説明

地図図式生成システム及びプログラム

【課題】 デジタルマッピング作業において、自動的に図形形状を分析して、対象図形を抽出し、所望の図式を生成する。
【解決手段】 特定地図図式の図面データ内の図形形状を分析して図形をパターン分けし、対象図形を検索する対象図形検索手順と、パターン分けされた対象図形内に仮想中心線を生成する仮想中心線生成手順と、対象図形の形状に応じ、仮想中心線を利用して特定地図図式で定められた所定の補助線又は内部点を生成し対象図形内の最適な位置に配置する補助線・内部点生成手順をコンピュータに実行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば公共測量作業規定(以下、「作業規定」という。)に準拠した大縮尺地図図式や国土基本図図式等、地図の図形形状に沿った地図図式を、コンピュータを使用して自動的に生成する地図図式生成システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地形、地物等にかかわる地図情報をデジタル形式で測定し、電子計算機技術により、体系的に整理された数値地形図を構築するデジタルマッピング技術がある。デジタルマッピングで取り扱う地図図式には、例えば、大縮尺地図図式、国土基本図図式などがある。
【0003】
例えば、デジタルマッピング作業において、一般的な地図や各種設計図面に使用されている複雑な形状の基準線で形成される特殊面図形が自動的に作成できる特殊面図形生成方法が特許文献1に開示されている。この特許文献1に開示された方法は、2本の任意形状の基準線の間隔長を求め、その間隔長に応じて、任意の絵柄を形成する図形パターンを拡大・縮小し、図形パターンを該2本の基準線間に隙間なく配置し、特殊面図形を生成する、というものである。これにより、配置すべき図形パターンの大きさが自動的に調整されるので、オペレータの負担が軽減する。
【特許文献1】特開2001−283237号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、大縮尺地図図式、国土基本図図式などは作業規定で定められているが、地図(地形図)の形状は多岐にわたり、複雑である。このため、オペレータは、航空写真などを見てこれらの複雑な地図形状を一つ一つ確認しながら図式(補助線や内部点といった図形)を入力している。例えば、図面上の対象図形、生成箇所、図式生成の開始点・終点をオペレータが指定しなければならず、人為的に作業を行っているのが現状である。このように、入力作業が煩雑で手間がかかっていたために地図生産コストが高くなるという問題があった。
【0005】
また、デジタルマッピング作業において、オペレータが複雑な地図形状を確認しながら図式を入力するのは、高度な経験が必要とされていた。オペレータの主観による入力作業が行われるため、経験の違い等による差が生じ、地図の品質・精度が低くなるという問題があった。
【0006】
特許文献1に記載されたものは、2本の任意形状の基準線間に配置する図形パターンを、用意すべき図形パターンの数だけ予め作成しておく必要があり、手間がかかっていた。また、崖崩れや土砂崩れを防止する為に、網やモルタル、コンクリート桝により崖の表面を覆うものとして法面保護があり、大縮尺地図図式(1/500、1/1000)では、1つの閉ループとして表現される。上記手法では、2本の任意形状の基準線間に図形パターンを配置することはできるが、法面保護などの図形については、閉領域に所定形状の内部点を自動的に配置して目的の図形を作成することができなかった。このため、上述の特許文献1に開示された技術は上述した問題点を解決できるものではなかった。
【0007】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、デジタルマッピング作業において、自動的に図形形状を分析して、対象図形を抽出し、所望の図式を生成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決して目的を達成するため、本発明は、地図図面上に補助線又は内部点を生成し配置するものであって、図式分類情報を基に地図図式を生成する対象図形を地図図面上で特定する処理と、その対象図形に仮想中心線を生成する処理と、その仮想中心線に基づいて補助線又は内部点を生成し配置する処理を有することを特徴とする。
【0009】
斯かる本発明によると、図式分類情報を基に地図図面上に地図図式を作成する対象図形を自動的に抽出し、抽出した対象図形に対して仮想中心線を生成し、その仮想中心線を利用して補助線や内部点等を計算機にて計算し自動的に生成するので、オペレータのデジタルマッピング作業を支援することができる。
【0010】
上述の発明において、対象図形を特定する処理では、上記対象図形を構成するライングループの頂点座標に基づき特定された対象図形を分類する。頂点座標は始点座標または終点座標であり、対象図形は、ライングループを構成するラインの始点座標と終点座標が一致している場合に対象図形を円形状ラインとして分類される第1の分類を行い、始点座標と終点座標が一致していない場合に、ライングループから構成される上端線と下端線の接続端点数に基づいて分類される第2の分類を行うことを特徴とする。
【0011】
上述の構成によると、対象図形を特定する処理では、オペレータが目視で確認していた複雑な図形形状を、その対象図形を構成するライングループの頂点座標の形態に基づいて自動判別し、パターン分類することができる。これにより、図式生成の対象となる図形の特定が容易となる。
【0012】
また上述の発明において、仮想中心線を生成する処理では、上記対象図形の上端線及び下端線の始点から終点まで所定間隔で仮想頂点を生成し、上端線始点と下端線終点が一致する点を1番目の仮想頂点とし、その1番目の仮想頂点から下端線の終点より2番目の仮想頂点に線分を結び、次に下端線終点より2番目の仮想頂点から上端線始点より2番目の仮想頂点に線分を結び、以後これを繰り返して上端線及び下端線の仮想頂点間を線分で結び、各線分の中点を結ぶことにより仮想中心線を生成することを特徴とする。
【0013】
上述の構成によると、仮想中心線を生成する処理では、作業補助線として対象図形内に図形形状に即した最適な中心線を自動生成することができる。したがって、分岐図形、円形状、カーブ図形等の複雑な図形においても中心線を生成することができる。
【0014】
また上述の発明において、補助線・内部点を生成する処理では、パターン分けした対象図形の図式に応じ、上記仮想中心線を利用して、特定地図図式で規定された、例えば人工斜面、土堤、土がけ、雨裂、急斜面、岩がけ、各被覆図形などの補助線又は内部点を生成するように構成した。
【0015】
上述の構成によると、補助線・内部点を生成する処理では、大縮尺地図図式や国土基本図図式等に定められた補助線又は内部点を自動生成し、対象図形内の最適な箇所に配置できる。したがって、図式を高精度で自動生成することができるので、オペレータが手動で指定入力する必要をなくすことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、デジタルマッピング作業において、自動的に図形形状を分析して、対象図形を抽出し、所望の図式を生成することができる。これにより、地図図式生成の自動化が実現でき、地図生産コストを低く抑えることができる。また、人間の主観によらない図式生成が可能となり、地図の品質・精度の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施の形態の例について、添付図面を参照しながら説明する。
本例は、デジタルマッピング作業において、従来オペレータが手作業で入力を行っていた区分(法面や変形地等)に代わって、地図図面内を自動検索して対象図形を特定し、作図補助線として対象図形内の図形形状に即した最適な仮想中心線を生成し、この仮想中心線を基に補助線・内部点を自動的に発生させ、地図情報レベル500,1000(縮尺1/500,1/1000)に対応した大縮尺地図図式、地図情報レベル2500(縮尺1/2500)に対応した地図図式の自動生成を行う構成としている。
【0018】
図1は、本例の図式自動生成処理の対象図式の一例として、人工斜面を示したものであり、Aは補助線生成前のデータ、Bは補助線生成後のデータを表している。大縮尺地図図式で規定される人工斜面は、盛土部及び切土により人工的に作られた急斜面(道路、鉄道等の盛土部及び切土部、造成地の急斜面等)を表す。図1Aの補助線生成前は、人工斜面の射影部の上端から形成される線分である上端線1、射影部の下端から形成される線分である下端線2のみが描画されている。そして、補助線を記入すると、図1Bに示すように上端線1及び下端線2の間の傾斜部分が、長ケバ3と短ケバ4を交互に射影幅の1/2間隔として表示され、また、長ケバ3の長さは射影幅、短ケバ4の長さは射影幅の1/2として表示される。なお、作業規定では、上端線では低い方を右に見るように頂点を取得し、下端線は高い方を右に見るように頂点を取得するよう定められている(図1B参照)。
【0019】
本例は、このような図式の補助線、又は内部点の生成を自動的に行い、図形を生成する。なお、これらの数値は設定により変更可能である。
【0020】
本例の自動図式生成の対象とする対象図形形状は、下記に列挙する地形図の法面と変形地とする。対象図形形状に応じて、生成させる補助線の形状や内部点の形状を変更して対応する。なお、4桁の番号はデジタルマッピング取得分類基準表によるもので、一般的に各図形を整理するために付番される。また、名称に続く補助線又は内部点の表記は、その図式を生成するのに必要な線又は点を表している。
「法面」
6101…人工斜面/補助線(長ケバ、短ケバ)
6102…土堤/補助線(長ケバ、短ケバ)
6111…コンクリート被覆/内部点
6112…ブロック被覆/内部点
6113…石積被覆/内部点
6121…法面保護(網)/内部点
6122…法面保護(モルタル)/内部点
6123…法面保護(コンクリート桝)/内部点
6110…被覆(1/2500)/内部点
「変形地」
7201…土がけ(崩土)/補助線
7202…雨裂/補助線
7203…急斜面/補助線
7211…岩がけ/補助線
【0021】
図2は、本例の実施形態による地図図式生成処理をコンピュータに行わせるためのプログラムが適用されるシステムの概要を示したものである。本システムは、コアモジュール5と、自動生成機能GUI(Graphical User Interface)6、図形データベース7、出力結果ログ8、操作部9から構成されている。
【0022】
コアモジュール5は、システム全体を制御するコンピュータであり、自動生成機能モジュール5aを有している。自動生成機能モジュール5aは、ROM(Read Only Memory)等に書き込まれた地図図式の自動生成処理を行うプログラムに従って所定の処理を行う。地図図式生成プログラムは主に、対象図形特定部、仮想中心線生成部、補助線・内部点生成部、高度補正部、整合性処理部、処理結果生成部から構成されている。なお、コアモジュール5のコンピュータは、スタンドアロンで構成されても、またLANやインターネット等のネットワークに接続されるクライアント端末であってもよい。
【0023】
また、自動生成機能GUI6はVB(Visual Basic)等のプログラミング言語で作成されたユーザインターフェースであり、この自動生成機能GUI6により、オペレータはディスプレイに表示される地図や各種情報の閲覧・確認、地図編集等が行え、また、例えばマウスポインタやタッチパネル等から構成される操作部9からの入力操作が可能となっている。
【0024】
図形データベース7は、自動生成処理された図形データを蓄積している。また、出力結果ログ8は、自動生成処理の過程で生成された地図情報、補正情報及びエラー情報などからなる外部処理データを包含している。これら、図形データや出力結果ログのデータは、ハードディスクやフラッシュメモリ等、不揮発性メモリに記録される。
【0025】
図3は、本例の自動生成機能モジュール5aによる図式自動生成機能の全体処理の概要を示したフローチャートである。補助線や内部点を自動生成するにあたり、図面内に存在する生成対象図形を検索し、図形の形状判別処理で生成可能な図形を抽出して図式の自動生成を行うようになっている。図3において、まず、対象図形検索ルーチンにより画面内の図形をパターン毎に分類する(ステップS1)。そして、パターン分けしたものが自動生成対象図形かどうかを判断する(ステップS2)。
【0026】
自動生成処理対象とならない図形とは、例えば後述するパターン分けにおいてエラー図形と判断されたものなどが該当する。自動生成対象外の図形を発見した際には、当該図形を手動で選択して補助線・内部点を自動発生させる図上指定モードに移行する。図上指定モードについては、後に詳細に説明する。
【0027】
上記判断ステップS2において、自動生成対象図形であると判断した場合、仮想中心線生成ルーチンにより、作図補助のための仮想中心線を生成する(ステップS3)。次に、補助線・内部点生成ルーチンにより、大縮尺地図図式・国土基本図図式に定められた補助線・内部点を自動生成し、対象図形内の最適な箇所に配置する(ステップS4)。この後、高度補正が必要かどうかを判断し(ステップS5)、高度補正が必要である場合、すなわち図形データが3次元情報を持っている場合にはその3次元情報を取得し、図式生成時に3次元データ化する高度補正ルーチンを行う(ステップS6)。
【0028】
ステップS6の高度補正処理後、又は判断ステップS5にて高度補正処理が不要であると判断された場合、整合性処理ルーチンにより補助線・内部点の自動生成処理終了後の補正処理を行う(ステップS7)。そして、処理結果生成ルーチンにより、処理結果内容、エラー箇所等を、CSV(Comma Separated Values)ファイル等のファイル形式に出力する(ステップS8)。抽出されたデータは、自動生成後の図面上で、エラー箇所の表示等の情報として利用される。以下、自動生成機能の各処理ルーチンの処理内容について、順次詳細に説明する。
【0029】
まず、対象図形検索ルーチン(図3ステップS1)について、詳細に説明する。
自動生成対象データの形状は円状の地形や途中で分岐している地形、連続してカーブしている図形等、様々なパターンが存在しており、変則的である。対象図形検索ルーチンでは、まず、地図図式を生成・配置する対象図形を構成するラインを検索し、さらにこれらがまとまったライングループを取得する。ラインとは、2次元又は3次元空間上の頂点2つ以上からなる一つの線分であり、ライングループとは、1以上のラインから構成されるラインの集合体である。そして、取得したラインやライングループから図形形状を5つのパターンに分類することにより、自動生成が容易な対象図形を絞り込むようにしている。
【0030】
地形には、円形状の図形や分岐する図形形状、閉図形を形成しない形状などさまざまなものが存在する。本例では検索したライングループ同士の接続関係を検査(接続端点の一致数をカウント)して、図形形状を大きく5つのパターンに分類して評価する。以下、図4〜図8を参照して本例の5つの分類について説明する。
【0031】
図4は、端点の一致箇所が2点で構成される図形(パターン1)を示したものである。図4に示すような、「上端線11の終点と下端線12の始点(接続端点13)」、「上端線11の始点と下端線12の終点(接続端点14)」で接続する閉図形のパターンである。ほとんどの図形はこの2点で接続する。
【0032】
図5は、ラインの始終点座標が一致する図形(パターン2)を示したものである。「上端線の始点と終点」、「下端線の始点と終点」が一致する図形は、1つのラインだけで閉じられており、円形状となる。これを円形状ラインと呼ぶことにする。図5では、上端線15の始点と終点(接続端点17)、下端線16の始点と終点(接続端点18)が一致して円形状となっており、前者が後者を包含している状態を表している。このように、円形状ラインの中で、他の円形状ラインを包含している場合に、これを円形状図形と呼ぶことにする。円形状図形にはペアとなる図形が存在し、これらを用いて補助線や内部点を生成する。
【0033】
パターン3は、端点の一致箇所が「4点(または4点以上の偶数点)」、すなわち「上端線の終点と下端線の始点」が2点(または2点以上の偶数点)または「上端線の始点と下端点の終点」が2点(または2点以上の偶数点)で接続する閉図形である。この図形は接続端点数/2の値の数だけ分岐している。図6は端点の一致箇所が4である図形の例であり、上端線19の終点と下端線22の始点(接続端点25)、上端線21の終点と下端線20の始点(接続端点26)、上端線19の始点と下端線20の終点(接続端点23)、上端線21の始点と下端線22の終点(接続端点24)が接続している。
【0034】
パターン4は、端点の一致箇所が「1点(または1点以上の奇数点)」、すなわち「上端線の終点と下端線の始点が1点(または1点以上の奇数点)、他方が2点」または「上端線の始点と下端線の終点が1点(または1点以上の奇数点)、他方が2点」で接続する形状である。接続端点が1点の場合は、もう片方の端点2点が接続せず閉じていない図形形状である。また、接続端点が3点以上の奇数の場合は、分岐した図形形状において、何れかの端点が開いた図形である。図7は接続端点が31〜33の3点、未接続端点が図郭線34による分断点35,36の2点であるので、接続端点が3点の場合の例である。接続端点数/2の商が分岐数、その余りが開いている端点(2点で1組)の数となる。
【0035】
図8は、端点の一致箇所が0点、つまり線分の両端点がどこにも一致しない図形(パターン5)を示したものである。図8に示すように、独立した線分37両端の独立端点38,39と接続する端点がなく、閉図形を形成する相手がいないラインとなっている。この場合、エラーとして判断する。
【0036】
図9、図10は、それぞれ対象図形検索ルーチンの処理を示したフローチャート(その1,その2)である。
【0037】
図9において、まず図面内で指定された対象図形を検索する(ステップS11)。デジタルマッピングデータ仕様では、図面上の図形要素一つ一つに頂点の座標等の情報を記述してあるヘッダーが存在する。検索したい対象図形の図式分類コードは決まっているので、ヘッダーに記述されている図式分類コードを検索することにより、目的の図形を絞り込むことができる。そして、絞り込んだ図形のヘッダー情報から、図形の頂点座標情報を取得し配列を作成する(ステップS12)。次にラインの座標調査をする座標調査ルーチンによる処理を行う(ステップS13)。
【0038】
ここで、座標調査ルーチンの処理について、図11のフローチャートを参照して説明する。通常、図形形状は1つの上端線ラインと1つの下端線ラインで構成されるものが多いが、長い形状や途中で分岐する形状の地形の場合は複数のライン(ライングループ)で構成される場合がある。ライングループの検索は、まず、図面内に存在する対象図形のラインを検索し、線分の端点座標を取得する。次に、端点座標(XYZ座標)が一致する線分を数珠繋ぎ式に検索していき、得られた複数のラインから上端線ライングループ、下端線ライングループを取得する。
【0039】
図11において、まず、指定ラインの端点座標の配列を作成する(ステップS31)。次に、その配列に対してX座標列により並び替え(ソート)を行う(ステップS32)。そして、同一座標の許容値内に2つの座標レコードがある場合、これらを接続し、1つのラインとする(ステップS33)。次に一致していない側の端点座標で一致する座標を検索する(ステップS34)。一致した座標がある場合にはそれらをグループ化し、さらにステップS35に戻って一致する座標がなくなるまで繰り返し処理を行う。
【0040】
ステップS35の処理において、一致する座標がなくなったら、最終的にグループ化されたラインの配列を作成する(ステップS35)。そして、そのラインが自己交差しているかどうかを判定し(ステップS36)、自己交差していなければ座標調査処理を終了する。また、自己交差している場合には、自己交差している図形(ライン)を除外(ステップS37)して処理を終了する。なお、自己交差しているラインの例を図13に示す。
【0041】
座標調査ルーチンの処理を終了後、複数のライン(ライングループ)を取得し(ステップS14)、各ラインの始点と終点の座標を検索する(ステップS15)。始点と終点の座標が一致した場合は、円形状ラインを比較する円形状ライン比較ルーチンの処理を行う(ステップS16)。
【0042】
ここで、円形状ライン比較ルーチンの処理について、図12のフローチャートを参照して説明する。予め設定した比較するラインの座標範囲と頂点座標を元に、座標が近い図形から包含判定を行い、ペア図形(ドーナツ形状)を検索する。図12において、まず、始点と終点が一致する複数のライン(ライングループ)を呼び出し(ステップS41)、続いてライン同士の交差があるかどうかを判定する(ステップS42)。ライン同士が交差しているライングループの例を、図14に示す。図14では、2つの円状のライン41,42が2点で交差している。ライン同士が交差している場合にはペア図形なしとする。
【0043】
判断ステップS42でライン同士の交差がないと判断した場合、次に対象図形の種別が法面保護図形かどうかを判定する(ステップS43)。法面保護図形の場合は、1つのラインだけで円形状を形成し上端と下端の区別がなく内部点を生成するので組み(ペア)となる図形は必要ないから、ペア図形なしとする。法面保護図形でない場合、円形状ラインの包含判定を行う(ステップS44)。
【0044】
円形状ラインの包含判定は、1つの円形状ライン内に他の円形状ラインの頂点が含まれるかどうか、すなわちライン内にペアとなるラインの頂点が全て含まれるかを判定する。そして、包含判定の結果より、ドーナツ形状を構成するラインの上端線と下端線を判別して(ステップS45)、円形状ライン比較処理が終了する。以上でステップS16の処理が終了する。
【0045】
図9に戻りステップS16の円形状ライン比較ルーチンが終了すると、上端線と下端線からなる円形状のペア図形を取得(ステップS17)し、処理を終了する。
【0046】
一方、上記判断ステップS15にて各ラインの始点と終点の座標を検索した結果、不一致であった場合には、ライン終点から別のライン始点を検索し(ステップS18)、円形状ではないライングループの配列を取得する(ステップS19)。これらを基に、上端線ライングループと下端線ライングループを得る。
【0047】
そして、図10に示す対象図形検索処理(その2)において、上端線端点と下端線端点の座標が一致する点を検索する(ステップS20)。
【0048】
上端線端点と下端線端点の一致座標が2点の場合(図4参照)、通常の閉図形のペアとしてパターン1に分類する(ステップS21)。
【0049】
また、上端線端点と下端線端点の一致座標が4点の場合(図6参照)、上端線(ライングループ)が2、下端線(ライングループ)が2で構成され、途中で分岐している閉図形としてパターン3に分類する(ステップS22)。パターン3は、既に述べたように端点の一致座標が4点の他、一致座標が4点以上の偶数点であればよい。
【0050】
また、上端線端点と下端線端点の一致座標が1点の場合、片方の端点が閉じていないラインであるとしてパターン4に分類する(ステップS23)。パターン4は、既に述べたように、端点の一致座標が1点の他、図7に示すように一致座標が1点以上の奇数点であればよい。
【0051】
また、上端線端点と下端線端点の一致座標が0点の場合、閉図形を形成する相手がいないライン(パターン5)と判断し(ステップS24)、この図形をエラー図形としてカウントする(ステップS25)。このような手順により対象図形を5パターンに分類していく。
【0052】
このような図形形状検索処理により、オペレータが目視で確認していた複雑な図形形状を自動判別し、パターン分類することができる。これにより、図式生成の対象となる図形の抽出が容易となる。
【0053】
次に、仮想中心線生成ルーチン(図3ステップS3)について、詳細に説明する。
図面内で検索された図形は、形状がカーブしていたり、分岐しておりそのままで補助線・内部点を自動的に等間隔で生成するのは困難である。仮想中心線生成ルーチンでは、検索した対象図形に不整三角網を生成し、上下端線を結ぶ辺の中点座標を取得して、端点と中点から仮想中心線発生箇所を把握することで、最適な補助線・内部点の自動生成を補助するため仮想中心線を生成する。
【0054】
図15は、仮想中心線生成ルーチンの処理を示したフローチャートである。この図15に示すフローチャートについて、図16,17,18を参照しながら説明する。まず、対象図形検索ルーチンで検索された生成対象図形の上端線及び下端線の始点の頂点座標情報を取得し、始点から任意の間隔の仮想頂点からなるN個(Nは自然数)の点列を生成する(ステップS61)。ここでいう仮想頂点とは、上述のラインを形成する頂点とは別物である。仮想頂点の間隔は、人工斜面の最小幅以上になるように設定し、またその数は、上端線及び下端線とも同じになるようにする。したがって、全長が短い端線の方が頂点間隔は短くなる。生成した仮想頂点は、後述する不整三角網の生成に利用する。
【0055】
より精度よく仮想中心線を生成するためには、上記仮想頂点の間隔を等間隔とすることが好ましい。しかし、上端線あるいは下端線が極端に短い場合、仮想頂点の間隔が極端に短くなり、必要以上に多くの三角形が生成され、処理量が増えてしまう。この場合には、例えば間隔が人工斜面の最小幅になるように仮想頂点を生成し、仮想頂点の数を間引くことにより、処理量の増加を避けることが望ましい。
【0056】
次に、不整三角網の生成について説明する。図16は、接続端点数が4点で、生成対象図形内に上端線・下端線の組が2組ある分岐図形パターン(パターン3)の例であり、上端線19の仮想頂点数7、下端線20の仮想頂点数12、上端線21の仮想頂点数9、下端線22の仮想頂点数6である。なお、仮想頂点には、作業規定に沿うように、上端線では低い方を右に見るように、下端線は高い方を右に見るように順次番号を付与する。そして、生成した上端線及び下端線の仮想頂点を所定のルールに従って結んでいき、不整三角網を生成する。三角網生成ルールを以下に示す。
【0057】
<三角網生成ルール>
1.三角網を形成する線分は、上端線の仮想頂点同士、下端線上の仮想頂点同士では結ばれない。
2.三角網を形成する線分の始点は、上端線グループの始点と一致し、2番目の点は下端線終点から2番目の仮想頂点と一致する。3番目の点は上端線グループの2番目の仮想頂点と一致する。以後は交互に生成する。
3.三角網を形成する線分の終点は上端線の始点と同一となるが、下端線グループの二番目の仮想頂点が未使用の場合はその点を終点とする。
4.三角網を形成する線分は、対象図形を構成する上端線または下端線に交差しない。交差した場合は交差する前の仮想頂点まで三角網を生成し、次の新たな仮想頂点から対象図形に交わらないように生成する。
5.分岐パターンの場合、上端線の総延長が短いペアから三角網を生成する。
6.分岐パターンの場合、上端線から下端線の相手先が複数存在する際は上端線終点と接続している下端線頂点を採用する。
7.分岐パターンの場合、上端線始点からの生成が終了し未使用の仮想頂点が存在する場合、上端線の始点以外の一番若い番号の未使用仮想頂点を始点として下端線(未使用仮想頂点)へ三角網を生成する。
8.円形状図形の場合、上端線の始終点が一致する点を起点とし、ペアとなる下端線で最も近い仮想頂点を検索し三角網を形成していく。終点は起点から初めに結んだ仮想頂点(下端線側)とする。
9.上端線では低い方を右に見るように仮想頂点番号を取得し、下端線は高い方を右に見るように仮想頂点番号を取得するので、上端線の入力方向に向かって右側に下端線が存在する。この規則を利用し、分岐形状で上端線から下端線へ結ぶ仮想頂点の候補が2点存在した場合、右側にある仮想頂点で最も近い箇所を結ぶ。
【0058】
上述の三角網生成ルールに従って、まず、上端線始点座標と下端線終点座標が一致する点をサーチし(ステップS62)、一致した点の上端線始点座標を取得する(ステップS63)とともに、その下端線終点から数えて2番目の仮想頂点をサーチする(ステップS64)。そして、上端線の始点からサーチした下端線終点から数えて2番目の仮想頂点(頂点11)までの線分を結ぶ(ステップS65)。続いて、上記三角網生成ルールの項目2に沿って、上端線の始点からN番目の仮想頂点及び下端線の終点からN番目の仮想頂点まで線分を結んでいく(ステップS66,S67)。すなわち、以降、上端線始点より(n−1)(2≦n≦N;nは自然数)番目の仮想頂点から下端線終点よりn番目の仮想頂点に線分を結ぶまで、上端線の仮想頂点及び下端線の仮想頂点間で交互に線分を結んでいく。
【0059】
図16を例にすると、下端線20終点より数えて2番目の仮想頂点(仮想頂点11)から上端線19の2番目の仮想頂点(仮想頂点2)までの線分、上端線19の2番目の仮想頂点(仮想頂点2)から下端線20終点より数えて3番目の仮想頂点(仮想頂点10)までの線分と次々結んでいく。このように線分を結んでいくことで、不整三角網を形成する三角形が次々に作成されていく。すなわち、上端線の仮想頂点及び下端線の仮想頂点間を結ぶ各線分、上端線の隣り合う仮想頂点同士及び下端線の隣り合う仮想頂点同士を結ぶ各線分を辺とする複数の三角形を生成していく。
【0060】
ここで、任意の上端線又は下端線と不整三角網が交差するかどうかを判定し(ステップS68)、交差する場合は、交差前の仮想頂点へ線分を戻し、交差する前の線分の起点から交差する線分の起点となった仮想頂点の次の仮想頂点へ線分を結んでいく(ステップS69)。このステップS68及びステップS69の処理については、後に図18を参照して具体的に説明する。
【0061】
そして、上記判断ステップS68において上端線又は下端線と不整三角網が交差しない場合には、上述の方式で上端線終点まで線分を結んでいき、不整三角網を生成する(ステップS70)。そして、生成した線分の中点座標を取得し(ステップS71)、隣り合う中点座標同士を線分で結ぶ(ステップS72)。線分を結んだ後、他の接続端点をサーチし(ステップS73)、接続端点があればステップS62の処理に移行して一連の処理を繰り返す。接続端点がない場合は、算出した線分の中点を結んでいって仮想中心線を生成する(ステップS74)。仮想中心線を全て生成したら一連の処理を終了する。
【0062】
次に図16を例に、不整三角網生成手順について説明する。なお、図16では、上端線19と下端線20から生成される不整三角網をA組、上端線21と下端線22,20から生成される不整三角網をB組とする。
【0063】
まず、上端線の総延長が短いA組から不整三角網を生成する。上端線19の仮想頂点1を始点とし、下端線20の仮想頂点11を2番目の点とする。A組の終点を上端線19の仮想頂点7とし、下端線20の仮想頂点11から6まで使用する。上端線19の仮想頂点1から下端線20の2番目の仮想頂点11を結び線分43を、下端線20の仮想頂点11から上端線の仮想頂点2を結び線分44を生成し、三角形46を形成する。さらに、上端線19の仮想頂点2と下端線20の仮想頂点10を結んで線分45を生成して三角形47を生成するというように、次々に三角形を形成して不整三角網を生成していく。
【0064】
次に、B組について説明する。上端線21の仮想頂点1を始点として仮想頂点9を終点とする。下端線22の頂点5を2番目の点とし、分岐点25(下端線22の始点)まで順に線分を結び三角網を生成する。さらに、下端線22の始点(頂点1)から上端線21の頂点6へ線分を結び、順に上端線21の終点(頂点9)まで線分を結んで三角網を形成していく。上端線21の終点(頂点9)が接続端点となるが下端線20の頂点2が未使用のため、B組の終点は下端線20の頂点2となる。
【0065】
次に、図16で生成された不整三角網に基く仮想中心線の生成例を、図17に示す。対象図形内に生成した不整三角網の各辺の中点を結んでいくと対象図形内を分断する中心線が生成される。図17のA1〜A13及びB1〜B18は、図16の各頂点に対応し、それぞれA組の不整三角網とB組の不整三角網を構成する。
【0066】
「A組の場合(仮想中心線51)」
A組の不整三角網の始点A1から2番目の仮想頂点A2を結ぶ線分43の中点を、仮想中心線51の始点51sとする。次に、A組不整三角網の仮想頂点A2から仮想頂点A3を結ぶ線分44の中点を仮想中心線51の2番目の中点48とする。順に、上端線19と下端線20を結ぶ三角形の辺の中点を結び仮想中心線51を生成していく。A組の不整三角網の最終辺は仮想頂点A12から仮想頂点A13に結ばれる線分であり、その中点が仮想中心線Aの終点51eになる。
【0067】
「B組の場合(仮想中心線52)」
B組の不整三角網の始点B1から2番目の仮想頂点B2を結ぶ線分の中点を仮想中心線Bの始点52sとする。次に、B組の不整三角網の仮想頂点B2から仮想頂点B3を結ぶ線分の中点を仮想中心線52の2番目の中点とする。順に、仮想頂点B4〜B10(A13に相当)により生成される三角形の辺の中点を結んでいく。さらに、仮想頂点B10〜B18により生成される三角形の辺の中点を結んでいき、仮想頂点B17と仮想頂点B18を結ぶ辺の中点を終点として仮想中心線52を生成する。
【0068】
なお、三角網の各線分の中点を結ぶ際、中点を連続して使用してもよいし、一点おきに中点を使用するようにしてもよい。例えば、均一ピッチによる仮想頂点においては、中点を全点使用すると仮想中心線がジグザグになりすぎる傾向にあるが、この場合には一点おきに使用することにより滑らかな仮想中心線を得ることができる。
【0069】
ここで、図15のステップS68において不整三角網が上端線・下端線に交差する際の対応について、図18を参照しながら説明する。図18は図形が閉じていない形状(パターン4に相当)であり、Aは不整三角網が上端線・下端線に交差している例、Bは本例の対応を行った不整三角網の例を、それぞれ示す。
【0070】
図18Aは、図形が閉じておらず、分岐点付近の三角形を構成する辺14−15で上端線27、下端線30と交差している。この結果、仮想頂点数が一致しなくなり、最適な仮想中心線を生成することができない。このような場合には、まず交差する前の仮想頂点まで三角網生成を行う。つまり、図18Bにおいて、上端線29の始点(仮想頂点A1)から仮想頂点A14まで線分を結ぶ。そして、仮想頂点A14から仮想頂点A15までの線分は上下端線と交差するので、次の仮想頂点を仮想頂点A15ではなく、交差する前の線分の起点に戻り、一旦頂点A13とする。それから、交差する線分の起点となった仮想頂点の次の仮想頂点、仮想頂点A13から仮想頂点A15、仮想頂点A15から仮想頂点16へと順に線分を結んで不整三角網を形成していく。結果としては、A13→A14→A13→A15→A16・・・の順番になる。
【0071】
続いて、上端線27の始点B1から終点B9まで、上端線及び下端線上の仮想頂点を交互に接続し、三角網を生成する。
【0072】
また、上端線あるいは下端線に大きく向きが変化している部分がある等により、図形を構成する上端線・下端線と交差した場合にも、同様の手法により三角網を生成する。上記処理により、図形を構成する上端線・下端線と交差した場合に仮想頂点数が一致せず、最適な仮想中心線を生成することができないという問題を回避することができる。
【0073】
図19は、円形状図形(パターン2)の場合の不整三角網生成例を示すものである。この場合、必ずしも上端線の始点(あるいは終点)と下端線の始点(あるいは終点)が最も近い仮想頂点同士とは限らない。この為、上端線始点(あるいは終点)とペアとなる下端線の最も近い仮想頂点から三角網を生成する。
【0074】
図19の例の場合、上端線78の仮想頂点61が不整三角網生成の開始点となる。下端線79で仮想頂点61と最も近いのは仮想頂点62である。後は上端線78と下端線79の仮想頂点を交互に結んでいき、最後は上端線78の開始点61に戻る。仮想頂点61〜76を利用して三角網を生成する。三角網の辺の中点を結ぶと仮想中心線が生成される。なお、円形状図形の場合、不整三角網が上下端線に交差してしまう図形が多い。その場合、前述の分岐点の場合の対応方法を使い、三角網生成を交差前の仮想頂点で終了し、次の仮想頂点から生成を開始する。
【0075】
このような仮想中心線生成処理により、対象図形内に図形形状に即した最適な中心線を自動生成できる。したがって、分岐図形、円形状図形、カーブ図形等の複雑な図形においても中心線を生成することができる。
【0076】
次に、補助線・内部点生成ルーチン(図3ステップS4)について、詳細に説明する。
補助線・内部点生成ルーチンでは、対象図形の形状や対象図形内に生成した仮想中心線を基に、補助線・内部点を生成する。地形形状によって補助線や内部点の形状や生成位置が異なるため、各生成対象図形に対応した処理ルーチンを実行する。
【0077】
始めに、対象図形が人工斜面・土堤である場合の補助線の生成について説明する。人工斜面及び土堤の場合、補助線は長ケバと短ケバが交互に、射影幅の1/2間隔で表示される。上端線から下端線までの長さと、生成した仮想中心線を基に補助線を自動生成する。生成方法は仮想中心線の生成順番と同様に、上端線を起点として生成していく。長ケバは、仮想中心線には垂直に接続するが、上端線又は下端線とは必ずしも垂線の関係にならない。
【0078】
図20は、補助線(人工斜面、土堤)生成処理を示したフローチャートである。図20について、図21を参照しながら説明する。まず、図21において、上端線81上の始点81sと終点81eの中点又はその近傍の座標を取得する(ステップS101)。次いで、上端線81上の中間点(A点)を長ケバ上端として、A点から仮想中心線83へ垂線を下ろし(ステップS102)、その垂線の延長と下端線82との交点(B点)を長ケバ下端として、長ケバ84を生成する(ステップS103)。
【0079】
上端線81から下端線82までの垂線の線分距離(長ケバ84の長さ)を算出し(ステップS104)、上端線81上の長ケバ上端(A点)から長ケバ84の長さ分だけ終点方向へ進んだ座標(C点)を取得する(ステップS105)。そして、取得した座標(C点)から仮想中心線83へ垂線を下ろし(ステップS106)、垂線の延長と下端線82との交点(D点)座標を取得し、次の長ケバ85を生成する(ステップS107)。
【0080】
次に短ケバ86の生成について説明する。まず、先に生成した長ケバ84及び次に生成した長ケバ85各々と上端線81との交点座標(A点、C点)を取得する(ステップS108,109)。次に、上記2点間の中点座標(G点)を計算し、これを生成する短ケバの始点とする(ステップS110)。そして、先に取得した長ケバの中点(E点)と次に取得した長ケバの中点(F点)を計算し、これらを線分で結ぶ(ステップS111)。次に、上記線分の中点座標(H点)を計算し、これを生成する短ケバの終点とする(ステップS112)。最後に、上記短ケバ始点(G点)及び終点(H点)を線分で結び、短ケバ86を生成する(ステップS113)。
【0081】
上端線終点81eまで補助線の繰り返し生成処理が終了したかどうかを判断し(ステップS114)、上端線終点81eまでの繰り返し生成処理が終了していない場合は、ステップS104の処理に移行し、一連の補助線生成処理を繰り返す。上端線終点81eまでの繰り返し生成処理が終了した場合、上端線81上の中間点(A点)を挟んで反対側(上端線始点方向)についても、同様にステップS104〜ステップS114の処理を行う(ステップS115)。最後に長ケバと短ケバが接続及び交差しないように間隔補正を行い(ステップS116)、補助線生成処理を終了する。
【0082】
上述の上端線終点は、通常の上端線と下端線の接続端点の他、分岐点、分断点によるものなどがある。また、ステップS113において、人工斜面の急激な地形変化などによって生成した短ケバの長さが直前に生成した長ケバより長い場合、短ケバ終点を直前に生成した長ケバの半分の長さの位置とする。一方で、生成した短ケバの長さが一本目の長ケバより短い場合には、計算された位置を短ケバ終点とする。
【0083】
図22は、生成した補助線の例を示し、Aは一般的な処理によるもの、Bは本例の処理によるものを表している。図22A,Bともに、図形幅、つまり上端線87と下端線88の間の距離が上端線始点87sにかけて次第に短くなっている。図22Aの例では、図形幅が狭くなっていく部分においても、補助線のケバ同士の間隔が一定、例えば1:1になっている。これに対し、図22Aに示す本例の処理によるものは、図形幅が狭いところでは補助線の間隔も自然に狭くなるようにすることができる。但し、最小補助線長が1.0mm以上と設定されていた場合、図上1.0mm未満の補助線は生成されないので、図形幅が1.0mm未満のところは空白となる。この場合にあって、本例の処理によるものは、一般的な処理によるものよりも空白部分を少なくすることができる。
【0084】
図23は、図17の対象図形内に生成した仮想中心線を利用して生成された補助線を示すものである。仮想中心線91を利用して本例の補助線生成処理を行うことによって、複雑な形状に合わせた長ケバ92及び短ケバ93を生成することができる。
【0085】
図24は、円形状図形の場合(パターン2)の補助線生成例を示すものである。円形状図形の場合についても、上端線101とペアとなる下端線102の間に生成した仮想中心線を利用して補助線を生成する。上端線101の始点103を起点として補助線生成を開始し、上端線101の終点103まで補助線生成を行う(円周上を一周する)。
【0086】
本例の補助線生成手法によれば、人工斜面及び土堤の他、長ケバ及び短ケバの長さを適宜変更することで、変形地の土がけ(崩土)、雨裂、急斜面に対応することができる。また、これら図式の補助線生成手法を応用することにより、岩がけの図式生成に応用することもできる。
【0087】
岩がけの例を、図25に示す。岩がけとは、岩石地ががけ状になっている状態をいい、頂部105を山型に、傾斜を示す短線106を頂部から最大傾斜方向に表示する。図25及び図26では説明の都合上、平坦に近い表示としている。例えば1/500の大縮尺地図図式によれば、岩がけの短線106の間隔は4.0mm、頂部の高さ1.0mm、短線106の長さ5.0mmと規定されている。射影部の下端は破線で表示する。
【0088】
図26は、本例の岩がけの図式生成の説明に用いる図である。上述同様に、上端線107及び下端線108の間に仮想中心線109を生成する。まず、上端線107上の中点付近(A点)から上端線107上で距離4.0mm離れた座標(B点)を取得する。そして、上端線107上のA点及びB点から下端線108に向けて、仮想中心線109に垂直な線分を生成する。このときのA点及びB点から下ろした垂線の長さは6.0mmとする。次に、A点とB点の中点座標(E点)を取得する。また、A点を上端とする垂線上でA点から距離1.0mm離れた座標(C点)、B点を上端とする垂線上でB点から距離1.0mm離れた座標(D点)をそれぞれ取得する。そして、上端線107上のE点とC点、及びD点を結ぶ。以上の一連の手順を、上端線107の始点及び終点まで繰り返し行うことにより、岩がけが生成される。
【0089】
このように、上端線、下端線、そして生成した仮想中心線を利用して、岩がけの生成が可能である。作成した岩がけは、上端線と、頂部間の谷間部分(線分AC及び線分BD)が消去された状態で表示される。なお、以上述べた岩がけの生成手法は、上端線、下端線及び仮想中心線を利用した手法の一例を示したに過ぎず、この例に限られるものではない。
【0090】
次に、対象図形がコンクリート被覆、ブロック被覆、石積被覆である場合の内部点の生成について説明する。大縮尺地図図式(1/500、1/1000)の被覆の内部点はブロック図形が違っているだけで、発生箇所(座標)と生成条件は同一であるため、同じルーチンで生成箇所を取得する。
【0091】
図27は、内部点生成処理を示したフローチャートである。図27について、図28,29,30を参照しながら説明する。図28は、仮想中心線に対するオフセット線の生成例を示し、Aはオフセット線発生前、Bはオフセット線発生後の状態を表す。図28Aに示すように、内部点を生成する対象図形110に対し、仮想中心線111が生成されている。この仮想中心線111に対し、等間隔にオフセットを取り線分を発生させる。以降の説明において、この線分をオフセット線と称する。オフセット線の間隔は初期設定で1.0mmとする。この値は、設定により変更可能である。
【0092】
図28Bに示されるように、仮想中心線111から対象図形取得範囲(上端線、下端線)に向けオフセット線112を生成させていき、対象図形110に接続する箇所で生成を終了させる(ステップS121)。続いて、上端線から仮想中心線へ±45度に交わる2つの線分を生成する(ステップS122)。ここで、仮想中心線に対するグリッド線の生成例を、図29に示す。生成した仮想中心線111に対して入射角αの大きさが45度の等間隔グリッド線113を生成していき、対象図形に対して菱形のグリッドを生成する。グリッドの間隔L1,L2は設定値によるが、例えば既定値で図上3.0mmとする(1/500の大縮尺地図図式の場合)。なお、入射角αは設定により変更できるようにしてもよい。また、2つの線分の入射角は、必ずしも一致している必要はない。
【0093】
次に、グリッド線交点座標とオフセット線が交わる座標を取得する(ステップS123)。グリッド線113は、ステップS121にて生成したオフセット線上で交わるように調整されている。図29では、仮想中心線111が完全な直線ではないため、オフセット線上にないグリッド線交点が存在することがある。この場合には、そこから最も近いオフセット線上に再配置しその座標を取得する(ステップS124)。そして、取得したオフセット線上のグリッド線交点座標及び再配置された交点座標に内部点を挿入する(ステップS125)。但し、交点座標を再配置する際も、内部点間の距離(設定値)が許容値内(0.1mm等)の誤差に収まるように計算する。
【0094】
図30は、対象図形110に対する内部点の配置例を示したものである。内部点115の位置はグリッド線交点座標とオフセット線が交わった点である。内部点115aの位置は、グリッド線交点座標がオフセット線上になく、わずかに移動してオフセット線上に再配置されている。対象図形がカーブしていたり分岐していたりするとグリッドは必ずしも平行にならず、グリッド線の交点がオフセット線上にない場合が多くなる
【0095】
対象図形がカーブしている例を、図31に示す。図31において、110aは対象図形、112a1〜112a3及び112b1〜112b3はそれぞれ紙面下方の仮想中心線(図示略)に対するオフセット線であり、図形すなわち仮想中心線の曲がり具合に応じて折れ線になっている。113aはオフセット線112a1,112b1に対するグリッド線、113bはオフセット線112a2,112b2に対するグリッド線である。図32の例では、グリッド線交点113b1はオフセット線上にないが、周辺の最も近いオフセット線112b3上に交点座標が再配置され、内部点115bが挿入される。
【0096】
このように、対象図形がカーブした図形では仮想中心線とグリッドもそれに応じてカーブしており、対象図形内に正確に所定角例えば45度でグリッドを生成していくと、グリッド線交点は必ずしもオフセット上に存在しない。この場合でも、グリッド線交点から最も近いオフセット線上に内部点生成座標を配置することにより、カーブした図形にも対応して、内部点を配置することができる。
【0097】
そして、ステップS125にて内部点を挿入した後、内部点同士が重ならないように間隔補正を行う(ステップS126)。例えば分岐図形やカーブ図形等でも分岐点付近などでオフセット線が重なるために、内部点が重なることがあるので、その場合は内部点のオフセット線上での再配置を行う。また、上端線又は下端線付近にある交点座標の内部点が上端線又は下端線に重なる箇所や、内部点が対象図形外にはみ出している箇所等、適切な位置にない内部点を補正し(ステップS127)、内部点生成処理を終了する。例えば図30の例では、グリッド線交点116は対象図形の上端線(又は下端線)と重なるため内部点が配置されていない。
【0098】
上述の内部点が対象図形外にはみ出している場合について、具体例を用いて説明する。図32は、分岐パターンの場合のオフセット線生成例を示すものである。図32の例では、対象図形120が分岐点126で分岐しており、それにともない仮想中心線121が仮想中心線121a、121bへと分岐している。分岐ポイント123a付近では、仮想中心線121から生成したオフセット線122が重なる。また、ポイント123b,123cのように、対象図形の形状が急激に細くなった箇所では、オフセット線122が対象図形外に形成される。
【0099】
図33は、図32の分岐ポイント付近の拡大図である。オフセット線122a及び122bが重なっている。内部点125a,125bのように、内部点が所定の距離内に配置された場合は、補正処理を行う。また、対象図形外に生成された内部点125cは削除する。
【0100】
次に、対象図形が法面保護(網)、法面保護(モルタル)、法面保護(コンクリート桝)の場合の内部点生成処理について説明する。大縮尺地図図式の法面保護は、上端・下端の区別がなく1つのラインで外周(閉ループ)を形成するため、仮想中心線生成ルーチンで中心線情報を生成できない。そのため仮想中心線は利用せず対象図形の外周を基準として生成したオフセット線を利用して内部点を配置する。なお、3つの法面保護は内部点を表す図形が違っているだけで、発生箇所(座標)と生成条件は同一であるため同じルーチンで生成箇所を取得する。
【0101】
まず、対象図形検索ルーチンを使用し、図面内の法面保護の地形を検索して、パターン2の図形(円形状図形)をサーチする。1つのライングループで外周を形成(始点及び終点一致)した場合を通常パターン、ペアになっている場合はドーナツ形状パターンとする。
【0102】
図34は、法面保護図形の例を示し、Aは通常パターン、Bはドーナツ形状パターンを表している。通常パターンでは、1つのライングループ131で形成される図形内が内部点生成対象となる。一方、ドーナツ形状パターンは、内外判定を行い、1つのライングループ133の全頂点がもう1つのライングループ132内に含まれるドーナツ形状の図形を検索する。ドーナツ内側のライングループには内部点は生成しない。
【0103】
図35は、法面保護図形内のオフセット線生成例を示すものであり、Aは通常パターン、Bはドーナツ形状パターンを表す。検索された法面保護内部に等間隔でオフセットを取り、オフセット線を生成する。本例ではオフセット間隔は既定値で1.0mmとする。この値は、設定により変更可能とする。オフセット線は、対象図形取得範囲(外周)から中心に向け生成させ、設定値によりこれ以上生成できない所で終了する。
【0104】
図36は、法面保護図形内のグリッド生成例を示したものである。検索された法面保護図形、この例では通常パターン図形に対して頂点間隔が一番長い箇所の中点136の座標を取得する。そして、中点136を起点として対象図形131の外周上で最も長い線分に対し所定の入射角度、例えば45度のグリッド線137を3mm間隔(設定値)で格子状に生成する。このように円形状図形の対象図形に対しては、起点から平行にグリッド(格子)を生成する。そして、対象図形内のグリッド線の交点とオフセット線が交わる点の座標を取得する。
【0105】
図37は、法面保護図形内の内部点生成例を示したものである。対象図形内のグリッド線交点とオフセット線との交点座標上に、生成図式に対応する内部点を配置していく。この場合において、グリッド線交点とオフセット線が交わらないときは、仮想中心線を用いた図31の例と同様、グリッド線交点から最も近いオフセット線上にその交点を移動して内部点を配置する。また、配置した内部点同士が重なる場合にはオフセット線上で間隔を補正して重ならないようにする。また、内部点が対象図形の外周に重なる箇所や内部点が対象図形外にはみ出している箇所を補正する。
【0106】
このように、仮想中心線が生成されない円形状ラインの場合、対象図形内にその外周に沿ってオフセット線を生成し、グリッド線交点とオフセット線の交わる点を内部点挿入位置とすることで、例えばカーブがあるような複雑な図形にも対応することができる。また、複雑な図形の場合には、オフセット線が図形の外周に対して必ずしも所定角(例えば45°)とはならず、グリッド線交点とオフセット線が交わらないことがあるが、グリッド線交点から最も近いオフセット線上にその交点座標を移動して内部点を挿入することにより、内部点を適切に配置することができ、また内部点が外周に被ることもない。
【0107】
カーブ等の複雑な図形に関し、オフセット線を利用しない場合は、グリッド線交点により内部点が図形上に均一パターンで配置されるが外周に被る箇所は削除することになるので、その部分は間が空いたような状態になる。一方、本例のようにオフセット線を利用すると、内部点が外周に沿って生成されたオフセット線上に配置される(図31参照)。したがって、本例と、オフセット線を利用せず単にグリッド線交点上に内部点を挿入した場合と比較すると、本例は内部点が外周に被らなくなるとともに、内部点を外周に沿った動きのある配置とすることができるので、対象図形に対して内部点を綺麗に配置できる。
【0108】
このような補助線・内部点生成処理により、大縮尺地図図式及び国土基本図図式に定められた補助線及び内部点を自動生成し、対象図形内の最適な箇所に配置される。したがって、図式を高精度で自動生成することができるので、オペレータが指定入力する手間を省くことができる。
【0109】
次に、3次元データへの応用として高度補正ルーチン(図3ステップS6)について、詳細に説明する。
高度補正ルーチンは、対象図形が高さの情報を持つ3次元データの場合、補助線・内部点生成後に高さ情報(Z値)を計算させる処理である。補助線の場合は、上端部に接続する始点及び下端部に接続する終点の高さを補完計算する。内部点は生成時にZ値を取得する。ただし、参照する図形自体には傾きを持たせない。この高度補正ルーチンは、補助線・内部点生成ルーチン(図3ステップS4)に含め、補助線・内部点生成時に高度補正が必要であれば、高さ(Z情報)を自動的に計算させるようにしてもよい。
【0110】
図38は、補助線生成後の図形(人工斜面)の例を示し、Aは平面図、Bは斜視図(3次元)である。この例は、T字路の道路140の両脇に人工斜面141が形成された地形である。図38Bの斜視図では、人工斜面141が立体的に表示される。
【0111】
図39は、人工斜面を例にした高度補正処理の流れを示すフローチャートであり、このフローチャートについて、図40,41を参照しながら説明する。まず、対象図形から各頂点の三次元座標値(Z座標)を取得し(ステップS141)、各頂点間の線分を3次元情報として取得する(ステップS142)。例えば、図40において、対象図形142を構成する上端線及び下端線上の各頂点間の上端線分143、下端線分144,145,146を3次元情報として保持する。
【0112】
次に、長ケバの端点座標を上端線及び下端線の線上(Z座標)に合わせる(ステップS143)。同時に、短ケバの端点座標を上端線の線上(Z座標)に合わせ(ステップS144)、それぞれの接続点の3次元座標値を取得して高度補正処理を終了する。補助線・内部点生成ルーチンによる補助線発生時、上端線及び下端線に接続する補助線端点座標は、上記ステップS142で生成した頂点間線分情報により3次元座標値で求めることができる。
【0113】
図41は、図40に示した上端線分143(高さ18.186〜18.689)間に接続した補助線の高さ、及び下端線分144〜146(高さ14.060〜14.262)間に接続した補助線の高さを表している。例えば、長ケバ147について、上端線分及び下端線分とのそれぞれの交点147a,147b、また短ケバ148についても上端線分との交点148aが求められる。なお、短ケバ終端の3次元座標値についても求めることができる。短ケバ148bの終端座標148bは、補助線生成処理時に計算した二等分線及び短ケバの長さを用いて算出することができる。
【0114】
このように、端点座標を3次元座標値で取得することにより、補助線は3次元で角度を持った3Dラインで生成される。図42は、補助線生成後の図形について視点を切り替えて表示した例を示し、Aは平面図、Bは斜視図(3次元)である。図42中の140は対象図形(人口斜面)、149は道路を表している。3次元地図データの場合、上から見ると通常の2次元地図と変わらないが、全ての線分が高さ情報を持つため、視点を変えて図面を表示した場合、人工斜面等の図式は傾きを持って表示される。
【0115】
このような高度補正処理により、3次元情報を取得し、図式生成時に3次元データ化を行うことができるので、高度な技術を必要とする3Dデータ編集を自動化することができる。
【0116】
次に、整合性処理ルーチン(図3ステップS7)について、詳細に説明する。
整合性処理ルーチンは、図面内で生成した補助線、内部点の整合性をチェックし自動的に補正処理を行うものである。補助線・内部点生成ルーチンにおいて生成した補助線の端点が接続している場合や交差が見つかった場合等の間隔補正、また発生した内部点同士の重なり、対象図形と内部点との重なり、又は対象図形からのはみ出し等を検査して最適位置に配置し直す処理が存在する。また、検索された生成対象のラインまたはライングループの入力方向が逆方向の場合、入力規則に則った方向へ自動変換する処理も行う。
【0117】
ここで、上記逆方向補正について説明する。ライングループの座標一致調査の際、ライングループの入力方向を検査し、同一対象図形上でライングループの始点と始点、終点と終点で座標が一致しているライングループは、入力方向エラーとして判別する。例えば、地形図入力には、上端線は低い方を右に、下端線は高い方を右に取得するという入力規則が存在する。上述の対象図形検索ルーチンで、入力方向が逆(接続端点で上下端線の始点と始点、終点と終点同士が一致)になったパターンが検索された際、ライン又はライングループの入力方向が正しくなるように入力方向を入れ替える。
【0118】
また、ラインが高さ情報(Z値)を持つ場合は、以下の補正ルールを適用する。第一に、片方の接続端点より低い端点で始点同士が接続、又は片方の接続端点より高い端点で終点同士が接続している場合には、下端線の入力方向が逆になっているので、下端線の入力方向を入れ替える。第二に、片方の接続端点より高い端点で始点同士が接続、又は片方の接続端点より低い端点で終点同士が接続している場合には、上端線の入力方向が逆になっているので、上端線の入力方向を入れ替える。
【0119】
このような整合性処理を行うことにより、図式の自己交差、入力方向等、エラー箇所を機械的に判別し、自動補正することができる。したがって、オペレータの目視チェック、修正作業を自動化することができる。
【0120】
次に、処理結果生成ルーチン(図3ステップS8)について、詳細に説明する。
図形形状(座標等の地理的な幾何情報)と、本例の図式生成処理の過程で生成された図式生成情報(補助線の総数、内部点の総数、座標情報等)、エラー内容、補正情報数等をカウントし、CSVファイル等の外部ファイルに出力する。抽出されたデータは自動生成後の図面上で、エラー箇所の表示等の情報として利用される。
【0121】
図43は、上記処理結果生成処理の概要を説明する図である。図43において、図式生成がなされていない図式生成前図面151に対し、対象図形検索ルーチン、仮想中心線生成ルーチン及び補助線・内部点生成ルーチン等の図式自動生成処理152を行い、図式生成後図面153を作成する。その後、図式生成後図面153に対し、整合性処理ルーチンによる補正処理154、エラー検索155を行った後、座標や生成情報等を抽出した抽出データ156としてCSVファイル形式で保存する。そして、ディスプレイ上にCSVファイルの抽出データ156の検索ダイアログ157を表示する。これにより、抽出した情報をディスプレイ上のグリッドに表示し、所望する箇所を選択することによって図面上の当該箇所を表示することができる。また、検索結果を補正後図面158と共に不揮発性メモリ等に保存することも可能である。
【0122】
なお、図式自動生成処理152が終了後、補正処理154及びエラー検索155を実施せず、CSVファイルに変換し抽出データとする場合もある。また、補正処理154及びエラー検索155が終了後、CSVファイル等の外部ファイルに出力せずに補正後図面158として保存することもできる。
【0123】
このような処理結果生成処理によって、図形形状(座標等の地理的な幾何情報)、本例による自動処理情報(図式生成、補正、エラー情報)を抽出し、外部ファイルに蓄積させて利用することができる。したがって、CAD(Computer Aided Design)やGIS(Geographical Information System)がなくても図式情報(座標情報)の生成、再利用が可能となる。
【0124】
以上、述べた本例の構成によれば、対象図形検索処理、仮想中心線生成処理、補助線・内部点生成処理、高度補正処理、整合性処理、処理結果生成処理の各処理をルーチン化することにより、統括したモジュールとしてシステムを提供することができる。例えば、本システムを、自動処理機能を利用するマンマシンインターフェースとコアモジュール(自動生成機能モジュール)との簡単な構成で実現することができる。
【0125】
次に、図上指定モードについて、図44及び図45を参照して説明する。
図上指定モードとは、オペレータが補助線・内部点を生成・配置したい対象図形を選択・指定し、図式を生成できる機能である。図式自動生成機能の全体処理フローにおいて(図3参照)、自動生成処理対象図形として判断されなかった場合、すなわちエラー図形(パターン5)のときに、図上指定モードに切り替えて手動で図形を選択する。図上で手動により図形を選択できるようにするため、自動生成機能GUI6(図2参照)に上下端線や点列を指定できるメニューを用意しておく。
【0126】
また、本システムでは、図形の分岐数が多いなど形状が複雑になるにつれ、補助線や内部点の生成・配置精度が落ちるので、自動生成した図式が理想形状とならないことがある。そのため、後にオペレータが画面上で確認し、補助線や内部点の修正等の形状補正処理を手動で行わなければならないといった場合が生じる。そこで、本システムではさらに、図形を選択時に予め図形の分岐数や円形状図形の数を指定して、指定した図形について手動で始終点を指定する機能を設ける。
【0127】
図44及び図45は、それぞれ図上指定モードの全体処理(その1)(その2)を示す。図45,46における対象図形検索ルーチン、仮想中心線生成ルーチン、補助線・内部点生成ルーチン、高度補正ルーチン、整合性処理ルーチン、処理結果生成ルーチンは、図3に示されたものと同様の処理内容であるから、説明は省略する。
【0128】
図44において、まず、人工斜面、土堤、土がけ、雨裂、急斜面、岩がけ、各被覆図形などの自動生成可能な図面の中から、オペレータが図式生成したい図形形状を選択する(ステップS151)。この際に、人工斜面などの分岐数を指定できる図形であれば、手動で始終点を指定する分岐数のしきい値を指定する。また、円形状の図形であれば、その円形状図形の数を指定するようにしてもよい。
【0129】
自動生成機能モジュール5aはオペレータからの入力を受けて、選択された図形形状について対象図形検索ルーチンの処理を行い、図形のパターン分類を行う(ステップS152)。そして、パターン分類した結果に基き、自動生成処理対象図形であるかどうかを判断する(ステップS153)。自動生成処理対象図形かどうかは、エラー図形(パターン5)でないか、またはパターン1〜4に分類された図形うち、上記しきい値を超える分岐又は円を持つ図形でないかを基準に判断される。また、指定したしきい値と同じ数の分岐又は円形状の図形を手動モードの対象としてもよい。いずれにするかはメニュー画面上で選択できるようにしておく。
【0130】
判断ステップS153にて、自動生成処理対象図形であると判断した場合、補助線・内部点を生成するかどうか判定(ステップS154)し、補助線・内部点を自動的に生成する場合には、仮想中心線生成ルーチンへ移行する。補助線・内部点を自動的に生成しない場合、始終点指定ルーチンへ移行する。
【0131】
判断ステップS153にて、上記判断基準により自動生成処理対象図形ではないと判断した場合、その図形形状によって処理工程が二つに分かれる。また、図3の図式自動生成機能の全体処理フローにおいて自動生成処理対象図形ではないと判断された場合も、この処理工程に合流する。
【0132】
自動生成処理対象図形でない場合、その図形がパターン5のエラー図形であるときは、オペレータによる位置指定を行う始終点指定ルーチンへ直接移行する。
【0133】
また、自動生成処理対象図形でない場合、その図形が上記指定した条件に該当する図形であるときは、図式生成する始終点を指定するかどうかをオペレータに判断させる(ステップS155)。オペレータは、画面表示された図形を見て始終点を手動指定する図形を絞ったり、あるいは画面上で特定の図形を指定して手動による始終点指定を選択するなど、の操作が可能になる。また、図3のステップS2から移行してきた場合を考えると、図形を確認して、例えば分岐数はそれほど多くはないが複雑な図形なのでやはり手動で始終点を指定したい、と判断して始終点を手動指定することもできる。このように、自動で図式生成を行なう場合、NOを選択してステップS154の処理へ移行し、また、オペレータの指示により始終点を指定する場合には、YESを選択して始終点指定ルーチンへ移行する。
【0134】
始終点指定ルーチンは、4つの処理工程から構成されている。まず、図式生成したい図形の上端線始点を指定する(ステップS156)。続いて下端線始点を指定し(ステップS157)、さらに上端線終点を指定し(ステップS158)、最後に下端線終点を指定する(ステップS159)。そして、上端線及び下端線のそれぞれの始終点を指定したら、図45に示す仮想中心線生成ルーチンへと移行する。
【0135】
仮想中心線生成ルーチンでは指定された図形を図式生成対象図形として認識し、仮想中心線が生成される(ステップS160)。続いて補助線・内部点生成ルーチン(ステップS161)、高度補正が必要かどうかの判断処理(ステップS162)、高度補正ルーチン(ステップS163)、整合性処理ルーチン(ステップS164)が行われる。これらステップS160からステップS164までの処理の流れは、図3に示したステップS3〜ステップS7と同じである。
【0136】
次に、整合性処理ルーチンにより検索されたエラー又は補正処理できなかった図形形状について、形状補正が必要かどうかを判断する(ステップS165)。必要でない場合、処理結果生成ルーチンの処理を行い(ステップS168)、図上指定モードを終了する。
【0137】
上記判断ステップS165において、形状補正が必要と判断した場合、エラー箇所の補助線・内部点を削除するかどうかをオペレータに判断させる(ステップS166)。オペレータから削除する旨の入力操作があった場合、手動による補助線・内部点削除ルーチンの処理を行う(ステップS167)
【0138】
補助線・内部点削除ルーチンは、自動生成処理の過程で生成された補助線・内部点や、すでに生成されている補助線・内部点を一括で削除できる機能を備える。また、削除したい形状の上端線及び/又は下端線を図面上で指定して接続している補助線・内部点を自動的に削除するマニュアルモードを用意している。
【0139】
ステップS167における補助線・内部点削除ルーチン終了後は、始終点指定ルーチンへ移行する。また、判断ステップS166において補助線・内部点を削除しないと判断された場合も始終点指定ルーチンへ移行する。そして、上端線及び下端線の始終点の指定を行い、一連の処理を繰り返す。
【0140】
この図上指定モードを用意することにより、本例の地図図式生成過程において、自動生成処理対象外の図形を検索した場合など、必要なときに手動操作による図形形状の指定が可能になる。また、複雑な形状をしている図形は図式自動生成後に繰り返し形状補正処理を行うことによって、最適な図式を生成することができる。
【0141】
また、予め手動で指定する図形を決めておくことにより、自動図式生成処理した後に、再度生成された形状を手動で補正する必要がない。つまり、始めから手動モードで始終点を指定することで、無駄に自動生成処理する時間のロスが省けるという効果がある。
【0142】
次に、本発明の他の実施の形態として、手動モードに移行するしきい値(分岐数又は円形状図形の数)を予め不揮発メモリに登録した場合について述べる。図3のフローチャートにおいて、予めしきい値となる分岐数や円形状図形の数を設定しておくと、エラー図形に加え、上記条件を満たす図形を検出したとき、図3のステップS2から図44のステップS155へ移行する。オペレータは、画面上の図形を確認して、始終点を手動指定とするかどうかを選択することができる。このように、図3のフローチャートにおいて、予めしきい値を設定しておいた場合、エラー図形以外の所定の条件を満たす図形について手動での始終点指定を行なうかどうかを選択することができる。
【0143】
以上述べた構成によれば、自動的に地図形状の分析及び判断を行って地図形状をパターン分類し、パターン分類された図式生成対象図形を抽出し、そして、抽出した図形の仮想中心線の生成、その仮想中心線を利用した図式生成を機械的に計算し自動化したので、地図作成作業を支援することができる。
【0144】
また、対象図形検索ルーチンにおいて、パターン分類、及び上端線と下端線端点座標との一致数を計算する構成としたので、パターン分類及び端点座標の一致箇所の数を利用し、予め所定の条件を指定してその条件を満たす所望の図形について、手動による始終点指定を行なうことができる。したがって、指定した図形について、オペレータが希望する図式又はそれに近い理想の図形を生成することができる。
【0145】
なお、本発明は上述した実施の形態の例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱することなくその他種々の構成を取り得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0146】
【図1】補助線(人工斜面)の一例を示した図である。
【図2】本発明の一実施の形態によるシステム概念図である。
【図3】本発明の一実施の形態による自動生成機能の全体処理を示したフローチャートである。
【図4】本発明の一実施の形態による対象図形例(パターン1)を示した図である。
【図5】本発明の一実施の形態による対象図形例(パターン2)を示した図である。
【図6】本発明の一実施の形態による対象図形例(パターン3)を示した図である。
【図7】本発明の一実施の形態による対象図形例(パターン4)を示した図である。
【図8】本発明の一実施の形態による対象図形例(パターン5)を示した図である。
【図9】本発明の一実施の形態による対象図形検索処理(その1)を示したフローチャートである。
【図10】本発明の一実施の形態による対象図形検索処理(その2)を示したフローチャートである。
【図11】本発明の一実施の形態による座標調査処理を示したフローチャートである。
【図12】本発明の一実施の形態による円形状ライン比較処理を示したフローチャートである。
【図13】自己交差例を示した図である。
【図14】ライン同士の交差例を示した図である。
【図15】本発明の一実施の形態による仮想中心線生成処理を示したフローチャートである。
【図16】本発明の一実施の形態による不整三角網の生成例を示した図である。
【図17】本発明の一実施の形態による仮想中心線の生成例を示した図である。
【図18】本発明の一実施の形態による不整三角網が上下端線に交差する際の対応例を示した図である。
【図19】本発明の一実施の形態による円形状図形の場合の不整三角網生成例を示した図である。
【図20】本発明の一実施の形態による補助線(人工斜面、土堤)生成処理を示したフローチャートである。
【図21】本発明の一実施の形態による補助線生成例を示した図である。
【図22】本発明の一実施の形態による補助線の例を示した図である。
【図23】本発明の一実施の形態による補助線生成後の図形例を示した図である。
【図24】本発明の一実施の形態による円形状図形の場合の補助線生成例を示した図である。
【図25】岩がけの例を示した図である。
【図26】本発明の一実施の形態による岩がけの図式生成の説明に供する図である。
【図27】本発明の一実施の形態による内部点生成処理を示したフローチャートである。
【図28】本発明の一実施の形態による仮想中心線に対するオフセット線生成例を示した図である。
【図29】本発明の一実施の形態による仮想中心線に対するグリッドの生成例を示した図である。
【図30】本発明の一実施の形態による内部点の配置例を示した図である。
【図31】本発明の一実施の形態による対象図形がカーブした場合の内部点の配置例を示した図である。
【図32】本発明の一実施の形態による分岐パターンの場合のオフセット線生成例を示した図である。
【図33】図32の要部の拡大図である。
【図34】本発明の一実施の形態による法面保護図形の一例を示した図である。
【図35】本発明の一実施の形態による法面保護図形内のオフセット線生成例を示した図である。
【図36】本発明の一実施の形態による法面保護図形内のグリッド生成例を示した図である。
【図37】本発明の一実施の形態による法面保護図形内の内部点生成例を示した図である。
【図38】本発明の一実施の形態による補助線生成後の図形(人工斜面)の例を示した図である。
【図39】本発明の一実施の形態による高度補正処理を示したフローチャートである。
【図40】本発明の一実施の形態による高度補正処理の説明図(1)である。
【図41】本発明の一実施の形態による高度補正処理の説明図(2)である。
【図42】本発明の一実施の形態による補助線生成後の図形の視点を切り替えた例である。
【図43】本発明の一実施の形態による処理結果生成処理を示したフローチャートである。
【図44】本発明の一実施の形態による図上指定モードの全体処理(その1)を示したフローチャートである。
【図45】本発明の一実施の形態による図上指定モードの全体処理(その2)を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0147】
1,11,15,19,21,27,29,78,81,87,101,107…上端線、2,12,20,22,28,30,79,82,88,102,108…下端線、3,84,85,92,145…長ケバ(補助線)、4,86,93,146…短ケバ(補助線)、5a…自動生成機能モジュール、6…自動生成機能GUI、7…図形データベース、8…出力結果ログ、9…操作部、13,14,17,18,23〜26,31〜33,95,103,131a…端点、34…図郭線、35,36…分断点、37,131〜133…ライン、38,39…独立端点、43,44,45…辺、46,47…三角形、48…中点、51,52,53,83,91,104,109,111,121,121a,121b…仮想中心線、51s,52s,53s…仮想中心線始点、51e,52e,53e…仮想中心線終点、81s,87s…上端線始点(端点)、81e…上端線終点(端点)、112,122,122a,122b,134,135…オフセット線、113,137…グリッド線、115,125,125a,125b,125c,138…内部点、126…分岐点、126a…仮想中心線の分岐点、136…グリッド起点、A1〜A13,B1〜B18…仮想頂点、L1,L2…グリッド間隔、α…入射角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図図面上に地図図式の補助線又は内部点を生成し配置する地図図式生成システムにおいて、
図式分類情報を基に前記地図図式を生成する対象図形を前記地図図面上で特定する対象図形特定手段と、
前記対象図形に仮想中心線を生成する仮想中心線生成手段と、
前記仮想中心線に基づいて補助線又は内部点を生成し配置する補助線・内部点生成手段と
を有することを特徴とする地図図式生成システム。
【請求項2】
前記対象図形特定手段は、
前記対象図形を構成するライングループの頂点座標に基づき前記特定された対象図形を分類する
ことを特徴とする請求項1記載の地図図式生成システム。
【請求項3】
前記頂点座標は始点座標または終点座標であり、
前記対象図形は、前記ライングループを構成するラインの始点座標と終点座標が一致している場合に前記対象図形を円形状ラインとして分類される第1の分類を行い、前記始点座標と前記終点座標が一致していない場合に、前記ライングループから構成される上端線と下端線の接続端点数に基づいて分類される第2の分類を行う
ことを特徴とする請求項2記載の地図図式生成システム。
【請求項4】
前記第1の分類は、更に1つの円形状ラインで囲まれる範囲内に頂点が全て含まれているラインが存在するか判断し、存在する場合に対象図形を円形状図形として分類し、
前記第2の分類は、前記上端線と前記下端線の接続端点数が0個、1個以上の奇数、2個、4個以上の偶数の4つのパターンに対象図形を分類する
ことを特徴とする請求項3記載の地図図式生成システム。
【請求項5】
前記上端線と下端線の接続端点数が1個以上の奇数、又は4個以上の偶数のパターンであって、自動生成処理対象図形でない図形が存在すると判断された場合、前記仮想中心線生成手段は、当該図形について入力操作手段からの指示に基づいて仮想中心線を生成する
ことを特徴とする請求項4記載の地図図式生成システム。
【請求項6】
前記仮想中心線生成手段は、
前記対象図形の上端線及び下端線の始点から終点まで所定間隔で仮想頂点を生成し、前記上端線始点と前記下端線終点が一致する点を1番目の仮想頂点とし、前記1番目の仮想頂点から前記下端線の終点より2番目の仮想頂点に線分を結び、次に前記下端線終点より2番目の仮想頂点から前記上端線始点より2番目の仮想頂点に線分を結び、以後これを繰り返して前記上端線及び前記下端線の仮想頂点間を線分で結び、前記各線分の中点を結ぶことにより仮想中心線を生成する
ことを特徴とする請求項1記載の地図図式生成システム。
【請求項7】
前記線分と前記上端線又は下端線が交差する場合、前記線分の起点から前記線分の終点となった仮想頂点の次の仮想頂点へ線分を結び、以後、前記上端線及び前記下端線間の仮想頂点を交互に結んで線分を生成する
ことを特徴とする請求項6記載の地図図式生成システム。
【請求項8】
前記対象図形が人工斜面又は土堤の場合、
前記補助線・内部点生成手段は、前記上端線上の両端点の中点座標を取得し、前記中点座標から前記下端線に対して前記仮想中心線に垂直に生成した線分として第1長ケバを生成し、前記上端線上で前記中点座標から前記第1長ケバの長さだけ離れた点から前記下端線に対して前記仮想中心線に垂直に生成した線分として第2長ケバを生成し、前記上端線上の中点と、前記第1及び第2長ケバの中点を結んだ線分の中点とを結んだ線分として短ケバを生成し、上記長ケバ及び短ケバ生成処理を上端線の両端点まで繰り返す
ことを特徴とする請求項1記載の地図図式生成システム。
【請求項9】
前記対象図形が土がけ、雨裂、または急斜面の場合、
前記補助線・内部点生成手段は、前記生成された長ケバまたは短ケバの長さを変更する
ことを特徴とする請求項8記載の地図図式生成システム。
【請求項10】
前記対象図形が岩がけの場合、
前記補助線・内部点生成手段は、前記上端線の両端点の中点である第1の中点座標を取得し、前記中点から前記上端線上で第1の所定距離離れた座標を取得し、前記中点及び前記第1の所定距離離れた点から前記下端線に向けて、前記仮想中心線に垂直かつ第2の所定長さの線分をそれぞれ生成し、前記第1の中点座標と前記第1の所定距離離れた座標との中点である第2の中点座標を取得し、前記第1の中点を上端とする垂線上で前記第1の中点から第3の距離離れた座標、及び前記第1の中点から前記第1の所定長さ離れた点を上端とする垂線上で前記第1の中点より前記第1の所定長さ離れた点から第3の所定長さ離れた座標をそれぞれ取得し、前記第1の中点から前記第3の所定長さ離れた点と前記第1の中点、前記第1の中点から前記第1の所定長さ離れた点から前記第3の所定長さ離れた点と前記第2の中点とを各々結んで線分を生成し、上記一連の処理を前記上端線の両端まで繰り返す
ことを特徴とする請求項1記載の地図図式生成システム。
【請求項11】
前記対象図形がコンクリート被覆、ブロック被覆または石積被覆である場合、
前記補助線・内部点生成手段は、前記仮想中心線から前記上端線及び下端線方向に、前記仮想中心線に平行かつ等間隔にてオフセット線を生成し、前記上端線から前記仮想中心線に対して2つの異なる角度にて交差する平行かつ等間隔な2種類のグリッド線を生成し、前記各グリッド線が交差する座標が前記オフセット線上にある場合にはその座標を取得し、オフセット線上にない場合には前記グリッド線交差座標に最も近いオフセット線上の座標を取得し、前記取得座標に内部点を配置する
ことを特徴とする請求項1記載の地図図式生成システム。
【請求項12】
前記対象図形が法面保護である場合、
前記補助線・内部点生成手段は、前記対象図形のライングループから中心に向けて前記対象図形と相似形なオフセット線を所定間隔にて生成し、前記ライングループ上での頂点間隔が最も長い線分の中点座標を起点として、前記対象図形のライングループ上で最も長い線分に対して2つの異なる角度にて交差する平行かつ等間隔な2種類のグリッド線を生成する
ことを特徴とする請求項1記載の地図図式生成システム。
【請求項13】
前記対象図形が3次元空間上での位置情報を持つ場合、更に、
前記補助線の始点及び終点の高さ情報、又は前記内部点の高さ情報を算出し、補助線又は内部点の座標を補正する高度補正手段を有する
ことを特徴とする請求項1記載の地図図式生成システム。
【請求項14】
地図図面上に地図図式の補助線又は内部点を生成し配置する地図図式生成プログラムであって、
図式分類情報を基に前記地図図式を生成する対象図形を前記地図図面上で特定する対象図形特定手順と、
前記対象図形に仮想中心線を生成する仮想中心線生成手順と、
前記仮想中心線に基づいて補助線又は内部点を生成し配置する補助線・内部点生成手順と
をコンピュータに実行させるための地図図式生成プログラム。
【請求項15】
前記対象図形特定手順は、
前記対象図形を構成するライングループの頂点座標に基づき前記特定された対象図形を分類する
ことを特徴とする請求項14記載の地図図式生成プログラム。
【請求項16】
前記仮想中心線生成手順は、
前記対象図形の上端線及び下端線の始点から終点まで所定間隔で仮想頂点を生成し、前記上端線始点と前記下端線終点が一致する点を1番目の仮想頂点とし、前記1番目の仮想頂点から前記下端線の終点より2番目の仮想頂点に線分を結び、次に前記下端線終点より2番目の仮想頂点から前記上端線始点より2番目の仮想頂点に線分を結び、以後これを繰り返して前記上端線及び前記下端線の仮想頂点間を線分で結び、前記各線分の中点を結ぶことにより仮想中心線を生成する
ことを特徴とする請求項14記載の地図図式生成プログラム。
【請求項17】
前記対象図形が人工斜面又は土堤の場合、
前記補助線・内部点生成手順は、前記上端線上の両端点の中点座標を取得し、前記中点座標から前記下端線に対して前記仮想中心線に垂直に生成した線分として第1長ケバを生成し、前記上端線上で前記中点座標から前記第1長ケバの長さだけ離れた点から前記下端線に対して前記仮想中心線に垂直に生成した線分として第2長ケバを生成し、前記上端線上の中点と、前記第1及び第2長ケバの中点を結んだ線分の中点とを結んだ線分として短ケバを生成し、上記長ケバ及び短ケバ生成処理を上端線の両端点まで繰り返す
ことを特徴とする請求項14記載の地図図式生成プログラム。
【請求項18】
前記対象図形が岩がけの場合、
前記補助線・内部点生成手順は、前記上端線の両端点の中点である第1の中点座標を取得し、前記中点から前記上端線上で第1の所定距離離れた座標を取得し、前記中点及び前記第1の所定距離離れた点から前記下端線に向けて、前記仮想中心線に垂直かつ第2の所定長さの線分をそれぞれ生成し、前記第1の中点座標と前記第1の所定距離離れた座標との中点である第2の中点座標を取得し、前記第1の中点を上端とする垂線上で前記第1の中点から第3の距離離れた座標、及び前記第1の中点から前記第1の所定長さ離れた点を上端とする垂線上で前記第1の中点より前記第1の所定長さ離れた点から第3の所定長さ離れた座標をそれぞれ取得し、前記第1の中点から前記第3の所定長さ離れた点と前記第1の中点、前記第1の中点から前記第1の所定長さ離れた点から前記第3の所定長さ離れた点と前記第2の中点とを各々結んで線分を生成し、上記一連の処理を前記上端線の両端まで繰り返す
ことを特徴とする請求項14記載の地図図式生成プログラム。
【請求項19】
前記対象図形がコンクリート被覆、ブロック被覆または石積被覆である場合、
前記補助線・内部点生成手順は、前記仮想中心線から前記上端線及び下端線方向に、前記仮想中心線に平行かつ等間隔にてオフセット線を生成し、前記上端線から前記仮想中心線に対して2つの異なる角度にて交差する平行かつ等間隔な2種類のグリッド線を生成し、前記各グリッド線が交差する座標が前記オフセット線上にある場合にはその座標を取得し、オフセット線上にない場合には前記グリッド線交差座標に最も近いオフセット線上の座標を取得し、前記取得座標に内部点を配置する
ことを特徴とする請求項14記載の地図図式生成プログラム。
【請求項20】
前記対象図形が法面保護である場合、
前記補助線・内部点生成手順は、前記対象図形のライングループから中心に向けて前記対象図形と相似形なオフセット線を所定間隔にて生成し、前記ライングループ上での頂点間隔が最も長い線分の中点座標を起点として、前記対象図形のライングループ上で最も長い線分に対して2つの異なる角度にて交差する平行かつ等間隔な2種類のグリッド線を生成する
ことを特徴とする請求項14記載の地図図式生成プログラム。
【請求項21】
前記対象図形が3次元空間上での位置情報を持つ場合、
更に、前記補助線の始点及び終点の高さ情報、又は前記内部点の高さ情報を算出し、補助線又は内部点の座標を補正する高度補正手順を有する
ことを特徴とする請求項14記載の地図図式生成プログラム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【公開番号】特開2006−127431(P2006−127431A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−318613(P2004−318613)
【出願日】平成16年11月1日(2004.11.1)
【出願人】(000135771)株式会社パスコ (102)
【Fターム(参考)】