説明

圧電層によって変性されたミクロ共押出フィルム

適用電圧と共に寸法を変化する圧電層(1)及び非圧電性層(2)の組合せを有する積層フィルムが開示されている。この積層構造体は、広範囲の電気的に切り替え可能な光学フィルムを形成することができる。これらのフィルムは、ディスプレイ、偏光子、光学補償板、美感的フィルム並びに或る種の波長のみを選択的に反射する「ホット」及び「コールド」ミラーに於ける応用を有する。また、これらのフィルムを使用する単色及び多色ディスプレイも開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、約5個又はそれ以上の合計層を有し、そして少なくとも3個の圧電層を有する多層フィルムであって、フィルムの反射率及びその他の光学的特性を、電界の適用によって動的に変化させることができる多層フィルムに関する。圧電層は、好ましくは本質がポリマー性であり、そして介在する非圧電性層によって分離されている。
【背景技術】
【0002】
ミクロ共押出フィルム及びその他の光制御又は「真珠光沢(iridescent)」フィルムは、美感的/多色包装、液晶ディスプレイ(LCD)応用のための輝度増強及び反射性フィルム、誘電偏光子、補償フィルム、ミラー(可視光を透過させるが赤外を透過させない又はその逆の「コールド」又は「ホット」ミラーを含む)等を含む、広範囲の応用を見出してきた。これらのフィルムは、典型的には、異なったポリマーの多くの薄層を共押出することによって製造され、それで、そのままで使用することができ又は種々の応用のために積層/被覆することができる。これらの真珠光沢フィルムが適切に機能するために、異なった層は、それぞれの界面での反射を最適化するように、典型的に、異なった屈折率(ときには、文献に於いて、「ミスマッチした」屈折率として参照される)を有する。それぞれの層の厚さは、反射の際の破壊的干渉を最大にするように、光の波長のオーダー又はより小さい(即ち、数ミクロン)であることが有利である。実際の厚さ、層再配置、屈折率等の操作によって、波長、偏光、視野角等の関数として、反射率及び/又は光学リターデーション(retardation)を適合させることが可能になる。次いで、これらの異なった組合せによって、前記の異なった応用のための光制御を広範囲に変えることがもたらされる。
【0003】
典型的なミクロ共押出構造体は、例えばポリエステル(例えばポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリエチレンナフタレート(PEN))とポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)との交互層を含むフィルムであろう。このポリエステルは、かなり高い屈折率(n>1.57)及び典型的には、配向によって約0.05よりも大きい高い複屈折を有している。反対に、PMMAは、非常に低い屈折率(nは、典型的には、1.50又はそれ以下である)及び非常に小さい配向誘導複屈折を有し、従って、反射率を最大にする。全構造体には、これらの交互フィルムの50〜100個の合計層が含有されており、それは、特別の共押出供給ブロックによって作られる。このフィルムは、典型的には、一軸又は二軸延伸され、共押出フィルムを所望の厚さ範囲内に減少させ、また、偏光子(polarizer)のような応用のための複屈折を誘導する。真珠光沢フィルムは、ポリエステル/PMMAのみならず、広範囲の種々のポリマーから製造することができ、唯一の必要条件は、フィルムが、所定の応用のための適切な屈折率及び厚さを有することである。ポリマーの加工温度、共押出性、接着性、延伸挙動等は、全体的に適合性でなくてはならないので、加工問題は、また、選択に於ける役割を演じる。
【0004】
従来の真珠光沢構造体及びフィルムの欠点の一つは、それらの「静的(static)」非可変的光学特性である。即ち、製造されると、このフィルムは、容易に変更される反射率を有することができない。反対に、フィルムの反射率が、例えば、本発明の基本である、適用電圧によって容易に変更できるならば、得られる応用は莫大であろう。この電圧変化光学構造体は、「動的(dynamic)」光制御フィルム又は「光学変調(optical modulating)」フィルムとして参照することができる。例として、適切に適用された電極によって、このフィルムは、1種のディスプレイ要素として作用することができる。電圧の適用によって、動的フィルムが、透過から反射に又はその逆に切り替わり、殆ど同じ方式で、液晶ディスプレイフィルム(LCD)が作動する。しかしながら、この動的フィルムは、殆どの硬質LCDとは違って、どのような湾曲した表面の周りでも曲がることができるという点で、追加の利点を有する。他の応用には、例えば、車着色フィルム、温室、スイッチ及び導波管用の光学変調フィルム等に於いて使用するための、信号/広告板を動的に変更すること、能動的包装/ラベリング、電気的に切り替え可能な偏光フィルムが含まれる。このような動的光制御フィルムは、広範囲の応用のための途方もない機会を有するであろう。
【0005】
本発明に関連する他のフィルム技術は、圧電フィルムの技術である。圧電性は、応力が掛けられたとき電圧を発生するか又はその代わりに電圧が掛けられたとき変形する材料を指す。圧電材料/フィルムは、電気結晶、トランスデューサー、タッチパッド及びスクリーン、ラウドスピーカー、超音波機器、センサー等を含む広範囲の応用に於いて使用される。膨大な数の圧電材料が存在し、最も一般的なものは、石英、チタン酸ジルコニウム及びチタン酸バリウムのような種々のセラミックス並びにポリ(フッ化ビニリデン)(PVDF)をベースにするポリマーフィルムである。PVDFは、トータル・アトフィナ社(Total Atofina)からカイナー(Kynar)(登録商標)の商品名で一般的に販売されており、脆性のセラミックよりも可撓性で弾性である。
【0006】
PVDFは、それを適切に配向させ、そして電気的にポーリングさせて双極子を適切に整列させた後にのみ、その圧電性を達成する。配向していないPVDFは、非極性「アルファ」相であり、この場合、水素原子及びフッ素原子は、ランダムに配列されている。反対に、配向は、「ベータ」相として参照される第二ランダム配向結晶形を生じ、この場合、水素原子及びフッ素原子は、鎖の反対側に配列され、こうして電気双極子を形成する。圧電活性が起こるために、これらの双極子の全てが、同じ全体方向に整列されている必要がある。これは、高温度で、高電界下でフィルムを電気的に「ポーリング」(poling)して、双極子の全てが同じ方向に配向するように誘導することによって行われる。次いで、サンプルを急冷(quench)して、この配列を固定する。続く電圧又は電界の適用下で、これらの整列された双極子は、電界方向に関連して再整列することを試み、そうして圧電効果として知られている変形を起こすであろう。同様に、多くの圧電センサーでの場合のように、双極子が機械的に再配列するように、フィルムが圧力を加えられるか又は変形される場合、測定することができる電圧がフィルム上に作られる。
【0007】
PVDFフィルムに関して多くの応用が存在するが、殆どは、フィルムが全く配向されておらず、電気的にポーリングされていないので、事実上、非圧電性である。同様に、圧電形での(即ち、配向され、ポーリングされた)ミクロ共押出構造体中のこのようなフィルムの使用も、知られていない。従って、光制御多層「真珠光沢」構造体の一部として、圧電的に活性のフィルムを含有させることが望ましいであろう。このような構造体は、電圧を適用することによって、その反射率及び光制御特性を変えることが可能である。得られる動的フィルムは、例えば、従来の硬質LCDよりも、一層可撓性、多能性形で、光学モジュレーションを提供することが可能であろう。前記のように、このような光制御フィルムは、光学デバイス、例えば偏光子、光学補償板、輝度増強及び反射性フィルム、美感的フィルム、例えば装飾的包装フィルム並びに或る種の波長のみを選択的に反射する「ホット」及び「コールド」ミラー並びに液晶ディスプレイに於ける応用を有するであろう。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
簡潔に言うと、本発明は、それらの少なくとも3個が圧電的に活性である、5個又はそれ以上の層を含む多層フィルムであって、フィルムの反射率及びその他の光学的特性を、電界の適用によって動的に変化させることができる多層フィルムを提供する。この圧電層は、好ましくは本質がポリマー性であり、そして介在する非圧電性層によって分離されている。
【0009】
本発明は、それらの少なくとも3個が圧電的に活性である、5個又はそれ以上の合計層を有する多層光制御フィルムであって、その反射率及びその他の光学的特性を、電界の適用によって動的に変化させるか又は変調することができる多層フィルムを提供する。この圧電層は、好ましくは本質がポリマー性であり、ポリ(フッ化ビニリデン)又はフッ化ビニリデンのコポリマーから製造される。更に、これらの圧電層は、好ましくは、介在する非圧電性層によって分離されている。このような光学フィルムには、これらに限定されないが、適用電圧によって、光学特性を、迅速に且つ容易に変えることができる、干渉偏光子、ミラー、着色フィルム、ディスプレイ及びこれらの組合せが含まれる。このフィルムは、設計に依存して、紫外、可視及び赤外スペクトルの広範囲に亘って光学的に活性である。特に関心のあるものは、少なくとも3個の層が圧電的に活性である、本質が複屈折性である1個又はそれ以上の層を有する、共押出されたポリマー性多層光学フィルムである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
他の方法で示さない限り、明細書及び特許請求の範囲に於いて使用される、成分の量、分子量のような特性、反応条件等を表す全ての数字は、全ての場合に於いて、用語「約」によって修飾されると理解されるべきである。従って、反対に示されない限り、以下の明細書及び添付された特許請求の範囲に於いて記載された数値パラメータは、本発明によって得られるように求められている所望の特性に依存して変化してもよい近似値である。少なくとも、それぞれの数値パラメータは、少なくとも、報告された有効数字の数値に照らして、そして通常の丸め技術を適用することによって解釈されるべきである。更に、この開示及び特許請求の範囲中に記載された範囲は、特に、終点(群)のみならず、全範囲を含めるように意図される。例えば、0〜10であると記載された範囲は、0と10との間の全ての整数、例えば1、2、3、4等、0と10との間の全ての分数、例えば、1.5、2.3、4.57、6.1113等並びに終点0及び10を開示するように意図される。また、化学的置換基に付随する範囲、例えば「C1〜C5炭化水素」は、C1及びC5炭化水素並びにC2、C3及びC4炭化水素を特に含み、そして開示するように意図する。
【0011】
本発明の広い範囲を記載する数値範囲及びパラメータは近似値であるにもかかわらず、特別の実施例に記載された数値は、できるだけ正確に報告している。しかしながら、任意の数値は、本来、それらのそれぞれの試験測定値に見出される標準偏差から必然的にもたらされる一定の誤差を含んでいる。
【0012】
本明細書に於いて使用する単数形には、文脈が他の方法で明瞭に示していない限り、それらの複数の参照物が含まれる。例えば「ポリマー」又は「造形物品」に対する参照は、複数のポリマー又は物品の加工又は製造を含むことを意図する。「1種の」成分又は「1種の」ポリマーを含有する又は含む組成物に対する参照は、名称が記載されたものに加えて、それぞれ他の成分又は他のポリマーを含むことを意図する。
【0013】
「含んでなる(comprising)」又は「含有する」又は「含む」(containing又はincluding)によって、少なくとも名称が記載された化合物、要素、粒子又は方法工程等が、組成物又は物品又は方法中に存在するが、他の化合物、触媒、材料、粒子、方法工程等の存在を、このような他の化合物、材料、粒子、方法工程等が、名称が記載されたものと同じ機能を有するならば、明白に排除されていない限り、排除しないことを意味する。
【0014】
また、1個又はそれ以上の方法工程の記載は、組み合わせられた列挙された工程の前若しくは後の追加の方法工程又は明白に同定された、これらの工程の間の介在する方法工程の存在を排除しないものと理解すべきである。更に、方法工程又は成分のレタリングは、別個の活性又は成分を同定するための便利な手段であり、そして列挙されたレタリングは、他の方法で示されていない限り、どのような順序でも配列することができる。
【0015】
本発明の多層構造体を製造するための多数の方法が存在する。本発明は、種々のアプローチによって限定されない。種々のアプローチ及び多層ミクロ共押出装置は、例えば米国特許第3,557,265号明細書、米国特許第3,759,647号明細書、米国特許第3,773,882号明細書及び米国特許第3,884,606号明細書(これらの内容を、引用して本明細書に含める)に記載されている。
【0016】
典型的には、2種又はそれ以上の異なった樹脂が、それぞれ押し出され、そして特別のミクロ共押出供給ブロックの中に一緒に持ち込まれる。この供給ブロックは、層群が、繰り返し折りたたまれそして積み重ねられるか又は他の方法で一緒に組み合わせられ、それによって非常に多数の交互層を作るという点で、一般的な供給ブロック(例えば、標準的2〜10層商品フィルムを製造するために使用されるもの)とは異なっている。典型的には、少なくとも10層が必要であるが、20〜1000層又はそれ以上が、より良い反射率のために好ましい。これらの交互層を形成するための実際の方法は、限定因子ではない。共押出が好ましいが、より小さい一貫した最終特性ではあるが、積層又は手積み成形を使用することもできる。
【0017】
2種の異なったポリマー(ポリマーA及びポリマーBと称する)を使用する場合、これらは、例えば100個又はそれ以上のように多くの合計層を含有する交互A/B構造体に、折りたたまれ、再結合されるであろう。この構造体の繰り返し単位は、100層(合計)フィルムのために50回繰り返されたA/Bフィルムである。この構造体は、(A/B)50として簡略表記で示す。このような構造体が、前表面の上にポリマーCの保護フィルム及び後表面の上にポリマーDの層を追加することによって更に変性されている場合、簡略表記はC(A/B)50Dである。他の例として、25回繰り返されたポリマーA、B及びCを含有する交互構造体(合計75層)は、(A/B/C)25として示される。他の可能性のある構造体は、(A/B/C/B)25であり、この場合、B層は、機能性層A及びCを一緒に結合することを助けるための、接着層又は「タイ」層を表すであろう。ともかく、本発明の構造体は、少なくとも3個の圧電層を含有し、これらの圧電層のそれぞれが、1個又はそれ以上の非圧電性介在層によって分離されている、5個又はそれ以上の合計層を有していなくてはならない。介在層(群)は、1個又はそれ以上の圧電的に活性ではない層若しくはタイ層又は両方であってよい。これらの介在層は、好ましくは、本質がポリマー性であるが、また、これらの個々の層が、関心の波長内で実質的に透明である限り、無機材料、例えばスパッター被覆したガラス、酸化インジウム−スズ(ITO)等を含有していてよい。用語「実質的に透明」は、層が、所望の光学的効果をもたらすために、所望の波長の十分な量の通過を許容することを意味する。
【0018】
本発明のA/B構造体の例を図1に示す。層A及びBは、1及び2によって示され、ここで、1は圧電材料であり、そして2は、非圧電性の「第二」のポリマー、例えばPET又はPENである。全体構造の頂表面及び底表面に、導電性層7(好ましくは透明)が取り付けられており、これを通して電圧を適用する。入射光3が、導電層の表面に対して垂直に対して入射角θで表面に当たり、そして光線4として反射する。入射光3が、Esとして示される「頁から外に(out of the page)」偏光された波長5(「頁から外に」を示した矢印を表す入射光3上の円によって表される)及びEpとして示される「紙の面内の」波長6(入射光3の方向に対して鉛直の矢印によって表される)から構成されていることに注目されたい。
【0019】
圧電的に活性の材料1は、好ましくは、それが最も一般的に入手可能であり、有効な圧電ポリマーフィルムであるので、ポリ(フッ化ビニリデン)である。PVDFは、ディネオン社(Dyneon)により及びトータル・アトフィナ社(Total Atofina)により、商品名カイナー(Kynar)(登録商標)として販売されている。にもかかわらず、これらに限定するものではないが、ポリ(フッ化ビニル)(PVF)、芳香族ポリアミド、ポリスルホン、シアノエチルセルロース、ポリ塩化ビニリデン、ポリパラキシレン及びポリ(フッ化ビニリデン)とトリフルオロエチレンとのコポリマーを含む、他の圧電的に活性のポリマーを使用することもできる。PVDFは、良好な光透過性を有し、標準的ミクロ共押出フィルムに於いて一般的に使用されている他の材料の典型的な温度で加工することができる。しかしながら、圧電的に活性であるために、PVDFフィルムは、ベータ結晶形を作るために、130℃より低い温度で、その元の長さの数倍、典型的に2〜6倍延伸しなくてはならない。幸いにも、本発明のために、この延伸条件は、非圧電性介在層として使用することができる殆どの典型的なポリマー(例えばポリエステル、スチレン樹脂、アクリル樹脂、ナイロン等)の延伸と非常に適合性である。PVDFのこのベータ形は、鎖の反対側に配列された水素基及びフッ素基を有しており、それによって双極子を形成する。しかしながら、有用な圧電特性を達成するために、このフィルムは、電気的にポーリングさせて双極子を適切に整列させなくてはならない。これを達成するための多数の手段が存在する。一層一般的に、ポーリングには、典型的には、フィルムを50〜150MV/m(50〜150V/ミクロン)の電界に露出しながら、フィルムを80〜120℃の温度で保持することが含まれる。ポーリング時間は、約30分間〜2時間であり、その後、なお電界下で、フィルムを室温にまで冷却する。これらの条件はPVDFについてのものであり、異なった圧電材料を使用する場合に従って、変える必要があろうことに注目されたい。ポーリングのための他の方法も存在する。例えば、コロナ処理の手段によって、PVDFをポーリングすることが可能である。その代わりに、フィルムを延伸するとき同時に、フィルムをポーリングすることができる。PVDFを室温でポーリングすることも可能であるが、これは、より高い電界(100〜800MV/m)を必要とする。方法に関係なく、自発的偏光解消及び圧電特性の損失を防ぐために、フィルムを、偏光後に約110℃より低い温度に保持すべきである。
【0020】
加工温度は使用するポリマーに依存する。PVDFは、約170℃の溶融温度を有しており、典型的な押出温度は200℃又はそれ以上である。供給ブロックに於いて、A層及びB層の溶融押出温度をできるだけ近づけて、流を歪ませ得る、平衡化の間の熱勾配を最小にすることが望ましいが、非常に重要ではない。従って、PVDFが、層歪みを最小にするような均一共押出のために、PET(240℃の溶融温度)と適合させるべき場合には、PVDFを、例えば240〜250℃で押出すことが望ましい。これは、例えば異なったメルトインデックスのPVDFを選択することにより又はポリエステルの場合に、異なった極限粘度数(IV)を選択することにより行うことができる。適切な共押出を確実にするために粘度をバランスさせることは、当該技術分野に於いて公知である。
【0021】
折りたたみ、多層に積み重ねた後、共押出した層を、典型的には、チルロールの上にキャストし、次いで、典型的には、光学特性が所望されるものに依存して、一軸的又は二軸的に延伸する。延伸によって、それぞれの層の厚さを、光学的干渉のために必要である適切な範囲に減少させることが助けられる。この厚さは、名目上、可視光のために数ミクロン又はそれ以下の範囲内である。延伸は、ドラフティング、テンタリング、ブローフィルム押出(ダブル−バブル)等を含む、当該技術分野で公知の方法によって実施することができる。ブローフィルムの場合に、フィルムをバブル形で急冷するとき、中間キャスティング段階は必要ではない。配向後、フィルムのヒートセットを、任意に、フィルムを高温度に露出しながら、フィルムを拘束することによって適用することができる。実際のヒートセット温度は、使用するポリマーに依存するが、名目上、ポリエステルについては150〜250℃である。しかしながら、PVDFの低い溶融温度のために、ヒートセット温度は、理想的には、180℃を超えてはならない。ヒートセットは、フィルム製造技術分野の当業者によく知られている。フィルムをヒートセットしない場合、これは、収縮ラベルに於けるような、熱誘導収縮が望ましい応用に於いて有用であるが、フィルムの層の厚さ及び従って光変調特性は、収縮によって著しく変化するであろう。
【0022】
延伸温度も使用するポリマーに依存するであろう。PET又はPENのようなガラス状樹脂の場合、延伸温度は、典型的には、ガラス転移温度(Tg)と約Tg+50℃との間の温度である。PET及びPENのTgは、それぞれ77℃及び120℃である。にもかかわらず、PVDFに於けるベータ相を誘導するために、延伸温度は、理想的には、130℃より低い温度に保持すべきである。これは、ポリカーボネート(Tg=150℃)のような、より高いTgポリマーのための延伸ウィンドウ(stretch window)の外側であり、それで予備成形した多層フィルムでその場で(in situ)、延伸を実施することができない。その代わりに、これらのフィルムは、個々に延伸し、そして配向されたPVDFと積層しなくてはならない。最適延伸温度は、延伸の比率、存在する他の樹脂及び所望の最終配向に依存する。より冷たい延伸温度は、より大きい配向、従ってより大きい複屈折を与えるが、他のポリマーの幾つかは、延伸可能ではなく、それで妥協が達せられるべきである。更に、幾つかの応用は、大きい複屈折を必要とせず、それでより高い温度を受け入れ可能である。
【0023】
延伸比は、使用するポリマーに依存する。結晶性PETのような多数のポリマーは、フィルム加工が最適である自然延伸比を有する。この範囲は、典型的には、約3倍〜約5倍である。オレフィン系やスチレン系等について、最適延伸比は、10倍のような高い比にすることができる。温度でのように、異なった樹脂をバランスさせるために、妥協をしなくてはならないであろう。延伸は、実際には、一軸又は二軸であってよい。その代わりに、層の所望の厚さが溶融キャスティング又は積層によって達成でき、そして複屈折フィルムが必要でない場合、延伸工程は、任意的に、それを除外することができ、例えば、使用する圧電材料は、活性化するために延伸することを必要とせず又は層は一緒に積層される。
【0024】
この実施例に於ける「第二」の又は「B」ポリマーは、圧電層を連係して使用される非圧電性ポリマーである。1種より多い「第二」のポリマー(「第三」、「第四」等として参照することができる)が存在し得る。使用するための種々のポリマー材料が、例えば米国特許第6,827,886号明細書(引用して本明細書に含める)に記載されている。それからフィルムを製造すべき好ましい材料に関して、本発明の或る種の多層光学フィルムを製造するために適合しなくてはならない、幾つかの条件が存在する。第一に、これらのフィルムは、その一つが圧電的に活性である、少なくとも2種の区別できるポリマーを含有していなくてはならない。ポリマーの数は限定されず、特別のフィルムに於いて、3種又はそれ以上のポリマーを有利に使用することができる。第二に、幾つかの応用(しかし全部ではない)のために、ポリマーの少なくとも1種は、好ましくは、延伸したとき大きい複屈折を発達させる。多層フィルムの応用に依存して、複屈折は、フィルムの面内の2個の直交方向の間、1個若しくはそれ以上の面内方向とフィルム面に対して鉛直である方向との間又はこれらの組合せに、発達させることができる。ポリマー材料は、典型的に分散性である、即ち、屈折率が波長と共に変化するので、これらの条件は、関心の特別のスペクトルバンド幅の項目で考慮しなくてはならない。
【0025】
ポリマー選択の他の面は、特別の応用に依存し、当該技術分野で公知である。偏光フィルムのために、1個のフィルム面方向に於ける圧電ポリマーと第二ポリマーの、屈折率に於ける差について、完成したフィルムに於いて約0.05よりも大きく、好ましくは約0.1よりも大きく、著しく異なることが有利であり、他方、直交フィルム面率に於ける差は最小にされる、即ち、典型的には約0.05未満であることが有利である。本発明に於いて、圧電的に活性の層の使用によって、電界の適用により偏光を、「オン」又は「オフ」に選択的に切り替えることが可能になる。偏光子が、その静止状態で活性である場合、電界の適用によって、圧電層が厚さを変化し、それによってそれらの反射率を変化するであろう。適切な設計で、与えられた偏光の反射率は、偏光をオン又はオフに切り替えるように、著しく修正することができる。
【0026】
異なった考慮が、反射性又はミラーフィルムに適用される。フィルムが、その上幾らかの偏光特性を有することを意味されないという条件で、屈折率規準がフィルム面内の任意の方向に等しく適用される。従って、直交面内方向に於ける任意の与えられた層の率について、ほぼ等しい、即ち典型的には約0.05未満であることが典型である。しかしながら、圧電ポリマーのフィルム面率が、第二ポリマーのフィルム面率から、できるだけ大きく、典型的に約0.05よりも大きく、好ましくは約0.1よりも大きく異なることが有利である。この理由のために、圧電ポリマーが、等方性であるとき高い屈折率を有する場合、これはまた、正に複屈折性であることが有利である。同様に、圧電ポリマーが、等方性であるとき低い屈折率を有する場合、これはまた、負に複屈折性であることが有利である。第二のポリマーは、有利には、延伸されたとき複屈折を殆ど若しくは全く発達させないか又は反対の意味(正−負又は負−正)の複屈折を発達させ、そのフィルム面屈折率は、完成したフィルムに於ける第一のポリマーのものからできるだけ大きく異なるようになる。最終フィルムで、電界又は電圧の適用によって、圧電層は(電圧の極性に依存して)膨張又は収縮を起こし、これは反射率をシフトさせるであろう。単純に、電圧を変化させることによって、(前の状態に依存して)反射率をオン又はオフに殆ど完全に切り替えることが可能である。これは、シャッター/カーテンのための置換物として、光制御窓グレージング(grazing)のための応用を有することができる。
【0027】
色増強真珠光沢フィルムは、ミラー及び偏光フィルムの特別の場合として見なすことができる。従って、上記略述した同じ規準が適用される。感知できる色は、スペクトルの1個又はそれ以上の特別のバンド幅に亘る、反射又は偏光の結果である。本発明の多層フィルムが有効であるバンド幅は、主として、光学積層体(群)中に使用される層厚さの分布によって決定されるであろうが、また、第一及び第二のポリマーの屈折率の波長依存性又は分散に、考慮が払われるべきである。同じ規則が、可視色に対してと同様に、赤外及び紫外波長に対して適用されることを理解されたい。前記フィルムでのように、電界の適用によって、圧電層厚さ、それで反射率に於ける変化が起こり、そうしてフィルムの色が同様に変化するであろう。これは、例えば、音楽、音強度又は他の信号入力と共に色を変化させる、美感的ディスプレイに於ける用途を見出すことができる。
【0028】
第二のポリマーとして多数のポリマーを選択することができるが、ポリエステルの或る種は、特に大きい屈折率(又は複屈折)のための能力を有する。これらの中で、ポリエチレン2,6−ナフタレート(PEN)は、非常に大きい正の応力光学係数を有し、延伸後に有効に複屈折を保持し、そして可視範囲内で吸光度を殆ど又は全く有しない。これは、また、等方性状態に於いて大きい屈折率を有する。550nm波長の偏光した入射光についてのその屈折率は、偏光面が延伸方向に対して平行であるとき、約1.64から約1.9のように高くまで増加する。その複屈折は、その分子配向を増加させることによって増加させることができ、次いで、他の延伸条件を固定したままで、より大きい延伸比にまで延伸することによって増加させることができる。しかしながら、前記のように、それをなお使用することができるが、その高いTg及び延伸温度は、PVDFで非常に狭いウィンドウを表す。多くの場合に、延伸ウィンドウを広げるために、PENコポリマーが好ましい。
【0029】
他の半結晶性ナフタレンジカルボン酸エステルも適している。これらのポリマーは、コモノマーの使用が、応力光学係数又は延伸後の複屈折の保持を実質的に減じないという条件で、ホモポリマー又はコポリマーであってよい。本明細書で使用する用語「PEN」は、これらの制限に適合するPENのコポリマーを含むと理解されたい。同様に、用語「PET」及び「ポリエステル」は、全てのテレフタル酸系ポリエステル及びそれらのコポリマーを包含すると理解されたい。実際上、これらの制限は、コモノマー含有量の上限を課し、その正確な値は、使用するコモノマー(群)の選択によって変化する。しかしながら、コモノマー含有が、他の特性に於ける改良になる場合には、これらの特性に於ける幾つかの妥協を受け入れることができる。このような特性には、これらに限定されないが、改良された中間層接着、より低い融点(より低い押出温度になる)、フィルム内の他のポリマーとのより良いレオロジー的適合及びガラス転移温度に於ける変化に起因する延伸のための加工窓内の有利なシフトが含まれる。
【0030】
ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ(シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)(PCT)及びPETGのような中間コポリマーは、顕著な正の応力光学係数を示し、延伸後に有効に複屈折を保持し、そして可視範囲内で吸光度を殆ど又は全く有しない他の材料である。従って、これらは、本発明の幾つかの応用に於いて第二のポリマーとして使用することができる。これらは、PENよりもPVDFと共に使用するために、一層貢献する延伸窓を有する。
【0031】
PEN、PET、PCT等に使用するための適切なコモノマーは、ジオール又はジカルボン酸又はエステル型のものであってよい。ジカルボン酸コモノマーには、これらに限定するものではないが、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、全ての異性体ナフタレンジカルボン酸(2,6−、1,2−、1,3−、1,4−、1,5−、1,6−、1,7−、1,8−、2,3−、2,4−、2,5−、2,7−及び2,8−)、ビ安息香酸、例えば4,4’−ビフェニルジカルボン酸及びその異性体、トランス−4,4’−スチルベンジカルボン酸及びその異性体、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸及びその異性体、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸及びその異性体、4,4’−ベンゾフェノンジカルボン酸及びその異性体、ハロゲン化芳香族ジカルボン酸、例えば2−クロロテレフタル酸及び2,5−ジクロロテレフタル酸、他の置換された芳香族ジカルボン酸、例えば第三級ブチルイソフタル酸及びナトリウムスルホン化イソフタル酸、シクロアルカンジカルボン酸、例えば1,4−シクロヘキサンジカルボン酸及びその異性体並びに2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸及びその異性体、二環式又は多環式ジカルボン酸(例えば種々の異性体ノルボルナン及びノルボルネンジカルボン酸、アダマンタンジカルボン酸及びビシクロオクタンジカルボン酸)、アルカンジカルボン酸(例えばセバシン酸、アジピン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アゼライン酸及びドデカンジカルボン酸)並びに縮合環芳香族炭化水素の異性体ジカルボン酸の全て(例えばインデン、アントラセン、フェネアントレン(pheneanthrene)、ベンゾナフテン、フルオレン等)が含まれる。その代わりに、これらのモノマーのアルキルエステル、例えばジメチルテレフタレートを使用することができる。
【0032】
適切なジオールコモノマーには、これらに限定するものではないが、線状又は分枝状アルカンジオール又はグリコール(例えばエチレングリコール、プロパンジオール、例えばトリメチレングリコール、ブタンジオール、例えばテトラメチレングリコール、ペンタンジオール、例えばネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール及びより高級のジオール)、エーテルグリコール(例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール及びポリエチレングリコール)、エステルジオール、例えば3−ヒドロキシ−2.2−ジメチルプロピル−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロパノアート、シクロアルカングリコール、例えば1,4−シクロヘキサンジメタノール及びその異性体並びに1,4−シクロヘキサンジオール及びその異性体、二環式又は多環式ジオール(例えば種々の異性体トリシクロデカンジメタノール、ノルボルナンジメタノール、ノルボルネンジメタノール及びビシクロオクタンジメタノール)、芳香族グリコール(例えば1,4−ベンゼンジメタノール及びその異性体、1,4−ベンゼンジオール及びその異性体、ビスフェノール、例えばビスフェノールA、2,2’−ジヒドロキシビフェニル及びその異性体、4,4’−ジヒドロキシメチルビフェニル及びその異性体並びに1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン及びその異性体)並びにこれらのジオール、例えばジメチルジオール又はジエチルジオールの低級アルキルエーテル又はジエーテル(ここで、低級アルキル基は、1〜20個の炭素原子、好ましくは1〜15個の炭素原子、更に好ましくは1〜10個の炭素原子を含有する)が含まれる。
【0033】
これらに限定するものではないが、多官能性酸又は多官能性アルコール、例えばトリメリト酸、トリメリト酸無水物、ピロメリト酸二無水物、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、クエン酸、酒石酸、3−ヒドロキシグルタル酸等を含む分枝剤、これらに限定するものではないが、多官能性(これらに限定するものではないが、二官能性を含む)イソシアネート、例えばエポキシル化ノボラック及びフェノキシ樹脂を含む多官能性エポキシド並びにアイオノマー性基(例えばソジオスルホイソフタル酸のようなスルホポリマー)を含む鎖延長剤のような他の添加物を、加工又は他の特性を改良するために、1種又はそれ以上のポリマーに添加することができる。
【0034】
第二のポリマーがポリエステルであることは必要ではない。ビニルナフタレン、スチレン、エチレン、無水マレイン酸、アクリレート、アセテート及びメタクリレートのようなモノマーから製造された、ビニルポリマー及びコポリマーを使用することができる。ポリエステル及びポリカーボネート以外の縮合ポリマーを使用することもできる。例には、ポリスルホン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリアミン酸(polyamic acid)及びポリイミドが含まれる。第二のポリマーの屈折率を所望のレベルにまで増加させるために、ナフタレン基並びにハロゲン、例えば塩素、臭素及びヨウ素が有用である。これが望まれるとき屈折率を減少させる際に、アクリレート基及びフッ素が特に有用である。PVDFは、相対的に低い等方性屈折率(n=1.42)を有するので、第二のポリマーの候補は、典型的に、より高い屈折率を有するものであろう。
【0035】
前記の検討から、第二のポリマーの選択は、当該の多層光学フィルムの意図する応用のみならず、圧電ポリマーについてなされる選択及び延伸で使用される加工条件に依存性であることが理解されたい。適切な第二のポリマー材料には、これらに限定するものではないが、ポリアルキレンナフタレート(例えばポリエチレンナフタレート(PEN)及びその異性体(例えば2,6−、1,4−、1,5−、2,7−及び2,3−PEN))、ポリアルキレンテレフタレート(例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、ポリカーボネート、ポリアリーレート、ポリアミド(例えばナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン4/6、ナイロン6/6、ナイロン6/9、ナイロン6/10、ナイロン6/12及びナイロン6/T)、ポリイミド(熱可塑性ポリイミド及びポリアクリルイミドを含む)、ポリアミド−イミド、ポリエーテル−アミド、ポリエーテル−イミド、ポリアリールエーテル(例えば、ポリフェニレンエーテル及び環置換ポリフェニレンオキシド)、ポリアリールエーテルケトン、例えばポリエーテルエーテルケトン(「PEEK」)、脂肪族ポリケトン(例えばエチレン及び/又はプロピレンと二酸化炭素とのコポリマー及びターポリマー)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン(ポリエーテルスルホン及びポリアリールスルホンを含む)、アタクチックポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン(「sPS」)及びその誘導体(例えばシンジオタクチックポリ−α−メチルスチレン及びシンジオタクチックポリジクロロスチレン)、これらのポリスチレンの何れかの(互いとの又は他のポリマー、例えばポリフェニレンオキシドとの)ブレンド、これらのポリスチレンの何れかのコポリマー(例えばスチレン−ブタジエンコポリマー、スチレン−アクリロニトリルコポリマー及びアクリロニトリル−ブタジエン−スチレンターポリマー)、ポリアクリレート(例えばポリメチルアクリレート、ポリエチルアクリレート及びポリブチルアクリレート)、ポリメタクリレート(例えばポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリプロピルメタクリレート及びポリイソブチルメタクリレート)、セルロース誘導体(例えばエチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース及び硝酸セルロース)、ポリアルキレンポリマー(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリイソブチレン及びポリ(4−メチル)ペンテン)、アイオノマー樹脂、エラストマー(例えばポリブタジエン、ポリイソプレン及びネオプレン)、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂並びにポリウレタンが含まれる。
【0036】
法線−対−平面(normal-to-plane)屈折率の意図的なミスマッチング(又はマッチング)は、また、所望の効果に依存することが望ましい。例えばA層及びB層(そして存在する場合他の層)についての屈折率の法線−対−平面マッチングは、入射角の関数としてフィルムの反射率を改良し、そうしてより良いフィルム性能を与えるために有用であろう。
【0037】
層厚さの制御は、多層フィルムの厚さの全体に亘って指定された手段で修正される特別の層厚さ又は厚さ勾配プロフィールを有するフィルムを製造する際に特に有用である。例えば、より高次の調和を最小にする数個の層厚さ設計が、赤外フィルムについて記載されている。このような調和は、スペクトルの可視領域に於いて色を生じ得る。このようなフィルムの例には、米国特許第RE34,605号明細書(引用して本明細書に含める)に記載されたものが含まれる。この特許明細書には、3種の異なった実質的に透明のポリマー材料、A、B及びCを含んでなり、そしてABCBの繰り返し単位を有する、多層光学干渉フィルムが記載されている。
【0038】
供給ブロックマニホールドを出る多層堆積体のそれぞれの元の部分は、パケットとして知られている。光学応用のためのフィルムに於いて、それぞれのパケットは、波長の与えられたバンドに亘って反射、透過又は偏光するように設計されている。多層堆積体が供給ブロックから出るとき、1個より多いパケットが存在してよいが、パケットの少なくとも1個内に圧電ポリマー層が存在しなくてはならない。
【0039】
より薄い光学層を壁応力の影響から保護するために、スキン層が、しばしば多層堆積体に添加され、おそらく流動不安定性になる。フィルムの表面(群)で厚い層を添加するための他の理由には、例えば表面特性、例えば接着、被覆性、剥離、摩擦係数並びにバリヤー特性、耐候性、引っ掻き及び摩耗耐性等が含まれる。スキン層は当業者に公知である。
【0040】
本発明に従って製造されたフィルムは、また、本発明の光学フィルムを、他のフィルム、表面又は支持体にラミネートするために、1種又はそれ以上の接着剤と共に提供することができる。このような接着剤には、光学的に透明で拡散性の接着剤並びに感圧及び非感圧接着剤の両方が含まれる。本発明の光学フィルム及びデバイスは、更に、構造的剛性、耐候性又は容易な取扱いを与えるために、硬質又は半硬質支持体、例えばガラス、金属、アクリル樹脂、ポリエステル及び他のポリマーバッキングにラミネートすることができる。例えば、本発明の光学フィルムを、薄いアクリル性又は金属バッキングにラミネートして、それを、型押し又は他の方法で所望の形状に成形し、維持することができるようにすることができる。幾つかの応用のために、例えば光学フィルムを他の壊れやすいバッキングに適用するとき、PETフィルム又は穴あき−引裂耐性フィルムからなる追加の層を使用することができる。
【0041】
圧電効果及び表面での電気的接触の必要性のために、このフィルムは、表面上に置かれた電極を有するであろう。これらは、固体被覆を与えることができ又はパターン内であってよく、そして金属化、フォトレジスト、酸化インジウムスズ(ITO)皮膜、導電性ペン等によって作ることができる。理想的には、これらは、光学的観察が実施される側(群)上で実質的に透明でなくてはならない。
【0042】
本発明のフィルム及び皮膜は、また、当該技術分野で公知であるような他の材料又は添加剤を含んでいてよい。このような材料には、バインダー、コーティング剤、難燃剤、導電層/添加剤、耐電防止剤、バリヤー添加剤/層、UV吸収剤、ピンニング剤(pinning agent)、UV安定剤、ボイド形成剤、染料(可視、UV及びIR)、二色性染料、フォトクロミック染料、顔料、充填材、相溶化剤、粘着防止剤、スリップ剤、滑剤、界面活性剤、抗微生物剤、発泡剤、強化剤、熱安定剤、耐衝撃改良剤、可塑剤、粘度調節剤、美感剤(例えば光輝顔料)及びその他のこのような材料が含まれる。このフィルムは、また、特性を改良するために、被覆又は下塗りすることができる。これには、耐擦り傷性を改良するためのハードコート、防曇剤、反射防止皮膜、界面活性剤及びプラズマ、火炎、コロナ又はe−ビーム処理が含まれ、表面接着又は印刷性を改良するために使用することができる。無機型圧電材料及びセラミックスが、また、層として又は1個又はそれ以上の層のブレンド成分として(例えば、その圧電特性を増強するために、磨り潰され又はPVDFの中にブレンドされる)含有されてよいけれども、これらの使用は、これらが不透明である傾向があるので、典型的に制限される。
【0043】
層厚さは、本発明の一つの面であり、真珠光沢フィルム作業を適切に行う際の一要因である。本発明によって真珠光沢特性を容易に変えることができるものは、適用される電圧による圧電層の厚さの変動である。層厚さは、典型的には、光学干渉を最大にするために、光の波長のオーダー(0.3〜0.7ミクロン)のものであるが、所望する光学効果に依存して、広範囲の厚さを使用することができる。例えば、それぞれの層の厚さは、0.05〜5ミクロンの範囲であってよい。更に典型的には、それぞれの層の厚さ範囲は、約0.075ミクロンと約3ミクロンとの間であろうが、他の範囲がなお有用であるかもしれない。この干渉は、種々の偏光、色及び観察される反射効果に応答性である。例えば、図1に於けるように、λの波長を有する光が、法線入射角(θ=0)でそれに当たっている多層フィルムは、それぞれの層が入射光の波長の四分の一(例えば、λ/4)又は幾つかのλ/4の奇数倍(例えば3λ/4、5λ/4、7λ/4等)に等しい厚さを有する場合、殆ど全部反射性であろう。これは、それぞれの層界面で反射する光が、他の界面からの反射光と建設的に干渉して、ほぼ完全な反射になるためである。層厚さが、λ/4から外れるとき、建設的干渉は、フィルムが劣った反射器になるような点まで減少する(その代わりに、光の大部分は、フィルムを透過する)。λ/8及びλ/2(λ/4の偶数倍)の層厚さで、反射率は殆ど完全にゼロで、完全透過になる。
【0044】
上記の例に於いて、波長λは、層の屈折率に依存性であることに注目されたい。この関係は、λ=λ0/n(式中、nは媒体の屈折率であり、そしてλ0は真空(又は空気)中の波長である)である。従って、空気(屈折率=1)中0.5ミクロンの波長は、2の屈折率を有する媒体中で0.25ミクロンの波長を有する。それで、層が1及び2の屈折率を有する交互2層構造体について、λ/4層のための層厚さは、それぞれ、0.125ミクロン及び0.0625ミクロンである。
【0045】
また、λ/4層(又は奇数倍)のための厚さは、1個の波長でのみ有効であることも注目されるべきである。可視光(又はIR若しくはUVのような他の波長)について、波長に於ける広がりが存在する。λ/4規準(又は倍数)に適合する波長のみが完全に反射され、他のものは、それらの相対波長に依存して、部分的に反射されるか又は透過される。これが、与えられたフィルムのために幾らかのみが透過した(又は反射した)とき、フィルム内に色を生じる、反射に於けるこの分散である。
【0046】
前記のように、入射波の偏光も要因である。フィルム表面に対して平行に偏光している波は、ここで、Es波として示す。これに対して垂直に偏光したものは、Ep波である。それぞれの挙動は、入射角θが0(法線入射)から90度(すれすれ(grazing)入射)まで変化するとき、著しく変化する。更に、フィルムが、それぞれの方向内で異なった屈折率を有する複屈折である場合、それぞれの波偏光の相対反射は、別々に扱われるべきである。
【0047】
入射角は、それがフィルムの見掛け厚さに影響を与えるので、一要因である。すれすれ角が増加するとき、有効厚さは、入射角の余弦で割った元の厚さに等しくなる。その結果、入射の一つの角度で反射率についてのλ/4規準に適合する構造体は、他の角度でそれに適合しないであろう。これは、フィルムの種々の光学特性の角度依存性に至る。これ及び反射率への波長依存性のような他の要因のために、与えられた応用の使用規準のための適性の全てに適合する光学構造体を決定するために、フィルム設計プロセスが使用される。
【0048】
本発明の多層フィルムが光波を調節/反射する主な機構は、層厚さに於ける変化による干渉に於ける変化によるけれども、複屈折層について、厚さに於ける変化は、また、(リターデーションが複屈折×厚さに等しい場合)光学リターデーションに於ける変化を生じるであろうことも理解されるべきである。このリターデーションは、「Re」(これは、面内複屈折×厚さに等しい)又は「Rth」(これは、L[(nx+ny)/2−nz](式中、nx及びnyは、面内屈折率であり、nzは厚さ屈折率であり、そしてLは厚さである)として定義される)として一般的に示される面内値であってよい。例えば、LCD型ディスプレイのために広い視野角を与える際に、Re及びRthの制御が好ましい。同様に、Re及びRthは、本発明について、電圧に於ける変化によって変えることができる。リターデーションを制御することは、通常、構造物の一部として1個又はそれ以上の偏光層の存在を意味することに注目されたい。白色光が、直交偏光子の間に配置されているリターディングフィルムを通過する場合、得られる透過光は、存在するリターデーションの実際の量(例えば、入射光の平均波長の倍数に等しいリターデーションは、透過光を作らないか又は「黒」を作る)に基づいて、虹中の種々の色を含む、色が黒から白へ変化するであろう。従って、ミクロ共押出フィルムの電圧に於ける変化によりリターデーションを変えることによって、前記の干渉/反射機構に加えて、また色を変えるために使用することができる。
【0049】
前記のように、多数の圧電材料が存在するが、ここでの検討は、それが最も一般的であり、最も可撓性であり、そして加工することが最も容易であるので、PVDFの周りに焦点を合わせる。PVDFは、配向、次いで電気的ポーリングによって、その圧電活性を達成する。ポーリング方向は、使用中の電圧を如何にして適用すべきかを規定する。電圧極性と圧電極性とが同じものである場合、電圧を掛けたとき、フィルムは収縮する傾向があろう。逆の場合、フィルムは膨張するであろう。与えられた応用のためにフィルム変形が最善であるものに依存して、どちらかのアプローチを使用することができる。しかしながら、双極子が時間と共に急速に減衰するとき、圧電フィルムは、静電圧に対して十分に反応しないことに注目されたい。従って、適用する電圧を、例えば、方形波に於けるように動的に適用することが好ましい。双極子緩和時間は典型的には1秒のオーダーであるので、電圧の周波数は、約1ヘルツよりも大きくなくてはならない。
【0050】
圧電フィルムの電気的ポーリングは、全ミクロ押出構造物の一部として、その場で適用することができる。フィルムは何れにしても延伸されるので、残留する物のみがポーリングである。しかしながら、第二のポリマーはポーリング温度で適切に安定であり、如何なる形の誘電破壊も受けないことが望ましい。
【0051】
電圧とフィルムの寸法変化との間の相互関係は、
ε3=d333=d33V/L
[式中、ε3は、厚さ又は圧電層の“3”方向に於ける歪みであり、E3は、厚さ方向に於ける電界(=V/L)であり、Lは合計フィルム厚さであり、Vは適用電圧であり、そしてd33は圧電係数(PVDFについて約30×10-12m/Vに等しい)である]
から計算することができる。下付文字“33”は、フィルムに対して垂直である(即ち、厚さ方向に於ける)応力及び電圧を指す。歪みε3は、ΔL/Li(式中、ΔLは、初期層厚さLiを有する圧電層の厚さに於ける変化である)に等しい。単純化すると、
ΔL=d33VLi/L
【0052】
従って、上記の式から、与えられた適用電圧から厚さに於ける変化又はその代わりに、適用された変形についての電圧に於ける変化を計算することができる。上記の式に於いて、ΔLはメートルである。理想的意味に於いて、圧電フィルムは、膨張し、収縮することが自由であり、そうして歪みの全ては、適用電圧に関係している。これは、フィルムの全表面積が適用電圧を供給されているときのケースである。局在化電圧について、マルチピクセルディスプレイに於いて経験されるように、歪みの幾らかは、周りのポリマーによる構造物上の圧迫場所の結果であろう。換言すると、圧電フィルムの一部のみが、電圧の影響下にあり、周りの材料は変形に抵抗するように作用している。この場合に、適用電圧は、もたらされる応力が周りの材料に対向して押さなくてはならないので、フィルム膨張(又は収縮)の与えられたレベルを達成するために、より高くすることが必要であろう。
【0053】
PVDFは、殆どの他のポリマー(特にポリエステル)に比較して非常に低い屈折率(等方性、n=1.42)を有しており、それを理想的成分にする。これが、0.5ミクロンの空気中の法線波長のためのλ/4構造体中に含有される場合、これは、0.178ミクロンの層厚さに相当する。電圧が掛けられ、厚さがこれから外れる場合、フィルムの反射率は対応して低下するであろう。
【0054】
多くの応用のために、変形は、フィルムが、完全反射性から完全透過性まで又は逆も同様に変化するようなものであることが好ましい。これは、例えば、圧電層が、λ/4(又はλ/4の奇数倍)からλ/8(又はλ/4の偶数倍)まで又は幾らかの同様の組合せで変化することを暗示している。λ/4〜λ/8の場合に、これは、妥当な電圧レベルで達成できるものよりも高い0.5(又は50%)の歪みを必要とする(このような高い電圧は、圧電物質の誘電破壊又は脱ポーリングに至るであろう)。従って、殆どの応用のために、歪みレベルは、電圧レベルを妥当に保持するために、理想的には、約20%よりも低く、好ましくは約10%よりも低く、最も好ましくは約2%よりも低くなるように設計すべきである。これは、λ/4のより高い次数倍である圧電フィルム厚さ、例えば、λ/4の代わりに、7λ/4に等しい厚さから出発することによって容易に達成できる。7λ/4(反射性)から6λ/4(透過性)に変化させるために必要な歪みは、一次フィルム(first order film)のために必要な50%とは対象的に、僅かに3%である。勿論、より高次の厚さは、より小さい歪みを必要とし、従って、反射から透過へ切り替えるために、より低い電圧を必要とする。交換条件は、より厚いフィルムが、反射変化が顕著である、狭い視野角範囲を有するであろうことである。
【0055】
実施例の計算として、0.086ミクロン(λ/4)の初期厚さを想定する場合、1%歪みについて、ΔLの値は0.00086ミクロンであり、要求される適用電界は330V/ミクロンである。50%歪みについて、要求される電界は16.7kV/ミクロンになる。最終の必要とされる電圧は、ミクロ共押出フィルムの合計厚さに依存するであろう。それで合計厚さが10ミクロンであるフィルムについて、適用電圧は、1%歪みを達成するために3300Vであり、50%歪みについて166kVであろう。後者の電圧は、安全であるために高すぎ、従って実際的ではないが、前者の電圧は、バッテリー源及び簡単なインバーター回路を使用して容易に達成できる。
【実施例】
【0056】
本発明を、好ましい及び比較の態様の下記の実施例によって更に示すことができるが、これらの実施例は、単に例示の目的のために含まれ、本発明の範囲を限定する意図ではないことが理解されるであろう。
【0057】
実施例の大部分は、「光学素子ハンドブック(Handbook of Optics)」、第1巻、Michael Bass編、マックグローヒル社(McGraw-Hill)、ニューヨークの第42章、第42.10〜42.14頁(その全部を引用して本明細書に含める)に略述されているような真珠光沢光学素子についてのマトリックス理論計算に基づいている。これらのマトリックス計算は、層形状、偏光及び入射角の関数として、全反射及び透過を予想している。計算は、メイプル(Maple)10(登録商標)シンボリックプロセシングソフトウエア(ウォータールー社(Waterloo, Inc))を使用して実施した。圧電材料特性、フィルム製造などに関して、また、「強誘電性ポリマー(Ferroelectric Polymers)」、T.T.Wang、J.M.Herbert及びA.M.Glass編、チャップマン・アンド・ホール社(Chapman and Hall)、NY、(1988年)(特に第3、4、5及び12章)を引用する。
【0058】
記載したモデルは、それぞれの方向に於いて同じ屈折率を有する等方性層に基づいている。実際には、このフィルムは複屈折性であろう。このモデルは、入射波が、図1に示されるような「頁の外に」配向した面内屈折率にのみ依存するので、Es入射波についてなお正確である。反対に、Ep波は、面内及び厚さ貫通屈折率の両方に依存し、上記のモデルは適切に取り扱うことができない。結果として、下記の例では、Es波にのみ焦点を合わせるが、内部反射を制御し、それによってフィルムのための角度的ウィンドウを広げるように、幾つかの異例の光学素子を、厚さ方向内の屈折率をマッチングさせる(又はマッチングさせない)ことによって得ることができる。
【0059】
計算のために、フィルムは、支持体屈折率ns及び入射媒体nmの両方が1に等しいように、空気(n=1)中に自由に立っていると推定される。これらのフィルムが被覆されているか又は支持体にラミネートされている(通常はこの状態であろう)場合について、従って、これらの値は修正する必要があろう。
【0060】
比較例1
従来のミクロ共押出フィルム
この予言的実施例に於いて、A層がPENであり、B層がPMMAである(A/B)25層フィルムが製造される。この構造物は、今日市場にある、多くの市販の真珠光沢包装フィルムに非常に類似している。しかしながら、市販のフィルムとは対照的に、電極が、頂表面及び底表面上で金属化されている。層は、それぞれが、材料内で名目上nλ/4(式中、nは奇数(例えば、1、3、5...等)であり、λは目標波長である)であり、それによって、その波長で非常に高い全反射率を有するフィルムになるように構成されている。再び、λは、空気中又は真空中の波長であるλ0に相当する、材料内の波長であることに注目されたい。これらの例の殆どについて、本発明者らはλ0=500nmであると推定する。何れのポリマーも圧電性ではなく、それで電界の適用は、反射率に於いて如何なる変化も起こさない。従って、この構造体は動的ではなく、電圧制御光学モジュレーション応用に於いて使用できない。
【0061】
実施例1
PVDF/コポリエステル共押出フィルムの加工
この実施例に於いて、イーストマン(Eastman)PETGコポリエステル及びディネオン(登録商標)PVDFの交互層を含有するフィルムを製造した。特殊ミクロ共押出ダイは入手できなかった。それで、概念を示すために、5層共押出ダイを使用した。この構造体に於いて、5個の層には、12.5%/25%/25%/25%/12.5%の近似厚さ比で、PETG/PVDF/PETG/PVDF/PETG(A/B/C/B/A構造)が含有されていた。これは、所望により、フィルムを積み重ね/ラミネートできるようにして行った。
【0062】
両方の樹脂を、押出の前に、強制空気乾燥性ドライヤーを使用して、150°Fで4時間乾燥させた。押出は、A、B及びC成分のそれぞれについて、1インチキリオン(Killion)押出機を使用して実施した。加工温度は、全ての3台の押出機について名目上240℃であった。スクリュー速度は、名目上10〜15RPMであった。3〜4ミル(70〜100μm)の名目厚さを有するフィルムを、チルロール上に押し出し、後の延伸のために巻き付けた。このフィルムは、そのキャストしたままの形で、良好な透明性及び層の間の接着性を有するように見えた。
【0063】
キャスティングの後、次いで、このフィルムを、T.M.ロングフィルムストレッチャーを使用して二軸延伸した。キャストフィルムから、2インチ×2インチ平方であったサンプルを切断し、4×4又は4.5×4.5倍に延伸して、約4〜5ミクロンの最終厚さを有するフィルムを得た。それぞれの材料の平均層厚さは、名目上約1ミクロンであった。
【0064】
このフィルムは5個の層を有したのみであったが、これらは、なお、非常に少ない程度までであったが、真珠光沢フィルムの典型的である特徴的な赤/緑色シフトを示した。他の方法で、このフィルムは優れた透明性及び感触を有していた。層接着もまた良好であり、全てのデータは、このような構造体を、適切な共押出装置で、より多くの層及びより大きいラインにまでスケールアップする際に問題がないはずであることを示した。
【0065】
実施例2
フィルムのポーリング
実施例1に於ける配向したフィルムの片を、電極(この「電極」は、直径が約2インチのプレートを有していた体積抵抗率試験測定電池のものであった)の間に装着し、そして85℃でオーブン内に置くことによってポーリングした。約55V/ミクロンの電界強度になる電源測定型電源を使用して、1000Vの電圧を、フィルムに亘って適用した。このフィルムを85℃で2時間ポーリングし、次いで、オーブンのスイッチを切り、そうしてフィルムがゆっくり冷却して室温に戻るようにした。(約2時間後)室温に達した際に、電圧を取り除き、フィルムをショートさせて、如何なる残留電荷も除去した。
【0066】
ポーリングが有効であったか否かを決定するために、ポーリングしたフィルムのサンプルを、それぞれの側面で、ラジオ・シャック社(Radio Shack)から入手可能な導電性塗料によって被覆し、それに電極を接続し、オシロスコープを取り付けた。次いで、フィルムに応力を加え/フィルムを変形し、その間に、フィルムの電圧出力をモニターして、圧電効果が存在したか否かを決定した。電圧が確かに検出でき、このPVDF層が圧電的に活性であったことが確認された。この実験によって、このミクロ押出構造体が製造できたことが確認された。
【0067】
実施例3
圧電ポリマーを使用する動的反射フィルム
この予言的実施例に於いて、A層がPVDFであり、B層がPETである(A/B)10層フィルムが構成される。金属化電極が、頂表面及び底表面に適用される。このフィルムは、従来のミクロ共押出技術によって作られる。PETペレットを150℃で4時間乾燥し、その後、水分を除去するために押し出す。次いで、これらを名目上280℃で溶融押出し、その後、共押出供給ブロックの中に管で送る。PETは約240℃に冷却され、その後、均一温度を維持するために供給ブロックに入る。
【0068】
PVDFを、押出機内で220℃で溶融加工し、次いでそれが供給ブロックの中にポンプ輸送されるとき、240℃に加熱する。そこで、層を組み合わせ、20個の合計交互層が製造されるまで、折りたたむ。層を組み合わせ、PET層が約1.2ミクロン厚さであり、PVDFが約29ミクロン厚さであり、約300ミクロンの合計名目上厚さになるようにする。
【0069】
キャスティングの後、次いで、フィルムをテンター上で100℃で、それぞれの方向に約4倍延伸し(16倍の厚さ減少)、層をそれぞれ0.075及び1.8ミクロンにまで減少させる。これらは、それぞれPET及びPVDFについての1.65及び1.45の面内屈折率並びに(可視スペクトルの中間で)0.5ミクロンの入射波長λ0を想定して、λ/4及び21λ/4厚さに近似的に対応する。これらの数値は近似値であり、加工条件に依存して変化し得るが、これらの計算のために妥当である。フィルムの合計最終厚さは19ミクロンである。
【0070】
延伸した後、フィルムをテンター内で150℃で加熱して、収縮の傾向を減少させ、次いで巻き付ける。次に、フィルムを、120℃の温度で約80MV/mの電界によって電気的にポーリングする。フィルムの適切なヒートセットは、この工程での収縮への如何なる傾向も軽減するであろう。PETは、約30分間実施されるこのポーリングによって本質的に影響を受けない。ポーリングの結果として、PVDF双極子は、双極子の正端が、ポーリング源の負末端の方に配向するように整列するであろう。完結すると、フィルムは圧電的に活性であり、圧電物の有効d33は、約30×10-12m/Vである。
【0071】
得られるフィルムは、その自然状態(即ち、適用電圧無し)で高度に反射性である。これを変えるために、電極を、金属化によってフィルムの頂表面及び底表面に設ける。次いで、この電極を電圧源に接続する。適用電圧の極性が双極子極性と同じであるとき、圧電層が収縮するであろう。極性の逆転は、それを膨張させるであろう。この例について、電圧は、圧電フィルムを、その20λ/4透過厚さの方に駆動するために収縮を起こすように整列される。
【0072】
フィルムを、21λ/4厚さから20λ/4厚さの方に完全に転換させるために必要な歪みは、約0.047又は4.7%である。これは、約1.57kV/ミクロンの瞬時Eフィールドに相当する。19ミクロン合計厚さについて、適用電圧は、このEフィールドを達成するために29.7kVであることを必要とする。これは、誘電破壊が起こり得るので、実用的であるためにはおそらく高すぎる。例えば、薄い二軸延伸されたPETは、約15000V/ミル(590V/ミクロン)の誘電破壊強度を有することが知られており、一方、PVDFは約200V/ミクロンである。しかしながら、幸いにも、反射から透過への遷移は、より低い電圧で起こり得る。これは、Es波(入射波長は、0.5ミクロンであると想定される)について図2に示される。図2に於いて、反射率Rは、異なった適用電圧について入射角の関数としてプロットされている。3kVのように低くても、反射率は約0.8から0.6に著しく低下している。5kVで、反射率は、約0.2(25%)まで低下した。
【0073】
これらの電圧は、与えられた時間内の瞬間での「瞬時DC値」である。実際に、適用された電圧は、圧電体の双極緩和を防止するために、交番性である(例えばシヌソイドAC、方形波等)ことを必要とするであろう。従って、観察者によって見られる真の反射は、適用電圧の全サイクルに亘る平均であり、従って、周波数、波形形状及びデューティサイクル(例えば低い周波数は「フリッカリング」を示す)に依存する。波形に関係なく、電圧のこれらの種類は、妥当であり、適切なAC電源(及び/又は変圧器)又は適切に設計されたインバーター、例えば電力ポータブル蛍光光バルブに使用されるものに接続されたDC電源(例えばバッテリー)を使用することによって達成できる。
【0074】
図2は、また、入射角の関数としての反射率変化を示す。適用された電圧無しで、この材料は、何れかの方向で、0度(垂直入射)から約10度までに亘って、0.8(又は80%)の高い反射率Rを有する。これは、フィルムが有用である、正味20度視野角である。この視野角は、層の厚さを減少させることによって(即ち、より低い次数の厚さ)又は層の数を増加させることによって、増加させることができる。層の数と厚さとは相互関連しており、フィルムが適切に設計されていない場合には、より高い電圧が必要であろう。
【0075】
最後に、このフィルムは、それを鏡面化(mirrored)表面に装着することによって、「反射」モードで使用することができる。従って、光はフィルムを2回通過し、それによって有効厚さを2倍にする。使用に関係なく、この実施例に於けるフィルムは、適用電圧によって、オン及びオフ切り替えできる。
【0076】
実施例4
より低い電圧を必要とする、より僅かな層を有する垂直反射性フィルム
この予言的実施例は、それが、必要とされる電圧を低下するように最適化されている以外は、実施例3と同一である。層の数を20から15に減少させ、その他は構造を同じに保持することによって、フィルムの合計厚さを14.2ミクロンまで減少させる。次いで、これは、与えられたEフィールドのために必要な適用電圧を、フィルム性能に於ける最小損失で、約25ほど減少させる。
【0077】
実施例5
VDF−TrFEからの改良された圧電層を使用する、垂直反射性フィルム
この予言的実施例は、それが、より高性能の圧電物を使用する以外は、実施例4と同一である。PVDFは、典型的に、名目的条件下で約30×10-12m/Vのd33の値を有する。しかしながら、フッ化ビニリデン(VDF)とトリフルオロエチレン(TrFE)とのコポリマーは、遙かに高いd33値を有することが知られている(「強誘電性ポリマー」の第102頁参照)。65/35(モル/モル)VDF/TrEFコポリマーについてのd33の推定値は、約150-12m/Vのように高い。実施例4の15層構造物中にこのコポリマーを使用し、全ての他の要因は同じであると想定して、本発明者らは、本発明者らが、約500Vの遙かに低い電圧で、反射率に於ける同じ減少を達成できることを見出す(図3参照)。
【0078】
実施例6
垂直に透過性のフィルム
このフィルムは、圧電層が、延伸後に21λ/4よりも僅かに厚く、そしてPET層がλ/4であるように設計される以外は、実施例4に於けると同じものである。例えば21λ/4厚さのためのフィルムPVDF層厚さは1.81ミクロンである。しかしながら、この実施例の構造体について、PVDF層のための初期厚さは、反射性範囲の僅かに外側である1.83ミクロンであると想定されるであろう。適用電圧無しで、このフィルムは透過性である。しかしながら、電圧の適用によって、図4に示されるように、これは反射するようになる。約0〜5度の視野角に亘って観察したとき、反射係数は、電圧が上昇するとき、殆ど直線的に増加する。これは、前の実施例に於けるフィルムの逆である。このようなフィルムは、例えば、電気的に制御された窓が陰又は薄暗いとき、うまく作動するであろう。このフィルムのための電圧範囲は、所望により、実施例5及び6に記載したのと同じ方法(例えば、より僅かな層又はPVF−TrFEの使用)により更に減少できることに注目されたい。
【0079】
実施例7
適用電圧による色変化
このフィルムは、反射率対波長が解析され、そして圧電層が11λ/4(0.95ミクロン)の厚さで設計される以外は、実施例5に於けると同じものである。このより薄い層構造物は、色シフトに関してより良いバンド幅を与えるように、選択された。前の実施例は、可視バンドの中心である0.5ミクロンでの単色光に焦点が合わされた。図3は、異なった適用電圧についての波長の関数としての反射率のプロットを示す。全ての計算は、0度の入射角に於いてである。
【0080】
適用電圧無しで、これが設計点であったので、反射率はλ0=0.5ミクロン(即ち、緑色)で最大である。電圧が上昇したとき、反射は、より低い波長にシフトし、緑色を生じ、次いで青色波長が反射される。更なる電圧上昇は、すみれ色になり、次いで紫外が反射される。電圧極性を逆にすると、圧電層は膨張し、反射は、スペクトルの赤色端の方にシフトする。AC電圧で、これは反射を正及び負の両方にシフトするので、感知される色は、時間の関数として電圧に対して平均である。従って、電圧形の実際の形状及び/又はデューティサイクルは、感知される色を更に変えるように操作できる。更に、本発明のフィルムは制御された色を示すが、これは同時に他の波長を透過する。それで、例えば、フィルムに白色光でバックライトが当てられた場合、これは、適用電圧をシフトすることによって異なった色を表示するために使用することができる。
【0081】
実施例7
タイ又はグルー層の追加
層の間の接着を増強するために、グルー又はタイ層をしばしば使用する。この予言的実施例に於いて、AがPVDFであり、BがPETであり、そしてTがタイ層である、(A/T/B/T)12構造体が製造される。反応性化学物質(例えば無水マレイン酸、メタクリル酸グリシジル(GMA)、エポキシド等及びこれらの大部分は、オレフィン系、例えばポリエチレン系材料である)を含有する多数のタイ層が存在する。この実施例のために、本発明者らは、メタクリル酸グリシジル変性オレフィン、例えばPETとの良好な接着を有する、ロタダー(Lotader)8900(アトフィナ社)を使用するであろう。これは別の押出機内で押し出され、多数の層の中に「折りたたむ」前に、所望の構造体の中に一緒にされる。これらのオレフィン系タイ層の大部分は、PVDFと同様の屈折率を有しており、それでこれらはPVDF層を有効に厚くする。にもかかわらず、厚さ変更部分はPVDF部分にのみ関連している。この構造体は、19λ/4のPVDF厚さを有しており、それぞれのタイ層はλ/4であるように設計される。従って、この構造体の合計有効厚さは、実施例3に於けるように21λ/4である。このフィルムは、(タイ層が圧電的に活性ではないので)僅かに高い電圧が必要であり、接着がより良いであろう以外は、実施例3に於けるフィルムと殆ど同じように機能するであろう。
【0082】
タイ層の使用は、また、同様の方式で、上記の実施例に於ける構造体の中に含ませることができる。この場合に、タイ層はA又はBポリマー屈折率とマッチせず、それで全部の計算が必要である(しかし、構造体はなお有用である)。このようなミスマッチした構造物は、例えば、より広い視野角に亘る改良された反射が必要である幾つかの応用に於いて望ましいであろう。
【0083】
明らかに、この実施例の他の変形は、所望の光学特性に依存して予見することができる。
【0084】
実施例8
オン又はオフ切り替えできる動的偏光フィルム
この予言的実施例に於いて、(A/B)15構造体が、それを、二軸延伸する代わりに、4倍に一軸延伸する以外は、実施例3と同様に製造する。PETについての屈折率は、名目上、延伸方向で1.65であり、そして横方向で1.55である。PVDFは、延伸方向で1.45であり、そして非延伸方向で1.42であると想定される。
【0085】
延伸後の層厚さは、延伸方向及び0.5ミクロン単色光源に基づいてPET及びPVDF層について21λ/4(0.181ミクロン)となるように設計する。横方向に於いて、屈折率差がより低いので、これらの厚さは反射規準にマッチせず、反射率も高くないであろう。それで、このフィルムは、この方向で偏光された光波に対して反射性ではないと予想される。
【0086】
反射値についての計算は、それらを、適切な屈折率を使用して、延伸方向及び横方向の両方について実施しなくてはならないこと以外は、Es波について前記のように実施する。延伸方向に於いて偏光された明るい波について、反射曲線は、0.5ミクロン入射光について図2に示したものに同一であろう。しかしながら、横方向について、反射率は、全てのθ及び電圧レベルについて0.3よりも低いままであるので、全ての電圧で本質的に透過性である。
【0087】
これの正味の結果は、延伸方向に対して平行である波長を、電圧を変えることによって選択的に阻止又は透過することができ、他方、横方向に沿って配向した波長は、常に透過するであろうことである。従って、これは、本質的に、電圧を適用したり、除いたりすることによって、簡単にオン及びオフに切り替えることができる偏光子である。
【0088】
実施例9
ディスプレイとしての応用
この予言的実施例に於いて、単色ディスプレイを製造するために、実施例5からのフィルムを使用する。表面上の電極は、従来のLCDに於いて使用するものと同様の格子内の透明ITO基体で置き換える。フィルムに、0.5ミクロンで又はその付近の光源によってバックライトが当てられる。しかしながら、適用される電圧無しでは、フィルムは反射性ではなく、この光源を見ることはできない。数字又は他の書記記号を表示するために、適切な電極に、適用電圧を加える。これは反射をオフに切り替え、バックライト源をその場所で見ることができるようにする。電圧は、フィルム内の双極子減退を除去するように、10Hz以上でパルスで適用されることが好ましい。残像性は、ディスプレイを一定であるように見え、許容される視野角(+/−10度)にするであろう。
【0089】
この構造体は、標準的単色LCDの能力の全てを有するが、より安価で可撓性であり、偏光子又は液晶ポリマーを必要としない。現在の構造体について、より高い駆動電圧が必要であり、それでITO電極レイアウトに於いて(アーク(arcing)を防止するために)注意を払わなくてはならないが、より大きいパネル/ピクセル、改良された圧電材料及び/又は設計最適化は、例えば、プラズマディスプレイシステムと共に、より大きい電圧をライン内にもたらす。
【0090】
実施例10
多色ディスプレイ
この予言的実施例は、複数の色を見ることができる以外は、実施例9と同様である。バックライトが白色である以外は、前記と同様にしてフィルムを形成する。実施例7に示されるように、透過する(又は反射する)色は、電圧レベルを変化させることによって変えることができる。0ボルトで、ディスプレイは、0.5ミクロン(黄色−緑色)付近のもの以外の全ての色を示す。より高い電圧で、色はより短い波長(青色−すみれ色)で反射され、他方、電圧極性が逆になると、長い波長(赤色、橙色)が見えるようになる。
【0091】
構造物に於ける微細化は、色制御及び解像度を改良するために行うことができる。また、バックライトからの透過に頼る代わりに、前面照明からの反射を、より狭い色制御のために使用することができる。純白のような色のために、それがUV又はIR領域に於いてのみ反射して、全バックライトが透過するように、電圧を十分に高くすることが必要であろう。
【0092】
本発明を、その好ましい態様を特に参照して詳細に説明したが、変形及び修正が、本発明の精神及び範囲内で実施できることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】圧電層を含む多層化フィルムの図解である。
【図2】PVDFをベースにする20層構造体についての、異なった適用電圧についての反射率(R)対入射角θのグラフ(Es波)。
【図3】PVF/TrFEコポリマーをベースにする15層構造体についての、異なった適用電圧についての反射率(R)対入射角θのグラフ(Es波)。
【図4】適用電圧無しで垂直に透過性であるフィルムについての、異なった適用電圧についての反射率(R)対入射角θのグラフ。
【図5】反射の波長の影響を示すグラフ(Es波)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
5個又はそれ以上の合計層及び少なくとも3個の圧電層を含んでなる多層フィルムであって、前記圧電層が、それぞれ、1個又はそれ以上の介在する実質的に透明な層によって分離されている多層フィルム。
【請求項2】
合計10〜1000個の圧電層及び介在層を含む請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
前記圧電層がポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(フッ化ビニル)、芳香族ポリアミド、ポリスルホン、シアノエチルセルロース、ポリ塩化ビニリデン、ポリパラキシレン及びこれらのコポリマーからなる群から選択されたポリマーを含む請求項1に記載のフィルム。
【請求項4】
前記圧電層がポリ(フッ化ビニリデン)又はポリ(フッ化ビニリデン)とトリフルオロエチレンとのコポリマーを含む請求項1に記載のフィルム。
【請求項5】
前記介在層のそれぞれが同一又は異なっている請求項1に記載のフィルム。
【請求項6】
前記1種又はそれ以上の非圧電性層がポリアルキレンナフタレート、ポリアルキレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアリーレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミド−イミド、ポリエーテル−アミド、ポリエーテル−イミド、ポリアリールエーテル、ポリアリールエーテルケトン、脂肪族ポリケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、セルロース誘導体、ポリアルキレン、アイオノマー樹脂、エラストマー、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂及びポリウレタンからなる群から選択されたポリマーを含む請求項5に記載のフィルム。
【請求項7】
前記1種又はそれ以上の非圧電性層がポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリ(シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート及びこれらのコポリマーからなる群から選択されたポリマーを含む請求項5に記載のフィルム。
【請求項8】
前記介在層がタイ層を含む請求項1に記載のフィルム。
【請求項9】
前記タイ層が無水マレイン酸、メタクリル酸グリシジル、エポキシド及びこれらの混合物からなる群から選択されたモノマーを含む請求項8に記載のフィルム。
【請求項10】
表面上に電極を更に含む請求項1に記載のフィルム。
【請求項11】
それぞれの層が0.05〜5ミクロンの厚さを有する請求項1に記載のフィルム。
【請求項12】
1個又はそれ以上の偏光層を更に含む請求項1に記載のフィルム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−545554(P2008−545554A)
【公表日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−513522(P2008−513522)
【出願日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際出願番号】PCT/US2006/018163
【国際公開番号】WO2006/127285
【国際公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(594055158)イーストマン ケミカル カンパニー (391)
【Fターム(参考)】