧力センサによれば、第1、第2センサ部(20、30)には、各ゲージ抵抗(25a〜25d、35a〜35d)と回路チップ(40)との間にパッド部(26、36)を備えているため、第1、第2センサ部(20、30)を異なる部材を用いて構成することができる。
【0027】
また、請求項10に記載の発明のように、第1センサ部(20)を回路チップ(40)に対して第一方向側に配置し、第2センサ部(30)を回路チップ(40)に対してこの第1方向と垂直になる第2方向側に配置することができる。
【0028】
このような圧力センサによれば、第1、第2センサ部(20)を回路チップ(40)を挟んで第1方向上に配置する圧力センサと比較して、第1方向側の長さを短くすることができる。
【0029】
さらに、請求項11に記載の発明のように、ケース(10)に第3センサ部(80)を備え、第1、第2、第3センサ部(20、30、80)のうち、ダイヤフラム(23、33、83)を備えている一面を表面とし、該表面と反対側の一面を裏面とし、第1、第2センサ部(20、30)に、それぞれ第1、第2圧力導入孔(14、15)に導入される圧力を裏面側に印加すると共に、表面側に基準圧力を印加し、裏面側に印加される圧力と表面側に印加される基準圧力との差圧を検出させ、第3センサ部(80)に、裏面側に真空圧を印加すると共に、表面側に基準圧力を印加し、裏面側に印加される圧力と表面側に印加される基準圧力との差圧を検出させることもできる。
【0030】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】(a)は本発明の第1実施形態における圧力センサの断面構成を示す図であり、(b)は(a)に示す圧力センサと別断面の断面構成を示す図である。
【図2】図1に示す圧力センサの上面図である。
【図3】図1に示すケースの上面図である。
【図4】図1に示す圧力センサを用いたDPFシステムのブロック図である。
【図5】本発明の第2実施形態における圧力センサの断面構成を示す図である。
【図6】図5に示す圧力センサの上面図である。
【図7】図5に示す圧力センサを用いたDPFシステムのブロック図である。
【図8】本発明の第3実施形態における圧力センサの断面構成を示す図である。
【図9】図8に示す圧力センサの上面図である。
【図10】図8に示す圧力センサを用いたDPFシステムのブロック図である。
【図11】本発明の第4実施形態における圧力センサの上面図である。
【図12】図11に示す圧力センサの断面構成を示す図である。
【図13】他の実施形態におけるセンサチップの上面図である。
【図14】他の実施形態における圧力センサの上面図である。
【図15】他の実施形態における圧力センサの上面図である。
【図16】本発明者らが検討した圧力センサの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について説明する。図1(a)および図1(b)は本実施形態の圧力センサの断面構成を示す図、図2は図1に示す圧力センサの上面図であり、図1(a)は図2中のA−A矢視断面に相当し、図1(b)は図2中のB−B矢視断面に相当している。なお、本実施形態の圧力センサは、例えば、自動車のディーゼルエンジンの排気管に設けられたDPF(ディーゼルパティキュレートフィルタ)の圧力損失を検出するために当該排気管に取り付けられ、当該DPF前後の排気管の差圧、すなわち、DPFの上流側圧力とDPFの下流側圧力との差圧を検出する差圧検出型の圧力センサとして用いられると好適である。
【0033】
図1および図2に示されるように、本実施形態の圧力センサは、ケース10と、第1、第2センサ部20、30と、回路チップ40と、シール部材50と、保護部材60とを備えた構成とされている。
【0034】
ケース10は、第1、第2センサ部20、30および回路チップ40を収容するものであり、例えばPPS(ポリフェニレンサルファイド)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)やエポキシ樹脂等の樹脂材料を、金型を用いて型成形してなる板状のものである。そして、ケース10の一面には、窪み部11が形成されていると共に、この窪み部11に第1、第2凹部12、13が形成されており、ケース10のうち、第1、第2凹部12、13が形成される一面と反対側の他面には、第1、第2凹部12、13にそれぞれ達し、ケース10の厚さ方向に貫通するように第1、第2圧力導入孔14、15が形成されている。第1、第2圧力導入孔14、15には、それぞれ図示しない圧力ポートが連結されており、圧力ポートを介して圧力が導入される。
【0035】
図3は、ケース10の上面図である。図1〜図3に示されるように、第1、第2凹部12、13は、互いに同一形状とされており、それぞれシール部材50が滴下される第1、第2滴下領域12a、13aを備えている。具体的には、第1、第2凹部12、13は、開口部が互いに矩形状とされており、第1、第2滴下領域12a、13aをそれぞれ二つずつ備えている。さらに、詳しくは、第1滴下領域12aは第1凹部12の矩形状を構成する隣り合う二辺が交差する角部に備えられており、第2滴下領域13aは第2凹部13の矩形状を構成する隣り合う二辺が交差する角部に備えられている。
【0036】
詳述すると、本実施形態では、第1凹部12における図2中紙面上側に位置する辺を第1辺とし、第1辺と隣り合い、図2中紙面右側に位置する辺であって、かつ後述する回路チップ40と相対する辺を第2辺とし、第2辺と相対し、図2中紙面左側に位置する辺を第3辺とし、第1辺と相対し、図2中紙面下側に位置する辺を第4辺としている。同様に、第2凹部13では、第1凹部12の各辺に対応する辺がそれぞれ第1〜第4辺としている。具体的には、第2凹部13における図2中紙面上側に位置する辺を第1辺とし、第1辺と隣り合い、図2中紙面右側に位置する辺を第2辺とし、第2辺と相対し、図2中紙面左側に位置する辺を第3辺とし、第1辺と相対し、図2中紙面下側に位置する辺であって、後述する回路チップ40と相対する辺を第4辺としている。そして、次のように第1、第2滴下領域12a、13aがそれぞれ第1、第2凹部12、13に備えられている。
【0037】
すなわち、一方の第1滴下領域12aは、第1凹部12における第1辺(図2中紙面上側の辺)から第1凹部12と反対側に突出していると共に、第1辺と、第1辺と隣り合う第2辺(図2中紙面右側の辺)とが交差する角部と終端が一致するように第1凹部12に備えられている。そして、他方の第1滴下領域12aは、第2辺と相対する第3辺(図2中紙面左側の辺)から第1凹部12側と反対側に突出していると共に、第3辺と、第3辺と隣り合い、かつ第1辺と相対する第4辺(図2中紙面下側の辺)とが交差する角部と終端が一致するように第1凹部12に備えられている。
【0038】
同様に、一方の第2滴下領域13aは、第2凹部13における第1辺(図2中紙面上側の辺)から第2凹部13と反対側に突出していると共に、第1辺と、第1辺に隣り合う第2辺(図2中紙面右側の辺)とが交差する角部と終端が一致するように第2凹部13に備えられている。そして、他方の第2滴下領域13aは、第2辺と相対する第3辺(図2中紙面左側の辺)から第2凹部13側と反対側に突出していると共に、第3辺と、第3辺と隣り合い、かつ第1辺と相対する第4辺(図2中紙面下側の辺)とが交差する角部と終端が一致するように第2凹部13に備えられている。
【0039】
本実施形態では、以上説明したように第1、第2凹部12、13のうち回路チップ40側と異なる部分に第1、第2滴下領域12a、13aを備えることにより、第1、第2凹部12、13と回路チップ40との間の領域を従来の圧力センサと比較して長くならにようにしている。なお、上記では、第1、第2滴下領域12a、13aが備えられる部分を図2を用いて説明したが、図3はケース10の上面図であり、図3においても第1、第2凹部12、13における第1〜第4辺は同様の関係となる。
【0040】
また、第1、第2圧力導入孔14、15も互いに同一形状とされている。そして、本実施形態では、第1凹部12および第1圧力導入孔14の配置と、第2凹部13および第2圧力導入孔15の配置とが同一とされている。また、第1、第2凹部12、13には、それぞれ圧力検出用の第1、第2センサ部20、30が配設され、第1、第2センサ部20、30により第1、第2凹部12、13と第1、第2圧力導入孔14、15とがそれぞれ区画されている。
【0041】
第1、第2センサ部20、30は、図1および図2に示されるように、同一形状であると共に、正方板状とされており、それぞれセンサチップ21、31と台座22、32とを有した構成とされている。各センサチップ21、31は、圧力を検出してその圧力に応じたレベルの電気信号を発生するものであり、同一形状の正方板状とされている。具体的には、各センサチップ21、31は、板の一面に薄肉部であり歪み部であるダイヤフラム23、33を有すると共に、板の他面にダイヤフラム23、33を構成するために異方性エッチング等により形成された凹部24、34を有する半導体ダイヤフラム式のものである。
【0042】
そして、ダイヤフラム23、33には、一方向と平行になる方向を長手方向とし、複数回折り返された線により構成されるパターンの四個のゲージ抵抗25a〜25d、35a〜35dがそれぞれブリッジ回路を構成するように形成されている。これにより、各センサチップ21、31では、板の両面に圧力が印加されると、両圧力の差圧によってダイヤフラム23、33が歪み、ブリッジ回路にて差圧に応じた電気信号が生成(出力)される。なお、各ゲージ抵抗25a〜25d、35a〜35dの長手方向は特に限定されるものではないが、各センサチップ21、31を、例えば、(110)面を主表面とするSi基板を用いて構成した場合には長手方向を〈110〉結晶軸方向とすることができる。これにより、例えば、長手方向を〈100〉結晶軸方向とした場合と比較して、高い出力を得ることができる。
【0043】
また、各センサチップ21、31には、ダイヤフラム23、33の外縁部であって、各ゲージ抵抗25a〜25d、35a〜35dと後述する回路チップ40との間にパッド部26、36が形成されている。本実施形態では、第1センサ部20に形成されている各ゲージ抵抗25a〜25dに対するパッド部26の配置と、第2センサ部30に形成されている各ゲージ抵抗35a〜35dに対するパッド部36の配置とが90度回転された関係とされている。つまり、第2センサ部30のパッド部36は、第1センサ部20のパッド部26から90度回転した位置に備えられている。
【0044】
以下では、センサチップ21、31のうち、ダイヤフラム23、33が形成された面をセンサチップ21、31の表面とし、凹部24、34が形成された面をセンサチップ21、31の裏面として説明する。本実施形態では、後述するように、センサチップ21、31の表面および裏面で圧力を受圧するため、センサチップ21、31の両面が圧力受圧面となる。
【0045】
台座22、32はガラス等により構成されており、各センサチップ21、31の裏面と陽極接合等により接合されることで各センサチップ21、31と一体化されている。また、各台座22、32には、センサチップ21、31が固定された面から中を貫いて反対側の面に抜け、それぞれ第1、第2圧力導入孔14、15と連通するように貫通孔27、37が形成されている。
【0046】
そして、これらの台座22、32がそれぞれ接着剤28、38を介してケース10の第1、第2凹部12、13の底面に接着されることにより、第1、第2センサ部20、30がケース10に配設されている。具体的には、第1、第2センサ部20、30は、第1凹部12に備えられた各第1滴下領域12aに対する第1センサ部20の各ゲージ抵抗25a〜25dの配置と、第2凹部13に備えられた各第2滴下領域13aに対する第2センサ部30の各ゲージ抵抗35a〜35dの配置とが同一となるように第1、第2凹部12、13に配設されている。さらに、詳しくは、各第1滴下領域12aに対する第1センサ部20のゲージ抵抗25a〜25dのパターンと、各第2滴下領域13aに対する第2センサ部30のゲージ抵抗35a〜35dのパターンとが同一となるように、第1、第2センサ部20、30がそれぞれ第1、第2凹部12、13に配設されている。なお、各台座22、32と第1、第2凹部12、13の底面との間に配置される接着剤27、37としては、例えば、シリコン系接着剤やフロロシリコン系接着剤等を用いることができる。
【0047】
また、第1、第2凹部12、13には、例えば、フッ素ゴム等で構成されるシール部材50が配置されている。具体的には、シール部材50は、第1、第2凹部12、13に備えられた第1、第2滴下領域12a、13aに対して滴下されることにより、第1、第2凹部12、13において第1、第2センサ部20、30の周囲に配置されている。これにより、測定媒体が第1、第2圧力導入孔14、15から第1、第2凹部12、13内に侵入することを防止することができる。
【0048】
回路チップ40は、第1、第2センサ部20、30に対する駆動信号の出力や外部への検出用信号の出力をすると共に、第1、第2センサ部20、30からの電気信号を入力し、演算・増幅処理して外部へ出力する等の機能を有する制御回路等を備えたものである。このような回路チップ40としては、例えば、シリコン基板等に対して半導体製造プロセスを行うことにより製造されたCMOSトランジスタやバイポーラトランジスタ等を用いることができる。
【0049】
そして、回路チップ40は、第1、第2センサ部20、30と共に、ケース10に接着剤41を介して固定されている。具体的には、回路チップ40は、回路チップ40に対して一方向に第1センサ部20が配置され、該一方向と垂直方向に第2センサ部30が配置されるように、すなわち、第1、第2センサ部20、30と共にL字状となるように、ケース10の窪み部11に配置されている。そして、第1、第2センサ部20、30に備えられたパッド部26、36と回路チップ40に備えられているパッド部42とが、金やアルミニウム等からなるボンディングワイヤ70を介して結線され電気的に接続されている。
【0050】
さらに、本実施形態では、第1、第2圧力導入孔14、15にそれぞれゲル状の材料からなる保護部材60が充填されている。具体的には、保護部材60は、各台座22、32の貫通孔27、37を介して、各センサチップ21、31の裏面に到達するように、第1、第2圧力導入孔14、15にそれぞれ備えられている。この保護部材60は、圧力ポートから導入された圧力を各センサチップ21、31に媒介すると共に、腐食ガスや湿度から各センサチップ21、31や第1、第2圧力導入孔14、15等を保護するものである。なお、保護部材60としては、例えば、フッ素ゲル、シリコンゲル、フロロシリコンゲル等を用いることができる。特に、排気ガス圧を測定する場合には、排気ガスによる凝縮水は、排気ガスの窒素酸化物や硫黄酸化物が溶け込み強い酸性を持つため、ゲル材料としては、耐酸性が強いフッ素ゲルを使用することが好ましい。
【0051】
また、図示しないが、ケース10には、回路チップ40と外部との電気的な接続を行うためのコネクタ部が設けられている。このコネクタ部には、回路チップ40と電気的に接続される配線部材としてのターミナルが設けられており、このターミナルを介して、回路チップ40から出力される信号が取り出される。例えば、このターミナルが外部配線部材に接続されることにより、回路チップ40は、外部回路(たとえば、車両のECU等)に対して信号のやり取りを行うことができる。
【0052】
以上説明したように本実施形態の圧力センサが構成されており、次に、本実施形態の圧力センサの製造方法について説明する。
【0053】
まず、上記形状の窪み部11、第1、第2滴下領域12a、13aをそれぞれ備えた第1、第2凹部12、13および第1、第2圧力導入孔14、15を有するケース10を用意する。そして、第1、第2センサ部20、30をそれぞれ第1、第2凹部12、13に固定する。具体的には、各台座22、32の貫通孔27、37と第1、第2圧力導入孔14、15とがそれぞれ繋がり、かつ、各第1滴下領域12aに対する第1センサ部20のゲージ抵抗25a〜25dの配置と、各第2滴下領域13aに対する第2センサ部30のゲージ抵抗35a〜35dの配置とが同一となるように、第1、第2センサ部20、30を第1、第2凹部12、13に配設する。さらに詳しくは、各第1滴下領域12aに対する第1センサ部20のゲージ抵抗25a〜25dのパターンと、各第2滴下領域13aに対する第2センサ部30のゲージ抵抗35a〜35dのパターンとが同一となるように、第1、第2センサ部20、30を第1、第2凹部12、13に配設する。
【0054】
その後、第1、第2凹部12、13にシール部材50を配置する。具体的には、第1、第2滴下領域12a、13aそれぞれに対してシール部材50を同じ分量ずつ滴下し、第1、第2滴下領域12a、13aからシール部材50を濡れ拡がらせることにより第1、第2センサ部20、30の周囲に配置する。このとき、第1、第2凹部12、13は同一形状とされており、第1滴下領域12aに対する第1センサ部20の配置と、第2滴下領域13aに対する第2センサ部30の配置とが同一とされているので、シール部材50は第1、第2凹部12、13において同じように濡れ拡がることになる。このため、第1センサ部20の周囲に配置されるシール部材50の形状と、第2センサ部30の周囲に配置されるシール部材50の形状とが同一になる。
【0055】
次に、第1、第2センサ部20、30と共にL字状となるように、回路チップ40をケース10の窪み部11に接着固定する。その後、第1、第2センサ部20、30と回路チップ40との間をワイヤボンディングし、電気的に接続する。続いて、ケース10の第1、第2圧力導入孔14、15に保護部材60を注入・充填し、気泡発生を防ぐために真空脱泡する。以上のようにして、本実施形態の圧力センサが製造される。
【0056】
次に、本実施形態の圧力センサの作動について説明する。
【0057】
図4は、本実施形態の圧力センサを用いて構成されたDPFシステムのブロック図である。図4に示されるように、本実施形態の圧力センサは、例えば、DPF前後の排気管の差圧を検出するのに用いられ、第1圧力導入孔14には圧力ポートからDPFの上流側排気が導入され、第2圧力導入孔15には圧力ポートからDPFの下流側排気が導入される。これにより、第1センサ部20は、センサチップ21の裏面で、第1圧力導入孔14の内部の保護部材60を介して、上流側圧力を受圧すると共に、その表面で基準圧力としての大気圧を受圧する。したがって、第1センサ部20は、上流側圧力と基準圧力との差圧を検出する、すなわち、大気圧を基準とした上流側圧力の相対圧に基づく電気信号を回路チップ40に向けて出力する。このとき、第1センサ部20から出力される信号には、シール部材50から第1センサ部20の各ゲージ抵抗25a〜25dに印加される応力を含んだ信号が出力される。
【0058】
同様に、第2センサ部30は、センサチップ31の裏面で、第2圧力導入孔15の内部の保護部材60を介して、下流側圧力を受圧すると共に、その表面で基準圧力としての大気圧を受圧する。したがって、第2センサ部30は、下流側圧力と基準圧力との差圧を検出する、すなわち、大気圧を基準とした下流側圧力の相対圧に基づく電気信号を回路チップ40に向けて出力する。このとき、第2センサ部30から出力される信号には、シール部材50から第2センサ部30の各ゲージ抵抗35a〜35dに印加される応力を含んだ信号が出力される。
【0059】
そして、回路チップ40は、第1、第2センサ部20、30から入力された電気信号に基づいて、第1センサ部20が検出した上流側圧力の相対圧と、第2センサ部30が検出した下流側圧力の相対圧の差を算出し、その算出結果を電気信号として、圧力センサの外部に向けて出力する。以上のようにして、DPF前後の排気管の差圧が検出される。
【0060】
このような圧力センサでは、第1、第2センサ部20、30は同一形状の正方板状とされ、同一形状とされた第1、第2凹部12、13にはそれぞれ第1、第2滴下領域12a、13aが備えられている。そして、各第1滴下領域12aに対する第1センサ部20のゲージ抵抗25a〜25dの配置と、各第2滴下領域13aに対する第2センサ部30のゲージ抵抗35a〜35dの配置とが同一とされていると共に、各第1滴下領域12aに対する第1センサ部20のゲージ抵抗25a〜25dのパターンと、各第2滴下領域13aに対する第2センサ部30のゲージ抵抗35a〜35dのパターンとが同一とされている。したがって、第1、第2滴下領域12a、13aに対してシール部材50を滴下することにより、第1凹部12において第1センサ部20の周囲に配置されるシール部材50の形状と、第2凹部13において第2センサ部30の周囲に配置されるシール部材50の形状とを同じにすることができる。
【0061】
このため、第1センサ部20の各ゲージ抵抗25a〜25dと、これらのゲージ抵抗25a〜25dに対応する第2センサ部30の各ゲージ抵抗35a〜35dとに対してそれぞれシール部材50から印加される応力を同じにすることができる。すなわち、回路チップ40で第1、第2センサ部20、30が検出した圧力の差を演算した際に、第1、第2センサ部20、30の各ゲージ抵抗25a〜25d、35a〜35dに印加されるシール部材50からの応力を検出結果から除去することができ、高精度に差圧を検出することができる。
【0062】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態の圧力センサは、第1実施形態に対して第3センサ部を追加したものであり、その他に関しては第1実施形態と同様であるためここでは説明を省略する。図5は本実施形態の圧力センサの断面構成を示す図、図6は図5に示す圧力センサの上面図であり、図6は図5中のC−C矢視断面に相当している。
【0063】
図5および図6に示されるように、本実施形態の圧力センサでは、第3センサ部80が、ケース10の窪み部11に接着剤88を介して固定されている。さらに詳しくは、第3センサ部80は、第1センサ部20が配置される回路チップ40からの一方向上に配置されていると共に、回路チップ40を挟んで第1センサ部20と反対側に配置されている。
【0064】
この第3センサ部80は、第1、第2センサ部20、30と同様に、センサチップ81と台座82とを有した構成とされている。そして、センサチップ81は、表面にダイヤフラム83を備えていると共に、裏面に凹部84を備えており、ダイヤフラム83にはブリッジ回路を構成するように四個のゲージ抵抗85a〜85dが形成されている。また、台座82はセンサチップ81の裏面と接合されており、台座82によって密閉された凹部84内が真空とされている。これにより、第3センサ部80は、センサチップ81の裏面で真空圧を受圧すると共に、その表面で大気圧を受圧するため、第3センサ部80は大気圧を検出することができる。また、この第3センサ部80には、パッド部86が備えられており、ボンディングワイヤ70を介して回路チップ40と電気的に接続されている。なお、本実施形態では、大気圧が基準圧力に相当する。
【0065】
次に、このような圧力センサの作動を説明する。
【0066】
図7は、本実施形態の圧力センサを用いて構成されたDPFシステムのブロック図である。図7に示されるように、本実施形態の圧力センサでは、第1センサ部20にてDPFにおける上流側圧力の相対圧が検出され、第2センサ部30にてDPFにおける下流側圧力の相対圧が検出され、第3センサ部80にて大気圧が検出される。
【0067】
これにより、回路チップ40では、例えば、第3センサ部80にて検出された大気圧を用いて、第1センサ部20にて検出されるDPFの上流側圧力と大気圧との差圧から大気圧を相殺することができ、DPFの上流側における絶対圧を検出することができる。
【0068】
したがって、このような圧力センサによれば、上記第1実施形態の効果を得つつ、DPFの上流側における絶対圧を検出することもできる。
【0069】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態の圧力センサは、第1実施形態に対して、ケース10に第3凹部および第3圧力導入孔を備えると共に、第4センサ部を追加したものであり、その他に関しては第1実施形態と同様であるためここでは説明を省略する。図8は本実施形態の圧力センサの断面構成を示す図、図9は図8に示す圧力センサの上面図であり、図8は図9中のD−D矢視断面に相当している。
【0070】
図8および図9に示されるように、本実施形態の圧力センサでは、ケース10のうち窪み部11の底面に第3凹部16が形成されており、この底面と反対側の一面に、第3凹部16に達し、ケース10の厚さ方向に貫通するように第3圧力導入孔17が形成されている。第3圧力導入孔17には、図示しない圧力ポートが連結されており、圧力ポートを介して圧力が導入されるようになっている。
【0071】
第3凹部16は、第1、第2凹部12、13と同一形状とされており、シール部材50が滴下される第3滴下領域16aを二つ備えている。具体的には、上記第1実施形態と同様に、第3凹部16における図9中紙面上側に位置する辺を第1辺とし、第1辺と隣り合い、図9中紙面左側に位置する辺であって、かつ回路チップ40と相対する辺を第2辺とし、第2辺と相対し、図9中紙面右側に位置する辺を第3辺とし、第1辺と相対し、図9中紙面下側に位置する辺を第4辺としている。そして、次のように第3滴下領域16aが第3凹部16に備えられている。
【0072】
すなわち、一方の第3滴下領域16aは、第3凹部16における第1辺(図9中紙面上側の辺)から第3凹部16と反対側に突出していると共に、第1辺と、第1辺と隣り合う第2辺(図9中紙面左側の辺)とが交差する角部と終端が一致するように第3凹部16に備えられている。そして、他方の第3滴下領域16aは、第2辺と相対する第3辺(図9中紙面右側の辺)から第3凹部16側と反対側に突出していると共に、第3辺と、第3辺と隣り合い、かつ第1辺と相対する第4辺(図9中紙面下側の辺)とが交差する角部と終端が一致するように第3凹部16に備えられている。
【0073】
また、第3凹部16および第3圧力導入孔17の配置と、第1、2凹部12、13および第1、2圧力導入孔14、15の配置とが同一とされている。また、第3凹部16には、接着剤98を介して圧力検出用の第4センサ部90が配設され、第4センサ部90により第3凹部16と第3圧力導入孔17とが区画されている。この第4センサ部90は、第1センサ部20が配置される回路チップ40からの一方向上に配置されていると共に、回路チップ40を挟んで第1センサ部20と反対側に配置されている。
【0074】
また、第4センサ部90は、第1、第2センサ部20、30と同様に、センサチップ91と台座92とを有した構成とされている。センサチップ91は、上記第1、第2センサ部20、30の各センサチップ21、31と同様に、表面にダイヤフラム93を備えていると共に、裏面に凹部94を備えている。そして、ダイヤフラム93には、一方向と平行になる方向を長手方向とし、複数回折り返された線により構成されるパターンの四個のゲージ抵抗95a〜95dがブリッジ回路を構成するように形成されている。また、センサチップ91には、ダイヤフラム93の外縁部であって、ゲージ抵抗95a〜95dと回路チップ40との間にパッド部96が形成されている。本実施形態では、第1センサ部20の各ゲージ抵抗25a〜25dに対するパッド部26の配置と、第4センサ部90の各ゲージ抵抗95a〜95dに対するパッド部96の配置とが180度回転された関係とされており、第2センサ部30の各ゲージ抵抗35a〜35dに対するパッド部36の配置と、第4センサ部90の各ゲージ抵抗95a〜95dに対するパッド部96の配置とが90度回転された関係とされている。
【0075】
また、第4センサ部90は、第1、2凹部12、13に備えられた第1、2滴下領域12a、13aに対する第1、2センサ部20、30の各ゲージ抵抗25a〜25d、35a〜35dの配置と、第3凹部16に備えられた第3滴下領域16aに対する第4センサ部90の各ゲージ抵抗95a〜95dの配置とが同一となるように第3凹部16に配設されている。そして、第3凹部16にはシール部材50が配置されており、第1、2センサ部20、30の周囲に配置されるシール部材50の形状と、第4センサ部90の周囲に配置されるシール部材50の形状とが同一とされている。
【0076】
そして、台座92には、センサチップ91が固定された面から中を貫いて反対側の面に抜け、第3圧力導入孔17と連通するように貫通孔97が形成されている。
【0077】
図10は、本実施形態の圧力センサを用いて構成されたDPFシステムのブロック図である。図10に示されるように、本実施形態の圧力センサでは、第1センサ部20にて第1DPFにおける上流側圧力の相対圧が検出され、第2センサ部30にて第1DPFの下流側圧力(第2DPFの上流側圧力)における相対圧が検出され、第4センサ部90にて第2DPFの下流側圧力における相対圧が検出される。
【0078】
したがって、回路チップ40では、第1センサ部20が検出した第1DPFの上流側圧力の相対圧と、第2センサ部30が検出した第1DPFの下流側圧力の相対圧の差とを算出すると共に、第2センサ部30が検出した第2DPFの上流側圧力の相対圧と、第4センサ部90が検出した第2DPFの下流側圧力の相対圧との差を算出し、その算出結果を電気信号として、圧力センサの外部に向けて出力する。
【0079】
このような圧力センサでは、第1、2凹部12、13に備えられた第1、2滴下領域12a、13aに対する第1、2センサ部20、30の各ゲージ抵抗25a〜25d、35a〜35dの配置と、第3凹部16に備えられた第3滴下領域16aに対する第4センサ部90の各ゲージ抵抗95a〜95dの配置とが同一とされていると共に、第1、2凹部12、13に備えられた第1、2滴下領域12a、13aに対する第1、2センサ部20、30の各ゲージ抵抗25a〜25d、35a〜35dのパターンと、第3凹部16に備えられた第3滴下領域16aに対する第4センサ部90の各ゲージ抵抗95a〜95dのパターンとが同一とされている。したがって、第1〜第3滴下領域12a、13a、16aに対してシール部材50を滴下することにより、第1、第2凹部12、13において第1、第2センサ部20、30の周囲に配置されるシール部材50の形状と、第3凹部16において第4センサ部90の周囲に配置されるシール部材50の形状とを同じにすることができる。
【0080】
このため、第1、2センサ部20、30の各ゲージ抵抗25a〜25d、35a〜35dと、これらのゲージ抵抗25a〜25d、35a〜35dに対応する第4センサ部90の各ゲージ抵抗95a〜95dとに対してそれぞれシール部材50から印加される応力を同じにすることができる。このため、回路チップ40にて第1、第2、第4センサ部20、30、90の各ゲージ抵抗25a〜25d、35a〜35d、95a〜95dに印加されるシール部材50からの応力を除去することができ、上記第1実施形態と同様の効果を得つつ、排気管に連続して備えられているDPF前後の差圧をそれぞれ検出することができる。
【0081】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態の圧力センサは、第1実施形態に対して、第1、第2凹部12、13の角部をそれぞれ面取りしたものであり、その他に関しては第1実施形態と同様であるためここでは説明を省略する。図11は本実施形態の圧力センサの上面図である。
【0082】
図11に示されるように、本実施形態の圧力センサでは、第1、第2凹部12、13の矩形状を構成する隣り合う二辺が交差する角部のうち一つの角部がそれぞれ面取りされている。具体的には、上記第1実施形態で説明したように、一方の第1、第2滴下領域12a、13aは、第1、第2凹部12、13における第1辺(図11中紙面上側の辺)と第2辺(図11中紙面右側の辺)とが交差する角部と終端が一致するように、第1、第2凹部12、13にそれぞれ備えられている。また、他方の第1、第2滴下領域12a、13aは、第1、第2凹部12、13における第3辺(図11中紙面左側の辺)と第4辺(図11中紙面下側の辺)とが交差する角部と終端が一致するように、第1、第2凹部12、13にそれぞれ備えられている。そして、本実施形態では、第1、第2凹部12、13における第2辺と第4辺とが交差する角部(図11中紙面右下の角部)、すなわち第1、第2凹部12、13のうち第1、第2滴下領域12a、13aから最も離れた角部がC面取りされている。
【0083】
このような圧力センサでは、第1、第2凹部12、13のうち第1、第2滴下領域12a、13aから最も離れた角部(図11中右下の角部)が面取りされている。したがって、上記第1実施形態と比較して、第1、第2凹部12、13のうち第1、第2滴下領域12a、13aから最も離れた部分にシール部材50を配置しやすくなる。すなわち、シール部材50は、凝固しつつ、濡れ広がることにより第1、第2センサ部20、30の周囲に配置される。このとき、上記第1実施形態と比較して、面取りされた領域ではシール部材50の流入面積が小さくなることにより流入速度が速くなり、第1、第2凹部12、13のうち第1、第2滴下領域12a、13aから最も離れた部分にシール部材50が流入する時間を短くすることができるため、当該部分にもシール部材50を流入しやすくなる。
【0084】
したがって、本実施形態の圧力センサでは、上記第1実施形態の圧力センサと比較して、第1、第2センサ部20、30の周囲に配置されるシール部材50の形状を均等にしやすくすることができる。詳しくは、上記第1実施形態では、図1に示されるように、第1、第2滴下領域12a、13aから離れた部分では、第1、第2センサ部20、30と第1、第2凹部12、13の壁面との間においてシール部材50の表面が窪んで配置されることになる。一方、図12は、本実施形態の圧力センサの断面構成を示す図であり、図12に示されるように、本実施形態の圧力センサでは、第1、第2滴下領域12a、13aから離れた部分においても、第1、第2センサ部20、30と第1、第2凹部12、13との壁面との間においてシール部材50の表面を窪ませることなく配置することができる。したがって、本実施形態の圧力センサによれば、上記第1実施形態の圧力センサと比較して、第1、第2センサ部20、30の各ゲージ抵抗25a〜25d、35a〜35dに印加される応力を均等にすることができつつ、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、図12は、図11中のE−E矢視断面に相当している。
【0085】
(他の実施形態)
上記第1実施形態では、第1、第2センサ部20、30および回路チップ40がL字状となるように配置されている例について説明したが、もちろんこれに限定されるものではなく、例えば、回路チップ40に対して一方向に第1センサ部20を配置し、該一方向と60度の方向に第2センサ部30を配置することもできる。
【0086】
また、上記各実施形態では、第1センサ部20に形成されるパッド部26と、第2センサ部30に形成されるパッド部36とが90度回転した向きに備えられている例を説明したが、第1、第2センサ部20、30の同一箇所にパッド部26、36を備えて、第1センサ部20と第2センサ部30とを共通化させることもできる。図13は、他の実施例にかかるセンサチップ21の上面図である。図13(a)に示されるように、センサチップ21のうちダイヤフラム23の外縁部であって、隣り合う二辺とダイヤフラム23とのそれぞれの間にパッド部26を設けてもよい。このような場合には、例えば、上記第1、第2実施形態のように第1、第2センサ部20、30および回路チップ40をL字状に配置する場合であっても、各センサチップ21、31を共通化させることができるため、製造工程を簡略化することができる。また、図13(b)に示されるように、センサチップ21のうちダイヤフラム23の外縁部であって、三辺とダイヤフラム23とのそれぞれの間にパッド部26を設けてもよい。このような場合は、例えば、第3実施形態のように第1、第2、第4センサ部20、30、90をケース10に配設する場合であっても、各センサチップ21、31、91を共通化させることができる。
【0087】
さらに、上記第4実施系形態では、第1、第2凹部12、13のうち第2辺と第4辺とが交差する角部(図11中紙面右下の角部)をC面取りすることを例に挙げて説明したが、もちろんR面取りすることもできる。さらに、第1、第2凹部12、13のうち第2辺と第4辺とが交差する角部に加えて第1辺と第3辺とが交差する角部(図11中紙面左上の角部)を面取りすることもできる。さらに、第1辺と第3辺とが交差する角部のみを面取りすることもできる。すなわち、第1凹部12のうち二つの第1滴下領域12aが備えられる角部と異なる角部を面取りすると共に、第2凹部13のうち二つの第2滴下領域13aが備えられる角部と異なる角部を面取りすることにより、上記第4実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0088】
また、上記各実施形態では、第1、第2凹部12、13はそれぞれ二つずつ第1、第2滴下領域12a、13を備えている例について説明したが、第1凹部12に一つの第1滴下領域12aのみを備えると共に、第2凹部13に一つの第2滴下領域13aのみを備えることもできる。図14は他の実施形態にかかる圧力センサの上面図である。例えば、図14に示されるように、一つの第1、第2滴下領域12a、13aのみを、第1、第2凹部12、13における第1辺(図14中紙面上側の辺)と第2辺(図14中紙面右側の辺)とが交差する角部と終端が一致するように、第1、第2凹部12、13にそれぞれ備えることもできる。
【0089】
そして、このような一つの第1、第2滴下領域12a、13aのみを第1、第2凹部12、13に備えた圧力センサを上記第4実施形態と組み合わせることもできる。図15は、他の実施形態にかかる圧力センサの上面図である。図15に示されるように、第1、第2凹部12、13のうち、それぞれ第1辺と第2辺とが交差する角部(図15中右上の角部)に第1、第2滴下領域12a、13aを備え、第1、第2滴下領域12a、13aを備える角部と対角に位置する角部である第3辺と第4辺とが交差する角部を面取りすることもできる。なお、ここでは第1、第2滴下領域12a、13aにおいて、隣り合う二辺が交差する角部のうち第1、第2滴下領域12a、13aが備えられる角部と対角に位置する角部が面取りされている例について説明したが、第1、第2凹部12、13における隣り合う二辺が交差する角部のうち、第1、第2滴下領域12a、13aを備える角部と対角に位置する角部および第1、第2滴下領域12a、13aを備える角部と隣り合う角部の三つの角部のうち少なくとも一つの角部が面取りされていれば同様の効果を得ることができる。
【0090】
さらに、上記各実施形態では、第1、第2凹部12、13における第1辺を各図中紙面上側の辺とし、第2辺を各図中紙面右側の辺とし、第3辺を各図中紙面左側の辺とし、第4辺を各図中紙面下側の辺とする例について説明し、上記第3実施形態では、第3凹部16における第1辺を図9中紙面上側の辺とし、第2辺を図9中紙面左側の辺とし、第3辺を図9中紙面右側の辺とし、第4辺を図9中紙面下側の辺とする例について説明したが、もちろん第1〜第4辺の対応関係はこれに限定されるものではない。例えば、第1〜第3凹部12、13、16において、第1辺を各図中紙面右側の辺とし、第2辺を各図中紙面下側の辺とし、第3辺を各図中紙面上側の辺とし、第4辺を各図中紙面左側の辺とすることもできる。
【0091】
また、上記第1〜第3実施形態では、一方の第1、第2滴下領域12a、13aが、第1辺と第2辺とが交差する角部と終端が一致するように第1、第2凹部12、13にそれぞれ備えられており、他方の第1、第2滴下領域12a、13aが、第3辺と第4辺とが交差する角部と終端が一致するように第1、第2凹部12、13にそれぞれ備えられている例について説明したが、第1、第2滴下領域12a、13aが備えられる領域はこれに限定されるものではない。例えば、一方の第1、第2滴下領域12a、13aを、それぞれ第1辺から突出させると共に、第1辺と第2辺とが交差する角部を含み、終端が第2辺となるようにすることもできる。そして、他方の第1、第2滴下領域12a、13aを、それぞれ第3辺から突出させると共に、第3辺と第4辺とが交差する角部を含み、終端が第4辺となるようにすることもできる。すなわち、第1、第2滴下領域12a、13aを、隣り合う二辺が交差する角部を含み、当該二辺に跨るように形成することもできる。同様に、上記第3実施形態における第3凹部16においても、第3滴下領域16aを、隣り合う二辺が交差する角部を含み、当該二辺に跨るように形成することもできる。
【0092】
さらに、上記各実施形態を組み合わせて圧力センサを構成することもできる。例えば、上記第2実施形態と上記第3実施形態とを組み合わせて、ケース10に、第1〜第4センサ部20、30、80、90を配設することもできる。
【0093】
また、上記第4実施形態を、上記第2実施形態に組み合わせて第1、第2凹部12、13のうち第2辺と第4辺とが交差する角部を面取りすることもできるし、上記第3実施形態に組み合わせて第1〜第3凹部12、13、16のうち第2辺と第4辺とが交差する角部を面取りすることもできる。
【符号の説明】
【0094】
10 ケース
12 第1凹部
12a 第1滴下領域
13 第2凹部
13a 第2滴下領域
14 第1圧力導入孔
15 第2圧力導入孔
20 第1センサ部
30 第2センサ部
40 回路チップ
50 シール部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力に応じて電気的信号を出力する第1、第2センサ部をケースに備え、第1センサ部で検出された圧力と第2センサ部で検出された圧力との差圧を検出する圧力センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、圧力を検出する第1、第2センサ部および第1、第2センサ部から出力された信号を演算する回路チップ等をケースに収納してなる圧力センサが知られている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、このような圧力センサでは、板状のケースの一面に同一形状の第1、第2凹部が備えられており、一面と反対側の他面に第1、第2凹部にそれぞれ達し、ケースの厚さ方向に貫通するように同一形状の第1、第2圧力導入孔が形成されている。また、第1、第2凹部には、それぞれ圧力検出用の第1、第2センサ部が配設されており、これにより、第1、第2センサ部のうち圧力導入孔側と当該圧力導入孔と反対側が区画されている。
【0003】
これら第1、第2センサ部は、正方板状とされており、それぞれ中心部分にダイヤフラムを有すると共に、外縁部分にパッド部を備えている。そして、第1、第2センサ部は、製造工程を簡略化するために同一の部材を用いて構成されており、互いに同一形状とされている。また、各ダイヤフラムにはブリッジ回路を構成するように形成された四個のゲージ抵抗がそれぞれ備えられている。なお、各ゲージ抵抗は、一方向と平行になる方向を長手方向とし、複数回折り返された線により構成されるパターンとされている。
【0004】
上記のような圧力センサでは、第1凹部、第1圧力導入孔および第1センサ部の配置(平面レイアウト)と、第2凹部、第2圧力導入孔および第2センサ部の配置(平面レイアウト)とを同一にすることにより、第1凹部および第1圧力導入孔に起因して第1センサ部に印加される応力と、第2凹部および第2圧力導入孔に起因して第2センサ部に印加される応力とが同じになるようにしている。
【0005】
このような圧力センサでは、第1、第2センサ部から検出された圧力に基づく信号が回路チップに出力され、回路チップにて、第1センサ部にて検出された圧力と第2センサ部にて検出された圧力との差圧が演算される。このとき、第1、第2センサ部から出力される信号には、それぞれ第1、第2凹部および第1、第2圧力導入孔に起因する応力を含んだ信号が出力されるが、第1凹部、第1圧力導入孔および第1センサ部の配置(平面レイアウト)と、第2凹部、第2圧力導入孔および第2センサ部の配置(平面レイアウト)とを同一にすることにより、回路チップにて第1、第2センサ部が検出した圧力の差を演算したときに、第1、第2センサ部に印加される応力を検出結果から除去できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−8762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような圧力センサにおいて、本発明者らは、第1、第2センサ部と、第1、第2凹部の底面との間の隙間を封止するようにシール部材を配置し、第1、第2圧力導入孔から第1、第2凹部に測定媒体が侵入することを防止することを考えた。しかしながら、シール部材は、第1、第2凹部にそれぞれ第1、第2センサ部を配設した後、第1、第2凹部に滴下されることにより第1、第2センサ部の周囲に配置される。このとき、シール部材は、滴下された領域から凝固しつつ、濡れ拡がることにより第1、第2センサ部の周囲に配置される。したがって、シール部材を第1、第2センサ部の周囲に均等に配置することは困難である。具体的には、第1、第2センサ部のうち、シール部材が滴下される領域に最も近い部分では、シール部材が滴下される領域に最も遠い部分よりもシール部材が多く配置されることになる。
【0008】
この場合、第1凹部、第1圧力導入孔および第1センサ部の配置と、第2凹部、第2圧力導入孔および第2センサ部の配置とが同一であっても、第1センサ部の周囲に配置されるシール部材の形状と、第2センサ部の周囲に配置されるシール部材の形状とが異なるときには、第1センサ部に形成されたゲージ抵抗と、これらの各ゲージ抵抗に対応する第2センサ部に形成された各ゲージ抵抗とに対してそれぞれシール部材から異なる応力が印加されることになるという問題がある。例えば、第1センサ部に形成されたゲージ抵抗のうちの一つのゲージ抵抗と、当該ゲージ抵抗に対応する第2センサ部に形成されたゲージ抵抗にはそれぞれシール部材から異なる応力が印加されることになる。
【0009】
また、第1凹部、第1圧力導入孔および第1センサ部の配置と、第2凹部、第2圧力導入孔および第2センサ部の配置とが同一であり、第1センサ部の周囲に配置されるシール部材の形状と、第2センサ部の周囲に配置されるシール部材の形状とが同じ場合であっても、第1凹部に対する第1センサ部に形成されたゲージ抵抗の配置と、第2凹部に対する第2センサ部に形成されたゲージ抵抗の配置とが異なる場合がある。例えば、第1、第2センサ部および回路チップをL字状に配置する、すなわち回路チップに対して一方向に第1センサ部を配置し、該一方向と垂直方向に第2センサ部を配置する場合には、第1、第2センサ部は、それぞれパッド部に最も近い一辺が回路チップ側に向けて配置されるため、第1センサ部と第2センサ部とは互いに90度回転した状態で配置される。図16は、第1、第2センサ部および回路チップをL字状にケースに配置した際の上面図である。
【0010】
図16に示されるように、第1、第2センサ部J20、J30および回路チップJ40をL字状に配置した場合には、第1センサ部J20と第2センサ部J30とは正方板状とされているので、第1凹部J12および第1センサ部J20の配置と、第2凹部J13および第2センサ部J20の配置とは同一になるが、第1凹部J12に対する第1センサ部J20に形成された各ゲージ抵抗J25a〜J25dの配置と、第2凹部J13に対する第2センサ部J30に形成された各ゲージ抵抗J35a〜J35dの配置とが異なることになる。具体的には、第1センサ部J20に形成されている各ゲージ抵抗J25a〜25dの長手方向と、第2センサ部J30に形成されている各ゲージ抵抗J35a〜J35dの長手方向とが平行にならなくなる。この場合、第1凹部J12に対するシール部材J50を滴下する滴下領域の配置と、第2凹部J13に対するシール部材J50を滴下する滴下領域の配置とを同一にした場合には、第1センサ部J20の周囲に配置されるシール部材J50の形状と、第2センサ部J30の周囲に配置されるシール部材J50の形状とを同一にすることはできる。しかしながら、第1センサ部J20に形成されたゲージ抵抗J25a〜J25dのうち、例えば、一つのゲージ抵抗J25aとシール部材J50の配置と、第2センサ部J30に形成されたゲージ抵抗J35a〜J35dのうち、第1センサ部J20のゲージ抵抗J25aに対応するゲージ抵抗J35aとシール部材J50の配置とが異なることになり、各ゲージ抵抗J25a、J35aにはそれぞれシール部材J50から異なる応力が印加されることになる。
【0011】
そして、回路チップでは、第1センサ部にて検出された圧力と第2センサ部にて検出された圧力の差を算出しているが、第1、第2センサ部に印加されるシール部材からの応力が除去されずに応力の一部が演算結果に残り、圧力センサの検出結果に誤差が生じるという問題がある。
【0012】
本発明は上記点に鑑みて、ゲージ抵抗がそれぞれ形成されている第1、第2センサ部を備えた圧力センサにおいて、従来の圧力センサより圧力の検出精度を向上させることができる圧力センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、第1、第2センサ部(20、30)を同一形状にすると共に、正方板状とし、第1凹部(12)にシール部材(50)が滴下される第1滴下領域(12a)を備えると共に、第2凹部(13)にシール部材(50)が滴下される第2滴下領域(13a)を備え、第1凹部(12)と第2凹部(13)とを同一形状とし、第1滴下領域(12a)に対する第1センサ部(20)に形成されているゲージ抵抗(25a〜25d)の配置と第2滴下領域(13a)に対する第2センサ部(30)に形成されているゲージ抵抗(35a〜35d)の配置とを同一としていることを特徴としている。
【0014】
このような圧力センサでは、第1、第2センサ部(20、30)は同一形状の正方板状とされ、第1、第2凹部(12、13)にはそれぞれ第1、第2滴下領域(12a、13a)が備えられており、第1、第2センサ部(20、30)は、第1滴下領域(12a)に対する第1センサ部(20)のゲージ抵抗(25a〜25d)の配置と、第2滴下領域(13a)に対する第2センサ部(30)のゲージ抵抗(35a〜35d)の配置とが同一となるように、それぞれ第1、第2凹部(12、13)に配設されている。
【0015】
したがって、第1、第2滴下領域(12a、13a)に対してシール部材(50)を滴下することにより、第1凹部(12)において第1センサ部(20)の周囲に配置されるシール部材(50)の形状と、第2凹部(13)において第2センサ部(30)の周囲に配置されるシール部材(50)の形状とを同じにすることができる。このため、第1センサ部(20)の各ゲージ抵抗(25a〜25d)と、これらのゲージ抵抗(25a〜25d)に対応する第2センサ部(30)の各ゲージ抵抗(35a〜35d)とに対してそれぞれシール部材(50)から印加される応力を同じにすることができる。すなわち、回路チップ(40)で第1、第2センサ部(20、30)が検出した圧力の差を演算した際に、第1、第2センサ部(20、30)の各ゲージ抵抗(25a〜25d、35a〜35d)に印加されるシール部材(50)からの応力を検出結果から除去することができ、高精度に差圧を検出することができる。
【0016】
例えば、請求項2に記載の発明のように、第1滴下領域(12a)に対する第1センサ部(20)に形成されているゲージ抵抗(25a〜25d)のパターンと、第2滴下領域(13a)に対する第2センサ部(30)に形成されているゲージ抵抗(35a〜35d)のパターンとを同一とすることができる。
【0017】
また、請求項3に記載の発明のように、第1、第2センサ部(20、30)それぞれに形成されているゲージ抵抗(25a〜25d、35a〜35d)を、一方向と平行になる方向を長手方向とし、複数回折り返された線により構成されるパターンとすることができる。
【0018】
さらに、請求項4に記載の発明のように、第1、第2凹部(12、13)の開口部を矩形状とし、第1滴下領域(12a)を第1凹部(12)の矩形状を構成する隣り合う二辺が交差する角部に備え、第2滴下領域(13a)を第2凹部(13)の矩形状を構成する隣り合う二辺が交差する角部に備え、第1凹部(12)の矩形状を構成する隣り合う二辺が交差する角部のうち、第1滴下領域(12a)を備える角部と対角に位置する角部および第1滴下領域(12a)を備える角部と隣り合う角部の三つの角部のうち少なくとも一つの角部を面取りし、第2凹部(13)の矩形状を構成する隣り合う二辺が交差する角部のうち、第2滴下領域(13a)を備える角部と対角に位置する角部および第2滴下領域(13a)を備える角部と隣り合う角部の三つの角部のうち少なくとも一つの角部を面取りすることができる。
【0019】
このような圧力センサでは、第1、第2凹部(12、13)のうち、第1滴下領域(12a)を備える角部と対角に位置する角部および第1滴下領域(12a)を備える角部と隣り合う角部の三つの角部のうち少なくとも一つの角部を面取りしている。したがって、第1、第2凹部(12、13)のうち第1、第2滴下領域(12a、13a)から離れた部分にもシール部材(50)を配置しやすくなる。すなわち、シール部材(50)は、凝固しつつ、濡れ広がることにより第1、第2センサ部(20、30)の周囲に配置されるが、面取りされた領域ではシール部材(50)の流入面積が小さくなることにより流入速度が速くなる。つまり、第1、第2凹部(12、13)のうち第1、第2滴下領域(12a、13a)から離れた部分にシール部材(50)が流入する時間を短くすることができ、当該部分にシール部材(50)を凝固する前に流入しやすくなる。
【0020】
したがって、このような圧力センサでは、第1、第2凹部(12、13)における角部を面取りしていない圧力センサと比較して、第1、第2センサ部(20、30)の周囲にシール部材(50)を均等に配置しやすくすることができ、第1、第2センサ部(20、30)の各ゲージ抵抗(25a〜25d、35a〜35d)に印加される応力を均等にすることができる。
【0021】
また、請求項5に記載の発明のように、第1凹部(12)に第1滴下領域(12a)を二つ備えると共に、第2凹部(13)に第2滴下領域(13a)を二つ備え、一方の第1滴下領域(12a)を隣り合う二辺が交差する角部に備えると共に、他方の第1滴下領域(12a)を当該角部と対角に位置する角部に備え、一方の第2滴下領域(13a)を隣り合う二辺が交差する角部に備えると共に、他方の第2滴下領域(13a)を当該角部と対角に位置する角部に備え、第1凹部(12)における二つの第1滴下領域(12a)が備えられる角部と異なる二つの角部の少なくとも一方を面取りし、第2凹部(13)における二つの第2滴下領域(13a)が備えられる角部と異なる二つの角部の少なくとも一方を面取りすることができる。
【0022】
さらに、請求項6に記載の発明のように、一方の第1滴下領域(12a)を、第1凹部(12)における第1辺から第1凹部(12)側と反対側に突出させると共に、第1辺と、第1辺と隣り合う第2辺とが交差する角部と終端を一致させ、他方の第1滴下領域(12a)を、第2辺と相対する第3辺から第1凹部(12)側と反対側に突出させると共に、第3辺と、第3辺と隣り合い、かつ第1辺と相対する第4辺とが交差する角部と終端を一致させ、第2滴下領域(13a)を、第2凹部(13)における第1辺から第1凹部(12)側と反対側に突出させると共に、第1辺と、第1辺と隣り合う第2辺とが交差する角部と終端を一致させ、他方の第2滴下領域(13a)を、第2辺と相対する第3辺から第1凹部(12)側と反対側に突出させると共に、第3辺と、第3辺と隣り合い、かつ第1辺と相対する第4辺とが交差する角部と終端を一致させ、第1凹部(12)のうち第2辺と第4辺とが交差する角部を面取し、第2凹部(13)のうち第2辺と第4辺とが交差する角部を面取りすることができる。
【0023】
また、請求項7に記載の発明のように、第1凹部(12)に第1滴下領域(12a)を一つ備えると共に、第2凹部(13)に第2滴下領域(13a)を一つ備え、第1凹部(12)のうち第1滴下領域(12a)が備えられる角部と対角に位置する角部を面取りすると共に、第2凹部(13)のうち第2滴下領域(13a)が備えられる角部と対角に位置する角部を面取りすることができる。
【0024】
さらに、請求項8に記載の発明のように、第1滴下領域(12a)を、第1凹部(12)における第1辺から第1凹部(12)側と反対側に突出させると共に、第1辺と、第1辺と隣り合う第2辺とが交差する角部と終端を一致させ、第2滴下領域(13a)を、第2凹部(13)における第1辺から第1凹部(12)側と反対側に突出させると共に、第1辺と、第1辺と隣り合う第2辺とが交差する角部と終端を一致させ、第1凹部(12)のうち第1凹部(12)における第2辺と相対する第3辺と第1辺と相対する第4辺とが交差する角部を面取りし、第2凹部(13)のうち第2辺と相対する第3辺と第1辺と相対する第4辺とが交差する角部を面取りすることができる。
【0025】
さらに、請求項9に記載の発明のように、第1、第2センサ部(20、30)に、それぞれダイヤフラム(23、33)の外縁部であって、ゲージ抵抗(25a〜25d、35a〜35d)と回路チップ(40)との間に、第1、第2パッド部(26、36)を備えることもできる。
【0026】
このような圧力センサによれば、第1、第2センサ部(20、30)には、各ゲージ抵抗(25a〜25d、35a〜35d)と回路チップ(40)との間にパッド部(26、36)を備えているため、第1、第2センサ部(20、30)を異なる部材を用いて構成することができる。
【0027】
また、請求項10に記載の発明のように、第1センサ部(20)を回路チップ(40)に対して第一方向側に配置し、第2センサ部(30)を回路チップ(40)に対してこの第1方向と垂直になる第2方向側に配置することができる。
【0028】
このような圧力センサによれば、第1、第2センサ部(20)を回路チップ(40)を挟んで第1方向上に配置する圧力センサと比較して、第1方向側の長さを短くすることができる。
【0029】
さらに、請求項11に記載の発明のように、ケース(10)に第3センサ部(80)を備え、第1、第2、第3センサ部(20、30、80)のうち、ダイヤフラム(23、33、83)を備えている一面を表面とし、該表面と反対側の一面を裏面とし、第1、第2センサ部(20、30)に、それぞれ第1、第2圧力導入孔(14、15)に導入される圧力を裏面側に印加すると共に、表面側に基準圧力を印加し、裏面側に印加される圧力と表面側に印加される基準圧力との差圧を検出させ、第3センサ部(80)に、裏面側に真空圧を印加すると共に、表面側に基準圧力を印加し、裏面側に印加される圧力と表面側に印加される基準圧力との差圧を検出させることもできる。
【0030】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】(a)は本発明の第1実施形態における圧力センサの断面構成を示す図であり、(b)は(a)に示す圧力センサと別断面の断面構成を示す図である。
【図2】図1に示す圧力センサの上面図である。
【図3】図1に示すケースの上面図である。
【図4】図1に示す圧力センサを用いたDPFシステムのブロック図である。
【図5】本発明の第2実施形態における圧力センサの断面構成を示す図である。
【図6】図5に示す圧力センサの上面図である。
【図7】図5に示す圧力センサを用いたDPFシステムのブロック図である。
【図8】本発明の第3実施形態における圧力センサの断面構成を示す図である。
【図9】図8に示す圧力センサの上面図である。
【図10】図8に示す圧力センサを用いたDPFシステムのブロック図である。
【図11】本発明の第4実施形態における圧力センサの上面図である。
【図12】図11に示す圧力センサの断面構成を示す図である。
【図13】他の実施形態におけるセンサチップの上面図である。
【図14】他の実施形態における圧力センサの上面図である。
【図15】他の実施形態における圧力センサの上面図である。
【図16】本発明者らが検討した圧力センサの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について説明する。図1(a)および図1(b)は本実施形態の圧力センサの断面構成を示す図、図2は図1に示す圧力センサの上面図であり、図1(a)は図2中のA−A矢視断面に相当し、図1(b)は図2中のB−B矢視断面に相当している。なお、本実施形態の圧力センサは、例えば、自動車のディーゼルエンジンの排気管に設けられたDPF(ディーゼルパティキュレートフィルタ)の圧力損失を検出するために当該排気管に取り付けられ、当該DPF前後の排気管の差圧、すなわち、DPFの上流側圧力とDPFの下流側圧力との差圧を検出する差圧検出型の圧力センサとして用いられると好適である。
【0033】
図1および図2に示されるように、本実施形態の圧力センサは、ケース10と、第1、第2センサ部20、30と、回路チップ40と、シール部材50と、保護部材60とを備えた構成とされている。
【0034】
ケース10は、第1、第2センサ部20、30および回路チップ40を収容するものであり、例えばPPS(ポリフェニレンサルファイド)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)やエポキシ樹脂等の樹脂材料を、金型を用いて型成形してなる板状のものである。そして、ケース10の一面には、窪み部11が形成されていると共に、この窪み部11に第1、第2凹部12、13が形成されており、ケース10のうち、第1、第2凹部12、13が形成される一面と反対側の他面には、第1、第2凹部12、13にそれぞれ達し、ケース10の厚さ方向に貫通するように第1、第2圧力導入孔14、15が形成されている。第1、第2圧力導入孔14、15には、それぞれ図示しない圧力ポートが連結されており、圧力ポートを介して圧力が導入される。
【0035】
図3は、ケース10の上面図である。図1〜図3に示されるように、第1、第2凹部12、13は、互いに同一形状とされており、それぞれシール部材50が滴下される第1、第2滴下領域12a、13aを備えている。具体的には、第1、第2凹部12、13は、開口部が互いに矩形状とされており、第1、第2滴下領域12a、13aをそれぞれ二つずつ備えている。さらに、詳しくは、第1滴下領域12aは第1凹部12の矩形状を構成する隣り合う二辺が交差する角部に備えられており、第2滴下領域13aは第2凹部13の矩形状を構成する隣り合う二辺が交差する角部に備えられている。
【0036】
詳述すると、本実施形態では、第1凹部12における図2中紙面上側に位置する辺を第1辺とし、第1辺と隣り合い、図2中紙面右側に位置する辺であって、かつ後述する回路チップ40と相対する辺を第2辺とし、第2辺と相対し、図2中紙面左側に位置する辺を第3辺とし、第1辺と相対し、図2中紙面下側に位置する辺を第4辺としている。同様に、第2凹部13では、第1凹部12の各辺に対応する辺がそれぞれ第1〜第4辺としている。具体的には、第2凹部13における図2中紙面上側に位置する辺を第1辺とし、第1辺と隣り合い、図2中紙面右側に位置する辺を第2辺とし、第2辺と相対し、図2中紙面左側に位置する辺を第3辺とし、第1辺と相対し、図2中紙面下側に位置する辺であって、後述する回路チップ40と相対する辺を第4辺としている。そして、次のように第1、第2滴下領域12a、13aがそれぞれ第1、第2凹部12、13に備えられている。
【0037】
すなわち、一方の第1滴下領域12aは、第1凹部12における第1辺(図2中紙面上側の辺)から第1凹部12と反対側に突出していると共に、第1辺と、第1辺と隣り合う第2辺(図2中紙面右側の辺)とが交差する角部と終端が一致するように第1凹部12に備えられている。そして、他方の第1滴下領域12aは、第2辺と相対する第3辺(図2中紙面左側の辺)から第1凹部12側と反対側に突出していると共に、第3辺と、第3辺と隣り合い、かつ第1辺と相対する第4辺(図2中紙面下側の辺)とが交差する角部と終端が一致するように第1凹部12に備えられている。
【0038】
同様に、一方の第2滴下領域13aは、第2凹部13における第1辺(図2中紙面上側の辺)から第2凹部13と反対側に突出していると共に、第1辺と、第1辺に隣り合う第2辺(図2中紙面右側の辺)とが交差する角部と終端が一致するように第2凹部13に備えられている。そして、他方の第2滴下領域13aは、第2辺と相対する第3辺(図2中紙面左側の辺)から第2凹部13側と反対側に突出していると共に、第3辺と、第3辺と隣り合い、かつ第1辺と相対する第4辺(図2中紙面下側の辺)とが交差する角部と終端が一致するように第2凹部13に備えられている。
【0039】
本実施形態では、以上説明したように第1、第2凹部12、13のうち回路チップ40側と異なる部分に第1、第2滴下領域12a、13aを備えることにより、第1、第2凹部12、13と回路チップ40との間の領域を従来の圧力センサと比較して長くならにようにしている。なお、上記では、第1、第2滴下領域12a、13aが備えられる部分を図2を用いて説明したが、図3はケース10の上面図であり、図3においても第1、第2凹部12、13における第1〜第4辺は同様の関係となる。
【0040】
また、第1、第2圧力導入孔14、15も互いに同一形状とされている。そして、本実施形態では、第1凹部12および第1圧力導入孔14の配置と、第2凹部13および第2圧力導入孔15の配置とが同一とされている。また、第1、第2凹部12、13には、それぞれ圧力検出用の第1、第2センサ部20、30が配設され、第1、第2センサ部20、30により第1、第2凹部12、13と第1、第2圧力導入孔14、15とがそれぞれ区画されている。
【0041】
第1、第2センサ部20、30は、図1および図2に示されるように、同一形状であると共に、正方板状とされており、それぞれセンサチップ21、31と台座22、32とを有した構成とされている。各センサチップ21、31は、圧力を検出してその圧力に応じたレベルの電気信号を発生するものであり、同一形状の正方板状とされている。具体的には、各センサチップ21、31は、板の一面に薄肉部であり歪み部であるダイヤフラム23、33を有すると共に、板の他面にダイヤフラム23、33を構成するために異方性エッチング等により形成された凹部24、34を有する半導体ダイヤフラム式のものである。
【0042】
そして、ダイヤフラム23、33には、一方向と平行になる方向を長手方向とし、複数回折り返された線により構成されるパターンの四個のゲージ抵抗25a〜25d、35a〜35dがそれぞれブリッジ回路を構成するように形成されている。これにより、各センサチップ21、31では、板の両面に圧力が印加されると、両圧力の差圧によってダイヤフラム23、33が歪み、ブリッジ回路にて差圧に応じた電気信号が生成(出力)される。なお、各ゲージ抵抗25a〜25d、35a〜35dの長手方向は特に限定されるものではないが、各センサチップ21、31を、例えば、(110)面を主表面とするSi基板を用いて構成した場合には長手方向を〈110〉結晶軸方向とすることができる。これにより、例えば、長手方向を〈100〉結晶軸方向とした場合と比較して、高い出力を得ることができる。
【0043】
また、各センサチップ21、31には、ダイヤフラム23、33の外縁部であって、各ゲージ抵抗25a〜25d、35a〜35dと後述する回路チップ40との間にパッド部26、36が形成されている。本実施形態では、第1センサ部20に形成されている各ゲージ抵抗25a〜25dに対するパッド部26の配置と、第2センサ部30に形成されている各ゲージ抵抗35a〜35dに対するパッド部36の配置とが90度回転された関係とされている。つまり、第2センサ部30のパッド部36は、第1センサ部20のパッド部26から90度回転した位置に備えられている。
【0044】
以下では、センサチップ21、31のうち、ダイヤフラム23、33が形成された面をセンサチップ21、31の表面とし、凹部24、34が形成された面をセンサチップ21、31の裏面として説明する。本実施形態では、後述するように、センサチップ21、31の表面および裏面で圧力を受圧するため、センサチップ21、31の両面が圧力受圧面となる。
【0045】
台座22、32はガラス等により構成されており、各センサチップ21、31の裏面と陽極接合等により接合されることで各センサチップ21、31と一体化されている。また、各台座22、32には、センサチップ21、31が固定された面から中を貫いて反対側の面に抜け、それぞれ第1、第2圧力導入孔14、15と連通するように貫通孔27、37が形成されている。
【0046】
そして、これらの台座22、32がそれぞれ接着剤28、38を介してケース10の第1、第2凹部12、13の底面に接着されることにより、第1、第2センサ部20、30がケース10に配設されている。具体的には、第1、第2センサ部20、30は、第1凹部12に備えられた各第1滴下領域12aに対する第1センサ部20の各ゲージ抵抗25a〜25dの配置と、第2凹部13に備えられた各第2滴下領域13aに対する第2センサ部30の各ゲージ抵抗35a〜35dの配置とが同一となるように第1、第2凹部12、13に配設されている。さらに、詳しくは、各第1滴下領域12aに対する第1センサ部20のゲージ抵抗25a〜25dのパターンと、各第2滴下領域13aに対する第2センサ部30のゲージ抵抗35a〜35dのパターンとが同一となるように、第1、第2センサ部20、30がそれぞれ第1、第2凹部12、13に配設されている。なお、各台座22、32と第1、第2凹部12、13の底面との間に配置される接着剤27、37としては、例えば、シリコン系接着剤やフロロシリコン系接着剤等を用いることができる。
【0047】
また、第1、第2凹部12、13には、例えば、フッ素ゴム等で構成されるシール部材50が配置されている。具体的には、シール部材50は、第1、第2凹部12、13に備えられた第1、第2滴下領域12a、13aに対して滴下されることにより、第1、第2凹部12、13において第1、第2センサ部20、30の周囲に配置されている。これにより、測定媒体が第1、第2圧力導入孔14、15から第1、第2凹部12、13内に侵入することを防止することができる。
【0048】
回路チップ40は、第1、第2センサ部20、30に対する駆動信号の出力や外部への検出用信号の出力をすると共に、第1、第2センサ部20、30からの電気信号を入力し、演算・増幅処理して外部へ出力する等の機能を有する制御回路等を備えたものである。このような回路チップ40としては、例えば、シリコン基板等に対して半導体製造プロセスを行うことにより製造されたCMOSトランジスタやバイポーラトランジスタ等を用いることができる。
【0049】
そして、回路チップ40は、第1、第2センサ部20、30と共に、ケース10に接着剤41を介して固定されている。具体的には、回路チップ40は、回路チップ40に対して一方向に第1センサ部20が配置され、該一方向と垂直方向に第2センサ部30が配置されるように、すなわち、第1、第2センサ部20、30と共にL字状となるように、ケース10の窪み部11に配置されている。そして、第1、第2センサ部20、30に備えられたパッド部26、36と回路チップ40に備えられているパッド部42とが、金やアルミニウム等からなるボンディングワイヤ70を介して結線され電気的に接続されている。
【0050】
さらに、本実施形態では、第1、第2圧力導入孔14、15にそれぞれゲル状の材料からなる保護部材60が充填されている。具体的には、保護部材60は、各台座22、32の貫通孔27、37を介して、各センサチップ21、31の裏面に到達するように、第1、第2圧力導入孔14、15にそれぞれ備えられている。この保護部材60は、圧力ポートから導入された圧力を各センサチップ21、31に媒介すると共に、腐食ガスや湿度から各センサチップ21、31や第1、第2圧力導入孔14、15等を保護するものである。なお、保護部材60としては、例えば、フッ素ゲル、シリコンゲル、フロロシリコンゲル等を用いることができる。特に、排気ガス圧を測定する場合には、排気ガスによる凝縮水は、排気ガスの窒素酸化物や硫黄酸化物が溶け込み強い酸性を持つため、ゲル材料としては、耐酸性が強いフッ素ゲルを使用することが好ましい。
【0051】
また、図示しないが、ケース10には、回路チップ40と外部との電気的な接続を行うためのコネクタ部が設けられている。このコネクタ部には、回路チップ40と電気的に接続される配線部材としてのターミナルが設けられており、このターミナルを介して、回路チップ40から出力される信号が取り出される。例えば、このターミナルが外部配線部材に接続されることにより、回路チップ40は、外部回路(たとえば、車両のECU等)に対して信号のやり取りを行うことができる。
【0052】
以上説明したように本実施形態の圧力センサが構成されており、次に、本実施形態の圧力センサの製造方法について説明する。
【0053】
まず、上記形状の窪み部11、第1、第2滴下領域12a、13aをそれぞれ備えた第1、第2凹部12、13および第1、第2圧力導入孔14、15を有するケース10を用意する。そして、第1、第2センサ部20、30をそれぞれ第1、第2凹部12、13に固定する。具体的には、各台座22、32の貫通孔27、37と第1、第2圧力導入孔14、15とがそれぞれ繋がり、かつ、各第1滴下領域12aに対する第1センサ部20のゲージ抵抗25a〜25dの配置と、各第2滴下領域13aに対する第2センサ部30のゲージ抵抗35a〜35dの配置とが同一となるように、第1、第2センサ部20、30を第1、第2凹部12、13に配設する。さらに詳しくは、各第1滴下領域12aに対する第1センサ部20のゲージ抵抗25a〜25dのパターンと、各第2滴下領域13aに対する第2センサ部30のゲージ抵抗35a〜35dのパターンとが同一となるように、第1、第2センサ部20、30を第1、第2凹部12、13に配設する。
【0054】
その後、第1、第2凹部12、13にシール部材50を配置する。具体的には、第1、第2滴下領域12a、13aそれぞれに対してシール部材50を同じ分量ずつ滴下し、第1、第2滴下領域12a、13aからシール部材50を濡れ拡がらせることにより第1、第2センサ部20、30の周囲に配置する。このとき、第1、第2凹部12、13は同一形状とされており、第1滴下領域12aに対する第1センサ部20の配置と、第2滴下領域13aに対する第2センサ部30の配置とが同一とされているので、シール部材50は第1、第2凹部12、13において同じように濡れ拡がることになる。このため、第1センサ部20の周囲に配置されるシール部材50の形状と、第2センサ部30の周囲に配置されるシール部材50の形状とが同一になる。
【0055】
次に、第1、第2センサ部20、30と共にL字状となるように、回路チップ40をケース10の窪み部11に接着固定する。その後、第1、第2センサ部20、30と回路チップ40との間をワイヤボンディングし、電気的に接続する。続いて、ケース10の第1、第2圧力導入孔14、15に保護部材60を注入・充填し、気泡発生を防ぐために真空脱泡する。以上のようにして、本実施形態の圧力センサが製造される。
【0056】
次に、本実施形態の圧力センサの作動について説明する。
【0057】
図4は、本実施形態の圧力センサを用いて構成されたDPFシステムのブロック図である。図4に示されるように、本実施形態の圧力センサは、例えば、DPF前後の排気管の差圧を検出するのに用いられ、第1圧力導入孔14には圧力ポートからDPFの上流側排気が導入され、第2圧力導入孔15には圧力ポートからDPFの下流側排気が導入される。これにより、第1センサ部20は、センサチップ21の裏面で、第1圧力導入孔14の内部の保護部材60を介して、上流側圧力を受圧すると共に、その表面で基準圧力としての大気圧を受圧する。したがって、第1センサ部20は、上流側圧力と基準圧力との差圧を検出する、すなわち、大気圧を基準とした上流側圧力の相対圧に基づく電気信号を回路チップ40に向けて出力する。このとき、第1センサ部20から出力される信号には、シール部材50から第1センサ部20の各ゲージ抵抗25a〜25dに印加される応力を含んだ信号が出力される。
【0058】
同様に、第2センサ部30は、センサチップ31の裏面で、第2圧力導入孔15の内部の保護部材60を介して、下流側圧力を受圧すると共に、その表面で基準圧力としての大気圧を受圧する。したがって、第2センサ部30は、下流側圧力と基準圧力との差圧を検出する、すなわち、大気圧を基準とした下流側圧力の相対圧に基づく電気信号を回路チップ40に向けて出力する。このとき、第2センサ部30から出力される信号には、シール部材50から第2センサ部30の各ゲージ抵抗35a〜35dに印加される応力を含んだ信号が出力される。
【0059】
そして、回路チップ40は、第1、第2センサ部20、30から入力された電気信号に基づいて、第1センサ部20が検出した上流側圧力の相対圧と、第2センサ部30が検出した下流側圧力の相対圧の差を算出し、その算出結果を電気信号として、圧力センサの外部に向けて出力する。以上のようにして、DPF前後の排気管の差圧が検出される。
【0060】
このような圧力センサでは、第1、第2センサ部20、30は同一形状の正方板状とされ、同一形状とされた第1、第2凹部12、13にはそれぞれ第1、第2滴下領域12a、13aが備えられている。そして、各第1滴下領域12aに対する第1センサ部20のゲージ抵抗25a〜25dの配置と、各第2滴下領域13aに対する第2センサ部30のゲージ抵抗35a〜35dの配置とが同一とされていると共に、各第1滴下領域12aに対する第1センサ部20のゲージ抵抗25a〜25dのパターンと、各第2滴下領域13aに対する第2センサ部30のゲージ抵抗35a〜35dのパターンとが同一とされている。したがって、第1、第2滴下領域12a、13aに対してシール部材50を滴下することにより、第1凹部12において第1センサ部20の周囲に配置されるシール部材50の形状と、第2凹部13において第2センサ部30の周囲に配置されるシール部材50の形状とを同じにすることができる。
【0061】
このため、第1センサ部20の各ゲージ抵抗25a〜25dと、これらのゲージ抵抗25a〜25dに対応する第2センサ部30の各ゲージ抵抗35a〜35dとに対してそれぞれシール部材50から印加される応力を同じにすることができる。すなわち、回路チップ40で第1、第2センサ部20、30が検出した圧力の差を演算した際に、第1、第2センサ部20、30の各ゲージ抵抗25a〜25d、35a〜35dに印加されるシール部材50からの応力を検出結果から除去することができ、高精度に差圧を検出することができる。
【0062】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態の圧力センサは、第1実施形態に対して第3センサ部を追加したものであり、その他に関しては第1実施形態と同様であるためここでは説明を省略する。図5は本実施形態の圧力センサの断面構成を示す図、図6は図5に示す圧力センサの上面図であり、図6は図5中のC−C矢視断面に相当している。
【0063】
図5および図6に示されるように、本実施形態の圧力センサでは、第3センサ部80が、ケース10の窪み部11に接着剤88を介して固定されている。さらに詳しくは、第3センサ部80は、第1センサ部20が配置される回路チップ40からの一方向上に配置されていると共に、回路チップ40を挟んで第1センサ部20と反対側に配置されている。
【0064】
この第3センサ部80は、第1、第2センサ部20、30と同様に、センサチップ81と台座82とを有した構成とされている。そして、センサチップ81は、表面にダイヤフラム83を備えていると共に、裏面に凹部84を備えており、ダイヤフラム83にはブリッジ回路を構成するように四個のゲージ抵抗85a〜85dが形成されている。また、台座82はセンサチップ81の裏面と接合されており、台座82によって密閉された凹部84内が真空とされている。これにより、第3センサ部80は、センサチップ81の裏面で真空圧を受圧すると共に、その表面で大気圧を受圧するため、第3センサ部80は大気圧を検出することができる。また、この第3センサ部80には、パッド部86が備えられており、ボンディングワイヤ70を介して回路チップ40と電気的に接続されている。なお、本実施形態では、大気圧が基準圧力に相当する。
【0065】
次に、このような圧力センサの作動を説明する。
【0066】
図7は、本実施形態の圧力センサを用いて構成されたDPFシステムのブロック図である。図7に示されるように、本実施形態の圧力センサでは、第1センサ部20にてDPFにおける上流側圧力の相対圧が検出され、第2センサ部30にてDPFにおける下流側圧力の相対圧が検出され、第3センサ部80にて大気圧が検出される。
【0067】
これにより、回路チップ40では、例えば、第3センサ部80にて検出された大気圧を用いて、第1センサ部20にて検出されるDPFの上流側圧力と大気圧との差圧から大気圧を相殺することができ、DPFの上流側における絶対圧を検出することができる。
【0068】
したがって、このような圧力センサによれば、上記第1実施形態の効果を得つつ、DPFの上流側における絶対圧を検出することもできる。
【0069】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態の圧力センサは、第1実施形態に対して、ケース10に第3凹部および第3圧力導入孔を備えると共に、第4センサ部を追加したものであり、その他に関しては第1実施形態と同様であるためここでは説明を省略する。図8は本実施形態の圧力センサの断面構成を示す図、図9は図8に示す圧力センサの上面図であり、図8は図9中のD−D矢視断面に相当している。
【0070】
図8および図9に示されるように、本実施形態の圧力センサでは、ケース10のうち窪み部11の底面に第3凹部16が形成されており、この底面と反対側の一面に、第3凹部16に達し、ケース10の厚さ方向に貫通するように第3圧力導入孔17が形成されている。第3圧力導入孔17には、図示しない圧力ポートが連結されており、圧力ポートを介して圧力が導入されるようになっている。
【0071】
第3凹部16は、第1、第2凹部12、13と同一形状とされており、シール部材50が滴下される第3滴下領域16aを二つ備えている。具体的には、上記第1実施形態と同様に、第3凹部16における図9中紙面上側に位置する辺を第1辺とし、第1辺と隣り合い、図9中紙面左側に位置する辺であって、かつ回路チップ40と相対する辺を第2辺とし、第2辺と相対し、図9中紙面右側に位置する辺を第3辺とし、第1辺と相対し、図9中紙面下側に位置する辺を第4辺としている。そして、次のように第3滴下領域16aが第3凹部16に備えられている。
【0072】
すなわち、一方の第3滴下領域16aは、第3凹部16における第1辺(図9中紙面上側の辺)から第3凹部16と反対側に突出していると共に、第1辺と、第1辺と隣り合う第2辺(図9中紙面左側の辺)とが交差する角部と終端が一致するように第3凹部16に備えられている。そして、他方の第3滴下領域16aは、第2辺と相対する第3辺(図9中紙面右側の辺)から第3凹部16側と反対側に突出していると共に、第3辺と、第3辺と隣り合い、かつ第1辺と相対する第4辺(図9中紙面下側の辺)とが交差する角部と終端が一致するように第3凹部16に備えられている。
【0073】
また、第3凹部16および第3圧力導入孔17の配置と、第1、2凹部12、13および第1、2圧力導入孔14、15の配置とが同一とされている。また、第3凹部16には、接着剤98を介して圧力検出用の第4センサ部90が配設され、第4センサ部90により第3凹部16と第3圧力導入孔17とが区画されている。この第4センサ部90は、第1センサ部20が配置される回路チップ40からの一方向上に配置されていると共に、回路チップ40を挟んで第1センサ部20と反対側に配置されている。
【0074】
また、第4センサ部90は、第1、第2センサ部20、30と同様に、センサチップ91と台座92とを有した構成とされている。センサチップ91は、上記第1、第2センサ部20、30の各センサチップ21、31と同様に、表面にダイヤフラム93を備えていると共に、裏面に凹部94を備えている。そして、ダイヤフラム93には、一方向と平行になる方向を長手方向とし、複数回折り返された線により構成されるパターンの四個のゲージ抵抗95a〜95dがブリッジ回路を構成するように形成されている。また、センサチップ91には、ダイヤフラム93の外縁部であって、ゲージ抵抗95a〜95dと回路チップ40との間にパッド部96が形成されている。本実施形態では、第1センサ部20の各ゲージ抵抗25a〜25dに対するパッド部26の配置と、第4センサ部90の各ゲージ抵抗95a〜95dに対するパッド部96の配置とが180度回転された関係とされており、第2センサ部30の各ゲージ抵抗35a〜35dに対するパッド部36の配置と、第4センサ部90の各ゲージ抵抗95a〜95dに対するパッド部96の配置とが90度回転された関係とされている。
【0075】
また、第4センサ部90は、第1、2凹部12、13に備えられた第1、2滴下領域12a、13aに対する第1、2センサ部20、30の各ゲージ抵抗25a〜25d、35a〜35dの配置と、第3凹部16に備えられた第3滴下領域16aに対する第4センサ部90の各ゲージ抵抗95a〜95dの配置とが同一となるように第3凹部16に配設されている。そして、第3凹部16にはシール部材50が配置されており、第1、2センサ部20、30の周囲に配置されるシール部材50の形状と、第4センサ部90の周囲に配置されるシール部材50の形状とが同一とされている。
【0076】
そして、台座92には、センサチップ91が固定された面から中を貫いて反対側の面に抜け、第3圧力導入孔17と連通するように貫通孔97が形成されている。
【0077】
図10は、本実施形態の圧力センサを用いて構成されたDPFシステムのブロック図である。図10に示されるように、本実施形態の圧力センサでは、第1センサ部20にて第1DPFにおける上流側圧力の相対圧が検出され、第2センサ部30にて第1DPFの下流側圧力(第2DPFの上流側圧力)における相対圧が検出され、第4センサ部90にて第2DPFの下流側圧力における相対圧が検出される。
【0078】
したがって、回路チップ40では、第1センサ部20が検出した第1DPFの上流側圧力の相対圧と、第2センサ部30が検出した第1DPFの下流側圧力の相対圧の差とを算出すると共に、第2センサ部30が検出した第2DPFの上流側圧力の相対圧と、第4センサ部90が検出した第2DPFの下流側圧力の相対圧との差を算出し、その算出結果を電気信号として、圧力センサの外部に向けて出力する。
【0079】
このような圧力センサでは、第1、2凹部12、13に備えられた第1、2滴下領域12a、13aに対する第1、2センサ部20、30の各ゲージ抵抗25a〜25d、35a〜35dの配置と、第3凹部16に備えられた第3滴下領域16aに対する第4センサ部90の各ゲージ抵抗95a〜95dの配置とが同一とされていると共に、第1、2凹部12、13に備えられた第1、2滴下領域12a、13aに対する第1、2センサ部20、30の各ゲージ抵抗25a〜25d、35a〜35dのパターンと、第3凹部16に備えられた第3滴下領域16aに対する第4センサ部90の各ゲージ抵抗95a〜95dのパターンとが同一とされている。したがって、第1〜第3滴下領域12a、13a、16aに対してシール部材50を滴下することにより、第1、第2凹部12、13において第1、第2センサ部20、30の周囲に配置されるシール部材50の形状と、第3凹部16において第4センサ部90の周囲に配置されるシール部材50の形状とを同じにすることができる。
【0080】
このため、第1、2センサ部20、30の各ゲージ抵抗25a〜25d、35a〜35dと、これらのゲージ抵抗25a〜25d、35a〜35dに対応する第4センサ部90の各ゲージ抵抗95a〜95dとに対してそれぞれシール部材50から印加される応力を同じにすることができる。このため、回路チップ40にて第1、第2、第4センサ部20、30、90の各ゲージ抵抗25a〜25d、35a〜35d、95a〜95dに印加されるシール部材50からの応力を除去することができ、上記第1実施形態と同様の効果を得つつ、排気管に連続して備えられているDPF前後の差圧をそれぞれ検出することができる。
【0081】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態の圧力センサは、第1実施形態に対して、第1、第2凹部12、13の角部をそれぞれ面取りしたものであり、その他に関しては第1実施形態と同様であるためここでは説明を省略する。図11は本実施形態の圧力センサの上面図である。
【0082】
図11に示されるように、本実施形態の圧力センサでは、第1、第2凹部12、13の矩形状を構成する隣り合う二辺が交差する角部のうち一つの角部がそれぞれ面取りされている。具体的には、上記第1実施形態で説明したように、一方の第1、第2滴下領域12a、13aは、第1、第2凹部12、13における第1辺(図11中紙面上側の辺)と第2辺(図11中紙面右側の辺)とが交差する角部と終端が一致するように、第1、第2凹部12、13にそれぞれ備えられている。また、他方の第1、第2滴下領域12a、13aは、第1、第2凹部12、13における第3辺(図11中紙面左側の辺)と第4辺(図11中紙面下側の辺)とが交差する角部と終端が一致するように、第1、第2凹部12、13にそれぞれ備えられている。そして、本実施形態では、第1、第2凹部12、13における第2辺と第4辺とが交差する角部(図11中紙面右下の角部)、すなわち第1、第2凹部12、13のうち第1、第2滴下領域12a、13aから最も離れた角部がC面取りされている。
【0083】
このような圧力センサでは、第1、第2凹部12、13のうち第1、第2滴下領域12a、13aから最も離れた角部(図11中右下の角部)が面取りされている。したがって、上記第1実施形態と比較して、第1、第2凹部12、13のうち第1、第2滴下領域12a、13aから最も離れた部分にシール部材50を配置しやすくなる。すなわち、シール部材50は、凝固しつつ、濡れ広がることにより第1、第2センサ部20、30の周囲に配置される。このとき、上記第1実施形態と比較して、面取りされた領域ではシール部材50の流入面積が小さくなることにより流入速度が速くなり、第1、第2凹部12、13のうち第1、第2滴下領域12a、13aから最も離れた部分にシール部材50が流入する時間を短くすることができるため、当該部分にもシール部材50を流入しやすくなる。
【0084】
したがって、本実施形態の圧力センサでは、上記第1実施形態の圧力センサと比較して、第1、第2センサ部20、30の周囲に配置されるシール部材50の形状を均等にしやすくすることができる。詳しくは、上記第1実施形態では、図1に示されるように、第1、第2滴下領域12a、13aから離れた部分では、第1、第2センサ部20、30と第1、第2凹部12、13の壁面との間においてシール部材50の表面が窪んで配置されることになる。一方、図12は、本実施形態の圧力センサの断面構成を示す図であり、図12に示されるように、本実施形態の圧力センサでは、第1、第2滴下領域12a、13aから離れた部分においても、第1、第2センサ部20、30と第1、第2凹部12、13との壁面との間においてシール部材50の表面を窪ませることなく配置することができる。したがって、本実施形態の圧力センサによれば、上記第1実施形態の圧力センサと比較して、第1、第2センサ部20、30の各ゲージ抵抗25a〜25d、35a〜35dに印加される応力を均等にすることができつつ、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、図12は、図11中のE−E矢視断面に相当している。
【0085】
(他の実施形態)
上記第1実施形態では、第1、第2センサ部20、30および回路チップ40がL字状となるように配置されている例について説明したが、もちろんこれに限定されるものではなく、例えば、回路チップ40に対して一方向に第1センサ部20を配置し、該一方向と60度の方向に第2センサ部30を配置することもできる。
【0086】
また、上記各実施形態では、第1センサ部20に形成されるパッド部26と、第2センサ部30に形成されるパッド部36とが90度回転した向きに備えられている例を説明したが、第1、第2センサ部20、30の同一箇所にパッド部26、36を備えて、第1センサ部20と第2センサ部30とを共通化させることもできる。図13は、他の実施例にかかるセンサチップ21の上面図である。図13(a)に示されるように、センサチップ21のうちダイヤフラム23の外縁部であって、隣り合う二辺とダイヤフラム23とのそれぞれの間にパッド部26を設けてもよい。このような場合には、例えば、上記第1、第2実施形態のように第1、第2センサ部20、30および回路チップ40をL字状に配置する場合であっても、各センサチップ21、31を共通化させることができるため、製造工程を簡略化することができる。また、図13(b)に示されるように、センサチップ21のうちダイヤフラム23の外縁部であって、三辺とダイヤフラム23とのそれぞれの間にパッド部26を設けてもよい。このような場合は、例えば、第3実施形態のように第1、第2、第4センサ部20、30、90をケース10に配設する場合であっても、各センサチップ21、31、91を共通化させることができる。
【0087】
さらに、上記第4実施系形態では、第1、第2凹部12、13のうち第2辺と第4辺とが交差する角部(図11中紙面右下の角部)をC面取りすることを例に挙げて説明したが、もちろんR面取りすることもできる。さらに、第1、第2凹部12、13のうち第2辺と第4辺とが交差する角部に加えて第1辺と第3辺とが交差する角部(図11中紙面左上の角部)を面取りすることもできる。さらに、第1辺と第3辺とが交差する角部のみを面取りすることもできる。すなわち、第1凹部12のうち二つの第1滴下領域12aが備えられる角部と異なる角部を面取りすると共に、第2凹部13のうち二つの第2滴下領域13aが備えられる角部と異なる角部を面取りすることにより、上記第4実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0088】
また、上記各実施形態では、第1、第2凹部12、13はそれぞれ二つずつ第1、第2滴下領域12a、13を備えている例について説明したが、第1凹部12に一つの第1滴下領域12aのみを備えると共に、第2凹部13に一つの第2滴下領域13aのみを備えることもできる。図14は他の実施形態にかかる圧力センサの上面図である。例えば、図14に示されるように、一つの第1、第2滴下領域12a、13aのみを、第1、第2凹部12、13における第1辺(図14中紙面上側の辺)と第2辺(図14中紙面右側の辺)とが交差する角部と終端が一致するように、第1、第2凹部12、13にそれぞれ備えることもできる。
【0089】
そして、このような一つの第1、第2滴下領域12a、13aのみを第1、第2凹部12、13に備えた圧力センサを上記第4実施形態と組み合わせることもできる。図15は、他の実施形態にかかる圧力センサの上面図である。図15に示されるように、第1、第2凹部12、13のうち、それぞれ第1辺と第2辺とが交差する角部(図15中右上の角部)に第1、第2滴下領域12a、13aを備え、第1、第2滴下領域12a、13aを備える角部と対角に位置する角部である第3辺と第4辺とが交差する角部を面取りすることもできる。なお、ここでは第1、第2滴下領域12a、13aにおいて、隣り合う二辺が交差する角部のうち第1、第2滴下領域12a、13aが備えられる角部と対角に位置する角部が面取りされている例について説明したが、第1、第2凹部12、13における隣り合う二辺が交差する角部のうち、第1、第2滴下領域12a、13aを備える角部と対角に位置する角部および第1、第2滴下領域12a、13aを備える角部と隣り合う角部の三つの角部のうち少なくとも一つの角部が面取りされていれば同様の効果を得ることができる。
【0090】
さらに、上記各実施形態では、第1、第2凹部12、13における第1辺を各図中紙面上側の辺とし、第2辺を各図中紙面右側の辺とし、第3辺を各図中紙面左側の辺とし、第4辺を各図中紙面下側の辺とする例について説明し、上記第3実施形態では、第3凹部16における第1辺を図9中紙面上側の辺とし、第2辺を図9中紙面左側の辺とし、第3辺を図9中紙面右側の辺とし、第4辺を図9中紙面下側の辺とする例について説明したが、もちろん第1〜第4辺の対応関係はこれに限定されるものではない。例えば、第1〜第3凹部12、13、16において、第1辺を各図中紙面右側の辺とし、第2辺を各図中紙面下側の辺とし、第3辺を各図中紙面上側の辺とし、第4辺を各図中紙面左側の辺とすることもできる。
【0091】
また、上記第1〜第3実施形態では、一方の第1、第2滴下領域12a、13aが、第1辺と第2辺とが交差する角部と終端が一致するように第1、第2凹部12、13にそれぞれ備えられており、他方の第1、第2滴下領域12a、13aが、第3辺と第4辺とが交差する角部と終端が一致するように第1、第2凹部12、13にそれぞれ備えられている例について説明したが、第1、第2滴下領域12a、13aが備えられる領域はこれに限定されるものではない。例えば、一方の第1、第2滴下領域12a、13aを、それぞれ第1辺から突出させると共に、第1辺と第2辺とが交差する角部を含み、終端が第2辺となるようにすることもできる。そして、他方の第1、第2滴下領域12a、13aを、それぞれ第3辺から突出させると共に、第3辺と第4辺とが交差する角部を含み、終端が第4辺となるようにすることもできる。すなわち、第1、第2滴下領域12a、13aを、隣り合う二辺が交差する角部を含み、当該二辺に跨るように形成することもできる。同様に、上記第3実施形態における第3凹部16においても、第3滴下領域16aを、隣り合う二辺が交差する角部を含み、当該二辺に跨るように形成することもできる。
【0092】
さらに、上記各実施形態を組み合わせて圧力センサを構成することもできる。例えば、上記第2実施形態と上記第3実施形態とを組み合わせて、ケース10に、第1〜第4センサ部20、30、80、90を配設することもできる。
【0093】
また、上記第4実施形態を、上記第2実施形態に組み合わせて第1、第2凹部12、13のうち第2辺と第4辺とが交差する角部を面取りすることもできるし、上記第3実施形態に組み合わせて第1〜第3凹部12、13、16のうち第2辺と第4辺とが交差する角部を面取りすることもできる。
【符号の説明】
【0094】
10 ケース
12 第1凹部
12a 第1滴下領域
13 第2凹部
13a 第2滴下領域
14 第1圧力導入孔
15 第2圧力導入孔
20 第1センサ部
30 第2センサ部
40 回路チップ
50 シール部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面に第1、第2凹部(12、13)を備える板状のケース(10)と、
前記ケース(10)に備えられ、前記第1、第2凹部(12、13)の底面と前記一面と反対側の他面とを貫通する圧力導入孔(14、15)と、
ダイヤフラム(23、33)を有すると共に、前記ダイヤフラム(23、33)の歪みに伴う検出信号を出力するためのブリッジ回路を構成するゲージ抵抗(25a〜25d、35a〜35d)を備え、前記第1凹部(12)に配設されると共に、前記第1凹部(12)と前記圧力導入孔(14)とを区画する第1センサ部(20)および前記第2凹部(13)に配設されると共に、前記第2凹部(13)と前記圧力導入孔(15)とを区画する第2センサ部(30)と、
前記ケース(10)に備えられ、前記第1、第2センサ部(20、30)から出力された信号を演算する回路チップ(40)と、
前記第1、第2凹部(12、13)に対して滴下されることにより前記第1、第2凹部(12、13)に配置され、前記第1、2凹部(12、13)において前記第1、第2センサ部(20、30)の周囲に配置されるシール部材(50)と、を備え、
前記第1、第2センサ部(20、30)は同一形状であると共に、正方板状とされており、
前記第1凹部(12)は前記シール部材(50)が滴下される第1滴下領域(12a)を備えていると共に、前記第2凹部(13)は前記シール部材(50)が滴下される第2滴下領域(13a)を備えており、前記第1凹部(12)と前記第2凹部(13)とは同一形状とされ、
前記第1滴下領域(12a)に対する前記第1センサ部(20)に形成されているゲージ抵抗(25a〜25d)の配置と前記第2滴下領域(13a)に対する前記第2センサ部(30)に形成されているゲージ抵抗(35a〜35d)の配置とが同一とされていることを特徴とする圧力センサ。
【請求項2】
前記第1滴下領域(12a)に対する前記第1センサ部(20)に形成されている前記ゲージ抵抗(25a〜25d)のパターンと、前記第2滴下領域(13a)に対する前記第2センサ部(30)に形成されている前記ゲージ抵抗(35a〜35d)のパターンとが同一とされていることを特徴とする請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項3】
前記第1、第2センサ部(20、30)それぞれに形成されている前記ゲージ抵抗(25a〜25d、35a〜35d)は、一方向と平行になる方向を長手方向とし、複数回折り返された線により構成されるパターンであることを特徴とする請求項2に記載の圧力センサ。
【請求項4】
前記第1、第2凹部(12、13)は開口部が矩形状とされ、
前記第1滴下領域(12a)は前記第1凹部(12)の矩形状を構成する隣り合う二辺が交差する角部に備えられ、前記第2滴下領域(13a)は前記第2凹部(13)の矩形状を構成する隣り合う二辺が交差する角部に備えられ、
前記第1凹部(12)の矩形状を構成する隣り合う二辺が交差する角部のうち、前記第1滴下領域(12a)を備える角部と対角に位置する角部および前記第1滴下領域(12a)を備える角部と隣り合う角部の三つの角部のうち少なくとも一つの角部は面取りされており、
前記第2凹部(13)の矩形状を構成する隣り合う二辺が交差する角部のうち、前記第2滴下領域(13a)を備える角部と対角に位置する角部および前記第2滴下領域(13a)を備える角部と隣り合う角部の三つの角部のうち少なくとも一つの角部は面取りされていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の圧力センサ。
【請求項5】
前記第1凹部(12)は前記第1滴下領域(12a)を二つ備えると共に、前記第2凹部(13)は前記第2滴下領域(13a)を二つ備えており、
一方の前記第1滴下領域(12a)は隣り合う二辺が交差する角部に備えられていると共に、他方の前記第1滴下領域(12a)は当該角部と対角に位置する角部に備えられ、
一方の前記第2滴下領域(13a)は隣り合う二辺が交差する角部に備えられていると共に、他方の前記第2滴下領域(13a)は当該角部と対角に位置する角部に備えられ、
前記第1凹部(12)における二つの前記第1滴下領域(12a)が備えられる角部と異なる二つの角部の少なくとも一方は面取りされており、
前記第2凹部(13)における二つの前記第2滴下領域(13a)が備えられる角部と異なる二つの角部の少なくとも一方は面取りされていることを特徴とする請求項4に記載の圧力センサ。
【請求項6】
一方の前記第1滴下領域(12a)は、前記第1凹部(12)における第1辺から前記第1凹部(12)側と反対側に突出している共に、前記第1辺と、前記第1辺と隣り合う第2辺とが交差する角部と終端が一致しており、他方の前記第1滴下領域(12a)は、前記第2辺と相対する第3辺から前記第1凹部(12)側と反対側に突出していると共に、前記第3辺と、前記第3辺と隣り合い、かつ前記第1辺と相対する第4辺とが交差する角部と終端が一致しており、
一方の前記第2滴下領域(13a)は、前記第2凹部(13)における第1辺から前記第1凹部(12)側と反対側に突出している共に、前記第1辺と、前記第1辺と隣り合う第2辺とが交差する角部と終端が一致しており、他方の前記第2滴下領域(13a)は、前記第2辺と相対する第3辺から前記第1凹部(12)側と反対側に突出していると共に、前記第3辺と、前記第3辺と隣り合い、かつ前記第1辺と相対する第4辺とが交差する角部と終端が一致しており、
前記第1凹部(12)は前記第2辺と前記第4辺とが交差する角部が面取りされ、前記第2凹部(13)は第2辺と第4辺とが交差する角部が面取りされていることを特徴とする請求項5に記載の圧力センサ。
【請求項7】
前記第1凹部(12)は前記第1滴下領域(12a)を一つ備えると共に、前記第2凹部(13)は前記第2滴下領域(13a)を一つ備え、
前記第1凹部(12)のうち前記第1滴下領域(12a)が備えられる角部と対角に位置する角部は面取りされていると共に、前記第2凹部(13)のうち前記第2滴下領域(13a)が備えられる角部と対角に位置する角部は面取りされていることを特徴とする請求項4に記載の圧力センサ。
【請求項8】
前記第1滴下領域(12a)は、前記第1凹部(12)における第1辺から前記第1凹部(12)側と反対側に突出している共に、前記第1辺と、前記第1辺と隣り合う第2辺とが交差する角部と終端が一致しており、
前記第2滴下領域(13a)は、前記第2凹部(13)における第1辺から前記第1凹部(12)側と反対側に突出している共に、前記第1辺と、前記第1辺と隣り合う第2辺とが交差する角部と終端が一致しており、
前記第1凹部(12)は、前記第1凹部(12)における前記第2辺と相対する第3辺と前記第1辺と相対する第4辺とが交差する角部が面取りされ、前記第2凹部(13)は、前記前記第2辺と相対する第3辺と前記第1辺と相対する第4辺とが交差する角部が面取りされていることを特徴とする請求項7に記載の圧力センサ。
【請求項9】
前記第1、第2センサ部(20、30)は、それぞれダイヤフラム(23、33)の外縁部であって、前記ゲージ抵抗(25a〜25d、35a〜35d)と前記回路チップ(40)との間に、第1、第2パッド部(26、36)を備えていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載の圧力センサ。
【請求項10】
前記ケース(10)上において、前記第1センサ部(20)は前記回路チップ(40)に対して第一方向側に配置され、前記第2センサ部(30)は前記回路チップ(40)に対して前記第1方向と垂直になる第2方向側に配置されていることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1つに記載の圧力センサ。
【請求項11】
前記ケース(10)には、ダイヤフラム(83)を有すると共に、前記ダイヤフラム(83)の歪みに伴う検出信号を出力するためのブリッジ回路を構成するゲージ抵抗(85a〜85d)を備えた第3センサ部(80)が備えられており、
前記第1、第2、第3センサ部(20、30、80)のうち、前記ダイヤフラム(23、33、83)を備えている一面を表面とし、前記表面と反対側の一面を裏面とし、
前記第1、第2センサ部(20、30)は、それぞれ前記第1、第2圧力導入孔(14、15)に導入される圧力が前記第1、第2センサ部(20、30)の裏面側に印加されると共に、前記第1、第2センサ部(20、30)の表面側に基準圧力が印加され、それぞれ裏面側に印加される圧力と表面側に印加される基準圧力との差圧を検出し、
前記第3センサ部(80)は、裏面側に真空圧が印加されると共に、表面側に基準圧力が印加され、裏面側に印加される圧力と表面側に印加される基準圧力との差圧を検出することを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1つに記載の圧力センサ。
【請求項1】
一面に第1、第2凹部(12、13)を備える板状のケース(10)と、
前記ケース(10)に備えられ、前記第1、第2凹部(12、13)の底面と前記一面と反対側の他面とを貫通する圧力導入孔(14、15)と、
ダイヤフラム(23、33)を有すると共に、前記ダイヤフラム(23、33)の歪みに伴う検出信号を出力するためのブリッジ回路を構成するゲージ抵抗(25a〜25d、35a〜35d)を備え、前記第1凹部(12)に配設されると共に、前記第1凹部(12)と前記圧力導入孔(14)とを区画する第1センサ部(20)および前記第2凹部(13)に配設されると共に、前記第2凹部(13)と前記圧力導入孔(15)とを区画する第2センサ部(30)と、
前記ケース(10)に備えられ、前記第1、第2センサ部(20、30)から出力された信号を演算する回路チップ(40)と、
前記第1、第2凹部(12、13)に対して滴下されることにより前記第1、第2凹部(12、13)に配置され、前記第1、2凹部(12、13)において前記第1、第2センサ部(20、30)の周囲に配置されるシール部材(50)と、を備え、
前記第1、第2センサ部(20、30)は同一形状であると共に、正方板状とされており、
前記第1凹部(12)は前記シール部材(50)が滴下される第1滴下領域(12a)を備えていると共に、前記第2凹部(13)は前記シール部材(50)が滴下される第2滴下領域(13a)を備えており、前記第1凹部(12)と前記第2凹部(13)とは同一形状とされ、
前記第1滴下領域(12a)に対する前記第1センサ部(20)に形成されているゲージ抵抗(25a〜25d)の配置と前記第2滴下領域(13a)に対する前記第2センサ部(30)に形成されているゲージ抵抗(35a〜35d)の配置とが同一とされていることを特徴とする圧力センサ。
【請求項2】
前記第1滴下領域(12a)に対する前記第1センサ部(20)に形成されている前記ゲージ抵抗(25a〜25d)のパターンと、前記第2滴下領域(13a)に対する前記第2センサ部(30)に形成されている前記ゲージ抵抗(35a〜35d)のパターンとが同一とされていることを特徴とする請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項3】
前記第1、第2センサ部(20、30)それぞれに形成されている前記ゲージ抵抗(25a〜25d、35a〜35d)は、一方向と平行になる方向を長手方向とし、複数回折り返された線により構成されるパターンであることを特徴とする請求項2に記載の圧力センサ。
【請求項4】
前記第1、第2凹部(12、13)は開口部が矩形状とされ、
前記第1滴下領域(12a)は前記第1凹部(12)の矩形状を構成する隣り合う二辺が交差する角部に備えられ、前記第2滴下領域(13a)は前記第2凹部(13)の矩形状を構成する隣り合う二辺が交差する角部に備えられ、
前記第1凹部(12)の矩形状を構成する隣り合う二辺が交差する角部のうち、前記第1滴下領域(12a)を備える角部と対角に位置する角部および前記第1滴下領域(12a)を備える角部と隣り合う角部の三つの角部のうち少なくとも一つの角部は面取りされており、
前記第2凹部(13)の矩形状を構成する隣り合う二辺が交差する角部のうち、前記第2滴下領域(13a)を備える角部と対角に位置する角部および前記第2滴下領域(13a)を備える角部と隣り合う角部の三つの角部のうち少なくとも一つの角部は面取りされていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の圧力センサ。
【請求項5】
前記第1凹部(12)は前記第1滴下領域(12a)を二つ備えると共に、前記第2凹部(13)は前記第2滴下領域(13a)を二つ備えており、
一方の前記第1滴下領域(12a)は隣り合う二辺が交差する角部に備えられていると共に、他方の前記第1滴下領域(12a)は当該角部と対角に位置する角部に備えられ、
一方の前記第2滴下領域(13a)は隣り合う二辺が交差する角部に備えられていると共に、他方の前記第2滴下領域(13a)は当該角部と対角に位置する角部に備えられ、
前記第1凹部(12)における二つの前記第1滴下領域(12a)が備えられる角部と異なる二つの角部の少なくとも一方は面取りされており、
前記第2凹部(13)における二つの前記第2滴下領域(13a)が備えられる角部と異なる二つの角部の少なくとも一方は面取りされていることを特徴とする請求項4に記載の圧力センサ。
【請求項6】
一方の前記第1滴下領域(12a)は、前記第1凹部(12)における第1辺から前記第1凹部(12)側と反対側に突出している共に、前記第1辺と、前記第1辺と隣り合う第2辺とが交差する角部と終端が一致しており、他方の前記第1滴下領域(12a)は、前記第2辺と相対する第3辺から前記第1凹部(12)側と反対側に突出していると共に、前記第3辺と、前記第3辺と隣り合い、かつ前記第1辺と相対する第4辺とが交差する角部と終端が一致しており、
一方の前記第2滴下領域(13a)は、前記第2凹部(13)における第1辺から前記第1凹部(12)側と反対側に突出している共に、前記第1辺と、前記第1辺と隣り合う第2辺とが交差する角部と終端が一致しており、他方の前記第2滴下領域(13a)は、前記第2辺と相対する第3辺から前記第1凹部(12)側と反対側に突出していると共に、前記第3辺と、前記第3辺と隣り合い、かつ前記第1辺と相対する第4辺とが交差する角部と終端が一致しており、
前記第1凹部(12)は前記第2辺と前記第4辺とが交差する角部が面取りされ、前記第2凹部(13)は第2辺と第4辺とが交差する角部が面取りされていることを特徴とする請求項5に記載の圧力センサ。
【請求項7】
前記第1凹部(12)は前記第1滴下領域(12a)を一つ備えると共に、前記第2凹部(13)は前記第2滴下領域(13a)を一つ備え、
前記第1凹部(12)のうち前記第1滴下領域(12a)が備えられる角部と対角に位置する角部は面取りされていると共に、前記第2凹部(13)のうち前記第2滴下領域(13a)が備えられる角部と対角に位置する角部は面取りされていることを特徴とする請求項4に記載の圧力センサ。
【請求項8】
前記第1滴下領域(12a)は、前記第1凹部(12)における第1辺から前記第1凹部(12)側と反対側に突出している共に、前記第1辺と、前記第1辺と隣り合う第2辺とが交差する角部と終端が一致しており、
前記第2滴下領域(13a)は、前記第2凹部(13)における第1辺から前記第1凹部(12)側と反対側に突出している共に、前記第1辺と、前記第1辺と隣り合う第2辺とが交差する角部と終端が一致しており、
前記第1凹部(12)は、前記第1凹部(12)における前記第2辺と相対する第3辺と前記第1辺と相対する第4辺とが交差する角部が面取りされ、前記第2凹部(13)は、前記前記第2辺と相対する第3辺と前記第1辺と相対する第4辺とが交差する角部が面取りされていることを特徴とする請求項7に記載の圧力センサ。
【請求項9】
前記第1、第2センサ部(20、30)は、それぞれダイヤフラム(23、33)の外縁部であって、前記ゲージ抵抗(25a〜25d、35a〜35d)と前記回路チップ(40)との間に、第1、第2パッド部(26、36)を備えていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載の圧力センサ。
【請求項10】
前記ケース(10)上において、前記第1センサ部(20)は前記回路チップ(40)に対して第一方向側に配置され、前記第2センサ部(30)は前記回路チップ(40)に対して前記第1方向と垂直になる第2方向側に配置されていることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1つに記載の圧力センサ。
【請求項11】
前記ケース(10)には、ダイヤフラム(83)を有すると共に、前記ダイヤフラム(83)の歪みに伴う検出信号を出力するためのブリッジ回路を構成するゲージ抵抗(85a〜85d)を備えた第3センサ部(80)が備えられており、
前記第1、第2、第3センサ部(20、30、80)のうち、前記ダイヤフラム(23、33、83)を備えている一面を表面とし、前記表面と反対側の一面を裏面とし、
前記第1、第2センサ部(20、30)は、それぞれ前記第1、第2圧力導入孔(14、15)に導入される圧力が前記第1、第2センサ部(20、30)の裏面側に印加されると共に、前記第1、第2センサ部(20、30)の表面側に基準圧力が印加され、それぞれ裏面側に印加される圧力と表面側に印加される基準圧力との差圧を検出し、
前記第3センサ部(80)は、裏面側に真空圧が印加されると共に、表面側に基準圧力が印加され、裏面側に印加される圧力と表面側に印加される基準圧力との差圧を検出することを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1つに記載の圧力センサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2010−249524(P2010−249524A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−95976(P2009−95976)
【出願日】平成21年4月10日(2009.4.10)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月10日(2009.4.10)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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