説明

均一ランダム結晶配向の、微細粒でバンディングのない耐火金属スパッタリングターゲット、そのような膜の製造方法、およびそれから作製される薄膜ベースのデバイスおよび製品

本発明は、44ミクロン未満の微細で均一な等軸粒構造を備え、電子後方散乱回折(「EBSD」)によって測定されたときに、選択されたテクスチャ配向が無く、ターゲット本体の全体を通して粒径のバンディングまたはテクスチャのバンディングを示さない、スパッタリングターゲットに関する。本発明は、レンズ状または扁平な粒構造を伴い、EBSDによって測定されたときに、選択されたテクスチャ配向が無く、ターゲット本体の全体を通して粒径またはテクスチャのバンディングを示さない、スパッタリングターゲットに関し、ターゲットが、スパッタリング材料の層および少なくとも1つの付加層をバッキングプレートの界面において組み込む層状組織を有し、該層は、バッキングプレートの熱膨張係数(「CTE」)とスパッタリング材料の層のCTEとの間のCTE値を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、米国仮出願第60/915,967号(2007年5月4日出願)および米国特許出願第11/937,164号(2007年11月8日出願)に基づく利益を主張する。これら出願は、その全体があらゆる有用な目的のために参照により援用される。
【背景技術】
【0002】
電子業界で物理気相蒸着法(PVD)に採用されるスパッタリングターゲットの物理的特性が、産生される薄膜の最終的な特性に大きな影響を与えることは、当技術分野において既知である。実際に、高品質の薄膜デバイスおよび回路の製造を可能にし、かつ増強するターゲットの特性は、以下の通りである。
【0003】
微細な、および均一で微細な粒構造。
【0004】
個々の粒の、ランダムな、および均一にランダムな結晶配向。
【0005】
マクロスケールで見た時に、ターゲット本体の全体を通して実質的に不変である微細構造。
【0006】
ターゲットからターゲットへ繰り返すことができる微細構造。
【0007】
実質的に100%の高密度であり、高い粒間接合強度を提供する微細構造。
【0008】
これらの特性は、特に、タンタル(Ta)およびニオブ(Nb)ターゲットにおける達成が非常に困難である。これは、高純度のTaおよびNbが、電子ビーム溶解を介して精錬および精製され、低温水冷金型に鋳込まれているという事実に起因する。形成されるインゴットは、幅および長さがどちらもセンチメートルの倍数単位で測定される、多数の極めて大きい粒を有する。これらの極めて大きい粒は、粒径を低減し、個々の粒の結晶学的整列を低減する(テクスチャを低減する)ために、大規模かつ高価な熱機械的処理を必要とする。熱機械的処理には、粒径の低減、もたらされる結晶学的ランダム性、およびもたらされる微細構造の均一性に限界がある。一般的に、インゴットから産生されるタンタルターゲット材料は、依然として、粒径およびテクスチャのバンディング領域と称される、大きな程度の不均一性を含んでおり、該領域には、粒径全体およびターゲット全体のテクスチャに一般的ではない共通の粒径およびテクスチャが存在する。
【0009】
この問題の重要性および大きさは、特許文献1で取り上げられており、その中で、インゴットは、最初に、側部鍛造または側部圧延され、その後に据え込み鍛造または据え込み圧延される。特許文献2は、{100}および{111}配向を伴う粒の混合を提供するように、据え込み鋳造、その後に寄せ鋳造(draw back forging)、次に側部鍛造、そして最後に交差圧延プロセスを利用するプロセスを記載している。特許文献3および特許文献4において、発明者は、複数の変形および焼鈍の構成要素から成る、複合3ステッププロセスを詳述している。しかし、複合プロセス手段は、粒径を成功裏に精練するが、該プロセスは、依然として、大部分は{111}テクスチャとなっている。
【0010】
特許文献5は、膜厚の限られた部分に選択的な(222)配向を有する、Taスパッタリングターゲットを記載しており、スパッタリングされた膜厚の均一性の改善を主張している。
【0011】
他の特許は、固体タンタルインゴットではなく、タンタル金属粉末から開始するという、固有の利点を認識している。特許文献6および特許文献7は、そこからスパッタリングターゲットを作製することができる、十分に高密度なビレットを産生するために、その後に広範囲にわたる熱的/機械的プロセス手法を受け得る、Ta粉末のビレットへのコールドプレスを記載している。特許文献8は、均一であるがランダムではない粒構造を提供するように、粉末ビレットを十分な密度まで固めて、その後に圧延および焼鈍することを記載している。特許文献9のプロセスを拡張する特許文献10は、少なくとも99.99%の純粋なタンタルである、結果として生じるタンタルスパッタリングターゲットを含むように、特許文献7のプロセスを発展させている。
【0012】
特許文献11は、圧縮の前に、最初にタンタル粉末を表面窒化する、粉末冶金プロセスを記載している。表面窒化粉末は、次いで、粉末の窒素含有量を高く維持しなければならない、少なくとも23の一連の異なる処理ステップによって圧縮され得る。好ましくないものの1つは、スプレー蒸着であり、どのようなタイプのスプレー蒸着、すなわち、プラズマスプレー、低圧プラズマ蒸着、火炎スプレー、高速酸素燃料等、が使用されているのかには言及していないが、多くのうちの2、3のプロセスが現在採用されている。
【0013】
特許文献12および特許文献13は、タンタルの被覆を産生するためのコールドスプレープロセスを開示しており、これらは、コールドスプレープロセスの開示について、参照することにより組み込まれる。
【0014】
タンタル、およびタンタルをバッキングプレートに接合するためのプロセスが非常に高価であるという事実から、使用済みターゲットの再生、再処理または修復も、経済的に関心がある。これは、ターゲット全体を置き換えなければならなくなる前に、平面ターゲットの約25〜30%および回転ターゲットの60〜70しかスパッタリングに使用されないという事実によって拍車がかかっている。したがって、未使用のTaの回収には、高い関心がある。
【0015】
特許文献14は、タンタルを脆化させて、バッキングプレートから分離し、研削して、インゴットの作製時に粉末ストックとして再利用することができるように、タンタルターゲットを水素化する方法を開示している。特許文献15は、スパッタリングによって作り出された空隙を充填するように、使用済みターゲットの摩耗領域内に送給される粉末の融解および融合を同時に行うために、レーザビームおよび他の集束エネルギー源を使用することを論じている。当然、これらの全ての手法は、相当な熱を発生させ、修復前にバッキングプレートをターゲットから除去することが必要である。加えて、当業者には既知であるように、融解が生じる時に、粉末は、方向的な様態によって再凝固し、結果として生じる微細構造は、強いテクスチャ構成要素を有する。
【0016】
ターゲットは、使用できるようにする前に、最終的な寸法に機械加工し、次いで、スパッタリンク機内に載置するために、高熱伝導率のバッキングプレートにはんだ付け、ろう付け、または拡散接合しなければならない。
【0017】
スパッタリングターゲットは、窓ガラス(Nb)、光起電フィルタ(Mo)、狭帯域通過フィルタ(TaNb)等のための反射および低放射率被覆に及ぶ用途を伴う、広範囲にわたる薄膜を作製するのに使用される。しかしながら、それらの最も知られている使用は、集積回路におけるものであり、層状のスパッタリングされた膜が、機能電子構成要素(集積回路、フラットパネルディスプレイ等)を産生する、基本的なスイッチングデバイス、およびそれらを接続する回路を作製するのに使用される。上述のように、薄膜技術を使用して作製される薄膜の品質、したがって、作製される製品の品質は、そこからスパッタリングされるターゲットの品質に大きく依存する。
【0018】
コールドスプレーまたは動的スプレー(特許文献16、特許文献17、および特許文献18、非特許文献1、特許文献19および特許文献20および特許文献21を参照されたい)は、多数の工業生産的な問題を解決するのに採用されている先端産業技術である(例えば、特許文献22、特許文献23、特許文献24、および特許文献25も参照されたい)。上述した全ての参考文献は、コールドスプレーまたは動的スプレーのそれらの開示について、参照することにより組み込まれる。
【0019】
コールドスプレーは、一般的に44ミクロン未満のサイズである粉末を、粉末が表面に衝突した時に表面に接合して、一体的な、十分に接着された高密度な被覆を形成する程度の高速まで急速に加速する、高速ガス噴流を採用している。様々な基板(鋼を含む)上へのタンタル粉末のコールドスプレーが提案されている(例えば、非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4を参照されたい)。これは全て、従来の熱スプレープロセスで行われているように、粉末をその融点付近またはそれ以上に加熱することを必要とせずに達成される。高密度な被覆を低温で形成することができるという事実は、多くの利点を提供している。このような利点には、酸化が無いこと、高密度な蒸着、固体圧密化、熱的に誘発される応力が無いこと、および、特に、この場合は、相当な基板加熱が無いことが挙げられる。
【0020】
動的スプレーは、例えば、65μmを超える粒子直径を有するTa出発粉末を、ドラバル型(de Laval−type)ノズル内に注入し、超音速のガス流中に混入させ、抗力効果により高速に加速することによって達成することができる。粒子の運動エネルギーは、塑性変形を介して、基板表面との衝突に対する歪みおよび熱に変換される。粒子は、そのプロセスで融解される。
物理気相蒸着法(PVD)の分野について、陰極または電子スパッタリングターゲットのブランクを製造する事例では、限定的な基板加熱が好ましい。ターゲット材料は、高融解温度(「TM」)の耐火金属(TaのTMは2998℃)であることが多く、一方で、ターゲットを支持するバッキングプレートは、その熱伝導率の高さで選択され、一般的に銅またはアルミニウム(AlのTMは660℃)であり、どちらも低融解温度の材料である。したがって、粉末を融点またはその付近まで加熱することが必要である他の熱スプレープロセスは、耐火金属を低融解温度のバッキングプレート上に蒸着するのに使用することができない。現在の慣例では、ターゲットおよびバッキングプレートを互いに接合するために、バッキングプレートからターゲットを完全に分離させ、次いで、はんだ、ろう付け、拡散接合、または爆着技術を使用する。コールドまたは動的スプレーは、実質的に粉末を加熱しないので、ターゲットをバッキングプレート上に直接的に作製すること、およびターゲットをバッキングプレートから除去することを必要とせずに、使用済みターゲットを修復するのに使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】米国特許第6,193,821号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2002/0112789号明細書
【特許文献3】米国特許第6,331,233号明細書
【特許文献4】米国特許第7,101,447号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2005/0155856号明細書
【特許文献6】米国特許第5,580,516号明細書
【特許文献7】米国特許第6,521,173号明細書
【特許文献8】米国特許第6,770,154号明細書
【特許文献9】米国特許第6,770,154号明細書
【特許文献10】米国特許第7,081,148号明細書
【特許文献11】米国特許第7,067,197号明細書
【特許文献12】国際公開第2006/117145号
【特許文献13】国際公開第2006/117144号
【特許文献14】米国特許出願公開第2004/0065546号明細書
【特許文献15】米国特許出願公開第2006/0032735号明細書
【特許文献16】米国特許第5,302,414号明細書
【特許文献17】米国特許第6,502,767号明細書
【特許文献18】米国特許第6,759,085号明細書
【特許文献19】米国特許第6,139,913号明細書
【特許文献20】米国特許出願公開第20050120957号明細書
【特許文献21】米国特許出願公開第20050252450号
【特許文献22】米国特許第6,924,974号明細書
【特許文献23】米国特許第6,444,259号明細書
【特許文献24】米国特許第6,491,208号明細書
【特許文献25】米国特許第6,905,728号明細書
【非特許文献】
【0022】
【非特許文献1】Van Steenkiste他の「Analysys of Tantalum Coatings Produced by the Kinetic Spray Process」、Jouranal of Thermal Spray Technology、Vol.13(2)、2004年6月、265〜273ページ
【非特許文献2】Van Steenkiste他の「Analysis of Tantalum Coatings Produced by the Kinetic Spray Process」、Jouranal of Thermal Spray Technology、13巻、2号、2004年6月、265〜273ページ
【非特許文献3】Marx他、「Cold spraying−innovative layers for new applications 」、Jouranal of Thermal Spray Technology、15巻、2号、2006年6月、177〜183ページ
【非特許文献4】Gartner他、「The Cold Spray Process and Its Potential for industrial Applications」、Jouranal of Thermal Spray Technology、15巻、2号、2006年6月、223〜232ページ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明の目的は、ターゲット本体の全体を通して均一に微細かつ結晶学的にランダムな微細構造を有する、スパッタリングターゲットを製造することである。
【0024】
本発明のさらなる目的は、このような微細構造をコスト効率的に作り出すことができ、ターゲットからターゲットへの構築を繰り返すことができる製造プロセスを提供することである。好ましくは、プロセスは、融解を必要としない。このようなプロセスの実施例には、コールドスプレーまたは動的スプレープロセスが挙げられる。
【0025】
本発明のさらなる目的は、元々有するものと同じ、またはより良好な微細構造を、修復したターゲットに与える、コスト効率的な修復または再生プロセスを提供することである。
【0026】
さらなる目的は、コールドスプレーまたは動的スプレー等の、融解を必要としない方法による、ターゲット再生プロセスを開発することである。
【0027】
発明者らは、上述の複合処理を伴わずに、ターゲットの厚さ全体を通して、微細な、ランダムに配向された粒構造を伴うターゲットを直接的に製作できるようにする手法およびパラメータと、ターゲットの微細構造を、所望の微細構造でバッキングプレート上に直接的に製造できるようにする、および修復する使用済みターゲットのための手法と、を発見した。その手法は、融解プロセスを使用しない。このようなプロセスの実施例には、タンタル粉末等が挙げられるが、これに限定されない、微細な金属粉末のコールドスプレーまたは動的スプレーが挙げられる。
【0028】
加えて、本発明は、それによって上述のスパッタリングターゲットのうちのいずれかが、スパッタリング状態に曝され、それによってスパッタリングされる、スパッタリング法を提供する。あらゆる好適なスパッタリング法を、本発明で使用することができる。好適なスパッタリング法には、マグネトロンスパッタリング、パルスレーザスパッタリング、イオンビームスパッタリング、三極管スパッタリング、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これに限定されない。
【0029】
加えて、本発明は、本質的に44ミクロン未満の微細で均一な粒構造を備え、電子後方散乱回折(「EBSD」)によって測定された時に、選択されたテクスチャ配向が無く(すなわち、本質的にランダムに配向付けられた粒から成る)、本質的に44ミクロン未満の粒から成り、ターゲット本体の全体を通して粒径またはテクスチャのバンディングを示さない、スパッタリングターゲットを提供する。
【0030】
加えて、本発明は、焼鈍された状態で等軸粒径を含み、粒径は、出発粉末の粒子径よりも小さい、ターゲットを提供する。
【0031】
加えて、本発明は、EBSDによって測定された時に、選択されたテクスチャ配向が無く、ターゲット本体の全体を通して粒径またはテクスチャのバンディングを示さない、実質的に粒子間拡散が無いことを特徴とする、レンズ状の粒構造を伴うスパッタリングリングターゲットを提供する。
【0032】
加えて、本発明は、粉末スプレーを介して、単一のステップで、ターゲット粉末材料をターゲットアセンブリで使用されるバッキングプレート上に直接的に蒸着するステップと、蒸着物および基板を最終的なターゲットアセンブリ寸法に機械加工するステップとによって、付加的にスパッタリングターゲットアセンブリを製造するためのプロセスを提供する。
【0033】
本発明は、薄膜を作製するための方法であって、
(a)上述のスパッタリングターゲットをスパッタリングするステップと、
(b)ターゲットから金属原子を除去するステップと、
(c)上述の金属を含む薄膜を基板上に形成するステップと、を含む、方法も提供する。
【0034】
本発明は、複合構造体を基板上に形成するように、耐火粉末および高熱伝導金属粉末から成る粉末の混合物のコールドまたは動的スプレーを行うステップを含むプロセスによって作製される、熱管理材料を提供する。
【0035】
スパッタリングターゲットは、板状、管状、または異形のターゲットとすることができる。
【課題を解決するための手段】
【0036】
本発明は、以下のポイントを包含する。
【0037】
ポイント1:44ミクロン未満の微細で均一な等軸粒構造を備え、電子後方散乱回折(「EBSD」)によって測定された時に、選択されたテクスチャ配向が無く、ターゲット本体の全体を通して粒径のバンディングまたはテクスチャのバンディングを示さない、スパッタリングターゲット。
【0038】
ポイント2:実質的に粒子間拡散が無い、ポイント1によるターゲット。
【0039】
ポイント3:平均粒径は、20ミクロンよりも小さい、ポイント1または2によるターゲット。
【0040】
ポイント4:平均粒径は、10ミクロンよりも小さい、ポイント1〜3のうちのいずれかによるターゲット。
【0041】
ポイント5:ターゲットは、所望のスパッタリング材料の層および少なくとも1つの付加層をバッキングプレートの界面において組み込む層状組織を有し、該層は、バッキングプレートの熱膨張係数(「CTE」)とスパッタリング材料の層のCTEとの間のCTE値を有する、ポイント1〜4のうちのいずれかによるターゲット。
【0042】
ポイント6:レンズ状または扁平な粒構造を伴い、電子後方散乱回折(「EBSD」)によって測定された時に、選択されたテクスチャ配向が無く、ターゲット本体の全体を通して粒径またはテクスチャのバンディングを示さない、スパッタリングターゲットであって、ターゲットは、スパッタリング材料の層および少なくとも1つの付加層をバッキングプレートの界面において組み込む層状組織を有し、該層は、バッキングプレートの熱膨張係数(「CTE」)とスパッタリング材料の層のCTEとの間のCTE値を有する、スパッタリングターゲット。
【0043】
ポイント7:実質的に粒子間拡散が無い、ポイント6によるターゲット。
【0044】
ポイント8:ターゲットアセンブリが、単一のステップで製造され、その後に、バッキングプレートまたはバッキングチューブを最終的なターゲットアセンブリ寸法に機械加工するように、ターゲット粉末材料を、粉末スプレーを介して、バッキングプレートまたはバッキングチューブ上に直接的に蒸着するステップを含む、付加的な様態でスパッタリングターゲットアセンブリを製造するためのプロセスであって、ターゲットは、44ミクロン未満の微細で均一な等軸粒構造を備え、電子後方散乱回折(「EBSD」)によって測定された時に、実質的にいかなる粒子間拡散も無く、選択されたテクスチャ配向が無く、ターゲット本体の全体を通して粒径またはテクスチャのバンディングを示さない、プロセス。
【0045】
ポイント9:スプレーは、コールドスプレープロセスによって行われる、ポイント8によるプロセス。
【0046】
ポイント10:スプレーは、動的スプレープロセスによって行われる、ポイント8または9によるプロセス。
【0047】
ポイント11:ターゲットは、電子後方散乱回折(「EBSD」)によって測定された時に、選択されたテクスチャ配向が無く、ターゲット本体の全体を通して粒径またはテクスチャのバンディングを示さない、粒子間拡散が無いことを特徴とするレンズ状または扁平な粒構造を有する、ポイント8〜10のうちのいずれかによるプロセス。
【0048】
ポイント12:ターゲットと、バッキングプレート材料とを備える、ターゲットアセンブリであって、バッキングプレート材料およびターゲットの熱膨張係数は、密接に一致し、バッキングプレート材料の融点は、ターゲット材料を焼鈍することができる温度を上回る、少なくとも200℃である、ターゲットアセンブリ。
【0049】
ポイント13:ターゲットは、スプレーした時のあらゆる応力を緩和するアセンブリとして焼鈍されている、ポイント12によるターゲットアセンブリ。
【0050】
ポイント14:プロセスは、ガス流をターゲット上に方向付けるステップを含む、コールドスプレープロセスであり、ガス流は、ニオブ、タンタル、タングステン、モリブデン、チタニウム、ジルコニウム、およびそれらのうちの少なくとも2つの混合物、またはそれらのうちの少なくとも2つまたは他の金属とのそれらの合金から成る群より選択される材料の粉末を有するガス/粉末混合物を形成し、粉末は、0.5〜150μmの粒子径を有し、超音速がガス流に付与され、超音速の噴流は、ターゲットの表面上に方向付けられ、それによって、ターゲットに、(厚さを通じて)微細で、完全にランダムかつ均一にランダムな粒径および結晶学的テクスチャをコールドスプレーする、ポイント8〜11のうちのいずれかによるプロセス。
【0051】
ポイント15:スプレーは、コールドスプレーガンによって行われ、被覆されるターゲットおよびコールドスプレーガンは、0.1MPaを超える圧力で、環境制御チャンバ内に位置付けられる、ポイント8〜11および14のうちのいずれかによるプロセス。
【0052】
ポイント16:望ましくない相の形成をもたらす、いかなる検出可能な金属の相互拡散も無いように、ターゲットとバッキングプレートとの間にコンプライアンスを提供するように金属粉末の混合物をバッキングプレートに塗布するステップを含む、複数の金属粉末のターゲットを作製するためのプロセス。
【0053】
ポイント17:金属粉末は、タングステン、モリブデン、タンタル、ニオブ、チタニウム、およびジルコニウムから成る群より選択される、少なくとも2つの材料の混合物を含む、ポイント16によるプロセス。
【0054】
ポイント18:スパッタリング状態をポイント1〜7のうちのいずれかによるスパッタリングターゲットに受けさせ、それによってターゲットをスパッタリングするステップを含む、スパッタリング法。
【0055】
ポイント19:スパッタリングは、マグネトロンスパッタリング、パルスレーザスパッタリング、イオンビームスパッタリング、三極管スパッタリング、およびそれらの組み合わせから成る群より選択される、スパッタリング法を使用して行われる、ポイント18による方法。
【0056】
ポイント20:スパッタリング状態をポイント6によるスパッタリングターゲットに受けさせ、それによってターゲットをスパッタリングするステップを含む、スパッタリング法。
【0057】
ポイント21:スパッタリングは、マグネトロンスパッタリング、パルスレーザスパッタリング、イオンビームスパッタリング、三極管スパッタリング、およびそれらの組み合わせから成る群より選択される、スパッタリング法を使用して行われる、ポイント20による方法。
【0058】
ポイント22:薄膜を作製するための方法であって、
(a)コールドスプレーまたは動的スプレーによってスパッタリングターゲットを作製するステップと、
(b)ポイント1によるスパッタリングターゲットをスパッタリングするステップと、
(c)ターゲットから金属原子を除去するステップと、
(d)それらの金属原子を含む薄膜を基板上に形成するステップと、
を含む方法。
【0059】
ポイント23:(b)の後に、反応ガスを金属分子に供給するステップをさらに含むステップを追加され得る、ポイント22による方法。
【0060】
ポイント24:反応ガスは、酸素、窒素、および/またはシリコンを含有するガスである、ポイント22または23よる方法。
【0061】
ポイント25:薄膜は、0.5nmから10μmの範囲の厚さを有する、ポイント22〜24のうちのいずれかよる方法。
【0062】
ポイント26:ポイント22〜25のうちのいずれかによる方法に従って作製される薄膜。
【0063】
ポイント27:ポイント26による薄膜を備える、フラットパネルディスプレイデバイス。
【0064】
ポイント28:デバイスは、薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイパネル、有機発光ダイオード、無機発光ダイオードディスプレイ、電界放出ディスプレイから成る群より選択される、ポイント27によるフラットパネルデバイス。
【0065】
ポイント29:薄膜を作製するための方法であって、
(a)コールドスプレーまたは動的スプレーによってスパッタリングターゲットを作製するステップと、
(b)ポイント1〜7のうちのいずれかによるスパッタリングターゲットをスパッタリングするステップと、
(c)ターゲットから金属原子を除去するステップと、
(d)それらの金属原子を含む薄膜を基板上に形成するステップと、
を含む方法。
【0066】
ポイント30:(b)の後に、反応ガスを金属分子に供給するステップをさらに含むステップが追加され得る、ポイント29による方法。
【0067】
ポイント31:反応ガスは、酸素、窒素、および/またはシリコンを含有するガスである、ポイント29または30よる方法。
【0068】
ポイント32:薄膜は、0.5nmから10μmの範囲の厚さを有する、ポイント29〜31のうちのいずれかよる方法。
【0069】
ポイント33:ポイント1の微細構造を伴うターゲットから、4%未満の膜の不均一性である、ポイント29〜32のうちのいずれかの方法に従って作製される薄膜。
【0070】
ポイント34:ポイント33による薄膜を備える、フラットパネルディスプレイデバイス。
【0071】
ポイント35:デバイスは、薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイパネル、有機発光ダイオード、無機発光ダイオードディスプレイ、電界放出ディスプレイから成る群より選択される、ポイント34によるフラットパネルデバイス。
【0072】
ポイント36:障壁層および背面接点としてポイント33による薄膜を備える、太陽電池デバイス。
【0073】
ポイント37:ポイント33による膜を備える、磁気ディスクドライブ記憶デバイス。
【0074】
ポイント38:ポイント33による膜を備える、半導体メモリデバイス。
【0075】
ポイント39:建築用ガラスの表面と接触する、ポイント33による薄膜を備え、該薄膜は、酸化亜鉛薄膜である、被覆建築用ガラス。
【0076】
ポイント40:ポイント33による薄膜を伴う被覆した建築用ガラスを備える、建築用ガラスの被覆プロセス。
【0077】
ポイント41:ポイント33による膜を備える、インクジェット印刷ヘッド。
【0078】
ポイント42:光学コーティングは、反射または反射防止材料と、ポイント33による膜とを含み、該膜は、該反射または反射防止材料と接触する、光学被覆。
【0079】
ポイント43:銅層と、ポイント33による膜を備えるシリコン基板との間の拡散障壁層。
【0080】
ポイント44:ターゲットは、板状、管状、または異形のターゲットである、ポイント1〜7のうちのいずれかによるターゲット。
【0081】
ポイント45:該粉末の混合物を塗布するステップは、コールドスプレーまたは動的スプレーによって行われる、ポイント16または17のうちのいずれかによるプロセス。
【0082】
ポイント46:その耐用年数の終わりまで事前にスパッタリングされ、その後、侵食された体積に高密度化粉末を充填することによって修復されて、ポイント1〜7のうちのいずれかによる微細構造を有するターゲットの全体積となる、スパッタリングターゲットおよびスパッタリングターゲットアセンブリ。
【0083】
ポイント47:その耐用年数の終わりまで事前にスパッタリングされ、その後、侵食された体積に高密度化粉末を充填することによって修復されて、元の材料よりも粒径が有意に微細な新しい材料の等軸微細構造となる、スパッタリングターゲットおよびスパッタリングターゲットアセンブリ。
【0084】
ポイント48:複合構造体を基板上に形成するように、耐火粉末および高熱伝導金属粉末から成る粉末の混合物をコールドまたは動的スプレーするステップを含む、プロセスによって作製される、熱管理材料。
【0085】
ポイント49:該熱伝導金属粉末は、Cu、Al、Ag、Auであり、基板は、ステンレス鋼基板である、ポイント48による材料。
【0086】
ポイント50:ステンレス鋼の基板が機械加工によって除去される、ポイント48または49のうちのいずれかによる材料。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】図1(A)は、ヘリウムガスを使用して、コールドスプレーによって作製される平坦な平面タンタルターゲットを示す図である。図1(B)は、窒素ガスを使用して、コールドスプレーによって作製される平坦な平面タンタルターゲットを示す写真である。
【図2】図2は、スパッタリング後のコールドスプレーによって作製された平面タンタルターゲットを示す写真である。
【図3A】図3Aは、ヘリウムコールドスプレー、窒素コールドスプレー、および圧延ビレットによって調製されるターゲットからの、スパッタリングされたタンタル薄膜の走査型電子顕微鏡(「SEM」)の顕微鏡写真である。
【図3B】図3Bは、ヘリウムコールドスプレー、窒素コールドスプレー、および圧延ビレットによって調製されるターゲットからの、スパッタリングされたタンタル薄膜の走査型電子顕微鏡(「SEM」)の顕微鏡写真である。
【図3C】図3Cは、ヘリウムコールドスプレー、窒素コールドスプレー、および圧延ビレットによって調製されるターゲットからの、スパッタリングされたタンタル薄膜の走査型電子顕微鏡(「SEM」)の顕微鏡写真である。
【図4A】図4Aは、圧延ターゲットの斑紋状の不規則な表面を明らかにしている、スパッタリング後の圧延ターゲットの拡大写真である。
【図4B】図4Bは、コールドスプレーターゲットのより滑らかな、非斑紋状の表面を明らかにしている、スパッタリング後のヘリウムコールドスプレーされたターゲットの拡大写真である。
【図5】図5は、本発明によるタンタル管状実施体を示す写真である。
【図6A】図6Aは、スプレーの方向に垂直に撮影した、スプレーおよび焼鈍した組織の顕微鏡写真である。
【図6B】図6Bは、スプレーの方向に垂直に撮影した、スプレーおよび焼鈍した組織の顕微鏡写真である。
【図6C】図6Cは、スプレーの方向に垂直に撮影した、スプレーおよび焼鈍した組織の顕微鏡写真である。
【図6D】図6Dは、スプレーの方向に垂直に撮影した、スプレーおよび焼鈍した組織の顕微鏡写真である。
【図7A】図7Aは、コールドスプレーを使用して、1450℃で焼鈍した結果を示す写真である。
【図7B】図7Bは、コールドスプレーを使用して、1450℃で焼鈍した結果を示す写真である。
【図8】図8は、コールドスプレーを使用して、1150℃で焼鈍した結果を示す写真である。
【図9】図9は、コールドスプレーを使用して、942℃で焼鈍した結果を示す写真である。
【図10】図10は、基板が、圧延して過度に焼鈍した板の代表的なテクスチャを伴う、非常に大きな等軸粒を有することを示す写真である。
【図11】図11は、本発明による極点図である。
【図12】図12は、圧延して過度に焼鈍した板の代表的なテクスチャを伴う、非常に大きな等軸粒を有する、プラズマスプレーを行ったタンタル試料を示す写真である。
【図13】図13は、本発明による極点図である。
【図14】図14は、コールドスプレーを行ったTaNbターゲットを示す写真である。蒸着は、長さ440mm、幅110mm、および厚さ7mmにわたって行う。銅のバッキングプレートの中央で3mmの湾曲を誘発したことに留意されたい。
【図15】図15は、スプレーした時のタンタルの荷重対たわみを示す図である。蒸着は、いかなる塑性変形も呈さずに、脆性破壊によって失敗することに留意されたい。
【図16】図16は、曲げ試験中に、0.08インチ(約2.03ミリ)のたわみの後に、Ta蒸着物に得られた永久変形を示す図である。
【図17】図17は、焼鈍および矯正後のターゲットを示す写真である。直定規は、湾曲が成功裏に除去されたことを実証している。
【図18】図18は、MoTiターゲットの微細構造、および粉末を圧密化するように熱間等方圧縮(「HIP」)中に産生される有害な相および相互拡散ゾーンを示す写真である。
【図19】図19は、Mo元素およびTi元素だけを含み、いかなる有害な相も形成されていない、コールドスプレーによって産生された、スプレーしたときのMoTiターゲットの微細構造を示す写真である。
【図20】図20は、熱間等方圧縮(「HIP」)したターゲット(図19)と比較して、実質的にいかなる有害な相も形成されていないことを示す、700℃で1.5時間焼鈍した後にコールドスプレーを行ったMoTiを示す写真である。
【図21A】図21Aは、W−Cu(50/50体積%)の微細構造を示す写真である。
【図21B】図21Bは、扁平な組織を有するCuを示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0088】
発明者らは、上述の複合処理を伴わずに、ターゲットを直接的に製造できるようにする手法およびパラメータ、ターゲットの微細構造を、所望の微細構造でバッキングプレート上に直接的にターゲットを製造すること、および事前のバッキングプレートからの除去の有無に関わらず、使用済みターゲットが簡単に修復されることを可能にする手法とを発見した。その手法は、融解プロセスを使用しない。このようなプロセスの実施例には、タンタル粉末等が挙げられるが、これに限定されない、微細な金属粉末のコールドスプレーまたは動的スプレーが挙げられる。
【0089】
該手法は、スパッタリングターゲットの再生または修復に使用することもできる。
【0090】
金属粉末とともにガス・粉末混合物を形成するガスとして、概して、不活性ガスが使用される。本発明による不活性ガスには、アルゴン、ヘリウム、または比較的に非反応性の窒素、またはそれらの2つ以上の混合物が挙げられるが、これに限定されない。特別な場合では、空気も使用され得る。安全規則を満たしている場合は、水素、または水素と他のガスとの混合物の使用も考慮され、水素の非常に速い音速によって好都合に使用することができるが、実際に、水素の音速は、ヘリウムの音速よりも30%速く、そしてまた、窒素の音速よりも約3倍速い。空気の音速は、20℃および1気圧(atm)で344m/sであり、一方で、分子量が2.016である水素は、空気の分子量28.96と比較して、最も軽い元素である。その密度は、空気の約1/14未満であり、1308m/sの音速を有する。
【0091】
プロセスの1つの好適なバージョンにおいて、スプレーは、
スプレーによって被覆される表面に隣接してスプレーオリフィスを提供するステップと、
ニオブ、タンタル、タングステン、モリブデン、チタニウム、ジルコニウム、それらのうちの少なくとも2つの混合物、または互いの、または他の金属とそれらの合金から成る群より選択される材料の粉末を、スプレーオリフィスに提供するステップであって、該粉末は、粒子のサイズが0.5〜150μm、好ましくは、5〜80μm、最も好ましくは10〜44μmであり、該粉末は、加圧下にある、ステップと、
高よどみ点圧力で不活性ガスをスプレーオリフィスに提供し、該粒子材料およびガスのスプレーを、被覆する基板表面上に提供するステップと、
低周囲圧力の領域内にスプレーオリフィスを位置付けるステップであって、
該周囲圧力は、該粒子材料およびガスのスプレーの相当な加速を、被覆する基板表面上に提供するように、スプレーオリフィスの手前ではよどみ点圧力未満であり、
それによって、基板は、高密度化被覆で被覆され、焼鈍される、ステップと、を含む。高密度化被覆は、焼鈍前、またはその後に基板から除去され得ることに留意されたい。
【0092】
プロセスの別の好適なバージョンにおいて、スプレーは、コールドスプレーガンで行われ、被覆されるターゲットおよびコールドスプレーガンは、80kPaを下回る、または0.1MPaを上回る圧力で、不活性化されたチャンバ(環境制御されたチャンバ)内に位置付けられる。
【0093】
明細書の全体を通して、コールドスプレーという用語を使用する。コールドスプレープロセスだけに言及される場合において、コールドスプレープロセスの代わりに、動的スプレープロセスを使用することが可能であることを理解されたい。
【0094】
プロセスの別の好適なバージョンにおいて、スプレーは、動的デバイスによって行われる。動的プロセスは、より速い粒子速度および通常はより低い粒子温度を伴う、50μm未満の粒子直径を使用するコールドスプレープロセスと比較して、65〜200μmのより大きな粒子径分布およびより高い粒子温度を使用して、被覆を産生する。運動エネルギーは、粒子直径の3乗、および粒子速度の2乗に比例するので、総塑性変形に利用できる総運動エネルギーは、通常、コールドスプレーのそれよりも大きい。動的スプレーは、のど領域の後ろのより長いノズル長(標準の80mmに対して280mm等)、およびより高いガス温度(例えば、200℃超であるが、材料の融点よりはかなり低い)で行われる。粒子速度が速くなるにつれて、被覆特性が改善され、その結果、塑性変形の程度が高くなり、密着性が高まり、細孔率が下がり、また、より短いノズルで産生した被覆と比較して、加工硬化が高くなる。
【0095】
一般に、耐火金属は、99.5%、99.7%、または99.9%等、少なくとも99%の純度を有し、好都合には、金属不純物に基づいて、99.95%、特に少なくとも99.995%または少なくとも99.999%、特に99.9995%の純度を有する。
【0096】
一般に、単一の耐火金属の代わりに合金が使用される場合、好ましくは全体として合金であるが、少なくとも耐火金属は、対応する高純度被覆を産生することができるように、その純度を有する。
【0097】
本発明による実施形態のうちの1つにおいて、酸素、炭素、窒素、または水素等の、粉末中の非金属不純物の総含有量は、好都合には1,000ppm未満、好ましくは500ppm未満、より好ましくは150ppm未満とすべきである。
【0098】
本発明による実施形態のうちの1つにおいて、酸素含有量は、50ppm以下であり、窒素含有量は25ppm以下であり、炭素含有量は、25ppm以下である。
【0099】
金属不純物の含有量は、好都合には500ppm以下、好ましくは100ppm以下、最も好ましくは50ppm以下、特に10ppm以下である。
【0100】
このような金属粉末は、商業的に購入することができ、または還元剤、および、好ましくはその後の脱酸素によって、耐火金属化合物を還元することによって調製することができる。酸化タングステンまたは酸化モリブデンは、例えば、高温で水素のストリーム中で還元される。調製は、例えば、Schubert、Lassnerの「Tungsten」、Kluwer Academic/Plenum Publishers、New york、1999、またはBrauerの「Handbuch der Preparativen Anorgnischen Chemie」、Ferdinand Enke Verlag Stuttgart、1981、p1530に記載されている。
【0101】
タンタルおよびニオブの場合、調製は、ほとんどの場合、アルカリまたはアルカリ土類金属で、例えばヘプタフルオロタンタル酸ナトリウム、ヘプタフルオロタンタル酸カリウム、ヘプタフルオロニオブ酸ナトリウム、ヘプタフルオロニオブ酸カリウム等の、アルカリヘプタフルオロタンタル酸およびヘプタフルオロタンタル酸アルカリ土類金属、または酸化物を還元することによって行われる。還元は、例えばナトリウムの添加を伴って融解塩中で、または、カルシウムまたはマグネシウムの蒸気が好都合に使用される気相中で行われる。耐火金属化合物を、アルカリまたはアルカリ土類金属と混合して、その混合物を加熱することも可能である。水素雰囲気が好都合であり得る。多数の好適なプロセスは、好適な反応条件を選択することができるプロセスパラメータのように、当業者に既知である。好適なプロセスは、例えば、米国特許第4,483,819号および国際公開第98/37249号に記載されている。
【0102】
低酸素含有量が所望される場合、低酸素含有量を有する純粋な粉末を調整するためのさらなるプロセスは、例えば国際公開第01/12364号および欧州特許出願公開第1200218号Aに開示されているように、アルカリ土類金属を還元剤として使用する、耐火金属水酸化物を還元するステップを含む。
【0103】
本発明はさらに、スパッタターゲット(金属の陰極スパッタリングにおける金属源)を再処理するためのプロセスであって、ガス流は、ニオブ、タンタル、タングステン、モリブデン、チタニウム、ジルコニウム、またはそれらのうちの2つ以上の混合物、またはそれらのうちの少なくとも2つまたは他の金属とのそれらの合金から成る群より選択される材料の粉末とともに、ガス・粉末混合物を形成し、粉末は、0.5〜150μmの粒子径を有し、超音速がガス流に付与され、超音速の噴流は、再処理または産生される物体の表面上に方向付けられる、プロセスに関する。
【0104】
スパッタターゲットは、金属の陰極スパッタリングにおける金属源である。これらは、集積回路、半導体、および他の電気、磁気、および光学製品の産生に採用される。スパッタリングプロセス中に、一般に、スパッタターゲットの金属表面は、不均一に磨滅し、表面上に溝を生じさせる。バッキングプレートの材料の汚染、またはさらに冷却液の破局的な漏出を回避するために、スパッタターゲットは、耐火金属ターゲットが使い果たされるまで使用されるのではなく、新しいスパッタターゲットを採用しなければならない時に、比較的に少量の高価な耐火金属だけが使い果たされるように、事前に、即座に使用が停止される。バッキングプレートの除去が必要であり、新しい耐火金属板への接続が必要となるので、大半は、単にスクラップとして、または再生利用されるそれらの材料として販売される。しかしながら、バッキングプレートは、この場合、より価値の低い、スパッタターゲットの一部である。
【0105】
したがって、このためにバッキングプレートを外すことを必要とせずに、スパッタターゲットを再処理する、または再生させることができるように、またはスパッタ材料をバッキングプレートに、または回転ターゲットのバッキングチューブに直接的に蒸着できるようにする手法が必要である。
【0106】
この目的のために、使用済みスパッタターゲット内の溝は、再び特定の耐火金属で補充される。好ましくは、融解を用いずに行われる。例えば、上述のようにコールドスプレーまたは動的プロセスによって行うことができる。このために、ガス・粉末混合物の超音速の噴流が、溝上に方向付けられ、溝の全長および形状にわたって移動する。これは、溝を再び補充することが必要になるたびに繰り返され、そのため、スパッタターゲットの表面は、再び実質的に平坦な領域を形成し、および/または補充した材料は、スパッタターゲットの表面よりもわずかに高くなる。好ましくは、ガス・粉末混合物の超音速の噴流は、次いで、スパッタターゲットの表面を完全に覆う、均一な厚さの平坦な層が得られるまで、スパッタターゲットの残りの表面上に方向付けられ、スパッタターゲット表面の全長、幅、および形状にわたって誘導される。得られた粗面は、次いで、所望の滑面が得られるように、従来のプロセスによって研削および研磨を行うことができる。
【0107】
発明者らは、元のターゲットが、従来のインゴット冶金法または粉末冶金法によって作製された場合、コールドスプレーによる修復は、元のターゲットよりも微細な粒径、およびランダムな構造を有することを発見した。元のターゲットが、コールドスプレーによって作製された場合、修復したものは、元のターゲットとは見分けのつかないほどの、同様の微細構造を有する。しかしながら、元のターゲットと修復したゾーンとの間には、ターゲットの断面内に見ることができる、明瞭な境界線が存在することになる。
【0108】
新しいスパッタターゲットの産生中に、ターゲットは、バッキングプレートに直接的に塗布される。ターゲットの構成に基づいて、ガス・粉末混合物の超音速の噴流は、したがって、スパッタターゲットの表面を完全に覆う、均一で十分に厚く平坦な層が得られるまで、スパッタターゲットのバッキングプレートの完全な表面上に方向付けられ、スパッタターゲット表面の全長、幅、および形状にわたって誘導されるか、または、プラズマの接触領域だけが被覆され、材料の大幅な節減がもたらされる。
【0109】
ターゲットは、厚さが2〜20mm、より好ましくは、3.0〜15mm、さらに好ましくは5〜12mm、さらに好ましくは8〜12mmであることが好ましい。
【0110】
得られるターゲットの純度および酸素含有量は、粉末のそれらから5%、好ましくは1%を超えて外れてはならない。
【0111】
これは、好都合に、再処理されるスパッタターゲットが不活性ガスの下で被覆される場合に達成することができる。アルゴンは、空気よりも密度が高いため、不活性ガスとして好都合に使用され、特に、スパッタターゲットが、アルゴンの漏れまたは流出を防ぐ容器内にあり、アルゴンが連続的に補給される場合に、被覆される物体を覆い、存在し続ける傾向がある。本発明に従って機能する他の不活性ガスは、上述の通りである。
【0112】
本発明によるプロセスは、スパッタリングターゲットの処理または産生に特に好適である。なぜならば、一方では、熱機械的プロセスによる産生中に、異なる間隔で変化する可能性のある結晶学的に選択された配向がしばしば生じ、そのため、均一なテクスチャが得られず、その代わりに、いわゆるバンド、すなわち、異なる選択された配向の領域が生じるからである、熱機械的プロセスにおいて、これは、非常に複雑で高価なプロセスでしか防止できないためである。対照的に、耐火金属ターゲットの厚さにわたって、いかなる検出可能で選択された配向も存在しない、均一にランダムなテクスチャが、本発明によるプロセスによって得られ得る。
【0113】
均一かつランダムな粒子径分布および粒径分布も、ターゲット内で同様に得られ、そのため、同じく、これが所望されない場合は、いかなる異なる粒子径または粒径のバンドも得られない。スパッタリングターゲット内の粒径またはテクスチャのバンディングは、それがスパッタ率および膜の均一性を変動させるので、特に不適当である。
【0114】
粉末がスパッタターゲットに塗布されて、融解されるプロセスでは、経験的に、バブリングおよび粒の成長が生じることが分かっている。これも、本発明によるプロセスでは観察することができない。
【0115】
ターゲットの塗布後、スパッタターゲットの表面は、通常、好適な滑面を得るように、研削および研磨される。これは、従来技術による従来のプロセスによって行うことができる。
【0116】
新しいスパッタターゲットの産生において、ターゲットは、バッキング手段、例えばバッキングプレートに塗布される。この板は、一般に、銅またはアルミニウムの板、またはこれらの金属うちの少なくとも1つとベリリウムとの合金である。このバッキングプレートは、冷却媒体が存在するチャネルを含むことができる。
【0117】
バッキングプレート、およびしたがってスパッタターゲットも、平坦形、ロッド形、円筒形、ブロック形、または他のあらゆる所望の形状の形態とすることができる。追加的な構造用構成要素、液体冷却コイル、および/または大型冷却材貯蔵容器、複合フランジ、または他の機械的または電気的構造体も取り付けることができる。
【0118】
本発明に従って製作されるターゲット、またはスパッタターゲットの産生中または再処理中に産生されるターゲットは、純度を高く、かつ酸素含有量を低くすることができる。
【0119】
結果として生じるターゲットは、このターゲットが産生された出発粉末の含有量から、50%を超えて、または20%を超えて、または10%を超えて、または5%を超えて、あるいは1%を超えて外れない、ガス状不純物の含有量を有する。この関連では、外れという用語は、特に、増加を意味するものとして理解されるべきであり、したがって、得られるターゲットは、出発粉末の含有量の50%を超えない、ガス状不純物の含有量を好都合に有するべきである。
【0120】
表面上に高密度化される粉末は、好ましくは、出発粉末の酸素含有量から5%を超えて、特に1%を超えて外れない、酸素含有量を有する。
【0121】
好都合な実施形態において、ターゲットは、さらに、少なくとも97%、好ましくは98%を超える、特に99%または99.5%を超える密度を有する。この場合、ターゲットの密度は、ターゲットの閉鎖性および細孔率の尺度である。97%のターゲット密度とは、ターゲットが、バルク材料の97%の密度を有することを意味する。閉鎖した、実質的に無細孔のターゲットは、常時、99.5%を超える密度を有する。密度は、このようなターゲットの断面画像(横断面)の画像分析によって、またはヘリウム比重法によって特定することができる。後者の方法は、非常に高密度なターゲットの場合、ターゲット内に存在する、表面から遠く離れた細孔が検出されず、したがって、実際に存在するよりも低い細孔率が測定されるので、あまり好適ではない。密度は画像分析によって特定することができるが、最初に、顕微鏡の画像区域内の、調査されるターゲットの総面積を特定し、次いで、この面積を細孔の面積と関連付けることによって特定される。表面から遠く離れた細孔、および基板の界面近くの細孔も、この手段によって記録される。少なくとも97%の、好ましくは98%を超える、特に99%または99.5%を超える高密度は、特に、スパッタターゲットの産生または再処理に重要である。
【0122】
ターゲットは、それらの高密度によって、および粒子の高度な変形によって生じる高い機械的強度を示し、したがって、タンタルの場合、金属粉末とともにガス・粉末混合物を形成するガスが窒素である場合に、強度は、少なくとも80MPa、より好ましくは少なくとも100MPa、最も好ましくは少なくとも140Mpaである。このスプレーされる粉末の機械的強度およびじん性は、スプレーの後に、焼鈍または拡散接合熱処理を提供することによって、さらに高めることができる。
【0123】
ヘリウムが使用される場合、強度は、通常、少なくとも150MPa、好ましくは少なくとも170MPa、最も好ましくは少なくとも200MPa、さらに最も好ましくは250MPa超である。
【0124】
本発明は、発明のスパッタリングターゲットをスパッタリング状態に曝し、それによってターゲットをスパッタリングする方法にも関する。
【0125】
スパッタリングは、マグネトロンスパッタリング、パルスレーザスパッタリング、イオンビームスパッタリング、三極管スパッタリング、およびそれらの組み合わせから成る群より選択される、スパッタリング法を使用することによって行うことができる。
【0126】
スパッタリングは、マグネトロンスパッタリング、パルスレーザスパッタリング、イオンビームスパッタリング、三極管スパッタリング、およびそれらの組み合わせから成る群より選択される、スパッタリング法を使用することによって行うことができる。
【0127】
本発明は、薄膜を作製するための方法であって、
(a)コールドスプレーまたは動的スプレーによって所望のスパッタリングターゲットを作製するステップと、
(b)上述のスパッタリングターゲットをスパッタリングするステップと、
(c)ターゲットから金属原子を除去するステップと、
(d)金属原子を含む薄膜を基板上に形成するステップと、を含む、方法も提供する。
【0128】
本発明による金属原子には、ニオブ、タンタル、タングステン、モリブデン、チタニウム、ジルコニウム、クロミウム、バナジウム、マグネシウム、スズ、鉛、アルミニウム、亜鉛、銅、ロジウム、銀、金、コバルト、鉄、ルテニウム、レニウム、ガリウム、インジウム、アンチモン、それらのうちの2つ以上の混合物、またはそれらのうちの2つの合金、または上述の特性を有する他の金属との合金が挙げられるが、これに限定されない。薄膜の用途に基づいて、スパッタリングターゲットの作製に、どの金属、または金属原子の組み合わせを使用するのかを決定する。
【0129】
一実施形態は、タングステン、モリブデン、タンタル、ニオブ、チタニウム、およびジルコニウムから成る群より選択される少なくとも2つの金属の混合物を含む、金属粉末を使用する。
【0130】
本発明の別の実施形態において、ステップ(b)でスパッタリングターゲットがスパッタリングされた後、反応ガスを金属原子に供給するステップを追加することができる。反応ガスは、ガス状の状態で、または基板上に蒸着させた時点で、金属原子と反応し、金属または合金の化合物を形成することができる成分を含むガスである。限定的でない実施例として、反応ガスは、酸素、窒素、および/またはシリコンを含有するガスとすることができる。
【0131】
本方法によって塗布される薄膜は、あらゆる所望の厚さを有することができる。薄膜の厚さは、所望される最終用途に依存する。一般的に、薄膜の厚さは、少なくとも0.5nm、いくつかの状況では少なくとも1nm、いくつかの事例では少なくとも5nm、他の事例では少なくとも10nm、いくつかの状況では少なくとも25nm、他の状況では少なくとも50nm、いくつかの環境では75nm、他の環境では少なくとも100nmとすることができる。また、膜厚は、最高で10μm、いくつかの事例では最高で5μm、他の事例では最高で2μm、いくつかの状況では最高で1μm、他の状況では最高で0.5μmとすることができる。膜厚は、定められた値のうちのいずれかにすることができ、または上述の値のうちのいずれかの間の範囲とすることができる。本発明による薄膜の利点は、薄膜が、優れた均一性、および非常に小さい表面粗さを有することができることである。驚くべきことに、同様のマグネトロンスパッタリング条件では、(表1に示されているように)従来のインゴット圧延したタンタルターゲットから作製された薄膜の不均一性が4.3%〜15.4%であるのと比較して、コールドスプレーしたタンタルターゲットから作製された薄膜の不均一性は、1.5%〜4%の範囲である。改良された薄膜の均一性は、ランダムで均一なテクスチャの特徴、および実質的に44μmよりも小さい微細な粒径を呈する、コールドスプレーターゲットの結果である。
【0132】
本発明による薄膜の使用は、フラットパネルデバイス等の種々の用途で使用される製品を包含する。フラットパネルデバイスは、薄膜トランジスタ−液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイパネル、有機発光ダイオード、無機発光ダイオードディスプレイ、および電界放出ディスプレイから成る群より選択される。
【0133】
好適な一実施形態において、本発明に従って作製される薄膜は、薄膜トランジスタ(TFT)−液晶ディスプレイ(LCD)用途で使用することができる。また、別の実施形態において、本発明は、太陽電池用途、センサ用途、半導体デバイス、およびCMOS(相補型金属酸化膜半導体)技術のための金属ゲートで使用される薄膜を包含する。一実施形態において、本発明は、優れた均一性を有するゲート電極として機能する、モリブデン薄膜を含むTFT−LCDデバイスを目的とする。別の実施形態は、薄膜太陽電池用途を目的とし、本発明は、Mo薄膜が、背面接触部および障壁層として機能する太陽電池を包含する。薄膜は、インクジェット印刷ヘッド用途(例えば、タンタルが、加熱要素(高耐食性金属材料)として使用される)、キャビテーション障壁、およびパッシベーション層(Taとして)、または建築用ガラスの被覆で使用することができ、薄膜は、フラットパネルディスプレイ、またはディスクドライブストレージとしての磁気薄膜材料、および光学被覆、またはその一部とすることができる。本発明による薄膜は、従来技術による従来の薄膜に代わることができる。
【0134】
金属スパッタリングターゲットの厚さを通じての粒径およびテクスチャの均一性により、このようなターゲットから得られる膜は、コールドスプレーしたターゲットが、「微粒状」であり、ランダムな粒配向を有しバンド化が無いので、優れた均一性を有する。
【0135】
太陽電池デバイスは、当技術分野において既知である。例えば、太陽電池デバイスのための以下の特許および基準は、太陽電池デバイスの開示につて参照することにより組み込まれる(障壁層および背面接触部としてのモリブデン薄膜)。米国特許第7,053,294号(Thin Film Solar Cell Fabricated on a Flexible Metallic Substrate)、米国特許第4,915,745号(Thin Film Solar Cell and Method of Making)、The Fablication and Physics of High−efficiency CdTe Thin Film Solar Cells(Alvin、Compaan and Victor Karpov、2003、National Renewable Energy Labによる)、および、Development of Cu(In,Ga)Se2 Superstrate Thin Film Solar Cells(Franz−Josef Haug、2001、Swiss Federal institute of Technology、ZurichのPh.D.論文による)。
【0136】
概して、太陽電池は、
A)カバーガラスと、
B)上部電気接触層と、
C)透明な接触部と、
D)上部接合層と、
E)吸収体層と、
F)背面電気接触部と、
G)基板と、を含むことができる。
【0137】
本発明によれば、薄膜は、上述のように、動的またはコールドスプレープロセスによって作製される、スパッタリングターゲットを使用することによって作製される。スパッタリングターゲットは、好ましくは、タンタル、ニオブ、モリブデン、アルミニウム、亜鉛、テルル、銅、または金といった金属から、少なくとも1つの粉末を混合している粉末である。本発明による膜は、背面電気接触部および障壁層として使用することができる。
【0138】
本発明によれば、半導体デバイスを作製するために、スパッタリングターゲットは、上述のように、動的またはコールドスプレープロセスによって作製される。スパッタリングターゲットは、好ましくは、Ta、Nb、Mo、W、Cr、Ti、Hf、およびZrといった金属からの少なくとも1つの粉末を混合する粉末を伴う、コールドスプレーによって作製される。このようなターゲットから作製される薄膜は、障壁層として使用される。障壁層の使用は、当技術分野において既知である。例えば、障壁層に対する以下の特許は、障壁層の開示について、参照することにより組み込まれる。Semiconductor Carrier Film,and Semiconductor Device and Loquid Crystal Module Using The Same(米国特許第7,164,205号)、Methods of forming an interconnect on a semiconductor substrate(米国特許第5,612,254号)、Fabrication of Semiconductor device(tungsten,chromium or molybdenum,and barrier carrier)(米国特許第7,183,206号)、全て半導体デバイスを開示している。
【0139】
コールドスプレーまたは動的プロセスを使用する、本発明に従って作製される薄膜を伴う半導体デバイスは、チタニウム、タンタルニオブ、タングステン、クロミウム、ハフニウム、およびジルコニウム、ならびにそれらの窒化物、シリサイド、またはオキシ−シリサイドの膜を含む。これらの膜は、障壁層として使用することができ、従来のタンタル膜に代わることができる。例えば、以下の特許は、Ta障壁層を記載しており、Ta障壁層の開示について、参照することにより組み込まれる。Tantalum Barrier Layer for Copper Metallization(米国特許第6,953,742号)、Method of Preventing Diffusion of Copper through a Tantalum−comprising Barrier Layer(米国特許第6,919,275号)、および、Method of Depositing a TaN seed Layer(米国特許第6,911,124号)。
【0140】
本発明による磁気薄膜材料は、上述のように、動的またはコールドスプレープロセスによって作製される、スパッタリングターゲットを使用することによって作製される。スパッタリングターゲットは、好ましくは、少なくともプラチナ、コバルト、ニッケル、クロム、鉄、ニオブ、ジルコニウム、ボロン元素から、少なくとも2つの粉末を混合する複合粉末を伴う、コールドスプレーによって作製される。この磁気膜材料は、従来の磁気薄膜材料の代わりに、ハードディスク記憶デバイスおよび磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)に使用することができる。従来の磁気薄膜材料は、当技術分野において既知である。例えば、以下の特許は、ハードディスク記憶デバイスに使用される磁気薄膜材料の開示について、参照することにより組み込まれる。Magnetic Materials Structures,Devices and Methods(米国特許第7,128,988号)、Method and Apparatus to Control the Formation of Layers useful in Integrated Circuits(米国特許第6,669,782号)、Magnetic Recording Medium and Method for Its Production(米国特許第5,679,473号)、Magnetic Recording Medium(米国特許第4,202,932号)。ハードディスクドライブは、当技術分野において既知である。
【0141】
光学被覆は、当技術分野において既知である。例えば、以下の特許は、光学被覆を開示しており、光学被覆の開示について、参照することにより組み込まれる。optical reflector for reducing radiation heat transfer to hot engine parts(米国特許第7,208,230号)、Thin layer of hafnium oxide and deposit process(米国特許第7,192,623号)、Anti−reflective(AR)coating for high index gain media(米国特許第7,170,915号)。本発明によれば、光学被覆は、本発明による薄膜を使用することによって作製される。スパッタリングターゲットは、上述のように、動的またはコールドスプレープロセスによって作製される。スパッタリングターゲットは、ハフニウム、チタニウム、またはジルコニウムから作製される。酸化物材料は、スパッタリングターゲット上に強く押し付けられる。酸化物膜は、真空ホットプレスまたは熱間等方圧プロセスによって作製されたターゲットからスパッタリングされる従来の酸化物薄膜に代わるように、上述のターゲットの反応性マグネトロンスパッタリングによって作製することができる。
【0142】
インクジェット印刷ヘッド(タンタルを含む)は、当技術分野において既知である。本発明によれば、インクジェット印刷ヘッドは、本発明による薄膜を使用することによって作製される。スパッタリングターゲットは、上述のように、動的またはコールドスプレープロセスによって作製される。スパッタリングターゲットは、タンタルまたはニオブから作製される。膜は、シランおよび/または酸素を伴う反応性スパッタリングによって作製され、米国特許第6,962,407号に記載されているように、タンタル−シリコン−酸素耐腐食性膜に代わることができる。例えば、以下の特許は、インクジェット印刷ヘッドを開示しており、インクジェットヘッドの開示について、参照することにより組み込まれる。Ink−jet recording head,method of manufacturing the same,and inkjet printer(米国特許第6,962,407号)、Print head for Ink−jet Printing A method for Making Print Heads(米国特許第5,859,654号)。
【0143】
フラットパネルディスプレイのためのTFT−OLED(薄膜トランジスタ有機発光ダイオード)デバイス構造は、当技術分野において既知である。本発明によれば、薄膜は、上述のように、動的またはコールドスプレープロセスによって作製される、スパッタリングターゲットを使用することによって作製される。スパッタリングターゲットは、タングステン、クロム、銅、またはモリブデンから作製される。コールドスプレーターゲットからスパッタリングされるゲート層としての膜は、TFT−OLED内の従来の薄膜層に代わることができる。例えば、TFT−OLEDは、米国特許第6,773,969号に記載されている。
【0144】
TFT−LCD(フラットパネルディスプレイ用の薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ)の液晶ディスプレイは、
A)ガラス基板と、
B)ソース電極と、
C)ドレイン電極と、
D)ゲート絶縁体と、
E)ゲート電極と、
F)アモルファスシリコン、多結晶シリコン、または単結晶シリコン層と、
G)nドープシリコン層と、
H)パッシベーション層と、
I)画素透明電極と、
J)共通電極と、
K)ポリイミドアライメント層と、
L)ストレージ−キャパシタ電極と、を備える。
【0145】
ゲート電極は、Mo、W、Al等の金属である。
【0146】
TFT−LCDの別の概略では、アルミニウム拡散の小丘形成を回避するように、Moで完全にキャップされたAlゲートを使用する。通常、小丘形成を妨げるために、層の上のMoに必要な厚さは、約300Åである。低抵抗率(約4.08μΩ−cm)である、モリブデンで完全にキャップしたAl膜は、高性能のアモルファスSi:H TFTの製造に成功裏に統合された。半導体分野におけるTFTを記載している他の特許は、以下の通りである。米国特許第6,992,234号、第6,489,222号、第6,613,697号、これらは、半導体分野におけるTFTの使用について、参照することにより組み込まれる。本発明によれば、薄膜は、上述のように、動的またはコールドスプレープロセスによって作製される、スパッタリングターゲットを使用することによって作製される。スパッタリングターゲットは、モリブデン、タングステン、またはアルミニウムから作製される。スパッタリングターゲットから作製される膜は、TFT−LCD内の従来のアルミニウムおよび/またはモリブデン層に代わることができる。
【0147】
金属スパッタリングターゲットの厚さを通じての粒径およびテクスチャの均一性により、このようなターゲットから得られる膜は、優れた均一性を有する。コールドスプレーしたターゲットは、「微粒状」であり、ランダムな粒配向によるバンド化が無い。
【0148】
本発明の特定の一実施形態では、非常に薄い膜が提供される。本実施形態において、薄膜は、少なくとも100Å、いくつかの事例では少なくとも250Å、他の場合では少なくとも500Åである。本実施形態において、薄膜は、最高で5,000Å、いくつかの事例では最高で3,000Å、他の場合では最高で2,500Å、また、いくつかの状況では最高で2,000Åとすることができる。
【0149】
種々の基板上の金属薄膜に加えて、Mが、金属(酸化)、MNx(窒化)、MSi (シリサイド化)およびあらゆるそれらの組み合わせ(例えばMOSi等)であるMOxも、反応性スパッタリングまたはイオン注入によって産生することができる。本発明による金属原子には、ニオブ、タンタル、タングステン、モリブデン、チタニウム、ジルコニウム、クロム、バナジウム、マグネシウム、スズ、鉛、アルミニウム、亜鉛、銅、ロジウム、銀、金、コバルト、鉄、ルテニウム、レニウム、ガリウム、インジウム、アンチモン、それらの2つ以上の混合物が挙げられるが、これに限定されない。
【0150】
ガラスは、多数の用途、特に建築的な使用に関して、完全なものではない。一方で、遠赤外(室温放射)の反射が低いことによって、寒冷気候領域にある建造物を暖めるのに必要な熱エネルギーの不要な損失が生じる。これに反して、近赤外(太陽放射)での透過が高いことで、温暖気候領域にある建造物を冷却するのに必要なエネルギーを増加させている。
【0151】
建築用ガラス被覆は、当技術分野において既知である。例えば、以下の特許は、建築用ガラス被覆を開示しており、建築用ガラスの開示について、参照することにより組み込まれる。D.C.reactively sputtered antireflection coatings(米国特許第5,270,858号)、Multilayer anti−reflection coating using zinc oxide to provice ultraviolet blocking(米国特許第5,147,125号)、Coated architectural glass system and method(米国特許第3,990,784号)、Electrically−conductive,light−attenuating antireflection coating(米国特許第5,091,244号)。本発明によれば、薄膜は、上述のように、動的またはコールドスプレープロセスによって作製される、スパッタリングターゲットを使用することによって作製される。スパッタリングターゲットは、亜鉛から作製される。亜鉛ターゲットのスパッタリング中に、酸素がチャンバ(空気または酸素等)内に導入され、それによって酸化亜鉛薄膜を形成している。スパッタリングターゲットから作製される薄膜は、ガラス被覆における従来の酸化亜鉛層に代わることができる。
【0152】
慎重に設計されたガラス上の被覆は、今日では、これらの全ての欠点を解決することができる。これらの被覆の目的は、より効率的な暖房または空気調節のために、ガラスを通じたエネルギー輸送を制御することである。被覆は、金属およびセラミックを多層化したものであり、特定の要求に対して正確な組成が調整される。熱を反射する、いわゆる低放射率の被覆は、最大量の日光を通過させるが、光が物体に当たる時に発生する熱(温室効果)を遮断する。
【0153】
大面積のガラス被覆に最も重要な金属化合物は、SiO、SIN、SnO、ZnO、Ta、Nb、およびTiOであるが、これに限定されない。これらの薄膜被覆は、Si、Sn、Ta、Nb、およびTiの金属ターゲットの反応性スパッタリングによって得ることができる。スパッタリングターゲットは、上述のように、動的またはコールドスプレープロセスによって作製される。
【0154】
使用することができる、本発明による他の分野の薄膜は、光学被覆等の被覆である。光学被覆には、反射および反射防止材料、選択的な透過を提供する被覆(すなわち、フィルタ)、および非線形光学用途が挙げられる。TiO薄膜およびNb薄膜等の実施例は、TaおよびNbスパッタリングターゲットから反応性スパッタリングされる。
【0155】
自動車用途の場合、自動車メーカーが設定している目標を満たすには、可視光の70%を透過し、かつIRおよびUVの100%(または、ほぼ100%)を反射する被覆が必要である。
【0156】
上述のように、薄膜を使用する分野は、磁気薄膜材料を含む。ディスクドライブストレージ技術に対する薄膜材料科学の影響は大きな革命であり、フェライトヘッドおよび粒子ディスクから薄膜ディスクおよびヘッドへの転換である。次世代の膜ディスクは、高保磁力および高誘導を必要とする。薄膜媒体はまた、より高い記録密度を達成するように、現在の粒子表面よりも滑らかで薄くなければならない。垂直記録は、極めて高い記録密度を達成するための、最も期待されている技術であると思われる。ストレージ用途のための磁気薄膜材料は、Co、Cr、Ni、Fe、Nb、Zr、B、およびPtの合金等である。本発明によれば、薄膜は、上述のように、動的またはコールドスプレープロセスによって作製される、スパッタリングターゲットを使用することによって作製される。スパッタリングターゲットは、Co、Cr、Ni、Fe、Nb、Zr、B、およびPtといった金属のうちの少なくとも2つの複合材から作製される。
【0157】
また、上述のように、薄膜は、半導体用途も含む。タンタルは、半導体チップが高伝導性のCuを使用して相互接続を確保するために、Cu層とシリコン基板との間の拡散障壁層として使用される、TaN層を形成するように、Ar−N雰囲気中でスパッタリングされる。
【0158】
したがって、本発明は、金属類であるマグネシウム、スズ、鉛、アルミニウム、亜鉛、銅、ロジウム、銀、金、コバルト、鉄、ルテニウム、ガリウム、インジウム、アンチモン、それらのうちの2つ以上の混合物、またはそれらのうちの2つの合金、または上述の特性を有する他の金属との合金を伴う、耐火金属であるニオブ、タンタル、タングステン、モリブデン、チタニウム、ジルコニウム、クロミウム、バナジウム、およびレニウムから成るスパッタターゲットにも関する。
【0159】
好ましくは、タングステン、モリブデン、チタニウムジルコニウム、またはそれらの2つ以上の混合物、またはそれらの2つ以上の合金、あるいは他の金属との合金のターゲット、非常に好ましくはタンタルまたはニオブのターゲットが、コールドまたは動的スプレーによって、被覆される基板の表面に塗布される。該コールドスプレーしたターゲットにおいて、金属の酸素含有量は、粉末の酸素含有量と比較して、ほとんど変わらない。これらのコールドまたは動的スプレーしたターゲットは、プラズマスプレーによって、または真空スプレーによって産生されるターゲットよりも大幅に高い密度を示す。さらに、これらのコールドまたは動的スプレーしたターゲットは、粉末の特性および被覆パラメータに依存して、テクスチャを伴わずに、またはわずかなテクスチャを伴って産生することができる。
【0160】
驚くべきことに、コールドまたは動的スプレーされるターゲットの酸素含有量の減少に伴って、スパッタリングされた薄膜層の密度および他の特性が改善されることが分かった。スパッタターゲット内の酸素は、スパッタリング率、したがって、薄膜の均一性に影響を及ぼす。金属薄膜の場合、酸素は、薄膜の低効率に対するその影響のため、高濃度であることは望ましくない。
発明者らは、本質的に44ミクロン未満の微細で均一な粒構造を有し、電子後方散乱回折(「EBSD」)によって測定された時に、いかなる選択されたテクスチャ配向が無く、ターゲット本体の全体を通していかなる粒径またはテクスチャのバンディングも示さず、また、ターゲットからターゲットへ再生することができる微細構造を有する、タンタルスパッタリングターゲットおよびそのタンタルターゲットの製造手段を発明した。加えて、発明者は、そのようなターゲット、および特定の熱間等方圧縮(HIP)を行ったターゲットを修復し、修復前のターゲットの微細構造を完全に再生するためのプロセスを発明した。低品質の微細構造の他のターゲットを修復するのに使用された場合、修復した部分は、本手法によって、あたかもターゲット全体が作製されたかのように、微細構造が改善される。本手法は、形状または材料に制限されず、平面、異形、および円筒形のターゲットを作製し、一連のターゲット組成物をスプレーするのに使用された。
【0161】
本発明に関する改善には、ターゲットの粒子間結合および応力低減を改善する熱処理、および、スプレーしたときの応力の効果を最小化し、そしてアセンブリ全体に熱処理を行うことができるようにし、従来のバッキングプレート材料に必要な分解ステップをなくした、ターゲットアセンブリの材料の設計が挙げられる。換言すれば、ターゲットは、スプレーしたときのあらゆる応力を緩和するアセンブリとして焼鈍されている。
【0162】
(コールドスプレー技術による熱管理材料)
これらの金属マトリックス複合材の目標は、金属元素の高熱伝導率を維持し、一方で、シリコンチップと比較して、放熱板の膨張および縮小の差を低減するように、低熱膨張係数のMoまたはWを添加する複合材料を産生することである。
【0163】
伝統的に、産業界は、MoまたはW(「スケルトン」と称する)を焼結し、その後に、金属マトリクス複合材を作り出す温度および圧力下で融解Cuを溶浸させることから、WCuまたはMoCu金属マトリクス複合材を開発した。この手法に関連する問題点は、作業のコストが高いことである。溶浸温度は、概して800℃以上の範囲である。
【0164】
加えて、現在のWCuまたはMoCu複合材の放熱板の製造には、最初にWのブロックを作製し、適切なサイズに切断し、その後にCuを溶浸させることが必要である。次いで、エンドユーザは、それを適切な厚さおよび寸法にスライスすることが必要である。コールドスプレーは、極めて薄く、均一に分布する複合材を直接的に作製することができる。
【0165】
コールドスプレーは、材料の融点をはるかに下回る温度で粉末から部品を製作する、直接的な経路であるため、「焼結および溶浸」と比較して、非常にコストの低い作業である。
【0166】
以下の実施例を用意した。
【0167】
(実施例1は、平面タンタルスパッタターゲットの製作、試験、および薄膜の評価である。)
公称の厚さが1/8インチ(約3.18mm)、直径が3.1インチ(約78.74mm)である2枚のTaの平板に、粒径が15〜38ミクロンのタンタル粉末(Amperit#151、特級、H.C.Starck inc.から入手できる、商業的に純粋(>99.95 Ta)なもの)をコールドスプレーして、0.300インチ(約7.62mm)の厚さを提供した。ガスは、1つの事例では窒素、他の事例ではヘリウムであり、これを600℃まで予熱して、3MPaのよどみ点圧力で使用した。粉末およびガスは、Cold Gas Technology GmbH、Ampfing、Germanyから市販されている、Kinetiksガンを使用してスプレーした。円盤は、スプレーした後に、公称厚さ1/4インチ(約6.35mm)まで機械加工し、スパッタ表面は、スパッタリング前に研磨した。(図1を参照されたい)。ターゲットは、標準的なバーンイン手順を経て、次いで、標準的な条件を使用して、DCマグネトロンスパッタリングユニットを使用した薄膜の作製に用いられた。
【0168】
図2は、スパッタリング前のターゲット表面を示している。比較のために、標準的な圧延板ターゲットも、同じ条件下でスパッタリングした。産生された膜の測定した特性を下記の表1に示す。表1は、コールドスプレーしたターゲットから産生された膜が、より良好な均一性を有しているが、採用される膜の厚さをより薄くできるようにし、また、プロセス時のタンタルの無駄が少なく、少ない時間でより小さい回路をエッチングすることができるようにしていることから、集積回路(「IC」)の製造業者には非常に魅力的な特性を有することを示している。改良された均一性は、電気的および物理的特性の両方に、およびチップ上の回路サイズの低減を達成するのに重要である。この改良された均一性は、従来のターゲットと比較して、コールドスプレーしたターゲットの非常に微細でランダムな粒構造に直接的に起因する。
【0169】
この改良された均一性は、図4に示されている使用済みターゲットの表面に直接的に関連付けられる。図4は、圧延インゴット冶金ターゲット(上部)、およびHe(ヘリウム)コールドスプレーしたターゲット(下部)の拡大写真である。スパッタリング後に、圧延ターゲットは、コールドスプレーしたターゲットと比較して、圧延ターゲットの斑紋状の不規則な表面を有する。より滑らかで、非斑紋状のコールドスプレーターゲットの表面は、より均一なスパッタリング率結果として生じる膜を産生する、より均一でテクスチャ化されていない微細構造に起因する(図3を参照されたい)。また、表1には、抵抗率および表面形態が、3つ全ての膜について同様であることも示されている。したがって、コールドスプレーしたターゲットは、圧延インゴットから作製された従来のターゲット以上に良好であると結論され得る。図3はまた、ターゲットから産生された膜が、異なる内部形態を有し、ヘリウムスプレーしたターゲットの場合は、円柱状の内部構造をもたらし(図3A)、ヘリウムスプレーしたターゲットの場合は、等軸内部構造をもたらし(図3B)、また、圧延ターゲットの場合は、比較的に特徴の無い内部構造をもたらす(図3C)ことも示している。
【0170】
【表1】

(実施例2 管状タンタルターゲット実施体の製作および微細構造分析)
管状タンタル実施体(図5を参照されたい)は、実施例1と同じ動作パラメータを使用して製作した。試料は、異なる温度で焼鈍された実施体から切断された。次いで、金属組織取り付け具を準備し、スプレーおよび焼鈍した標本に対して、微細構造分析を行った。特性の要約を表2に示す。試料は、出発粒径の中央値が15.9ミクロン(粒子数に基づく分布)および約2ミクロン(質量に基づく分布)である粉末を使用した実施体に由来するものである。
【0171】
【表2】

表2および図6は、どちらも、スプレー、焼鈍、および熱間等方圧縮(HIP)した状態の、コールドスプレーしたタンタルの特性を明らかにしている。プロセス温度を図に示す。全ての焼鈍は、1.5時間、温度を保持し、HIPサイクルは、3時間、温度を保持した。出発粉末サイズは、高温焼鈍の後であっても、結果として生じる粒径を制御していると思われる。したがって、特徴的に、コールドスプレーした材料の粒径は、44ミクロン未満であり、一方で、インゴット材料は、入念に加工したものであっても一般的に60〜100ミクロン、およびそれよりも大きい粒径を有する。ここでも、この微細な粒径は、より均一な膜をもたらす、ターゲットの重要な特性である。しかしながら、それを機能させるには、全くテクスチャ化されていない微細構造と組み合わせなければならない。
【0172】
図6は、焼鈍中に等軸粒に再結晶化している、スプレーしたときの材料の扁平な、または細長い、あるいはレンズ状の構造を示し、焼鈍の前および後の両方において非常に微細な組織であること、および入念な焼鈍の後であっても、粒径は、元の粉末の粒径と同じままであるか、またはそれよりも小さいことを示している。
【0173】
結晶学的テクスチャの性質が存在することを判定するために、4つのコールドスプレーした試料、および1つのプラズマスプレーした試料を、電子後方散乱回折(EBSD)によって調査した。全て、厚さ方向の試料であり、また全て、EBSDのために配向したので、スプレー方向は、垂直に下方である。
【0174】
材料化学の関連において、「テクスチャ」は、「結晶学的に選択された配向」を意味する。これらの配向が十分にランダムである試料は、いかなるテクスチャも無いと言われる。結晶方位がランダムではなく、いくつかの選択された配向を有する場合、試料は、弱い、強い、または中くらいのテクスチャを有する。EBSDは、標本を約70℃でタイル状にした時に形成される菊池回折パターンを適用することによって、標本の配向情報を得る。
【0175】
試料は、次いで、載置、研磨、およびエッチングされた後に、表3に示されているステップサイズで、高解像度(2および4μmのステップサイズ)または低解像度(50μm)でESBDによって特徴付けられた。ステップサイズの選択は、小さい特徴を見逃さず、一方で、妥当な時間でEBSDの走査を完了するように、試料の粒径に基づいている。
【0176】
【表3】

(結果−コールドスプレー、1450℃で焼鈍)
3つの直交方向に対するテクスチャマップを図7Aに示す。{100}方向の20°の範囲内に配向される粒を青色で示し、{111}方向の20°の範囲内のものを黄色で示し、{110}方向の20°の範囲内のものを赤色で示し、色は、配向のずれが減少するにつれて暗くなる。灰色は、3つの配向の中間に配向された粒を示す。図中の色のランダムな分布は、個々の粒のランダムな分布に起因するものであり、粒が何らかのテクスチャ化を呈する場合は、1つの色が卓越し、すなわち、大部分の粒が{100}方向に配向された場合は、黄色が優位な色となる。
【0177】
極点図(図7B)は、対称性が全く無いことも示し、ここでも微細構造内にテクスチャがないことを示している。テクスチャマップおよび極点図から、試料は、テクスチャバンディングの無いランダムなテクスチャを有し、粒は、小さい粒径でランダムに配向され、いかなる組織的特徴も無いと結論することができる。
【0178】
(結果−コールドスプレー、1150℃で焼鈍)
テクスチャは、図8のテクスチャ粒マップおよび極点図に示されているように、ランダムであった。粒構造は、1450℃で焼鈍した標本のそれよりも微細であった。
【0179】
(結果−コールドスプレー、942℃で焼鈍)
この試料も、図9に示されているように、ランダムなテクスチャを有する。しかしながら、屈折率は、以前の標本に対するものよりも大幅に低く、材料が高い歪みを維持し、低焼鈍温度では再結晶化されなかったことを示している。
【0180】
(結果−コールドスプレー(焼鈍無し))
ここでも、テクスチャは、マップおよび極点図に見られるように、ランダムであり、厚さを通して均一にランダムであることが分かった(図10および11を参照されたい)。この場合、下方の3つのマップは、調査した3つの領域を表し、1番目のものは、最初に蒸着した材料(スプレーした層の底部)であり、最後のものは、最後に蒸着した材料(スプレーした層の上部)である。全て、垂直方向に対するテクスチャを示す(厚さ方向を通してランダム)。
【0181】
(結果−プラズマスプレー)
基板またはバッキングプレート(図12〜13においてマップの下部)は、等軸で、非常に大きい粒であり、圧延および焼鈍した板に特有のテクスチャを有する。マップ内の粒は、主に青色および黄色であり、テクスチャ粒マップの下部1/3だけを含む極点図H3は、{100}//NDおよび{111}//NDにおいて(比較的に弱いピークであるが)ピークを示し、ここでNDは、試料表面に垂直であることを意味する。H3極点図の3倍対称性(3−fold symmetry)は、圧延の証拠である。
【0182】
プラズマ蒸着した材料は、円柱状の粒を示し、多数の低角度の境界(粒マップ内で赤色)を有する。極点図H1(テクスチャ粒マップの上部3つ)に示されているように、主に{100}//NDであり、マップ内では青色が優勢である。極点図H1は、事実上、軸対称である。
【0183】
円柱状粒の下方の均質な粗さの等軸ゾーンの起源および原因は、未知である。
【0184】
H1およびH3極点図は、含まれる点の数が非常に少ないので、無関係なピークの導入を回避するように、(通常の10°に対して)15°のスムージング角度の半幅によって作製した。
【0185】
手短に言えば、上述のEBSD分析は、焼鈍温度に関係無く、コールドスプレーし、焼鈍したコールドスプレーターゲットにおいて、完全にランダムで、テクスチャ化されていない微細構造を示している。プラズマスプレーしたターゲットは、有意なテクスチャを示した。
【0186】
(実施例3 TaNbをコールドスプレーしたターゲット)
50/50 w/0のNbTa長方形ターゲットを、銅のバッキングプレート上に直接的にコールドスプレーした。図14は、蒸着物におけるスプレーしたときの応力によるCu板内に産生された3mmの湾曲を示している。バッキングプレートは、それらの嵌合フランジを封止するように、平坦でなければならない。湾曲は、機械加工中に応力を簡単に再分配し、継続的なゆがみをもたらすので、機械加工し除くことができない。湾曲は、スプレーしたときのTa、TaNb、およびコールドスプレーした蒸着物が、一般に、非常に限られたじん性しか持たないので、機械的に加圧し除くこともできない(図15)。
【0187】
しかしながら、実験は、焼鈍によってじん性が大幅に改善され得ることを示した。図16は、1.5時間、950℃で焼鈍した後の、Taの蒸着物が、永久変形するまで塑性変形し得ることを示している。銅のバッキングプレートをターゲットから除去し、次いで、ターゲットを、焼鈍し、曲がりを平坦にして、機械加工した(図17)。
【0188】
この実施例から、従来の銅およびアルミニウムのバッキングプレート材料は、コールドスプレーによる耐火金属ターゲットには理想的ではないことも明らかである。それらは、高熱伝導率を有するが、それらの弾性係数は、低くなる傾向があり(反りを助長する)、耐火金属と整合しない大きい熱膨張係数(「CTE」)を有し(反りを助長し、焼鈍中のターゲットとバッキングプレートとの間の結合破壊の可能性を高める)、そして低融点を有する(バッキングプレートが付着する間、焼鈍プロセスを妨げる)。表4は、Mo、Ti、または316ステンレス鋼のような材料が、コールドスプレープロセス中(高弾性係数)の湾曲に抵抗する特性のより良好な組み合わせをし、耐火金属に必要である高温での焼鈍を行うことができる(CTEは、耐火金属のそれに近く、高融点である)ことを示している。
コールドスプレーは、上述したCTEの不整合および結果として生じる問題を解決する、多層ターゲットの作製に使用することができる。スパッタリング可能なターゲット材料を、バッキングプレート上に直接的にスプレーする代わりに、バッキングプレートとターゲット材料との間のCTEを有する、めっきまたは被覆を最初にスプレーすることもできる。これらの中間層は、0.25〜2.0mmの厚さを有し得る。このような層にスプレーする1つの方法は、バッキングプレート材料およびターゲット材料を含む粉末の混合物を使用することである。
【0189】
【表4】

(実施例4 コールドスプレーされたNbTaターゲットのスパッタリング)
擬合金(TaおよびNb粉末が、化学的に別々のままである)ターゲットを、18”(約457.2mm)×5”(約127mm)の平面マグネトロン陰極スパッタリング装置内に配置した。ターゲット寸法は、4”(約101.6mm)×17”(約431.8mm)×約0.125”(約3.18mm)であった。
【0190】
次の3つの試験を行った。ストレート金属蒸着(straight metal deposition)、酸化物蒸着、および窒化物蒸着。使用した条件および得られた結果を以下に記載する。
【0191】
(ストレート金属蒸着)
スパッタリングは、1.0×10−3トール(基本圧力:4×10−5トール)、5.0キロワット、550ボルト、約73ワット/インチで、100sccmのアルゴンガスを使用して行った。ターゲットは、最初から非常にうまくスパッタリングされた。いかなるアークの発生も無く、安定性のためのいかなる実際の「バーンイン」時間も不要である。
【0192】
1401オングストロームの最終膜厚が、ガラススライド上に蒸着された(Dektak 2Aマイクロプロフィロメータで測定)。これは、1オングストローム/(ワット/インチ)/蒸着時間(秒)の割合であり、NbおよびTaの個々の割合よりもわずかに高い。3.7Ω/平方の膜抵抗(4点プローブによってガラススライド上で測定)。これは、51.8 Ω−cmとなる。
【0193】
予想された低効率の約28 Ω−cmよりも高い。この材料は、バックグラウンド圧力(不純物)に敏感であり、適切な抵抗率には、−5〜−6トールの範囲の低圧までポンピングする必要があり得る。膜の太陽光吸収は、0.41である(ASTM5903およびE490それぞれについて測定および計算)。
【0194】
(酸化物蒸着)
スパッタリングは、1.2〜3トールで、100sccmのアルゴン、および90sccmの酸素を使用して行った(酸素レベルを下げるにつれて、徐々に金属モードに切り替わる結果となった)。680ボルトで3.0キロワット(44ワット/in)。これは、金属モードよりも酸化物モードの方が高いスパッタリング電圧を有する、数少ない材料のうちの1つである。20kHzで作動するSpark−Leユニットを伴うMDX D.C.電源を使用したが、ここでも、アークの発生が無く、問題も無い、非常に安定したスパッタリングプロセスを得た。スパッタリングは、金属の率の40%であった。このプロセスは、透過光がわずかにピンク色を帯び、反射光がわずかに緑色を帯びた、非常に良好な外観の透明フィルムを提供した。最終膜厚は、4282オングストロームであった。算出された屈折率は、2.8である。これは、タンタルおよびニオブの酸化物それぞれの屈折率(約2.2〜2.3)よりも高い。
【0195】
(窒化物蒸着)
スパッタリングは、100sccmのアルゴン、および200sccmの窒素を使用し、約2.0×10−3トールのスパッタリング圧力で行った。窒化物は、うまくスパッタリングされ、非常に安定していた。しかしながら、多数のプロセスを試行した後であっても、透明な窒化物被覆を産生することはできなかった。MDXおよびSparc−Leユニットでは、3.0キロワットで良好に機能した。スパッタリングは、金属の率の51%であった。最終膜厚は、69Ω/平方で1828オングストロームであった。(1260μΩ−cm)。太陽光吸収は、0.59と測定された。
【0196】
観察された結果のうちのいくつかは、以下の通りである。
【0197】
金属モードでは、非常にうまくスパッタリングする。
【0198】
酸化物モードでは、非常に良好にスパッタリングする。
【0199】
いかなるアークの発生も無かったが、これは、ターゲット中の酸化物含有量が安定しており、ターゲットが蒸着中に誘電体層を構築していなかったことを意味する。非常に高い屈折率の酸化物が、位置および時間による化学的性質の関数として変動し、定量化され、測定された。
【0200】
レーストラック(race track)は非常に明確であり、レーストラック内にはいかなる変色も無い。
【0201】
ターゲットは、全体的に良好な割合で蒸着する。
【0202】
ターゲットは、75ワット/inに変換する5kWのピーク電力で行った。参考のために、TiまたはNi−Crは、35ワット/inでスパッタリングされる。
【0203】
ターゲットの電力は、1kWの増分で上昇させたが、いかなる問題も生じなかった。
【0204】
高電力時に、ターゲットの伸張、過度の加熱に関して、いかなる問題も生じなかった。
【0205】
寸法安定性は良好であり、クランプまたは縁部にはいかなる問題も生じなかった。
【0206】
(実施例5 銅のバッキングプレート上にコールドスプレーしたTaNbターゲットの焼鈍および平坦化)
17”(約431.8mm)×1.5”(約38.1mm)×0.300”(約7.62mm)のTaNb蒸着物を、厚さ0.500”(約12.7mm)のCuバッキングプレート上にスプレーした。純粋なTaNbをスプレーする前に、厚さ約0.030”(約0.76mm)の50%Cu、50%(TaNb)の層を、Cu上にスプレーして、中間コンプライアントCTEの層を提供した。スプレーされたアセンブリには、中間点に約0.2”(約5.08mm)の湾曲が生じた。ターゲットアセンブリは、次いで、1.5時間、825℃で真空焼鈍したが、これは、ニオブの回復を導いて、それにじん性をもたせるのに十分である。冷却後、ターゲットアセンブリを、加圧機内に配置して、0.010”(約0.25mm)の範囲まで成功裏に加圧して平坦にし、仕上げ加工を行った。
【0207】
(実施例6 熱間等方圧縮(HIP)によって、およびコールドスプレーによって作製される、約50/50のa/o組成のMoTiスパッタリングターゲット)
MoTi合金系は、100%の固溶度を呈さず、複数の有害な脆性中間相を含む。MoおよびTiを液体状態で合金にする時に、これらの相は不可避である。HIPパラメータの開発における目標は、これらの相の形成を最小限に抑えることである。しかし、2つの成分の相互拡散のため、十分な密度を達成すべき場合、これらの相は不可避である。図19は、7時間、15,000ksi、825℃でHIP処理した粉末における、これらの有害な相の存在を明確に示している。第3相材料の厚さ15〜20ミクロンのゾーンは、チタニウムおよびモリブデンの両方の粉末を囲むが(図19)、MoおよびTiのいかなる相互拡散も無く、純粋なMo元素および純粋なTi元素の相だけが、コールドスプレーによって産生されたターゲット内に存在することを示している。図20は、1.5時間、700℃で焼鈍した後であっても、実質的にいかなる相互拡散も無く、またこの倍率では、視認できるいかなる有害な相も形成されなかったことを示している。
【0208】
(タングステン−銅(WCu)複合材の熱管理材料を作製するためのコールドスプレー条件を以下に列挙する)
装置:Cold Gas Technology GmbH(Germany)、Kinetiks 3000またはKinetiks 4000
コールドスプレー条件:600〜900℃および圧力2.0〜4.0MPaで窒素雰囲気、粉末送給率30〜90グラム/分、スプレー距離10〜80mm。
【0209】
好適な条件:800〜900℃、および圧力3〜3.8MPa、粉末送給率30〜50グラム/分、スプレー距離20〜40mm。
【0210】
使用した粉末:
タングステン(W):AMPERIT(登録商標)140、25/10μm粒径カット、焼結、および銅(Cu):AMPERIT(登録商標)190、35/15μm、ガス噴霧。材料はどちらもH.C.Starck Gmbhによって作製されたものである。コールドスプレーされるWCuの試料は、約50%体積のWおよび50%のCuを混合することによって作製され、紛体送給機CGS Cold Spray Systemを通じて送給して、WCu複合材を作製した。基板は、ステンレス鋼またはチタニウムとすることができる。複合構造体と基板との間の接合は、極めて良好である。W−Cu(50/50体積%)の微細構造を、図21Aおよび21Bに示す。
【0211】
下表は、スプレーしたWCuが、193W/m・Kの熱的伝導性、および13.49ppm/℃の熱膨張係数を有することを示している。2時間、および4時間にわたる、1600°F(871℃)での焼鈍は、熱伝導率および熱膨張係数の有意な改善を示した。それは、焼鈍が、コールドスプレー熱管理材料の、熱伝導率を有意に高めるための、および、熱膨張係数を低下させるための重要なステップであることを明確に実証している。
【0212】
【表5】

コールドスプレー技術によって作製される熱管理生成物は、以下の組成を有する。
【0213】
WCu複合材:W含有量は、10%から85%まで変動する。MoCu複合材:Mo含有量は、10%から85%まで変動する。
コールドスプレープロセスによって作製される複合材の熱管理用途のための主な特徴を以下に示す。
(a)Cu−扁平な微細構造であり、Ag、Al、またはAu等の他の材料を使用することもできる。
(b)MoまたはWは、実質的にその粒子形態または凝集粒子を維持する。アルミニウム窒化物(AlN)、炭化ケイ素(SiC)等の他の材料を使用することもできる。W−Cu(50/50体積%)の微細構造を図26AおよびBに示す。
【0214】
本発明は、複合構造体を基板上に形成するように、耐火粉末および高熱伝導金属粉末から成る粉末の混合物をコールドまたは動的スプレーするステップを含む、プロセスによって作製される、熱管理材料を提供する。
【0215】
熱伝導金属粉末は、Cu、Al、Ag、Auであり、基板は、ステンレス鋼基板である。
【0216】
プロセスは、ステンレス鋼基板が機械加工によって除去できることも提供する。
【0217】
上述した全ての参考文献は、全ての有用な目的に対して、参照することによりその全体が組み込まれる。
【0218】
本発明を具体化した特定の構成を図示して説明したが、当業者には、基礎を成す本発明の概念の精神および範囲から逸脱することなく、各部分の種々の変更および再編成が行われてもよく、また、それらは、本願明細書に図示して説明した特定の形態に限定されないことは明らかとなるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
44ミクロン未満の微細で均一な等軸粒構造を備え、電子後方散乱回折(「EBSD」)によって測定されたときに、選択されたテクスチャ配向が無く、ターゲット本体の全体を通して粒径のバンディングまたはテクスチャのバンディングを示さない、スパッタリングターゲット。
【請求項2】
前記ターゲットは、所望のスパッタリング材料の層、および少なくとも1つの付加層をバッキングプレートの界面において組み込む層状組織を有し、該層は、該バッキングプレートの熱膨張係数(「CTE」)と、該スパッタリング材料の層のCTEとの間のCTE値を有する、請求項1に記載のターゲット。
【請求項3】
レンズ状の、または扁平な粒構造を有するスパッタリングターゲットであって、電子後方散乱回折(「EBSD」)によって測定されたときに、選択されたテクスチャ配向が無く、該ターゲット本体の全体を通して粒径またはテクスチャのバンディングを示さず、該ターゲットが、該スパッタリング材料の層、および少なくとも1つの付加層をバッキングプレートの界面において組み込む層状組織を有し、該層は、該バッキングプレートの熱膨張係数(「CTE」)と、該スパッタリング材料の層のCTEとの間のCTE値を有する、スパッタリングターゲット。
【請求項4】
平均粒径は、20ミクロンよりも小さく、好ましくは10ミクロンよりも小さく、および/または実質的に粒子間拡散が無い、請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載のターゲット。
【請求項5】
付加的な態様でスパッタリングターゲットアセンブリを製造するプロセスであって、
ターゲットアセンブリが単一のステップで製造されるように、粉末スプレーを介して、ターゲット粉末材料をバッキングプレートまたはバッキングチューブ上に直接的に蒸着するステップと、
その後、該バッキングプレートまたはバッキングチューブを最終的なターゲットアセンブリ寸法に機械加工するステップと
を含み、該ターゲットは、44ミクロン未満の微細で均一な等軸粒構造を備え、電子後方散乱回折(「EBSD」)によって測定されたときに、実質的に粒子間拡散が無く、選択されたテクスチャ配向が無く、該ターゲット本体の全体を通して粒径またはテクスチャのバンディングを示さない、
プロセス。
【請求項6】
前記スプレーは、コールドスプレーまたは動的スプレーによって行われ、前記ターゲットは、電子後方散乱回折(「EBSD」)によって測定されたときに、選択されたテクスチャ配向が無く、該ターゲット本体の全体を通して粒径またはテクスチャのバンディングを示さない、粒子間拡散が無いことを特徴とする、レンズ状または扁平な粒構造を有する、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
請求項5または6に記載のプロセスであって、該プロセスは、ガス流をターゲット上に方向付けるステップを含むコールドスプレープロセスであり、該ガス流は、ニオブ、タンタル、タングステン、モリブデン、チタニウム、ジルコニウム、およびそれらのうちの少なくとも2つの混合物、またはそれらのうちの少なくとも2つまたは他の金属とのそれらの合金から成る群より選択される材料の粉末を有するガス・粉末混合物を形成し、該粉末は、0.5〜150μmの粒子径を有し、超音速が該ガス流に付与され、該超音速の噴流が該ターゲットの表面上に方向付けられ、それによって、ターゲットに、(厚さを通じて)微細で、完全にランダムかつ均一にランダムな粒径および結晶学的テクスチャをコールドスプレーする、プロセス。
【請求項8】
ターゲットと、バッキングプレート材料とを備える、ターゲットアセンブリであって、該バッキングプレート材料および該ターゲットの熱膨張係数は、密接に一致し、該バッキングプレート材料の融点は、該ターゲット材料を焼鈍することができる温度を上回る、少なくとも200℃である、ターゲットアセンブリ。
【請求項9】
複数の金属粉末のターゲットを作製するためのプロセスであって、望ましくない相の形成をもたらす、検出可能な該金属の相互拡散が無いように、ターゲットとバッキングプレートとの間にコンプライアンスを提供するように金属粉末の混合物を該バッキングプレートに塗布するステップを含む、プロセス。
【請求項10】
薄膜を作製するための方法であって、
(a)請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の前記スパッタリングターゲットをスパッタリングするステップと、
(b)該ターゲットから金属原子を除去するステップと、
(c)それらの金属原子を含む薄膜を基板上に形成するステップと
を含む、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の前記方法に従って作製される、薄膜。
【請求項12】
請求項11に記載の前記薄膜を備える、フラットパネルディスプレイデバイス。
【請求項13】
太陽電池デバイス、半導体デバイス、被覆した建築用ガラス、インクジェット印刷ヘッド、光学被覆、または拡散障壁層における、請求項12に記載の前記膜の使用。
【請求項14】
その耐用年数の終わりまで事前にスパッタリングされ、次いで、侵食された体積に高密度化粉末を充填することによって修復されて、請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の前記微細構造を有するターゲットの全体積となる、スパッタリングターゲットおよびスパッタリングターゲットアセンブリ。
【請求項15】
その耐用年数の終わりまで事前にスパッタリングされ、次いで、侵食された体積に高密度化粉末を充填することによって修復されて、元の材料よりも粒径が有意に微細である新しい材料の等軸微細構造となる、スパッタリングターゲットおよびスパッタリングターゲットアセンブリ。
【請求項16】
複合構造体を基板上に形成するように、耐火粉末および高熱伝導金属粉末から成る粉末の混合物をコールドまたは動的スプレーするステップを含む、プロセスによって作製される、熱管理材料。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21A】
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【図21B】
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【公表番号】特表2010−526211(P2010−526211A)
【公表日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−506677(P2010−506677)
【出願日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【国際出願番号】PCT/US2008/062434
【国際公開番号】WO2008/137689
【国際公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(509303512)エイチ.シー. スターク インコーポレイテッド (4)
【出願人】(508148057)エイチ.シー.・スターク・ゲーエムベーハー (1)
【氏名又は名称原語表記】H.C. Starck GmbH
【住所又は居所原語表記】Im Schleeke 78−91, D−38642 Goslar, Germany
【Fターム(参考)】