説明

圧縮機およびその製造方法

【課題】本発明の課題は、製造コストを抑制しながら圧縮機構部の歪みをなくし、しかも、小径化が可能である圧縮機および圧縮機の製造方法を提供することにある。
【解決手段】圧縮機1,101,201,301は、クランク軸17,117,217,317、ローター21a,121,221a,321、シリンダブロック24,124,224,226,324、および第1ヘッド23,25,223,225,227,227A,227Bを備える。クランク軸は、偏心軸部17a,117a,217a,317aを有する。ローターは、偏心軸部に嵌合される。シリンダブロックは、シリンダ孔24a,124a,224a226a,324aを有する。シリンダ孔には、偏心軸部およびローターが収容される。第1ヘッドは、貫通レーザ溶接されることによってシリンダブロックと締結され、シリンダ孔の少なくとも片側を覆っている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機、特に、製造コストを抑制しながら圧縮機構部の歪みをなくし、しかも、小径化が可能である圧縮機およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スイング圧縮機やロータリー圧縮機では、シリンダブロック、フロントヘッド、及びリアヘッド等がボルトで締結されて圧縮機構部が形成されていた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平6−307363号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、このようにボルト締結法を用いた場合、ボルト本数が少ないと、圧縮機構部に歪みが生じてしまう。特に、近年、広く採用されつつある二酸化炭素などの自然冷媒を冷媒として利用する場合には、耐圧性を確保しなければならないため、締結力を大きくする必要があり、締結歪みが生じやすくなる。もちろん、ボルト本数を多くすればこのような問題は解消されるが、ボルトのコストが跳ね上がるため好ましくない。
【0004】
また、近年、特に日本社会では、設置スペース等の確保が難しいことから空気調和機や給湯機などの小型化が望まれている。この小型化を達成するためには、要素部品の中でも大きい部類に属する圧縮機を小径化することは避けて通ることができない。
【0005】
本発明の課題は、製造コストを抑制しながら圧縮機構部の歪みをなくし、しかも、小径化が可能である圧縮機およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明に係る圧縮機は、クランク軸、ローター、シリンダブロック、および第1ヘッドを備える。なお、ここにいう「ローター」には、スイング圧縮機のピストンのローター部やロータリー圧縮機のローター等が含まれる。また、ここにいう「第1ヘッド」には、フロントヘッド、リアヘッド、ミドルプレート等が含まれる。クランク軸は、偏心軸部を有する。ローターは、偏心軸部に嵌合される。シリンダブロックは、シリンダ孔を有する。シリンダ孔には、偏心軸部およびローターが収容される。第1ヘッドは、シリンダ孔の内周面から外周側に2mm以上4mm以下離れた位置に相当する位置でレーザ溶接されることによってシリンダブロックに締結され、シリンダ孔の少なくとも片側を覆っている。
【0007】
この圧縮機では、第1ヘッドが、シリンダ孔の内周面から外周側に2mm以上4mm以下離れた位置に相当する位置でレーザ溶接されることによってシリンダブロックに締結されている。このため、この圧縮機では、ボルトを使用せずに第1ヘッドをシリンダブロックに締結して圧縮機構部を作製することができる。したがって、この圧縮機では、ボルト締結の場合よりもシリンダ孔近くで第1ヘッドを締結することができる。この結果、この圧縮機では、ボルト締結による締結歪みの発生を防止することができると共に小径化が可能となる。よって、この圧縮機では、製造コストを抑制しながら圧縮機構部の歪みをなくすことができ、しかも、小径化を達成することができる。
【0008】
第2発明に係る圧縮機は、第1発明に係る圧縮機であって、第1ヘッドは、シリンダ孔の内周面から外周側に2mm以上4mm以下離れた位置に相当する位置が貫通レーザ溶接可能に薄肉化されている。なお、第1ヘッドが半溶融ダイキャスト成形法によって製造されており且つ貫通レーザ溶接時のレーザ出力が4〜5kWである場合、薄肉化とは3mm以下の厚みにすることである。
【0009】
この圧縮機では、第1ヘッドが、シリンダ孔の内周面から外周側に2mm以上4mm以下離れた位置に相当する位置が貫通レーザ溶接可能に薄肉化されている。このため、この圧縮機では、第1ヘッドをシリンダブロックに貫通レーザ溶接することができる。
【0010】
第3発明に係る圧縮機は、第1発明または第2発明に係る圧縮機であって、第1ヘッドは、クランク軸の軸方向に沿って貫通レーザ溶接されることによってシリンダブロックと締結されている。
【0011】
この圧縮機では、第1ヘッドが、クランク軸の軸方向に沿って貫通レーザ溶接されることによってシリンダブロックと締結されている。このため、この圧縮機では、第1ヘッドをシリンダブロックに容易に締結することができる。
【0012】
第4発明に係る圧縮機は、第1発明または第2発明に係る圧縮機であって、第1ヘッドは、クランク軸の軸方向に交差する方向(クランク軸の軸方向に直交する方向を除く)に沿って貫通レーザ溶接されることによってシリンダブロックと締結されている。
【0013】
この圧縮機では、第1ヘッドが、クランク軸の軸方向に交差する方向(クランク軸の軸方向に直交する方向を除く)に沿って貫通レーザ溶接されることによってシリンダブロックと締結されている。このため、この圧縮機では、第1ヘッドをシリンダブロックに容易に締結することができる。
【0014】
第5発明に係る圧縮機は、第1発明から第4発明のいずれかに係る圧縮機であって、シリンダブロックは、断熱空間をさらに有する。断熱空間は、シリンダ孔の内周面から外周側に4mmよりも遠く離れた位置にシリンダ孔の貫通方向に沿って第1面側から切り欠かれ且つ第1面と反対側の端面である第2面側に締結部が形成されるように形成される。また、第1ヘッドは、シリンダブロックの第1面側に配置されると共に断熱空間の開口を覆っている。また、この圧縮機は、第2ヘッドをさらに備える。なお、ここにいう「第2ヘッド」には、フロントヘッド、リアヘッド、ミドルプレート等が含まれる。第2ヘッドは、シリンダブロックの第2面側に配置され、シリンダ孔を覆っている。そして、シリンダブロックは、締結部がレーザ溶接されることによって第2ヘッドと締結されている。
【0015】
この圧縮機では、シリンダブロックの締結部がレーザ溶接されることによってシリンダブロックが第2ヘッドに締結されている。このため、この圧縮機では、シリンダブロックを第2ヘッドに容易に締結することができる。また、圧縮機が2シリンダタイプであって第2ヘッドがミドルプレートである場合であっても問題なくシリンダブロックを第2ヘッドに締結することができる。
【0016】
第6発明に係る圧縮機は、第5発明に係る圧縮機であって、シリンダブロックは、締結部が貫通レーザ溶接されることによって第2ヘッドに締結されている。
【0017】
この圧縮機では、シリンダブロックの締結部が貫通レーザ溶接されることによってシリンダブロックが第2ヘッドに締結されている。このため、この圧縮機では、シリンダブロックを第2ヘッドに容易に締結することができる。
【0018】
第7発明に係る圧縮機は、第5発明または第6発明に係る圧縮機であって、締結部は、貫通レーザ溶接可能に薄肉化されている。
【0019】
この圧縮機では、締結部が、貫通レーザ溶接可能に薄肉化されている。このため、この圧縮機では、シリンダブロックを第2ヘッドに貫通レーザ溶接することができる。
【0020】
第8発明に係る圧縮機は、第5発明から第7発明のいずれかに係る圧縮機であって、第1ヘッドは、断熱空間よりも外周側に相当する位置でもシリンダブロックとレーザ溶接されている。
【0021】
この圧縮機では、第1ヘッドが、断熱空間よりも外周側に相当する位置でもシリンダブロックとレーザ溶接されている。このため、この圧縮機では、断熱空間を良好にシールすることができる。
【0022】
第9発明に係る圧縮機は、第1発明から第8発明のいずれかに係る圧縮機であって、シリンダブロック及び第1ヘッドは、半溶融ダイキャスト成形法により形成されている。
【0023】
この圧縮機では、シリンダブロック及び第1ヘッドが、半溶融ダイキャスト成形法により形成されている。このため、この圧縮機では、シリンダブロック及び第1ヘッドの引張強度を十分に高めることができる。したがって、この圧縮機では、シリンダブロック及び第1ヘッドの設計自由度が大幅に向上し、小径化を達成することができる。また、シリンダブロックの硬度をHRB90よりも高くHRB100よりも低い範囲に調節すれば、圧縮機運転時においてそのシリンダブロックは十分な耐久性を発現することができ、かつ、可及的早い時期に「なじみ」を起こりやすくすることができ、かつ、異常運転時において焼付きが生じることを防止することができる。
【0024】
第10発明に係る圧縮機は、第5発明から第8発明のいずれかに係る圧縮機であって、シリンダブロック、第1ヘッド、及び第2ヘッドは、半溶融ダイキャスト成形法により形成されている。
【0025】
この圧縮機では、シリンダブロック、第1ヘッド、及び第2ヘッドが、半溶融ダイキャスト成形法により形成されている。このため、この圧縮機では、シリンダブロック、第1ヘッド、及び第2ヘッドの引張強度を十分に高めることができる。したがって、この圧縮機では、シリンダブロック、第1ヘッド、及び第2ヘッドの設計自由度が大幅に向上し、小径化を達成することができる。また、シリンダブロックの硬度をHRB90よりも高くHRB100よりも低い範囲に調節すれば、圧縮機運転時においてそのシリンダブロックは十分な耐久性を発現することができ、かつ、可及的早い時期に「なじみ」を起こりやすくすることができ、かつ、異常運転時において焼付きが生じることを防止することができる。
【0026】
第11発明に係る圧縮機は、クランク軸、ローター、シリンダブロック、および第1ヘッドを備える。クランク軸は、偏心軸部を有する。ローターは、偏心軸部に嵌合される。シリンダブロックは、シリンダ孔を有する。シリンダ孔には、偏心軸部およびローターが収容される。第1ヘッドは、貫通レーザ溶接されることによってシリンダブロックと締結され、シリンダ孔の少なくとも片側を覆っている。
【0027】
この圧縮機では、第1ヘッドが、貫通レーザ溶接されることによってシリンダブロックと締結され、シリンダ孔の少なくとも片側を覆っている。このため、この圧縮機では、ボルトを使用せずに第1ヘッドをシリンダブロックに締結して圧縮機構部を作製することができる。したがって、この圧縮機では、ボルト締結による締結歪みの発生を防止することができると共に小径化が可能となる。この結果、この圧縮機では、製造コストを抑制しながら圧縮機構部の歪みをなくすことができ、しかも、小径化を達成することができる。
【0028】
第12発明に係る圧縮機は、第11発明に係る圧縮機であって、第1ヘッドは、シリンダブロックとの締結部分が貫通レーザ溶接可能に薄肉化されている。なお、第1ヘッドが半溶融ダイキャスト成形法によって製造されており且つ貫通レーザ溶接時のレーザ出力が4〜5kWである場合、薄肉化とは3mm以下の厚みにすることである。
【0029】
この圧縮機では、第1ヘッドのシリンダブロックとの締結部分が貫通レーザ溶接可能に薄肉化されている。このため、この圧縮機では、第1ヘッドをシリンダブロックに貫通レーザ溶接することができる。
【0030】
第13発明に係る圧縮機は、第11発明または第12発明に係る圧縮機であって、第1ヘッドは、クランク軸の軸方向に沿って貫通レーザ溶接されることによってシリンダブロックと締結されている。
【0031】
この圧縮機では、第1ヘッドが、クランク軸の軸方向に沿って貫通レーザ溶接されることによってシリンダブロックと締結されている。このため、この圧縮機では、第1ヘッドをシリンダブロックに容易に締結することができる。
【0032】
第14発明に係る圧縮機は、第11発明または第12発明に係る圧縮機であって、第1ヘッドは、クランク軸の軸方向に交差する方向(クランク軸の軸方向に直交する方向を除く)に沿って貫通レーザ溶接されることによってシリンダブロックと締結されている。
【0033】
この圧縮機では、第1ヘッドが、クランク軸の軸方向に交差する方向(クランク軸の軸方向に直交する方向を除く)に沿って貫通レーザ溶接されることによってシリンダブロックと締結されている。このため、この圧縮機では、第1ヘッドをシリンダブロックに容易に締結することができる。
【0034】
第15発明に係る圧縮機は、第11発明から第14発明のいずれかに係る圧縮機であって、シリンダブロックは、断熱空間をさらに有する。断熱空間は、シリンダ孔よりも外周側にシリンダ孔の貫通方向に沿って第1面側から切り欠かれ且つ第1面と反対側の端面である第2面側に締結部が形成されるように形成される。また、第1ヘッドは、シリンダブロックの第1面側に配置されると共に断熱空間の開口を覆っている。また、この圧縮機は、第2ヘッドをさらに備える。第2ヘッドは、シリンダブロックの第2面側に配置され、シリンダ孔を覆っている。そして、このシリンダブロックは、締結部が貫通レーザ溶接されることによって第2ヘッドと締結されている。
【0035】
この圧縮機では、シリンダブロックの締結部が貫通レーザ溶接されることによってシリンダブロックが第2ヘッドに締結されている。このため、この圧縮機では、シリンダブロックを第2ヘッドに容易に締結することができる。また、圧縮機が2シリンダタイプであって第2ヘッドがミドルプレートである場合であっても問題なくシリンダブロックを第2ヘッドに締結することができる。
【0036】
第16発明に係る圧縮機は、第15発明に係る圧縮機であって、シリンダブロックは、締結部が貫通レーザ溶接されることによって第2ヘッドに締結されている。
【0037】
この圧縮機では、シリンダブロックの締結部が貫通レーザ溶接されることによってシリンダブロックが第2ヘッドに締結されている。このため、この圧縮機では、シリンダブロックを第2ヘッドに容易に締結することができる。
【0038】
第17発明に係る圧縮機は、第15発明または第16発明に係る圧縮機であって、締結部は、貫通レーザ溶接可能に薄肉化されている。
【0039】
この圧縮機では、締結部が、貫通レーザ溶接可能に薄肉化されている。このため、この圧縮機では、シリンダブロックを第2ヘッドに貫通レーザ溶接することができる。
【0040】
第18発明に係る圧縮機は、第15発明から第17発明のいずれかに係る圧縮機であって、第1ヘッドは、断熱空間よりも外周側に相当する位置でもシリンダブロックとレーザ溶接されている。
【0041】
この圧縮機では、第1ヘッドが、断熱空間よりも外周側に相当する位置でもシリンダブロックとレーザ溶接されている。このため、この圧縮機では、断熱空間を良好にシールすることができる。
【0042】
第19発明に係る圧縮機は、第11発明から第18発明のいずれかに係る圧縮機であって、シリンダブロック及び第1ヘッドは、半溶融ダイキャスト成形法により形成されている。
【0043】
この圧縮機では、シリンダブロック及び第1ヘッドが、半溶融ダイキャスト成形法により形成されている。このため、この圧縮機では、シリンダブロック及び第1ヘッドの引張強度を十分に高めることができる。したがって、この圧縮機では、シリンダブロック及び第1ヘッドの設計自由度が大幅に向上し、小径化を達成することができる。また、シリンダブロックの硬度をHRB90よりも高くHRB100よりも低い範囲に調節すれば、圧縮機運転時においてそのシリンダブロックは十分な耐久性を発現することができ、かつ、可及的早い時期に「なじみ」を起こりやすくすることができ、かつ、異常運転時において焼付きが生じることを防止することができる。
【0044】
第20発明に係る圧縮機は、第15発明から第18発明のいずれかに係る圧縮機であって、シリンダブロック、第1ヘッド、及び第2ヘッドは、半溶融ダイキャスト成形法により形成されている。
【0045】
この圧縮機では、シリンダブロック、第1ヘッド、及び第2ヘッドが、半溶融ダイキャスト成形法により形成されている。このため、この圧縮機では、シリンダブロック、第1ヘッド、及び第2ヘッドの引張強度を十分に高めることができる。したがって、この圧縮機では、シリンダブロック、第1ヘッド、及び第2ヘッドの設計自由度が大幅に向上し、小径化を達成することができる。また、シリンダブロックの硬度をHRB90よりも高くHRB100よりも低い範囲に調節すれば、圧縮機運転時においてそのシリンダブロックは十分な耐久性を発現することができ、かつ、可及的早い時期に「なじみ」を起こりやすくすることができ、かつ、異常運転時において焼付きが生じることを防止することができる。
【0046】
第21発明に係る圧縮機は、第1発明から第20発明に係る圧縮機であって、二酸化炭素(CO2)冷媒に対応可能である。
【0047】
この圧縮機は、二酸化炭素(CO2)冷媒に対応可能である。このため、この圧縮機は、地球環境問題に貢献することができる。
【0048】
第22発明に係る圧縮機の製造方法は、偏心軸部を有するクランク軸と、偏心軸部に嵌合されるローターと、偏心軸部およびローターを収容するシリンダ孔を有するシリンダブロックと、シリンダ孔を覆っているヘッドとを有する圧縮機の製造方法であって、接触工程およびレーザ溶接工程を備える。接触工程では、シリンダ孔を覆うようにヘッドがシリンダブロックに接触される。レーザ溶接工程では、シリンダ孔の内周面から外周側に2mm以上4mm以下離れた位置に相当する位置でヘッドがシリンダブロックにレーザ溶接される。
【0049】
この圧縮機の製造方法では、レーザ溶接工程において、シリンダ孔の内周面から外周側に2mm以上4mm以下離れた位置に相当する位置でヘッドがシリンダブロックにレーザ溶接される。このため、この圧縮機の製造方法を実施すると、ボルトを使用せずに第1ヘッドをシリンダブロックに締結して圧縮機構部を作製することができる。したがって、この圧縮機の製造方法を実施すると、ボルト締結による締結歪みの発生を防止することができると共に圧縮機の小径化が可能となる。この結果、この圧縮機の製造方法を実施すると、製造コストを抑制しながら圧縮機構部の歪みをなくすことができ、しかも、圧縮機を小径化することができる。
【0050】
第23発明に係る圧縮機の製造方法は、偏心軸部を有するクランク軸と、偏心軸部に嵌合されるローターと、偏心軸部およびローターを収容するシリンダ孔を有するシリンダブロックと、シリンダ孔を覆っているヘッドとを有する圧縮機の製造方法であって、接触工程および貫通レーザ溶接工程を備える。接触工程では、シリンダ孔を覆うようにヘッドがシリンダブロックに接触される。貫通レーザ溶接工程では、ヘッドがシリンダブロックに貫通レーザ溶接される。
【0051】
この圧縮機の製造方法では、貫通レーザ溶接工程において、ヘッドがシリンダブロックに貫通レーザ溶接される。このため、この圧縮機の製造方法を実施すると、ボルトを使用せずに第1ヘッドをシリンダブロックに締結して圧縮機構部を作製することができる。したがって、この圧縮機の製造方法を実施すると、ボルト締結による締結歪みの発生を防止することができると共に圧縮機の小径化が可能となる。この結果、この圧縮機の製造方法を実施すると、製造コストを抑制しながら圧縮機構部の歪みをなくすことができ、しかも、圧縮機を小径化することができる。
【0052】
第24発明に係る圧縮機の製造方法は、第1挿通工程、第1締結工程、第2締結工程、第3締結工程、第2挿通工程、第3挿通工程、第4締結工程、および第5締結工程を備える。第1挿通工程では、第1偏心軸部と第2偏心軸部とを有するクランク軸に、第1ヘッド、シリンダ孔を有する第1シリンダブロック、および第1ミドルプレートが、第1偏心軸部がシリンダ孔に収容され且つ第1ミドルプレートが第1偏心軸部と第2偏心軸部との間に位置するように挿通される。第1締結工程では、第1ヘッドが貫通レーザ溶接されて第1シリンダブロックに締結される。第2締結工程では、第1ミドルプレートが貫通レーザ溶接されて第1シリンダブロックに締結される。なお、第1締結工程および第2締結工程のいずれか一方は、第1挿通工程の前に行われてもよい。第3締結工程では、第2ミドルプレートが貫通レーザ溶接されて第2シリンダブロックに締結され、ミドルプレート締結済み第2シリンダブロックが作製される。第2挿通工程では、第2偏心軸部側から第1ミドルプレートと第2ミドルプレートとが対向するようにミドルプレート締結済み第2シリンダブロックが挿通される。第3挿通工程では、第2偏心軸部側から第2ヘッドが挿通される。第4締結工程では、第2ヘッドが貫通レーザ溶接されて第2シリンダブロックに締結される。第5締結工程では、第1ミドルプレートと第2ミドルプレートとがレーザ溶接されて締結される。なお、第5締結工程は、第3挿通工程あるいは第4締結工程の前に行われてもよい。
【0053】
この圧縮機の製造方法を実施すると、第1挿通工程で、第1偏心軸部と第2偏心軸部とを有するクランク軸に、第1ヘッド、シリンダ孔を有する第1シリンダブロック、および第1ミドルプレートが、第1偏心軸部がシリンダ孔に収容され且つ第1ミドルプレートが第1偏心軸部と第2偏心軸部との間に位置するように挿通される。また、第1締結工程で、第1ヘッドが貫通レーザ溶接されて第1シリンダブロックに締結される。また、第2締結工程で、第1ミドルプレートが貫通レーザ溶接されて第1シリンダブロックに締結される。また、第3締結工程で、第2ミドルプレートが貫通レーザ溶接されて第2シリンダブロックに締結され、ミドルプレート締結済み第2シリンダブロックが作製される。また、第2挿通工程で、第2偏心軸部側から第1ミドルプレートと第2ミドルプレートとが対向するようにミドルプレート締結済み第2シリンダブロックが挿通される。また、第3挿通工程で、第2偏心軸部側から第2ヘッドが挿通される。また、第4締結工程で、第2ヘッドが貫通レーザ溶接されて第2シリンダブロックに締結される。また、第5締結工程で、第1ミドルプレートと第2ミドルプレートとがレーザ溶接されて締結される。このため、この圧縮機の製造方法を実施すると、ボルトを使用せずに2シリンダタイプの圧縮機構部を作製することができる。また、この圧縮機の製造方法を実施すると、ボルト締結による締結歪みの発生を防止することができると共に圧縮機の小径化が可能となる。したがって、この圧縮機の製造方法を実施すると、製造コストを抑制しながら圧縮機構部の歪みをなくすことができ、しかも、圧縮機を小径化することができる。
【発明の効果】
【0054】
第1発明に係る圧縮機では、ボルトを使用せずに第1ヘッドをシリンダブロックに締結して圧縮機構部を作製することができる。したがって、この圧縮機では、ボルト締結の場合よりもシリンダ孔近くで第1ヘッドを締結することができる。この結果、この圧縮機では、ボルト締結による締結歪みの発生を防止することができると共に小径化が可能となる。よって、この圧縮機では、製造コストを抑制しながら圧縮機構部の歪みをなくすことができ、しかも、小径化を達成することができる。
【0055】
第2発明に係る圧縮機では、第1ヘッドをシリンダブロックに貫通レーザ溶接することができる。
【0056】
第3発明に係る圧縮機では、第1ヘッドをシリンダブロックに容易に締結することができる。
【0057】
第4発明に係る圧縮機では、第1ヘッドをシリンダブロックに容易に締結することができる。
【0058】
第5発明に係る圧縮機では、シリンダブロックを第2ヘッドに容易に締結することができる。また、圧縮機が2シリンダタイプであって第2ヘッドがミドルプレートである場合であっても問題なくシリンダブロックを第2ヘッドに締結することができる。
【0059】
第6発明に係る圧縮機では、シリンダブロックを第2ヘッドに容易に締結することができる。
【0060】
第7発明に係る圧縮機では、シリンダブロックを第2ヘッドに貫通レーザ溶接することができる。
【0061】
第8発明に係る圧縮機では、断熱空間を良好にシールすることができる。
【0062】
第9発明に係る圧縮機では、シリンダブロック及び第1ヘッドの引張強度を十分に高めることができる。したがって、この圧縮機では、シリンダブロック及び第1ヘッドの設計自由度が大幅に向上し、小径化を達成することができる。また、シリンダブロックの硬度をHRB90よりも高くHRB100よりも低い範囲に調節すれば、圧縮機運転時においてそのシリンダブロックは十分な耐久性を発現することができ、かつ、可及的早い時期に「なじみ」を起こりやすくすることができ、かつ、異常運転時において焼付きが生じることを防止することができる。
【0063】
第10発明に係る圧縮機では、シリンダブロック、第1ヘッド、及び第2ヘッドの引張強度を十分に高めることができる。したがって、この圧縮機では、シリンダブロック、第1ヘッド、及び第2ヘッドの設計自由度が大幅に向上し、小径化を達成することができる。また、シリンダブロックの硬度をHRB90よりも高くHRB100よりも低い範囲に調節すれば、圧縮機運転時においてそのシリンダブロックは十分な耐久性を発現することができ、かつ、可及的早い時期に「なじみ」を起こりやすくすることができ、かつ、異常運転時において焼付きが生じることを防止することができる。
【0064】
第11発明に係る圧縮機では、ボルトを使用せずに第1ヘッドをシリンダブロックに締結して圧縮機構部を作製することができる。したがって、この圧縮機では、ボルト締結による締結歪みの発生を防止することができると共に小径化が可能となる。この結果、この圧縮機では、製造コストを抑制しながら圧縮機構部の歪みをなくすことができ、しかも、小径化を達成することができる。
【0065】
第12発明に係る圧縮機では、第1ヘッドをシリンダブロックに貫通レーザ溶接することができる。
【0066】
第13発明に係る圧縮機では、第1ヘッドをシリンダブロックに容易に締結することができる。
【0067】
第14発明に係る圧縮機では、第1ヘッドをシリンダブロックに容易に締結することができる。
【0068】
第15発明に係る圧縮機では、シリンダブロックを第2ヘッドに容易に締結することができる。また、圧縮機が2シリンダタイプであって第2ヘッドがミドルプレートである場合であっても問題なくシリンダブロックを第2ヘッドに締結することができる。
【0069】
第16発明に係る圧縮機では、シリンダブロックを第2ヘッドに容易に締結することができる。
【0070】
第17発明に係る圧縮機では、シリンダブロックを第2ヘッドに貫通レーザ溶接することができる。
【0071】
第18発明に係る圧縮機では、断熱空間を良好にシールすることができる。
【0072】
第19発明に係る圧縮機では、シリンダブロック及び第1ヘッドの引張強度を十分に高めることができる。したがって、この圧縮機では、シリンダブロック及び第1ヘッドの設計自由度が大幅に向上し、小径化を達成することができる。また、シリンダブロックの硬度をHRB90よりも高くHRB100よりも低い範囲に調節すれば、圧縮機運転時においてそのシリンダブロックは十分な耐久性を発現することができ、かつ、可及的早い時期に「なじみ」を起こりやすくすることができ、かつ、異常運転時において焼付きが生じることを防止することができる。
【0073】
第20発明に係る圧縮機では、シリンダブロック、第1ヘッド、及び第2ヘッドの引張強度を十分に高めることができる。したがって、この圧縮機では、シリンダブロック、第1ヘッド、及び第2ヘッドの設計自由度が大幅に向上し、小径化を達成することができる。また、シリンダブロックの硬度をHRB90よりも高くHRB100よりも低い範囲に調節すれば、圧縮機運転時においてそのシリンダブロックは十分な耐久性を発現することができ、かつ、可及的早い時期に「なじみ」を起こりやすくすることができ、かつ、異常運転時において焼付きが生じることを防止することができる。
【0074】
第21発明に係る圧縮機は、地球環境問題に貢献することができる。
【0075】
第22発明に係る圧縮機の製造方法を実施すると、ボルトを使用せずに第1ヘッドをシリンダブロックに締結して圧縮機構部を作製することができる。したがって、この圧縮機の製造方法を実施すると、ボルト締結による締結歪みの発生を防止することができると共に圧縮機の小径化が可能となる。この結果、この圧縮機の製造方法を実施すると、製造コストを抑制しながら圧縮機構部の歪みをなくすことができ、しかも、圧縮機を小径化することができる。
【0076】
第23発明に係る圧縮機の製造方法を実施すると、ボルトを使用せずに第1ヘッドをシリンダブロックに締結して圧縮機構部を作製することができる。したがって、この圧縮機の製造方法を実施すると、ボルト締結による締結歪みの発生を防止することができると共に圧縮機の小径化が可能となる。この結果、この圧縮機の製造方法を実施すると、製造コストを抑制しながら圧縮機構部の歪みをなくすことができ、しかも、圧縮機を小径化することができる。
【0077】
第24発明に係る圧縮機の製造方法を実施すると、ボルトを使用せずに2シリンダタイプの圧縮機構部を作製することができる。また、この圧縮機の製造方法を実施すると、ボルト締結による締結歪みの発生を防止することができると共に圧縮機の小径化が可能となる。したがって、この圧縮機の製造方法を実施すると、製造コストを抑制しながら圧縮機構部の歪みをなくすことができ、しかも、圧縮機を小径化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0078】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係るスイング圧縮機1は、図1に示されるように、主に、縦長円筒状の密閉ドーム型のケーシング10、スイング圧縮機構部15、駆動モータ16、吸入管19、吐出管20、およびターミナル95から構成されている。なお、このスイング圧縮機1には、ケーシング10にアキュームレータ(気液分離器)90が取り付けられている。以下、このスイング圧縮機1の構成部品についてそれぞれ詳述していく。
【0079】
〔スイング圧縮機の構成部品の詳細〕
(1)ケーシング
ケーシング10は、略円筒状の胴部ケーシング部11と、胴部ケーシング部11の上端部に気密状に溶接される椀状の上壁部12と、胴部ケーシング部11の下端部に気密状に溶接される椀状の底壁部13とを有する。そして、このケーシング10には、主に、ガス冷媒を圧縮するスイング圧縮機構部15と、スイング圧縮機構部15の上方に配置される駆動モータ16とが収容されている。このスイング圧縮機構部15と駆動モータ16とは、ケーシング10内を上下方向に延びるように配置されるクランク軸17によって連結されている。
【0080】
(2)スイング圧縮機構部
スイング圧縮機構部15は、図1および図3に示されるように、主に、クランク軸17と、ピストン21と、ブッシュ22と、フロントヘッド23と、シリンダブロック24と、リアヘッド25とから構成されている。なお、本実施の形態において、フロントヘッド23およびリアヘッド25は、締結部23b,25bがクランク軸17の軸方向1aに沿って貫通レーザ溶接されることによってシリンダブロック24と一体に締結されている。また、本実施の形態において、このスイング圧縮機構部15はケーシング10の底部に貯められている潤滑油Lに浸漬されており、スイング圧縮機構部15には、潤滑油Lが差圧給油されるようになっている。以下、このスイング圧縮機構部15の構成部品についてそれぞれ詳述していく。
【0081】
a)シリンダブロック
シリンダブロック24には、図1および図2に示されるように、シリンダ孔24a、吸入孔24b、吐出路24c、ブッシュ収容孔24d、ブレード収容孔24e、および断熱溝24fが形成されている。シリンダ孔24aは、図1および図2に示されるように、板厚方向に沿って貫通する円柱状の孔である。吸入孔24bは、外周壁面からシリンダ孔24aに貫通して延びている。吐出路24cは、シリンダ孔24aを形作る円筒部の内周側の一部が切り欠かれることによって形成されている。ブッシュ収容孔24dは、板厚方向に沿って貫通する孔であって、板厚方向に沿って見た場合において吸入孔24bと吐出路24cとの間に位置している。ブレード収容孔24eは、板厚方向に沿って貫通する孔であって、ブッシュ収容孔24dと連通している。断熱溝24fは、シリンダ孔24aの貫通方向に沿って上下両側に形成される複数の溝であって、シリンダ室Rc1を断熱するためのものである。
【0082】
そして、このシリンダブロック24は、シリンダ孔24aにクランク軸17の偏心軸部17aおよびピストン21のローター部21aが収容され、ブッシュ収容孔24dにピストン21のブレード部21bおよびブッシュ22が収容され、ブレード収容孔24eにピストン21のブレード部21bが収容された状態で吐出路24cがフロントヘッド23側を向くようにしてフロントヘッド23とリアヘッド25とに嵌合される(図3参照)。この結果、スイング圧縮機構部15にはシリンダ室Rc1が形成され、このシリンダ室Rc1はピストン21によって吸入孔24bと連通する吸入室と、吐出路24cと連通する吐出室とに区画されることになる。なお、この状態で、ロータ部21aは、偏心軸部17aに嵌め込まれている。また、断熱孔24fには何も収容されることがない。なお、断熱孔24fは、できるだけ真空に近い状態であることが好ましい。
【0083】
b)クランク軸
クランク軸17には、一方の端部に偏心軸部17aが設けられている。そして、このクランク軸17は、偏心軸部17aが設けられていない側が駆動モータ16のローター52に固定されている。
【0084】
c)ピストン
ピストン21は、略円筒状のローター部21aと、ローター部21aの径方向外側に突出するブレード部21bとを有する。なお、ローター部21aは、クランク軸17の偏心軸部17aに嵌合された状態でシリンダブロック24のシリンダ孔24aに挿入される。これにより、ローター部21aは、クランク軸17が回転すると、クランク軸17の回転軸を中心とした公転運動を行う。また、ブレード部21bは、ブッシュ収容孔24dおよびブレード収容孔24eに収容される。これによりブレード部21bは、揺動すると同時に長手方向に沿って進退運動を行うことになる。
【0085】
d)ブッシュ
ブッシュ22は、略半円柱状の部材であって、ピストン21のブレード部21bを挟み込むようにしてブッシュ収容孔24dに収容される。
【0086】
e)フロントヘッド
フロントヘッド23は、シリンダブロック24の吐出路24c側を覆う部材であって、ケーシング10に嵌合されている。このフロントヘッド23には軸受部23aが形成されており、この軸受部23aにはクランク軸17が挿入される。また、このフロントヘッド23には、シリンダブロック24に形成された吐出路24cを通って流れてくる冷媒ガスを吐出管20に導くための開口(図示せず)が形成されている。そして、この開口は、冷媒ガスの逆流を防止するための吐出弁(図示せず)により閉塞されたり開放されたりする。また、このフロントヘッド23には、締結部23bが設けられる。締結部23bは、貫通レーザ溶接可能なように薄肉化されており、その厚みは2mmとされている。なお、本実施の形態において、この締結部23bとは、具体的には、フロントヘッド23のうちシリンダブロック24のシリンダ孔24aの内周面から外周側に2mm以上離れた領域に相当する領域を指す。
【0087】
f)リアヘッド
リアヘッド25は、シリンダブロック24の吐出路24c側の反対側を覆う。このリアヘッド25には軸受部25aが形成されており、この軸受部25aにはクランク軸17が挿入される。また、このリアヘッド25には、締結部25bが設けられる。締結部25bは、フロントヘッド23の締結部23aと同様に、貫通レーザ溶接可能なように薄肉化されており、その厚みは2mmとされている。なお、本実施の形態において、この締結部25bとは、具体的には、リアヘッド25のうちシリンダブロック24のシリンダ孔24aの内周面から外周側に2mm以上離れた領域に相当する領域を指す。
【0088】
(3)駆動モータ
駆動モータ16は、本実施の形態において直流モータであって、主に、ケーシング10の内壁面に固定された環状のステータ51と、ステータ51の内側に僅かな隙間(エアギャップ通路)をもって回転自在に収容されたローター52とから構成されている。
【0089】
ステータ51には、ティース部(図示せず)に銅線が巻回されており、上方および下方にコイルエンド53が形成されている。また、ステータ51の外周面には、ステータ51の上端面から下端面に亘り且つ周方向に所定間隔をおいて複数個所に切欠形成されているコアカット部(図示せず)が設けられている。
【0090】
ローター52には、回転軸に沿うようにクランク軸17が固定されている。
【0091】
(4)吸入管
吸入管19は、ケーシング10を貫通するように設けられており、一端がシリンダブロック24に形成される吸入孔24bに嵌め込まれており、他端がアキュームレータ90に嵌め込まれている。
【0092】
(5)吐出管
吐出管20は、ケーシング10の上壁部12を貫通するように設けられている。
【0093】
(6)ターミナル
ターミナル95は、図1に示されるように、主に、ターミナルピン95aおよびターミナルボディ95bから構成される。ターミナルピン95aはターミナルボディ95bによって支持されており、ターミナルボディ95bはケーシング10の上壁部12に嵌め込まれて溶接されている。そして、ターミナルピン95aのケーシング10内部側にはコイルエンド53から延びるリード線(図示せず)が接続され、ターミナルピン95aのケーシング10外部側には外部電源(図示せず)が接続される。
【0094】
〔主要部品の製造方法〕
本実施の形態に係るスイング圧縮機1において、ピストン21、シリンダブロック24、フロントヘッド23、リアヘッド25、およびクランク軸17は、下記製造方法に従って製造される。
【0095】
(1)原材料
本実施の形態において上記主要部品の原材料となる鉄素材としては、C:2.3〜2.4wt%、Si:1.95〜2.05wt%、Mn:0.6〜0.7wt%、P:<0.035wt%、S:<0.04wt%、Cr:0.00〜0.50wt%、Ni:0.50〜1.00wt%が添加されているビレットが採用される。なお、ここにいう重量割合は全量に対する割合である。また、ここに「ビレット」とは、一端、上記成分の鉄素材が溶融炉において溶融された後に、連続鋳造装置により円柱形状等に成形された最終成形前の素材を意味する。なお、ここで、CおよびSiの含有量は、引張強度および引張弾性率が片状黒鉛鋳鉄より高くなること、および複雑な形状の摺動部品基体を成形するのに適切な流動性を備えていることの両方を満足するように決定される。また、Niの含有量は、金属組織の靭性を向上させて成形時の表面クラックを防止するのに適切な金属組成を構成するように決定されている。
【0096】
(2)製造工程
上記主要部品は、半溶融ダイキャスト成形工程、熱処理工程、および最終仕上げ工程を経て製造される。以下、各工程について詳述する。
【0097】
a)半溶融ダイキャスト成形工程
半溶融ダイキャスト成形工程では、先ず、ビレットを高周波加熱することにより半溶融状態とする。次いで、その半溶融状態のビレットを所定の金型に注入する際に、ダイキャストマシンで所定圧力を加えながらビレットを所望の形状に成形し部品基体を得る。そして、部品基体を金型から取り出して急冷させると、その部品基体の金属組織は、全体的に白銑化したものとなる。なお、部品基体は最終的に得られる部品よりも若干大きく、この部品基体は、後の最終仕上げ工程において加工代が取り除かれて最終的な部品となる。
【0098】
b)熱処理工程
熱処理工程では、半溶融ダイキャスト成形工程後の部品基体が熱処理される。この熱処理工程において、部品基体の金属組織は、白銑化組織からパーライト/フェライト基地、粒状黒鉛から成る金属組織へと変化する。なお、この白銑化組織の黒鉛化、パーライト化については熱処理温度、保持時間、冷却速度などを調節することにより調節することができる。例えば、Honda R&D Technical Review の Vol.14 No.1 の論文「鉄の半溶融成形技術の研究」にあるように、950℃で60分保持した後に0.05〜0.10℃/secの冷却速度で炉中にて徐冷することにより、500MPa〜700MPa程度の引張強度、HB150(HRB81(SAE J 417硬さ換算表からの換算値))〜HB200(HRB96(SAE J 417硬さ換算表からの換算値))程度の硬度を有する金属組織を得ることができる。このような金属組織はフェライト中心であるために軟らかく被削性に優れるが、機械加工時に構成刃先を形成して刃具寿命を低下させる可能性がある。また、1000℃で60分保持した後に空冷し、さらに最初の温度より少し低い温度で所定時間保持した後に空冷することにより、600MPa〜900MPa程度の引張強度、HB200(HRB96(SAE J 417硬さ換算表からの換算値))〜HB250(HRB105,HRC26(SAE J 417硬さ換算表からの換算値、なおHRB105は試験タイプの有効な実用範囲を超えるため参考値である))程度の硬度を有する金属組織を得ることができる。このような金属組織において、片状黒鉛鋳鉄と同等の硬度を有するものは、片状黒鉛鋳鉄と同等の被削性を有し、同等の延性・靭性を有する球状黒鉛鋳鉄と比較すると被削性に優れている。また、1000℃で60分保持した後に油冷し、さらに最初の温度より少し低い温度で所定時間保持した後に空冷することにより、800MPa〜1300MPa程度の引張強度、HB250(HRB105,HRC26(SAE J 417硬さ換算表からの換算値、なおHRB105は試験タイプの有効な実用範囲を超えるため参考値である))〜HB350(HRB122,HRC41(SAE J 417硬さ換算表からの換算値、なおHRB122は試験タイプの有効な実用範囲を超えるため参考値である))程度の硬度を有する金属組織を得ることができる。このような金属組織はパーライト中心であるために硬く、被削性に劣るが、耐摩耗性に優れている。
【0099】
なお、本実施の形態において、この熱処理工程では、部品基体の硬度がHRB90(HB176(SAE J 417硬さ換算表からの換算値))よりも高くHRB100(HB219(SAE J 417硬さ換算表からの換算値))よりも低くなるような条件下で熱処理される。なお、部品基体が半溶融ダイキャスト成形法により製造される場合、部品基体の硬度はその部品基体の引張強度と比例関係になることが明らかとなっているので、このときの部品基体の引張強度は600MPaから900MPaの範囲にほぼ相当する。
【0100】
c)最終仕上げ工程
最終仕上げ工程では、部品基体が機械加工されて部品の完成となる。ただし、本実施の形態において、シリンダブロック24は、熱処理工程後、最終仕上げ工程前に、焼入れ工程を経て製造される。焼入れ工程では、ブッシュ収容孔24dに高周波加熱器(図示せず)が挿入され、ブッシュ収容孔24d周辺の部分の硬度がHRC50よりも高くHRC65よりも低くなるようにシリンダブロック24に焼入れ処理が施される。
【0101】
〔スイング圧縮機構部の組立〕
本発明の実施の形態において、スイング圧縮機構部15は、圧着工程および貫通レーザ溶接工程を経て作製される。
【0102】
圧着工程では、シリンダ孔24aにクランク軸17の偏心軸部17aおよびローター部21aが収容された状態で、ヘッド23,25が予め定められているように位置決めされてシリンダブロック24に圧着される。なお、この圧着工程では、フロントヘッド23およびリアヘッド25が同時にシリンダブロック24に圧着されてもよいし、先ずいずれか一方のヘッド23,25のみが圧着されてもよい。なお、一方のヘッド23,25のみが圧着される場合は、そのヘッド23がシリンダブロック25に貫通レーザ溶接された後に、他方のヘッド23,25が圧着されて貫通レーザ溶接されることになる。貫通レーザ溶接工程では、シリンダブロック24に圧着されたヘッド23,25に対して図4の実線矢印で示される方向からレーザ光線LSが照射され、ヘッド23,25がシリンダブロック24に貫通レーザ溶接される。なお、本実施の形態において、レーザ出力は4〜5kWに設定されている。また、本実施の形態において、ヘッド23,25の溶接位置Pwは、図5に示されるように、ヘッド23,25のうちシリンダブロック24のシリンダ孔24aの内周面から外周側に3mm離れた位置に相当する位置、およびヘッド23,25のうちシリンダブロック24の断熱溝24fよりも外周側に相当する位置である。なお、ヘッド23,25のうちシリンダブロック24のシリンダ孔24aの内周面から外周側に3mm離れた位置に相当する位置は、シリンダブロック24のシリンダ孔24aと断熱溝24fとの間に相当する領域に属する。また、ピストン21の揺動およびブッシュ22の回転運動を保証するために、ピストン21のブレード部21b及びブッシュ22に相当する位置には貫通レーザ溶接は施されない。また、本実施の形態では、スイング圧縮機構部15の組立にボルトは一切使用されない。
【0103】
〔スイング圧縮機の運転動作〕
駆動モータ16が駆動されると、偏心軸部17aがクランク軸17周りに偏心回転して、この偏心軸部17aに嵌合されたローラー部21aが、外周面をシリンダ室Rc1の内周面に接して公転する。そして、ローラー部21aがシリンダ室Rc内で公転するに伴って、ブレード部21bは両側面をブッシュ22によって保持されながら進退動する。そうすると、吸入口19から低圧の冷媒ガスが吸入室に吸入されて、吐出室で圧縮されて高圧にされた後、吐出路24cから高圧の冷媒ガスが吐出される。
【0104】
〔スイング圧縮機の特徴〕
(1)
第1実施形態に係るスイング圧縮機1では、ヘッド23,25が、シリンダ孔24aの内周面から外周側に3mm離れた位置に相当する位置で貫通レーザ溶接されることによってシリンダブロック224に締結されている。このため、このスイング圧縮機1では、ボルトを使用せずにヘッド23,25をシリンダブロック24に締結してスイング圧縮機構部15を作製することができる。したがって、このスイング圧縮機1では、ボルト締結による締結歪みの発生を防止することができると共に小径化が可能となる。この結果、このスイング圧縮機1は、製造コストを抑制しながらスイング圧縮機構部15の歪みをなくすことができ、しかも、小径化を達成することができる。
【0105】
(2)
第1実施形態に係るスイング圧縮機1では、ヘッド23,25が、シリンダ孔24aの内周面から外周側に3mm離れた位置に相当する位置が貫通レーザ溶接可能に薄肉化されている。このため、このスイング圧縮機1では、ヘッド23,25をシリンダブロック24に貫通レーザ溶接することができる。
【0106】
(3)
第1実施形態に係るスイング圧縮機1では、ヘッド23,25が、クランク軸17の軸方向1aに沿って貫通レーザ溶接されることによってシリンダブロック24と締結されている。このため、このスイング圧縮機1では、ヘッド23,25をシリンダブロック24に容易に締結することができる。
【0107】
(4)
第1実施形態に係るスイング圧縮機1では、フロントヘッド23およびリアヘッド25が、シリンダブロック24のシリンダ孔24aと断熱溝24fとの間に相当する位置およびシリンダブロック24の断熱溝24fよりも外周側に相当する位置でシリンダブロック24に貫通レーザ溶接されている。このため、このスイング圧縮機1では、断熱溝24fの密閉性を確保することができる。
【0108】
(5)
第1実施形態に係るスイング圧縮機1では、フロントヘッド23、リアヘッド25、及びシリンダブロック24が、半溶融ダイキャスト成形法により形成されている。このため、このスイング圧縮機1では、シリンダブロック24とヘッド23,25との締結にレーザ溶接を用いることができるのに加えて、シリンダブロック24とローター部21aとの良好ななじみ性やシリンダブロック24及びヘッド23,25の十分な耐圧強度などが得られる。
【0109】
(6)
第1実施形態に係るスイング圧縮機1では、スイング圧縮機構部15の組立にボルトが一切用いられない。このため、このスイング圧縮機1では、フロントヘッド23、シリンダブロック24、およびリアヘッド25にボルト穴を設ける必要がない。このため、このスイング圧縮機1は小径化されている。また、従来用いられているボルトのコストが不要となっているので、スイング圧縮機1の製造コストが低減されている。
【0110】
〔変形例〕
(A)
第1実施形態に係るスイング圧縮機1では、ヘッド23,25が貫通レーザ溶接によりシリンダブロック24に締結されてスイング圧縮機構部15が組み立てられた。ここで、このような組立技術を図7に示されるようなロータリー圧縮機101のシリンダブロック124やヘッド(図示しないが、先の実施の形態にかかるヘッド23,25と同一物である)に適用してもよい。つまり、ロータリー圧縮機101のフロントヘッドおよびリアヘッドが、シリンダブロック124のシリンダ孔124aの内周面から外周側に3mm離れた位置に相当する位置(ただし、シリンダブロック124のシリンダ孔124aと断熱溝124fとの間に相当する領域内である必要がある)およびシリンダブロック124の断熱溝124fよりも外周側に相当する位置でシリンダブロック124に貫通レーザ溶接されて締結されてもよいということである。なお、図6および図7において、符号117はクランク軸を示し、符号117aはクランク軸の偏心軸部を示し、符号121はローターを示し、符号122はベーンを示し、符号123はスプリングを示し、符号124bは吸入孔を示し、符号124cは吐出路を示し、符号124dはベーン収容孔を示し、符号Rc2はシリンダ室を示している。
【0111】
(B)
第1実施形態に係るスイング圧縮機1では、主に、ヘッド23,25のうちシリンダブロック24のシリンダ孔24aと断熱溝24fとの間に相当する位置、およびヘッド23,25のうちシリンダブロック24の断熱溝24fよりも外周側に相当する位置で不連続に貫通レーザ溶接が行われ、ヘッド23,25がシリンダブロック24に締結された。しかし、貫通レーザ溶接は、図8に示されるように、連続的に行われてもよい。このようにすれば、シリンダ孔24aと断熱溝24fとの間のシール性および断熱溝24fの密閉性をさらに向上させることができる。
【0112】
(C)
第1実施形態に係るスイング圧縮機1では、レーザ光線LSの照射方向がクランク軸17の軸1aに沿っていたが、レーザ光線LSの照射方向は、図9に示されるように、クランク軸17の軸1aに対して傾いていてもよい。
【0113】
(D)
第1実施形態に係るスイング圧縮機1では、ヘッド23,25がシリンダブロック24に貫通レーザ溶接されていた。しかし、ヘッド23,25のうちシリンダブロック24のシリンダ孔24aと断熱溝24fとの間に相当する位置、およびヘッド23,25のうちシリンダブロック24の断熱溝24fよりも外周側に相当する位置に図10に示されるような貫通溝23c,25cを設け、その貫通溝23c,25cの壁とシリンダブロック24とを隅溶接するようにしてもよい。なお、かかる場合、溶加剤を用いてレーザ溶接してもよいし溶加剤を用いずにレーザ溶接してもよい。
【0114】
(E)
第1実施形態に係るスイング圧縮機1では、断熱溝24fは上下両側に形成されていたが、断熱溝は、シリンダ孔24aのように、板厚方向に貫通していてもよい。
【0115】
(F)
第1実施形態に係るスイング圧縮機1では、断熱溝24fは4つに分けれられて形成されていたが、すべての断熱溝が連通するように断熱溝を形成するようにしてもかまわない。
【0116】
(G)
第1実施形態に係るスイング圧縮機1は、1シリンダタイプのスイング圧縮機であったが、本発明に係るスイング圧縮機構部15の組立技術は2シリンダタイプのスイング圧縮機やロータリー圧縮機にも適用可能である。
【0117】
(H)
第1実施形態に係るスイング圧縮機1では、シリンダブロック24に断熱溝24fが設けられていたが、断熱溝24fが設けられていなくてもよい(図11参照)。かかる場合、フロントヘッド23が、図11に示されるように、シリンダブロック24のシリンダ孔24aの内周面から外周側に3mm離れた位置に相当する位置でのみ貫通レーザ溶接されることによりシリンダブロック24に締結されるようにしてもかまわない。また、リアヘッド25は、図1に示されるように締結部25bを有していなくてもよい。かかる場合、リアヘッド25は、シリンダブロック24のシリンダ孔24aの内周面から外周側に2mm以上4mm以下の離れた位置で隅溶接されてシリンダブロック24に締結されてもよい。なお、かかる場合、溶加剤を用いてレーザ溶接してもよいし溶加剤を用いずにレーザ溶接してもよい。
【0118】
(I)
第1実施形態に係るスイング圧縮機1では、ヘッド23,25が、シリンダブロック24のシリンダ孔24aの内周面から外周側に3mm離れた位置に相当する位置で貫通レーザ溶接されることによってシリンダブロック24に締結されたが、貫通レーザ溶接位置は、ヘッド23,25のうちシリンダブロック24のシリンダ孔24aの内周面から外周側に2mm以上4mm以下離れた位置に相当する位置であればよい。
【0119】
(J)
第1実施形態に係るスイング圧縮機1では、フロントヘッド23及びリアヘッド25の締結部23b,25bの厚みが2mmとされ、貫通レーザ溶接時のレーザ出力が4〜5kWとされた。しかし、レーザ出力が4〜5kWであれば、締結部23b,25bの厚みは3mm以下でさえあればよい。また、レーザ出力を高めることができる場合には、締結部23b,25bの厚みを3mmよりも厚くしてもかまわない。また、レーザ出力を4kWよりも大きくすることができないのであれば、その厚みを薄くすればよい。
【0120】
<第2実施形態>
第2実施形態に係るスイング圧縮機201は、図12に示されるように、2シリンダタイプのスイング圧縮機であって、主に、縦長円筒状の密閉ドーム型のケーシング210、スイング圧縮機構部215、駆動モータ216、吸入管219、吐出管220、およびターミナル(図示せず)から構成されている。なお、このスイング圧縮機201には、ケーシング210にアキュームレータ(気液分離器)290が取り付けられている。以下、このスイング圧縮機201の構成部品についてそれぞれ詳述していく。
【0121】
〔スイング圧縮機の構成部品の詳細〕
(1)ケーシング
ケーシング210は、略円筒状の胴部ケーシング部211と、胴部ケーシング部211の上端部に気密状に溶接される椀状の上壁部212と、胴部ケーシング部211の下端部に気密状に溶接される椀状の底壁部213とを有する。そして、このケーシング210には、主に、ガス冷媒を圧縮するスイング圧縮機構部215と、スイング圧縮機構部215の上方に配置される駆動モータ216とが収容されている。このスイング圧縮機構部215と駆動モータ216とは、ケーシング210内を上下方向に延びるように配置されるクランク軸217によって連結されている。
【0122】
(2)スイング圧縮機構部
スイング圧縮機構部215は、図12および図14に示されるように、主に、フロントヘッド223と、第1シリンダブロック224と、ミドルプレート227と、第2シリンダブロック226と、リアヘッド225と、クランク軸217と、ピストン221と、ブッシュ222とから構成されている。なお、本実施の形態において、フロントヘッド223、第1シリンダブロック224、ミドルプレート227、第2シリンダブロック226、及びリヤヘッド225は、貫通レーザ溶接されることによって一体に締結されている。また、本実施の形態において、このスイング圧縮機構部215はケーシング210の底部に貯められている潤滑油Lに浸漬されており、スイング圧縮機構部215には、潤滑油Lが差圧給油されるようになっている。以下、このスイング圧縮機構部215の構成部品についてそれぞれ詳述していく。
【0123】
a)第1シリンダブロック
第1シリンダブロック224には、図13に示されるように、シリンダ孔224a、吸入孔224b、吐出路224c、ブッシュ収容孔224d、ブレード収容孔224e、および断熱孔224fが形成されている。シリンダ孔224aは、図12および図13に示されるように、板厚方向に沿って貫通する円柱状の孔である。吸入孔224bは、外周壁面からシリンダ孔224aに貫通している。吐出路224cは、シリンダ孔224aを形作る円筒部の内周側の一部が切り欠かれることによって形成されている。ブッシュ収容孔224dは、板厚方向に沿って貫通する孔であって、板厚方向に沿って見た場合において吸入孔224bと吐出路224cとの間に配置されている。ブレード収容孔224eは、板厚方向に沿って貫通する孔であって、ブッシュ収容孔224dと連通している。断熱孔224fは、シリンダ孔224aの貫通方向に沿って形成される複数の孔であって、シリンダ室Rc3を断熱するためのものである。また、この第1シリンダブロック224には、断熱孔224f内であって吐出路224c形成側と反対側の端部に締結部228が設けられる(図12参照)。なお、この締結部228は、第1シリンダブロック224と一体に設けられている。また、この締結部228は、貫通レーザ溶接可能なように薄肉化されている。
【0124】
そして、この第1シリンダブロック224は、シリンダ孔224aにクランク軸217の偏心軸部217aおよびピストン221のローター部221aが収容され、ブッシュ収容孔224dにピストン221のブレード部221bおよびブッシュ222が収容され、ブレード収容孔224eにピストン221のブレード部221bが収容された状態で吐出路224cがフロントヘッド223側を向くようにしてフロントヘッド223とミドルプレート227とに締結される(図14参照)。この結果、スイング圧縮機構部215には第3シリンダ室Rc3が形成され、この第3シリンダ室Rc3はピストン221によって吸入孔224bと連通する吸入室と、吐出路224cと連通する吐出室とに区画されることになる。
【0125】
b)第2シリンダブロック
第2シリンダブロック226には、第1シリンダブロック224と同様、図13に示されるように、シリンダ孔226a、吸入孔226b、吐出路226c、ブッシュ収容孔226d、ブレード収容孔226e、および断熱孔226fが形成されている。シリンダ孔226aは、図12および図13に示されるように、板厚方向に沿って貫通する円柱状の孔である。吸入孔226bは、外周壁面からシリンダ孔226aに貫通している。吐出路226cは、シリンダ孔226aを形作る円筒部の内周側の一部が切り欠かれることによって形成されている。ブッシュ収容孔226dは、板厚方向に沿って貫通する孔であって、板厚方向に沿って見た場合において吸入孔226bと吐出路226cとの間に配置されている。ブレード収容孔226eは、板厚方向に沿って貫通する孔であって、ブッシュ収容孔226dと連通している。断熱孔226fは、シリンダ孔226aの貫通方向に沿って形成される複数の孔であって、シリンダ室Rc4を断熱するためのものである。また、この第2シリンダブロック226には、断熱孔226f内であって吐出路226c形成側と反対側の端部に締結部228が設けられる(図12参照)。なお、この締結部228は、第2シリンダブロック226と一体に設けられている。また、この締結部228は、貫通レーザ溶接可能なように薄肉化されている。
【0126】
そして、この第2シリンダブロック226は、シリンダ孔226aにクランク軸217の偏心軸部217bおよびピストン221のローター部221aが収容され、ブッシュ収容孔226dにピストン221のブレード部221bおよびブッシュ222が収容され、ブレード収容孔226eにピストン221のブレード部221bが収容された状態で吐出路226cがリアヘッド225側を向くようにしてリアヘッド225とミドルプレート227とに嵌合される(図14参照)。この結果、スイング圧縮機構部215には第4シリンダ室Rc4が形成され、この第4シリンダ室Rc4はピストン221によって吸入孔226bと連通する吸入室と、吐出路226cと連通する吐出室とに区画されることになる。
【0127】
c)クランク軸
クランク軸217には、一方の端部に2つの偏心軸部217a,217bが設けられている。なお、これらの2つの偏心軸部217a,217bは、互いの偏心軸がクランク軸217の中心軸を挟んで対向するように形成されている。また、このクランク軸217は、偏心軸部217a,217bが設けられていない側が駆動モータ216のローター252に固定されている。
【0128】
d)ピストン
ピストン221は、略円筒状のローラー部221aと、ローラー部221aの径方向外側に突出するブレード部221bとを有する。なお、ローラー部221aは、クランク軸217の偏心軸部217a,217bに嵌合された状態でシリンダブロック224,226のシリンダ孔224a,226aに挿入される。これにより、ローラー部221aは、クランク軸217が回転すると、クランク軸217の回転軸を中心とした公転運動を行う。また、ブレード部221bは、ブッシュ収容孔224d,226dおよびブレード収容孔224e,226eに収容される。これによりブレード部221bは、揺動すると同時に長手方向に沿って進退運動を行うことになる。
【0129】
e)ブッシュ
ブッシュ222は、略半円柱状の部材であって、ピストン221のブレード部221bを挟み込むようにしてブッシュ収容孔224d,226dに収容される。
【0130】
f)フロントヘッド
フロントヘッド223は、第1シリンダブロック224の吐出路224d側を覆う部材であって、ケーシング210に締結されている。このフロントヘッド223には軸受部223aが形成されており、この軸受部223aにはクランク軸217が挿入される。また、このフロントヘッド223には、第1シリンダブロック224に形成された吐出路224cを通って流れてくる冷媒ガスを吐出管220に導くための開口(図示せず)が形成されている。そして、この開口は、冷媒ガスの逆流を防止するための吐出弁(図示せず)により閉塞されたり開放されたりする。また、このフロントヘッド223には、締結部223bが設けられる。締結部223bは、貫通レーザ溶接可能なように薄肉化されており、その厚みは2mmとされている。なお、本実施の形態において、この締結部223bとは、具体的には、フロントヘッド223のうち第1シリンダブロック224のシリンダ孔224aの内周面から外周側に2mm以上離れた領域に相当する領域を指す。
【0131】
g)リアヘッド
リアヘッド225は、第2シリンダブロック226の吐出路226c側を覆う。このリアヘッド225には軸受部225aが形成されており、この軸受部225aにはクランク軸217が挿入される。また、このリアヘッド225には、第2シリンダブロック226に形成された吐出路226cを通って流れてくる冷媒ガスを吐出管220に導くための開口(図示せず)が形成されている。そして、この開口は、冷媒ガスの逆流を防止するための吐出弁(図示せず)がより閉塞されたり開放されたりする。また、このリアヘッド225には、締結部225bが設けられる。締結部225bは、フロントヘッド223の締結部223aと同様に、貫通レーザ溶接可能なように薄肉化されており、その厚みは2mmとされている。なお、本実施の形態において、この締結部225bとは、具体的には、リアヘッド225のうち第2シリンダブロック226のシリンダ孔226aの内周面から外周側に2mm以上離れた領域に相当する領域を指す。
【0132】
h)ミドルプレート
ミドルプレート227は、第1シリンダブロック224と第2シリンダブロック226との間に配置され、第3シリンダ室Rc3と第4シリンダ室Rc4とを区画する。なお、本実施の形態において、このミドルプレートのうち貫通レーザ溶接箇所は、厚みが2mmとされている。
【0133】
(3)駆動モータ
駆動モータ216は、本実施の形態において直流モータであって、主に、ケーシング210の内壁面に固定された環状のステータ251と、ステータ251の内側に僅かな隙間(エアギャップ通路)をもって回転自在に収容されたロータ252とから構成されている。
【0134】
ステータ251には、ティース部(図示せず)に銅線が巻回されており、上方および下方にコイルエンド253が形成されている。また、ステータ251の外周面には、ステータ251の上端面から下端面に亘り且つ周方向に所定間隔をおいて複数個所に切欠形成されているコアカット部(図示せず)が設けられている。
【0135】
ロータ252には、回転軸に沿うようにクランク軸217が固定されている。
【0136】
(4)吸入管
吸入管219は、ケーシング210を貫通するように設けられており、一端が第1シリンダブロック224および第2シリンダブロック226に形成される吸入孔224b,226bに嵌め込まれており、他端がアキュームレータ290に嵌め込まれている。
【0137】
(5)吐出管
吐出管220は、ケーシング210の上壁部212を貫通するように設けられている。
【0138】
(6)ターミナル
ターミナル(図示せず)は、主に、ターミナルピン(図示せず)およびターミナルボディ(図示せず)から構成される。ターミナルピンはターミナルボディによって支持されており、ターミナルボディはケーシング210の上壁部212に嵌め込まれて溶接されている。そして、ターミナルピンのケーシング210内部側にはコイルエンド253から延びるリード線(図示せず)が接続され、ターミナルピンのケーシング210外部側には外部電源(図示せず)が接続される。
【0139】
〔主要部品の製造方法〕
本実施の形態に係るスイング圧縮機201において、ピストン221、シリンダブロック224,226、フロントヘッド223、リアヘッド225、ミドルプレート227、およびクランク軸17は、第1実施形態と同様にして製造される。
【0140】
〔スイング圧縮機構部の組立〕
本発明の実施の形態において、スイング圧縮機構部215は、シリンダブロック−ミドルプレート締結工程およびシリンダブロック−ヘッド締結工程を経て作製される。
【0141】
シリンダブロック−ミドルプレート締結工程では、締結部228とミドルプレート227とが接するようにシリンダブロック224,226がミドルプレート227に圧着された状態で、シリンダブロック224,226の締結部228に対してレーザ光線LSがクランク軸217の軸方向201aに沿って(図15の実線矢印参照)照射されて、締結部228がミドルプレート227に貫通レーザ溶接される。なお、本実施の形態において、レーザ出力は4〜5kWに設定されている。また、本実施の形態において、締結部228の溶接位置Pwは、図16の太い破線で示される通りである。なお、このシリンダブロック−ミドルプレート締結工程では、シリンダ孔224a,226aにクランク軸217の偏心軸部217a,217bおよびローター部221aが収容された状態でシリンダブロック224,226がミドルプレート227に貫通レーザ溶接されてもよいし、シリンダ孔224a,226aにクランク軸217の偏心軸部217a,217bおよびローター部221aが収容されない状態でシリンダブロック224,226がミドルプレート227に貫通レーザ溶接してもよい。なお、後者の場合は、貫通レーザ溶接完了後に、シリンダ孔224a,226aにクランク軸217の偏心軸部217a,217bおよびローター部221aが収容された状態となるように、クランク軸217がその組立体に挿入される。
【0142】
シリンダブロック−ヘッド締結工程では、シリンダブロック224,226にヘッド223,225が圧着された状態で、ヘッド223,225に対してレーザ光線LSがクランク軸217の軸方向201aに沿って(図15の実線矢印参照)照射され、ヘッド223,225がシリンダブロック224,226に貫通レーザ溶接される。なお、本実施の形態において、ヘッド223,225の溶接位置Pwは、図16に示されるように、ヘッド223,225のうちシリンダブロック224のシリンダ孔224aの内周面から外周側に3mm離れた位置に相当する位置、およびヘッド223,225のうちシリンダブロック224の断熱孔224fよりも外周側に相当する位置である。なお、ヘッド223,225のうちシリンダブロック224のシリンダ孔224aの内周面から外周側に3mm離れた位置に相当する位置は、シリンダブロック224のシリンダ孔224aと断熱孔224fとの間に相当する領域に属する。また、ピストン221の揺動およびブッシュ222の回転運動を保証するために、ピストン221のブレード部221b及びブッシュ222に相当する位置には貫通レーザ溶接は施されない。また、本実施の形態では、スイング圧縮機構部215の組立にボルトは一切使用されない。
【0143】
〔スイング圧縮機の運転動作〕
駆動モータ216が駆動されると、偏心軸部217a,217bがクランク軸217周りに偏心回転して、この偏心軸部217a,217bに嵌合されたローラー部221aが、外周面をシリンダ室Rc3,Rc4の内周面に接して公転する。そして、ローラー部221aがシリンダ室Rc3,Rc4内で公転するに伴って、ブレード部221bは両側面をブッシュ222によって保持されながら進退動する。そうすると、吸入口219から低圧の冷媒ガスが吸入室に吸入されて、吐出室で圧縮されて高圧にされた後、吐出路224c,226cから高圧の冷媒ガスが吐出される。
【0144】
〔スイング圧縮機の特徴〕
(1)
第2実施形態に係るスイング圧縮機201では、ヘッド223,225が、シリンダ孔224aの内周面から外周側に3mm離れた位置に相当する位置で貫通レーザ溶接されることによってシリンダブロック224,226に締結されている。また、このスイング圧縮機201では、シリンダブロック224,226の締結部228が貫通レーザ溶接されることによってシリンダブロック224,226がミドルプレート227に締結されている。このため、このスイング圧縮機201では、ボルトを使用せずにヘッド223,225をシリンダブロック224,226に締結して2シリンダタイプのスイング圧縮機構部215を作製することができる。したがって、このスイング圧縮機201では、ボルト締結による締結歪みの発生を防止することができると共に小径化が可能となる。この結果、このスイング圧縮機201は、製造コストを抑制しながらスイング圧縮機構部215の歪みをなくすことができ、しかも、小径化を達成することができる。
【0145】
(2)
第2実施形態に係るスイング圧縮機201では、ヘッド223,225が、シリンダ孔224a,226aの内周面から外周側に3mm離れた位置に相当する位置が貫通レーザ溶接可能に薄肉化されている。このため、このスイング圧縮機201では、ヘッド223,225をシリンダブロック224,226に貫通レーザ溶接することができる。
【0146】
(3)
第1実施形態に係るスイング圧縮機201では、ヘッド223,225が、クランク軸217の軸方向201aに沿って貫通レーザ溶接されることによってシリンダブロック224,226と締結されている。このため、このスイング圧縮機201では、ヘッド223,225をシリンダブロック224,226に容易に締結することができる。
【0147】
(4)
第2実施形態に係るスイング圧縮機201では、フロントヘッド223およびリアヘッド225が、シリンダブロック224,226のシリンダ孔224a,226aと断熱孔224f,226fとの間に相当する位置およびシリンダブロック224,226の断熱孔224f,226fよりも外周側に相当する位置でシリンダブロック224,226に貫通レーザ溶接されている。このため、このスイング圧縮機201では、断熱孔224f,226fの密閉性を確保することができる。
【0148】
(5)
第2実施形態に係るスイング圧縮機201では、フロントヘッド223、リアヘッド225、ミドルプレート227、及びシリンダブロック224,226が、半溶融ダイキャスト成形法により形成されている。このため、このスイング圧縮機201では、シリンダブロック224,226、ヘッド223,225、及びミドルプレート227の締結にレーザ溶接を用いることができるのに加えて、シリンダブロック224,226とローター部221aとの良好ななじみ性やシリンダブロック224,226及びヘッド223,225の十分な耐圧強度などが得られる。
【0149】
(6)
第2実施形態に係るスイング圧縮機201では、スイング圧縮機構部215の組立にボルトが一切用いられない。このため、このスイング圧縮機201では、フロントヘッド223、シリンダブロック224,226、ミドルプレート227、およびリアヘッド225にボルト穴を設ける必要がない。このため、このスイング圧縮機201は小径化されている。また、従来用いられているボルトのコストが不要となっているので、スイング圧縮機201の製造コストが低減されている。
【0150】
〔変形例〕
(A)
第2実施形態に係るスイング圧縮機201では、シリンダブロック224,226の締結部228が貫通レーザ溶接によりミドルプレート227に締結され、さらに、ヘッド223,225が貫通レーザ溶接によりシリンダブロック224,226に締結されて2シリンダタイプのスイング圧縮機構部215が組み立てられた。ここで、このような組立技術を図18に示されるようなロータリー圧縮機301のシリンダブロック324やヘッド(図示しないが、先の実施の形態にかかるヘッド223,225と同一物である)に適用してもよい。つまり、2シリンダタイプのロータリー圧縮機301において、フロントヘッドおよびリアヘッドが、シリンダブロック324のシリンダ孔324aの内周面から外周側に3mm離れた位置に相当する位置(ただし、シリンダブロック324のシリンダ孔324aと断熱孔324fとの間に相当する領域内である必要がある)およびシリンダブロック324の断熱孔324fよりも外周側に相当する位置でシリンダブロック324に貫通レーザ溶接されて締結されて、且つ、シリンダブロック324の締結部328が貫通レーザ溶接されることによってミドルプレート(図示せず)に締結されてもよいということである。なお、図17および図18において、符号317はクランク軸を示し、符号317aはクランク軸の偏心軸部を示し、符号321はローターを示し、符号322はベーンを示し、符号323はスプリングを示し、符号324bは吸入孔を示し、符号324cは吐出路を示し、符号324dはベーン収容孔を示し、符号Rc5はシリンダ室を示している。
【0151】
(B)
第2実施形態に係るスイング圧縮機201では、主に、ヘッド223,225のうちシリンダブロック224,226のシリンダ孔224aと断熱孔224fとの間に相当する位置、およびヘッド223,225のうちシリンダブロック224,226の断熱孔224f,226fよりも外周側に相当する位置で不連続に貫通レーザ溶接が行われ、ヘッド223,225がシリンダブロック224,226に締結された。しかし、貫通レーザ溶接は、図19に示されるように、連続的に行われてもよい。このようにすれば、シリンダ孔224aと断熱孔224fとの間のシール性および断熱孔224fの密閉性をさらに向上させることができる。
【0152】
(C)
第2実施形態に係るスイング圧縮機201では、レーザ光線LSの照射方向がクランク軸17の軸1aに沿っていたが、レーザ光線LSの照射方向は、クランク軸17の軸1aに対して傾いていてもよい(例えば、第1実施形態の変形例(C)および図9参照)。
【0153】
(D)
第2実施形態に係るスイング圧縮機201では、ヘッド223,225がシリンダブロック224,226に貫通レーザ溶接されていた。しかし、ヘッド223,225のうちシリンダブロック224,226のシリンダ孔224a,226aと断熱孔224f,226fとの間に相当する位置、およびヘッド223,225のうちシリンダブロック224,226の断熱孔224f,226fよりも外周側に相当する位置に貫通溝を設け、その貫通溝の壁とシリンダブロック224,226とを隅溶接するようにしてもよい(例えば、第1実施形態の変形例(D)および図10参照)。なお、かかる場合、溶加剤を用いてレーザ溶接してもよいし溶加剤を用いずにレーザ溶接してもよい。
【0154】
(E)
第2実施形態に係るスイング圧縮機201では、断熱溝224f,226fは4つに分けれられて形成されていたが、すべての断熱孔が連通するように断熱孔を形成するようにしてもかまわない。
【0155】
(F)
第2実施形態に係るスイング圧縮機201では、リアヘッド225が、貫通レーザ溶接されることによって第2シリンダブロック226に締結されていたが、リアヘッド225は、第2シリンダブロック226のシリンダ孔226aの内周面から外周側に2mm以上4mm以下の離れた位置で隅溶接されて第2シリンダブロック226に締結されてもよい(第1実施形態の変形例(H)および図11参照)。なお、かかる場合、溶加剤を用いてレーザ溶接してもよいし溶加剤を用いずにレーザ溶接してもよい。
【0156】
(G)
第2実施形態に係るスイング圧縮機201では、ヘッド223,225が、シリンダブロック224,226のシリンダ孔224a,226aの内周面から外周側に3mm離れた位置に相当する位置で貫通レーザ溶接されることによってシリンダブロック224,226に締結されたが、貫通レーザ溶接位置は、ヘッド223,225のうちシリンダブロック224,226のシリンダ孔224a,226aの内周面から外周側に2mm以上4mm以下離れた位置に相当する位置であればよい。
【0157】
(H)
第2実施形態に係るスイング圧縮機201では、シリンダブロック224,226の断熱孔224f,226f内であって吐出路224c,226c形成側と反対側の端部に締結部228が設けられたが、この締結部は、断熱孔224f,226fを完全に覆ってもかまわない。
【0158】
(I)
第2実施形態に係るスイング圧縮機201では、シリンダブロック224,226の断熱孔224f,226f内であって吐出路224c,226c形成側と反対側の端部に締結部228が設けられたが、この締結部は、断熱孔224f,226f内であって吐出路224c,226c形成側と反対側の端部の外周側あるいは内周側から突出するような形状のものであってもかまわない。
【0159】
(J)
第2実施形態に係るスイング圧縮機201では、シリンダブロック224,226の締結部228が貫通レーザ溶接によりミドルプレート227に締結され、さらに、ヘッド223,225が貫通レーザ溶接によりシリンダブロック224,226に締結されて2シリンダタイプのスイング圧縮機構部215が組み立てられた。しかし、スイング圧縮機構部は、図20及び図21に示されるようにして組み立てられてもよい。以下、この組立方法について詳述する。
【0160】
この組立方法は、主に、第1挿通工程、第1圧着工程、第1貫通レーザ溶接工程、第2貫通レーザ溶接工程、第2挿通工程、第2圧着工程、および第3貫通レーザ工程から成る。
【0161】
第1挿通工程では、クランク軸217の第1偏心軸部217aが第1シリンダブロック224Aのシリンダ孔に収容されるように、第1シリンダブロック224Aがクランク軸217に挿通される。また、第1ミドルプレート227Aがクランク軸217の第1偏心軸部217aと第2偏心軸部217bとの間に位置するように第1ミドルプレート227Aがクランク軸217に挿通される。そして、クランク軸217の駆動モータ216側からフロントヘッド223がクランク軸217に挿通される。
【0162】
第1圧着工程では、フロントヘッド223、第1シリンダブロック224A、第1ミドルプレート227Aが圧着される。
【0163】
第1貫通レーザ溶接工程では、フロントヘッド223およびミドルプレート227Aに対して、レーザ光線LSがクランク軸217の軸方向201aに沿って照射されて、フロントヘッド223および第1ミドルプレート227Aが第1シリンダブロック224Aに締結される。なお、本実施の形態において、フロントヘッド223および第1ミドルプレート227Aの溶接位置は、フロントヘッド223および第1ミドルプレート227Aのうち第1シリンダブロック224Aのシリンダ孔の内周面から外周側に3mm離れた位置に相当する位置である。また、ピストン221の揺動およびブッシュ222の回転運動を保証するために、ピストン221のブレード部221b及びブッシュ222に相当する位置には貫通レーザ溶接は施されない。
【0164】
第2貫通レーザ溶接工程では、第2シリンダブロック224B及び第2ミドルプレート227Bがクランク軸217に挿通される前に、第2ミドルプレート227Bに対して、レーザ光線LSがクランク軸217の軸方向201aに沿って照射されて、第2ミドルプレート227Bが第2シリンダブロック224Bに締結される。なお、以下、この溶接物を第2ミドルプレート付きシリンダブロックという。また、本実施の形態において、第2ミドルプレート227Bの溶接位置は、第2ミドルプレート227Bのうち第2シリンダブロック224Bのシリンダ孔の内周面から外周側に3mm離れた位置に相当する位置である。
【0165】
第2挿通工程では、第2ミドルプレート付きシリンダブロックが、第2ミドルプレート227Bが第1ミドルプレート227Aと対向するようにして、クランク軸217に挿通される。また、その後、リアヘッド225がクランク軸217に挿通される。
【0166】
第2圧着工程では、第2ミドルプレート付きシリンダブロックが第1ミドルプレート227Aに圧着され、リアヘッド225が第2シリンダブロック224Aに圧着される。
【0167】
第3貫通レーザ溶接工程では、図20に示されるように、リアヘッド225に対して、レーザ光線LSがクランク軸217の軸方向201aに沿って照射されて、リアヘッド225が第2シリンダブロック224Bに締結される。なお、本実施の形態において、リアヘッド225の溶接位置は、リアヘッド225のうち第2シリンダブロック224Bのシリンダ孔の内周面から外周側に3mm離れた位置に相当する位置である。また、この第3貫通レーザ溶接工程では、第1ミドルプレート227Aと第2ミドルプレート227Bの締結面に沿ってレーザ光線LSが照射されて、第1ミドルプレート227Aと第2ミドルプレート227Bとが締結される。なお、この第1ミドルプレート227Aと第2ミドルプレート227Bとは、全周に渡って溶接されてもよいし、点付けされてもよい。
【0168】
なお、本実施の形態では、工程順序は、結果物が同一物である限り、特に限定されない。例えば、第2シリンダブロック224B、リアヘッド225、及び第2ミドルプレート227Bの組立てが先に行われ、第1シリンダブロック224A、フロントヘッド223、及び第1ミドルプレート227Aの組立てが後に行われてもよい。また、第1挿通工程では、予めフロントヘッド223と締結された第1シリンダブロック224Aを、クランク軸217の駆動モータ216側からクランク軸217に挿通してもよいし、予め第1ミドルプレート22Aと締結された第1シリンダブロック224Aをクランク軸217に挿通するようにしてもよい。また、第2貫通レーザ溶接工程は第2挿通工程の前であればいつ行われてもよい。また、第3貫通レーザ溶接工程では、リアヘッド225が第2シリンダブロック224Bに貫通レーザ溶接される前に、第1ミドルプレート227Aと第2ミドルプレート227Bとがレーザ溶接されてもよい。
【0169】
(K)
第2実施形態に係るスイング圧縮機201では、シリンダブロック224,226の断熱孔224f,226f内であって吐出路224c,226c形成側と反対側の端部に締結部228が設けられたが、この締結部228はなくてもよい。かかる場合、シリンダブロックは、断熱孔の内壁の端部で隅レーザ溶接されてリアヘッドと締結される。
【0170】
(L)
第2実施形態に係るスイング圧縮機201では、フロントヘッド223及びリアヘッド225の締結部223b,225bの厚みが2mmとされ、貫通レーザ溶接時のレーザ出力が4〜5kWとされた。しかし、レーザ出力が4〜5kWであれば、締結部223b,225bの厚みは3mm以下でさえあればよい。また、レーザ出力を高めることができる場合には、締結部223b,225bの厚みを3mmよりも厚くしてもかまわない。また、レーザ出力を4kWよりも大きくすることができないのであれば、その厚みを薄くすればよい。
【産業上の利用可能性】
【0171】
本発明に係る圧縮機は、製造コストを抑制しながら圧縮機構部の歪みをなくすことができ、しかも、小径化を達成することができるという特徴を有し、更新需要向けの圧縮機として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0172】
【図1】本発明の第1実施形態に係るスイング圧縮機の縦断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るスイング圧縮機を構成するシリンダブロックの上面である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るスイング圧縮機を構成する圧縮機構部のA−A断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る貫通レーザ溶接におけるレーザ照射方向を示す図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係るヘッドの貫通レーザ溶接部分を示す図である(なお、ヘッドは部分的に描画されている)。
【図6】第1実施形態の変形例(A)に係るロータリー圧縮機を構成するシリンダブロックの上面である。
【図7】第1実施形態の変形例(A)に係るロータリー圧縮機の圧縮機構部の横断面図である。
【図8】第1実施形態の変形例(B)に係るヘッドの貫通レーザ溶接部分を示す図である(なお、ヘッドは部分的に描画されている)。
【図9】第1実施形態の変形例(C)に係るレーザ照射方向を示す図である。
【図10】第1実施形態の変形例(D)に係る隅溶接の態様を示す図である。
【図11】第1実施の形態の変形例(H)に係るヘッドのレーザ溶接を示す図である。
【図12】本発明の第2実施形態に係るスイング圧縮機の縦断面図である。
【図13】本発明の第2実施形態に係るスイング圧縮機を構成するシリンダブロックの上面である。
【図14】本発明の第2実施形態に係るスイング圧縮機を構成する圧縮機構部の横断面図である。
【図15】本発明の第2実施形態に係る貫通レーザ溶接におけるレーザ照射方向を示す図である。
【図16】本発明の第2実施形態に係るヘッド及びシリンダブロックの締結部の貫通レーザ溶接部分を示す図である(なお、ヘッドは部分的に描画されている)。
【図17】第2実施形態の変形例(A)に係るロータリー圧縮機を構成するシリンダブロックの上面である。
【図18】第第2実施形態の変形例(A)に係るロータリー圧縮機の圧縮機構部の横断面図である。
【図19】第2実施形態の変形例(B)に係るヘッドの貫通レーザ溶接部分を示す図である(なお、ヘッドは部分的に描画されている)。
【図20】第2実施形態の変形例(J)に係るスイング圧縮機構部の組立方法を示す図。
【図21】第2実施形態の変形例(J)に係るスイング圧縮機構部の組立方法を示す図。
【符号の説明】
【0173】
1,201 スイング圧縮機(圧縮機)
17,117,217,317 クランク軸
17a,117a,317a 偏心軸部
21a,221a ローター部
23,223 フロントヘッド(第1ヘッド)
25,225 リアヘッド(第1ヘッド)
24,124,324 シリンダブロック
24a,124a,224a,226a,324a シリンダ孔
101,301 ロータリー圧縮機(圧縮機)
121,321 ローター
217a 偏心軸部(第1偏心軸部)
217b 偏心軸部(第2偏心軸部)
224 第1シリンダブロック(シリンダブロック)
224f,226f,324f 断熱孔(断熱空間)
226 第2シリンダブロック(シリンダブロック)
227 ミドルプレート(第2ヘッド)
227A 第1ミドルプレート(第2ヘッド,ミドルプレート)
227B 第2ミドルプレート(第2ヘッド,ミドルプレート)
228,328 締結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏心軸部(17a,117a,217a,217b,317a)を有するクランク軸(17,117,217,317)と、
前記偏心軸部に嵌合されるローター(21a,121,221a,321)と、
前記偏心軸部および前記ローターを収容するシリンダ孔(24a,124a,224a,226a,324a)を有するシリンダブロック(24,124,224,226,324)と、
前記シリンダ孔の内周面から外周側に2mm以上4mm以下離れた位置に相当する位置でレーザ溶接されることによって前記シリンダブロックに締結され、前記シリンダ孔の少なくとも片側を覆っている第1ヘッド(23,25,223,225,227,227A,227B)と、
を備える、圧縮機(1,101,201,301)。
【請求項2】
前記第1ヘッドは、前記シリンダ孔の内周面から外周側に2mm以上4mm以下離れた位置に相当する位置が貫通レーザ溶接可能に薄肉化されている、
請求項1に記載の圧縮機。
【請求項3】
前記第1ヘッドは、前記クランク軸の軸方向に沿って貫通レーザ溶接されることによって前記シリンダブロックと締結されている、
請求項1または2に記載の圧縮機。
【請求項4】
前記第1ヘッドは、前記クランク軸の軸方向に交差する方向(クランク軸の軸方向に直交する方向を除く)に沿って貫通レーザ溶接されることによって前記シリンダブロックと締結されている、
請求項1または2に記載の圧縮機。
【請求項5】
前記シリンダブロック(224,226,324)は、前記シリンダ孔(224a,226a,324a)の内周面から外周側に4mmよりも遠く離れた位置に前記シリンダ孔の貫通方向に沿って第1面側から切り欠かれ且つ前記第1面と反対側の端面である第2面側に締結部(228,328)が形成されるように形成される断熱空間(224f,226f,324f)をさらに有し、
前記第1ヘッド(223,225)は、前記シリンダブロックの前記第1面側に配置されると共に前記断熱空間の開口を覆っており、
前記シリンダブロックの前記第2面側に配置され、前記シリンダ孔を覆っている第2ヘッド(227,227A,227B)をさらに備え、
前記シリンダブロックは、前記締結部がレーザ溶接されることによって前記第2ヘッドに締結されている、
請求項1から4のいずれかに記載の圧縮機。
【請求項6】
前記シリンダブロックは、前記締結部が貫通レーザ溶接されることによって前記第2ヘッドに締結されている、
請求項5に記載の圧縮機。
【請求項7】
前記締結部は、貫通レーザ溶接可能に薄肉化されている、
請求項5または6に記載の圧縮機。
【請求項8】
前記第1ヘッドは、前記断熱空間よりも外周側に相当する位置でも前記シリンダブロックとレーザ溶接されている、
請求項5から7のいずれかに記載の圧縮機。
【請求項9】
前記シリンダブロック及び前記第1ヘッドは、半溶融ダイキャスト成形法により形成されている、
請求項1から8のいずれかに記載の圧縮機。
【請求項10】
前記シリンダブロック、前記第1ヘッド、及び第2ヘッドは、半溶融ダイキャスト成形法により形成されている、
請求項5から8のいずれかに記載の圧縮機。
【請求項11】
偏心軸部(17a,117a,217a,217b,317a)を有するクランク軸(17,117,217,317)と、
前記偏心軸部に嵌合されるローター(21a,121,221a,321)と、
前記偏心軸部および前記ローターを収容するシリンダ孔(24a,124a,224a,226a,324a)を有するシリンダブロック(24,124,224,226,324)と、
貫通レーザ溶接されることによって前記シリンダブロックと締結され、前記シリンダ孔の少なくとも片側を覆っている第1ヘッド(23,25,223,225,227,227A,227B)と、
を備える、圧縮機(1,101,201,301)。
【請求項12】
前記第1ヘッドは、前記シリンダブロックとの締結部分が貫通レーザ溶接可能に薄肉化されている、
請求項11に記載の圧縮機。
【請求項13】
前記第1ヘッドは、前記クランク軸の軸方向に沿って貫通レーザ溶接されることによって前記シリンダブロックと締結されている、
請求項11または12に記載の圧縮機。
【請求項14】
前記第1ヘッドは、前記クランク軸の軸方向に交差する方向(クランク軸の軸方向に直交する方向を除く)に沿って貫通レーザ溶接されることによって前記シリンダブロックと締結されている、
請求項11または12に記載の圧縮機。
【請求項15】
前記シリンダブロック(224,226,324)は、前記シリンダ孔(224a,226a,324a)よりも外周側に前記シリンダ孔の貫通方向に沿って第1面側から切り欠かれ且つ前記第1面と反対側の端面である第2面側に締結部(228,328)が形成されるように形成される断熱空間(224f,226f,324f)をさらに有し、
前記第1ヘッド(223,225)は、前記シリンダブロックの前記第1面側に配置されると共に前記断熱空間の開口を覆っており、
前記シリンダブロックの前記第2面側に配置され、前記シリンダ孔を覆っている第2ヘッド(227,227A,227B)をさらに備え、
前記シリンダブロックは、前記締結部がレーザ溶接されることによって前記第2ヘッドに締結されている、
請求項11から14のいずれかに記載の圧縮機。
【請求項16】
前記シリンダブロックは、前記締結部が貫通レーザ溶接されることによって前記第2ヘッドに締結されている、
請求項15に記載の圧縮機。
【請求項17】
前記締結部は、貫通レーザ溶接可能に薄肉化されている、
請求項15または16に記載の圧縮機。
【請求項18】
前記第1ヘッドは、前記断熱空間よりも外周側に相当する位置でも前記シリンダブロックとレーザ溶接されている、
請求項15から17のいずれかに記載の圧縮機。
【請求項19】
前記シリンダブロック及び前記第1ヘッドは、半溶融ダイキャスト成形法により形成されている、
請求項11から18のいずれかに記載の圧縮機。
【請求項20】
前記シリンダブロック、前記第1ヘッド、及び第2ヘッドは、半溶融ダイキャスト成形法により形成されている、
請求項15から18のいずれかに記載の圧縮機。
【請求項21】
二酸化炭素(CO2)冷媒に対応可能である、
請求項1から20に記載の圧縮機。
【請求項22】
偏心軸部(17a,117a,217a,217b,317a)を有するクランク軸(17,117,217,317)と、前記偏心軸部に嵌合されるローター(21a,121,221a,321)と、前記偏心軸部および前記ローターを収容するシリンダ孔(24a,124a,224a,226a,324a)を有するシリンダブロック(24,124,224,226,324)と、前記シリンダ孔を覆っているヘッド(23,25,223,225)とを有する圧縮機(1,101,201,301)の製造方法であって、
前記シリンダ孔を覆うように前記ヘッドを前記シリンダブロックに接触させる接触工程と、
前記シリンダ孔の内周面から外周側に2mm以上4mm以下離れた位置に相当する位置で前記ヘッドを前記シリンダブロックにレーザ溶接するレーザ溶接工程と、
を備える、圧縮機の製造方法。
【請求項23】
偏心軸部(17a,117a,217a,217b,317a)を有するクランク軸(17,117,217,317)と、前記偏心軸部に嵌合されるローター(21a,121,221a,321)と、前記偏心軸部および前記ローターを収容するシリンダ孔(24a,124a,224a,226a,324a)を有するシリンダブロック(24,124,224,226,324)と、前記シリンダ孔を覆っているヘッド(23,25,223,225)とを有する圧縮機(1,101,201,301)の製造方法であって、
前記シリンダ孔を覆うように前記ヘッドを前記シリンダブロックに接触させる接触工程と、
前記ヘッドを前記シリンダブロックに貫通レーザ溶接する貫通レーザ溶接工程と、
を備える、圧縮機の製造方法。
【請求項24】
第1偏心軸部(217a)と第2偏心軸部(217b)とを有するクランク軸(217)に、第1ヘッド(223)、シリンダ孔(224a)を有する第1シリンダブロック(224)、および第1ミドルプレート(227A)を、前記第1偏心軸部が前記シリンダ孔に収容され且つ前記第1ミドルプレートが前記第1偏心軸部と前記第2偏心軸部との間に位置するように挿通する第1挿通工程と、
前記第1ヘッドを貫通レーザ溶接して前記第1シリンダブロックに締結させる第1締結工程と、
前記第1ミドルプレートを貫通レーザ溶接して前記第1シリンダブロックに締結させる第2締結工程と、
第2ミドルプレート(227B)を貫通レーザ溶接して第2シリンダブロック(226)に締結させミドルプレート締結済み第2シリンダブロックを作製する第3締結工程と、
前記第2偏心軸部側から前記第1ミドルプレートと前記第2ミドルプレートとが対向するように前記ミドルプレート締結済み第2シリンダブロックを挿通する第2挿通工程と、
第2偏心軸部側から第2ヘッド(225)を挿通する第3挿通工程と、
前記第2ヘッドを貫通レーザ溶接して前記第2シリンダブロックに締結させる第4締結工程と、
前記第1ミドルプレートと前記第2ミドルプレートとをレーザ溶接して締結する第5締結工程と、
を備える、圧縮機の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate


【公開番号】特開2007−309145(P2007−309145A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−137163(P2006−137163)
【出願日】平成18年5月17日(2006.5.17)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】