地盤変位測定装置
【課題】孔内傾斜及び地下水位の計測を容易且つ安価に行うことができるとともに、地下水位の上昇と地盤変動との関係について信頼性の高いデータを得ることが出来る地盤変位測定装置を提供する。
【解決手段】地盤に掘削したボーリング孔4に挿入されたケーシングパイプ1内に、ケーシングパイプ1の傾斜角度を測定可能とする傾斜センサーを配置した傾斜センサー配置部2と、ケーシングパイプ1内に浸入した地下水の水位を測定する水位計13及び/又は地下水検層ゾンデを挿入するための地下水流通部3とを、それぞれ個別にケーシングパイプ1の軸方向に形成し、地下水流通部3には、水位計13及び/又は地下水検層ゾンデを交換可能に挿入配置するとともに、ケーシングパイプ1の壁面には、地盤と地下水流通部3との間で地下水の流出入を可能とする複数の流通孔33を、ケーシングパイプ1の軸方向に配置する。
【解決手段】地盤に掘削したボーリング孔4に挿入されたケーシングパイプ1内に、ケーシングパイプ1の傾斜角度を測定可能とする傾斜センサーを配置した傾斜センサー配置部2と、ケーシングパイプ1内に浸入した地下水の水位を測定する水位計13及び/又は地下水検層ゾンデを挿入するための地下水流通部3とを、それぞれ個別にケーシングパイプ1の軸方向に形成し、地下水流通部3には、水位計13及び/又は地下水検層ゾンデを交換可能に挿入配置するとともに、ケーシングパイプ1の壁面には、地盤と地下水流通部3との間で地下水の流出入を可能とする複数の流通孔33を、ケーシングパイプ1の軸方向に配置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地すべりなどによる地盤の変位を測定するための装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−318114
【0004】
従来より、地すべりなどの地盤変位の測定の際には、すべり面位置の把握やすべり面変位量を計測する目的で孔内傾斜計を用いた観測や地下水位の変化を測定することが行われている。そして、上記孔内傾斜計としては、従来より移動型の傾斜計や埋設型の傾斜計が一般的に使用されている。即ち、移動型の傾斜計は、ボーリング孔内に挿入配置したケーシングパイプ内に、傾斜センサーを内蔵したプローブをボーリング孔の底部まで挿入配置し、このプローブを引き上げながら一定距離毎にプローブの傾斜角度を傾斜センサーによって検出し、ガイドパイプの全体的な撓みを測定可能とするものである。また、上記埋設型の傾斜計は、傾斜センサーを内蔵したケースをボーリング孔内に一定距離毎に固定配置し、地盤の変動が生じた場合にボーリング孔の各地点の傾斜を傾斜センサーによって検出可能とするものである。
【0005】
そして、上記の如き埋設型の傾斜計として特許文献1に示す如き傾斜計が公知となっている。特許文献1の傾斜計は、ケーシングパイプの内側に、傾斜センサーを内蔵した複数のケースを一定距離毎に固定配置したものであって、地盤の変動が生じた後のケーシングパイプの傾きを、上記傾斜センサーによって検出することを目的としたものである。また、地下水位の変化を測定する方法は、地盤の変位が地中に流れる地下水の位置やその量によって大きな影響を受けるものであるため、地盤変位を測定する場合には、上記傾斜計による計測の他に地下水位の計測についても行う必要があり、従来より両方法を併用して地盤変位を測定していた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記の如き従来技術の場合には、地下水位の計測を行うために、地下水位の計測のためのボーリング孔と、傾斜計を配置するためのボーリング孔とは、全く別個の位置に形成されていた。そのため、傾斜計を配置するためのボーリング孔の他に地下水位の計測のためのボーリング孔を別途形成する必要があり、ボーリング孔を多数形成しなければならないため地盤変位観測を行う際には多大な労力や費用を必要とするものであった。また、上記の如く従来は孔内傾斜と地下水位の測定とを別々の位置で測定していたため、地盤変動に関する信頼性の高いデータを得ることが困難となっていた。
【0007】
そこで、本発明は上記の如き課題を解決しようとするものであって、孔内傾斜及び地下水位の計測を容易且つ安価に行うことができるとともに、地下水位の上昇と地盤変動との関係について同一のボーリング孔で測定することにより、信頼性の高いデータを得ることが出来る地盤変位測定装置を得ようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上述の如き課題を解決するため、地盤に掘削したボーリング孔にケーシングパイプを挿入し、このケーシングパイプに内に、このケーシングパイプの傾斜角度を測定可能とする傾斜センサーを配置する傾斜センサー配置部と、ケーシングパイプ内に浸入した地下水の水位を測定する水位計及び/又は地下水検層ゾンデを挿入するための地下水流通部とを、それぞれ個別にケーシングパイプの軸方向に形成し、傾斜センサー配置部には、上記傾斜センサーをケーシングパイプに配置するとともに、地下水流通部には、上記水位計及び/又は地下水検層ゾンデを挿入配置し、上記ケーシングパイプに、地盤と上記地下水流通部との間で地下水の流出入を可能とする流通孔を複数個貫通配置したものである。
【0009】
本発明を上記の如く構成することにより、同一孔内において孔内傾斜及び地下水位を測定することが可能となる。そのため、地盤変動が生じた場合には、同じ位置での地下水位及び孔内傾斜を測定することによって、地盤変動の発生理由を地下水位や地盤の傾斜とともに総合的且つ正確に解明することができ、信頼性の高いデータを得ることが可能となる。
【0010】
また、ケーシングパイプの地下水流通部に地下水検層ゾンデを挿入配置することにより、地下水検層を行うことが可能となる。そのため、地下水検層用のボーリング孔を別途設ける必要がないため、地下水検層を容易且つ低コストで行うことができる。また、地盤変動が生じた際には、同じ位置において地下水検層と孔内傾斜とを測定することができるため、地下水の流動位置と地盤の変動位置との関係を正確に把握することができる
【0011】
また、本発明では、地下水流通部内に水位計又は地下水検層ゾンデのいずれかを挿入して水位観測及び地下水検層を個別に行うことができるとともに、地下水流通部内に予め水位計を設置した状態で、この地下水流通部内に地下水検層ゾンデを地下水流通部内に挿入配置し、水位計の計測及び地下水検層を並行して行うことも可能である。但し、上記の如く水位計の計測及び地下水検層を並行して行う場合には、地下水の計測に支障をきたすことのないよう、地下水検層のために地下水流通部内の地下水位を人為的に上昇させることなく、地下水流通部内に予め滞留していた地下水のみを利用して地下水検層を行う必要がある。
【0012】
また、傾斜センサーを配置した傾斜センサー配置部の内部には、予めポッティング材を充填したものであっても良い。これにより、傾斜センサー配置部内の傾斜センサーがポッティングされた状態となるため、この傾斜センサーに水分が接触しにくいものとなり、傾斜センサー配置部内において傾斜センサーを良好な状態に保つことが可能となる。
【0013】
ケーシングパイプは、筒形の外壁と、この外壁の内方に配置した筒形の内壁とを、隔壁を介して一体に形成したものであってもよい。このように、ケーシングパイプの外壁、内壁、及び隔壁を一体形成することにより、ケーシングパイプが軸方向に複数分割されるため、上記外壁、内壁、隔壁によって分割された部分により、傾斜センサー配置部及び地下水流通部を容易に形成することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は上述の如く、一本のケーシングパイプ内に傾斜センサー配置部と地下水流通部とを形成したものであるから、傾斜センサー配置部に傾斜センサーを配置するとともに地下水流通部に水位計を配置することにより、同じ位置で孔内傾斜及び地下水位を測定することができるものである。そのため、地盤変動が生じた場合には、同じ位置での地下水位及び孔内傾斜を測定することによって、地盤変動の発生理由を地下水位や地盤の傾斜とともに総合的且つ正確に解明することができ、信頼性の高いデータを得ることが可能となる。
【0015】
また、上記の如く地下水流通部内に水位計を挿入配置して地下水位の観測を行う以外に
も、地下水流通部内に、水位計に代わって地下水検層ゾンデを挿入配置することにより、
地下水検層を行うことが可能となる。そのため、地下水検層のためにボーリング孔を余分
に設ける必要がなく、地下水検層を簡易且つ低コストで行うことが可能となり、地すべり
対策や地盤変動機構の解明に必要な地下水の流動方向や流動位置などを検出することが容
易となる。また、地盤変動が生じた際には、同じ位置において地下水の流動層と孔内傾斜
とを測定することができることから、地下水の流動位置と地盤の変動位置との関係を正確
に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施例1を示す断面図。
【図2】図1の部分拡大断面図。
【図3】図2のA−A線断面図。
【図4】図2のB−B線断面図。
【図5】実施例1における傾斜センサーの通信システムを示す概念図。
【図6】実施例2を示す部分断面図。
【図7】図6のC−C線断面図。
【図8】図6のD−D線断面図。
【図9】図7のE−E線、及び図12のF−F線展開図。
【図10】実施例3を示す断面図。
【図11】図10の部分拡大断面図。
【図12】図11のG−G線断面図。
【図13】実施例4の断面図。
【図14】実施例5の断面図。
【実施例1】
【0017】
本発明における実施例1を図1〜5において説明すると、図1に示す如く(1)は樹脂材にて形成したケーシングパイプであって、このケーシングパイプ(1)内には、傾斜センサー配置部(2)と地下水流通部(3)とをそれぞれ別個に軸方向に並列配置するとともに、このケーシングパイプ(1)を地盤に掘削したボーリング孔(4)に挿入配置している。以下、本実施例1について詳細に説明すると、まず、上記ケーシングパイプ(1)内に傾斜センサー配置部(2)を形成する際に、ケーシングパイプ(1)の軸方向に長尺な長方形の開口部(5)を形成するとともに、この開口部(5)を閉止可能とした閉止板(6)の内面に、図2に示す如く傾斜センサー(8)を固定配置したL字型のブラケット(10)、及び通信基盤(7)を固定配置する。
【0018】
尚、本実施例の傾斜センサー(8)は2軸加速度センサーであって、5mm四方の平板状に形成したものである。この傾斜センサー(8)は、ポリシリコンのスプリングによってポリシリコン構造をウエハー表面から浮かせた構成となっており、このポリシリコン構造のふれを、独立して固定された電極と可動部に取り付けられた中心電極とからなる差動コンデンサによって測定し、加速度を検出可能とするものである。
【0019】
更に、上記の如く閉止板(6)の内面に固定配置した通信基盤(7)及び傾斜センサー(8)を被覆するカバー部材(11)を、閉止板(6)に固定配置する。そして、通信基盤(7)、傾斜センサー(8)、及びカバー部材(11)を固定配置した閉止板(6)を、図1、2に示す如く、閉止板(6)の内面側がケーシングパイプ(1)の内方に位置するよう、上記ケーシングパイプ(1)の開口部(5)に固定配置し、この開口部(5)を閉止する。
【0020】
上記の如く閉止板(6)を開口部(5)に固定配置することにより、閉止板(6)がケーシング
パイプ(1)の一部分を構成するものとなり、図2、3に示す如く通信基盤(7)、傾斜セン
サー(8)、及びカバー部材(11)は、ケーシングパイプ(1)の内周面に位置するととも
に、このケーシングパイプ(1)をボーリング孔(4)内に挿入配置した際には、傾斜セン
サー(8)が水平方向に位置するものとなる。そして、上記カバー部材(11)とケーシング
パイプ(1)の内周面とで囲まれた部分を、本実施例における傾斜センサー配置部(2)とし
ている。
【0021】
また、上記傾斜センサー配置部(2)内にはポッティング材であるシリコーンゴムを充填し、この傾斜センサー配置部(2)内の傾斜センサー(8)を予めポッティングしている。このように傾斜センサー(8)をポッティングすることにより、傾斜センサー(8)に水分が接触しにくいものとなる。そのため、傾斜センサー(8)を傾斜センサー配置部(2)内において良好な状態に保つことが可能となる。
【0022】
また、図1、5に示す如く、傾斜センサー配置部(2)内に配置した上記通信基盤(7)の上方及び下方には、通信ケーブル(16)の一端をそれぞれ連結している。そして、図1、2に示す如く、各通信ケーブル(16)の他端側を、閉止板(6)を介してケーシングパイプ(1)とボーリング孔(4)との間隔に挿通し、次のケーシングパイプ(1)の閉止板(6)を介して、次のケーシングパイプ(1)に配置した通信基盤(7)にそれぞれ接続している。そして、図5に示す如く、最上段のケーシングパイプ(1)に配置した通信基盤(7)の上方側の通信ケーブル(16)の他端を、地上に配置したデータロガー(17)に接続している。
【0023】
また、ケーシングパイプ(1)内における上記傾斜センサー配置部(2)以外の部分を、本実施例における地下水流通部(3)としている。そして、この地下水流通部(3)を構成するケーシングパイプ(1)の壁面には、図1〜4に示す如く流通孔(33)を軸方向に複数個貫通形成している。そのため、この流通孔(33)を介して地盤と地下水流通部(3)との間で地下水の流出入が可能となる。
【0024】
上記の如く、一本のケーシングパイプ(1)内に傾斜センサー配置部(2)と地下水流通部(3)とを配置したものであるから、傾斜センサー配置部(2)に傾斜センサー(8)を配置するとともに地下水流通部(3)に水位計(13)を配置することにより、同一のボーリング孔(4)内で孔内傾斜及び地下水位を測定することができるものである。従って、地盤変動が生じた場合には、同じ位置での地下水位及び孔内傾斜を測定することができるため、地盤変動の発生理由を、地下水位や地盤の傾斜とともに総合的且つ正確に解明することができ、信頼性の高いデータを得ることが可能となる。
【0025】
また、上記の如く形成したケーシングパイプ(1)の外周には、図2に示す如くフィルター(19)を巻き付けて装着している。このようにケーシングパイプ(1)にフィルター(19)を装着することにより、流通孔(33)がフィルター(19)によって被覆されるものとなるため、地中の土や石などの固形物が地下水とともに流通孔(33)を介してケーシングパイプ(1)内に流入するのを防ぐことができる。よって、流通孔(33)を介して地下水のみを地下水流通部(3)内に流入させることが出来るため、地下水流通部(3)内における水位観測を円滑に行うことができる。
【0026】
また、図2に示す如く、上記の如くフィルター(19)を装着したケーシングパイプ(1)の上端及び下端には、それぞれ嵌合突部(38)及び嵌合凹部(40)を形成し、この嵌合突部(38)及び嵌合凹部(40)を、隣接するケーシングパイプ(1)の嵌合凹部(40)及び嵌合突部(38)にそれぞれ嵌合することにより、図1に示す如く複数のケーシングパイプ(1)を軸方向に接続固定している。
【0027】
そして、上記地下水流通部(3)には、フロート式水位計(13)のフロート(14)を挿入配置している。このフロート式水位計(13)は、ワイヤー(15)の一端に、地下水に浮かべるフロート(14)を接続するとともに、他端に滑車(図示せず)を介して重り(図示せず)を接続したものである。そして、地下水位の上下動に伴うフロート(14)の上下動を、滑車に連結したドラム(図示せず)の記録用紙にグラフとして記録可能としたものであって、これにより地下水流通部(3)内の地下水位を観測することができるものである。
【0028】
上記の如く構成したものにおいて、例えば、地盤変位測定装置を配置した地盤において地すべりが生じた場合には、この地すべりによってボーリング孔(4)内のケーシングパイプ(1)が傾斜する。そして、このケーシングパイプ(1)の傾斜をケーシングパイプ(1)内に配置した傾斜センサー(8)が定期的にデータを計測してX・Y軸加速度が計測され、更にこのX・Y軸加速度が傾斜角に変換される。そして、図5に示す如く、上記の如く各傾斜センサー(8)により検出された傾斜角が、通信基盤(7)及び通信ケーブル(16)を介してデータロガー(17)に伝達される。
【0029】
そして、このデータロガー(17)で検出された傾斜角のデータがデータロガー(17)に内蔵したメモリーに蓄積され、蓄積されたデータは最終的にデータ収集用パソコン(18)に送信され、保存される。また、例えばこの地すべりの発生時にケーシングパイプ(1)の流通孔(33)から地下水流通部(3)に地下水が流入した場合には、地下水流通部(3)内の地下水位が上昇するとともに、この地下水位の上昇に伴ってフロート(14)が上昇し、このフロート(14)の上昇がドラムの記録用紙に記録されるものとなり、地下水位の上昇を観測することができる。
【0030】
また、上記では地下水流通部(3)内に水位計(13)を挿入配置して地下水流通部(3)内の地下水位の観測について説明したが、水位計(13)に代わって地下水流通部(3)内に地下水検層ゾンデ(34)を挿入配置することにより、必要に応じて地下水検層を行うことも可能である。この地下水検層について以下に説明すると、まず、地下水流通部(3)内に予め一定濃度の電解質溶液を収納しておく。そして、その後に地中から流通孔(33)を介して上記地下水流通部(3)内に地下水が流入した場合には、この地下水の流入により、地下水流通部(3)内の地下水の電解質濃度が地下水流通部(3)のある位置において希釈されるものとなる。
【0031】
そのため、ケーシングパイプ(1)の軸方向に形成した複数の流通孔(33)のうち、いずれかの深度における流通孔(33)から地下水が流入するものとなるため、上記電解質溶液の収納後、直ちに地下水検層ゾンデ(34)を地下水流通部(3)内に挿入して地下水流通部(3)内を上下方向に移動させることにより、地下水流通部(3)内の地下水の複数の深度において地下水の電気抵抗を測定する。
【0032】
そして、上記の如く地下水検層ゾンデ(34)によって測定されたデータは、この地下水検層ゾンデ(34)とケーブル(35)を介して接続した地上の地下水検層測定器(36)に送信され、この地下水検層測定器(36)において、各深度での地下水の電気抵抗のデータが蓄積される。そして、このデータから各深度での電解質濃度の希釈状態を割り出して、希釈の程度が大きい位置を地下水流動位置と判断するものである。
【0033】
上記の如く、地下水流通部(3)内に地下水検層ゾンデ(34)を挿入することにより、この地下水検層ゾンデ(34)と傾斜センサー配置部(2)に配置した傾斜センサー(8)とにより、同じボーリング孔(4)内で孔内傾斜及び地下水検層を測定することができるものである。従って、地下水の流動位置と地盤の変動位置との関係を正確に把握することができ、地盤変動に関するデータをより正確なものとすることができる。
【0034】
尚、地下水検層終了後、地下水流通部(3)内の電解質溶液は流通孔(33)やケーシングパイプ(1)の底部から自然に排出されるものとなる。そのため、電解質溶液の排出後、地下水検層ゾンデ(34)に代わって再び地下水流通部(3)内に水位計(13)を挿入配置することにより、地下水流通部(3)内の水位観測を再開することができる。
【実施例2】
【0035】
上記実施例1では、ケーシングパイプ(1)の内周面に固定配置した傾斜センサー(8)をカ
バー部材(11)で被覆し、このカバー部材(11)とケーシングパイプ(1)の内周面とで囲
まれた部分を傾斜センサー配置部(2)としているが、本実施例2では、ケーシングパイプ
(1)の外壁(29)の内方に、内壁(20)及び複数の隔壁(21)を一体形成し、この内壁
(20)、隔壁(21)、及び外壁(29)の内周面とで囲まれた部分を傾斜センサー配置部
(2)とするとともに、内壁(20)内を地下水流通部(3)としている。このように、本実施
例ではケーシングパイプ(1)の外壁(29)、内壁(20)、及び隔壁(21)を一体形成して
いるため、傾斜センサー配置部(2)及び地下水流通部(3)を容易に形成することができる
ものである。
【0036】
本実施例2を図6〜9において以下に説明すると、ケーシングパイプ(1)内には、図7に示す如くケーシングパイプ(1)の外壁(29)の内周面から一定間隔を介した内方に円筒状の内壁(20)を設けている。そして、この内壁(20)と外壁(29)との間に、6本隔壁(21)を放射方向に配置することにより、内壁(20)の外周面と外壁(29)の内周面とで形成される空間を円周方向に6分割し、6個の分割室(22)を設けている。
【0037】
そして、本実施例では上記6個の分割室(22)のうちの一つの分割室(22)に、傾斜センサー配置部(2)を設けている。本実施例における傾斜センサー配置部(2)について説明すると、まず上記実施例1と同様にケーシングパイプ(1)に開口部(5)を形成する。そして、この開口部(5)において露出した内壁(20)の外周面に、図6に示す如く傾斜センサー(8)を固定配置したブラケット(10)及び通信基盤(7)を、ケーシングパイプ(1)の軸方向に固定配置する。そして、上記の如く内壁(20)に固定配置した通信基盤(7)及び傾斜センサー(8)の上方及び下方には、図6に示す如く、内壁(20)の外周面と外壁(29)の内周面との間に、ケーシングパイプ(1)の軸方向とは垂直方向に一対の仕切板(23)をそれぞれ固定配置している。
【0038】
尚、この一対の仕切板(23)と、内壁(20)の外周面とで囲まれた部分には、ポッティング材が満たされており、更にケーシングパイプ(1)の開口部(5)を閉止板(6)にて閉止している。尚、閉止板(6)はケーシングパイプ(1)の外壁(29)の一部を構成するものである。これにより、図6、7に示す如く、内壁(20)の外周面、一対の隔壁(21)、外壁(29)の内周面、及び一対の仕切板(23)とで囲まれる部分により、本実施例の傾斜センサー配置部(2)が形成されるとともに、この傾斜センサー配置部(2)内にポッティング材が充填した状態となっている。
【0039】
また、上記実施例1では、ケーシングパイプ(1)内の傾斜センサー配置部(2)以外の部分を地下水流通部(3)としているが、本実施例では、上記内壁(20)の内周側を地下水流通部(3)としている。
【0040】
また、上記実施例1では、図1に示す如く傾斜センサー(8)に接続した通信ケーブル(16)を、ボーリング孔(4)とケーシングパイプ(1)との間隔に挿通しているが、本実施例では図7に示す如く、傾斜センサー配置部(2)に隣接する分割室(22)を通信ケーブル配置部(24)とし、この通信ケーブル配置部(24)に、傾斜センサー(8)に接続した通信ケーブル(16)を挿通配置している。
【0041】
即ち、図9に示す如く、通信ケーブル(16)の一端側を傾斜センサー(8)に接続するとともにこの通信ケーブル(16)の他端側を、傾斜センサー配置部(2)と通信ケーブル配置部(24)との間の隔壁(21)に形成した挿通孔(25)を介して通信ケーブル配置部(24)内に挿通配置している。そして、この通信ケーブル配置部(24)内から、更に次の傾斜センサー配置部(2)との間の隔壁(21)に形成した挿通孔(25)を介して、次の傾斜センサー配置部(2)内の傾斜センサー(8)に接続している。尚、傾斜センサー配置部(2)内の気密性を保持するとともに、通信ケーブル(16)が層通孔のエッジとの接触によって破損する等の事態を防ぐため、挿通孔(25)と通信ケーブル(16)との間に軟弾性のシーリング材(26)を充填し、層通孔を密閉している。
【0042】
上記の如く、シーリング材(26)を介して挿通孔(25)に通信ケーブル(16)を挿通し、通信ケーブル配置部(24)と接続することにより、通信ケーブル(16)に上方へのテンションがかかった場合でも、この挿通孔(25)に上記テンションによる力が第一に伝わるものとなる。従って、通信ケーブル(16)と傾斜センサー(8)との接続部分には上記テンションが緩和されて、傾斜センサー(8)と通信ケーブル(16)との接続部分が損傷しにくいものとなり、長期間の安定した使用を可能とする。
【0043】
また、図6〜8に示す如く、傾斜センサー配置部(2)以外の分割室(22)の内壁(20)及び外壁(29)には、流通孔(33)をケーシングパイプ(1)の軸方向に複数個貫通形成している。このように流通孔(33)を貫通形成することにより、この流通孔(33)を介して地盤と地下水流通部(3)との間で地下水の流出入が可能となる。そして、上記実施例1と同様に、上記の如く形成したケーシングパイプ(1)の外周にフィルター(19)を被覆するとともに、各ケーシングパイプ(1)の上端及び下端に形成した嵌合突部(38)及び嵌合凹部(40)をそれぞれ他のケーシングパイプ(1)に形成した嵌合凹部(40)及び嵌合突部(38)に嵌合することにより、ケーシングパイプ(1)を複数本接続している。
【0044】
また、上記実施例1では、地下水流通部(3)内にフロート式水位計(13)のフロート(14)を挿入配置しているが、本実施例2では地下水流通部(3)に水圧式水位計(27)のプローブ(28)を挿入配置している。即ち、図6に示す如く、ケーシングパイプ(1)の底部付近に水位計(27)のプローブ(28)を挿入配置するとともに、このプローブ(28)の上端に接続したケーブル(30)を、地下水流通部(3)を介して外方に挿通し、地上に設置した水位計(27)用のデータロガー(31)に接続している。
【0045】
そして、上記プローブ(28)の下端側には、地下水を内部に導入可能とする導水孔(32)を設けるとともに、このプローブ(28)内に、上記導水孔(32)よりも上方に受圧部(図示せず)を設けている。そして、上記導水孔(32)からプローブ(28)内に流入した地下水の水圧を上記受圧部にて感知することにより、地下水流通部(3)内の地下水位を測定可能としている。
【0046】
このように、一本のケーシングパイプ(1)内に傾斜センサー配置部(2)と地下水流通部(3)とを配置したものであるから、傾斜センサー配置部(2)に配置した傾斜センサー(8)と地下水流通部(3)に配置した水位計(27)により、同一のボーリング孔(4)内で孔内傾斜及び地下水位を測定することができるものである。従って、地盤変動が生じた場合には、同じ位置での地下水位及び孔内傾斜を測定することができるため、地盤変動の発生理由を、地下水位や地盤の傾斜とともに総合的且つ正確に解明することができ、信頼性の高いデータを得ることが可能となる。
【0047】
また、上記実施例1と同様に、本実施例でも水位計(27)に代わって地下水流通部(3)内に地下水検層ゾンデ(34)を挿入配置することにより、必要に応じて地下水検層を行うことができるものである。そのため、この地下水検層ゾンデ(34)と傾斜センサー配置部(2)に配置した傾斜センサー(8)とにより、同じボーリング孔(4)内で孔内傾斜及び地下水検層を測定することができることから、地下水の流動位置と地盤の変動位置との関係を正確に把握することが可能となる。
【0048】
また、上記では地下水流通部(3)内に、水位計(27)又は地下水検層ゾンデ(34)のいずれかを挿入配置した場合について説明したが、地下水流通部(3)内に水位計(27)を挿入配置した状態で、この地下水流通部(3)内に地下水検層ゾンデ(34)を挿入配置することにより、水位観測と地下水検層とを並行して行うことも可能である。地下水観測と地下水検層とを並行して行う場合について説明すると、まず、予め地下水流通部(3)内に上記の如く水圧式の水位計(27)を挿入配置しておく。
【0049】
そして、上記地下水流通部(3)内に既に滞留している地下水に電解質を投入して所定の電解質濃度とした直後に、この地下水流通部(3)内に地下水検層ゾンデ(34)を挿入配置して地下水検層を行う。この地下水検層時には、既に滞留した地下水のみを使用していることから、地下水の水位に大きな変動が生じる虞がないものである。従って、水位観測と同時に地下水検層を行った場合でも、継続的な水位観測に支障をきたすおそれは殆どなく、地下水検層と水位観測とを並行して円滑に行うことができる。
【実施例3】
【0050】
また、上記実施例2では図7に示す如く、ケーシングパイプ(1)の外壁(29)と内壁(20)との間に全周にわたって間隔を設けているが、本実施例3では、図12に示す如く筒型の内壁(20)を、ケーシングパイプ(1)の外壁(29)の内周一側に一体に成形している。このように、ケーシングパイプ(1)の外壁(29)と内壁(20)とを一体に形成することにより、外壁(29)と内壁(20)とが一体となった部分に流通孔(33)を形成する場合に、外壁(29)及び内壁(20)のそれぞれに流通孔(33)を形成する必要がないため、流通孔(33)を形成する手間を少なくすることができる。
【0051】
本実施例3を図10〜12において説明すると、上記内壁(20)の外周面と外壁(29)の内周面との間に、放射方向に4本の隔壁(21)を配置することにより、図12に示す如く内壁(20)の外周面と外壁(29)の内周面とで形成される空間を円周方向に5分割し、5個の分割室(22)を設けている。そして、上記の如く5分割した分割室(22)のうちの一つの分割室(22)内に傾斜センサー配置部(2)を設けている。この傾斜センサー配置部(2)について以下に説明すると、まずケーシングパイプ(1)に、軸方向に長尺な長方形の開口部(5)を形成する。
【0052】
そして、この開口部(5)から露出した内壁(20)の外周面に、通信基盤(7)及び傾斜センサー(8)を固定配置したブラケット(10)を、図10、11に示す如くケーシングパイプ(1)の軸方向に固定配置する。そして、上記の如く内壁(20)に固定配置した通信基盤(7)及び傾斜センサー(8)の上方及び下方には、内壁(20)の外周面と外壁(29)の内周面との間に、ケーシングパイプ(1)の軸方向とは垂直方向に一対の仕切板(23)をそれぞれ固定配置している。
【0053】
そして、この一対の仕切板(23)と内壁(20)の外周面とで囲まれた部分にはポッティング材が充填されており、この状態においてケーシングパイプ(1)の開口部(5)を閉止板(6)にて閉止している。尚、上記閉止板(6)はケーシングパイプ(1)の一部を構成するものである。これにより、図11、12に示す如く、上記内壁(20)の外周面、一対の隔壁(21)、外壁(29)の内周面、及び一対の仕切板(23)とで囲まれる部分を、本実施例における傾斜センサー配置部(2)とするとともに、ケーシングパイプ(1)をボーリング孔(4)内に挿入配置することにより、傾斜センサー(8)が水平方向に位置するものとなる。
【0054】
更に、この傾斜センサー配置部(2)内にポッティング材が充填された状態となるため、こ
れにより、傾斜センサー配置部(2)内の傾斜センサー(8)がポッティングされる。よっ
て、傾斜センサー(8)に水分が接触しにくいものとなり、傾斜センサー(8)を傾斜セン
サー配置部(2)内において良好な状態に保つことが可能となる。また、上記内壁(20)の
内周側を、本実施例における地下水流通部(3)としている。また、図12に示す如く、上
記傾斜センサー配置部(2)に隣接する分割室(22)を通信ケーブル配置部(24)とし、こ
の通信ケーブル配置部(24)に、上記実施例2と同様に、図9に示す如く傾斜センサー
(8)に接続した通信ケーブル(16)を挿通配置している。
【0055】
また、上記ケーシングパイプ(1)には、図12に示す如く外壁(29)と内壁(20)とが一体となった部分、及び、傾斜センサー配置部(2)以外の分割室(22)の外壁(29)、内壁(20)に、それぞれケーシングパイプ(1)の外周面から内壁(20)の内周面まで流通孔(33)を貫通形成するとともに、この流通孔(33)を、図10、11に示す如くケーシングパイプ(1)の軸方向に複数箇所形成している。
【0056】
上記の如く流通孔(33)を形成することにより、この流通孔(33)を介して地盤と地下水流通部(3)との間で地下水の流出入が可能となる。そして、上記実施例1と同様に、上記の如く形成したケーシングパイプ(1)の外周にフィルター(19)を被覆するとともに、各ケーシングパイプ(1)の上端及び下端に形成した嵌合突部(38)及び嵌合凹部(40)をそれぞれ他のケーシングパイプ(1)に形成した嵌合凹部(40)及び嵌合突部(38)に嵌合することにより、ケーシングパイプ(1)を複数本接続している。
【0057】
そして、上記実施例1、2と同様に、上記の如く形成した地下水流通部(3)に水位計(13)を挿入配置することにより、地下水流通部(3)内の水位を観測することができるとともに、図10に示す如く、水位計(13)に代わって地下水検層ゾンデ(34)を挿入配置することにより、必要に応じて地下水検層を行うことができる。そのため、地盤変動が生じた場合には、同じ位置での地下水位及び孔内傾斜を測定することができるため、地盤変動の発生理由を、地下水位や地盤の傾斜とともに総合的且つ正確に解明することができるとともに、同じボーリング孔(4)内で孔内傾斜及び地下水検層を測定することができることから、地下水の流動位置と地盤の変動位置との関係を正確に把握することが可能となり、信頼性の高いデータを得ることが可能となる。
【実施例4】
【0058】
また、上記実施例1〜3では、断面円形のケーシングパイプ(1)を使用しているが、本実施例4では、図13に示す如く断面正方形のケーシングパイプ(1)を使用している。このように断面正方形のケーシングパイプ(1)を使用することにより、図13に示す如く閉止板(6)を平板状とすることが出来る。そのため、上記実施例1〜3では、閉止板(6)をケーシングパイプ(1)に接着材にて接続固定しているが、本実施例では閉止板(6)をケーシングパイプ(1)にボルト留めすることが可能となることから、閉止板(6)のケーシングパイプ(1)への固定を確実なものとすることができる。
【0059】
そして、このケーシングパイプ(1)の外壁(29)内に、この外壁(29)の内周面とは一定間隔を介して断面正方形の内壁(20)を設けている。そして、この内壁(20)とケーシングパイプ(1)との間に形成された空間に隔壁(21)を配置することにより、この空間を4分割して4個の分割室(22)を設けている。そして、このうちの1個の分割室(22)を本実施例における傾斜センサー配置部(2)とするとともに、上記内壁(20)内を地下水流通部(3)としている。
【0060】
尚、上記傾斜センサー配置部(2)内にはポッティング材を充填し、傾斜センサー(8)をポッティングしている。また、図13に示す如く上記傾斜センサー配置部(2)の両側に位置する分割室(22)を通信ケーブル配置部(24)とし、それぞれ通信ケーブル(16)を挿通配置している。また、上記傾斜センサー配置部(2)内への傾斜センサー(8)の配置方法については、上記実施例2と同様である。また、上記傾斜センサー配置部(2)以外の分割室(22)を構成する外壁(29)及び内壁(20)には、それぞれ流通孔(33)を貫通形成している。
【0061】
そして、上記実施例1と同様に、上記の如く形成したケーシングパイプ(1)の外周にフィルター(19)を被覆するとともに、各ケーシングパイプ(1)の上端及び下端に形成した嵌合突部(38)及び嵌合凹部(40)をそれぞれ他のケーシングパイプ(1)に形成した嵌合凹部(40)及び嵌合突部(38)に嵌合することにより、ケーシングパイプ(1)を複数本接続している。そして、上記地下水流通部(3)内には、フロート式水位計(13)のフロート(14)を挿入配置しており、地下水検層を行う場合には、このフロート(14)を取り出して地下水検層ゾンデ(34)を挿入配置することができる。
【実施例5】
【0062】
また、上記実施例1〜3では、断面円形の、また、上記実施例4では、断面正方形のケーシングパイプ(1)を使用しているが、本実施例5では、図14に示す如く断面半円形のケーシングパイプ(1)を使用している。このように断面半円形のケーシングパイプ(1)を使用することにより、断面円形のボーリング孔(4)を形成した場合において、このボーリング孔(4)内の軸方向一側に、本実施例の断面半円形のケーシングパイプ(1)を挿入配置するとともに、他側形成された断面半円形の空間に別の計測器等を挿入配置することが可能となる。そのため、ボーリング孔(4)内の空間を効率よく活用することが可能となる。
【0063】
そして、このケーシングパイプ(1)内の一側に断面円形の地下水流通部(3)を形成するとともに、他側には断面扇形の傾斜センサー配置部(2)及び断面略長方形の通信ケーブル配置部(24)を形成している。尚、上記傾斜センサー配置部(2)内にはポッティング材を充填し、傾斜センサー(8)をポッティングしている。そして、上記実施例2と同様に傾斜センサー配置部(2)内に傾斜センサー(8)を配置するとともに、上記通信ケーブル配置部(24)内に通信ケーブル(16)を挿通配置している。
【0064】
また、上記の如く形成した地下水流通部(3)側のケーシングパイプ(1)の壁面には、図14に示す如く流通孔(33)を貫通形成している。そして、上記実施例1と同様に、上記の如く形成したケーシングパイプ(1)の外周にフィルター(19)を被覆するとともに、各ケーシングパイプ(1)の上端及び下端に形成した嵌合突部(38)及び嵌合凹部(40)をそれぞれ他のケーシングパイプ(1)に形成した嵌合凹部(40)及び嵌合突部(38)に嵌合することにより、ケーシングパイプ(1)を複数本接続している。そして、上記地下水流通部(3)内には、フロート式水位計(13)のフロート(14)を挿入配置しており、地下水検層を行う場合には、このフロート(14)を取り出して地下水検層ゾンデ(34)を挿入配置することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 ケーシングパイプ
2 傾斜センサー配置部
3 地下水流通部
4 ボーリング孔
8 傾斜センサー
13、27 水位計
20 内壁
21 隔壁
29 外壁
33 流通孔
34 地下水検層ゾンデ
【技術分野】
【0001】
本発明は、地すべりなどによる地盤の変位を測定するための装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−318114
【0004】
従来より、地すべりなどの地盤変位の測定の際には、すべり面位置の把握やすべり面変位量を計測する目的で孔内傾斜計を用いた観測や地下水位の変化を測定することが行われている。そして、上記孔内傾斜計としては、従来より移動型の傾斜計や埋設型の傾斜計が一般的に使用されている。即ち、移動型の傾斜計は、ボーリング孔内に挿入配置したケーシングパイプ内に、傾斜センサーを内蔵したプローブをボーリング孔の底部まで挿入配置し、このプローブを引き上げながら一定距離毎にプローブの傾斜角度を傾斜センサーによって検出し、ガイドパイプの全体的な撓みを測定可能とするものである。また、上記埋設型の傾斜計は、傾斜センサーを内蔵したケースをボーリング孔内に一定距離毎に固定配置し、地盤の変動が生じた場合にボーリング孔の各地点の傾斜を傾斜センサーによって検出可能とするものである。
【0005】
そして、上記の如き埋設型の傾斜計として特許文献1に示す如き傾斜計が公知となっている。特許文献1の傾斜計は、ケーシングパイプの内側に、傾斜センサーを内蔵した複数のケースを一定距離毎に固定配置したものであって、地盤の変動が生じた後のケーシングパイプの傾きを、上記傾斜センサーによって検出することを目的としたものである。また、地下水位の変化を測定する方法は、地盤の変位が地中に流れる地下水の位置やその量によって大きな影響を受けるものであるため、地盤変位を測定する場合には、上記傾斜計による計測の他に地下水位の計測についても行う必要があり、従来より両方法を併用して地盤変位を測定していた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記の如き従来技術の場合には、地下水位の計測を行うために、地下水位の計測のためのボーリング孔と、傾斜計を配置するためのボーリング孔とは、全く別個の位置に形成されていた。そのため、傾斜計を配置するためのボーリング孔の他に地下水位の計測のためのボーリング孔を別途形成する必要があり、ボーリング孔を多数形成しなければならないため地盤変位観測を行う際には多大な労力や費用を必要とするものであった。また、上記の如く従来は孔内傾斜と地下水位の測定とを別々の位置で測定していたため、地盤変動に関する信頼性の高いデータを得ることが困難となっていた。
【0007】
そこで、本発明は上記の如き課題を解決しようとするものであって、孔内傾斜及び地下水位の計測を容易且つ安価に行うことができるとともに、地下水位の上昇と地盤変動との関係について同一のボーリング孔で測定することにより、信頼性の高いデータを得ることが出来る地盤変位測定装置を得ようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上述の如き課題を解決するため、地盤に掘削したボーリング孔にケーシングパイプを挿入し、このケーシングパイプに内に、このケーシングパイプの傾斜角度を測定可能とする傾斜センサーを配置する傾斜センサー配置部と、ケーシングパイプ内に浸入した地下水の水位を測定する水位計及び/又は地下水検層ゾンデを挿入するための地下水流通部とを、それぞれ個別にケーシングパイプの軸方向に形成し、傾斜センサー配置部には、上記傾斜センサーをケーシングパイプに配置するとともに、地下水流通部には、上記水位計及び/又は地下水検層ゾンデを挿入配置し、上記ケーシングパイプに、地盤と上記地下水流通部との間で地下水の流出入を可能とする流通孔を複数個貫通配置したものである。
【0009】
本発明を上記の如く構成することにより、同一孔内において孔内傾斜及び地下水位を測定することが可能となる。そのため、地盤変動が生じた場合には、同じ位置での地下水位及び孔内傾斜を測定することによって、地盤変動の発生理由を地下水位や地盤の傾斜とともに総合的且つ正確に解明することができ、信頼性の高いデータを得ることが可能となる。
【0010】
また、ケーシングパイプの地下水流通部に地下水検層ゾンデを挿入配置することにより、地下水検層を行うことが可能となる。そのため、地下水検層用のボーリング孔を別途設ける必要がないため、地下水検層を容易且つ低コストで行うことができる。また、地盤変動が生じた際には、同じ位置において地下水検層と孔内傾斜とを測定することができるため、地下水の流動位置と地盤の変動位置との関係を正確に把握することができる
【0011】
また、本発明では、地下水流通部内に水位計又は地下水検層ゾンデのいずれかを挿入して水位観測及び地下水検層を個別に行うことができるとともに、地下水流通部内に予め水位計を設置した状態で、この地下水流通部内に地下水検層ゾンデを地下水流通部内に挿入配置し、水位計の計測及び地下水検層を並行して行うことも可能である。但し、上記の如く水位計の計測及び地下水検層を並行して行う場合には、地下水の計測に支障をきたすことのないよう、地下水検層のために地下水流通部内の地下水位を人為的に上昇させることなく、地下水流通部内に予め滞留していた地下水のみを利用して地下水検層を行う必要がある。
【0012】
また、傾斜センサーを配置した傾斜センサー配置部の内部には、予めポッティング材を充填したものであっても良い。これにより、傾斜センサー配置部内の傾斜センサーがポッティングされた状態となるため、この傾斜センサーに水分が接触しにくいものとなり、傾斜センサー配置部内において傾斜センサーを良好な状態に保つことが可能となる。
【0013】
ケーシングパイプは、筒形の外壁と、この外壁の内方に配置した筒形の内壁とを、隔壁を介して一体に形成したものであってもよい。このように、ケーシングパイプの外壁、内壁、及び隔壁を一体形成することにより、ケーシングパイプが軸方向に複数分割されるため、上記外壁、内壁、隔壁によって分割された部分により、傾斜センサー配置部及び地下水流通部を容易に形成することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は上述の如く、一本のケーシングパイプ内に傾斜センサー配置部と地下水流通部とを形成したものであるから、傾斜センサー配置部に傾斜センサーを配置するとともに地下水流通部に水位計を配置することにより、同じ位置で孔内傾斜及び地下水位を測定することができるものである。そのため、地盤変動が生じた場合には、同じ位置での地下水位及び孔内傾斜を測定することによって、地盤変動の発生理由を地下水位や地盤の傾斜とともに総合的且つ正確に解明することができ、信頼性の高いデータを得ることが可能となる。
【0015】
また、上記の如く地下水流通部内に水位計を挿入配置して地下水位の観測を行う以外に
も、地下水流通部内に、水位計に代わって地下水検層ゾンデを挿入配置することにより、
地下水検層を行うことが可能となる。そのため、地下水検層のためにボーリング孔を余分
に設ける必要がなく、地下水検層を簡易且つ低コストで行うことが可能となり、地すべり
対策や地盤変動機構の解明に必要な地下水の流動方向や流動位置などを検出することが容
易となる。また、地盤変動が生じた際には、同じ位置において地下水の流動層と孔内傾斜
とを測定することができることから、地下水の流動位置と地盤の変動位置との関係を正確
に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施例1を示す断面図。
【図2】図1の部分拡大断面図。
【図3】図2のA−A線断面図。
【図4】図2のB−B線断面図。
【図5】実施例1における傾斜センサーの通信システムを示す概念図。
【図6】実施例2を示す部分断面図。
【図7】図6のC−C線断面図。
【図8】図6のD−D線断面図。
【図9】図7のE−E線、及び図12のF−F線展開図。
【図10】実施例3を示す断面図。
【図11】図10の部分拡大断面図。
【図12】図11のG−G線断面図。
【図13】実施例4の断面図。
【図14】実施例5の断面図。
【実施例1】
【0017】
本発明における実施例1を図1〜5において説明すると、図1に示す如く(1)は樹脂材にて形成したケーシングパイプであって、このケーシングパイプ(1)内には、傾斜センサー配置部(2)と地下水流通部(3)とをそれぞれ別個に軸方向に並列配置するとともに、このケーシングパイプ(1)を地盤に掘削したボーリング孔(4)に挿入配置している。以下、本実施例1について詳細に説明すると、まず、上記ケーシングパイプ(1)内に傾斜センサー配置部(2)を形成する際に、ケーシングパイプ(1)の軸方向に長尺な長方形の開口部(5)を形成するとともに、この開口部(5)を閉止可能とした閉止板(6)の内面に、図2に示す如く傾斜センサー(8)を固定配置したL字型のブラケット(10)、及び通信基盤(7)を固定配置する。
【0018】
尚、本実施例の傾斜センサー(8)は2軸加速度センサーであって、5mm四方の平板状に形成したものである。この傾斜センサー(8)は、ポリシリコンのスプリングによってポリシリコン構造をウエハー表面から浮かせた構成となっており、このポリシリコン構造のふれを、独立して固定された電極と可動部に取り付けられた中心電極とからなる差動コンデンサによって測定し、加速度を検出可能とするものである。
【0019】
更に、上記の如く閉止板(6)の内面に固定配置した通信基盤(7)及び傾斜センサー(8)を被覆するカバー部材(11)を、閉止板(6)に固定配置する。そして、通信基盤(7)、傾斜センサー(8)、及びカバー部材(11)を固定配置した閉止板(6)を、図1、2に示す如く、閉止板(6)の内面側がケーシングパイプ(1)の内方に位置するよう、上記ケーシングパイプ(1)の開口部(5)に固定配置し、この開口部(5)を閉止する。
【0020】
上記の如く閉止板(6)を開口部(5)に固定配置することにより、閉止板(6)がケーシング
パイプ(1)の一部分を構成するものとなり、図2、3に示す如く通信基盤(7)、傾斜セン
サー(8)、及びカバー部材(11)は、ケーシングパイプ(1)の内周面に位置するととも
に、このケーシングパイプ(1)をボーリング孔(4)内に挿入配置した際には、傾斜セン
サー(8)が水平方向に位置するものとなる。そして、上記カバー部材(11)とケーシング
パイプ(1)の内周面とで囲まれた部分を、本実施例における傾斜センサー配置部(2)とし
ている。
【0021】
また、上記傾斜センサー配置部(2)内にはポッティング材であるシリコーンゴムを充填し、この傾斜センサー配置部(2)内の傾斜センサー(8)を予めポッティングしている。このように傾斜センサー(8)をポッティングすることにより、傾斜センサー(8)に水分が接触しにくいものとなる。そのため、傾斜センサー(8)を傾斜センサー配置部(2)内において良好な状態に保つことが可能となる。
【0022】
また、図1、5に示す如く、傾斜センサー配置部(2)内に配置した上記通信基盤(7)の上方及び下方には、通信ケーブル(16)の一端をそれぞれ連結している。そして、図1、2に示す如く、各通信ケーブル(16)の他端側を、閉止板(6)を介してケーシングパイプ(1)とボーリング孔(4)との間隔に挿通し、次のケーシングパイプ(1)の閉止板(6)を介して、次のケーシングパイプ(1)に配置した通信基盤(7)にそれぞれ接続している。そして、図5に示す如く、最上段のケーシングパイプ(1)に配置した通信基盤(7)の上方側の通信ケーブル(16)の他端を、地上に配置したデータロガー(17)に接続している。
【0023】
また、ケーシングパイプ(1)内における上記傾斜センサー配置部(2)以外の部分を、本実施例における地下水流通部(3)としている。そして、この地下水流通部(3)を構成するケーシングパイプ(1)の壁面には、図1〜4に示す如く流通孔(33)を軸方向に複数個貫通形成している。そのため、この流通孔(33)を介して地盤と地下水流通部(3)との間で地下水の流出入が可能となる。
【0024】
上記の如く、一本のケーシングパイプ(1)内に傾斜センサー配置部(2)と地下水流通部(3)とを配置したものであるから、傾斜センサー配置部(2)に傾斜センサー(8)を配置するとともに地下水流通部(3)に水位計(13)を配置することにより、同一のボーリング孔(4)内で孔内傾斜及び地下水位を測定することができるものである。従って、地盤変動が生じた場合には、同じ位置での地下水位及び孔内傾斜を測定することができるため、地盤変動の発生理由を、地下水位や地盤の傾斜とともに総合的且つ正確に解明することができ、信頼性の高いデータを得ることが可能となる。
【0025】
また、上記の如く形成したケーシングパイプ(1)の外周には、図2に示す如くフィルター(19)を巻き付けて装着している。このようにケーシングパイプ(1)にフィルター(19)を装着することにより、流通孔(33)がフィルター(19)によって被覆されるものとなるため、地中の土や石などの固形物が地下水とともに流通孔(33)を介してケーシングパイプ(1)内に流入するのを防ぐことができる。よって、流通孔(33)を介して地下水のみを地下水流通部(3)内に流入させることが出来るため、地下水流通部(3)内における水位観測を円滑に行うことができる。
【0026】
また、図2に示す如く、上記の如くフィルター(19)を装着したケーシングパイプ(1)の上端及び下端には、それぞれ嵌合突部(38)及び嵌合凹部(40)を形成し、この嵌合突部(38)及び嵌合凹部(40)を、隣接するケーシングパイプ(1)の嵌合凹部(40)及び嵌合突部(38)にそれぞれ嵌合することにより、図1に示す如く複数のケーシングパイプ(1)を軸方向に接続固定している。
【0027】
そして、上記地下水流通部(3)には、フロート式水位計(13)のフロート(14)を挿入配置している。このフロート式水位計(13)は、ワイヤー(15)の一端に、地下水に浮かべるフロート(14)を接続するとともに、他端に滑車(図示せず)を介して重り(図示せず)を接続したものである。そして、地下水位の上下動に伴うフロート(14)の上下動を、滑車に連結したドラム(図示せず)の記録用紙にグラフとして記録可能としたものであって、これにより地下水流通部(3)内の地下水位を観測することができるものである。
【0028】
上記の如く構成したものにおいて、例えば、地盤変位測定装置を配置した地盤において地すべりが生じた場合には、この地すべりによってボーリング孔(4)内のケーシングパイプ(1)が傾斜する。そして、このケーシングパイプ(1)の傾斜をケーシングパイプ(1)内に配置した傾斜センサー(8)が定期的にデータを計測してX・Y軸加速度が計測され、更にこのX・Y軸加速度が傾斜角に変換される。そして、図5に示す如く、上記の如く各傾斜センサー(8)により検出された傾斜角が、通信基盤(7)及び通信ケーブル(16)を介してデータロガー(17)に伝達される。
【0029】
そして、このデータロガー(17)で検出された傾斜角のデータがデータロガー(17)に内蔵したメモリーに蓄積され、蓄積されたデータは最終的にデータ収集用パソコン(18)に送信され、保存される。また、例えばこの地すべりの発生時にケーシングパイプ(1)の流通孔(33)から地下水流通部(3)に地下水が流入した場合には、地下水流通部(3)内の地下水位が上昇するとともに、この地下水位の上昇に伴ってフロート(14)が上昇し、このフロート(14)の上昇がドラムの記録用紙に記録されるものとなり、地下水位の上昇を観測することができる。
【0030】
また、上記では地下水流通部(3)内に水位計(13)を挿入配置して地下水流通部(3)内の地下水位の観測について説明したが、水位計(13)に代わって地下水流通部(3)内に地下水検層ゾンデ(34)を挿入配置することにより、必要に応じて地下水検層を行うことも可能である。この地下水検層について以下に説明すると、まず、地下水流通部(3)内に予め一定濃度の電解質溶液を収納しておく。そして、その後に地中から流通孔(33)を介して上記地下水流通部(3)内に地下水が流入した場合には、この地下水の流入により、地下水流通部(3)内の地下水の電解質濃度が地下水流通部(3)のある位置において希釈されるものとなる。
【0031】
そのため、ケーシングパイプ(1)の軸方向に形成した複数の流通孔(33)のうち、いずれかの深度における流通孔(33)から地下水が流入するものとなるため、上記電解質溶液の収納後、直ちに地下水検層ゾンデ(34)を地下水流通部(3)内に挿入して地下水流通部(3)内を上下方向に移動させることにより、地下水流通部(3)内の地下水の複数の深度において地下水の電気抵抗を測定する。
【0032】
そして、上記の如く地下水検層ゾンデ(34)によって測定されたデータは、この地下水検層ゾンデ(34)とケーブル(35)を介して接続した地上の地下水検層測定器(36)に送信され、この地下水検層測定器(36)において、各深度での地下水の電気抵抗のデータが蓄積される。そして、このデータから各深度での電解質濃度の希釈状態を割り出して、希釈の程度が大きい位置を地下水流動位置と判断するものである。
【0033】
上記の如く、地下水流通部(3)内に地下水検層ゾンデ(34)を挿入することにより、この地下水検層ゾンデ(34)と傾斜センサー配置部(2)に配置した傾斜センサー(8)とにより、同じボーリング孔(4)内で孔内傾斜及び地下水検層を測定することができるものである。従って、地下水の流動位置と地盤の変動位置との関係を正確に把握することができ、地盤変動に関するデータをより正確なものとすることができる。
【0034】
尚、地下水検層終了後、地下水流通部(3)内の電解質溶液は流通孔(33)やケーシングパイプ(1)の底部から自然に排出されるものとなる。そのため、電解質溶液の排出後、地下水検層ゾンデ(34)に代わって再び地下水流通部(3)内に水位計(13)を挿入配置することにより、地下水流通部(3)内の水位観測を再開することができる。
【実施例2】
【0035】
上記実施例1では、ケーシングパイプ(1)の内周面に固定配置した傾斜センサー(8)をカ
バー部材(11)で被覆し、このカバー部材(11)とケーシングパイプ(1)の内周面とで囲
まれた部分を傾斜センサー配置部(2)としているが、本実施例2では、ケーシングパイプ
(1)の外壁(29)の内方に、内壁(20)及び複数の隔壁(21)を一体形成し、この内壁
(20)、隔壁(21)、及び外壁(29)の内周面とで囲まれた部分を傾斜センサー配置部
(2)とするとともに、内壁(20)内を地下水流通部(3)としている。このように、本実施
例ではケーシングパイプ(1)の外壁(29)、内壁(20)、及び隔壁(21)を一体形成して
いるため、傾斜センサー配置部(2)及び地下水流通部(3)を容易に形成することができる
ものである。
【0036】
本実施例2を図6〜9において以下に説明すると、ケーシングパイプ(1)内には、図7に示す如くケーシングパイプ(1)の外壁(29)の内周面から一定間隔を介した内方に円筒状の内壁(20)を設けている。そして、この内壁(20)と外壁(29)との間に、6本隔壁(21)を放射方向に配置することにより、内壁(20)の外周面と外壁(29)の内周面とで形成される空間を円周方向に6分割し、6個の分割室(22)を設けている。
【0037】
そして、本実施例では上記6個の分割室(22)のうちの一つの分割室(22)に、傾斜センサー配置部(2)を設けている。本実施例における傾斜センサー配置部(2)について説明すると、まず上記実施例1と同様にケーシングパイプ(1)に開口部(5)を形成する。そして、この開口部(5)において露出した内壁(20)の外周面に、図6に示す如く傾斜センサー(8)を固定配置したブラケット(10)及び通信基盤(7)を、ケーシングパイプ(1)の軸方向に固定配置する。そして、上記の如く内壁(20)に固定配置した通信基盤(7)及び傾斜センサー(8)の上方及び下方には、図6に示す如く、内壁(20)の外周面と外壁(29)の内周面との間に、ケーシングパイプ(1)の軸方向とは垂直方向に一対の仕切板(23)をそれぞれ固定配置している。
【0038】
尚、この一対の仕切板(23)と、内壁(20)の外周面とで囲まれた部分には、ポッティング材が満たされており、更にケーシングパイプ(1)の開口部(5)を閉止板(6)にて閉止している。尚、閉止板(6)はケーシングパイプ(1)の外壁(29)の一部を構成するものである。これにより、図6、7に示す如く、内壁(20)の外周面、一対の隔壁(21)、外壁(29)の内周面、及び一対の仕切板(23)とで囲まれる部分により、本実施例の傾斜センサー配置部(2)が形成されるとともに、この傾斜センサー配置部(2)内にポッティング材が充填した状態となっている。
【0039】
また、上記実施例1では、ケーシングパイプ(1)内の傾斜センサー配置部(2)以外の部分を地下水流通部(3)としているが、本実施例では、上記内壁(20)の内周側を地下水流通部(3)としている。
【0040】
また、上記実施例1では、図1に示す如く傾斜センサー(8)に接続した通信ケーブル(16)を、ボーリング孔(4)とケーシングパイプ(1)との間隔に挿通しているが、本実施例では図7に示す如く、傾斜センサー配置部(2)に隣接する分割室(22)を通信ケーブル配置部(24)とし、この通信ケーブル配置部(24)に、傾斜センサー(8)に接続した通信ケーブル(16)を挿通配置している。
【0041】
即ち、図9に示す如く、通信ケーブル(16)の一端側を傾斜センサー(8)に接続するとともにこの通信ケーブル(16)の他端側を、傾斜センサー配置部(2)と通信ケーブル配置部(24)との間の隔壁(21)に形成した挿通孔(25)を介して通信ケーブル配置部(24)内に挿通配置している。そして、この通信ケーブル配置部(24)内から、更に次の傾斜センサー配置部(2)との間の隔壁(21)に形成した挿通孔(25)を介して、次の傾斜センサー配置部(2)内の傾斜センサー(8)に接続している。尚、傾斜センサー配置部(2)内の気密性を保持するとともに、通信ケーブル(16)が層通孔のエッジとの接触によって破損する等の事態を防ぐため、挿通孔(25)と通信ケーブル(16)との間に軟弾性のシーリング材(26)を充填し、層通孔を密閉している。
【0042】
上記の如く、シーリング材(26)を介して挿通孔(25)に通信ケーブル(16)を挿通し、通信ケーブル配置部(24)と接続することにより、通信ケーブル(16)に上方へのテンションがかかった場合でも、この挿通孔(25)に上記テンションによる力が第一に伝わるものとなる。従って、通信ケーブル(16)と傾斜センサー(8)との接続部分には上記テンションが緩和されて、傾斜センサー(8)と通信ケーブル(16)との接続部分が損傷しにくいものとなり、長期間の安定した使用を可能とする。
【0043】
また、図6〜8に示す如く、傾斜センサー配置部(2)以外の分割室(22)の内壁(20)及び外壁(29)には、流通孔(33)をケーシングパイプ(1)の軸方向に複数個貫通形成している。このように流通孔(33)を貫通形成することにより、この流通孔(33)を介して地盤と地下水流通部(3)との間で地下水の流出入が可能となる。そして、上記実施例1と同様に、上記の如く形成したケーシングパイプ(1)の外周にフィルター(19)を被覆するとともに、各ケーシングパイプ(1)の上端及び下端に形成した嵌合突部(38)及び嵌合凹部(40)をそれぞれ他のケーシングパイプ(1)に形成した嵌合凹部(40)及び嵌合突部(38)に嵌合することにより、ケーシングパイプ(1)を複数本接続している。
【0044】
また、上記実施例1では、地下水流通部(3)内にフロート式水位計(13)のフロート(14)を挿入配置しているが、本実施例2では地下水流通部(3)に水圧式水位計(27)のプローブ(28)を挿入配置している。即ち、図6に示す如く、ケーシングパイプ(1)の底部付近に水位計(27)のプローブ(28)を挿入配置するとともに、このプローブ(28)の上端に接続したケーブル(30)を、地下水流通部(3)を介して外方に挿通し、地上に設置した水位計(27)用のデータロガー(31)に接続している。
【0045】
そして、上記プローブ(28)の下端側には、地下水を内部に導入可能とする導水孔(32)を設けるとともに、このプローブ(28)内に、上記導水孔(32)よりも上方に受圧部(図示せず)を設けている。そして、上記導水孔(32)からプローブ(28)内に流入した地下水の水圧を上記受圧部にて感知することにより、地下水流通部(3)内の地下水位を測定可能としている。
【0046】
このように、一本のケーシングパイプ(1)内に傾斜センサー配置部(2)と地下水流通部(3)とを配置したものであるから、傾斜センサー配置部(2)に配置した傾斜センサー(8)と地下水流通部(3)に配置した水位計(27)により、同一のボーリング孔(4)内で孔内傾斜及び地下水位を測定することができるものである。従って、地盤変動が生じた場合には、同じ位置での地下水位及び孔内傾斜を測定することができるため、地盤変動の発生理由を、地下水位や地盤の傾斜とともに総合的且つ正確に解明することができ、信頼性の高いデータを得ることが可能となる。
【0047】
また、上記実施例1と同様に、本実施例でも水位計(27)に代わって地下水流通部(3)内に地下水検層ゾンデ(34)を挿入配置することにより、必要に応じて地下水検層を行うことができるものである。そのため、この地下水検層ゾンデ(34)と傾斜センサー配置部(2)に配置した傾斜センサー(8)とにより、同じボーリング孔(4)内で孔内傾斜及び地下水検層を測定することができることから、地下水の流動位置と地盤の変動位置との関係を正確に把握することが可能となる。
【0048】
また、上記では地下水流通部(3)内に、水位計(27)又は地下水検層ゾンデ(34)のいずれかを挿入配置した場合について説明したが、地下水流通部(3)内に水位計(27)を挿入配置した状態で、この地下水流通部(3)内に地下水検層ゾンデ(34)を挿入配置することにより、水位観測と地下水検層とを並行して行うことも可能である。地下水観測と地下水検層とを並行して行う場合について説明すると、まず、予め地下水流通部(3)内に上記の如く水圧式の水位計(27)を挿入配置しておく。
【0049】
そして、上記地下水流通部(3)内に既に滞留している地下水に電解質を投入して所定の電解質濃度とした直後に、この地下水流通部(3)内に地下水検層ゾンデ(34)を挿入配置して地下水検層を行う。この地下水検層時には、既に滞留した地下水のみを使用していることから、地下水の水位に大きな変動が生じる虞がないものである。従って、水位観測と同時に地下水検層を行った場合でも、継続的な水位観測に支障をきたすおそれは殆どなく、地下水検層と水位観測とを並行して円滑に行うことができる。
【実施例3】
【0050】
また、上記実施例2では図7に示す如く、ケーシングパイプ(1)の外壁(29)と内壁(20)との間に全周にわたって間隔を設けているが、本実施例3では、図12に示す如く筒型の内壁(20)を、ケーシングパイプ(1)の外壁(29)の内周一側に一体に成形している。このように、ケーシングパイプ(1)の外壁(29)と内壁(20)とを一体に形成することにより、外壁(29)と内壁(20)とが一体となった部分に流通孔(33)を形成する場合に、外壁(29)及び内壁(20)のそれぞれに流通孔(33)を形成する必要がないため、流通孔(33)を形成する手間を少なくすることができる。
【0051】
本実施例3を図10〜12において説明すると、上記内壁(20)の外周面と外壁(29)の内周面との間に、放射方向に4本の隔壁(21)を配置することにより、図12に示す如く内壁(20)の外周面と外壁(29)の内周面とで形成される空間を円周方向に5分割し、5個の分割室(22)を設けている。そして、上記の如く5分割した分割室(22)のうちの一つの分割室(22)内に傾斜センサー配置部(2)を設けている。この傾斜センサー配置部(2)について以下に説明すると、まずケーシングパイプ(1)に、軸方向に長尺な長方形の開口部(5)を形成する。
【0052】
そして、この開口部(5)から露出した内壁(20)の外周面に、通信基盤(7)及び傾斜センサー(8)を固定配置したブラケット(10)を、図10、11に示す如くケーシングパイプ(1)の軸方向に固定配置する。そして、上記の如く内壁(20)に固定配置した通信基盤(7)及び傾斜センサー(8)の上方及び下方には、内壁(20)の外周面と外壁(29)の内周面との間に、ケーシングパイプ(1)の軸方向とは垂直方向に一対の仕切板(23)をそれぞれ固定配置している。
【0053】
そして、この一対の仕切板(23)と内壁(20)の外周面とで囲まれた部分にはポッティング材が充填されており、この状態においてケーシングパイプ(1)の開口部(5)を閉止板(6)にて閉止している。尚、上記閉止板(6)はケーシングパイプ(1)の一部を構成するものである。これにより、図11、12に示す如く、上記内壁(20)の外周面、一対の隔壁(21)、外壁(29)の内周面、及び一対の仕切板(23)とで囲まれる部分を、本実施例における傾斜センサー配置部(2)とするとともに、ケーシングパイプ(1)をボーリング孔(4)内に挿入配置することにより、傾斜センサー(8)が水平方向に位置するものとなる。
【0054】
更に、この傾斜センサー配置部(2)内にポッティング材が充填された状態となるため、こ
れにより、傾斜センサー配置部(2)内の傾斜センサー(8)がポッティングされる。よっ
て、傾斜センサー(8)に水分が接触しにくいものとなり、傾斜センサー(8)を傾斜セン
サー配置部(2)内において良好な状態に保つことが可能となる。また、上記内壁(20)の
内周側を、本実施例における地下水流通部(3)としている。また、図12に示す如く、上
記傾斜センサー配置部(2)に隣接する分割室(22)を通信ケーブル配置部(24)とし、こ
の通信ケーブル配置部(24)に、上記実施例2と同様に、図9に示す如く傾斜センサー
(8)に接続した通信ケーブル(16)を挿通配置している。
【0055】
また、上記ケーシングパイプ(1)には、図12に示す如く外壁(29)と内壁(20)とが一体となった部分、及び、傾斜センサー配置部(2)以外の分割室(22)の外壁(29)、内壁(20)に、それぞれケーシングパイプ(1)の外周面から内壁(20)の内周面まで流通孔(33)を貫通形成するとともに、この流通孔(33)を、図10、11に示す如くケーシングパイプ(1)の軸方向に複数箇所形成している。
【0056】
上記の如く流通孔(33)を形成することにより、この流通孔(33)を介して地盤と地下水流通部(3)との間で地下水の流出入が可能となる。そして、上記実施例1と同様に、上記の如く形成したケーシングパイプ(1)の外周にフィルター(19)を被覆するとともに、各ケーシングパイプ(1)の上端及び下端に形成した嵌合突部(38)及び嵌合凹部(40)をそれぞれ他のケーシングパイプ(1)に形成した嵌合凹部(40)及び嵌合突部(38)に嵌合することにより、ケーシングパイプ(1)を複数本接続している。
【0057】
そして、上記実施例1、2と同様に、上記の如く形成した地下水流通部(3)に水位計(13)を挿入配置することにより、地下水流通部(3)内の水位を観測することができるとともに、図10に示す如く、水位計(13)に代わって地下水検層ゾンデ(34)を挿入配置することにより、必要に応じて地下水検層を行うことができる。そのため、地盤変動が生じた場合には、同じ位置での地下水位及び孔内傾斜を測定することができるため、地盤変動の発生理由を、地下水位や地盤の傾斜とともに総合的且つ正確に解明することができるとともに、同じボーリング孔(4)内で孔内傾斜及び地下水検層を測定することができることから、地下水の流動位置と地盤の変動位置との関係を正確に把握することが可能となり、信頼性の高いデータを得ることが可能となる。
【実施例4】
【0058】
また、上記実施例1〜3では、断面円形のケーシングパイプ(1)を使用しているが、本実施例4では、図13に示す如く断面正方形のケーシングパイプ(1)を使用している。このように断面正方形のケーシングパイプ(1)を使用することにより、図13に示す如く閉止板(6)を平板状とすることが出来る。そのため、上記実施例1〜3では、閉止板(6)をケーシングパイプ(1)に接着材にて接続固定しているが、本実施例では閉止板(6)をケーシングパイプ(1)にボルト留めすることが可能となることから、閉止板(6)のケーシングパイプ(1)への固定を確実なものとすることができる。
【0059】
そして、このケーシングパイプ(1)の外壁(29)内に、この外壁(29)の内周面とは一定間隔を介して断面正方形の内壁(20)を設けている。そして、この内壁(20)とケーシングパイプ(1)との間に形成された空間に隔壁(21)を配置することにより、この空間を4分割して4個の分割室(22)を設けている。そして、このうちの1個の分割室(22)を本実施例における傾斜センサー配置部(2)とするとともに、上記内壁(20)内を地下水流通部(3)としている。
【0060】
尚、上記傾斜センサー配置部(2)内にはポッティング材を充填し、傾斜センサー(8)をポッティングしている。また、図13に示す如く上記傾斜センサー配置部(2)の両側に位置する分割室(22)を通信ケーブル配置部(24)とし、それぞれ通信ケーブル(16)を挿通配置している。また、上記傾斜センサー配置部(2)内への傾斜センサー(8)の配置方法については、上記実施例2と同様である。また、上記傾斜センサー配置部(2)以外の分割室(22)を構成する外壁(29)及び内壁(20)には、それぞれ流通孔(33)を貫通形成している。
【0061】
そして、上記実施例1と同様に、上記の如く形成したケーシングパイプ(1)の外周にフィルター(19)を被覆するとともに、各ケーシングパイプ(1)の上端及び下端に形成した嵌合突部(38)及び嵌合凹部(40)をそれぞれ他のケーシングパイプ(1)に形成した嵌合凹部(40)及び嵌合突部(38)に嵌合することにより、ケーシングパイプ(1)を複数本接続している。そして、上記地下水流通部(3)内には、フロート式水位計(13)のフロート(14)を挿入配置しており、地下水検層を行う場合には、このフロート(14)を取り出して地下水検層ゾンデ(34)を挿入配置することができる。
【実施例5】
【0062】
また、上記実施例1〜3では、断面円形の、また、上記実施例4では、断面正方形のケーシングパイプ(1)を使用しているが、本実施例5では、図14に示す如く断面半円形のケーシングパイプ(1)を使用している。このように断面半円形のケーシングパイプ(1)を使用することにより、断面円形のボーリング孔(4)を形成した場合において、このボーリング孔(4)内の軸方向一側に、本実施例の断面半円形のケーシングパイプ(1)を挿入配置するとともに、他側形成された断面半円形の空間に別の計測器等を挿入配置することが可能となる。そのため、ボーリング孔(4)内の空間を効率よく活用することが可能となる。
【0063】
そして、このケーシングパイプ(1)内の一側に断面円形の地下水流通部(3)を形成するとともに、他側には断面扇形の傾斜センサー配置部(2)及び断面略長方形の通信ケーブル配置部(24)を形成している。尚、上記傾斜センサー配置部(2)内にはポッティング材を充填し、傾斜センサー(8)をポッティングしている。そして、上記実施例2と同様に傾斜センサー配置部(2)内に傾斜センサー(8)を配置するとともに、上記通信ケーブル配置部(24)内に通信ケーブル(16)を挿通配置している。
【0064】
また、上記の如く形成した地下水流通部(3)側のケーシングパイプ(1)の壁面には、図14に示す如く流通孔(33)を貫通形成している。そして、上記実施例1と同様に、上記の如く形成したケーシングパイプ(1)の外周にフィルター(19)を被覆するとともに、各ケーシングパイプ(1)の上端及び下端に形成した嵌合突部(38)及び嵌合凹部(40)をそれぞれ他のケーシングパイプ(1)に形成した嵌合凹部(40)及び嵌合突部(38)に嵌合することにより、ケーシングパイプ(1)を複数本接続している。そして、上記地下水流通部(3)内には、フロート式水位計(13)のフロート(14)を挿入配置しており、地下水検層を行う場合には、このフロート(14)を取り出して地下水検層ゾンデ(34)を挿入配置することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 ケーシングパイプ
2 傾斜センサー配置部
3 地下水流通部
4 ボーリング孔
8 傾斜センサー
13、27 水位計
20 内壁
21 隔壁
29 外壁
33 流通孔
34 地下水検層ゾンデ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤に掘削したボーリング孔に挿入配置したケーシングパイプ内に、このケーシングパイプの傾斜角度を測定可能とする傾斜センサーを配置した傾斜センサー配置部と、ケーシングパイプ内に浸入した地下水の水位を測定する水位計及び/又は地下水検層ゾンデを挿入するための地下水流通部とを、それぞれ個別にケーシングパイプの軸方向に形成し、地下水流通部には、上記水位計及び/又は地下水検層ゾンデを挿入配置するとともに、上記ケーシングパイプの壁面には、地盤と上記地下水流通部との間で地下水の流出入を可能とする複数の流通孔を、ケーシングパイプの軸方向に配置したことを特徴とする地盤変位測定装置。
【請求項2】
上記傾斜センサー配置部は、内部に傾斜センサーを配置した状態でポッティング材を充填することにより、上記傾斜センサーをポッティングしたことを特徴とする請求項1の地盤変位測定装置。
【請求項3】
ケーシングパイプは、筒形の外壁と、この外壁の内方に配置した筒形の内壁とを、この内壁と外壁との間隔に設けた隔壁を介して一体に形成したことを特徴とする請求項1の地盤変位測定装置。
【請求項1】
地盤に掘削したボーリング孔に挿入配置したケーシングパイプ内に、このケーシングパイプの傾斜角度を測定可能とする傾斜センサーを配置した傾斜センサー配置部と、ケーシングパイプ内に浸入した地下水の水位を測定する水位計及び/又は地下水検層ゾンデを挿入するための地下水流通部とを、それぞれ個別にケーシングパイプの軸方向に形成し、地下水流通部には、上記水位計及び/又は地下水検層ゾンデを挿入配置するとともに、上記ケーシングパイプの壁面には、地盤と上記地下水流通部との間で地下水の流出入を可能とする複数の流通孔を、ケーシングパイプの軸方向に配置したことを特徴とする地盤変位測定装置。
【請求項2】
上記傾斜センサー配置部は、内部に傾斜センサーを配置した状態でポッティング材を充填することにより、上記傾斜センサーをポッティングしたことを特徴とする請求項1の地盤変位測定装置。
【請求項3】
ケーシングパイプは、筒形の外壁と、この外壁の内方に配置した筒形の内壁とを、この内壁と外壁との間隔に設けた隔壁を介して一体に形成したことを特徴とする請求項1の地盤変位測定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−209181(P2011−209181A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−78532(P2010−78532)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【特許番号】特許第4703773号(P4703773)
【特許公報発行日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(396009171)明治コンサルタント株式会社 (4)
【出願人】(591153477)株式会社坂本電機製作所 (8)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【特許番号】特許第4703773号(P4703773)
【特許公報発行日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(396009171)明治コンサルタント株式会社 (4)
【出願人】(591153477)株式会社坂本電機製作所 (8)
【Fターム(参考)】
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