説明

圧縮性のクローバー形の接触子

【課題】2列の端子を確実に接続し得る小型の接触子アッセンブリを提供する
【解決手段】ワイヤー(12)は、複数のループ(21,22,23,24)を各々が有する小さなクローバー形状の一列の接触子(14)に曲げられている。クローバー形状の接触子は、互いに電気的に分離するように、切断部(40)のところで互いに切断されている。クローバー形状の接触子の中央部分は、ポリマーのブロック(43)中に埋設されている。前記一列のクローバー状の接触子とブロックとの組み合わせは、上側のグループの端子(30)と下側のグループの端子(32)との間に配置され、上側のグループの端子の各々を下側のグループの端子の各々に接続するように、これら端子間で圧縮されている。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
互いに近接して離間された複数の小型端子をそれぞれ有する2つの電子装置は、しばしば、接続されなければならない。一例は、1ミリメートル以下のピッチで離間された部品の端子を有する携帯電話や、対応したスペースで離間された基板の端子を有する回路基板のような装置である。2つの装置の端子を係合してこれら装置を接続する接触子アッセンブリは、全ての端子がこれらに対応した接触子と低い抵抗の接続でしっかり係合するのを確実にするように弾性的に圧縮可能である接触子を有するべきである。近接して離間された複数対の端子の各々との良好な接触を確実にし、低コストで構成され得る小型の接触子アッセンブリが、有用である。
【特許文献1】US7,074,096
【特許文献2】US7,021,942
【特許文献3】US6,722,893
【特許文献4】US6,666,690
【特許文献5】US6,313,523
【特許文献6】US5,973,394
【特許文献7】US5,573,435
【特許文献8】US5,397,240
【特許文献9】US5,273,438
【特許文献10】US5,101,553
【特許文献11】US5,059,143
【特許文献12】US5,035,628
【特許文献13】US5,030,109
【特許文献14】US4,973,270
【特許文献15】US3,783,433
【特許文献16】US3,210,722
【特許文献17】US2,124,462
【特許文献18】US2004/0002234A1
【特許文献19】US2002/0016433A1
【発明の開示】
【0002】
本発明の一実施形態によれば、互いに近接して離間された2列の端子を確実に接続し得る小型の接触子アッセンブリが、与えられる。この接触子アッセンブリは、一列の接触子に曲げられたワイヤーを有している。各接触子は、わずかに前後して位置された少なくとも3つのループを有しているが、これらループの全ては、同一の平面内に実質的に位置している。これら接触子は、隣接した接触子間でワイヤーを切断することにより、電気的に分離されている。これら接触子は、絶縁性のポリマーのブロックにより形成されたホルダーによって、一緒に保持されている。このポリマーのブロックは、ブロック中のワイヤー部分が曲げられ得るように、エラストマー材料からなっていても良いし、ポリマーのブロックは、曲げ動作に対応するように、表面近くに溝部を有する剛性の材料からなっていても良い。
【0003】
1つの接触子アッセンブリにおいて、接触子の各々は、接触子の軸線から各々が離れて延びている4つの360°のループを有している。これらループは、互いにわずかに前後して位置しているが、接触子の最前のループと接触子の最後のループとの間の距離は、接触子の高さの半分未満であり、通常は、接触子の高さの1/4未満である。
【0004】
本発明の新たな特徴は、添付の請求項に詳細に説明される。本発明は、添付図面を参照して読まれたとき、以下の説明から最良に理解される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
図1は、水平の前後方向F−R、即ち横方向Tに沿って延びる列上にそれぞれ位置する複数の接触子14へと巻かれたワイヤー12を有する本発明の接触子アッセンブリ10を示している。これら接触子の各々は、4つの弾性のワイヤーループ21,22,23,24を有し、これらワイヤーループの軸線は、軸線26を中心として所定の角度で互いに周方向に離間されている。これら接触子は、電子装置34,36の2列の端子30,32の合せ面28,29を相互接続するのに有用である。例えば、一方の電子装置34は、電子機器の一部であり、他方の電子装置36は、回路基板である。図示されている特定の接触子アッセンブリ10は、21の接触子を有している。これら接触子は、もともと単一のワイヤーから巻かれ、このワイヤーを短い長さに分離する切断部により、40のところで電気的に分離されている。ポリマーのようなモールド成形可能な絶縁材料のブロック43により形成され、列をなした接触子の周りにモールド成形されたホルダー42が、接触子を互いに離間して保持している。2つのグループの端子30,32からなる水平パネル45,47は、長手方向Mに対して直交している。
【0006】
図3は、4つのループ21,22,23,24へと巻かれたワイヤーの形態の1つの接触子14を示している。これらループは、横方向に延びる軸線44,45,46,47を夫々有している。各ループは、閉ループであるが、ワイヤーは、ループの内端部52のところで接続していない。各軸線の位置は、ループのエリアの中央である。各ループは、ループの内端部52と軸線とを通るライン50に関して対称である。各ループの内端部は、対向したループと接触子の軸線26とに最も近い端部である。各ループは、これに対応した軸線を中心に360°延びている。上側の1対のループ21,24は、側方でL字形状に離間され、また、下側の1対のループ22,23は、側方でL字形状に離間されている。上側のループと下側のループとは、垂直方向、即ち長手方向でM字形状に離間されている。
【0007】
図3において、複数のループは、前後方向、即ち横方向Tで互いに前後に位置され、ループ21が、最前に位置され、ループ22が、ループ21の後ろに位置され、ループ23が、ループ22の後ろに位置され、そして、ループ24が、接触子の後部に位置されている。図2は、複数のループが前後で近接して位置されているのを示している。この接触子は、各接触子の4つのループの横方向の奥行きAが、圧縮されていない接触子の長手方向の長さ、即ち高さBの1/2未満、好ましくは1/4未満の平面内に実質的に位置されている。また、接触子の側方の長さ(図3のE)は、この接触子の奥行きAの2倍以上、好ましくは4倍以上である。図3において、高さBは、奥行きAの約8倍である。これにより、接触子は、互いに近接して離間されることができ、かくして、電子装置の端子は、互いに近接して離間されることができる。近接して離間されていることにより、携帯電話のような小さな電子装置が、このような接触子を使用することができる。各接触子の主垂直平面は、横方向Tに対して直角である。
【0008】
このような接触子は、わずかなスペース内に装着され小型の端子を互いに接続するのに、特に有用である。出願人が設計した接触子アッセンブリと端子を有する装置との組み合わせにおいて、図3の接触子14は、2.5ミリメートルの高さBを有し、また、列をなした接触子は、約0.3ミリメートルのピッチC(図2)で夫々位置されている。従って、21の接触子を有し図示されている特定の接触子アッセンブリは、6.3ミリメートルの横方向の長さしか有していない。
【0009】
図3は、2つの電子装置の端子の列間で圧縮されることにより変形された後の接触子を想像線で14Aで示している。この接触子は、約0.25ミリメートルの高さ2Jだけ圧縮されている。この圧縮の間に、各ループの外端部60は、ループが広がるように、前記軸線26から離れる。このような広がりを可能にするために、出願人は、エラストマー材料のホルダーのブロック43を形成することができる。このエラストマー材料は、わずか50,000psiの弾性ヤング率を有する材料である。また、ポリマーのような硬質のモールド成形可能な材料のブロックを形成することも可能である。ブロックが硬質のポリマーで形成されている場合、このブロックには、ブロック中に偏向された、ブロックの表面近くのワイヤー部分を受け入れるように、図4に64で示されている溝部が形成され得る。
【0010】
ループの上部と下部とが互いに対向した端子に夫々接触した1つだけのループに曲げられた1つのワイヤーを使用して、2列の端子を互いに接続することが、可能である。また、1つだけの上側ループと1つだけの下側ループとに曲げられた1つのワイヤーを使用して、2列の端子を互いに接続することも、可能である。しかし、一列の端子のこれらループの1つが、かなり傾斜されるように設けられる場合、このように傾斜されたループは、これに対応した端子に係合し得ない。出願人による、接触子の上部と下部とに2つのループを使用することにより、幅広に離間された2つのループが、端子により圧縮される。接触子が傾斜された場合、接触子の2つのループの一方は、大きく圧縮され、他方は、少ししか若しくは全く圧縮されず、2つのループの少なくとも一方が、これに対応した端子に接触する。
【0011】
また、ブロックの複数の面の1つから突出した少なくとも2つのループを使用することにより、接触子アッセンブリの製造が助けられる。これら接触子は、別々に切断されて治具の一面に位置されることができる。このとき、2つの最下のループは、ホルダーのブロックが接触子の中央部のまわりにモールド成形されるまで、接触子の適切な方向付けを確実にするのを助けている。
【0012】
図4は、ブロックの形態の絶縁ホルダー72に装着された本発明の他の実施形態の接触子70の正面図を示している。この接触子70は、2つの下側ループ74,76と、1つの上側ループ78とを含む3つのループを有している。上側ループ78は、2つの上側ループほどの安定性を有していないが、2つの下側ループは、製造の間に接触子を適切に方向付ける。このため、仕上がったアッセンブリは、2つの電子装置84,86の上側端子80と下側端子82に適切に接する。これら3つのループの外端部は、横方向軸線90から互いに等しく離間されている。
【0013】
用語「垂直」、「上側」、並びに「下側」は、図示されているような部分を説明するために使用されているが、接触子アッセンブリがいずれの方向にも使用され得ることに注意すべきである。
【0014】
かくして、本発明は、非常に近接して離間された端子を一緒に接続し低コストで製造され得る、2列の端子を互いに接続するための小型の接触子アッセンブリを与えている。一列の接触子は、単一のワイヤーから形成され、このワイヤーは、各接触子用に1セットの少なくとも3つのループへと巻かれ、これらセットのループは、巻かれたワイヤーを切断することにより、若しくは、各セットのループ間でワイヤーを所定の長さに切り取ることにより、電気的に分離される。これらループは、絶縁性(例えばポリマー)のモールド成形可能な材料のホルダーブロックにより、適切な方向で所望に離間されて保持される。好ましくは少なくとも2つのループが、製造の間に接触子を方向付けるのを助けるように、ホルダーブロックの複数の面の1つから突出している。好ましい接触子アッセンブリにおいて、各接触子は、接触子の軸線から離間された内端部を各々が備えた4つのループを有している。
【0015】
本発明の特定の実施形態が、説明並びに図示されているが、変形並びに変更が、当業者に容易にもたらされ得ることは理解され、請求項が、このような変形並びに変更を含むように解釈されると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の接触子アッセンブリと2列の端子との組み合わせの等長性の分解図である。
【図2】図1の接触子アッセンブリの2列の接触子の側面の立方図である。
【図3】図1の複数の接触子の1つの正面の立方図であり、圧縮されたあとの接触子の一部を想像線で示している。
【図4】3つのループを有する本発明の他の実施形態の接触子と、この接触子に係合した1対の端子装置との組み合わせの断面図である。
【符号の説明】
【0017】
14,70…接触子、44,45,46,47…横方向軸線、21,22,23,24,74,76,78…ループ、42…ホルダー、43…ブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
横方向に延びた一列の複数の接触子(14,70)へと巻かれた1本のワイヤー(12)を具備し、前記接触子の各々は、水平の横方向軸線(44,45,46,47)を中心として夫々360°延びている複数のループ(21,22,23,24,74,76,78)を有し、各接触子のこれらループは、全てが、実質的に同一の垂直平面内に位置し、また、これらループの前記横方向軸線は、互いに平行であり離間され、また、前記ワイヤーは、前記接触子を互いに電気的に分離するように、隣接した接触子間で切断(40)されている接触子アッセンブリ。
【請求項2】
上面と下面とを有する誘電材料のブロック(43)を備えたホルダー(42)を更に具備し、前記ブロック内には、前記接触子の各々の部分が埋設され、前記複数のループの部分は、前記上面と下面とを夫々越えて延びている請求項1の接触子アッセンブリ。
【請求項3】
前記ホルダーは、エラストマー材料で形成されている請求項2の接触子アッセンブリ。
【請求項4】
前記ホルダーは、硬質のポリマー材料のモールド成形されたブロックであり、このブロックは、ブロックの面近くのワイヤーの部分がブロック内で偏向するのを可能にする溝部(64)を有している請求項2の接触子アッセンブリ。
【請求項5】
互いに横方向で離間した複数の端子(30,32,80,82)を各々が有する上側並びに下側の端子グループを更に具備し、
前記接触子は、これら上側並びに下側の端子グループの端子間に垂直方向に圧縮されて位置されている請求項1のアッセンブリ。
【請求項6】
互いに横方向で離間した複数の第1の端子(30,80)の各々を、互いに横方向で離間した複数の第2の端子(32,82)の各々に一緒に電気的に接続するための接触子アッセンブリであって、前記第1の端子は、第1の平面(45)内に実質的に位置された合せ面(28)をそれぞれ有し、また、前記第2の端子は、前記第1の平面から離間し第1の平面に平行な第2の平面(47)内に実質的に位置された合せ面(29)をそれぞれ有し、また、これら第1並びに第2の平面は、各々が、前記長手方向(M)に対して垂直であり、また、側方(L)並びに横方向(T)は、互いに交差し、長手方向に交差し、
同一の平面内にそれぞれ実質的に位置する少なくとも3つのループ(21,22,23,24,74,76,78)に曲げられたワイヤーと、横方向軸線(44,45,46,47)とを各々が有し、前記ループの各々は、前記横方向軸線に沿って見られるような閉ループである、複数の接触子(14)と、
これら複数の接触子を横方向に沿って一列に保持しているホルダー(42,72)とを具備している接触子アッセンブリ。
【請求項7】
前記複数の第1の端子と前記複数の第2の端子とは、前記接触子に対向して位置し、接触子を圧縮し、これら接触子の各々の前記ループの少なくとも第1のループ(21,24,78)は、前記第1の端子(30,38)の各々に対向して位置し、また、接触子の各々の前記ループの少なくとも第2並びに第3のループ(22,23,74,76)は、前記第2の端子(32,82)の各々に実質的に対向して位置している請求項6の接触子アッセンブリ。
【請求項8】
前記ワイヤーは、各接触子用に4つのループ(21,22,23,24)に曲げられ、接触子のこれらループの全ては、同一の平面内にそれぞれ実質的に位置し、接触子のこれらループのうちの2つは、前記第1の端子(36)の1つに隣接して位置し、また、接触子のこれらループのうちの2つは、前記第2の端子(32)の1つに隣接して位置している請求項6の接触子アッセンブリ。
【請求項9】
前記ホルダーは、互いに長手方向(M)で離間し対向した第1の面と第2の面とを有するポリマー材料のブロック(43)を有し、前記ループの少なくとも1つは、前記第1の面から突出し、また、前記ループの少なくとも2つは、前記第2の面から突出している請求項6の接触子アッセンブリ。
【請求項10】
前記ポリマー材料のブロックは、エラストマー材料である請求項9の接触子アッセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−311230(P2008−311230A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−156780(P2008−156780)
【出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【出願人】(596029797)アイティーティー・マニュファクチャリング・エンタープライジズ・インコーポレーテッド (34)
【Fターム(参考)】