説明

型枠締付け過ぎ防止補助部材

【課題】型枠をフォームタイで締付ける際、締付け過ぎて該フォームタイの先端のつば部が型枠に食い込むことがないようにする
【解決手段】中央部に設けられた半円状凹溝40に、フォームタイ6の先方側の軸部39を嵌挿すると共に、該フォームタイ6の先端のつば部11を前記半円状凹溝40の先端の嵌合凹部44に装着せしめて、該つば部11を型枠締付け過ぎ防止補助部材31の先端縁部とを面一として、型枠3に当接する接触部46の面積を大とするよう形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベニヤ板製の型枠をフォームタイ(商標名)で締付ける際、締付け過ぎて該フォームタイの先端のつば部が型枠に食い込むことがないようにする型枠締付け過ぎ防止補助部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンクリート打設現場においては、型枠を組む際にフォームタイを使用するのが一般的であるが、近年電動工具のパワーアップ化により、フォームタイを締付け過ぎて、型枠に前記フォームタイの先端のつば部が食い込んでしまい、前記型枠の解体時に手こずったり、前記フォームタイの前記つば部の食い込み跡が、打設されたコンクリート面に凹みとして残り、見苦しいという課題があった。
【0003】
前記フォームタイの締付け過ぎによる型枠への食い込みを防止するという先行技術を特許文献につき遡及検索したが、1件の先行技術をも発見することができなかった。そして、単に型枠の変形を防止する先行技術として、フォームタイに設けられるストッパによって型枠の平板の一部が内面方向へ変動しないようにした変形防止具が、下記の特許文献に開示されて公知である。しかしながら、前記特許文献記載の発明では、フォームタイの先端部の型枠への食い込みを防止することはできないという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−93412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、フォームタイを締付け過ぎて、該フォームタイの先端のつば部が型枠に食い込むのを防止する点である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、型枠の外側面に間隔を有して設けられた2本の算木の外側面に、間隔を有して配設された2本の支持部材間に設置される型枠締付け過ぎ防止補助部材であって、前記算木の高さと同一高さの硬質合成樹脂で形成された型枠締付け過ぎ防止補助部材の中央部に設けられた半円状凹溝に、フォームタイの先方側の軸部を嵌挿すると共に、該フォームタイの先端のつば部を前記半円状凹溝の先端の嵌合凹部に装着せしめて、該つば部を型枠締付け過ぎ防止補助部材の先端縁部とを面一として、前記型枠に当接する接触部の面積を大とするという、手段を採用することにより、上記課題を解決した。
【発明の効果】
【0007】
本発明型枠締付け過ぎ防止補助部材は、中央部に設けられた半円状凹溝に、フォームタイの先方側の軸部を嵌挿すると共に、該フォームタイの先端のつば部を前記半円状凹溝の先端の嵌合凹部に装着せしめて、該つば部を型枠締付け過ぎ防止補助部材の先端縁部とを面一として、前記型枠に当接する接触部の面積を大としたので、フォームタイを強く締付けても、従来のようにつば部のみが型枠に圧着する点接触ではなく、接触部の表面積が拡がり、前記つば部にかかる圧力が分散されるので、該つば部の型枠への締付け過ぎが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明型枠締付け過ぎ防止補助部材を、一方側の接触部を上面に位置させて正面側より見た全体の斜視図である。
【図2】本発明型枠締付け過ぎ防止補助部材を、他方側の接触部を上面に位置させて背面側より見た全体の斜視図である。
【図3】図1における中央横断面図である。
【図4】本発明型枠締付け過ぎ防止補助部材における一方側の接触部を型枠に当接した使用状態を示す図であって、中央部を境として、右側が一部を切欠いて示す縦断面図、左側が90度回転した横断面図である。
【図5】本発明型枠締付け過ぎ防止補助部材における一方側の接触部を型枠に当接した使用状態を示す要部の斜視図である。
【図6】本発明型枠締付け過ぎ防止補助部材における他方側の接触部を型枠に当接した使用状態を示す図であって、中央部を境として、右側が一部を切欠いて示す縦断面図、左側が90度回転した横断面図である。
【図7】本発明型枠締付け過ぎ防止補助部材における他方側の接触部を型枠に当接した使用状態を示す要部の斜視図である。
【図8】本発明型枠締付け過ぎ防止補助部材の他の使用例を示す図であって、中央部を境として、右側が側面図であり、左側が90度回転して一部を切欠いて示す横断面図である。
【図9】同要部の斜視図である。
【図10】従来の型枠締付け装置断面図であり、中央部を境として、右側が縦断面図、左側が90度回転した横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
型枠の外側面に間隔を有して設けられた2本の算木の外側面に、間隔を有して配設された2本の単管パイプより成る支持部材間に、前記算木の高さと同一高さの硬質合成樹脂製の型枠締付け過ぎ防止補助部材を設置し、且つ該型枠締付け過ぎ防止補助部材の半円状凹溝に、フォームタイの先方側の軸部を嵌挿すると共に、フォームタイの先端のつば部を前記半円状凹溝の先端の嵌合凹部に装着せしめて、該つば部と型枠締付け過ぎ防止補助部材の先端縁部とを面一の状態として、前記型枠に当接する接触部の面積を大として、前記つば部にかかる圧力を分散して、フォームタイの締め付け過ぎを防止する。
【実施例】
【0010】
従来のコンクリート型枠締付け装置は、図10(図10は、中央部を境として、右側が縦断面図、左側が90度回転した横断面図を示している)に示すように、両端にコーン1を取付けたセパレータ2を、型枠3間に配置し、該型枠3に穿設した孔4から前記コーン1と一体に突設されたボルト5を前記型枠3の外側に突出させ、該ボルト5をフォームタイ6の先方部に設けられたねじ穴(図示せず)に螺合して連結し、前記型枠3の外側の算木7に単管パイプより成る2本の支部部材8を間隔を有して沿わせた状態で、該フォームタイ6に挿入した3型座金9をナット10で締付け、前記支持部材8を介して型枠3を両側から押圧すると共に、前記フォームタイ6の先端部に径大に形成されたつば部11を前記型枠3の外側面に圧接して、該フォームタイ6の前記型枠3への食い込みを阻止して、型枠3が所定の間隔を保持して固定されるよう形成されている。
【0011】
しかしながら、前記従来のコンクリート型枠締付け装置においては、フォームタイ6のナット10を電動工具等の締付け機器を用いて締付けると、つば部11が小径で、且つ型枠3への接触部が該つば部11のみであるので、該型枠3への接触面積が小さく、該フォームタイ6の回転により、該つば部11が前記型枠3に食い込んで、該型枠3を傷付けてしまい、その結果、打設後のコンクリート面に凹みとして残ってしまう虞れがある。
【0012】
本発明は、前記フォームタイ6のつば部11が型枠3への食い込むのを防止するために、本発明型枠締付け過ぎ防止補助部材31を型枠締付け時に使用するようにしたものである。以下、本発明につき図面に基づいて詳細に説明するが、前記従来の型枠締付け装置において説明した符号と共通するものは、そのまま同一符号を用いて説明する。
【0013】
本発明補助部材31は、強度性を有する必要があるため、硬質合成樹脂により直方体状に形成されている。図1は、補助部材31を、一方側の接触部を上面に位置させて正面側から見た全体の斜視図、図2は、他方側の接触部を上面に位置させて背面側から見た斜視図であり、前記補助部材31は横長長方形状の前・後側板32・33、および該前・後側板32・33より小巾の両側板34・35をそれぞれ筒状に接合固定して形成された直方体状筒体36内の中央長手方向に、補強用区画板37を前記両側板34・35に接して一体に連結固定すると共に、該補強用区画板37の前方側および背面側に、中央部分を残して直角に適宜間隔を有して、複数枚の補強板38を前記前・後側板32・33に接して一体に連結固定する。
【0014】
更に、前記前側板32の中央短手方向に、フォームタイ6の軸部39を嵌挿する半円状凹溝40を備えた挿入板41が、該半円状凹溝40の開口部40aを前記前側板32に位置するように凹設すると共に、該挿入板41の底部(前記開口部40aの反対側)を前記後側板33に固定して形成され、更に、前記挿入板41の両端部には、前記フォームタイ6の先端のつば部11が嵌合して、該つば部11の先端面と面一となるよう、前記挿入板41より径大な嵌合凹部42・43を備えた半円状の嵌合壁44・45が、該挿入板41の外周面に間隔を有して設置されている。
【0015】
そして、前記補助部材31の型枠3への接触部46・47は、その形状を異にしている。すなわち、前記補助部材31の一方側の接触部46は、図1に示すように、前・後側板32・33より、前記両側板34・35および補強用区画板37並びに補強板38が上方に突出して全体的に湾曲面48に形成されると共に、前記半円状の嵌合壁44の先端縁部と、該嵌合壁44を挟んで両側に位置する前記補強板38のうち、中間部付近の相隣る2枚の補強板38aを方形枠状に接合して形成された方形枠状当接板49の先端縁部とをそれぞれ面一の平面として、前記前・後側板32・33および両側板34・35よりやや上方に突出して形成されている。
【0016】
一方、前記補助部材31の他方側の接触部47は、図2に示すように、前・後側板32・33、両側板34・35、補強用区画板37、補強板38および嵌合凹部43を備えた嵌合壁45の各後端縁はいずれも面一の垂直面50に形成されている。
【0017】
前記構成より成る本発明に係る枠型締付け過ぎ防止補助部材31の作用について説明する。本発明補助部材31は、前記各接触部46・47の両方とも、型枠施工現場の状況に応じて、そのいずれの面も使用することができる。
【0018】
先ず、型枠3の外側の算木7に単管パイプより成る2本の支持部材8を間隔を有して沿わせた状態で、フォームタイ6に挿入した3型座金9をナット10で締付けて前記型枠3を両側から締付ける、所謂2本の支持部材8を使用する。通常の型枠締付けに、本発明補助部材31を使用する場合を、図4および図5を用いて説明する。
【0019】
図3に示す使用状態においては、本発明補助部材31の一方の接触部46側に位置して湾曲面48より突出した嵌合壁44および左右の方形枠状当接板49がそれぞれ前記型枠3に当接し、更に前記フォームタイ6の軸部39を半円状凹溝40内に嵌挿すると共に、前記フォームタイ6の先端のつば部11を嵌合凹部42に装入して、該つば部11の先端部と半円状の嵌合壁44および方形枠状当接板49の先端部とが面一となるようにして装着する。
【0020】
そして、前記のように、フォームタイ6を装着した本発明補助部材31を、前記嵌合壁44および方形枠状当接板49の先端縁を型枠6面に当接した後、従来と同様に、軸部39にナット10を締付けて行くことにより、コーン1のボルト5がつば部11に設けられたねじ穴(図示せず)にそれぞれ螺合して連結されると共に、単管パイプより成る各支持部材8が3型座金9によって押圧されて前記型枠3に圧着する。
【0021】
この際、ナット10を強く締付けても、前記つば部11の先端のみが型枠3に圧着する、所謂点接触ではなく、更に嵌合壁44および各方形枠状当接板49の3部材が接触して接触面の表面積が拡がるため、該つば部11にかかる圧力が分散され、その結果、前記つば部11の型枠3への締付け過ぎが防止される。
【0022】
また、図6・図7に示す使用状態においては、本発明補助部材31の他方の接触部47側に位置する前・後側板32・33、両側板34・35、補強用区画壁37、補強板38および嵌合壁45の各端縁部の面一の垂直面50が、前記型枠3に当接し、更に前記フォームタイ6の軸部39を半円状凹溝40内に嵌挿すると共に、前記フォームタイ6の先端のつば部11を嵌合凹部43に装入して、該つば部22・23の先端部と半円状の嵌合壁45の後端部とが面一となるようにして装着する。
【0023】
そして、前記のように、フォームタイ6を装着した本発明補助部材31をその垂直面50を型枠3面に当接した後、従来と同様に、軸部39にナット10を締付けて行くことにより、コーン1のボルト5がつば部11に設けられたねじ穴(図示せず)にそれぞれ螺合して連結されると共に、単管パイプより成る各支持部材8が3型座金9によって押圧されて、前記型枠3に圧着する。
【0024】
この際、ナット10を強く締付けても、前記つば部11の先端面のみが型枠3に圧着する、所謂点接触ではなく、補助部材31の垂直面50の全面が面接触して接触面の表面積が拡がるため、該つば部11にかかる圧力が分散され、その結果、前記つば部11の型枠3への締付け過ぎが防止される。
【0025】
前記のように、本発明補助部材31は、一方の接触部46または他方の接触部
47のいずれかを型枠3に圧着して使用することができる。そして、単管パイプより成る支持部材は前記したように、本来2本を使用するものであるが、1本の支持部材8しか使用できない型枠取付現場においては、図8、図9に示すように、3型座金9の一方側の湾曲部9aを支持部材8に被冠すると共に、他方側の湾曲部9bを本発明補助部材31の一方の接触部46を構成する側の湾曲面49に被冠して使用することもできる。そして、この場合の本発明補助部材31の作用は、前記2本の支持部材8を使用する場合と同一であるので、説明を省略する。
【符号の説明】
【0026】
1 コーン
2 セパレータ
3 型枠
4 孔
5 ボルト
6 フォームタイ
7 算木
8 支部部材
9 3型座金
9a 一方側の湾曲面
10 ナット
11 つば部
31 型枠締付け過ぎ防止補助部材
32 前側板
33 後側板
34・35 側板
36 直方体状筒体
37 補強用区画板
38 補強板
38a 2枚の補強板
39 軸部
40 半円状凹溝
40a 開口部
41 挿入板
42・43 嵌合凹部
44・45 嵌合壁
46・47 接触部
48 湾曲面
49 方形枠状当接板
50 垂直面


【特許請求の範囲】
【請求項1】
型枠の外側面に間隔を有して設けられた2本の算木の外側面に、間隔を有して配設された2本の支持部材間に設置される型枠締付け過ぎ防止補助部材であって、前記算木の高さと同一高さの硬質合成樹脂で形成された型枠締付け過ぎ防止補助部材の中央部に設けられた半円状凹溝に、フォームタイの先方側の軸部を嵌挿すると共に、該フォームタイの先端のつば部を前記半円状凹溝の先端の嵌合凹部に装着せしめて、該つば部を型枠締付け過ぎ防止補助部材の先端縁部とを面一として、前記型枠に当接する接触部の面積を大とすることができるようにしたことを特徴とする型枠締付け過ぎ防止補助部材。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−172407(P2012−172407A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−35819(P2011−35819)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フォームタイ
【出願人】(596033358)
【Fターム(参考)】