圧電デバイスの製造方法
【課題】好適に実装・個片化を行うことができる圧電デバイスの製造方法を提供する。
【解決手段】圧電デバイス1の製造方法は、複数のベース基板5が含まれる母基板31及び複数の圧電素子7が含まれる母基板33を準備する工程(図3(a))と、複数の圧電素子7が複数のベース基板5にそれぞれフェースダウン実装されるように、母基板31及び33を対向させ、その対向面間に介在するバンプ27により母基板31及び33を互いに接続する工程(図3(b))と、接続された母基板31及び33をカットして、ベース基板5及び圧電素子7を含む複数の第1個片8を形成する工程(図3(d))と、を含む。
【解決手段】圧電デバイス1の製造方法は、複数のベース基板5が含まれる母基板31及び複数の圧電素子7が含まれる母基板33を準備する工程(図3(a))と、複数の圧電素子7が複数のベース基板5にそれぞれフェースダウン実装されるように、母基板31及び33を対向させ、その対向面間に介在するバンプ27により母基板31及び33を互いに接続する工程(図3(b))と、接続された母基板31及び33をカットして、ベース基板5及び圧電素子7を含む複数の第1個片8を形成する工程(図3(d))と、を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電素子を含む圧電デバイスに関する。圧電素子は、圧電体を利用した素子であり、例えば、弾性表面波(SAW:Surface Acoustic Wave)素子、圧電薄膜共振器、弾性境界波素子(広義のSAW素子に含まれる)である。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、半導体デバイスに関わるものであるが、支持部材(パッケージ基板)と、支持部材上に実装されている素子(半導体チップ)とを有するデバイスが開示されている。なお、素子は、支持部材に対してフェースアップ実装されている。
【0003】
このデバイスの製造方法は、支持部材の母基板に複数の素子を実装する工程と、母基板をカットして支持部材に個片化し、ひいては、素子及び支持部材からなる個片を得る工程とを含んでいる。このように素子を支持部材の母基板に実装してから個片化することにより、生産性を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−171962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の実装・個片化技術を圧電デバイスに適用することが考えられる。すなわち、複数の圧電素子を支持部材の母基板に実装し、その後、母基板をカットして支持部材を個片化し、圧電素子と支持部材とを含む圧電デバイスを作製することが考えられる。しかし、このように特許文献1の技術を単純に置換して得られた圧電デバイスの製造方法は、必ずしも圧電デバイスに好適とは限らない。
【0006】
本発明の目的は、好適に実装・個片化を行うことができる圧電デバイスの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る圧電デバイスの製造方法は、複数の支持部材が含まれる母基板及び複数の圧電素子が含まれる母基板を準備する工程と、前記複数の圧電素子が前記複数の支持部材にそれぞれフェースダウン実装されるように、前記2つの母基板を対向させ、その対向面間に介在するバンプにより前記2つの母基板を互いに接続する工程と、接続された前記2つの母基板をカットして、前記支持部材及び前記圧電素子を含む複数の第1個片を形成する工程と、を含む。
【0008】
好適には、上記製造方法は、前記複数の第1個片同士の間の溝に樹脂材料を充填して前記複数の第1個片を互いに接合した接合基板を形成する工程と、前記接合基板の表面に対して、前記複数の第1個片にそれぞれ接続された複数の導電層を形成する工程と、前記溝の樹脂材料をカットして、前記支持部材、前記圧電素子、カットされた前記樹脂材料からなり前記支持部材の側面に接合された拡張部材、及び、前記導電層を含む複数の第2個片を形成する工程と、更にを含む。
【0009】
好適には、前記導電層は、前記拡張部材に設けられ、前記圧電素子に接続された外部端子を含む。
【0010】
好適には、前記複数の第1個片を形成する工程では、前記2つの母基板は同一のブレードでカットされる。
【発明の効果】
【0011】
上記の手順によれば、好適に実装・個片化を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1(a)及び図1(b)は、本発明の第1の実施形態に係る圧電デバイスの外観を示す上面側及び下面側から見た斜視図。
【図2】図2(a)は、図1(a)のIIa−IIa線における模式的な断面図、図2(b)は、図1(a)のIIb−IIb線における模式的な断面図、図2(c)は、図2(b)の領域IIcの拡大図。
【図3】図3(a)〜図3(e)は、図1(a)の圧電デバイスの製造方法を説明する断面図。
【図4】図4(a)〜図4(e)は、図3(e)の続きを示す断面図。
【図5】本発明の第2の実施形態の圧電デバイスを示す断面図。
【図6】本発明の第3の実施形態の圧電デバイスを示す断面図。
【図7】本発明の第4の実施形態の圧電デバイスを示す断面図。
【図8】本発明の第5の実施形態の圧電デバイスを示す断面図。
【図9】図9(a)は、第6の実施形態の圧電デバイスを示す断面図、図9(b)は、図9(a)の領域IXbの拡大図。
【図10】図10(a)は、第7の実施形態の圧電デバイスを示す断面図、図10(b)は、図10(a)のXb−Xb線における断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態に係る圧電デバイスについて、図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いられる図は模式的なものであり、図面上の寸法比率等は現実のものとは必ずしも一致していない。
【0014】
(第1の実施形態)
図1(a)は、本発明の第1の実施形態に係る圧電デバイス1の外観を示す上面側から見た斜視図であり、図1(b)は、圧電デバイス1の外観を示す下面側から見た斜視図である。
【0015】
なお、圧電デバイス1は、いずれの方向が上方若しくは下方とされてもよいものであるが、便宜的に、直交座標系xyzを定義するとともに、z方向の正側を上方として、上面若しくは下面の語を用いるものとする。
【0016】
圧電デバイス1は、例えば、概ね直方体状に形成されており、上面1a、下面1b、4つの側面1cを有している。下面1bにおいては、複数の外部端子3が適宜な形状及び適宜な数で露出している。圧電デバイス1の大きさは適宜な大きさとされてよいが、例えば、1辺の長さが1mm〜数mmである。
【0017】
圧電デバイス1は、不図示の実装基板に対して下面1bを対向させて配置され、実装基板に設けられたパッドと複数の外部端子3とがはんだバンプ等を介して接合されることにより実装基板に実装される。そして、圧電デバイス1は、例えば、外部端子3を介して信号が入力され、入力された信号に所定の処理を施して出力する。
【0018】
図2(a)は、図1(a)のIIa−IIa線における模式的な断面図であり、図2(b)は、図1(a)のIIb−IIb線における模式的な断面図であり、図2(c)は、図2(b)の領域IIcの拡大図である。
【0019】
圧電デバイス1は、ベース基板5と、ベース基板5上にフェースダウン実装された圧電素子7と、これらを覆う拡張部材9とを有している。
【0020】
ベース基板5は、例えば、リジッド式のプリント配線板によって構成されており、絶縁基体11と、絶縁基体11の上面11aに形成された上面導電層13Aと、絶縁基体11の内部に上面11aに平行に形成された内部導電層13Bと、絶縁基体11の全部又は一部を上下方向に貫通するビア導体15とを有している。なお、ベース基板5は、内部導電層13Bが設けられないものであってもよい。
【0021】
絶縁基体11は、例えば、概ね直方体状に形成されており、上面11a、下面11b及び4つの側面11cを有している。また、絶縁基体11は、例えば、樹脂、セラミック及び/又はアモルファス状態の無機材料を含んで形成されている。絶縁基体11は、単一の材料からなるものであってもよいし、基材に樹脂を含浸させた基板のように複合材料からなるものであってもよい。
【0022】
上面導電層13Aは、圧電素子7をベース基板5に実装するための基板パッド17を含んでいる。ビア導体15及び内部導電層13Bは、基板パッド17と外部端子3とを接続する配線を含んでいる。なお、上面導電層13A、内部導電層13B及びビア導体15は、インダクタ、コンデンサ若しくは適宜な処理を実行する回路を含んでいてもよい。上面導電層13A、内部導電層13B及びビア導体15は、例えば、Cu等の金属により構成されている。
【0023】
圧電素子7は、例えば、SAW素子であり、圧電基板19と、圧電基板19の機能面19aに設けられた励振電極21(図2(c))と、機能面19aに設けられ、ベース基板5に接続される素子パッド25とを有している。なお、圧電素子7は、この他、励振電極21を覆う保護層、裏面19bを覆う電極等の適宜な部材を有していてよい。
【0024】
圧電基板19は、例えば、概ね直方体状に形成されており、機能面19a、その背面となる裏面19b及び4つの側面19cを有している。圧電基板19の平面視における形状及び大きさは、例えば、ベース基板5の平面視における形状及び大きさと同様である。そして、圧電基板19の側面19cとベース基板5の側面11cとは面一になっている。また、圧電基板19は、例えば、タンタル酸リチウム単結晶、ニオブ酸リチウム単結晶等の圧電性を有する単結晶の基板により構成されている。
【0025】
励振電極21は、いわゆるIDT(InterDigital transducer)であり、一対の櫛歯電極23(図10(b)参照)を含んでいる。各櫛歯電極23は、バスバー23a(図10(b)参照)と、バスバー23aから延びる複数の電極指23b(図2(c)。図10(b)も参照)とを有しており、一対の櫛歯電極23は、互いに噛み合うように(複数の電極指23bが互いに交差するように)配置されている。なお、図2や図10等は模式図であることから、複数本の電極指23bを有する櫛歯電極23が1対のみ図示されているが、実際には、これよりも多くの電極指23bを有する複数対の櫛歯電極23が設けられていてよい。励振電極21は、SAWフィルタ、SAW共振器及び/又はデュプレクサ等を構成している。
【0026】
励振電極21に信号が入力されると、当該信号はSAWに変換されて機能面19aを電極指23bに直交する方向(y方向)に伝搬し、再度信号に変換されて励振電極21から出力される。その過程において、信号はフィルタリング等がなされる。
【0027】
素子パッド25は、機能面19aに形成された不図示の配線を介して励振電極21に接続されている。励振電極21は、素子パッド25を介して信号が入力され、素子パッド25を介して信号を出力する。
【0028】
なお、励振電極21、素子パッド25及びこれらを接続する不図示の配線は、例えば、Al−Cu合金等の適宜な金属により構成されている。これらは、同一材料により形成されていてもよいし、互いに異なる材料により形成されていてもよい。
【0029】
素子パッド25と基板パッド17とは、バンプ27によって接合されている。バンプ27は、はんだにより構成されている。はんだは、Pb−Sn合金はんだ等の鉛を用いたはんだであってもよいし、Au−Sn合金はんだ、Au−Ge合金はんだ、Sn−Ag合金はんだ、Sn−Cu合金はんだ等の鉛フリーはんだであってもよい。なお、バンプ27は、導電性接着剤によって形成されていてもよい。
【0030】
素子パッド25と基板パッド17との間にバンプ27が介在していることにより、絶縁基体11の上面11aと、圧電基板19の機能面19aとの間には間隙(振動空間S)が形成されている。これにより、機能面19aの振動(SAWの伝搬)が容易化されている。
【0031】
拡張部材9は、例えば、ベース基板5及び圧電素子7のうち、ベース基板5の下面11bを露出させつつ、それ以外の部分を覆っている。すなわち、拡張部材9は、ベース基板5の側面11cに接合されており、圧電素子7の側面に接合されており、また、圧電素子7の裏面19bに接合されている。
【0032】
なお、圧電デバイス1の上面1a及び側面1cは拡張部材9の上面及び側面により構成され、下面1bの外周側は拡張部材9の下面9bにより構成され、下面1bの内部側はベース基板5の下面11bにより構成されている。
【0033】
拡張部材9は、絶縁材料により形成されている。絶縁材料は、例えば、エポキシ樹脂等の樹脂である。当該樹脂には、当該樹脂よりも熱膨張係数が低い材料により形成された絶縁性粒子からなるフィラーが混入されていてもよい。絶縁性粒子の材料は、例えば、シリカ、アルミナ、フェノール、ポリエチレン、グラスファイバー、グラファイトフィラーである。なお、拡張部材9は、その全体がセラミック等の無機絶縁材料により構成されていてもよい。
【0034】
拡張部材9は、衝撃吸収性等の観点からそのヤング率が絶縁基体11(ベース基板5)よりも低いことが好ましい。また、拡張部材9は、絶縁基体11(ベース基板5)との接続信頼性等の観点からその熱膨張率が絶縁基体11(ベース基板5)と同等であることが好ましい。なお、ここでいうヤング率若しくは熱膨張率は、拡張部材9等が複合材料からなる場合において、その部材全体としてのヤング率若しくは熱膨張率である(一部の材料のヤング率若しくは熱膨張率ではない。)。
【0035】
拡張部材9と、ベース基板5及び圧電素子7との間には、シート29が介在している。なお、シート29は、拡張部材9の一部として捉えることも可能であるが、本実施形態では、シート29と拡張部材9とは別部材であるものとして説明する。シート29は、後述するように、拡張部材9の形成時において拡張部材9を構成する樹脂が振動空間Sに流れ込むことを防止するためのものである。シート29は、例えば、ポニフェニレンサルファイド(PPS)等の樹脂によって構成されており、その厚さは例えば1〜数μmである。
【0036】
複数の外部端子3は、ベース基板5の下面11b及び/又は拡張部材9の下面9bに設けられている。本実施形態では、複数の外部端子3は、ベース基板5の下面11bにのみに設けられた外部端子3と、ベース基板5の下面11bから拡張部材9の下面9bにかけて設けられた外部端子3とを含んでいる。全ての外部端子3は、少なくとも一部がベース基板5の下面11bに設けられており、ビア導体15と接続されている。
【0037】
図3(a)〜図4(e)は、圧電デバイス1の製造方法を説明する断面図である。なお、当該断面図は、図1(a)のIIb−IIb線に対応し、また、図2(b)よりも模式的に示されている。
【0038】
まず、図3(a)に示すように、ベース基板5が多数個取りされる母基板31が用意される。母基板31は、公知の種々の方法により形成されてよい。例えば、ベース基板5がセラミック多層基板であれば、母基板31は、絶縁基体11となる複数のセラミックグリーンシートに上面導電層13A、内部導電層13B及びビア導体15となる導電ペーストを配置し、当該複数のセラミックグリーンシートを積層して焼成することにより形成されてよい。また、例えば、ベース基板5が樹脂を絶縁材料とする多層基板であれば、母基板31は、内層コア、プリプレグ及び銅箔の積層により絶縁基体11及び内部導電層13Bを形成し、スルーホールめっきによりビア導体15に相当するスルーホール導体を形成し、サブトラクティブ若しくはアディティブ法により上面導電層13Aを形成してよい。なお、母基板31の大きさは適宜な大きさとされてよいが、一例として、直径が4インチ程度である。
【0039】
次に、同じく図3(a)に示すように、ベース基板5と圧電素子7とを接合するためのバンプ27を母基板31の上面11aに形成する。バンプ27の形成は、例えば、蒸着法、めっき法若しくは印刷法により行われる。
【0040】
また、母基板31の準備と並行して、圧電素子7が多数個取りされる母基板33(図3(b))も用意される。母基板33は、例えば、圧電基板19が多数個取りされる圧電体からなる母基板に、スパッタリング法、蒸着法又はCVD(Chemical Vapor Deposition)法等の薄膜形成法により金属層を形成し、その金属層をフォトリソグラフィー法等によりパターニングし、励振電極21及び素子パッド25等を形成することにより形成される。
【0041】
次に、図3(b)に示すように、ベース基板5の母基板31の上面11aに対して圧電素子7の母基板33の機能面19aを対向させて配置する。そして、これら母基板をリフロー炉に通すことなどによりバンプ27を溶融させ、母基板31と母基板33とを接合する。
【0042】
次に、図3(c)に示すように、ダイシングテープ35を母基板31の下面11bに接着する。ダイシングテープ35は、例えば可撓性の樹脂フィルムの片面に粘着層が形成されたものである。
【0043】
次に、図3(d)に示すように、母基板31及び母基板33をカットする。これにより、ベース基板5及び圧電素子7を含む第1個片8が形成される。カットは、例えば、ダイシングブレードを用いたフルカットダイシングにより行われる。なお、カットは、レーザを用いて行われてもよい。
【0044】
母基板31及び母基板33は、同一のブレード(若しくはレーザ設定)により共に(同時に・1回で)カットされる。すなわち、ブレード(若しくはレーザ光)は、母基板31及び母基板33の双方を貫通した状態でこれら母基板31及び母基板33に対して縦横に相対移動し、これら母基板31及び母基板33をカットする。これにより、ベース基板5の側面11cと圧電素子7の側面19cとは面一になる。
【0045】
ただし、ブレードが母基板33のみを貫通した状態でブレードを母基板31及び母基板33に対して縦横に相対移動させて母基板33のみをカットした後、他のブレード若しくはレーザ光によって母基板31をカットするなど、母基板31と母基板33とは、順次且つ異なる方法でカットされてもよい。
【0046】
次に、図3(e)に示すように、シート29が多数個取りされるシート37が複数の第1個片8に被せられる。シート37は、例えば粘着性を有する可撓性の樹脂シートである。シート37とダイシングテープ35との間の真空引きをすることにより、シート37は、ダイシングテープ35の露出部分、ベース基板5の側面11c、圧電素子7の側面19c及び裏面19bに密着し、粘着する。
【0047】
次に、図4(a)に示すように、拡張部材9となる溶融状態の樹脂39が、複数の第1個片8を覆うように供給される。溶融状態の樹脂39の供給は、例えば印刷法により行われる。供給された溶融状態の樹脂39は、複数の第1個片8間の溝36に充填されるとともに、圧電素子7の裏面19b側を覆う。なお、ベース基板5の下面11bは、ダイシングテープ35に密着していることから、樹脂39に覆われない。また、ダイシングテープ35は、樹脂39が溝36から下方へ流れ落ちることを防止する受け皿として機能する。
【0048】
その後、樹脂39が硬化すると、複数の第1個片8同士は樹脂39によって互いに固定される。すなわち、複数の第1個片8は、再度一体化され、母基板のような接合基板40が形成される。
【0049】
なお、ダイシングテープ35は、シート37が被せられる前から樹脂39が硬化するまでの間、適宜な量でエキスパンドされていることが好ましい。エキスパンドにより、複数の第1個片8間の溝36は拡大し、適宜な大きさとされる。
【0050】
次に、図4(b)に示すように、接合基板40からダイシングテープ35を剥がす。これにより、ベース基板5の下面11bは露出する。また、接合基板40は、ベース基板5の下面11bを上方にするように向きを変えられる。
【0051】
次に、図4(c)に示すように、シート37の樹脂39からの露出部分を除去する。この処理は、例えば、エッチングのような化学的処理によって行われてもよいし、研磨のように物理的処理によって行われてもよい。エッチングは、ドライエッチングであってもよいし、ウェットエッチングであってもよい。
【0052】
次に、図4(d)に示すように、接合基板40に外部端子3を形成する。具体的には、ベース基板5の下面11b及び樹脂39の下面11b側の面に、スパッタリング法、蒸着法又はCVD法等の薄膜形成法により金属層を形成し、その金属層をフォトリソグラフィー法等によりパターニングすることにより形成される。
【0053】
次に、図4(e)に示すように、樹脂39の下面11bとは反対側の面にダイシングテープ41を接着し、接合基板40をカットする。より具体的には、溝36に充填されている樹脂39を溝36よりも細いダイシングブレードによってカットする。これにより、複数組のベース基板5及び圧電素子7が再度個片化され、拡張部材9を含む圧電デバイス1が作製される。なお、カットはレーザによって行われてもよい。
【0054】
以上のとおり、本実施形態では、圧電デバイス1は、ベース基板5と、ベース基板5上に実装されている圧電素子7と、ベース基板5の側面11cに接合された拡張部材9と、拡張部材9の下面9bに設けられた外部端子3とを有している。
【0055】
従って、外部端子3の配置可能範囲が増加することになり、設計の自由度が向上する。さらに、ベース基板5及び圧電素子7の寸法は変えずに、拡張部材9の寸法及び外部端子3の配置のみを変更して、外部端子3に係る種々の仕様に応じることが可能であり、コスト削減が期待される。
【0056】
また、圧電デバイス1では、外部端子3は、ベース基板5の下面11bから拡張部材9の下面9bにかけて設けられている。
【0057】
従って、外部端子3は、ベース基板5の下面11bのみに設けられる場合等に比較して、面積が大きく確保される。また、面積が大きく確保されることにより、外部端子3間の間隔を小さくし、ベース基板5に外部端子3を介して加えられる力によって生じるベース基板5の反りを抑制し、ひいては、圧電素子7の機能面19aの反りを抑制することができる。機能面19aの反りが抑制されることにより、圧電素子7の電気特性の変動が抑制される。
【0058】
また、圧電デバイス1では、拡張部材9は、ベース基板5よりもヤング率が低い。
【0059】
従って、例えば、圧電デバイス1が実装される実装基板の反りに起因して外部端子3に加えられる力を拡張部材9によって吸収し、ベース基板5に伝達される力を緩和することができる。その結果、圧電素子7の機能面19aの反りが抑制され、ひいては、圧電素子7の電気特性の変動が抑制される。
【0060】
また、圧電デバイス1では、拡張部材9がベース基板5を囲むように配置されている。
【0061】
従って、拡張部材9の下面9bの面積をより確保し、外部端子3に係る設計の自由度をより向上させることができる。また、ベース基板5が拡張部材9に嵌合することになるから、ベース基板5と拡張部材9との固定も強固となり、ひいては、拡張部材9に設けられた外部端子3と、ベース基板5の配線との間の接続信頼性も向上する。
【0062】
また、圧電デバイス1では、拡張部材9が圧電素子7の側面19cに接合されている。
【0063】
従って、外部端子3の配置の自由度を向上させる拡張部材9により、圧電素子7の機械的保護も図られることになる。その結果、小型化及び耐久性向上の両立が図られる。また、拡張部材9は、ベース基板5の側面11cから圧電素子7の側面19cに亘って配置されていることになるから、拡張部材9は、振動空間Sの形成及び/又は振動空間Sへの水分等の浸入抑制にも寄与する。
【0064】
また、圧電デバイス1では、圧電素子7の側面19cと、ベース基板5の側面11cとが、面一である。
【0065】
従って、圧電素子7は、拡張部材9と重ならない範囲で最大限の面積が確保されていることになる。その結果、外部端子3を介して拡張部材9に加えられた力が圧電素子7に加えられることを抑制しつつ、圧電素子7の高機能化(別の観点では圧電素子7の機能を維持した上での圧電デバイス1全体としての小型化)が図られる。また、製造工程に着目すれば、図3(d)を参照して説明したように、圧電素子7の母基板33と、ベース基板5の母基板31とを1回でカットすることができるから、製造工程の効率化が図られる。
【0066】
また、本実施形態では、圧電デバイス1の製造方法は、複数のベース基板5が含まれる母基板31及び複数の圧電素子7が含まれる母基板33を準備する工程(図3(a))と、複数の圧電素子7が複数のベース基板5にそれぞれフェースダウン実装されるように、母基板31及び33を対向させ、その対向面間に介在するバンプ27により母基板31及び33を互いに接続する工程(図3(b))と、接続された母基板31及び33をカットして、ベース基板5及び圧電素子7を含む複数の第1個片8を形成する工程(図3(d))と、を含む。
【0067】
従って、個片化された複数の圧電素子7をピックアップしてベース基板5の母基板31に実装する工程が母基板同士の接続に置き換えられ、生産性が向上する。すなわち、特許文献1のように素子を1つずつ実装していく製造方法と比較して、本実施形態の製造方法であれば、素子を複数同時に実装できたことになるので、実装の手間が省けて、製造効率が向上して好ましい。また、複数の圧電素子7の個片化とベース基板5の個片化とで、ダイシングテープ及びダイシングブレード等を共用化することもできる。このような個片化はフェースダウン実装が実質的に前提であり、また、圧電素子7は、フェースダウン実装されることによって機能面19aとベース基板5との間に振動空間Sを形成することが可能である。すなわち、このような個片化は圧電デバイスの製造方法に適している。
【0068】
また、圧電デバイス1の製造方法は、複数の第1個片8同士の間の溝36に樹脂39を充填して複数の第1個片8を互いに接合した接合基板40を形成する工程(図4(a))と、接合基板40の表面に対して、複数の第1個片8にそれぞれ接続された複数の導電層(外部端子3)を形成する工程(図4(d))と、溝36の樹脂39をカットして、ベース基板5、圧電素子7、カットされた樹脂39からなりベース基板5の側面11cに接合された拡張部材9、及び、導電層(外部端子3)を含む複数の第2個片(圧電デバイス1)を形成する工程(図4(e))と、を含む。
【0069】
従って、ピックアップされた第1個片8を樹脂封止する場合に比較して簡便に第1個片8を樹脂封止することができる。さらに、接合基板40に対して導電層(外部端子3)を形成することから、拡張部材9に導電層を設けることができるとともに、拡張部材9を含む個片に導電層を設ける場合に比較して容易に導電層を設けることができる。
【0070】
また、圧電デバイス1の製造方法は、上記の導電層が、拡張部材9に設けられ、圧電素子7に接続された外部端子3を含むことにより、上述した外部端子3の設計の自由度が高い圧電デバイス1を実現することができる。
【0071】
なお、以上の実施形態において、ベース基板5又は絶縁基体11は、本発明の支持部材の一例である。
【0072】
(第2の実施形態)
図5は、第2の実施形態の圧電デバイス201を示す、図2(b)に相当する断面図である。
【0073】
圧電デバイス201は、シート229及び外部端子3の形状のみが第1の実施形態の圧電デバイス1と相違する。具体的には、以下のとおりである。
【0074】
シート229は、第1の実施形態のシート29と同様の範囲を覆うとともに、拡張部材9の下面9bも覆っている。そして、外部端子3は、シート229を介して、拡張部材9の下面9b上に設けられている。なお、上述のように、シート229は、拡張部材9の一部として捉えることも可能である。
【0075】
このようなシート229は、第1の実施形態の圧電デバイス1の製造方法において、図4(c)を参照して説明した、シート37の樹脂39からの露出部分を除去する工程を省略することにより形成される。
【0076】
そして、圧電デバイス201では、シート229が拡張部材9の下面9bを覆っていることから、例えば、シート229は外部端子3との接合性の高い材料からなるものとし、拡張部材9は、そのヤング率及び熱膨張係数の観点から有利な材料からなるものとすることにより、圧電デバイス201の信頼性を向上させることが可能である。また、圧電デバイス201の製造方法においては、図4(c)の工程を省略することができるから、より生産性が向上する。
【0077】
s
圧電デバイス201の外周側の外部端子3は、拡張部材9の下面9bにおいて、拡張部材9の側面1cに到達するまで広がっており、その外側縁部が側面1cに一致している。
【0078】
このような外部端子3は、第1の実施形態の圧電デバイス1の製造方法と同様に、図4(d)を参照して説明した金属層のパターニングによって形成することが可能である。また、第1の実施形態とは異なり、金属層のパターニングにおいては、外部端子3の外側縁部のパターニングを行わず、図4(e)のダイシングにおいて、樹脂39のカットとともに金属層をカットして、外部端子3の外側縁部を形成することもできる。
【0079】
そして、圧電デバイス201では、外部端子3が側面1cまで広がっていることから、外部端子3の面積を最大限に確保することができる。また、圧電デバイス201の製造方法においては、ダイシングが外部端子3のパターニングに寄与することから、例えば、フォトマスクの簡素化を図ることが可能である。
【0080】
(第3の実施形態)
図6は、第3の実施形態の圧電デバイス301を示す、図2(b)に相当する断面図である。
【0081】
圧電デバイス301は、拡張部材309のみが第1の実施形態の圧電デバイス1と相違する。具体的には、以下のとおりである。
【0082】
まず、拡張部材309は、第1の実施形態と異なり、圧電素子7の裏面19b側を覆っていない。拡張部材309の上面309aの位置は、圧電素子7の機能面19aよりも上方側の適宜な位置とされてよい。例えば、上面309aは、圧電素子7の裏面19b(厳密にはシート29)と面一とされている。
【0083】
また、拡張部材309は、ベース基板5の側面11cに接合される第1層308Aと、第1層308Aに重ねられ、圧電素子7の側面19cに接合される第2層308Bとを有している。なお、第1層308Aと第2層308Bとの境界位置は、ベース基板5の上面11aから圧電素子7の機能面19aまでの間の適宜な位置とされてよい。
【0084】
第1層308Aと第2層308Bとは互いに異なる材料により形成され、異なる性質を示す。例えば、第1層308Aは、第2層308Bよりもベース基板5及び/又は不図示の実装基板に熱膨張係数が近く、第2層308Bは、第1層308Aよりも圧電素子7に熱膨張係数が近い。また、例えば、第1層308Aは、第2層308Bに比較して、ヤング率が高い。第1層308Aは、第2層308Bに比較して、外部端子3の材料と親和性が高い。
【0085】
第1層308A及び第2層308Bは、例えば、図4(a)を参照して説明した樹脂を供給する工程において、第1層308Aとなる樹脂を供給する工程と、第2層308Bとなる樹脂を供給する工程とを順次行うことにより形成可能である。
【0086】
また、供給する樹脂の量を調整することなどにより、拡張部材309の上面309aの位置は適宜な位置とされる。なお、樹脂39を供給した後に、圧電素子7の裏面19b側の樹脂39を除去してもよい。
【0087】
以上の本実施形態の圧電デバイス301では、拡張部材309の上面309aが圧電素子7の裏面19b以下の位置とされているので、第1の実施形態の圧電デバイス1に比較して、薄型化が図られる。なお、第1の実施形態の圧電デバイス1は、圧電素子7の機械的保護の観点等において有利である。
【0088】
また、圧電デバイス301では、拡張部材309は、互いに異なる材料からなる、ベース基板5の側面11cに接合される第1層308Aと、圧電素子7の側面19cに接合される第2層308Bとを有することから、上述したように、全体として熱応力を緩和したり、外部端子3の剥離を抑制したりすることができる。
【0089】
なお、拡張部材を構成する層は、2種に限定されず、3種以上であってもよい。
【0090】
(第4の実施形態)
図7は、第4の実施形態の圧電デバイス401を示す、図2(b)に相当する断面図である。
【0091】
圧電デバイス401は、拡張部材409の形状のみが第1の実施形態の圧電デバイス1と相違する。具体的には、拡張部材409の上面409aの位置は、第3の実施形態(図6)よりも更に低くなっており、機能面19a以下、若しくは、ベース基板5の上面11a以下とされている。
【0092】
このような拡張部材409の形成においては、第3の実施形態と同様に、図4(a)を参照して説明した樹脂を供給する工程において、供給する樹脂の量を調整することにより、上面409aの位置が適宜な位置とされる。
【0093】
以上の本実施形態の圧電デバイス401では、第1の実施形態の圧電デバイス1に比較して、拡張部材409が撓みやすく、外部端子3に加えられた力は拡張部材409に吸収されやすい。従って、ベース基板5の反りや機能面19aの反りが抑制される。
【0094】
なお、当該効果は、本実施形態ほどではないが、第3の実施形態においても奏される。また、第1の実施形態の圧電デバイス1は、拡張部材9が振動空間S及び圧電素子7の側方に位置していることから、例えば、振動空間Sを水分等から保護したり、圧電素子7を側方から機械的に保護する観点において有利である。
【0095】
(第5の実施形態)
図8は、第5の実施形態の圧電デバイス501を示す、図2(b)に相当する断面図である。
【0096】
圧電デバイス501は、拡張部材509の形状、外部端子3の配置、外部端子3と基板パッド17との接続方法のみが第1の実施形態の圧電デバイス1と相違する。具体的には、以下のとおりである。
【0097】
拡張部材509は、第1の実施形態の拡張部材9と同様に、ベース基板505の側面11cだけでなく、圧電素子7の側面19cや裏面19bも覆っている。ただし、拡張部材509は、その下面509b側部分が外周側に突出した形状(フランジを有する形状)となっている。なお、フランジの上面の位置は、裏面19bを覆う部分の上面よりも下方であればよいが、好ましくは、第4の実施形態(図7)と同様に、圧電素子7の機能面19a以下、若しくは、ベース基板5の上面11a以下である。
【0098】
このような拡張部材509は、例えば、図4(a)を参照して説明した樹脂39の供給の後、図4(b)のダイシングテープ35の剥離前に、図4(e)のダイシング工程において用いるダイシングブレードよりも厚いダイシングブレードによって溝36の樹脂39に切り込みを入れることによって形成することができる。
【0099】
また、圧電デバイス501では、複数の外部端子3のうち外周側の外部端子3は、拡張部材509の下面509bのみに設けられており、ベース基板505の下面11bに重なっていない。そして、当該外部端子3と、基板パッド17とは、ベース基板505の側面11cに設けられた側面導電層13Cによって接続されている。
【0100】
なお、側面導電層13Cは、例えば、ベース基板5の母基板31の作製において、予めダイシングラインとなる位置にビア導体若しくはスルーホール導体を形成しておくことにより形成される。また、図3(d)を参照して説明したカット後に絶縁基体11の側面11cに形成されてもよい。
【0101】
以上の本実施形態の圧電デバイス501では、第1の実施形態と同様に圧電素子7を側面から機械的に保護しつつ、第4の実施形態と同様に拡張部材509の撓みによって外部端子3に加えられる力の圧電素子7への伝達を緩和することができる。
【0102】
また、圧電デバイス501では、拡張部材509のみに設けられた外部端子3が存在するが、このように、拡張部材509を利用して設けられる外部端子3は、拡張部材からベース基板にかけて設けられるものに限定されない。すなわち、本実施形態は、外部端子3の設計の自由度が高いことを示す一例となっている。
【0103】
(第6の実施形態)
図9(a)は、第6の実施形態の圧電デバイス601を示す、図2(b)に相当する断面図であり、図9(b)は、図9(a)の領域IXbの拡大図である。
【0104】
圧電デバイス601は、拡張部材となる樹脂の振動空間Sへの浸入を防止するための方法のみが第1の実施形態の圧電デバイス1と相違する。具体的には、以下のとおりである。
【0105】
圧電素子607は、ウェハレベルパッケージ型の圧電素子として構成されている。具体的には、圧電素子607は、第1の実施形態の圧電素子7に励振電極21を覆うカバー629を設けた構成となっている。
【0106】
カバー629は、機能面19aの平面視において励振電極21を囲む枠部629aと、枠部の開口を塞ぐ蓋部629bとを有する形状とされている。そして、カバー629と機能面19aとにより囲まれた空間により振動空間Sが構成されている。
【0107】
カバー629は、例えば、機能面19aに樹脂層を形成してパターニングして枠部629aを形成し、その上に樹脂シートを重ねてパターニングして蓋部629bを形成することにより形成される。
【0108】
圧電デバイス601においては、カバー629によって振動空間Sへの樹脂の浸入が防止されることから、第1の実施形態のシート29は設けられていない。従って、拡張部材609となる樹脂は、機能面19aとベース基板5の上面11aとの間に流れ込み、カバー629を覆うとともにバンプ27を覆っている。
【0109】
なお、圧電デバイス601の製造方法は、圧電素子の作製方法が異なる点、図3(e)及び図4(c)のシートに係る工程が省略される点を除いて、第1の実施形態の圧電デバイス1の製造方法と同様である。
【0110】
以上の本実施形態の圧電デバイス601においても、拡張部材609の下面609bに外部端子3が設けられていることにより、第1の実施形態と同様に、外部端子3の設計の自由度の向上の効果が奏される。また、拡張部材609は、バンプ27等を覆い、これらの絶縁性を向上させる機能も担うことになるから、小型化及び電気的信頼性の向上とが期待される。
【0111】
なお、ウェハレベルパッケージ型の圧電素子は、カバーの枠部を貫通してカバー上面に露出する柱状の端子が設けられるものであってもよいし、カバーの枠部及び蓋部に形成された開口から素子パッドが露出するものであってもよい。
【0112】
(第7の実施形態)
図10(a)は、第7の実施形態の圧電デバイス701を示す、図2(b)に相当する断面図であり、図10(b)は、図10(a)のXb−Xb線における断面図(ただし、拡張部材709は省略)である。
【0113】
圧電デバイス701は、拡張部材となる樹脂の振動空間Sへの浸入を防止するための方法のみが第1の実施形態の圧電デバイス1と相違する。具体的には、以下のとおりである。
【0114】
圧電デバイス701においては、ベース基板705と圧電素子707との間にはんだリング729が介在している。はんだリング729は、平面視において励振電極21及びバンプ27を囲む環状に形成されている。そして、圧電素子707の機能面19a、ベース基板705の上面11a及びはんだリング729に囲まれた領域により、振動空間Sが形成されている。
【0115】
なお、ベース基板705及び圧電素子707は、はんだリング729を設けるスペースが確保される以外は、第1の実施形態のベース基板5及び圧電素子7と同様である。
【0116】
はんだリング729は、例えばバンプ27の形成と同時にバンプ27と同様に形成される。なお、圧電デバイス701の製造方法は、はんだリング729が形成される点、図3(e)及び図4(c)のシートに係る工程が省略される点を除いて、第1の実施形態の圧電デバイス1の製造方法と同様である。
【0117】
以上の本実施形態の圧電デバイス701においても、拡張部材709の下面709bに外部端子3が設けられていることにより、第1の実施形態と同様に、外部端子3の設計の自由度の向上の効果が奏される。
【0118】
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
【0119】
上述の実施形態の種々の特徴は、適宜に組み合わされてよい。例えば、第2の実施形態(図5)のシートが拡張部材の下面にまで延在する特徴は、第3〜第5の実施形態(図6〜図8)の圧電デバイスに適用されてもよいし、第2の実施形態の外部端子が拡張部材の側面まで延在する特徴は、第3〜第7の実施形態(図6〜図10)の圧電デバイスに適用されてもよいし、第3の実施形態(図6)の2種以上の層から拡張部材を構成する特徴は、第4〜第7の実施形態に適用されてもよいし、第3〜5の実施形態(図6〜図8)の拡張部材の形状及び/又は寸法の特徴は、第6又は第7の実施形態に適用されてもよいし、第5の実施形態(図8)の外部端子が拡張部材にのみ設けられる特徴は、他の全ての実施形態に適用されてよい。
【0120】
いずれの実施形態においても、ベース基板の下面にのみ位置する外部端子が設けられていたが、当該外部端子は設けられなくてもよい。すなわち、圧電デバイスは、少なくとも一部が拡張部材に設けられている外部端子のみを有していてもよい。
【0121】
圧電素子の側面と、支持部材の側面とは、面一でなくてもよい。なお、この場合、例えば、図3(d)を参照して説明したダイシング工程において、最初に薄いダイシングブレードで圧電素子及び支持部材をカットし、次に厚いダイシングブレードで圧電素子のみをカットすることにより、支持部材の側面を圧電素子の側面よりも外側に位置させることができる。
【0122】
圧電デバイスの製造方法は、第1個片に樹脂を供給して拡張部材を形成する工程以降の工程を含んでいなくてもよい。換言すれば、拡張部材を有さない圧電デバイスが作製されてもよいし、拡張部材は形成されているが拡張部材に導電層が形成されていない圧電デバイスが作製されてもよい。なお、この場合において、外部端子は、支持部材の母基板において形成されていてよい。
【0123】
圧電素子の母基板及び支持部材の母基板をダイシングする工程において、カットは、実施形態とは逆に、支持部材の母基板側から行われてもよい。なお、この場合においては、フルカットを行わずにハーフカットを行っても、樹脂(拡張部材)を溝へ充填してその樹脂に外部端子を形成することが可能である。
【0124】
拡張部材の形成方法は、ダイシングテープによって連結された状態が維持されている複数の第1個片に対して樹脂を供給するものに限定されない。例えば、ダイシングテープからピックアップされた第1個片に対して、トランスファーモールド法によって溶融状態の樹脂を供給したり、既に成形された(固化された)拡張部材を嵌合及び/又は接着剤によって接合したりしてもよい。
【符号の説明】
【0125】
1…圧電デバイス、3…外部端子、5…ベース基板(支持部材)、7…圧電素子、8…第1個片、9…拡張部材、27…バンプ、31…母基板、33…母基板。
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電素子を含む圧電デバイスに関する。圧電素子は、圧電体を利用した素子であり、例えば、弾性表面波(SAW:Surface Acoustic Wave)素子、圧電薄膜共振器、弾性境界波素子(広義のSAW素子に含まれる)である。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、半導体デバイスに関わるものであるが、支持部材(パッケージ基板)と、支持部材上に実装されている素子(半導体チップ)とを有するデバイスが開示されている。なお、素子は、支持部材に対してフェースアップ実装されている。
【0003】
このデバイスの製造方法は、支持部材の母基板に複数の素子を実装する工程と、母基板をカットして支持部材に個片化し、ひいては、素子及び支持部材からなる個片を得る工程とを含んでいる。このように素子を支持部材の母基板に実装してから個片化することにより、生産性を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−171962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の実装・個片化技術を圧電デバイスに適用することが考えられる。すなわち、複数の圧電素子を支持部材の母基板に実装し、その後、母基板をカットして支持部材を個片化し、圧電素子と支持部材とを含む圧電デバイスを作製することが考えられる。しかし、このように特許文献1の技術を単純に置換して得られた圧電デバイスの製造方法は、必ずしも圧電デバイスに好適とは限らない。
【0006】
本発明の目的は、好適に実装・個片化を行うことができる圧電デバイスの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る圧電デバイスの製造方法は、複数の支持部材が含まれる母基板及び複数の圧電素子が含まれる母基板を準備する工程と、前記複数の圧電素子が前記複数の支持部材にそれぞれフェースダウン実装されるように、前記2つの母基板を対向させ、その対向面間に介在するバンプにより前記2つの母基板を互いに接続する工程と、接続された前記2つの母基板をカットして、前記支持部材及び前記圧電素子を含む複数の第1個片を形成する工程と、を含む。
【0008】
好適には、上記製造方法は、前記複数の第1個片同士の間の溝に樹脂材料を充填して前記複数の第1個片を互いに接合した接合基板を形成する工程と、前記接合基板の表面に対して、前記複数の第1個片にそれぞれ接続された複数の導電層を形成する工程と、前記溝の樹脂材料をカットして、前記支持部材、前記圧電素子、カットされた前記樹脂材料からなり前記支持部材の側面に接合された拡張部材、及び、前記導電層を含む複数の第2個片を形成する工程と、更にを含む。
【0009】
好適には、前記導電層は、前記拡張部材に設けられ、前記圧電素子に接続された外部端子を含む。
【0010】
好適には、前記複数の第1個片を形成する工程では、前記2つの母基板は同一のブレードでカットされる。
【発明の効果】
【0011】
上記の手順によれば、好適に実装・個片化を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1(a)及び図1(b)は、本発明の第1の実施形態に係る圧電デバイスの外観を示す上面側及び下面側から見た斜視図。
【図2】図2(a)は、図1(a)のIIa−IIa線における模式的な断面図、図2(b)は、図1(a)のIIb−IIb線における模式的な断面図、図2(c)は、図2(b)の領域IIcの拡大図。
【図3】図3(a)〜図3(e)は、図1(a)の圧電デバイスの製造方法を説明する断面図。
【図4】図4(a)〜図4(e)は、図3(e)の続きを示す断面図。
【図5】本発明の第2の実施形態の圧電デバイスを示す断面図。
【図6】本発明の第3の実施形態の圧電デバイスを示す断面図。
【図7】本発明の第4の実施形態の圧電デバイスを示す断面図。
【図8】本発明の第5の実施形態の圧電デバイスを示す断面図。
【図9】図9(a)は、第6の実施形態の圧電デバイスを示す断面図、図9(b)は、図9(a)の領域IXbの拡大図。
【図10】図10(a)は、第7の実施形態の圧電デバイスを示す断面図、図10(b)は、図10(a)のXb−Xb線における断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態に係る圧電デバイスについて、図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いられる図は模式的なものであり、図面上の寸法比率等は現実のものとは必ずしも一致していない。
【0014】
(第1の実施形態)
図1(a)は、本発明の第1の実施形態に係る圧電デバイス1の外観を示す上面側から見た斜視図であり、図1(b)は、圧電デバイス1の外観を示す下面側から見た斜視図である。
【0015】
なお、圧電デバイス1は、いずれの方向が上方若しくは下方とされてもよいものであるが、便宜的に、直交座標系xyzを定義するとともに、z方向の正側を上方として、上面若しくは下面の語を用いるものとする。
【0016】
圧電デバイス1は、例えば、概ね直方体状に形成されており、上面1a、下面1b、4つの側面1cを有している。下面1bにおいては、複数の外部端子3が適宜な形状及び適宜な数で露出している。圧電デバイス1の大きさは適宜な大きさとされてよいが、例えば、1辺の長さが1mm〜数mmである。
【0017】
圧電デバイス1は、不図示の実装基板に対して下面1bを対向させて配置され、実装基板に設けられたパッドと複数の外部端子3とがはんだバンプ等を介して接合されることにより実装基板に実装される。そして、圧電デバイス1は、例えば、外部端子3を介して信号が入力され、入力された信号に所定の処理を施して出力する。
【0018】
図2(a)は、図1(a)のIIa−IIa線における模式的な断面図であり、図2(b)は、図1(a)のIIb−IIb線における模式的な断面図であり、図2(c)は、図2(b)の領域IIcの拡大図である。
【0019】
圧電デバイス1は、ベース基板5と、ベース基板5上にフェースダウン実装された圧電素子7と、これらを覆う拡張部材9とを有している。
【0020】
ベース基板5は、例えば、リジッド式のプリント配線板によって構成されており、絶縁基体11と、絶縁基体11の上面11aに形成された上面導電層13Aと、絶縁基体11の内部に上面11aに平行に形成された内部導電層13Bと、絶縁基体11の全部又は一部を上下方向に貫通するビア導体15とを有している。なお、ベース基板5は、内部導電層13Bが設けられないものであってもよい。
【0021】
絶縁基体11は、例えば、概ね直方体状に形成されており、上面11a、下面11b及び4つの側面11cを有している。また、絶縁基体11は、例えば、樹脂、セラミック及び/又はアモルファス状態の無機材料を含んで形成されている。絶縁基体11は、単一の材料からなるものであってもよいし、基材に樹脂を含浸させた基板のように複合材料からなるものであってもよい。
【0022】
上面導電層13Aは、圧電素子7をベース基板5に実装するための基板パッド17を含んでいる。ビア導体15及び内部導電層13Bは、基板パッド17と外部端子3とを接続する配線を含んでいる。なお、上面導電層13A、内部導電層13B及びビア導体15は、インダクタ、コンデンサ若しくは適宜な処理を実行する回路を含んでいてもよい。上面導電層13A、内部導電層13B及びビア導体15は、例えば、Cu等の金属により構成されている。
【0023】
圧電素子7は、例えば、SAW素子であり、圧電基板19と、圧電基板19の機能面19aに設けられた励振電極21(図2(c))と、機能面19aに設けられ、ベース基板5に接続される素子パッド25とを有している。なお、圧電素子7は、この他、励振電極21を覆う保護層、裏面19bを覆う電極等の適宜な部材を有していてよい。
【0024】
圧電基板19は、例えば、概ね直方体状に形成されており、機能面19a、その背面となる裏面19b及び4つの側面19cを有している。圧電基板19の平面視における形状及び大きさは、例えば、ベース基板5の平面視における形状及び大きさと同様である。そして、圧電基板19の側面19cとベース基板5の側面11cとは面一になっている。また、圧電基板19は、例えば、タンタル酸リチウム単結晶、ニオブ酸リチウム単結晶等の圧電性を有する単結晶の基板により構成されている。
【0025】
励振電極21は、いわゆるIDT(InterDigital transducer)であり、一対の櫛歯電極23(図10(b)参照)を含んでいる。各櫛歯電極23は、バスバー23a(図10(b)参照)と、バスバー23aから延びる複数の電極指23b(図2(c)。図10(b)も参照)とを有しており、一対の櫛歯電極23は、互いに噛み合うように(複数の電極指23bが互いに交差するように)配置されている。なお、図2や図10等は模式図であることから、複数本の電極指23bを有する櫛歯電極23が1対のみ図示されているが、実際には、これよりも多くの電極指23bを有する複数対の櫛歯電極23が設けられていてよい。励振電極21は、SAWフィルタ、SAW共振器及び/又はデュプレクサ等を構成している。
【0026】
励振電極21に信号が入力されると、当該信号はSAWに変換されて機能面19aを電極指23bに直交する方向(y方向)に伝搬し、再度信号に変換されて励振電極21から出力される。その過程において、信号はフィルタリング等がなされる。
【0027】
素子パッド25は、機能面19aに形成された不図示の配線を介して励振電極21に接続されている。励振電極21は、素子パッド25を介して信号が入力され、素子パッド25を介して信号を出力する。
【0028】
なお、励振電極21、素子パッド25及びこれらを接続する不図示の配線は、例えば、Al−Cu合金等の適宜な金属により構成されている。これらは、同一材料により形成されていてもよいし、互いに異なる材料により形成されていてもよい。
【0029】
素子パッド25と基板パッド17とは、バンプ27によって接合されている。バンプ27は、はんだにより構成されている。はんだは、Pb−Sn合金はんだ等の鉛を用いたはんだであってもよいし、Au−Sn合金はんだ、Au−Ge合金はんだ、Sn−Ag合金はんだ、Sn−Cu合金はんだ等の鉛フリーはんだであってもよい。なお、バンプ27は、導電性接着剤によって形成されていてもよい。
【0030】
素子パッド25と基板パッド17との間にバンプ27が介在していることにより、絶縁基体11の上面11aと、圧電基板19の機能面19aとの間には間隙(振動空間S)が形成されている。これにより、機能面19aの振動(SAWの伝搬)が容易化されている。
【0031】
拡張部材9は、例えば、ベース基板5及び圧電素子7のうち、ベース基板5の下面11bを露出させつつ、それ以外の部分を覆っている。すなわち、拡張部材9は、ベース基板5の側面11cに接合されており、圧電素子7の側面に接合されており、また、圧電素子7の裏面19bに接合されている。
【0032】
なお、圧電デバイス1の上面1a及び側面1cは拡張部材9の上面及び側面により構成され、下面1bの外周側は拡張部材9の下面9bにより構成され、下面1bの内部側はベース基板5の下面11bにより構成されている。
【0033】
拡張部材9は、絶縁材料により形成されている。絶縁材料は、例えば、エポキシ樹脂等の樹脂である。当該樹脂には、当該樹脂よりも熱膨張係数が低い材料により形成された絶縁性粒子からなるフィラーが混入されていてもよい。絶縁性粒子の材料は、例えば、シリカ、アルミナ、フェノール、ポリエチレン、グラスファイバー、グラファイトフィラーである。なお、拡張部材9は、その全体がセラミック等の無機絶縁材料により構成されていてもよい。
【0034】
拡張部材9は、衝撃吸収性等の観点からそのヤング率が絶縁基体11(ベース基板5)よりも低いことが好ましい。また、拡張部材9は、絶縁基体11(ベース基板5)との接続信頼性等の観点からその熱膨張率が絶縁基体11(ベース基板5)と同等であることが好ましい。なお、ここでいうヤング率若しくは熱膨張率は、拡張部材9等が複合材料からなる場合において、その部材全体としてのヤング率若しくは熱膨張率である(一部の材料のヤング率若しくは熱膨張率ではない。)。
【0035】
拡張部材9と、ベース基板5及び圧電素子7との間には、シート29が介在している。なお、シート29は、拡張部材9の一部として捉えることも可能であるが、本実施形態では、シート29と拡張部材9とは別部材であるものとして説明する。シート29は、後述するように、拡張部材9の形成時において拡張部材9を構成する樹脂が振動空間Sに流れ込むことを防止するためのものである。シート29は、例えば、ポニフェニレンサルファイド(PPS)等の樹脂によって構成されており、その厚さは例えば1〜数μmである。
【0036】
複数の外部端子3は、ベース基板5の下面11b及び/又は拡張部材9の下面9bに設けられている。本実施形態では、複数の外部端子3は、ベース基板5の下面11bにのみに設けられた外部端子3と、ベース基板5の下面11bから拡張部材9の下面9bにかけて設けられた外部端子3とを含んでいる。全ての外部端子3は、少なくとも一部がベース基板5の下面11bに設けられており、ビア導体15と接続されている。
【0037】
図3(a)〜図4(e)は、圧電デバイス1の製造方法を説明する断面図である。なお、当該断面図は、図1(a)のIIb−IIb線に対応し、また、図2(b)よりも模式的に示されている。
【0038】
まず、図3(a)に示すように、ベース基板5が多数個取りされる母基板31が用意される。母基板31は、公知の種々の方法により形成されてよい。例えば、ベース基板5がセラミック多層基板であれば、母基板31は、絶縁基体11となる複数のセラミックグリーンシートに上面導電層13A、内部導電層13B及びビア導体15となる導電ペーストを配置し、当該複数のセラミックグリーンシートを積層して焼成することにより形成されてよい。また、例えば、ベース基板5が樹脂を絶縁材料とする多層基板であれば、母基板31は、内層コア、プリプレグ及び銅箔の積層により絶縁基体11及び内部導電層13Bを形成し、スルーホールめっきによりビア導体15に相当するスルーホール導体を形成し、サブトラクティブ若しくはアディティブ法により上面導電層13Aを形成してよい。なお、母基板31の大きさは適宜な大きさとされてよいが、一例として、直径が4インチ程度である。
【0039】
次に、同じく図3(a)に示すように、ベース基板5と圧電素子7とを接合するためのバンプ27を母基板31の上面11aに形成する。バンプ27の形成は、例えば、蒸着法、めっき法若しくは印刷法により行われる。
【0040】
また、母基板31の準備と並行して、圧電素子7が多数個取りされる母基板33(図3(b))も用意される。母基板33は、例えば、圧電基板19が多数個取りされる圧電体からなる母基板に、スパッタリング法、蒸着法又はCVD(Chemical Vapor Deposition)法等の薄膜形成法により金属層を形成し、その金属層をフォトリソグラフィー法等によりパターニングし、励振電極21及び素子パッド25等を形成することにより形成される。
【0041】
次に、図3(b)に示すように、ベース基板5の母基板31の上面11aに対して圧電素子7の母基板33の機能面19aを対向させて配置する。そして、これら母基板をリフロー炉に通すことなどによりバンプ27を溶融させ、母基板31と母基板33とを接合する。
【0042】
次に、図3(c)に示すように、ダイシングテープ35を母基板31の下面11bに接着する。ダイシングテープ35は、例えば可撓性の樹脂フィルムの片面に粘着層が形成されたものである。
【0043】
次に、図3(d)に示すように、母基板31及び母基板33をカットする。これにより、ベース基板5及び圧電素子7を含む第1個片8が形成される。カットは、例えば、ダイシングブレードを用いたフルカットダイシングにより行われる。なお、カットは、レーザを用いて行われてもよい。
【0044】
母基板31及び母基板33は、同一のブレード(若しくはレーザ設定)により共に(同時に・1回で)カットされる。すなわち、ブレード(若しくはレーザ光)は、母基板31及び母基板33の双方を貫通した状態でこれら母基板31及び母基板33に対して縦横に相対移動し、これら母基板31及び母基板33をカットする。これにより、ベース基板5の側面11cと圧電素子7の側面19cとは面一になる。
【0045】
ただし、ブレードが母基板33のみを貫通した状態でブレードを母基板31及び母基板33に対して縦横に相対移動させて母基板33のみをカットした後、他のブレード若しくはレーザ光によって母基板31をカットするなど、母基板31と母基板33とは、順次且つ異なる方法でカットされてもよい。
【0046】
次に、図3(e)に示すように、シート29が多数個取りされるシート37が複数の第1個片8に被せられる。シート37は、例えば粘着性を有する可撓性の樹脂シートである。シート37とダイシングテープ35との間の真空引きをすることにより、シート37は、ダイシングテープ35の露出部分、ベース基板5の側面11c、圧電素子7の側面19c及び裏面19bに密着し、粘着する。
【0047】
次に、図4(a)に示すように、拡張部材9となる溶融状態の樹脂39が、複数の第1個片8を覆うように供給される。溶融状態の樹脂39の供給は、例えば印刷法により行われる。供給された溶融状態の樹脂39は、複数の第1個片8間の溝36に充填されるとともに、圧電素子7の裏面19b側を覆う。なお、ベース基板5の下面11bは、ダイシングテープ35に密着していることから、樹脂39に覆われない。また、ダイシングテープ35は、樹脂39が溝36から下方へ流れ落ちることを防止する受け皿として機能する。
【0048】
その後、樹脂39が硬化すると、複数の第1個片8同士は樹脂39によって互いに固定される。すなわち、複数の第1個片8は、再度一体化され、母基板のような接合基板40が形成される。
【0049】
なお、ダイシングテープ35は、シート37が被せられる前から樹脂39が硬化するまでの間、適宜な量でエキスパンドされていることが好ましい。エキスパンドにより、複数の第1個片8間の溝36は拡大し、適宜な大きさとされる。
【0050】
次に、図4(b)に示すように、接合基板40からダイシングテープ35を剥がす。これにより、ベース基板5の下面11bは露出する。また、接合基板40は、ベース基板5の下面11bを上方にするように向きを変えられる。
【0051】
次に、図4(c)に示すように、シート37の樹脂39からの露出部分を除去する。この処理は、例えば、エッチングのような化学的処理によって行われてもよいし、研磨のように物理的処理によって行われてもよい。エッチングは、ドライエッチングであってもよいし、ウェットエッチングであってもよい。
【0052】
次に、図4(d)に示すように、接合基板40に外部端子3を形成する。具体的には、ベース基板5の下面11b及び樹脂39の下面11b側の面に、スパッタリング法、蒸着法又はCVD法等の薄膜形成法により金属層を形成し、その金属層をフォトリソグラフィー法等によりパターニングすることにより形成される。
【0053】
次に、図4(e)に示すように、樹脂39の下面11bとは反対側の面にダイシングテープ41を接着し、接合基板40をカットする。より具体的には、溝36に充填されている樹脂39を溝36よりも細いダイシングブレードによってカットする。これにより、複数組のベース基板5及び圧電素子7が再度個片化され、拡張部材9を含む圧電デバイス1が作製される。なお、カットはレーザによって行われてもよい。
【0054】
以上のとおり、本実施形態では、圧電デバイス1は、ベース基板5と、ベース基板5上に実装されている圧電素子7と、ベース基板5の側面11cに接合された拡張部材9と、拡張部材9の下面9bに設けられた外部端子3とを有している。
【0055】
従って、外部端子3の配置可能範囲が増加することになり、設計の自由度が向上する。さらに、ベース基板5及び圧電素子7の寸法は変えずに、拡張部材9の寸法及び外部端子3の配置のみを変更して、外部端子3に係る種々の仕様に応じることが可能であり、コスト削減が期待される。
【0056】
また、圧電デバイス1では、外部端子3は、ベース基板5の下面11bから拡張部材9の下面9bにかけて設けられている。
【0057】
従って、外部端子3は、ベース基板5の下面11bのみに設けられる場合等に比較して、面積が大きく確保される。また、面積が大きく確保されることにより、外部端子3間の間隔を小さくし、ベース基板5に外部端子3を介して加えられる力によって生じるベース基板5の反りを抑制し、ひいては、圧電素子7の機能面19aの反りを抑制することができる。機能面19aの反りが抑制されることにより、圧電素子7の電気特性の変動が抑制される。
【0058】
また、圧電デバイス1では、拡張部材9は、ベース基板5よりもヤング率が低い。
【0059】
従って、例えば、圧電デバイス1が実装される実装基板の反りに起因して外部端子3に加えられる力を拡張部材9によって吸収し、ベース基板5に伝達される力を緩和することができる。その結果、圧電素子7の機能面19aの反りが抑制され、ひいては、圧電素子7の電気特性の変動が抑制される。
【0060】
また、圧電デバイス1では、拡張部材9がベース基板5を囲むように配置されている。
【0061】
従って、拡張部材9の下面9bの面積をより確保し、外部端子3に係る設計の自由度をより向上させることができる。また、ベース基板5が拡張部材9に嵌合することになるから、ベース基板5と拡張部材9との固定も強固となり、ひいては、拡張部材9に設けられた外部端子3と、ベース基板5の配線との間の接続信頼性も向上する。
【0062】
また、圧電デバイス1では、拡張部材9が圧電素子7の側面19cに接合されている。
【0063】
従って、外部端子3の配置の自由度を向上させる拡張部材9により、圧電素子7の機械的保護も図られることになる。その結果、小型化及び耐久性向上の両立が図られる。また、拡張部材9は、ベース基板5の側面11cから圧電素子7の側面19cに亘って配置されていることになるから、拡張部材9は、振動空間Sの形成及び/又は振動空間Sへの水分等の浸入抑制にも寄与する。
【0064】
また、圧電デバイス1では、圧電素子7の側面19cと、ベース基板5の側面11cとが、面一である。
【0065】
従って、圧電素子7は、拡張部材9と重ならない範囲で最大限の面積が確保されていることになる。その結果、外部端子3を介して拡張部材9に加えられた力が圧電素子7に加えられることを抑制しつつ、圧電素子7の高機能化(別の観点では圧電素子7の機能を維持した上での圧電デバイス1全体としての小型化)が図られる。また、製造工程に着目すれば、図3(d)を参照して説明したように、圧電素子7の母基板33と、ベース基板5の母基板31とを1回でカットすることができるから、製造工程の効率化が図られる。
【0066】
また、本実施形態では、圧電デバイス1の製造方法は、複数のベース基板5が含まれる母基板31及び複数の圧電素子7が含まれる母基板33を準備する工程(図3(a))と、複数の圧電素子7が複数のベース基板5にそれぞれフェースダウン実装されるように、母基板31及び33を対向させ、その対向面間に介在するバンプ27により母基板31及び33を互いに接続する工程(図3(b))と、接続された母基板31及び33をカットして、ベース基板5及び圧電素子7を含む複数の第1個片8を形成する工程(図3(d))と、を含む。
【0067】
従って、個片化された複数の圧電素子7をピックアップしてベース基板5の母基板31に実装する工程が母基板同士の接続に置き換えられ、生産性が向上する。すなわち、特許文献1のように素子を1つずつ実装していく製造方法と比較して、本実施形態の製造方法であれば、素子を複数同時に実装できたことになるので、実装の手間が省けて、製造効率が向上して好ましい。また、複数の圧電素子7の個片化とベース基板5の個片化とで、ダイシングテープ及びダイシングブレード等を共用化することもできる。このような個片化はフェースダウン実装が実質的に前提であり、また、圧電素子7は、フェースダウン実装されることによって機能面19aとベース基板5との間に振動空間Sを形成することが可能である。すなわち、このような個片化は圧電デバイスの製造方法に適している。
【0068】
また、圧電デバイス1の製造方法は、複数の第1個片8同士の間の溝36に樹脂39を充填して複数の第1個片8を互いに接合した接合基板40を形成する工程(図4(a))と、接合基板40の表面に対して、複数の第1個片8にそれぞれ接続された複数の導電層(外部端子3)を形成する工程(図4(d))と、溝36の樹脂39をカットして、ベース基板5、圧電素子7、カットされた樹脂39からなりベース基板5の側面11cに接合された拡張部材9、及び、導電層(外部端子3)を含む複数の第2個片(圧電デバイス1)を形成する工程(図4(e))と、を含む。
【0069】
従って、ピックアップされた第1個片8を樹脂封止する場合に比較して簡便に第1個片8を樹脂封止することができる。さらに、接合基板40に対して導電層(外部端子3)を形成することから、拡張部材9に導電層を設けることができるとともに、拡張部材9を含む個片に導電層を設ける場合に比較して容易に導電層を設けることができる。
【0070】
また、圧電デバイス1の製造方法は、上記の導電層が、拡張部材9に設けられ、圧電素子7に接続された外部端子3を含むことにより、上述した外部端子3の設計の自由度が高い圧電デバイス1を実現することができる。
【0071】
なお、以上の実施形態において、ベース基板5又は絶縁基体11は、本発明の支持部材の一例である。
【0072】
(第2の実施形態)
図5は、第2の実施形態の圧電デバイス201を示す、図2(b)に相当する断面図である。
【0073】
圧電デバイス201は、シート229及び外部端子3の形状のみが第1の実施形態の圧電デバイス1と相違する。具体的には、以下のとおりである。
【0074】
シート229は、第1の実施形態のシート29と同様の範囲を覆うとともに、拡張部材9の下面9bも覆っている。そして、外部端子3は、シート229を介して、拡張部材9の下面9b上に設けられている。なお、上述のように、シート229は、拡張部材9の一部として捉えることも可能である。
【0075】
このようなシート229は、第1の実施形態の圧電デバイス1の製造方法において、図4(c)を参照して説明した、シート37の樹脂39からの露出部分を除去する工程を省略することにより形成される。
【0076】
そして、圧電デバイス201では、シート229が拡張部材9の下面9bを覆っていることから、例えば、シート229は外部端子3との接合性の高い材料からなるものとし、拡張部材9は、そのヤング率及び熱膨張係数の観点から有利な材料からなるものとすることにより、圧電デバイス201の信頼性を向上させることが可能である。また、圧電デバイス201の製造方法においては、図4(c)の工程を省略することができるから、より生産性が向上する。
【0077】
s
圧電デバイス201の外周側の外部端子3は、拡張部材9の下面9bにおいて、拡張部材9の側面1cに到達するまで広がっており、その外側縁部が側面1cに一致している。
【0078】
このような外部端子3は、第1の実施形態の圧電デバイス1の製造方法と同様に、図4(d)を参照して説明した金属層のパターニングによって形成することが可能である。また、第1の実施形態とは異なり、金属層のパターニングにおいては、外部端子3の外側縁部のパターニングを行わず、図4(e)のダイシングにおいて、樹脂39のカットとともに金属層をカットして、外部端子3の外側縁部を形成することもできる。
【0079】
そして、圧電デバイス201では、外部端子3が側面1cまで広がっていることから、外部端子3の面積を最大限に確保することができる。また、圧電デバイス201の製造方法においては、ダイシングが外部端子3のパターニングに寄与することから、例えば、フォトマスクの簡素化を図ることが可能である。
【0080】
(第3の実施形態)
図6は、第3の実施形態の圧電デバイス301を示す、図2(b)に相当する断面図である。
【0081】
圧電デバイス301は、拡張部材309のみが第1の実施形態の圧電デバイス1と相違する。具体的には、以下のとおりである。
【0082】
まず、拡張部材309は、第1の実施形態と異なり、圧電素子7の裏面19b側を覆っていない。拡張部材309の上面309aの位置は、圧電素子7の機能面19aよりも上方側の適宜な位置とされてよい。例えば、上面309aは、圧電素子7の裏面19b(厳密にはシート29)と面一とされている。
【0083】
また、拡張部材309は、ベース基板5の側面11cに接合される第1層308Aと、第1層308Aに重ねられ、圧電素子7の側面19cに接合される第2層308Bとを有している。なお、第1層308Aと第2層308Bとの境界位置は、ベース基板5の上面11aから圧電素子7の機能面19aまでの間の適宜な位置とされてよい。
【0084】
第1層308Aと第2層308Bとは互いに異なる材料により形成され、異なる性質を示す。例えば、第1層308Aは、第2層308Bよりもベース基板5及び/又は不図示の実装基板に熱膨張係数が近く、第2層308Bは、第1層308Aよりも圧電素子7に熱膨張係数が近い。また、例えば、第1層308Aは、第2層308Bに比較して、ヤング率が高い。第1層308Aは、第2層308Bに比較して、外部端子3の材料と親和性が高い。
【0085】
第1層308A及び第2層308Bは、例えば、図4(a)を参照して説明した樹脂を供給する工程において、第1層308Aとなる樹脂を供給する工程と、第2層308Bとなる樹脂を供給する工程とを順次行うことにより形成可能である。
【0086】
また、供給する樹脂の量を調整することなどにより、拡張部材309の上面309aの位置は適宜な位置とされる。なお、樹脂39を供給した後に、圧電素子7の裏面19b側の樹脂39を除去してもよい。
【0087】
以上の本実施形態の圧電デバイス301では、拡張部材309の上面309aが圧電素子7の裏面19b以下の位置とされているので、第1の実施形態の圧電デバイス1に比較して、薄型化が図られる。なお、第1の実施形態の圧電デバイス1は、圧電素子7の機械的保護の観点等において有利である。
【0088】
また、圧電デバイス301では、拡張部材309は、互いに異なる材料からなる、ベース基板5の側面11cに接合される第1層308Aと、圧電素子7の側面19cに接合される第2層308Bとを有することから、上述したように、全体として熱応力を緩和したり、外部端子3の剥離を抑制したりすることができる。
【0089】
なお、拡張部材を構成する層は、2種に限定されず、3種以上であってもよい。
【0090】
(第4の実施形態)
図7は、第4の実施形態の圧電デバイス401を示す、図2(b)に相当する断面図である。
【0091】
圧電デバイス401は、拡張部材409の形状のみが第1の実施形態の圧電デバイス1と相違する。具体的には、拡張部材409の上面409aの位置は、第3の実施形態(図6)よりも更に低くなっており、機能面19a以下、若しくは、ベース基板5の上面11a以下とされている。
【0092】
このような拡張部材409の形成においては、第3の実施形態と同様に、図4(a)を参照して説明した樹脂を供給する工程において、供給する樹脂の量を調整することにより、上面409aの位置が適宜な位置とされる。
【0093】
以上の本実施形態の圧電デバイス401では、第1の実施形態の圧電デバイス1に比較して、拡張部材409が撓みやすく、外部端子3に加えられた力は拡張部材409に吸収されやすい。従って、ベース基板5の反りや機能面19aの反りが抑制される。
【0094】
なお、当該効果は、本実施形態ほどではないが、第3の実施形態においても奏される。また、第1の実施形態の圧電デバイス1は、拡張部材9が振動空間S及び圧電素子7の側方に位置していることから、例えば、振動空間Sを水分等から保護したり、圧電素子7を側方から機械的に保護する観点において有利である。
【0095】
(第5の実施形態)
図8は、第5の実施形態の圧電デバイス501を示す、図2(b)に相当する断面図である。
【0096】
圧電デバイス501は、拡張部材509の形状、外部端子3の配置、外部端子3と基板パッド17との接続方法のみが第1の実施形態の圧電デバイス1と相違する。具体的には、以下のとおりである。
【0097】
拡張部材509は、第1の実施形態の拡張部材9と同様に、ベース基板505の側面11cだけでなく、圧電素子7の側面19cや裏面19bも覆っている。ただし、拡張部材509は、その下面509b側部分が外周側に突出した形状(フランジを有する形状)となっている。なお、フランジの上面の位置は、裏面19bを覆う部分の上面よりも下方であればよいが、好ましくは、第4の実施形態(図7)と同様に、圧電素子7の機能面19a以下、若しくは、ベース基板5の上面11a以下である。
【0098】
このような拡張部材509は、例えば、図4(a)を参照して説明した樹脂39の供給の後、図4(b)のダイシングテープ35の剥離前に、図4(e)のダイシング工程において用いるダイシングブレードよりも厚いダイシングブレードによって溝36の樹脂39に切り込みを入れることによって形成することができる。
【0099】
また、圧電デバイス501では、複数の外部端子3のうち外周側の外部端子3は、拡張部材509の下面509bのみに設けられており、ベース基板505の下面11bに重なっていない。そして、当該外部端子3と、基板パッド17とは、ベース基板505の側面11cに設けられた側面導電層13Cによって接続されている。
【0100】
なお、側面導電層13Cは、例えば、ベース基板5の母基板31の作製において、予めダイシングラインとなる位置にビア導体若しくはスルーホール導体を形成しておくことにより形成される。また、図3(d)を参照して説明したカット後に絶縁基体11の側面11cに形成されてもよい。
【0101】
以上の本実施形態の圧電デバイス501では、第1の実施形態と同様に圧電素子7を側面から機械的に保護しつつ、第4の実施形態と同様に拡張部材509の撓みによって外部端子3に加えられる力の圧電素子7への伝達を緩和することができる。
【0102】
また、圧電デバイス501では、拡張部材509のみに設けられた外部端子3が存在するが、このように、拡張部材509を利用して設けられる外部端子3は、拡張部材からベース基板にかけて設けられるものに限定されない。すなわち、本実施形態は、外部端子3の設計の自由度が高いことを示す一例となっている。
【0103】
(第6の実施形態)
図9(a)は、第6の実施形態の圧電デバイス601を示す、図2(b)に相当する断面図であり、図9(b)は、図9(a)の領域IXbの拡大図である。
【0104】
圧電デバイス601は、拡張部材となる樹脂の振動空間Sへの浸入を防止するための方法のみが第1の実施形態の圧電デバイス1と相違する。具体的には、以下のとおりである。
【0105】
圧電素子607は、ウェハレベルパッケージ型の圧電素子として構成されている。具体的には、圧電素子607は、第1の実施形態の圧電素子7に励振電極21を覆うカバー629を設けた構成となっている。
【0106】
カバー629は、機能面19aの平面視において励振電極21を囲む枠部629aと、枠部の開口を塞ぐ蓋部629bとを有する形状とされている。そして、カバー629と機能面19aとにより囲まれた空間により振動空間Sが構成されている。
【0107】
カバー629は、例えば、機能面19aに樹脂層を形成してパターニングして枠部629aを形成し、その上に樹脂シートを重ねてパターニングして蓋部629bを形成することにより形成される。
【0108】
圧電デバイス601においては、カバー629によって振動空間Sへの樹脂の浸入が防止されることから、第1の実施形態のシート29は設けられていない。従って、拡張部材609となる樹脂は、機能面19aとベース基板5の上面11aとの間に流れ込み、カバー629を覆うとともにバンプ27を覆っている。
【0109】
なお、圧電デバイス601の製造方法は、圧電素子の作製方法が異なる点、図3(e)及び図4(c)のシートに係る工程が省略される点を除いて、第1の実施形態の圧電デバイス1の製造方法と同様である。
【0110】
以上の本実施形態の圧電デバイス601においても、拡張部材609の下面609bに外部端子3が設けられていることにより、第1の実施形態と同様に、外部端子3の設計の自由度の向上の効果が奏される。また、拡張部材609は、バンプ27等を覆い、これらの絶縁性を向上させる機能も担うことになるから、小型化及び電気的信頼性の向上とが期待される。
【0111】
なお、ウェハレベルパッケージ型の圧電素子は、カバーの枠部を貫通してカバー上面に露出する柱状の端子が設けられるものであってもよいし、カバーの枠部及び蓋部に形成された開口から素子パッドが露出するものであってもよい。
【0112】
(第7の実施形態)
図10(a)は、第7の実施形態の圧電デバイス701を示す、図2(b)に相当する断面図であり、図10(b)は、図10(a)のXb−Xb線における断面図(ただし、拡張部材709は省略)である。
【0113】
圧電デバイス701は、拡張部材となる樹脂の振動空間Sへの浸入を防止するための方法のみが第1の実施形態の圧電デバイス1と相違する。具体的には、以下のとおりである。
【0114】
圧電デバイス701においては、ベース基板705と圧電素子707との間にはんだリング729が介在している。はんだリング729は、平面視において励振電極21及びバンプ27を囲む環状に形成されている。そして、圧電素子707の機能面19a、ベース基板705の上面11a及びはんだリング729に囲まれた領域により、振動空間Sが形成されている。
【0115】
なお、ベース基板705及び圧電素子707は、はんだリング729を設けるスペースが確保される以外は、第1の実施形態のベース基板5及び圧電素子7と同様である。
【0116】
はんだリング729は、例えばバンプ27の形成と同時にバンプ27と同様に形成される。なお、圧電デバイス701の製造方法は、はんだリング729が形成される点、図3(e)及び図4(c)のシートに係る工程が省略される点を除いて、第1の実施形態の圧電デバイス1の製造方法と同様である。
【0117】
以上の本実施形態の圧電デバイス701においても、拡張部材709の下面709bに外部端子3が設けられていることにより、第1の実施形態と同様に、外部端子3の設計の自由度の向上の効果が奏される。
【0118】
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
【0119】
上述の実施形態の種々の特徴は、適宜に組み合わされてよい。例えば、第2の実施形態(図5)のシートが拡張部材の下面にまで延在する特徴は、第3〜第5の実施形態(図6〜図8)の圧電デバイスに適用されてもよいし、第2の実施形態の外部端子が拡張部材の側面まで延在する特徴は、第3〜第7の実施形態(図6〜図10)の圧電デバイスに適用されてもよいし、第3の実施形態(図6)の2種以上の層から拡張部材を構成する特徴は、第4〜第7の実施形態に適用されてもよいし、第3〜5の実施形態(図6〜図8)の拡張部材の形状及び/又は寸法の特徴は、第6又は第7の実施形態に適用されてもよいし、第5の実施形態(図8)の外部端子が拡張部材にのみ設けられる特徴は、他の全ての実施形態に適用されてよい。
【0120】
いずれの実施形態においても、ベース基板の下面にのみ位置する外部端子が設けられていたが、当該外部端子は設けられなくてもよい。すなわち、圧電デバイスは、少なくとも一部が拡張部材に設けられている外部端子のみを有していてもよい。
【0121】
圧電素子の側面と、支持部材の側面とは、面一でなくてもよい。なお、この場合、例えば、図3(d)を参照して説明したダイシング工程において、最初に薄いダイシングブレードで圧電素子及び支持部材をカットし、次に厚いダイシングブレードで圧電素子のみをカットすることにより、支持部材の側面を圧電素子の側面よりも外側に位置させることができる。
【0122】
圧電デバイスの製造方法は、第1個片に樹脂を供給して拡張部材を形成する工程以降の工程を含んでいなくてもよい。換言すれば、拡張部材を有さない圧電デバイスが作製されてもよいし、拡張部材は形成されているが拡張部材に導電層が形成されていない圧電デバイスが作製されてもよい。なお、この場合において、外部端子は、支持部材の母基板において形成されていてよい。
【0123】
圧電素子の母基板及び支持部材の母基板をダイシングする工程において、カットは、実施形態とは逆に、支持部材の母基板側から行われてもよい。なお、この場合においては、フルカットを行わずにハーフカットを行っても、樹脂(拡張部材)を溝へ充填してその樹脂に外部端子を形成することが可能である。
【0124】
拡張部材の形成方法は、ダイシングテープによって連結された状態が維持されている複数の第1個片に対して樹脂を供給するものに限定されない。例えば、ダイシングテープからピックアップされた第1個片に対して、トランスファーモールド法によって溶融状態の樹脂を供給したり、既に成形された(固化された)拡張部材を嵌合及び/又は接着剤によって接合したりしてもよい。
【符号の説明】
【0125】
1…圧電デバイス、3…外部端子、5…ベース基板(支持部材)、7…圧電素子、8…第1個片、9…拡張部材、27…バンプ、31…母基板、33…母基板。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の支持部材が含まれる母基板及び複数の圧電素子が含まれる母基板を準備する工程と、
前記複数の圧電素子が前記複数の支持部材にそれぞれフェースダウン実装されるように、前記2つの母基板を対向させ、その対向面間に介在するバンプにより前記2つの母基板を互いに接続する工程と、
接続された前記2つの母基板をカットして、前記支持部材及び前記圧電素子を含む複数の第1個片を形成する工程と、
を含む圧電デバイスの製造方法。
【請求項2】
前記複数の第1個片同士の間の溝に樹脂材料を充填して前記複数の第1個片を互いに接合した接合基板を形成する工程と、
前記接合基板の表面に対して、前記複数の第1個片にそれぞれ接続された複数の導電層を形成する工程と、
前記溝の樹脂材料をカットして、前記支持部材、前記圧電素子、カットされた前記樹脂材料からなり前記支持部材の側面に接合された拡張部材、及び、前記導電層を含む複数の第2個片を形成する工程と、
を含む請求項1に記載の圧電デバイスの製造方法。
【請求項3】
前記導電層は、前記拡張部材に設けられ、前記圧電素子に接続された外部端子を含む
請求項2に記載の圧電デバイスの製造方法。
【請求項4】
前記複数の第1個片を形成する工程では、前記2つの母基板は共にカットされる
請求項1〜3のいずれか1項に記載の圧電デバイスの製造方法。
【請求項1】
複数の支持部材が含まれる母基板及び複数の圧電素子が含まれる母基板を準備する工程と、
前記複数の圧電素子が前記複数の支持部材にそれぞれフェースダウン実装されるように、前記2つの母基板を対向させ、その対向面間に介在するバンプにより前記2つの母基板を互いに接続する工程と、
接続された前記2つの母基板をカットして、前記支持部材及び前記圧電素子を含む複数の第1個片を形成する工程と、
を含む圧電デバイスの製造方法。
【請求項2】
前記複数の第1個片同士の間の溝に樹脂材料を充填して前記複数の第1個片を互いに接合した接合基板を形成する工程と、
前記接合基板の表面に対して、前記複数の第1個片にそれぞれ接続された複数の導電層を形成する工程と、
前記溝の樹脂材料をカットして、前記支持部材、前記圧電素子、カットされた前記樹脂材料からなり前記支持部材の側面に接合された拡張部材、及び、前記導電層を含む複数の第2個片を形成する工程と、
を含む請求項1に記載の圧電デバイスの製造方法。
【請求項3】
前記導電層は、前記拡張部材に設けられ、前記圧電素子に接続された外部端子を含む
請求項2に記載の圧電デバイスの製造方法。
【請求項4】
前記複数の第1個片を形成する工程では、前記2つの母基板は共にカットされる
請求項1〜3のいずれか1項に記載の圧電デバイスの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2013−51517(P2013−51517A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187708(P2011−187708)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
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