基地局装置、基地局装置の制御プログラムおよび集積回路
【課題】最大クラスタ数という制限の下で、システム帯域幅における周波数リソースの利用率を高く維持したまま高い周波数ダイバーシチ効果を得る。
【解決手段】移動局装置から受信した信号に基づいて伝搬路状態を推定する伝搬路状態推定部3と、推定した伝搬路状態に基づいて、各リソースブロックの優先度を算出する優先度算出部4と、移動局装置の送信電力に基づいて、移動局装置が使用可能な許容クラスタ数を決定し、算出した優先度および決定した許容クラスタ数に基づいて、周波数割り当てを行なうスケジューリング部5と、を備える。
【解決手段】移動局装置から受信した信号に基づいて伝搬路状態を推定する伝搬路状態推定部3と、推定した伝搬路状態に基づいて、各リソースブロックの優先度を算出する優先度算出部4と、移動局装置の送信電力に基づいて、移動局装置が使用可能な許容クラスタ数を決定し、算出した優先度および決定した許容クラスタ数に基づいて、周波数割り当てを行なうスケジューリング部5と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の周波数帯域を用いるマルチキャリア通信方式において、システム帯域幅における周波数リソースの利用率を高く維持することができる基地局装置、基地局装置の制御プログラムおよび集積回路に関する。
【背景技術】
【0002】
第3.9世代の携帯電話の無線通信システムであるLTE(Long Term Evolution)システムの標準化がほぼ完了し、最近ではLTEシステムをより発展させた第4世代の無線通信システムであるLTE−A(LTE-Advanced、IMT-Aなどとも称する。)の標準化が行なわれている。移動通信システムの上り回線(移動局から基地局への通信)では、移動局が送信局となるため、限られた送信電力で増幅器の電力利用効率を高く維持でき、ピーク電力の低いシングルキャリア方式(LTEではSC-FDMA(Single Carrier Frequency Division Multiple Access)方式が採用されている)が一般的に有効とされている。なお、SC−FDMAはDFT−S−OFDM(Discrete Fourier Transform Spread Orthogonal Frequency Division Multiplexing)やDFT−precoded OFDMなどとも呼ばれる。
【0003】
LTE−Aでは、さらに周波数利用効率を改善させるために、送信電力に余裕のある端末については、SC-FDMAスペクトルを複数のサブキャリアから構成されるクラスタに分割し、各クラスタを周波数軸の任意の周波数に配置するClustered DFT−S−OFDM(ダイナミックスペクトル制御(DSC:Dymamic Spectrum Control)、SC-ASA(Single Carrier Adaptive Spectrum Allocation)などとも称される。)と呼ばれるアクセス方式を新たにサポートすることが決定されている。このClustered DFT−S−OFDMは、クラスタ数(スペクトルの分割数)が大きいほど得られる伝搬路利得の良好な周波数を使用することができる周波数選択ダイバーシチ効果(スケジューリングゲインと称されることもある)が高まるという特徴があるが、ピーク電力が高くなる。
【0004】
ところで、SC−FDMAのみを使用するLTEシステムでは、各移動局が使用可能な周波数が連続的に使用されるため、連続配置という制限の下で、プロポーショナルフェアネス(PF:Proportional Fairness)に基づいて各移動局に連続する周波数リソースを割り当てながらシステム帯域幅に対する利用率を高める割当法が開示されている(例えば、非特許文献1)。さらに、現状の標準化会合では、上述したClustered DFT−S−OFDMのメリットを考慮して最大クラスタ数に関する議論が行なわれている(例えば、非特許文献2、非特許文献3)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】F. D. Calabrese, C. Rosa, et al., “Adaptive Transmission Bandwidth Based Packet Scheduling for LTE Uplink,”in Proc. IEEE Vehicular Technology Conference (VTC '08), pp. 1-5, September 2008.
【非特許文献2】Samsung, R1-100103,“Non-Contiguous UL Resource Allocation: Throughput Performance”
【非特許文献3】Panasonic, R1-100369,“Required number of clusters for non-contiguous resource allocation”
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、Clustered DFT−S−OFDMの場合、各周波数で最も伝送特性が良好な移動局装置をその周波数に割り当てればよいが、最大クラスタ数以下という制限が入る場合には、最大クラスタ数の制限によりシステム帯域幅におけるリソースブロック数の利用率が低くなってしまうという問題があった。また、非特許文献2、3などで最大クラスタ数をパラメータとした場合のスループット特性が評価されているが、その割当法は開示されていない。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、最大クラスタ数という制限の下で、システム帯域幅における周波数リソースの利用率を高く維持したまま高い周波数ダイバーシチ効果を得ることができる基地局装置、基地局装置の制御プログラムおよび集積回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記の目的を達成するために、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本発明の基地局装置は、周波数信号を複数のクラスタに分割して送信する移動局装置と通信を行なう基地局装置であって、前記移動局装置に対して、仮想的に定めたリソースブロック数に応じて許容クラスタ数を決定し、周波数割り当てを行なうことを特徴とする。
【0009】
このように、基地局装置は、移動局装置に対して、仮想的に定めたリソースブロック数に応じて許容クラスタ数を決定し、周波数割り当てを行なうので、各クラスタが高い伝搬路利得の周波数を選択しながら、最大クラスタ数の範囲内で高い伝送特性を達成することができる。
(2)また、本発明の基地局装置において、周波数信号を1以上のクラスタを用いて送信する移動局装置と通信を行なう基地局装置であって、前記移動局装置が2以上のクラスタに分割して送信できる場合には仮想的に定めたリソースブロック数に応じて1以上の許容クラスタ数を決定し、周波数割り当てを行なうことを特徴とする。
【0010】
このように、基地局装置は、移動局装置が2以上のクラスタに分割して送信できる場合には仮想的に定めたリソースブロック数に応じて1以上の許容クラスタ数を決定し、周波数割り当てを行なうので、各クラスタが高い伝搬路利得の周波数を選択しながら、最大クラスタ数の範囲内で高い伝送特性を達成することができる。
【0011】
(3)また、本発明の基地局装置において、前記移動局装置から受信した信号に基づいて伝搬路状態を推定する伝搬路推定部と、前記推定した伝搬路状態に基づいて、各リソースブロックの優先度を算出する優先度算出部と、前記移動局装置の送信電力に基づいて、前記移動局装置が使用可能な許容クラスタ数を決定し、前記算出した優先度および前記決定した許容クラスタ数に基づいて、周波数割り当てを行なうスケジューリング部と、を備えることを特徴とする。
【0012】
このように、基地局装置は、移動局装置の送信電力に基づいて、移動局装置が使用可能な許容クラスタ数を決定し、算出した優先度および決定した許容クラスタ数に基づいて、周波数割り当てを行なうので、各クラスタが高い伝搬路利得の周波数を選択しながら、最大クラスタ数の範囲内で高い伝送特性を達成することができる。
【0013】
(4)また、本発明の基地局装置において、前記移動局装置が使用可能な許容クラスタ数は、前記移動局装置の送信電力に応じて定められる通信方式に基づいて決定されることを特徴とする。
【0014】
このように、移動局装置が使用可能な許容クラスタ数は、移動局装置の送信電力に応じて定められる通信方式に基づいて決定されるので、ピーク電力を抑えつつ、周波数選択ダイバーシチ効果を高めることができる。
【0015】
(5)また、本発明の基地局装置において、システム帯域全体のリソースブロック数を、任意の整数値で除算することにより、リソースブロック数を仮想的に定めることを特徴とする。
【0016】
このように、システム帯域全体のリソースブロック数を、任意の整数値で除算することにより、リソースブロック数を仮想的に定めるので、基地局装置は、送信電力に応じて最適な許容クラスタ数を決定することができる。また、各クラスタが高い伝搬路利得の周波数を選択しながら、最大クラスタ数の範囲内で高い伝送特性を達成することができる。
【0017】
(6)また、本発明の基地局装置において、前記任意の整数値を、1とすることを特徴とする。
【0018】
このように、任意の整数値を、1とするので、基地局装置は、各端末に全てのリソースブロックを割り当てることが可能となる。
【0019】
(7)また、本発明の基地局装置において、前記任意の整数値を、接続している移動局装置の数とすることを特徴とする。
【0020】
このように、任意の整数値を、接続している移動局装置の数とするので、基地局装置は、各端末に対して平均的にリソースブロックを割り当てることが可能となる。
【0021】
(8)また、本発明の基地局装置において、複数のコンポーネントキャリアを用いて移動局装置と通信を行なう基地局装置であって、前記移動局装置が使用するコンポーネントキャリアの数を、仮想的に定めたリソースブロック数に応じて決定することを特徴とする。
【0022】
このように、移動局装置が使用するコンポーネントキャリアの数を、仮想的に定めたリソースブロック数に応じて決定するので、基地局装置は、送信電力に応じて最適な許容クラスタ数を決定することができる。また、各コンポーネントキャリアが高い伝搬路利得の周波数を選択しながら、最大コンポーネントキャリア数の範囲内で高い伝送特性を達成することができる。
【0023】
(9)また、本発明の基地局装置において、前記移動局装置から受信した信号に基づいて前記コンポーネントキャリアの伝搬路状態を推定する伝搬路推定部と、前記推定した伝搬路状態に基づいて、各コンポーネントキャリアの優先度を算出する優先度算出部と、前記移動局装置の送信電力に基づいて、前記移動局装置が使用するコンポーネントキャリアの数を決定するコンポーネントキャリア数決定部と、前記算出した優先度および前記決定したコンポーネントキャリア数に基づいて、周波数割り当てを行なうスケジューリング部と、を備えることを特徴とする。
【0024】
このように、基地局装置は、移動局装置の送信電力に基づいて、移動局装置が使用するコンポーネントキャリアの数を決定し、算出した優先度および決定したコンポーネントキャリア数に基づいて、周波数割り当てを行なうので、各コンポーネントキャリアが高い伝搬路利得の周波数を選択しながら、最大コンポーネントキャリア数の範囲内で高い伝送特性を達成することができる。
(10)また、本発明の基地局装置において、候補となるコンポーネントキャリアに含まれるすべてのリソースブロック数を、任意の整数値で除算することにより、リソースブロック数を仮想的に定めることを特徴とする。
【0025】
このように、候補となるコンポーネントキャリアに含まれるすべてのリソースブロック数を、任意の整数値で除算することにより、リソースブロック数を仮想的に定めるので、基地局装置は、送信電力に応じて最適なコンポーネントキャリア数を決定することができる。また、各コンポーネントキャリアが高い伝搬路利得の周波数を選択しながら、最大コンポーネントキャリア数の範囲内で高い伝送特性を達成することができる。
【0026】
(11)また、本発明の基地局装置において、前記任意の整数値を、1とすることを特徴とする。
【0027】
このように、任意の整数値を、1とするので、基地局装置は、各端末に全てのリソースブロックを割り当てることが可能となる。
【0028】
(12)また、本発明の基地局装置の制御プログラムは、周波数信号を複数のクラスタに分割して送信する移動局装置と通信を行なう基地局装置の制御プログラムであって、前記移動局装置から受信した信号に基づいて伝搬路状態を推定する処理と、前記推定した伝搬路状態に基づいて、各リソースブロックの優先度を算出する処理と、前記移動局装置の送信電力に応じて、前記移動局装置が使用可能な許容クラスタ数を決定する処理と、前記決定した許容クラスタ数に基づいて、周波数割り当てを行なう処理と、を含む一連の処理を、コンピュータに読み取り可能および実行可能にコマンド化したことを特徴とする。
【0029】
このように、基地局装置は、移動局装置の送信電力に応じて、移動局装置が使用可能な許容クラスタ数を決定する処理と、決定した許容クラスタ数に基づいて、周波数割り当てを行なうので、各クラスタが高い伝搬路利得の周波数を選択しながら、最大クラスタ数の範囲内で高い伝送特性を達成することができる。
【0030】
(13)また、本発明の集積回路は基地局装置に実装されることにより、前記基地局装置に複数の機能を発揮させる集積回路であって、周波数信号を複数のクラスタに分割して送信する移動局装置と通信を行なう機能と、前記移動局装置から受信した信号に基づいて伝搬路状態を推定する機能と、前記推定した伝搬路状態に基づいて、各リソースブロックの優先度を算出する機能と、前記移動局装置の送信電力に応じて、前記移動局装置が使用可能な許容クラスタ数を決定する機能と、前記決定した許容クラスタ数に基づいて、周波数割り当てを行なう機能と、を含む一連の機能を、前記基地局装置に発揮させることを特徴とする。
【0031】
このように、基地局装置は、移動局装置の送信電力に応じて、移動局装置が使用可能な許容クラスタ数を決定する機能と、決定した許容クラスタ数に基づいて、周波数割り当てを行なうので、各クラスタが高い伝搬路利得の周波数を選択しながら、最大クラスタ数の範囲内で高い伝送特性を達成することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明により、最大クラスタ数という制限の下で、システム帯域幅における周波数リソースの利用率を高く維持したまま高い周波数ダイバーシチ効果を得ることができる。また、送信電力に余裕のない移動局装置に対してはSC−FDMAによる伝送を設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る基地局装置の一構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るスケジューリング部5の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る基地局装置において計算された各移動局装置の各リソースブロックにおけるスケジューリングの優先度の値の一例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態において、Q=1とし、式(3)、(5)から許容クラスタ数を算出した結果と設定されたMPRの一例を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態において、図3で表された優先度を各移動局装置の許容クラスタ数分複製した表である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る周波数割り当て方法を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る基地局装置の一構成例を示すブロック図である。
【図8】Carrier Aggregationの概念を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施形態における、Component Carrier数とそれに対する送信電力低減量MPRCCの一例を示す表である。
【図10A】本発明の第2の実施形態に係る各移動局装置の使用するComponent Carrier数を示す図である。
【図10B】本発明の第2の実施形態に係る各移動局装置に対する周波数割り当てを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態では、基地局装置に同時にアクセスする移動局装置数を3とし、システム帯域に含まれるリソースブロック数NRBを10とする。また、周波数リソースの最小単位(リソースブロックに含まれるサブキャリア)の数を12とする。ただし、本発明は、これらに限定されるわけではない。
【0035】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態では、移動局装置の伝送レートに基づいた優先度に基づき、PFと同様の方法で、基地局装置が周波数割り当てを行なう。この際、基地局装置は、移動局装置に設定した各クラスタを移動局装置とみなして優先度に基づいた周波数割り当てを行なう。また、移動局装置毎に設定する許容クラスタ数は、移動局装置の送信電力の余裕を考慮して設定する。これにより、実質的に最大クラスタ数制限が生じることとなる。
【0036】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る基地局装置の一構成例を示すブロック図である。まず、各移動局装置からの信号を受信アンテナ1で受信し、受信部2においてベースバンド信号へのダウンコンバートなどの受信処理を行なう。その後、伝搬路状態推定部(伝搬路推定部)3において上り回線の伝搬路特性や受信SINRを推定する。得られた伝搬路状態から、優先度算出部4において優先度を算出し、スケジューリング部5により本発明の割当が行なわれる。その後、各移動局装置の割当情報は制御情報生成部6において各移動局装置に通知するための割当情報が生成される(LTEやLTE-Aでは、PDCCH(Physical Downlink Control Channel)と呼ばれる制御チャネルに含まれる)。その後、送信部7により無線信号に変換され、送信アンテナ8から送信される。
【0037】
図2は、本発明の第1の実施形態に係るスケジューリング部5の構成を示すブロック図である。まず、許容クラスタ数決定部11において移動局装置毎の送信電力情報に基づき許容クラスタ数を決定し、決定された許容クラスタ数に応じて優先度複製部12により、入力された優先度が複製される。その後、複製された優先度まで含めて異なる移動局装置とみなして周波数割当決定部13により、周波数割当を決定し、周波数割当を決定する。
【0038】
図3は、本発明の第1の実施形態に係る基地局装置において計算された各移動局装置の各リソースブロックにおけるスケジューリングの優先度の値の一例を示す図である。ここで、優先度については、各リソースブロックにおける各ユーザの伝搬路利得でも良いし、受信信号対干渉雑音比(SINR:Signal to Interference plus Noise power Ratio)でも良い。また、PFの場合には、式(1)の値が優先度として用いられることが多い。
【0039】
【数1】
ただし、Pは各移動局装置の優先度の値、Rinsは現時刻の伝送に達成できる各移動局装置の瞬時スループット、Raveは過去の時刻にわたり得られた各移動局装置の平均スループットである。なお、Rinsについては、割当の時点ではまだ伝送していないため、現時刻の受信SINRを用いて式(2)のスループットに比例する通信路容量で置き換えることもある。
【0040】
【数2】
ここで、Rinsについては、現時刻で瞬時に達成されるスループットに比例した値を用いればよいため、その他の指標を用いても良く、これらに限定されない。
【0041】
次に、各ユーザの送信電力に応じて使用可能な許容クラスタ数を決定する。システム内で利用可能な最大クラスタ数をmmaxとし、各クラスタ数について、以下の式(3)を評価する。
【0042】
【数3】
Mは、移動局装置が伝送に用いるリソースブロック数(基地局装置から割り当てられる)を表し、Pmaxは、各移動局装置の最大送信電力を表す。また、mは1〜mmaxの範囲に含まれるクラスタ数を表し、mmaxは移動局装置がクラスタ分割による伝送が可能かによって異なる値が設定されても良い。MPR(m)はクラスタ数をmとした場合の、許容送信電力の低減量であり、PAPR(Peak to Average Power Ratio)やCM(Cubic Metric)等のピーク電力に関するパラメータあるいは送信電力のバックオフから決定されるデシベル値である。なお、MPR(m)は複数のmで同値としても良い。例えば、SC−FDMAを用いるm=1ではMPR(m)=0dBとし、Clustered DFT−S−OFDMを用いるm>2ではMPR(m)=6dBというように、通信方式によって定められても良い。さらに、Ptargetは、目標受信電力から算出される1リソースブロックあたりに使用する送信電力を表す。式(3)の導出過程を以下に示す。LTEやLTE−Aでは、送信電力として次式(4)で表される値を送信電力として決定している。
【0043】
【数4】
式(4)において、PTxは送信電力を表す。式(4)は、許容される最大送信電力と、所要品質を満たすために必要な送信電力を比較し、小さいほうを送信電力に設定することを意味している。したがって、送信電力に余裕があるかどうかは、Pmax−MPR(m)とPtarget+10log10Mの大小関係で決定される。ここで、両者をイコールとし、Mについて解くと、下記のように、上述した式(3)と等価な式が得られる。
【0044】
【数5】
【0045】
すなわち、上記の式(3)が割当可能なリソースブロック数として得られる。式(3)のMを、mの値が1〜mmaxの全ての値について算出する。算出したMに基づき、式(5)を満たすMに対応するmの中で、最小のmの値を各移動局装置の許容クラスタ数mu_maxとする。
【0046】
【数6】
NRB/Qは、任意に設定可能なmクラスタに分割した場合に各移動局装置が使用できるリソースブロック数の許容値を示している。Qは、任意の値でよく、Qにより、端末に割り当てる仮想的なRBの数が決定される。例えば、Q=1の場合は、各端末に全てのRBを割り当てることを前提とし、式(3)を式(5)に代入し、代入した式を満足する最小のmを求めることで、許容クラスタ数mu_maxが決定する。また、Q=(同時割り当て端末数)とすると、各端末に対して、平均的にRBを割り当てることを前提とし、式(3)を式(5)に代入し、代入した式を満足する最小のmを求めることで、許容クラスタ数が決定する。したがって、Qを小さくすることで、許容クラスタ数が少なくなる効果がある。
【0047】
本実施形態では、各端末に同じQを使用することを前提としたが、QoS(Quality of Service)等によって異なるQを割り当てることも可能である。また、これは具体的な計算方法を示しているが、割当可能なリソースブロック数は基地局から遠いほど減少していくため、送信電力に応じて最適な許容クラスタ数を決定していることと等価である。なお、ここでは、送信電力の余裕を見ながら許容クラスタ数を決定したが、スループットを見ながら許容クラスタ数を決定しても良い。
【0048】
図4は、本発明の第1の実施形態において、Q=1とし、式(3)、(5)から許容クラスタ数を算出した結果と設定されたMPRの一例を示す図である。図4より、第1の移動局装置の許容クラスタ数が2、第2の移動局装置の許容クラスタ数が1、第3の移動局装置の許容クラスタ数が3となっており、各移動局装置のMPRの値もあわせて示しており、送信電力としてPmax−MPR(m)を用いる場合には、最大送信電力がMPRの値分だけ低くなる。なお、このMPRの値は、本発明ではクラスタ数により増大するピーク電力のみを考慮したが、変調方式の違いによってもピーク電力が異なるので、この値を加味しても良い。この許容クラスタ数に基づいて、図3で表された優先度を各移動局装置で複製(コピー)する。
【0049】
図5は、本発明の第1の実施形態において、図3で表された優先度を各移動局装置の許容クラスタ数分複製した表である。図5において、第1の移動局装置は許容クラスタ数が2であるため、1つだけ複製し、第2の移動局装置は複製しない。また、第3の移動局装置は許容クラスタ数が3であるため、2つ複製している。このようにして得られた6つの優先度をそれぞれ異なる移動局装置の優先度とみなして非特許文献1の方法で割り当てることで、各クラスタが高い伝搬路利得の周波数を選択しながら、最大クラスタ数の範囲内で高い伝送特性を達成することができる。
【0050】
図6は、本発明の第1の実施形態に係る周波数割り当て方法を示すフローチャートである。まず、全移動局装置におけるスケジューリングの優先度を生成する(ステップS1)。次に、各移動局装置のクラスタ数をm=1と設定する(ステップS2)。なお、ここでmは各移動局装置でそれぞれ決定されるため、全移動局装置にmの値をそれぞれ設定されることに注意されたい。次に、第u番目の移動局装置の許容クラスタ数の決定をする。なお、uは基地局装置に接続した移動局装置に付されるインデックスである。まず、移動局装置の番号をu=1とする(ステップS3)。割当可能なリソースブロック数がNRB/Q以上であるか否かを判定し(ステップS4)、大きい場合には(ステップS4:YES)、クラスタ数を1つ増やした場合に最大クラスタ数を超えるか判定する(ステップS5)。
【0051】
クラスタ数を1つ増やした場合に最大クラスタ数を超えると判断した場合には(ステップS5:YES)、mを最大クラスタ数mmaxに設定し(ステップS6)、その値を第u番目の移動局装置の許容クラスタ数に設定する(ステップS8)。一方、クラスタ数を1つ増やした場合に最大クラスタ数以下であれば(ステップS5:NO)、mに1を加算し(ステップS7)、再び、割当可能なリソースブロック数がNRB/Q以上であるか否かを判定する(ステップS4)。割当可能なリソースブロック数がNRB/Qより小さい場合には、mの値を第u番目の移動局装置の許容クラスタ数とする(ステップS8)。
【0052】
ステップS8により第u番目の移動局装置の許容クラスタ数を決定した後、全てのユーザが許容クラスタ数を決定したか否かを判定する(ステップS9)。未決定の移動局装置があれば(ステップS9:NO)、uに1を加算して(ステップS10)、未決定の移動局装置の許容クラスタ数を決定するために割当可能なリソースブロック数がNRB/Q以上であるか否かを判定する(ステップS4)。全ての移動局装置で決定されていれば(ステップS9:YES)、全ての移動局装置で決定された許容クラスタ数mに対して各移動局装置の優先度をm−1個複製する(ステップS11)。これを元に各移動局装置の周波数割当を決定する(ステップS12)。なお、ここでは各移動局装置の許容クラスタ数をmとした際に、m−1個の複製を生成して合計m個の同一の優先度を作ったが、当然伝送特性の改善度合いに応じてm−2個の複製でも構わず、m−1に限定されない。
【0053】
このように、第1の実施形態では、各移動局装置に設定された一つまたは複数の許容クラスタの各々について得られた優先度をそれぞれ異なる移動局装置の優先度とみなして非特許文献1の方法で割り当てることで、各クラスタが高い伝搬路利得の周波数を選択しながら、最大クラスタ数の範囲内で高い伝送特性を達成することができる。
【0054】
[第2の実施形態]
第2の実施形態では、Carrier Aggregationと呼ばれる方式を用いた場合のユーザ割当法について説明する。移動局装置の伝送レートに基づいた優先度に基づき、PFと同様の方法で、基地局装置が周波数割り当てを行なう。この際、基地局装置は、移動局装置に設定した各Component Carrierを移動局装置とみなして優先度に基づいた周波数割り当てを行なう。また、移動局装置毎に設定する最大Component Carrier数は、移動局装置の送信電力の余裕を考慮して設定する。これにより、実質的に最大Component Carrier数制限が生じることとなる。
【0055】
図7は、本発明の第2の実施形態に係る基地局装置の一構成例を示すブロック図である。受信アンテナ31では、移動局装置から送信された伝搬路推定用の信号を受信し、受信部32により、ベースバンド信号への変換などの受信処理が行なわれる。伝搬路状態推定部(伝搬路推定部)33では、任意の数のComponent Carrierの伝搬路状態を推定し、優先度算出部34により優先度を算出する。次に、Component Carrier数決定部(コンポーネントキャリア数決定部)35において、上述の処理によりComponent Carrier数を決定する。その後、スケジューリング部36において、各移動局装置のComponent Carrier数に応じて各Component Carrier内でスケジューリングが行なわれ、制御情報生成部37において、制御情報が生成され、送信部38により無線信号までの処理が行なわれ、送信アンテナ39により各移動局装置に送信される。
【0056】
図8は、Carrier Aggregationの概念を示す図である。Carrier Aggregationでは、複数のComponent Carrierと呼ばれる最小単位を周波数軸に並べ、各移動局装置が端末の規模や能力、バッファされるデータ量などのQoSに応じて任意の数のComponent Carrierを用いて送信する方法である。各Component Carrierでは、それぞれ独立な信号処理が行なわれる。ここでは、周波数信号を連続配置するSC−FDMAの例を示しており、2つのComponent Carrierを用いている。図8において、CC1は、第1のComponent Carrierの帯域幅、CC2は第2のComponent Carrierの帯域幅を示しており、それぞれ周波数信号21、周波数信号22が割り当てられている。第1の実施形態では、1つのComponent Carrierのみを用いた場合を一例として示した。
【0057】
複数のComponent Carrierを用いた場合、各Component Carrierの信号は独立に生成されることから、第1の実施形態のような複数のクラスタを用いた場合のピーク電力の指標と同様に、複数のComponent Carrierを用いた場合のピーク電力もさらに考慮する。
【0058】
図9は、本発明の第2の実施形態における、Component Carrier数とそれに対する送信電力低減量MPRCCの一例を示す表である。まず、ここでは、最大のComponent Carrier数を5とすると、Component Carrier数に対する送信電力低減量MPRCCが、図9のようになったものとする。このとき、図9に示された表を用いて、必要なCC数を算出する。第1の実施形態と同様に、以下の式を評価する。
【0059】
【数7】
式(6)において、cは1〜5までの値を取り、使用するComponent Carrierの候補数、MPRCC(c)はc個のComponent Carrierを用いた場合の送信電力の低減量であり、例えば、c=2を候補とした場合、図9からMPRCC(2)=X1である。また、cは仮想的なComponent Carrier数を表しており、c=2の場合、式(6)は「Component Carrierを2つ利用した場合、使用可能なRB数はいくらか」を示している。第1の実施形態と同様に、最大のComponent Carrier数までの全てのcについて、実際には算出する必要がある。具体的には、最大のComponent Carrier数を5とした場合、c=1〜5の全てにおいて、式(6)を計算しておくことを意味する。計算したMに基づき、式(7)を満たすMの中で、最小のcの値を各移動局装置が使用する最大Component Carrier数cmaxとして決定する。
【0060】
【数8】
ここで、NRB(c)は、c個のComponent Carrierに含まれるデータに使用可能な全RB数を表している。例えば、2個のComponent Carrierを使用する場合、第1のComponent Carrierに含まれるRB数をA、第2のComponent Carrierに含まれるRB数をBとした場合、NRB(c)=A+Bである。NRB(c)/QCCは、任意に設定可能なRBの数の許容値であり、QCCは、任意の値である。例えば、QCC=1の場合は、各端末に全てのRBを割り当てることを前提とし、式(6)を式(7)に代入し、代入した式を満足する最小のcを求めることで、最大Component Carrier数cmaxが決定される。つまり、QCCが小さくなれば、最大Component Carrier数が小さくなる効果がある。
【0061】
以上の処理を行ない、各Component Carrierに対して、非特許文献1の方法でSC−FDMAシンボルをComponent Carrier単位で独立に割り当てる。これにより、Carrier Aggregation時の最大Component Carrier数を決定することができる。
【0062】
例えば、2つのComponent Carrierを使うことが可能であるか否かを判定することを考える。第1のComponent Carrierに含まれるRBの数を20、同様に、第2のComponent Carrierに含まれるRBの数を20とする。このとき、2つのComponent Carrierに含まれる全RB数はNRB(2)=20+20=40である。次に、QCC=1とすると、式(6)で表される値が、NRB(2)/QCC=40より大きければ(もしくは、以上であれば)、2つのComponent Carrierを使用すると判定し、式(6)で表される値が40より小さければ、2つのComponent Carrierを使用しないものとし、最大Component Carrier数を1と決定する。同様に、2つのComponent Carrierを使用すると判定された移動局装置について、3つのComponent Carrierを使用するかどうかを判定する。以上の処理を、システムの具備するComponent Carrier数まで繰り返し、すべての移動局装置の最大Component Carrier数を決定する。
【0063】
なお、本検討では、各Component CarrierでSC−FDMAシンボルを割り当てる例を示したが、当然、各Component Carrier内でClustered DFT−S−OFDMを用いてもよく、SC−FDMAに限定されない。この場合、各Component Carrier内で第1の実施形態の方法が適用される。
【0064】
ここで、スケジューリング部36について説明する。各移動局装置の最大Component Carrier数に応じて各Component Carrierでスケジューリングが行なわれると述べたが、その概念を図10A、10Bに一例として示している。図10A、10Bでは、移動局装置の数が3であり、Component Carrier数が3である場合の割当の様子の一例を示している。
【0065】
図10Aは、本発明の第2の実施形態に係る各移動局装置の使用するComponent Carrier数を示す図である。図10Bは、本発明の第2の実施形態に係る各移動局装置に対する周波数割り当てを示す図である。図10Bにおける周波数信号41、42、43は、それぞれ図10Aにおける第1、第2、第3の移動局装置が使用する周波数信号であり、図10Bに示しているように、各移動局装置は決定された最大Component Carrier数の範囲内で割り当てられていることが分かる。本実施形態では、このような割当のことを各移動局装置の最大Component Carrier数に応じたスケジューリングと表している。なお、例えば、最大Component Carrier数がシステムの具備するComponent Carrier数より少ない場合に、どのComponent Carrierを選択するかは、伝搬路の状態から決定しても良いし、スループットから決定しても良いし、各移動局装置が帯域幅を最も広く確保できるように決定しても良い。
【0066】
このように、第2の実施形態では、各移動局装置に設定された一つまたは複数のComponent Carrierの各々について得られた優先度をそれぞれ異なる移動局装置の優先度とみなして非特許文献1の方法で割り当てることで、各Component Carrierが高い伝搬路利得の周波数を選択しながら、最大Component Carrier数の範囲内で高い伝送特性を達成することができる。
【0067】
本発明に関わる移動局装置および基地局装置で動作するプログラムは、本発明に関わる上記実施形態の機能を実現するように、CPU等を制御するプログラム(コンピュータを機能させるプログラム)である。そして、これら装置で取り扱われる情報は、その処理時に一時的にRAMに蓄積され、その後、各種ROMやHDDに格納され、必要に応じてCPUによって読み出し、修正・書き込みが行なわれる。プログラムを格納する記録媒体としては、半導体媒体(例えば、ROM、不揮発性メモリカード等)、光記録媒体(例えば、DVD、MO、MD、CD、BD等)、磁気記録媒体(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク等)等のいずれであってもよい。また、ロードしたプログラムを実行することにより、上述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、オペレーティングシステムあるいは他のアプリケーションプログラム等と共同して処理することにより、本発明の機能が実現される場合もある。
【0068】
また市場に流通させる場合には、可搬型の記録媒体にプログラムを格納して流通させたり、インターネット等のネットワークを介して接続されたサーバコンピュータに転送したりすることができる。この場合、サーバコンピュータの記憶装置も本発明に含まれる。また、上述した実施形態における移動局装置および基地局装置の一部、または全部を典型的には集積回路であるLSIとして実現してもよい。移動局装置および基地局装置の各機能ブロックは個別にチップ化してもよいし、一部、または全部を集積してチップ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現しても良い。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いることも可能である。
【0069】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も特許請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0070】
1、31 受信アンテナ
2、32 受信部
3、33 伝搬路状態推定部
4、34 優先度算出部
5、36 スケジューリング部
6、37 制御情報生成部
7、38 送信部
8、39 送信アンテナ
11 許容クラスタ数決定部
12 優先度複製部
13 周波数割当決定部
21、22、41、42、43 周波数信号
35 Component Carrier数決定部
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の周波数帯域を用いるマルチキャリア通信方式において、システム帯域幅における周波数リソースの利用率を高く維持することができる基地局装置、基地局装置の制御プログラムおよび集積回路に関する。
【背景技術】
【0002】
第3.9世代の携帯電話の無線通信システムであるLTE(Long Term Evolution)システムの標準化がほぼ完了し、最近ではLTEシステムをより発展させた第4世代の無線通信システムであるLTE−A(LTE-Advanced、IMT-Aなどとも称する。)の標準化が行なわれている。移動通信システムの上り回線(移動局から基地局への通信)では、移動局が送信局となるため、限られた送信電力で増幅器の電力利用効率を高く維持でき、ピーク電力の低いシングルキャリア方式(LTEではSC-FDMA(Single Carrier Frequency Division Multiple Access)方式が採用されている)が一般的に有効とされている。なお、SC−FDMAはDFT−S−OFDM(Discrete Fourier Transform Spread Orthogonal Frequency Division Multiplexing)やDFT−precoded OFDMなどとも呼ばれる。
【0003】
LTE−Aでは、さらに周波数利用効率を改善させるために、送信電力に余裕のある端末については、SC-FDMAスペクトルを複数のサブキャリアから構成されるクラスタに分割し、各クラスタを周波数軸の任意の周波数に配置するClustered DFT−S−OFDM(ダイナミックスペクトル制御(DSC:Dymamic Spectrum Control)、SC-ASA(Single Carrier Adaptive Spectrum Allocation)などとも称される。)と呼ばれるアクセス方式を新たにサポートすることが決定されている。このClustered DFT−S−OFDMは、クラスタ数(スペクトルの分割数)が大きいほど得られる伝搬路利得の良好な周波数を使用することができる周波数選択ダイバーシチ効果(スケジューリングゲインと称されることもある)が高まるという特徴があるが、ピーク電力が高くなる。
【0004】
ところで、SC−FDMAのみを使用するLTEシステムでは、各移動局が使用可能な周波数が連続的に使用されるため、連続配置という制限の下で、プロポーショナルフェアネス(PF:Proportional Fairness)に基づいて各移動局に連続する周波数リソースを割り当てながらシステム帯域幅に対する利用率を高める割当法が開示されている(例えば、非特許文献1)。さらに、現状の標準化会合では、上述したClustered DFT−S−OFDMのメリットを考慮して最大クラスタ数に関する議論が行なわれている(例えば、非特許文献2、非特許文献3)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】F. D. Calabrese, C. Rosa, et al., “Adaptive Transmission Bandwidth Based Packet Scheduling for LTE Uplink,”in Proc. IEEE Vehicular Technology Conference (VTC '08), pp. 1-5, September 2008.
【非特許文献2】Samsung, R1-100103,“Non-Contiguous UL Resource Allocation: Throughput Performance”
【非特許文献3】Panasonic, R1-100369,“Required number of clusters for non-contiguous resource allocation”
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、Clustered DFT−S−OFDMの場合、各周波数で最も伝送特性が良好な移動局装置をその周波数に割り当てればよいが、最大クラスタ数以下という制限が入る場合には、最大クラスタ数の制限によりシステム帯域幅におけるリソースブロック数の利用率が低くなってしまうという問題があった。また、非特許文献2、3などで最大クラスタ数をパラメータとした場合のスループット特性が評価されているが、その割当法は開示されていない。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、最大クラスタ数という制限の下で、システム帯域幅における周波数リソースの利用率を高く維持したまま高い周波数ダイバーシチ効果を得ることができる基地局装置、基地局装置の制御プログラムおよび集積回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記の目的を達成するために、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本発明の基地局装置は、周波数信号を複数のクラスタに分割して送信する移動局装置と通信を行なう基地局装置であって、前記移動局装置に対して、仮想的に定めたリソースブロック数に応じて許容クラスタ数を決定し、周波数割り当てを行なうことを特徴とする。
【0009】
このように、基地局装置は、移動局装置に対して、仮想的に定めたリソースブロック数に応じて許容クラスタ数を決定し、周波数割り当てを行なうので、各クラスタが高い伝搬路利得の周波数を選択しながら、最大クラスタ数の範囲内で高い伝送特性を達成することができる。
(2)また、本発明の基地局装置において、周波数信号を1以上のクラスタを用いて送信する移動局装置と通信を行なう基地局装置であって、前記移動局装置が2以上のクラスタに分割して送信できる場合には仮想的に定めたリソースブロック数に応じて1以上の許容クラスタ数を決定し、周波数割り当てを行なうことを特徴とする。
【0010】
このように、基地局装置は、移動局装置が2以上のクラスタに分割して送信できる場合には仮想的に定めたリソースブロック数に応じて1以上の許容クラスタ数を決定し、周波数割り当てを行なうので、各クラスタが高い伝搬路利得の周波数を選択しながら、最大クラスタ数の範囲内で高い伝送特性を達成することができる。
【0011】
(3)また、本発明の基地局装置において、前記移動局装置から受信した信号に基づいて伝搬路状態を推定する伝搬路推定部と、前記推定した伝搬路状態に基づいて、各リソースブロックの優先度を算出する優先度算出部と、前記移動局装置の送信電力に基づいて、前記移動局装置が使用可能な許容クラスタ数を決定し、前記算出した優先度および前記決定した許容クラスタ数に基づいて、周波数割り当てを行なうスケジューリング部と、を備えることを特徴とする。
【0012】
このように、基地局装置は、移動局装置の送信電力に基づいて、移動局装置が使用可能な許容クラスタ数を決定し、算出した優先度および決定した許容クラスタ数に基づいて、周波数割り当てを行なうので、各クラスタが高い伝搬路利得の周波数を選択しながら、最大クラスタ数の範囲内で高い伝送特性を達成することができる。
【0013】
(4)また、本発明の基地局装置において、前記移動局装置が使用可能な許容クラスタ数は、前記移動局装置の送信電力に応じて定められる通信方式に基づいて決定されることを特徴とする。
【0014】
このように、移動局装置が使用可能な許容クラスタ数は、移動局装置の送信電力に応じて定められる通信方式に基づいて決定されるので、ピーク電力を抑えつつ、周波数選択ダイバーシチ効果を高めることができる。
【0015】
(5)また、本発明の基地局装置において、システム帯域全体のリソースブロック数を、任意の整数値で除算することにより、リソースブロック数を仮想的に定めることを特徴とする。
【0016】
このように、システム帯域全体のリソースブロック数を、任意の整数値で除算することにより、リソースブロック数を仮想的に定めるので、基地局装置は、送信電力に応じて最適な許容クラスタ数を決定することができる。また、各クラスタが高い伝搬路利得の周波数を選択しながら、最大クラスタ数の範囲内で高い伝送特性を達成することができる。
【0017】
(6)また、本発明の基地局装置において、前記任意の整数値を、1とすることを特徴とする。
【0018】
このように、任意の整数値を、1とするので、基地局装置は、各端末に全てのリソースブロックを割り当てることが可能となる。
【0019】
(7)また、本発明の基地局装置において、前記任意の整数値を、接続している移動局装置の数とすることを特徴とする。
【0020】
このように、任意の整数値を、接続している移動局装置の数とするので、基地局装置は、各端末に対して平均的にリソースブロックを割り当てることが可能となる。
【0021】
(8)また、本発明の基地局装置において、複数のコンポーネントキャリアを用いて移動局装置と通信を行なう基地局装置であって、前記移動局装置が使用するコンポーネントキャリアの数を、仮想的に定めたリソースブロック数に応じて決定することを特徴とする。
【0022】
このように、移動局装置が使用するコンポーネントキャリアの数を、仮想的に定めたリソースブロック数に応じて決定するので、基地局装置は、送信電力に応じて最適な許容クラスタ数を決定することができる。また、各コンポーネントキャリアが高い伝搬路利得の周波数を選択しながら、最大コンポーネントキャリア数の範囲内で高い伝送特性を達成することができる。
【0023】
(9)また、本発明の基地局装置において、前記移動局装置から受信した信号に基づいて前記コンポーネントキャリアの伝搬路状態を推定する伝搬路推定部と、前記推定した伝搬路状態に基づいて、各コンポーネントキャリアの優先度を算出する優先度算出部と、前記移動局装置の送信電力に基づいて、前記移動局装置が使用するコンポーネントキャリアの数を決定するコンポーネントキャリア数決定部と、前記算出した優先度および前記決定したコンポーネントキャリア数に基づいて、周波数割り当てを行なうスケジューリング部と、を備えることを特徴とする。
【0024】
このように、基地局装置は、移動局装置の送信電力に基づいて、移動局装置が使用するコンポーネントキャリアの数を決定し、算出した優先度および決定したコンポーネントキャリア数に基づいて、周波数割り当てを行なうので、各コンポーネントキャリアが高い伝搬路利得の周波数を選択しながら、最大コンポーネントキャリア数の範囲内で高い伝送特性を達成することができる。
(10)また、本発明の基地局装置において、候補となるコンポーネントキャリアに含まれるすべてのリソースブロック数を、任意の整数値で除算することにより、リソースブロック数を仮想的に定めることを特徴とする。
【0025】
このように、候補となるコンポーネントキャリアに含まれるすべてのリソースブロック数を、任意の整数値で除算することにより、リソースブロック数を仮想的に定めるので、基地局装置は、送信電力に応じて最適なコンポーネントキャリア数を決定することができる。また、各コンポーネントキャリアが高い伝搬路利得の周波数を選択しながら、最大コンポーネントキャリア数の範囲内で高い伝送特性を達成することができる。
【0026】
(11)また、本発明の基地局装置において、前記任意の整数値を、1とすることを特徴とする。
【0027】
このように、任意の整数値を、1とするので、基地局装置は、各端末に全てのリソースブロックを割り当てることが可能となる。
【0028】
(12)また、本発明の基地局装置の制御プログラムは、周波数信号を複数のクラスタに分割して送信する移動局装置と通信を行なう基地局装置の制御プログラムであって、前記移動局装置から受信した信号に基づいて伝搬路状態を推定する処理と、前記推定した伝搬路状態に基づいて、各リソースブロックの優先度を算出する処理と、前記移動局装置の送信電力に応じて、前記移動局装置が使用可能な許容クラスタ数を決定する処理と、前記決定した許容クラスタ数に基づいて、周波数割り当てを行なう処理と、を含む一連の処理を、コンピュータに読み取り可能および実行可能にコマンド化したことを特徴とする。
【0029】
このように、基地局装置は、移動局装置の送信電力に応じて、移動局装置が使用可能な許容クラスタ数を決定する処理と、決定した許容クラスタ数に基づいて、周波数割り当てを行なうので、各クラスタが高い伝搬路利得の周波数を選択しながら、最大クラスタ数の範囲内で高い伝送特性を達成することができる。
【0030】
(13)また、本発明の集積回路は基地局装置に実装されることにより、前記基地局装置に複数の機能を発揮させる集積回路であって、周波数信号を複数のクラスタに分割して送信する移動局装置と通信を行なう機能と、前記移動局装置から受信した信号に基づいて伝搬路状態を推定する機能と、前記推定した伝搬路状態に基づいて、各リソースブロックの優先度を算出する機能と、前記移動局装置の送信電力に応じて、前記移動局装置が使用可能な許容クラスタ数を決定する機能と、前記決定した許容クラスタ数に基づいて、周波数割り当てを行なう機能と、を含む一連の機能を、前記基地局装置に発揮させることを特徴とする。
【0031】
このように、基地局装置は、移動局装置の送信電力に応じて、移動局装置が使用可能な許容クラスタ数を決定する機能と、決定した許容クラスタ数に基づいて、周波数割り当てを行なうので、各クラスタが高い伝搬路利得の周波数を選択しながら、最大クラスタ数の範囲内で高い伝送特性を達成することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明により、最大クラスタ数という制限の下で、システム帯域幅における周波数リソースの利用率を高く維持したまま高い周波数ダイバーシチ効果を得ることができる。また、送信電力に余裕のない移動局装置に対してはSC−FDMAによる伝送を設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る基地局装置の一構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るスケジューリング部5の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る基地局装置において計算された各移動局装置の各リソースブロックにおけるスケジューリングの優先度の値の一例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態において、Q=1とし、式(3)、(5)から許容クラスタ数を算出した結果と設定されたMPRの一例を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態において、図3で表された優先度を各移動局装置の許容クラスタ数分複製した表である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る周波数割り当て方法を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る基地局装置の一構成例を示すブロック図である。
【図8】Carrier Aggregationの概念を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施形態における、Component Carrier数とそれに対する送信電力低減量MPRCCの一例を示す表である。
【図10A】本発明の第2の実施形態に係る各移動局装置の使用するComponent Carrier数を示す図である。
【図10B】本発明の第2の実施形態に係る各移動局装置に対する周波数割り当てを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態では、基地局装置に同時にアクセスする移動局装置数を3とし、システム帯域に含まれるリソースブロック数NRBを10とする。また、周波数リソースの最小単位(リソースブロックに含まれるサブキャリア)の数を12とする。ただし、本発明は、これらに限定されるわけではない。
【0035】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態では、移動局装置の伝送レートに基づいた優先度に基づき、PFと同様の方法で、基地局装置が周波数割り当てを行なう。この際、基地局装置は、移動局装置に設定した各クラスタを移動局装置とみなして優先度に基づいた周波数割り当てを行なう。また、移動局装置毎に設定する許容クラスタ数は、移動局装置の送信電力の余裕を考慮して設定する。これにより、実質的に最大クラスタ数制限が生じることとなる。
【0036】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る基地局装置の一構成例を示すブロック図である。まず、各移動局装置からの信号を受信アンテナ1で受信し、受信部2においてベースバンド信号へのダウンコンバートなどの受信処理を行なう。その後、伝搬路状態推定部(伝搬路推定部)3において上り回線の伝搬路特性や受信SINRを推定する。得られた伝搬路状態から、優先度算出部4において優先度を算出し、スケジューリング部5により本発明の割当が行なわれる。その後、各移動局装置の割当情報は制御情報生成部6において各移動局装置に通知するための割当情報が生成される(LTEやLTE-Aでは、PDCCH(Physical Downlink Control Channel)と呼ばれる制御チャネルに含まれる)。その後、送信部7により無線信号に変換され、送信アンテナ8から送信される。
【0037】
図2は、本発明の第1の実施形態に係るスケジューリング部5の構成を示すブロック図である。まず、許容クラスタ数決定部11において移動局装置毎の送信電力情報に基づき許容クラスタ数を決定し、決定された許容クラスタ数に応じて優先度複製部12により、入力された優先度が複製される。その後、複製された優先度まで含めて異なる移動局装置とみなして周波数割当決定部13により、周波数割当を決定し、周波数割当を決定する。
【0038】
図3は、本発明の第1の実施形態に係る基地局装置において計算された各移動局装置の各リソースブロックにおけるスケジューリングの優先度の値の一例を示す図である。ここで、優先度については、各リソースブロックにおける各ユーザの伝搬路利得でも良いし、受信信号対干渉雑音比(SINR:Signal to Interference plus Noise power Ratio)でも良い。また、PFの場合には、式(1)の値が優先度として用いられることが多い。
【0039】
【数1】
ただし、Pは各移動局装置の優先度の値、Rinsは現時刻の伝送に達成できる各移動局装置の瞬時スループット、Raveは過去の時刻にわたり得られた各移動局装置の平均スループットである。なお、Rinsについては、割当の時点ではまだ伝送していないため、現時刻の受信SINRを用いて式(2)のスループットに比例する通信路容量で置き換えることもある。
【0040】
【数2】
ここで、Rinsについては、現時刻で瞬時に達成されるスループットに比例した値を用いればよいため、その他の指標を用いても良く、これらに限定されない。
【0041】
次に、各ユーザの送信電力に応じて使用可能な許容クラスタ数を決定する。システム内で利用可能な最大クラスタ数をmmaxとし、各クラスタ数について、以下の式(3)を評価する。
【0042】
【数3】
Mは、移動局装置が伝送に用いるリソースブロック数(基地局装置から割り当てられる)を表し、Pmaxは、各移動局装置の最大送信電力を表す。また、mは1〜mmaxの範囲に含まれるクラスタ数を表し、mmaxは移動局装置がクラスタ分割による伝送が可能かによって異なる値が設定されても良い。MPR(m)はクラスタ数をmとした場合の、許容送信電力の低減量であり、PAPR(Peak to Average Power Ratio)やCM(Cubic Metric)等のピーク電力に関するパラメータあるいは送信電力のバックオフから決定されるデシベル値である。なお、MPR(m)は複数のmで同値としても良い。例えば、SC−FDMAを用いるm=1ではMPR(m)=0dBとし、Clustered DFT−S−OFDMを用いるm>2ではMPR(m)=6dBというように、通信方式によって定められても良い。さらに、Ptargetは、目標受信電力から算出される1リソースブロックあたりに使用する送信電力を表す。式(3)の導出過程を以下に示す。LTEやLTE−Aでは、送信電力として次式(4)で表される値を送信電力として決定している。
【0043】
【数4】
式(4)において、PTxは送信電力を表す。式(4)は、許容される最大送信電力と、所要品質を満たすために必要な送信電力を比較し、小さいほうを送信電力に設定することを意味している。したがって、送信電力に余裕があるかどうかは、Pmax−MPR(m)とPtarget+10log10Mの大小関係で決定される。ここで、両者をイコールとし、Mについて解くと、下記のように、上述した式(3)と等価な式が得られる。
【0044】
【数5】
【0045】
すなわち、上記の式(3)が割当可能なリソースブロック数として得られる。式(3)のMを、mの値が1〜mmaxの全ての値について算出する。算出したMに基づき、式(5)を満たすMに対応するmの中で、最小のmの値を各移動局装置の許容クラスタ数mu_maxとする。
【0046】
【数6】
NRB/Qは、任意に設定可能なmクラスタに分割した場合に各移動局装置が使用できるリソースブロック数の許容値を示している。Qは、任意の値でよく、Qにより、端末に割り当てる仮想的なRBの数が決定される。例えば、Q=1の場合は、各端末に全てのRBを割り当てることを前提とし、式(3)を式(5)に代入し、代入した式を満足する最小のmを求めることで、許容クラスタ数mu_maxが決定する。また、Q=(同時割り当て端末数)とすると、各端末に対して、平均的にRBを割り当てることを前提とし、式(3)を式(5)に代入し、代入した式を満足する最小のmを求めることで、許容クラスタ数が決定する。したがって、Qを小さくすることで、許容クラスタ数が少なくなる効果がある。
【0047】
本実施形態では、各端末に同じQを使用することを前提としたが、QoS(Quality of Service)等によって異なるQを割り当てることも可能である。また、これは具体的な計算方法を示しているが、割当可能なリソースブロック数は基地局から遠いほど減少していくため、送信電力に応じて最適な許容クラスタ数を決定していることと等価である。なお、ここでは、送信電力の余裕を見ながら許容クラスタ数を決定したが、スループットを見ながら許容クラスタ数を決定しても良い。
【0048】
図4は、本発明の第1の実施形態において、Q=1とし、式(3)、(5)から許容クラスタ数を算出した結果と設定されたMPRの一例を示す図である。図4より、第1の移動局装置の許容クラスタ数が2、第2の移動局装置の許容クラスタ数が1、第3の移動局装置の許容クラスタ数が3となっており、各移動局装置のMPRの値もあわせて示しており、送信電力としてPmax−MPR(m)を用いる場合には、最大送信電力がMPRの値分だけ低くなる。なお、このMPRの値は、本発明ではクラスタ数により増大するピーク電力のみを考慮したが、変調方式の違いによってもピーク電力が異なるので、この値を加味しても良い。この許容クラスタ数に基づいて、図3で表された優先度を各移動局装置で複製(コピー)する。
【0049】
図5は、本発明の第1の実施形態において、図3で表された優先度を各移動局装置の許容クラスタ数分複製した表である。図5において、第1の移動局装置は許容クラスタ数が2であるため、1つだけ複製し、第2の移動局装置は複製しない。また、第3の移動局装置は許容クラスタ数が3であるため、2つ複製している。このようにして得られた6つの優先度をそれぞれ異なる移動局装置の優先度とみなして非特許文献1の方法で割り当てることで、各クラスタが高い伝搬路利得の周波数を選択しながら、最大クラスタ数の範囲内で高い伝送特性を達成することができる。
【0050】
図6は、本発明の第1の実施形態に係る周波数割り当て方法を示すフローチャートである。まず、全移動局装置におけるスケジューリングの優先度を生成する(ステップS1)。次に、各移動局装置のクラスタ数をm=1と設定する(ステップS2)。なお、ここでmは各移動局装置でそれぞれ決定されるため、全移動局装置にmの値をそれぞれ設定されることに注意されたい。次に、第u番目の移動局装置の許容クラスタ数の決定をする。なお、uは基地局装置に接続した移動局装置に付されるインデックスである。まず、移動局装置の番号をu=1とする(ステップS3)。割当可能なリソースブロック数がNRB/Q以上であるか否かを判定し(ステップS4)、大きい場合には(ステップS4:YES)、クラスタ数を1つ増やした場合に最大クラスタ数を超えるか判定する(ステップS5)。
【0051】
クラスタ数を1つ増やした場合に最大クラスタ数を超えると判断した場合には(ステップS5:YES)、mを最大クラスタ数mmaxに設定し(ステップS6)、その値を第u番目の移動局装置の許容クラスタ数に設定する(ステップS8)。一方、クラスタ数を1つ増やした場合に最大クラスタ数以下であれば(ステップS5:NO)、mに1を加算し(ステップS7)、再び、割当可能なリソースブロック数がNRB/Q以上であるか否かを判定する(ステップS4)。割当可能なリソースブロック数がNRB/Qより小さい場合には、mの値を第u番目の移動局装置の許容クラスタ数とする(ステップS8)。
【0052】
ステップS8により第u番目の移動局装置の許容クラスタ数を決定した後、全てのユーザが許容クラスタ数を決定したか否かを判定する(ステップS9)。未決定の移動局装置があれば(ステップS9:NO)、uに1を加算して(ステップS10)、未決定の移動局装置の許容クラスタ数を決定するために割当可能なリソースブロック数がNRB/Q以上であるか否かを判定する(ステップS4)。全ての移動局装置で決定されていれば(ステップS9:YES)、全ての移動局装置で決定された許容クラスタ数mに対して各移動局装置の優先度をm−1個複製する(ステップS11)。これを元に各移動局装置の周波数割当を決定する(ステップS12)。なお、ここでは各移動局装置の許容クラスタ数をmとした際に、m−1個の複製を生成して合計m個の同一の優先度を作ったが、当然伝送特性の改善度合いに応じてm−2個の複製でも構わず、m−1に限定されない。
【0053】
このように、第1の実施形態では、各移動局装置に設定された一つまたは複数の許容クラスタの各々について得られた優先度をそれぞれ異なる移動局装置の優先度とみなして非特許文献1の方法で割り当てることで、各クラスタが高い伝搬路利得の周波数を選択しながら、最大クラスタ数の範囲内で高い伝送特性を達成することができる。
【0054】
[第2の実施形態]
第2の実施形態では、Carrier Aggregationと呼ばれる方式を用いた場合のユーザ割当法について説明する。移動局装置の伝送レートに基づいた優先度に基づき、PFと同様の方法で、基地局装置が周波数割り当てを行なう。この際、基地局装置は、移動局装置に設定した各Component Carrierを移動局装置とみなして優先度に基づいた周波数割り当てを行なう。また、移動局装置毎に設定する最大Component Carrier数は、移動局装置の送信電力の余裕を考慮して設定する。これにより、実質的に最大Component Carrier数制限が生じることとなる。
【0055】
図7は、本発明の第2の実施形態に係る基地局装置の一構成例を示すブロック図である。受信アンテナ31では、移動局装置から送信された伝搬路推定用の信号を受信し、受信部32により、ベースバンド信号への変換などの受信処理が行なわれる。伝搬路状態推定部(伝搬路推定部)33では、任意の数のComponent Carrierの伝搬路状態を推定し、優先度算出部34により優先度を算出する。次に、Component Carrier数決定部(コンポーネントキャリア数決定部)35において、上述の処理によりComponent Carrier数を決定する。その後、スケジューリング部36において、各移動局装置のComponent Carrier数に応じて各Component Carrier内でスケジューリングが行なわれ、制御情報生成部37において、制御情報が生成され、送信部38により無線信号までの処理が行なわれ、送信アンテナ39により各移動局装置に送信される。
【0056】
図8は、Carrier Aggregationの概念を示す図である。Carrier Aggregationでは、複数のComponent Carrierと呼ばれる最小単位を周波数軸に並べ、各移動局装置が端末の規模や能力、バッファされるデータ量などのQoSに応じて任意の数のComponent Carrierを用いて送信する方法である。各Component Carrierでは、それぞれ独立な信号処理が行なわれる。ここでは、周波数信号を連続配置するSC−FDMAの例を示しており、2つのComponent Carrierを用いている。図8において、CC1は、第1のComponent Carrierの帯域幅、CC2は第2のComponent Carrierの帯域幅を示しており、それぞれ周波数信号21、周波数信号22が割り当てられている。第1の実施形態では、1つのComponent Carrierのみを用いた場合を一例として示した。
【0057】
複数のComponent Carrierを用いた場合、各Component Carrierの信号は独立に生成されることから、第1の実施形態のような複数のクラスタを用いた場合のピーク電力の指標と同様に、複数のComponent Carrierを用いた場合のピーク電力もさらに考慮する。
【0058】
図9は、本発明の第2の実施形態における、Component Carrier数とそれに対する送信電力低減量MPRCCの一例を示す表である。まず、ここでは、最大のComponent Carrier数を5とすると、Component Carrier数に対する送信電力低減量MPRCCが、図9のようになったものとする。このとき、図9に示された表を用いて、必要なCC数を算出する。第1の実施形態と同様に、以下の式を評価する。
【0059】
【数7】
式(6)において、cは1〜5までの値を取り、使用するComponent Carrierの候補数、MPRCC(c)はc個のComponent Carrierを用いた場合の送信電力の低減量であり、例えば、c=2を候補とした場合、図9からMPRCC(2)=X1である。また、cは仮想的なComponent Carrier数を表しており、c=2の場合、式(6)は「Component Carrierを2つ利用した場合、使用可能なRB数はいくらか」を示している。第1の実施形態と同様に、最大のComponent Carrier数までの全てのcについて、実際には算出する必要がある。具体的には、最大のComponent Carrier数を5とした場合、c=1〜5の全てにおいて、式(6)を計算しておくことを意味する。計算したMに基づき、式(7)を満たすMの中で、最小のcの値を各移動局装置が使用する最大Component Carrier数cmaxとして決定する。
【0060】
【数8】
ここで、NRB(c)は、c個のComponent Carrierに含まれるデータに使用可能な全RB数を表している。例えば、2個のComponent Carrierを使用する場合、第1のComponent Carrierに含まれるRB数をA、第2のComponent Carrierに含まれるRB数をBとした場合、NRB(c)=A+Bである。NRB(c)/QCCは、任意に設定可能なRBの数の許容値であり、QCCは、任意の値である。例えば、QCC=1の場合は、各端末に全てのRBを割り当てることを前提とし、式(6)を式(7)に代入し、代入した式を満足する最小のcを求めることで、最大Component Carrier数cmaxが決定される。つまり、QCCが小さくなれば、最大Component Carrier数が小さくなる効果がある。
【0061】
以上の処理を行ない、各Component Carrierに対して、非特許文献1の方法でSC−FDMAシンボルをComponent Carrier単位で独立に割り当てる。これにより、Carrier Aggregation時の最大Component Carrier数を決定することができる。
【0062】
例えば、2つのComponent Carrierを使うことが可能であるか否かを判定することを考える。第1のComponent Carrierに含まれるRBの数を20、同様に、第2のComponent Carrierに含まれるRBの数を20とする。このとき、2つのComponent Carrierに含まれる全RB数はNRB(2)=20+20=40である。次に、QCC=1とすると、式(6)で表される値が、NRB(2)/QCC=40より大きければ(もしくは、以上であれば)、2つのComponent Carrierを使用すると判定し、式(6)で表される値が40より小さければ、2つのComponent Carrierを使用しないものとし、最大Component Carrier数を1と決定する。同様に、2つのComponent Carrierを使用すると判定された移動局装置について、3つのComponent Carrierを使用するかどうかを判定する。以上の処理を、システムの具備するComponent Carrier数まで繰り返し、すべての移動局装置の最大Component Carrier数を決定する。
【0063】
なお、本検討では、各Component CarrierでSC−FDMAシンボルを割り当てる例を示したが、当然、各Component Carrier内でClustered DFT−S−OFDMを用いてもよく、SC−FDMAに限定されない。この場合、各Component Carrier内で第1の実施形態の方法が適用される。
【0064】
ここで、スケジューリング部36について説明する。各移動局装置の最大Component Carrier数に応じて各Component Carrierでスケジューリングが行なわれると述べたが、その概念を図10A、10Bに一例として示している。図10A、10Bでは、移動局装置の数が3であり、Component Carrier数が3である場合の割当の様子の一例を示している。
【0065】
図10Aは、本発明の第2の実施形態に係る各移動局装置の使用するComponent Carrier数を示す図である。図10Bは、本発明の第2の実施形態に係る各移動局装置に対する周波数割り当てを示す図である。図10Bにおける周波数信号41、42、43は、それぞれ図10Aにおける第1、第2、第3の移動局装置が使用する周波数信号であり、図10Bに示しているように、各移動局装置は決定された最大Component Carrier数の範囲内で割り当てられていることが分かる。本実施形態では、このような割当のことを各移動局装置の最大Component Carrier数に応じたスケジューリングと表している。なお、例えば、最大Component Carrier数がシステムの具備するComponent Carrier数より少ない場合に、どのComponent Carrierを選択するかは、伝搬路の状態から決定しても良いし、スループットから決定しても良いし、各移動局装置が帯域幅を最も広く確保できるように決定しても良い。
【0066】
このように、第2の実施形態では、各移動局装置に設定された一つまたは複数のComponent Carrierの各々について得られた優先度をそれぞれ異なる移動局装置の優先度とみなして非特許文献1の方法で割り当てることで、各Component Carrierが高い伝搬路利得の周波数を選択しながら、最大Component Carrier数の範囲内で高い伝送特性を達成することができる。
【0067】
本発明に関わる移動局装置および基地局装置で動作するプログラムは、本発明に関わる上記実施形態の機能を実現するように、CPU等を制御するプログラム(コンピュータを機能させるプログラム)である。そして、これら装置で取り扱われる情報は、その処理時に一時的にRAMに蓄積され、その後、各種ROMやHDDに格納され、必要に応じてCPUによって読み出し、修正・書き込みが行なわれる。プログラムを格納する記録媒体としては、半導体媒体(例えば、ROM、不揮発性メモリカード等)、光記録媒体(例えば、DVD、MO、MD、CD、BD等)、磁気記録媒体(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク等)等のいずれであってもよい。また、ロードしたプログラムを実行することにより、上述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、オペレーティングシステムあるいは他のアプリケーションプログラム等と共同して処理することにより、本発明の機能が実現される場合もある。
【0068】
また市場に流通させる場合には、可搬型の記録媒体にプログラムを格納して流通させたり、インターネット等のネットワークを介して接続されたサーバコンピュータに転送したりすることができる。この場合、サーバコンピュータの記憶装置も本発明に含まれる。また、上述した実施形態における移動局装置および基地局装置の一部、または全部を典型的には集積回路であるLSIとして実現してもよい。移動局装置および基地局装置の各機能ブロックは個別にチップ化してもよいし、一部、または全部を集積してチップ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現しても良い。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いることも可能である。
【0069】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も特許請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0070】
1、31 受信アンテナ
2、32 受信部
3、33 伝搬路状態推定部
4、34 優先度算出部
5、36 スケジューリング部
6、37 制御情報生成部
7、38 送信部
8、39 送信アンテナ
11 許容クラスタ数決定部
12 優先度複製部
13 周波数割当決定部
21、22、41、42、43 周波数信号
35 Component Carrier数決定部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周波数信号を複数のクラスタに分割して送信する移動局装置と通信を行なう基地局装置であって、
前記移動局装置に対して、仮想的に定めたリソースブロック数に応じて許容クラスタ数を決定し、周波数割り当てを行なうことを特徴とする基地局装置。
【請求項2】
周波数信号を1以上のクラスタを用いて送信する移動局装置と通信を行なう基地局装置であって、
前記移動局装置が2以上のクラスタに分割して送信できる場合には仮想的に定めたリソースブロック数に応じて1以上の許容クラスタ数を決定し、周波数割り当てを行なうことを特徴とする基地局装置。
【請求項3】
前記移動局装置から受信した信号に基づいて伝搬路状態を推定する伝搬路推定部と、
前記推定した伝搬路状態に基づいて、各リソースブロックの優先度を算出する優先度算出部と、
前記移動局装置の送信電力に基づいて、前記移動局装置が使用可能な許容クラスタ数を決定し、前記算出した優先度および前記決定した許容クラスタ数に基づいて、周波数割り当てを行なうスケジューリング部と、を備えることを特徴とする請求項1記載の基地局装置。
【請求項4】
前記移動局装置が使用可能な許容クラスタ数は、前記移動局装置の送信電力に応じて定められる通信方式に基づいて決定されることを特徴とする請求項2記載の基地局装置。
【請求項5】
システム帯域全体のリソースブロック数を、任意の整数値で除算することにより、リソースブロック数を仮想的に定めることを特徴とする請求項1または請求項2記載の基地局装置。
【請求項6】
前記任意の整数値を、1とすることを特徴とする請求項5記載の基地局装置。
【請求項7】
前記任意の整数値を、接続している移動局装置の数とすることを特徴とする請求項5記載の基地局装置。
【請求項8】
複数のコンポーネントキャリアを用いて移動局装置と通信を行なう基地局装置であって、
前記移動局装置が使用するコンポーネントキャリアの数を、仮想的に定めたリソースブロック数に応じて決定することを特徴とする基地局装置。
【請求項9】
前記移動局装置から受信した信号に基づいて前記コンポーネントキャリアの伝搬路状態を推定する伝搬路推定部と、
前記推定した伝搬路状態に基づいて、各コンポーネントキャリアの優先度を算出する優先度算出部と、
前記移動局装置の送信電力に基づいて、前記移動局装置が使用するコンポーネントキャリアの数を決定するコンポーネントキャリア数決定部と、
前記算出した優先度および前記決定したコンポーネントキャリア数に基づいて、周波数割り当てを行なうスケジューリング部と、を備えることを特徴とする請求項8記載の基地局装置。
【請求項10】
候補となるコンポーネントキャリアに含まれるすべてのリソースブロック数を、任意の整数値で除算することにより、リソースブロック数を仮想的に定めることを特徴とする請求項8または請求項9記載の基地局装置。
【請求項11】
前記任意の整数値を、1とすることを特徴とする請求項10記載の基地局装置。
【請求項12】
周波数信号を複数のクラスタに分割して送信する移動局装置と通信を行なう基地局装置の制御プログラムであって、
前記移動局装置から受信した信号に基づいて伝搬路状態を推定する処理と、
前記推定した伝搬路状態に基づいて、各リソースブロックの優先度を算出する処理と、
前記移動局装置の送信電力に応じて、前記移動局装置が使用可能な許容クラスタ数を決定する処理と、
前記決定した許容クラスタ数に基づいて、周波数割り当てを行なう処理と、を含む一連の処理を、コンピュータに読み取り可能および実行可能にコマンド化したことを特徴とする基地局装置の制御プログラム。
【請求項13】
基地局装置に実装されることにより、前記基地局装置に複数の機能を発揮させる集積回路であって、
周波数信号を複数のクラスタに分割して送信する移動局装置と通信を行なう機能と、
前記移動局装置から受信した信号に基づいて伝搬路状態を推定する機能と、
前記推定した伝搬路状態に基づいて、各リソースブロックの優先度を算出する機能と、
前記移動局装置の送信電力に応じて、前記移動局装置が使用可能な許容クラスタ数を決定する機能と、
前記決定した許容クラスタ数に基づいて、周波数割り当てを行なう機能と、を含む一連の機能を、前記基地局装置に発揮させることを特徴とする集積回路。
【請求項1】
周波数信号を複数のクラスタに分割して送信する移動局装置と通信を行なう基地局装置であって、
前記移動局装置に対して、仮想的に定めたリソースブロック数に応じて許容クラスタ数を決定し、周波数割り当てを行なうことを特徴とする基地局装置。
【請求項2】
周波数信号を1以上のクラスタを用いて送信する移動局装置と通信を行なう基地局装置であって、
前記移動局装置が2以上のクラスタに分割して送信できる場合には仮想的に定めたリソースブロック数に応じて1以上の許容クラスタ数を決定し、周波数割り当てを行なうことを特徴とする基地局装置。
【請求項3】
前記移動局装置から受信した信号に基づいて伝搬路状態を推定する伝搬路推定部と、
前記推定した伝搬路状態に基づいて、各リソースブロックの優先度を算出する優先度算出部と、
前記移動局装置の送信電力に基づいて、前記移動局装置が使用可能な許容クラスタ数を決定し、前記算出した優先度および前記決定した許容クラスタ数に基づいて、周波数割り当てを行なうスケジューリング部と、を備えることを特徴とする請求項1記載の基地局装置。
【請求項4】
前記移動局装置が使用可能な許容クラスタ数は、前記移動局装置の送信電力に応じて定められる通信方式に基づいて決定されることを特徴とする請求項2記載の基地局装置。
【請求項5】
システム帯域全体のリソースブロック数を、任意の整数値で除算することにより、リソースブロック数を仮想的に定めることを特徴とする請求項1または請求項2記載の基地局装置。
【請求項6】
前記任意の整数値を、1とすることを特徴とする請求項5記載の基地局装置。
【請求項7】
前記任意の整数値を、接続している移動局装置の数とすることを特徴とする請求項5記載の基地局装置。
【請求項8】
複数のコンポーネントキャリアを用いて移動局装置と通信を行なう基地局装置であって、
前記移動局装置が使用するコンポーネントキャリアの数を、仮想的に定めたリソースブロック数に応じて決定することを特徴とする基地局装置。
【請求項9】
前記移動局装置から受信した信号に基づいて前記コンポーネントキャリアの伝搬路状態を推定する伝搬路推定部と、
前記推定した伝搬路状態に基づいて、各コンポーネントキャリアの優先度を算出する優先度算出部と、
前記移動局装置の送信電力に基づいて、前記移動局装置が使用するコンポーネントキャリアの数を決定するコンポーネントキャリア数決定部と、
前記算出した優先度および前記決定したコンポーネントキャリア数に基づいて、周波数割り当てを行なうスケジューリング部と、を備えることを特徴とする請求項8記載の基地局装置。
【請求項10】
候補となるコンポーネントキャリアに含まれるすべてのリソースブロック数を、任意の整数値で除算することにより、リソースブロック数を仮想的に定めることを特徴とする請求項8または請求項9記載の基地局装置。
【請求項11】
前記任意の整数値を、1とすることを特徴とする請求項10記載の基地局装置。
【請求項12】
周波数信号を複数のクラスタに分割して送信する移動局装置と通信を行なう基地局装置の制御プログラムであって、
前記移動局装置から受信した信号に基づいて伝搬路状態を推定する処理と、
前記推定した伝搬路状態に基づいて、各リソースブロックの優先度を算出する処理と、
前記移動局装置の送信電力に応じて、前記移動局装置が使用可能な許容クラスタ数を決定する処理と、
前記決定した許容クラスタ数に基づいて、周波数割り当てを行なう処理と、を含む一連の処理を、コンピュータに読み取り可能および実行可能にコマンド化したことを特徴とする基地局装置の制御プログラム。
【請求項13】
基地局装置に実装されることにより、前記基地局装置に複数の機能を発揮させる集積回路であって、
周波数信号を複数のクラスタに分割して送信する移動局装置と通信を行なう機能と、
前記移動局装置から受信した信号に基づいて伝搬路状態を推定する機能と、
前記推定した伝搬路状態に基づいて、各リソースブロックの優先度を算出する機能と、
前記移動局装置の送信電力に応じて、前記移動局装置が使用可能な許容クラスタ数を決定する機能と、
前記決定した許容クラスタ数に基づいて、周波数割り当てを行なう機能と、を含む一連の機能を、前記基地局装置に発揮させることを特徴とする集積回路。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【公開番号】特開2011−223057(P2011−223057A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−86405(P2010−86405)
【出願日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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