説明

地上デジタル放送のチャンネルスキャンの高速化方法を用いたデジタル放送受信装置

【課題】同一ネットワークで異なる物理チャンネルを受信可能な地域において、受信信号品質を計測する対象チャンネルを減少することでスキャンの高速化を可能とするデジタル放送受信装置を提供する。
【解決手段】地上デジタル放送のチャンネルスキャンにおいて、受信可能なチャンネルを取得する手段301と、選局操作情報が重複するチャンネルを判断する手段302と、その重複するチャンネルの受信信号品質を計測する手段303と、受信信号品質を比較し良い方のチャンネルを記憶する手段304とを備え、選局操作情報が重複するチャンネルのみ受信信号品質を計測、取得、比較し、受信信号品質の良い方のチャンネルを記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル放送に用いる受信装置(国際特許分類 H04N17/00)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地上デジタル放送では、それぞれのネットワークは他ネットワークの情報を流さないため地上デジタル放送の全周波数をスキャンして受信可能なチャンネルのネットワーク情報を取得する必要がある。 また、Multi Frequency Network(以下、MFN)により同一ネットワークで異なる物理チャンネルを受信可能な地域では受信C/NまたはBERの良好なチャンネルを「受信可能周波数テーブル」に記憶することが求められ、特開2004−208186号公報で公知の通り、スキャン時に受信可能であると判断した際に受信信号品質を記憶し、選局操作情報が重複する放送情報を持つチャンネルが受信された場合に、これら重複する放送の受信信号品質を比較し、受信信号品質が良い方のチャンネルを記憶することで実現を図っている。
【特許文献1】特開2004−208186号公報
【非特許文献1】ARIB−TR−B14 第二編Ver1.5 地上デジタルテレビジョン放送受信機機能仕様書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、受信信号品質を取得するには信号品質が安定する迄の待ち時間が必要であり、従来の技術では選局操作情報が重複するチャンネルが存在しなくてもスキャン時に受信可能であると判断する毎に受信信号品質を計測し記憶するため、必ず受信信号品質の安定待ち時間が発生し、スキャンが終了するまでの時間がかかるといった課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明(請求項1)に係るデジタル放送受信装置は、地上デジタル放送のチャンネルスキャンを行いチャンネルリストに記憶するデジタル放送受信装置において、地上デジタル放送の全周波数をスキャンし受信可能なチャンネルを取得する手段と、選局操作情報が重複するチャンネルを判断する手段と、選局操作情報が重複するチャンネルが存在する場合のみそのチャンネルの受信信号品質を計測する手段と、受信信号品質を比較し良い方のチャンネルを記憶する手段とを備えたものである。
【0005】
また、本発明(請求項2)では、地上デジタル放送のチャンネルスキャンを行いチャンネルリストに記憶するデジタル放送受信方法において、地上デジタル放送の全周波数をスキャンし受信可能なチャンネルを取得するステップと、選局操作情報が重複するチャンネルを判断するステップと、選局操作情報が重複するチャンネルが存在する場合のみそのチャンネルの受信信号品質を計測するステップと、受信信号品質を比較し良い方のチャンネルを記憶するステップとを備えたものである。
【0006】
また、本発明(請求項3)に係る記録媒体は、上記のデジタル放送受信方法(請求項2)を実施するコンピュータプログラムを記録するものであり、本発明(請求項4)はそのコンピュータプログラムそのものに関するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の請求項1に係るデジタル放送受信装置によれば、地上デジタル放送のチャンネルスキャン時、選局操作情報が重複する放送情報を持つチャンネルのみの受信信号品質を計測するため、選局操作情報が重複するチャンネルが存在しない場合には計測時間待ちがなくなり、選局操作情報が重複するチャンネルが存在する場合でも重複するチャンネルのみ受信信号品質を計測するため受信信号品質の計測時間待ちの対象チャンネルが減少するため、スキャンの高速化を図れる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、地上デジタル放送のチャンネルスキャンを行いチャンネルリストに記憶するデジタル放送受信装置であって、地上デジタル放送の全周波数をスキャンし受信可能なチャンネルを取得する手段と、選局操作情報が重複するチャンネルを判断する手段と、選局操作情報が重複するチャンネルが存在する場合のみそのチャンネルの受信信号品質を計測する手段と、信信号品質を比較し良い方のチャンネルを記憶する手段とを備えたことを特徴とするデジタル放送受信装置であり、選局操作情報が重複しないチャンネルの場合には受信信号品質を計測しないことで地上デジタル放送のチャンネルスキャンを高速化できる作用を有する。
【実施例1】
【0009】
図1は本発明の一実施の形態におけるデジタル放送受信装置のハードウェアのブロック図である。以下、図1を用いて上記デジタル放送受信装置の構成について説明する。ユーザが選局した信号を受信するTuner101、信号レベルの有無を検出するIF信号検知102、変調されているその信号を復調する復調器103、復調された信号から映像・音声・付加情報に分離するためのTS Decoder104、分離された映像信号・音声信号をデコードするAV Devocer105、プログラムや番組情報などを格納する記憶装置であるFlashROM106、プログラムの内部情報などを格納する記憶装置であるRAM107、ユーザ固有の情報やデジタル放送受信装置のシステム設定情報などを格納する記憶装置であるEEPROM109、外部機器へのリモコン信号の送信を行う赤外線リモコン信号送信装置110、リモコン信号の受信を行う赤外線リモコン受信装置111、LANを利用した双方向サービスを行うためのEther制御装置112、IEEE1394規格に準拠し外部機器との制御やデータの送受信を行うIEEE1394制御装置113、これらの装置をシステムバス100を通じて制御するCPU108から構成される。
【0010】
以上の構成からなるデジタル放送受信装置における本発明の実施例1について図2の処理フローを用いて以下に説明する。
【0011】
図2のステップ21で図1のTuner101へ最初にスキャンするチャンネルの選局データを設定し
図2のステップ22へ遷移する。次に図2のステップ22で、図1のTS Decoder104の同期信号(TS同期)のあり、なしを検出し、TS同期がなければ、次のチャンネルをスキャンするために図2のステップ25へ遷移し、TS同期があれば、図2のステップ23で受信可能なチャンネルとしてこのチャンネルをチャンネルリストに追加し、そのチャンネルリストを図1のEEPROMに記憶し、次のチャンネルをスキャンするために図2のステップ25へ遷移する。次に図2のステップ25で、スキャンしたチャンネルがラスとのチャンネルであれば、図2のステップ26へ遷移し、スキャンしたチャンネルがラスとのチャンネルでなければ、図2のステップ24で、図1のTuner101へ次のスキャンするチャンネルの選局データを設定し、図2のステップ22に遷移する。次に図のステップ26で、スキャン時に構築したチャンネルリストから選局操作情報が重複するチャンネルの有無をチェックし、選局操作情報が重複するチャンネルがあれば図2のステップ27へ遷移し、選局操作情報が重複するチャンネルがなければチャンネルスキャンの処理は終了となる。次に図2のステップ27で図1のTuner101へ選局操作情報が重複するチャンネルの選局データを設定し図2のステップ28へ遷移する。次に図2のステップ28で、図1のTS Decoder104の同期信号(TS同期)のあり、なしを検出し、TS同期があれば、図2のステップ29へ遷移し、TS同期がなければ、TS同期がありになるまで図2のステップ28への遷移を繰り返す。次に図2のステップ29で、受信信号が安定するための一定時間の時間待ちを行い、図2のステップ290で、受信信号品質を取得し、図1のRAM107に格納し、図2のステップ291で、選局操作情報が重複するチャンネルの受信信号品質を比較し、図2のステップ292で、受信信号品質が悪いチャンネルをチャンネルリストから削除し、そのチャンネルリストを図1のEEPROMに記憶し、図2のステップ293へ遷移する。次に図2のステップ293で、選局操作情報の重複するチャンネルがあれば、図2のステップ294で、次の選局操作情報が重複するチャンネルの選局データを設定し図2のステップ28へ遷移し、選局操作情報が重複するチャンネルがなければチャンネルスキャンの処理は終了となる。
【0012】
次に図3に、受信可能なチャンネルを取得する手段(ステップ301)、選局操作情報が重複するチャンネルを判断する手段(ステップ302)、重複するチャンネルの受信信号品質を計測する手段(ステップ303)、受信信号品質を比較し良い方のチャンネルを記憶する手段(ステップ304)として手段ごとのステップを示す。
【0013】
実施例1でチャンネルリストが「EEPROM」に記憶する構成としたが「FlashROM」でもよい。
【0014】
実施例1は受信機の形態として固定受信機に限定されるものではなく、移動受信機、部分受信機においても同様である。
【0015】
なお、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではない。
【0016】
以上、本発明を実施するための最良の形態における機能は、所定のプログラムによって実現され、これをFD等の記録媒体に記録して移送することにより、独立した他のコンピュータ・システムで容易に実施することができ、また製品においては、内蔵するメモリーに該プログラムが書き込まれ、受信装置のハードキーあるいはリモコンによりユーザが操作を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明の地上デジタル放送のチャンネルスキャンの高速化方法は、同一ネットワークで異なる物理チャンネルを受信可能な地域の場合には、選局操作情報が重複するチャンネルのみの受信信号品質を計測することで受信信号品質の計測時間待ちの対象チャンネルが減少するため、スキャンの高速化が図れる効果を有しており、デジタル放送に用いる受信装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態におけるデジタル放送受信装置のハードウェアのブロック図
【図2】本発明の実施形態1におけるデジタル放送受信装置の処理を示すフローチャート
【図3】本発明の実施形態1におけるデジタル放送受信装置の処理を示すフローチャート
【符号の説明】
【0019】
100 システムバス
101 Tuner
102 IF信号検知
103 復調器
104 TSDecoder
105 AVDecoder
106 FlashROM
107 RAM
108 CPU
109 EEPROM
110 赤外線リモコン送信装置
111 赤外線リモコン受信装置
112 Ether制御装置
113 IEEE1394制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上デジタル放送のチャンネルスキャンを行いチャンネルリストに記憶するデジタル放送受信装置において、地上デジタル放送の全周波数をスキャンし受信可能なチャンネルを取得する手段と、選局操作情報が重複するチャンネルを判断する手段と、選局操作情報が重複するチャンネルが存在する場合のみそのチャンネルの受信信号品質を計測する手段と、受信信号品質を比較し良い方のチャンネルを記憶する手段とを備えたことを特徴とするデジタル放送受信装置。
【請求項2】
地上デジタル放送のチャンネルスキャンを行いチャンネルリストに記憶するデジタル放送受信方法において、地上デジタル放送の全周波数をスキャンし受信可能なチャンネルを取得するステップと、選局操作情報が重複するチャンネルを判断するステップと、選局操作情報が重複するチャンネルが存在する場合のみそのチャンネルの受信信号品質を計測するステップと、受信信号品質を比較し良い方のチャンネルを記憶するステップとを備えたことを特徴とするデジタル放送受信方法。
【請求項3】
コンピュータに地上デジタル放送のチャンネルスキャンを行いチャンネルリストに記憶するデジタル放送受信ステップと、地上デジタル放送の全周波数をスキャンし受信可能なチャンネルを取得するステップと、選局操作情報が重複するチャンネルを判断するステップと、選局操作情報が重複するチャンネルが存在する場合のみそのチャンネルの受信信号品質を計測するステップと、受信信号品質を比較し良い方のチャンネルを記憶するステップとを実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項4】
コンピュータを地上デジタル放送のチャンネルスキャンを行いチャンネルリストに記憶するデジタル放送受信手段、地上デジタル放送の全周波数をスキャンし受信可能なチャンネルを取得する手段、選局操作情報が重複するチャンネルを判断する手段、選局操作情報が重複するチャンネルが存在する場合のみそのチャンネルの受信信号品質を計測する手段、受信信号品質を比較し良い方のチャンネルを記憶する手段として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−214864(P2007−214864A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−32228(P2006−32228)
【出願日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】