説明

垂直バス回路

【課題】低コストで、低消費電力の垂直バス回路を提供する。
【解決手段】垂直バス回路は、バスデバイスの間で信号を伝送するための複数のデバイスを含む。複数のデバイスは、複数の共通電圧レベルを共有する。デバイスのそれぞれは、バスブロックと、それぞれ共通電圧レベルのうちの第1の電圧レベルおよび第2の電圧レベルによって電力供給される2つの入力/出力(I/O)デバイスを含む。バスブロックは、2つのI/Oデバイスの間の信号伝送を可能にし、共通電圧レベルは、デバイスの間の信号伝送を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号伝送を可能にする回路に関するものであり、例えば電池管理システムにおける信号伝送を可能にするバス回路に関するものである。
関連出願
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、2009年1月6日に出願した米国仮出願第61/142,685号、および2009年1月6日に出願した米国仮出願第61/142,689号の優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、Liイオン電池は、電気自動車(EV)およびハイブリッド電気自動車(HEV)などの環境に優しい車両に用いられてきている。Liイオン電池における単一のセルの実用的な電圧は約3〜4ボルトであるが、通常、EVおよびHEVは100ボルトを超えるまでの高い電圧を必要とする。通常、EVおよびHEVを駆動するために、複数のセルが互いに直列に結合される。
【0003】
電池管理のためには、いくつかのセルが1つまたは複数の電池パックとして構成され、電圧および温度などの電池パックまたはセルの状態を評価するために、各電池パックにアナログフロントエンド(AFE)デバイスが結合される。電池パックまたはセルの状態を示すデジタルデータは、電池保護など様々な目的のためにマイクロプロセッサに転送される。また、マイクロプロセッサと各AFEデバイスの間の通信バスが必要になる。
【0004】
図1は、オプトカプラをベースとする垂直バスを有する従来の電池管理システム100を示す。AFEデバイス122、124、および126は、電池パック内の各セルの状態にアクセスするために、それぞれ電池パック112、114、および116に結合される。オプトカプラブロック132、134、および136は、AFEデバイス122、124、および126と中央電子制御ユニット(CECU)140の間の通信バスを確立する。各オプトカプラブロックは、バスの各線のために2つのオプトカプラを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国仮出願第61/142,685号明細書
【特許文献2】米国仮出願第61/142,689号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
オプトカプラをベースとする垂直バスを有する従来の電池管理システム100は、オプトカプラが比較的高価であり、その駆動能力はミリアンペアの電流を必要とするので、コストが高く、電力消費が大きいという難点がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態では、垂直バス回路は、バスデバイスの間で信号を伝送するための複数のデバイスを含む。複数のデバイスは、複数の共通電圧レベルを共有する。デバイスのそれぞれは、バスブロックと、それぞれ共通電圧レベルのうちの第1の電圧レベルおよび第2の電圧レベルによって電力供給される2つの入力/出力(I/O)デバイスを含む。バスブロックは、2つのI/Oデバイスの間の信号伝送を可能にし、共通電圧レベルは、デバイスの間の信号伝送を可能にする。
【0008】
本願発明の要旨についての実施形態の特徴および利点は、以下の詳細な説明とともに、同じ番号は同じ部品を示す図面を参照することにより明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】オプトカプラをベースとする垂直バスを有する従来の電池管理システムを示す図である。
【図2】本発明の一実施形態による垂直バス回路を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態による垂直バス回路を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態による垂直バス回路を示す図である。
【図5】本発明の他の実施形態による垂直バス回路を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態による電池管理システムのための垂直バストポロジを示す図である。
【図7】本発明の他の実施形態による電池管理システムのための垂直バストポロジを示す図である。
【図8】本発明の一実施形態による電池管理システムを示す図である。
【図9】本発明の他の実施形態による電池管理システムを示す図である。
【図10】本発明の一実施形態による信号伝送を可能にするための方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明の実施形態を詳細に参照する。本発明について、これらの実施形態に関連して説明するが、これは本発明をそれらの実施形態に限定するものではないことが理解される。これに反して本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の趣旨および範囲内に含むことができる、代替形態、変更形態、および均等物を包含するものである。
【0011】
本明細書で説明される実施形態は、1つまたは複数のコンピュータまたは他のデバイスによって実行される、プログラムモジュールなどの何らかの形のコンピュータ使用可能媒体上にあるコンピュータ実行可能命令との一般的な関連において考察することができる。一般にプログラムモジュールは、特定のタスクを実行するまたは特定の抽象データタイプを実装する、ルーチン、プログラム、オブジェクト、構成要素、データ構造体などを含む。様々な実施形態において、プログラムモジュールの機能は、望むように組み合わせるまたは分散させることができる。
【0012】
以下の詳細な説明のいくつかの部分は、手順、論理ブロック、処理、およびコンピュータメモリ内のデータビットに対する操作の記号表示によって示される。これらの記述および表示は、データ処理技術分野の当業者によって、彼等の業務の実質を最も効率的に他の当業者に伝えるために用いられる手段である。本出願では、手順、論理ブロック、処理などは、所望の結果をもたらす、ステップまたは命令の首尾一貫したシーケンスであると理解される。これらのステップは、物理量の物理的な操作を必要とするものである。必然ではないが、通常これらの量は、コンピュータシステム内で、記憶、転送、組み合わせ、比較、および他の操作をすることができる電気的または磁気的信号の形をとる。
【0013】
しかしこれらのすべて、および同様な用語は適当な物理量に関連付けられるべきものであり、単にこれらの量に付された便宜上のラベルに過ぎないことを念頭に置くべきである。以下の考察から明らかなように別段の指定がない限り、本出願を通して、「伝送する」「発行する」「アクセスする」「変換する」「用いる」「電力供給する」などの用語を用いた考察は、コンピュータシステムのレジスタおよびメモリ内の物理量(電気量)として表されるデータを操作して、コンピュータシステムメモリまたはレジスタまたは他のそのような情報記憶、伝送、または表示デバイス内の同様に物理量として表される他のデータに変換する、コンピュータシステムまたは同様な電子計算デバイスの動作および処理を指すことを理解されたい。
【0014】
例として、非限定的に、コンピュータ使用可能媒体は、コンピュータ記憶媒体および通信媒体を含み得る。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造体、プログラムモジュール、または他のデータなどの、情報の記憶のための任意の方法または技術で実施された、揮発性および不揮発性、リムーバブルおよび非リムーバブル媒体を含む。コンピュータ記憶媒体は、非限定的に、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、電気的消去可能プログラマブルROM(EEPROM)、フラッシュメモリ、または他のメモリ技術、コンパクトディスクROM(CD-ROM)、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、または他の光記憶、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶デバイス、または他の磁気記憶デバイス、または所望の情報を記憶するために用いることができる他の任意の媒体を含む。
【0015】
通信媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造体、プログラムモジュール、または他のデータを、搬送波または他の移送機構などの変調されたデータ信号において実施することができ、任意の情報配送媒体を含む。「変調されたデータ信号」という用語は、信号内に情報を符号化するように設定または変化される、その1つまたは複数の特徴を有する信号を意味する。例として、非限定的に、通信媒体は、有線ネットワークまたは直接有線接続などの有線媒体と、音響、無線周波数(RF)、赤外線、および他の無線媒体などの無線媒体とを含む。上記のうちの任意の組み合わせも、コンピュータ可読媒体の範囲に含まれるべきである。
【0016】
さらに、本発明の以下の詳細な説明では、本発明の完全な理解を得るために、数多くの特定の詳細が述べられる。しかし、本発明は、これらの特定の詳細がなくても実施できることが当業者には理解されよう。他の場合において、良く知られた方法、手順、構成要素、および回路は、本発明の態様が不必要に不明瞭にならないように、詳細には述べていない。
【0017】
図2は、本発明の一実施形態による垂直バス回路200を示す。垂直バス回路200は、3つのバスブロック220、230、および240と、複数の抵抗器262、264、266、および268とを含む。図2に示されるように、バスブロック220、230、および240は、互いに似ている。図2には3つのバスブロックが示されるが、本発明はそのように限定されない。他の実施形態では、垂直バス回路200は3つより多いまたは3つより少ないバスブロックを含むことができる。
【0018】
バスブロック220、230、および240は、それぞれ異なる電圧を使用することができる。バスブロック220を例にとると、バス信号は、バスブロック220の入力ポート212に入力され、バスブロック230へ送られる。バスブロック220の入力ポート212では、ローレベル電圧はV0であり、ハイレベル電圧はV1である。バス信号が、ノード214にてバスブロック230へ送られるときは、ローレベル電圧はV2であり、ハイレベル電圧はV3であり、V2およびV3は、それぞれV0およびV1とは異なる。同様に、バス信号は、バスブロック230からバスブロック240へ送ることができる。
【0019】
バスブロック220、230、および240は、バス信号を、(図2の向きに関して)上方向に送る。たとえば、垂直バス回路200では、バスブロック220は最下バスブロックとなり、バスブロック240は最上バスブロックとなる。バス信号は、バスブロック220の入力ポート212に入力され、バス信号は、バスブロック240へ送られ、バスブロック240の出力ポート218から出力される。
【0020】
一実施形態では、バスブロック220は、上方向信号経路222と、インバータゲート272および294と、FET284とを含む。一実施形態では、上方向信号経路222は、FET223、224、225、226、227、および228と、インバータゲート229とを含む。バスブロック230は、上方向信号経路232と、インバータゲート274および296と、FET286とを含む。上方向信号経路232は、FET233、234、235、236、237、および238と、インバータゲート239とを含む。バスブロック240は、上方向信号経路242と、インバータゲート276および298と、FET288とを含む。上方向信号経路242は、FET243、244、245、246、247、および248と、インバータゲート249とを含む。
【0021】
バスブロック220、230、および240内の上方向信号経路222、232、および242は、バス信号を低電圧レベルから高電圧レベルに変換(増加すなわちシフト)する。たとえば、バスブロック220内の信号経路222は、バス信号を低電圧レベル(VDD=V1、GND=V0)から、高電圧レベル(VDD=V3、GND=V2)に変換する。
【0022】
一実施形態では、バスブロック220のインバータゲート294およびFET284と、抵抗器264と、バスブロック230のインバータゲート274は、バス信号をバスブロック220からバスブロック230へ送る。一実施形態では、同様にバスブロック230のインバータゲート296およびFET286と、抵抗器266と、バスブロック240のインバータゲート276は、バス信号をバスブロック230からバスブロック240へ送る。
【0023】
バスブロック220の入力ポート212に入力されたバス信号がハイ状態、すなわち入力ポート212でのバス信号入力の電圧がV1のときは、FET227はターンオフされ、FET228はターンオンされ、それによりノード252の電圧はローに駆動される。FET223のゲート電圧はローに駆動されてFET223をターンオンする。したがって、FET223のドレインのノード256の電圧はハイに駆動され、FET284のゲートの電圧はインバータゲート294によってローに駆動されてFET284をターンオフする。FET284はノード214にバス信号を出力するように抵抗器264に結合され、ノード214の電圧はハイ状態(電圧はV3)となる。
【0024】
一方、入力ポート212からのバス信号入力がロー状態、すなわち入力ポート212でのバス信号入力の電圧がV0のときは、FET228はターンオフされ、FET227はターンオンされ、それによりノード256の電圧はローに駆動される。FET284のゲートの電圧はハイに駆動されてFET284をターンオンする。FET284はノード214にバス信号を出力するように抵抗器264に結合され、ノード214の電圧はロー状態(電圧はV2)となる。
【0025】
一実施形態では、ノード256および252の電圧のフルスイングを低減するために、それぞれFET225および226を組み込むことができる。それによりノード256および252の電圧は、V3からV2までのフルスイングを有する。その結果、電力消費を低減することができ、バス信号速度を増加することができる。
【0026】
したがって、バス信号は、バスブロック220を通じて入力ポート212からノード214へ送ることができる。同様にして、バス信号は、バスブロック230を通じてノード214からノード216へ送ることができ、次いでバスブロック240を通じて出力ポート218に出力することができる。言い換えれば、バス信号は、低電圧レベル(VDD=V1、GND=V0)から高電圧レベル(VDD=V7、GND=V6)に変換される。したがって、入力ポート212でのバス信号入力がハイ状態のときは、出力ポート218での出力バス信号はハイ状態となり、OUT=1となる。入力ポート212でのバス信号入力がロー状態のときは、出力ポート218での出力バス信号はロー状態となり、OUT=0となる。
【0027】
図3は、本発明の一実施形態による垂直バス回路300を示す。垂直バス回路300は、3つのバスブロック320、330、および340と、複数の抵抗器362、364、366、および368とを含む。図3に示されるように、バスブロック320、330、および340は、互いに似ている。図3には3つのバスブロックが示されるが、本発明はそのように限定されない。
【0028】
バスブロック320、330、および340は、異なる電圧を使用する。バスブロック320を例にとると、バス信号は、バスブロック320の入力ポート312に入力され、バスブロック330へ送られる。バスブロック320の入力ポート312では、ローレベル電圧はV6であり、ハイレベル電圧はV7である。バス信号がノード314にてバスブロック330に送られるときは、ローレベル電圧はV4であり、ハイレベル電圧はV5である。同様にバス信号は、バスブロック330からバスブロック340へ送ることができる。
【0029】
バスブロック320、330、および340は、バス信号を、(図3の向きを考慮して)下方向に送る。たとえば、垂直バス回路300において、バスブロック320は最上バスブロックとなり、バスブロック340は最下バスブロックとなる。バス信号はバスブロック320の入力ポート312に入力され、バス信号はバスブロック340へ送られ、バスブロック340の出力ポート318から出力される。
【0030】
一実施形態では、バスブロック320は、下方向信号経路322と、インバータゲート372および394と、FET384とを含む。一実施形態では、下方向信号経路322は、FET323、324、325、326、327、および328と、インバータゲート329とを含む。バスブロック330は、下方向信号経路332と、インバータゲート374および396と、FET386とを含む。下方向信号経路332は、FET333、334、335、336、337、および338と、インバータゲート339とを含む。バスブロック340は、下方向信号経路342と、インバータゲート376および398と、FET388とを含む。下方向信号経路342は、FET343、344、345、346、347、および348と、インバータゲート349とを含む。
【0031】
バスブロック320、330、および340内の下方向信号経路322、332、および342は、バス信号を高電圧レベルから低電圧レベルに変換する。たとえば、バスブロック320内の信号経路322は、バス信号を高電圧レベル(VDD=V7、GND=V6)から低電圧レベル(VDD=V5、GND=V4)に変換する。
【0032】
一実施形態では、バスブロック320のインバータゲート394およびFET384と、抵抗器364と、バスブロック330のインバータゲート374は、バス信号をバスブロック320からバスブロック330へ送る。一実施形態では、同様にバスブロック330のインバータゲート396およびFET386と、抵抗器366と、バスブロック340のインバータゲート376は、バス信号をバスブロック330からバスブロック340へ送る。
【0033】
バスブロック320の入力ポート312でのバス信号入力がハイ状態で、IN=1、すなわち入力ポート312でのバス信号入力の電圧がV7のときは、FET328はターンオフされ、FET327はターンオンされ、それによりノード356の電圧はハイに駆動される。次いで、FET384のゲートの電圧はローに駆動されてFET384をターンオフする。FET384は、ノード314にバス信号を出力するように抵抗器364に結合され、ノード314の電圧はハイ状態(電圧はV5)となる。
【0034】
一方、入力ポート312でのバス信号入力がロー状態で、IN=0、すなわち入力ポート312でのバス信号入力の電圧がV6のとき、FET327はターンオフされ、FET328はターンオンされ、それによりノード352の電圧はハイに駆動される。FET323のゲート電圧は、ハイに駆動されてFET323をターンオンする。したがって、FET323のドレインのノード356の電圧はローに駆動され、FET384のゲートの電圧は、インバータゲート394によってハイに駆動されてFET384をターンオンする。FET384は、ノード314にバス信号を出力するように抵抗器364に結合され、ノード314の電圧はロー状態(電圧はV4)となる。
【0035】
一実施形態では、ノード356および352の電圧のフルスイングを低減するために、それぞれFET325および326を組み込むことができる。それによりノード356および352の電圧は、それぞれV5からV4までのフルスイングを有する。その結果、電力消費を低減することができ、バス信号速度を増加することができる。
【0036】
したがって、バス信号は、バスブロック320を通じて入力ポート312からノード314へ送ることができる。同様にして、次いでバス信号は、バスブロック330を通じてノード314からノード316へ送ることができ、次いでバスブロック340を通じて出力ポート318に出力することができる。したがって、入力ポート312でのバス信号入力がハイ状態のときは、出力ポート318での出力バス信号はハイ状態となり、OUT=1となる。入力ポート312でのバス信号入力がロー状態のときは、出力ポート318での出力バス信号はロー状態となり、OUT=0となる。
【0037】
図4は、本発明の一実施形態による垂直バス回路400を示す。モジュール化された電池410は、3つの電池パック412、414、および416を含む。図4の実施例では、垂直バス回路400は、1線式バス用に構成され、3つのバスブロック420、430、および440と、複数の抵抗器462、464、466、および468とを含む。バスブロック420、430、および440のそれぞれは同一であり、一実施形態では集積回路(IC)チップとして形成することができる。
【0038】
垂直バス回路400は、電池410に結合され、電池管理システム内の信号伝送を可能にするために用いられるが、本発明はそのように限定されない。図4では、3つのバスブロックが示されるが、本発明はそのように限定されない。
【0039】
電池パック412、414、および416のそれぞれは、互いに直列に結合された複数のセルを含む。モジュール化された電池410は、8つの電圧V0、V1、V2、V3、V4、V5、V6、およびV7を供給する。一実施形態では、V1とV0の間、V3とV2の間、V5とV4の間、およびV7とV6の間の電圧差は、互いに等しい。電圧差は、電池パック内の1つのセルの電圧に等しくすることができ、または電圧差は、電池パック内のいくつかのセルの電圧の和に等しくすることができる。
【0040】
図4の実施例では、バスブロック420は、信号経路と、I/Oデバイス426および428とを含む。同様に、バスブロック430は、信号経路と、I/Oデバイス436および438とを含む。バスブロック440は、信号経路と、I/Oデバイス446および448とを含む。一実施形態では、バスブロック420内の信号経路は、上方向信号経路422および下方向信号経路424を含むことができる。同様に、バスブロック430内の信号経路は、上方向信号経路432および下方向信号経路434を含むことができる。バスブロック440内の信号経路は、上方向信号経路442および下方向信号経路444を含むことができる。
【0041】
一実施形態では、上方向信号経路422、432、および442は、図2に示される上方向信号経路222、232、および242と同様である。一実施形態では、下方向信号経路424、434、および444は、図3に示される下方向信号経路342、332、および322と同様である。
【0042】
他の実施形態では、垂直バス回路400は、2線式バス用に、それぞれが2つの上方向信号経路と、2つの下方向信号経路と、4つのI/Oデバイスとを有するバスブロックを含むことができる。
【0043】
有利には、バスブロック420、430、および440は、複数の共通電圧レベルを共有する。さらに、複数の共通電圧レベルは、バスブロック420、430、および440の間の信号伝送を可能にする。たとえば、バスブロック420内のI/Oデバイス426および428は、それぞれ電圧レベル(VDD=V1、GND=V0)、および電圧レベル(VDD=V3、GND=V2)によって電力供給される。バスブロック430内のI/Oデバイス436および438は、それぞれ電圧レベル(VDD=V3、GND=V2)、および電圧レベル(VDD=V5、GND=V4)によって電力供給される。したがって、バスブロック420および430は、電圧レベル(VDD=V3、GND=V2)を共有し、この電圧レベルは、バスブロック420と430の間の信号伝送を可能にする。
【0044】
一実施形態では、電池パック内の1つのセルの電圧を共通電圧レベルとして用いることができ、または電池パック内のいくつかのセルの電圧の和を共通電圧レベルとして用いることができる。言い換えれば、電池パック内の少なくとも1つのセルを、共通電圧レベルとして用いることができる。
【0045】
図4の実施例では、I/Oデバイス426は、図2に示されるインバータゲート272と同様な、インバータゲート472と、それぞれが図3に示されるインバータゲート398およびFET388と同様な、インバータゲート498およびFET488とを含む。I/Oデバイス428、I/Oデバイス436、I/Oデバイス438、I/Oデバイス446、およびI/Oデバイス448は、I/Oデバイス426と同様であり、さらには述べない。有利には、各バスブロック内の信号経路は、図2および図3で述べたようにバスブロック内の2つのI/Oデバイスの間の信号伝送を可能にし、さらには述べない。
【0046】
ノード402、404、406、および408は、バスブロック420、430、および440のI/Oポートとして働く。上述のように、各ノードのバス信号は、上方向および下方向に送ることができる。たとえば、ノード402のバス信号は、ノード404、406、および408へ送ることができ、次いでバス信号は、ノード404、406、および408から送り、ノード402で受け取ることができる。したがって、1線式バス用に、バスブロック420、430、および440のそれぞれは、2つのI/Oポート(たとえば、バスブロック420のノード402および404)を用いる。他の実施形態では、2線式バス用に、バスブロックは、4つのI/Oポートを用いる。したがって、バスブロックのICチップのピン数を削減することができる。
【0047】
I/Oデバイスはオープンドレインであり、したがってI/Oデバイスは比較的融通性があり、集積回路間(I2C)、シリアルペリフェラルインタフェース(SPI)、または他の何らかのタイプのバスとして構成することができる。さらに、垂直バス回路400は、静的状態では電力を消費する必要がない。垂直バス回路400の各バスブロック内で伝送されるバス信号は差動信号であり、たとえば、レベルシフタ422では、FET423がターンオンされるかターンオフされるかは、ノード452の電圧とノード456の電圧の電圧差によって決まる。それにより、比較的に高いバス信号速度、および比較的に良好な許容誤差を得ることができる。
【0048】
上記のように、バスブロックを通じたバス信号伝送を可能にするために、電池パック412、414、および416のそれぞれにおける、1つのセルの電圧、またはいくつかのセルの電圧の和が供給され、したがってバス信号は、1つのセルまたはいくつかのセルの電圧の範囲にわたるフルスイングを有する。有利には、バスブロックを通じたバス信号伝送を可能にするために、いくつかのセルの電圧の和が供給される場合は、バス信号のフルスイングを増加することができ、それによりバス信号の、より良好な許容誤差を得ることができる。
【0049】
各ノードの動作電圧はI/Oデバイスの電源電圧範囲内であるので、ノード402、404、406、および408は過電圧過渡状態を受けることはなく、図4に示されるように電源電圧範囲は1つのセルの電圧となる。たとえば、ノード402の動作電圧は、電池パック412内のセル482の電圧以内であり、V0〜V1である。
【0050】
図5は、本発明の他の実施形態による垂直バス回路500を示す。図4と同じラベルが付けられた要素は、同様の機能を有する。電池410は、3つの電池パック412、414、および416を含む。図5の実施例では、垂直バス回路500は、1線式バス用に構成され、3つのバスブロック520、530、および540と、複数の抵抗器462、464、および466とを含む。バスブロック520、530、および540のそれぞれは同一であり、一実施形態では集積回路(IC)チップとして形成することができる。
【0051】
垂直バス回路500は、電池410に結合され、電池管理システム内の信号伝送を可能にするために用いられるが、本発明はそのように限定されない。図5には3つのバスブロックが示されるが、本発明はそのように限定されない。
【0052】
図5の実施例では、バスブロック520は、信号経路と、低ドロップアウトレギュレータ(LDO)552などの電圧レギュレータと、I/Oデバイス426および428とを含む。同様に、バスブロック530は、信号経路と、電圧レギュレータ554と、I/Oデバイス436および438とを含む。バスブロック540は、信号経路と、電圧レギュレータ556と、I/Oデバイス446および448とを含む。一実施形態では、バスブロック520内の信号経路は、上方向信号経路422および下方向信号経路424を含むことができる。同様に、バスブロック530内の信号経路は、上方向信号経路432および下方向信号経路434を含むことができる。バスブロック540内の信号経路は、上方向信号経路442および下方向信号経路444を含むことができる。
【0053】
他の実施形態では、垂直バス回路500は、2線式バス用に、それぞれが2つの上方向信号経路と、2つの下方向信号経路と、4つのI/Oデバイスとを有するバスブロックを含むことができる。
【0054】
有利には、バスブロック520、530、および540は、複数の共通電圧レベルを共有する。さらに、複数の共通電圧レベルは、バスブロック520、530、および540の間の信号伝送を可能にする。たとえば、バスブロック520内のI/Oデバイス426および428は、それぞれ電圧レベル(VDD=V1、GND=V0)、および電圧レベル(VDD=V3、GND=V2)によって電力供給される。バスブロック530内のI/Oデバイス436および438は、それぞれ電圧レベル(VDD=V3、GND=V2)、および電圧レベル(VDD=V5、GND=V4)によって電力供給される。したがって、バスブロック520および530は電圧レベル(VDD=V3、GND=V2)を共有し、この電圧レベルはバスブロック520と530の間の信号伝送を可能にする。
【0055】
一実施形態では、各共通電圧レベルは、各電池パック内の1つのセルの正端子の電圧と、電圧レギュレータの出力電圧とによって供給することができる。たとえば、電圧V4は、電池パック414内のセル494の正端子の電圧であり、電圧V2は、電池パック412内のセル492の正端子の電圧である。電圧V4は、バスブロック430内の電圧レギュレータ554によって供給され、出力電圧V3は、電圧レギュレータ554によって出力される。したがって、出力電圧V3および電圧V2は、バスブロック530と520の間のバス信号伝送を可能にするために供給される。
【0056】
有利には、各バスブロック内の信号経路は、図2および図3で述べたようにバスブロック内の2つのI/Oデバイスの間の信号伝送を可能にし、さらには述べない。
【0057】
LDO552、554、および556の出力電圧は、比較的安定であり、垂直バス回路500内のバス信号伝送を可能にするための電源を供給する。それにより垂直バス回路500は、急速な充電および放電時のセル電圧変動によって影響されず、したがって比較的安定である。
【0058】
電池パック412、414および416のそれぞれにおけるセルの最大数は、電池パックに結合されたバスブロック内のFETの最大許容Vdsと、このバスブロックの上のバスブロック内の電圧レギュレータの出力電圧とによって決まる。たとえば、図5に示されるように、バスブロック520内のFET425/427の最大許容Vdsは、V3とV2の電圧差と、電池パック412によって供給される電圧の和に等しく、ここでV3とV2の電圧差は、バスブロック530内の電圧レギュレータ554の出力電圧である。したがって、電池パック412内のセルの最大数は、以下のように式(1)で与えられ、
N=(Vds-VLDO)/Vcell (1)
ただし、Nは電池パック412内のセルの最大数、VdsはFET425/427の最大許容Vds、VLDOはバスブロック530内の電圧レギュレータ554の出力電圧、Vcellはセル電圧である。
【0059】
図6は、本発明の一実施形態による電池管理システムのための垂直バストポロジ600を示す。垂直バストポロジ600は、I2Cバス用途に用いられる。垂直バストポロジ600は、バスブロック620、630、および640を含む。バスブロック620、630、および640は、電池パック612、614、および616に結合される。したがってバスブロック620、630、および640は、異なる電圧を用いる。
【0060】
有利には、バスブロック620、630、および640は、複数の共通電圧レベルを共有する。一実施形態では、電池パック612、614、および616のそれぞれにおける1つのセルの電圧を、共通電圧レベルとして用いることができる。たとえば、電池パック612内のセル604の電圧は、バスブロック620および630によって共有される共通電圧レベルとして用いられる。電池パック614内のセル606の電圧は、バスブロック630および640によって共有される共通電圧レベルとして用いられる。共通電圧レベルは、バスブロック620、630、および640の間の信号伝送を可能にし、たとえばセル604の電圧は、バスブロック620と630の間の信号伝送を可能にする。
【0061】
上述のように、バスブロック620、630、および640のそれぞれは、たとえばI2Cバスプロトコルを用いて他のバスブロックと通信することができる。
【0062】
図6には3つのバスブロックが示されるが、本発明はそのように限定されない。
【0063】
別法として、一実施形態では、比較的に良好なバス信号スイング、および比較的に良好な許容誤差を得るために、電池パック612、614、および616のそれぞれにおける2つ以上のセルの電圧の和を、バス信号伝送を可能にするための共通電圧レベルとして用いることができる。
【0064】
図7は、本発明の他の実施形態による電池管理システムのための垂直バストポロジ700を示す。垂直バストポロジ700は、I2Cバス用途に用いられる。垂直バストポロジ700は、バスブロック720、730、および740を含む。バスブロック720、730、および740は、電池パック712、714、および716に結合される。図7の実施例では、バスブロック720、730、および740は、それぞれ電圧レギュレータ752、754、および756を含む。一実施形態では、電圧レギュレータは、LDOとすることができる。
【0065】
図7には3つのバスブロックが示されるが、本発明はそのように限定されない。
【0066】
有利には、バスブロック620、630、および640は、複数の共通電圧レベルを共有する。さらに、共通電圧レベルは、バスブロック720、730、および740の間の信号伝送を可能にする。一実施形態では、共通電圧レベルのそれぞれは、電池パック712、714、および716のそれぞれにおける1つのセルの正端子の電圧と、電圧レギュレータの出力電圧とによって供給することができる。たとえば、電池パック714内のセル704の正端子の電圧は電圧レギュレータ754に供給され、出力電圧は電圧レギュレータ754によって出力される。それにより、電圧レギュレータ754によって出力される出力電圧と、電池パック712内のセル702の正端子の電圧は、バスブロック720および730によって共有される共通電圧レベルを供給する。上述のように、バスブロック720、730、および740のそれぞれは、たとえばI2Cバスプロトコルを用いて他のバスブロックと通信することができる。
【0067】
図8は、本発明の一実施形態による電池管理システム800を示す。電池管理システム800は、電池810と、AFEデバイス820、830、および840と、中央電子制御ユニット(CECU)860とを含む。電池810は、電池パック812、814、および816を含む。AFEデバイス820、830、および840は、それぞれ電池パック812、814、および816に結合される。この場合、AFEデバイス820、830、および840は、それぞれ電池パック812、814、および816によって供給される電圧を用いる。それにより、AFEデバイス820、830、および840は、異なる電圧を用いる。
【0068】
図8には3つのAFEデバイスが示されるが、本発明はそのように限定されない。
【0069】
一実施形態では、CECU860は、システム800内の最下AFEデバイスであるAFEデバイス820に結合される。有利には、CECU860は、宛先AFEデバイスと、CECU860、AFEデバイス820、1群のAFEデバイス820、830、および840、ならびに宛先デバイスを経由して通信することができる。1群のAFEデバイス820、830、および840は、AFEデバイス820によって用いられる電圧と、宛先AFEデバイスによって用いられる電圧の間の電圧を用いる。たとえば、信号は、CECU860からAFEデバイス840へ、CECU860、AFEデバイス820、AFEデバイス830、およびAFEデバイス840を経由して送ることができる。AFEデバイス830によって用いられる電圧は、AFEデバイス820によって用いられる電圧と、AFEデバイス840によって用いられる電圧の間である。
【0070】
AFEデバイス820、830、および840によって共有される共通電圧レベルは、AFEデバイス820、830、および840を通じたバス信号伝送を可能にする。一実施形態では、電池パック812、814、および816のそれぞれにおける1つのセルの電圧を共通電圧レベルとして用いることができる。たとえば、電池パック812内のセル804の電圧は、共通電圧レベルとして用いられ、AFEデバイス820と830の間の信号伝送を可能にする。
【0071】
別法として、一実施形態では、比較的に良好なバス信号スイングおよび比較的に良好な許容誤差を得るために、電池パック812、814、および816のそれぞれにおける2つ以上のセルの電圧を、バス信号伝送を可能にするために供給することができる。
【0072】
一実施形態では、AFEデバイス820、830、および840は同一であり、同一の集積回路(IC)チップとして形成することができる。図8の実施例において、一実施形態では、AFEデバイス820は、監視ブロック822、バスブロック824、アナログ/デジタル変換器(ADC)826、バスエンジン828、およびI/Oデバイス(図示せず)を含む。同様に、AFEデバイス830は、監視ブロック832、バスブロック834、ADC836、バスエンジン838、およびI/Oデバイス(図示せず)を含む。AFEデバイス840は、監視ブロック842、バスブロック844、ADC846、バスエンジン848、およびI/Oデバイス(図示せず)を含む。一実施形態では、バスブロック824、834、および844のそれぞれは、バス信号を上方向および下方向に送るために、それぞれ上方向信号経路(たとえば、図4に示される上方向信号経路422)、および下方向信号経路(たとえば、図4に示される下方向信号経路424)を含む。
【0073】
AFEデバイス820、830、および840は、対応する電池パック内のセルの状態にアクセスすることができる。さらに、AFEデバイス820、830、および840は、垂直バスを通じてCECU860と通信することができる。一実施形態では、垂直バスは、バスブロック824、834、および844と、バスエンジン828、838、および848と、I/Oデバイスとを含むことができる。各AFEデバイス内のI/Oデバイスは、それぞれ異なる電圧レベルによって電力供給される。各AFEデバイス内のバスブロックは、I/Oデバイスの間で信号を伝送することができる。
【0074】
AFEデバイス820を例にとると、一実施形態では、AFEデバイス820内の監視ブロック822は、電池パック812内のセルの1つを選択し、セルの状態をADC826に供給することができる。AFEデバイス820内のADC826は、アナログ信号であるセルの状態をデジタル信号に変換し、そのデジタル信号をバスエンジン828へ送る。バスエンジン828は、AFEデバイス820内のコントローラであり、CECU860と通信することができる。
【0075】
AFEデバイス820、830、および840のそれぞれは、CECU860と通信するために、マスタモードまたはスレーブモードで動作することができる。AFEデバイスがマスタモードで動作するときは、AFEデバイス内のバスエンジンは、CECU860との通信のために信号を発行することができる。たとえば、AFEデバイス840がマスタモードで動作するときは、バスエンジン848は、CECU860に警告信号を発行する。警告信号は、垂直バスによってバスエンジン838および828へ送られ、次いでCECU860へ送られる。AFEデバイスがスレーブモードで動作するときは、CECU860は、AFEデバイス内のバスエンジンとの通信のために信号を発行する。たとえば、AFEデバイス840がスレーブモードで動作するときは、CECU860からの信号は、AFEデバイス820内のバスエンジン828へ送られ、次いで、垂直バスによってAFEデバイス840内のバスエンジン848へ送られる。
【0076】
システム800において2線式バスプロトコルが用いられる場合は、比較的に良好な許容誤差を得るために、各バスエンジンは、3つのバスラインを用いる。図8に示されるように、バスエンジン828は、バスエンジン828の左側に3つのポートA、B、およびC、ならびにバスエンジン828の右側に3つのポートAi、Bi、およびCiを有する。たとえば、ポートA、B、Ai、およびBiがバス信号を送るためのデフォルトポートとされる場合に、ポートBが誤動作する場合は、バス信号を送るためのバックアップポートとして、ポートCを用いることができる。それにより、比較的に良好な許容誤差を得ることができる。一実施形態では、システム800において、1線式バスプロトコルが用いられるときは、比較的に良好な許容誤差を得るために各バスエンジンは、2つのバスラインを用いる。言い換えれば、各バスエンジンは、何らかの理由によりデフォルトラインが使用できなくなった場合にそのデフォルトラインと切り換えるためにバックアップラインを用いることができる。
【0077】
一実施形態では、セル802、804、および806は、オンライン診断(問題の識別)、および較正のための基準電圧を供給する。言い換えれば、AFEデバイス820、830、および840によって共有される共通電圧レベルは、オンライン診断および較正のために用いることができる。より具体的には、一実施形態では、CECU860は、オンライン診断および較正のために正確なADC(図8には示されない)を含む。本明細書では、「正確なADC」または「正確な変換器」という用語は、ADC/変換器が電圧をある値に変換し、その値と、電圧の真の値との差が、閾値未満であることを意味する。セル802の電圧は、CECU860内の正確なADCと、AFEデバイス820内のADC826とによって変換される。2つの変換結果が、等しくない場合は、ADC826は較正されることになる。同様に、ADC836を診断および較正するために、セル804の電圧は、較正されたADC826と、AFEデバイス830内のADC836とによって変換される。その結果、AFEデバイス内のすべてのADCを診断および較正することができる。したがって、システム800内でオンライン診断および較正を行うのは、比較的容易である。
【0078】
ADCのオンライン診断および較正のための上述のような基準電圧として、正確な外部基準電圧(図8には示されない)を用いることができる。
【0079】
図9は、本発明の他の実施形態による電池管理システム900を示す。図8と同じラベルが付けられた要素は、同様の機能を有する。電池管理システム900は、電池810と、AFEデバイス920、930、および940と、CECU860とを含む。電池810は、電池パック812、814、および816を含む。電池810に結合されたAFEデバイス920、930、および940は、電池810内のセルの状態にアクセスすることができる。AFEデバイス920に結合されたCECU860は、AFEデバイス920、930、および940のうちの宛先AFEデバイスと通信することができる。
【0080】
図9には、3つのバスブロックが示されるが、本発明はそのように限定されない。
【0081】
一実施形態では、AFEデバイス920、930、および940は同一であり、同一の集積回路(IC)チップとして形成することができる。一実施形態では、AFEデバイス920は、監視ブロック822、バスブロック824、ADC826、バスエンジン828、電圧レギュレータ952、およびI/Oデバイス(図示せず)を含む。同様に、AFEデバイス930は、監視ブロック832、バスブロック834、ADC836、バスエンジン838、電圧レギュレータ954、およびI/Oデバイス(図示せず)を含む。AFEデバイス940は、監視ブロック842、バスブロック844、ADC846、バスエンジン848、電圧レギュレータ956、およびI/Oデバイス(図示せず)を含む。一実施形態では、電圧レギュレータ952、954、および956は、LDOとすることができる。
【0082】
一実施形態では、電池パック812、814、および816のそれぞれにおける1つのセルの正端子の電圧と、電圧レギュレータ952、954、および956の出力電圧とは、AFEデバイス920、930、および940を通じた信号伝送を可能にするための共通電圧レベルを供給する。たとえば、電池パック812内のセル804の正端子の電圧と、バスブロック930内の電圧レギュレータ954の出力電圧とは、AFEデバイス920と930の間の信号伝送を可能にするための共通電圧レベルを供給する。
【0083】
一実施形態では、電圧レギュレータ952、954、および956は、オンライン診断および較正のための基準電圧を供給する。一実施形態では、CECU860はさらに、オンライン診断および較正のための正確なADC(図示せず)を含む。この場合は、各電圧レギュレータの出力電圧は、正確なADCと、AFEデバイス920、930、および940内のADCとによって変換され、さらには述べない。
【0084】
ADCのオンライン診断および較正のための上述のような基準電圧として、正確な外部基準電圧(図示せず)を用いることができる。
【0085】
図10は、本発明の一実施形態による、信号伝送を可能にするための方法のフローチャートを示す。図10について、図4と組み合わせて説明する。
【0086】
1002では、電圧レベル(VDD=V1、GND=V0)と、電圧レベル(VDD=V3、GND=V2)の間で、信号を伝送することができる。バスブロック420内のI/Oデバイス426は、電圧レベル(VDD=V1、GND=V0)によって電力供給される。バスブロック420内のI/Oデバイス428は、電圧レベル(VDD=V3、GND=V2)によって電力供給される。上方向信号経路422は、I/Oデバイス426からI/Oデバイス428へ信号を送ることができる。下方向信号経路424は、I/Oデバイス428からI/Oデバイス426へ信号を送ることができる。
【0087】
1004では、バスブロック420とバスブロック430の間で信号を送ることができる。バスブロック420および430によって共有される共通電圧レベル(VDD=V3、GND=V2)は、それらの間の信号伝送を可能にする。
【0088】
上記の説明および図面は本明細書の実施形態を表すが、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の原理の趣旨と範囲から逸脱せずに、それに様々な追加、変更、および置換を行い得ることが理解されよう。当業者には、本発明は、本発明の実施において用いられ、本発明の原理から逸脱せずに特定の環境および動作要件に特に適合された、形状、構造、配置、大きさ、材料、要素、および構成部品その他の、多くの変更形態と共に用い得ることが理解されよう。したがってここで開示された実施形態は、すべての点において例示的なものであり、限定的なものではなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲およびそれと法的に等価なものによって示され、上記の説明に限定されないものと見なされるべきである。
【符号の説明】
【0089】
200 垂直バス回路
212 入力ポート
214 ノード
216 ノード
218 出力ポート
220 バスブロック
222 上方向信号経路
223 FET
224 FET
225 FET
226 FET
227 FET
228 FET
229 インバータゲート
230 バスブロック
232 上方向信号経路
233 FET
234 FET
235 FET
236 FET
237 FET
238 FET
239 インバータゲート
240 バスブロック
242 上方向信号経路
243 FET
244 FET
245 FET
246 FET
247 FET
248 FET
249 インバータゲート
252 ノード
256 ノード
262 抵抗器
264 抵抗器
266 抵抗器
268 抵抗器
272 インバータゲート
274 インバータゲート
276 インバータゲート
284 FET
286 FET
288 FET
294 インバータゲート
296 インバータゲート
298 インバータゲート
300 垂直バス回路
312 入力ポート
314 ノード
316 ノード
318 出力ポート
320 バスブロック
322 下方向信号経路
323 FET
324 FET
325 FET
326 FET
327 FET
328 FET
329 インバータゲート
330 バスブロック
332 下方向信号経路
333 FET
334 FET
335 FET
336 FET
337 FET
338 FET
339 インバータゲート
340 バスブロック
342 下方向信号経路
343 FET
344 FET
345 FET
346 FET
347 FET
348 FET
349 インバータゲート
352 ノード
356 ノード
362 抵抗器
364 抵抗器
366 抵抗器
368 抵抗器
372 インバータゲート
374 インバータゲート
376 インバータゲート
384 FET
386 FET
388 FET
394 インバータゲート
396 インバータゲート
398 インバータゲート
400 垂直バス回路
402 ノード
404 ノード
406 ノード
408 ノード
410 電池
412 電池パック
414 電池パック
416 電池パック
420 バスブロック
422 レベルシフタ
422 上方向信号経路
423 FET
424 下方向信号経路
425 FET
426 I/Oデバイス
427 FET
428 I/Oデバイス
430 バスブロック
432 上方向信号経路
434 下方向信号経路
436 I/Oデバイス
438 I/Oデバイス
440 バスブロック
442 上方向信号経路
444 下方向信号経路
446 I/Oデバイス
448 I/Oデバイス
452 ノード
456 ノード
462 抵抗器
464 抵抗器
466 抵抗器
468 抵抗器
472 インバータゲート
482 セル
488 FET
492 セル
494 セル
498 インバータゲート
500 垂直バス回路
520 バスブロック
530 バスブロック
540 バスブロック
552 低ドロップアウトレギュレータ(LDO)
554 電圧レギュレータ
556 電圧レギュレータ
600 垂直バストポロジ
604 セル
606 セル
612 電池パック
614 電池パック
616 電池パック
620 バスブロック
630 バスブロック
640 バスブロック
700 垂直バストポロジ
702 セル
704 セル
712 電池パック
714 電池パック
716 電池パック
720 バスブロック
730 バスブロック
740 バスブロック
752 電圧レギュレータ
754 電圧レギュレータ
756 電圧レギュレータ
800 電池管理システム
802 セル
804 セル
806 セル
810 電池
812 電池パック
814 電池パック
816 電池パック
820 AFEデバイス
822 監視ブロック
824 バスブロック
826 アナログ/デジタル変換器(ADC)
828 バスエンジン
830 AFEデバイス
832 監視ブロック
834 バスブロック
836 ADC
838 バスエンジン
840 AFEデバイス
842 監視ブロック
844 バスブロック
846 ADC
848 バスエンジン
860 中央電子制御ユニット(CECU)
900 電池管理システム
920 AFEデバイス
930 AFEデバイス
940 AFEデバイス
952 電圧レギュレータ
954 電圧レギュレータ
956 電圧レギュレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバスブロックを具備する垂直バス回路であって、前記バスブロックは、前記バスブロックの間で信号を伝送するように動作可能であり、前記バスブロックは、複数の共通電圧レベルを共有し、前記バスブロックのそれぞれは、それぞれ前記共通電圧レベルのうちの第1の電圧レベルおよび第2の電圧レベルによって電力供給される、信号経路と2つの入力/出力(I/O)デバイスとを備え、前記信号経路は、前記2つのI/Oデバイスの間の信号伝送を可能にし、前記共通電圧レベルは、前記バスブロックの間の前記信号伝送を可能にする、回路。
【請求項2】
前記信号経路が、上方向信号経路と下方向信号経路とを備え、前記上方向信号経路と前記下方向信号経路は、前記2つのI/Oデバイスを共有する、請求項1に記載の回路。
【請求項3】
前記バスブロックのそれぞれが、電池内の1群のセルに結合され、前記バスブロックは、電池管理システムにおいて前記信号を伝送するように動作可能な、請求項1に記載の回路。
【請求項4】
前記信号が、前記セルの状態を示す、請求項3に記載の回路。
【請求項5】
前記1群のセル内の少なくとも1つのセルの電圧が、前記共通電圧レベルのそれぞれとして用いられる、請求項3に記載の回路。
【請求項6】
前記バスブロックのそれぞれが、電圧レギュレータをさらに備え、前記共通電圧レベルのそれぞれが、前記1群のセル内の1つのセルの正端子の電圧と、前記電圧レギュレータの出力電圧とによって供給される、請求項3に記載の回路。
【請求項7】
前記信号経路が、前記信号を伝送するように動作可能な差動回路を備える、請求項1に記載の回路。
【請求項8】
複数のセルを有する電池に結合可能な複数のデバイスであって、前記デバイスは、前記セルの状態を評価するように動作可能であり、前記デバイスのそれぞれは、前記セルの1群に結合され、前記デバイスは異なる電圧を用いる、デバイスと、
前記デバイスのうちの第1のデバイスに結合された制御ユニットであって、前記制御ユニットは、前記デバイスのうちの宛先デバイスと、前記制御ユニット、前記第1のデバイス、第1の複数の前記デバイス、および前記宛先デバイスを経由して通信するように動作可能であり、前記第1の複数のデバイスは、前記第1のデバイスによって用いられる電圧と、前記宛先デバイスによって用いられる電圧の間との電圧を用いる、制御ユニットと
を備える、電池管理システム。
【請求項9】
前記デバイスが前記セルによって電力供給され、前記第1のデバイスは、前記セルのうちの最も低い電圧レベルを有するセルによって電力供給されるデバイスを含む、請求項8に記載の電池管理システム。
【請求項10】
前記デバイスが複数の共通電圧レベルを共有し、前記共通電圧レベルのそれぞれは、前記共通電圧レベルを共有する、前記デバイスのうちの第1のデバイスと前記デバイスのうちの第2のデバイスの間の通信を可能にするように構成される、請求項8に記載の電池管理システム。
【請求項11】
前記デバイスのそれぞれが2つの入力/出力(I/O)デバイスを有し、前記2つのI/Oデバイスの第1のポートは、前記共通電圧レベルのうちの第1の共通電圧レベルによって電力供給され、前記2つのI/Oポートの第2のポートは、前記共通電圧レベルのうちの第2の共通電圧レベルによって電力供給される、請求項10に記載の電池管理システム。
【請求項12】
前記デバイスのそれぞれが、前記2つのI/Oデバイスの間で信号を伝送するように動作可能なバスブロックを備える、請求項11に記載の電池管理システム。
【請求項13】
前記バスブロックが、上方向信号経路および下方向信号経路を備え、前記上方向信号経路および前記下方向信号経路は、前記2つのI/Oデバイスを共有する、請求項12に記載の電池管理システム。
【請求項14】
前記共通電圧レベルのそれぞれが、前記1群のセル内の少なくとも1つのセルの電圧によって供給される、請求項10に記載の電池管理システム。
【請求項15】
前記デバイスのそれぞれが電圧レギュレータを備え、前記共通電圧レベルのそれぞれは、前記1群のセル内の1つのセルの正端子の電圧と、前記電圧レギュレータの出力電圧とによって供給される、請求項10に記載の電池管理システム。
【請求項16】
前記デバイスが複数のアナログ/デジタル変換器(ADC)をさらに備え、前記共通電圧レベルは前記ADCを診断するように構成される、請求項8に記載の電池管理システム。
【請求項17】
前記バスブロックが、前記信号を伝送するように動作可能な差動回路を備える、請求項12に記載の電池管理システム。
【請求項18】
前記デバイスのそれぞれがバスエンジンを備え、前記バスエンジンは、信号伝送のためにデフォルトラインを用い、前記デフォルトラインが利用できなくなった場合に、バックアップラインが前記デフォルトラインに取って代わる、請求項8に記載の電池管理システム。
【請求項19】
信号伝送を可能にする方法であって、
複数のバスブロックのうちの第1のバスブロック内で、第1の共通電圧レベルと第2の共通電圧レベルの間で信号を伝送するステップと、
前記バスブロックのうちの前記第1のバスブロックと第2のバスブロックの間で前記信号を伝送するステップであって、前記第1および第2のバスブロックは前記第2の共通電圧レベルを共有する、伝送するステップと
を含む方法。
【請求項20】
制御ユニットから前記信号を発行するステップと、
前記制御ユニットと前記第1のバスブロックの間で前記信号を伝送するステップと
をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
電池内のセルの状態にアクセスするステップと、
変換器を用いて前記状態を前記信号に変換するステップと
をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
正確な第1の変換器を用いて第1の基準電圧を第1の値に変換するステップと、
第2の変換器を用いて前記第1の基準電圧を第2の値に変換するステップと、
前記第2の変換器を診断するために、前記第1の値を前記第2の値と比較するステップと
をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記比較するステップの結果に従って、前記第2の変換器を較正するステップと、
前記第2の変換器を用いて、第2の基準電圧を第3の値に変換するステップと、
第3の変換器を用いて、前記第2の基準電圧を第4の値に変換するステップと、
前記第3の変換器を診断するために、前記第3の値を前記第4の値と比較するステップと
をさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記第2の基準電圧が、前記第2の共通電圧レベルを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記第1の共通電圧レベルが、前記第1のバスブロック内の第1のI/Oデバイスに電力供給するために有用であり、前記第2の共通電圧レベルが、前記第1のバスブロック内の第2のI/Oデバイスに電力供給するために有用である、請求項19に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−161922(P2010−161922A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−646(P2010−646)
【出願日】平成22年1月5日(2010.1.5)
【出願人】(500521843)オーツー マイクロ, インコーポレーテッド (138)
【Fターム(参考)】