説明

圧電薄膜の製造方法

【課題】 アルカリ金属成分を蒸発させることなく、高い緻密度で、優れた圧電特性を有するニオブ酸カリウムナトリウム系圧電薄膜を製造する方法を提供することにある。
【解決手段】 アルカリ金属が蒸発しない基板温度、例えば800℃以下の基板温度とした基板3上に、エアロゾルデポジション法により組成式(KxNayLiz)NbO3(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、x+y+z=1)で表されるニオブ系酸化物の微粒子を吹き付けることにより、圧電定数d31の絶対値が100pm/V以上であり、緻密度が80%以上である圧電薄膜4を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電アクチュエータ、圧電センサー、フィルタ等に用いられる圧電薄膜の製造方法に係り、特に組成式(KxNayLiz)NbO3(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、x+y+z=1)で表されるニオブ系酸化物の緻密な圧電薄膜を製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、圧電セラミックス材料としては、PbTiO3を主成分とするいわゆるチタン酸鉛系セラミックスや、Pb(Zr、Ti)O3を主成分とするいわゆるチタン酸ジルコン酸鉛系セラミックスや、または様々な複合ペロブスカイト組成物、例えばPb(Mg1/3Nb2/3)O3、Pb(Ni1/3Nb2/3)O3等を何種類か固溶する多成分系圧電体組成物が使われてきた。これらの組成物では、成分の組成物を選ぶことにより、用途に応じた様々な圧電体を得ることができる。これらの圧電セラミックスは、アクチュエータ、センサー、セラミックフィルタ、圧電ブザー、圧電点火器、超音波振動子等に用いられている。
【0003】
しかし、これらの圧電体は、酸化鉛(PbO)を60〜70重量%程度含有しているので、生態学的見地および公害防止の面から好ましくない。そこで環境への配慮から鉛を含有しない圧電磁器の開発が望まれている。
【0004】
現在、様々な鉛フリー圧電材料が研究されているが、その中にニオブ酸カリウムナトリウム(リチウムやその他の組成を混合する場合もある)がある。この材料は、圧電特性において非常に高いポテンシャルを有しており、現在使用されている鉛含有圧電材料の代替候補として最も期待されている材料である。
【0005】
しかし、セラミックス焼成時(1000℃以上)にナトリウムおよびカリウムが揮発しやすいことから、通常のセラミック焼成プロセスでは緻密な焼結体が得られにくいという問題がある。現在までに様々な焼結方法、添加物混入等が試されているが、効果が少ない、コストが高く生産性がない等の問題があり、本質的な改善には至っていない。そのため、この材料が持つ圧電性のポテンシャルを十分に引き出せていない状況である。
【0006】
一方、脆性材料の膜を形成できる技術として、エアロゾルデポジション法がある。エアロゾルデポジション法とは、粒径がサブミクロンレベルの原料微粒子を基板に高速に吹き付け、衝突時のエネルギーで成膜する方法である。この成膜方法自体は、例えば特開2002−235181号公報(特許文献1)、特開2002−309384号公報(特許文献2)、特開2003−183848号公報(特許文献3)等で、様々な脆性材料の膜を形成できる技術が報告されている。
【特許文献1】特開2002−235181号公報
【特許文献2】特開2002−309384号公報
【特許文献3】特開2003−183848号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、エアロゾルデポジション法は、これまで、A・NbO3(A=アルカリ金属のカリウム、ナトリウム、リチウム、またはそれらの組み合わせ)で表されるニオブ系酸化物への適用は困難であると考えられており、実際に検討された実績がなかった。上記特許文献1〜3にも、ニオブ系酸化物への適用については開示がない。
【0008】
このような現状において、ニオブ酸カリウムナトリウムは、鉛を含まず、しかも、従来の鉛含有圧電体を十分に代替できる特性を有する圧電体でありながら、セラミックス焼成時(1000℃以上)にアルカリ金属成分であるナトリウムおよびカリウムが揮発しやすいために、通常のセラミック焼成プロセスでは緻密な焼結体が得にくい。そのため、この材料が持つ圧電性のポテンシャルを十分に引き出せていない状況にある。
【0009】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、アルカリ金属成分を蒸発させることなく、高い緻密度で、優れた圧電特性を有するニオブ酸カリウムナトリウム系圧電薄膜を製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は、次のように構成したものである。
【0011】
請求項1の発明に係る圧電薄膜の製造方法は、アルカリ金属が蒸発しない基板温度とした基板上に、エアロゾルデポジション法により組成式(KxNayLiz)NbO3(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、x+y+z=1)で表されるニオブ系酸化物の微粒子を吹き付けることにより、緻密な圧電薄膜を形成することを特徴とする。
【0012】
請求項2の発明に係る圧電薄膜の製造方法は、基板を800℃以下の基板温度に加熱し、この加熱された基板上に、エアロゾルデポジション法により組成式(KxNayLiz)NbO3(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、x+y+z=1)で表されるニオブ系酸化物の微粒子を吹き付けることにより、緻密な圧電薄膜を形成することを特徴とする。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の圧電薄膜の製造方法において、上記基板上に形成されるニオブ系酸化物の圧電薄膜は、圧電定数d31の絶対値が100pm/V以上であることを特徴とする。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の圧電薄膜の製造方法において、上記基板上に形成されるニオブ系酸化物の圧電薄膜が多結晶であり、圧電薄膜を構成する物質の一部が基板表面に食い込むアンカー部を形成しており、実質的に配向性がなく、緻密度が80%以上であることを特徴とする。
【0015】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の圧電薄膜の製造方法において、上記基板上に形成されるニオブ系酸化物の圧電薄膜が、ニオブ酸化物を主成分とし、その他の副成分が10%以下の割合で混入している構造体であることを特徴とする。
【0016】
<発明の要点>
本発明では、上記課題の解決方法として、ニオブ酸カリウムナトリウム系圧電体をエアロゾルデポジション法で形成することを要旨とする。
【0017】
エアロゾルデポジション法とは、粒径がサブミクロンレベルの原料微粒子を基板に高速に吹き付け、衝突時のエネルギーで成膜する方法である。この成膜方法自体は、特許文献1〜3等で様々な脆性材料の膜を形成できる技術として報告されているが、これまで、A・NbO3(A=アルカリ金属のカリウム、ナトリウム、リチウム、またはそれらの組み合わせ)で表されるニオブ系酸化物への適用は困難であると考えられており、実際に検討された実績がなかった。
【0018】
今回、本発明者が鋭意努力して取り組んだ結果、エアロゾルデポジション法を用いることで、800℃以下での低温プロセスで良質な結晶性を有するニオブ酸カリウムナトリウム圧電膜を形成できることが分かった。この800℃以下という低温成膜によって、アルカリ金属が蒸発することなく、緻密なニオブ酸カリウムナトリウム圧電膜が形成でき、圧電定数d31の絶対値が100pm/V以上という非常に高い圧電定数が実現できるようになる。
【0019】
実際の処理温度としては、100℃〜800℃の温度範囲とするのが好ましい。下限を100℃以上としたのは、100℃未満ではニオブ酸カリウムナトリウム圧電膜と下地の密着性が不足することがあり不都合であるからである。
【0020】
本発明は、ニオブ酸カリウムナトリウムに限定されるものではなく、ニオブ酸カリウムナトリウムリチウムや、それらに少量のドーピングを行った組成物からなる薄膜にも適用できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、アルカリ金属が蒸発しない基板温度、例えば800℃以下の基板温度とした基板上に、エアロゾルデポジション法により組成式(KxNayLiz)NbO3(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、x+y+z=1)で表されるニオブ系酸化物の微粒子を吹き付け、これにより緻密な圧電薄膜を製造する。具体的には、例えば圧電定数d31の絶対値が100pm/V以上であり、緻密度が80%以上である圧電薄膜が製造される。
【0022】
このように、本発明によれば、鉛を含まず、しかも、従来の鉛含有圧電体を十分に代替できる特性を有する圧電体が作製できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0024】
図1にエアロゾルデポジション成膜装置の構成の概略を示す。
【0025】
このエアロゾルデポジション成膜装置においては、ヘリウム(He)のガスボンベ11が、配管12aにより減圧弁21、マスフロコントローラ22、開閉弁23を介してエアロゾル発生器であるエアロゾル室13に連結され、さらに開閉弁24、配管12bを通じて、成膜チャンバー14内に配置されたノズル15に連結される。ノズル15の先方には、ヒータ20を内蔵する基板ホルダー16により基板3がノズル15に対向して10mmの間隔をあけて配置される。基板ホルダー16はXYステージ17に取り付けられており、基板3がXY方向に移動できる構成となっている。成膜チャンバー14には粉体フィルタ18を通して排気ポンプ19が接続されている。
【0026】
かかる構成において、上記基板3は、ヒータ20により、アルカリ金属が蒸発しない基板温度、具体的には100℃以上、800℃以下の基板温度に加熱される。そして、組成式(KxNayLiz)NbO3(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、x+y+z=1)で表されるニオブ系酸化物の微粒子を、エアロゾル室13からノズル15に供給して基板3に100m/S以上の速度で吹き付ける。
【0027】
このように基板温度を800℃以下とすることで、エアロゾルデポジション法により、基板3の表面に、組成式(KxNayLiz)NbO3(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、x+y+z=1)で表されるニオブ系酸化物、つまり組成式A・NbO3(A=アルカリ金属のカリウム、ナトリウム、リチウム、またはそれらの組み合わせ)で表されるニオブ系酸化物の圧電薄膜を形成することができる。この圧電薄膜のニオブ系酸化物は、多結晶であり、圧電薄膜を構成する物質の一部が基板表面に食い込むアンカー部を形成しており、実質的に配向性がなく、緻密度が80%以上である。そして、圧電定数d31の絶対値が100pm/V以上である、といった優れた特性を有する。
【0028】
また、このニオブ系酸化物の圧電薄膜は、鉛を含まず、しかも、従来の鉛含有圧電体を十分に代替できる特性を有する。従って、従来の鉛含有圧電体に代替して、例えば圧電素子、焦電素子、センサー、記憶素子、キャパシタといった圧電薄膜素子を作製するのに用いることができる。
【0029】
上記基板上に形成されるニオブ系酸化物の圧電薄膜は、その圧電薄膜の全体がニオブ酸化物であってもよいが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばニオブ酸化物を主成分とし、その他の副成分が10%以下の割合で混入している構造体として形成することもできる。
【0030】
<実施例>
以下、エアロゾルデポジション法により(K 、Na)NbO3圧電薄膜(膜厚100μm)を形成した例を記載する。
【0031】
図2において、基板1にはSi(100)基板(20mm×20mmの大きさに切り出した物、厚さ1.0mm)を用いて、まず、その基板1上にPt下部電極膜2(膜厚0.5μm)をRFマグネトロンスパッタリング法によって成膜した。Pt下部電極膜2の成膜条件は、基板温度300℃、放電パワー200W、導入ガスAr、圧力約2.666Pa(0.02Torr)で行った。
【0032】
その後、前記のPt下部電極膜2上に、エアロゾルデポジション法で(K0.5Na0.5)NbO3圧電薄膜を100μm形成した。
【0033】
このエアロゾルデポジション法による(K0.5Na0.5)NbO3圧電薄膜の形成の詳細を以下に記載する。
【0034】
前提となる成膜装置には図1の構成のエアロゾルデポジション成膜装置を用いた。
【0035】
原料微粒子には、粒径が0.1〜2μmの良好な圧電特性を有するペロブスカイト構造の(K0.5Na0.5)NbO3微粒子を用いた。原料微粒子は200gをエアロゾル室13にチャージし、搬送用ガスとしてはHeガスを用いた。エアロゾル室13でエアロゾル化した原料を、搬送用のHeガスに乗せて、成膜チャンバー14に搬送し、微小な開口面積(0.3mm×5mm)のノズル15を通すことで、高速に加速し、前記基板3に吹き付けた。基板温度は800℃以下、具体的には450℃とした。基板3はノズル15に対してXYステージ17で連続的に走査することで、基板全面に均一に成膜した。He搬送ガスの流量は1〜5L/min、成膜チャンバー14内の圧力は約133.32Pa〜2666.4Pa(1〜20Torr)の範囲で行った。これにより(K0.5Na0.5)NbO3圧電薄膜4を100μmの厚さに形成した。
【0036】
得られた(K0.5Na0.5)NbO3圧電薄膜4の特性評価を目的として、更に、上記(K0.5Na0.5)NbO3圧電薄膜4(100μm)上に、膜厚0.5μmのPt上部電極膜5をRFマグネトロンスパッタリング法で形成することで、上下の電極2、5に(K0.5Na0.5)NbO3圧電薄膜4が挟まれた構造の圧電素子6を作製した。作製した圧電素子6の構造を図2に示す。
【0037】
次に、この圧電素子6から、長さ20mm、幅5mmの短冊形状を切り出し、図3の如く、長手方向の一端をクランプ7で固定することで、簡易的なユニモルフカンチレバー(カンチレバー型小型アクチュエータ8)を形成した。
【0038】
この状態で電極2、5を通じて両電極間の(K0.5Na0.5)NbO3圧電薄膜4に電圧を印加すると、(K0.5Na0.5)NbO3圧電薄膜4が伸縮することでカンチレバー9全体が屈曲動作し、レバー先端が変位する。その変位量を、図3に示す如く、CCDカメラ30で観察しながら、干渉計31、干渉計ユニット32、復調ユニット33、オシロスコープ34を含むレーザードップラ変位計で測定し、この測定した変位量から(K0.5Na0.5)NbO3圧電薄膜4の圧電定数d31を算出した。圧電定数d31評価方法の概略を図3の上系統に示す。
【0039】
<比較例>
次に、本発明を用いた場合と従来技術を用いた場合の比較のために、従来技術で(K0.5Na0.5)NbO3焼結体を作製し、前記と同様の圧電定数d31評価を行った。
【0040】
従来技術の試料作製方法の詳細を以下に記載する。
【0041】
組成式(K0.5Na0.5)NbO3にて構成される基試料にK2CO3、NaHCO3、Nb25の各粉末を(K0.5Na0.5)NbO3の組成式になるように配合し、アセトンを用いてボールミルで20時間混合し、この混合粉末を乾燥させた後に900℃で5時間仮焼を行い、これを粉砕して#60メッシュにふるいにより整粒して、(K0.5Na0.5)NbO3の結晶相を有する粉末を作製した。この粉砕した粉末に1軸プレスを行い直径25mm、厚さ1mmのプレス体を作製した。前記プレス体を酸素フロー中において600℃まで上昇させて1時間保持し、更に1050℃まで加熱して更に1時間保持した。最後に室温(約25℃)までゆっくり冷却することで(K0.5Na0.5)NbO3焼結体を得た。
【0042】
次に、この(K0.5Na0.5)NbO3焼結体から長さ20mm幅5mmの短冊形状を切り出し、Si基板に貼り付け、(K0.5Na0.5)NbO3焼結体の表面を研磨することで、(K0.5Na0.5)NbO3の膜厚を100μmに加工した。
【0043】
<評価>
圧電定数および圧電動作の信頼性の測定結果を以下に示す。
【0044】
本発明(実施例)の方法により作製した(K0.5Na0.5)NbO3圧電薄膜4の圧電定数d31は−150pm/Vであり、従来技術(従来例)の方法で作製した(K0.5Na0.5)NbO3焼結体の圧電定数d31は−70pm/Vであった。すなわち本実施例の(K0.5Na0.5)NbO3圧電薄膜4の圧電定数d31の方が、従来技術に較べて非常に高い値を示した。
【0045】
次に、信頼性(寿命劣化)を評価するため、こられのユニモルフカンチレバー9に、ファンクションジェネレータとアンプ回路から成る信号発生器35から、周波数10kHz、±20Vの電圧を連続的に印加させることで、連続的に長時間にわたって圧電動作させて、信頼性を確認した。この圧電動作の信頼性の測定結果を図4に示す。
【0046】
図4から、従来技術で作製したカンチレバー9は、振幅回数が1000万回付近から変位量が低下し、約2000万回で全く動作しなくなったのに対して、本発明(実施例)を用いて作製したカンチレバー9は、振幅回数が1億回でも全く変位量が低下していないことが分かる。
【0047】
<他の実施例、変形例>
上記実施例では、下部電極にPtを用いたが、電極材料はPtに限定されるものではなく、様々な導電性材料を用いることが可能である。
【0048】
また、上記実施例では、エアロゾル成膜における搬送ガスとしてHeガスを用いたが、搬送ガスはHeに限定されるものではなく、N2、Ar等、様々な種類のガスを利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施例に係る圧電薄膜の製造方法で用いたエアロゾルデポジション成膜装置を示した図である。
【図2】本発明の実施例により作製される(K、Na)NbO3圧電薄膜構造物(圧電素子)を示した図である。
【図3】圧電定数d31及び信頼性の評価方法を示した概略図である。
【図4】本発明で得られた圧電薄膜を動作させた際の信頼性の評価結果を、従来技術による圧電薄膜の場合と比較して示した図である。
【符号の説明】
【0050】
1 基板
2 下部電極膜
2a 下部電極膜
3 基板
5 Pt上部電極膜
4 (K0.5Na0.5)NbO3圧電薄膜
6 圧電素子
7 クランプ
8 アクチュエータ
9 カンチレバー
11 ヘリウムのガスボンベ
12a 配管
12b 配管
13 エアロゾル室(エアロゾル発生器)
14 成膜チャンバー
15 ノズル
16 基板ホルダー
17 XYステージ
18 粉体フィルタ
19 排気ポンプ
20 ヒータ
21 減圧弁
22 マスフロコントローラ
23 開閉弁
24 開閉弁
30 CCDカメラ
31 干渉計
32 干渉計ユニット
33 復調ユニット
34 オシロスコープ
35 信号発生器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ金属が蒸発しない基板温度とした基板上に、エアロゾルデポジション法により組成式(KxNayLiz)NbO3(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、x+y+z=1)で表されるニオブ系酸化物の微粒子を吹き付けることにより、緻密な圧電薄膜を形成することを特徴とする圧電薄膜の製造方法。
【請求項2】
基板を800℃以下の基板温度に加熱し、この加熱された基板上に、エアロゾルデポジション法により組成式(KxNayLiz)NbO3(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、x+y+z=1)で表されるニオブ系酸化物の微粒子を吹き付けることにより、緻密な圧電薄膜を形成することを特徴とする圧電薄膜の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の圧電薄膜の製造方法において、
上記基板上に形成されるニオブ系酸化物の圧電薄膜は、圧電定数d31の絶対値が100pm/V以上であることを特徴とする圧電薄膜の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の圧電薄膜の製造方法において、
上記基板上に形成されるニオブ系酸化物の圧電薄膜が多結晶であり、圧電薄膜を構成する物質の一部が基板表面に食い込むアンカー部を形成しており、実質的に配向性がなく、緻密度が80%以上であることを特徴とする圧電薄膜の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の圧電薄膜の製造方法において、
上記基板上に形成されるニオブ系酸化物の圧電薄膜が、ニオブ酸化物を主成分とし、その他の副成分が10%以下の割合で混入している構造体であることを特徴とする圧電薄膜の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−291332(P2006−291332A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−117096(P2005−117096)
【出願日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】