説明

埋め込み型心臓治療デバイスにおける処置可能不整脈の適応的確認

処置可能病状の初期識別に続いて心臓活動を観察することによって、埋め込み型心臓刺激デバイスにおける治療送出決定を調整する方法およびデバイス。一部の例では、良性に見える心臓活動は数値化され、処置可能病状の初期識別後に、良性心臓活動がどの程度明白に見られるかに応じて、治療確認閾値が調整される。他の例では、処置可能病状の初期識別に続いて新しい閾値が適用され、後続の治療送出決定から、初期識別に先行する履歴データが除去される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その全体の開示が参照により本明細書に組込まれる、2009年6月29日に出願された「CONFIRMATION OF TREATABLE ARRHYTHMIA IN IMPLANTABLE CARDIAC STIMULUS DEDICES」という名称の米国仮特許出願第61/221,316号に対して利益および優先権を主張する。
【0002】
本発明は、一般に、心臓信号を検知し解析する埋め込み型医療デバイスシステムに関する。より詳細には、本発明は、心臓活動を、おそらく良性または処置可能であろうと分類するために、心臓信号を解析する埋め込み型医療デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
埋め込み型心臓刺激デバイス(ICSD)は、通常、埋め込み対象者内の電気信号を検知し、検知信号を使用して、埋め込み対象者の心臓調律を、正常か良性すなわち処置可能か悪性かに分類する。例証的な処置可能不整脈は、心室細動や心室頻脈性不整脈を含み得る。患者の特性および医師の選好に応じて、他の調律も「処置可能」と考えられてもよい。
【0004】
処置可能不整脈が識別され、除細動またはカルディオバージョンが送出される場合、ICSDは、通常、その治療送出を準備するためにある期間を必要とする。たとえば、3ボルト、6ボルト、または9ボルトの電池供給部が使用されて、充電回路を使用して数秒間コンデンサを充電することによって数百またはさらに数千ボルトの刺激振幅が提供され得る。結果として、一旦処置可能病状が識別されると、治療を送出するデバイスの準備に対応する充電期間が存在する。抗頻脈ペーシング(ATP)は、こうした充電遅延を必要としないことがある。しかし、ATPを送出するシステムは、その治療が適切であることを保証するために、治療送出の前に不整脈の確認用の遅延を含み得る。
【0005】
一部の処置可能不整脈は、断続的である可能性があるか、または、良性調律に自然に戻る可能性がある。明らかに処置可能な不整脈が良性調律に自然に戻る場合、治療は不必要になる。一般に、不必要な治療を回避するように治療送出は管理されるべきである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
不必要な治療を回避するために、治療を送出する直前にデバイスは調律確認を実施してもよい。治療確認によって送出を管理する新しいまたは代替の方法が所望される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の例証的な実施形態は、埋め込み型心臓刺激デバイス(ICSD)を使用した、患者処置の方法である。第1の実施形態は、処置可能病状であるという初期識別が行われたシステムという状況で実施されてもよい。その例では、処置可能病状の初期識別後に、ICSDが治療を送出する準備をしている間に、良性心臓調律への復帰の徴候を識別すべく心臓活動が監視される。一旦ICSDが治療を送出する準備をされると、治療が送出されるべきかどうか、いつ送出されるかを確認するために解析が実施される。良性心臓調律への復帰の徴候が識別される場合、治療確認解析は、良性調律に対して治療を送出することを回避するために、治療送出を遅延させるように調整される。良性心臓調律が持続する場合、治療送出は取り消されてもよい。一部の例では、ICSDは、たとえばデータをメモリに転送すること、検知信号を記録すること、時間または検出事象による待機期間を確立すること、同期データおよび/または他の機能を識別することによって、治療を送出する準備をする。一部の実施形態では、ICSDは、治療送出コンデンサを所望のエネルギー/電圧まで充電することによって治療送出を準備するが、これは、常に準備の一部であるわけではない。
【0008】
一例では、確認方法に進むかどうかを判定するために1または複数の初期処置可能病状基準が適用され、異なる基準が確認のために適用される。1つの例証的な例では、初期識別および確認用の基準としてレートを使用するために、検出事象間の間隔が解析される。さらなる例では、モルフォロジおよび/または間隔解析とモルフォロジの組合せが使用されて、良性または処置可能不整脈の徴候が識別されてもよい。一部の例では、レートまたはモルフォロジの一方が初期識別のために使用され、レートまたはモルフォロジの他方またはレートとモルフォロジの組合せが確認のために使用され得る。良性病状の徴候は、処置可能病状の初期識別後に追跡され数値化されることができ、その後、治療送出を遅延させるために確認ステップにて使用される。
【0009】
別の実施形態では、ICSDにおける患者処置の方法は、基準のセットを適用して、処置可能病状が現れている可能性があるかどうかが判定される。一旦初期処置可能病状が識別されると、初期識別をもたらしたデータがクリアされ、確認基準が適用される。確認基準が満たされる場合、治療が送出される。1つのこうした例では、X/Yカウンタが初期処置可能病状識別用のデータの窓を解析するために使用され、X/Yカウンタは、クリアされ、確認基準を適用するために再充填(refill)される。
【0010】
別の実施形態では、X/Yカウンタが処置可能病状の初期解析を生成するために使用される。処置可能病状の初期的発見によって、X/Yカウンタ内の値が格納され、解析がX/Yカウンタを新しい値で充填し続ける。確認ステップがその後実施され、そのとき、X/Yカウンタのステータスが初期解析後に格納されたステータスと比較される。その例では、初期解析の時点で起こったステータスと少なくとも同等のステータスにX/Yカウンタが一旦達すると、治療が送出されることになる。
【0011】
ICSDは、治療コンデンサが治療用の所望のレベルまでその間に充電される充電時間を必要とする、カルディオバージョンまたは除細動などの治療を送出するように構成されてもよい。治療を送出するように構成される場合、また、いくつかの例では、デバイスは、初期処置可能病状の識別によって治療送出を準備するために充電し始める。一部のこうした例の場合、確認解析は、治療送出用の準備が終了したかどうかをチェックすること、ならびに、充電が開始する前か、その最中か、またはその後で、あるいは、充電が完了する前か、その最中か、またはその後で検知されたデータを解析することを含んでもよい。本発明は、たとえば一部の治療(ATPなど)がコンデンサの充電を必要としない可能性があるため、コンデンサ充電の開始の間/充電の開始後の解析に限定されない。たとえば、治療の準備は、時間遅延またはある数の検出事象によって規定される遅延期間を含むことによって、処置可能病状の初期識別に続き得る。「準備」の一部は、判断決定プロセスの正確さを保証するために単に待機することを含む。
【0012】
さらなる実施形態は、上記方法を実施するように構成された、または、実施するようになっているデバイスおよびシステムを含む。本発明は、多数の異なる例で具現化されることができ、その中の少数の例だけが、この概要において要約される。さらなる例は、以下の詳細な説明で示される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】ICSDにおける充電中および充電後に検出結果を管理する例証的な方法を、ブロックの形態で示す図である。
【図2】患者の心臓に対する例証的な埋め込み型心臓刺激システムを示す図である。
【図3】ICSDを動作させる例証的な方法を、ブロックの形態で示す図である。
【図4】治療送出を管理する例証的な方法についてのプロセスフロー図である。
【図5】「最新の3間隔」治療確認基準を使用する解析の図である。
【図6A】異なる治療確認基準が適用されることを除いて、図5と同様の解析を示す図である。
【図6B】異なる治療確認基準が適用されることを除いて、図5と同様の解析を示す図である。
【図6C】異なる治療確認基準が適用されることを除いて、図5と同様の解析を示す図である。
【図7A】治療送出を管理する別の例証的な方法についてのプロセスフローである。
【図7B】治療送出を管理する別の例証的な方法についてのプロセスフローである。
【図8】図7A〜7Bの方法を使用する解析を示す図である。
【図9】例証的な方法についてのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の詳細な説明は、図面を参照して読まれるべきである。図面は必ずしも一定比例尺に従っておらず、例証的な実施形態を示し、本発明の範囲を制限することを意図しない。以下の実施例および説明の一部は、発行済特許および係属中特許出願に対する参照を含む。これらの参照は、例証のためのものであり、参照される特許および特許出願からの特定の方法または構造に本発明を限定することを意図しない。
【0015】
暗黙裡に要求されるか、または、明示的に述べられない限り、以下の方法は、ステップの任意の特定の順序を要求しない。以下の実施例が「現在の事象」を参照するとき、一部の実施形態において、これは、直近に検出された心臓事象が解析されることを意味することが理解されるべきである。しかし、実情はそうである必要はなく、一部の実施形態は、1つまたは複数の検出および/または一定期間だけ遅延される解析を実施する。整流または非整流信号の使用に関して示した選択は、例証に過ぎず、所望である場合に変更されてもよい。
【0016】
本明細書で開示されるいくつかの実施形態は、埋め込み型心臓刺激デバイス(ICSD)で使用され得る。1つの特定のタイプのICSDは、カルディオバージョンおよび/または除細動治療の形態の治療を提供する、また、必要とされると/プログラムされると、抗徐脈ペーシングを通常提供する埋め込み型カルディオバータ除細動器である。ICSDは、たとえば階層的治療システムにおける抗頻脈ペーシング、ならびに、限定はしないが他のペーシング治療または任意の他の適した治療を含む他の機能を提供してもよい。ICSDはまた、心房不整脈を処置してもよい。
【0017】
図1は、ICSDにおいて検出、解析、および治療送出を管理する例証的な方法をブロックの形態で示す。3つの一般的な動作状態、すなわち、一番上には心配なし状態、中央には初期処置可能病状発見状態、および一番下には確認状態が示される。心配なし状態は、心室または心房不整脈などの処置可能病状が識別されなかったことを示す。初期処置可能病状発見状態は、処置可能病状が識別され、ICSDが治療を送出する準備をしていることを示す。確認状態は、治療が送出されるべきであると確認するためにICSDが解析を実施していることを示す。
【0018】
一実施例では、ICSDは、処置可能病状を識別した後に治療を送出する前に、ある期間あるいはある数の心臓事象または検出事象の間、待機するように設計されてもよい。なお別の実施例では、ICSDは、処置可能病状の最初の初期識別を行うように設計され得るが、初期識別において使用されるデータをクリアした後に処置可能病状の再確認を待つ。たとえば、ICSDは、コンデンサおよび充電回路を含んでもよく、初期処置可能病状発見状態は、ICSDがコンデンサを所望の治療電圧まで充電する間に使用され得る。所望の治療電圧に達すると、解析は、確認状態において治療が送出されるべきかどうかを確認する。一旦治療が確認されると、ICSDは、妥当な出力エネルギーを保証すべくコンデンサ上の電荷量を調整し、治療を送出してもよい。コンデンサ充電および他の条件はそれぞれ、たとえば、ICSDが少なくとも規定の期間だけ待機すること、ならびに、コンデンサが所望のレベルまで充電されるまでICSDが待機することを要求することによって並列に適用されてもよく、一旦両方の条件が満たされると、デバイスは、治療を送出する準備ができており、確認状態に進み得る。
【0019】
心配なし状態は、心臓事象を検出するように設計された基準を適用する検出ループ12を示す。一実施例は、当技術分野で公知の方法を使用して、検出プロファイルを検知した信号振幅と比較する。一旦事象が検出されると、解析14が呼び出されて、検出事象または一連の検出事象が不整脈などの処置可能病状を示すかどうかが判定される。一実施例では、解析14は、処置可能病状が起こっているかどうかの第1の指標として事象レートを使用する。たとえば、計算された事象レートが高い場合、処置可能頻脈性不整脈が起こっている可能性がある。たとえば、テンプレートに対する相関、QRS幅、拍動間安定性、または他の因子などの考慮事項を含むモルフォロジを考慮することができる。間隔またはレート変動性が監視されてもよい、かつ/または、突然発症または加速が解析されてもよい。一部の実施例では、解析14は、ノイズまたは過剰検出のために検出事象が起こったと判定する可能性があり、そうである場合、システムは、検出ループ12に戻ることができる。
【0020】
方法は、引き続きブロック16に進み、処置可能病状の初期識別が行われるべきと判定する。ブロック16は、全体的な調律または心臓状態のさらなる解析を含んでもよい。一実施例では、ブロック16は、ある数の検出事象、たとえば8の、12の、16の、24の、32の、40の、またはそれより多い、あるいは何らかの他の数の事象についての解析ブロック14による判断を再検討する。その後、たとえば18/24検出事象を探すことによりX/Yフィルタが生成されて、高レート、特定のモルフォロジ、モルフォロジテンプレートに対する不整合、大きな幅、高い変動性、または何らかのその混合物などの特定の特性が立証されてもよい。別の実施例では、非同期時間ブロックがブロック16にて解析されてもよい。
【0021】
処置可能病状ブロック16の結果がいいえである場合、方法は、検出ループ12に戻る。処置可能病状ブロック16の結果がはいである場合、方法は、引き続き初期処置可能病状検出状態に進む。
【0022】
初期処置可能病状発見状態は、デバイスが治療を送出する準備をすることを可能にする。この時点で、エピソードがICSDによって宣言され得る。用語「エピソード」は、精密に解析され、所望される場合に医師によって後でダウンロードされ得る、潜在的なまたはありそうな不整脈などの病状の識別に応答して呼び出され得るICSDの特定の状態を示す。エピソード中、ICSDは、治療を送出するために、さらなるデータ解析を実施するために、後で取出すため検知信号/検出信号を記録し格納するために、かつ/または、治療が切迫している可能性があることを示す警報(たとえば、振動または放出音)を生成する準備をしてもよい。さらに、エピソードは、ベッドサイドモニタまたは病院情報ネットワークなどの外部デバイス、あるいは、セルラー方式電話ネットワーク、WI−FI、ブルートゥースなどのようなICSD通信情報を受信するようになっている任意の他の外部システムとの通信をICSDに試みさせてもよい。
【0023】
エピソードは、通常、たとえば良性調律への自然の復帰または治療送出後の良性調律への復帰に続いて、識別された病状が終了すると終了する。治療が送出され失敗する場合、一部のシステムは、不整脈が終了するか、または、最大数の治療試行が実施されるまで、治療送出を繰返すことになる。システムはまた、いくつかの異なる治療、たとえば1つまたは複数の形式でATPを適用し、その後、不整脈が終了しない場合カルディオバージョンまたは除細動に移行することを通して進行してもよい。(同じ治療を繰返して、または、異なる治療を適用して)複数の治療が送出される場合、本明細書で示す方法が治療送出シーケンスごとに繰り返されてもよい。あるいは、別の実施形態では、確認プロセスは、エピソードの最初の治療送出だけについて実施されてもよい。
【0024】
初期処置可能病状発見状態では、方法18および検出ループ12は、同様のまたは異なる基準を適用して、実施形態および/または医師の選好に応じて検出事象を識別してもよい。一旦検出事象が起こると、方法は、ブロック20に進み、解析を実施し、良性心臓病の徴候のカウントを始動させる。
【0025】
ブロック20の解析は、例証的な実施例では、エピソード中に良性心臓病のどれだけの数の徴候が現れるかを計数することによって実施され得る。ブロック20による解析は、良性心臓病の多数の徴候が現れた場合に治療送出を遅延させるために使用されることができ、逆に、こうした良性徴候が現れない場合、ブロック20の解析は、一部の実施例では低レート検出を含む良性心臓活動の種々のタイプのマーカを観察し得る。
【0026】
さらに、ブロック20の解析はまた、良性病状かまたは処置可能病状を示す時系列事象を追跡してもよい。たとえば、確認基準は、良性病状を示す検出事象に応答して変更されてもよい。処置可能病状が戻ったことを後続の事象が示す場合、確認閾値は、その元の状態に戻されてもよい。
【0027】
20における解析に続いて、方法は、22に示すように、エピソードが終了したかどうかを判定する。例証的な実施例では、計算されたレートが、所定の数の事象、計算、または期間についての設定閾値より小さい場合、終了したと考えられる。たとえば、計算されたレートが24個の連続する検出について140拍/分(BPM)より小さい場合、エピソードは終了したと考えられる。別の実施例では、25の計算のセットについての平均計算レートが120BPMより小さい場合、エピソードは終了したと考えられる。なお別の実施例では、レートが20/25の以前の計算において100BPMより小さい場合、エピソードは終了したと考えられる。エピソードが終了したと判定するために、他の実施形態では、他の基準が使用されてもよい。エピソードが22で終了した場合、方法は、クリーンアップブロック26に進む。
【0028】
クリーンアップブロック26は、(初期処置可能病状発見状態で充電された場合)除細動コンデンサを放電させるステップ、および、終了したエピソードについてのデータを格納するステップを含んでよい。クリーンアップ26は、たとえば家庭監視システムとの通信を始動するという予告または試行を含む他のステップを含んでもよい。クリーンアップ26に続いて、方法は、28で示す心配なし状態に戻る。所望される場合、クリーンアップ26は、非持続性エピソードに応答して、処置可能病状ブロック16の解析に対する変更を含んでもよい。一部の実施例は、その開示が参照により本明細書に組込まれる、共に「METHOD FOR ADAPTING CHARGE INITIATION FOR AN IMPLANTABLE CARDIOVERTER−DEFIBRILLATOR」という名称の米国特許出願公開第2009−0131998号および第2006−0167503号ならびに「DEVICES FOR ADAPTING CHARGE INITIATION FOR AN IMPLANTABLE CARDIOVERTER−DEFIBRILLATOR」という名称の米国特許出願公開第2006−0167504号に開示される。1つの例証的な実施例では、処置可能病状ブロック16で使用される持続性因子は、治療送出なしでエピソードが終了することに応答して修正される。たとえば、Y個の検出のセットの中でどれだけの数の処置可能検出(X)に遭遇したかを確定するために、X/Yカウンタが使用されてもよい。X/Yカウンタが所定の閾値に達し、かつ、連続事象の持続性数(N)の間、その閾値にまたはその閾値を超えて留まるとき、充電開始ブロック16が満たされる。治療送出なしのエピソードの終了に続いて、持続性数(N)は、将来のエピソードで使用するために増加されてもよい。X/Yセットおよび/またはX/Y比などの他の因子が代わりに変更されてもよい。
【0029】
ブロック22にてエピソードが終了しなかった場合、方法は、24に示すように、システムが治療送出の準備ができているかどうかを判定する。準備ができている場合、方法は、引き続き確認状態に進む。準備ができていない場合、方法は、検出ループ18に戻る。24におけるチェックは、たとえば初期処置可能病状発見状態にいる間にどれだけの数の検出事象が起こったか、初期処置可能病状発見状態がどれだけの期間継続したか、および/または、いずれかの治療コンデンサ充電が完了しているかどうかを確定することを含んでもよい。
【0030】
確認状態では、解析が検出ループ32において再び開始する。32における検出に続いて、方法は、34に示すように、良性調律の徴候(実施例では、正常洞調律、NSRの徴候として示す)を計数するために検出事象および検知信号を解析する。方法は、次に、36に示すように、エピソードが終了したかどうかを判定する。最後に、38に示すように、間隔条件が適用される。間隔条件は、検出事象間の間隔が、少なくとも閾値数の間隔について、短間隔閾値より短いかどうかを判定する。例証的な実施例では、短間隔閾値は、プログラマ通信によって、140〜270BPMのレートに対応する値に設定され得る不整脈レート閾値である。間隔の閾値数は、ブロック20および34で計数されたNSRの徴候の数を加算し、デフォルト最小数を加えることによって確定される。良性病状が検出される場合、処置可能病状のさらなる徴候が識別されるまで、治療送出が遅延され得る。所望される場合、ブロック20および34からのNSRの徴候の和は、38にて条件を適用するときに、VFまたはVTの徴候に応答して無視されてもよい。
【0031】
38にて間隔条件が失敗する場合、方法は、32の検出ループに戻り、確認状態に留まる。間隔条件38が満たされる場合、40に示されるように治療が送出される。40で治療が送出される場合、方法は、さらなる治療サイクルを開始するかどうかを判定するための検出および解析、ならびに、治療が成功裏であったかどうか、また、エピソードが終了したかどうかを判定するための解析を含む、治療後状態(図示せず)を使用して、同じエピソード内で継続することになる。
【0032】
図2は、例証的な埋め込み型医療デバイスおよび埋め込み場所を示す。より詳細には、例証的な皮下のみのICSDシステムが図2に示される。システムは、心臓50に対して示され、リード線56に結合されたキャニスタ52を含む。キャニスタ52は、好ましくは、心臓活動の解析を実施し、治療出力を提供する演算回路を収容する。演算回路は、当技術分野で公知の、電池、入力/出力回路、電力コンデンサ、高電圧充電回路、論理回路、コントローラ、メモリ、通信コンポーネントなどを含んでもよい。
【0033】
電極は、システム全体を通した場所に配設され、たとえば、キャニスタ52上の電極54およびリード線56上の電極58、60、62を含む。電極54、58、60、62は、任意の適した形態をとってもよく、また、任意の適した材料で作られ得る。たとえば、キャニスタ電極54は、絶縁されたボタン電極であってよく、または、キャニスタ52の領域または表面であってよく、リード線56上の電極58、60、62は、コイル電極、リング電極、または、当技術分野で公知の他の構造であってよい。より多いまたはより少ない電極がキャニスタ52およびリード線56上に設けられてもよい。
【0034】
電極54、58、60、62は、V1、V2、V3、およびV4などの複数の検知ベクトルを規定する。所望される場合、1つまたは複数のベクトルV1、V2、V3、およびV4は、たとえばその開示が参照により本明細書に組込まれる、「SYSTES AND METHODS FOR SENSING VECTOR SELECTION IN AN IMPLANTABLE MEDICAL DEVICE」という名称の米国特許出願公開第2007−0276445号や、「MULTIPLE ELECTRODE VECTORS FOR IMPLANTABLE CARDIAC TREATMENT DEVICES」という名称の米国特許第7,392,085号に開示されるように、デフォルト検知ベクトルとして選択されてもよい。別の実施形態は、たとえばその開示が参照により本明細書に組込まれる、「SENSING VECTOR SELECTION IN A CARDIAC STIMULUS DEVICE WITH POSTURAL ASSESSMENT」という名称の米国特許出願公開第2008−0188901号に開示されるように、ベクトル解析において姿勢を考慮する。複数の検知ベクトルが所望に応じて順次にまたは組合せて解析されてもよい。
【0035】
治療は、任意の選択された電極対を使用して適用されてもよい。例証的な実施例は、治療を適用するために缶電極54およびコイル電極62を使用する。他の電極の組合せが使用されてもよい。治療は、単相、2相、または他の多相除細動動作や種々のペーシング動作を含んでもよい。
【0036】
図2は、いくつかの解剖学的目印を省略している。図示した例証的なシステムは、埋め込み対象者の胸郭の外側で皮膚の下に埋め込まれてもよい。例証的に示す位置付けは、心尖と同じ高さで、埋め込み対象者のほぼ左腋窩にキャニスタ52を留置することになり、リード線56は、剣状突起に向かって内側に、その後、胸骨の左側に沿って埋め込み対象者の頭部に向かって延在する。1つの例証的な実施例は、その開示が参照により本明細書に組込まれる、「APPARATUS AND METHOD FOR SUBCUTANEOUS ELECTRODE INSERTION」という名称の、同一譲受人に譲渡された米国特許出願公開第2006−0122676号に示される方法/システムを使用する。他の例証的な皮下システムおよび位置付けは、その開示が参照により本明細書に組込まれる、同一譲受人に譲渡された米国特許第6,647,292号、第6,721,597号、および第7,149,575号に示される。
【0037】
本発明はまた、他の皮下のみ、血管のみ、心外膜、および/または経静脈埋め込み構成および場所を含むがそれに限定されない種々の埋め込み構成を有するシステムで具現化されてもよい。キャニスタ52は、制限なしで、腋窩、鎖骨下、胸筋、および胸筋下の位置、ならびに、埋め込み対象者の胴体の左側または右側上のおよび/または腹部内の留置を含む、前側、側部、および/または後側位置に留置されてもよい。キャニスタは、単一ユニットであってよく、または、当技術分野で公知の種々の設計の、いくつかの、接続されるかまたは係留された格納部を備えてもよい。ICSDシステムの完全血管内埋め込みもまた提案された。リード線56は、前側−後側の組合せ、前側のみの組合せ、経静脈留置、または他の血管留置を含むいくつかの適した構成のうちの任意の構成で留置されてもよい。複数のリード線56が使用されてもよい。リード線56を省略し、キャニスタ52上に全ての電極を含む単一システムが使用されてもよい。
【0038】
本発明は、任意の特定のハードウェア、埋め込み場所または構成に限定されることを意図されない。代わりに、本発明は、任意の埋め込み型心臓システムで使用することを意図される。治療送出システムに加えて、一部の実施形態は、監視システムを含んでもよい。たとえば、治療送出を制御するのではなく、予告またはデータ格納などの監視機能が操作されてもよい。監視システムはまた、特定の患者について解析方法の適合性を立証するために使用され得る。
【0039】
一部の実施例は、種々の目的で埋め込み式デバイスと通信するように構成される外部プログラマ64に関連し得る。種々の目的とは、たとえばまた制限なしで、デバイスを試験すること、新しいまたは改定されたソフトウェアやファームウェアをアップロードすること、検知、検出、または治療設定を修正すること、デバイス動作、電池寿命、またはリード線完全性のステータスまたは履歴を確定すること、および/または、データ取込みまたは処置の前に、デバイスまたは埋め込み対象者の状態に関連するデータをダウンロードすること、の1つまたは複数を含む。任意の適した通信方法は、たとえばMICS、誘導テレメトリ、RFテレメトリ、ブルートゥースなどを含む、当技術分野で公知の種々のプロトコルおよびハードウェアなどの、任意の適した通信方法が使用されてもよい。
【0040】
図3は、除細動またはカルディオバージョンなどの比較的高いエネルギーの治療を送出するために、ICSDを動作させる例証的な方法を、ブロックの形態で示す。例証的な方法では、新しい検出80は、一連の解析ステップについてのトリガーである。新しい検出80は、たとえばシステムに関連する埋め込み式電極から心臓信号を取込み、検知信号を検出閾値と比較することによって識別されてもよい。検出閾値は、一定であってよく、または、たとえばその開示が参照により本明細書に組込まれる、「ACCURATE CARDIAC EVENT DETECTION IN AN IMPLANTABLE CARDIAC STIMULUS DEVICE」という名称の米国特許出願公開第2009−0228057号に示されるように、時変閾値であってよい。他の検出方法が代わりに使用されてもよい。
【0041】
例証的な実施例では、新しい検出80に続いて、82に示すように、ノイズ検出が実施される。ノイズ検出82は、ノイズによって引起されるか、または、ノイズによって実質的にマスクされるように見える検出を識別するために実施されてもよい。検出がノイズによって引起されるか、または、ノイズによって実質的にマスクされるように見える場合、方法は、ブロック80に戻り、次の検出まで待機することができる。
【0042】
そうでなければ、過剰検出識別84が実施される。過剰検出識別は、いくつかの形態のうちの任意の形態をとってもよい。過剰検出識別84は、単一心周期内に、2重または3重検出などの2つ以上の検出が起こる事例を識別する(そして、適切である場合には、補正する)ために含まれる。
【0043】
処置可能不整脈であるかどうかを判定するために患者の全体の心臓調律が解析される、調律解析86が続く。レートは、しばしば、調律解析86の一因子である。一部の実施例では、レートは、ブロック84または86の前に解析されてもよく、計算されたレートが低い場合、方法は、ブロック80に戻ってもよい。モルフォロジ、幅、および他の因子が調律解析86の一部であってよい。
【0044】
患者の心臓調律が良性であり、処置を必要としないことを、調律解析86が発見する場合、方法は、ブロック80に戻り、次の検出まで待機する。調律解析86が処置可能不整脈を識別する場合、治療ブロック88が呼び出される。治療ブロック88は、ICSD内のカルディオバージョン/除細動コンデンサについての充電90を含んでもよい。充電90が完了しない場合、方法は、次の反復のためにブロック80に戻る。
【0045】
一旦充電90が完了すると、治療ブロック88は、治療についての継続的な必要性を確認し、治療が確認される場合、92にて、治療が送出される。確認が失敗する場合、方法は、次の反復のためにブロック80に再び戻る。別の実施例では、ATPが提供されることができ、その場合、充電ブロック90は、省略されるか、または、デバイスが治療を送出する準備ができているかどうかを観察する別の解析ブロックで置換されてもよい。デバイスが治療を送出する準備ができているかどうかは、たとえば確認基準を満たすこと、所定期間内に処置可能病状が終了しなかったことを観察すること、または、不整脈が最初に検出された状態より悪い状態まで進行していると判定することによって判定されてもよい。
【0046】
図3のブロック82にて参照されるノイズ検出は、その開示が参照により本明細書に組込まれる、「METHOD AND DEVICES FOR PERFORMING CARDIAC WAVEFORM APPRAISAL」という名称の、同一譲受人に譲渡された米国特許第7,248,921号や、「ADAPTIVE WAVEFORM APPRAISAL IN AN IMPLANTABLE CARDIAC SYSTEM」という名称の、米国仮特許出願第61/255,253号に記載される波形評価を含んでもよい。過剰検出識別84は、たとえば、その開示が参照により本明細書に組込まれる、「METHODS AND DEVICES FOR ACCURATELY CLASSIFYING CARDIAC ACTIVITY」という名称の、米国特許出願公開第2009−0259271号や、「METHODS AND DEVICES FOR ACCURATELY CLASSIFYING CARDIAC ACTIVITY」という名称の、米国特許出願公開第2010−0004713号に示されるような方法を使用して実施されてもよい。調律解析86は、その開示が参照により本明細書に組込まれる、米国特許出願公開第2009−0228057号、第2009−0259271号、または第2010−0004713号、米国特許第7,248,921号や、同一譲受人に譲渡された米国特許第7,330,757号または第6,754,528号に開示される解析を含んでもよい。他の方法は、これらの特許および特許出願において見出される実施例のうちの任意の実施例の代わりに、または、それに加えて使用されてもよい。
【0047】
図4は、検出された調律に治療送出についての条件を適合させる例証的な方法についてのプロセスフロー図である。図4の治療送出の管理は、治療を送出する前の、良性心臓活動の徴候を反映する。結果として、治療送出は、良性心臓調律への比較的遅い復帰に応答して回避されてもよい。図4に示す方法によって提示される解決策を説明する前に、図5は、良性心臓活動の徴候を計数することによって回避され得る治療送出の実施例を示す。
【0048】
図5を参照すると、検知信号が150に示される。信号150は、152にて特徴付けされる。例証的なシステムは、検出事象間の計算された間隔の平均に頼って、154にて特徴付けられる事象レートを生成する。実施例では、検出した事象(Y)のセットの中で処置可能な事象(X)がどれだけ起こるかを判定するためにX/Yカウンタが使用される。X/Yカウンタの内容は156にて特徴付けられる。左側を基点とすると、患者は正常調律である。154に示すように、事象レートを(プログラムされたレート閾値に対して)高く駆動する高レート不整脈が始まり、156に示すように、X/Yカウンタが処置可能事象を充填(fill)し始める。
【0049】
X/Yカウンタが一定の解析閾値(一又は複数であり得る)を満たすと、158に示すように、充電が開始する。162に示すように、不整脈は充電完了160の前に自然に元に戻り、正常洞調律まで減速する。これは事象レートを低ゾーンに落とす。高レート不整脈が終了した後に治療送出はおそらく必要とされない。しかし、正常洞調律162中に、患者は166に示す心室期外収縮(VES)によって引起される短い一連の検出事象に遭遇する。心室期外収縮はVESの一種である。
【0050】
例証的な実施例では、確認基準は以下を含む。すなわち、連続する3つの間隔が所定の閾値より短い場合に治療が送出される。ここでは、VESは検出事象間に一連の非常に短い間隔を生じさせる。一旦3つの短い間隔が生じると、168に示すように治療が送出される。これらの状況における治療はおそらく臨床的に不必要であり、患者にとって苦痛を与えたり驚かせる可能性がある。
【0051】
図4の方法は図5に示す治療を回避する可能性がある。図4に示される方法は、たとえば、図3のブロック90および/または92で使用されてもよい。この方法は、開始ブロック100で始まる。開始ブロック100に先行する条件は、新しく検出される事象の発生、また任意選択で、処置可能心臓病の初期識別である。
【0052】
開始ブロック100から、方法は解析下の検出事象が102で示されるように処置不能として識別されたかどうかを判定する。処置不能として識別された場合、治療持続閾値TPThが増分される。任意選択で、TPThについての最大値が設定されてもよい。たとえば、最大値は、約8〜64の範囲にあってもよく、変数がどのように使用されるかに応じてより大きな値またはより小さな値もあり得る。一実施例では、TPThの最大値は24である。
【0053】
ブロック102に戻って、解析下の事象が処置不能として印を付けられなかった場合、方法は、次に、106に示すように、解析下の事象が処置可能として印を付けられたかどうかを判定する。処置可能として印を付けられた場合、108に示すように、TPThが減分される。必要に応じて、図4に示すようにTPThは下限を有してもよい。例証的な実施例では、TPThの下限は3である。
【0054】
図4の実施例では、考慮下の事象がたとえばノイズ検出(図3の82)に基づいてノイズとして印を付けられる場合、その事象は、増分104も、減分108も行わずに通過する。処置可能ステップ/処置不能ステップ102、106の解析および増分ステップ/減分ステップ104、108に続いて、必要である場合、方法は、引き続きブロック110に進む。
【0055】
ブロック110にて、方法はICSDの治療の準備ができたかどうかを判定する。ブロック110は、たとえば、処置可能病状を初期識別してから最小期間が過ぎたことの判定や、(ICSD除細動コンデンサが所望の電圧/エネルギーレベルまで充電されたことを示す)コンデンサ充電が完了したかの判定を含んでもよい。ICSDが治療送出の準備ができていない場合、方法は、示されるように停止し別の新しい検出まで待機する。
【0056】
ブロック110の条件が満たされる場合、方法は、次に、ブロック110にて治療の準備ができたと宣言した後に、112に示すように、第1の反復に続いて起こっているかどうかを判定する。第1の反復に続いて起こっている場合、変数である処置持続カウントTPCountが、114に示すように、最新の3つの検出間隔中において起こった処置可能間隔の数に初期化される。第1の反復中でない場合、方法は、116に示すように、直近の検出間隔が、短い間隔の間、閾値より短いかどうかを観察することによって継続する。短い場合、TPCountは118に示すように1だけ増分され、短くない場合、TPCountは120に示すようにゼロにリセットされる。この実施例では、短い間隔のストリングが識別されると、TPCountは、118に示すように、新しい短い間隔ごとに増加することになり、一方、長い間隔は、120に示すように、TPCountをゼロにリセットさせることになる。TPCountが120でリセットされる場合、方法は、図示するように停止し、次の検出事象によって引起される次の反復まで待機する。
【0057】
図4の実施例では、「短い」間隔は、おそらく処置可能不整脈を示す規定閾値より短い間隔である。ある実施例では、短い間隔の間の規定閾値は心室頻脈(VT)レートに基づいて設定されることになる。たとえば、特定の患者について200BPMを超えるレートが処置可能頻脈であると医師が判断する場合、規定のVT閾値は300ミリ秒であることになる。患者の特性に応じて短いまたは長い間隔が使用され得る。所望される場合、細動ベース閾値が使用されてもよい。たとえば、心室細動(VF)は、240BPMなどの閾値を超えるレートについて宣言されてもよく、短い間隔は、250ミリ秒より短い間隔であってよい。システムは、これらの閾値を調整することによって、所与の患者についてカスタマイズされてもよい。VTまたはVF閾値に関連しない他の「短い」間隔が代わりに使用されてもよく、TPCountの計算は、既定の治療または調律分類閾値に関連付けられる必要はない。
【0058】
114の初期化または118の増分に続いて、方法は、引き続き122に進み、そこではTPCountがTPThと比較される。TPCountがTPTh以上である場合、方法は、124に示すように、(必要とされる場合)最終的な治療の準備を実施し、患者に治療を送出する。あるいは、TPCountがTPTh以上でない場合、方法は、停止し、次の検出まで待機する。
【0059】
見てわかるように、図4の方法は、長い間隔を計数し、処置不能心臓調律の徴候としてこれらの長い間隔を使用してTPThを延長する。結果として、良性心臓調律の徴候が識別される場合、方法は、ある数のさらなる処置可能検出の間、治療を送出するのをシステムに待たせる。これは、患者が良性心臓調律への自然の復帰を経験する、かつ/または、成功裏の外部除細動治療を受ける場合に、治療送出を回避する可能性がある。一方、システムが処置不能のまたは長い間隔の事象をほとんどまたは全く検出しない場合、TPThは小さいままであり、患者は、ICSDが110にて準備ができている条件を満たした後すぐに治療を受けることになる。
【0060】
任意の数の特徴が良性心臓病を識別するために使用されてもよい。一実施例では、良性心臓調律の徴候を識別するために、正常拍動テンプレートに対する比較が使用されてもよい。正常拍動テンプレートは、正常洞調律を表すものとして安静時心拍数で取込まれたテンプレートであってよい、かつ/または、正常拍動テンプレートは、運動誘発性頻脈などの高いレート条件の心拍動を表してもよい。正常拍動テンプレートに対する高い相関は、たとえ同時に高い心臓レートが検出されても、良性心臓病の徴候である可能性がある。
【0061】
この確認のコンセプトを、ATP、カルディオバージョンまたは除細動を含む任意の種類の治療送出を確認するために使用してもよい。さらに、これらの例証的な実施例は、心室または心房病状の処置において使用されてもよい。たとえば、確認ステップは、たとえば、多形性心室頻脈、心室細動、心房細動、または心房粗動について治療を送出する前に適用されてもよい。患者のニーズに応じて、他の病状が処置されてもよい。
【0062】
本発明は、処置可能または処置不能心臓病の指標を識別する任意の特定の方法に限定されない。いくつかの実施例は、事象を処置可能または処置不能として印を付けることに言及し、「事象」は、全体のエピソードではなく、個々の検出事象を指す(たとえば、エピソードは、ある数の処置可能検出事象を含むある期間の心室細動を含む可能性がある)。一部の実施例では、「事象」を処置可能として印を付けるのではなく、検出事象に関連する間隔が処置可能または処置不能として印を付けられてもよい。たとえば、レートだけの解析は、検出と検出との間の間隔を処置可能または処置不能として印を付けてもよく、モルフォロジだけの解析は、個々の検出を処置可能または処置不能として印を付けてもよい。これらの解析のハイブリッド型では、検出事象間の間隔は、その間隔に先行する検出事象またはその間隔を終了させる検出事象に関連付けされ、事象のモルフォロジおよび間隔の継続時間はそれぞれ、検出事象と間隔の関連付けられた対を処置可能または処置不能として印を付けることになる。なお別の実施例では、検出事象間の間隔中の信号のモルフォロジもまた、処置可能病状を識別するために解析され得る。
【0063】
一部の実施例では、確認基準は、たとえば加速度計データ(行動または姿勢を示す)、血圧センサ、血液成分センサ、または他のデータを参照することによって、解析に対してさらなるデータ入力を付加してもよい。こうしたさらなるデータ入力は、上述した確認基準と組合せて使用されてもよい。
【0064】
図6A〜6Bは、図5と同様の形式であるが、図4に示す方法を使用する解析を示す。図6Aを参照して、図面の一番上は、検知心臓信号170を示す。この心臓信号は172にて特徴付けられる。この信号のICSD解析は、174にて特徴付けられた事象レートおよび176にて示されるX/Yカウンタのステータスによって部分的に示される。
【0065】
治療コンデンサを充電するために使用されるシステムの充電器のステータスが178に示される。図6A〜6Bの実施例は、システムが除細動またはカルディオバージョン治療の準備をすることを示す。他の実施例では、充電器スタータスではなく、たとえば治療が充電を必要としない場合、治療を送出する前に処置可能病状がどれだけの期間持続するかを計数するものとしてタイマステータスが示されてもよい。たとえば、ATPを送出する前に、システムは所定の期間待機してもよい。
【0066】
左から始めて、信号170は、172にて正常として最初に示され、レート174およびX/Yカウンタ176は、低/オフである。正常調律が仮定され、充電は開始していない。右に横切って信号をたどると、患者は、その後、170にて示され、172にて特徴付けられる頻脈を生成し、高レート計算174をもたらす。X/Yカウンタ176は、高事象レートに基づいて処置可能病状の徴候を計数し始める。充電器はオフのままであり、調律基準を満たすことを保留させる。
【0067】
実施例では、X/Yカウンタは、処置可能不整脈を示す検出の数を計数することによって調律基準を適用するために使用される。この実施例では、高レート計算174は、処置可能不整脈を示し、X/Yカウンタは、閾値が満たされるまで、高レート閾値を満たす検出事象ごとに増分し始める。たとえば、X/Yカウンタ閾値は、5/8、9/12、12/16、14/18、18/24などの性質であってよく、処置可能不整脈を示すために、通常、事象のセットの大多数(75%またはある他の割合など)を必要とする。持続性規則が適用されてもよく、X/Yカウンタは、指定数の連続した検出、または別法として、ある期間の間に閾値を満たすことを求められる。たとえば、持続性規則は、X/Yカウンタが少なくとも2つの連続する測定、完全な1秒、またはある他の適した尺度の間、その閾値を満たすまで待機してもよい。持続性規則は、前の非持続性処置可能病状が起こった場合、継続時間を増加させてもよい。
【0068】
一旦(任意の持続性因子を含む)X/Yカウンタ基準が満たされると、充電器が178に示すように充電し始める。一旦充電器が充電し始めると、システムは、180に示すように、治療持続閾値(TPTh)および治療持続カウント(TPC)を計算し始める。TPCは、現在のところ検出された連続する短い間隔の数を表す。この実施例では、TPCは、新しい短い間隔が検出されるとカウントアップし、長い間隔が起こるとゼロにリセットされる。TPThは、TPCが治療持続基準を満たすために満たさなければならないまたは超えなければならない閾値数を記録する。TPThは、良性および処置可能病状の徴候の検出に応答して変わる。
【0069】
実施例では、充電が始まった直後に、信号が緩徐レート(NSR)に戻り、長い間隔を生じ、レート計算174を下げる。180に示すように、充電が始まった後にNSRが起こり始めると、TPThは、長い間隔の数をカウントアップし始める。これらの長い間隔は、この実施例では、良性心臓調律の徴候として扱われる。長い間隔のため、TPCはゼロに設定される。充電は178に示すように完了し、一方、NSRは依然として継続し、TPThは依然としてカウントアップするため、充電器は待機状態に入る。充電器は、確認規則(TPC≧TPTh)が満たされ、治療が送出されるまで、または、不整脈がもはや起こっていないというシステムの判定に基づいてエピソードが終了するまで待機状態のままであることになる。
【0070】
例証的な実施例では、処置可能不整脈が良性調律に復帰したと判定するのに十分な緩徐調律拍動を検出する場合、エピソードは終了され得る。たとえば、一定数の連続する長い間隔が必要とされもよく、X/Yカウンタがゼロまでカウントダウンされてもよく、または、平均間隔を使用して計算されたレートが、所定の期間または所定数の連続する計算の間、低レートを示してもよい。一実施例では、24の低レート計算174が行(row)内に現れる場合、宣言されたエピソードは終了したと考えられる。別の実施例では、X/Yカウンタが3以下(または、なお別の実施例ではゼロ)に達する場合、エピソードは終了したと考えられる。別の実施例では、10〜20秒の間のある期間の間、低レートが検出される場合、エピソードは終了したと考えられる。
【0071】
図6Aに戻って、VESの短いバーストが起こり、レート174を一時的に高くなるようにさせ、それにより、方法がTPThをカウントダウンし始めるようにさせ始める。TPCはまた、カウントアップし始めるが、充電が始まった後にNSR中にTPThがカウントアップしたため、TPCはTPThより小さいままである。結果として得られることは、一連のVESに応答して治療が送出されないことである。
【0072】
後で、VTの短いバーストが起こり、再びレート174を高くし、TPThがカウンドダウンする間に、TPCがカウントアップし始めるようにさせる。やはり、緩徐レート拍動中のTPThの増分は、治療送出を適切に防止する。この解析の数学は、図6Bにてさらに強調される。
【0073】
図6Bは、図6Aの解析に対するさらなる詳細を提供し、一旦充電が始まると何が起こるかに的を絞る。図6Aからの信号の一部分が182に示され、充電を始めさせた高レート調律の終了が184に示される。変数TPThおよびTPCについての値は、信号182の下に示される。特に、充電が始まると、TPThは3に初期化される。図示するように、184で説明される高レート条件の継続中に、TPThは3において一定のままである。一旦緩徐レート条件が始まると、TPThはカウントアップし始める。
【0074】
一部の実施例では、TPCは、充電中に計算されない。他の実施例では、TPCがTPThの最小値まで増分することを待つ必要なく、充電プロセスが完了するとすぐに治療送出の確認を可能にするために、TPCは充電中に計算されてもよい。図6Bに示す例証的な実施例は、アスタリスクで示すように、充電が完了するまでTPCを計算しない。
【0075】
一旦充電が終了すると、この実施例では、TPCはゼロに初期化される。代替の実施例では、TPCは、以前に検出した一連の事象に基づいて初期化されてもよい。例証的な実施例は、反復的であり、TPCおよびTPThは、新しい検出が起こるときに増分するかまたは減分することによって再計算される。186に示すように、TPThは、最初のVES検出が現れる前に数インクリメントだけカウントアップする。結果として、VESによって生じた最初の短い間隔に続いて、TPTh=11であり、TPC=1である。これらの値はそれぞれ、新しい検出によって更新され、VESによって生じたいくつかの短い間隔の終了時に、TPTh=8であり、TPC=4である。
【0076】
この実施例では、4間隔平均がTPTh計算についてレートを推定するために使用され、一方、瞬時間隔がTPCについて使用される。TPThは、図示する詳細な実施例では4間隔平均から生成されるため、一旦VESからの短い間隔が起こると、短い間隔が以前の間隔で平均化されるため、TPThは、即座にはカウントダウンし始めない。4間隔平均の使用は、例証に過ぎず、代わりにレートを推定するために他の計算が実施されてもよい。TPCおよびTPThは、種々の実施形態において、(図示した)同じ計算または異なる計算に基づいてもよい。次の間隔は長く、TPCをゼロにリセットされ、一方、TPThは、4間隔平均に基づくため、7まで減分される。
【0077】
VESに続いて、TPThは再びカウントアップし始める。VTの最初の短い間隔が検出されると、188に示すように、TPTh=15である。190に示すように、VTが終了すると、TPTh=10であり、TPC=6である。次の計算は、192に示すように、TPC=0のリセットを示し、一方、TPTh=9である。その理由は、TPThが平均化間隔によっているため、さらに1つの反復について減分し続けるからである。見てわかるように、TPCおよびTPThにより、非持続性VTおよびVESトリプレットのいくつかの短い間隔が存在しても、治療が適切に保留される。
【0078】
図示する実施例では、TPCがカウントアップし、一方、TPThがカウントダウンし、効果的に遅延を半分にする。一部の実施例は、たとえば、この半分にする効果を回避する。TPThは、長い間隔ごとに2回増分し、短い間隔ごとに1回減分する。さらに、望ましくないほどに長い期間の間、治療を延期することを回避するために、TPThは、たとえば、8〜64の範囲の最大値あるいはそれより小さいかまたは大きい値で制限されてもよい。一実施例では、TPThは24に制限される。TPThについての他の最大値が使用されてもよい。
【0079】
図6Cは、(特に、図6Bで示す)TPThがカウントダウンし、一方、TPCがカウントアップするときにもたらされる半分にする効果を回避する実施例を示す。心臓信号200は200に示され、処置可能頻脈が202で表される。頻脈202は、充電を始めさせる。新しい変数TPTh(x)が一連の短い間隔の開始時にTPThの値を保持するために使用される。実施例では、充電中に、信号200は、長い期間を有する正常調律に復帰し、TPThをカウントアップさせる。次に、心室細動(VF)が示したように開始する。VFが開始する時点で、204に示すように、衝撃レート、TPTh=15である。206に示すように、TPC=1であるとき、TPTh(x)は、208に示すように、TPThに等しくなるように「設定される」。TPTh(x)は、一連の短い間隔が崩れ、再び開始するまで、すなわち、TPCがゼロにリセットされ、再びカウントアップし始めるまで「設定された」値を保持する。
【0080】
実施例では、大振幅検出が数え落としすなわちドロップアウトをもたらすVF検出を阻止する。210に示すように、大振幅検出が起こると、TPCは、依然としてTPTh(x)より小さい。実施例では、TPC=TPTh(x)になるまで、治療は禁止されるため、治療はいまだ全く送出されない。大振幅事象に続く数え落としは、TPCのリセットをもたらし、VESによって生じたドロップアウト後にVFが再び始まると、TPTh(x)は、TPThのその時点で最新の値に設定される。したがって、212に示すように、TPTh(x)は、順方向に進む使用のためにその時点で8であったTPThに等しくなるように設定される。VFが継続するため、システムは、一旦TPC=TPTh(x)になると、続けて治療を送出する。たとえば大振幅事象の後で、VFが終了し、正常調律に戻った場合、実施例では、治療は全く送出されないことになる。
【0081】
ATPを使用する、および/または、コンデンサ充電が必要とされないかまたは短い継続時間を有する別の実施例では、システムに遅延期間を強制的に持たせるために、最小期間が規定されてもよい。そのため、「充電開始」および「充電終了」220を示すのではなく、方法は、代わりに、タイマ開始およびタイマ終了222を使用してもよい。遅延は、3〜10の範囲あるいはそれより大きいかまたは小さい値であってよい。
【0082】
図7A〜7Bは、治療送出を管理する別の例証的な方法についてのプロセスフローを示す。要約レベルでは、図7A〜7Bの実施例は、処置可能病状の初期識別を行うかどうかを判定するために、X/Yカウンタに関連する因子に頼っており、処置可能病状の初期識別に続いて、X/Yカウンタはクリアされ、新しいデータがX/Yカウンタを再充填し、治療が送出される前に、不整脈病状が継続していることを保証する。図7A〜7Bは、「充電」状態を使用して種々の条件付きステップを示し、別の実施例では、290で述べるように、代わりに、タイマが参照されてもよい。なお別の実施例では、タイマではなく、ICSDが、それ自身治療の準備ができていると宣言するのを待つ間に、選択された数の検出事象が起こらなければならない。
【0083】
方法は、図7Aにおいて、検知された心臓信号内で検出された事象に応答する事象検出ブロック250で始まる。250にて事象が検出されると、方法は、252の拍動解析に移る。拍動解析252は、たとえば、任意の適したノイズ識別解析および/または2重検出または他の検出異常を識別する解析を含んでもよい。
【0084】
拍動解析252が失敗する(検出事象が、おそらく所望のタイプの心臓事象でないことを示す)場合、方法は250に戻る。拍動解析にパスする場合、方法は、ブロック254に進み、X/Yカウンタが拍動解析252従って調整される。これは、レート解析および/またはモルフォロジ解析に関連する特徴を統合して、検出事象が良性心臓状態または処置可能病状を示すかどうかが判定されてもよい。
【0085】
次に、方法は、256で示すように、充電が既に始まったかどうかを判定する。充電が既に始まった場合、方法は、引き続きブロック258に進み、充電が完了したかどうかを判定する。充電が完了した場合、方法は、「B」を介して図7Bに進む。代替法の290では、方法は、治療遅延タイマが始動したかどうか、また、始動した場合、タイマがブロック256および258でそれぞれ終了したかどうかを判定することになる。
【0086】
充電が開始したが完了していない場合、方法は、次に、260に示すように、不整脈が良性調律に復帰し、エピソードが終了し得るかどうかを判定する。不整脈が元の状態に戻った場合、エピソードを終了させるために、種々のステップがとられる。たとえば、一時メモリに格納されたデータが後で取出すためにメモリ記憶ロケーションに書込まれてもよく、除細動コンデンサが(充電された場合)放電されてもよい。非持続性事象に続く、所望される任意の適した調整が、たとえば、持続性基準を調整することによって行われてもよい。ブロック262の後に、または、260にて不整脈が元の状態に戻らなかった場合、方法は、拍動検出250に戻るように導く「A」に進む。
【0087】
ブロック256に戻って、充電がまだ始まっていない(または、治療タイマが始動していない)場合、方法は、引き続きブロック264に進み、X/Yカウンタの内容および履歴が解析されて、充電を始めるべきかどうか(または、治療タイマが始動すべきかどうか)が判定される。充電を始めるべきでない場合、方法は、再び、拍動検出250に戻るように導く「A」に進む。
【0088】
充電を始めるべきであることを、ブロック264が発見する場合、266に示すように、充電が始動される。266は、(256で使用される)充電開始マーカを送出することまたは記録すること、あるいは、エピソードが始まったことを宣言することを含んでもよい。代替法290では、264にて、治療タイマが初期化され得る。
【0089】
例証的な実施例では、一旦266にて充電が始動されると、268に示すようにX/Yカウンタがクリアされる。一部の実施例では、これは、X/Yカウンタを完全に空にすることを意味し、一方、他の実施形態では、X/Yカウンタは、充電開始後の解析のために、ある所定の初期条件に設定されてもよい。たとえば、X/Yカウンタは、20事象カウンタ(すなわち、Y=20)であってよく、ブロック268における「クリア動作」は、Xを、ゼロ、10、またはある他の所定の値に設定し得る。代替法290では、治療タイマが初期化される場合/とき、X/Yカウンタがクリアされることになる。ブロック268に続いて、方法は、拍動検出250に戻るように導く「A」に進む。
【0090】
図7Bを参照すると、(258にて)充電が完了した後(かつ/または、代替法290を使用して、治療タイマが終了した場合)、例証的な方法は、次に、270に示すように、現在のエピソードにおける最初の治療が既に送出されたかどうかを判定する。送出されていない場合、方法は、266および268(図7A)における充電開始ステップおよびデータクリアステップ後に、X/Y基準が満たされたかどうかを判定する。別の代替の実施例では、最初の治療がエピソード時に送出された後に、治療タイマが省略されてもよく、または、たとえば複数の異なる治療を所定の順序でまたは特定の条件に応答して適用するように構成されたシステムにおいて、ある治療だけが考慮されているときに、治療タイマが選択的に適用されてもよい。
【0091】
図7A〜7Bの方法において充電始動の前および後で適用される閾値は、一部の実施形態では、互いに異なってもよい。以下の組合せは、例証的な実施例で使用され得るX/Y閾値を示す。
・初期 ID X/Y=18/24、可変持続性;確認基準X/Y=12/16、持続性なし
・初期 ID X/Y=12/16、可変持続性;確認基準X/Y=10/16、持続性なし
・初期 ID X/Y=18/24(30/40まで)、可変持続性;確認基準X/Y=12/18、持続性なし
これらの実施例では、持続性は、一連のMの連続する計算についてX/Y比が示されることを必要とすることを指し、静的持続性は、Mが一定であることを求め、可変持続性は、非持続性頻脈が識別される場合、Mが増加され得る/延長され得ることを示す。示した値以外の値が使用されてもよい。あるいは、充電が始まった後に、同じ基準が再適用される。これらの実施例は、初期識別基準および確認基準を提供するものと見なされてもよい。
【0092】
272でX/Y規則(一又は複数であり得る)が満たされる場合、方法は、任意選択で、274に示すように、「最新の3つの間隔(last three interval)」規則を適用し、最新の3つの間隔(いくつかの実施形態のどの実施形態が使用されるかに応じて、未処理であるか、ノイズ検出にパスするか、またはさらに、数え過ぎ検出方法によって証明される)が、それぞれが短いかどうかを判定するために解析される。最新の3つの間隔規則が満たされない場合、方法は、引き続き、「C」を介して図7Aのブロック250に戻る。最新の3つの間隔規則が満たされる場合、276に示すように、方法は治療を送出する。
【0093】
最新の3つの間隔規則は、エピソードの最初の治療が既に送出された場合に適用されてもよく、図示するように、ブロック270から先に進む。別の実施形態では、最新の3つの間隔規則は、ブロック270と276との間で適用され得るが、ブロック272と276との間では省略される。「最新の3つ」ではなく、最新の1つ、最新の2つ、または他の数の間隔がチェックされてもよく、所望される場合、この実施形態は、図4の実施形態と組合されてもよく、「最新の3つ」の規則においてチェックされる間隔の数は、良性心臓活動の徴候に応答して増加する。
【0094】
治療送出に続いて、278で示すように、任意の適した治療送出後の動作が実施される。治療送出後の動作278の一部の実施例は、ブランキングすること、後電位をなくすためにスイッチを操作すること、および、所望される場合、DC後電位を除去するため、または、治療送出中にまた治療送出に続いて起こる可能性があるベースラインドリフトを改善するために、入って来る信号をさらにフィルタリングすることを含んでもよい。治療後ペーシングはまた、たとえば除細動またはカルディオバージョン治療に続いて必要とされる適切な状況において提供され得る。方法は、「C」を介して図7Aに戻る。
【0095】
ブロック272に戻って、X/Y基準が再適用されたときに満たされない場合、方法は、次に、280に示すようにエピソードが終了したかどうかを判定する。一実施例では、計算されたレートが所定の閾値より下がる場合、エピソードが終了していると考えられる。別の実施例では、設定数のレート計算の間、計算されたレートが所定の閾値より下がるまで、エピソードが終了していると考えられない。たとえば、検出事象が、24の連続する計算の間、140BPMより下がるとき、処置可能不整脈が終了していると考えられてもよい。エピソードが終了したと判定するための他の閾値が他の実施形態で適用されてもよい。たとえば、レート閾値は、プログラム可能な特徴量であってよい。280にてエピソードが終了した場合、282に示すようにエピソード活動の終了が実施される。エピソード活動の終了は、上述したようなものであってよい。方法は、再び、「C」を介してブロック280または282のいずれかから図7Aに戻る。
【0096】
図8は、図7A〜7Bの方法を使用する解析を示す。心臓信号の表現が302に示され、304にて特徴付けられる。患者は、低レートまたは正常調律からVTへ移行し、低レート条件へ自然に復帰するのが見られる。312にて一連のVESが起こる。計算されたレートは、306に示すように特徴付けられ、X/Yカウンタのステータス/内容は308に示される。低レート調律中、レート306は低く、X/Yカウンタ308はオフかまたは低い。VTが始まると、レート306は高くなり、X/Yカウンタ308は、その閾値に向かってカウントアップし始める。一旦X/Yカウンタが満たされ、オプションの持続性因子が満たされると、ICSDは、処置可能病状の初期識別を有する。初期の処置可能病状は、310に示すように、治療コンデンサを充電し始めることによって例証的なシステムにおいて対処される。
【0097】
同様に310に示すように、充電が始まると、X/Yカウンタはゼロにリセットされる。充電中、X/Yカウンタは、処置可能心臓事象および良性心臓事象の徴候によって再び充填し始める。一旦充電が完了すると、システムは、X/Yカウンタの内容を解析して、X/Yカウンタ要件が満たされるかどうかが判定される。示したように、カウンタ要件は、初期の処置可能病状判定(たとえば、14/18のX/Y基準)で使用される確認について適用されることができ(たとえば、10/15の確認基準)、持続性は、例証的な実施例では、3(充電基準)からゼロ(治療基準)に減少されてもよい。
【0098】
確認基準が満たされる場合、治療が送出されることになる。しかし、図示する実施例では、充電の始動をもたらしたVTは自然に終了し、心臓調律は低レート条件に戻る。結果として、充電が終了するときに、X/Y基準は満たされない。VESトリプレットが312に示される。VESは、他の信号と異なる振幅または形状である可能性があるため、数え過ぎが起こり得る、かつ/または、VESは分解するのが難しく、一連の短い間隔をもたらす可能性がある。これは、一時的に、計算されたレートを増加させ、X/Yカウンタは、増分し始める可能性がある。しかし、この実施例では、高速検出は、X/Yカウンタを介して適用される確認基準を満たすのに十分に長く持続しない。結果として、314に述べるように、治療は送出されない。
【0099】
本明細書の他の実施例の場合と同様に、初期の処置可能病状が識別されることに応答して治療コンデンサを充電するのではなく、ICSDは、治療送出を準備するために、治療タイマを初期化してもよく、または、異なるステップを実施してもよい。別の実施例では、X/Yカウンタが再充填されるため、タイマは必要とされず、代わりに、X/Yカウンタがクリアされ、X/Yカウンタが充填するにつれて、所定期間(たとえば、1分)内に処置可能病状を再び示す場合、治療が送出される。
【0100】
処置可能病状の初期識別に応答して「治療を送出する準備をする」という説明は、ICSDによる任意の数の異なる動作を含み得ることが留意されるべきである。たとえば、処置可能病状の初期識別後に、ICSDは、以下の動作の1つまたは複数によって治療を送出する準備をすることができる。以下の動作とは、患者に予告を提供すること、外部通信(プログラマ、ベッドサイドモニタ、セルラー方式ネットワークなどとの通信)を試行すること、コンデンサを充電すること、信号データを記録すること、電池容量などのデバイスパラメータを測定すること、治療送出用の時間窓を識別すること、治療送出ベクトルのサブ閾値試験を実施すること、患者インピーダンス特性を観察すること、非心臓信号ノイズを測定すること、または任意の他の所望の機能を実施することを含む。特定の実施形態に応じて、これらの機能は、治療コンデンサが目標電圧/エネルギーに達すること、タイマが終了すること、および/または、所定数の検出事象が起こること、のうちの1つまたは複数が起こるまで、あるいは、ICSDが治療を送出する準備ができていることを示す任意の他の適した条件が起こるまで継続し得る。一部のシステムおよびデバイスの場合、タイマの終了をただ待つことは、こうした遅延が非持続性で過渡的な条件が不適切な治療を引起さないことを保証するのに役立ち得る限り、治療の準備である。
【0101】
別の実施形態では、X/Yカウンタは、処置可能病状を識別するため、ある窓のデータを解析するために使用される。充電が始動されると、X/Yカウンタ内の値が(図7A〜7Bおよび8の場合のようにクリアするのではなく)格納され、解析が充電中継続しX/Yカウンタを新しいデータで充填する。充電が完了すると、X/Yカウンタのステータスが、充電が始動された時点で格納されたステータスと比較される。実施例では、充電始動時点で存在した病状と少なくとも同程度に危険である処置可能病状をX/Yカウンタが示す場合にすぐに、または、充電始動時点で起こったステータスと少なくとも同等のステータスにX/Yカウンタが達すると、治療が送出されることになる。やはり、持続性は、X/Yカウンタの確認解析を実施するときに省略されてもよい。
【0102】
たとえば、持続性=3因子および18/24(24の事象の中の18の処置可能事象)のX/Y閾値を使用して充電が呼び出される場合、充電は、X/Y=21/24で始まってもよい。充電プロセスの終了時に、システムは、治療送出をトリガーするために、X/Yが21/24以上であるかどうかを少なくとも1回観察してもよい。所望される場合、最大のX値(22など)がYに対して設定されて、持続性規則の適用がX/Y=24/24をもたらさないことが保証されてもよい。X/Y=24/24は、患者が過小検知を有する場合、達するのが難しい。
【0103】
上記例証的な実施例は、充電が始まった後に心臓活動が監視されるいくつかのシステムおよび方法を示す。一部の実施例では、緩徐レートまたは正常心臓事象が、充電が始まった後に検出される場合、治療が送出される前に、さらなる治療基準が適用される。この様式では、充電中にまた充電に続いて良性心臓活動のいくつかの徴候を示す患者は、自己終了不整脈に応答して不必要な治療を受けにくくされる。
【0104】
一部の実施例では、最初にエピソード宣言基準、それに続いて治療送出基準が適用される階層的解析が適用されることができ、先に示した方法は、遅延期間が介在した状態でまたは介在しない状態で、エピソード宣言基準の後の治療送出基準に影響を及ぼすために使用されてもよい。上記実施例のいくつかは、治療送出を準備するためにコンデンサ充電がその間に起こる遅延期間を記録する。システムまたは治療が全て、こうした遅延期間を必要とするわけではなく、たとえば、ATPが適用される場合、治療送出は、遅延期間なしでまたは最小の遅延期間で利用可能であってよい。
【0105】
図9は、例証的な方法についてのブロック図である。方法は、処置可能心臓不整脈が起こっているかどうかを判定するために、埋め込み式電極からの心臓信号を検知するICSDにおいて実施され得る。処置可能心臓不整脈の初期識別に応答して、ICSDは、たとえば、ICSDの受容者に治療を送出する準備をするために、大電力コンデンサを充電することによって治療を送出する準備をしてもよい。
【0106】
400に示すように、方法は、治療適応という判定で始まる。治療適応という判定は、この実施例では任意の方法によって行われてもよい。一旦治療適応となると、方法は、「治療を準備する」ブロック402で動作し、ついには、ICSDは治療を送出する準備ができ、その時点で、方法は、「確認」ブロック404で動作する。方法は、410〜412/414〜416および420〜422/424〜426で示され、より大きなプロセス内で、他の方法と並列に、または、たとえば事象検出を含む他のプロセスに加えて実施されてもよい。
【0107】
心臓信号は、410にて解析され、良性412または処置可能414の一方として特徴付けられる。416に示すように、一旦心臓信号が特徴付けられると、方法は、「確認基準」を修正してもよい。この実施例では、確認基準は、一旦ICSDが準備できると、治療が送出されるべきであると確認するため、処置可能心臓不整脈が進行中であるかどうかを判定するために使用される閾値、標準、または解析を指す。いくつかの実施例が先に論じられた。
【0108】
例証的な実施例では、心臓信号が良性412として特徴付けられると、処置可能不整脈を示す大量の心臓信号が治療送出を確認するために必要とされるように、確認基準が修正される。一部の実施例では、これは、モルフォロジ的に処置可能な事象の数を増加させることによって確認基準を修正することを含んでもよく、または、治療を確認するために、短い間隔が必要とされる。別の実施例では、事象駆動システムでなく、心臓調律解析のために時間ブロック(たとえば、いくつかの実施形態では、分離してもよい、隣接してもよい、またはオーバラップしてもよい、1秒、3秒、または他の継続時間ブロック)を解析するシステムは、こうした時間ブロックの数または長さを増やしてもよい。次に、方法は、心臓信号解析410にループバックする。
【0109】
一旦ICSDが治療の準備ができると、ブロック404への移行が行われ、ブロック404にて、心臓信号は、420にて解析され、良性422または処置可能424として特徴付けられる。これらの特徴付けを使用して、処置可能心臓不整脈が進行中であるかどうかを判定するために、確認基準が426にて適用される。処置可能心臓不整脈が進行中である場合、治療が確認され、したがって、430に示すように送出される。そうでない場合、方法は、心臓信号を解析すること420にループバックする。
【0110】
ブロック402または404のいずれにおいても治療がもはや解析中に示されないと判定される場合、440に示すように、こうした判定が行われる。治療がもはや示されない場合、システムは、非持続性の処置可能不整脈の識別に続いて種々の方法を実施してもよい。これらは、非持続性不整脈に関連するデータを格納すること、非持続性不整脈の識別に基づいて、考えられる検知上の困難さを予告すること、検知ベクトル、方法、または閾値を変更すること、および/または、治療の中止によって必要とされる任意のクリーンアップまたは安全タスクを実施することを含んでもよい。
【0111】
解析の継続時間を修正すること、または、事象ベース解析のより多くの事象を付加することは、既存の解析を多少厳密にする方法であると考えられてもよい。別の例証的な実施例では、確認基準は、既存の解析をより厳密にするのではなく、解析の性質を変更すること、または、余分の解析階層を付加することによって修正されてもよい。一部の実施形態では、確認基準は、連続する短い期間に頼る第1階層、正常洞テンプレートに対する相関などのモルフォロジ解析に頼る第2階層、および処置可能不整脈を確認するためにさらなる検知ベクトルを解析することに頼る第3階層などの、いくつかの解析階層を使用してもよい。階層的確認基準の実施形態では、デフォルトは、治療確認のために第1の解析階層だけに頼ってもよく、心臓信号が良性として特徴付けられる場合、第2の解析階層が使用可能にされてもよく、さらなる心臓信号が良性として特徴付けられる場合、第3の解析階層が使用可能にされてもよい。一部のこうした実施形態では、第1の解析階層に対する修正がある場合またはない場合で、さらなる解析階層が呼び出されてもよく、または、第1の解析階層を置換するために、さらなる階層が呼び出されてもよい。一部の実施形態では、任意の付加された階層は、心臓信号の処置可能としての特徴付けに応答して使用不能にされてもよい。
【0112】
上記実施例に示されないが、充電の始動は、充電始動によって一部のシステムで起こる可能性がある検知アーチファクトを回避するために、所望される場合、数百ミリ秒のブランキング期間を伴ってもよい。システムはまた、フィルタリングによってこうしたノイズを軽減してもよく、または、ブランキングに加えてまたはその代わりに充電回路の設計によってこうしたノイズを回避してもよい。述べたように、全てのシステム/方法が確認のための閾値の設定時の因子として充電に頼るわけではない。
【0113】
上記の一部の実施例は、心臓事象レートを推定するために4間隔平均を使用する。たとえば1〜20事象からの他のサンプルサイズが代わりに使用されてもよく、またはさらに、所望される場合、より大きなグループが使用されてもよい。より大きなセットは、よりスムーズな計算を提供する可能性があり、一方、より小さなセットは、異なる調律の発生および突然のレート変化に応答する可能性がある。
【0114】
「METHOD FOR DISCRIMINATING BETWEEN VENTRICULAR AND SUPRAVENTRICULAR ARRHYTHMIAS」という名称の米国特許第7,330,757号、「METHOD AND DEVICES FOR PERFORMING CARDIAC WAVEFORM APPRAISAL」という名称の米国特許第7,248,921号、「METHODS AND DEVICES FOR ACCURATELY CLASSIFYING CARDIAC ACTIVITY」という名称の米国特許出願公開第2009−0259271号、および「METHODS AND DEVICES FOR ACCURATELY CLASSIFYING CARDIAC ACTIVITY」という名称の米国特許出願公開第2010−0004713号は、埋め込み型心臓刺激システムならびに埋め込み、解析、および治療の関連方法の例証的な実施例を提供するものとして、それぞれ参照により本明細書に組込まれる。特許および出願に対する参照は、制限的であるものとして意図されず、他の実施形態において、他の方法がこれらの実施例の代わりにまたはそれに加えて使用されてもよい。
【0115】
治療送出エネルギーについての種々の範囲は知られており、送出エネルギーによってしばしば示される。治療送出エネルギーについての範囲は、たとえば、経静脈システムおよび/または心外膜の場合、0.1ジュールから35ジュール以上の範囲を、また時として皮下治療送出の場合、より高い範囲、たとえば、0.1ジュールから40、65、80、または100ジュールまでまたはそれを超える範囲を含んでもよい。患者の解剖学的構造および治療送出電極の場所は、有効治療について必要とされるエネルギーに影響を及ぼし得る。本発明は、患者の心室および/または心房の1つまたは複数で起こる不整脈を処置することを対象としたシステムで使用されてもよい。一部の実施例では、心房粗動または心房細動を処置してもよい。
【0116】
本発明は、本明細書で述べられ検討された特定の実施形態以外の種々の形態で現れてもよいことが当業者は認識するであろう。したがって、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく、形態および詳細における逸脱が行われてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池電力源を収容するハウジングと、処置可能不整脈が検出されたかどうかを判定するために埋め込み型電極からの心臓信号を解析することによって動作する演算回路とを備える埋め込み型心臓刺激デバイス(ICSD)であって、
処置可能病状が起こっているという初期判定を行う初期判定手段と、
前記初期判定に応答して、治療を送出する準備をする準備手段と、
前記準備手段が前記初期判定に応答して治療を送出する準備をしている間に、良性心臓調律の徴候が検出されたかどうかを観察する観察手段と、
一旦前記準備手段が治療を送出する準備をされると、前記処置可能病状が進行中であると確認するために確認基準を適用する確認手段と、
前記確認基準が満たされる場合、治療を送出する治療送出手段とを備え、
前記観察手段は、前記準備手段が治療を送出する準備をしている間に、良性心臓調律の1つまたは複数の徴候の識別に応答して前記確認基準を修正するように構成されるICSD。
【請求項2】
検知される心臓信号から複数の事象を検出し、検出された前記複数の事象の少なくともいくつかの間の間隔を識別し数値化する事象検出器をさらに備え、
前記確認手段は、前記事象検出器によって識別された間隔のうち短間隔閾値より短い間隔の数を計数して短間隔カウント(SIC)を生成し、SICを治療閾値と比較するように構成され、良性心臓調律の徴候が検出される場合、前記観察手段は、より大きなSIC値を必要とするように前記治療閾値を修正する請求項1に記載のICSD。
【請求項3】
良性心臓調律の徴候が識別されるとともに前記治療閾値が増加される場合、処置可能心臓不整脈が続く場合、前記観察手段は、前記治療閾値を減少させることによって前記確認基準をさらに修正するように構成される請求項2に記載のICSD。
【請求項4】
前記観察手段は、低レート閾値より低い心臓レートを良性心臓活動徴候として処理する請求項1〜3のいずれか1項に記載のICSD。
【請求項5】
検知された心臓信号から事象を検出する事象検出器をさらに備え、
前記初期判定手段は、検出された事象が処置可能病状が起こっていることを示すモルフォロジを有するかどうかを判定することによって前記初期判定を行い、
前記観察手段は、前記処置可能病状が進行中でないことを示すモルフォロジデータを使用して、良性心臓調律の徴候を識別し、
検出された事象の前記モルフォロジは、
検出された事象の幅、
検出された事象の振幅、
テンプレートに対する検出された事象の相関または前記相関の欠如、および、
事象間の変動性
のうちの1つまたは複数を使用して、ICSDによって解析される請求項1〜4のいずれか1項に記載のICSD。
【請求項6】
電池電力源を収容するハウジングと、処置可能不整脈が検出されたかどうかを判定するために埋め込み型電極からの心臓信号を解析することによって動作する演算回路とを備える埋め込み型心臓刺激デバイス(ICSD)であって、
前記埋め込み型電極によって捕捉された信号内の心臓事象を検出する検出手段と、
検出したY個の事象のセットのうちの処置可能検出事象の数としてXを追跡するX/Yカウンタ手段と、
少なくとも治療閾値条件を前記X/Yカウンタ手段が満たすかどうかを判定し、満たす場合、処置可能不整脈が治療を必要とすると判定する初期判定手段と、
前記初期判定手段に応答して治療を送出する準備をする準備手段と、
一旦前記準備手段が準備されると、治療が送出されるべきであると前記X/Yカウンタを使用して確認する確認手段とを備え、
処置可能不整脈が治療を必要とすると前記初期判定手段が判定すると、前記X/Yカウンタは前記初期判定手段によってリセットされ、前記確認手段は、前記X/Yカウンタが再充填されるのを待ち、前記X/Yカウンタを確認閾値条件と比較して、治療送出を確認するICSD。
【請求項7】
推定心臓レートを使用して、処置可能事象と処置不能事象とを区別する区別手段をさらに備える請求項6に記載のICSD。
【請求項8】
検出された事象の幅、
検出された事象の振幅、
テンプレートに対する検出された事象の相関または前記相関の欠如、および、
事象間の変動性
のうちの1つまたは複数を含むモルフォロジ解析を使用して、処置可能事象と処置不能事象とを区別する区別手段をさらに備える請求項6に記載のICSD。
【請求項9】
埋め込み型心臓刺激デバイス(ICSD)であって、ICSD用のキャニスタハウジング演算回路を備え、前記演算回路は、除細動エネルギーを貯蔵する除細動コンデンサおよび前記除細動コンデンサを治療エネルギーレベルまで充電する充電回路を含み、前記キャニスタは、前記キャニスタ上の少なくとも1つの電極、および、前記キャニスタに結合され、前記演算回路に結合した電極を保持するリード線電極を含み、前記演算回路は、
前記電極によって検知される信号を使用して事象を検出する手段と、
処置可能病状が起こっていることを判定する初期判定手段と、
治療を送出する準備をする準備手段と、
検出される事象間の間隔の解析を実施して長間隔閾値より長い間隔および短間隔閾値より短い間隔を識別する長間隔計数(LIC)手段であって、処置可能病状が起こっていることを前記初期判定手段が判定した後に、
a)間隔が長間隔閾値より長い場合、前記LICカウントを増分することによって、また、
b)間隔が短間隔閾値より短い場合、前記LICカウントを減分することによって、
LICカウントを維持する、LIC手段と、
一旦前記準備手段が治療を送出する準備を終了すると、治療が送出されるべきと示す一連の検出事象を識別すること、及び、前記一連の検出事象の長さを、前記LICカウントを使用して規定された確認閾値と比較することによって、治療送出を確認する確認手段と、
治療が送出されるべきと示す前記一連の検出事象の長さが前記確認閾値より長いことを前記確認手段が発見する場合に治療を送出する治療送出手段とを備えるICSD。
【請求項10】
前記準備手段は、前記治療送出手段によって治療の送出のための治療レベルまで出力コンデンサを充電する間、待機するように構成される請求項1〜9のいずれか1項に記載のICSD。
【請求項11】
前記準備手段は、前記初期判定後にタイマが終了するのを待つように構成される請求項1〜10のいずれか1項に記載のICSD。
【請求項12】
前記準備手段は、前記初期判定後に所定の数の心臓事象が検出されるのを待つように構成される請求項1〜11のいずれか1項に記載のICSD。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−532633(P2012−532633A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−517859(P2012−517859)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/040419
【国際公開番号】WO2011/008550
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(503102571)キャメロン ヘルス、 インコーポレイテッド (16)
【Fターム(参考)】