説明

垂直磁気記録媒体および磁気記録装置

【課題】絶縁体材料を用い、極薄膜において、室温で、垂直磁化が同時に実現される垂直磁気記録媒体および磁気記録装置を提供する。
【解決手段】基板10と、基板10上に配置された単結晶よりなる垂直磁化膜12とを備え、垂直磁化膜12は、キュリー温度が室温以上である絶縁体からなり、膜厚が100nm以下であり、かつ有効異方性磁場が20kOe以上である垂直磁気記録媒体2および垂直磁気記録媒体2を備える磁気記録装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、垂直磁気記録媒体および磁気記録装置に関し、特に、絶縁体材料を用い、極薄膜において、室温で、垂直磁化が同時に実現される垂直磁気記録媒体および磁気記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術では、磁性ガーネット系を用いて、絶縁体材料を用い、室温で、垂直磁化が実現されていた(例えば、非特許文献1参照。)。磁性ガーネット系材料は、1970-19800年代に磁気バブルメモリ媒体として実用化された。
【0003】
しかしながら、極薄膜領域(例えば、バブル径減少・記録密度増加が期待できる、例えば、約100nmnm以下の領域)においては垂直磁化膜は実現されていない。
【0004】
磁性ガーネットは立方晶構造をとり、結晶磁気異方性により、<111>方向に磁化容易軸を持つが、結晶対称性によりバルクの特性として一軸磁気異方性は無い。
【0005】
磁性ガーネット薄膜の研究は化学気相エピタキシー(CVD:Chemical Vapor Deposition)法から始まる(例えば、非特許文献2参照。)。垂直磁化膜を得るために、膜/基板間の熱膨張係数差により生じる応力誘導磁気異方性の利用が試みられた(例えば、非特許文献3参照。)。しかしながら、膜/基板間の熱膨張係数差を利用した場合、厚膜においては歪緩和による結晶性劣化が不可避である。
【0006】
その後、成長誘導磁気異方性(成長中に自発的に希土類元素のオーダリングが起こることで磁気異方性が生じる)により垂直磁化膜が容易に得られる液相エピタキシー(LPE:Liquid Phase Epitaxy)法が開発された(例えば、非特許文献4および5参照。)。LPE法は膜厚制御性に乏しく、極薄膜化は困難であるものの、マイクロメートルオーダの制御性は十分にあるために、LPE製膜法が台頭し、CVD法の研究は下火となった。
【0007】
磁区の外場応答性向上には欠陥密度の低減が必要である。LPE法では格子整合系において低欠陥密度の垂直磁化膜が得られる。これに対してCVD法では格子整合系の材料選択が困難であるため、欠陥密度が増加し、かつウエハが反るという問題が発生する。
【0008】
当時のプロセス技術水準とLPE法の膜厚制御性の要請から、バブル径・膜厚1μm前後が用いられており、極薄膜領域の研究自体がほとんどされていない。薄膜材料の磁歪定数と薄膜/基板間の格子不整合差により生じる応力誘導磁気異方性を積極的に利用して磁化方向制御を行った報告例も無い。厚膜においては格子緩和が生じ、格子不整合差による応力の利用が困難なためである。
【0009】
近年、膜厚制御性の高いパルスレーザ堆積(PLD: Pulsed Laser Deposition)法を用いた研究がされているが、エピタキシャル極薄膜において垂直磁化膜を実現した報告例は無い(例えば、非特許文献6乃至10参照。)。その原因として、PLD法においてはCVD法と同様に、成長誘導磁気異方性の存在が確認されていない、極薄膜においては磁化方向を面内に揃えようとする形状磁気異方性が働くことが挙げられる。
【0010】
一方で、他の材料系においては極薄膜/基板間の格子不整合差により生じる応力誘導磁気異方性を用いた磁化方向制御に関する報告例が有る(例えば、非特許文献11乃至13参照。)。例えば、半導体において、GaMnAs、InMnAs、GaMnPNでは、面内圧縮で面内磁化、面内引張で垂直磁化となる。しかしながら、これらの材料は、導電性材料であり、キュリー温度が室温以下のため低温動作に限定される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】A. H. Bobeck, “Properties and Device Applications of Magnetic Domains in Orthoferrites”, Bell System Tech. J. 46, 1901 (1967).
【非特許文献2】R. C. Linares, R. B. McGraw, and J. B. Schroeder, “Growth and Properties of Yttrium Iron Garnet Single-Crystal Films”, J. Appl. Phys. 36, 2884 (1965).
【非特許文献3】J. E. Mee, G. R. Pulliam, J. L. Archer, and P. J. Besser, “Magnetic Oxide Films”, IEEE Trans. MAG-5, 717 (1969); D. M. Heinz, P. J. Besser, J. M. Owens, J. E. Mee, and G. R. Pulliam, J. Appl. Phys. 42, 1243 (1971).
【非特許文献4】A. Rosencwaig and W. J. Tabor, “Noncubic Garnet Anisotropy from Growth-Induced Pair Ordering”, J. Appl. Phys. 42, 1643 (1971).
【非特許文献5】R. C. Linares, “Epitaxial growth of narrow linewidth yttrium ion garnet films”, J. Cryst. Growth 3/4, 443 (1968).
【非特許文献6】P. C. Dorsey, S. E. Bushnell, R. G. Seed, and C. Vittoria, “Epitaxial yttrium iron garnet films grown by pulsed laser deposition”, J. Appl. Phys. 74, 1242 (1993).
【非特許文献7】S. Kahl, V. P. Denysenkov, S. I. Khartsev, S. Kranzusch, and A. M. Grishin, “Influence of the Laser Repetition Rate on Crystalline structure, Composition, and Magnetic Properties of Laser Deposited Y3Fe5O12/Gd3Ga5O12 (111) Films”, Mat. Res. Soc. Symp. Proc. 720, H6. 7 (2002).
【非特許文献8】Y. Dumont, N. Keller, E. Popova, D. S. Schmool, S. Bhattacharya, B. Stahl, and M. Tessier, and M. Guyot, “Superexchange and iron valence control by off-stoichiometry in yttrium iron garnet thin films grown by pulsed laser deposition”, J. Appl. Phys. 97, 10G108 (2005).
【非特許文献9】S. A. Manuilov, R. Fors, S. I. Khartsev, and A. M. Grishin, “Submicron Y3Fe5O12 Film Magnetostatic Wave Band Pass Filters”, J. Appl. Phys. 105, 033917 (2009).
【非特許文献10】Y. Krockenberger, K.-S. Yun, T. Hatano, S. Arisawa, M. Kawasaki, and Y. Tokura, “Layer-by-layer growth and magnetic properties of Y3Fe5O12 thin films”, J. Appl. Phys. 106, 123911 (2009).
【非特許文献11】X. Liu, Y. Sasaki, and J. K. Furdyna, “Ferromagnetic resonance in Ga1-xMnxAs: Effects of magnetic anisotropy”, Phys. Rev. B 67, 205204 (2003).
【非特許文献12】X. Liu, W. L. Lim, Z. Ge, S. Shen, M. Dobrowolska, J. K. Furdyna, T. Wojtowicz, K. M. Yu, and W. Walukiewicz, “Strain-engineered ferromagnetic In1-xMnxAs films with in-plane easy axis.”, Appl. Phys. Lett. 86, 112512 (2005).
【非特許文献13】P. R. Stone, L. Dreher, J. W. Beeman, K. M. Yu, M. S. Brandt, and O. D. Dubon, “Interplay of epitaxial strain and perpendicular magnetic anisotropy in insulating ferromagnetic Ga1-xMnxP1-yNy”, Phys. Rev. B 81, 205210 (2010).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、絶縁体材料を用い、極薄膜において、室温で、垂直磁化が同時に実現される垂直磁気記録媒体および磁気記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様によれば、基板と、前記基板上に配置された単結晶よりなる垂直磁化膜とを備え、前記垂直磁化膜は、キュリー温度が室温以上である絶縁体からなり、かつ膜厚が100nm以下である垂直磁気記録媒体が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、絶縁体材料を用い、極薄膜において、室温で、垂直磁化が同時に実現される垂直磁気記録媒体および磁気記録装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施の形態に係る垂直磁気記録媒体の模式的鳥瞰構造図。
【図2】実施の形態に係る垂直磁気記録媒体において、磁区の幅d、記録密度Dの逆数1/Dと垂直磁化膜の厚さtとの関係を示す模式図。
【図3】実施の形態に係る垂直磁気記録媒体の垂直磁化膜の磁気特性図。
【図4】比較例に係る磁気記録媒体の面内磁化膜の磁気特性図。
【図5】実施の形態に係る垂直磁気記録媒体において、有効異方性磁場HAaと面内応力σ’//[11-2],[1-10]の関係を示す図。
【図6】実施の形態に係る垂直磁気記録媒体において、磁化曲線の異方性磁場依存性を示す図であって、(a)YIG/GGGの例、(b)YIG/SGGGの例、(c)TmIG/GGGの例。
【図7】実施の形態に係る垂直磁気記録媒体において、各種基板の格子定数を示す図。
【図8】実施の形態に係る垂直磁気記録媒体において、各種基板の格子定数と、YIG/基板の面内歪量の関係を示す図。
【図9】実施の形態に係る垂直磁気記録媒体において、薄膜X線回折装置を用いて、酸素分圧をパラメータとして、2θ-ω特性を測定した結果であって、(a)YIG/GGGの例、(b)YIG/SGGGの例。
【図10】実施の形態に係る垂直磁気記録媒体において、垂直方向の格子定数と酸素分圧との関係を示す図。
【図11】実施の形態に係る垂直磁気記録媒体において、300Kにおける磁化曲線を示す図であって、(a)酸素分圧600mTorr,YIG/GGGの例、(b)酸素分圧400mTorr,YIG/GGGの例、(c)酸素分圧100mTorr,YIG/GGGの例。
【図12】実施の形態に係る垂直磁気記録媒体において、300Kにおける磁化曲線を示す図であって、(a)酸素分圧600mTorr,YIG/SGGGの例、(b)酸素分圧400mTorr,YIG/SGGGの例、(c)酸素分圧100mTorr,YIG/SGGGの例。
【図13】実施の形態に係る垂直磁気記録媒体において、YIG/GGG基板およびYIG/SGGG基板における磁気特性であって、保持力比HC⊥/HC//と磁化比M/M//の面内歪量依存性。
【図14】実施の形態に係る垂直磁気記録媒体において、YIG/(111)GGGにおける保持力比HC⊥/HC//と飽和磁化比MS⊥/MS//の磁気特性であって、(a)歪格子定数依存性、(b)面内歪量ε’x’x’//[11-2], ε’y’y’//[1-10]依存性、(c)面内応力σ’x’x’//[11-2], σ’y’y’//[1-10]依存性、(d)有効異方性磁場HAa依存性。
【図15】実施の形態に係る垂直磁気記録媒体において、YIG/(111)SGGGにおける保持力比HC⊥/HC//と飽和磁化比MS⊥/MS//の磁気特性であって、(a)歪格子定数依存性、(b)面内歪量ε’x’x’//[11-2], ε’y’y’//[1-10]依存性、(c)面内応力σ’x’x’//[11-2], σ’y’y’//[1-10]依存性、(d)有効異方性磁場HAa依存性。
【図16】実施の形態に係る垂直磁気記録媒体において、YIG/GGG(close)+SGGG(open) における保持力比HC⊥/HC//と飽和磁化比MS⊥/MS//の磁気特性であって、(a)歪格子定数依存性、(b)面内歪量ε’x’x’//[11-2], ε’y’y’//[1-10]依存性、(c)面内応力σ’x’x’//[11-2], σ’y’y’//[1-10]依存性、(d)有効異方性磁場HAa依存性。
【図17】実施の形態に係る垂直磁気記録媒体において、面内磁化の磁気特性と比較した垂直磁化の磁気特性の模式図。
【図18】実施の形態に係る垂直磁気記録媒体において、薄膜X線回折装置を用いて、組成比xをパラメータとして、2θ-ω特性を測定した結果であって、(a)Sm3-xTmxIG/GGGの例、(b)Sm3-xTmxIG/SGGGの例、(c)Sm3-xTmxIG/LSGの例。
【図19】実施の形態に係る垂直磁気記録媒体において、垂直方向の格子定数とSm3-xTmxFe5O3ターゲットにおける組成比xとの関係を示す図。
【図20】(a){RE3}[Fe2](Fe3)O12で表されるガーネット結晶構造の説明図、(b)Fe3+(a),Fe2+(d),RE3+(c)の位置を示す図。
【図21】実施の形態に係る垂直磁気記録媒体において、計算により得られた有効異方性磁場HAaの面内応力σ’x’x’//[11-2], σ’y’y’//[1-10]依存性であって、(a)YSmIGの例、(b)YTmIGの例、(c)SmTmIGの例、(d)EuLuIGの例。
【図22】実施の形態に係る垂直磁気記録媒体において、計算により得られた有効異方性磁場HAaの面内応力σ’x’x’//[11-2], σ’y’y’//[1-10]依存性であって、(a)YEuIGの例、(b)YLuIGの例、(c)SmLuIGの例、(d)TmLuIGの例。
【図23】実施の形態に係る垂直磁気記録媒体において、計算により得られた有効異方性磁場HAaの面内歪量ε’x’x’//[11-2], ε’y’y’//[1-10]依存性であって、(a)YSmIGの例、(b)YTmIGの例、(c)SmTmIGの例、(d)EuLuIGの例。
【図24】実施の形態に係る垂直磁気記録媒体において、計算により得られた有効異方性磁場HAaの面内歪量ε’x’x’//[11-2], ε’y’y’//[1-10]依存性であって、(a)YEuIGの例、(b)YLuIGの例、(c)SmLuIGの例、(d)TmLuIGの例。
【図25】実施の形態に係る垂直磁気記録媒体において、ガーネット{Sm3-xTmx}[Fe2](Fe3)O12の格子定数を説明する図。
【図26】実施の形態に係る垂直磁気記録媒体において、格子定数aとガーネット{Sm3-xTmx}[Fe2](Fe3)O12中の組成比xとの関係を示す図。
【図27】実施の形態に係る垂直磁気記録媒体に適用されるガーネット結晶において、(a)面内軸x’, y’, 成長方向軸z’の説明図、(b)(111)面における面内軸x’, y’, 成長方向軸z’の説明図。
【図28】実施の形態に係る垂直磁気記録媒体において、(a)Sm3-xTmxFe5O3/(111)GGG構造における格子定数aと組成比xとの関係を示す図、(b)面内歪量ε’と組成比xとの関係を示す図、(c)面内応力σ’と組成比xとの関係を示す図。
【図29】実施の形態に係る垂直磁気記録媒体において、(a)Sm3-xTmxFe5O3/(111)GGG構造における面内応力σ’と組成比xとの関係を示す図、(b)有効異方性磁場HAaと組成比xとの関係を示す図。
【図30】実施の形態に係る垂直磁気記録媒体において、(a)C3-xC’xFe5O12/YAG構造における計算された面内歪量ε’x’x’//[11-2], ε’y’y’//[1-10]と組成比xとの関係を示す図、(b)計算された面内応力σ’x’x’//[11-2], σ’y’y’//[1-10]と組成比xとの関係を示す図、(c)計算された有効異方性磁場HAaと組成比xとの関係を示す図。
【図31】実施の形態に係る垂直磁気記録媒体において、(a)C3-xC’xFe5O12/GGG構造における計算された面内歪量ε’x’x’//[11-2], ε’y’y’//[1-10]と組成比xとの関係を示す図、(b)計算された面内応力σ’x’x’//[11-2], σ’y’y’//[1-10]と組成比xとの関係を示す図、(c)計算された有効異方性磁場HAaと組成比xとの関係を示す図。
【図32】実施の形態に係る垂直磁気記録媒体において、(a)C3-xC’xFe5O12/SGGG構造における計算された面内歪量ε’x’x’//[11-2], ε’y’y’//[1-10]と組成比xとの関係を示す図、(b)計算された面内応力σ’x’x’//[11-2], σ’y’y’//[1-10]と組成比xとの関係を示す図、(c)計算された有効異方性磁場HAaと組成比xとの関係を示す図。
【図33】実施の形態に係る垂直磁気記録媒体において、(a)C3-xC’xFe5O12/LSG構造における計算された面内歪量ε’x’x’//[11-2], ε’y’y’//[1-10]と組成比xとの関係を示す図、(b) 計算された面内応力σ’x’x’//[11-2], σ’y’y’//[1-10]と組成比xとの関係を示す図、(c)計算された有効異方性磁場HAaと組成比xとの関係を示す図。
【図34】実施の形態に係る垂直磁気記録媒体において、(a)C3-xC’xFe5O12/YAG構造における計算された有効異方性磁場HAaと面内歪量ε’x’x’//[11-2], ε’y’y’//[1-10]との関係を示す図、(b)計算された有効異方性磁場HAaと面内応力σ’x’x’//[11-2], σ’y’y’//[1-10]との関係を示す図。
【図35】実施の形態に係る垂直磁気記録媒体において、(a)C3-xC’xFe5O12/GGG構造における計算された有効異方性磁場HAaと面内歪量ε’x’x’//[11-2], ε’y’y’//[1-10] との関係を示す図、(b)計算された有効異方性磁場HAaと面内応力σ’x’x’//[11-2], σ’y’y’//[1-10]との関係を示す図。
【図36】実施の形態に係る垂直磁気記録媒体において、(a)C3-xC’xFe5O12/SGGG構造における計算された有効異方性磁場HAaと面内歪量ε’x’x’//[11-2], ε’y’y’//[1-10] との関係を示す図、(b)計算された有効異方性磁場HAaと面内応力σ’x’x’//[11-2], σ’y’y’//[1-10]との関係を示す図。
【図37】実施の形態に係る垂直磁気記録媒体において、(a)C3-xC’xFe5O12/LSG構造における計算された有効異方性磁場HAaと面内歪量ε’x’x’//[11-2], ε’y’y’//[1-10]との関係を示す図、(b)計算された有効異方性磁場HAaと面内応力σ’x’x’//[11-2], σ’y’y’//[1-10]との関係を示す図。
【図38】実施の形態に係る垂直磁気記録媒体において、有効異方性磁場HAa>20kOeをガーネット材料C3-xC’xFe5O12・組成比x・面内応力σ’x’x’//[11-2], σ’y’y’//[1-10]から限定する例であって、(a)SmTmIGにおける有効異方性磁場HAaと面内応力σ’x’x’//[11-2], σ’y’y’//[1-10]との関係を示す図、(b)SmTmIGにおける面内応力σ’x’x’//[11-2], σ’y’y’//[1-10]とC3-xC’xFe5O12中の組成比xとの関係を示す図。
【図39】実施の形態に係る垂直磁気記録媒体において、有効異方性磁場HAa>20kOeをガーネット材料C3-xC’xFe5O12・組成比x・面内歪量ε’x’x’//[11-2], ε’y’y’//[1-10]から限定する例であって、(a)SmTmIGにおける有効異方性磁場HAaと面内歪量ε’x’x’//[11-2], ε’y’y’//[1-10]との関係を示す図、(b)SmTmIGにおける面内歪量ε’x’x’//[11-2], ε’y’y’//[1-10]とC3-xC’xFe5O12中の組成比xとの関係を示す図。
【図40】実施の形態に係る垂直磁気記録媒体において、有効異方性磁場HAa>20kOeを限定する面内応力σ’x’x’//[11-2], σ’y’y’//[1-10]とC3-xC’xFe5O12中の組成比xとの関係であって、(a)YSmIGの例、(b)YTmIGの例、(c)SmTmIGの例、(d)EuLuIGの例。
【図41】実施の形態に係る垂直磁気記録媒体において、有効異方性磁場HAa>20kOeを限定する面内応力σ’x’x’//[11-2], σ’y’y’//[1-10]とC3-xC’xFe5O12中の組成比xとの関係であって、(a)YEuIGの例、(b)YLuIGの例、(c)SmLuIGの例、(d)TmLuIGの例。
【図42】実施の形態に係る垂直磁気記録媒体において、有効異方性磁場HAa>20kOeを限定する面内歪量ε’x’x’//[11-2], ε’y’y’//[1-10]とC3-xC’xFe5O12中の組成比xとの関係であって、(a)YSmIGの例、(b)YTmIGの例、(c)SmTmIGの例、(d)EuLuIGの例。
【図43】実施の形態に係る垂直磁気記録媒体において、有効異方性磁場HAa>20kOeを限定する面内歪量ε’x’x’//[11-2], ε’y’y’//[1-10]とC3-xC’xFe5O12中の組成比xとの関係であって、(a)YEuIGの例、(b)YLuIGの例、(c)SmLuIGの例、(d)TmLuIGの例。
【図44】実施の形態に係る垂直磁気記録媒体において、垂直磁化膜を得るための条件:有効異方性磁場HAa>20kOeを磁性ガーネット材料C3-xC’xFe5O12の組成比xと基板により限定する組み合わせ例を示す図。
【図45】実施の形態に係る垂直磁気記録媒体において、垂直磁化膜を得るための条件:有効異方性磁場HAa>20kOeを磁性ガーネット材料C3-xC’xFe5O12の組成比xと基板により限定すると共に、さらに面内応力σ’x’x’//[11-2], σ’y’y’//[1-10]を6Gpa以下に限定する組み合わせ例を示す図。
【図46】実施の形態に係る垂直磁気記録媒体において、垂直磁化膜を得るための条件:有効異方性磁場HAa>20kOeを磁性ガーネット材料C3-xC’xFe5O12の組成比xと基板により限定すると共に、さらに面内応力σ’x’x’//[11-2], σ’y’y’//[1-10]を3Gpa以下に限定する組み合わせ例を示す図。
【図47】実施の形態に係る垂直磁気記録媒体において、垂直磁化膜を得るための条件:有効異方性磁場HAa>20kOeを磁性ガーネット材料C3-xC’xFe5O12の組成比xと基板により限定すると共に、さらに面内歪量ε’x’x’//[11-2], ε’y’y’//[1-10]を2%以下に限定する組み合わせ例を示す図。
【図48】実施の形態に係る垂直磁気記録媒体において、垂直磁化膜を得るための条件:有効異方性磁場HAa>20kOeを磁性ガーネット材料C3-xC’xFe5O12の組成比xと基板により限定すると共に、さらに面内歪量ε’x’x’//[11-2], ε’y’y’//[1-10]を1%以下に限定する組み合わせ例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0017】
又、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の実施の形態は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の実施の形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0018】
(メモリ応用のための極小バブル発生に必要な特性)
実施の形態に係る垂直磁気記録媒体の模式的鳥瞰構造は、図1に示すように表される。
【0019】
実施の形態に係る垂直磁気記録媒体2は、図1に示すように、基板10と、基板10上に配置された単結晶よりなる垂直磁化膜12とを備える。ここで、メモリ応用のための極小バブル発生に必要な特性は、垂直磁化膜12は、キュリー温度が室温以上である絶縁体からなり、且つ、膜厚が100nm以下というものである。実施の形態に係る垂直磁気記録媒体2は、磁気記録装置への応用を想定したものであり、特に、絶縁体材料を用い、極薄膜において、室温で、垂直磁化が同時に実現される。
【0020】
実施の形態に係る垂直磁気記録媒体2において、材料には磁気バブルメモリ媒体として実用化された磁性ガーネット系を用いる。磁気バブルとは試料面内に同一方向のスピンの集合対からなる磁区が泡のように形成される現象であり、磁区1個の有無をデジタル信号の“0”、“1”に対応させることができる。バブル径と相関の強い磁区の幅は薄膜化により減少するため、これを利用して磁気バブルメモリの記録密度を飛躍的に増加することができる。
【0021】
実施の形態に係る垂直磁気記録媒体2において、磁区の幅d、記録密度Dの逆数1/Dと垂直磁化膜12の厚さtとの関係は、模式的に図2に示すように表される。記録密度Dを増大するためには、バブル径、すなわち磁区の幅dの微小化が必要であり、バブル径微小化のためには、垂直磁化膜12の厚さtの低減化が必要である。
【0022】
しかしながら、極薄膜においては主に形状磁気異方性により磁化方向が面内に向き易いために、面内磁化膜となりやすい。図1において、矢印A-AおよびC-Cは、磁化方向の面内成分を表し、矢印Vは、磁化方向の面直成分を表す。ここで、実施の形態に係る垂直磁気記録媒体2の垂直磁化膜12の磁気特性は、模式的に図3に示すように表され、一方、比較例に係る磁気記録媒体の面内磁化膜の磁気特性は、模式的に図4に示すように表される。比較例では、図4に示すように、面直成分に比べて面内成分が顕著な磁気特性を示す。これに対して、実施の形態に係る垂直磁気記録媒体2では、図3に示すように、面内成分に比べて面直成分が顕著な磁気特性を示す。
【0023】
実施の形態に係る垂直磁気記録媒体2においては、垂直磁化膜を得るために、形状磁気異方性の効果を上回る応力誘導磁気異方性を利用している。すなわち、実施の形態に係る垂直磁気記録媒体2においては、磁化方向制御のために薄膜材料の磁歪定数と極薄膜/基板間の格子不整合差により生じる応力誘導磁気異方性を利用した薄膜・基板の材料設計により、絶縁体材料を用い、極薄膜において、室温で、垂直磁化の特性を同時に実現することができる。
【0024】
(垂直磁化条件)
実施の形態に係る垂直磁気記録媒体2において、垂直磁化膜12は有効異方性磁場が20kOe上である。
【0025】
実施の形態に係る垂直磁気記録媒体2において、有効異方性磁場HAaと面内応力σ’//[11-2],[1-10]の関係は、例えば、図5に示すように表される。ここで、面内応力σ’//[11-2],[1-10]は、面内応力σ’x’x’//[11-2], σ’y’y’//[1-10]を省略した表記である。
【0026】
図5において、基板10は、(111)面Gd3Ga5O12(GGG)で形成され、(111)面GGG上に形成された垂直磁化膜12は、例えば、YSmIG, YEuIG, YTmIG, YLuIG, SmTmIG, SmLuIG, EuLuIG, TmLuIGである。図5において、面内応力σ’//[11-2],[1-10]の正方向は引張応力を表し、負方向は圧縮応力を表す。また、有効異方性磁場HAaの値が、20(kOe)以上が垂直磁化膜条件であり、20(kOe)以下が面内磁化膜条件である。
【0027】
実施の形態に係る垂直磁気記録媒体2において、磁化曲線の例は、図6に示すように表される。図6(a)は、室温(300K)、厚さt:約40-50nmのYIG/GGG構造において、有効異方性磁場HAaが約-20(kOe)の例、図6(b)は、室温(300K)、厚さt:約40-50nmのYIG/SGGG構造において、有効異方性磁場HAaが約+20(kOe)の例、図6(c)は、室温(300K)、厚さt:約40-50nmのTmIG/GGG構造において、有効異方性磁場HAaが約+25(kOe)の例をそれぞれ表す。ここで、図6(b)では、YIG/SGGG構造を用いて、成膜条件を最適化すると共に、引張歪量を増加しており、図6(c)では、有効異方性磁場HAaの値を増加している。図6(a)〜図6(b)に示すように、有効異方性磁場HAaの値が約+20(kOe)以下では、垂直磁化≦面内磁化の傾向が顕著である。一方、図6(c)に示すように、有効異方性磁場HAaの値が約+25(kOe)では、垂直磁化≧面内磁化の傾向が顕著である。したがって、有効異方性磁場HAaの値の臨界値は、約+20(kOe)である。
【0028】
(ガーネット材料・組成比x・面内応力σ’//[11-2],[1-10])
垂直磁化膜12は、C3-xC’xFe5O12(0≦x≦3)で表される磁性ガーネット材料であって、面内応力をσ’(GPa)、立方晶異方性定数をK1(erg/cm3)、磁歪定数をλ111(無次元)、飽和磁化を4πMS(G)とし、右下付きのC, C’はそれぞれの定数がC3Fe5O12, C’3Fe5O12の磁性ガーネット材料であることを表すとすると、有効異方性磁場HAa>20kOeとなる面内応力σ’(GPa)の条件は、
【数1】

【0029】
が成立することである。
【0030】
(ガーネット材料・組成比x・面内歪量ε’x’x’//[11-2], ε’y’y’//[1-10])
また、実施の形態に係る垂直磁気記録媒体2において、垂直磁化膜12は、C3-xC’xFe5O12(0≦x≦3)で表される磁性ガーネット材料であって、弾性スティフネス定数をC11, C12, C44 (erg/cm3)とすると、面内歪量をε’//、立方晶異方性定数をK1(erg/cm3)、磁歪定数をλ111(無次元)、飽和磁化を4πMS(G)とし、右下付きのC, C’はそれぞれの定数がC3Fe5O12, C’3Fe5O12の磁性ガーネット材料であることを表すとすると、有効異方性磁場HAa>20kOeとなる面内歪量ε’//の条件は、
【数2】

【0031】
が成立することである。
【0032】
(製造方法の実施例: Y3Fe5O12(YIG))
C3Fe5O12の場合はY3Fe5O12と同様である。
【0033】
―ターゲットの作製―
原料粉末をモル比Y2O3:Fe2O3=37.5:62.5で、湿式混合法により混合し、大気中で約12時間、約1100-1400℃で仮焼した。仮焼体を乾式粉砕して得られた粉末は、粉末X線回折装置を用いて、2θ-θ測定により、異相の混入の無いY3Fe5O12単相の粉末であることを確認した。Y3Fe5O12粉末を、約10分間、約10-30(MPa)で、円柱ターゲット状に形成し、大気中で、約12時間、約1100-1400℃で焼結した。得られたターゲットの一部を粉砕して得られた粉末は、2θ-θ測定により、異相の混入の無いY3Fe5O12単相の粉末であることを確認した。
【0034】
―エピタキシャル成長―
GGG,SGGG,LSG単結晶基板上にターゲットを用いて、PLD法により結晶成長を行った。成長条件は、ターゲット-基板間距離:約4cm、KrFエキシマレーザパワー:約0.5-10J/cm2、周波数:約2Hz-100Hz、酸素圧力:約100-1000mTorr、基板温度:約600-1000℃である。
【0035】
―歪量・応力評価―
薄膜X線回折装置を用いて、2θ-ω測定により、エピタキシャル成長層の面外格子定数を評価した。薄膜X線回折装置を用いて、逆格子空間マッピング測定により、コヒーレント成長を確認し、後述する計算手順により面内歪量・面内応力を算出した。尚、一定の面内歪量・面内応力を超えると格子緩和により結晶性が劣化することを確認し、所望の面内歪量・面内応力を印可できなくなる上、垂直磁化膜が得られなくなることを確認している。
【0036】
―磁気特性評価―
磁気特性評価装置により、面外・面外方向の磁化曲線を評価した。垂直磁化膜・面内磁化膜の判断は、飽和磁化・保磁力の面外・面内成分の比較により、実施している。
【0037】
(製造方法の実施例: C3-xC’xFe5O12
―ターゲットの作製―
原料粉末をモル比C2O3:C’2O3:Fe2O3=100(3-x)/8:100x/8:62.5で、湿式混合法により混合し、大気中で約12時間、約1100-1400℃で仮焼した。仮焼体を乾式粉砕して得られた粉末は、粉末X線回折装置を用いて、2θ-θ測定により、異相の混入の無いC3-xC’xFe5O12単相の粉末であることを確認した。C3-xC’xFe5O12粉末を、約10分間、約10-30(MPa)で、円柱ターゲット状に形成し、大気中で、約12時間、約1100-1400℃で焼結した。得られたターゲットの一部を粉砕して得られた粉末は、2θ-θ測定により、異相の混入の無いC3-xC’xFe5O12単相の粉末であることを確認した。
【0038】
エピタキシャル成長、歪量・応力評価、磁気特性評価は、Y3Fe5O12の場合と同様であるため、重複説明は省略する。
【0039】
(格子定数)
実施の形態に係る垂直磁気記録媒体2において、各種基板の格子定数は、図7に示すように表され、各種基板の格子定数と、YIG/基板の面内歪量の関係は、図8に示すように表される。図7および図8から明らかなように、例えば、YAG(Y3Al5O12)基板の格子定数は、12.010,YIG/ YAG基板の面内歪量は、約-2.95%、YIG(Y3Fe5O12)基板の格子定数は、12.376, YIG/ YIG基板の面内歪量は、0%、GGG(Gd3Ga5O12)基板の格子定数は、12.383, YIG/ GGG基板の面内歪量は、約+0.05%、SGGG((CaGd)3(MgGaZr)5O12)基板の格子定数は、12.497, YIG/ SGGG基板の面内歪量は、約+1.0%、LSG((CaGd)3(GaZr)5O12)基板の格子定数は、12.522, YIG/ LSG基板の面内歪量は、約+1.2%である。
【0040】
(2θ-ω特性;酸素分圧をパラメータ)
実施の形態に係る垂直磁気記録媒体2において、薄膜X線回折装置を用いて、酸素分圧をパラメータとして、2θ-ω特性を測定した結果であって、YIG/GGG基板の例は、図9(a)に示すように表され、YIG/SGGG基板の例は、図9(b)に示すように表される。同図には、ストイキオメトリ状態のYIGの無歪の場合、基板と面内の格子定数と一致して歪を受けた場合の2θの位置を点線で示してある。ここで、エピタキシャル成長された垂直磁化膜12の厚さはいずれも約50nm、成長温度は、約800℃である。また、YIG/GGG基板およびYIG/SGGG基板において、垂直方向の格子定数と酸素分圧との関係は、図10に示すように表される。同図には、ストイキオメトリ状態のYIGの無歪の場合、基板と面内の格子定数と一致して歪を受けた場合の格子定数を点線で示してある。酸素分圧が上昇するにしたがって、格子定数の減少傾向が得られ、約600mTorrにおいて、YIG/GGG基板およびYIG/SGGG基板において、ストイキオメトリ状態となる。酸素分圧を変化させることでYIGのストイキオメトリを変化させ、それによって格子定数を変化させることができる。この性質を利用して、エピタキシャル歪が磁気特性に与える影響を系統的に調査した。
【0041】
(磁化曲線:酸素分圧、基板依存性)
実施の形態に係る垂直磁気記録媒体2において、300Kにおける磁化曲線であって、酸素分圧600mTorr,YIG/GGG基板の例は、図11(a)に示すように表され、酸素分圧400mTorr,YIG/GGG基板の例は、図11(b)に示すように表され、酸素分圧100mTorr,YIG/GGG基板の例は、図11(c)に示すように表される。
【0042】
同様に、実施の形態に係る垂直磁気記録媒体2において、300Kにおける磁化曲線であって、酸素分圧600mTorr,YIG/SGGG基板の例は、図12(a)に示すように表され、酸素分圧400mTorr,YIG/SGGG基板の例は、図12(b)に示すように表され、酸素分圧100mTorr,YIG/SGGG基板の例は、図12(c)に示すように表される。図11および図12において、エピタキシャル成長された垂直磁化膜12の厚さはいずれも約50nmである。図11および図12から明らかなように、磁場の値が上昇するにしたがって、面直成分の値の増加傾向が得られ、また面直成分が面内成分に次第に近ずく傾向が見られる。また、酸素分圧が上昇するにしたがって、面直成分の値が面内成分に近ずく傾向が見られる。特に、図12(a)の例では、磁場の値が上昇するにしたがって、面直成分の値が面内成分の値よりも大きくなる条件を見出すことができる。
【0043】
(保持力比/と磁化比/の面内歪量依存性)
実施の形態に係る垂直磁気記録媒体2において、YIG/GGG基板およびYIG/SGGG基板における磁気特性であって、保持力比HC⊥/HC//と磁化比M/M//の面内歪量依存性は、図13に示すように表される。尚、図13中には、TmIG/GGG基板の一部のデータも示されている。図13から明らかなように、面内歪量が圧縮歪みから引張歪み方向の増大するにつれて、磁化比M/M//が高く、保持力比HC⊥/HC//が小さくなる傾向が得られている。また、エピタキシャル成長時の酸素分圧の増大と共に、保持力比HC⊥/HC//が小さくなり、かつ磁化比M/M//が高くなる傾向が得られている。図13から明らかなように、YIG/GGG基板、YIG/SGGG基板のいずれにおいても、ストイキオメトリ状態に近付くにつれて、磁化比M/M//が高く、保持力比HC⊥/HC//が小さくなる傾向が得られており、より急峻な磁気特性が得られる。
【0044】
(YIG/(111)GGGにおける保持力比と飽和磁化比の磁気特性)
実施の形態に係る垂直磁気記録媒体2において、YIG/(111)GGGにおける保持力比HC⊥/HC//と飽和磁化比MS⊥/MS//の磁気特性の歪格子定数依存性は、図14(a)に示すように表され、面内歪量ε’x’x’//[11-2], ε’y’y’//[1-10]依存性は、図14(b)に示すように表され、面内応力σ’x’x’//[11-2], σ’y’y’//[1-10]依存性は、図14(c)に示すように表され、、有効異方性磁場HAa依存性は、図14(d)に示すように表される。
【0045】
同様に、実施の形態に係る垂直磁気記録媒体2において、YIG/(111)SGGGにおける保持力比HC⊥/HC//と飽和磁化比MS⊥/MS//の磁気特性の歪格子定数依存性は、図15(a)に示すように表され、面内歪量ε’x’x’//[11-2], ε’y’y’//[1-10]依存性は、図15(b)に示すように表され、面内応力σ’x’x’//[11-2], σ’y’y’//[1-10]依存性は、図15(c)に示すように表され、有効異方性磁場HAa依存性は、図15(d)に示すように表される。
【0046】
同様に、実施の形態に係る垂直磁気記録媒体2において、YIG/GGG(close)+SGGG(open) における保持力比HC⊥/HC//と飽和磁化比MS⊥/MS//の磁気特性の歪格子定数依存性は、図16(a)に示すように表され、面内歪量ε’x’x’//[11-2], ε’y’y’//[1-10]依存性は、図16(b)に示すように表され、面内応力σ’x’x’//[11-2], σ’y’y’//[1-10]依存性は、図16(c)に示すように表され、、有効異方性磁場HAa依存性は、図16(d)に示すように表される。
【0047】
実施の形態に係る垂直磁気記録媒体2において、垂直磁化の磁気特性は、面内磁化の磁気特性と比較して、図17に示すように模式的に表される。磁気特性上、保持力比HC⊥/HC//と飽和磁化比MS⊥/MS//が、HC⊥/HC//<1, MS⊥/MS//>1となることが垂直磁化膜を得るためには必要である。例えば、図15(d)に示すように、有効異方性磁場HAaの値がストイキオメトリ近傍である20kOeにて面直磁化と面内磁化成分が同等、即ち、HC⊥/HC//=1, MS⊥/MS//=1となる。これらの結果より、薄膜においては20kOeの形状異方性磁場が働いていると解釈することができ、HAaの値を20kOe以上へ増加することが出来ればHC⊥/HC//<1, MS⊥/MS//>1となり、垂直磁化膜を得ることができることがわかる。尚、図15(d)において、有効異方性磁場HAaの値が20kOeより小さい範囲では、YIG(Y3Fe5O12)のFe欠損状態(Y3Fe5-xO12)に対応している。
【0048】
(2θ-ω特性;組成比xをパラメータ)
実施の形態に係る垂直磁気記録媒体2において、薄膜X線回折装置を用いて、組成比xをパラメータとして、2θ-ω特性を測定した結果であって、Sm3-xTmxIG/GGG基板の例は、図18(a)に示すように表され、Sm3-xTmxIG/SGGG基板の例は、図18(b)に示すように表され、Sm3-xTmxIG/LSG基板の例は、図18(c)に示すように表される。同図には、ストイキオメトリ状態のSm3-xTmxIG(x=1,2,3)が基板と面内の格子定数と一致して歪を受けた場合の2θの位置を点線で示してある。ここで、エピタキシャル成長された垂直磁化膜12の厚さはいずれも約50nm、成長温度は、約800℃である。また、Sm3-xTmxIG/GGG基板、Sm3-xTmxIG/SGGG基板およびSm3-xTmxIG/LSG基板において、垂直方向の格子定数とSm3-xTmxFe5O3ターゲットにおける組成比xとの関係は、図19に示すように表される。同図には、ストイキオメトリ状態のSm3-xTmxIGの無歪の場合、基板と面内の格子定数と一致して歪を受けた場合の格子定数をxに対して点線で示してある。
【0049】
Sm3-xTmxIG/GGG基板の例では、x=1,2,3全てが基板と面内の格子定数と一致して歪を受けており、Sm3-xTmxIG/SGGG基板の例では、組成比xの値が約2以上で一部緩和状態となり、Sm3-xTmxIG/LSG基板の例では、組成比xの値が約2以上において、一部緩和状態となる。これらの試料群の内、HAaの値が20kOeを超えるTm3IG/GGG、Sm3-xTmxIG/SGGG、Sm3-xTmxIG/LSGにて垂直磁化膜が得られた。
【0050】
(有効異方性磁場の計算手順)
任意の組成のガーネットの格子定数を用いて、任意の面内歪量、任意の面内応力に対する有効異方性磁場を計算する手順を以下に説明する。
【0051】
{RE3}[Fe2](Fe3)O12で表される任意の組成のガーネット結晶構造は、図20(a)に示すように表され、このような結晶構造において、Fe3+(a),Fe2+(d),RE3+(c)の位置は、図20(b)に示すように表される。
【0052】
面内応力をσ’(GPa)、立方晶異方性定数をK1(erg/cm3)、磁歪定数をλ111 (無次元)、飽和磁化を4πMS(G)と表すとすると、任意の面内応力σ'(GPa)を受けた垂直磁化膜12に発生する有効異方性磁場HAaは、
【数3】

【0053】
で表される。
【0054】
また、弾性スティフネス定数をC11, C12, C44 (erg/cm3)、バルクモジュールBを( C11+2 C12)/3、面内歪量をε’//とすると、面内応力σ'および正方晶面内歪量Δε’は、
【数4】

【0055】
で表される。
【0056】
したがって、任意の面内応力σ'(GPa)を受けた垂直磁化膜12に発生する有効異方性磁場HAaは、
【数5】

【0057】
で表される。
【0058】
(計算された有効異方性磁場の面内応力依存性)
実施の形態に係る垂直磁気記録媒体2において、計算により得られた有効異方性磁場HAaの面内応力σ’x’x’//[11-2], σ’y’y’//[1-10]依存性であって、YSmIGの例は、図21(a)に示すように表され、YTmIGの例は、図21(b)に示すように表され、SmTmIGの例は、図21(c)に示すように表され、EuLuIGの例は、図21(d)に示すように表される。
【0059】
同様に、YEuIGの例は、図22(a)に示すように表され、YLuIGの例は、図22(b)に示すように表され、SmLuIGの例は、図22(c)に示すように表され、TmLuIGの例は、図22(d)に示すように表される。
【0060】
また、実施の形態に係る垂直磁気記録媒体2において、計算により得られた有効異方性磁場HAaの面内歪量ε’x’x’//[11-2], ε’y’y’//[1-10]依存性であって、YSmIGの例は、図23(a)に示すように表され、YTmIGの例は、図23(b)に示すように表され、SmTmIGの例は、図23(c)に示すように表され、EuLuIGの例は、図23(d)に示すように表される。
【0061】
同様に、YEuIGの例は、図24(a)に示すように表され、YLuIGの例は、図24(b)に示すように表され、SmLuIGの例は、図24(c)に示すように表され、TmLuIGの例は、図24(d)に示すように表される。
【0062】
(ガーネット{Sm3-xTmx}[Fe2](Fe3)O12の計算された格子定数:組成比x依存性)
実施の形態に係る垂直磁気記録媒体2において、一例として、ガーネット{Sm3-xTmx}[Fe2](Fe3)O12の格子定数パラメータb1, b2, b3, b4, b5, b6および平均イオン半径rSmVIII, rTmVIII, rFeVI, rFeIVは、図25に示すように表される。
【0063】
ここで、格子定数aおよび平均イオン半径rVIII, rVI, rIVは、
【数6】

【0064】
で表される。
【0065】
実施の形態に係る垂直磁気記録媒体2において、計算された格子定数aとガーネット{Sm3-xTmx}[Fe2](Fe3)O12中の組成比xとの関係は、図26に示すように表される。
【0066】
(面内歪量・面内応力の算出方法)
実施の形態に係る垂直磁気記録媒体2に適用されるガーネット結晶において、面内軸x’, y’, 成長方向軸z’は、図、27(a)に示すように表され、(111)面における面内軸x’, y’, 成長方向軸z’は、図、27(b)に示すように表される。
【0067】
ここで、基板10の格子定数をasub, エピタキシャル成長された垂直磁化膜12の格子定数をaepi、面内歪量をε’//、面直歪量をε’とすると、正方晶面内歪量Δε’および面内歪量をε’//は。
【数7】

【0068】
であらわされる。
【0069】
また、弾性スティフネス定数をC11, C12, C44 (erg/cm3)、バルクモジュールBを( C11+2 C12)/3、面内歪量をε’//、面直歪量をε’とすると、(111)面において、面直歪量ε’は、
【数8】

【0070】
であらわされる。
【0071】
実施の形態に係る垂直磁気記録媒体2において、Sm3-xTmxFe5O3/(111)GGG構造例における格子定数aと組成比xとの関係は、図26に対応して図28(a)に示すように表され、図28(a)に基づいて計算された面直歪量ε’、面内歪量ε’//と組成比xとの関係は、図28(b)に示すように表され、図28(b)に基づいて計算された面内応力σ’と組成比xとの関係は、図28(c)に示すように表される。
【0072】
ここで、図28(a)に基づいて図28(b)を得るための面直歪量ε’、および面内歪量ε’//の計算式は、前述の数式7および数式8を用いることができる。
【0073】
また、図28(b)に基づいて図28(c)を得るための面内応力σ'および正方晶歪量Δε’の計算式は、前述の数式4を用いることができる。
【0074】
(有効異方性磁場の算出方法)
実施の形態に係る垂直磁気記録媒体2において、Sm3-xTmxFe5O3/(111)GGG構造例における面内応力σ’と組成比xとの関係は、図28(c)に対応して図29(a)に示すように表され、図29(a)に基づいて計算された有効異方性磁場HAaと組成比xとの関係は、図29(b)に示すように表される。
【0075】
ここで、図29(a)に基づいて図29(b)を得るための有効異方性磁場HAaの計算式は、前述の数式3を用いることができる。
【0076】
(面内歪量、面内応力、有効異方性磁場の組成比、基板依存性)
実施の形態に係る垂直磁気記録媒体2において、C3-xC’xFe5O12/YAG構造例における計算された面内歪量ε’x’x’//[11-2], ε’y’y’//[1-10]と組成比xとの関係は、図30(a)に示すように表され、計算された面内応力σ'x’x’//[11-2], σ’y’y’//[1-10]と組成比xとの関係は、図30(b)に示すように表され、計算された有効異方性磁場HAaと組成比xとの関係は、図30(c)に示すように表される。
【0077】
同様に、実施の形態に係る垂直磁気記録媒体2において、C3-xC’xFe5O12/GGG構造例における計算された面内歪量ε’x’x’//[11-2], ε’y’y’//[1-10]と組成比xとの関係は、図31(a)に示すように表され、計算された面内応力σ’x’x’//[11-2], σ’y’y’//[1-10]と組成比xとの関係は、図31(b)に示すように表され、計算された有効異方性磁場HAaと組成比xとの関係は、図31(c)に示すように表される。
【0078】
同様に、実施の形態に係る垂直磁気記録媒体2において、C3-xC’xFe5O12/SGGG構造例における計算された面内歪量ε’x’x’//[11-2], ε’y’y’//[1-10]と組成比xとの関係は、図32(a)に示すように表され、計算された面内応力σ’x’x’//[11-2], σ’y’y’//[1-10]と組成比xとの関係は、図32(b)に示すように表され、計算された有効異方性磁場HAaと組成比xとの関係は、図32(c)に示すように表される。
【0079】
同様に、実施の形態に係る垂直磁気記録媒体2において、C3-xC’xFe5O12/LSG構造例における計算された面内歪量ε’x’x’//[11-2], ε’y’y’//[1-10]と組成比xとの関係は、図33(a)に示すように表され、計算された面内応力σ’x’x’//[11-2], σ’y’y’//[1-10]と組成比xとの関係は、図33(b)に示すように表され、計算された有効異方性磁場HAaと組成比xとの関係は、図33(c)に示すように表される。
【0080】
図31〜図33の結果から、有効異方性磁場HAa>20kOeの条件によって、垂直磁化膜12/基板10の構成における組成比・基板を選択することができる。さらに、面内応力σ’の値を所定値以下に設定することで、組成比・基板を選択することができる。また、面内歪量ε’の値を所定値以下に設定することで、組成比・基板を選択することもできる。
【0081】
(有効異方性磁場の面内歪量、面内応力依存性)
実施の形態に係る垂直磁気記録媒体2において、C3-xC’xFe5O12/YAG構造例における計算された有効異方性磁場HAaと面内歪量ε’x’x’//[11-2], ε’y’y’//[1-10]との関係は、図34(a)に示すように表され、計算された有効異方性磁場HAaと面内応力σ’x’x’//[11-2], σ’y’y’//[1-10]との関係は、図34(b)に示すように表される。
【0082】
同様に、実施の形態に係る垂直磁気記録媒体2において、C3-xC’xFe5O12/GGG構造例における計算された有効異方性磁場HAaと面内歪量ε’x’x’//[11-2], ε’y’y’//[1-10] との関係は、図35(a)に示すように表され、計算された有効異方性磁場HAaと面内応力σ’x’x’//[11-2], σ’y’y’//[1-10]との関係は、図35(b)に示すように表される。
【0083】
同様に、実施の形態に係る垂直磁気記録媒体2において、C3-xC’xFe5O12/SGGG構造例における計算された有効異方性磁場HAaと面内歪量ε’x’x’//[11-2], ε’y’y’//[1-10] との関係は、図36(a)に示すように表され、計算された有効異方性磁場HAaと面内応力σ’x’x’//[11-2], σ’y’y’//[1-10]との関係は、図36(b)に示すように表される。
【0084】
同様に、実施の形態に係る垂直磁気記録媒体2において、C3-xC’xFe5O12/LSG構造例における計算された有効異方性磁場HAaと面内歪量ε’x’x’//[11-2], ε’y’y’//[1-10] との関係は、図37(a)に示すように表され、計算された有効異方性磁場HAaと面内応力σ’x’x’//[11-2], σ’y’y’//[1-10]との関係は、図37(b)に示すように表される。
【0085】
(面内応力条件の説明)
実施の形態に係る垂直磁気記録媒体2において、有効異方性磁場HAa>20kOeをガーネット材料C3-xC’xFe5O12・組成比x・面内応力σ’x’x’//[11-2], σ’y’y’//[1-10]から限定する例であって、SmTmIGにおける有効異方性磁場HAaと面内応力σ’x’x’//[11-2], σ’y’y’//[1-10]との関係は、図38(a)に示すように表され、面内応力σ’x’x’//[11-2], σ’y’y’//[1-10]とC3-xC’xFe5O12中の組成比xとの関係は、に示すように表される。図38(b)において、有効異方性磁場HAa>20kOeの条件を満足する領域は、矢印で示される範囲である。
【0086】
図38(b)において、矢印で示される範囲は、面内応力をσ'(GPa)、磁歪定数をλ111 (無次元)、飽和磁化を4πMS(G)とし、Hth(kOe)=5000/π(erg/cm3G)とすると、
【数9】

【0087】
で表される。
【0088】
(面内歪量条件の説明)
実施の形態に係る垂直磁気記録媒体2において、有効異方性磁場HAa>20kOeをガーネット材料C3-xC’xFe5O12・組成比x・面内歪量ε’x’x’//[11-2], ε’y’y’//[1-10]から限定する例であって、SmTmIGにおける有効異方性磁場HAaと面内歪量ε’x’x’//[11-2], ε’y’y’//[1-10]との関係は、図39(a)に示すように表され、SmTmIGにおける面内歪量ε’x’x’//[11-2], ε’y’y’//[1-10]とC3-xC’xFe5O12中の組成比xとの関係は、図39(b)に示すように表される。図39(b)において、有効異方性磁場HAa>20kOeの条件を満足する領域は、矢印で示される範囲である。
【0089】
図39(b)において、矢印で示される範囲は、磁歪定数をλ111 (無次元)、飽和磁化を4πMS(G)、弾性スティフネス定数をC11, C12, C44 (erg/cm3)とすると、
【数10】

【0090】
で表される。
【0091】
(面内応力)
図38(b)と同様に求めた他のガーネット材料C3-xC’xFe5O12についての計算結果を以下にまとめる。
【0092】
実施の形態に係る垂直磁気記録媒体2において、有効異方性磁場HAa>20kOeを限定する面内応力σ’x’x’//[11-2], σ’y’y’//[1-10]とC3-xC’xFe5O12中の組成比xとの関係であって、YSmIGの例は、図40(a)に示すように表され、YTmIGの例は、図40(b)に示すように表され、SmTmIGの例は、図40(c)に示すように表され、EuLuIGの例は、図40(d)に示すように表される。
【0093】
同様に、YEuIGの例は、図41(a)に示すように表され、YLuIGの例は、図41(b)に示すように表され、SmLuIGの例は、図41(c)に示すように表され、TmLuIGの例は、図41(d)に示すように表される。
【0094】
(面内歪量)
(有効異方性磁場HAa>20kOe;および面内歪量の説明)
図39(b)と同様に求めた他のガーネット材料C3-xC’xFe5O12についての計算結果を以下にまとめる。
【0095】
実施の形態に係る垂直磁気記録媒体2において、有効異方性磁場HAa>20kOeを限定する面内歪量ε’x’x’//[11-2], ε’y’y’//[1-10]とC3-xC’xFe5O12中の組成比xとの関係であって、YSmIGの例は、図42(a)に示すように表され、YTmIGの例は、図42(b)に示すように表され、SmTmIGの例は、図42(c)に示すように表され、EuLuIGの例は、図42(d)に示すように表される。
【0096】
同様に、YEuIGの例は、図43(a)に示すように表され、YLuIGの例は、図43(b)に示すように表され、SmLuIGの例は、図43(c)に示すように表され、TmLuIGの例は、図43(d)に示すように表される。
【0097】
(計算式)
実施の形態に係る垂直磁気記録媒体2において、垂直磁化膜12を得るための条件(有効異方性磁場HAa>20kOe=Hth)を磁性ガーネット材料の組成比xと面内応力σ’により限定する計算式は、以下の通りである。
【数11】

【0098】
実施の形態に係る垂直磁気記録媒体2において、垂直磁化膜12を得るための条件(有効異方性磁場HAa>20kOe=Hth)を磁性ガーネット材料の組成比xと面内歪量ε’により限定する計算式は、以下の通りである。
【数12】

【0099】
実施の形態に係る垂直磁気記録媒体2において、垂直磁化膜12を得るための条件(有効異方性磁場HAa>20kOe=Hth)を磁性ガーネット材料の組成比xと基板により限定する計算式は、以下の通りである。
【数13】

【0100】
実施の形態に係る垂直磁気記録媒体2において、垂直磁化膜を得るための条件:有効異方性磁場HAa>20kOeを磁性ガーネット材料C3-xC’xFe5O12の組成比xと基板により限定する組み合わせ例は、図44に示すように表される。
【0101】
即ち、実施の形態に係る垂直磁気記録媒体2において、垂直磁化膜12は、C3-xC’xFe5O12(0≦x≦3)で表される磁性ガーネット材料であって、組成比xは、垂直磁化膜12/基板10の構成で表記すると、Y3-xSmxIG/SGGGで0.00≦x≦1.37、Y3-xSmxIG/LSGで0.00≦x≦2.16、Y3-xEuxIG/YAGで2.11≦x≦3.00、Y3-xEuxIG/GGGで2.83≦x≦3.00、Y3-xEuxIG/SGGGで0.00≦x≦0.08、Y3-xEuxIG/LSGで0.00≦x≦0.34、Y3-xTmxIG/GGGで2.57≦x≦3.00、Y3-xTmxIG/SGGGで0.00≦x≦3.00、Y3-xTmxIG/LSGで0.00≦x≦3.00、Y3-xLuxIG/SGGGで0.00≦x≦3.00、Y3-xLuxIG/LSGで0.00≦x≦3.00、Sm3-xTmxIG/GGGで2.78≦x≦3.00、Sm3-xTmxIG/SGGGで0.91≦x≦3.00、Sm3-xTmxIG/LSGで0.51≦x≦3.00、Sm3-xLuxIG/SGGGで0.85≦x≦3.00、Sm3-xLuxIG/LSGで0.47≦x≦3.00、Eu3-xLuxIG/YAGで0.00≦x≦0.93、Eu3-xLuxIG/GGGで0.00≦x≦0.15、Eu3-xLuxIG/SGGGで2.46≦x≦3.00、Eu3-xLuxIG/LSGで2.34≦x≦3.00、Tm3-xLuxIG/GGGで0.00≦x≦1.90、Tm3-xLuxIG/SGGGで0.00≦x≦3.00、Tm3-xLuxIG/LSGで0.00≦x≦3.00である。
【0102】
実施の形態に係る垂直磁気記録媒体2において、垂直磁化膜を得るための条件:有効異方性磁場HAa>20kOeを磁性ガーネット材料C3-xC’xFe5O12の組成比xと基板により限定すると共に、さらに面内応力σ’x’x’//[11-2], σ’y’y’//[1-10]を6Gpa以下に限定する組み合わせ例は、図45に示すように表される。面内応力の増加により、格子緩和が発生し、所望の応力誘導有効異方性磁場HAaを与えることができない場合がある。また、格子緩和は、結晶欠陥を誘発するため、面内応力は、一定値(例えば、6GPa)以下に限定する必要がある。
【0103】
即ち、実施の形態に係る垂直磁気記録媒体2において、垂直磁化膜12は、C3-xC’xFe5O12(0≦x≦3)で表される磁性ガーネット材料であって、垂直磁化膜12/基板10の構成で表記すると、組成比xは、Y3-xSmxIG/SGGGで0.00≦x≦1.37、Y3-xSmxIG/LSGで0.00≦x≦2.16、Y3-xEuxIG/GGGで2.83≦x≦3.00、Y3-xEuxIG/SGGGで0.00≦x≦0.08、Y3-xEuxIG/LSGで0.00≦x≦0.34、Y3-xTmxIG/GGGで2.57≦x≦3.00、Y3-xTmxIG/SGGGで0.00≦x≦3.00、Y3-xTmxIG/LSGで0.00≦x≦3.00、Y3-xLuxIG/SGGGで0.00≦x≦3.00、Y3-xLuxIG/LSGで0.00≦x≦3.00、Sm3-xTmxIG/GGGで2.78≦x≦3.00、Sm3-xTmxIG/SGGGで0.91≦x≦3.00、Sm3-xTmxIG/LSGで0.51≦x≦3.00、Sm3-xLuxIG/SGGGで0.85≦x≦3.00、Sm3-xLuxIG/LSGで0.47≦x≦3.00、Eu3-xLuxIG/GGGで0.00≦x≦0.15、Eu3-xLuxIG/SGGGで2.46≦x≦3.00、Eu3-xLuxIG/LSGで2.34≦x≦3.00、Tm3-xLuxIG/GGGで0.00≦x≦1.90、Tm3-xLuxIG/SGGGで0.00≦x≦3.00、Tm3-xLuxIG/LSGで0.00≦x≦3.00である。
【0104】
実施の形態に係る垂直磁気記録媒体2において、垂直磁化膜を得るための条件:有効異方性磁場HAa>20kOeを磁性ガーネット材料C3-xC’xFe5O12の組成比xと基板により限定すると共に、さらに面内応力σ’x’x’//[11-2], σ’y’y’//[1-10]を3Gpa以下に限定する組み合わせ例は、図46に示すように表される。面内応力の増加により、格子緩和が発生し、所望の応力誘導有効異方性磁場HAaを与えることができない場合がある。また、格子緩和は、結晶欠陥を誘発するため、面内応力は、一定値(例えば、3GPa)以下に限定する必要がある。
【0105】
即ち、実施の形態に係る垂直磁気記録媒体2において、垂直磁化膜12は、C3-xC’xFe5O12(0≦x≦3)で表される磁性ガーネット材料であって、垂直磁化膜12/基板10の構成で表記すると、組成比xは、Y3-xSmxIG/SGGGで0.00≦x≦1.37、Y3-xSmxIG/LSGで0.34≦x≦2.16、Y3-xEuxIG/GGGで2.83≦x≦3.00、Y3-xEuxIG/SGGGで0.00≦x≦0.08、Y3-xEuxIG/LSGで0.00≦x≦0.34、Y3-xTmxIG/GGGで2.57≦x≦3.00、Y3-xTmxIG/SGGGで0.00≦x≦0.49、Y3-xLuxIG/SGGGで0.00≦x≦0.26、Sm3-xTmxIG/GGGで2.78≦x≦3.00、Sm3-xTmxIG/SGGGで0.91≦x≦2.34、Sm3-xTmxIG/LSGで0.51≦x≦1.97、Sm3-xLuxIG/SGGGで0.85≦x≦1.94、Sm3-xLuxIG/LSGで0.47≦x≦1.63、Eu3-xLuxIG/GGGで0.00≦x≦0.15、Tm3-xLuxIG/GGGで0.00≦x≦1.90である。
【0106】
実施の形態に係る垂直磁気記録媒体2において、垂直磁化膜を得るための条件:有効異方性磁場HAa>20kOeを磁性ガーネット材料C3-xC’xFe5O12の組成比xと基板により限定すると共に、さらに面内歪量ε’x’x’//[11-2], ε’y’y’//[1-10]を2%以下に限定する組み合わせ例は、図47に示すように表される。面内歪量の増加により、格子緩和が発生し、所望の応力誘導有効異方性磁場HAaを与えることができない場合がある。また、格子緩和は、結晶欠陥を誘発するため、面内歪量は、一定値(例えば、2%)以下に限定する必要がある。
【0107】
即ち、実施の形態に係る垂直磁気記録媒体2において、垂直磁化膜12は、C3-xC’xFe5O12(0≦x≦3)で表される磁性ガーネット材料であって、垂直磁化膜12/基板10の構成で表記すると、組成比xは、Y3-xSmxIG/SGGGで0.00≦x≦1.37、Y3-xSmxIG/LSGで0.00≦x≦2.16、Y3-xEuxIG/GGGで2.83≦x≦3.00、Y3-xEuxIG/SGGGで0.00≦x≦0.08、Y3-xEuxIG/LSGで0.00≦x≦0.34、Y3-xTmxIG/GGGで2.57≦x≦3.00、Y3-xTmxIG/SGGGで0.00≦x≦3.00、Y3-xTmxIG/LSGで0.00≦x≦3.00、Y3-xLuxIG/SGGGで0.00≦x≦3.00、Y3-xLuxIG/LSGで0.00≦x≦3.00、Sm3-xTmxIG/GGGで2.78≦x≦3.00、Sm3-xTmxIG/SGGGで0.91≦x≦3.00、Sm3-xTmxIG/LSGで0.51≦x≦3.00、Sm3-xLuxIG/SGGGで0.85≦x≦3.00、Sm3-xLuxIG/LSGで0.47≦x≦3.00、Eu3-xLuxIG/GGGで0.00≦x≦0.15、Eu3-xLuxIG/SGGGで2.46≦x≦3.00、Eu3-xLuxIG/LSGで2.34≦x≦3.00、Tm3-xLuxIG/GGGで0.00≦x≦1.90、Tm3-xLuxIG/SGGGで0.00≦x≦3.00、Tm3-xLuxIG/LSGで0.00≦x≦3.00である。
【0108】
実施の形態に係る垂直磁気記録媒体2において、垂直磁化膜を得るための条件:有効異方性磁場HAa>20kOeを磁性ガーネット材料C3-xC’xFe5O12の組成比xと基板により限定すると共に、さらに面内歪量ε’x’x’//[11-2], ε’y’y’//[1-10]を1%以下に限定する組み合わせ例は、図48に示すように表される。面内歪量の増加により、格子緩和が発生し、所望の応力誘導有効異方性磁場HAaを与えることができない場合がある。また、格子緩和は、結晶欠陥を誘発するため、面内歪量は、一定値(例えば、1%)以下に限定する必要がある。
【0109】
即ち、実施の形態に係る垂直磁気記録媒体2において、垂直磁化膜12は、C3-xC’xFe5O12(0≦x≦3)で表される磁性ガーネット材料であって、垂直磁化膜は、C3-xC’xFe5O12(0≦x≦3)で表される磁性ガーネット材料であって、垂直磁化膜12/基板10の構成で表記すると、組成比xは、Y3-xSmxIG/SGGGで0.00≦x≦1.37、Y3-xSmxIG/LSGで0.49≦x≦2.16、Y3-xEuxIG/GGGで2.83≦x≦3.00、Y3-xEuxIG/SGGGで0.00≦x≦0.08、Y3-xTmxIG/GGGで2.57≦x≦3.00、Y3-xTmxIG/SGGGで0.00≦x≦0.05、Y3-xLuxIG/SGGGで0.00≦x≦0.02、Sm3-xTmxIG/GGGで2.78≦x≦3.00、Sm3-xTmxIG/SGGGで0.91≦x≦2.23、Sm3-xTmxIG/LSGで0.51≦x≦1.85、Sm3-xLuxIG/SGGGで0.85≦x≦1.86、Sm3-xLuxIG/LSGで0.47≦x≦1.55、Eu3-xLuxIG/GGGで0.00≦x≦0.15、Tm3-xLuxIG/GGGで0.00≦x≦1.90である。
【0110】
また、実施の形態に係る垂直磁気記録媒体を用いた磁気記録装置を提供することも可能である。
【0111】
本発明によれば、絶縁体磁性ガーネット系材料を用い、極薄膜において室温で垂直磁化を得るための手法を提供することができる。
【0112】
本発明によれば、薄膜材料の磁歪定数と極薄膜/基板間の格子不整合差により生じる応力誘導磁気異方性を利用した薄膜・基板の材料設計により、垂直磁化膜を実現するができ、この垂直磁化膜を備える垂直記録媒体および磁気記録装置を提供することができる。
【0113】
[その他の実施の形態]
上記のように、本発明は実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面は例示的なものであり、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【0114】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態などを含む。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明の垂直磁気記録媒体および磁気記録装置は、大容量・高密度の磁気記録ハードディスクに適用可能である。
【符号の説明】
【0116】
2…垂直磁気記録媒体
10…基板
12…垂直磁化膜(薄膜層)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に配置された単結晶よりなる垂直磁化膜と
を備え、前記垂直磁化膜は、キュリー温度が室温以上である絶縁体からなり、かつ膜厚が100nm以下であることを特徴とする垂直磁気記録媒体。
【請求項2】
前記垂直磁化膜は、有効異方性磁場が20kOe以上であることを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。
【請求項3】
前記垂直磁化膜は、C3-xC’xFe5O12(0≦x≦3)で表される磁性ガーネット材料であって、面内応力をσ’(GPa)、立方晶異方性定数をK1(erg/cm3)、磁歪定数をλ111(無次元)、飽和磁化を4πMS(G)とし、右下付きのC, C’はそれぞれの定数がC3Fe5O12, C’3Fe5O12の磁性ガーネット材料であることを表すとすると、

が成立することを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。
【請求項4】
前記垂直磁化膜は、C3-xC’xFe5O12(0≦x≦3)で表される磁性ガーネット材料であって、弾性スティフネス定数をC11, C12, C44 (erg/cm3)とすると、面内歪量をε’//、立方晶異方性定数をK1(erg/cm3)、磁歪定数をλ111(無次元)、飽和磁化を4πMS(G)とし、右下付きのC, C’はそれぞれの定数がC3Fe5O12, C’3Fe5O12の磁性ガーネット材料であることを表すとすると、

が成立することを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。
【請求項5】
前記垂直磁化膜は、C3-xC’xFe5O12(0≦x≦3)で表される磁性ガーネット材料であって、組成比xは、垂直磁化膜/基板の構成で表記すると、Y3-xSmxIG/SGGGで0.00≦x≦1.37、Y3-xSmxIG/LSGで0.00≦x≦2.16、Y3-xEuxIG/YAGで2.11≦x≦3.00、Y3-xEuxIG/GGGで2.83≦x≦3.00、Y3-xEuxIG/SGGGで0.00≦x≦0.08、Y3-xEuxIG/LSGで0.00≦x≦0.34、Y3-xTmxIG/GGGで2.57≦x≦3.00、Y3-xTmxIG/SGGGで0.00≦x≦3.00、Y3-xTmxIG/LSGで0.00≦x≦3.00、Y3-xLuxIG/SGGGで0.00≦x≦3.00、Y3-xLuxIG/LSGで0.00≦x≦3.00、Sm3-xTmxIG/GGGで2.78≦x≦3.00、Sm3-xTmxIG/SGGGで0.91≦x≦3.00、Sm3-xTmxIG/LSGで0.51≦x≦3.00、Sm3-xLuxIG/SGGGで0.85≦x≦3.00、Sm3-xLuxIG/LSGで0.47≦x≦3.00、Eu3-xLuxIG/YAGで0.00≦x≦0.93、Eu3-xLuxIG/GGGで0.00≦x≦0.15、Eu3-xLuxIG/SGGGで2.46≦x≦3.00、Eu3-xLuxIG/LSGで2.34≦x≦3.00、Tm3-xLuxIG/GGGで0.00≦x≦1.90、Tm3-xLuxIG/SGGGで0.00≦x≦3.00、Tm3-xLuxIG/LSGで0.00≦x≦3.00であることを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。
【請求項6】
前記垂直磁化膜は、C3-xC’xFe5O12(0≦x≦3)で表される磁性ガーネット材料であって、組成比xは、垂直磁化膜/基板の構成で表記すると、Y3-xSmxIG/SGGGで0.00≦x≦1.37、Y3-xSmxIG/LSGで0.00≦x≦2.16、Y3-xEuxIG/GGGで2.83≦x≦3.00、Y3-xEuxIG/SGGGで0.00≦x≦0.08、Y3-xEuxIG/LSGで0.00≦x≦0.34、Y3-xTmxIG/GGGで2.57≦x≦3.00、Y3-xTmxIG/SGGGで0.00≦x≦3.00、Y3-xTmxIG/LSGで0.00≦x≦3.00、Y3-xLuxIG/SGGGで0.00≦x≦3.00、Y3-xLuxIG/LSGで0.00≦x≦3.00、Sm3-xTmxIG/GGGで2.78≦x≦3.00、Sm3-xTmxIG/SGGGで0.91≦x≦3.00、Sm3-xTmxIG/LSGで0.51≦x≦3.00、Sm3-xLuxIG/SGGGで0.85≦x≦3.00、Sm3-xLuxIG/LSGで0.47≦x≦3.00、Eu3-xLuxIG/GGGで0.00≦x≦0.15、Eu3-xLuxIG/SGGGで2.46≦x≦3.00、Eu3-xLuxIG/LSGで2.34≦x≦3.00、Tm3-xLuxIG/GGGで0.00≦x≦1.90、Tm3-xLuxIG/SGGGで0.00≦x≦3.00、Tm3-xLuxIG/LSGで0.00≦x≦3.00であることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の垂直磁気記録媒体。
【請求項7】
前記垂直磁化膜は、C3-xC’xFe5O12(0≦x≦3)で表される磁性ガーネット材料であって、組成比xは、垂直磁化膜/基板の構成で表記すると、Y3-xSmxIG/SGGGで0.00≦x≦1.37、Y3-xSmxIG/LSGで0.00≦x≦2.16、Y3-xEuxIG/GGGで2.83≦x≦3.00、Y3-xEuxIG/SGGGで0.00≦x≦0.08、Y3-xEuxIG/LSGで0.00≦x≦0.34、Y3-xTmxIG/GGGで2.57≦x≦3.00、Y3-xTmxIG/SGGGで0.00≦x≦0.49、Y3-xLuxIG/SGGGで0.00≦x≦0.26、Sm3-xTmxIG/GGGで2.78≦x≦3.00、Sm3-xTmxIG/SGGGで0.91≦x≦2.34、Sm3-xTmxIG/LSGで0.51≦x≦1.97、Sm3-xLuxIG/SGGGで0.85≦x≦1.94、Sm3-xLuxIG/LSGで0.47≦x≦1.63、Eu3-xLuxIG/GGGで0.00≦x≦0.15、Tm3-xLuxIG/GGGで0.00≦x≦1.90であることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の垂直磁気記録媒体。
【請求項8】
前記垂直磁化膜はC3-xC’xFe5O12(0≦x≦3)で表される磁性ガーネット材料であって、組成比xは、垂直磁化膜/基板の構成で表記すると、Y3-xSmxIG/SGGGで0.00≦x≦1.37、Y3-xSmxIG/LSGで0.00≦x≦2.16、Y3-xEuxIG/GGGで2.83≦x≦3.00、Y3-xEuxIG/SGGGで0.00≦x≦0.08、Y3-xEuxIG/LSGで0.00≦x≦0.34、Y3-xTmxIG/GGGで2.57≦x≦3.00、Y3-xTmxIG/SGGGで0.00≦x≦3.00、Y3-xTmxIG/LSGで0.00≦x≦3.00、Y3-xLuxIG/SGGGで0.00≦x≦3.00、Y3-xLuxIG/LSGで0.00≦x≦3.00、Sm3-xTmxIG/GGGで2.78≦x≦3.00、Sm3-xTmxIG/SGGGで0.91≦x≦3.00、Sm3-xTmxIG/LSGで0.51≦x≦3.00、Sm3-xLuxIG/SGGGで0.85≦x≦3.00、Sm3-xLuxIG/LSGで0.47≦x≦3.00、Eu3-xLuxIG/GGGで0.00≦x≦0.15、Eu3-xLuxIG/SGGGで2.46≦x≦3.00、Eu3-xLuxIG/LSGで2.34≦x≦3.00、Tm3-xLuxIG/GGGで0.00≦x≦1.90、Tm3-xLuxIG/SGGGで0.00≦x≦3.00、Tm3-xLuxIG/LSGで0.00≦x≦3.00であることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の垂直磁気記録媒体。
【請求項9】
前記垂直磁化膜は、C3-xC’xFe5O12(0≦x≦3)で表される磁性ガーネット材料であって、組成比xは、垂直磁化膜/基板の構成で表記すると、Y3-xSmxIG/SGGGで0.00≦x≦1.37、Y3-xSmxIG/LSGで0.49≦x≦2.16、Y3-xEuxIG/GGGで2.83≦x≦3.00、Y3-xEuxIG/SGGGで0.00≦x≦0.08、Y3-xTmxIG/GGGで2.57≦x≦3.00、Y3-xTmxIG/SGGGで0.00≦x≦0.05、Y3-xLuxIG/SGGGで0.00≦x≦0.02、Sm3-xTmxIG/GGGで2.78≦x≦3.00、Sm3-xTmxIG/SGGGで0.91≦x≦2.23、Sm3-xTmxIG/LSGで0.51≦x≦1.85、Sm3-xLuxIG/SGGGで0.85≦x≦1.86、Sm3-xLuxIG/LSGで0.47≦x≦1.55、Eu3-xLuxIG/GGGで0.00≦x≦0.15、Tm3-xLuxIG/GGGで0.00≦x≦1.90であることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の垂直磁気記録媒体。
【請求項10】
請求項2〜5のいずれか1項に記載の前記垂直磁気記録媒体を備えることを特徴とする磁気記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【公開番号】特開2012−234592(P2012−234592A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101263(P2011−101263)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【出願人】(503359821)独立行政法人理化学研究所 (1,056)
【Fターム(参考)】