説明

圧縮機アッセンブリ

【課題】アキュームレータの圧縮機本体の周方向の振動を確実に低減することができる圧縮機アッセンブリを提供する。
【解決手段】支持台3の第1支持部31は、アキュームレータ2の外周面の第1部分21を支持する。このため、第1支持部31は、アキュームレータ2の中心軸2a方向からみて、アキュームレータ2の第2平面S2方向の振動を受ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、圧縮機本体とアキュームレータとを有する圧縮機アッセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圧縮機アッセンブリとしては、圧縮機本体と、この圧縮機本体に吸込管を介して接続されるアキュームレータとを備え、圧縮機本体の表面およびアキュームレータの表面にブチルゴム層を形成し、さらに、このブチルゴム層の表面にアルミ層を形成したものがあった(特開平6−81790号公報:特許文献1参照)。
【0003】
そして、上記ブチルゴム層および上記アルミ層によって、圧縮機本体の運転により発生するアキュームレータの振動を低減していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−81790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記圧縮機本体の運転により発生するアキュームレータの振動において、アキュームレータの圧縮機本体の周方向の振動が大きく、上記従来の圧縮機アッセンブリのブチルゴム層およびアルミ層の構成では、アキュームレータの圧縮機本体の周方向の振動を十分に低減することができなかった。
【0006】
そこで、この発明の課題は、アキュームレータの圧縮機本体の周方向の振動を確実に低減することができる圧縮機アッセンブリを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、この発明の圧縮機アッセンブリは、
外周面を有する圧縮機本体と、
上記圧縮機本体に吸込管を介して接続されるアキュームレータと、
上記アキュームレータを支持する支持台と、
上記支持台に取り付けられて上記アキュームレータに巻回されるバンド部材と
を備え、
上記圧縮機本体の中心軸と上記アキュームレータの中心軸とを含む平面を第1平面とし、この第1平面に直交すると共に上記アキュームレータの中心軸を含む平面を第2平面としたとき、
上記支持台は、
上記圧縮機本体に固定されると共に、上記アキュームレータの外周面における上記第2平面と交差する第1部分を支持する第1支持部と、
上記圧縮機本体に固定されると共に、上記アキュームレータの外周面における上記第2平面と交差する第2部分と、上記アキュームレータの外周面における上記第1平面と交差しかつ上記圧縮機本体に近い側の第3部分との間に位置する上記アキュームレータの外周面の部分を支持する第2支持部と
を有することを特徴としている。
【0008】
この発明の圧縮機アッセンブリによれば、上記支持台の上記第1支持部は、上記アキュームレータの外周面の上記第1部分を支持するので、第1支持部は、アキュームレータの中心軸方向からみて、アキュームレータの第2平面方向の振動を受ける。したがって、圧縮機本体の運転により発生するアキュームレータの圧縮機本体の周方向の振動を、確実に低減することができる。
【0009】
また、一実施形態の圧縮機アッセンブリでは、
上記第1支持部には、補強リブが設けられ、
この補強リブは、上記アキュームレータの中心軸方向からみて、上記第2平面に交差する方向に延在する。
【0010】
この実施形態の圧縮機アッセンブリによれば、上記第1支持部には、上記アキュームレータの中心軸方向からみて、上記第2平面に交差する方向に延在する補強リブが設けられているので、第1支持部が、アキュームレータから圧縮機本体の周方向の力を受けても、補強リブは、第1支持部の圧縮機本体の周方向の曲がりを低減する。したがって、アキュームレータの圧縮機本体の周方向の振動を一層確実に低減することができる。
【発明の効果】
【0011】
この発明の圧縮機アッセンブリによれば、上記支持台の上記第1支持部は、上記アキュームレータの外周面の上記第1部分を支持するので、アキュームレータの圧縮機本体の周方向の振動を確実に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の圧縮機アッセンブリの第1実施形態を示す正面図である。
【図2】圧縮要素の平面図である。
【図3】圧縮機アッセンブリの平面図である。
【図4】図3のA−A断面図である。
【図5】本発明の圧縮機アッセンブリの第2実施形態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0014】
(第1の実施形態)
図1は、この発明の圧縮機アッセンブリの一実施形態である正面図を示している。図1に示すように、圧縮機アッセンブリは、圧縮機本体1と、この圧縮機本体1に吸込管6を介して接続されるアキュームレータ2と、このアキュームレータ2を支持する支持台3と、この支持台3に取り付けられてアキュームレータ2に巻回されるバンド部材4とを備える。
【0015】
上記圧縮機本体1は、図示しない四路切換弁、室外熱交換器、膨張弁および室内熱交換器と共に、冷媒回路を構成している。
【0016】
上記圧縮機本体1は、密閉容器10と、この密閉容器10内に配置されるモータ11と、密閉容器10内に配置されると共にモータ11にシャフト12を介して接続される圧縮要素13とを有する。
【0017】
上記密閉容器10は、密閉容器10(圧縮機本体1)の中心軸1a方向からみて円形の外周面を有する。密閉容器10は、高圧ドーム型または低圧ドーム型の何れのタイプであってもよい。上記モータ11は、図示しないロータとステータとを有し、ロータにシャフト12が固定される。
【0018】
図2に示すように、上記圧縮要素13は、上記密閉容器10内に取り付けられるシリンダ121と、このシリンダ121内に配置されると共に上記シャフト12に設けられている偏心部126と、この偏心部126に嵌合されているローラ127とを有する。
【0019】
上記ローラ127には、ブレード128が固定され、このブレード128でシリンダ室122内を仕切っている。すなわち、ブレード128の右側の室は、吸入室(低圧室)122aを形成し、ブレード128の左側の室は、吐出室(高圧室)122bを形成している。吸入室122aは、吸込管6に連通し、吐出室122bは、シリンダ室122の外側に連通している。
【0020】
上記ブレード128の両面には、半円柱状のブッシュ125,125が密着して、シールを行っている。
【0021】
上記偏心部126は、シャフト12と共に、偏心回転して、ローラ127が、ローラ127の外周面をシリンダ室122の内周面に接して、公転する。このとき、ローラ127の公転方向(シャフト12の回転方向)を、時計回り方向の矢印R方向で示す。
【0022】
また、上記ブレード128は、ブレード128の両側面をブッシュ125,125によって保持されて進退動する。
【0023】
すると、上記吸込管6から低圧の冷媒ガスを吸入室122aに吸入して、吐出室122bで圧縮して高圧にした後、この高圧の冷媒ガスをシリンダ室122の外側(つまり、密閉容器10内)に吐出する。
【0024】
図1と図3に示すように、上記アキュームレータ2は、円筒形の胴部20を有し、支持台3およびバンド部材4を介して、圧縮機本体1の密閉容器10に取り付けられている。胴部20の底面から、圧縮要素13に、吸込管6が接続されている。胴部20は、胴部20の中心軸2aが密閉容器10の中心軸1aに平行になるように、密閉容器10の外周面に沿って配置されている。
【0025】
上記支持台3は、密閉容器10の外周面に固定され、アキュームレータ2を支持する。支持台3は、ベース部30と第1支持部31と第2支持部32とを有する。
【0026】
上記ベース部30は、密閉容器10の外周面に沿った形状であり、密閉容器10の外周面に溶接などによって固定される。
【0027】
上記第1支持部31は、ベース部30の一端から密閉容器10の径方向外側に延在している。上記第2支持部32は、ベース部30の他端から密閉容器10の径方向外側に延在している。第1支持部31は、第2支持部32よりも、シャフト12(図示しないロータ)の回転方向Rの下流側に位置している。
【0028】
ここで、上記圧縮機本体1の中心軸1aと上記アキュームレータ2の中心軸2aとを含む平面を、第1平面S1と定義する。この第1平面S1に直交すると共に上記アキュームレータ2の中心軸2aを含む平面を、第2平面S2と定義する。
【0029】
上記第1支持部31は、アキュームレータ2の中心軸2a方向からみて、上記第1平面S1と平行に形成されている。第1支持部31は、上記アキュームレータ2の外周面における上記第2平面S2と交差する第1部分21を支持する。
【0030】
上記第2支持部32は、上記アキュームレータ2の外周面における上記第2平面S2と交差する第2部分22と、上記アキュームレータ2の外周面における上記第1平面S1と交差しかつ上記圧縮機本体1に近い側の第3部分23との間に位置する上記アキュームレータ2の外周面の部分を支持する。
【0031】
図3と図4に示すように、上記第1支持部31には、補強リブ33が設けられている。この補強リブ33は、アキュームレータ2の中心軸2a方向からみて、上記第2平面S2に交差する方向に延在する。補強リブ33は、第2平面S2に直交している。
【0032】
上記補強リブ33は、第1支持部31の下端縁からアキュームレータ2と反対側に突出する。上記アキュームレータ2の中心軸2a方向からみて、補強リブ33の第1平面S1方向の長さは、第1支持部31の第1平面S1方向の長さと略同じである。
【0033】
上記補強リブ33は、第1支持部31の下端縁から折り曲げて形成されていてもよく、または、第1支持部31の下端縁に溶接などにて取り付けるようにしてよい。
【0034】
図1と図3に示すように、上記バンド部材4は、アキュームレータ2の胴部20に巻回され、上記支持台3に取り付けられている。バンド部材4の一端は、第1支持部31に係止され、バンド部材4の他端は、第2支持部32にボルト等の締結部材7を介して締結されている。つまり、アキュームレータ2の胴部20は、バンド部材4により、締め付けられている。
【0035】
上記アキュームレータ2の胴部20の外周面には、防振部材5が設けられている。防振部材5は、例えば、ゴムやエラストマー樹脂等から構成される。防振部材5は、第1支持部31、バンド部材4および第2支持部32と、胴部20との間に、設けられ、胴部20におけるベース部30に対向する部分に設けられていない。このため、防振部材5の材料を低減できる。なお、防振部材5を胴部20の全周にわたって設けてもよい。
【0036】
上記防振部材5の幅寸法は、上記支持台3の幅寸法よりも小さく、上記バンド部材4の幅寸法よりも大きい。ここで、上記幅寸法とは、アキュームレータ2の中心軸2a方向の寸法をいう。
【0037】
上記構成の圧縮機アッセンブリによれば、上記支持台3の上記第1支持部31は、上記アキュームレータ2の外周面の上記第1部分21を支持するので、第1支持部31は、アキュームレータ2の中心軸2a方向からみて、アキュームレータ2の第2平面S2方向の振動を受ける。したがって、圧縮機本体1の運転により発生するアキュームレータ2の圧縮機本体1の周方向の振動を、確実に低減することができる。なお、圧縮機本体1の周方向とは、シャフト12の回転方向Rと一致する。
【0038】
特に、上記第1支持部31は、上記第2支持部32よりも、上記シャフト12の回転方向Rの下流側に位置しているため、第1支持部31が、第2支持部32よりも、シャフト12の回転方向Rの上流側に位置しているときに比べて、アキュームレータ2の振動を低減できる。
【0039】
また、上記第1支持部31には、上記アキュームレータ2の中心軸2a方向からみて、上記第2平面S2に交差する方向に延在する補強リブ33が設けられているので、第1支持部31が、アキュームレータ2から圧縮機本体1の周方向の力を受けても、補強リブ33は、第1支持部31の圧縮機本体1の周方向の曲がりを低減する。したがって、アキュームレータ2の圧縮機本体1の周方向の振動を一層確実に低減することができる。
【0040】
(第2の実施形態)
図5は、この発明の圧縮機アッセンブリの第2の実施形態を示している。上記第1の実施形態と相違する点を説明すると、この第2の実施形態では、支持台の第1支持部の構成が相違する。なお、上記第1の実施形態と同一の符号は、上記第1の実施形態と同じ構成であるため、その説明を省略する。
【0041】
図5に示すように、支持台3Aの第1支持部31Aは、アキュームレータ2の胴部20の周面に沿うように形成された窪み131を有する。この窪み131が、上記アキュームレータ2の外周面の上記第1部分21を支持する。
【0042】
したがって、上記支持台3Aの上記第1支持部31Aは、上記アキュームレータ2の上記第1部分21付近を、面で支持することができて、アキュームレータ2の第2平面S2方向の振動を確実に受けることができる。これによって、アキュームレータ2の圧縮機本体1の周方向の振動を、一層確実に低減することができる。
【0043】
なお、この発明は上述の実施形態に限定されない。例えば、上記第1、上記第2の実施形態のそれぞれの特徴点を様々に組み合わせてもよい。また、圧縮要素として、ロータリタイプ以外に、スクロールタイプやレシプロタイプを用いてもよい。また、圧縮要素は、複数あってもよい。また、密閉容器の外周面の形状は、密閉容器の中心軸方向からみて、円形以外に、楕円形や長円形、または、四角形等の多角形であってもよく、上記構成の支持台によって、圧縮機本体の運転により発生するアキュームレータの圧縮機本体の周方向の振動を、確実に低減することができる。
【0044】
また、第1支持部は、アキュームレータの中心軸方向からみて、第1平面と平行でなく交差するようにしてもよい。また、補強リブは、アキュームレータの中心軸方向からみて、第2平面に直交でなく傾斜するように交差してもよい。また、ベース部は、二つの別体のベース体から構成されてもよく、この場合、第1支持部は、一方のベース体に取り付けられ、第2支持部は、他方のベース体に取り付けられる。また、支持台のベース部を省略してもよく、支持台の第1支持部および第2支持部を、直接に、圧縮機本体に固定してもよい。
【0045】
また、支持台の第1支持部における補強リブを設ける位置や、補強リブの形状や大きさは、設計変更可能である。また、補強リブを省略してもよい。また、支持台の第1支持部を、第2支持部よりも、シャフトの回転方向Rの上流側に設けてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 圧縮機本体
1a 中心軸
10 密閉容器
11 モータ
12 シャフト
13 圧縮要素
2 アキュームレータ
2a 中心軸
20 胴部
21 第1部分
22 第2部分
23 第3部分
3,3A 支持台
30 ベース部
31,31A 第1支持部
131 窪み
32 第2支持部
33 補強リブ
4 バンド部材
5 防振部材
6 吸込管
121 シリンダ
122 シリンダ室
126 偏心部
127 ローラ
128 ブレード
S1 第1平面
S2 第2平面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面を有する圧縮機本体(1)と、
上記圧縮機本体(1)に吸込管(6)を介して接続されるアキュームレータ(2)と、
上記アキュームレータ(2)を支持する支持台(3,3A)と、
上記支持台(3,3A)に取り付けられて上記アキュームレータ(2)に巻回されるバンド部材(4)と
を備え、
上記圧縮機本体(1)の中心軸(1a)と上記アキュームレータ(2)の中心軸(2a)とを含む平面を第1平面(S1)とし、この第1平面(S1)に直交すると共に上記アキュームレータ(2)の中心軸(2a)を含む平面を第2平面(S2)としたとき、
上記支持台(3,3A)は、
上記圧縮機本体(1)に固定されると共に、上記アキュームレータ(2)の外周面における上記第2平面(S2)と交差する第1部分(21)を支持する第1支持部(31,31A)と、
上記圧縮機本体(1)に固定されると共に、上記アキュームレータ(2)の外周面における上記第2平面(S2)と交差する第2部分(22)と、上記アキュームレータ(2)の外周面における上記第1平面(S1)と交差しかつ上記圧縮機本体(1)に近い側の第3部分(23)との間に位置する上記アキュームレータ(2)の外周面の部分を支持する第2支持部(32)と
を有することを特徴とする圧縮機アッセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載の圧縮機アッセンブリにおいて、
上記第1支持部(31,31A)には、補強リブ(33)が設けられ、
この補強リブ(33)は、上記アキュームレータ(2)の中心軸(2a)方向からみて、上記第2平面(S2)に交差する方向に延在することを特徴とする圧縮機アッセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−246838(P2012−246838A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119318(P2011−119318)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】