圧電振動子、発振器、電子機器及び電波時計
【課題】小型化、低コスト化を達成しつつ、電気容量C0を高くすることが可能な圧電振動子、発振器、電子機器及び電波時計を提供する。
【解決手段】ベース基板2、リッド基板3、励振電極15が形成されている圧電振動片4、外部電極38、39を備える圧電振動子1において、引き回し電極37に沿って延びる電気容量調整用の電極パターン36aが引き回し電極36から延設されている。
【解決手段】ベース基板2、リッド基板3、励振電極15が形成されている圧電振動片4、外部電極38、39を備える圧電振動子1において、引き回し電極37に沿って延びる電気容量調整用の電極パターン36aが引き回し電極36から延設されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに接合された2枚の基板の間に形成されたキャビティ内に圧電振動片が収容された圧電振動子、発振器、電子機器、及び電波時計に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話や携帯情報端末機器には、時刻源や制御信号等のタイミング源、リファレンス信号源等として水晶等を利用した圧電振動子が用いられており、例えば、互いに接合するベース基板とリッド基板とを備え、両基板の間に形成されるキャビティ用の凹部において圧電振動片を収容する圧電振動子が知られている。
【0003】
このような圧電振動子では、圧電振動片に形成された励振電極に対して外部電極から所定の電圧を印加することにより、所定の周波数で圧電振動片を振動させている。より具体的には、ベース基板には、励振電極と外部電極とを電気的に導通する電極パターンが形成されており、この電極パターンを介して外部電極から圧電振動片に電圧を印加している。なお、関連する技術が下記の特許文献に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−110398号公報
【特許文献2】特開平7−74581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の圧電振動子には次の課題がある。一般的に圧電振動子の特性を示すものとして「緩急特性」が知られている。緩急特性とは、その圧電振動子の負荷容量値(CL)を変化させていった場合に、周波数変化量(Δf/f)がどのように変化するかを示す特性である。一般的には、負荷容量値(CL)の値を小さくするほど、周波数変化量(Δf/f)が大きくなるが、周波数変化量(Δf/f)は、なるべく小さいほうが好ましい。
【0006】
そこで圧電振動子の周波数変化量(Δf/f)を低く抑える手段として、圧電振動子の電気容量C0を高くすることが考えられる。ここで電気容量C0とは、圧電振動子そのものが有する電気容量のことを指す。即ち、圧電振動子そのものが有する電気容量C0を大きくすることで、上述の周波数変化量(Δf/f)を低く抑えることができ、更には圧電振動子の電気的特性を向上させることが可能になる。しかしながら、近年、圧電振動子の小型化への要求が更に高まりつつあり、電気容量C0を高めるための構成を別途設けようとすると、小型化への要求を達成することが困難になり、また、製造コストの増大にもつながるといった問題がある。
【0007】
このように、従来では圧電振動子の小型化、低コスト化を達成しつつ、圧電振動子自体の電気容量C0を高くするという技術は何ら開示されていない。そこで本願発明は、小型化、低コスト化を達成しつつ、電気容量C0を高くすることが可能な圧電振動子、発振器、電子機器及び電波時計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明にあっては、
ベース基板と、
前記ベース基板と対向した状態で前記ベース基板に接合されるリッド基板と、
前記ベース基板と前記リッド基板との間に形成される凹部内に収容され、励振電極が形成されている圧電振動片と、
前記ベース基板の外面に形成されている外部電極と、
前記圧電振動片と前記外部電極とを電気的に接続する電極パターンと、を備え、
前記外部電極と前記電極パターンとが、それぞれの電気極性に対応して設けられている圧電振動子において、
一方の極性に対応する前記電極パターンと、
他方の極性に対応する前記電極パターンとが、
前記ベース基板の内面側において、互いに接近した状態で対向していることを特徴とする。
【0009】
また、ベース基板と、
前記ベース基板と対向した状態で前記ベース基板に接合されるリッド基板と、
前記ベース基板と前記リッド基板との間に形成される凹部内に収容され、励振電極が形成されている圧電振動片と、
前記ベース基板の外面に形成されている外部電極と、
前記圧電振動片と前記外部電極とを電気的に接続する電極パターンと、を備え、
前記外部電極と前記電極パターンとが、それぞれの電気極性に対応して設けられている圧電振動子において、
一方の極性に対応する前記電極パターンと、
他方の極性に対応する前記外部電極とが、
前記ベース基板の厚さ方向において互いに対向していることを特徴とする。
【0010】
また、前記一方の極性に対応する電極パターンと、前記他方の極性に対応する電極パターンとが互いに接近した状態で対向するように、
前記一方の極性に対応する電極パターンに沿って延びる電気容量調整用の電極パターンが、前記他方の極性に対応する電極パターンから延設されていると好適である。
【0011】
また、前記一方の極性に対応する電極パターンから延びる第1の重なり電極部と、前記他方の極性に対応する電極パターンから延びる第2の重なり電極部とが誘電体を挟んで互いに接近した状態で対向していると好適である。
【0012】
また、前記ベース基板の内面側において、
前記一方の極性に対応する電極パターンが、前記他方の極性に対応する外部電極との対向領域まで延びるように形成されていると好適である。
【0013】
また、前記ベース基板は、複数のセラミックシートが厚さ方向に積層されてなるセラミック多層基板であり、
前記他方の極性に対応する外部電極に対向するように、前記一方の極性に対応する電極パターンから外部電極対向用の延伸部が前記複数のセラミックシートの少なくとも1つのシート上に形成されていると好適である。
【0014】
また、前記リッド基板はガラス材料からなる基板であって、かつ、前記圧電振動片の先端には周波数調整用の重り金属膜が形成されており、
前記ベース基板の内面側において、前記圧電振動片の先端近傍には前記電極パターンが形成されていないと好適である。
【0015】
上記に記載の圧電振動子が、発振子として集積回路に電気的に実装されていると好適である。
【0016】
上記に記載の圧電振動子が、計時部に電気的に実装されていると好適である。
【0017】
上記に記載の圧電振動子が、フィルタ部に電気的に接続されていると好適である。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明によれば、小型化、低コスト化を達成しつつ、電気容量C0を高くすることが可能な圧電振動子、発振器、電子機器及び電波時計を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る圧電振動子の斜視図である。
【図2】本発明に係る圧電振動子の上面図である。
【図3】本発明に係る圧電振動子の断面図である。
【図4】本発明における圧電振動片の概略図である。
【図5】第1実施形態に係る圧電振動子の概略構成図である。
【図6】第1実施形態に係る圧電振動子の概略構成図である。
【図7】第2実施形態に係る圧電振動子の概略構成図である。
【図8】第2実施形態に係る圧電振動子の概略構成図である。
【図9】第3実施形態に係る圧電振動子の概略構成図である。
【図10】第3実施形態に係る圧電振動子の概略構成図である。
【図11】第4実施形態に係る圧電振動子の概略構成図である。
【図12】第4実施形態に係る圧電振動子の概略構成図である。
【図13】第4実施形態に係る圧電振動子の概略構成図である。
【図14】本発明に係る発振器の概略構成図である。
【図15】本発明に係る電子機器の概略構成図である。
【図16】本発明に係る電波時計の概略構成図である。
【図17】従来例と本発明の緩急特性を比較する比較データである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0021】
<第1実施形態>
図1〜図6を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。
【0022】
(1−1:圧電振動子の概略構成について)
図1〜図4を参照して、本実施形態に係る圧電振動子の概略構成について説明する。本実施形態に係る圧電振動子1は、ベース基板2と、キャビティ用の凹部が形成されているリッド基板3とを備え、両基板を互いに接合させた状態において、キャビティ用の凹部に圧電振動片4を収容したものである。図1に示すように、両基板が接合した状態では、圧電振動子1は箱状に形成されている。なお、キャビティ用の凹部はベース基板1に形成されていてもよいし、ベース基板1とリッド基板3の両方に形成されていてもよい。
【0023】
図4に示すように圧電振動片4は、水晶、タンタル酸リチウムやニオブ酸リチウム等の圧電材料から形成された音叉型の振動片であり、正極、負極のそれぞれの電圧が印加されることで所定の振動数で振動するものである。
【0024】
圧電振動片4は、平行に配置された一対の振動腕部10、11と、該一対の振動腕部10、11の基端側を一体的に固定する基部12と、一対の振動腕部10、11の外表面上に形成されて一対の振動腕部10、11を振動させる第1の励振電極13と第2の励振電極14とからなる励振電極15と、第1の励振電極13及び第2の励振電極14に電気的に接続されたマウント電極16、17とを有している。
【0025】
また、本実施形態の圧電振動片4は、一対の振動腕部10、11の両主面上に、該振動腕部10、11の長手方向に沿ってそれぞれ形成された溝部18を備えている。この溝部18は、振動腕部10、11の基端側から略中間付近まで形成されている。
【0026】
第1の励振電極13と第2の励振電極14とからなる励振電極15は、一対の振動腕部10、11を互いに接近又は離間する方向に所定の共振周波数で振動させる電極であり、一対の振動腕部10、11の外表面に、それぞれ電気的に切り離された状態でパターニングされて形成されている。それぞれの励振電極13、14には、正極、負極の電圧が印加される。
【0027】
また、第1の励振電極13及び第2の励振電極14は、基部12の両主面上において、それぞれ引き出し電極19、20を介してマウント電極16、17に電気的に接続されている。そして圧電振動片4は、このマウント電極16、17を介して外部から電圧が印加されるようになっている。なお、上述した励振電極15、マウント電極16、17及び引き出し電極19、20は、例えば、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)やチタン(Ti)等の導電性膜の被膜により形成されたものである。
【0028】
また、一対の振動腕部10、11の先端には、周波数調整用の重り金属膜21が被膜されている。この重り金属膜21は、周波数を粗く調整する際に使用される粗調膜21aと、微小に調整する際に使用される微調膜21bとに分かれている。これら粗調膜21a及び微調膜21bにレーザ光を照射して周波数調整を行うことで、一対の振動腕部10、11の周波数をデバイスの公称周波数の範囲内に収めることができる。なお、本実施形態におけるリッド基板3はガラス材料によって構成されているので、周波数調整は、リッド基板3とベース基板2とを接合した後で、レーザ光によるトリミングによって行うことができる。
【0029】
このように構成された圧電振動片4は、図3に示すように、金属バンプB(例えばAuのバンプ)を利用して、ベース基板2の上面にバンプ接合されている。より具体的には、ベース基板2の内面側(圧電振動片4が収容される側)にパターニングされた引き回し電極36、37上に形成された2つのバンプB上に、一対のマウント電極16、17がそれぞれ接触している。これにより、圧電振動片4は、ベース基板2の内面から浮いた状態で支持される。
【0030】
また、リッド基板3は、ガラス材料、例えばソーダ石灰ガラスからなる透明の絶縁基板である。そして、リッド基板3において、ベース基板2が接合される接合面側には、圧電振動片4が収容される矩形状の凹部3aが形成されている。この凹部3aは、両基板2、3が重ね合わされたときに、圧電振動片4を収容するキャビティCとなる。そして、リッド基板3は、この凹部3aをベース基板2側に対向させた状態で該ベース基板2に対して陽極接合されている。
【0031】
ベース基板2は、リッド基板3と同様にガラス材料、例えばソーダ石灰ガラスからなる透明な絶縁基板である。ベース基板2には、ベース基板2を貫通する一対のスルーホール(貫通孔)30、31が形成されている。より詳しく説明すると、スルーホール30、31は、マウントされた圧電振動片4の基部12側に一方のスルーホール30が位置し、振動腕部10、11の先端側に他方のスルーホール31が位置するように形成されている。
【0032】
そして、これら一対のスルーホール30、31には、該スルーホール30、31を埋めるように形成された一対の貫通電極32、33が形成されている。これら貫通電極32、33は、図3に示すようにスルーホール30、31を完全に塞いでキャビティC内の気密を維持していると共に、後述する外部電極38、39と引き回し電極36、37とを導通させる役割を担っている。
【0033】
ベース基板2の内面側には、図2に示すように、導電性材料(例えば、アルミニウム)により、陽極接合用の接合膜35と、一対の引き回し電極36、37とがパターニングされている。接合膜35は、リッド基板3に形成された凹部3aの周囲を囲むようにベース基板2の周縁に沿って形成されている。
【0034】
また、一対の引き回し電極36、37は、一対の貫通電極32、33のうち、一方の貫通電極32と圧電振動片4の一方のマウント電極16とを電気的に接続すると共に、他方の貫通電極33と圧電振動片4の他方のマウント電極17とを電気的に接続するようにパターニングされている。より詳しく説明すると、一方の引き回し電極36は、圧電振動片4の基部12の真下に位置するように一方の貫通電極32の真上に形成されている。また、他方の引き回し電極37は、一方の引き回し電極36に隣接した位置から、振動腕部10、11に沿って該振動腕部10、11の先端側に引き回しされた後、他方の貫通電極33の真上に位置するように形成されている。
【0035】
そして、これら一対の引き回し電極36、37上にそれぞれ金属バンプBが形成されており、金属バンプBを利用して圧電振動片4がマウントされている。これにより、圧電振動片4の一方のマウント電極16が、一方の引き回し電極36を介して一方の貫通電極32に電気的に接続し、他方のマウント電極17が、他方の引き回し電極37を介して他方の貫通電極33に電気的に接続するようになっている。
【0036】
また、ベース基板2の外面には、図1に示すように、一対の貫通電極32、33に対してそれぞれ電気的に接続される外部電極38、39が形成されている。つまり、一方の外部電極38は、一方の貫通電極32及び一方の引き回し電極36を介して圧電振動片4の第1の励振電極13に電気的に接続されている。また、他方の外部電極39は、他方の貫通電極33及び他方の引き回し電極37を介して、圧電振動片4の第2の励振電極14に電気的に接続されている。
【0037】
なお、本実施形態における「電極パターン」とは、圧電振動片4と外部電極38、39とを電気的に接続する電気パターンのことをいい、例えば引き回し電極36、37、及び貫通電極32、33を含む。即ち、外部電極38、39と金属バンプBとを電気的に接続する電極をまとめて「電極パターン」と呼ぶ。
【0038】
このように構成された圧電振動子1を作動させる場合には、ベース基板2に形成された外部電極38、39に対して、所定の駆動電圧を印加する。これにより、圧電振動片4の第1の励振電極13及び第2の励振電極14からなる励振電極15に電流を流すことができ、一対の振動腕部10、11を接近・離間させる方向に所定の周波数で振動させることができる。そして、この一対の振動腕部10、11の振動を利用して、時刻源、制御信号のタイミング源やリファレンス信号源等として利用することができる。
【0039】
(1−2:電極パターンについて)
図5、6を参照して、本実施形態に係る電極パターンについて説明する。図5に示すように、ベース基板2の内面側には、電極パターンとしての引き回し電極36、37が形成されている。引き回し電極36、37の主たる目的は、貫通電極32、33と金属バンプBとの電気的な導通をとることにあるが、ここではそれのみならず、特に引き回し電極36には、他方の引き回し電極37に沿って延びる「電気容量調整用の電極パターン36a」が形成されている点が特徴である。この電極パターン36aは図示するように、金属バンプB、及び貫通電極32の位置から、他方の引き回し電極37に接近した状態で対向するように延設されている。
【0040】
かかる構成によると、引き回し電極37に対して電極パターン36aを近接配置することで、電気容量C0、即ち圧電振動子1自体の電気容量を大きくすることができる。なお、電極パターン36aと引き回し電極37との間隔は特に限定されるものではないが、この間隔を狭めることで電気容量C0を更に大きくすることができる。
【0041】
また、上述のように本実施形態では、圧電振動子1の周波数調整をレーザ光によるトリミングで行うため、図6(a)に示すように、引き回し電極36、37、及び電極パターン36aは、少なくとも圧電振動片4の先端近傍では圧電振動片4の下方に配置されないようにする必要がある(レーザ光の影響を受けないようにするため)。
【0042】
なお、電極パターン36aのパターン形状は図6(a)に示すパターン形状に限られるものではない。例えば図6(b)のように、引き回し電極37のさらに外側まで延び、ベース基板2の縁部と引き回し電極37との間を引き回し電極37に沿って延びるような形状であってもよい。さらには、引き回し電極37に沿って、かつ引き回し電極37を囲むように電極パターン36aを配置してもよい。いずれの形態であっても、引き回し電極37の近接に電極パターン36aが配置されているので、異極の電圧が印加される2つの電極が近接配置されることで、圧電振動子1自体の電気容量C0を大きくすることが可能になる。
【0043】
なお、念のため付言すると、従来技術として挙げた特許文献2にはダミー電極を設ける点が開示されているが、この電極は引き回し電極に対して近接配置されるものではない。そもそも電極パターンを引き回し電極に対して近接配置することで電気容量C0を大きくする、といった技術思想は従来技術には何ら開示されておらず、本願発明は従来技術にはない構成、顕著な効果を有しているといえる。
【0044】
(1−3:電極パターンの効果について)
図17を参照して、本実施形態の効果について説明する。図17は、従来例と本発明の緩急特性を比較する比較データである。上述したように、本実施形態では電気容量調整用の電極パターン36aを引き回し電極36から延設することにより、同サイズの従来の圧電振動子と比較して電気容量を大幅に大きくすることが可能になった。その結果、図示するように、周波数変化量(△f/f)を従来例と比較して低く抑えることが可能になった。特に負荷容量CLの値が小さい領域では、周波数変化量(△f/f)の値を大幅に抑えることが可能になる。よって、優れた電気特性を有する圧電振動子を提供することができる。
【0045】
また、本実施形態では、従来より設けられている引き回し電極36の一部を他方の引き回し電極37に沿うように延ばす、といった工夫により、電気容量C0の増大を図っている。よって、圧電振動子1全体の大きさ自体を特に変更することなく、簡易な構成によって電気容量C0を大きくすることができるので、小型化、低コスト化を達成することができる。また、電極パターン36aは引き回し電極36と同一工程で形成されるものであるので、電気容量C0を大きくするために別途複雑な工程を導入する、といった必要がない。なお、引き回し電極36、37、及び電極パターン36aは、ベース基板2上に導電性材料をパターニングして形成されるものである。
【0046】
(1−4:発振器、電子機器、及び電波時計について)
以下、上述した圧電振動子1を電気的に実装可能な発振器、電子機器、及び電波時計について説明する。
【0047】
発振器100は、図14に示すように、圧電振動子1を、集積回路101に電気的に接続された発振子として構成したものである。この発振器100は、コンデンサ等の電子部品102が実装された基板103を備えている。基板103には、発振器用の上記集積回路101が実装されており、この集積回路101の近傍に、圧電振動子1が実装されている。これら電子部品102、集積回路101及び圧電振動子1は、図示しない配線パターンによってそれぞれ電気的に接続されている。なお、各構成部品は、図示しない樹脂によりモールドされている。
【0048】
このように構成された発振器100において、圧電振動子1に電圧を印加すると、該圧電振動子1内の圧電振動片4が振動する。この振動は、圧電振動片4が有する圧電特性により電気信号に変換されて、集積回路101に電気信号として入力される。入力された電気信号は、集積回路101によって各種処理がなされ、周波数信号として出力される。これにより、圧電振動子1が発振子として機能する。また、集積回路101の構成を、例えば、RTC(リアルタイムクロック)モジュール等を要求に応じて選択的に設定することで、時計用単機能発振器等の他、当該機器や外部機器の動作日や時刻を制御したり、時刻やカレンダー等を提供したりする機能を付加することができる。
【0049】
上述したように、本実施形態の発振器100によれば、キャビティC内の気密が確実で、作動の信頼性が向上した高品質な圧電振動子1を備えているので、発振器100自体も同様に作動の信頼性を高めて高品質化を図ることができる。さらにこれに加え、長期にわたって安定した高精度な周波数信号を得ることができる。
【0050】
次に、本発明に係る電子機器の一実施形態について、図15を参照して説明する。なお電子機器として、上述した圧電振動子1を有する携帯情報機器110を例にして説明する。始めに本実施形態の携帯情報機器110は、例えば、携帯電話に代表されるものであり、従来技術における腕時計を発展、改良したものである。
【0051】
携帯情報機器110は、図15に示すように、圧電振動子1と、電力を供給するための電源部111とを備えている。電源部111は、例えば、リチウム二次電池からなっている。この電源部111には、各種制御を行う制御部112と、時刻等のカウントを行う計時部113と、外部との通信を行う通信部114と、各種情報を表示する表示部115と、それぞれの機能部の電圧を検出する電圧検出部116とが並列に接続されている。そして、電源部111によって、各機能部に電力が供給されるようになっている。
【0052】
制御部112は、各機能部を制御して音声データの送信及び受信、現在時刻の計測や表示等、システム全体の動作制御を行う。また、制御部112は、予めプログラムが書き込まれたROMと、該ROMに書き込まれたプログラムを読み出して実行するCPUと、該CPUのワークエリアとして使用されるRAM等とを備えている。
【0053】
計時部113は、発振回路、レジスタ回路、カウンタ回路及びインターフェース回路等を内蔵する集積回路と、圧電振動子1とを備えている。圧電振動子1に電圧を印加すると圧電振動片4が振動し、該振動が水晶の有する圧電特性により電気信号に変換されて、発振回路に電気信号として入力される。発振回路の出力は二値化され、レジスタ回路とカウンタ回路とにより計数される。そして、インターフェース回路を介して、制御部112と信号の送受信が行われ、表示部115に、現在時刻や現在日付或いはカレンダー情報等が表示される。
【0054】
通信部114は、従来の携帯電話と同様の機能を有し、無線部117、音声処理部118、切替部119、増幅部120、音声入出力部121、電話番号入力部122、着信音発生部123及び呼制御メモリ部124を備えている。
【0055】
無線部117は、音声データ等の各種データを、アンテナ125を介して基地局と送受信のやりとりを行う。音声処理部118は、無線部117又は増幅部120から入力された音声信号を符号化及び複号化する。増幅部120は、音声処理部118又は音声入出力部121から入力された信号を、所定のレベルまで増幅する。音声入出力部121は、スピーカやマイクロフォン等からなり、着信音や受話音声を拡声したり、音声を集音したりする。
【0056】
また、着信音発生部123は、基地局からの呼び出しに応じて着信音を生成する。切替部119は、着信時に限って、音声処理部118に接続されている増幅部120を着信音発生部123に切り替えることによって、着信音発生部123において生成された着信音が増幅部120を介して音声入出力部121に出力される。なお、呼制御メモリ部124は、通信の発着呼制御に係るプログラムを格納する。また、電話番号入力部122は、例えば、0から9の番号キー及びその他のキーを備えており、これら番号キー等を押下することにより、通話先の電話番号等が入力される。
【0057】
電圧検出部116は、電源部111によって制御部112等の各機能部に対して加えられている電圧が、所定の値を下回った場合に、その電圧降下を検出して制御部112に通知する。このときの所定の電圧値は、通信部114を安定して動作させるために必要な最低限の電圧として予め設定されている値であり、例えば、3V程度となる。電圧検出部116から電圧降下の通知を受けた制御部112は、無線部117、音声処理部118、切替部119及び着信音発生部123の動作を禁止する。特に、消費電力の大きな無線部117の動作停止は、必須となる。更に、表示部115に、通信部114が電池残量の不足により使用不能になった旨が表示される。
【0058】
即ち、電圧検出部116と制御部112とによって、通信部114の動作を禁止し、その旨を表示部115に表示することができる。この表示は、文字メッセージであっても良いが、より直感的な表示として、表示部115の表示面の上部に表示された電話アイコンに、×(バツ)印を付けるようにしても良い。なお、通信部114の機能に係る部分の電源を、選択的に遮断することができる電源遮断部126を備えることで、通信部114の機能をより確実に停止することができる。
【0059】
上述したように、本実施形態の携帯情報機器110によれば、キャビティC内の気密が確実で、作動の信頼性が向上した高品質な圧電振動子1を備えているので、携帯情報機器自体も同様に作動の信頼性を高めて高品質化を図ることができる。さらにこれに加え、長期にわたって安定した高精度な時計情報を表示することができる。
【0060】
次に、本実施形態に係る電波時計130について、図16を参照して説明する。電波時計130は、フィルタ部131に電気的に接続された圧電振動子1を備えたものであり、時計情報を含む標準の電波を受信して、正確な時刻に自動修正して表示する機能を備えた時計である。
【0061】
日本国内には、福島県(40kHz)と佐賀県(60kHz)とに、標準の電波を送信する送信所(送信局)があり、それぞれ標準電波を送信している。40kHz若しくは60kHzのような長波は、地表を伝播する性質と、電離層と地表とを反射しながら伝播する性質とを併せもつため、伝播範囲が広く、上述した2つの送信所で日本国内を全て網羅している。
【0062】
以下、電波時計130の機能的構成について詳細に説明する。
アンテナ132は、40kHz若しくは60kHzの長波の標準電波を受信する。長波の標準電波は、タイムコードと呼ばれる時刻情報を、40kHz若しくは60kHzの搬送波にAM変調をかけたものである。受信された長波の標準電波は、アンプ133によって増幅され、複数の圧電振動子1を有するフィルタ部131によって濾波、同調される。
本実施形態における圧電振動子1は、上記搬送周波数と同一の40kHz及び60kHzの共振周波数を有する水晶振動子部138、139をそれぞれ備えている。
【0063】
更に、濾波された所定周波数の信号は、検波、整流回路134により検波復調される。続いて、波形整形回路135を介してタイムコードが取り出され、CPU136でカウントされる。CPU136では、現在の年、積算日、曜日、時刻等の情報を読み取る。読み取られた情報は、RTC137に反映され、正確な時刻情報が表示される。搬送波は、40kHz若しくは60kHzであるから、水晶振動子部138、139は、上述した音叉型の構造を持つ振動子が好適である。
【0064】
なお、上述の説明は、日本国内の例で示したが、長波の標準電波の周波数は、海外では異なっている。例えば、ドイツでは77.5KHzの標準電波が用いられている。従って、海外でも対応可能な電波時計130を携帯機器に組み込む場合には、さらに日本の場合とは異なる周波数の圧電振動子1を必要とする。
【0065】
上述したように、本実施形態の電波時計130によれば、キャビティC内の気密が確実で、作動の信頼性が向上した高品質な圧電振動子1を備えているので、電波時計自体も同様に作動の信頼性を高めて高品質化を図ることができる。さらにこれに加え、長期にわたって安定して高精度に時刻をカウントすることができる。
【0066】
以上、本実施形態によれば、小型化、低コスト化を達成しつつ、電気容量C0を高くすることが可能な圧電振動子、発振器、電子機器及び電波時計を提供することが可能になる。
【0067】
<第2実施形態>
図7、8を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。なお、本実施形態は、ベース基板1の内面側における電極パターンの形状のみが第1実施形態と異なっており、その作用効果も第1実施形態とほぼ同一である。よって、以下では本実施形態における電極パターンの形状についてのみ説明を行い、その他の構成については説明を省略する。
【0068】
(2−1:電極パターンについて)
第1実施形態と同様に、圧電振動子1には圧電振動片4と外部電極38、39とを電気的に接続する電極パターンが形成されており、例えば引き回し電極36、37及び貫通電極32、33がそれに含まれる。
【0069】
本実施形態では、圧電振動片4の先端側において、ベース基板2の厚み方向における外部電極39との対向領域まで引き回し電極36を延ばすようにしている。これにより、ベース基板2の厚み方向において外部電極39と引き回し電極36とが対向することになる。なお、引き回し電極36において、外部電極39と対向している部分を外部電極対向部36aとする。一方、引き回し電極37も、圧電振動片4の基部側において、金属バンプBと接合している部分が異極の外部電極38と対向しているので、この部分が引き回し電極37の外部電極対向部といえる。
【0070】
かかる構成によると、それぞれの引き回し電極36、37がベース基板2の厚み方向において異極の外部電極38、39と対向しているので、圧電振動子1自体の電気容量C0を大きくすることができる。なお、外部電極対向部36aの面積を大きくすることで、外部電極39との対向面積が大きくなるので、電気容量C0を更に大きくすることが可能である(引き回し電極37の外部電極対向部も同様)。また、上述のように圧電振動片4の周波数調整をレーザ光によるトリミングで行うため、外部電極対向部36aは、少なくとも圧電振動片4の先端近傍では圧電振動片4の下方に配置されないようにすると好適である(レーザ光の影響を受けないようにするため)。つまりベース基板2の法線方向から見た場合に、外部電極対向部36aが圧電振動片4の先端部と重ならない位置に設けられているとよい。
【0071】
<第3実施形態>
図9、10を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。なお、本実施形態は、ベース基板1の内面側における電極パターンの形状のみが第1、2実施形態と異なっており、その作用効果も第1、2実施形態とほぼ同一である。よって、以下では本実施形態における電極パターンの形状についてのみ説明を行い、その他の構成については説明を省略する。
【0072】
(3−1:電極パターンについて)
第1、2実施形態と同様に、圧電振動子1には圧電振動片4と外部電極38、39とを電気的に接続する電極パターンが形成されており、例えば引き回し電極36、37及び貫通電極32、33がそれに含まれる。
【0073】
ベース基板1の内面側には、貫通電極32、33と金属バンプBとを電気的に接続する電極パターンとして引き回し電極36、37が形成されている。そして、さらに本実施形態では、引き回し電極36から延びる第1の重なり電極部36aと、引き回し電極37から延びる第2の重なり電極部37aとが設けられており、これらの重なり電極部36a、37aが誘電体42を挟んで互いに重なり合うように設けられている点が特徴である。図10(b)は、重なり電極部36a、37aが誘電体42を挟んで重なり合っている状態を示す図である。
【0074】
かかる構成によると、それぞれの重なり電極部36a、37aを誘電体42を挟んで重なり合わせることで、異極の電極同士が対向配置することになり、圧電振動子1自体の電気容量C0を大きくすることができる。なお、重なり電極部36a、37aの間隔は特に限定されるものではないが、この間隔を狭めることで電気容量C0を更に大きくすることが可能であり、更には圧電振動子1の小型化にもつながる。また、重なり電極部36a、37aの面積を大きくすることで、電気容量C0を更に大きくすることも可能である。また、上述のように圧電振動片4の周波数調整をレーザ光によるトリミングで行うため、引き回し電極36、37及び重なり電極部36a、37aは、少なくとも圧電振動片4の先端近傍では圧電振動片4の下方に配置されないようにするとよい(レーザ光の影響を受けないようにするため)。つまりベース基板2の法線方向から見た場合に、重なり電極部36a、37aが圧電振動片4の先端部と重ならない位置に設けられているとよい。
【0075】
<第4実施形態>
図11〜13を参照して、本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態では、ベース基板1として、複数のセラミックシートが厚さ方向に積層されてなるセラミック多層基板を用いている。なお、圧電振動片4の構成は第1〜第3実施形態で説明したものと同一であるので、ここではその説明を省略し、第1〜第3実施形態と異なる点のみ説明する。
【0076】
(4−1:セラミック多層基板について)
圧電振動子1は、セラミックシート(グリーンシートともいう)5、6を厚さ方向に積層して得られるセラミック多層基板と、圧電振動片4と、枠状に形成されているセラミックシート3と、金属製のリッド基板2と、を有している。なお、セラミックシートの枚数はこれに限られるものではなく、さらに多くのセラミックシートを積層する構成であってもよい。また、ここではリッド基板2として金属製の蓋部材を用いているが、ガラス製、又はセラミック製の部材をリッド基板2として用いてもよい。また、ここでは枠状のセラミックシート3を用いているが、シールリング等を用いてもよい。
【0077】
また、ベース基板を構成する最上位のセラミックシート5の内面側には、圧電振動子1の基部に設けられている引き出し電極(不図示)が接合される2つの電極端子10、20が設けられており、さらに底面を形成するセラミックシート6の外面には外部電極12、22が設けられている。圧電振動子1と電極端子10、20との接合には、導電性接着剤等が用いられる。そして、電極端子10、20と外部電極12、22との間には、これらを電気的に接続するための電極パターンが形成されている。
【0078】
圧電振動子1は、ここで説明した各セラミックシート3、5、6を厚さ方向に積層した状態で一体焼成することで得ることができる。また、セラミックシート3は枠状のシートであるので、複数のセラミックシートを一体焼成した状態では、セラミックシート3、5によって凹部が形成されることになり、この凹部において圧電振動片4を収容することができる。なお、圧電振動片4の振動スペースを確保するために、セラミックシート5に凹み部(又は切り抜き部)を設けてもよい。
【0079】
電極パターンは、電極端子10、20が形成されているセラミックシート5と外部電極12、22が形成されているセラミックシート6との間に形成されている。なお、これらの電極(電極端子10、20、外部電極12、22、電極パターン)は、いずれもタングステン等からなるメタライズ層と、メタライズ層上に形成されるニッケル、金等の金属層とによって構成されている。
【0080】
(2:電極パターンの構成について)
図12、図13を参照して、電極端子10、20と外部電極12、22とを電気的に接続する電極パターンの構成について説明する。図12(a)〜(c)は、一方の極性に対応する電極端子10、電極パターン11、外部電極12を示すものであり、図12(d)〜(f)は、他方の極性に対応する電極端子20、電極パターン21、外部電極22を示すものである。
【0081】
さらに付言すると、図12(a)、(d)は、それぞれ電極端子10、20を示しているので最上位に位置するセラミックシート5の上面図であり、図12(b)、(e)は、それぞれ最下位(底面)に位置するセラミックシート6の上面図であり、さらに図12(c)、(f)は、外部電極12、22が形成されているのでそれぞれ最下位(底面)に位置するセラミックシート6の下面図(底面の様子)である。また、図13は、圧電振動子1を各側面から見た場合の概略断面図である。
【0082】
ここで図12(b)に示すように、セラミックシート6の上面(即ち、セラミックシート6とセラミックシート5との間)には、所定の形状を有する電極パターン11が形成されている。なお、この電極パターン11と図12(a)に示す電極端子10、又は図12(c)に示す外部電極12は、ビアによって導通されている。さらに電極パターン11には、セラミックシート6の面方向に延びる外部電極対向用の延伸部11aが設けられており、この延伸部11aが、セラミック多層基板の厚さ方向において、他方の極性に対応する外部電極22(図12(f))と対向している。
【0083】
同様に、図12(e)に示すように、セラミックシート6の上面には、所定の形状を有する電極パターン21が形成されている。なお、この電極パターン21と図12(d)に示す電極端子20、又は図12(f)に示す外部電極22は、ビアによって導通されている。さらに電極パターン21には、セラミックシート6の面方向に延びる外部電極対向用の延伸部21aが設けられており、この延伸部21aが、セラミック多層基板の厚さ方向において、他方の極性に対応する外部電極12(図12(c))と対向している。
【0084】
このように本実施形態では、各極性に対応する電極パターン11、21に、それぞれ外部電極対向用の延伸部11a、21aが設けられており、これらの延伸部11a、21aが、異なる極性の外部電極12、22と厚さ方向において対向している。よって、互いに異極の電極が対向することになるので、圧電振動子1自体の電気容量C0を増大させることが可能になる。なお、延伸部11a、21aと外部電極12、22との間隔を狭めることで、電気容量C0をさらに大きくすることも可能である。
【0085】
なお、電極パターン11、21の延伸部11a、21aと外部電極12、22とが対向する状態は、図13を見るとより明らかである。即ち、図13に示すように、一方の極性に対応する電極パターン11の延伸部11aと、他方の極性に対応する外部電極22とが対向しており、また、他方の極性に対応する電極パターン21の延伸部21aと、一方の極性に対応する外部電極12とが対向している。
【0086】
以上より、本実施形態に係る圧電振動子によれば、セラミック多層基板を用いる構成であっても、小型化、低コスト化を達成しつつ、電気容量C0を高くすることが可能な圧電振動子、発振器、電子機器及び電波時計を提供することが可能になる。
【符号の説明】
【0087】
B…バンプ
C…キャビティ
1…圧電振動子
4…圧電振動片
30、31…スルーホール(貫通孔)
35…接合膜
36、37…引き回し電極
36a…電極パターン
38、39…外部電極
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに接合された2枚の基板の間に形成されたキャビティ内に圧電振動片が収容された圧電振動子、発振器、電子機器、及び電波時計に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話や携帯情報端末機器には、時刻源や制御信号等のタイミング源、リファレンス信号源等として水晶等を利用した圧電振動子が用いられており、例えば、互いに接合するベース基板とリッド基板とを備え、両基板の間に形成されるキャビティ用の凹部において圧電振動片を収容する圧電振動子が知られている。
【0003】
このような圧電振動子では、圧電振動片に形成された励振電極に対して外部電極から所定の電圧を印加することにより、所定の周波数で圧電振動片を振動させている。より具体的には、ベース基板には、励振電極と外部電極とを電気的に導通する電極パターンが形成されており、この電極パターンを介して外部電極から圧電振動片に電圧を印加している。なお、関連する技術が下記の特許文献に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−110398号公報
【特許文献2】特開平7−74581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の圧電振動子には次の課題がある。一般的に圧電振動子の特性を示すものとして「緩急特性」が知られている。緩急特性とは、その圧電振動子の負荷容量値(CL)を変化させていった場合に、周波数変化量(Δf/f)がどのように変化するかを示す特性である。一般的には、負荷容量値(CL)の値を小さくするほど、周波数変化量(Δf/f)が大きくなるが、周波数変化量(Δf/f)は、なるべく小さいほうが好ましい。
【0006】
そこで圧電振動子の周波数変化量(Δf/f)を低く抑える手段として、圧電振動子の電気容量C0を高くすることが考えられる。ここで電気容量C0とは、圧電振動子そのものが有する電気容量のことを指す。即ち、圧電振動子そのものが有する電気容量C0を大きくすることで、上述の周波数変化量(Δf/f)を低く抑えることができ、更には圧電振動子の電気的特性を向上させることが可能になる。しかしながら、近年、圧電振動子の小型化への要求が更に高まりつつあり、電気容量C0を高めるための構成を別途設けようとすると、小型化への要求を達成することが困難になり、また、製造コストの増大にもつながるといった問題がある。
【0007】
このように、従来では圧電振動子の小型化、低コスト化を達成しつつ、圧電振動子自体の電気容量C0を高くするという技術は何ら開示されていない。そこで本願発明は、小型化、低コスト化を達成しつつ、電気容量C0を高くすることが可能な圧電振動子、発振器、電子機器及び電波時計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明にあっては、
ベース基板と、
前記ベース基板と対向した状態で前記ベース基板に接合されるリッド基板と、
前記ベース基板と前記リッド基板との間に形成される凹部内に収容され、励振電極が形成されている圧電振動片と、
前記ベース基板の外面に形成されている外部電極と、
前記圧電振動片と前記外部電極とを電気的に接続する電極パターンと、を備え、
前記外部電極と前記電極パターンとが、それぞれの電気極性に対応して設けられている圧電振動子において、
一方の極性に対応する前記電極パターンと、
他方の極性に対応する前記電極パターンとが、
前記ベース基板の内面側において、互いに接近した状態で対向していることを特徴とする。
【0009】
また、ベース基板と、
前記ベース基板と対向した状態で前記ベース基板に接合されるリッド基板と、
前記ベース基板と前記リッド基板との間に形成される凹部内に収容され、励振電極が形成されている圧電振動片と、
前記ベース基板の外面に形成されている外部電極と、
前記圧電振動片と前記外部電極とを電気的に接続する電極パターンと、を備え、
前記外部電極と前記電極パターンとが、それぞれの電気極性に対応して設けられている圧電振動子において、
一方の極性に対応する前記電極パターンと、
他方の極性に対応する前記外部電極とが、
前記ベース基板の厚さ方向において互いに対向していることを特徴とする。
【0010】
また、前記一方の極性に対応する電極パターンと、前記他方の極性に対応する電極パターンとが互いに接近した状態で対向するように、
前記一方の極性に対応する電極パターンに沿って延びる電気容量調整用の電極パターンが、前記他方の極性に対応する電極パターンから延設されていると好適である。
【0011】
また、前記一方の極性に対応する電極パターンから延びる第1の重なり電極部と、前記他方の極性に対応する電極パターンから延びる第2の重なり電極部とが誘電体を挟んで互いに接近した状態で対向していると好適である。
【0012】
また、前記ベース基板の内面側において、
前記一方の極性に対応する電極パターンが、前記他方の極性に対応する外部電極との対向領域まで延びるように形成されていると好適である。
【0013】
また、前記ベース基板は、複数のセラミックシートが厚さ方向に積層されてなるセラミック多層基板であり、
前記他方の極性に対応する外部電極に対向するように、前記一方の極性に対応する電極パターンから外部電極対向用の延伸部が前記複数のセラミックシートの少なくとも1つのシート上に形成されていると好適である。
【0014】
また、前記リッド基板はガラス材料からなる基板であって、かつ、前記圧電振動片の先端には周波数調整用の重り金属膜が形成されており、
前記ベース基板の内面側において、前記圧電振動片の先端近傍には前記電極パターンが形成されていないと好適である。
【0015】
上記に記載の圧電振動子が、発振子として集積回路に電気的に実装されていると好適である。
【0016】
上記に記載の圧電振動子が、計時部に電気的に実装されていると好適である。
【0017】
上記に記載の圧電振動子が、フィルタ部に電気的に接続されていると好適である。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明によれば、小型化、低コスト化を達成しつつ、電気容量C0を高くすることが可能な圧電振動子、発振器、電子機器及び電波時計を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る圧電振動子の斜視図である。
【図2】本発明に係る圧電振動子の上面図である。
【図3】本発明に係る圧電振動子の断面図である。
【図4】本発明における圧電振動片の概略図である。
【図5】第1実施形態に係る圧電振動子の概略構成図である。
【図6】第1実施形態に係る圧電振動子の概略構成図である。
【図7】第2実施形態に係る圧電振動子の概略構成図である。
【図8】第2実施形態に係る圧電振動子の概略構成図である。
【図9】第3実施形態に係る圧電振動子の概略構成図である。
【図10】第3実施形態に係る圧電振動子の概略構成図である。
【図11】第4実施形態に係る圧電振動子の概略構成図である。
【図12】第4実施形態に係る圧電振動子の概略構成図である。
【図13】第4実施形態に係る圧電振動子の概略構成図である。
【図14】本発明に係る発振器の概略構成図である。
【図15】本発明に係る電子機器の概略構成図である。
【図16】本発明に係る電波時計の概略構成図である。
【図17】従来例と本発明の緩急特性を比較する比較データである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0021】
<第1実施形態>
図1〜図6を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。
【0022】
(1−1:圧電振動子の概略構成について)
図1〜図4を参照して、本実施形態に係る圧電振動子の概略構成について説明する。本実施形態に係る圧電振動子1は、ベース基板2と、キャビティ用の凹部が形成されているリッド基板3とを備え、両基板を互いに接合させた状態において、キャビティ用の凹部に圧電振動片4を収容したものである。図1に示すように、両基板が接合した状態では、圧電振動子1は箱状に形成されている。なお、キャビティ用の凹部はベース基板1に形成されていてもよいし、ベース基板1とリッド基板3の両方に形成されていてもよい。
【0023】
図4に示すように圧電振動片4は、水晶、タンタル酸リチウムやニオブ酸リチウム等の圧電材料から形成された音叉型の振動片であり、正極、負極のそれぞれの電圧が印加されることで所定の振動数で振動するものである。
【0024】
圧電振動片4は、平行に配置された一対の振動腕部10、11と、該一対の振動腕部10、11の基端側を一体的に固定する基部12と、一対の振動腕部10、11の外表面上に形成されて一対の振動腕部10、11を振動させる第1の励振電極13と第2の励振電極14とからなる励振電極15と、第1の励振電極13及び第2の励振電極14に電気的に接続されたマウント電極16、17とを有している。
【0025】
また、本実施形態の圧電振動片4は、一対の振動腕部10、11の両主面上に、該振動腕部10、11の長手方向に沿ってそれぞれ形成された溝部18を備えている。この溝部18は、振動腕部10、11の基端側から略中間付近まで形成されている。
【0026】
第1の励振電極13と第2の励振電極14とからなる励振電極15は、一対の振動腕部10、11を互いに接近又は離間する方向に所定の共振周波数で振動させる電極であり、一対の振動腕部10、11の外表面に、それぞれ電気的に切り離された状態でパターニングされて形成されている。それぞれの励振電極13、14には、正極、負極の電圧が印加される。
【0027】
また、第1の励振電極13及び第2の励振電極14は、基部12の両主面上において、それぞれ引き出し電極19、20を介してマウント電極16、17に電気的に接続されている。そして圧電振動片4は、このマウント電極16、17を介して外部から電圧が印加されるようになっている。なお、上述した励振電極15、マウント電極16、17及び引き出し電極19、20は、例えば、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)やチタン(Ti)等の導電性膜の被膜により形成されたものである。
【0028】
また、一対の振動腕部10、11の先端には、周波数調整用の重り金属膜21が被膜されている。この重り金属膜21は、周波数を粗く調整する際に使用される粗調膜21aと、微小に調整する際に使用される微調膜21bとに分かれている。これら粗調膜21a及び微調膜21bにレーザ光を照射して周波数調整を行うことで、一対の振動腕部10、11の周波数をデバイスの公称周波数の範囲内に収めることができる。なお、本実施形態におけるリッド基板3はガラス材料によって構成されているので、周波数調整は、リッド基板3とベース基板2とを接合した後で、レーザ光によるトリミングによって行うことができる。
【0029】
このように構成された圧電振動片4は、図3に示すように、金属バンプB(例えばAuのバンプ)を利用して、ベース基板2の上面にバンプ接合されている。より具体的には、ベース基板2の内面側(圧電振動片4が収容される側)にパターニングされた引き回し電極36、37上に形成された2つのバンプB上に、一対のマウント電極16、17がそれぞれ接触している。これにより、圧電振動片4は、ベース基板2の内面から浮いた状態で支持される。
【0030】
また、リッド基板3は、ガラス材料、例えばソーダ石灰ガラスからなる透明の絶縁基板である。そして、リッド基板3において、ベース基板2が接合される接合面側には、圧電振動片4が収容される矩形状の凹部3aが形成されている。この凹部3aは、両基板2、3が重ね合わされたときに、圧電振動片4を収容するキャビティCとなる。そして、リッド基板3は、この凹部3aをベース基板2側に対向させた状態で該ベース基板2に対して陽極接合されている。
【0031】
ベース基板2は、リッド基板3と同様にガラス材料、例えばソーダ石灰ガラスからなる透明な絶縁基板である。ベース基板2には、ベース基板2を貫通する一対のスルーホール(貫通孔)30、31が形成されている。より詳しく説明すると、スルーホール30、31は、マウントされた圧電振動片4の基部12側に一方のスルーホール30が位置し、振動腕部10、11の先端側に他方のスルーホール31が位置するように形成されている。
【0032】
そして、これら一対のスルーホール30、31には、該スルーホール30、31を埋めるように形成された一対の貫通電極32、33が形成されている。これら貫通電極32、33は、図3に示すようにスルーホール30、31を完全に塞いでキャビティC内の気密を維持していると共に、後述する外部電極38、39と引き回し電極36、37とを導通させる役割を担っている。
【0033】
ベース基板2の内面側には、図2に示すように、導電性材料(例えば、アルミニウム)により、陽極接合用の接合膜35と、一対の引き回し電極36、37とがパターニングされている。接合膜35は、リッド基板3に形成された凹部3aの周囲を囲むようにベース基板2の周縁に沿って形成されている。
【0034】
また、一対の引き回し電極36、37は、一対の貫通電極32、33のうち、一方の貫通電極32と圧電振動片4の一方のマウント電極16とを電気的に接続すると共に、他方の貫通電極33と圧電振動片4の他方のマウント電極17とを電気的に接続するようにパターニングされている。より詳しく説明すると、一方の引き回し電極36は、圧電振動片4の基部12の真下に位置するように一方の貫通電極32の真上に形成されている。また、他方の引き回し電極37は、一方の引き回し電極36に隣接した位置から、振動腕部10、11に沿って該振動腕部10、11の先端側に引き回しされた後、他方の貫通電極33の真上に位置するように形成されている。
【0035】
そして、これら一対の引き回し電極36、37上にそれぞれ金属バンプBが形成されており、金属バンプBを利用して圧電振動片4がマウントされている。これにより、圧電振動片4の一方のマウント電極16が、一方の引き回し電極36を介して一方の貫通電極32に電気的に接続し、他方のマウント電極17が、他方の引き回し電極37を介して他方の貫通電極33に電気的に接続するようになっている。
【0036】
また、ベース基板2の外面には、図1に示すように、一対の貫通電極32、33に対してそれぞれ電気的に接続される外部電極38、39が形成されている。つまり、一方の外部電極38は、一方の貫通電極32及び一方の引き回し電極36を介して圧電振動片4の第1の励振電極13に電気的に接続されている。また、他方の外部電極39は、他方の貫通電極33及び他方の引き回し電極37を介して、圧電振動片4の第2の励振電極14に電気的に接続されている。
【0037】
なお、本実施形態における「電極パターン」とは、圧電振動片4と外部電極38、39とを電気的に接続する電気パターンのことをいい、例えば引き回し電極36、37、及び貫通電極32、33を含む。即ち、外部電極38、39と金属バンプBとを電気的に接続する電極をまとめて「電極パターン」と呼ぶ。
【0038】
このように構成された圧電振動子1を作動させる場合には、ベース基板2に形成された外部電極38、39に対して、所定の駆動電圧を印加する。これにより、圧電振動片4の第1の励振電極13及び第2の励振電極14からなる励振電極15に電流を流すことができ、一対の振動腕部10、11を接近・離間させる方向に所定の周波数で振動させることができる。そして、この一対の振動腕部10、11の振動を利用して、時刻源、制御信号のタイミング源やリファレンス信号源等として利用することができる。
【0039】
(1−2:電極パターンについて)
図5、6を参照して、本実施形態に係る電極パターンについて説明する。図5に示すように、ベース基板2の内面側には、電極パターンとしての引き回し電極36、37が形成されている。引き回し電極36、37の主たる目的は、貫通電極32、33と金属バンプBとの電気的な導通をとることにあるが、ここではそれのみならず、特に引き回し電極36には、他方の引き回し電極37に沿って延びる「電気容量調整用の電極パターン36a」が形成されている点が特徴である。この電極パターン36aは図示するように、金属バンプB、及び貫通電極32の位置から、他方の引き回し電極37に接近した状態で対向するように延設されている。
【0040】
かかる構成によると、引き回し電極37に対して電極パターン36aを近接配置することで、電気容量C0、即ち圧電振動子1自体の電気容量を大きくすることができる。なお、電極パターン36aと引き回し電極37との間隔は特に限定されるものではないが、この間隔を狭めることで電気容量C0を更に大きくすることができる。
【0041】
また、上述のように本実施形態では、圧電振動子1の周波数調整をレーザ光によるトリミングで行うため、図6(a)に示すように、引き回し電極36、37、及び電極パターン36aは、少なくとも圧電振動片4の先端近傍では圧電振動片4の下方に配置されないようにする必要がある(レーザ光の影響を受けないようにするため)。
【0042】
なお、電極パターン36aのパターン形状は図6(a)に示すパターン形状に限られるものではない。例えば図6(b)のように、引き回し電極37のさらに外側まで延び、ベース基板2の縁部と引き回し電極37との間を引き回し電極37に沿って延びるような形状であってもよい。さらには、引き回し電極37に沿って、かつ引き回し電極37を囲むように電極パターン36aを配置してもよい。いずれの形態であっても、引き回し電極37の近接に電極パターン36aが配置されているので、異極の電圧が印加される2つの電極が近接配置されることで、圧電振動子1自体の電気容量C0を大きくすることが可能になる。
【0043】
なお、念のため付言すると、従来技術として挙げた特許文献2にはダミー電極を設ける点が開示されているが、この電極は引き回し電極に対して近接配置されるものではない。そもそも電極パターンを引き回し電極に対して近接配置することで電気容量C0を大きくする、といった技術思想は従来技術には何ら開示されておらず、本願発明は従来技術にはない構成、顕著な効果を有しているといえる。
【0044】
(1−3:電極パターンの効果について)
図17を参照して、本実施形態の効果について説明する。図17は、従来例と本発明の緩急特性を比較する比較データである。上述したように、本実施形態では電気容量調整用の電極パターン36aを引き回し電極36から延設することにより、同サイズの従来の圧電振動子と比較して電気容量を大幅に大きくすることが可能になった。その結果、図示するように、周波数変化量(△f/f)を従来例と比較して低く抑えることが可能になった。特に負荷容量CLの値が小さい領域では、周波数変化量(△f/f)の値を大幅に抑えることが可能になる。よって、優れた電気特性を有する圧電振動子を提供することができる。
【0045】
また、本実施形態では、従来より設けられている引き回し電極36の一部を他方の引き回し電極37に沿うように延ばす、といった工夫により、電気容量C0の増大を図っている。よって、圧電振動子1全体の大きさ自体を特に変更することなく、簡易な構成によって電気容量C0を大きくすることができるので、小型化、低コスト化を達成することができる。また、電極パターン36aは引き回し電極36と同一工程で形成されるものであるので、電気容量C0を大きくするために別途複雑な工程を導入する、といった必要がない。なお、引き回し電極36、37、及び電極パターン36aは、ベース基板2上に導電性材料をパターニングして形成されるものである。
【0046】
(1−4:発振器、電子機器、及び電波時計について)
以下、上述した圧電振動子1を電気的に実装可能な発振器、電子機器、及び電波時計について説明する。
【0047】
発振器100は、図14に示すように、圧電振動子1を、集積回路101に電気的に接続された発振子として構成したものである。この発振器100は、コンデンサ等の電子部品102が実装された基板103を備えている。基板103には、発振器用の上記集積回路101が実装されており、この集積回路101の近傍に、圧電振動子1が実装されている。これら電子部品102、集積回路101及び圧電振動子1は、図示しない配線パターンによってそれぞれ電気的に接続されている。なお、各構成部品は、図示しない樹脂によりモールドされている。
【0048】
このように構成された発振器100において、圧電振動子1に電圧を印加すると、該圧電振動子1内の圧電振動片4が振動する。この振動は、圧電振動片4が有する圧電特性により電気信号に変換されて、集積回路101に電気信号として入力される。入力された電気信号は、集積回路101によって各種処理がなされ、周波数信号として出力される。これにより、圧電振動子1が発振子として機能する。また、集積回路101の構成を、例えば、RTC(リアルタイムクロック)モジュール等を要求に応じて選択的に設定することで、時計用単機能発振器等の他、当該機器や外部機器の動作日や時刻を制御したり、時刻やカレンダー等を提供したりする機能を付加することができる。
【0049】
上述したように、本実施形態の発振器100によれば、キャビティC内の気密が確実で、作動の信頼性が向上した高品質な圧電振動子1を備えているので、発振器100自体も同様に作動の信頼性を高めて高品質化を図ることができる。さらにこれに加え、長期にわたって安定した高精度な周波数信号を得ることができる。
【0050】
次に、本発明に係る電子機器の一実施形態について、図15を参照して説明する。なお電子機器として、上述した圧電振動子1を有する携帯情報機器110を例にして説明する。始めに本実施形態の携帯情報機器110は、例えば、携帯電話に代表されるものであり、従来技術における腕時計を発展、改良したものである。
【0051】
携帯情報機器110は、図15に示すように、圧電振動子1と、電力を供給するための電源部111とを備えている。電源部111は、例えば、リチウム二次電池からなっている。この電源部111には、各種制御を行う制御部112と、時刻等のカウントを行う計時部113と、外部との通信を行う通信部114と、各種情報を表示する表示部115と、それぞれの機能部の電圧を検出する電圧検出部116とが並列に接続されている。そして、電源部111によって、各機能部に電力が供給されるようになっている。
【0052】
制御部112は、各機能部を制御して音声データの送信及び受信、現在時刻の計測や表示等、システム全体の動作制御を行う。また、制御部112は、予めプログラムが書き込まれたROMと、該ROMに書き込まれたプログラムを読み出して実行するCPUと、該CPUのワークエリアとして使用されるRAM等とを備えている。
【0053】
計時部113は、発振回路、レジスタ回路、カウンタ回路及びインターフェース回路等を内蔵する集積回路と、圧電振動子1とを備えている。圧電振動子1に電圧を印加すると圧電振動片4が振動し、該振動が水晶の有する圧電特性により電気信号に変換されて、発振回路に電気信号として入力される。発振回路の出力は二値化され、レジスタ回路とカウンタ回路とにより計数される。そして、インターフェース回路を介して、制御部112と信号の送受信が行われ、表示部115に、現在時刻や現在日付或いはカレンダー情報等が表示される。
【0054】
通信部114は、従来の携帯電話と同様の機能を有し、無線部117、音声処理部118、切替部119、増幅部120、音声入出力部121、電話番号入力部122、着信音発生部123及び呼制御メモリ部124を備えている。
【0055】
無線部117は、音声データ等の各種データを、アンテナ125を介して基地局と送受信のやりとりを行う。音声処理部118は、無線部117又は増幅部120から入力された音声信号を符号化及び複号化する。増幅部120は、音声処理部118又は音声入出力部121から入力された信号を、所定のレベルまで増幅する。音声入出力部121は、スピーカやマイクロフォン等からなり、着信音や受話音声を拡声したり、音声を集音したりする。
【0056】
また、着信音発生部123は、基地局からの呼び出しに応じて着信音を生成する。切替部119は、着信時に限って、音声処理部118に接続されている増幅部120を着信音発生部123に切り替えることによって、着信音発生部123において生成された着信音が増幅部120を介して音声入出力部121に出力される。なお、呼制御メモリ部124は、通信の発着呼制御に係るプログラムを格納する。また、電話番号入力部122は、例えば、0から9の番号キー及びその他のキーを備えており、これら番号キー等を押下することにより、通話先の電話番号等が入力される。
【0057】
電圧検出部116は、電源部111によって制御部112等の各機能部に対して加えられている電圧が、所定の値を下回った場合に、その電圧降下を検出して制御部112に通知する。このときの所定の電圧値は、通信部114を安定して動作させるために必要な最低限の電圧として予め設定されている値であり、例えば、3V程度となる。電圧検出部116から電圧降下の通知を受けた制御部112は、無線部117、音声処理部118、切替部119及び着信音発生部123の動作を禁止する。特に、消費電力の大きな無線部117の動作停止は、必須となる。更に、表示部115に、通信部114が電池残量の不足により使用不能になった旨が表示される。
【0058】
即ち、電圧検出部116と制御部112とによって、通信部114の動作を禁止し、その旨を表示部115に表示することができる。この表示は、文字メッセージであっても良いが、より直感的な表示として、表示部115の表示面の上部に表示された電話アイコンに、×(バツ)印を付けるようにしても良い。なお、通信部114の機能に係る部分の電源を、選択的に遮断することができる電源遮断部126を備えることで、通信部114の機能をより確実に停止することができる。
【0059】
上述したように、本実施形態の携帯情報機器110によれば、キャビティC内の気密が確実で、作動の信頼性が向上した高品質な圧電振動子1を備えているので、携帯情報機器自体も同様に作動の信頼性を高めて高品質化を図ることができる。さらにこれに加え、長期にわたって安定した高精度な時計情報を表示することができる。
【0060】
次に、本実施形態に係る電波時計130について、図16を参照して説明する。電波時計130は、フィルタ部131に電気的に接続された圧電振動子1を備えたものであり、時計情報を含む標準の電波を受信して、正確な時刻に自動修正して表示する機能を備えた時計である。
【0061】
日本国内には、福島県(40kHz)と佐賀県(60kHz)とに、標準の電波を送信する送信所(送信局)があり、それぞれ標準電波を送信している。40kHz若しくは60kHzのような長波は、地表を伝播する性質と、電離層と地表とを反射しながら伝播する性質とを併せもつため、伝播範囲が広く、上述した2つの送信所で日本国内を全て網羅している。
【0062】
以下、電波時計130の機能的構成について詳細に説明する。
アンテナ132は、40kHz若しくは60kHzの長波の標準電波を受信する。長波の標準電波は、タイムコードと呼ばれる時刻情報を、40kHz若しくは60kHzの搬送波にAM変調をかけたものである。受信された長波の標準電波は、アンプ133によって増幅され、複数の圧電振動子1を有するフィルタ部131によって濾波、同調される。
本実施形態における圧電振動子1は、上記搬送周波数と同一の40kHz及び60kHzの共振周波数を有する水晶振動子部138、139をそれぞれ備えている。
【0063】
更に、濾波された所定周波数の信号は、検波、整流回路134により検波復調される。続いて、波形整形回路135を介してタイムコードが取り出され、CPU136でカウントされる。CPU136では、現在の年、積算日、曜日、時刻等の情報を読み取る。読み取られた情報は、RTC137に反映され、正確な時刻情報が表示される。搬送波は、40kHz若しくは60kHzであるから、水晶振動子部138、139は、上述した音叉型の構造を持つ振動子が好適である。
【0064】
なお、上述の説明は、日本国内の例で示したが、長波の標準電波の周波数は、海外では異なっている。例えば、ドイツでは77.5KHzの標準電波が用いられている。従って、海外でも対応可能な電波時計130を携帯機器に組み込む場合には、さらに日本の場合とは異なる周波数の圧電振動子1を必要とする。
【0065】
上述したように、本実施形態の電波時計130によれば、キャビティC内の気密が確実で、作動の信頼性が向上した高品質な圧電振動子1を備えているので、電波時計自体も同様に作動の信頼性を高めて高品質化を図ることができる。さらにこれに加え、長期にわたって安定して高精度に時刻をカウントすることができる。
【0066】
以上、本実施形態によれば、小型化、低コスト化を達成しつつ、電気容量C0を高くすることが可能な圧電振動子、発振器、電子機器及び電波時計を提供することが可能になる。
【0067】
<第2実施形態>
図7、8を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。なお、本実施形態は、ベース基板1の内面側における電極パターンの形状のみが第1実施形態と異なっており、その作用効果も第1実施形態とほぼ同一である。よって、以下では本実施形態における電極パターンの形状についてのみ説明を行い、その他の構成については説明を省略する。
【0068】
(2−1:電極パターンについて)
第1実施形態と同様に、圧電振動子1には圧電振動片4と外部電極38、39とを電気的に接続する電極パターンが形成されており、例えば引き回し電極36、37及び貫通電極32、33がそれに含まれる。
【0069】
本実施形態では、圧電振動片4の先端側において、ベース基板2の厚み方向における外部電極39との対向領域まで引き回し電極36を延ばすようにしている。これにより、ベース基板2の厚み方向において外部電極39と引き回し電極36とが対向することになる。なお、引き回し電極36において、外部電極39と対向している部分を外部電極対向部36aとする。一方、引き回し電極37も、圧電振動片4の基部側において、金属バンプBと接合している部分が異極の外部電極38と対向しているので、この部分が引き回し電極37の外部電極対向部といえる。
【0070】
かかる構成によると、それぞれの引き回し電極36、37がベース基板2の厚み方向において異極の外部電極38、39と対向しているので、圧電振動子1自体の電気容量C0を大きくすることができる。なお、外部電極対向部36aの面積を大きくすることで、外部電極39との対向面積が大きくなるので、電気容量C0を更に大きくすることが可能である(引き回し電極37の外部電極対向部も同様)。また、上述のように圧電振動片4の周波数調整をレーザ光によるトリミングで行うため、外部電極対向部36aは、少なくとも圧電振動片4の先端近傍では圧電振動片4の下方に配置されないようにすると好適である(レーザ光の影響を受けないようにするため)。つまりベース基板2の法線方向から見た場合に、外部電極対向部36aが圧電振動片4の先端部と重ならない位置に設けられているとよい。
【0071】
<第3実施形態>
図9、10を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。なお、本実施形態は、ベース基板1の内面側における電極パターンの形状のみが第1、2実施形態と異なっており、その作用効果も第1、2実施形態とほぼ同一である。よって、以下では本実施形態における電極パターンの形状についてのみ説明を行い、その他の構成については説明を省略する。
【0072】
(3−1:電極パターンについて)
第1、2実施形態と同様に、圧電振動子1には圧電振動片4と外部電極38、39とを電気的に接続する電極パターンが形成されており、例えば引き回し電極36、37及び貫通電極32、33がそれに含まれる。
【0073】
ベース基板1の内面側には、貫通電極32、33と金属バンプBとを電気的に接続する電極パターンとして引き回し電極36、37が形成されている。そして、さらに本実施形態では、引き回し電極36から延びる第1の重なり電極部36aと、引き回し電極37から延びる第2の重なり電極部37aとが設けられており、これらの重なり電極部36a、37aが誘電体42を挟んで互いに重なり合うように設けられている点が特徴である。図10(b)は、重なり電極部36a、37aが誘電体42を挟んで重なり合っている状態を示す図である。
【0074】
かかる構成によると、それぞれの重なり電極部36a、37aを誘電体42を挟んで重なり合わせることで、異極の電極同士が対向配置することになり、圧電振動子1自体の電気容量C0を大きくすることができる。なお、重なり電極部36a、37aの間隔は特に限定されるものではないが、この間隔を狭めることで電気容量C0を更に大きくすることが可能であり、更には圧電振動子1の小型化にもつながる。また、重なり電極部36a、37aの面積を大きくすることで、電気容量C0を更に大きくすることも可能である。また、上述のように圧電振動片4の周波数調整をレーザ光によるトリミングで行うため、引き回し電極36、37及び重なり電極部36a、37aは、少なくとも圧電振動片4の先端近傍では圧電振動片4の下方に配置されないようにするとよい(レーザ光の影響を受けないようにするため)。つまりベース基板2の法線方向から見た場合に、重なり電極部36a、37aが圧電振動片4の先端部と重ならない位置に設けられているとよい。
【0075】
<第4実施形態>
図11〜13を参照して、本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態では、ベース基板1として、複数のセラミックシートが厚さ方向に積層されてなるセラミック多層基板を用いている。なお、圧電振動片4の構成は第1〜第3実施形態で説明したものと同一であるので、ここではその説明を省略し、第1〜第3実施形態と異なる点のみ説明する。
【0076】
(4−1:セラミック多層基板について)
圧電振動子1は、セラミックシート(グリーンシートともいう)5、6を厚さ方向に積層して得られるセラミック多層基板と、圧電振動片4と、枠状に形成されているセラミックシート3と、金属製のリッド基板2と、を有している。なお、セラミックシートの枚数はこれに限られるものではなく、さらに多くのセラミックシートを積層する構成であってもよい。また、ここではリッド基板2として金属製の蓋部材を用いているが、ガラス製、又はセラミック製の部材をリッド基板2として用いてもよい。また、ここでは枠状のセラミックシート3を用いているが、シールリング等を用いてもよい。
【0077】
また、ベース基板を構成する最上位のセラミックシート5の内面側には、圧電振動子1の基部に設けられている引き出し電極(不図示)が接合される2つの電極端子10、20が設けられており、さらに底面を形成するセラミックシート6の外面には外部電極12、22が設けられている。圧電振動子1と電極端子10、20との接合には、導電性接着剤等が用いられる。そして、電極端子10、20と外部電極12、22との間には、これらを電気的に接続するための電極パターンが形成されている。
【0078】
圧電振動子1は、ここで説明した各セラミックシート3、5、6を厚さ方向に積層した状態で一体焼成することで得ることができる。また、セラミックシート3は枠状のシートであるので、複数のセラミックシートを一体焼成した状態では、セラミックシート3、5によって凹部が形成されることになり、この凹部において圧電振動片4を収容することができる。なお、圧電振動片4の振動スペースを確保するために、セラミックシート5に凹み部(又は切り抜き部)を設けてもよい。
【0079】
電極パターンは、電極端子10、20が形成されているセラミックシート5と外部電極12、22が形成されているセラミックシート6との間に形成されている。なお、これらの電極(電極端子10、20、外部電極12、22、電極パターン)は、いずれもタングステン等からなるメタライズ層と、メタライズ層上に形成されるニッケル、金等の金属層とによって構成されている。
【0080】
(2:電極パターンの構成について)
図12、図13を参照して、電極端子10、20と外部電極12、22とを電気的に接続する電極パターンの構成について説明する。図12(a)〜(c)は、一方の極性に対応する電極端子10、電極パターン11、外部電極12を示すものであり、図12(d)〜(f)は、他方の極性に対応する電極端子20、電極パターン21、外部電極22を示すものである。
【0081】
さらに付言すると、図12(a)、(d)は、それぞれ電極端子10、20を示しているので最上位に位置するセラミックシート5の上面図であり、図12(b)、(e)は、それぞれ最下位(底面)に位置するセラミックシート6の上面図であり、さらに図12(c)、(f)は、外部電極12、22が形成されているのでそれぞれ最下位(底面)に位置するセラミックシート6の下面図(底面の様子)である。また、図13は、圧電振動子1を各側面から見た場合の概略断面図である。
【0082】
ここで図12(b)に示すように、セラミックシート6の上面(即ち、セラミックシート6とセラミックシート5との間)には、所定の形状を有する電極パターン11が形成されている。なお、この電極パターン11と図12(a)に示す電極端子10、又は図12(c)に示す外部電極12は、ビアによって導通されている。さらに電極パターン11には、セラミックシート6の面方向に延びる外部電極対向用の延伸部11aが設けられており、この延伸部11aが、セラミック多層基板の厚さ方向において、他方の極性に対応する外部電極22(図12(f))と対向している。
【0083】
同様に、図12(e)に示すように、セラミックシート6の上面には、所定の形状を有する電極パターン21が形成されている。なお、この電極パターン21と図12(d)に示す電極端子20、又は図12(f)に示す外部電極22は、ビアによって導通されている。さらに電極パターン21には、セラミックシート6の面方向に延びる外部電極対向用の延伸部21aが設けられており、この延伸部21aが、セラミック多層基板の厚さ方向において、他方の極性に対応する外部電極12(図12(c))と対向している。
【0084】
このように本実施形態では、各極性に対応する電極パターン11、21に、それぞれ外部電極対向用の延伸部11a、21aが設けられており、これらの延伸部11a、21aが、異なる極性の外部電極12、22と厚さ方向において対向している。よって、互いに異極の電極が対向することになるので、圧電振動子1自体の電気容量C0を増大させることが可能になる。なお、延伸部11a、21aと外部電極12、22との間隔を狭めることで、電気容量C0をさらに大きくすることも可能である。
【0085】
なお、電極パターン11、21の延伸部11a、21aと外部電極12、22とが対向する状態は、図13を見るとより明らかである。即ち、図13に示すように、一方の極性に対応する電極パターン11の延伸部11aと、他方の極性に対応する外部電極22とが対向しており、また、他方の極性に対応する電極パターン21の延伸部21aと、一方の極性に対応する外部電極12とが対向している。
【0086】
以上より、本実施形態に係る圧電振動子によれば、セラミック多層基板を用いる構成であっても、小型化、低コスト化を達成しつつ、電気容量C0を高くすることが可能な圧電振動子、発振器、電子機器及び電波時計を提供することが可能になる。
【符号の説明】
【0087】
B…バンプ
C…キャビティ
1…圧電振動子
4…圧電振動片
30、31…スルーホール(貫通孔)
35…接合膜
36、37…引き回し電極
36a…電極パターン
38、39…外部電極
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース基板と、
前記ベース基板と対向した状態で前記ベース基板に接合されるリッド基板と、
前記ベース基板と前記リッド基板との間に形成される凹部内に収容され、励振電極が形成されている圧電振動片と、
前記ベース基板の外面に形成されている外部電極と、
前記圧電振動片と前記外部電極とを電気的に接続する電極パターンと、を備え、
前記外部電極と前記電極パターンとが、それぞれの電気極性に対応して設けられている圧電振動子において、
一方の極性に対応する前記電極パターンと、
他方の極性に対応する前記電極パターンとが、
前記ベース基板の内面側において、互いに接近した状態で対向していることを特徴とする圧電振動子。
【請求項2】
ベース基板と、
前記ベース基板と対向した状態で前記ベース基板に接合されるリッド基板と、
前記ベース基板と前記リッド基板との間に形成される凹部内に収容され、励振電極が形成されている圧電振動片と、
前記ベース基板の外面に形成されている外部電極と、
前記圧電振動片と前記外部電極とを電気的に接続する電極パターンと、を備え、
前記外部電極と前記電極パターンとが、それぞれの電気極性に対応して設けられている圧電振動子において、
一方の極性に対応する前記電極パターンと、
他方の極性に対応する前記外部電極とが、
前記ベース基板の厚さ方向において互いに対向していることを特徴とする圧電振動子。
【請求項3】
前記一方の極性に対応する電極パターンと、前記他方の極性に対応する電極パターンとが互いに接近した状態で対向するように、
前記一方の極性に対応する電極パターンに沿って延びる電気容量調整用の電極パターンが、前記他方の極性に対応する電極パターンから延設されていることを特徴とする請求項1に記載の圧電振動子。
【請求項4】
前記一方の極性に対応する電極パターンから延びる第1の重なり電極部と、前記他方の極性に対応する電極パターンから延びる第2の重なり電極部とが誘電体を挟んで互いに接近した状態で対向していることを特徴とする請求項1に記載の圧電振動子。
【請求項5】
前記ベース基板の内面側において、
前記一方の極性に対応する電極パターンが、前記他方の極性に対応する外部電極との対向領域まで延びるように形成されていることを特徴とする請求項2に記載の圧電振動子。
【請求項6】
前記ベース基板は、複数のセラミックシートが厚さ方向に積層されてなるセラミック多層基板であり、
前記他方の極性に対応する外部電極に対向するように、前記一方の極性に対応する電極パターンから外部電極対向用の延伸部が前記複数のセラミックシートの少なくとも1つのシート上に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の圧電振動子。
【請求項7】
前記リッド基板はガラス材料からなる基板であって、かつ、前記圧電振動片の先端には周波数調整用の重り金属膜が形成されており、
前記ベース基板の内面側において、前記圧電振動片の先端近傍には前記電極パターンが形成されていないことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の圧電振動子。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の圧電振動子が、発振子として集積回路に電気的に実装されていることを特徴とする発振器。
【請求項9】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の圧電振動子が、計時部に電気的に実装されていることを特徴とする電子機器。
【請求項10】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の圧電振動子が、フィルタ部に電気的に接続されていることを特徴とする電波時計。
【請求項1】
ベース基板と、
前記ベース基板と対向した状態で前記ベース基板に接合されるリッド基板と、
前記ベース基板と前記リッド基板との間に形成される凹部内に収容され、励振電極が形成されている圧電振動片と、
前記ベース基板の外面に形成されている外部電極と、
前記圧電振動片と前記外部電極とを電気的に接続する電極パターンと、を備え、
前記外部電極と前記電極パターンとが、それぞれの電気極性に対応して設けられている圧電振動子において、
一方の極性に対応する前記電極パターンと、
他方の極性に対応する前記電極パターンとが、
前記ベース基板の内面側において、互いに接近した状態で対向していることを特徴とする圧電振動子。
【請求項2】
ベース基板と、
前記ベース基板と対向した状態で前記ベース基板に接合されるリッド基板と、
前記ベース基板と前記リッド基板との間に形成される凹部内に収容され、励振電極が形成されている圧電振動片と、
前記ベース基板の外面に形成されている外部電極と、
前記圧電振動片と前記外部電極とを電気的に接続する電極パターンと、を備え、
前記外部電極と前記電極パターンとが、それぞれの電気極性に対応して設けられている圧電振動子において、
一方の極性に対応する前記電極パターンと、
他方の極性に対応する前記外部電極とが、
前記ベース基板の厚さ方向において互いに対向していることを特徴とする圧電振動子。
【請求項3】
前記一方の極性に対応する電極パターンと、前記他方の極性に対応する電極パターンとが互いに接近した状態で対向するように、
前記一方の極性に対応する電極パターンに沿って延びる電気容量調整用の電極パターンが、前記他方の極性に対応する電極パターンから延設されていることを特徴とする請求項1に記載の圧電振動子。
【請求項4】
前記一方の極性に対応する電極パターンから延びる第1の重なり電極部と、前記他方の極性に対応する電極パターンから延びる第2の重なり電極部とが誘電体を挟んで互いに接近した状態で対向していることを特徴とする請求項1に記載の圧電振動子。
【請求項5】
前記ベース基板の内面側において、
前記一方の極性に対応する電極パターンが、前記他方の極性に対応する外部電極との対向領域まで延びるように形成されていることを特徴とする請求項2に記載の圧電振動子。
【請求項6】
前記ベース基板は、複数のセラミックシートが厚さ方向に積層されてなるセラミック多層基板であり、
前記他方の極性に対応する外部電極に対向するように、前記一方の極性に対応する電極パターンから外部電極対向用の延伸部が前記複数のセラミックシートの少なくとも1つのシート上に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の圧電振動子。
【請求項7】
前記リッド基板はガラス材料からなる基板であって、かつ、前記圧電振動片の先端には周波数調整用の重り金属膜が形成されており、
前記ベース基板の内面側において、前記圧電振動片の先端近傍には前記電極パターンが形成されていないことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の圧電振動子。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の圧電振動子が、発振子として集積回路に電気的に実装されていることを特徴とする発振器。
【請求項9】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の圧電振動子が、計時部に電気的に実装されていることを特徴とする電子機器。
【請求項10】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の圧電振動子が、フィルタ部に電気的に接続されていることを特徴とする電波時計。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−209929(P2012−209929A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−263937(P2011−263937)
【出願日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】
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