説明

圧力感知ユニット、及び圧力センサー

【課題】力伝達部材の構造を簡素化することにより小型化し、高精度で温度衝撃に強く、
測定装置の設置角度が変化する場合でも、正確な測定値が得られる圧力センサーを得る。
【解決手段】圧力感知ユニット1は、ハウジング5と、ハウジング5内部に配置されてい
る圧力検出部とからなる。圧力検出部は、第1、第2ダイアフラム10、11を夫々の中
央領域で連結して一体化し力の伝達を可能としたセンターシャフト13と、センターシャ
フト13に固定された可動受け台15と天板7の先端部に設けた固定受け台7aとに両端
部が取り付けられ検出軸をセンターシャフトと平行に設定された力感応部17と、を有し
ている。力感応部17は、検出軸方向の圧力を検出する圧力感応素子30と、圧力感応素
子30の一端に一方の端部が連結され重力方向からの傾きを検出する重力感応素子34と
、重力感応素子の両端部に連結された重み部38と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力感知ユニット、及び圧力センサーに関し、特に重力方向(垂直方向)か
らの角度ずれを補正する機能を備えた圧力感知ユニット、及び圧力センサーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、水圧計、気圧計、差圧計等の感圧素子として、圧電振動素子を使用した圧力
センサーが知られている。圧電振動素子を用いた圧力センサーは、圧電振動素子に検出軸
の方向に圧力が作用すると、圧電振動素子の共振周波数が変化し、当該共振周波数の変化
から圧力センサーに印加される圧力を検出する。
特許文献1〜3には、感圧素子に圧電振動素子を用いた圧力センサーが開示されている
。圧力導入口よりベローズ内に圧力が加わると、当該ベローズの有効面積に応じた力が、
ピボット(撓みヒンジ)を支点とした力伝達手段を介して、圧電振動素子に圧縮力或いは
引張り力Fとして加えられる。圧電振動素子には、力Fに応じた応力が生じ、当該応力に
より圧電振動素子の共振周波数が変化する。圧力センサーは、圧電振動素子の共振周波数
の変化を検出することにより、印加された圧力を求めることができる。
【0003】
図9は、特許文献3に開示された圧力センサーの構成を示す断面図であり、対向して配
置された第1及び第2の圧力入力口102、103を有する中空の筐体104と、筐体1
04の内部に配置された力伝達部材105と、力伝達部材105の一端を挟むように接続
された第1のベローズ106、及び第2のベローズ107と、を備えている。そして、第
1のベローズ106の他端開口を第1の圧力入力口102に連通接続し、第2のベローズ
107の他端開口を第2の圧力入力口103に連通接続している。更に、力伝達部材10
5の他端と、基板108のピボット(支点)ではない方の端部との間に、感圧素子として
の双音叉型振動素子109が配置されている。
圧力を高精度に検出する場合、ベローズの内部には、液体が充填される。当該液体とし
ては、ベローズの内部の蛇腹部分への気泡の入り込みや、滞留を防止するために、一般的
に粘性の高いシリコンオイル等が用いられる。このように、第1のベローズ106の内部
には、粘性のあるオイル110が充填されており、圧力測定の対象が液体の場合は、第1
の圧力入力口102に開けられた開口部111により液体と前記オイルとが接触して相対
する構造となっている。なお、開口部111はオイルが外部に漏れないような開口径が設
定されている。
【0004】
以上のような構成の圧力センサーでは、外部の液体からの圧力Fが、第1のベローズ1
06内部に充填されているオイルに加わると、第1のベローズ106を経て圧力Fが、力
伝達部材105の一端に加わる。一方、第2のベローズ107には、大気圧に相当する力
が、力伝達部材105の一端に加わる。
この結果、力伝達部材105の他端を介して、圧力測定の対象となる液体より加わった
圧力Fと、大気圧による圧力との差圧に相当する力が、基板108のピボットを支点とし
て、双音叉型振動素子109に圧縮力、あるいは引張り力として加わる。双音叉型振動素
子109に圧縮力、あるいは引張り力が加わると、双音叉型振動素子109に応力が生じ
、当該応力の大きさに応じて共振周波数が変化するので、その共振周波数を測定すること
により、圧力Fの大きさを検出することができる。
【0005】
特許文献4には、上述の圧力センサーに用いられるような高価なピボット(撓みヒンジ
)及び力伝達手段(カンチレバー)を使用せずに、第1のベローズの一端と、第2のベロ
ーズの一端との間に振動素子接着用台座を挟み、当該台座と第2のベローズの他端側のハ
ウジング壁面との間に、感圧素子の両端をそれぞれ固定すると共に、第2のベローズを間
に挟むように、当該感圧素子に対向する位置に、補強板を配置し、当該補強板の両端をそ
れぞれ前記台座と前記ハウジング壁面とに固定した圧力センサーが開示されている。
更に、特許文献5においては、特許文献4に開示された前記圧力センサーに関し、ベロ
ーズの圧力検出軸方向と直交する方向からの衝撃に対し、強度が弱いという課題を解決す
るために、圧力検出軸方向と直交する方向に前記台座と、ハウジングとを補強用弾性部材
を用いて連結した圧力センサーが開示されている。
【0006】
特許文献6、7には、エンジン内部の油圧を検出するために、エンジンブロックに固定
して使用する圧力センサーが開示されている。この圧力センサーは、第1のダイアフラム
(受圧用)と、第2のダイアフラムと、力伝達部材(シャフト)と、検出素子と、を備え
た圧力センサーである。
更に、特許文献8には、金属の熱膨張や熱収縮、プラント施設内の地盤沈下などにより
、長期的に測定装置が傾いてきた場合に、その傾きにより圧力センサーのゼロ点(基準点
)が変動して、測定値は徐々に変動する場合の解決手段として、加速度センサーを角度検
出用センサーとして圧力測定装置に搭載し、測定値を補正した圧力センサーが開示されて
いる。
図10は、管路内流体の測定装置70の構成を示すブロック図であり、シームダイアフ
ラム82とプロテクションダイアフラムとの内側に封入液85が充填され、この封入液8
5が圧力センサー91に導かれるように構成された検出カプセル80を有している。前記
シームダイアフラム82の他面側に管路内流体93a、93bを導き、封入液85の圧力
を検出することで、管路内流体93a、93bの圧力または管路内流体の二点間の差圧を
測定する測定装置である。検出カプセル80の設置角度を検出する角度検出センサーとし
て加速度センサー92を用い、加速度センサーの出力に応じて圧力センサー70の出力を
補正する補正手段を備えた測定装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭56−119519号公報
【特許文献2】特開昭64−9331号公報
【特許文献3】特開平2−228534号公報
【特許文献4】特開2005−121628号公報
【特許文献5】特開2007−57395号公報
【特許文献6】特開2006−194736号公報
【特許文献7】特開2007−132697号公報
【特許文献8】特開2009−085595号公報
【特許文献9】特開平01(特開昭64)−086608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1〜3の発明においては、図9に示す圧力センサーのように、
第1のベローズ106に充填されているオイル110は、圧力センサー101を構成する
他の要素、例えば、力伝達部材105や双音叉型振動子力センサー109などに比べて熱
膨張係数が大きく、圧力センサーを構成する各部材には温度変化による熱歪みが生じるこ
とになる。このような熱歪みによる応力がノイズとして双音叉型振動素子109に作用し
、測定値に誤差を生じさせ、圧力センサーの測定精度を劣化させるという問題があった。
また、第1のベローズ106に充填されているオイル110は、圧力測定の対象となる
液体と接触して相対しているが、圧力センサーの設置方法によりオイル110が圧力測定
の対象となる液体側への流出や、第1のベローズ106側への液体の流入もあり、第1の
ベローズ106に充填されたオイル110内に気泡が発生する場合がある。オイル110
内に気泡が発生すると、圧力の伝達媒体として機能が劣化し、圧力測定値に誤差を生ずる
虞がある。
さらに、上述したように、オイル110は、圧力測定対象の液体と接触しているため、
圧力センサーの設置方法によってはオイル110が圧力測定対象の液体側に流出する虞が
あり、異物混入を嫌う液体の圧力測定には、オイル110を使用した従来のような圧力セ
ンサーを使用することができないという問題があった。
さらに、従来のような圧力センサー101は、力伝達部材105が、複雑な構造をして
おり、圧力センサーを小型化する際の障害となっている。また、力伝達部材105は、く
びれ部の細い撓みヒンジが不可欠の部品であり、該部品のために圧力センサーの製造コス
トが上昇するという問題があった。
【0009】
特許文献4や5が提案している圧力センサーは、姿勢が傾くと、ベローズに垂れが生じ
るので、感圧素子(双音叉振動素子)に加わる力が変化して、共振周波数も変動し、圧力
の測定値に誤差が生じるという問題があった。
更に、圧力センサーの圧力導入口に対し、内部にオイルが充填されたパイプを接続し、
当該パイプの他端を被測定液体に接触させて使用する。このため、特許文献1〜3のよう
に、ベローズやパイプに充填されたオイルが、圧力測定対象の液体と接触し、圧力センサ
ーの設置方法によっては、オイルの圧力測定対象の液体側への流出や、ベローズ側への流
入もあり、ベローズに充填されているオイル内に気泡が発生する虞がある。オイル内に気
泡が発生すると、圧力の伝達媒体として機能劣化し、圧力測定値に誤差が生ずるという問
題があった。
特許文献5の圧力センサーは、補強用弾性部材の硬さを硬くすると、ベローズの動きを
抑止することになり、圧力検出感度に劣化を来たすという問題があった。
更に、特許文献4や5では補強板が感圧素子に対向配置されているので、ベローズの動
きを抑止することになり、圧力検出感度を劣化させるという問題があった。
【0010】
特許文献6、7の圧力センサーでは、圧力センサーが高温高圧下で使用されるため、強
固に固定すると各部材の熱膨張の違いにより、構造が破棄される虞があるので、ダイアフ
ラムの圧力をシャフトに伝える状態で接触させている。つまり、熱膨張を考慮して、ダイ
アフラムとシャフトとは点で接触しているに過ぎず、接着剤等の接着手段を用いて接着さ
れていない。従って、圧力変動によりダイアフラムとシャフトが動作する際に、点接触部
がずれて、ダイアフラムからの力が正常に伝達されずに、圧力測定値に誤差が生じるとい
う問題があった。
特許文献8の圧力センサーは、センサー素子を複数用いるため部品点数が多くなり、製
造コストが高くなると共に小型化には不向きであるという問題があった。
これに対して特許文献9には、双音叉振動素子の振動ビームの両側に補強用振動子を同
一の圧電基板を用いて一体的に形成するという技術が開示されている。
しかしながら、前記補強用振動子を加速度センサー素子として用いる場合、両端の支持
部に受圧した圧力に応じた負荷が掛かるため、検出する加速度に誤差が重畳されるという
問題があった。
【0011】
本発明は前述のような様々な問題点を解決するために、内部に受圧媒体としてのオイル
を使用せず、力伝達部材の構造を簡素化することにより小型化し、高精度で温度衝撃に強
い圧力センサーを提供すると共に、測定装置の設置角度が変化する場合でも、正確な測定
値が得られる圧力センサーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の
形態又は適用例として実現することが可能である。
【0013】
[適用例1]本発明に係る圧力感知ユニットは、第1の圧力入力口を有する底板と、前
記第1の圧力入力口と対向する第2の圧力入力口を有する天板と、前記底板と前記天板と
を連接する外周側壁と、を有するハウジングと、前記第1の圧力入力口を閉止するととも
に外面を受圧面とする第1のダイアフラムと、前記第2の圧力入力口を閉止するとともに
外面を受圧面とする第2のダイアフラムと、前記ハウジング内部に配置されて力の検出方
向を検出軸とする圧力検出部と、を有する圧力感知ユニットであって、前記圧力検出部は
、前記第1、第2ダイアフラムを夫々の中央領域で連結して一体化し力の伝達を可能とし
たセンターシャフトと、前記センターシャフトに固定された可動受け台と前記天板の先端
部に設けたボス部とに両端部が支持され、前記検出軸を前記センターシャフトと平行に設
定された力感応部と、を有し、前記力感応部は、前記検出軸方向の圧力を検出する圧力感
応素子と、前記圧力感応素子の一端に一方の端部が連結され重力方向からの傾きを検出す
る重力感応素子と、を有することを特徴とする圧力感知ユニットである。
【0014】
以上のように、前記センターシャフトに固定された可動受け台と、前記天板のボス部と
に端部を固定された前記力感応部は、前記検出軸方向の圧力を検出する圧力感応素子と、
重力方向からの傾きを検出する重力感応素子と、を有しているので、本圧力感知ユニット
が組み込まれた装置の軸芯方向が重力方向から傾斜すると、この傾斜角を前記重力感応素
子が感知して前記傾斜角を算出し、前記圧力感応素子の圧力測定値を補正することができ
るという効果がある。
その上、本圧力感知ユニットは、受圧媒体としてのオイルは必要ではなく、力伝達部材
の構造も簡素化されているため小型化に適し、温度変化(熱衝撃)に強い高精度の圧力セ
ンサーの製造が可能となる。
【0015】
[適用例2]また、圧力感知ユニットは、前記圧力感応素子、及び前記重力感応素子が
、両端部に基部を有し、前記基部間を連接する振動腕を有する圧電振動素子であることを
特徴とする適用例1に記載の圧力感知ユニットである。
【0016】
以上のように、前記圧力感応素子、及び前記重力感応素子を圧電振動素子で形成すると
、圧力の検出感度が高く、また前記重力感応素子の重力方向からの傾斜角を検出する傾斜
感度も高く、且つ再現性に優れ、温度特性も良好であるという効果がある。
【0017】
[適用例3]また、圧力感知ユニットは、前記圧力感応素子、及び重力感応素子が、両
端部に基部を有し、前記基部間を連接する2つの振動腕を有する双音叉型振動素子である
ことを特徴とする適用例1又は2に記載の圧力感知ユニットである。
【0018】
以上のように、前記圧力感応素子、及び前記重力感応素子を双音叉型振動素子で形成す
ると、圧力の検出感度が高く、また前記重力感応素子の重力方向からの傾斜角を検出する
傾斜感度も高く、且つ再現性に優れ、温度特性も優れているという効果がある。
【0019】
[適用例4]また、圧力感知ユニットは、前記圧力感応素子、及び重力感応素子が、圧
電性材料から形成されていることを特徴とする適用例1乃至3の何れかに記載の圧力感知
ユニットである。
【0020】
以上のように、前記圧力感応素子、及び重力感応素子が、圧電材料で形成されているの
で、これらの駆動は励振電極を形成するだけでよく、小型化、低コスト化に効果がある。
【0021】
[適用例5]また、圧力感知ユニットは、前記圧力感応素子、及び前記重力感応素子は
、水晶材料から形成されていることを特徴とする適用例1乃至4の何れかに記載の圧力感
知ユニットである。
【0022】
以上のように、前記圧力感応素子、及び重力感応素子が、水晶材料で形成されているの
で、長年の加工技術、例えばフォトリソグラフィ技法、エッチング手法等が活用でき、形
状寸法の精度のよい圧力感応素子、及び重力感応素子が形成できるので、圧力感度、精度
の優れた圧力感応素子と、傾斜角感度、精度の優れた重力感応素子が形成できるという効
果がある。その上、前記圧力感応素子、及び重力感応素子は、再現性に優れ、温度特性が
零温度係数を有する二次特性となるという効果がある。
更に前記圧力感応素子、及び重力感応素子の駆動は励振電極を形成するだけでよく、小
型化、低コスト化に効果がある。
【0023】
[適用例6]また、圧力感知ユニットは、前記重力感応素子の両端部に連結された重み
部を有することを特徴とする適用例1乃至5の何れかに記載の圧力感知ユニットである。
【0024】
以上のように、前記重力感応素子の両端部に連結された重み部を有しているので、圧力
感知ユニットの軸芯が垂直方向から傾斜した場合に、重力感応素子にかかる重量負荷を大
きくすることができ、前記重力感応素子の感度を高めるという効果がある。
【0025】
[適用例7]また、圧力感知ユニットは、前記重み部には、長手方向の端部寄りに少な
くとも一個の括れ部が形成されていることを特徴とする適用例6に記載の圧力感知ユニッ
トである。
【0026】
以上のように、前記重み部は長手方向の端部寄りに少なくとも一個の括れ部が形成され
ているので、圧力感知ユニットの軸芯が垂直方向から傾斜した場合に、重み部は括れ部よ
り撓み易くなり、前記重力感応素子の感度を高めるという効果がある。
【0027】
[適用例8]本発明の圧力センサーは、適用例1乃至7の何れかに記載の圧力感知ユニ
ットと、前記圧力感応素子、及び前記重力感応素子を励振する発振回路と、前記発振回路
の出力周波数をカウントするカウンターと、前記カウンターのデータを処理する演算回路
と、を有するICと、を備えたことを特徴とする圧力センサーである。
【0028】
本発明の圧力センサーは、適用例1乃至7の何れかに記載の圧力感知ユニットと、IC
とで構成されるので、圧力センサーが河川等の水中や、地中に埋設されて用いられる場合
、あるいは油圧重機などの可動する箇所に設置される場合に、圧力センサーが初期設定の
座標軸からずれて傾いても、重力感応素子が重力方向からの傾斜角を感知し、傾斜角を算
出し、圧力感応素子を補正して、正確な圧力を出力することができるという効果がある。
その上、圧力感応素子、及び重力感応素子が圧電材料を用いて形成されると、温度特性、
感度、再現性が優れ、傾斜角を補正した圧力が求められるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る圧力感知ユニットの構造を示す説明図であり、(a)は断面図、(b)は底面図。
【図2】圧力感知ユニットの断面斜視図。
【図3】ハウジングの円筒ケースを除去した内部の要部斜視図。
【図4】(a)は力感応部の平面図、(b)はその断面図。
【図5】(a)は重力感応素子の中心軸C2と重力方向とが平行な場合の平面図、(b)は中心軸C2がθ傾いたときの平面図。
【図6】双音叉型圧電振動素子を説明する図で、(a)は振動モードの平面図、(b)は振動腕に形成した励振電極と、ある瞬間に発生する電荷の符号を示す図、(c)は励振電極の結線図。
【図7】他の実施例の力感応部の、(a)は平面図、(b)はその断面図。
【図8】本発明の圧力センサーの構成を示すブロック図。
【図9】従来の圧力センサーの構成を示す断面図。
【図10】角度検出センサーを付加した従来の圧力センサーのブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の第一の
実施形態に係る圧力感知ユニットの構成を示す概略図であり、同図(a)は断面図、同図
(b)は底面図である。また、図2は、図1に示す圧力感知ユニットの垂直方向の断面斜
視図であり、図3はハウジングの円筒ケースを除去した内部の要部斜視図である。
圧力感知ユニット1のハウジング5は、第1の圧力入力口18を有した底板(第1フラ
ンジ)6と、第1の圧力入力口18と対向する第2の圧力入力口19を有した天板(第2
フランジ)7と、底板(第1フランジ)6と天板(第2フランジ)7とを連接してハウジ
ングを構築する中空円筒状の外周側壁8と、を備えている。
圧力感知ユニット1は、ハウジング5の第1の圧力入力口18を閉止すると共に外面を
受圧面とし、外部と圧力入力口18内部との圧力差により撓む第1ダイアフラム10と、
第2圧力入力口19を閉止すると共に外面を受圧面とし、圧力入力口19の圧力により撓
む第2ダイアフラム11と、を備えている。ハウジング5の第1及び第2の圧力入力口1
8、19は、それぞれ同一圧力が加えられると同一の量だけ変形する第1及び第2ダイア
フラム10、11により封止されて、中空密閉容器が構成され、内外を遮断すると共に内
部を真空状態として用いられる。
【0031】
圧力感知ユニット1は、ハウジング5内部に配置されて力の検出方向を検出軸とする力
感応部17と、第1、第2ダイアフラム10、11を夫々の中央領域で連結して一体化し
、ダイアフラム間への力の伝達を可能としたセンターシャフト13と、を有している。セ
ンターシャフト13は、ハウジング5の軸芯に沿って第1、第2ダイアフラム10、11
と直交するように配置されている。つまり、第1、第2ダイアフラム10、11の一方の
撓み量が、力伝達部材のセンターシャフト13を介して、他方のダイアフラムに伝達され
るように構成されている。センターシャフト13は、ステンレス等の金属、またはセラミ
ック等の変形を生じない剛性材料で形成されている。
更に、圧力感知ユニット1は、センターシャフト13の途中に固定された可動受け台1
5と、天板7(第2フランジ)に設けられ内部に突き出た力感応部17の受け台としての
ボス部7aと、を有し、力感応部17の両端部は、可動受け台15とボス部7aとに取り
付けられ、検出軸をセンターシャフト13と平行に設定されている。第1、第2ダイアフ
ラム10、11のそれぞれの撓み量の差によるセンターシャフト13の軸方向の変化を、
可動受け台15を介して力感応部17に対し、検出軸方向に沿った変化として力を伝達す
るように配置構成されている。
【0032】
力感応部17は、図3、図4に示すように、検出軸方向の圧力を検出する圧力感応素子
30と、圧力感応素子30の一端に一方の端部が連結され、素子の長手方向と重力方向と
の傾きを検出する重力感応素子34と、重力感応素子34の基部36bと連結子37で連
結し、重力感応素子34の基部36aと基体40で連結され、重力感応素子34に重みを
負荷する重み部38と、を有している。重み部38の端部寄りには少なくとも1個の括れ
部39が形成され、重み部38が変形し易いように形成されている。
本願出願人は、特願2009−006884にてハウジング5の構造がほぼ同様な「圧
力センサー」を出願しているが、力感応部17の構造が異なり、機能、用途も異なる。
【0033】
図4(a)は、力感応部17の一例の平面図であり、同図(b)はQ−Qにおける断面
図である。圧力感応素子30、及び重力感応素子34が共に双音叉型圧電素子で構成され
た例である。圧力感応素子30は、互いに平行に延在する一対の振動腕31a、31b、
及び一対の振動腕31a、31bの両端部に夫々連結され一体化された一対の基部32a
、32bを有する双音叉型圧電振動素子である。重力感応素子34も圧力感応素子30と
同様な構成の双音叉型圧電振動素子である。
圧力感応素子30、及び重力感応素子34は、それらの形状が長手方向の中心軸C1、
C2に対し対称に形成され、中心軸C1、C2は同一方向である。
圧力感応素子30と重力感応素子34は、それぞれの一方の基部32a、36aが基体
部40と一体的に連結している。
【0034】
力感応部17は、水晶、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム、ランガサイト等の圧
電材料の平板から形成されることが望ましい。更に、力感応部17の形成は、平板状の圧
電基板、例えば水晶ウエハーにフォトリソグラフィ技法とエッチング手法、真空蒸着法を
用いて、複数の力感応部17を形成することにより、量産化が容易である。
重み部38は、例えば矩形状であり、中心軸C3に対し対称に形成され、長手方向の中
心軸C3は圧力感応素子30、及び重力感応素子34の中心軸C1、C2方向と同一方向
である。重み部38の一方の端部は連結子37により重力感応素子34の一方の基部36
bと連結し、他方の端部は基体部40と連結し、一体化された構成となっている。重み部
38の一方の端部寄りに少なくとも1個(図4の例では2個)の括れ部39が形成されて
いる。
【0035】
図5(a)は重力感応素子34、及び重み部38のそれぞれの中心軸C2、C3の方向
が重力方向Cgと同一の場合の平面図であり、同図(b)は重力感応素子34の中心軸C
2が重力方向Cgから傾いている場合の平面図である。
重み部38の中心軸C3が重力方向Cgであるの場合の重力感応素子34の共振周波数
をfg0とする。重み部38の中心軸C3が重力方向Cgからθ傾くと、括れ部39から
撓み、連結子37を介して重み部38の重力感応素子34にかかる重量負荷が変化し、重
力感応素子34の共振周波数がfgθに変化する。この周波数の変化から重力感応素子3
4の中心軸C2の重力方向Cgからの傾きを検出することが可能となる。
ハウジング5の内部には底板(第1フランジ)6と天板(第2フランジ)7との間に、
センターシャフト13と平行に複数のガイドシャフトである支持棒22a、22bが設け
られている。支持棒22a、22bの端部は、底板(第1フランジ)6、及び天板(第2
フランジ)7にダボ穴を形成し、これに圧入して固定する。これらにより底板(第1フラ
ンジ)6と、天板(第2フランジ)7との間隔を一定に保ち、外力によるハウジング5の
変形を防ぎ、圧力検出精度を劣化させないようにしている。
【0036】
第1実施例の圧力感知ユニット1は、天板(第2フランジ)7に複数の小孔を開け、こ
れらにハーメ端子25を貫通させて圧力感応素子30、及び重力感応素子34からの信号
を外部に取り出すように構成されている。
圧力感応素子30、及び重力感応素子34が、双音叉型圧電振動素子で構成される場合
について、図6を用いて簡単に説明する。
双音叉型圧電振動素子30は、図6(a)に示すような一対の基部32a、32b及び
基部32a、32b間を連設する一対の振動腕31a、31bを備えた圧電基板からなる
応力感応部と、圧電基板の振動領域上に形成した励振電極と、を備えている。図6(a)
の破線は双音叉型圧電振動素子30の振動姿態を示す平面図である。双音叉型圧電振動素
子30の振動モードが、一対の振動腕31a、31bの長手方向の中心軸に対して、互い
に対称な振動モードで振動するように励振電極を配置する。図6(b)は振動腕31a、
31bに形成した励振電極と、ある瞬間に励起される励振電極上の電荷の符号を示した平
面図である。また、図6(c)は励振電極の結線を示す模式断面図である。
【0037】
双音叉型圧電振動素子30、例えば双音叉型水晶振動素子は伸張・圧縮応力に対する感
度が良好であり、高度計用、或いは深度計用の応力感応素子として使用した場合には、分
解能力が優れているために僅かな気圧差から高度差、深度差を知ることができる。
双音叉型水晶振動素子の周波数温度特性は、上に凸の二次曲線であり、その頂点温度は
水晶結晶のX軸(電気軸)の回りの回転角度に依存する。一般的には頂点温度が常温(2
5℃)になるように各パラメータを設定する。
双音叉型水晶振動素子の一対の振動腕に外力Fを加えたときの共振周波数fFは式(1
)のように表わされる。
F=f0(1−(KL2F)/(2EI))1/2 (1)
ここで、f0は外力がないときの双音叉型水晶振動素子の共振周波数、Kは基本波モー
ドによる定数(=0.0458)、Lは振動ビームの長さ、Eは縦弾性定数、Iは断面2
次モーメントである。断面2次モーメントIはI=dw3/12より、式(1)は式(2
)のように変形することができる。ここで、dは振動ビームの厚さ、wは幅である。
F=f0(1−SFσ)1/2 (2)
但し、応力感度SFと、応力σとはそれぞれ次式で表される。
F=12(K/E)(L/w)2 (3)
σ=F/(2A) (4)
ここで、Aは振動ビームの断面積(=w・d)である。
以上の式から双音叉型水晶振動子に作用する力Fを圧縮方向のとき負、伸張方向(引張
り方向)を正としたとき、力Fと共振周波数fFの関係は、力Fが圧縮力で共振周波数fF
が減少し、伸張(引張り)力では増加する。また応力感度SFは振動ビームのL/wの2
乗に比例する。
図4に示した応力感応素子30は、双音叉型水晶振動子に限らず、伸張・圧縮応力によ
って周波数が変化する圧電振動素子であればどのようなものも用いることが可能である。
【0038】
双音叉型圧電振動素子は、図5(a)に示すようにその中心軸C2が、重力方向Cgと
平行な場合と、同図(b)に示すように重力方向Cgに対しθ傾いた場合で、その共振周
波数が変化することが知られている。
1つの圧電振動素子を圧力感応素子として用いた圧力センサーの場合、圧力センサーが
重力方向から傾いた場合に、外圧の変化により圧力感応素子の周波数が変化しているのか
、圧力感応素子30の傾斜により周波数が変化しているのか判別できない。そこで2つの
圧電振動素子を用い、一方の圧電振動素子を重力方向からの傾き角検出に用い、これによ
り他方の圧電振動素子の傾きによる周波数変化を補償することを想致した。
本発明では図4に示すように、圧力感応素子30、重力感応素子34、及び重み部38
を一体的に形成し、且つ圧力感応素子30、重力感応素子34、及び重み部38が同一平
面上に並ぶように構成している。傾いた場合に重力の影響を大きくすべく、重力感応素子
34に重み部38を付加している。重み部38の端部寄りに括れ部39を形成することに
より、重み部38が傾いて括れ部39が撓み、重力感応素子34にかかる負荷が変動する
ように構成されている。
【0039】
図1に示す圧力感知ユニット1の動作について説明する。圧力感知ユニット1の第1及
び第2のダイアフラム10、11には、それぞれ外圧P1、P2の圧力が加わっているも
のとする。
まず、ハウジング5の軸芯方向が重力方向Cgと同一方向の場合について説明する。弾
性のある第1のダイアフラム10に圧力P1が加えられると、圧力感知ユニット1の内部
は真空P0であるので、圧力P1によりダイアフラム10は内側に撓み、この撓み力がセ
ンターシャフト13を介して可動受け台15に、図1(a)の紙面の上向に力F1が加わ
る。一方、第2のダイアフラム11には外圧P2が加わり、圧力P2により第2のダイア
フラム11が紙面の下向きに撓み、この撓み力がセンターシャフト13を介して可動受け
台15に力F2が加わる。
可動受け台15には、第1のダイアフラム10にかかる圧力P1による力F1と、第2
のダイアフラム11にかかる圧力P2による力F2と、の差圧(P1−P2)に相当する
力(F1−F2)が加わり、可動受け台15と、天板(第2フランジ)のボス部7aとの
間に配置された力感応部17の圧力感応素子30には、圧縮力、又は引張力が加わる。圧
力感応素子30に圧縮力、又は引張力が作用すると圧力感応素子30の内部には圧縮応力
、又は引張応力が生じて、当応力に応じて圧力感応素子30の共振周波数が増加、又は減
少する。この周波数の変化から差圧(P1−P2)を検出することができる。
【0040】
次に、本発明の特徴であるハウジング5の軸芯方向が重力方向Cgから傾いた場合につ
いて説明する。圧力感応素子30にかかる圧力P1、P2に変化がない場合でも、圧力感
応素子30の中心軸C1が重力方向Cgから傾くと、圧力感応素子30の共振周波数が、
ハウジング5の軸芯方向を重力方向に設置した場合に比べ、わずかに変化する。この周波
数変化が圧力感知ユニット1の検出誤差になる。
そこで、重力感応素子34の中心軸C2の方向を、圧力感応素子30の中心軸C1の方
向と同一方向とし、中心軸C2が重力方向Cgから傾いた場合に傾斜角θに応じて重力感
応素子34の周波数が変化するのを利用する。傾斜角θと周波数変化量Δfとの関係は、
有限要素法を用いて計算してもよいし、実験的に求めてもよい。傾斜角θと周波数変化量
Δfとの対応表をメモリーに格納しておき、測定の際に用いるようにする。重力感応素子
34の周波数変化量から、重力感応素子34と重力方向Cgとの傾斜角θを求め、メモリ
ーに格納したθ−Δfの対応表から、圧力感応素子30の周波数に傾斜角θによる変化分
の補正を行い、正しい圧力を求める。
【0041】
本発明の圧力感知ユニット1は、センターシャフト13に固定された可動受け台15と
、天板7のボス部7aとに端部を固定された力感応部17を有している。力感応部17は
、検出軸方向αの圧力を検出する圧力感応素子30と、重力方向からの傾きを検出する重
力感応素子34と、を有しているので、本圧力感知ユニット1が組み込まれた装置の軸芯
方向が、重力方向から傾斜すると、この傾斜角を重力感応素子34が感知して、傾斜角を
算出し、圧力感応素子30の圧力測定値を補正することができるという効果がある。
その上、本圧力感知ユニット1は、受圧媒体としてのオイルは必要ではなく、力伝達部
材の構造も簡素化されているため小型化に適し、温度変化(熱衝撃)に強い高精度の力感
知ユニットの製造が可能となる。
また、圧力感応素子30、及び重力感応素子34を双音叉型振動素子で形成すると、圧
力の検出感度が高く、また重力感応素子34の重力方向からの傾斜角を検出する傾斜感度
も高く、且つ再現性に優れ、温度特性が優れているという効果がある。
【0042】
また、圧力感圧素子30、及び重力感応素子34が、圧電材料で形成されているので、
これらの駆動は励振電極を形成するだけでよく、小型化、低コスト化に効果がある。
また、圧力感圧素子30、及び重力感応素子34が、水晶材料で形成されているので、
長年の加工技術、例えばフォトリソグラフィ技法、エッチング手法等が活用でき、形状寸
法の精度のよい圧力感圧素子30、及び重力感応素子34が形成できるので、圧力感度、
精度の優れた圧力感圧素子30と、傾斜角感度、精度の優れた重力感応素子34が形成で
きるという効果がある。その上、圧力感圧素子30、及び重力感応素子34は、再現性に
優れ、温度特性が零温度係数を有する二次特性となるという効果がある。
更に、力感圧素子、及び重力感応素子の駆動は励振電極を形成するだけでよく、小型化
、低コスト化に効果がある。
また、重み部38は長手方向の端部寄りに少なくとも一個の括れ部39が形成されてい
るので、圧力検知ユニット1の軸芯が垂直方向から傾斜した場合に、重み部38は括れ部
39より撓み易くなり、重力感応素子34の感度を高めるという効果がある。
【0043】
図7(a)は力感応部40の第2の実施例の構成を示す平面図であり、同図(b)はQ
−Qにおける断面図である。圧力感応素子(双音叉型圧電振動素子)41と、圧力感応素
子41の一方の基部43aの両側に圧力感応素子(双音叉型圧電振動素子)41の中心軸
41cと直交するように連結子45a、45bが連接され、これらに中心軸41cと平行
で且つ対称に重力感応素子(シングル振動ビーム)47a、47bが連結され、これらの
端部に重り部48a、49bが連結されている。シングル振動ビーム47a、47bの場
合もその中心軸が重力方向に対して傾くと周波数が変化するので重力感応素子として機能
する。重り部48a、49bはシングル振動ビーム47a、47bの負荷である。
圧力感応素子41を双音叉型圧電振動素子、重力感応素子47a、47bをシングルビ
ームの圧電振動素子で形成すると、圧力の検出感度が高く、また重力感応素子の重力方向
からの傾斜角を検出する傾斜感度も高く、且つ再現性に優れ、温度特性も良好であるとい
う効果がある。
【0044】
図8は、圧力センサー3の構成を示すブロック図である。圧力センサー3の圧力感知ユ
ニットと、圧力感応素子30、及び重力感応素子34を励振する発振回路51、52、発
振回路51、52の出力周波数をカウントするカウンター53、54、及びカウンター5
3、54の信号を処理する演算回路55を有するIC50と、表示部56と、を備えてい
る。
本発明の圧力センサー3は、上記の圧力感知ユニット1と、IC50とで構成されるの
で、圧力センサーが河川や、地中に埋設して用いられる場合、あるいは油圧重機などの稼
動する箇所に設置される場合に、圧力センサー3が初期設定の座標軸からずれて傾いても
、重力感応素子34が重力方向からの傾斜角を感知し、傾斜角を算出し、30圧力感応素
子を補正して、正確な圧力を出力することができるという効果がある。その上、圧力感応
素子30、及び重力感応素子34を圧電材料を用いて形成すると、温度特性、感度、再現
性が優れ、傾斜角を補正した圧力が求められるという効果がある。
【符号の説明】
【0045】
1…圧力感知ユニット、5…ハウジング、6…底板(第1フランジ)、7…天板(第2フ
ランジ)、7a…固定受け台(ボス部)、8…外周側壁、10…第1ダイアフラム、11
…第2ダイアフラム、13…センターシャフト、15…可動受け台、17、17b…力感
応部、18…第1の圧力入力口、19…第2の圧力入力口、20…圧力検出部、22a、
22b…支持棒、30、41…圧力感応素子、31a、31b、35a、35b…振動腕
、32a、32b、236a、36b…基部、34、47a、47b…重力感応素子、3
7…連結子、38、48a、48b…重み部、39…括れ部、40…基体部、41Cg…
重力方向、C1…圧力感応素子の中心軸方向、C2…重力感応素子の中心軸方向、C3…
重み部の中心軸、41c…双音叉型圧電振動素子の中心軸方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の圧力入力口を有する底板と、前記第1の圧力入力口と対向する第2の圧力入力口
を有する天板と、前記底板と前記天板とを連接する外周側壁と、を有するハウジングと、
前記第1の圧力入力口を閉止するとともに外面を受圧面とする第1のダイアフラムと、
前記第2の圧力入力口を閉止するとともに外面を受圧面とする第2のダイアフラムと、
前記ハウジング内部に配置されて力の検出方向を検出軸とする圧力検出部と、を有する
圧力感知ユニットであって、
前記圧力検出部は、前記第1及び第2のダイアフラムを夫々の中央領域で連結して一体
化し力の伝達を可能としたセンターシャフトと、
前記センターシャフトに固定された可動受け台と前記天板の先端部に設けたボス部とに
両端部が支持され、前記検出軸を前記センターシャフトと平行に設定された力感応部と、
を有し、
前記力感応部は、前記検出軸方向の圧力を検出する圧力感応素子と、前記圧力感応素子
の一端に一方の端部が連結され重力方向からの傾きを検出する重力感応素子と、を有する
ことを特徴とする圧力感知ユニット。
【請求項2】
前記圧力感応素子、及び前記重力感応素子は、両端部に基部を有し、前記基部間を連接
する振動腕を有する圧電振動素子であることを特徴とする請求項1に記載の圧力感知ユニ
ット。
【請求項3】
前記圧力感応素子、及び前記重力感応素子は、両端部に基部を有し、前記両基部間を連
接する2つの振動腕を有する双音叉型振動素子であることを特徴とする請求項1又は2に
記載の圧力感知ユニット。
【請求項4】
前記圧力感応素子、及び前記重力感応素子は、圧電性材料から形成されていることを特
徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の圧力感知ユニット。
【請求項5】
前記圧力感応素子、及び前記重力感応素子は、水晶材料から形成されていることを特徴
とする請求項1乃至4の何れかに記載の圧力感知ユニット。
【請求項6】
前記重力感応素子の両端部に連結された重み部を有することを特徴とする請求項1乃至
5の何れかに記載の圧力感知ユニット。
【請求項7】
前記重み部には、長手方向の端部寄りに少なくとも一個の括れ部が形成されていること
を特徴とする請求項6に記載の圧力感知ユニット。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れかに記載の圧力感知ユニットと、
前記圧力感応素子、及び前記重力感応素子を励振する発振回路と、前記発振回路の出力
周波数をカウントするカウンターと、前記カウンターのデータを処理する演算回路と、を
有するICと、
を備えたことを特徴とする圧力センサー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−141186(P2011−141186A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−1764(P2010−1764)
【出願日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】