説明

地紋検出装置、画像形成装置および地紋検出方法

【課題】 地紋パターンの付された原稿から、検出速度を低下させることなくソフトウェアを用いて地紋パターンを検出できるようにする。
【解決手段】 画像入力部9は画像データを入力する。地紋パターン記憶部11aは予め地紋パターンを記憶する。地紋パターン検出部15は、順次入力される画像データについて先頭ラインから所定の複数ライン毎を1個のバンドとし、先頭バンドからバンド毎に地紋パターンが存在するか否か比較する。地紋パターン検出部15は地紋パターンが検出されたとき、以降のバンドに対する前記検出を中止する。画像処理部17は、地紋パターンの存在が検出されたとき、当該画像データに対し、所定の画像出力制限する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は地紋検出装置、画像形成装置および地紋検出方法に係り、例えば複写機、ファクシミリ機、プリンタ又はこれらの機能を搭載した複合機(MFP:Multi Function Peripheral)等の画像形成装置に好適に用いられる地紋検出装置、当該画像形成装置および地紋検出方法の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、市場における文書セキュリティ向上の要求に応えるため、複写(コピー)を禁止する文書であることを示す地紋パターン情報を予め原稿に埋め込んでおき、複写時にそのパターン情報が検出された場合、何らかの手段で複写を抑止する機能を搭載した複写機等が製品化されている。
【0003】
これは、図5Aに示すように、用紙1に対し、小さなドットからなる全面背景情報3aと、この背景情報3aとともに埋め込まれた若干大きなドットからなり複写を禁止する趣旨のメッセージ情報3b(同図Aでは見えない)とからなる地紋パターン5を印刷するとともに、さらに当該用紙1に目的の文書内容を印刷して例えば「契約書」を作成する。
【0004】
この印刷済み用紙1を複写機で複写すると、図5Bに示すように、複写物1aには背景情報3a中に埋め込んだ「複写禁止」といったメッセージ情報3bが黒く浮かび上がり、複写ユーザに対してその印刷済み用紙1が複写物であって複写禁止されているものである旨を間接的に告知し、複写を抑制している。
【0005】
従来、地紋パターンの印刷された原稿を読み取って当該地紋パターンの有無を検出する構成として、例えば特開2004−201069号公報(特許文献1)の画像処理装置および特開2006−121200号公報(特許文献2)の画像処理装置が提供されている。
【0006】
前者は、画像データにおける単位面積内のドット数(ドット密度)を特徴量とし、これと地紋パターンとを比較して一致する場合に地紋パターン有りと検出するものであり、後者は、画像データ中の色情報の平均値をLab値又はLuv値に変換した数値を特徴量とし、これと地紋パターンとを比較して一致する場合に地紋パターン有りと検出するものである。
【0007】
さらに、特開2007−49656号公報(特許文献3)の画像形成装置のように、ソフトウェアによって画像データにおける一定面積毎に地紋パターン検知を行う構成も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−201069号公報
【特許文献2】特開2006−121200号公報
【特許文献3】特開2007−49656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上述した特許文献1、2では、特定の機能部分を担う電子回路であるハードウェアアクセラレータを用いて地紋パターンを検出すると、高速検出処理が容易であるが、大幅なコストアップを招き易い難点がある。
【0010】
他方、特許文献3においては、ソフトウェアにて地紋パターンを検出する構成であるから大幅なコストアップを抑えることが可能であるが、ソフトウェアによる処理速度に係るパフォーマンスについては考慮されておらず、ハードウェアアクセラレータに比べて処理速度が低下し易く、処理速度を向上させる観点から改善すべき余地がある。
【0011】
特に、低級の複写機や複合機等において、地紋パターン検出用のハードウェアアクセラレータを搭載すると、ハードウェアの設計および製造に対してソフトウェアに比べて桁違いのコストが必要になり、コストアップを抑えるとともに処理速度を低下させないよう改善が望まれていた。
【0012】
そこで、本発明者は、画像形成装置の構成や動作、更に地紋パターンの検出方法を注意深く検討した結果、地紋パターンの検出をソフトウェアで実現する構成であってもパフォーマンスが高く検出速度を低下させ難い構成を見出し、本発明を完成させた。
【0013】
本発明はそのような課題を解決するためになされたもので、ソフトウェアを用いても地紋パターンの検出速度を低下させ難く、コストアップを抑えることが容易な地紋検出装置、画像形成装置および地紋検出方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
そのような課題を解決するために本発明の請求項1に係る地紋検出装置は、画像データが入力される画像入力部と、予め地紋パターンが記憶された地紋パターン記憶部と、順次入力される画像データについて先頭の副走査ラインから所定の複数ライン毎を1個のバンドとし、先頭バンドからバンド毎に地紋パターンが存在するか否か検出し、当該地紋パターンが検出されたとき、以降のバンドに対する検出を中止する地紋パターン検出部と、その地紋パターンの存在が検出されたとき、当該画像データに対し、所定の画像出力制限処理をするとともに、その地紋パターンの存在が検出されないとき通常画像処理をする画像処理部と、を具備している。
【0015】
本発明の請求項2に係る地紋検出装置は、上記地紋パターン検出部が、順次入力される画像データについてバンドが得られたとき、当該バンドに地紋パターンが存在するか否か比較する構成である。
【0016】
本発明の請求項3に係る地紋検出装置は、上記地紋パターン検出部が、飛び飛びのバンドについて地紋パターンが存在するか否か比較する構成である。
【0017】
本発明の請求項4に係る地紋検出装置は、上記画像処理部が、その画像出力制限処理として画像データを出力禁止する構成である。
【0018】
本発明の請求項5に係る画像形成装置は、上記1〜4いずれか1項記載の地紋検出装置と、少なくとも画像処理部における通常画像処理された画像データに基づき画像形成する画像形成部と、を具備している。
【0019】
本発明の請求項6に係る地紋検出方法は、画像形成用の画像データを入力する画像入力工程と、順次入力される画像データについて、先頭の副走査ラインから順に所定の複数ライン毎を1個のバンドとするバンド化工程と、地紋パターンがそれらバンド毎に存在するか否か検出し、当該地紋パターンが検出されたとき、以降のバンドに対する検出を中止する地紋パターン検出工程と、その地紋パターンの存在が検出されたとき、当該画像データに対して所定の画像出力制限処理するとともに、その前記地紋パターンの存在が検出されないとき通常画像処理する画像処理工程と、を具備している。
【0020】
本発明の請求項7に係る地紋検出方法は、上記地紋パターン検出工程が、順次入力される画像データについてバンドが得られたとき、当該バンドに地紋パターンが存在するか否か比較する構成である。
【0021】
本発明の請求項8に係る地紋検出方法は、上記地紋パターン検出工程が、飛び飛びのバンドについて地紋パターンが存在するか否か比較する構成である。
【0022】
本発明の請求項9に係る地紋検出方法は、上記画像処理工程が、その画像出力制限処理として画像データを出力禁止する構成である。
【発明の効果】
【0023】
このような本発明の請求項1、6に係る地紋検出装置および地紋検出方法では、画像形成用の画像データを入力し、順次入力される画像データについて、先頭の副走査ラインから順に所定の複数ライン毎を1個のバンドとし、各バンド毎に登録地紋パターンが存在するか否か検出し、当該地紋パターンが検出されたとき、以降のバンドに対する検出を中止する一方、その地紋パターンの存在が検出されたとき、当該画像データに対して所定の画像出力制限処理をするとともに、その地紋パターンの存在が検出されないとき通常画像処理するから、画像データの入力と地紋パターン検出とを並行処理可能となり、ソフトウェアを用いても地紋パターンの検出速度を低下させ難く、コストアップも抑えることが容易である。
【0024】
本発明の請求項2、7に係る地紋検出装置および地紋検出方法では、順次入力される画像データについてバンドが得られたとき、当該バンドに地紋パターンが存在するか否か比較するから、地紋パターンの検出速度の低下を確実に回避可能である。
【0025】
本発明の請求項3、8に係る地紋検出装置および地紋検出方法では、飛び飛びのバンドについて地紋パターンが存在するか否か比較するから、地紋パターンの検出速度を大幅に向上させることが可能である。
【0026】
本発明の請求項4、9に係る地紋検出装置および地紋検出方法では、その画像出力制限処理として画像データを出力禁止するから、地紋パターンの付された原稿の画像形成を禁止させてセキュリティの確保が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る地紋検出装置を含む画像形成装置の実施の形態を示す概略ブロック図である。
【図2】本発明に係る地紋検出装置の動作を説明する図である。
【図3】本発明に係る地紋検出装置の動作を説明するフローチャートである。
【図4】本発明に係る地紋検出装置の動作を説明する図である。
【図5】本発明の参考となる地紋パターンを説明する図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明に係る地紋検出装置、画像形成装置および地紋検出方法の実施の形態を図面を参照して説明する。なお、本発明に係る地紋検出装置および地紋検出方法は本発明に係る画像形成装置を説明する過程で説明する。
【0029】
図1において、画像形成装置Aは、主制御部7を中心にして画像入力部9、記憶部11、画像バンド化部13、地紋パターン検出部15、画像処理部17および印刷部19を有し、例えば複合機を構成している。なお、画像形成装置Aは、これ以外の構成を有するが、本発明の要旨ではないので説明および図示を省略する。
【0030】
画像入力部9は、主制御部9の制御の下、例えば印刷された原稿から画像をラインセンサによって光学的にライン毎に読取り、電子的画像データを生成する公知のスキャナ等であり、読み取られたライン毎のデータが記憶部11に順次記憶されるようになっている。
【0031】
記憶部11は、主制御部9の制御の下、画像入力部9からの画像データ、主制御部7の動作プログラムを記憶するとともに、後述する地紋パターンを予め記憶する地紋パターン記憶部11aとして機能するものであり、例えばハードディスクで形成されている。地紋パターン記憶部11aに対しては、記憶部11内の記憶領域が割当てられている。
【0032】
地紋パターンは、上述した図5に示したように、用紙1に対し、小さなドットからなる全面背景情報3aと、この背景情報3aとともに埋め込まれた若干大きなドットからなり複写を禁止する趣旨のメッセージ情報3bとからなる地紋パターン5であり、メッセージ情報3bとしては例えば「マル秘」、「複写禁止」といった文字列や図形マーク(図示せず)等がある。
【0033】
画像バンド化部13は、主制御部9の制御の下、記憶部11に入力され記憶された画像データについて、順次、画像入力部9における光学的読取ラインである副走査方向の先頭ラインから複数のライン(例えば1024ライン)毎を1個のバンドとしてバンド化するとともに、バンド化された画像データをバンド単位で、主制御部7を介して地紋パターン検出部15に出力する機能を有している。
【0034】
図2は、1頁分の画像データにおいて、副走査方向の先頭ラインから1024ライン毎を1個のバンドとした状態を図示したものである。
【0035】
図1の地紋パターン検出部15は、主制御部9の制御の下、地紋パターン記憶部11aから地紋パターンを読み出し、図2に示すように、画像データについて先頭バンドAからバンド単位でその地紋パターンが存在するか否か検出し、一致する地紋パターンが検出されたとき、以降のバンドに対する比較を中止し、検出情報を主制御部7を介して画像処理部17に出力する機能を有している。
【0036】
地紋パターン検出部15は、先頭バンドA内に一致する地紋パターンが検出されないとき、図2において、以降の4バンド目毎の飛び飛びのバンドB、Cについて同様の比較検出処理する機能を有している。
【0037】
上述した画像入力部9は、地紋パターン検出部15による先頭バンドAの比較処理中にバンドBまでの4バンドに相当する画像データを読み取り、バンドBの比較処理中にバンドCまでの4バンドに相当する画像データを読み取るように動作する。
【0038】
画像処理部17は、地紋パターンの存在が検出されたとき、当該画像データに対し、所定の画像出力制限処理として画像データの印刷部19への出力を禁止し、地紋パターンの存在が検出されないとき、ユーザの指示に基づく画像データの拡大縮小処理等の通常画像処理をして印刷部19に出力する機能を有している。
【0039】
なお、画像処理部17において、出力禁止処理がなされたとき、図示しない表示部に、例えば「この原稿は複写禁止されていますので、処理を中止します。」といったメッセージを表示して、読取動作や画像形成動作等を中止する機能を有している。
【0040】
印刷部19は、通常画像処理がされた画像データに基づきトナー画像を形成する画像形成部として機能するとともに、そのトナー画像を印刷用紙に転写定着させて排紙させる機能を有している。
【0041】
主制御部9は、CPU、このCPUの動作プログラムを格納したROMおよび作業用RAM(何れも図示せず。)を有して形成されており、上述し画像入力部9、記憶部11、画像バンド化部13、地紋パターン検出部15、画像処理部17および印刷部19等を制御するとともに、実質的にそれらの機能を担っている。
【0042】
次に、本発明に係る画像形成装置Aの動作を図3のフローチャートを参照して簡単に説明する。なお、地紋パターン記憶部11aには予め地紋パターンが記憶されているとして説明する。
【0043】
本発明に係るプログラムが起動し、ステップS1では地紋パターン検出部15が地紋パターン記憶部11aから比較対照の基準となる地紋パターンを取込処理してステップS2に移る。
【0044】
ステップS2にて画像入力部9が副走査方向のライン毎に原稿から画像データを順次読取り(画像入力工程)を開始し、読取られたラインを記憶部11に順次出力してゆく。なお、画像入力部9による画像データの読取りは、後述するステップS3〜S6の処理中も1頁分の原稿読取が終了するまで平行処理される。
【0045】
ステップS3では画像バンド化部13が読取画像データについて1024ライン毎を1個のバンドとし(バンド化工程)、地紋パターン検出部15へ出力する。
【0046】
ステップS3における画像データのバンド化は、記憶部11に入力されたラインの画像データから、順次、画像バンド化部13へ読み出し、画像入力部9の読取動作と平行して処理される。
【0047】
ステップS4では地紋パターン検出部15が先頭バンドAについて地紋パターンが存在するか否か検出し、一致する地紋パターンが検出されてステップS4が「検出あり」であればステップS5に移る(地紋パターン検出工程)。
【0048】
ステップS5では画像処理部17が図示しない表示部に「この原稿は複写禁止されていますので、処理を中止します。」といったメッセージを表示し、終了する。
【0049】
ステップS4にて一致する地紋パターンが検出されずに「検出なし」であればステップS6に移って画像データの1頁分の比較が終了したか否か判別し、1頁分の比較が終了せずにステップS6がNOであれば、ステップS3に戻る。
【0050】
ステップS4では、画像データのバンドB、Cについて上述した処理を順次実施し、ステップS5、S6を繰り返す。
【0051】
1頁分の比較が終了してステップS6がYESであれば、ステップS7にて画像処理部17が画像データの通常出力処理を行って印刷処理して終了する(画像処理工程、印刷処理工程)。
【0052】
このような処理過程が本発明の地紋検出方法を構成する。
【0053】
次に、本発明に関する地紋パターン検出動作について考察する。
【0054】
まず、一般的な画像形成装置において、種々の地紋原稿に対して公知の地紋パターン検出のみの処理をさせた場合、その検出に要した期間を測定すると、例えば図4に示すようになった。
【0055】
ここで、地紋原稿(1)は1バンド内に地紋パターンがない原稿、地紋原稿(2)、(3)、(4)は地紋パターン自体が同じで原稿サイズのみ異なるものであり、原稿サイズ毎に地紋検知アルゴリズムを変更させて検出時間を異ならせたものである。
【0056】
地紋原稿(1)に着目すると、副走査方向を1ラインとした1024ラインにおいて地紋パターンを検出できなかった場合、この処理には150msecかかっていることが分かる。
【0057】
ここで、画像入力部(スキャナ部)9において、解像度600dpi、線速100mm/secで画像データを読み取った場合の読み込み処理に必要な時間を求めると、例えば1024ライン(≒43.3mm)を線速100mm/secで読み込んだ場合、以下のようになる。
【0058】
読取必要期間= 43.3 / 100 = 0.433[sec] = 433[msec]
【0059】
1024ラインを1バンドとすると、1バンド読み込む期間が433msecであり、それに対して地紋パターン検出処理にかかる期間は、図4に示すように、一般的に150msec未満のため、1頁分の原稿からの読み取り期間内で1頁分の画像データ中全バンドの地紋パターン検出を行うことが十分可能であると考えられる。
【0060】
しかし、画像形成装置Aにおいては、スキャナ読取処理、地紋パターン検出処理、画像データに対する画像処理、印刷処理等の多くの処理を並列動作し、リアルタイムに地紋パターン検出処理を実施すること考えると、地紋パターン検出処理に対して主制御部7や地紋パターン検出部15に係るCPUの処理時間を100%割り当てることは困難である。
【0061】
仮に10%を地紋パターン検出処理に割り当てるとすると、単純計算でも150msec×10となり、短期間で1500msec以上の期間が必要になるから、本発明のようにバンド毎に地紋パターン検出を行い、検出バンドの位置をバンドA〜Cを飛び飛びに順次変化させることは有効であると考えられる。
【0062】
このように本発明に係る地紋検出装置は、画像データが入力される画像入力部9と、予め地紋パターンが記憶された地紋パターン記憶部11aと、順次入力される画像データについて先頭の副走査ラインから所定の複数ライン毎を1個のバンドを形成する画像バンド化部13と、それらバンド単位で飛び飛びのバンドに地紋パターンが存在するか否か検出し、一致する地紋パターンが検出されたとき、以降のバンドに対する検出を中止する地紋パターン検出部15と、その地紋パターンの存在が検出されたとき、当該画像データに対し、出力禁止処理するとともに、その地紋パターンの存在が検出されないとき通常画像処理をする画像処理部17とを具備している。
【0063】
そのため、スキャナ部としての画像入力部9から取得した最新の画像データをバンド単位で取得するとともに、バンド単位で飛び飛びに記憶地紋パターンと比較するから、画像入力部9による画像データの読取中にも、先行取得した画像データに対して記憶地紋パターンの検出が可能で、画像入力部9による画像データの読取や画像処理と地紋パターン検出との並行処理が容易となる。
【0064】
そして、画像データのバンド化やバンド毎の記憶地紋パターンとの比較は、ソフトウェアによって達成されるし、個々のバンド毎に記憶地紋パターンの検出が可能であるから、画像入力部9による画像データの読取との平行処理と相まって地紋パターン検出の短期間処理が可能である。
【0065】
従って、ハードウェアアクセラレータのようなハードウェアを用いなくとも、ソフトウェアによって地紋パターンの検出が可能であるうえ検出速度を低下させ難く、コストアップを抑えることが容易である。
【0066】
しかも、画像データに係るあるバンドにおける地紋パターンの存在が検出されたとき、以降のバンドの地紋パターン検出が中止されるから、この点からも主制御部7や地紋パターン検出部15に機能を実行するCPUの負荷が軽減され、ソフトウェアのパフォーマンスを落とすことなくリアルタイムに地紋パターン検出を行えるし、その検出速度も高速化可能である。
【0067】
上述した構成においては、4バンド毎のバンドA、B、Cに対して地紋パターンと順次比較する構成であったが、本発明はこれに限定されず、順次入力される画像データについて先頭ラインから所定のライン毎のバンドに対して地紋パターンが存在するか否か比較する構成であれば良く、好ましくは、順次入力される画像データについてバンドが得られたとき、記憶地紋パターンと比較する構成であれば良い。
【0068】
また、主制御部7や地紋パターン検出部15の例えば負荷率の上昇に応じて比較バンド間を拡大する構成も可能である。
【0069】
さらに、本発明に係る画像形成装置Aおよび地紋検出方法は、上述した地紋検出装置と同様な効果を有する。
【0070】
なお、本発明は、特に、ハードウェアアクセラレータを使用しない低価格の画像形成装置Aにおいて、地紋パターン検出処理のパフォーマンスの劣化を抑えることが可能で有用である。
【符号の説明】
【0071】
1 用紙
3a 全面背景情報
3b メッセージ情報
5 地紋パターン
7 主制御部
9 画像入力部
11 記憶部
11a 地紋パターン記憶部
13 画像バンド化部
15 地紋パターン検出部
17 画像処理部
19 印刷部
A 画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データが入力される画像入力部と、
予め地紋パターンが記憶された地紋パターン記憶部と、
順次入力される前記画像データについて先頭の副走査ラインから所定の複数ライン毎を1個のバンドとし、先頭バンドからバンド毎に前記地紋パターンが存在するか否か予め地紋パターン記憶部に記憶された地紋パターンと比較し、当該地紋パターンが存在すると判断したとき、以降の前記バンドに対する前記検出を中止する地紋パターン検出部と、
前記地紋パターンの存在が検出されたとき、当該画像データに対し、所定の画像出力制限処理をするとともに、前記前記地紋パターンの存在が検出されないとき通常画像処理をする画像処理部と、
を具備することを特徴とする地紋検出装置。
【請求項2】
前記地紋パターン検出部は、順次入力される前記画像データについて前記バンドが得られたとき、当該バンドに前記地紋パターンが存在するか否か比較する請求項1記載の地紋検出装置。
【請求項3】
前記地紋パターン検出部は、飛び飛びの前記バンドについて前記地紋パターンが存在するか否か比較する請求項1又は2記載の地紋検出装置。
【請求項4】
前記画像処理部は、前記画像出力制限処理として前記画像データを出力禁止する請求項1〜3いずれか1項記載の地紋検出装置。
【請求項5】
前記1〜4いずれか1項記載の地紋検出装置と、少なくとも前記画像処理部における前記通常画像処理された前記画像データに基づき画像形成する画像形成部と、を具備する画像形成装置。
【請求項6】
画像形成用の画像データを入力する画像入力工程と、
順次入力される前記画像データについて、先頭の副走査ラインから順に所定の複数ライン毎を1個のバンドとするバンド化工程と、
予め記憶された地紋パターンが前記バンド毎に存在するか否か検出し、前記地紋パターンが検出されたとき、以降の前記バンドに対する前記検出を中止する地紋パターン検出工程と、
前記地紋パターンの存在が検出されたとき、当該画像データに対して所定の画像出力制限処理するとともに、前記前記地紋パターンの存在が検出されないとき通常画像処理する画像処理工程と、
を具備することを特徴とする地紋検出方法。
【請求項7】
前記地紋パターン検出工程は、順次入力される前記画像データについて前記バンドが得られたとき、当該バンドに前記地紋パターンが存在するか否か比較する請求項6記載の地紋検出方法。
【請求項8】
前記地紋パターン検出工程は、飛び飛びの前記バンドについて前記地紋パターンが存在するか否か比較する請求項6又は7記載の地紋検出方法。
【請求項9】
前記画像処理工程は、前記画像出力制限処理として前記画像データを出力禁止する請求項6〜8いずれか1項記載の地紋検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−150114(P2011−150114A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−10776(P2010−10776)
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】