説明

基地局装置および無線通信システム

【課題】無線通信端末に対し広域基地局から狭域基地局に通信を切り替えさせる場合、無線通信端末の機能変更を伴わずに狭域基地局に通信を切り替えさせることができる基地局装置を提供すること。
【解決手段】広域基地局5およびフェムトセル基地局10と通信可能な無線通信端末9に付属したRFタグ9aとの通信を行うRFタグインタフェース部14と、無線通信端末9との通信を行う端末通信部11と、広域基地局5との通信を行うネットワークインタフェース部13と、RFタグインタフェース部14がRFタグ9aから送信された信号を検知した場合において、無線通信端末9が広域基地局5と通信している際、無線通信端末9が端末通信部11と通信させるように切り替えさせるための切替情報を広域基地局5に基地局通信部11を介して通知する制御部12とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、狭域のエリア内で無線通信端末と通信する基地局装置および無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線通信システムにおいて、フェムトセル(Femtocell)と呼ばれる通信方式が提案されており、フェムトセルは、公衆網のサービスエリアより狭く局所的なサービスエリアで無線通信端末の通信を可能にするものである(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
フェムトセルを実現する基地局(以下、フェムトセル基地局という。)が通信可能なサービスエリア(以下、フェムトセルエリアという。)は、基本的に、公衆網の基地局が通信可能なサービスエリア(以下、公衆網エリアという。)内にある。フェムトセル基地局は、例えば、家屋内やオフィス内などに設置される。無線通信端末は、公衆網エリアの広域基地局、フェムトセル基地局、どちらの基地局とも通信することが可能である。
【0004】
フェムトセル基地局が設置された形態においては、無線通信端末が、フェムトセル基地局と通信することで、フェムトセルエリア内でサービスを受けることができる。このサービスとは、例えば、通話、電子メール、SMS、またはWEBブラウジングなどである。
【非特許文献1】“フェムトセル”、[online] 、[平成20年5月29日検索] 、インターネット(URL: http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%A0%E3%83%88%E3%82%BB%E3%83%AB)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の無線通信システムにおいて、公衆網エリアの広域基地局と通信している無線通信端末が、フェムトセル基地局にハンドオフを行うためには、フェムトセル基地局の一覧リストから通信可能なフェムトセル基地局をサーチする手段、サーチしたフェムトセル基地局からのパイロット信号の受信強度を測定する手段、および、フェムトセル基地局を認証する手段が、無線通信端末の通信機能に追加または修正する必要が生じてしまう。
【0006】
今後開発される新規の無線通信端末では、上述した手段を機能追加すればよいが、上述した手段をもたない従来の無線通信端末では、通信している公衆網エリアの広域基地局からフェムトセル基地局にハンドオフを自律で行うことができないため、ユーザの利便性が損なわれることになってしまう。
【0007】
そこで、本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、無線通信端末に対し広域基地局から狭域基地局に通信を切り替えさせる場合、無線通信端末の機能変更を伴わずに狭域基地局に通信を切り替えさせることができる基地局装置および無線通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の基地局装置は、広域基地局で通信可能な広域エリア内にある狭域エリアで通信可能な狭域基地局の基地局装置であって、前記広域基地局および前記狭域基地局と通信可能な無線通信端末に付属した無線IC機器との通信を行うIC通信部と、前記無線通信端末との通信を行う端末通信部と、前記広域基地局との通信を行う基地局通信部とを備え、前記IC通信部が前記無線IC機器から送信された信号を検知した場合において、前記無線通信端末が前記広域基地局と通信している際、前記無線通信端末が前記端末通信部と通信させるように切り替えさせるための切替情報を前記広域基地局に前記基地局通信部を介して通知する制御部とを備えた構成を有している。
【0009】
この構成により、無線IC機器から送信された信号を検知した場合において、無線通信端末が広域基地局と通信している際、無線通信端末が自己の基地局装置と通信させるように切り替えさせるための切替情報を広域基地局に通知することで、広域基地局が無線通信端末に対し切り替えを指示させるため、無線通信端末の機能変更を伴わずに狭域基地局に通信を切り替えさせることができる。
【0010】
また、本発明の基地局装置は、前記無線IC機器から送信された信号には、前記無線通信端末の識別子または無線IC機器の識別子が設定されており、前記制御部は、前記識別子から前記無線通信端末と通信している広域基地局を、前記広域基地局を管理する管理サーバに前記基地局通信部を介して問い合わせて特定し、特定した広域基地局に前記切替情報を通知する構成を有している。
【0011】
この構成により、無線通信端末の識別子または無線IC機器の識別子から無線通信端末と通信している広域基地局を管理サーバを介して特定するため、広域基地局を精度高く特定することができる。
【0012】
また、本発明の基地局装置の制御部は、前記特定した広域基地局と前記無線通信端末との通信状態を管理サーバに問い合わせ、前記通信状態が通信中のとき、前記特定した広域基地局からハンドオフさせる旨を前記切替情報に設定する構成を有している。
【0013】
この構成により、通信状態が通信中のとき、特定した広域基地局からハンドオフさせる旨を切替情報に設定し、設定した切替情報を管理サーバに送信するため、ハンドオフの準備に前もって備えることができる。
【0014】
また、本発明の基地局装置の制御部は、前記特定した広域基地局と前記無線通信端末との通信状態を管理サーバに問い合わせ、前記通信状態が待受中のとき、前記特定した広域基地局が前記無線通信端末に待受させる旨を前記切替情報に設定する構成を有している。
【0015】
この構成により、前記通信状態が待受中のとき、前記特定した広域基地局が前記無線通信端末に待受させる旨を切替情報に設定し、設定した切替情報を管理サーバに送信するため、待受け処理の準備に前もって備えることができる。
【0016】
また、本発明の基地局装置は、前記IC通信部の通信可能距離と前記端末通信部の通信可能距離とが略同じである構成を有している。
【0017】
この構成により、IC通信部の通信可能距離と端末通信部の通信可能距離とが略同じであるため、IC通信部と無線IC機器との通信および端末通信部と無線通信端末との通信が同時に通信することが可能であり、IC通信部の通信可能距離が端末通信部の通信可能距離よりも長いために、IC通信部で信号を検知できたときに端末通信部で無線通信端末から送信される信号を検知できないといった不具合を解消することができる。
【0018】
また、本発明の基地局装置は、広域基地局で通信可能な広域エリア内にある狭域エリアで通信可能な狭域基地局の基地局装置であって、前記広域基地局および前記狭域基地局と通信可能な無線通信端末に付属した無線IC機器との通信を行うIC通信部と、前記無線通信端末との通信を行う端末通信部と、前記広域基地局を制御する管理サーバとの通信を行う基地局通信部とを備え、前記IC通信部が前記無線IC機器から送信された信号を検知した場合において、前記無線通信端末が前記広域基地局と通信している際、前記無線通信端末が前記端末通信部と通信させるように切り替えさせるための切替情報を前記管理サーバに前記基地局通信部を介して通知する制御部とを備えた構成を有している。
【0019】
この構成により、無線IC機器から送信された信号を検知した場合において、無線通信端末が広域基地局と通信している際、無線通信端末が端末通信部と通信させるように切り替えさせるための切替情報を管理サーバに基地局通信部を介して通知することで、広域基地局が無線通信端末に対し切り替えを指示させるため、無線通信端末の機能変更を伴わずに狭域基地局に通信を切り替えさせることができる。
【0020】
本発明の無線通信システムは、広域基地局で通信可能な広域エリア内にある狭域エリアで通信可能な狭域基地局の基地局装置と、前記広域基地局および前記狭域基地局と通信可能な無線通信端末とを備えた無線通信システムであって、前記無線通信端末に付属した無線IC機器を有し、前記基地局装置が、前記無線通信端末との通信を行う端末通信部と、
前記無線IC機器との通信を行うIC通信部と、前記広域基地局との通信を行う基地局通信部とを備え、前記IC通信部が前記無線IC機器から送信された信号を検知した場合において、前記無線通信端末が前記広域基地局と通信している際、前記無線通信端末が前記端末通信部と通信させるように切り替えさせるための切替情報を前記広域基地局に前記基地局通信部を介して通知する制御部とを備えた構成を有している。
【0021】
この構成により、無線IC機器から送信された信号を検知した場合において、無線通信端末が広域基地局と通信している際、無線通信端末が基地局装置と通信させるように切り替えさせるための切替情報を広域基地局に通知することで、広域基地局が無線通信端末に対し切り替えを指示させるため、無線通信端末の機能変更を伴わずに狭域基地局に通信を切り替えさせることができる。
【0022】
本発明の無線通信システムは、広域基地局で通信可能な広域エリア内にある狭域エリアで通信可能な狭域基地局の基地局装置と、前記広域基地局および前記狭域基地局と通信可能な無線通信端末とを備えた無線通信システムであって、前記無線通信端末に付属した無線IC機器を有し、前記基地局装置が、前記無線通信端末との通信を行う端末通信部と、前記無線IC機器との通信を行うIC通信部と、前記広域基地局を制御する管理サーバとの通信を行う基地局通信部とを備え、前記IC通信部が前記無線IC機器から送信された信号を検知した場合において、前記無線通信端末が前記広域基地局と通信している際、前記無線通信端末が前記端末通信部と通信させるように切り替えさせるための切替情報を前記管理サーバに前記基地局通信部を介して通知する制御部とを備えた構成を有している。
【0023】
この構成により、無線IC機器から送信された信号を検知した場合において、無線通信端末が広域基地局と通信している際、無線通信端末が基地局装置と通信させるように切り替えさせるための切替情報を管理サーバに基地局通信部を介して通知することで、広域基地局が無線通信端末に対し切り替えを指示させるため、無線通信端末の機能変更を伴わずに狭域基地局に通信を切り替えさせることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、無線通信端末に対し広域基地局から狭域基地局に通信を切り替えさせる場合、無線通信端末の機能変更を伴わずに狭域基地局に通信を切り替えさせることができる基地局装置および無線通信システムを提供するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0026】
図1は、本実施例に係るフェムトセルを用いた無線通信システムの構成図である。図1に示した無線通信システムは、CDMA方式を用いた公衆網の広域基地局5およびフェムトセル基地局10を備えている。また、フェムトセル基地局10で通信可能とするエリアであるフェムトセルは、広域基地局5で通信可能とするエリアであるマクロセルの内部にあるため、無線通信端末9は、フェムトセル基地局10および広域基地局5の双方と通信可能である。なお、フェムトセル基地局10は、例えば、家屋内やオフィス内などに設置される。
【0027】
無線通信端末9は、CDMA方式を用いた携帯端末であり、通信相手の通信機器と通話やデータ通信を行うことができる。さらに、無線通信端末9には、RFタグ9aが付属されている。図1に示したように、無線通信端末9とRFタグ9aとが密着した形態でユーザが使用するのが好ましいが、特にこの形態に限定しない。例えば、無線通信端末9とRFタグ9aとが密着しないで、RFタグ9aが無線通信端末9の近辺にある状態でユーザが使用してもよい。
【0028】
フェムトセル基地局10は、基地局装置本体10aおよびRFタグ質問機10bを有しており、これらの詳細は後述する。なお、RFタグ9aおよびRFタグ質問機10bは、互いに通信可能である。
【0029】
本発明のIC通信部をRFタグ質問機10bとして例示しているが、本発明の無線IC機器と通信できるものであれば如何なるものでもよい。また、本発明の無線IC機器をRFタグ9aとして例示しているが、ICカードなどでもよく、本発明のIC通信部と通信できるものであれば如何なるものでもよい。
【0030】
なお、本実施例では、RFタグ質問機10bとRFタグ9aとが通信できる通信可能距離は、フェムトセル基地局10と無線通信端末9とが通信できる通信可能距離に合わせて、略同じに設定されてある。なお、RFタグ質問機10bとRFタグ9aとが通信できる通信可能距離が、フェムトセル基地局10と無線通信端末9とが通信できる通信可能距離よりも短くてもよい。
【0031】
さらに、図1に示した無線通信システムは、広域基地局5に接続されるネットワーク7とフェムトセル基地局10とを接続するゲートウェイ8と、広域基地局5を管理する管理サーバ6とを備えている。
【0032】
管理サーバ6は、OAM(Operation And Maintenance)機能を有しており、例えば、管理対象の広域基地局5と無線通信端末9との通信に関する通信情報を管理している。通信情報には、無線通信端末9のID、無線通信端末9の通信状態、および無線通信端末9の使用周波数チャネルなどがある。通信状態には、通信中または待受中などの状態がある。フェムトセル基地局10は、管理サーバ6で管理されている通信情報をゲートウェイ8を介して取得することができる。
【0033】
図2は、本実施例のフェムトセル基地局を構成する基地局装置のブロック図を示している。図2に示した基地局装置本体10aは、端末通信部11、制御部12、ネットワークインタフェース部13、RFタグインタフェース部14、およびデータベース15によって構成されている。
【0034】
端末通信部11は、RF送受信部11a、送信系RF回路部11b、送信系変調部11c、受信系RF回路部11d、および受信系復調部11eによって構成されている。これらの部材は、例えば集積回路等によって構成される。RF送受信部11aは、無線通信端末9と通信するためにアンテナからRF信号を送受信するものである。
【0035】
送信系変調部11cは、制御部12から出力された信号を変調処理し、送信系RF回路部11bは、変調処理された信号を無線信号に変換してRF送受信部11aに出力するようになっている。また、受信系RF回路部11dは、受信した信号を変換し、受信系復調部11eは、その信号を復調処理して制御部12に出力するようになっている。
【0036】
ネットワークインタフェース部13は、広域基地局5および管理サーバ6に接続されるネットワーク7との通信を行うものであり、RFタグインタフェース部14は、RFタグ質問機10bとの通信を行うものである。
【0037】
制御部12は、ベースバンド信号処理部12aおよびプロトコル制御部12bによって構成されている。ベースバンド信号処理部12aは、入出力される信号に対してベースバンドの信号を処理し、プロトコル制御部12bは、その信号に対してCDMA等の無線通信規格に準拠して処理を行うものである。制御部12は、例えばCPU、ROM、RAMで構成される。
【0038】
データベース15は、フェムトセル基地局10と通信する際に正規の無線通信端末9のIDの正規リストを記憶する記憶媒体を有している。また、データベース15は、正規の無線通信端末9のIDとRFタグ9aの識別子であるRFタグIDとを対応付けたRFタグIDリストを格納していてもよい。正規リストおよびRFタグIDリストを図3に示す。
【0039】
RFタグ質問機10bは、RFタグ9aの存在する検知するため、RFタグ9aと通信するための質問電波を放射するようになっている。例えば、RFタグ質問機10bは、常に質問電波を放射してもよく、または、一定時間の間隔で質問電波を放射してもよく、RFタグ9aの存在する検知するように質問電波を放射するようになっている。
【0040】
以上のように構成されたフェムトセル基地局10の動作について図面を用いて説明する。
【0041】
(第1実施例)
図4は、図2に示した基地局装置の第1実施例の動作例を示すフローチャートである。第1実施例の動作例では、図4のフローチャートの動作は一定時間間隔で行われるものとする。
【0042】
まず、フェムトセル基地局10が起動した後、RFタグ質問機10bは、RFタグ9aと通信するための質問電波を放射する(S1)。次に、RFタグ質問機10bは、質問電波の応答がある否かを確認する(S2)。応答が無い場合、動作は一旦終了する。
【0043】
ここで、図1に示したように、RFタグ9aと密着した無線通信端末9がフェムトセル基地局10の通信可能エリアに入ってきたとする。すると、RFタグ9aは、質問電波に応答するための応答信号を送信する。なお、応答信号には、RFタグIDなどが設定されている。
【0044】
質問電波に対する応答があった場合、RFタグ質問機10bが制御部12にRFタグIDを通知し、制御部12は、データベース15を参照してRFタグIDと対応する無線通信端末9のIDを取得する(S3)。なお、RFタグIDは無線通信端末9のIDと同じにしてもよく、RFタグIDは無線通信端末9のIDとが同じであった場合、S3の動作は不要となる。
【0045】
次に、制御部12は、取得した無線通信端末9のIDが図3の正規リストに含まれているか否かを判定する(S4)。制御部12が取得した無線通信端末9のIDが正規リストに含まれていた場合、すなわち、正規の無線通信端末9である場合、制御部12は、ネットワークインタフェース部13を介して、この無線通信端末9のIDを管理サーバ6に送信することに加えて無線通信端末9の通信状態を管理サーバ6に問い合わせる(S5)。
【0046】
無線通信端末9の通信状態を管理サーバ6に問い合わせた結果、無線通信端末9の電源が切れているなどの要因で圏外であった場合、または、フェムトセル基地局10と既に通信している場合(S6)、動作は終了する。ここで、「通信している」とは、通話、データ通信、待ち受けしている動作を意味している。
【0047】
制御部12は、管理サーバ6に問い合わせた結果が返信されたとき、無線通信端末9が通話中またはデータ通信中など通信状態が通信中か待受中か判定する(S7)。なお、公衆網エリアに複数の広域基地局5がある場合、管理サーバ6に問い合わせた結果で、制御部12は、無線通信端末9がどの広域基地局と通信しているか(すなわち、広域基地局のアドレス)を把握することができる。
【0048】
通信状態が通信中の場合、制御部12は、無線通信端末9と通信している広域基地局5に対して、ハンドオフするよう依頼する(S8)。ここで、ハンドオフするよう依頼する際には、制御部12が、無線通信端末9が自己のフェムトセル基地局10にハンドオフさせるための切替情報を広域基地局5に送信することになる。次に、制御部12は、無線通信端末9がフェムトセル基地局10にハンドオフしてきた場合(S9)、ハンドオフ処理を実施する(S10)。
【0049】
通信状態が待受中の場合、制御部12は、無線通信端末9と通信している広域基地局5に対して、無線通信端末9が他の基地局で待受けするように依頼する(S11)。ここで、待受けするよう依頼する際には、例えば、広域基地局5が、ページングをかけて対象の無線通信端末9とトラヒックチャネルを設定し、対象の無線通信端末9を一旦ハンドオフさせて設定したトラヒックチャネルをすぐ切断し、無線通信端末9が待受けするようにさせるための切替情報を制御部12が広域基地局5に送信することになる。
【0050】
次に、制御部12は、無線通信端末9がフェムトセル基地局10に位置登録などの待受けに必要な動作をしてきた場合(S12)、待受けに関連する処理を実施する(S13)。
【0051】
以上説明したように、第1実施例のフェムトセル基地局装置は、RFタグ9aから送信された信号を検知した場合において、無線通信端末9が広域基地局5と通信している際、無線通信端末9が自己のフェムトセル基地局10と通信させるように切り替えさせるための切替情報を広域基地局5に通知することで、広域基地局5が無線通信端末9に対し切り替えを指示させるため、無線通信端末9の機能変更を伴わずにフェムトセル基地局10に通信を切り替えさせることができる。
【0052】
また、RFタグインタフェース部14の通信可能距離と端末通信部11の通信可能距離とが略同じであるため、RFタグインタフェース部14と端末通信部11とが同じ時期に通信することが可能であり、RFタグインタフェース部14の通信可能距離が端末通信部11の通信可能距離よりも長いために、RFタグインタフェース部14で信号に検知できたときに端末通信部11で無線通信端末9から送信される信号を検知できないといった不具合を解消することができる。
【0053】
(第2実施例)
図5は、図2に示した基地局装置の第2実施例の動作例を示すフローチャートである。第2実施例の動作例では、図5のフローチャートの動作は一定時間間隔で行われるものとする。また、第2実施例では、管理サーバ6が、無線通信端末9と通信している広域基地局5に対して、フェムトセル基地局10にハンドオフするよう依頼したり、無線通信端末9が他の基地局で待受けするように依頼するようになっている。
【0054】
まず、S1〜S4については、第1実施例と同様の動作であるため、それぞれの説明を省略する。次に、正規リストに含まれていた場合、すなわち、正規の無線通信端末9である場合、制御部12は、ネットワークインタフェース部13を介して、この無線通信端末9のIDを管理サーバ6に送信すると共に、無線通信端末9の通信状態を管理サーバ6に問い合わせ、通信状態に応じた切り替え処理を依頼する(S15)。ここで、通信状態に応じた切り替え処理を依頼する際には、制御部12が、無線通信端末9の通信状態に応じた切り替え処理をさせるための切替情報を広域基地局5に送信することになる。
【0055】
依頼を受けた管理サーバ6は、無線通信端末9と通信している広域基地局5に対して、フェムトセル基地局10にハンドオフするよう依頼したり、無線通信端末9が他の基地局で待受けするように依頼する。
【0056】
無線通信端末9の通信状態を管理サーバ6に問い合わせた結果、無線通信端末9の電源が切れているなどの要因で圏外であった場合、または、フェムトセル基地局10と既に通信している場合(S6)、動作は終了する。
【0057】
制御部12は、管理サーバ6に問い合わせた結果が返信されたとき、無線通信端末9の通信状態が通信中か待受中か判定する(S7)。通信状態が通信中の場合、制御部12は、無線通信端末9がフェムトセル基地局10にハンドオフしてきたとき(S9)、ハンドオフ処理を実施する(S10)。
【0058】
通信状態が待受中の場合、制御部12は、無線通信端末9がフェムトセル基地局10に位置登録などの待受けに必要な動作をしてきたとき(S12)、待受けに関連する処理を実施する(S13)。
【0059】
以上説明したように、第2実施例のフェムトセル基地局装置は、無線通信端末9の通信状態を管理サーバ6に問い合わせた結果で、無線通信端末9がどの広域基地局と通信しているかを把握する必要が無くなり、通信状態に応じた処理を広域基地局5に依頼する必要もなくなるため、フェムトセル基地局の動作を簡素化することができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明にかかる基地局装置および無線通信システムは、無線通信端末に対し広域基地局から狭域基地局に通信を切り替えさせる場合、無線通信端末の機能変更を伴わずに狭域基地局に通信を切り替えさせることができるという効果を有し、狭域のエリア内で無線通信端末と通信する基地局装置およびこの基地局装置を利用した無線通信システムに幅広く有用である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本実施例に係るフェムトセルを用いた無線通信システムの構成図である。
【図2】本実施例のフェムトセル基地局を構成する基地局装置のブロック図である。
【図3】正規リストおよびRFタグIDリストを示す図である。
【図4】図2に示した基地局装置の第1実施例の動作例を示すフローチャートである。
【図5】図2に示した基地局装置の第2実施例の動作例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0062】
5 広域基地局
6 管理サーバ
7 ネットワーク
8 ゲートウェイ
9 無線通信端末
9a RFタグ(無線IC機器)
10 フェムトセル基地局(狭域基地局)
10a 基地局装置本体
10b RFタグ質問機(IC通信部)
11 端末通信部
11a RF送受信部
11b 送信系RF回路部
11c 送信系変調部
11d 受信系RF回路部
11e 受信系復調部
12 制御部
12a ベースバンド信号処理部
12b プロトコル制御部
13 ネットワークインタフェース部(基地局通信部)
14 RFタグインタフェース部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
広域基地局で通信可能な広域エリア内にある狭域エリアで通信可能な狭域基地局の基地局装置であって、
前記広域基地局および前記狭域基地局と通信可能な無線通信端末に付属した無線IC機器との通信を行うIC通信部と、
前記無線通信端末との通信を行う端末通信部と、
前記広域基地局との通信を行う基地局通信部とを備え、
前記IC通信部が前記無線IC機器から送信された信号を検知した場合において、前記無線通信端末が前記広域基地局と通信している際、前記無線通信端末が前記端末通信部と通信させるように切り替えさせるための切替情報を前記広域基地局に前記基地局通信部を介して通知する制御部とを備えたことを特徴とする基地局装置。
【請求項2】
前記無線IC機器から送信された信号には、前記無線通信端末の識別子または無線IC機器の識別子が設定されており、
前記制御部は、前記識別子から前記無線通信端末と通信している広域基地局を、前記広域基地局を管理する管理サーバに前記基地局通信部を介して問い合わせて特定し、特定した広域基地局に前記切替情報を通知することを特徴とする請求項1に記載の基地局装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記特定した広域基地局と前記無線通信端末との通信状態を管理サーバに問い合わせ、前記通信状態が通信中のとき、前記特定した広域基地局からハンドオフさせる旨を前記切替情報に設定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の基地局装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記特定した広域基地局と前記無線通信端末との通信状態を管理サーバに問い合わせ、前記通信状態が待受中のとき、前記特定した広域基地局が前記無線通信端末に待受させる旨を前記切替情報に設定することを特徴とする請求項1または請求項2に基地局装置。
【請求項5】
前記IC通信部の通信可能距離と前記端末通信部の通信可能距離とが略同じであることを特徴とする請求項1から請求項4までの何れかに基地局装置。
【請求項6】
広域基地局で通信可能な広域エリア内にある狭域エリアで通信可能な狭域基地局の基地局装置であって、
前記広域基地局および前記狭域基地局と通信可能な無線通信端末に付属した無線IC機器との通信を行うIC通信部と、
前記無線通信端末との通信を行う端末通信部と、
前記広域基地局を制御する管理サーバとの通信を行う基地局通信部とを備え、
前記IC通信部が前記無線IC機器から送信された信号を検知した場合において、前記無線通信端末が前記広域基地局と通信している際、前記無線通信端末が前記端末通信部と通信させるように切り替えさせるための切替情報を前記管理サーバに前記基地局通信部を介して通知する制御部とを備えたことを特徴とする基地局装置。
【請求項7】
広域基地局で通信可能な広域エリア内にある狭域エリアで通信可能な狭域基地局の基地局装置と、前記広域基地局および前記狭域基地局と通信可能な無線通信端末とを備えた無線通信システムであって、
前記無線通信端末に付属した無線IC機器を有し、
前記基地局装置が、
前記無線通信端末との通信を行う端末通信部と、
前記無線IC機器との通信を行うIC通信部と、
前記広域基地局との通信を行う基地局通信部とを備え、
前記IC通信部が前記無線IC機器から送信された信号を検知した場合において、前記無線通信端末が前記広域基地局と通信している際、前記無線通信端末が前記端末通信部と通信させるように切り替えさせるための切替情報を前記広域基地局に前記基地局通信部を介して通知する制御部とを備えたことを特徴とする無線通信システム。
【請求項8】
広域基地局で通信可能な広域エリア内にある狭域エリアで通信可能な狭域基地局の基地局装置と、前記広域基地局および前記狭域基地局と通信可能な無線通信端末とを備えた無線通信システムであって、
前記無線通信端末に付属した無線IC機器を有し、
前記基地局装置が、
前記無線通信端末との通信を行う端末通信部と、
前記無線IC機器との通信を行うIC通信部と、
前記広域基地局を制御する管理サーバとの通信を行う基地局通信部とを備え、
前記IC通信部が前記無線IC機器から送信された信号を検知した場合において、前記無線通信端末が前記広域基地局と通信している際、前記無線通信端末が前記端末通信部と通信させるように切り替えさせるための切替情報を前記管理サーバに前記基地局通信部を介して通知する制御部とを備えたことを特徴とする無線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−4103(P2010−4103A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−158821(P2008−158821)
【出願日】平成20年6月18日(2008.6.18)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】