基板のパッド構造
【課題】本発明は、基板のパッド構造によって、プリント基板の表面に実装される電子装置のリード端子接続部とパッドと間の接合強度を図りつつ、コネクタリードとパッドとの間の特性インピーダンス整合を調整することを課題とする。
【解決手段】基板100の表面に実装される電子装置150のリード端子接続部26に接続するための、基板100のパッドの構造であって、パッドは、第1及び第2のパッド部20,21を有し、第1及び第2のパッド部20,21は、接続すべきリード端子接続部26の両端に対応する位置に配置され、第1及び第2のパッド部20,21の間は少なくとも部分的に空間部30とし、前記リード端子接続部26の一部がパッドに接続されないことを特徴とする基板のパッド構造1Aとする。
【解決手段】基板100の表面に実装される電子装置150のリード端子接続部26に接続するための、基板100のパッドの構造であって、パッドは、第1及び第2のパッド部20,21を有し、第1及び第2のパッド部20,21は、接続すべきリード端子接続部26の両端に対応する位置に配置され、第1及び第2のパッド部20,21の間は少なくとも部分的に空間部30とし、前記リード端子接続部26の一部がパッドに接続されないことを特徴とする基板のパッド構造1Aとする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の表面に実装される電子装置のリード端子接続部に接続するための、基板のパッドの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリント基板に表面実装される電子装置としてのコネクタとプリント基板との電気的接続は、複数のコネクタリード端子の接続部とプリント基板上に配置された複数のパッドをはんだ付け等で接合することにより行われている。
【0003】
図1(A)に、ケーブルアッセンブリの伝送特性を評価するための評価基板100の一端に同軸ケーブルのコネクタ150が接続されている様子を示す。図1(B)に示すように、このコネクタ150の各リード端子250の接続部252がプリント基板100上の各パッド200に接合されることにより、コネクタ150がプリント基板に電気的に接続される。
【0004】
このコネクタ150の各リード端子部分をさらに拡大すると、図2(A)に示すように、それぞれ信号(+)端子、信号(−)端子及びグランド端子として機能する各リード端子250が、プリント基板に配置された対応するパッド200に接続される。各パッド200は、図2(B)に示すようにプリント基板上に配置されている。
【0005】
図3(A)に示すように、各コネクタリード端子250の接続部252は長方形状であり、それより大きい長方形をした対応する各パッド200上にはんだ接合される。その従来の接合状態を側面から見ると、図3(B)に示すように、リード端子250の接続部252の底面全体が、パッド200上に隙間なく接合されている。
【0006】
この基板上のパッドとリード端子をずれなく接合する方法として、特許文献1に示すように、リード端子の形状に工夫を加えたものが提案されている。
【特許文献1】特開平5−63132号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、リード端子接続部の底面全体がパッド上に隙間なく接合されるような従来のパッドとコネクタリード端子接続部との接続構造では、パッドとコネクタリード端子間において、高周波領域の信号を伝送するときに生じる特性インピーダンスの整合がとれず、信号の反射が生じてしまい、伝送特性劣化を生じさせやすいという問題があった。
【0008】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、プリント基板の表面に実装される電子装置のリード端子接続部とパッドとの間の接合強度を図りつつ、コネクタリードとパッドとの間の特性インピーダンス整合を調整した、基板のパッド構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために本発明では、次に述べる各手段を講じたことを特徴とするものである。
【0010】
本発明によれば、電子装置に設けられたリードの接続部が接続される基板のパッドの構造であって、前記パッドは、第1及び第2のパッド部を有し、前記第1及び第2のパッド部は、前記リード接続部の両端に対応する位置に配置され、前記第1及び第2のパッド部の間は少なくとも部分的に空間部とし、前記リード接続部の一部が前記パッドに接続されないことを特徴とする基板のパッド構造を提供する。
【0011】
また、前記パッドは、前記第1及び第2のパッド部の間に配置され、前記第1及び第2のパッド部の両方から距離をおいて配置された第3のパッド部を有する基板のパッド構造としても良い。
【0012】
また、前記リード接続部の長手方向のほぼ中央部分の所定長部分の全領域が第3のパッド部に接続され得る、基板のパッド構造としても良い。
【0013】
また、前記第3のパッド部は、前記リード接続部の長手方向に平行でかつ幅方向に偏らせて配置される基板のパッド構造としても良い。
【0014】
また、前記パッドは、前記第1及び第2のパッド部の間に配置され、前記リード端子の長手方向に平行でかつ幅方向に偏らせて配置される第3のパッド部を有する、基板のパッド構造としても良い。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、従来に比べて、基板に実装される電子装置のリード端子接続部と基板上のパッドとの接合強度を図りつつ、コネクタリード端子とパッドとの特性インピーダンス整合の調整を図った基板のパッド構造が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明を実施するための最良の形態について図面と共に説明する。
[第1実施形態]
図4は、本発明の第1実施形態に係るパッド1Aに、コネクタリード端子25の接続部26を接続した様子を示す図である。図4には、2つのパッド1Aが並列的に示されている。図4(A)は、パッド1Aとコネクタリード端子25の接続部26を接続した様子を示す概略平面図であり、図4(B)はパッド1Aとリード端子25の接続部26をはんだ付けしたときのはんだ付けを行う領域40をハッチングで示した図である。
【0017】
本実施形態に係るパッド1Aは、プリント基板上に設けた正方形状又は長方形状の第1のパッド部20及び同じく正方形状又は長方形状の第2のパッド部21から構成され、それらの間に、切欠き部を形成する空間部30がある構造となっている。パッドの材料は、導電性の高い金属、例えば銅である。
【0018】
第1のパッド部20と第2のパッド部21はそれぞれ、図4(A)に示すように、リード端子接続部26における両端に対応する位置に配置される。リード端子接続部26の両端は、対応するパッド部20,21にはんだ接合される。リード端子接続部26の中間部分はパッド1Aに接続されない。
【0019】
第2のパッド部21は、プリント基板上の電気的接続端子として機能し、リード端子上の電気的信号を基板上の回路部分に伝える役目を果たす。一方、第1のパッド部20は、プリント基板上に信号を伝える電気的接続端子としては機能しないが、リード端子接続部26をプリント基板に接続するための機械的強度を高め、かつ、リード端子とパッドとの間の特性インピーダンスを調整するための役目を果たす。
【0020】
図5は、本発明の第1実施形態に係るパッド1Aとコネクタリード端子25の接続部26との接続構造に依存して、これらの間の特性インピーダンスがどのように変化するかを示したTDR波形図である。
【0021】
TDRとは、Time Domain Reflectometryの略であり、立上がり速度が非常に速い電気パルス信号を測定対象の線路に印加し、信号が線路の途中を伝搬する際に反射してくる信号を観測することにより、線路の特性インピーダンスを求める計測方法である。
【0022】
図5は、本発明の第1実施形態に係るパッド構造における一定の立ち上がり時間の電気パルス信号を印加して得られたTDR波形図である。横軸が時間を示し、縦軸が特性インピーダンス値を示す。このグラフから本発明の第1実施形態に係るパッド構造によって特性インピーダンスがどのように調整できるかが分かる。
【0023】
第1のパッド部20と第2のパッド部21との間の距離(すなわち、空間部30の長さ)をLとする。図5のグラフにおいて、一点鎖線はL=0(すなわち、図3(A)の従来構造、空間部なし)のときの特性インピーダンスを示す。破線および実線は、パッド1Aの構造における特性インピーダンスを示したものである。破線は、Lの長さが長いとき、つまり立ち上がり時間に対する物理的な遅延時間(Lに対応する空間部における遅延時間)の比率が大きいときの特性インピーダンスを示し、実線は、Lの長さが短いとき、つまり立ち上がり時間に対する物理的な遅延時間(Lに対応する空間部における遅延時間)の比率が小さい時の特性インピーダンスを示している。尚、上記の一点鎖線、破線、及び実線で示す特性インピーダンスの波形は、全て同じ立ち上がり時間に対する特性を示したものである。
【0024】
これによると、Lの長さが長いとき、つまり立ち上がり時間に対する物理的な遅延時間(Lに対応する空間部における遅延時間)の比率が大きい時に特性インピーダンスの整合がとれた状態(Z0 Ohms)に最も近いことが分かる。このようなパッド構造により、特性インピーダンスの調整が可能となる。
[第2実施形態]
図6は、本発明の第2実施形態に係るパッド2Aに、コネクタリード端子25の接続部26を接続した様子を示す図である。図6には、2つのパッド2Aが並列的に示されている。図6(A)は、パッド2Aとコネクタリード端子25の接続部26を接続した様子を示す概略平面図であり、図6(B)はパッド2Aとリード端子25の接続部26をはんだ付けしたときのはんだ付けを行う領域40をハッチングで示した図である。
【0025】
本実施形態に係るパッド2Aは、プリント基板上に設けた正方形状又は長方形状の第1のパッド部20、同じく正方形状又は長方形状の第2のパッド部21及びそれらの間に配置された第3のパッド部22から構成されている。パッド部の材料は、導電性の高い金属、例えば銅である。
【0026】
第1のパッド部20と第2のパッド部21はそれぞれ、図6(A)に示すように、リード端子接続部26における両端に対応する位置に配置される。図6(B)に示すように、リード端子接続部26の両端は、対応するパッド部20,21にはんだ接合される。第1のパッド部20と第3のパッド部22との間、及び第2のパッド部21と第3のパッド部22との間においては、リード端子接続部26はパッド部に接続されない。この接続のされない部分が、切欠け部を形成する空間部30であり、第1及び第2のパッド部の間に空間部30がある構造となっている。
【0027】
第3のパッド部22は、リード端子接続部26の長手方向のほぼ中央部分に配置された、正方形状又は長方形状のパッド部である。第3のパッド部22は、第1及び第2のパッド部の両方から距離をおいて配置されている。図6(B)に示すように、第3のパッド部22は、リード端子接続部26の中間部分のうち、所定長(L2)部分の全領域50にはんだ接合される。
【0028】
第2のパッド部21は、プリント基板上の電気的接続端子として機能し、リード端子上の電気的信号を基板上の回路部分に伝える役目を果たす。一方、第1のパッド部20及び第3のパッド部22は、プリント基板上に信号を伝える電気的接続端子としては機能しないが、リード端子接続部26をプリント基板に接続するための機械的強度を高め、かつ、リード端子とパッドとの間の特性インピーダンスを調整するための役目を果たす。
【0029】
図7は、本発明の第2実施形態に係るパッド2Aとコネクタリード端子25の接続部26との接続状態に依存して、これらの間の特性インピーダンスがどのように変化するかを示したTDR波形図である。
【0030】
図7は、本発明の第2実施形態にかかるパッド構造における一定の立ち上がり時間(図5のTDR波形と同一の立ち上がり時間)の電気パルス信号を印加して得られたTDR波形図である。横軸が時間を示し、縦軸が特性インピーダンス値を示す。このグラフから本発明の第2実施形態に係るパッド構造によって特性インピーダンスがどのように調整できるかが分かる。
【0031】
第3のパッド部22がリード端子接続部26の長手方向において接続された、パッド部22の長さをL2とする。図7のグラフにおいて、一点鎖線および破線が、パッド2Aの構造における特性インピーダンスを示したものである。一点鎖線は、L2の長さが長いとき、つまり立ち上がり時間に対する物理的な遅延時間(L2に対応する空間部における遅延時間)の比率が小さいときの特性インピーダンスを示し、破線は、L2の長さが短いとき、つまり立ち上がり時間に対する物理的な遅延時間(L2に対応する空間部における遅延時間)の比率が大きいときの特性インピーダンスを示す。実線はL2=0(すなわち、図4の第1実施例)のとき、二点鎖線は従来の構造(すなわち図3(A))のときの特性インピーダンスを示している。尚、上記の一点鎖線、二点鎖線、破線、及び実線で示す特性インピーダンスの波形は、全て同じ立ち上がり時間に対する特性を示したものである。
【0032】
これによると、L2の長さが長いとき、つまり立ち上がり時間に対する物理的な遅延時間(L2に対応する空間部における遅延時間)の比率が大きいときに特性インピーダンスの整合がとれた状態に最も近いことが分かる。また、従来の構造よりも本実施例では、特性インピーダンスの整合がとれた状態に近くなることが分かる。このようなパッド構造により、特性インピーダンスの調整が可能となる。
[第3実施形態]
図8は、本発明の第3実施形態に係るパッド3Aに、コネクタリード端子25の接続部26を接続した様子を示す図である。図8には、2つのパッド3Aが並列的に示されている。図8(A)は、パッド3Aとコネクタリード端子25の接続部26を接続した様子を示す概略平面図であり、図8(B)はパッド3Aとリード端子25の接続部26をはんだ付けしたときのはんだ付けを行う領域40をハッチングで示した図である。
【0033】
本実施形態に係るパッド3Aは、第2実施形態に係るパッド2Aと共通する部分があるので、相違点についてのみ以下に説明する。
【0034】
第3のパッド部23は、第1のパッド部20と第2のパッド部21の間に配置され、それらから距離をおいて配置されている点は、第2実施形態と同様である。本実施形態の第3のパッド23は、リード端子接続部26の長手方向に沿って平行に配置された、長方形状のパッド部であり、リード端子接続部26に対して、幅方向に偏らせて配置されている。それにより、リード端子接続部26の中間部分の所定長(L3)部分のうち、長手方向に沿って分割した右半分又は左半分が第3のパッド部23に接続されない。この接続されない部分が、切欠け部を形成する空間部30であり、第1及び第2のパッド部の間には、空間部30がある構造となっている。
【0035】
第2のパッド部21は、プリント基板上の電気的接続端子として機能し、リード端子上の電気的信号を基板上の回路部分に伝える役目を果たす。一方、第1のパッド部20及び第3のパッド部23は、プリント基板上に信号を伝える電気的接続端子としては機能しないが、リード端子接続部26をプリント基板に接続するための機械的強度を高め、かつ、リード端子とパッドとの間の特性インピーダンスを調整するための役目を果たす。
【0036】
図9は、本発明の第3実施形態に係るパッド3Aとコネクタリード端子25の接続部26との接続状態に依存して、これらの間の特性インピーダンスがどのように変化するかを示したTDR波形図である。
【0037】
図9は、本発明の第3実施形態に係るパッド構造における一定の立ち上がり時間(図5のTDR波形と同一の立ち上がり時間)の電気パルス信号を印加して得られたTDR波形図である。横軸が時間を示し、縦軸が特性インピーダンス値を示す。このグラフから本発明の第3実施形態に係るパッド構造によって特性インピーダンスがどのように調整できたかが分かる。
【0038】
第3のパッド部23がリード端子接続部26の長手方向において接続された、パッド部23の長さをL3とする。図9のグラフにおいて、破線および実線は、パッド3Aの構造における特性インピーダンスを示したものである。破線は、L3の長さが短いとき、つまり立ち上がり時間に対する物理的な遅延時間(L3に対応する空間部における遅延時間)の比率が大きいときの特性インピーダンスを示し、実線は、L3の長さが長いとき、つまり立ち上がり時間に対する物理的な遅延時間(L3に対応する空間部における遅延時間)の比率が小さいときの特性インピーダンスを示している。一点鎖線は従来の構造(すなわち図3(A))のときの特性インピーダンスを示している。尚、上記の一点鎖線、破線、及び実線で示す特性インピーダンスの波形は、全て同じ立ち上がり時間に対する特性を示したものである。
【0039】
これによると、L3の長さが短いとき、つまり立ち上がり時間に対する物理的な遅延時間(L3に対応する空間部における遅延時間)の比率が大きい時に、特性インピーダンスの整合がとれた状態(Z0 Ohms)に最も近いことが分かる。また、従来の構造よりも本実施例では、特性インピーダンスの整合がとれた状態に近くなることが分かる。このようなパッド構造により、特性インピーダンスの調整が可能となる。
[第4の実施形態]
図10は、本発明の第4実施形態に係るパッド4Aに、コネクタリード端子25の接続部26を接続した様子を示す図である。図9には、2つのパッド4Aが並列的に示されている。図10(A)は、パッド4Aとコネクタリード端子25の接続部26を接続した様子を示す概略平面図であり、図10(B)はパッド4Aとリード端子25の接続部26をはんだ付けしたときのはんだ付けを行う領域40をハッチングで示した図である。
【0040】
本実施形態に係るパッド4Aは、プリント基板上に設けた正方形状又は長方形状の第1のパッド部20、同じく正方形状又は長方形状の第2のパッド部21及びそれらの間に配置された第3のパッド部24から構成されている。パッド部の材料は、導電性の高い金属、例えば銅である。
【0041】
第1のパッド部20と第2のパッド部21はそれぞれ、図10(A)に示すように、リード端子接続部26における両端に対応する位置に配置される。リード端子接続部26の両端は、対応するパッド部20,21にはんだ接合される。
【0042】
第3のパッド部24は、リード端子接続部26の長手方向に沿って平行に配置された長方形状のパッド部である。第3のパッド部24の両端がそれぞれ、図10(A)に示すように、第1のパッド部20及び第2のパッド部21の内端部に接している。長方形状の第3のパッド部24は、リード端子接続部26に対して、幅方向に偏らせて配置されている。それにより、リード端子接続部26の中間部分のうち、長手方向に沿って分割した右半分又は左半分が第3のパッド部24に接続されない。この接続されない部分が、切欠け部を形成する空間部30であり、第1及び第2のパッド部の間に空間部30がある構造となっている。
【0043】
第2のパッド部21は、プリント基板上の電気的接続端子として機能し、リード端子上の電気的信号を基板上の回路部分に伝える役目を果たす。一方、第1のパッド部20及び第3のパッド部24は、リード端子接続部26をプリント基板に接続するための機械的強度を高め、かつ、リード端子とパッドとの間の特性インピーダンスを調整するための役目を果たす。
【0044】
図11は、本発明の第4実施形態に係るパッド4Aとコネクタリード端子25の接続部26との接続構造に依存して、これらの間の特性インピーダンスがどのように変化するかを示したTDR波形図である。
【0045】
図11は、本発明の第4実施形態に係るパッド構造における一定の立ち上がり時間(図5のTDR波形と同一の立ち上がり時間)の電気パルス信号を印加して得られたTDR波形図である。横軸が時間を示し、縦軸が特性インピーダンス値を示す。このグラフから本発明の第4実施形態に係るパッド構造によって特性インピーダンスがどのように調整できるかが分かる。
【0046】
第1のパッド部20と第2のパッド部21との間の距離(すなわち、空間部30の長さ)をL4とする。図11のグラフにおいて、破線および実線は、パッド4Aの構造における特性インピーダンスを示したものである。破線は、L4の長さが長いとき、つまり立ち上がり時間に対する物理的な遅延時間(L4に対応する空間部における遅延時間)の比率が大きいときの特性インピーダンスを示し、実線は、L4の長さが短いとき、つまり立ち上がり時間に対する物理的な遅延時間(L4に対応する空間部における遅延時間)の比率が小さいときの特性インピーダンスを示している。一点鎖線は従来の構造(すなわち図3(A))のときの特性インピーダンスである。尚、上記の一点鎖線、破線、及び実線で示す特性インピーダンスの波形は、全て同じ立ち上がり時間に対する特性を示したものである。
【0047】
これによると、L4の長さが長いとき、つまり立ち上がり時間に対する物理的な遅延時間(L4に対応する空間部における遅延時間)の比率が大きいときに、特性インピーダンスの整合がとれた状態(Z0 Ohms)に最も近いことが分かる。また、従来の構造よりも本実施例では、特性インピーダンスの整合がとれた状態に近くなることが分かる。このようなパッド構造により、特性インピーダンスの調整が可能となる。
【0048】
上記のように、本発明の実施形態によれば、プリント基板の表面に実装される電子装置のリード端子接続部とパッドと間の接合強度を図りつつ、コネクタリードとパッドとの間の特性インピーダンス整合を調整した、基板のパッド構造を提供することが可能となる。
【0049】
以上、本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は上記した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲において、種々の変形、変更が可能なものである。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明はプリント基板に表面実装するコネクタの基板パッドに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】図1(A)は、同軸ケーブルのコネクタが評価基板に接続されている様子を示す図である。図1(B)は、従来のコネクタリード端子が、プリント基板上のパッドに接合される様子を示す図である。
【図2】図2(A)は、従来のコネクタリード端子部分を拡大した図である。図2(B)は、プリント基板上にパッドが配置されている図である。
【図3】図3(A)は、従来のコネクタリード端子とパッドとを接続した様子を示す図である。図3(B)は、従来のリード端子とパッドの側面図である。
【図4】図4(A)は、本発明の第1実施形態に係るパッド1Aを説明するための図である。図4(B)は、パッド1Aとリード端子が接合されているはんだ領域を説明するための図である。
【図5】図5は、本発明の第1実施形態に係るパッド構造に関するTDRグラフである。
【図6】図6(A)は、本発明の第2実施形態に係るパッド2Aを説明するための図である。図6(B)は、パッド2Aとリード端子が接合されているはんだ領域を説明するための図である。
【図7】図7は、本発明の第2実施形態に係るパッド構造に関するTDRグラフである。
【図8】図8(A)は、本発明の第3実施形態に係るパッド3Aを説明するための図である。図8(B)は、パッド3Aとリード端子が接合されているはんだ領域を説明するための図である。
【図9】図9は、本発明の第3実施形態に係るパッド構造に関するTDRグラフである。
【図10】図10(A)は、本発明の第4実施形態に係るパッド4Aを説明するための図である。図10(B)は、パッド4Aとリード端子が接合されているはんだ領域を説明するための図である。
【図11】図11は、本発明の第4実施形態に係るパッド構造に関するTDRグラフである。
【符号の説明】
【0052】
1A、2A、3A、4A パッド構造
20 第1のパッド部
21 第2のパッド部
22、23、24 第3のパッド部
25 コネクタリード端子
26 コネクタリード端子接続部
30 空間部
40 はんだ付け領域
100 プリント基板
150 コネクタ
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の表面に実装される電子装置のリード端子接続部に接続するための、基板のパッドの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリント基板に表面実装される電子装置としてのコネクタとプリント基板との電気的接続は、複数のコネクタリード端子の接続部とプリント基板上に配置された複数のパッドをはんだ付け等で接合することにより行われている。
【0003】
図1(A)に、ケーブルアッセンブリの伝送特性を評価するための評価基板100の一端に同軸ケーブルのコネクタ150が接続されている様子を示す。図1(B)に示すように、このコネクタ150の各リード端子250の接続部252がプリント基板100上の各パッド200に接合されることにより、コネクタ150がプリント基板に電気的に接続される。
【0004】
このコネクタ150の各リード端子部分をさらに拡大すると、図2(A)に示すように、それぞれ信号(+)端子、信号(−)端子及びグランド端子として機能する各リード端子250が、プリント基板に配置された対応するパッド200に接続される。各パッド200は、図2(B)に示すようにプリント基板上に配置されている。
【0005】
図3(A)に示すように、各コネクタリード端子250の接続部252は長方形状であり、それより大きい長方形をした対応する各パッド200上にはんだ接合される。その従来の接合状態を側面から見ると、図3(B)に示すように、リード端子250の接続部252の底面全体が、パッド200上に隙間なく接合されている。
【0006】
この基板上のパッドとリード端子をずれなく接合する方法として、特許文献1に示すように、リード端子の形状に工夫を加えたものが提案されている。
【特許文献1】特開平5−63132号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、リード端子接続部の底面全体がパッド上に隙間なく接合されるような従来のパッドとコネクタリード端子接続部との接続構造では、パッドとコネクタリード端子間において、高周波領域の信号を伝送するときに生じる特性インピーダンスの整合がとれず、信号の反射が生じてしまい、伝送特性劣化を生じさせやすいという問題があった。
【0008】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、プリント基板の表面に実装される電子装置のリード端子接続部とパッドとの間の接合強度を図りつつ、コネクタリードとパッドとの間の特性インピーダンス整合を調整した、基板のパッド構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために本発明では、次に述べる各手段を講じたことを特徴とするものである。
【0010】
本発明によれば、電子装置に設けられたリードの接続部が接続される基板のパッドの構造であって、前記パッドは、第1及び第2のパッド部を有し、前記第1及び第2のパッド部は、前記リード接続部の両端に対応する位置に配置され、前記第1及び第2のパッド部の間は少なくとも部分的に空間部とし、前記リード接続部の一部が前記パッドに接続されないことを特徴とする基板のパッド構造を提供する。
【0011】
また、前記パッドは、前記第1及び第2のパッド部の間に配置され、前記第1及び第2のパッド部の両方から距離をおいて配置された第3のパッド部を有する基板のパッド構造としても良い。
【0012】
また、前記リード接続部の長手方向のほぼ中央部分の所定長部分の全領域が第3のパッド部に接続され得る、基板のパッド構造としても良い。
【0013】
また、前記第3のパッド部は、前記リード接続部の長手方向に平行でかつ幅方向に偏らせて配置される基板のパッド構造としても良い。
【0014】
また、前記パッドは、前記第1及び第2のパッド部の間に配置され、前記リード端子の長手方向に平行でかつ幅方向に偏らせて配置される第3のパッド部を有する、基板のパッド構造としても良い。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、従来に比べて、基板に実装される電子装置のリード端子接続部と基板上のパッドとの接合強度を図りつつ、コネクタリード端子とパッドとの特性インピーダンス整合の調整を図った基板のパッド構造が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明を実施するための最良の形態について図面と共に説明する。
[第1実施形態]
図4は、本発明の第1実施形態に係るパッド1Aに、コネクタリード端子25の接続部26を接続した様子を示す図である。図4には、2つのパッド1Aが並列的に示されている。図4(A)は、パッド1Aとコネクタリード端子25の接続部26を接続した様子を示す概略平面図であり、図4(B)はパッド1Aとリード端子25の接続部26をはんだ付けしたときのはんだ付けを行う領域40をハッチングで示した図である。
【0017】
本実施形態に係るパッド1Aは、プリント基板上に設けた正方形状又は長方形状の第1のパッド部20及び同じく正方形状又は長方形状の第2のパッド部21から構成され、それらの間に、切欠き部を形成する空間部30がある構造となっている。パッドの材料は、導電性の高い金属、例えば銅である。
【0018】
第1のパッド部20と第2のパッド部21はそれぞれ、図4(A)に示すように、リード端子接続部26における両端に対応する位置に配置される。リード端子接続部26の両端は、対応するパッド部20,21にはんだ接合される。リード端子接続部26の中間部分はパッド1Aに接続されない。
【0019】
第2のパッド部21は、プリント基板上の電気的接続端子として機能し、リード端子上の電気的信号を基板上の回路部分に伝える役目を果たす。一方、第1のパッド部20は、プリント基板上に信号を伝える電気的接続端子としては機能しないが、リード端子接続部26をプリント基板に接続するための機械的強度を高め、かつ、リード端子とパッドとの間の特性インピーダンスを調整するための役目を果たす。
【0020】
図5は、本発明の第1実施形態に係るパッド1Aとコネクタリード端子25の接続部26との接続構造に依存して、これらの間の特性インピーダンスがどのように変化するかを示したTDR波形図である。
【0021】
TDRとは、Time Domain Reflectometryの略であり、立上がり速度が非常に速い電気パルス信号を測定対象の線路に印加し、信号が線路の途中を伝搬する際に反射してくる信号を観測することにより、線路の特性インピーダンスを求める計測方法である。
【0022】
図5は、本発明の第1実施形態に係るパッド構造における一定の立ち上がり時間の電気パルス信号を印加して得られたTDR波形図である。横軸が時間を示し、縦軸が特性インピーダンス値を示す。このグラフから本発明の第1実施形態に係るパッド構造によって特性インピーダンスがどのように調整できるかが分かる。
【0023】
第1のパッド部20と第2のパッド部21との間の距離(すなわち、空間部30の長さ)をLとする。図5のグラフにおいて、一点鎖線はL=0(すなわち、図3(A)の従来構造、空間部なし)のときの特性インピーダンスを示す。破線および実線は、パッド1Aの構造における特性インピーダンスを示したものである。破線は、Lの長さが長いとき、つまり立ち上がり時間に対する物理的な遅延時間(Lに対応する空間部における遅延時間)の比率が大きいときの特性インピーダンスを示し、実線は、Lの長さが短いとき、つまり立ち上がり時間に対する物理的な遅延時間(Lに対応する空間部における遅延時間)の比率が小さい時の特性インピーダンスを示している。尚、上記の一点鎖線、破線、及び実線で示す特性インピーダンスの波形は、全て同じ立ち上がり時間に対する特性を示したものである。
【0024】
これによると、Lの長さが長いとき、つまり立ち上がり時間に対する物理的な遅延時間(Lに対応する空間部における遅延時間)の比率が大きい時に特性インピーダンスの整合がとれた状態(Z0 Ohms)に最も近いことが分かる。このようなパッド構造により、特性インピーダンスの調整が可能となる。
[第2実施形態]
図6は、本発明の第2実施形態に係るパッド2Aに、コネクタリード端子25の接続部26を接続した様子を示す図である。図6には、2つのパッド2Aが並列的に示されている。図6(A)は、パッド2Aとコネクタリード端子25の接続部26を接続した様子を示す概略平面図であり、図6(B)はパッド2Aとリード端子25の接続部26をはんだ付けしたときのはんだ付けを行う領域40をハッチングで示した図である。
【0025】
本実施形態に係るパッド2Aは、プリント基板上に設けた正方形状又は長方形状の第1のパッド部20、同じく正方形状又は長方形状の第2のパッド部21及びそれらの間に配置された第3のパッド部22から構成されている。パッド部の材料は、導電性の高い金属、例えば銅である。
【0026】
第1のパッド部20と第2のパッド部21はそれぞれ、図6(A)に示すように、リード端子接続部26における両端に対応する位置に配置される。図6(B)に示すように、リード端子接続部26の両端は、対応するパッド部20,21にはんだ接合される。第1のパッド部20と第3のパッド部22との間、及び第2のパッド部21と第3のパッド部22との間においては、リード端子接続部26はパッド部に接続されない。この接続のされない部分が、切欠け部を形成する空間部30であり、第1及び第2のパッド部の間に空間部30がある構造となっている。
【0027】
第3のパッド部22は、リード端子接続部26の長手方向のほぼ中央部分に配置された、正方形状又は長方形状のパッド部である。第3のパッド部22は、第1及び第2のパッド部の両方から距離をおいて配置されている。図6(B)に示すように、第3のパッド部22は、リード端子接続部26の中間部分のうち、所定長(L2)部分の全領域50にはんだ接合される。
【0028】
第2のパッド部21は、プリント基板上の電気的接続端子として機能し、リード端子上の電気的信号を基板上の回路部分に伝える役目を果たす。一方、第1のパッド部20及び第3のパッド部22は、プリント基板上に信号を伝える電気的接続端子としては機能しないが、リード端子接続部26をプリント基板に接続するための機械的強度を高め、かつ、リード端子とパッドとの間の特性インピーダンスを調整するための役目を果たす。
【0029】
図7は、本発明の第2実施形態に係るパッド2Aとコネクタリード端子25の接続部26との接続状態に依存して、これらの間の特性インピーダンスがどのように変化するかを示したTDR波形図である。
【0030】
図7は、本発明の第2実施形態にかかるパッド構造における一定の立ち上がり時間(図5のTDR波形と同一の立ち上がり時間)の電気パルス信号を印加して得られたTDR波形図である。横軸が時間を示し、縦軸が特性インピーダンス値を示す。このグラフから本発明の第2実施形態に係るパッド構造によって特性インピーダンスがどのように調整できるかが分かる。
【0031】
第3のパッド部22がリード端子接続部26の長手方向において接続された、パッド部22の長さをL2とする。図7のグラフにおいて、一点鎖線および破線が、パッド2Aの構造における特性インピーダンスを示したものである。一点鎖線は、L2の長さが長いとき、つまり立ち上がり時間に対する物理的な遅延時間(L2に対応する空間部における遅延時間)の比率が小さいときの特性インピーダンスを示し、破線は、L2の長さが短いとき、つまり立ち上がり時間に対する物理的な遅延時間(L2に対応する空間部における遅延時間)の比率が大きいときの特性インピーダンスを示す。実線はL2=0(すなわち、図4の第1実施例)のとき、二点鎖線は従来の構造(すなわち図3(A))のときの特性インピーダンスを示している。尚、上記の一点鎖線、二点鎖線、破線、及び実線で示す特性インピーダンスの波形は、全て同じ立ち上がり時間に対する特性を示したものである。
【0032】
これによると、L2の長さが長いとき、つまり立ち上がり時間に対する物理的な遅延時間(L2に対応する空間部における遅延時間)の比率が大きいときに特性インピーダンスの整合がとれた状態に最も近いことが分かる。また、従来の構造よりも本実施例では、特性インピーダンスの整合がとれた状態に近くなることが分かる。このようなパッド構造により、特性インピーダンスの調整が可能となる。
[第3実施形態]
図8は、本発明の第3実施形態に係るパッド3Aに、コネクタリード端子25の接続部26を接続した様子を示す図である。図8には、2つのパッド3Aが並列的に示されている。図8(A)は、パッド3Aとコネクタリード端子25の接続部26を接続した様子を示す概略平面図であり、図8(B)はパッド3Aとリード端子25の接続部26をはんだ付けしたときのはんだ付けを行う領域40をハッチングで示した図である。
【0033】
本実施形態に係るパッド3Aは、第2実施形態に係るパッド2Aと共通する部分があるので、相違点についてのみ以下に説明する。
【0034】
第3のパッド部23は、第1のパッド部20と第2のパッド部21の間に配置され、それらから距離をおいて配置されている点は、第2実施形態と同様である。本実施形態の第3のパッド23は、リード端子接続部26の長手方向に沿って平行に配置された、長方形状のパッド部であり、リード端子接続部26に対して、幅方向に偏らせて配置されている。それにより、リード端子接続部26の中間部分の所定長(L3)部分のうち、長手方向に沿って分割した右半分又は左半分が第3のパッド部23に接続されない。この接続されない部分が、切欠け部を形成する空間部30であり、第1及び第2のパッド部の間には、空間部30がある構造となっている。
【0035】
第2のパッド部21は、プリント基板上の電気的接続端子として機能し、リード端子上の電気的信号を基板上の回路部分に伝える役目を果たす。一方、第1のパッド部20及び第3のパッド部23は、プリント基板上に信号を伝える電気的接続端子としては機能しないが、リード端子接続部26をプリント基板に接続するための機械的強度を高め、かつ、リード端子とパッドとの間の特性インピーダンスを調整するための役目を果たす。
【0036】
図9は、本発明の第3実施形態に係るパッド3Aとコネクタリード端子25の接続部26との接続状態に依存して、これらの間の特性インピーダンスがどのように変化するかを示したTDR波形図である。
【0037】
図9は、本発明の第3実施形態に係るパッド構造における一定の立ち上がり時間(図5のTDR波形と同一の立ち上がり時間)の電気パルス信号を印加して得られたTDR波形図である。横軸が時間を示し、縦軸が特性インピーダンス値を示す。このグラフから本発明の第3実施形態に係るパッド構造によって特性インピーダンスがどのように調整できたかが分かる。
【0038】
第3のパッド部23がリード端子接続部26の長手方向において接続された、パッド部23の長さをL3とする。図9のグラフにおいて、破線および実線は、パッド3Aの構造における特性インピーダンスを示したものである。破線は、L3の長さが短いとき、つまり立ち上がり時間に対する物理的な遅延時間(L3に対応する空間部における遅延時間)の比率が大きいときの特性インピーダンスを示し、実線は、L3の長さが長いとき、つまり立ち上がり時間に対する物理的な遅延時間(L3に対応する空間部における遅延時間)の比率が小さいときの特性インピーダンスを示している。一点鎖線は従来の構造(すなわち図3(A))のときの特性インピーダンスを示している。尚、上記の一点鎖線、破線、及び実線で示す特性インピーダンスの波形は、全て同じ立ち上がり時間に対する特性を示したものである。
【0039】
これによると、L3の長さが短いとき、つまり立ち上がり時間に対する物理的な遅延時間(L3に対応する空間部における遅延時間)の比率が大きい時に、特性インピーダンスの整合がとれた状態(Z0 Ohms)に最も近いことが分かる。また、従来の構造よりも本実施例では、特性インピーダンスの整合がとれた状態に近くなることが分かる。このようなパッド構造により、特性インピーダンスの調整が可能となる。
[第4の実施形態]
図10は、本発明の第4実施形態に係るパッド4Aに、コネクタリード端子25の接続部26を接続した様子を示す図である。図9には、2つのパッド4Aが並列的に示されている。図10(A)は、パッド4Aとコネクタリード端子25の接続部26を接続した様子を示す概略平面図であり、図10(B)はパッド4Aとリード端子25の接続部26をはんだ付けしたときのはんだ付けを行う領域40をハッチングで示した図である。
【0040】
本実施形態に係るパッド4Aは、プリント基板上に設けた正方形状又は長方形状の第1のパッド部20、同じく正方形状又は長方形状の第2のパッド部21及びそれらの間に配置された第3のパッド部24から構成されている。パッド部の材料は、導電性の高い金属、例えば銅である。
【0041】
第1のパッド部20と第2のパッド部21はそれぞれ、図10(A)に示すように、リード端子接続部26における両端に対応する位置に配置される。リード端子接続部26の両端は、対応するパッド部20,21にはんだ接合される。
【0042】
第3のパッド部24は、リード端子接続部26の長手方向に沿って平行に配置された長方形状のパッド部である。第3のパッド部24の両端がそれぞれ、図10(A)に示すように、第1のパッド部20及び第2のパッド部21の内端部に接している。長方形状の第3のパッド部24は、リード端子接続部26に対して、幅方向に偏らせて配置されている。それにより、リード端子接続部26の中間部分のうち、長手方向に沿って分割した右半分又は左半分が第3のパッド部24に接続されない。この接続されない部分が、切欠け部を形成する空間部30であり、第1及び第2のパッド部の間に空間部30がある構造となっている。
【0043】
第2のパッド部21は、プリント基板上の電気的接続端子として機能し、リード端子上の電気的信号を基板上の回路部分に伝える役目を果たす。一方、第1のパッド部20及び第3のパッド部24は、リード端子接続部26をプリント基板に接続するための機械的強度を高め、かつ、リード端子とパッドとの間の特性インピーダンスを調整するための役目を果たす。
【0044】
図11は、本発明の第4実施形態に係るパッド4Aとコネクタリード端子25の接続部26との接続構造に依存して、これらの間の特性インピーダンスがどのように変化するかを示したTDR波形図である。
【0045】
図11は、本発明の第4実施形態に係るパッド構造における一定の立ち上がり時間(図5のTDR波形と同一の立ち上がり時間)の電気パルス信号を印加して得られたTDR波形図である。横軸が時間を示し、縦軸が特性インピーダンス値を示す。このグラフから本発明の第4実施形態に係るパッド構造によって特性インピーダンスがどのように調整できるかが分かる。
【0046】
第1のパッド部20と第2のパッド部21との間の距離(すなわち、空間部30の長さ)をL4とする。図11のグラフにおいて、破線および実線は、パッド4Aの構造における特性インピーダンスを示したものである。破線は、L4の長さが長いとき、つまり立ち上がり時間に対する物理的な遅延時間(L4に対応する空間部における遅延時間)の比率が大きいときの特性インピーダンスを示し、実線は、L4の長さが短いとき、つまり立ち上がり時間に対する物理的な遅延時間(L4に対応する空間部における遅延時間)の比率が小さいときの特性インピーダンスを示している。一点鎖線は従来の構造(すなわち図3(A))のときの特性インピーダンスである。尚、上記の一点鎖線、破線、及び実線で示す特性インピーダンスの波形は、全て同じ立ち上がり時間に対する特性を示したものである。
【0047】
これによると、L4の長さが長いとき、つまり立ち上がり時間に対する物理的な遅延時間(L4に対応する空間部における遅延時間)の比率が大きいときに、特性インピーダンスの整合がとれた状態(Z0 Ohms)に最も近いことが分かる。また、従来の構造よりも本実施例では、特性インピーダンスの整合がとれた状態に近くなることが分かる。このようなパッド構造により、特性インピーダンスの調整が可能となる。
【0048】
上記のように、本発明の実施形態によれば、プリント基板の表面に実装される電子装置のリード端子接続部とパッドと間の接合強度を図りつつ、コネクタリードとパッドとの間の特性インピーダンス整合を調整した、基板のパッド構造を提供することが可能となる。
【0049】
以上、本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は上記した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲において、種々の変形、変更が可能なものである。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明はプリント基板に表面実装するコネクタの基板パッドに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】図1(A)は、同軸ケーブルのコネクタが評価基板に接続されている様子を示す図である。図1(B)は、従来のコネクタリード端子が、プリント基板上のパッドに接合される様子を示す図である。
【図2】図2(A)は、従来のコネクタリード端子部分を拡大した図である。図2(B)は、プリント基板上にパッドが配置されている図である。
【図3】図3(A)は、従来のコネクタリード端子とパッドとを接続した様子を示す図である。図3(B)は、従来のリード端子とパッドの側面図である。
【図4】図4(A)は、本発明の第1実施形態に係るパッド1Aを説明するための図である。図4(B)は、パッド1Aとリード端子が接合されているはんだ領域を説明するための図である。
【図5】図5は、本発明の第1実施形態に係るパッド構造に関するTDRグラフである。
【図6】図6(A)は、本発明の第2実施形態に係るパッド2Aを説明するための図である。図6(B)は、パッド2Aとリード端子が接合されているはんだ領域を説明するための図である。
【図7】図7は、本発明の第2実施形態に係るパッド構造に関するTDRグラフである。
【図8】図8(A)は、本発明の第3実施形態に係るパッド3Aを説明するための図である。図8(B)は、パッド3Aとリード端子が接合されているはんだ領域を説明するための図である。
【図9】図9は、本発明の第3実施形態に係るパッド構造に関するTDRグラフである。
【図10】図10(A)は、本発明の第4実施形態に係るパッド4Aを説明するための図である。図10(B)は、パッド4Aとリード端子が接合されているはんだ領域を説明するための図である。
【図11】図11は、本発明の第4実施形態に係るパッド構造に関するTDRグラフである。
【符号の説明】
【0052】
1A、2A、3A、4A パッド構造
20 第1のパッド部
21 第2のパッド部
22、23、24 第3のパッド部
25 コネクタリード端子
26 コネクタリード端子接続部
30 空間部
40 はんだ付け領域
100 プリント基板
150 コネクタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子装置に設けられたリードの接続部が接続される基板のパッドの構造であって、
前記パッドは、第1及び第2のパッド部を有し、
前記第1及び第2のパッド部は、前記リード接続部の両端に対応する位置に配置され、
前記第1及び第2のパッド部の間は少なくとも部分的に空間部とし、前記リード接続部の一部が前記パッドに接続されないことを特徴とする基板のパッド構造。
【請求項2】
前記パッドは、前記第1及び第2のパッド部の間に配置され、前記第1及び第2のパッド部の両方から距離をおいて配置された第3のパッド部を有する、請求項1に記載の基板のパッド構造。
【請求項3】
前記リード接続部の長手方向のほぼ中央部分の所定長部分の全領域が第3のパッド部に接続され得る、請求項2に記載の基板のパッド構造。
【請求項4】
前記第3のパッド部は、前記リード接続部の長手方向に平行でかつ幅方向に偏らせて配置される請求項2に記載の基板のパッド構造。
【請求項5】
前記パッドは、前記第1及び第2のパッド部の間に配置され、前記リード端子の長手方向に平行でかつ幅方向に偏らせて配置される第3のパッド部を有する、請求項1に記載の基板のパッド構造。
【請求項1】
電子装置に設けられたリードの接続部が接続される基板のパッドの構造であって、
前記パッドは、第1及び第2のパッド部を有し、
前記第1及び第2のパッド部は、前記リード接続部の両端に対応する位置に配置され、
前記第1及び第2のパッド部の間は少なくとも部分的に空間部とし、前記リード接続部の一部が前記パッドに接続されないことを特徴とする基板のパッド構造。
【請求項2】
前記パッドは、前記第1及び第2のパッド部の間に配置され、前記第1及び第2のパッド部の両方から距離をおいて配置された第3のパッド部を有する、請求項1に記載の基板のパッド構造。
【請求項3】
前記リード接続部の長手方向のほぼ中央部分の所定長部分の全領域が第3のパッド部に接続され得る、請求項2に記載の基板のパッド構造。
【請求項4】
前記第3のパッド部は、前記リード接続部の長手方向に平行でかつ幅方向に偏らせて配置される請求項2に記載の基板のパッド構造。
【請求項5】
前記パッドは、前記第1及び第2のパッド部の間に配置され、前記リード端子の長手方向に平行でかつ幅方向に偏らせて配置される第3のパッド部を有する、請求項1に記載の基板のパッド構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−141170(P2009−141170A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−316704(P2007−316704)
【出願日】平成19年12月7日(2007.12.7)
【出願人】(501398606)富士通コンポーネント株式会社 (848)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月7日(2007.12.7)
【出願人】(501398606)富士通コンポーネント株式会社 (848)
【Fターム(参考)】
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