説明

地中ユーティリティ埋設室の検査システム及び方法

【課題】地中電力線検査のための検査システム及び方法を提供する。
【解決手段】地中ユーティリティ埋設室の検査システム及び方法は、地中ユーティリティ埋設室内に設置された所定のレールウェイ12と、検査職員に検査結果を提供するように前記レールウェイを移動するように構成された検査車両11と、を備える。前記検査車両は、地中電力線及び設備を検査し、検査結果を記録し、及び、前記検査職員に前記検査結果を伝送するための検査ツールを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本発明は、2011年4月19日に出願された仮出願第61/476,923号の利益を請求する。
【0002】
本発明は、一般的に地中電力線検査のための検査システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
地中電力線は、長期間の性能及び信頼性のある動作を確実にするように検査及び保全を必要とする。検査及び保全の手段は、典型的には、図1〜5のように、電力線がそこを通って延びる埋設室(vault)(マンホール)又はトンネルを通して得られる。従来の検査の実施は、しばしば、埋設室又はトンネルへの人間の進入を伴い、且つ、公共職員が、図6及び7のように、目視検査及び/又は携帯器具を使用して必要な測定をするために電力線コンポーネントを直接点検することが必要であった。しかしながら、地中電力線の所定のセクションでは、アクセスするのが困難であり、或いは、アクセスするのに全回路を停止させることが必要である規制が存在し、及び/又は、重大な職員の安全上の問題を含んでいる。例えば、空間が限定された地中接続室(underground splice vault)では、潜在的な危険な要素が存在する。
【0004】
潜在的な危険が存在する限定空間に進入することは、多くの電気公共事業で規制されている。結果として、検査職員が、地中電力線の所定セクションに簡単又は安全にアクセスすることができない。多くの場合、これらセクション又は領域にアクセスするにはコストがかかる。例えば、職員が検査のために地中埋設室に侵入するために多くのユーティリティ(公共設備)で、ライン供給を停止することが必要である。ある例では、これら領域の検査が、伸長スティック又は移動式カートを用いて実行され得る。しかしながら、このような検査法は、限定的であり、標準化するのが困難である。
【0005】
また、限定範囲内では、検査は遠隔センシングを使用して実行可能である。センシング技術では、検査されるべきコンポーネントに隣接又は近接する特定の位置でセンサが固定される。そして、測定がなされ、その場でデータが回収及び処理され、或いは、遠隔位置に伝送される。しかしながら、遠隔センシング装置が使用された場合、埋設室の特定の位置に固定されるので、全てのコンポーネントの完全な検査をすることができない。そのため、検査の効果が限定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、職員を危険にさらすことなく、或いは、コストがかかるライン供給停止を実行することなく、地中電力線の検査を達成することを可能とする地中電力線埋設室の検査システム及び方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
先行技術の上記又は他の欠点は、本発明によって対処され、そして、埋設室又はトンネルを通って延びる地中電力線の検査システム及び方法を提供する。
【0008】
本発明の一実施例によれば、地中ユーティリティ埋設室の検査システムは、地中ユーティリティ埋設室内に設置された所定のレールウェイと、検査職員に検査結果を提供するために前記レールウェイを移動するように構成された検査車両と、を備える。前記検査車両は、地中電力線及び設備を検査し、検査結果を記録し、及び、前記検査職員に前記検査結果を伝送するための検査ツールを含む。
【0009】
本発明の他実施例によれば、地中ユーティリティ埋設室を検査する方法は、地中ユーティリティ埋設室に配置されたレールウェイを移動するように構成された検査車両を提供するステップと、前記ユーティリティ埋設室の所定位置に前記検査車両を移動させるステップと、前記ユーティリティ埋設室に配置されたユーティリティを検査するように前記検査車両を使用するステップと、を含む。
【0010】
本発明と見なされる対象は、図面と共に以下の明細書を参照することにより、理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】地中電力線地下室への入り口を示す。
【図2】地中電力線地下室への入り口を示す。
【図3】地中電力線地下室の内部を示す。
【図4】地中電力線地下室の内部を示す。
【図5】地中電力線地下室の内部を示す。
【図6】地中電力線の視認検査を実行する個人を示す。
【図7】地中電力線の視認検査を実行する個人を示す。
【図8】本発明の実施形態に従う、検査システムを示す。
【図9】地中電力線の検査を実行するための、マニピュレータ・アームを有する図8の検査システムを示す。
【図10】図8のシステムのためのレールシステム配置図。
【図11】図8のシステムのためのレールシステム配置図。
【図12】図8のシステムのためのレールシステム配置図。
【図13】図8のシステムのためのレールシステム配置図。
【図14】図8のシステムのためのレールシステム配置図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図を参照すると、本発明の実施形態である、例示の地下ユーティリティ埋設室検査システム及び方法が図8及び9に図示され、符番10で示されている。システム10は、地下埋設室13を通して移動するための、レールウェイ12上に搭載されたロボット式検査車両11を含んでおり、そこを通って延びる地中電力線及びその中に含まれた他のいずれかの設備のようなユーティリティの検査を提供する。
【0013】
車両11は、様々なセンサ、カメラ及び器具を使用して検査を実行する。例えば、車両11には、光学画像センサ、赤外線温度センサ、無線周波数干渉センサ、音響センサ、有害ガス検知器及び腐食センサが備えられ、目視検査、温度検査、ガスモニタリング及びアーキング検出が実行される。光学画像センシング又は目視検査のために、検査を補助するように照明が装置に提供されてもよい。検査の領域範囲を予めプログラム可能であり、画像/物体認識によって制御されるか、或いは、リアルタイム画像モニタリングを通して地上のオペレータによって手動で制御される。それがこれら装置を通り過ぎると、検査装置が、局所的に固定されたセンサ又はデータロガー(すなわち、埋設室又はトンネル内部)からデータを収集するのに使用され得る。検査情報は、検査装置自身によりリアルタイムに処理可能であり、或いは、他の処理設備による事後解析において処理可能である。
【0014】
また、車両11には、図9に示すとおり、マニピュレータ・アーム(操縦アーム)14が取着され、(検査)範囲を最大化させることにより、さらに詳細な検査を実行し、或いは、地中電力線の表面をクリーニングする。マニピュレータ・アーム14は、また、コーティング修理、グランド線の引き締め、及び、連結ボックスのクリーニングのような修繕を施すことにも使用され得る。図示のとおり、マニピュレータ・アーム14は、セクション16〜18に形成され、アーム14が所望長まで延びることを可能とし、或いは、セクション16〜18の各々を個別に操作することにより、狭い領域内にアーム14が関節接合(articulate)されることを可能とする。
【0015】
車両11、センサ、カメラ及び器具は、無線又は有線技術で遠隔制御可能であり、無線又は有線技術は、レールウェイ12と連動又は独立して動作する。車両11は、バッテリシステム又は配線電源を通して電力供給可能であり、配線電源はレールウェイ12を使用又は使用せず、或いは、誘導ピックアップのような間接的な電力伝送による。車両は、同じレールウェイから又はリターンレールウェイを通して戻されることによりオペレータによって回収され得る。
【0016】
車両11は、レールウェイ12上に常設されて、日常的に又は定期的な検査を実行してもよく、或いは、恒久、臨時又は据付レールウェイが設置されるコンポーネントを検査するようにポータブル装置として使用されてもよい。すなわち、車両11は、複数の場所で使用され得る。車両11は、様々な種類の埋設室、トンネルの検査又は複数の検査にとって万能であってもよく、あるいは、特定の検査のために特別に設計されてもよい。
【0017】
車両11は、レールウェイ12上を移動するように適合する。車両11は、直線モード(すなわち、トラックに対して平行)でレールウェイ12のラインに沿って移動し、或いは、レールウェイ12の軸の周りを周回移動する(すなわち、トラックに垂直な径を有する円を描く)。レールウェイ12自体は、車両の直線移動と同様に回転移動を許容する発明的な特徴を包含し得る。例えば、車両がセクションに進入するときに、レールウェイ12が(すなわち、その自身の軸の周りを)回転するように適合されたセクションを有し得る。或いは、レールウェイ12は、車両11が周回移動を達成することをガイド及び/又は可能とする、組み込まれた円周溝又は軸方向の柱を含み得る。車両11自体は、旋回し、回転し、延長し、嵌め込み、又は任意の適切な方向への移動する能力を有し得る。
【0018】
レールウェイ12は、地中又は限定空間に運搬可能に又は恒久的に(取り外し不能に)設置されることにより、車両11が検査のために予めプログラムされた経路を通って移動可能である。レールウェイ12は、剛性の固定レールシステム、柔軟なワイヤシステム、又は、特定の場所に到達可能な能力を有する制御可能な柔軟な経路とすることができる。レールウェイ12は、任意の数のトラック又はレールから構成され、異なるルートに沿って移動する車両11を方向付けるようにスイッチ(切替部)を有してもよい。車両11がその意図した機能を達成することを可能とするように、レールウェイ12は、車両11を支持可能な任意の適切な材料から形成可能である。レールウェイ12は、特別に設計可能であり、新規/既存の埋設室若しくはトンネル、既存システム又は既存構造への組込部品に設置され得る。
【0019】
図10〜14に示すとおり、レールウェイ12は、任意の形状又はプロファイルに構成可能であり、且つ、適切な検査を可能とするように複数の方向に移動する。例えば、レールウェイ12は、垂直平面構造(図10)、水平平面構造(図11)、特定の経路構造(図12及び13)、可動レール構造(図14)、又は、車両が地中電力線を適切に検査することを可能とする上述の任意の組み合わせで構成可能である。
【0020】
レールウェイ12は、車両11に電力供給するための手段を含み得る。例えば、レールウェイは、当該レールウェイ12に組み込まれた低電圧コンダクタを含み、当該コンダクタが、車両11上の誘導結合された電力ピックアップ装置に電力を提供する。また、レールウェイ12は、埋設室若しくはトンネル内部又は局所電源(例えばバッテリパック)からの最先端の環境発電装置から電力を受け取り、車両11に電力を分配してもよい。レールウェイ12は、ケーブルのシース電流から発電するための誘導ループ又はピックアップを一体的に提供するような、環境発電スキームのコンポーネントを包含し得る。同様に、レールウェイ12は、車両11に制御信号をルーティングする手段、及び/又は、オペレータに情報を伝送する手段を包含し得る。例えば、トラックに沿って適切な固定センサ又はRFI装置を使用して、レールウェイ12は、距離、速度、車両11が移動する停止地点を得るように使用される。地上アクセスポート近傍にあるレールウェイ12のターミナル(終端)には、低電力トランスミッタ/レシーバが取り付けられ、例えば、適切に備えられたユーティリティ車両によって簡易「車中(drive−by)」通信を許容し、或いは、トランスミッタ/レシーバ近傍への低電力無線メッシュ伝送を許容する。
【0021】
レールウェイ12が地中埋設室又はトンネル内に設置されると、車両11がレールウェイ12に取り付けられ、動作のために位置決めされる。車両11は、レールウェイ12に沿って特定の経路を移動するように予めプログラム可能であり、或いは、必要に応じて、レールウェイ12を移動するように有線又は無線によって制御可能である。車両11がレールウェイ12を移動するとき、車両はその多くのセンサ及びアーム14を使用して地中電力線を検査する。車両11は、特定の問題又は複数の問題の検査を実行することに使用可能であり、或いは、地中電力線の全体的な保全検査を実行することに使用可能である。
【0022】
地中ユーティリティ埋設室の検査システム及び方法について説明した。本発明の特定の実施形態を説明したが、本発明の思想及び技術範囲から外れることなくこれに様々な改変を実施可能であることは、当業者にとって明白である。したがって、本発明の好適な実施形態、及び、本発明を実施するためのベストモードの記載は、説明の目的のためだけに提供されたものであって、限定を目的とするものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中ユーティリティ埋設室の検査システムであって、
(a)地中ユーティリティ埋設室内に設置された所定のレールウェイと、
(b)検査職員に検査結果を提供するために前記レールウェイを移動するように構成された検査車両と、を備え、
前記検査車両は、地中電力線及び設備を検査し、検査結果を記録し、及び、前記検査職員に前記検査結果を伝送するための検査ツールを含むことを特徴とする検査システム。
【請求項2】
前記検査車両がロボットであることを特徴とする請求項1に記載の地中ユーティリティ埋設室の検査システム。
【請求項3】
前記検査車両は、前記レールウェイの所定の経路を移動するように予めプログラムされていることを特徴とする請求項1に記載の地中ユーティリティ埋設室の検査システム。
【請求項4】
前記検査車両は、前記検査職員によって手動で制御されることを特徴とする請求項1に記載の地中ユーティリティ埋設室の検査システム。
【請求項5】
前記検査車両は、前記埋設室の狭い領域内に延びると共に関節接合されるように構成されたマニピュレータ・アームを含むことを特徴とする請求項1に記載の地中ユーティリティ埋設室の検査システム。
【請求項6】
前記マニピュレータ・アームは、前記検査職員が検査を実行し、検査表面をクリーニングし、且つ、修繕を施すことを可能とすることを特徴とする請求項5に記載の地中ユーティリティ埋設室の検査システム。
【請求項7】
前記レールウェイは、前記埋設室内に常設されていることを特徴とする請求項1に記載の地中ユーティリティ埋設室の検査システム。
【請求項8】
前記レールウェイは、様々な場所でユーティリティ埋設室を検査することに使用するために運搬可能であることを特徴とする請求項1に記載の地中ユーティリティ埋設室の検査システム。
【請求項9】
前記検査ツールは、光学画像、熱画像、ガスモニタリング及びアーキング検知からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の地中ユーティリティ埋設室の検査システム。
【請求項10】
地中ユーティリティ埋設室を検査する方法であって、
(a)地中ユーティリティ埋設室に配置されたレールウェイを移動するように構成された検査車両を提供するステップと、
(b)前記ユーティリティ埋設室の所定位置に前記検査車両を移動させるステップと、
(c)前記ユーティリティ埋設室に配置されたユーティリティを検査するように前記検査車両を使用するステップと、を含む方法。
【請求項11】
前記地中ユーティリティ埋設室内に設置するためのレールウェイを提供するステップをさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記検査車両は、延びると共に関節接合されるように構成されたマニピュレータ・アームを含み、検査又は修繕を前記地中ユーティリティ埋設室内のユーティリティに実行可能であることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記地中ユーティリティ埋設室内に位置するユーティリティを検査するように前記マニピュレータ・アームを使用するステップをさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記地中ユーティリティ埋設室内に位置するユーティリティを修繕するように前記マニピュレータ・アームを使用するステップをさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項15】
検査職員に検査結果を伝送するステップをさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記所定位置に移動するように前記検査車両を予めプログラミングするステップをさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−228173(P2012−228173A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−94578(P2012−94578)
【出願日】平成24年4月18日(2012.4.18)
【出願人】(507291523)エレクトリック パワー リサーチ インスティテュート,インク. (15)
【Fターム(参考)】