説明

地下液体貯留設備の保護管内付着堆積物除去装置及び方法

【課題】 岩盤地下の液体貯留槽に設置した保護管の内面に付着堆積した析出物を除去する保護管内付着堆積物除去装置を提供する。
【解決手段】
岩盤地下に形成された液体貯留槽1と、液体貯留槽1内に設置した保護管20と、保護管20内に設置された送液ポンプ23及び緊急遮断弁30を備えてなる地下液体貯留設備の保護管20内面に付着堆積した析出物を除去する保護管内付着堆積物除去装置であって、送液ポンプ23及び緊急遮断弁30を保護管30から取り外した際に保護管20内に設置され保護管20内面に付着堆積した析出物を除去洗浄する洗浄冶具50と、洗浄冶具50を保護管20内に吊下げるワイヤ51と該ワイヤ51を上下回転移動させる吊下機構46とを備えて構成し、洗浄冶具50で保護管20内面に付着堆積した析出物を除去洗浄するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原油や液化石油ガス等の液体を備蓄する岩盤地下の液体貯留槽内に設置されその内部に送液ポンプ及び緊急遮断弁を取り付けた保護管の内面に付着堆積した析出物を除去する地下液体貯留設備の保護管内付着堆積物除去装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原油や液化石油ガス(LPG)等の液体を備蓄する岩盤地下に形成された貯留槽(液体貯留槽)の構成例を図1に示す。同図に示すに貯留槽1は、地層2に形成された空洞状の岩盤貯層3の底部4に底水(地下水等)10が導入されており、底水10の上部に原油や液化石油ガス(LPG)等の貯留液体(仕様液)11が貯留されている。この貯留槽1内には上下方向に延伸する筒状の保護管20が設置され、保護管20内にモータ21及びポンプ22からなる送液ポンプ23が収納配置されている。送液ポンプ23の吐出端には揚液管24が接続されている。保護管20は貯留槽1の上部開口部5から上方へ突出し、該保護管20の上端開口部20aにはヘッドプレート25が取り付けられて封止されていると共に、揚液管24がヘッドプレート25を貫通して吐出口26に連通している。吐出口26は地上に設置した図示しない揚液設備等に連通接続されている。一方、上部開口部5の内周と保護管20外周との隙間は閉鎖体6で密封されると共に該閉鎖体6の上部には封水7が充填されており、これら閉鎖体6と封水7によって貯留槽1内の仕様液11や仕様液11から発生したガス等が保護管20の周囲から貯留槽1の外部へ漏れ出さないように構成されている。
【0003】
一方、保護管20の下端開口部20bの周囲には、貯留槽1の底部4に立設された堰板(スカート)8が設けられている。堰板8はその上端部8aが通常時において底水10の界面12よりも高い位置になる高さ寸法に形成されており、堰板8によって下端開口部20bの周囲に底水10が流入しないように構成され、下端開口部20b及びその周囲は仕様液11で満たされている。
【0004】
通常時は送液ポンプ23を運転することで、下端開口部20bから保護管20内に仕様液11を流入させて吸込口23aから揚液管24内へ導入し、貯留槽1の仕様液11を地上へ揚液している。ところが、何らかの原因で保護管20にピンホールが開いたり、保護管20の溶接部分にクラックが入る等して破損してしまうと、この破損箇所から仕様液11が漏れ出し地上に流出したり、発生したガスが大気中に噴出するなどの危険な状態に陥る恐れがある。最悪の場合、流出した液体や噴出したガスに引火して火災や爆発などの事故に至ってしまう。
【0005】
従来は、上記事故を防ぐため保護管20に破損箇所が生じた場合、底水10の水位を上昇させ界面12を堰板8の上端部8aよりも高くすることで底水10を堰板8の内側に流入させ、保護管20内の仕様液11を底水10で置換することで、貯留槽1と保護管20を遮断し、地上において大気中に放出される仕様液11やガスの量を制限して安全を確保していた。しかしこの方法では、大量の仕様液11を底水10で置換するのに非常に長い時間を要するため、その間、破損箇所からの仕様液11の流出を止めることができないという問題があった。
【0006】
そこで図1に示すように、保護管20内に、緊急時に仕様液11の流入を停止させる緊急遮断弁30を設置する例が増えてきている。同図では、保護管20内の送液ポンプ23の底部に仕様液通路28を備えた短管27が設置され、短管27の下部に緊急遮断弁30が設置されている。この緊急遮断弁30は、保護管20の下端開口部20bに挿入され、下端開口部20bの内周面と緊急遮断弁30の外周面の隙間をシール部40で密封し固定している。
【0007】
緊急遮断弁30の詳細構成例として非特許文献1等に記載された構成がある。図2を用いてその詳細構成及び動作を説明する。図2は緊急遮断弁30−1を示す側断面図で、同図(a)は緊急遮断弁30−1が開状態の場合、同図(b)は閉状態の場合を示す図である。また、図3は他の緊急遮断弁30−2を示す側断面図で、同図(a)は開状態の場合、同図(b)は閉状態の場合を示す図である。緊急遮断弁30−1と緊急遮断弁30−2は構成及び動作が共通するので、以下、両者の各部に同一の符号を付して説明する。緊急遮断弁30−1,30−2は、仕様液流路31に設置したフランジ(弁座)32と、該フランジ32に対して上下方向に移動可能に設置したシリンダ(弁体)33とを具備する構成である。下端部30aから流入した仕様液11は仕様液流路31を上昇し上端部30bから流出する。シリンダ33は、フランジ32側に固定されたピストン34にコイルスプリング35を介して取り付けられており、コイルスプリング35によってフランジ32の弁座面32aに当接する方向に付勢されている。また緊急遮断弁30の外部から連通してピストン34を貫通しシリンダ33内に向かって開口する圧力油配管36が設置され、シリンダ33に向けて上方から下向きに圧力油を供給するようになっている。
【0008】
上記構成の緊急遮断弁30−1,30−2において、通常時は圧力油配管36を通りシリンダ33に向けて常時圧力油が供給されており、シリンダ33は圧力油の油圧によってコイルスプリング35の弾発力に抗して下方に押し下げられている。これにより、フランジ32とシリンダ33との間に隙間37が形成され、仕様液流路31は開状態になる。従って、図1に示すように、送液ポンプ23が運転されることで、仕様液11が下端開口部20bから吸い込まれて保護管20内に流入し、緊急遮断弁30内を流通して短管27の仕様液通路28を通り送液ポンプ23の吸込口23aから吸込まれて揚液管24内を上昇して吐出口26まで揚液される。
【0009】
保護管20に破損箇所が生じた場合は、図2(b)又は図3(b)に示すように圧力油配管36からシリンダ33に供給している圧力油を停止することで、シリンダ33はコイルスプリング35の弾発力により上方に移動して隙間37を閉鎖し、即座に仕様液流路31を閉じる。これにより保護管20の破損箇所への仕様液11の流入を迅速に停止させることができる。
【0010】
ところで、図1に示すように、保護管20の下端開口部20bは本体部20cからテーパ状に若干その径が小さくなるように構成されており、緊急遮断弁30は下端開口部20bに上方から挿入され、シール部40にガスケット41が装着されて該シール部40が密封固定されている。このようにシール部40を密封固定することで、保護管20の内周と緊急遮断弁30の外周との隙間を無くし貯留槽1の仕様液11が緊急遮断弁30を通ってのみ保護管20内に流入するように構成している。
【0011】
一方、ヘッドプレート25を保護管20から取り外して上方に引上げることで、図4に示すように、一体に構成された送液ポンプ23と緊急遮断弁30をシール部40において保護管20から取り外すことが可能になっており、送液ポンプ23や緊急遮断弁30の保守・修理を行なう際に、緊急遮断弁30を保護管20の上方へ引き抜いて取り外すことができる。
【非特許文献1】平成5年度 石油ガス地下岩盤タンク保安技術基準作成業務 報告書(第II編 資料編),平成6年3月,高圧ガス保安協会
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、緊急遮断弁30を保護管20から引き抜いて地上に引き上げる際には、図4に示すように、底水10の水位を上昇させて保護管20の下部が底水10に浸るようにし、底水10で貯留槽1内の仕様液11と保護管20内の仕様液(又は充填したN2等の置換ガス)11´を遮断している。このため保護管20の内面が底水10に曝されることになり、底水10に含まれる炭酸カルシューム等の析出物が保護管20の内面、特に下端開口部20b及びその近傍位置の内面に付着堆積する。すると次回緊急遮断弁30を保護管20に取り付ける際に析出物が介在した状態で取り付けられてしまい、シール部40の密封状態が損なわれるという問題が起こる。
【0013】
特に、国内岩盤地下の液体備蓄設備では、岩盤内面のシール効果を得るためモルタルを塗布しモルタル層を形成しており、このモルタル層の影響により底水10のpHが高く炭酸カルシューム等の析出が起こり易くなっている。そのため、点検等に長い時間を要し緊急遮断弁30を引き上げた状態が長期間続く場合は、保護管20内面が底水10に長い時間曝されることで、保護管20内面への析出物の付着堆積が多くなる。
【0014】
また一方、保護管20や緊急遮断弁30は長期間に渡って使用される。そのため、緊急遮断弁30を引き上げて再度保護管20に装着する際に、保護管20内面やシール部40の表面に傷が付いていたり、付着堆積物がある等して表面状態が荒れている場合は、シール部40に取り付けるガスケット41の性状変更やシール部40及び保護管20内面の表面洗浄を行う等の対策を講じた上でガスケット41を装着するようにし、シール部40の密封状態を確保する必要がある。このため緊急遮断弁30を装着する前に保護管20内面の表面状態を観察することが必要になる。しかしながら、従来は地上から保護管20内面の表面状態を観察できる手段がなく、表面状態の観察も上記のような対策も講じられていなかった。
【0015】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、原油や液化石油ガス等の液体を備蓄する岩盤地下の液体貯留槽に設置した保護管の内面に付着堆積した析出物を効果的に除去できると共に、地上から保護管内面の表面状態を観察することができる地下液体貯留設備における保護管内付着堆積物除去装置及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するため請求項1に記載の発明は、岩盤地下に形成された液体貯留槽と、該液体貯留槽内に設置した保護管と、該保護管内に設置され前記液体貯留槽の液体を送液する送液ポンプと、前記保護管内に設置され緊急時に前記液体貯留槽から前記保護管への前記液体の流入を停止させる緊急遮断弁とを備えてなる地下液体貯留設備の前記保護管内面に付着堆積した析出物を除去する地下液体貯留設備の保護管内付着堆積物除去装置であって、前記送液ポンプ及び緊急遮断弁を前記保護管から取り外した際に前記保護管内に設置され前記保護管内面に付着堆積した析出物を除去洗浄する洗浄冶具と、該洗浄冶具を前記保護管上部の地上から吊下げて保護管内を上下移動させ前記保護管内面の前記析出物の付着堆積部位又はその近傍に対向する所定位置に設置する吊下手段とを具備して構成されていることを特徴とする。
【0017】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の地下液体貯留設備の保護管内付着堆積物除去装置において、前記洗浄冶具は、前記保護管内面に向けて前記析出物の析出を防止する薬剤又は前記析出物を分解除去する薬剤を供給する薬剤供給部、及び/又は前記保護管内面に当接し該保護管内面に付着堆積した前記析出物を掻取除去洗浄する洗浄ブラシを具備して構成されていることを特徴とする。
【0018】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の地下液体貯留設備の保護管内付着堆積物除去装置において、前記洗浄冶具は、前記保護管内面の表面状態をモニターする表面状態モニター手段と、該表面状態モニター手段で取得した前記保護管内面の表面状態情報を地上へ伝送する表面状態情報伝送手段とを具備することを特徴とする。
【0019】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の地下液体貯留設備の保護管内付着堆積物除去装置において、前記洗浄冶具は、前記保護管内で前記洗浄冶具が上下移動する際に前記保護管内面に当接して前記洗浄冶具の上下移動を案内するガイド機構を具備することを特徴とする。
【0020】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の地下液体貯留設備の保護管内付着堆積物除去装置において、前記洗浄冶具を前記設置位置において水平面内で回転させるように構成した洗浄冶具回転機構を具備することを特徴とする。
【0021】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の地下液体貯留設備の保護管内付着堆積物除去装置において、前記洗浄冶具の前記設置位置は、前記保護管内面の前記緊急遮断弁が密封固定される位置又はその近傍位置に対向する位置であることを特徴とする。
【0022】
請求項7に記載の発明は、岩盤地下に形成された液体貯留槽と、該液体貯留槽内に設置した保護管と、該保護管内に設置され前記液体貯留槽の液体を送液する送液ポンプと、前記保護管内に設置され緊急時に前記液体貯留槽から前記保護管への前記液体の流入を停止させる緊急遮断弁とを備えてなる地下液体貯留設備の前記保護管内面に付着堆積した析出物を除去する地下液体貯留設備の保護管内付着堆積物除去方法であって、前記送液ポンプ及び緊急遮断弁を前記保護管から取り外した際に、前記保護管上部の地上から所定の吊下手段で吊下げた前記保護管内面に付着堆積した析出物を除去洗浄する洗浄冶具を保護管内に下降させ、前記保護管内面の前記析出物の付着堆積部位又はその近傍に対向する所定の位置に設置する工程と、前記洗浄冶具から前記保護管内面に向けて前記析出物の析出を防止する薬剤又は前記析出物を分解除去する薬剤を供給する工程、及び/又は前記洗浄冶具に設けた洗浄ブラシを保護管内面に当接させて該保護管内面に付着堆積した前記析出物を掻取除去洗浄する工程とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本願請求項1に記載の発明によれば、保護管内付着堆積物除去装置は送液ポンプ及び緊急遮断弁を保護管から取り外した際に保護管内に設置され保護管内面に付着堆積した析出物を除去洗浄する洗浄冶具と、該洗浄冶具を保護管上部の地上から吊下げて保護管内を上下移動させ保護管内面の析出物の付着堆積部位又はその近傍に対向する所定位置に設置する吊下手段とを具備して構成されているので、地上から洗浄冶具を保護管内の析出物付着堆積部位に対向する位置に設置して保護管内面を洗浄することが容易に行える。したがって、保護管内面に付着堆積した炭酸カルシューム等の析出物を効果的に除去することができ、洗浄冶具による洗浄後に緊急遮断弁を保護管内に密封固定することが確実に可能となるため、保護管と緊急遮断弁の隙間からの保護管内への仕様液の流入を確実に防止でき、液体貯留槽の安全性が向上する。
【0024】
請求項2に記載の発明によれば、洗浄冶具は、保護管内面に向けて析出物の析出を防止する薬剤又は析出物を分解除去する薬剤を供給する薬剤供給部、及び/又は保護管内面に当接し該保護管内面に付着堆積した析出物を掻取除去洗浄する洗浄ブラシを具備するので、地上から洗浄冶具を操作することで、薬剤供給部から薬剤を供給して保護管内面に付着堆積した析出物を効果的に除去することができると共に、洗浄ブラシによって保護管内面に付着堆積した析出物を掻取除去洗浄することが可能となる。さらにこれら薬剤供給部からの薬剤供給と洗浄ブラシによる掻取除去洗浄を併用すればより効果的に保護管内面の付着堆積物を除去することが可能となる。
【0025】
請求項3に記載の発明によれば、洗浄冶具は、保護管内面の表面状態をモニターする表面状態モニター手段と、該表面状態モニター手段で取得した保護管内面の表面状態情報を地上へ伝送する表面状態情報伝送手段とを具備するので、地上から保護管内面の表面状態を逐次観察することが可能となり、緊急遮断弁の設置前に保護管内面の表面状態を観察し把握することで、保護管と緊急遮断弁の隙間が確実に密封固定されるための適切な処置(付着堆積物の除去洗浄)を講ずることが可能となり、液体貯留槽の安全性が向上する。
【0026】
請求項4に記載の発明によれば、洗浄冶具は、保護管内で洗浄冶具が上下移動する際に保護管内面に当接して洗浄冶具の上下移動を案内するガイド機構を具備するので、保護管内における洗浄冶具の上下移動がスムーズになり、洗浄冶具を保護管内の析出物付着堆積部位に対向する位置に容易且つ確実に設置することが可能となる。
【0027】
請求項5に記載の発明によれば、洗浄冶具を設置位置において水平面内で回転させる洗浄冶具回転機構を具備するので、洗浄治具を回転させて保護管内面を洗浄することができ、保護管内面の付着堆積物をより効果的に除去することが可能となる。
【0028】
請求項6に記載の発明によれば、洗浄冶具の設置位置は、保護管内面の緊急遮断弁が密封固定される位置又はその近傍位置に対向する位置なので、該密封固定される位置に付着堆積した析出物を確実に除去でき、洗浄冶具による洗浄後に緊急遮断弁を保護管内に密封固定することが可能となり、保護管と緊急遮断弁の隙間から保護管内への仕様液の流入を防止でき液体貯留槽の安全性が向上する。
【0029】
請求項7に記載の発明によれば、送液ポンプ及び緊急遮断弁を保護管から取り外した際に、保護管上部の地上から所定の吊下手段で吊下げた保護管内面に付着堆積した析出物を除去洗浄する洗浄冶具を保護管内に下降させ、保護管内面の析出物の付着堆積部位又はその近傍に対向する所定の位置に設置する工程と、洗浄冶具から保護管内面に向けて析出物の析出を防止する薬剤又は析出物を分解除去する薬剤を供給する工程、及び/又は洗浄冶具に設けた洗浄ブラシを保護管内面に当接させて該保護管内面に付着堆積した析出物を掻取除去洗浄する工程とを有するので、地上から洗浄冶具を保護管内の析出物付着堆積部位に対向する位置に設置して保護管内面を洗浄することが容易に行える。また、保護管内面に薬剤供給部から薬剤を供給して保護管内面に付着堆積した析出物を効果的に除去できると共に、洗浄ブラシによって保護管内面に付着堆積した析出物を掻取除去洗浄することが可能となる。したがって、保護管内面に付着堆積した炭酸カルシューム等の析出物を効果的に除去することができ、洗浄冶具による洗浄後に緊急遮断弁を保護管内に密封固定することが確実に可能となり、保護管と緊急遮断弁の隙間からの保護管内への仕様液の流入を防止でき液体貯留槽の安全性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明の実施形態例を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施形態例の説明においては、図1乃至図4に示す従来例と同一の符号を付した部分は対応する部分でありその詳細な説明は省略する。
【0031】
図5は、本発明の一実施形態にかかる保護管内付着堆積物除去装置を設置した保護管の構成例を示す概略側断面図である。本保護管内付着堆積物除去装置は、図1に示す送液ポンプ23及び緊急遮断弁30を保護管20から引き抜いて取り外した際に、該送液ポンプ23及び緊急遮断弁30に代えて保護管20内に設置するものである。そして図5に示すように、保護管20の上端開口部20aを覆って設置されたヘッドプレート45の上部に取り付けた吊下装置46からヘッドプレート45を貫通して保護管20内に垂下するワイヤ51と、該ワイヤ51の下端部に固着された洗浄冶具50とを具備して構成されている。
【0032】
保護管20は、上下方向に延伸する筒状(円筒状)に形成された本体部20cを有して構成され、上端開口部20aにはヘッドプレート45が被せられ、下端開口部20bの上部がテーパ状にその径が変化しており、径寸法が最狭になる部分に、該緊急遮断弁30を保護管20に密封固定するシール部40(図1参照)に対向する取付部20dが設けられている。この部分は、本体部20cから緩やかにテーパして径が小さくなり取付部20dになり、さらにその下部で再び径が大きくなり下端開口部20bが末広がりのラッパ形状に構成されている。緊急遮断弁30を取り付ける際には、シール部40にガスケット41が取り付けられてシール部40が密封固定される。
【0033】
吊下装置46は、ワイヤ51を吊下げた状態でこれを上下方向に移動させると共に、該ワイヤ51に軸中心の捻り回転を加えて回転させることが可能な上下・回転機構を備えた装置で、例えば図示のような上下動及び回転動が自在な吊輪等からなる。また、吊下装置46自体によってワイヤ51を上下移動させる他、図5に示すように、ヘッドプレート45の上部に、吊下装置46から垂下するワイヤ51を巻取るグランド機構47及びワイヤストッパ用クランプ48を設置すれば、これらを運転することで保護管20内に垂下するワイヤ51の長さを調節して洗浄治具50を保護管20内で上下移動させることもできる。他にも図示は省略するが、ワイヤ51を油圧により上下回転運動させてもよい。
【0034】
洗浄治具50を吊下げるワイヤ51は洗浄冶具50を保護管20内の取付部20d及びその近傍に対向する位置まで下降させることができる長さ寸法に設定されている。また、洗浄治具50及びワイヤ51は、図示しないセンタリング機構等を設けることで保護管20内の略中心位置に配置されるように調整されることが望ましい。
【0035】
図6は洗浄冶具50の詳細構成例を示す図で、同図(a)は洗浄冶具50−1を示す概略側面図である。洗浄冶具50−1は、本体部55−1の形状が略円形の平板形状であって、その径寸法が保護管20の取付部20dの内径寸法より若干小さい寸法に形成されている。また本体部55−1の外周部(側面)の上端部と下端部には、本体部55−1の外径よりも外側に突出するガイドローラ52が設置されている。ガイドローラ52は本体部55−1の側面に所定間隔で複数設置されている。このガイドローラ52は、保護管20内で洗浄冶具50−1が上下移動する際に、保護管20内面に当接し洗浄治具50−1を保護管20内面に沿って案内するものである。
【0036】
また、本体部55−1側面の上下方向中間部付近には、該側面の全周に渡って帯状に洗浄ブラシ53が設置されている。該洗浄ブラシ53は保護管20内面に付着堆積した炭酸カルシューム等の析出物を掻取除去洗浄するのに適したワイヤブラシ等で構成されている。
【0037】
図6(b)は、他の洗浄冶具50−2を示す概略側面図である。この洗浄治具50−2は、保護管20の取付部20dの内径と略同一又はそれより若干小さい外径寸法を有する略円形の平板状に構成された本体部55−2の上面外周部に、表面状態モニター手段であるファイバースコープ54が設置されている。ファイバースコープ54は、その対物側が洗浄冶具50−2の外側を向くように本体部55−2上面の外周部に所定間隔で複数配置され、各々のファイバースコープ54には、表面状態情報伝送手段である光ファイバーからなるファイバーケーブル56が接続されている。ファイバーケーブル56は必要に応じて束ねられワイヤ51(図5参照)に緊縛され、ヘッドプレート45を貫通して保護管20の上部に取り出されており、その先の地上に設置された図示しない画像取得装置又は画像処理装置等に接続されている。このファイバースコープ54及びファイバーケーブル56により、地上から保護管20内面、特に取付部20dやその近傍の表面状態を観察できるように構成されており、析出物の付着堆積状態や洗浄状態を逐一監視して把握することができる。
【0038】
図7は、他の洗浄冶具50−3の構成例を示す図で、同図(a)は洗浄冶具50−3の上方から見た概略断面図で、同図(b)は概略側断面図である。この洗浄治具50−3は、保護管20の取付部20dの内径と略同一かそれより若干小さい外径寸法を有する略円形の平板状に構成された本体部55−3を備え、該本体部55−3の側面の所定位置に、炭酸カルシューム等の析出を防止する中和薬剤又は堆積した析出物を分解除去する酸性薬剤等の薬剤(薬液)を噴射供給する薬剤(薬液)噴射口58を設けている。また本体部55−3内部の中央部付近に環状の薬液パイプ59が設置されると共に、本体部55−3内部の外周には内部空間を仕切板62で適宜仕切って流路として形成された複数の薬液流通路60が設けられている。さらに薬液パイプ59と各薬液流通路60を連通接続するフレキシブルチューブ等で構成される連通配管61が設置されている。薬液パイプ59又は薬液流通路60には、各種薬液が供給される薬液配管57が接続されている。薬液配管57は薬液パイプ59及び薬液流通路60毎に別個に設置されて複数設けられ、薬液パイプ59及び各薬液流通路60に供給される薬液が異なる種類の場合は、これら薬液パイプ59及び各薬液流通路60には異なる薬液供給源に連通する薬液配管57が接続される。
【0039】
薬液噴射口58は薬液流通路60に連通開口し、薬液流通路60を流通する薬液が薬液噴射口58から外部へ噴射供給されるように構成されている。薬液噴射口58は本体部55−3の外周側面の所定位置、例えば一定間隔毎等に複数設けられ、保護管20の内面の析出物の付着堆積部位に向かって薬液を噴射供給可能な口径及び角度に設置されている。
【0040】
噴射供給する薬液に周方向成分(周方向噴射速度)を与えることができるように薬液噴射口58の設置位置や向きを調節したり、薬液を供給圧力でジェット状に噴射供給させたり、薬液配管57から薬液パイプ59及び薬液流通路60へ供給される際の薬液の噴流効果等も取り入れることで、取付部20dやその近傍位置等、付着堆積した析出物を除去すべき箇所に効果的に薬液が噴射供給されるようにすることができる。また、洗浄治具50には上記の薬液噴射口58を設ける以外にも、保護管20の内面に薬液を噴射供給する機構として、図示は省略するが洗浄治具50の本体部55の側面や上面外周又は下面外周等に、保護管20内面に向かって開口する薬液噴射ノズル等を設置してもよい。
【0041】
洗浄冶具50は、図5に示すようにワイヤ51の下端部に取り付けるのみでなく、さらに増設して図8に示すようにワイヤ51の中間部等にも設置することが可能である。洗浄冶具50は、その外径寸法を保護管20の内径寸法と略同一の径寸法等に構成することで、洗浄ブラシ53が析出物の付着堆積部位に確実に当接するように構成することが望ましい。また、洗浄冶具50の上下移動に伴いガイドローラ52が常に保護管20の内面に当接するように構成(例えば半径方向に伸縮自在に構成)することで、保護管20内面の径が一定でない場合でも、洗浄冶具50が上下移動する際にガイドローラ52によってその移動が常に案内されるようにすることができる。さらに、洗浄ブラシ53も洗浄冶具50の上下移動に伴い常に保護管20内面に当接するように構成すれば、保護管20の内面に付着堆積した析出物を確実に掻取除去することが可能となる。
【0042】
洗浄冶具50はワイヤ51の下端部と中間部の両方に設置してもよいし、さらに設置数を増やしてワイヤ51の各部に3つ以上の洗浄冶具50を同時に設置することも可能である。洗浄冶具50を複数設置する場合は、上記の洗浄冶具50−1〜50−3のいずれを用いてもよい。またこれら洗浄冶具50−1〜50−3のいずれかのみを用いても良いし、それぞれ異なる複数種類を設置しても良い。さらに図示は省略するが、1台の洗浄冶具50に、洗浄冶具50−1〜50−3の各々が備えるガイドローラ52や洗浄ブラシ53、ファイバースコープ54、薬液噴射口58等のうちの所望の複数の機構を備えて構成しても良い。
【0043】
次に、保護管20内に洗浄冶具50を設置して保護管20の内面の洗浄を行う手順を説明する。送液ポンプ23及び緊急遮断弁30を保護管20から取り外した状態では、図4に示すように保護管20内の一定高さまで底水10を充満させており、保護管20の下部は底水10に浸されている。その状態において、図5に示すようにワイヤ51に吊下げた洗浄治具50を保護管20内の所定位置、例えば取付部20dに対向する位置まで引下げて設置する。
【0044】
洗浄治具50が取付部20dに対向する位置に設置される際に、洗浄治具50に設けた洗浄ブラシ53が取付部20dの表面に摺接し、該取付部20dの表面に付着堆積した析出物が掻取除去される。さらに析出物を効果的に掻取除去するには、洗浄治具50の設置位置においてワイヤ51を小刻みに上下移動させ、洗浄ブラシ53を取付部20dの表面で摺接移動させてブラシング洗浄を行う。また、吊下装置46でワイヤ51に捻り回転を加えることで、取付部20dに対向する位置で洗浄治具50を水平面内で回転させて取付部20dの表面をブラシング洗浄することもできる。また洗浄冶具50に薬液噴射口58又は薬液ノズルを設置している場合は、洗浄ブラシ53で析出物を掻取洗浄すると共に、薬液噴射口58又は薬液ノズルから取付部20d及びその周囲に向けて中和薬剤や酸性薬剤などの薬液を噴射供給して、付着堆積した析出物を効果的に除去洗浄することができる。さらに、ファイバースコープ54で洗浄状態を観察しながら洗浄を行うことが可能である。
【0045】
保護管20の内面に付着堆積した析出物を除去するのみでなく、析出物の付着堆積を効果的に防止するには、析出物が付着堆積する前に予め洗浄治具50を設置し、定期的に薬液噴射口58から保護管20の内面に析出防止薬液を噴射供給する等すればよい。特に、取付部20d及びその近傍に析出物が付着堆積することを確実に防止するには、保護管20から緊急遮断弁30を取り外した際、直ちに洗浄治具50を保護管20内に設置する。一方、析出物の付着堆積が軽微であると考えられる場合は、保護管20から緊急遮断弁30を取り外して所定時間が経過した後、保護管20を洗浄する際等に設置しても良く、設置する時期は貯留槽1や保護管20の状況等によって適宜変更することが可能である。
【0046】
図5に示すように、保護管20の形状が緩やかにテーパして径が変化する形状に構成されると共に、洗浄治具50にガイドローラ52が設置されているので、洗浄冶具50を上下移動させるとガイドローラ52により洗浄冶具50が案内され、取付部20dを容易に通過することができると共に、洗浄冶具50が取付部20dよりさらに下側まで下降した場合でも容易に引き上げることができる。このように、洗浄治具50が保護管20の内面に沿って上下移動し易いように構成することで、洗浄治具50による析出物の除去洗浄が行い易くなる。
【0047】
また、洗浄治具50には、保護管20の内面から掻き落とされた析出物等の異物類を回収する手段として、図示は省略するが、例えば、異物類を底水10と共に吸い上げる小型ポンプ等の吸引機器を設置してもよい。この小型ポンプで保護管20の内面から掻き落とされた固形物を吸引回収することで、これら固形物が送液ポンプ23に吸込まれることを防止できる。さらにいずれも図示は省略するが、洗浄冶具50の本体部55の底部に保護管20の内面より掻き落とされた析出物等の異物類を受け止める受皿等を設けてなる受皿機構を設置しても良いし、あるいは地上から洗浄冶具50の本体部55まで連通する配管を設置し、該配管で水等の流体を送り込みイジェクター効果で異物類を巻き込んで地上まで搬出し回収するように構成しても良い。その他にも異物類の回収手段としては、保護管20の内面から除去された析出物を飛散させずに効率良く回収できる機構、あるいは貯留槽1内にある物体(液体及び固体)を地上に搬出し回収できる機構であれば、どのような構成であってもよい。
【0048】
なお、必要に応じて一度保護管20内に設置した洗浄治具50を引き上げて、所望の機構を備えた他の洗浄治具50に変更し、再度保護管20内に設置することも可能である。例えば、当初薬液噴射口58又は薬液ノズルを備えた洗浄冶具50を保護管20内に設置し、該洗浄冶具50から保護管20の内面に薬液を噴射供給した後、該洗浄冶具50を引き上げて洗浄ブラシ53を備えた他の洗浄治具50を設置して該洗浄冶具50で保護管20の内面の付着堆積物を掻取除去し保護管20内を洗浄すること等が可能である。
【0049】
本発明によれば、簡単な構成で、保護管20内への設置及び引き上げが地上から容易に行え、地上から保護管20内面の表面状態の観察ができ、保護管20内面に均等且つ確実に所望の薬液を供給することができ、保護管20の内面に付着堆積した析出物を確実に掻取除去することができる保護管内付着堆積物除去装置を提供できる。したがって、保護管20内面の付着堆積物の除去洗浄を効率良く行うことができ、保護管の洗浄効果を上げることができる。これにより、緊急遮断弁を保護管に取り付ける際に確実に密封固定して取り付けることができるので、緊急時に貯留槽1の仕様液11が保護管20内に流入することを防止でき、貯留槽1の安全性を向上させることができる。
【0050】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載のない何れの形状や材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば、保護管20の形状は、図5及び図8に示す形状には限定されず、例えば図1に示すように下端開口部20bが拡径していない形状でもよいし、その他の形状でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】岩盤地下に形成された貯留槽(液体貯留槽)の構成例を示す図である。
【図2】緊急遮断弁を示す側断面図で、同図(a)は緊急遮断弁が開状態の場合、同図(b)は閉状態の場合を示す図である。
【図3】他の緊急遮断弁を示す側断面図で、同図(a)は緊急遮断弁が開状態の場合、同図(b)は閉状態の場合を示す図である。
【図4】送液ポンプと緊急遮断弁を保護管から取り外す状態を示す図である。
【図5】本発明の実施形態にかかる保護管内付着堆積物除去装置を設置した保護管の構成例を示す概略側断面図である。
【図6】洗浄冶具50の詳細構成例を示す図で、同図(a)は洗浄冶具50−1の構成を示す概略側面図で、同図(a)は洗浄冶具50−2の構成を示す概略側面図である。
【図7】洗浄冶具50−3の構成を示す図で、同図(a)は洗浄冶具50−3を上側から見た概略断面図で、同図(b)は概略側断面図である。
【図8】本発明の実施形態にかかる保護管内付着堆積物除去装置を設置した保護管の構成例を示す概略側断面図である。
【符号の説明】
【0052】
1 貯留槽
2 地層
3 岩盤貯層
4 底部
5 上部開口部
6 閉鎖体
7 封水
8 堰板
10 底水
11 仕様液
12 界面
20 保護管
20 上端開口部
20 下端開口部
20c 本体部
20d 取付部
21 モータ
22 ポンプ
23 送液ポンプ
23 吸込口
24 揚液管
25 ヘッドプレート
26 吐出口
27 短管
28 仕様液通路
30 緊急遮断弁
31 仕様液流路
32 フランジ(弁座)
33 シリンダ(弁体)
34 ピストン
35 コイルスプリング
36 圧力油配管
37 隙間
40 シール部
41 ガスケット
45 ヘッドプレート
46 吊下装置
47 グランド機構
48 ワイヤストッパ用クランプ
50 洗浄治具
51 ワイヤ
52 ガイドローラ
53 洗浄ブラシ
54 ファイバースコープ
55 本体部
56 ファイバーケーブル
57 薬液配管
58 薬液噴射口
59 薬液パイプ
60 薬液流通路
61 連通配管
62 仕切板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
岩盤地下に形成された液体貯留槽と、該液体貯留槽内に設置した保護管と、該保護管内に設置され前記液体貯留槽の液体を送液する送液ポンプと、前記保護管内に設置され緊急時に前記液体貯留槽から前記保護管への前記液体の流入を停止させる緊急遮断弁とを備えてなる地下液体貯留設備の前記保護管内面に付着堆積した析出物を除去する地下液体貯留設備の保護管内付着堆積物除去装置であって、
前記送液ポンプ及び緊急遮断弁を前記保護管から取り外した際に前記保護管内に設置され前記保護管内面に付着堆積した析出物を除去洗浄する洗浄冶具と、該洗浄冶具を前記保護管上部の地上から吊下げて保護管内を上下移動させ前記保護管内面の前記析出物の付着堆積部位又はその近傍に対向する所定位置に設置する吊下手段とを具備して構成されていることを特徴とする地下液体貯留設備の保護管内付着堆積物除去装置。
【請求項2】
請求項1に記載の地下液体貯留設備の保護管内付着堆積物除去装置において、
前記洗浄冶具は、前記保護管内面に向けて前記析出物の析出を防止する薬剤又は前記析出物を分解除去する薬剤を供給する薬剤供給部、及び/又は前記保護管内面に当接し該保護管内面に付着堆積した前記析出物を掻取除去洗浄する洗浄ブラシを具備して構成されていることを特徴とする地下液体貯留設備の保護管内付着堆積物除去装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の地下液体貯留設備の保護管内付着堆積物除去装置において、
前記洗浄冶具は、前記保護管内面の表面状態をモニターする表面状態モニター手段と、該表面状態モニター手段で取得した前記保護管内面の表面状態情報を地上へ伝送する表面状態情報伝送手段とを具備することを特徴とする地下液体貯留設備の保護管内付着堆積物除去装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の地下液体貯留設備の保護管内付着堆積物除去装置において、
前記洗浄冶具は、前記保護管内で前記洗浄冶具が上下移動する際に前記保護管内面に当接して前記洗浄冶具の上下移動を案内するガイド機構を具備することを特徴とする地下液体貯留設備の保護管内付着堆積物除去装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の地下液体貯留設備の保護管内付着堆積物除去装置において、
前記洗浄冶具を前記設置位置において水平面内で回転させる洗浄冶具回転機構を具備することを特徴とする地下液体貯留設備の保護管内付着堆積物除去装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の地下液体貯留設備の保護管内付着堆積物除去装置において、
前記洗浄冶具の前記設置位置は、前記保護管内面の前記緊急遮断弁が密封固定される位置又はその近傍位置に対向する位置であることを特徴とする地下液体貯留設備の保護管内付着堆積物除去装置。
【請求項7】
岩盤地下に形成された液体貯留槽と、該液体貯留槽内に設置した保護管と、該保護管内に設置され前記液体貯留槽の液体を送液する送液ポンプと、前記保護管内に設置され緊急時に前記液体貯留槽から前記保護管への前記液体の流入を停止させる緊急遮断弁とを備えてなる地下液体貯留設備の前記保護管内面に付着堆積した析出物を除去する地下液体貯留設備の保護管内付着堆積物除去方法であって、
前記送液ポンプ及び緊急遮断弁を前記保護管から取り外した際に、前記保護管上部の地上から所定の吊下手段で吊下げた前記保護管内面に付着堆積した析出物を除去洗浄する洗浄冶具を保護管内に下降させ、前記保護管内面の前記析出物の付着堆積部位又はその近傍に対向する所定の位置に設置する工程と、
前記洗浄冶具から前記保護管内面に向けて前記析出物の析出を防止する薬剤又は前記析出物を分解除去する薬剤を供給する工程、及び/又は前記洗浄冶具に設けた洗浄ブラシを保護管内面に当接させて該保護管内面に付着堆積した前記析出物を掻取除去洗浄する工程と、
を有することを特徴とする地下液体貯留設備の保護管内付着堆積物除去方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−232426(P2006−232426A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−46073(P2005−46073)
【出願日】平成17年2月22日(2005.2.22)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】