圧電振動デバイス
【課題】優れた耐振・耐衝撃性能を有する圧電振動デバイスを提供する。
【解決手段】ヨーレートセンサ装置7は、固定部72a,72bによって、ヨーレートセンサ素子2が支持基板71に固定されたものである。固定部72a,72bは、平行部73a,73b、及び、立ち上げ部74a,74bを有している。また、固定部72a,72bは、立ち上げ部74a,74bの固定部端部75a,75bにて、ヨーレートセンサ素子2を固定し、それを支持基板71の延在方向と平行になるように、支持基板71の上方空間内で支持している。さらに、固定部72a,72bと支持基板71の表面との間に、固定部72a,72bの平行部73a,73bを互いに連結する梁79が設けられている。
【解決手段】ヨーレートセンサ装置7は、固定部72a,72bによって、ヨーレートセンサ素子2が支持基板71に固定されたものである。固定部72a,72bは、平行部73a,73b、及び、立ち上げ部74a,74bを有している。また、固定部72a,72bは、立ち上げ部74a,74bの固定部端部75a,75bにて、ヨーレートセンサ素子2を固定し、それを支持基板71の延在方向と平行になるように、支持基板71の上方空間内で支持している。さらに、固定部72a,72bと支持基板71の表面との間に、固定部72a,72bの平行部73a,73bを互いに連結する梁79が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電振動デバイスに関し、例えば、圧電振動デバイス等のセンサデバイスを格納したり保持(支持)したりする耐振動構造に関し、特に物体の角速度を検出するヨーレートセンサ等を格納する耐振動構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、微小な物理量を検出する目的で圧電素子を備えた圧電振動デバイスが用いられている。そのような圧電振動デバイスとしては、超音波センサ、圧力センサ、ヨーレートセンサ(角速度センサ)等の種々のものが存在する。これらのなかでも、例えば、ヨーレートセンサは、物体の角速度を検出するものであり、振動する質量体に回転が加えられた際に生じるコリオリ力に起因して発生する非常に微弱な振動や変位を、圧電素子を介して検出することにより、各方向における回転(動作)を検知・測定することが可能である。
【0003】
このようなヨーレートセンサ等の圧電振動デバイスは、近時、小型薄型化が進んでおり、薄膜加工や薄膜形成によって得られる圧電薄膜を用いたものが提案又は既に実用化されつつある。しかし、かかる小型かつ薄型の圧電振動デバイスは、一般に、圧電薄膜自体が極めて薄く、軽量であるがゆえに、圧電振動デバイスが搭載される機器やシステムの外部からの振動や衝撃等の影響を受けやすく、それに起因するノイズによって角速度を誤検出してしまいやすい傾向にあることがある。
【0004】
かかる不都合を防止すべく、特許文献1及び2には、ヨーレートセンサの圧電振動素子を支持する固定部として、バネとして機能するリードフレームを用いたり、シリコンゴムからなる防振部を用いたりすることにより、ヨーレートセンサの耐振・耐衝撃性能を向上させることを試みた例が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−10034号
【特許文献2】特開2008−8634号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図13は、特許文献1に記載されたヨーレートセンサ300において、リードフレーム330を用いてヨーレートセンサ素子320が支持されている一態様を示す(XZ平面又はYZ平面)断面図である。特許文献1に記載されたヨーレートセンサ300は、リードフレーム330が支持基板310の周縁部から中央上方に向かって斜めに立ち上がる立ち上げ部330'を有しており、さらに当該リードフレームを4本用いて基板の中央上方でヨーレートセンサ素子320を4方向から(X軸方向に対して対称、かつY軸方向に対して対称となる様に)支持している。ここで、ヨーレートセンサ素子320を支持している4本のリードフレーム330a,330b,330c,330d(リードフレーム330a,330bのみ図示)のそれぞれの長さは、全て同一である。よって、これらの4本のリードフレーム330a,330b,330c,330dの各々の支持基板310(XY平面)における位置関係は、対称の中心δに対して±90°(4分の1周)の回転を加えた場合であっても、当該位置関係が変化しないように保持される。以後、本明細書では、このような位置関係を「4回転対称」と称する。
【0007】
そして、特許文献1に記載されたヨーレートセンサ300は、支持基板310、リードフレーム330、及びヨーレートセンサ素子320を各々成形樹脂で固定して取り付ける必要があり、その取り付けに要求される精度が極めて高いことから、その製造は容易ではない。しかも、リードフレームの取り付け精度が十分に高くないと、検出用振動アームの振動の節(振動静止点)を確実に押さえて固定することが困難であり、その場合、検出に不都合な外乱ノイズが不可避的に発生してしまう。また、ヨーレートセンサ300の設置位置における外部振動を吸収する際、XY平面方向の加振が僅かでも加えられると、立ち上げ部330a’,330b’が矢印M1で示すような変位(回転運動)を生じ、ヨーレートセンサ素子320に対して回転方向のノイズを付与してしまうところ、このような回転方向のノイズは、質量体の回転を検出するヨーレートセンサにとって極めて不都合なものである。
【0008】
ここで、図14は、外乱ノイズ(振動)がヨーレートセンサに与える影響を説明するための、共振周波数と振動伝達率との関係を示すグラフである。一般的には、外乱ノイズがセンサに与える振動の共振周波数がヨーレートセンサの音叉の駆動周波数に近い場合、音叉との間で共振が生じ、故にコリオリ振動の誤検知を招いてしまう。しかしながら、図14のグラフからも判るように、同一の減衰曲線であれば、共振周波数を下げる(低周波側にシフトさせる)ことで、音叉の駆動周波数における外乱ノイズの振動伝達率を低減させることが可能となる。つまり、ヨーレートセンサ等の圧電振動デバイスを備える装置においては、当該装置の共振周波数を下げることが外乱ノイズの抑制に効果的である。しかしながら、特許文献1に記載のヨーレートセンサ300は、リードフレーム330によって4回転対称支持されていることに起因して、回転動作の共振周波数が低下し、X軸方向の外乱振動とY軸方向の外乱振動との振動モードが重なって共振してしまうことにより、結果として外乱ノイズが増大してしまうといった不都合も想起され、ヨーレートセンサの耐振・耐衝撃性能としては未だ不十分である。
【0009】
また、特許文献2に記載された圧電振動素子を備えるヨーレートセンサは、音叉型振動子を取り付ける固定部の中央部分のみを2つの樹脂製の防振部で支持しており、樹脂製の防振部の長さが、固定部材の長手方向及び(固定部材の長手方向に直交する)圧電振動素子の長手方向の何れに対しても短い。よって、かかる構造による防振動作にも回転運動が生じてしまい、やはり圧電振動素子に対して回転方向の外乱ノイズを付与してしまうこととなり、結果として、ヨーレートセンサの耐振・耐衝撃性能の低下を招いてしまうという問題があった。
【0010】
ところで、近年、ヨーレートセンサは、カーナビゲーションシステム、デジタル(ビデオ)カメラ、ゲーム機器のコントローラ、携帯電話等の小型電子機器に幅広く搭載されているが、これら機器の更なる小型化に伴い、ヨーレートセンサ自体の更なる小型化が図られている。このように、ヨーレートセンサ自体(センサ素子)を更に小型化していくと、検出振動の振幅は更に小さくなってしまい、その結果、検出信号は当然に更に小さくなることから、ヨーレートセンサに印加される外部振動によるノイズの影響が相対的に大きくなり、そうなると、ヨーレートセンサに対して所望の十分な感度を得られ難くなる虞がある。この点においても、ヨーレートセンサの耐振・耐衝撃性能を更に向上させることが急務となっている。
【0011】
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、従来に比して外乱振動に対する優れた耐振・対衝撃性能を有する圧電振動デバイス、特に、不要な回転動作を有効に防止することができる圧電振動デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明による圧電振動デバイスは、半導体基板に設けられた又は形成された圧電素子を含むセンサ部と、互いに対向して配置され、かつ、センサ部を支持する複数の固定部と、それらの複数の固定部のうち少なくとも2つを連結する連結部とを有している。なお、圧電素子は、半導体基板上に一体に又は別体に設けられていてもよく、或いは、半導体基板と若しくは半導体基板から一体に又は別体に形成されていてもよい。
【0013】
この構成によれば、圧電振動デバイスのセンサ部が微小振動を検出する際に、その検出方向における外部から衝撃や振動が固定部に印加されたとしても、その外乱(外部)振動は、固定部で抑止、吸収、低減、相殺される等により(ただし、作用はこれらに限定されない)、センサ部への伝達・伝搬が抑制又は防止される。しかも、本発明者の知見によれば、複数の固定部のうち少なくとも2つが連結部によって互いに連結されているので、それらの固定部がセンサ部を介して連結されている状態に比して、連結部が双方の固定部をより引き付けてそれらの固定部を制動することによってZ軸方向以外の振動・変位、特に外乱振動による回転運動に対する抑制効果がより高められ、耐衝撃性が更に向上されることが判明した。また、上述の如く、センサ部への外部振動の伝達が抑制又は防止されるので、センサ部の歪みエネルギーを減少させていわゆる「温度ドリフト効果」を低減させることもでき、これにより、圧電振動デバイスの動作安定性を高めることも可能となる。
【0014】
また、連結部が、半導体基板の延在方向に沿って延在している構成や、センサ部と連結部とが接続される接続部の面積よりもよりも広い(大きい)面積(表面積)を有する構成が挙げられる。
【0015】
さらに、固定部が、センサ部及びその固定部によって所定の空間(ギャップ)が画定されるような曲げ形状を有しており、連結部が、その所定の空間において、複数の固定部のうち少なくとも2つを連結するものであっても好ましい。かかる固定部の曲げ形状としては、例えば、平板が「く」の字状や「へ」の字状に2つ折りに屈曲された形状が挙げられ、この場合、固定部は、センサ部を例えば上部空間に保持するための立ち上がり構造を有していると表現することもでき、その立ち上がり構造によって画定されたセンサ部の下部空間(所定の空間)において、連結部が、複数の固定部における立ち上がり構造以外の部位を連結する構成と捉えることもできる。
【0016】
このような構成においては、固定部が上述した曲げ形状を有しているので、センサ部を中空状に保持してその振動を阻害しない構造を更に平易に実現しやすくなり、また、固定部の設置エリア(面積)を減少させることができる。また、固定部における「曲げ」部分によって、外乱振動に対するダンピング効果(制振・吸振効果)が高められるとともに、「曲げ」部分の存在によって捻じれに対する斥力が生起され得るので、外乱振動が印加された場合に、Z軸方向以外の振動・変位、特に回転運動が更に効果的に抑制され、圧電振動デバイスの耐衝撃性を更に向上させることが可能となる(ただし、作用はこれらに限定されない)。
【0017】
より具体的には、複数の固定部が板状をなし、かつ、半導体基板の延在方向に沿って延在し、連結部が板状をなし、かつ、固定部を同一平面内で連結しており、半導体基板が連結部の一方の面に実装されている構成が挙げられる。このような構成においては、半導体基板と固定部との段差(レベル差)が解消され、センサ部が設けられた又は形成された半導体基板と固定部とを収容するケース等の筐体、ひいては、それを含めたヨーレートセンサ装置のパッケージの更なる小型化が可能となる。
【0018】
この場合、それぞれ板状をなす固定部及び連結部が、半導体基板が実装されている面(おもて面)とは反対側の面(裏面)に貼付された補強部材を有していても好適である。このような構成においては、固定部は、裏面に補強部材が貼付されることにより補強され、それ自体の強度を高く保つことができ、しかも、固定部自体の共振周波数を下げることが可能となるので、振動検出方向の外部からの振動に対して、より高い減衰効果を実現することができるとともに、固定部の耐久性を向上させることができる。また、それのみならず、連結部に補強部材追設されている場合には、補強部材が、固定部同士をより一層互いに引き付けることにより、センサ部に対して回転方向の振動が加えられることを更に効果的に抑制及び防止することができ、それにより、圧電振動デバイスの安定したコリオリ力の検出能力を更に向上させ得る。
【発明の効果】
【0019】
本発明の圧電振動デバイスによれば、センサ部を支持する複数の固定部を連結する連結部を有するので、圧電振動デバイスのセンサ部が微小振動を検出する際に、その検出方向における外部からの衝撃や振動が固定部に印加されたとしても、その外部振動等を、固定部によって有効に抑止、吸収、低減、相殺等することができる。また、複数の固定部のうち少なくとも2つが連結部によって互いに連結されているので、それらの固定部がセンサ部を介して連結されている状態に比して、固定部の制動効果が高められ、これにより、特に外乱振動による回転運動に対する抑制効果及び耐衝撃性を一層向上させることができ、換言すれば、回転方向の外部振動に対する緩和効果をより一層高めることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1実施形態に係るヨーレートセンサ装置の構成を示す斜視図である。
【図2】第1実施形態に係るヨーレートセンサ素子の構成を示す平面図である。
【図3A】第1実施形態に係るヨーレートセンサ素子の動作状態を示す斜視図である。
【図3B】第1実施形態に係るヨーレートセンサ素子の動作状態を示す斜視図である。
【図4】第1実施形態に係る固定部材の構成を示す平面図である。
【図5】第1実施形態に係る固定部材の動作状態を示す斜視断面図である。
【図6】第2実施形態に係る固定部材の構成を示す平面図である。
【図7】第2実施形態に係る固定部材を製造している状態の一例を示す工程図(プロセスフロー;概略断面図)である。
【図8】第3実施形態に係るヨーレートセンサ装置の構成を示す断面図である。
【図9】第4実施形態に係るヨーレートセンサ装置の構成を示す断面図である。
【図10】第5実施形態に係るヨーレートセンサ装置の構成を示す断面図である。
【図11】第6実施形態に係るヨーレートセンサ装置の構成を示す断面図である。
【図12】本願発明に適当可能な超音波センサ素子の構成を示す断面図である。
【図13】従来方式のヨーレートセンサ素子の構成を示す断面図である。
【図14】共振周波数と振動伝達率の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、図面中、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。また、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施の形態のみに限定する趣旨ではない。さらに、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。
【0022】
<第1実施形態>
図1は、本発明による圧電振動デバイスの固定部の第1実施形態に係るヨーレートセンサ装置1の内部構成を概略的に示す斜視図である。このヨーレートセンサ装置1(圧電振動デバイス)においては、例えば、箱状、枠状等の形状をなすケース4の内部に、段差を有して(階段状に)設けられた窪み41,42が形成されており、それらの窪み41,42は、各々、内部空間G1,G2を画定する。
【0023】
これらの窪み41,42のうち、より深い方の窪み41の底面43には、集積回路素子3が配置されている。また、底面43にはICチップ(ダイ)等の集積回路素子3を挟んで対向する位置に設けられ、集積回路素子3より(窪み41の深さ方向、すなわち紙面におけるZ軸方向の)高さが高い固定部保持台45,45’が配置されており、固定部保持台45,45’によってヨーレートセンサ素子2を固定・支持する固定部5の両端が保持され、固定部5の下方及び上方には内部空間G1,G2が存在する。なお、固定部5をケース4内部に保持する方法は、ケース4の内部空間G1,G2にて、固定部5がZ軸方向に変位できる程度(振動吸収時に、下方限度において集積回路素子3に衝当(衝突)することなく、また上方限度において図示してないケース4の蓋に衝当しない程度)の空間を保証できるものであればよく、例えば、固定部保持台45,45’を設ける代わりに、窪み42の底面44をケース4の内壁面を取り囲むような環状に形成した上で、その底面44に固定部5の両端を保持させる方式とすることもできる。
【0024】
図1に示すヨーレートセンサ装置1のケース4の内部には、格納されるべきヨーレートセンサ素子2が、破線で示されている。このヨーレートセンサ素子2は、自身の中央部にて固定部5の中央に設けられたセンサ接続部51と固定されている。センサ接続部51の配置位置は、その上に固定されるセンサの形状の違いに応じてX方向又はY方向に移動する場合があるが、後述するようなH型音叉ヨーレートセンサ素子2の場合では、固定部5の略中央に位置している。また、センサ接続部51の高さは、その上に固定されるセンサのZ軸方向の厚さや、振動吸収時における固定部5のZ軸方向の変位量を勘案して決定される。
【0025】
集積回路素子3は、ワイヤーボンディングによって、後述する配線560を介してヨーレートセンサ素子2と電気的に接続されており、後述するヨーレートセンサ素子2の各駆動腕21a,21bに設けられた複数の圧電素子に駆動信号を送信すると共に、後述する各検出腕22a,22bに設けられた複数の圧電素子から出力される検出信号を電気的に受信している。ケース4としては、例えば複数のセラミック薄板を積層することによって形成されたものが用いられ、通常、ヨーレートセンサ装置1の使用状態においては、内部空間G2上の開放部分を覆う蓋部(図示せず)によって密閉される。
【0026】
図2は、図1に示したヨーレートセンサ素子2の構成の一例を示す平面図(上面図)である。ヨーレートセンサ素子2は、中央に位置する基部20と、基部20を挟んで一方(図2では+Y方向)に延びる一対の駆動腕21a,21b、及び、その駆動腕とは反対側(図2では−Y方向)に延びる一対の検出腕22a,22bを備えるものである。本実施形態におけるヨーレートセンサ素子2の基部20は、駆動腕21a,21b間にV字カット23aを有し、更に検出腕22a,22b間に逆V字カット23bを有している。加えて、基部20は、ヨーレートセンサ素子2をセンサ接続部51と接続させるための接続部位である接続島24を残して、その内部に基部20の肉抜きのための切り抜き25a,25bを有している。ここで切り抜き25aは、その上部に傾斜部27a、下部に傾斜部27a’を有しており、各々が、V字カット23a,23bの切り落とし角度と近い傾斜角を有している。同様に切り抜き25bも、その上部に傾斜部27b、下部に傾斜部27b’を有しており、その各々がV字カット23a,23bの切り落とし角度と近い傾斜角を有している。
【0027】
図2及び図3に示す如く、上記一対の駆動腕21a,21b、検出腕22a,22bの各々は、基部20に対して左右対称に設置されている。なお、本明細書において、「左右」方向とは、図示±X方向、すなわち、ヨーレートセンサ素子2の重心位置を勘案して決定される仮想的な振動静止点α(図2参照)を通り、かつ、駆動腕21a,21b、検出腕22a,22bの各々の延在方向に沿って平行に延びる仮想的な中心軸線βに直交する方向(±X方向)を示す。また、「左右対称」とは、紙面における左右方向の対称性を指すために便宜的に用いたものであり、中心軸線βを対称軸として線対称であることを示す。
【0028】
なお、本実施形態における、基部20、駆動腕21a,21b、検出腕22a,22bから構成されるヨーレートセンサ素子2は、共通の材料(例えばシリコン、水晶)からなり、基部20における複雑な切り抜き形状も含めて一般的なウェハ(シリコンウェハ等)のパターニング加工(MEMS加工)によって一体に又は一括で形成することが可能である。
【0029】
ここで、一対の駆動腕21a,21bは、基部20、検出腕22a,22bを含む平面上に、左右対称に、かつ基部20から遠ざかるように+Y方向へ延在しており、一対の検出腕22a,22bは、基部20、駆動腕21a,21bを含む平面上に、左右対称に、かつ基部20から遠ざかるように−Y方向へと延在しており、このとき、駆動腕21a,21b及び検出腕22a,22bの長さ(基部20との接続部位を始点としたY軸方向に沿う長さ)が互いに等しい場合には、検出腕22a,22bの幅(X軸方向に沿う長さ)が駆動腕21a,21bの幅に比して大きい(幅広である)ことが好ましい。
【0030】
このように構成すれば、コリオリ力の検出時に生じる駆動腕21a,21bのX軸方向への振動等が検出腕22a,22bに伝搬するのに起因して音叉自体が振動してしまうことを抑止でき、これにより、検出腕22a,22bにおけるコリオリ力の検出においてノイズ信号を誤って検知してしまうことをより有効に防止し易くなる。よって、ヨーレートセンサ素子2の角速度検出精度を更に向上させる観点から、駆動腕21a,21bの幅は駆動力を与えることができ電極面積を確保できる範囲で狭くすることが可能であり、検出腕22a,22bの幅は基部20の幅を勘案して可能な限り広くすることが可能である。また、検出腕22a,22bに形成する検出用圧電素子は、検出腕(22a又は22b)の幅を超えない範囲で広くすることがより好ましい。
【0031】
駆動腕21a,21bのいわゆる根元部分(基部20との接続部位に近い部分)には、それぞれ、各駆動腕21a,21bの延在方向に対して左右対称に配置された一対の振動用圧電素子26a,26b、及び、一対の振動用圧電素子26c,26dが設けられている。これらの一対の振動用圧電素子26a,26b、及び一対の振動用圧電素子26c,26dは、駆動腕21a,21bのそれぞれを、基部20、駆動腕21a,21b、検出腕22a,22b、及び支持腕23a,23bを含む面に沿ってX軸方向に振動させるためのものである。
【0032】
一方、検出腕22a,22bのいわゆる根元部分(基部20との接続部位に近い部分)の一方面(表面)には、それぞれ、検出用圧電素子26e,26gが設けられている。これらの検出用圧電素子26e,26gは、検出腕22a,22bがZ軸方向に振動したときに、その振動を検出するためのものである。また、各検出腕22a,22bの他方面(裏面)において、検出用圧電素子26e,26gに対応する位置に更なる検出用圧電素子26f,26hを設置してもよく、これらの一対の検出用圧電素子26e,26f、及び一対の検出用圧電素子26g,26hを用いて、一つのコリオリ力に起因して発生する振動を検出することにより、角速度の検出感度及び精度を更に一層高めることも可能である。
【0033】
図3A及び図3Bは、ヨーレートセンサ素子2が動作している状態を模式的に示す斜視図であり、ヨーレートセンサ素子2による角速度の検出原理を示す図でもある。図3Aに示すように、ヨーレートセンサ素子2は、集積回路素子3からの制御信号により、初期的に、一対の振動用圧電素子26a,26bを逆位相で伸縮させるとともに、振動用圧電素子26c,26dも逆位相で伸縮させることによって、駆動腕21a,21bをX軸方向(厳密には、XY平面内における図示矢印S1で示す方向)に振動させる。この時、振動用圧電素子26a,26dを同位相かつ同期して伸縮させ、振動用圧電素子26b,26cを同位相かつ同期して伸縮させることにより、駆動腕21a,21bは、同一周期で互いに接近と離隔を繰り返すように振動する。
【0034】
この駆動腕21a,21bの振動中に、ヨーレートセンサ装置1が搭載された物体がY軸方向を回転軸とする回転運動(Y軸周りの回転運動)を行うと、図3Bに示されるように、駆動腕21a,21bにコリオリ力が作用し、駆動腕21a,21bは、Z軸方向(厳密には、YZ平面内における図示矢印S2で示す方向)に逆位相で検出振動を生じる。そして、駆動腕21a,21bに作用するコリオリ力に起因したその振動が基部20へと伝達されると、基部20に接続されている検出腕22a,22bが、それぞれ、駆動腕21a,21bに対して、Z軸方向において逆向き(厳密には、YZ平面内における図示矢印S3で示す方向)に振動することとなり、これらの検出腕22a,22bにおけるZ軸方向の変位を検出することにより、角速度が検出される。
【0035】
本実施形態では、ヨーレートセンサ素子2の基部20にV字カット23a,23bや切り抜き25a,25bを設けてあることにより、駆動腕21a,21bに生じたZ軸方向(図示矢印S2で示す方向)の検出振動がより効率良く検出腕22a,22bに伝搬することが可能である。また、その際、基部20に生じる捻れが、切り抜き25a,25b、ならびに側方柱28a,28bにおいて吸収されるので、接続島24とセンサ接続部51との間の(電気的な)接続ラインが捻れにより断線したり、固定部分に物理的なダメージを与えて、ヨーレートセンサ素子2を適切な方向に支持することが困難になったり、最悪の場合にはヨーレートセンサ素子2自体が脱落したりすることを防ぐことができる。
【0036】
なお、本実施例に係るヨーレートセンサ素子2は、一般的なシリコン基板の形成プロセスで形成可能であり、その表面に配線を配設することも容易である。よって、ヨーレートセンサ素子2からの信号(例えばヨー検出信号)は、基部20における接続島24からワイヤーボンディングを介して配線560へと伝わり、その後固定部保持台45を介して集積回路素子3へと伝えられる。本実施形態では、フリップチップ実装などを用いれば、圧電素子用に別途配線を設ける必要が無いので、かかる配線と駆動腕21a,21bや検出腕22a,22bとの接触等によって生じ得る振動の誤検出といった不都合を抑止し、ヨーレートセンサ素子2の耐久性及び信頼性を向上させることもできる。
【0037】
図4は、本実施形態に係る固定部5の構成を示す平面図(上面図)である。固定部5は、センサ接続部51上に載せるヨーレートセンサ素子2(図示せず)の駆動腕及び検出腕の延在方向、すなわちヨーレートセンサ素子2の長手方向に沿って、例えば全体として実質的に平行に配置され、同一平面上に存在する一対の板状補助固定部52a,52b(本発明における「複数の固定部」に該当する。)を有する。ここで固定部5は、ヨーレートセンサ素子2の振動静止点αを通りヨーレートセンサ素子2の延在方向に延びる中心軸線β、及び同じく振動静止点αを通りヨーレートセンサ素子2の延在方向とは垂直な方向に延びる中心軸線γの双方に対して対称な形状をなし、かつβ軸方向(ヨーレートセンサ素子2の延在方向)長さがγ軸方向長さよりも長いことを特徴としている。具体的には、本実施形態にかかる固定部5は、一対の補助固定部52a,52b各々の位置関係を保ったまま対称の中心である振動静止点αに対して180°(2分の1周)の回転を加えた場合にのみ、当該位置関係が変化しない。本願ではこのような対称関係(直交する二軸各々に対して線対称であり、かつ一方の軸方向長さが他方の軸方向長さよりも長い関係)を「2回転対称」と称する。
【0038】
補助固定部52aは、ケース4に設けられた固定部保持台45との接続部分である保持端部53aを有しており、中心軸線γに対して線対称となる位置には固定部保持台45’との接続部分である保持端部53a’を有している。ここで各端部のβ軸方向長さは、接続対象となるケース4内部の接地(接続)面の面積に応じて適宜決定すればよい。
【0039】
補助固定部52aは、その長手方向(すなわちβ軸方向)の中央に長手中心55aを有しているが、長手中心55aにおける補助固定部52aの幅(γ軸方向長さ)は、保持端部53aにおける同様の幅と比較して小さい。よって、補助固定部52aの固定部端58をβ軸方向の開始点(−β軸方向の移動)とした場合の保持端部53aの終了部位である保持端部終了点57aより、長手中心55aへと向かう補助固定部52aの側面は緩やかな支持傾斜54aを有している。
【0040】
本実施形態に係る固定部5は2回転対称であるので、補助固定部52aは、中心軸線γに対して線対称となるように、長手中心55aに向かう支持傾斜54aとは逆方向の角度を有する緩やかな支持傾斜54a’を有する。すなわち、両方の傾斜を考えると補助固定部52aは、その中央部にV字形の切り落としを有している。また、同様の理由から、補助固定部52bも、各々保持端部終了点57b,57b’より長手中心55bへと向かう支持傾斜54b,54b‘によって形成されたV字形の切り落としを有している。
【0041】
上述したとおり、本実施例における一対の補助固定部52a,52bは、ヨーレートセンサ素子2の側方に、長手方向に沿って、例えば全体として実質的に平行に配置されているが、保持端部53a,53b間、保持端部53a’,53b’間、並びに長手中心55a,55b間の空隙56にて、γ軸方向と平行に補助固定部52a,52bを連結する、梁(橋、橋梁)530,530’,550(連結部)が設けられ、双方の補助固定部52a,52bが一体となっている。また、この3本の梁530,530’,550が存在することにより、固定部5の内部には、補助固定部52a、梁530、補助固定部52b、及び梁550の順に取り囲まれて画定された平面空間59と、補助固定部52a、梁550、補助固定部52b、及び梁530’の順に取り囲まれて画定された平面空間59’とが画定される。
【0042】
本実施形態において、保持端部53a,53b間で補助固定部52a,52bを連結する梁530は、β軸方向の長さが保持端部53a,53bのβ軸方向の長さと概ね同じであるので、保持端部53aから保持端部53bまでがγ軸方向に延在する一枚の板の如く存在し、ケース4に設けられた固定部保持台45と連結される。同様に、梁530’も、保持端部53a’から保持端部53b’までがγ軸方向に延在する一枚の板の如く存在し、ケース4に設けられた固定部保持台45’と連結される。
【0043】
長手中心55a,55b間で補助固定部52a,52bを連結する梁550は、中心軸線γに沿ってβ軸方向の幅を有する構造を有し、その中心(中心軸線βと中心軸線γとの交点α:振動静止点)にセンサ接続部51を有し、センサ接続部51の上に基部20の接続島24を固定・接続し、ヨーレートセンサ素子2を固定部5へと固定している。このように固定されると、ヨーレートセンサ素子2の駆動腕21及び検出腕22の各々は、平面空間59,59’上方に配置されることとなる。
【0044】
図5は、本実施形態にかかるヨーレートセンサ装置1内部の固定部5の耐振動動作原理を示す斜視拡大断面図であり、具体的には、図1におけるヨーレートセンサ装置1を、中心軸線βを含むYZ平面方向に切断した断面を視認し状態を示すものである。
【0045】
ヨーレートセンサ装置1は、取付先の装置の設置位置によって様々な方向からの外乱振動を与えられ得る。しかしながら、本実施形態にかかる全体として板状の形態をなす固定部5は、当該外乱振動を吸収する場合に、ヨーレートセンサ装置1内の固定部5が静止状態に存在している平面(XY平面)方向に対する外乱振動成分を、その平面に対して垂直な方向(Z軸方向)へと変換してZ軸方向にのみ変位し、回転運動等のZ方向以外の方向成分への変位を有効に防止することが可能である。
【0046】
加えて、本実施形態にかかる固定部5は2回転対称形状を有しており、固定部5の長手方向の長さが短手方向の長さよりも長いので、固定部5自体の共振周波数を優位に低下させることが可能であり、コリオリ力の検出方向の振動に対してより高い振動減衰効果(音叉の駆動周波数における振動伝達率の低減)を実現することにより、応力緩和効果が高くなるので、耐衝撃性能も向上される。
【0047】
さらに、本実施形態にかかる固定部5は中央に向かって固定部5の幅が狭くなるようなV字形の切込みを有しているので、X軸方向に幅狭である長手中心55a,55bにおける固定部5の弾性は幅広である保持端部53a,53b等の固定部5の弾性と比較すると小さい(すなわちたわみやすい)。よって、固定部5の中央部分、長手中心55a,55b周辺における変位量(図5における矢印A)は、端部(図5における矢印C及びC’)における変位量と比較すると大きいものとなる。つまり、本実施形態に於けるV字形の切込みによって生まれる固定部5の幅の変化は、外乱振動発生時の固定部5のZ軸方向の変位量の差となって現れ、固定部5のZ軸方向の動きをより滑らかなものとすることができる。本実施形態では、このようなZ軸方向の滑らかな動きが積極的に生み出されることにより、XY方向の変位を含むヨーレートセンサ素子2にノイズ振動が生じることがなくなり、ヨーレートセンサ装置1のS/N比が著しく向上する。
【0048】
また、そのような固定部5のZ軸方向の滑らかな動きによって、ヨーレートセンサ素子2と固定部5との間の接続部分にかかる応力は軽減し、ヨーレートセンサ装置1の耐性を向上させて寿命を伸ばすことが可能である。さらに、固定部5がZ軸方向に滑らかに効率良く変位することにより、固定部5内部における歪みの発生を抑えることができ、歪みエネルギーが熱エネルギーに変換されて伝搬し素子本体の温度が上昇してしまうことに起因する「温度ドリフト効果」を有効に防止することができる。
【0049】
またさらに、本実施形態では、ヨーレートセンサ装置1に対して、固定部5の中央に、つまりヨーレートセンサ素子2の搭載位置と重なり合う配置関係で、補助固定部52a,52bを連結する梁550が設けられているので、梁550により同一平面内で双方の補助固定部52a,52bが連結されて一体化され、これにより、補助固定部52a,52bが互いに引き付けられることにより、補助固定部52a,52b各々のZ軸方向の変位のタイミングを効果的に同期させ、センサ接続部51で支持するヨーレートセンサ素子2に対して回転方向の振動が加えられることを防止することができ、それによりヨーレートセンサ装置1の安定したコリオリ力の検出能力を向上させることが可能となる。
【0050】
なお、本実施形態において、固定部5の材質やZ軸方向の厚さ、中央部分のV字型の切り込みの大きさ、補助支持部材のX軸方向の幅等の各種条件は、支持対象となるヨーレートセンサ素子2のサイズや重さ、及びヨーレートセンサ装置1を搭載する対象となる装置の使用状況を勘案して適宜決定することができる。かような各種条件を踏まえた固定部5全体の強度は、ヨーレートセンサ素子2が、その振動抑制動作時に最高位置や最低位置に来たときにケース4の蓋や集積回路素子3に衝当しないように、例えば、一般的なコンピュータシミュレーションにより求めることが可能である。
【0051】
また、本実施例に係る固定部5は、一般的なシリコン基板の形成プロセスで形成可能であり、その表面に配線560を配設することも極めて容易である。さらには、固定部5とヨーレートセンサ素子2とをシリコン基板の形成プロセスを用いて一体形成することも可能である。固定部5とヨーレートセンサ素子2とを一体形成した場合には、ヨーレートセンサ素子2の上面と固定部5の上面とが同一階層になるような構成とすることも可能であり、固定部の厚みの範囲内で半導体基板と重なり合う部分を有するように構成することで、ケース4を含めたヨーレートセンサ装置1のパッケージの小型化を実現することができる。また、梁550におけるセンサ接続部51が上方空間に突出しないように梁550に溝を設け、溝内部に設けたセンサ接続部51に対してヨーレートセンサ素子2を接続することで、ヨーレートセンサ素子2を固定部5に埋め込むことも可能である。
【0052】
<第2実施形態>
図6は、圧電振動デバイスの固定部の第2実施形態に係る固定部6の構成を示す平面図(下面図)である。本実施形態では、固定部6の材料として、後述する樹脂又は樹脂組成物を用い、固定部6の裏面(ヨーレートセンサ素子2の設置面とは反対側)に、金属薄板600による補強部材が設けられていること以外は、前述した固定部5と同様に構成されたものである。よって、図6においては、共通する部材には同一の符号を付し、重複した説明を避けるため、ここでは、それらの説明を省略する。
【0053】
ここで、図7は、固定部6を製造している状態の一例を示す工程図(プロセスフロー図;概略断面図)である。具体的には、まず、適宜の金属からなる10〜20μm程度の金属板700(後に金属薄板600を形成するもの)を用意し、次に、それを、後述する樹脂又は樹脂組成物からなる5〜15μm程度の絶縁層710でコーティングする。なお、かかるコーティング処理に代えて、金属箔付きの樹脂シート、例えば、片面CCL(Copper Clad Laminate)構造を有するものを用いてもよい。これらの場合、金属としては、所望の強度を得ることができれば特に制限されず、上記のステンレス(SUS)材の他、例えば、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、鉄(Fe)、チタン(Ti)等、又は、それらの合金や複合金属材料等が挙げられる。
【0054】
その後、絶縁層710上に、無電解めっきや蒸着処理によって後述するCu配線740を形成するためのシード層720を形成し、その上に、パターニングされたドライフィルムレジスト730を設ける。それから、ドライフィルムレジスト730の開口部(シード層720が露呈している部位)の内部に、ヨーレートセンサ素子2及び電源との接続に用いるCu配線740をめっきした後、ドライフィルムレジスト730を溶解処理等によって剥離する。次に、露出したシード層720、及び、その反対面の金属板710を、それぞれ、イオンミリング等の適宜の処理により、エッチングする(金属板710を適宜パターニングして金属薄板600を形成する。)。次いで、図示両端部に形成されたCu配線740における所定の部位(後に導体接続用のパッド760が形成される部位)を除く図示上面を、適宜の樹脂材料等からなる保護層750によってオーバーコートする。そして、保護層750から露呈したCu配線740上に、例えば、Ni−Auめっきを施してパッド760を形成し、さらに、保護層750上の図示中央部分(センサ接続部550に相当)に、ヨーレートセンサ素子2が設置される台座770を設けて固定部6を得る。その台座770上には、上述したヨーレートセンサ素子2がダイボンドされる。
【0055】
図6に戻ると、本実施形態では、固定部6の裏面に設けられた金属薄板600は、補助固定部52a,52bの、保持端部53a、梁530、及び保持端部53bの裏側に相当する部分に、金属梁630を有し、保持端部53a’、梁530’、及び保持端部53b’の裏側に相当する部分に、金属梁630’を有し、さらに、梁550の裏側に相当する部分かつ梁550よりもγ軸方向に長い金属梁650を有し、金属梁650の両端を通り、金属梁630,630’,650をβ軸方向に接続する二本の補助金属梁620a,620bを有する。ここで、金属薄板600もまた、中心軸線β及び中心軸線γに対して2回転対象の形状をなしている。
【0056】
本実施形態にかかる固定部6は、固定部6自体が樹脂や樹脂組成物等で形成され、裏面から金属薄板600で補強されていることにより、固定部6自体の共振周波数を下げつつ固定部自体の強度を向上させることが可能となる。特に、本実施例のように樹脂や樹脂組成物等の有機材料(殊に、樹脂母材料のみ)を用いて形成された固定部等を用いる場合には、本実施形態にかかる補強部材の利用が効果的である。
【0057】
さらに、本実施形態では、固定部6の梁550の裏面に設けられた金属梁650が、補助固定部52a,53bの背面に設けられた補助金属梁620a,620bの双方を連結しているので、樹脂や樹脂組成物等からなる梁550に加えて金属製の梁650が補助固定部52a,53bを連結していることとなる。よって、本実施形態にかかる固定部6は、外乱振動を吸収する際、補助固定部52a,53bを互いに引き付けるように機能し、これにより、補助固定部52a,53b各々のZ軸方向の振動変位のタイミングをより正確に同期させ、センサ接続部550で支持するヨーレートセンサ素子2に対して回転方向の振動が加えられることを極めて有効に防止することができ、その結果、ヨーレートセンサ装置1の感度を向上させることができる。
【0058】
また,本実施形態では、固定部6が樹脂や樹脂組成物を用いて形成されたものを例示したが、別の実施形態として、固定部6をシリコンで形成することも可能であるし、シリコンからなる固定部の表面に対して樹脂又は樹脂組成物からなる有機材料(膜)をコーティングすることも可能である。このようなコーティングを施すことにより、固定部自体が有する共振周波数を効率よく下げることができる。
【0059】
これらの場合の樹脂母材料としては、例えば、シート状又はフィルム状に成型可能なものであれば特に制限されず使用可能であり、具体的には、例えば、ビニルベンジル樹脂、ポリビニルベンジルエーテル化合物樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂(BTレジン)、ポリフェニレンエーテル(ポリフェニレンオキサイド)樹脂(PPE,PPO)、シアネートエステル樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ+活性エステル硬化樹脂、ポリオレフィン樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、ポリイミド樹脂、(芳香族)ポリエステル樹脂、(芳香族)液晶ポリエステル樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、液晶ポリマー、シリコーン樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、若しくは、アクリルゴム、エチレンアクリルゴム等のゴム材料やゴム成分を一部に含むような樹脂、又は、これらの樹脂に、ガラス繊維、アラミド繊維等の樹脂繊維等を配合した材料、或いは、これらの樹脂をガラスクロス、アラミド繊維、不織布等に含浸させた材料等が挙げられ、これらは、単独で又は複数組み合わせて使用することができ、強度(機械特性)、耐熱性、絶縁性、吸水性等の観点から、適宜選択して用いることができる。
【0060】
また、これらの樹脂に、適宜のフィラーを添加剤として加えてもよい。かかるフィラーとしては、特に制限されないが、例えば、シリカ、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸アルミウイスカ、チタン酸カリウム繊維、アルミナ、ガラスフレーク、ガラス繊維、窒化タンタル、窒化アルミニウム、又は、マグネシウム、ケイ素、チタン、亜鉛、カルシウム、ストロンチウム、ジルコニウム、錫、ネオジウム、サマリウム、アルミニウム、ビスマス、鉛、ランタン、リチウム及びタンタルのうち少なくとも1種の金属を含む金属酸化物粉末等が挙げられ、樹脂母材料と同様、これらも、単独で又は複数組み合わせて使用することができ、また、強度(機械特性)、耐熱性、絶縁性、吸水性等の観点から、適宜選択して用いることができる。さらに、これらの樹脂に、安定化剤等の適宜の他の添加剤を加えても構わない。
【0061】
<第3実施形態>
上述した第1実施形態1及び第2実施形態において、ヨーレートセンサ素子2が複数の固定部(固定部材)によって支持されている場合、固定部自体に回転方向の振動が加えられたり、複数の固定部材間に変位量の差が生じたりすることよって、支持対象となるヨーレートセンサ素子2(センサエレメント)等に回転方向の振動が加えられてしまうことを防止するためには、複数の固定部材間を連結する連結部として「梁」を設けることが極めて有効であることを説明した。
【0062】
図8は、第1実施形態及び第2実施形態とは異なるタイプのヨーレートセンサ装置7の固定構造(支持構造)を示すXZ平面断面図である。ヨーレートセンサ装置7は、一対の固定部72a,72bによって、ヨーレートセンサ素子2が支持基板71に固定されたものである。これらの固定部72a,72bは、支持基板71の延在方向に平行な方向(図8の紙面におけるX軸方向)に延在する平行部73a,73b、及び支持基板71の周縁部から支持基板71の中央部上方に向かって斜めに立ち上がる立ち上げ部74a,74bを有している。そして、固定部72a,72bは、立ち上げ部74a,74bの固定部端部75a,75bにて、ヨーレートセンサ素子2を固定し、当該ヨーレートセンサ素子2を支持基板71の延在方向(図8におけるXY平面)と平行になるように、支持基板71の上方空間(所定の空間)内で支持(保持)している。
【0063】
なお、図8では、固定部材間の連結を簡便に説明するべく、一方向(X軸方向)における支持の態様のみを図示しているが、本実施形態におけるヨーレートセンサ装置7が中心δ(ヨーレートセンサ素子2の振動静止点に相当)において固定部72a,72bが延在する方向(X軸方向)と直交する方向(Y軸方向)に、追加的な固定部72c,72d(図示せず)が付加されていてもよく、この場合、固定部72aから固定部72bへと至るX軸方向の延在長さと、固定部72cから固定部72dへと至るY軸方向の延在長さとが異なっていてもよい。
【0064】
また、そのような固定部の「対」を、中心δを通って複数設ける等して偶数個の固定部によりヨーレートセンサ素子2を固定・支持してもよいし、例えば、中心δを中心にして120度回転させて3つの固定部材を設ける等して、奇数個の固定部によりヨーレートセンサ素子2を固定・支持してもよい。さらに、X軸上に延在する一対の固定部72a,72bの位置関係を保持したまま、当該一対の固定部を±Y軸方向に平行に移動(スライド)させた位置に新たな固定部72a’,72b’(図示せず)を追加的に設けることもできる(以上、図9及び図10において同様とする。)。このように、本実施形態におけるヨーレートセンサ素子2は、複数の固定部によって支持されていればよい。
【0065】
また、図8に示す本実施形態では、一対の固定部72a,72bと支持基板71の表面との間に、その一対の固定部72a,72bにおける平行部73a,73bを互いに連結する梁79(連結部)が設けられている。梁79は、支持基板71の表面及び固定部72a,72bの平行部73a,73bに対して、接着剤等の任意の固定手段を用いて固着されており、所望とする固定能力を有しその加工成形が可能であれば、シリコン、樹脂、金属等の如何なる材料で形成されてもよい。なお、本実施形態の如く、連結用の梁79が固定部72a,72bと支持基板71との間に設けられる場合には、梁79自身が外乱振動に起因するノイズを吸収可能である材料、すなわち振動伝達率の低い材料を用いて形成されることがより好ましく、そうすれば、ヨーレートセンサ装置7の耐振性能を更に向上させることができる。
【0066】
そして、梁79は、一対の固定部72a,72bに対して、外部からZ方向以外の振動(X軸方向又はY軸方向の成分を含む振動)が加えられた場合であっても、双方の固定部材72a,72bを下方で連結して相互に引き付けることにより、Z方向以外の固定部72a,72bの振動や変位を抑制し得るので、回転方向の振動M1(シーソー運動)が発生することを抑制することができ、ヨーレートセンサ素子2等のヨー検出能力に悪影響を与えることがない。また、そのような不要な振動M1を排除することによって、支持基板71と固定部72a,72bとの間の接続部分や、固定部72a,72bとヨーレートセンサ素子2との間の接続部分に、断続的に生じ得る歪み応力が印加されることを防止し、ヨーレートセンサ装置7全体の耐久性を向上させることも可能である。
【0067】
なお、本実施形態においては、連結部である梁79によって接続される複数の固定部が、常に「対」のなしている必要はなく、別の「対」に含まれる2つの固定部同士を連結したり、任意の複数の固定部を連続的に或いは交差するように連結したりしてもよい。本実施形態では、例えば奇数個の固定部同士を相互に連結することも可能である。すなわち、本実施形態における梁79は、ヨーレートセンサ装置7の設置対象となる機器の機能や設置状況に応じて、優先的に振動を抑制したい方向を勘案して設けることができる。例えば、3つ以上の固定部が存在するような場合であっても、信号抑制方向に対して特に効果的であると考えられる任意の少なくとも2つの固定部を連結しさえすればよく、これにより、ヨーレートセンサ装置7において生じ得る回転動作を簡便かつ容易に抑制することが可能である。
【0068】
<第4実施形態>
図9は、ヨーレートセンサ装置8の固定構造(支持構造)を示すXZ平面断面図である。ヨーレートセンサ装置8は、固定部72a,72bを連結する梁89(連結部)の位置が、支持基板71表面から支持基板の中央部上方に向かって斜めに立ち上がる立ち上げ部74a,74b間に存在すること以外は、前述したヨーレートセンサ装置7と同様に構成されたものである。
【0069】
図9においては、梁89による連結が、固定部72aの立ち上げ部74aの立ち上げ終了位置(すなわちヨーレートセンサ素子2に近い位置)と固定部72bの立ち上げ部74bの立ち上げ開始位置(すなわち支持基板71表面に近い位置)との間に設けられている。このような連結方法であれば、梁89と固定部との間の連結のみを考慮すればよいので、梁89を支持基板71と固定部材72の双方に連結しなければならない第3実施形態の連結方法に比して、両固定部材間の連結精度を向上させ得る。さらに、第3実施形態(梁が固定部と支持基板との間に介在する形態)によって、3つ以上の固定部を有するようなヨーレートセンサ装置8における任意の2つの固定部材を梁で連結すると、当該連結された2つの固定部材の高さと、連結されていない固定部材の高さとの間に差が生じてしまうのに対し、本実施形態による梁を用いた連結構造によれば、かかる不都合を回避することが可能である。
【0070】
さらに、本実施形態における梁89としては、固定部72a,72bとの間の連結距離と正確に同一な長さを有する「柱」でなくてもよく、適切な強度や弾性を有する「紐」状部材を用いてもよい。そして、当該紐状の梁の全長が、固定部72a,72b間の連結直線距離よりも僅かに長くてもよく、その場合、その連結状態において紐状梁が下方(−Z軸方向)に撓むこととなる。しかし、そのような撓みが存在したとしても、外部より極めて強いZ軸方向以外の振動(X軸方向成分又はY軸方向成分を含む振動)を加えられた際には、紐が張り、双方の固定部材72a,72bを引き付け合うことが可能である。よって、この場合にも、Z方向以外の固定部72a,72bの強い振動や変位を効果的に抑制し、回転方向の振動M1(シーソー運動)を防止することができるので、ヨーレートセンサ素子2等のヨー検出能力を高精度に保つことが可能となる。また、梁89として紐状部材を適用する場合には、逆に、梁部分にある程度の撓みが許容されるので、これにより、部品間を連結する際に要求される取付精度が軽減される利点がある。
【0071】
なお、図9に示す実施形態では、梁89の連結位置が、固定部72aの立ち上げ部74aの立ち上げ終了位置と固定部72bの立ち上げ部74bの立ち上げ開始位置との間で「斜め」に形成されているが、梁89の連結方法はこれに限定されることはなく、その連結位置は、立ち上げ部74a,74bの任意の位置から選択され得る。よって、例えば、梁89の延在方向が支持基板71の表面と平行になる場合も本実施形態に含まれる。
【0072】
<第5実施形態>
図10に示すのは、ヨーレートセンサ装置9の固定構造(支持構造)を示すXZ平面断面図である。ヨーレートセンサ装置9は、固定部72a,72bの立ち上げ部74a,74bと支持基板71の表面との間で画定された下方空間G3(所定の空間)が充填部材99で満たされていること以外は、前述したヨーレートセンサ装置7,8と同様に構成されたものである。
【0073】
本実施形態では、例えば樹脂や樹脂組成物等からなる充填部材99が、固定部72aと72bとの間の空間を完全に又は略完全に満たすことにより、全体として梁の機能を発現し、その結果、上述したヨーレートセンサ装置9における回転方向の振動M1(シーソー運動)をより強力に抑制することが可能である。
【0074】
本実施形態では、充填部材99を形成する材料として樹脂以外の固形(固体、固体状)材料が用いられてもよく、場合によっては、液(状)体を用いることもでき、例えば、下方空間G3に保持可能な程度の粘度を有すれば、ゲル状物質が用いられてもよい。本実施形態において、充填部材99として弾性材料を選択すれば、固定部72a,72bと協働してZ軸方向のダンピング効果を発揮しつつ、回転方向の振動を優位に取り除くことも可能である。
【0075】
<第6実施形態>
図11は、第1実施形態乃至第4実施形態とは異なるタイプのヨーレートセンサ装置10の固定構造(支持構造)を示すXZ平面断面図である。ヨーレートセンサ装置10は、ヨーレートセンサ素子2を固定・支持するために弾性体100a,100bを用い、これら弾性体間を連結するために連結部200を備えることを特徴としている。
【0076】
本実施形態におけるヨーレートセンサ装置10は、第3実施形態乃至第5実施形態における固定部72a,72bの立ち上げ部74a,74bのような固定部の長手方向に一定の長さを有する延在部分を含まず、一定の高さを有する単なる弾性体100a,100bの「塊」が、ヨーレートセンサ素子2を固定・支持する簡便な構造を有するものである。ここで弾性体100a,100bは、弾性体100a,100bを装置内の同一平面上に保持する連結支持部210a,210bと、当該連結支持部210a,210bとを横方向(図11におけるX軸方向)に連結するための連結架橋部230とからなる連結部200によって装置内に保持されている。連結支持部210a,210bは、各々、その一方端にて弾性体100a,100bを下方より固定支持し、他方端で支持基板71から上方(Z軸線方向)に垂直に立ち上がった壁77a,77bに固定されている。
【0077】
このような構成によれば、弾性体100a,100bがZ軸方向以外の方向に対しても伸張・収縮し得ることに起因して生じる、XY平面方向における僅かな変位M2(図11においてはX軸方向の変位のみ視認できる)、及び、第3実施形態乃至第5実施形態で述べたような回転方向の変位M1(図示せず)を抑制することができる。また、このように梁として機能する連結部200をヨーレートセンサ素子2の保持構造としても用い、固定部材を含むヨーレートセンサ素子2自体を持ち上げることにより、支持基板71表面よりの直接的な外乱振動の伝搬を優位に低減させることができる。
【0078】
なお、本実施形態では、連結部200の連結架橋部230が、連結支持部210a,210bによって画定される面よりも下方の空間に迂回するように、連結支持部210a,210bを連結しているが、連結支持部210a,210bを互いに引き付けること可能であれば、任意の連結方法(形態)であってよい。また、本実施形態においては、説明の簡略化の為にX軸線上に設けられた一対の弾性体100a,100bのみを示していたが、同様の弾性体がXY平面状に複数存在してもよく、本実施例の優れた効果は、そのような複数の弾性体の任意の2つを連結させた場合であっても同様に享受できる。
【0079】
ここで、図12は、これまでに説明した全ての実施形態に適用可能な超音波センサ素子11の構成の一例を概略的に示す断面図である。図12に示すように、超音波センサ素子11は、超音波による薄膜160の振動を圧電素子161(例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を一対のPtで挟んだ積層構造の素子)によって電気的に検出するものであり、車両内における人員の有無や車両間隔の測定など、距離測定に応用される。このようなデバイスにおいても本発明を適応することにより耐震・耐衝撃性の向上が可能となる。
【0080】
なお、本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、先に適宜述べたとおり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更(例えば、各実施形態の内容の適宜な組み合わせ等)が可能である。
【符号の説明】
【0081】
1,7,8,9,10…ヨーレートセンサ装置(圧電振動デバイス)、2…ヨーレートセンサ素子(圧電振動デバイス)、3…集積回路素子、4…ケース、5,6,72…固定部、11…超音波センサ素子、20…基部、21…駆動腕、22…検出腕、23…V字カット、24…接続島、25…切り抜き、26,161…圧電素子、27…傾斜部、28…側方柱、41,42…窪み、43,44…底面、45…固定部保持台、51…センサ接続部、52,62,72…補助固定部、53…保持端部、54…支持傾斜、55,75…長手中心、56…空隙、57…保持端部終了点、58…固定部端、59…平面空間、79…支持基板、平行部…73、74…立ち上げ部、75…固定部端部、77…壁、79,89,530,550…梁、99…充填部材、100…弾性体、160…薄膜、200…連結部、210…連結支持部、230…連結架橋部、600…金属薄板、620…補助金属梁、630,650…金属梁、700…SUS板、710,750…ポリイミド、720…シード層、730…ドライフィルムレジスト、740…Cu配線、A,B、C…変位、M1,M2…振動(変位)、α…振動静止点、β,γ…仮想中心軸線、(各部材の符号においては、説明の都合上、必要に応じて、添字の「a」、「b」等を適宜割愛した。)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電振動デバイスに関し、例えば、圧電振動デバイス等のセンサデバイスを格納したり保持(支持)したりする耐振動構造に関し、特に物体の角速度を検出するヨーレートセンサ等を格納する耐振動構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、微小な物理量を検出する目的で圧電素子を備えた圧電振動デバイスが用いられている。そのような圧電振動デバイスとしては、超音波センサ、圧力センサ、ヨーレートセンサ(角速度センサ)等の種々のものが存在する。これらのなかでも、例えば、ヨーレートセンサは、物体の角速度を検出するものであり、振動する質量体に回転が加えられた際に生じるコリオリ力に起因して発生する非常に微弱な振動や変位を、圧電素子を介して検出することにより、各方向における回転(動作)を検知・測定することが可能である。
【0003】
このようなヨーレートセンサ等の圧電振動デバイスは、近時、小型薄型化が進んでおり、薄膜加工や薄膜形成によって得られる圧電薄膜を用いたものが提案又は既に実用化されつつある。しかし、かかる小型かつ薄型の圧電振動デバイスは、一般に、圧電薄膜自体が極めて薄く、軽量であるがゆえに、圧電振動デバイスが搭載される機器やシステムの外部からの振動や衝撃等の影響を受けやすく、それに起因するノイズによって角速度を誤検出してしまいやすい傾向にあることがある。
【0004】
かかる不都合を防止すべく、特許文献1及び2には、ヨーレートセンサの圧電振動素子を支持する固定部として、バネとして機能するリードフレームを用いたり、シリコンゴムからなる防振部を用いたりすることにより、ヨーレートセンサの耐振・耐衝撃性能を向上させることを試みた例が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−10034号
【特許文献2】特開2008−8634号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図13は、特許文献1に記載されたヨーレートセンサ300において、リードフレーム330を用いてヨーレートセンサ素子320が支持されている一態様を示す(XZ平面又はYZ平面)断面図である。特許文献1に記載されたヨーレートセンサ300は、リードフレーム330が支持基板310の周縁部から中央上方に向かって斜めに立ち上がる立ち上げ部330'を有しており、さらに当該リードフレームを4本用いて基板の中央上方でヨーレートセンサ素子320を4方向から(X軸方向に対して対称、かつY軸方向に対して対称となる様に)支持している。ここで、ヨーレートセンサ素子320を支持している4本のリードフレーム330a,330b,330c,330d(リードフレーム330a,330bのみ図示)のそれぞれの長さは、全て同一である。よって、これらの4本のリードフレーム330a,330b,330c,330dの各々の支持基板310(XY平面)における位置関係は、対称の中心δに対して±90°(4分の1周)の回転を加えた場合であっても、当該位置関係が変化しないように保持される。以後、本明細書では、このような位置関係を「4回転対称」と称する。
【0007】
そして、特許文献1に記載されたヨーレートセンサ300は、支持基板310、リードフレーム330、及びヨーレートセンサ素子320を各々成形樹脂で固定して取り付ける必要があり、その取り付けに要求される精度が極めて高いことから、その製造は容易ではない。しかも、リードフレームの取り付け精度が十分に高くないと、検出用振動アームの振動の節(振動静止点)を確実に押さえて固定することが困難であり、その場合、検出に不都合な外乱ノイズが不可避的に発生してしまう。また、ヨーレートセンサ300の設置位置における外部振動を吸収する際、XY平面方向の加振が僅かでも加えられると、立ち上げ部330a’,330b’が矢印M1で示すような変位(回転運動)を生じ、ヨーレートセンサ素子320に対して回転方向のノイズを付与してしまうところ、このような回転方向のノイズは、質量体の回転を検出するヨーレートセンサにとって極めて不都合なものである。
【0008】
ここで、図14は、外乱ノイズ(振動)がヨーレートセンサに与える影響を説明するための、共振周波数と振動伝達率との関係を示すグラフである。一般的には、外乱ノイズがセンサに与える振動の共振周波数がヨーレートセンサの音叉の駆動周波数に近い場合、音叉との間で共振が生じ、故にコリオリ振動の誤検知を招いてしまう。しかしながら、図14のグラフからも判るように、同一の減衰曲線であれば、共振周波数を下げる(低周波側にシフトさせる)ことで、音叉の駆動周波数における外乱ノイズの振動伝達率を低減させることが可能となる。つまり、ヨーレートセンサ等の圧電振動デバイスを備える装置においては、当該装置の共振周波数を下げることが外乱ノイズの抑制に効果的である。しかしながら、特許文献1に記載のヨーレートセンサ300は、リードフレーム330によって4回転対称支持されていることに起因して、回転動作の共振周波数が低下し、X軸方向の外乱振動とY軸方向の外乱振動との振動モードが重なって共振してしまうことにより、結果として外乱ノイズが増大してしまうといった不都合も想起され、ヨーレートセンサの耐振・耐衝撃性能としては未だ不十分である。
【0009】
また、特許文献2に記載された圧電振動素子を備えるヨーレートセンサは、音叉型振動子を取り付ける固定部の中央部分のみを2つの樹脂製の防振部で支持しており、樹脂製の防振部の長さが、固定部材の長手方向及び(固定部材の長手方向に直交する)圧電振動素子の長手方向の何れに対しても短い。よって、かかる構造による防振動作にも回転運動が生じてしまい、やはり圧電振動素子に対して回転方向の外乱ノイズを付与してしまうこととなり、結果として、ヨーレートセンサの耐振・耐衝撃性能の低下を招いてしまうという問題があった。
【0010】
ところで、近年、ヨーレートセンサは、カーナビゲーションシステム、デジタル(ビデオ)カメラ、ゲーム機器のコントローラ、携帯電話等の小型電子機器に幅広く搭載されているが、これら機器の更なる小型化に伴い、ヨーレートセンサ自体の更なる小型化が図られている。このように、ヨーレートセンサ自体(センサ素子)を更に小型化していくと、検出振動の振幅は更に小さくなってしまい、その結果、検出信号は当然に更に小さくなることから、ヨーレートセンサに印加される外部振動によるノイズの影響が相対的に大きくなり、そうなると、ヨーレートセンサに対して所望の十分な感度を得られ難くなる虞がある。この点においても、ヨーレートセンサの耐振・耐衝撃性能を更に向上させることが急務となっている。
【0011】
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、従来に比して外乱振動に対する優れた耐振・対衝撃性能を有する圧電振動デバイス、特に、不要な回転動作を有効に防止することができる圧電振動デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明による圧電振動デバイスは、半導体基板に設けられた又は形成された圧電素子を含むセンサ部と、互いに対向して配置され、かつ、センサ部を支持する複数の固定部と、それらの複数の固定部のうち少なくとも2つを連結する連結部とを有している。なお、圧電素子は、半導体基板上に一体に又は別体に設けられていてもよく、或いは、半導体基板と若しくは半導体基板から一体に又は別体に形成されていてもよい。
【0013】
この構成によれば、圧電振動デバイスのセンサ部が微小振動を検出する際に、その検出方向における外部から衝撃や振動が固定部に印加されたとしても、その外乱(外部)振動は、固定部で抑止、吸収、低減、相殺される等により(ただし、作用はこれらに限定されない)、センサ部への伝達・伝搬が抑制又は防止される。しかも、本発明者の知見によれば、複数の固定部のうち少なくとも2つが連結部によって互いに連結されているので、それらの固定部がセンサ部を介して連結されている状態に比して、連結部が双方の固定部をより引き付けてそれらの固定部を制動することによってZ軸方向以外の振動・変位、特に外乱振動による回転運動に対する抑制効果がより高められ、耐衝撃性が更に向上されることが判明した。また、上述の如く、センサ部への外部振動の伝達が抑制又は防止されるので、センサ部の歪みエネルギーを減少させていわゆる「温度ドリフト効果」を低減させることもでき、これにより、圧電振動デバイスの動作安定性を高めることも可能となる。
【0014】
また、連結部が、半導体基板の延在方向に沿って延在している構成や、センサ部と連結部とが接続される接続部の面積よりもよりも広い(大きい)面積(表面積)を有する構成が挙げられる。
【0015】
さらに、固定部が、センサ部及びその固定部によって所定の空間(ギャップ)が画定されるような曲げ形状を有しており、連結部が、その所定の空間において、複数の固定部のうち少なくとも2つを連結するものであっても好ましい。かかる固定部の曲げ形状としては、例えば、平板が「く」の字状や「へ」の字状に2つ折りに屈曲された形状が挙げられ、この場合、固定部は、センサ部を例えば上部空間に保持するための立ち上がり構造を有していると表現することもでき、その立ち上がり構造によって画定されたセンサ部の下部空間(所定の空間)において、連結部が、複数の固定部における立ち上がり構造以外の部位を連結する構成と捉えることもできる。
【0016】
このような構成においては、固定部が上述した曲げ形状を有しているので、センサ部を中空状に保持してその振動を阻害しない構造を更に平易に実現しやすくなり、また、固定部の設置エリア(面積)を減少させることができる。また、固定部における「曲げ」部分によって、外乱振動に対するダンピング効果(制振・吸振効果)が高められるとともに、「曲げ」部分の存在によって捻じれに対する斥力が生起され得るので、外乱振動が印加された場合に、Z軸方向以外の振動・変位、特に回転運動が更に効果的に抑制され、圧電振動デバイスの耐衝撃性を更に向上させることが可能となる(ただし、作用はこれらに限定されない)。
【0017】
より具体的には、複数の固定部が板状をなし、かつ、半導体基板の延在方向に沿って延在し、連結部が板状をなし、かつ、固定部を同一平面内で連結しており、半導体基板が連結部の一方の面に実装されている構成が挙げられる。このような構成においては、半導体基板と固定部との段差(レベル差)が解消され、センサ部が設けられた又は形成された半導体基板と固定部とを収容するケース等の筐体、ひいては、それを含めたヨーレートセンサ装置のパッケージの更なる小型化が可能となる。
【0018】
この場合、それぞれ板状をなす固定部及び連結部が、半導体基板が実装されている面(おもて面)とは反対側の面(裏面)に貼付された補強部材を有していても好適である。このような構成においては、固定部は、裏面に補強部材が貼付されることにより補強され、それ自体の強度を高く保つことができ、しかも、固定部自体の共振周波数を下げることが可能となるので、振動検出方向の外部からの振動に対して、より高い減衰効果を実現することができるとともに、固定部の耐久性を向上させることができる。また、それのみならず、連結部に補強部材追設されている場合には、補強部材が、固定部同士をより一層互いに引き付けることにより、センサ部に対して回転方向の振動が加えられることを更に効果的に抑制及び防止することができ、それにより、圧電振動デバイスの安定したコリオリ力の検出能力を更に向上させ得る。
【発明の効果】
【0019】
本発明の圧電振動デバイスによれば、センサ部を支持する複数の固定部を連結する連結部を有するので、圧電振動デバイスのセンサ部が微小振動を検出する際に、その検出方向における外部からの衝撃や振動が固定部に印加されたとしても、その外部振動等を、固定部によって有効に抑止、吸収、低減、相殺等することができる。また、複数の固定部のうち少なくとも2つが連結部によって互いに連結されているので、それらの固定部がセンサ部を介して連結されている状態に比して、固定部の制動効果が高められ、これにより、特に外乱振動による回転運動に対する抑制効果及び耐衝撃性を一層向上させることができ、換言すれば、回転方向の外部振動に対する緩和効果をより一層高めることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1実施形態に係るヨーレートセンサ装置の構成を示す斜視図である。
【図2】第1実施形態に係るヨーレートセンサ素子の構成を示す平面図である。
【図3A】第1実施形態に係るヨーレートセンサ素子の動作状態を示す斜視図である。
【図3B】第1実施形態に係るヨーレートセンサ素子の動作状態を示す斜視図である。
【図4】第1実施形態に係る固定部材の構成を示す平面図である。
【図5】第1実施形態に係る固定部材の動作状態を示す斜視断面図である。
【図6】第2実施形態に係る固定部材の構成を示す平面図である。
【図7】第2実施形態に係る固定部材を製造している状態の一例を示す工程図(プロセスフロー;概略断面図)である。
【図8】第3実施形態に係るヨーレートセンサ装置の構成を示す断面図である。
【図9】第4実施形態に係るヨーレートセンサ装置の構成を示す断面図である。
【図10】第5実施形態に係るヨーレートセンサ装置の構成を示す断面図である。
【図11】第6実施形態に係るヨーレートセンサ装置の構成を示す断面図である。
【図12】本願発明に適当可能な超音波センサ素子の構成を示す断面図である。
【図13】従来方式のヨーレートセンサ素子の構成を示す断面図である。
【図14】共振周波数と振動伝達率の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、図面中、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。また、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施の形態のみに限定する趣旨ではない。さらに、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。
【0022】
<第1実施形態>
図1は、本発明による圧電振動デバイスの固定部の第1実施形態に係るヨーレートセンサ装置1の内部構成を概略的に示す斜視図である。このヨーレートセンサ装置1(圧電振動デバイス)においては、例えば、箱状、枠状等の形状をなすケース4の内部に、段差を有して(階段状に)設けられた窪み41,42が形成されており、それらの窪み41,42は、各々、内部空間G1,G2を画定する。
【0023】
これらの窪み41,42のうち、より深い方の窪み41の底面43には、集積回路素子3が配置されている。また、底面43にはICチップ(ダイ)等の集積回路素子3を挟んで対向する位置に設けられ、集積回路素子3より(窪み41の深さ方向、すなわち紙面におけるZ軸方向の)高さが高い固定部保持台45,45’が配置されており、固定部保持台45,45’によってヨーレートセンサ素子2を固定・支持する固定部5の両端が保持され、固定部5の下方及び上方には内部空間G1,G2が存在する。なお、固定部5をケース4内部に保持する方法は、ケース4の内部空間G1,G2にて、固定部5がZ軸方向に変位できる程度(振動吸収時に、下方限度において集積回路素子3に衝当(衝突)することなく、また上方限度において図示してないケース4の蓋に衝当しない程度)の空間を保証できるものであればよく、例えば、固定部保持台45,45’を設ける代わりに、窪み42の底面44をケース4の内壁面を取り囲むような環状に形成した上で、その底面44に固定部5の両端を保持させる方式とすることもできる。
【0024】
図1に示すヨーレートセンサ装置1のケース4の内部には、格納されるべきヨーレートセンサ素子2が、破線で示されている。このヨーレートセンサ素子2は、自身の中央部にて固定部5の中央に設けられたセンサ接続部51と固定されている。センサ接続部51の配置位置は、その上に固定されるセンサの形状の違いに応じてX方向又はY方向に移動する場合があるが、後述するようなH型音叉ヨーレートセンサ素子2の場合では、固定部5の略中央に位置している。また、センサ接続部51の高さは、その上に固定されるセンサのZ軸方向の厚さや、振動吸収時における固定部5のZ軸方向の変位量を勘案して決定される。
【0025】
集積回路素子3は、ワイヤーボンディングによって、後述する配線560を介してヨーレートセンサ素子2と電気的に接続されており、後述するヨーレートセンサ素子2の各駆動腕21a,21bに設けられた複数の圧電素子に駆動信号を送信すると共に、後述する各検出腕22a,22bに設けられた複数の圧電素子から出力される検出信号を電気的に受信している。ケース4としては、例えば複数のセラミック薄板を積層することによって形成されたものが用いられ、通常、ヨーレートセンサ装置1の使用状態においては、内部空間G2上の開放部分を覆う蓋部(図示せず)によって密閉される。
【0026】
図2は、図1に示したヨーレートセンサ素子2の構成の一例を示す平面図(上面図)である。ヨーレートセンサ素子2は、中央に位置する基部20と、基部20を挟んで一方(図2では+Y方向)に延びる一対の駆動腕21a,21b、及び、その駆動腕とは反対側(図2では−Y方向)に延びる一対の検出腕22a,22bを備えるものである。本実施形態におけるヨーレートセンサ素子2の基部20は、駆動腕21a,21b間にV字カット23aを有し、更に検出腕22a,22b間に逆V字カット23bを有している。加えて、基部20は、ヨーレートセンサ素子2をセンサ接続部51と接続させるための接続部位である接続島24を残して、その内部に基部20の肉抜きのための切り抜き25a,25bを有している。ここで切り抜き25aは、その上部に傾斜部27a、下部に傾斜部27a’を有しており、各々が、V字カット23a,23bの切り落とし角度と近い傾斜角を有している。同様に切り抜き25bも、その上部に傾斜部27b、下部に傾斜部27b’を有しており、その各々がV字カット23a,23bの切り落とし角度と近い傾斜角を有している。
【0027】
図2及び図3に示す如く、上記一対の駆動腕21a,21b、検出腕22a,22bの各々は、基部20に対して左右対称に設置されている。なお、本明細書において、「左右」方向とは、図示±X方向、すなわち、ヨーレートセンサ素子2の重心位置を勘案して決定される仮想的な振動静止点α(図2参照)を通り、かつ、駆動腕21a,21b、検出腕22a,22bの各々の延在方向に沿って平行に延びる仮想的な中心軸線βに直交する方向(±X方向)を示す。また、「左右対称」とは、紙面における左右方向の対称性を指すために便宜的に用いたものであり、中心軸線βを対称軸として線対称であることを示す。
【0028】
なお、本実施形態における、基部20、駆動腕21a,21b、検出腕22a,22bから構成されるヨーレートセンサ素子2は、共通の材料(例えばシリコン、水晶)からなり、基部20における複雑な切り抜き形状も含めて一般的なウェハ(シリコンウェハ等)のパターニング加工(MEMS加工)によって一体に又は一括で形成することが可能である。
【0029】
ここで、一対の駆動腕21a,21bは、基部20、検出腕22a,22bを含む平面上に、左右対称に、かつ基部20から遠ざかるように+Y方向へ延在しており、一対の検出腕22a,22bは、基部20、駆動腕21a,21bを含む平面上に、左右対称に、かつ基部20から遠ざかるように−Y方向へと延在しており、このとき、駆動腕21a,21b及び検出腕22a,22bの長さ(基部20との接続部位を始点としたY軸方向に沿う長さ)が互いに等しい場合には、検出腕22a,22bの幅(X軸方向に沿う長さ)が駆動腕21a,21bの幅に比して大きい(幅広である)ことが好ましい。
【0030】
このように構成すれば、コリオリ力の検出時に生じる駆動腕21a,21bのX軸方向への振動等が検出腕22a,22bに伝搬するのに起因して音叉自体が振動してしまうことを抑止でき、これにより、検出腕22a,22bにおけるコリオリ力の検出においてノイズ信号を誤って検知してしまうことをより有効に防止し易くなる。よって、ヨーレートセンサ素子2の角速度検出精度を更に向上させる観点から、駆動腕21a,21bの幅は駆動力を与えることができ電極面積を確保できる範囲で狭くすることが可能であり、検出腕22a,22bの幅は基部20の幅を勘案して可能な限り広くすることが可能である。また、検出腕22a,22bに形成する検出用圧電素子は、検出腕(22a又は22b)の幅を超えない範囲で広くすることがより好ましい。
【0031】
駆動腕21a,21bのいわゆる根元部分(基部20との接続部位に近い部分)には、それぞれ、各駆動腕21a,21bの延在方向に対して左右対称に配置された一対の振動用圧電素子26a,26b、及び、一対の振動用圧電素子26c,26dが設けられている。これらの一対の振動用圧電素子26a,26b、及び一対の振動用圧電素子26c,26dは、駆動腕21a,21bのそれぞれを、基部20、駆動腕21a,21b、検出腕22a,22b、及び支持腕23a,23bを含む面に沿ってX軸方向に振動させるためのものである。
【0032】
一方、検出腕22a,22bのいわゆる根元部分(基部20との接続部位に近い部分)の一方面(表面)には、それぞれ、検出用圧電素子26e,26gが設けられている。これらの検出用圧電素子26e,26gは、検出腕22a,22bがZ軸方向に振動したときに、その振動を検出するためのものである。また、各検出腕22a,22bの他方面(裏面)において、検出用圧電素子26e,26gに対応する位置に更なる検出用圧電素子26f,26hを設置してもよく、これらの一対の検出用圧電素子26e,26f、及び一対の検出用圧電素子26g,26hを用いて、一つのコリオリ力に起因して発生する振動を検出することにより、角速度の検出感度及び精度を更に一層高めることも可能である。
【0033】
図3A及び図3Bは、ヨーレートセンサ素子2が動作している状態を模式的に示す斜視図であり、ヨーレートセンサ素子2による角速度の検出原理を示す図でもある。図3Aに示すように、ヨーレートセンサ素子2は、集積回路素子3からの制御信号により、初期的に、一対の振動用圧電素子26a,26bを逆位相で伸縮させるとともに、振動用圧電素子26c,26dも逆位相で伸縮させることによって、駆動腕21a,21bをX軸方向(厳密には、XY平面内における図示矢印S1で示す方向)に振動させる。この時、振動用圧電素子26a,26dを同位相かつ同期して伸縮させ、振動用圧電素子26b,26cを同位相かつ同期して伸縮させることにより、駆動腕21a,21bは、同一周期で互いに接近と離隔を繰り返すように振動する。
【0034】
この駆動腕21a,21bの振動中に、ヨーレートセンサ装置1が搭載された物体がY軸方向を回転軸とする回転運動(Y軸周りの回転運動)を行うと、図3Bに示されるように、駆動腕21a,21bにコリオリ力が作用し、駆動腕21a,21bは、Z軸方向(厳密には、YZ平面内における図示矢印S2で示す方向)に逆位相で検出振動を生じる。そして、駆動腕21a,21bに作用するコリオリ力に起因したその振動が基部20へと伝達されると、基部20に接続されている検出腕22a,22bが、それぞれ、駆動腕21a,21bに対して、Z軸方向において逆向き(厳密には、YZ平面内における図示矢印S3で示す方向)に振動することとなり、これらの検出腕22a,22bにおけるZ軸方向の変位を検出することにより、角速度が検出される。
【0035】
本実施形態では、ヨーレートセンサ素子2の基部20にV字カット23a,23bや切り抜き25a,25bを設けてあることにより、駆動腕21a,21bに生じたZ軸方向(図示矢印S2で示す方向)の検出振動がより効率良く検出腕22a,22bに伝搬することが可能である。また、その際、基部20に生じる捻れが、切り抜き25a,25b、ならびに側方柱28a,28bにおいて吸収されるので、接続島24とセンサ接続部51との間の(電気的な)接続ラインが捻れにより断線したり、固定部分に物理的なダメージを与えて、ヨーレートセンサ素子2を適切な方向に支持することが困難になったり、最悪の場合にはヨーレートセンサ素子2自体が脱落したりすることを防ぐことができる。
【0036】
なお、本実施例に係るヨーレートセンサ素子2は、一般的なシリコン基板の形成プロセスで形成可能であり、その表面に配線を配設することも容易である。よって、ヨーレートセンサ素子2からの信号(例えばヨー検出信号)は、基部20における接続島24からワイヤーボンディングを介して配線560へと伝わり、その後固定部保持台45を介して集積回路素子3へと伝えられる。本実施形態では、フリップチップ実装などを用いれば、圧電素子用に別途配線を設ける必要が無いので、かかる配線と駆動腕21a,21bや検出腕22a,22bとの接触等によって生じ得る振動の誤検出といった不都合を抑止し、ヨーレートセンサ素子2の耐久性及び信頼性を向上させることもできる。
【0037】
図4は、本実施形態に係る固定部5の構成を示す平面図(上面図)である。固定部5は、センサ接続部51上に載せるヨーレートセンサ素子2(図示せず)の駆動腕及び検出腕の延在方向、すなわちヨーレートセンサ素子2の長手方向に沿って、例えば全体として実質的に平行に配置され、同一平面上に存在する一対の板状補助固定部52a,52b(本発明における「複数の固定部」に該当する。)を有する。ここで固定部5は、ヨーレートセンサ素子2の振動静止点αを通りヨーレートセンサ素子2の延在方向に延びる中心軸線β、及び同じく振動静止点αを通りヨーレートセンサ素子2の延在方向とは垂直な方向に延びる中心軸線γの双方に対して対称な形状をなし、かつβ軸方向(ヨーレートセンサ素子2の延在方向)長さがγ軸方向長さよりも長いことを特徴としている。具体的には、本実施形態にかかる固定部5は、一対の補助固定部52a,52b各々の位置関係を保ったまま対称の中心である振動静止点αに対して180°(2分の1周)の回転を加えた場合にのみ、当該位置関係が変化しない。本願ではこのような対称関係(直交する二軸各々に対して線対称であり、かつ一方の軸方向長さが他方の軸方向長さよりも長い関係)を「2回転対称」と称する。
【0038】
補助固定部52aは、ケース4に設けられた固定部保持台45との接続部分である保持端部53aを有しており、中心軸線γに対して線対称となる位置には固定部保持台45’との接続部分である保持端部53a’を有している。ここで各端部のβ軸方向長さは、接続対象となるケース4内部の接地(接続)面の面積に応じて適宜決定すればよい。
【0039】
補助固定部52aは、その長手方向(すなわちβ軸方向)の中央に長手中心55aを有しているが、長手中心55aにおける補助固定部52aの幅(γ軸方向長さ)は、保持端部53aにおける同様の幅と比較して小さい。よって、補助固定部52aの固定部端58をβ軸方向の開始点(−β軸方向の移動)とした場合の保持端部53aの終了部位である保持端部終了点57aより、長手中心55aへと向かう補助固定部52aの側面は緩やかな支持傾斜54aを有している。
【0040】
本実施形態に係る固定部5は2回転対称であるので、補助固定部52aは、中心軸線γに対して線対称となるように、長手中心55aに向かう支持傾斜54aとは逆方向の角度を有する緩やかな支持傾斜54a’を有する。すなわち、両方の傾斜を考えると補助固定部52aは、その中央部にV字形の切り落としを有している。また、同様の理由から、補助固定部52bも、各々保持端部終了点57b,57b’より長手中心55bへと向かう支持傾斜54b,54b‘によって形成されたV字形の切り落としを有している。
【0041】
上述したとおり、本実施例における一対の補助固定部52a,52bは、ヨーレートセンサ素子2の側方に、長手方向に沿って、例えば全体として実質的に平行に配置されているが、保持端部53a,53b間、保持端部53a’,53b’間、並びに長手中心55a,55b間の空隙56にて、γ軸方向と平行に補助固定部52a,52bを連結する、梁(橋、橋梁)530,530’,550(連結部)が設けられ、双方の補助固定部52a,52bが一体となっている。また、この3本の梁530,530’,550が存在することにより、固定部5の内部には、補助固定部52a、梁530、補助固定部52b、及び梁550の順に取り囲まれて画定された平面空間59と、補助固定部52a、梁550、補助固定部52b、及び梁530’の順に取り囲まれて画定された平面空間59’とが画定される。
【0042】
本実施形態において、保持端部53a,53b間で補助固定部52a,52bを連結する梁530は、β軸方向の長さが保持端部53a,53bのβ軸方向の長さと概ね同じであるので、保持端部53aから保持端部53bまでがγ軸方向に延在する一枚の板の如く存在し、ケース4に設けられた固定部保持台45と連結される。同様に、梁530’も、保持端部53a’から保持端部53b’までがγ軸方向に延在する一枚の板の如く存在し、ケース4に設けられた固定部保持台45’と連結される。
【0043】
長手中心55a,55b間で補助固定部52a,52bを連結する梁550は、中心軸線γに沿ってβ軸方向の幅を有する構造を有し、その中心(中心軸線βと中心軸線γとの交点α:振動静止点)にセンサ接続部51を有し、センサ接続部51の上に基部20の接続島24を固定・接続し、ヨーレートセンサ素子2を固定部5へと固定している。このように固定されると、ヨーレートセンサ素子2の駆動腕21及び検出腕22の各々は、平面空間59,59’上方に配置されることとなる。
【0044】
図5は、本実施形態にかかるヨーレートセンサ装置1内部の固定部5の耐振動動作原理を示す斜視拡大断面図であり、具体的には、図1におけるヨーレートセンサ装置1を、中心軸線βを含むYZ平面方向に切断した断面を視認し状態を示すものである。
【0045】
ヨーレートセンサ装置1は、取付先の装置の設置位置によって様々な方向からの外乱振動を与えられ得る。しかしながら、本実施形態にかかる全体として板状の形態をなす固定部5は、当該外乱振動を吸収する場合に、ヨーレートセンサ装置1内の固定部5が静止状態に存在している平面(XY平面)方向に対する外乱振動成分を、その平面に対して垂直な方向(Z軸方向)へと変換してZ軸方向にのみ変位し、回転運動等のZ方向以外の方向成分への変位を有効に防止することが可能である。
【0046】
加えて、本実施形態にかかる固定部5は2回転対称形状を有しており、固定部5の長手方向の長さが短手方向の長さよりも長いので、固定部5自体の共振周波数を優位に低下させることが可能であり、コリオリ力の検出方向の振動に対してより高い振動減衰効果(音叉の駆動周波数における振動伝達率の低減)を実現することにより、応力緩和効果が高くなるので、耐衝撃性能も向上される。
【0047】
さらに、本実施形態にかかる固定部5は中央に向かって固定部5の幅が狭くなるようなV字形の切込みを有しているので、X軸方向に幅狭である長手中心55a,55bにおける固定部5の弾性は幅広である保持端部53a,53b等の固定部5の弾性と比較すると小さい(すなわちたわみやすい)。よって、固定部5の中央部分、長手中心55a,55b周辺における変位量(図5における矢印A)は、端部(図5における矢印C及びC’)における変位量と比較すると大きいものとなる。つまり、本実施形態に於けるV字形の切込みによって生まれる固定部5の幅の変化は、外乱振動発生時の固定部5のZ軸方向の変位量の差となって現れ、固定部5のZ軸方向の動きをより滑らかなものとすることができる。本実施形態では、このようなZ軸方向の滑らかな動きが積極的に生み出されることにより、XY方向の変位を含むヨーレートセンサ素子2にノイズ振動が生じることがなくなり、ヨーレートセンサ装置1のS/N比が著しく向上する。
【0048】
また、そのような固定部5のZ軸方向の滑らかな動きによって、ヨーレートセンサ素子2と固定部5との間の接続部分にかかる応力は軽減し、ヨーレートセンサ装置1の耐性を向上させて寿命を伸ばすことが可能である。さらに、固定部5がZ軸方向に滑らかに効率良く変位することにより、固定部5内部における歪みの発生を抑えることができ、歪みエネルギーが熱エネルギーに変換されて伝搬し素子本体の温度が上昇してしまうことに起因する「温度ドリフト効果」を有効に防止することができる。
【0049】
またさらに、本実施形態では、ヨーレートセンサ装置1に対して、固定部5の中央に、つまりヨーレートセンサ素子2の搭載位置と重なり合う配置関係で、補助固定部52a,52bを連結する梁550が設けられているので、梁550により同一平面内で双方の補助固定部52a,52bが連結されて一体化され、これにより、補助固定部52a,52bが互いに引き付けられることにより、補助固定部52a,52b各々のZ軸方向の変位のタイミングを効果的に同期させ、センサ接続部51で支持するヨーレートセンサ素子2に対して回転方向の振動が加えられることを防止することができ、それによりヨーレートセンサ装置1の安定したコリオリ力の検出能力を向上させることが可能となる。
【0050】
なお、本実施形態において、固定部5の材質やZ軸方向の厚さ、中央部分のV字型の切り込みの大きさ、補助支持部材のX軸方向の幅等の各種条件は、支持対象となるヨーレートセンサ素子2のサイズや重さ、及びヨーレートセンサ装置1を搭載する対象となる装置の使用状況を勘案して適宜決定することができる。かような各種条件を踏まえた固定部5全体の強度は、ヨーレートセンサ素子2が、その振動抑制動作時に最高位置や最低位置に来たときにケース4の蓋や集積回路素子3に衝当しないように、例えば、一般的なコンピュータシミュレーションにより求めることが可能である。
【0051】
また、本実施例に係る固定部5は、一般的なシリコン基板の形成プロセスで形成可能であり、その表面に配線560を配設することも極めて容易である。さらには、固定部5とヨーレートセンサ素子2とをシリコン基板の形成プロセスを用いて一体形成することも可能である。固定部5とヨーレートセンサ素子2とを一体形成した場合には、ヨーレートセンサ素子2の上面と固定部5の上面とが同一階層になるような構成とすることも可能であり、固定部の厚みの範囲内で半導体基板と重なり合う部分を有するように構成することで、ケース4を含めたヨーレートセンサ装置1のパッケージの小型化を実現することができる。また、梁550におけるセンサ接続部51が上方空間に突出しないように梁550に溝を設け、溝内部に設けたセンサ接続部51に対してヨーレートセンサ素子2を接続することで、ヨーレートセンサ素子2を固定部5に埋め込むことも可能である。
【0052】
<第2実施形態>
図6は、圧電振動デバイスの固定部の第2実施形態に係る固定部6の構成を示す平面図(下面図)である。本実施形態では、固定部6の材料として、後述する樹脂又は樹脂組成物を用い、固定部6の裏面(ヨーレートセンサ素子2の設置面とは反対側)に、金属薄板600による補強部材が設けられていること以外は、前述した固定部5と同様に構成されたものである。よって、図6においては、共通する部材には同一の符号を付し、重複した説明を避けるため、ここでは、それらの説明を省略する。
【0053】
ここで、図7は、固定部6を製造している状態の一例を示す工程図(プロセスフロー図;概略断面図)である。具体的には、まず、適宜の金属からなる10〜20μm程度の金属板700(後に金属薄板600を形成するもの)を用意し、次に、それを、後述する樹脂又は樹脂組成物からなる5〜15μm程度の絶縁層710でコーティングする。なお、かかるコーティング処理に代えて、金属箔付きの樹脂シート、例えば、片面CCL(Copper Clad Laminate)構造を有するものを用いてもよい。これらの場合、金属としては、所望の強度を得ることができれば特に制限されず、上記のステンレス(SUS)材の他、例えば、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、鉄(Fe)、チタン(Ti)等、又は、それらの合金や複合金属材料等が挙げられる。
【0054】
その後、絶縁層710上に、無電解めっきや蒸着処理によって後述するCu配線740を形成するためのシード層720を形成し、その上に、パターニングされたドライフィルムレジスト730を設ける。それから、ドライフィルムレジスト730の開口部(シード層720が露呈している部位)の内部に、ヨーレートセンサ素子2及び電源との接続に用いるCu配線740をめっきした後、ドライフィルムレジスト730を溶解処理等によって剥離する。次に、露出したシード層720、及び、その反対面の金属板710を、それぞれ、イオンミリング等の適宜の処理により、エッチングする(金属板710を適宜パターニングして金属薄板600を形成する。)。次いで、図示両端部に形成されたCu配線740における所定の部位(後に導体接続用のパッド760が形成される部位)を除く図示上面を、適宜の樹脂材料等からなる保護層750によってオーバーコートする。そして、保護層750から露呈したCu配線740上に、例えば、Ni−Auめっきを施してパッド760を形成し、さらに、保護層750上の図示中央部分(センサ接続部550に相当)に、ヨーレートセンサ素子2が設置される台座770を設けて固定部6を得る。その台座770上には、上述したヨーレートセンサ素子2がダイボンドされる。
【0055】
図6に戻ると、本実施形態では、固定部6の裏面に設けられた金属薄板600は、補助固定部52a,52bの、保持端部53a、梁530、及び保持端部53bの裏側に相当する部分に、金属梁630を有し、保持端部53a’、梁530’、及び保持端部53b’の裏側に相当する部分に、金属梁630’を有し、さらに、梁550の裏側に相当する部分かつ梁550よりもγ軸方向に長い金属梁650を有し、金属梁650の両端を通り、金属梁630,630’,650をβ軸方向に接続する二本の補助金属梁620a,620bを有する。ここで、金属薄板600もまた、中心軸線β及び中心軸線γに対して2回転対象の形状をなしている。
【0056】
本実施形態にかかる固定部6は、固定部6自体が樹脂や樹脂組成物等で形成され、裏面から金属薄板600で補強されていることにより、固定部6自体の共振周波数を下げつつ固定部自体の強度を向上させることが可能となる。特に、本実施例のように樹脂や樹脂組成物等の有機材料(殊に、樹脂母材料のみ)を用いて形成された固定部等を用いる場合には、本実施形態にかかる補強部材の利用が効果的である。
【0057】
さらに、本実施形態では、固定部6の梁550の裏面に設けられた金属梁650が、補助固定部52a,53bの背面に設けられた補助金属梁620a,620bの双方を連結しているので、樹脂や樹脂組成物等からなる梁550に加えて金属製の梁650が補助固定部52a,53bを連結していることとなる。よって、本実施形態にかかる固定部6は、外乱振動を吸収する際、補助固定部52a,53bを互いに引き付けるように機能し、これにより、補助固定部52a,53b各々のZ軸方向の振動変位のタイミングをより正確に同期させ、センサ接続部550で支持するヨーレートセンサ素子2に対して回転方向の振動が加えられることを極めて有効に防止することができ、その結果、ヨーレートセンサ装置1の感度を向上させることができる。
【0058】
また,本実施形態では、固定部6が樹脂や樹脂組成物を用いて形成されたものを例示したが、別の実施形態として、固定部6をシリコンで形成することも可能であるし、シリコンからなる固定部の表面に対して樹脂又は樹脂組成物からなる有機材料(膜)をコーティングすることも可能である。このようなコーティングを施すことにより、固定部自体が有する共振周波数を効率よく下げることができる。
【0059】
これらの場合の樹脂母材料としては、例えば、シート状又はフィルム状に成型可能なものであれば特に制限されず使用可能であり、具体的には、例えば、ビニルベンジル樹脂、ポリビニルベンジルエーテル化合物樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂(BTレジン)、ポリフェニレンエーテル(ポリフェニレンオキサイド)樹脂(PPE,PPO)、シアネートエステル樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ+活性エステル硬化樹脂、ポリオレフィン樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、ポリイミド樹脂、(芳香族)ポリエステル樹脂、(芳香族)液晶ポリエステル樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、液晶ポリマー、シリコーン樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、若しくは、アクリルゴム、エチレンアクリルゴム等のゴム材料やゴム成分を一部に含むような樹脂、又は、これらの樹脂に、ガラス繊維、アラミド繊維等の樹脂繊維等を配合した材料、或いは、これらの樹脂をガラスクロス、アラミド繊維、不織布等に含浸させた材料等が挙げられ、これらは、単独で又は複数組み合わせて使用することができ、強度(機械特性)、耐熱性、絶縁性、吸水性等の観点から、適宜選択して用いることができる。
【0060】
また、これらの樹脂に、適宜のフィラーを添加剤として加えてもよい。かかるフィラーとしては、特に制限されないが、例えば、シリカ、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸アルミウイスカ、チタン酸カリウム繊維、アルミナ、ガラスフレーク、ガラス繊維、窒化タンタル、窒化アルミニウム、又は、マグネシウム、ケイ素、チタン、亜鉛、カルシウム、ストロンチウム、ジルコニウム、錫、ネオジウム、サマリウム、アルミニウム、ビスマス、鉛、ランタン、リチウム及びタンタルのうち少なくとも1種の金属を含む金属酸化物粉末等が挙げられ、樹脂母材料と同様、これらも、単独で又は複数組み合わせて使用することができ、また、強度(機械特性)、耐熱性、絶縁性、吸水性等の観点から、適宜選択して用いることができる。さらに、これらの樹脂に、安定化剤等の適宜の他の添加剤を加えても構わない。
【0061】
<第3実施形態>
上述した第1実施形態1及び第2実施形態において、ヨーレートセンサ素子2が複数の固定部(固定部材)によって支持されている場合、固定部自体に回転方向の振動が加えられたり、複数の固定部材間に変位量の差が生じたりすることよって、支持対象となるヨーレートセンサ素子2(センサエレメント)等に回転方向の振動が加えられてしまうことを防止するためには、複数の固定部材間を連結する連結部として「梁」を設けることが極めて有効であることを説明した。
【0062】
図8は、第1実施形態及び第2実施形態とは異なるタイプのヨーレートセンサ装置7の固定構造(支持構造)を示すXZ平面断面図である。ヨーレートセンサ装置7は、一対の固定部72a,72bによって、ヨーレートセンサ素子2が支持基板71に固定されたものである。これらの固定部72a,72bは、支持基板71の延在方向に平行な方向(図8の紙面におけるX軸方向)に延在する平行部73a,73b、及び支持基板71の周縁部から支持基板71の中央部上方に向かって斜めに立ち上がる立ち上げ部74a,74bを有している。そして、固定部72a,72bは、立ち上げ部74a,74bの固定部端部75a,75bにて、ヨーレートセンサ素子2を固定し、当該ヨーレートセンサ素子2を支持基板71の延在方向(図8におけるXY平面)と平行になるように、支持基板71の上方空間(所定の空間)内で支持(保持)している。
【0063】
なお、図8では、固定部材間の連結を簡便に説明するべく、一方向(X軸方向)における支持の態様のみを図示しているが、本実施形態におけるヨーレートセンサ装置7が中心δ(ヨーレートセンサ素子2の振動静止点に相当)において固定部72a,72bが延在する方向(X軸方向)と直交する方向(Y軸方向)に、追加的な固定部72c,72d(図示せず)が付加されていてもよく、この場合、固定部72aから固定部72bへと至るX軸方向の延在長さと、固定部72cから固定部72dへと至るY軸方向の延在長さとが異なっていてもよい。
【0064】
また、そのような固定部の「対」を、中心δを通って複数設ける等して偶数個の固定部によりヨーレートセンサ素子2を固定・支持してもよいし、例えば、中心δを中心にして120度回転させて3つの固定部材を設ける等して、奇数個の固定部によりヨーレートセンサ素子2を固定・支持してもよい。さらに、X軸上に延在する一対の固定部72a,72bの位置関係を保持したまま、当該一対の固定部を±Y軸方向に平行に移動(スライド)させた位置に新たな固定部72a’,72b’(図示せず)を追加的に設けることもできる(以上、図9及び図10において同様とする。)。このように、本実施形態におけるヨーレートセンサ素子2は、複数の固定部によって支持されていればよい。
【0065】
また、図8に示す本実施形態では、一対の固定部72a,72bと支持基板71の表面との間に、その一対の固定部72a,72bにおける平行部73a,73bを互いに連結する梁79(連結部)が設けられている。梁79は、支持基板71の表面及び固定部72a,72bの平行部73a,73bに対して、接着剤等の任意の固定手段を用いて固着されており、所望とする固定能力を有しその加工成形が可能であれば、シリコン、樹脂、金属等の如何なる材料で形成されてもよい。なお、本実施形態の如く、連結用の梁79が固定部72a,72bと支持基板71との間に設けられる場合には、梁79自身が外乱振動に起因するノイズを吸収可能である材料、すなわち振動伝達率の低い材料を用いて形成されることがより好ましく、そうすれば、ヨーレートセンサ装置7の耐振性能を更に向上させることができる。
【0066】
そして、梁79は、一対の固定部72a,72bに対して、外部からZ方向以外の振動(X軸方向又はY軸方向の成分を含む振動)が加えられた場合であっても、双方の固定部材72a,72bを下方で連結して相互に引き付けることにより、Z方向以外の固定部72a,72bの振動や変位を抑制し得るので、回転方向の振動M1(シーソー運動)が発生することを抑制することができ、ヨーレートセンサ素子2等のヨー検出能力に悪影響を与えることがない。また、そのような不要な振動M1を排除することによって、支持基板71と固定部72a,72bとの間の接続部分や、固定部72a,72bとヨーレートセンサ素子2との間の接続部分に、断続的に生じ得る歪み応力が印加されることを防止し、ヨーレートセンサ装置7全体の耐久性を向上させることも可能である。
【0067】
なお、本実施形態においては、連結部である梁79によって接続される複数の固定部が、常に「対」のなしている必要はなく、別の「対」に含まれる2つの固定部同士を連結したり、任意の複数の固定部を連続的に或いは交差するように連結したりしてもよい。本実施形態では、例えば奇数個の固定部同士を相互に連結することも可能である。すなわち、本実施形態における梁79は、ヨーレートセンサ装置7の設置対象となる機器の機能や設置状況に応じて、優先的に振動を抑制したい方向を勘案して設けることができる。例えば、3つ以上の固定部が存在するような場合であっても、信号抑制方向に対して特に効果的であると考えられる任意の少なくとも2つの固定部を連結しさえすればよく、これにより、ヨーレートセンサ装置7において生じ得る回転動作を簡便かつ容易に抑制することが可能である。
【0068】
<第4実施形態>
図9は、ヨーレートセンサ装置8の固定構造(支持構造)を示すXZ平面断面図である。ヨーレートセンサ装置8は、固定部72a,72bを連結する梁89(連結部)の位置が、支持基板71表面から支持基板の中央部上方に向かって斜めに立ち上がる立ち上げ部74a,74b間に存在すること以外は、前述したヨーレートセンサ装置7と同様に構成されたものである。
【0069】
図9においては、梁89による連結が、固定部72aの立ち上げ部74aの立ち上げ終了位置(すなわちヨーレートセンサ素子2に近い位置)と固定部72bの立ち上げ部74bの立ち上げ開始位置(すなわち支持基板71表面に近い位置)との間に設けられている。このような連結方法であれば、梁89と固定部との間の連結のみを考慮すればよいので、梁89を支持基板71と固定部材72の双方に連結しなければならない第3実施形態の連結方法に比して、両固定部材間の連結精度を向上させ得る。さらに、第3実施形態(梁が固定部と支持基板との間に介在する形態)によって、3つ以上の固定部を有するようなヨーレートセンサ装置8における任意の2つの固定部材を梁で連結すると、当該連結された2つの固定部材の高さと、連結されていない固定部材の高さとの間に差が生じてしまうのに対し、本実施形態による梁を用いた連結構造によれば、かかる不都合を回避することが可能である。
【0070】
さらに、本実施形態における梁89としては、固定部72a,72bとの間の連結距離と正確に同一な長さを有する「柱」でなくてもよく、適切な強度や弾性を有する「紐」状部材を用いてもよい。そして、当該紐状の梁の全長が、固定部72a,72b間の連結直線距離よりも僅かに長くてもよく、その場合、その連結状態において紐状梁が下方(−Z軸方向)に撓むこととなる。しかし、そのような撓みが存在したとしても、外部より極めて強いZ軸方向以外の振動(X軸方向成分又はY軸方向成分を含む振動)を加えられた際には、紐が張り、双方の固定部材72a,72bを引き付け合うことが可能である。よって、この場合にも、Z方向以外の固定部72a,72bの強い振動や変位を効果的に抑制し、回転方向の振動M1(シーソー運動)を防止することができるので、ヨーレートセンサ素子2等のヨー検出能力を高精度に保つことが可能となる。また、梁89として紐状部材を適用する場合には、逆に、梁部分にある程度の撓みが許容されるので、これにより、部品間を連結する際に要求される取付精度が軽減される利点がある。
【0071】
なお、図9に示す実施形態では、梁89の連結位置が、固定部72aの立ち上げ部74aの立ち上げ終了位置と固定部72bの立ち上げ部74bの立ち上げ開始位置との間で「斜め」に形成されているが、梁89の連結方法はこれに限定されることはなく、その連結位置は、立ち上げ部74a,74bの任意の位置から選択され得る。よって、例えば、梁89の延在方向が支持基板71の表面と平行になる場合も本実施形態に含まれる。
【0072】
<第5実施形態>
図10に示すのは、ヨーレートセンサ装置9の固定構造(支持構造)を示すXZ平面断面図である。ヨーレートセンサ装置9は、固定部72a,72bの立ち上げ部74a,74bと支持基板71の表面との間で画定された下方空間G3(所定の空間)が充填部材99で満たされていること以外は、前述したヨーレートセンサ装置7,8と同様に構成されたものである。
【0073】
本実施形態では、例えば樹脂や樹脂組成物等からなる充填部材99が、固定部72aと72bとの間の空間を完全に又は略完全に満たすことにより、全体として梁の機能を発現し、その結果、上述したヨーレートセンサ装置9における回転方向の振動M1(シーソー運動)をより強力に抑制することが可能である。
【0074】
本実施形態では、充填部材99を形成する材料として樹脂以外の固形(固体、固体状)材料が用いられてもよく、場合によっては、液(状)体を用いることもでき、例えば、下方空間G3に保持可能な程度の粘度を有すれば、ゲル状物質が用いられてもよい。本実施形態において、充填部材99として弾性材料を選択すれば、固定部72a,72bと協働してZ軸方向のダンピング効果を発揮しつつ、回転方向の振動を優位に取り除くことも可能である。
【0075】
<第6実施形態>
図11は、第1実施形態乃至第4実施形態とは異なるタイプのヨーレートセンサ装置10の固定構造(支持構造)を示すXZ平面断面図である。ヨーレートセンサ装置10は、ヨーレートセンサ素子2を固定・支持するために弾性体100a,100bを用い、これら弾性体間を連結するために連結部200を備えることを特徴としている。
【0076】
本実施形態におけるヨーレートセンサ装置10は、第3実施形態乃至第5実施形態における固定部72a,72bの立ち上げ部74a,74bのような固定部の長手方向に一定の長さを有する延在部分を含まず、一定の高さを有する単なる弾性体100a,100bの「塊」が、ヨーレートセンサ素子2を固定・支持する簡便な構造を有するものである。ここで弾性体100a,100bは、弾性体100a,100bを装置内の同一平面上に保持する連結支持部210a,210bと、当該連結支持部210a,210bとを横方向(図11におけるX軸方向)に連結するための連結架橋部230とからなる連結部200によって装置内に保持されている。連結支持部210a,210bは、各々、その一方端にて弾性体100a,100bを下方より固定支持し、他方端で支持基板71から上方(Z軸線方向)に垂直に立ち上がった壁77a,77bに固定されている。
【0077】
このような構成によれば、弾性体100a,100bがZ軸方向以外の方向に対しても伸張・収縮し得ることに起因して生じる、XY平面方向における僅かな変位M2(図11においてはX軸方向の変位のみ視認できる)、及び、第3実施形態乃至第5実施形態で述べたような回転方向の変位M1(図示せず)を抑制することができる。また、このように梁として機能する連結部200をヨーレートセンサ素子2の保持構造としても用い、固定部材を含むヨーレートセンサ素子2自体を持ち上げることにより、支持基板71表面よりの直接的な外乱振動の伝搬を優位に低減させることができる。
【0078】
なお、本実施形態では、連結部200の連結架橋部230が、連結支持部210a,210bによって画定される面よりも下方の空間に迂回するように、連結支持部210a,210bを連結しているが、連結支持部210a,210bを互いに引き付けること可能であれば、任意の連結方法(形態)であってよい。また、本実施形態においては、説明の簡略化の為にX軸線上に設けられた一対の弾性体100a,100bのみを示していたが、同様の弾性体がXY平面状に複数存在してもよく、本実施例の優れた効果は、そのような複数の弾性体の任意の2つを連結させた場合であっても同様に享受できる。
【0079】
ここで、図12は、これまでに説明した全ての実施形態に適用可能な超音波センサ素子11の構成の一例を概略的に示す断面図である。図12に示すように、超音波センサ素子11は、超音波による薄膜160の振動を圧電素子161(例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を一対のPtで挟んだ積層構造の素子)によって電気的に検出するものであり、車両内における人員の有無や車両間隔の測定など、距離測定に応用される。このようなデバイスにおいても本発明を適応することにより耐震・耐衝撃性の向上が可能となる。
【0080】
なお、本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、先に適宜述べたとおり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更(例えば、各実施形態の内容の適宜な組み合わせ等)が可能である。
【符号の説明】
【0081】
1,7,8,9,10…ヨーレートセンサ装置(圧電振動デバイス)、2…ヨーレートセンサ素子(圧電振動デバイス)、3…集積回路素子、4…ケース、5,6,72…固定部、11…超音波センサ素子、20…基部、21…駆動腕、22…検出腕、23…V字カット、24…接続島、25…切り抜き、26,161…圧電素子、27…傾斜部、28…側方柱、41,42…窪み、43,44…底面、45…固定部保持台、51…センサ接続部、52,62,72…補助固定部、53…保持端部、54…支持傾斜、55,75…長手中心、56…空隙、57…保持端部終了点、58…固定部端、59…平面空間、79…支持基板、平行部…73、74…立ち上げ部、75…固定部端部、77…壁、79,89,530,550…梁、99…充填部材、100…弾性体、160…薄膜、200…連結部、210…連結支持部、230…連結架橋部、600…金属薄板、620…補助金属梁、630,650…金属梁、700…SUS板、710,750…ポリイミド、720…シード層、730…ドライフィルムレジスト、740…Cu配線、A,B、C…変位、M1,M2…振動(変位)、α…振動静止点、β,γ…仮想中心軸線、(各部材の符号においては、説明の都合上、必要に応じて、添字の「a」、「b」等を適宜割愛した。)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板に設けられた又は形成された圧電素子を含むセンサ部と、
互いに対向して配置され、かつ、前記センサ部を支持する複数の固定部と、
前記複数の固定部のうち少なくとも2つを連結する連結部と、
を有する圧電振動デバイス。
【請求項2】
前記連結部は、前記半導体基板の延在方向に沿って延在している、
請求項1に記載の圧電振動デバイス。
【請求項3】
前記連結部は、前記センサ部と該連結部とが接続される接続部の面積よりもよりも広い面積を有する、
請求項1又は2に記載の圧電振動デバイス。
【請求項4】
前記固定部は、前記センサ部及び該固定部によって所定の空間が画定される曲げ形状を有し、
前記連結部は、前記所定の空間において、前記複数の固定部のうち少なくとも2つを連結する、
請求項1乃至3の何れかに記載の圧電振動デバイス。
【請求項5】
前記複数の固定部は、板状をなし、かつ、前記半導体基板の延在方向に沿って延在しており、
前記連結部は、板状をなし、かつ、前記固定部を同一平面内で連結しており、
前記半導体基板は、前記連結部の一方の面に実装されている、
請求項1乃至3の何れかに記載の圧電振動デバイス。
【請求項6】
前記固定部及び/又は前記連結部は、前記半導体基板が実装されている面とは反対側の面に貼付された補強部材を有する、
請求項5に記載の圧電振動デバイス。
【請求項1】
半導体基板に設けられた又は形成された圧電素子を含むセンサ部と、
互いに対向して配置され、かつ、前記センサ部を支持する複数の固定部と、
前記複数の固定部のうち少なくとも2つを連結する連結部と、
を有する圧電振動デバイス。
【請求項2】
前記連結部は、前記半導体基板の延在方向に沿って延在している、
請求項1に記載の圧電振動デバイス。
【請求項3】
前記連結部は、前記センサ部と該連結部とが接続される接続部の面積よりもよりも広い面積を有する、
請求項1又は2に記載の圧電振動デバイス。
【請求項4】
前記固定部は、前記センサ部及び該固定部によって所定の空間が画定される曲げ形状を有し、
前記連結部は、前記所定の空間において、前記複数の固定部のうち少なくとも2つを連結する、
請求項1乃至3の何れかに記載の圧電振動デバイス。
【請求項5】
前記複数の固定部は、板状をなし、かつ、前記半導体基板の延在方向に沿って延在しており、
前記連結部は、板状をなし、かつ、前記固定部を同一平面内で連結しており、
前記半導体基板は、前記連結部の一方の面に実装されている、
請求項1乃至3の何れかに記載の圧電振動デバイス。
【請求項6】
前記固定部及び/又は前記連結部は、前記半導体基板が実装されている面とは反対側の面に貼付された補強部材を有する、
請求項5に記載の圧電振動デバイス。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−137654(P2011−137654A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−296199(P2009−296199)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]