説明

圧力調整装置並びにこれを用いた圧力測定装置

【課題】被測定圧力を測定に適した圧力に調整して圧力測定装置に伝達でき且つ安全性も向上させた圧力調整装置および圧力測定装置の簡易な構造による提供。
【解決手段】シリンダユニット2と、ピストンユニット3とを備え、シリンダユニット2は、細管体21と太管体22を備えており、ピストンユニット3は、プランジャ32と、細管体21内に密嵌される第1の水密手段30と太管体22内に密嵌される第2の水密手段31を備えており、第1の水密手段30から細管体21の自由端までの空間を第1圧力チャンバ23として、第2の水密手段31から太管体22の自由端までの空間を第2圧力チャンバ25としてそれぞれ画成し、第1圧力チャンバ23または第2圧力チャンバ25のいずれか1つから導入した圧力を測定に適した圧力に調整して他の1つの圧力チャンバに伝達できる圧力調整装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力調整装置並びにこれを用いた圧力測定装置、特に流体圧力の測定に用いる圧力調整装置並びにこれを用いた圧力測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、流体の圧力を測定する装置としては、金属管を用いたもの、ダイヤフラムを用いたもの、電熱線を用いたものなど様々な種類が存在するが、そのどれもが一定の圧力測定可能範囲を有しており、被測定圧力の範囲が高圧、中圧、低圧、微圧かによって、または正圧か負圧かによってもそれぞれ異なる種類の圧力測定装置が用いられる(特許文献1参照)。特に微圧の測定には精度の高い圧力計が、また高圧の測定には安全性を高めた圧力計が求められるが、どちらも機構が複雑で値段も高価である。このような問題に対して、圧力測定装置の圧力測定可能範囲を上回る圧力も測定できるようにするために、被測定圧力を減少させて圧力計に伝達する手段として、ピストンの両端面の面積を異なるものとした、具体的には加圧面となる一端の面積を受圧面となる一端の面積より大きくしたピストンを用いた圧力計用減圧器が既に提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】台湾実用新案登録第M307748号公報
【特許文献2】実開昭61−184940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように従来の圧力測定装置では、被測定圧力の範囲によって異なる種類の圧力測定装置を用いなければならず、コストも手間もかかるという問題点があり、また例えば過大圧の印加や急激な圧力変化などにより圧力測定可能範囲を超えた圧力を圧力測定装置が受けた場合には、装置が故障したり、ひいては被測定流体が外部に噴出したりする虞がある。この問題を解決する手段として特許文献2に挙げたような圧力計用減圧器も提案されてはいるが、構造が簡易ではなく、また高圧の測定に有用であるだけで、例えば微圧や負圧の測定には対応できていない。
【0005】
以上の問題点に鑑み、本発明は、圧力の高低さらには正負をも問わず、被測定圧力を測定により適した圧力に調整して圧力測定装置に伝達でき、なおかつ安全性も向上させた圧力調整装置並びに圧力測定装置を簡易な構造で提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、
所定方向に沿って互いに繋がっている太管体と細管体とから構成されたシリンダユニットと、
前記シリンダユニット内に前記所定方向に沿って往復摺動可能に配置されているピストンユニットとを備えている圧力調整装置であって、
前記太管体の横断面開口は、前記細管体の横断面開口より広くなっており、
前記細管体及び前記太管体の、前記所定方向において互いに反対するそれぞれの自由端近くに、第1の開口と第2の開口とがそれぞれ設けられており、
前記ピストンユニットは、前記所定方向に沿って延伸し、第1の端が前記細管体内に、第2の端が前記太管体内にあるように配置されているプランジャと、
前記所定方向と直交するように前記細管体の管内を水密、気密的に仕切ると共に、前記プランジャの前記第1の端に設けられた第1の水密手段と、前記所定方向と直交するように前記太管体の管内を水密、気密的に仕切ると共に、前記プランジャの前記第2の端に設けられた第2の水密手段とを備えていることにより、
前記細管体内における前記第1の水密手段は、前記細管体の自由端側に面している第1の受圧面を有し、該第1の受圧面から該細管体の自由端までの空間を第1圧力チャンバとして画成し、前記太管体における前記第2の水密手段は、前記太管体の自由端側に面している第2の受圧面を有し、該第2の受圧面から該太管体の自由端までの空間を第2圧力チャンバとして画成し、
この構成により、前記第1の開口を圧力測定手段に、前記第2の開口を被測定流体に繋げると、被測定流体の圧力を前記第2圧力チャンバに導入し、導入した被測定流体の圧力を前記ピストンユニットにより増大して前記第1圧力チャンバ内に伝えて圧力測定手段で測定することができ、また、前記第2の開口を圧力測定手段に、前記第1の開口を被測定流体に繋げると、被測定流体の圧力を前記第1圧力チャンバに導入し、導入した被測定流体の圧力を前記ピストンユニットにより減小して前記第2圧力チャンバ内に伝えて圧力測定手段で測定できることを特徴とする圧力調整装置を提供する。
【0007】
また本発明は、
前記圧力調整装置と、
前記細管体の自由端近くの第1の開口または前記太管体の自由端近くの第2の開口に選択的に取り付けて前記第1圧力チャンバまたは前記第2圧力チャンバの圧力を測定できる圧力測定手段とを有している圧力測定装置をも提供する。
【発明の効果】
【0008】
以上の構成により、本発明は、前記第1の開口を圧力測定手段に、前記第2の開口を被測定流体に繋げると、被測定流体の圧力を前記第2圧力チャンバに導入し、導入した被測定流体の圧力を前記ピストンユニットにより増大して前記第1圧力チャンバ内に伝えて圧力測定手段で測定することができる。また、前記第2の開口を圧力測定手段に、前記第1の開口を被測定流体に繋げると、被測定流体の圧力を前記第1圧力チャンバに導入し、導入した被測定流体の圧力を前記ピストンユニットにより減少して前記第2圧力チャンバ内に伝えて圧力測定手段で測定することができる。即ち、圧力測定手段及び被測定流体がそれぞれ接続される開口を変えることによって、増圧測定及び減圧測定両方が可能になるので、圧力測定可能範囲を大幅に広めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る圧力調整装置の第1の実施例の断面図である。
【図2】第1の実施例の使用状態を示した断面図である。
【図3】第1の実施例のもう一つの形態の断面図である。
【図4】本発明に係る圧力調整装置の第2の実施例の断面図である。
【図5】本発明に係る圧力調整装置の第3の実施例の断面図である。
【図6】本発明に係る圧力調整装置の第4の実施例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は本発明に係る圧力調整装置の第1の実施例を示しており、シリンダユニット2、シリンダユニット2内を往復摺動可能に嵌合するように配置されているピストンユニット3を備えている。
【0011】
シリンダユニット2は、細管体21と、細管体21の一端(図中の上端)と繋がり、細管体21より横切断面が広い太管体22とを備えている。
【0012】
細管体21の太管体22と繋がっている端から離れた側となる自由端212は、その端面に第1の開口211を有しており、また、自由端212の周囲には、例えば流体管や流体機器などの被測定圧力源または圧力測定手段4と着脱可能になるように、例えばねじ機構が形成されている。
【0013】
太管体22は、製造の利便性により例えば複数の部分から構成されてもよく、例えば図示されるように、本実施例における太管体22は、一端開口の略桶状に形成された第1桶状壁224と、同じく一端開口の略桶状に形成された第2桶状壁223とが、互いに前記開口同士を覆い合って1つの管体を成すように構成されている。第1桶状壁224と、第2桶状壁223とが互いの開口を接する端部にはねじ機構が設けられており、互いに螺接できるようになっている。また第1桶状壁224は、第2桶状壁223から離れた方向、つまり太管体22の自由端側に突き出るように設けられた小径管部226を有している。小径管部226は、その端面に第2の開口221を有しており、また、小径管部226の周囲には、細管体21の自由端212と同様に、例えば流体管や流体機器などの被測定圧力源または圧力測定手段4と着脱可能になるように、例えばねじ機構が形成されている。
【0014】
第2桶状壁223には桶状の底となる部分のほぼ中央に連結孔225が形成されていて、細管体21が連結孔225に挿し込まれて太管体22と繋がっている。
【0015】
さらに細管体21を太管体22に固定する手段としては、細管体21は太管体22と繋がる端に細管体21の長手方向と直交する方向へ突き出るように設けられた第1のフランジ213を有する。また連結孔225には、形状が第1のフランジ213と対応する第2のフランジ215を有するナット状部材214が太管体22の内側から挿し込まれ、細管体21の一端と、例えばねじ機構などで接続されると、第1のフランジ213と第2のフランジ215が、連結孔225の周囲において第2桶状壁223の一部を挟み込むので、これにより細管体21と太管体22とが固定されるものが挙げられる。
【0016】
なお、本実施例では、シリンダユニット2各部の接続方法として上記の様にねじ接続を用いたが、要は簡易な構造で且つ堅牢に固定されさえすればよく、製造の利便性によって例えばリベット接続、溶接などを用いて接続されても構わない。
【0017】
ピストンユニット3は、細管体21に往復摺動可能に嵌合された水密手段30と、太管体22内に往復摺動可能に嵌合された水密手段31と、細管体21内および太管体22内に往復摺動可能に挿入されたプランジャ32と、細管体21内に嵌設されたガスケットリング33とを備えており、ガスケットリング33はプランジャ32に挿入されることによりプランジャ32を周りから支持している。
【0018】
以上の構成により、本実施形態では第1と第2の水密手段30、31とプランジャ32の介在によって、細管体21の内部においては、第1の水密手段30が細管体21の自由端側に面している面である第1の受圧面331と細管体21の自由端212の間に、被測定流体1が導入される第1圧力チャンバ23が画成される。また太管体22の内部においては、第2の水密手段31が太管体22の自由端側に面している面である第2の受圧面332と太管体22の自由端の間に、圧力伝達流体26が導入される第2圧力チャンバ25が画成される。更に、第2桶状壁223には外気に繋がる通気孔222が貫設されており、太管体22の内部において第2桶状壁223と第2の水密手段31の間に通気孔222により外気と連通された常圧チャンバ24が画成される。なお第1と第2の水密手段30、31は水密性だけではなく気密性も有している。
【0019】
プランジャ32はまた、ナット状部材214内と細管体21内とで往復摺動が可能なように、横断面が細管体21の管内空間の横断面と対応しており、細管体21内に挿入されている第1の端321と、太管体22内に延伸している第2の端322とを有す。細管体21内においてはプランジャ32が往復摺動可能で且つ気密・水密性も保持するようにガスケットリング33がプランジャ32を周りから支持しており、これによりプランジャ32が往復摺動しても、第1圧力チャンバ23内の流体が常圧チャンバ24に流入するのを防ぐことができる。
【0020】
第1の水密手段30は、本実施例においては、プランジャ32と一体的に1つの棒状体として形成されている。
【0021】
第2の水密手段31は、プランジャ32の第2の端322に当接しているプレート体311と、プレート体311のプランジャ32に接していない面に固定され、且つ太管体22を構成する第1桶状壁224と第2桶状壁223との間に周縁を挟まれることによって太管体22内に水密性を有するように密嵌されている弾性シート312からなっている。また、図1、図2に示されているように、本実施例に用いられる弾性シート312は、プランジャ32の摺動に応じて変形できる弾性材料を使用している。これによりプランジャ32からの押圧をプレート体311を介して弾性シート312に伝えることができ、また弾性シート312が太管体22内で周囲壁224に密嵌されていることにより第2圧力チャンバ25内の流体が常圧チャンバ24に流入するのを防ぐことができる。なおプレート体311は例えば金属などの強度に富んだ材料を用いて形成されてもよく、また弾性シート312は例えばゴムやシリコンなどの弾性材料を用いて隔膜状に形成されてもよい。
【0022】
本実施例においては、小径管部226に圧力測定手段4がねじ機構で着脱可能に接続されており、第2の開口221を通して第2圧力チャンバ25内の圧力を測定し、測定した値を表示手段41で表示できるようになっている。本実施例では直立式の指針表を具えた圧力計を用いたが、圧力測定手段4としては、例えばブルドン管圧力計、ダイヤフラム圧力計、ベローズ式圧力計もしくはデジタル圧力計など一般に用いられている各種の圧力計を利用することができる。
【0023】
以下、図2を参照して本発明の第1の実施例における圧力調整装置を用いた圧力測定の過程を示す。なお本実施例は、圧力測定手段4の圧力測定可能範囲を上回る圧力、たとえば高圧を測定するのに適したものである。
【0024】
第1圧力チャンバ23は第1の開口211より導入された被測定流体1に充填されており、第1圧力チャンバ23内の圧力は被測定流体1の圧力と同じである。ここで、第1圧力チャンバ内の圧力をP1とし、P1により押圧されるプランジャ32が受ける作用力をF(図示せず)とし、第1の受圧面331の面積をA1とすると、F=P1×A1となる。プランジャ32はこの作用力Fによって、当接する第2の水密手段31を押し込み、押し込まれた第2の水密手段31は第2圧力チャンバ25を加圧する。ここで第2の水密手段31により加圧された第2圧力チャンバ25内の圧力をP2とし、第2の水密手段31の第2の受圧面332の面積をA2とすると、P2=F÷A2となる。第2の受圧面332の面積は第1の受圧面331の面積よりも大きいので、つまりA2はA1よりも大きい値となるので、P2はP1よりも小さい値となる。P2は、第1と第2の受圧面331、332の面積比であるA2÷A1によって求められる変圧係数を乗算することによってP1と同じ値となるので、これにより被測定流体1の圧力と同値であるP1の値を導き出すことができる。
【0025】
具体的な数値で例を示すと、第1の受圧面331の面積A1、第2の受圧面332の面積A2、第1圧力チャンバ23内の圧力P1をそれぞれ
A1=1cm
A2=100cm
P1=1000kg/cm
とした場合、プランジャ32が受ける作用力F、第2圧力チャンバ25内の圧力P2はそれぞれ
F=1000kg×1cm=1000kg
P2=1000kg÷100cm=10kg/cm
となり、この時、圧力測定手段4が受ける圧力は10kg/cmとなる。これに変圧係数A2÷A1、つまりこの例においては100cm÷1cm=100を乗算すれば、P1の値である1000kg/cmを導き出すことができ、これにより被測定流体1の圧力の値が1000kg/cmであると測定することができる。
【0026】
つまり、被測定流体1の圧力が常圧よりも高い場合、被測定流体1が第1圧力チャンバ23を押し広げるように流入し、プランジャ32の第1の端321を押圧し、プランジャ32を細管体21から太管体22の方向、つまり矢印Dの方向へと押し込む。プランジャ32の第2の端322は第2の水密手段31に当接しており、これにより第2の水密手段31もプランジャ32と共に矢印Dの方向へと押し込まれる。同時に、プランジャ32に押し込まれた第2の水密手段31が第2圧力チャンバ25内の圧力伝達流体26を押し、これにより第2圧力チャンバ25が加圧される。加圧された第2圧力チャンバ25内の圧力は、圧力測定手段4により測定され、表示手段41で表示される。なお、この時ピストンユニット3が移動する距離hは、被測定流体1の圧力及び第1の受圧面331の面積A1と第2の受圧面332の面積A2との面積比に応じる。
【0027】
さらに例えば、圧力測定手段4の表示手段41は、圧力値を示す目盛りを、前記の変圧係数に合わせて調整し、圧力値を直接読み取ることができるようにすることも可能である。例えば上記の例においては、目盛りを100倍の値になるようにすれば、圧力の値を直接読み取ることができる。
【0028】
このように、本発明の本実施例に係る圧力調整装置は、被測定流体1から圧力を受ける面となる第1の受圧面331が、第2圧力チャンバ25内に充填されている圧力伝達流体26を加圧する面となる第2の受圧面332よりも面積において小さくなっているので、被測定流体1の圧力と同値である第1圧力チャンバ内23の圧力をより小さく調整して第2圧力チャンバ25内に伝達することができ、この測定に適するように調整された圧力を測定すれば被測定流体1の圧力を算出することができる。これにより圧力測定手段4の測定可能圧力範囲を上回る圧力をも測定することが可能になる。
【0029】
さらに特記すべきは、本実施例においてはプランジャ32と第2の水密手段31のプレート体311は固定されずにただ当接しており、プランジャ32は第2の水密手段31を押し込むことはできるが引っ張ることはできないように構成されている点である。このような構成によれば、流体管が破裂して被測定流体1の圧力が高圧から常圧に急激に低下し、プランジャ32が急激に第1圧力チャンバ23側に摺動した時でも、第2の水密手段31はプランジャ32に引っ張られることなく、第2圧力チャンバ25と常圧チャンバ24との圧力差によりゆっくりとプランジャ32と面する方向に摺動する。
【0030】
即ち、第1圧力チャンバ23内の圧力が急激に低下しても、第2圧力チャンバ25内の圧力は急激に低下することなくゆっくりと低下するので、これにより被測定流体1の圧力の急激な低下による圧力測定手段4の破損を防ぐことができる。
【0031】
図3は本発明の第1の実施例のもうひとつの形態を示しており、上述したように本発明に係る圧力調整装置は、細管体21の自由端212周辺の形状と、太管体22における小径管部226の自由端周辺の形状とが互いに対応しているので、図示されているように、ピストンユニット2を配置する方向を図1、2とは反対にし、被測定流体1が第2圧力チャンバ25に流れ込めるように例えば流体管や流体機器などの被測定圧力源を小径管部226に、第1圧力チャンバ23の圧力を測定できるように圧力測定手段4を自由端212に、それぞれ接続することもできる。
【0032】
このような構成によれば、被測定流体1の圧力を受ける受圧面となる第2の水密手段31の第2の受圧面332が、加圧面となる第1の水密手段30の第1の受圧面331よりも面積において大きくなっているので、被測定流体1の圧力と同値である第2圧力チャンバ25内の圧力P1をより大きく調整して第1圧力チャンバ23内の圧力伝達流体26に伝達することができ、この測定に適するように調整された圧力P2を細管体21の自由端212に接続された圧力測定手段4で測定すれば被測定流体1の圧力を算出することができる。これにより、圧力測定手段4の圧力測定可能範囲を下回る圧力、例えば微圧をも測定することが可能になる。
【0033】
図4は本発明の第2の実施例に係る圧力調整装置を示しており、第1の実施例の図3に示した形態と類似するものであり、太管体22の小径管部226に被測定流体1を、細管体21の自由端212に圧力測定手段4をそれぞれ接続しているが、第1の実施例と異なる点は、本実施例においてはプランジャ32が第2の水密手段31と当接しているだけでなく更に固接されており、これによりプランジャ32は第2の水密手段31を押し込むだけでなく引っ張ることもできる。
【0034】
更に本実施例では第2の水密手段の部材配置が第1の実施例と逆になっており、プランジャ32に当接する側に弾性シート312が、当接しない側にプレート体311が設置されている。プランジャ32の第2の端322に窪み323が形成されており、弾性シート312のプランジャ32に当接している部分には、弾性シート312とプレート体311とをまとめて貫く固定孔313が設けられており、固定ねじ34がプレート体311側から固定孔313を経由して窪み323に挿し込まれている。これによりプランジャ32と第2の水密手段31が固着される。
【0035】
このような構造によれば、例えば被測定流体1の圧力が大気圧よりも低い場合、つまり被測定圧力が負圧である場合でも、第2の水密手段31が負圧を受けてプランジャ32が第2圧力チャンバ25の方向に第1の水密手段30と共に摺動し、これにより第1圧力チャンバ23内も減圧される。第1圧力チャンバ23内の圧力を圧力測定手段4により測定すれば、被測定流体1の圧力を算出することができる。
【0036】
なお、プランジャ32と第2の水密手段31の固着方法は上記に限らず、要はプランジャ32が第2の水密手段31を引っ張ることもできるように固着されさえすればよい。
【0037】
図5は本発明の第3の実施例に係る圧力調整装置を示しており、第1の実施例と類似する構造であるが、第1の実施例と異なる点は、細管体21と第1の水密手段30の形状を変えたところにある。本実施例においては、細管体21は自由端に近い一部分の管内空間の横断面が、プランジャ32の横断面より広くなっており、更に、第1の水密手段30は第1の受圧面331がプランジャ32の横断面より広くなっており、つまり第1の水密手段30は、プランジャ32の第1の端321を包み込むように設けられている。
【0038】
上記の構成により、細管体21の管内空間は、第1の開口211と第1の水密手段30の間に画成される大槽部216と、横断面面積がプランジャ32の横断面面積に対応しており太管体22に繋がる側に画成される小槽部217と、横断面面積が大槽部216と同じであり第1の水密手段30と小槽部217との間に画成される周槽部218とに隔てられる。
【0039】
第1の水密手段30はまた、横断面面積が小槽部217よりも大きく且つ大槽部216よりも小さくなっており、つまり第1の水密手段30と太管体21との間には隙間がある。この隙間により、被測定流体1は大槽部216だけでなく周槽部218にも流入するようになっている。
【0040】
従って、この第3の実施例では、例えば超高圧流体の圧力測定時などに急激な圧力上昇でシリンダユニット2または圧力測定手段4が破損し太管体22内の密閉性が失われると、プランジャ32に被測定流体1の超高圧による強大な作用力が瞬間的にかかり、プランジャ32が圧力測定手段4の方向に射出されるように移動する。しかし、この場合でも、上記の構成によれば、第1の水密手段30は、周槽部218が小槽部217へと窄まるところで引っかかることによりプランジャ32が係止される。これによりプランジャ32が細管体21から外れて被測定流体1が外部に噴き出すのを防ぐことができ、安全性を高めることができる。
【0041】
図6は本発明の第4の実施例に係る圧力調整装置を示しており、第1の実施例と同様にシリンダユニット2、ピストンユニット3、圧力測定手段4から構成されているが、第1の実施例と異なる点は、圧力測定手段4の種類が違うところであり、本実施例においては、圧力測定手段4としてダイアフラム圧力計を用いており、上面視で指針を視認できるように構成されている。
【0042】
以上を総括すると、本発明は、被測定流体1と圧力測定手段4の間に、面積が異なる第1及び第2の受圧面331、332を有するピストンユニット3と、ピストンユニット3に対応して構成された細管体21及び太管体22からなるシリンダユニット2を備えている。そして、第1の開口211を被測定流体1に、第2の開口221を圧力測定手段4に繋げると、被測定流体1の圧力を第1圧力チャンバ23に導入し、被測定流体1の圧力を受ける面となる第1の受圧面331が第2圧力チャンバ25に圧力を伝える面となる第2の受圧面332よりも面積において小さくなるように配置されたピストンユニット3により、第1圧力チャンバ23に導入した被測定流体1の圧力を減少して第2圧力チャンバ25に伝えて圧力測定手段4で測定することにより、高圧の測定に適した構造とすることができる。
【0043】
また逆に、第2の開口221を被測定流体1に、第1の開口211を圧力測定手段4に繋げると、被測定流体1の圧力を第2圧力チャンバ25に導入し、被測定流体1の圧力を受ける面となる第2の受圧面332が第1圧力チャンバ23に圧力を伝える面となる第1の受圧面331よりも面積において大きくなるように配置されたピストンユニット3により、第2圧力チャンバ25に導入した被測定流体1の圧力を増大して第1圧力チャンバ23に伝えて圧力測定手段4で測定することにより低圧や微圧の測定に適した構造とすることもできる。
【0044】
また本発明は、プランジャ32と第2の水密手段31とを固着させて、さらに第2の開口221を被測定流体1に、第1の開口211を圧力測定手段4に繋げることにより負圧の測定に適した構造とすることもできる。
【0045】
さらに、本発明は、細管体21の自由端に近い一部分の管内空間の横断面を、プランジャ32の横断面より広くし、更に第1の水密手段30の横断面面積をプランジャ32の横断面面積よりも大きくすることで、例えば超高圧を受けてプランジャ32が圧力測定手段4の方向に射出されるように移動した時でも、第1の水密手段30が細管体21内で係止され、これによりプランジャ32が細管体21から外れるのを防ぎ、安全性を向上させることができる。
【0046】
以上、本発明を、最も好ましい実施例に即して説明してきたが、本発明は上記実施例には限定されず、最も広い解釈の範囲に含まれる種々の変更、並びに均等な変更を網羅することを意図していると理解されなければならない。
【符号の説明】
【0047】
11 被測定流体
2 シリンダユニット
3 ピストンユニット
4 圧力測定手段
21 細管体
22 太管体
23 第1圧力チャンバ
24 常圧チャンバ
25 第2圧力チャンバ
26 圧力伝達流体
30 第1の水密手段
31 第2の水密手段
32 プランジャ
33 ガスケットリング
34 固定ねじ
41 表示手段
211 第1の開口
212 自由端
213 第1のフランジ
214 ナット状部材
215 第2のフランジ
216 大槽部
217 小槽部
218 周槽部
221 第2の開口
222 通気孔
223 第2桶状壁
224 第1桶状壁
225 連結孔
226 小径管部
311 プレート体
312 弾性シート
313 固定孔
321 第1の端
322 第2の端
323 窪み
331 第1の受圧面
332 第2の受圧面
A1 第1の受圧面の面積
A2 第2の受圧面の面積
D プランジャ32の圧力測定時における移動方向
h ピストンユニット3の移動距離
P1 第1圧力チャンバ内の圧力
P2 第2圧力チャンバ内の圧力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向に沿って互いに繋がっている太管体と細管体とから構成されたシリンダユニットと、
前記シリンダユニット内に前記所定方向に沿って往復摺動可能に配置されているピストンユニットとを備えている圧力調整装置であって、
前記太管体の横断面開口は、前記細管体の横断面開口より広くなっており、
前記細管体及び前記太管体の、前記所定方向において互いに反対するそれぞれの自由端近くに、第1の開口と第2の開口とがそれぞれ設けられており、
前記ピストンユニットは、
前記所定方向に沿って延伸し、第1の端が前記細管体内に、第2の端が前記太管体内にあるように配置されているプランジャと、
前記所定方向と直交するように前記細管体の管内を水密、気密的に仕切ると共に、前記プランジャの前記第1の端に設けられた第1の水密手段と、
前記所定方向と直交するように前記太管体の管内を水密、気密的に仕切ると共に、前記プランジャの前記第2の端に設けられた第2の水密手段とを備えており、
前記細管体内における前記第1の水密手段は、前記細管体の自由端側に面している第1の受圧面を有し、該第1の受圧面から該細管体の自由端までの空間を第1圧力チャンバとして画成し、前記太管体における前記第2の水密手段は、前記太管体の自由端側に面している第2の受圧面を有し、該第2の受圧面から該太管体の自由端までの空間を第2圧力チャンバとして画成し、
この構成により、前記第1の開口を圧力測定手段に、前記第2の開口を被測定流体に繋げると、被測定流体の圧力を前記第2圧力チャンバに導入し、導入した被測定流体の圧力を前記ピストンユニットにより増大して前記第1圧力チャンバに伝えて圧力測定手段で測定することができ、また、前記第2の開口を圧力測定手段に、前記第1の開口を被測定流体に繋げると、被測定流体の圧力を前記第1圧力チャンバに導入し、導入した被測定流体の圧力を前記ピストンユニットにより減小して前記第2圧力チャンバに伝えて圧力測定手段で測定できることを特徴とする圧力調整装置。
【請求項2】
前記細管体と前記太管体とはそれぞれ前記所定方向を中軸線として形成された円管体であり、
前記細管体における自由端の端面に前記第1の開口が形成されており、
前記太管体における自由端の端面に、該太管体より窄まって延伸する小径管部が設けられ、該小径管部の自由端の端面に前記第2の開口が形成されており、
前記細管体の前記自由端近くの形状と、前記小径管部の自由端近くの形状とが対応しあっており、同一の圧力測定手段が前記細管体の自由端または前記小径管部の自由端に選択的に取り付けられて反対側の前記第1圧力チャンバまたは前記第2圧力チャンバから伝わる圧力を測定できることを特徴とする請求項1に記載の圧力調整装置。
【請求項3】
前記第2の水密手段は、前記プランジャの前記第2の端に当接しているプレート体と、前記プレート体の前記プランジャに当接していない面に固定されている弾性シートとを備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の圧力調整装置。
【請求項4】
前記太管体は、
第1桶状壁と、
前記第1桶状壁の前記細管体に臨む一端に取り付けられている第2桶状壁とから構成され、
前記第2桶状壁には連結孔が形成されており、前記細管体が前記連結孔に挿し込まれるように前記太管体と繋がっており、
更に、前記細管体の前記連結孔に挿し込まれている部分の内壁面にはガスケットリングが設けられており、該ガスケットリングが前記プランジャを周りから支持していることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の圧力調整装置。
【請求項5】
前記細管体の管内空間の横断面と、前記プランジャの横断面とがほぼ一致しており、
更に、前記第1の水密手段は、前記プランジャと一体的に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の圧力調整装置。
【請求項6】
前記細管体は、自由端に近い一部分において管内空間の横断面が、前記プランジャの横断面より広くなっており、
更に、前記第1の水密手段は、前記プランジャの前記第1の端を包み込むように固定されると共に、前記太管体との間に隙間を残すように設けられていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の圧力調整装置。
【請求項7】
前記プランジャの前記第2の端に窪みが形成されており、
前記第2の水密手段の前記プランジャに当接している部分に固定孔が形成されており、
前記固定孔から前記窪みに向かって固定手段が挿し込まれることにより、前記プランジャと前記第2の水密手段が固着されることを特徴とする請求項5に記載の圧力調整装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の圧力調整装置と、
前記細管体の自由端または前記小径管部の自由端に選択的に取り付けられて前記第1圧力チャンバまたは前記第2圧力チャンバの圧力を測定できる圧力測定手段とを有している圧力測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−113725(P2013−113725A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260410(P2011−260410)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(511289574)
【Fターム(参考)】