説明

基板をコーティングするための電着可能な誘電性コーティング組成物および誘電性コーティングを形成する方法

【課題】高密度および複合相互接続を提供する多層回路パネル構造を提供すること。
【解決手段】本発明は、水性媒体中に分散した樹脂相を有する電着可能コーティング組成物に関する。樹脂相は、(a)非ゲル状の活性水素含有イオン塩基含有樹脂;および(b)該樹脂(a)の該活性水素と反応する硬化剤を含む。樹脂相は、組成物が電着され、かつ硬化される場合に、硬化フィルムがIPC−TM−650に従った燃焼耐性試験に合格し、かつ3.50以下の誘電定数を有するように、樹脂相中に存在する樹脂固体の総量に基いて共有結合性ハロゲン成分を有する。本発明はまた、電着可能コーティング組成物ならびに電着可能組成物でコーティングした基板を使用して、導電性基板上に誘電性コーティングを形成する方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、電着可能誘電性コーティング、このような誘電性コーティングを含む多層回路アセンブリ、およびこのような多層回路アセンブリを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
電気コンポーネント、例えば、レジスター、トランジスター、およびキャパシターは、一般に、プリント回路板のような回路パネル構造上にマウントされる。回路パネルは、通常、このシートの一方の主要な平坦な表面または両方の主要な表面上に配置された電気コンダクターを有する誘電性材料のほぼ平坦なシートを含む。コンダクターは、一般に、銅のような金属材料から形成され、そして上記板にマウントされた電気コンポーネントを相互接続するために供される。コンダクターがパネルの主要表面の両方の上に配置される場合、パネルは、誘電相中に、対向する表面上のコンダクターを相互接続するように空孔(または「貫通バイア」)を通じて延びるバイアコンダクターを有し得る。これまでは、スタック中の隣接するパネルの交互に面する表面上のコンダクターを分離する誘電性材料のさらなる層を有する複数のスタックされた回路パネルを取り込む多層回路パネルアセンブリが作製されてきた。これらの多層アセンブリは、通常、必要に応じて、必要な電気的相互接続を提供するために、スタック中の種々の回路パネル上のコンダクター間に延びる相互接続を取り込む。
【0003】
マイクロエレクトロニクス回路パッケージでは、回路およびユニットは、増加するスケールのパッケージングレベルで調製される。一般に、最も小さなスケールのパッケージングレベルは、代表的には、複数の微小回路および/またはその他のコンポーネントを収容する半導体チップである。このようなチップは、通常、セラミックス、シリコンなどから作製されている。多層基板を備える中間のパッケージレベル(すなわち、「チップキャリア」)には、多くのマイクロエレクトロニクス回路を収容する複数の小スケールチップが付着され得る。同様に、これらの中間パッケージレベルそれら自身は、大スケール回路カード、マザーボードなどに付着され得る。この中間パッケージレベルは、全体の回路アセンブリにおいていくつかの目的に供され、これには、構造支持、より小さなスケールの微小回路および回路のより大きなスケールのボードへの一時的統合、および回路アセンブリからの熱の散逸が含まれる。従来の中間パッケージングレベルで用いられる基板は、種々の材料、例えば、セラミック、繊維ガラス強化ポリエポキシド、およびポリイミドを含んでいる。
【0004】
前記の基板は、回路アセンブリへの構造的支持を提供するために十分な強剛性を提供する一方、代表的には、それに付着されるマイクロエレクトロニクスチップの熱膨張係数とはかなり異なる熱膨張係数を有する。その結果、繰り返し使用後の回路アセンブリの故障は、アセンブリの層間の接着剤接続部の故障に起因するリスクである。
【0005】
同様に、基板上で用いられる誘電性材料は、順応性、難燃性、および適合可能な熱膨張性質を含むいくつかの要求に合致しなければならない。従来の誘電性材料は、例えば、ポリイミド、ポリエポキシド、フェノール樹脂、およびフルオロカーボンを含む。これらのポリマー誘電性材料は、代表的には、隣接する層の熱膨張係数よりかなり高い熱膨張係数を有している。
【0006】
高密度の、複雑な相互接続を提供する回路パネル構造に対する増大する必要性が存在している。このような必要性は、多層回路パネル構造によって指向され得るが、このような多層回路アセンブリの製作は、重大な欠点を提示した。
【0007】
一般に、多層パネルは、適切なコンダクタを含む個々の二重側面の回路パネルを提供することによって作製される。これらパネルは、次いで、隣接するパネル間に配置された、一般に「プレプレッグ(prepreg)」と称される、1つ以上の未硬化または部分的に硬化した誘電性材料で他の上に積層されたものである。このようなスタックは、通常、熱および圧力下で硬化され、単一の塊を形成する。硬化後、代表的には、空孔が、異なるボード間の電気的接続が所望される位置にスタックを通じて穿孔される。得られる空孔または「貫通バイア」は、次に、通常、メッキされた貫通バイアを形成するために、空孔の内部をメッキすることによって、電気的に伝導性の材料でコーティングされるか、または充填される。高い深さ/直径比で空孔を穿孔することは困難であり、それ故、このようなアセンブリで用いられる空孔は、大きくなければならず、そしてアセンブリにおいて多大のスペースを消費する。
【0008】
特許文献1は、導電性基板または「コア」を提供する工程;この導電性コア上の選択された位置に抵抗を提供する工程;および抵抗によってコーティングされた位置を除く導電性コア上に未硬化誘電性材料を電気泳動により堆積する工程による、マイクロエレクトロニクスコンポーネントを作製する方法を開示している。この参考文献は、電気泳動により堆積された材料が、当該分野で公知であり、かつ市販され入手可能であるカチオン性アクリル−またはカチオン性エポキシ−ベースの組成物であり得ることを示唆している。この電気泳動により堆積された材料は、次いで、硬化されて、絶縁誘電相を形成し、そしてレジストが取り除かれ、その結果、この誘電相は、レジストによって覆われていた位置で導電性コアまで延びる開口を有する。このように形成され、そしてコーティングされた基板または「コア」まで延びる空孔は、一般に、「ブラインドバイア」と称されている。1つの実施形態では、この構造的導電性要素は、1つの主要表面から対向する主要表面まで延びる連続的貫通空孔または「貫通バイア」を含む金属シートである。誘電性材料が、電気泳動により塗布される場合、この誘電性材料は、導電性要素表面および空孔の壁上に均一な厚みで堆積される。しかし、この参考文献により示唆された電気泳動により堆積された誘電性材料は可燃性であり得、そしてそれ故、代表的な難燃性要求には合致しないことが見出されている。
【0009】
特許文献2および特許文献3は、回路アセンブリにおける使用のための多層薄膜配線構造を製作する方法を開示している。コア基板に塗布される誘電性材料は、好ましくは、好ましくは積層によって塗布される、完全に硬化されかつアニールされる、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスルホン、またはポリイミド−シロキサンのような熱可塑性ポリマーである。
【0010】
特許文献4は、多層回路板のための金属コア相を製作する方法を開示している。適切な誘電材料は、堆積可能な絶縁ポリマーコーティングを含む。この方法は、穴の開いた金属コアを用い、そしてこの参考文献は、基板の回路化を一般に記載している。
【0011】
特許文献5は、空孔の金属壁部分への絶縁性コーティングの直接電着が、空孔の上部リムおよび底部リブでコーティングの薄化を生成することなく、空孔壁上に樹脂の均一なフィルムを生成し得るが、引き続く金属の堆積が、この空孔の壁上に接着しない可能性があり、そしてさらに、電気絶縁性質が不適切であることを示唆している。これ故、この参考文献は、金属コアプリント回路板中に、メッキされた貫通空孔を形成するための改良された方法に関し、その方法は、微細に分割された形態にある固形無機充填材を含む電着可能な樹脂製コーティングを含むコーティングをその上に電気泳動により堆積することによる。適切な充填材は、粘土、シリカ、アルミナ、ケイ酸塩、土壌などを含む。この組成物は、プリント回路コンダクターと金属コアとの間で10メガオーム−cmより大きい容積抵抗を示す。この方法は、前記組成物を、空孔の金属壁部分上に電気泳動により堆積する工程;この樹脂製コーティングを硬化する工程であって、その厚みが少なくとも0.025ミリメートルである工程;水性酸化溶液で接着を促進して、このコーティング上に親水性の微小エッチング表面を生成する工程;空孔壁上および絶縁性表面層上の樹脂製コーティングの表面上に金属層を堆積する工程であって、この金属層がコーティング層に特定の剥離強度で接着する工程、および標準的なプリント回路技法により、絶縁金属基板上にプリント回路を形成する工程を包含する。
【0012】
特許文献6は、プリント回路のための導電性基板への電気泳動的に適用するためのコーティング組成物を開示している。この組成物は、色素を含有する微細に分割された合成樹脂粉末を含み、ここで、この樹脂は、エポキシ樹脂を含み、そして色素は、カチオン性樹脂と混合された、2〜10重量部の微細に分割されたシリカを含む。この組成物は、寸法安定性および機械的強度のような所望の性質を提供するプリント回路に適切である導電性基板上に絶縁性膜を形成する。
【0013】
中間パッケージレベルの回路化は、従来的に、金属基板に、ポジティブ−またはネガティブ−作用性フォトレジスト(本明細書では以後、集合的に「レジスト」と称される)を塗布し、次いで、曝露、現像、エッチングおよびストリッピングを実施することにより、所望の回路パターンを得る。レジスト組成物は、代表的には、積層、スプレーまたは浸漬技法により塗布される。このように塗布されるレジスト層は、5〜50ミクロンの厚みを有し得る。
【0014】
先に述べた基板に加えて、中間パッケージレベルのための従来の基板は、特許文献4に開示されるような中実の金属シートをさらに含み得る。これらの中実の構造は、整列目的のための貫通バイアを提供するために、回路アセンブリの製作の間に穿孔されなければならない。
【特許文献1】米国特許第6,266,874号明細書
【特許文献2】米国特許第5,224,265号明細書
【特許文献3】米国特許第5,232,548号明細書
【特許文献4】米国特許第5,153,986号明細書
【特許文献5】米国特許第4,601,916号明細書
【特許文献6】米国特許第4,238,385号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
先行技術のプロセスを考慮して、当該分野には、その製作が、先行技術回路アセンブリの欠点を克服する、高密度および複合相互接続を提供する多層回路パネル構造に対する必要性が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
(発明の要旨)
1つの実施形態において、本発明は、水性媒体中に分散される樹脂相を含む電着可能なコーティング組成物に関する。樹脂相は、以下を含む:(a)非ゲル状の活性水素コーティングイオン性塩の基含有樹脂;および(b)樹脂(a)の活性水素と反応性の硬化剤。樹脂相は、先述の樹脂相に存在する樹脂固体の総重量に基づく共有結合したハロゲン含有物を有し、その結果、組成物が電着され、硬化して硬化フィルムを形成する場合、硬化フィルムは、IPC−TM650に従って燃焼耐性試験を通過し、3.50以下の誘電定数を有する。
【0017】
別の実施形態において、本発明は、水性媒体中に分散した樹脂相を含む電着可能コーティング組成物に関し、この樹脂相は、以下を含む:(a)5〜90重量パーセントのゲル化されていない、活性水素を含有する、カチオン性アミン塩の基含有樹脂;および(b)1〜80重量パーセントのブロックされたポリイソシアネート硬化剤。樹脂相は、先述の樹脂相に存在する樹脂固体の総重量に基いて1〜50重量パーセントにわたる共有結合したハロゲン含量を有し、ここで、電着および硬化されて硬化フィルムを形成する場合、硬化フィルムは、IPC−TM−650に従う燃焼耐性試験に合格し、そして3.50未満または3.50に等しい誘電定数を有する。
【0018】
本発明はまた、電極および対電極を含む電気回路の電極として働く導電性基板上の誘電コーティングを形成するための方法に関し、この電極は、任意の以前に記載された水性電着可能組成物に浸される。本方法は、電極と対電極との間に電流を通し、電着可能組成物を実質的に連続的なフィルムとして基板上に堆積させる工程、およびフィルムを硬化するのに十分な温度で、十分な時間の間電着されたフィルムを加熱し、それによりフィルムを硬化させる工程を包含する。硬化した電着フィルムは、IPC−TM−650に従う燃焼耐性試験に合格し、そして3.50以下の誘電定数を有する。
【0019】
本発明は、さらに、基板および基板の少なくとも一部の上に硬化した誘電コーティング相を含むコーティングした基板上に関し、ここで硬化した誘電コーティング相は、IPC−TM−650に従う燃焼耐性試験に合格し、そして3.50未満または3.50に等しい誘電定数を有する。
【0020】
本発明は、さらに以下を提供する。
(項目1)
水性媒体に分散した樹脂相を含有する電着可能コーティング組成物であって、ここで、該樹脂相が以下:
(a)非ゲル状の活性水素含有イオン塩基含有樹脂;および
(b)該樹脂(a)の該活性水素と反応する硬化剤、
を含有し、該樹脂相は、該組成物が電着され、かつ硬化フィルムを形成するために硬化される場合、該硬化フィルムが、IPC−TM−650に従った燃焼耐性試験に合格し、かつ3.50以下の誘電定数を有するように、該樹脂相中に存在する樹脂固体の総重量に基いて、共有結合性ハロゲン含有量を有する、
電着可能コーティング組成物。
(項目2)
前記硬化フィルムが、3.30以下の誘電定数を有する、項目1に記載の電着可能コーティング組成物。
(項目3)
前記樹脂相が、該樹脂相中に存在する樹脂固体の総重量に基いて1〜50重量%の範囲の共有結合性ハロゲン含有量を有する、項目1に記載の電着可能コーティング組成物。
(項目4)
前記硬化フィルムが、3.00以下の誘電定数を有する、項目1に記載の電着可能コーティング組成物。
(項目5)
前記硬化フィルムが、0.02以下の誘電損失係数を有する、項目1に記載の電着可能コーティング組成物。
(項目6)
前記樹脂(a)が、カチオン塩基を含む、項目1に記載の電着可能コーティング組成物。(項目7)
前記カチオン塩基が、アミン塩基および/またはオニウム塩基から選択される、項目6に記載の電着可能コーティング組成物。
(項目8)
前記樹脂(a)が、ポリエポキシドおよび/またはアクリルポリマーに由来する少なくとも1つのポリマーを含む、項目7に記載の電着可能コーティング組成物。
(項目9)
前記樹脂(a)が、ハロゲン化ポリエポキシドおよび/またはハロゲン化アクリルポリマーに由来する共有結合性ハロゲン含有物を有する、項目3に記載の電着可能コーティング組成物。
(項目10)
前記樹脂(a)が、ハロゲン化フェノールに由来する共有結合性ハロゲン含有物を有する、項目3に記載の電着可能コーティング組成物。
(項目11)
前記樹脂(a)中に存在する前記共有結合性ハロゲン含有物が、ハロゲン化多価フェノールに由来する、項目10に記載の電着可能コーティング組成物。
(項目12)
前記ハロゲン化多価フェノールが、塩素化ビスフェノールAおよび臭素化ビスフェノールAの少なくとも1つを含む、項目11に記載の電着可能コーティング組成物。
(項目13)
前記ハロゲン化多価フェノールが、テトラブロモビスフェノールAを含む、項目12に記載の電着可能コーティング組成物。
(項目14)
前記硬化剤(b)が、ブロック化ポリイソシアネートおよびアミノプラスト樹脂の少なくとも1つから選択される物質を含む、項目1に記載の電着可能コーティング組成物。
(項目15)
前記硬化剤(b)が、該硬化剤(b)中に存在する樹脂固体の総重量に基いて60重量%までの共有結合性ハロゲン含有量を有する、項目1に記載の電着可能コーティング組成物。
(項目16)
前記樹脂相の前記共有結合性ハロゲン含有量が、前記樹脂(a)および前記硬化剤(b)とは異なり、かつ、前記樹脂(a)および前記硬化剤(b)に加えて存在する成分(c)に少なくとも一部は由来する、項目1に記載の電着可能コーティング組成物。
(項目17)
成分(c)が、ハロゲン化ポリオレフィン、ハロゲン化ホスフェートエステル、ハロゲン化フェノールおよびこれらの混合物からなる群から選択される共有結合性ハロゲン含有化合物を含む、項目16に記載の電着可能コーティング組成物。
(項目18)
さらに、レオロジー変更因子を含有する、項目1に記載の電着可能コーティング組成物。(項目19)
前記レオロジー変更因子が、第1級アミン基、第2級アミン基およびそれらの混合物からなる群から選択されるアミン基を含むカチオン性ポリエポキシド−アミン反応生成物ならびにポリエポキシド架橋薬剤の混合物を、水性媒体中で分散する工程とカチオン性ミクロゲル分散物を形成するために該混合物を架橋するために十分な温度まで該混合物を加熱する工程によって、調製されるカチオン性ミクロゲル分散物を含有する、項目18に記載の電着可能コーティング組成物。
(項目20)
水性媒体中に分散させた樹脂相を含有する電着可能コーティング組成物であって、以下:
(a)5〜90重量%の非ゲル状の活性水素含有カチオン性アミン塩基含有樹脂;および
(b)1〜80重量%のブロック化ポリイソシアネート硬化試薬
を含有し、
前記樹脂相が、該樹脂相中に存在する樹脂固体の総重量に基いて、1〜50重量%の範囲の共有結合性ハロゲン含有量を有し、ここで、硬化フィルムを形成するために、電着され、かつ硬化される場合、該硬化フィルムが、IPC−TM−650に従った燃焼耐性試験に合格し、かつ3.30以下の誘電定数を有する、
電着可能コーティング組成物。
(項目21)
電着および硬化が、0.01以下の誘導損失係数を有する、項目20に記載の電着可能コーティング組成物。
(項目22)
電子回路中の電極として役立つ導電性基板上に、誘電性コーティングを形成するための方法であって、ここで、該電子回路が、該電極および対電極を含み、該電極が水性電着可能組成物中に浸漬されており、
該方法が、該電着可能組成物を、実質的に連続性のフィルムとして該基板上に堆積するために、電流が、該電極および該対電極間を通過する工程、および
該電着されたフィルムを硬化するために十分な温度および時間、該電着フィルムを加熱し、それによって硬化フィルムを形成する工程を包含し、
ここで、該電着可能組成物が、水性媒体に分散された樹脂相を含有し、該樹脂相が以下:
(a)非ゲル状の活性水素含有イオン基含有電着可能樹脂;および
(b)該樹脂(a)の該活性水素と反応する硬化剤、
を含み、
該樹脂相が、該樹脂相中に存在する樹脂固体の総重量に基いて少なくとも1重量%の共有結合性ハロゲン含有量を有し、かつ、
該硬化フィルムが、IPC−TM−650に従った燃焼耐性試験に合格し、かつ3.50以下の誘電定数を有する、方法。
(項目23)
前記硬化フィルムが、3.30以下の誘電定数を有する、項目22に記載の方法。
(項目24)
前記硬化フィルムが、3.00以下の誘電定数を有する、項目22に記載の方法。
(項目25)
前記硬化フィルムが、25ミクロン以下の厚さを有する、項目22に記載の方法。
(項目26)
前記硬化フィルムが、0.02以下の誘導損失係数を有する、項目22に記載の方法。
(項目27)
前記導電性基板が、電子回路中で陰極としての役目をする、項目22に記載の方法。
(項目28)
前記樹脂(a)が、該樹脂(a)中に存在する樹脂固体の総重量に基いて、1〜50重量%の範囲の共有結合性ハロゲン含有量を有する、項目27に記載の方法。
(項目29)
前記樹脂(a)が、ポリエポキシドポリマーおよびアクリルポリマーの少なくとも1つに由来するポリマーを含む、項目22に記載の方法。
(項目30)
前記樹脂(a)中に存在する共有結合性ハロゲン含有物が、ハロゲン化フェノールに由来する、項目29に記載の方法。
(項目31)
前記ハロゲン化フェノールが、塩素化ビスフェノールAおよび臭素化ビスフェノールAの少なくとも1つから選択されるハロゲン化多価フェノールを含む、項目30に記載の方法。
(項目32)
前記ハロゲン化多価フェノールが、テトラブロモビスフェノールAを含む、項目31に記載の方法。
(項目33)
前記硬化剤(b)が、ブロック化ポリイソシアネートおよびアミノプラスト樹脂の少なくとも1つから選択される物質を含む、項目22に記載の方法。
(項目34)
前記硬化剤(b)が、該硬化剤(b)中に存在する樹脂固体の総重量に基いて60重量%までの共有結合性ハロゲン含有量を有する、項目22に記載の方法。
(項目35)
前記樹脂相の前記共有結合性ハロゲン含有量が、前記樹脂(a)および前記硬化剤(b)とは異なり、かつ、前記樹脂(a)および前記硬化剤(b)に加えて存在する成分(c)に少なくとも一部は由来する、項目22に記載の方法。
(項目36)
成分(c)が、ハロゲン化ポリオレフィン、ハロゲン化ホスフェートエステル、ハロゲン化フェノールおよびこれらの混合物からなる群から選択される共有結合性ハロゲン含有化合物を含む、項目35に記載の方法。
(項目37)
前記電着可能コーティング組成物が、さらに、レオロジー変更因子を含む、項目22に記載の方法。
(項目38)
前記レオロジー変更因子が、第1級アミン基、第2級アミン基およびそれらの混合物からなる群から選択されるアミン基を含むカチオン性ポリエポキシド−アミン反応生成物ならびにポリエポキシド架橋薬剤の混合物を、水性媒体中で分散する工程とカチオン性ミクロゲル分散物を形成するために該混合物を架橋するために十分な温度まで該混合物を加熱する工程によって、調製されるカチオン性ミクロゲル分散物を含む、項目37に記載の方法。
(項目39)
項目22に記載の方法であって、ここで、前記電着可能コーティング組成物が、水性媒体中に分散させた樹脂相を含有し、該樹脂相が、以下:
(a)前記組成物中に存在する総固体樹脂に基いて5〜90重量%の、(a)中に存在する樹脂固体の総重量に基いて1〜50重量%の範囲の共有結合性ハロゲン含有量を有する非ゲル状の活性水素含有カチオン性アミン塩基含有樹脂;および
(b)該組成物中に存在する総樹脂固体に基いて、1〜80重量%のブロック化ポリイソシアネート硬化試薬
を含有し、
ここで、前記硬化フィルムが、IPC−TM−650に従った燃焼耐性試験に合格し、かつ3.50以下の誘電定数を有し、かつ0.02以下の誘導損失係数を有する、
方法。
(項目40)
前記硬化フィルムが、25ミクロン以下の厚さを有する、項目22に記載の方法。
(項目41)
基板および基板の少なくとも一部上の硬化された誘電性コーティング層を含むコーティングされた基板であって、ここで、該誘電性コーティング層が、IPC−TM−650に従った燃焼耐性試験に合格し、かつ3.50以下の誘電定数を有する、コーティングされた基板。
(項目42)
前記硬化された誘電性コーティング層が、3.30以下の誘電定数を有する、項目41に記載のコーティングされた基板。
(項目43)
前記基板が、穿孔銅箔、鉄−ニッケル合金およびその組合せから選択された導電性基板を含む、項目41に記載のコーティングされた基板。
(項目44)
前記導電性基板が、穿孔銅箔を含む、項目43に記載のコーティングされた基板。
(項目45)
前記導電性基板が、鉄−ニッケル合金を含む、項目43に記載のコーティングされた基板。
(項目46)
前記硬化誘電性コーティングが、25ミクロン以下のフィルム厚さを有する、項目41に記載のコーティングされた基板。
(項目47)
前記硬化誘電性コーティング層が、20ミクロン以下のフィルム厚さを有する、項目41に記載のコーティングされた基板。
(項目48)
前記硬化誘電性コーティング層が、0.02以下の誘導損失係数を有する、項目41に記載のコーティングされた基板。
(項目49)
前記誘電性コーティング層が、基板の少なくとも一部上に、電着可能コーティング組成物を電気泳動により堆積することにより形成される、項目44に記載のコーティングされた基板。
(項目50)
項目49に記載のコーティングされた基板であって、ここで、電着可能コーティング組成物が、水性媒体に分散された樹脂相を含有し、該樹脂相が以下:
(a)非ゲル状の活性水素含有イオン基含有樹脂;および
(b)(a)の該活性水素と反応する硬化剤、を含み、
該樹脂相が、該樹脂相中に存在する樹脂固体の総重量に基いて、少なくとも1重量%の共有結合性ハロゲン含有量を有する、
コーティングされた基板。
(項目51)
前記樹脂(a)が、カチオン性アミン塩基を含む、項目50に記載のコーティングされた基板。
(項目52)
前記樹脂(a)が、ポリエポキシドポリマーおよびアクリルポリマーの少なくとも1つに由来するポリマーを含む、項目50に記載のコーティングされた基板。
(項目53)
前記樹脂(a)が、該樹脂(a)中に存在する樹脂固体の総重量に基いて、1〜50重量%の範囲の共有結合性ハロゲン含有量を有する、項目52に記載のコーティングされた基板。
(項目54)
(a)の前記共有結合性ハロゲン含有量が、塩素化多価フェノールおよび臭素化多価フェノールの少なくとも1つから選択されるハロゲン化多価フェノールに由来する、項目53に記載のコーティングされた基板。
(項目55)
前記ハロゲン化多価フェノールが、テトラブロモビスフェノールAを含む、項目54に記載のコーティングされた基板。
(項目56)
前記硬化剤(b)が、ブロック化ポリイソシアネートおよびアミノプラスト樹脂の少なくとも1つから選択される化合物を含む、項目50に記載のコーティングされた基板。
(項目57)
前記硬化剤(b)が、該硬化剤(b)中に存在する樹脂固体の総重量に基いて60重量%までの共有結合性ハロゲン含有量を有する、項目50に記載のコーティングされた基板。(項目58)
前記電着可能コーティング組成物の前記樹脂相の前記共有結合性ハロゲン含有量が、前記樹脂(a)および前記硬化剤(b)とは異なり、かつ、前記樹脂(a)および前記硬化剤(b)に加えて存在する成分(c)に少なくとも一部は由来する、項目50に記載のコーティングされた基板。
(項目59)
成分(c)が、ハロゲン化ポリオレフィン、ハロゲン化ホスフェートエステル、ハロゲン化フェノールおよびこれらの混合物からなる群から選択される共有結合性ハロゲン含有化合物を含む、項目58に記載のコーティングされた基板。
(項目60)
前記電着可能コーティング組成物がさらに、レオロジー変更因子を含む、項目50に記載のコーティングされた基板。
(項目61)
前記レオロジー変更因子が、第1級アミン基、第2級アミン基およびそれらの混合物からなる群から選択されるアミン基を含むカチオン性ポリエポキシド−アミン反応生成物ならびにポリエポキシド架橋薬剤の混合物を、水性媒体中で分散する工程とカチオン性ミクロゲル分散物を形成するために該混合物に架橋するために十分な温度まで該混合物を加熱する工程によって、調製されるカチオン性ミクロゲル分散物を含む、項目60に記載のコーティングされた基板。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(発明の詳細な説明)
操作する実施例の他に、またはその他に示される場所で、本明細書および特許請求の範囲で用いられる、成分の量を表すすべての数字、反応条件などは、すべての例において用語「約」によって修飾されていると理解されるべきである。従って、反対であることが示されなければ、以下の明細書および添付の特許請求の範囲で提示される数値パラメーターは、本発明によって得られることが求められる所望の性質に依存して変動し得る概数である。少なくとも、そして特許請求の範囲に対する均等論の適用を制限する試みとしてではなく、各数値パラメーターは、少なくとも、報告された重要な数字の数を考慮して、および通常の丸め技法を適用することにより解釈されるべきである。
【0022】
本発明の広い範囲を示す数字範囲およびパラメーターは概数であるにもかかわらず、特定の実施例で提示される数値は、可能な限り正確に報告されている。しかし、任意の数値は、それらの個々の試験測定で見出される標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を固有に含んでいる。
【0023】
また、本明細書に記載の任意の数字範囲は、その中に包含されるすべての下の範囲を含むことが意図される。例えば、「1〜10」の範囲は、その間のすべての下の範囲を含むことが意図され、そして、記載された最小値1および記載された最大値10を含み、すなわち、1に等しいかまたは1より大きい最小値、および10に等しいかまたは10より小さい最大値を有する。
【0024】
前述したように、本発明は、水性媒体中に分散される樹脂相を含む電着可能コーティングな組成物に関する。樹脂相は、以下を含む:(a)非ゲル状の活性水素コーティングイオン性塩の基含有樹脂;および(b)樹脂(a)の活性水素と反応性の硬化剤。樹脂相は、先述の樹脂相に存在する樹脂固体の総重量に基づく共有結合したハロゲン含有物を有し、その結果、組成物が電着され、硬化して硬化フィルムを形成する場合、硬化フィルムは、IPC−TM650に従って燃焼耐性試験を通過し、3.50未満または3.50に等しい誘電定数を有する。
【0025】
本発明の目的について、「共有結合したハロゲン」とは、ハロゲンイオン(例えば、水溶液中の塩化物イオン)と反対に共有結合しているハロゲン原子を意味する。
【0026】
本発明の電着可能コーティング組成物の樹脂相は、少なくとも1重量パーセント、通常少なくとも2重量パーセント、しばしば少なくとも5重量パーセント、そして代表的に10重量パーセントの共有結合したハロゲン含量を有し得る。また、本発明の電着可能コーティング組成物の樹脂相は、50重量パーセント未満の、通常30重量パーセント未満の、しばしば25重量パーセント未満の、そして代表的に20重量パーセント未満の共有結合したハロゲン含量を有し得る。電着可能コーティング組成物の樹脂相は、共有結合したハロゲン含量が以下に記載されるようにIPC−TM−650に従う燃焼耐性試験に合格する硬化したコーティングを提供するのに十分である前提で、引用された値を含めた、これらの値の任意の組み合わせの間の範囲にわたり得る共有結合したハロゲン含量を含み得る。
【0027】
さらに、樹脂相の共有結合したハロゲン含有物は、樹脂(a)および硬化剤(b)の一方または両方に共有結合したハロゲン原子または樹脂(a)および硬化剤(b)と異なりそしてこれらに加えて存在している化合物(c)に共有結合しているハロゲン原子から誘導され得る。
【0028】
本発明の目的のために、上に考察されるように、燃焼耐性が、IPC−TM−650,Test Methods Manual,Number2.3.10,“Flammability of Laminate”,Revision B,(the Institute of Interconnecting and Packaging Electronic Circuits,2215 Sanders Road,Northbrook,Illinoisから入手可能)に従って試験される。
【0029】
上に記載される電着可能コーティング組成物が、電気泳動で堆積され、硬化されて、硬化フィルムを形成する場合(以下に詳細に記載されるように)、硬化フィルムは、わずか3.50、しばしばわずか3.30、通常わずか3.00、およびわずか2.80であり得る誘電定数を有し得る。また、硬化フィルムは、0.02以下の、通常0.015以下の、そして0.01以下であり得る誘電損失係数を有する。
【0030】
誘電物質は、非伝導性物質または絶縁体である。「誘電定数」は、誘電材料の電荷を蓄積する能力の指標または測定値である。誘電定数は、材料のキャパシタンスに直接比例し、これは、材料の誘電定数が減少する場合、キャパシタンスが減少することを意味する。低誘電定数の材料が、高周波数、高速デジタル化のために所望され、ここで、基板およびコーティングのキャパシタンスは、回路の信頼できる機能に非常に重要である。例えば、集積回路の間の計算速度が、このキャパシタンスにより減少され、そして操作するのに必要な電力が増加するために、現在のコンピューター操作は、多層アセンブリ上の回路経路(curcuit path)と集積回路との間のカップリングキャパシタンスにより制限される。Thompson,Larry F.ら、Polymers for Microelectronics,the 203rd National Meeting
of American Chemical Society,April5−10,1992を参照のこと。
【0031】
「誘電損失係数」は、分子の摩擦が代替電場により作り出される分子移動を妨害するために、誘電物質により消散される電力である。I.Gilleo,Ken,Handbook of Flexible Circuits p.242,Van Nostrand Reinhold,New York(1991)を参照のこと。また、誘電材料および誘電定数の詳細な説明については、James J.LicariおよびLaura A.Hughes,Handbook of Polymer Coatings for Electronics,pp114−18,第二版,Noyes Publication(1990)を参照のこと。
【0032】
本発明の目的のために、硬化電着可能コーティング組成物の誘電定数が、以下のような電気化学的インピーダンス分光法を使用して1メガヘルツの周波数で測定される。
【0033】
コーティングサンプルが、スチール基板に対する電着可能組成物の塗布そして続く硬化により調製され、0.85ミル(20.83ミクロン)のフィルム厚を有する硬化した誘電コーティングを提供する。硬化した誘電コーティングの32平方センチメートルの遊離フィルムは、150ミリリットルの電解質溶液(1M NaCl)を有する電気化学的電池中に配置され、そして1時間平衡化される。100mVのAC電位が、サンプルに印加され、そしてインピーダンスが、1.5メガヘルツ〜1ヘルツ周波数範囲で測定される。この方法は、プラチナ−ニオブ網目状メッシュ対電極および単一連結の銀/塩化銀参照電極を利用する。硬化されたコーティングの誘電定数が、1メガヘルツ、1キロヘルツおよび63ヘルツでのキャパシタンスを計算し、そしてEについての以下の等式を解くことにより決定される:
C=EEA/d
ここでCは、異なる周波数での測定されたキャパシタンス(ファラデー)であり;Eは、自由空間の誘電定数(permitivity)(8.85418781712)であり;Aは、サンプル面積(32平方センチメートル)であり;dは、コート厚であり;Eは、誘電定数である。明細書および添付の特許請求の範囲において使用されるような誘電定数の値は、1メガヘルツの周波数で上記のように測定される誘電定数であることに留意すること。明細書および添付の特許請求の範囲において使用されるような誘電損失係数の値は、上に記載されるような1メガヘルツの周波数で測定される誘電定数と1.1メガヘルツの周波数で測定される同じ材料についての誘電定数との間の差を表す。
【0034】
本発明の電着可能コーティング組成物は、主フィルム形成の、非ゲル化の活性水素イオン性基を含む電着可能樹脂(a)を含む。種々の電着可能フィルム形成ポリマーが公知であり、これらのポリマーが「分散可能」である、すなわち、水中で可溶化、分散または乳化されるように適合される限り、本発明の電着可能コーティング組成物において使用され得る。水分散性ポリマーは、本質的にイオン性であり、すなわち、このポリマーは、アニオン性の官能基を含んで、負の電荷を与え得るか、またはカチオン性の官能基を含んで、正の電荷を与え得る。本発明の特定の実施形態において、樹脂(a)は、カチオン性塩基、通常、カチオン性アミン塩基を含む。
【0035】
「非ゲル化」とは、樹脂が実質的に架橋を含まず、適切な溶媒に溶解された場合、例えば、ASTM−D1795またはASTM−D4243に従って決定されるように、固有粘度を有することを意味する。反応生成物の固有粘度は、その分子量の指標である。他方、ゲル化した反応生成物は、本質的に無限の高分子量であるので、測定するには高すぎる固有粘度を有する。本明細書中で使用される場合、「実質的に架橋を含まない」反応生成物とは、重量平均分子量(Mn)が、ゲル浸透クロマトグラフィーによって決定されるように、1,000,000未満である反応生成物をいう。
【0036】
また、本明細書中で使用される場合、用語「ポリマー」は、オリゴマーならびにホモポリマーおよびコポリマーの両方をいうことを意味する。他に述べられない限り、分子量は、「Mn」と示されるポリマー材料についての数平均分子量であり、当該分野で認識される様式でポリスチレン標準物質を使用するゲル浸透クロマトグラフィーにより得られる。
【0037】
アニオン性電着可能コーティング組成物における樹脂(a)としての使用に適切なフィルム形成樹脂の非限定的な例としては、以下が挙げられる:塩基可溶化カルボン酸基含有ポリマー(例えば、乾性油または半乾燥脂肪酸エステルとジカルボン酸または無水物との反応生成物または付加物);ならびに脂肪酸エステル、不飽和酸または無水物と、ポリオールとさらに反応する任意のさらなる不飽和修飾材料との反応生成物。不飽和カルボン酸のヒドロキシ−アルキルエステル、不飽和カルボン酸および少なくとも1つの他のエチレン性不飽和モノマーの、少なくとも部分的に中和されたインターポリマーもまた、適切である。なお別の適切な電着可能樹脂は、アルキド−アミノプラストビヒクル、すなわち、アルキド樹脂およびアミン−アルデヒド樹脂を含むビヒクルを含む。別の適切なアニオン性電着可能樹脂組成物は、樹脂性ポリオールの混合エステルを含む。これらの組成物は、米国特許第3,749,657号、第9欄、第1〜75行、および第10欄、第1〜13行(これらの全ては、本明細書中で参考として援用される)に詳細に記載される。例えば、リン酸塩化ポリエポキシドまたはリン酸塩化アクリル系ポリマーのような他の酸官能性ポリマーもまた使用され得、これらは当業者に周知である。さらに、1つ以上のペンダントカルバメート官能基(例えば、米国特許第6,165,338号に記載される官能基)を含む樹脂は、樹脂(a)としての使用に適切である。
【0038】
本発明の1つの特定の実施形態において、活性水素含有イオン性電着可能樹脂(a)は、カチオン性であり、カソード上に沈積し得る。このようなカチオン性フィルム形成樹脂の非限定的な例は、アミン塩基含有樹脂(例えば、ポリエポキシドと第一級または第二級アミン(例えば、米国特許第3,663,389号;同第3,984,299号;同第3,947,338号;および同第3,947,339号に記載のアミン)との酸可溶化反応生成物)を含む。通常、これらのアミン塩基含有樹脂は、以下に詳細に記載されるようなブロック化イソシアネート硬化剤と組み合わせて使用される。このイソシアネートは、前述の米国特許第3,984,299号に記載されるように完全にブロックされ得るか、またはこのイソシアネートは部分的にブロックされて、樹脂骨格(例えば、米国特許第3,947,338号に記載されるように)と反応され得る。また、米国特許第4,134,866号およびDE−OS番号2,707,405に記載されるような1成分組成物が、樹脂(a)として本発明の電着可能コーティング組成物において使用され得る。直前に論じられたエポキシ−アミン反応生成物に加えて、樹脂(a)はまた、カチオン性アクリル系樹脂(例えば、米国特許第3,455,806号および同第3,928,157号に記載されるような樹脂)から選択され得る。
【0039】
アミン塩基含有樹脂に加えて、第四級アンモニウム塩基含有樹脂もまた、使用され得る。これらの樹脂の例としては、有機ポリエポキシドと第三級アミン塩とを反応させることから形成される樹脂が挙げられる。このような樹脂は、米国特許第3,962,165号;同第3,975,346号;および同第4,001,101号に記載される。他のカチオン性樹脂の例は、第三級スルホニウム塩基含有樹脂および第四級ホスホニウム塩基含有樹脂(例えば、それぞれ、米国特許第3,793,278号および米国特許第3,984,922号に記載される樹脂)である。また、エステル交換反応を介して硬化するフィルム形成樹脂(例えば、欧州特許第12463号に記載される樹脂)が使用され得る。さらに、Mannich塩基から調製されるカチオン性組成物(例えば、米国特許第4,134,932号に記載される樹脂)が使用され得る。
【0040】
本発明の1つの実施形態において、樹脂(a)は、第一級および/または第二級アミン基を含む、1つ以上の正に荷電した樹脂を含み得る。このような樹脂は、米国特許第3,663,389号;同第3,947,339号;および同第4,116,900号に記載される。米国特許第3,947,339号において、ポリアミン(例えば、ジエチレントリアミンまたはトリエチレンテトラアミン)のポリケチミン誘導体は、ポリエポキシドと反応される。この反応生成物が酸で中和され、水中に分散される場合、遊離の第一級アミン基が生成される。また、ポリエポキシドが、過剰なポリアミン(例えば、ジエチレントリアミンおよびトリエチレンテトラアミン)と反応され、過剰なポリアミンが反応混合物から減圧除去される場合も、等価な生成物が形成される。このような生成物は、米国特許第3,663,389号および同第4,116,900号に記載される。
【0041】
上記のイオン性樹脂の混合物もまた、有利に使用され得る。本発明の1つの実施形態において、樹脂(a)は、カチオン性塩基を有するポリマーを含み、第一級、第二級および/または第三級アミン基(例えば、上記のような)を有するポリエポキシドベースのポリマーならびにヒドロキシルおよび/またはアミン官能基を有するアクリル系ポリマーから選択される。
【0042】
先に論じられたように、本発明の1つの特定の実施形態において、樹脂(a)は、カチオン性塩基を含む。この場合、このようなカチオン性塩基は、代表的に、電着可能組成物において従来的に使用されるような無機酸または有機酸により樹脂を可溶化することによって形成される。可溶化酸の適切な例としては、スルファミン酸、酢酸、乳酸およびギ酸が挙げられるが、これらに限定されない。スルファミン酸および乳酸が最も一般的に使用される。
【0043】
また、上記のように、電着可能なコーティング組成物の樹脂相の共有結合性ハロゲン含量は、樹脂(a)に共有結合されたハロゲン原子に由来し得る。そのような事例において、その共有結合性ハロゲン含量は、上記のような任意のフィルム形成性イオン樹脂を形成するために使用される反応物に帰され得る。例えば、アニオン性基含有ポリマーの場合、樹脂は、ハロゲン化フェノール(例えば、ハロゲン化多価フェノール(例えば塩素化または臭素化されたビスフェノールA)と、樹脂(a)に関して上記のようなエポキシ基含有物質、その後のリン酸での可溶化の反応生成物、あるいは代替的に、ハロゲン化カルボン酸と反応し、その後任意の残りのエポキシ基がリン酸と反応したエポキシ含有化合物)であり得る。その後、酸性基は、アミンで可溶化され得る。同様に、カチオン性塩の基含有ポリマーの場合、樹脂は、ハロゲン化フェノールと反応し、その後任意の残りのエポキシ基がアミンと反応した、上記のようなエポキシ官能性物質の反応生成物であり得る。その後、その反応生成物は、酸で可溶化され得る。
【0044】
本発明の1つの実施形態において、樹脂(a)の共有結合性ハロゲン含量は、ハロゲン化フェノール、ハロゲン化ポリオレフィン、ハロゲン化リン酸エステル、およびそれらの混合物のうちの少なくとも1種から選択されるハロゲン化化合物に由来し得る。本発明の別の実施形態において、樹脂(a)の共有結合性ハロゲン含量は、ハロゲン化多価フェノール(例えば、塩素化ビスフェノールA(例えば、テトラクロロビスフェノールA)、または臭素化ビスフェノールA(例えば、テトラブロモビスフェノールA))に由来し得る。さらに、共有結合性ハロゲン含量は、ハロゲン化エポキシ化合物(例えば、ハロゲン化ビスフェノールAのジグリシジルエーテル)に由来し得る。
【0045】
上記の活性な水素含有イオン性の電着可能な樹脂(a)は、本発明の電着可能なコーティング化合物中に、電着可能なコーティング化合物の総重量に基づいて、5重量%〜90重量%、通常は10重量%〜80重量%、しばしば10重量%〜70重量%、代表的には10重量%〜60重量%の範囲の量で存在し得る。
【0046】
上記のように、本発明の電着可能なコーティング組成物の樹脂相は、直前に記載されたイオン性の電着可能な樹脂(a)の活性水素と反応するのに適合された、(b)硬化剤、をさらに含む。ブロックされた有機ポリイソシアネートおよびアミノプラスト硬化剤の両方が、本発明における使用に対して適切であるが、代表的に、ブロックされたイソシアネートが、カソード電着のために使用される。
【0047】
アニオン性の電着用の一般的な硬化剤であるアミノプラスト樹脂は、アミンまたはアミドのアルデヒドによる縮合生成物である。適切なアミンまたはアミドの例は、メラミン、ベンゾグアナミン、尿素および類似の化合物である。一般に、使用されるアルデヒドはホルムアルデヒドであるが、他のアルデヒド(例えば、アセトアルデヒドおよびフルフラール)から生成物が作製され得る。その縮合生成物は、使用される特定のアルデヒドに依存して、メチロール基または類似のアルキロール基を含む。好ましくは、これらのメチロール基は、アルコールでの反応によってエーテル化される。使用される種々のアルコールとしては、1個〜4個の炭素原子を含む一価アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、およびn−ブタノール)が挙げられ、メタノールが好ましい。アミノプラスト樹脂は、American Cyanamid Co.からCYMELの商標で、およびMonsanto Chemical Co.からRESIMENEの商標で市販されている。
【0048】
代表的に、アミノプラスト硬化剤は、活性水素を含むアニオン性の電着可能な樹脂と共に、電着可能なコーティング組成物中の樹脂固体の総重量に基づいたパーセンテージとして、約1重量%〜90重量%、しばしば5重量%〜60重量%、好ましくは20重量%〜40重量%の範囲の量で利用される。
【0049】
一般に、カソード電着組成物において使用される硬化剤は、ブロックされたポリイソシアネートである。そのポリイソシアネートは、米国特許第3,984,299号の第1欄1行〜68行、第2欄および第3欄1行〜15行に記載されるように完全にブロックされ得、あるいは米国特許第3,947,338号の第2欄65行〜68行、第3欄および第4欄1行〜30行に記載されるように部分的にブロックされかつポリマー骨格と反応し得、これらは本明細書中で参考として援用される。「ブロックされる(blocked)」が、イソシアネート基が、ある化合物と反応したことにより、生じたブロック化イソシアネート基は、一般に90℃と200℃との間の高温でのフィルム形成ポリマー中の活性水素との反応を除いて、周囲温度での活性水素に対して安定であることを意味する。
【0050】
適切なポリイソシアネートとしては、芳香族ポリイソシアネートおよび脂肪族ポリイソシアネート(脂環式ポリイソシアネートを含む)が挙げられ、そして代表的な例としては、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)、2,4−トルエンジイソシアネートまたは2,6−トルエンジイソシアネート(TDI)(それらの混合物を含む)、p−フェニレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネートおよびヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、フェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートおよびポリメチレンポリフェニルイソシアネートの混合物が挙げられる。より高度なポリイソシアネート(例えば、トリイソシアネート)が使用され得る。1つの例として、トリフェニルメタン−4,4’,4’’−トリイソシアネートが挙げられる。ポリオール(例えば、ネオペンチルグリコールおよびトリメチロールプロパン)およびポリマーポリオール(例えば、ポリカプロラクトンジオールおよびポリカプロラクトントリオール(NCO/OH当量比が1より大きい))を有するイソシアネートプレポリマーもまた、使用され得る。
【0051】
代表的に、ポリイソシアネート硬化剤は、活性水素を含むカチオン性の電着可能な樹脂(a)と共に、電着浴槽の総重量に基づいて、1重量%〜90重量%、通常は1重量%〜80重量%、しばしば1重量%〜70重量%、そして代表的に1重量%〜15重量%の範囲の量で利用される。
【0052】
また、米国特許第4,435,559号および同第5,250,164号に記載されるようなβ−ヒドロキシウレタン硬化剤も、適切である。そのようなβ−ヒドロキシウレタンは、イソシアネート化合物(例えば、直前に記載された任意のイソシアネート化合物、1,2−ポリオールおよび/または従来のブロック化(例えば、一価アルコール))から形成される。また、米国特許第4,495,229号および同第5,188,716号に記載される第二級アミンでブロックされた脂肪族イソシアネートも適切である。
【0053】
上記で考察されたように、本発明の1つの実施形態において、硬化剤(b)は、硬化剤(b)中の全樹脂固体の重量%に基づいて、60重量%まで、代表的には1重量%〜50重量%の範囲、しばしば2重量%〜30重量%、通常は5重量%〜25重量%の共有結合性ハロゲン含量を有し、そして10重量%〜20重量%の共有結合性ハロゲン含量を有し得る。そのような事例において、硬化剤(b)中に存在する共有結合性ハロゲン含量は、例えば、適切なブロック化剤(例えば、2−ブトキシエタノール)で少なくとも部分的にブロックされた、4−クロロ−6−メチル−1,3−フェニレンジイソシアネートによって調製され得るハロゲン含有ブロック化イソシアネートに、由来し得る。部分的にブロックされた場合、任意の残りのイソシアネート基は、ポリオール(例えば、トリメチロールプロパン)と反応し得、それにより、硬化剤の分子量が増加する。
【0054】
上記のように、本発明のさらなる実施形態において、電着可能なコーティング組成物の樹脂相中に存在する共有結合性ハロゲン含量は、樹脂(a)および硬化剤(b)とは異なりかつ樹脂(a)および硬化剤(b)に加えて存在する成分(c)に由来し得る。そのような事例において、代表的に、成分(c)は、ハロゲン化ポリオレフィン、ハロゲン化リン酸エステル、ハロゲン化フェノール(例えば、上記の任意のハロゲン化フェノール)およびそれらの混合物からなる群より選択される、共有結合性ハロゲン含有化合物である。
【0055】
上記のように、電着可能なコーティング組成物の樹脂相中に存在する共有結合性ハロゲン含量は、生じた電着コーティングが、電気泳動的に適用され、そして硬化された場合に、上記で考察されたようにIPC−TM−650に従う炎抵抗試験を合格することを確証するために十分な、共有結合性ハロゲン含量である条件で、樹脂(a)、硬化剤(b)、成分(c)、または上記の任意の組み合わせに由来し得る。電着可能なコーティング組成物の樹脂相中に存在する共有結合性ハロゲン含量はまた、電着プロセスおよび/または生じる誘電体コーティングの特性に悪影響を及ぼすのに不十分な量で存在するべきである。
【0056】
本発明の実施形態において、電着可能なコーティング組成物は、空孔またはバイア壁の表面における誘電体コーティングならびにバイア開口部における端の誘電体コーティングの、なめらかでかつ均一な厚さの沈着において補助し得る、レオロジー改変剤をさらに含み得る。コーティング分野において周知の任意の種々のレオロジー改変剤が、この目的のために使用され得る。
【0057】
1つの適切なレオロジー改変剤は、アミン基(代表的には、第一級アミン基、第二級アミン基およびそれらの混合物)を含むカチオン性ポリエポキシド−アミン反応生成物およびポリエポキシド架橋剤の混合物である水性媒体中での分散、そしてその混合物が架橋するのに十分な温度までの混合物の加熱、それによってカチオン性ミクロゲル分散の形成、によって調製される、カチオン性ミクロゲル分散を含む。そのようなカチオン性ミクロゲル分散およびそれらの調製は、米国特許第5,096,556号の第1欄66行〜第5欄13行において詳細に記載され、これは本明細書中で参考として援用される。他の適切なレオロジー改変剤は、欧州特許0 272 500 B1において詳細に記載されるシェルコア形態学を有するカチオン性ミクロゲル分散を含む。このミクロゲルは、カチオン性フィルム形成性樹脂および熱硬化性架橋剤の水性媒体中での乳化、および2つの成分が架橋するのに十分な温度までの生じたエマルジョンの加熱、によって調製される。
【0058】
カチオン性ミクロゲルは、電着可能なコーティング組成物中に、適切なレオロジー制御および空孔端コーティングを生じるのに十分な量で存在するが、適用上の電着可能な組成物の流動または硬化されたコーティングの表面粗度に悪影響を及ぼすのに不十分な量で存在する。例えば、直前に記載されたカチオン性ミクロゲルは、電着可能なコーティング組成物の樹脂相中に、樹脂相中に存在する全樹脂固体の重量%に基づいて、0.1重量%〜30重量%、代表的には1重量%〜20重量%の範囲の量で存在し得る。
【0059】
電着可能なコーティング組成物は、水性分散の形態である。用語「分散(dispersion)」は、2相透明、半透明または不透明な樹脂系であり、その系において樹脂は分散相に存在し、そして水は連続相に存在すると考えられる。樹脂相の平均の粒径は、一般に1.0ミクロン未満であり、通常は0.5ミクロン未満であり、代表的には0.15ミクロン未満である。
【0060】
水性媒体中の樹脂相の濃度は、水性分散物の総重量に基づき、少なくとも1重量%、通常2〜60重量%である。本発明の組成物が、樹脂濃縮物の形態である場合、一般に、水性分散物の重量に基づき、20〜60重量%の樹脂個体成分を有する。
【0061】
電着可能コーティング組成物は、代表的に、2つの成分として供給される:(1)一般に活性水素含有イオン性電着可能樹脂(すなわち、主フィルム形成ポリマー、硬化剤、および任意のさらなる水分散性非色素成分)を含む、透明樹脂フィード(feed);ならびに(2)一般に、1つ以上の色素水分散、水分散性研磨樹脂(主フィルム形成ポリマーと同一であっても異なっていてもよい)、および、必要に応じて、添加剤(例えば、触媒、および湿潤補助剤(wetting aid)または分散補助剤(dispersing aid))を含む、色素ペースト。電着可能コーティング組成物(1)および電着可能コーティング組成物(2)は、水および通常、合体溶媒(coalescing solvent)を含む水性媒体中に分散され、電着浴を形成する。あるいは、本発明の電着組成物は、1成分組成物として供給され得る。本発明の特定の実施形態において、電着コーティング組成物は、実質的に色素を含まない、1成分組成物として提供され得る。
【0062】
使用される場合に、電極浴の形態で電着コーティング組成物中に組み込まれ得る成分(c)による、種々の方法が存在することが理解されるべきである。成分(c)は、「ニートで(neat)」組み込まれ得る。すなわち、成分(c)またはその水溶液は、分散電着組成物成分(1)および分散電着組成物成分(2)に直接加えられ得るか、あるいは、適用可能であれば、分散1成分電着組成物に直接加えられ得る。あるいは、成分(c)は、水性媒体中に成分(1)および(使用される場合は)成分(2)に先立って、透明樹脂フィード(または任意の独立した透明樹脂フィード組成物(例えば、フィルム形成樹脂または硬化剤))と混合され得るか、またはその中に分散され得る。さらに、成分(c)は、彗星媒体中に成分(1)および成分(2)を分散する前に、色素ペーストと混合され得るか、またはその中に分散され得るか、あるいは、任意の個々の色素ペースト成分(例えば、色素研磨樹脂)と混合され得るか、または分散され得る。最後に、成分(c)は、電着浴に直接、オンラインで加えられ得る。
【0063】
本発明の電着浴の形態の電着コーティング組成物は、代表的に、電着浴の総重量に基づき5〜25重量%の範囲内で、樹脂固体成分を有する。
【0064】
上述のように、水性媒体は、水に加えて、合体溶媒を含有し得る。有用な合体溶媒としては、炭化水素、アルコール、エステル、エーテル、およびケトンが挙げられる。通常、合体溶媒としては、アルコール、ポリオール、およびケトンが挙げられる。特定の合体溶媒としては、イソプロパノール、ブタノール、2−エチルヘキサノール、イソフォロン(isophorone)、2−メトキシペンタノン、エチレンおよびプロピレングリコールおよびグリコールエーテル(例えば、エチレングリコールのモノエチルエーテル、モノブチルエーテル、およびモノヘキシルエーテル)が挙げられる。合体溶媒の量は、一般に、水性媒体の総重量に基づき、約0.01〜25重量%、使用される場合、好ましくは、約0.05〜約5重量%である。
【0065】
代表的に、実質的に色素非含有であるが、所望される場合、色素組成物および/または種々の添加物(例えば、界面活性剤、湿潤剤または触媒)が、分散物中に含まれ得る。色素組成物は、従来の種類であり得る。従来の種類としては、例えば、酸化鉄、クロム酸ストロンチウム、カーボンブラック、二酸化チタン、タルク、硫酸バリウム、および当該分野で周知の色供与色素(color−imparting pigment)のような色素が挙げられる。電着浴は、通常、クロム含有色素および/または鉛含有色素を実質的に含まない。
【0066】
分散物の色素成分は、通常、色素対樹脂比率として示される。本発明の実施において、色素が使用される場合、色素対樹脂比率は、通常、約0.02〜1:1の範囲内である。上述の他の添加物は、通常、樹脂固体の重量に基づき、0.01〜10重量%の範囲の量で分散物中に存在する。
【0067】
本発明はまた、基板に、金属化されたバイア(vias)を形成するためのプロセスにもまた関する。このプロセスは、以下を包含する:(I)上述の任意の電着可能コーティング組成物を導電性基板のその全ての表面上に電気泳動的に塗布し、その上に絶縁保護誘電性コーティングを形成する工程;(II)誘導性コーティングの表面を、所定のパターンで切除し、基板の断面を露出させる工程;および(III)工程(II)の基板の全ての表面に金属の相を塗布し、基板において金属化されたバイアを形成する工程。必要に応じて、このプロセスは、以下で記載するように、金属相に光感受性相を塗布する工程(IV)をさらに含む。
【0068】
さらなる実施形態において、本発明は、上述の電着可能コーティング組成物を使用して、多層回路アセンブリを作製するプロセスに関する。1つの実施形態において、本発明は、多層回路アセンブリを作製するプロセスに関し、このプロセスは、以下の工程を包含する:(I)導電性コア(以下で記載するように、代表的に金属コア)を提供する工程;(II)上述の任意の電着可能コーティング組成物を、コアの全ての露出された表面に電気泳動的に塗布し、その上に絶縁保護誘電性コーティングをその上に形成する工程;(III)絶縁保護誘導性コーティングの表面を、所定のパターンで切除し、コアの切断面を露出させる工程;(IV)全ての表面に金属(例えば銅)の相を塗布し、コアに金属化されたバイアを形成する工程;および(V)樹脂製の光感受性樹脂相を金属相に塗布する工程。
【0069】
基板またはコアは、任意の種々の導電性基板(特に、金属基板(例えば、無処理または亜鉛メッキされた、鋼、アルミニウム、銅、金、ニッケル、マグネシウムまたは任意の上述の金属の合金)ならびに導電性炭素でコーティングされた物質)を含み得る。また、コアは、2つの主要な表面および縁を有し、そして10〜100ミクロン(代表的には、25〜100ミクロン)の範囲の厚みを有し得る。
【0070】
本発明のプロセスの目的について、「コアにおける」金属化されたバイアの形成は、貫通接続を提供する「バイアを貫いた(through vias)」形成(すなわち、1つの主要な表面から他の面に向かってコアを貫いて延びる金属化された空孔(hole)の形成)、および例えばアース(ground)または電源への接続を提供する「ブラインドバイア(blind vias)」の形成(すなわち、誘電性コーティングを通してコアにのみ延びるが、貫かない金属化空孔(hole)の形成)を包含することが意図されることが、理解されるべきである。また、本発明の目的について、「コアを貫いて」延びる金属化されたバイアの形成は、バイアを貫いた形成のみを包含することが意図される。同様に、「コアへ」延びる金属化されたバイアの形成は、ブラインドバイアの形成のみを包含することが、意図される。
【0071】
本発明の特定の実施形態において、コアは、穿孔処理された銅箔、鉄−ニッケル合金またはこれらの組み合わせから選択される金属基板である。本発明の1つの実施形態において、コアは、約64重量%の鉄および36重量%のニッケルを含有する、INVAR(Imphy S.A.,168 Rue de Rivoli,Paris,Franceの登録商標)として市販される鉄−ニッケル合金を含む。この合金は、チップを調製するために代表的に使用されるシリコン物質の熱膨張係数と比較して、低い熱膨張係数を有する。この特性は、例えば、正常な使用の間の熱周期に起因して、逐次的にスケールがより大きくなるかまたはより小さくなる、チップスケールパッケージの相の間の接着接合の失敗を防ぐために望ましい。鉄−ニッケル合金が、金属のコアとして使用される場合、金属相(通常、銅である)は、代表的に、鉄−ニッケル合金コアの全ての表面に塗布され、最適な導電性を保証する。この金属の相および工程(IV)で塗布された相は、慣用的手段(例えば、電気メッキ、無電解メッキ、および金属蒸気沈着技術)によって塗布され得、そして代表的に、1〜10ミクロンの厚みを有する。
【0072】
「穿孔された金属コア」は、規則的な間隔で位置する複数の空孔(hole)もしくはバイア(vias)を有するメッシュシートを意味する。空孔(hole)の直径は、通常、約200ミクロンであるが、但し、この直径が、本発明のプロセスにおいて塗布される全ての相に対応するために十分大きく、塞がった空孔を有さない場合、必要に応じて、より大きくても、またはより小さくてもよい。空孔の中央から中央への間隔は、代表的には、約500ミクロンであるが、同様に、必要に応じて、より大きくてもまたはより小さくてもよい。バイアの密度は、1平方インチあたり500〜10,000個の空孔(1平方cmあたり77.5〜1,550個の空孔)の範囲であり得る。
【0073】
上述の電着可能コーティング組成物のいずれかは、導電性コアに電気泳動的に塗布され得る。電着のために塗布される電圧は、例えば、1ボルトの低さから数千ボルトの高さまで変動し得るが、代表的には、50〜500ボルトである。電流密度は、通常、1平方フィートあたり0.5アンペア〜5アンペア(1平方cmあたり0.5〜5ミリアンペア)であり、電着の間減少する傾向は、コアの露出表面全て上の絶縁保護フィルムの形成を示す。本明細書中および特許請求の範囲中で使用される場合、「絶縁」なフィルムまたはコーティングは、実質的に一様な厚みを有するフィルムまたはコーティングを意味し、この厚みは、基板トポグラフィー(空孔(hole)の範囲内(但し、閉鎖されない)の表面を含む)と一致する。コーティングが、電着によって塗布された後、これは硬化され(代表的に、90〜300℃の範囲の上昇した温度で、1〜40分熱硬化される)、コアの露出された表面全てにわたって、絶縁誘電性コーティングを形成する。
【0074】
誘電性コーティングは、一様な厚みのコーティングであり、しばしば、50ミクロン未満であり、通常、25ミクロン未満であり、そして代表的には、20ミクロン未満である。低フィルム厚が、種々の理由のために望ましい。例えば、低フィルム厚を有する誘電性コーティングは、より小さいスケールの回路を可能にする。また、低誘電定数を有する(上述のような)コーティングは、低フィルム厚を有する誘電性コーティングを可能にし、そしてまた、隣接する信号トレース間の静電結合を最小化する。
【0075】
当業者は、コア表面は、誘電性コーティングの電気泳動的塗布に先立って前処理され得るか、またはそうでない場合は、誘電剤の塗布のために調製されることを認識する。例えば、洗浄、リンス、および/または接着促進剤による処理の後の、誘電剤の塗布は、適切であり得る。
【0076】
さらに、上述の電着可能コーティング組成物のいずれかは、当該分野で周知の、電着以外の種々の塗布技術(例えば、ロールコーティング塗布技術または噴霧塗布技術)によって塗布され得ることが、理解されるべきである。このような場合、より高い樹脂固体含有量で組成物を調製することが所望され得る。また、このような塗布のために、樹脂結合剤は、それぞれカチオン性塩の基およびアニオン性塩の基を形成するために、可溶化酸または中性化酸および可溶化アミンまたは中性化アミンを、含んでも含まなくてもよい。
【0077】
誘電性コーティングの塗布後、誘電性コーティングの表面を、所定のパターンで切除し、コアの断面を露出させる。このような切除は、代表的に、レーザーまたは他の従来技術(例えば、機械的穿孔および化学的エッチング技術またはプラズマエッチング技術)を使用して実施される。
【0078】
金属化は、切除工程の後に、金属相を全ての表面に塗布することにより行い、それによって、コアにおける金属化されたバイアの形成が可能になる。適切な金属としては、銅または十分な導電特性を有する任意の金属または合金が挙げられる。金属は、代表的には、電気メッキまたは当該分野で公知の他の適切な任意の方法によって塗布され、均一な金属相を提供する。この金属相の厚みは、1〜50ミクロンの範囲に及び得、代表的には、5〜25ミクロンである。
【0079】
金属化工程の前に、金属相の誘電ポリマーへの接着を増強するために、全表面は、イオンビーム、電子ビーム、コロナ放電またはプラズマ照射により処理され得、その後表面全てに接着促進剤相が塗布される。接着プロモーター相は、50〜5000Åの範囲の厚さであり得、代表的には、クロム、チタン、ニッケル、コバルト、セシウム、鉄、アルミニウム、銅、金、タングステンおよび亜鉛ならびにそれらの合金およびそれらの酸化物から選択される金属または金属酸化物である。
【0080】
金属化後、樹脂感光性相(すなわち、「フォトレジスト」または「レジスト」)が、金属相に塗布される。必要に応じて、フォトレジストの適用の前に、金属化した基板は、洗浄され、および/または前処理され(例えば、酸化金属を取り除くために、酸エッチング液で処理され)得る。樹脂感光性相は、フォトレジスト陽性であってもフォトレジスト陰性であってもよい。フォトレジスト相は、1〜50ミクロンの範囲の厚さを有し得、代表的には5〜25ミクロンの厚さを有し得、写真平板プロセス分野における当業者に公知の任意の方法により適用され得る。所望の回路パターンを作製するために、付加プロセス方法または差し引き(subtractive)プロセス方法が使用される。
【0081】
適切な陽性作用性感光性樹脂は、当業者に公知の任意の樹脂を含む。例としては、例えば、米国特許第5,600,035号の第3欄〜第15欄に開示されるジニトロベンジル官能基ポリマーが挙げられる。このような樹脂は、高度な感光性を有する。1つの実施形態では、樹脂感光性相は、代表的には噴霧によって塗布されるジニトロベンジル官能基ポリマーを含む組成物である。
【0082】
別の実施形態では、樹脂感光性相は、ジニトロベンジル官能基ポリウレタンおよびエポキシアミンポリマー(例えば、米国特許第5,600,035号の実施例3〜実施例6に記載される)を含有する電着可能組成物を含む。
【0083】
陰性作用性フォトレジストとしては、液体型または乾燥フィルム型の組成物が挙げられる。前述の液体組成物のいずれも、スプレー、ロールコーティング、スピンコーティング、カーテンコーティング、スクリーンコーティング、浸漬コーティングまたは電着塗布技術により塗布され得る。好ましくは、液体フォトレジストは、電着により塗布され、より好ましくは、カチオン化電着により塗布される。電着可能フォトレジスト組成物は、イオン性のポリマー物質を含有し、それらは、カチオン性でもアニオン性でもよく、ポリエステル類、ポリウレタン類、アクリル類およびポリエポキシド類から選択され得る。アニオン性電着により塗布されるフォトレジストの例は、米国特許第3,738,835号に示される。カチオン性電着により塗布されるフォトレジストは、米国特許第4,592,816号に記載される。乾燥フィルムフォトレジストの例としては、米国特許第3,469,982号、同第4,378,264号および同第4,343,885号に開示されるものが挙げられる。乾燥フォトレジストは代表的には、例えば、ホットローラーの適用により表面上に積層される。
【0084】
留意すべきは、フォトレジスト相の塗布の後、多層基板は、輸送、および離れた場所での後の任意の工程のプロセスを可能にするために、この時点で包装され得ることである。
【0085】
本発明の別の実施形態では、感光性相を適用した後、所望のパターンを有するフォトマスクが、感光性相の上に配置され得、多層化された基板は、十分なレベルの適切な放射源(代表的には、化学線放射源)に曝露される。本明細書で使用される場合、用語「十分なレベルの放射」とは、陰性作用性抵抗の場合、放射に曝露された領域のモノマーを重合する放射量をいうか、または陽性作用性抵抗の場合、ポリマーを脱重合するかまたはポリマーをより溶解させる放射量をいう。このことにより、放射に曝露された領域と放射を遮蔽された領域との間の異なった溶解度を生じる。
【0086】
フォトマスクを、放射源に曝露した後除去し得、感光性相のより溶解性の部分を除去するため、および下にある金属相の選択された領域を曝露するために、従来の現像液を使用して多層基板を作製する。曝露した金属を、次いで、金属を水溶性金属複合体に変換する金属エッチング液を使用してエッチングし得る。可溶性複合体は、水をスプレーすることにより除去され得る。
【0087】
感光性相は、エッチング工程の間、下にある基板を保護する。残存する感光性相は、エッチング液に対して不浸透性であり、次いで、金属化バイアにより接続される回路パターンを提供するために、化学的除去プロセスにより除去され得る。
【0088】
多層基板上の回路パターンの調製後、他の回路構成要素が、回路アセンブリを形成するために取り付けられ得る。さらなる構成要素としては、例えば、1つ以上のより小さいスケールの構成要素(例えば、半導体チップ、中間物相(interposer layer)、大型回路カードまたはマザーボードおよび能動素子または受動素子)が挙げられる。留意すべきは、回路アセンブリの調製に使用される中間物(interposer)は、本発明のプロセスの適切な工程を使用して調製され得ることである。構成成分は、従来の接着剤、表面取り付け技術、ワイヤーボンディングまたはフリップチップ技術を使用して取り付けられ得る。本発明に従って調製された多層回路アセンブリにおける高バイア密度は、高機能性チップからアセンブリ中のパッケージへのより電気的な相互接続を可能にする。
【0089】
代替の実施形態において、本発明は、以下の工程を包含する回路アセンブリを作製するプロセスに関する:(I)コア(例えば、前述の金属コアのいずれか)を提供する工程;(II)フォトレジスト(例えば、上記のフォトレジスト組成物のいずれか)を、コアの表面の予め所定の位置へ提供する工程;(III)前述の電着可能コーティング組成物のいずれかを、工程(II)のコアの上に電気泳動的に塗布する工程であって、ここで、コーティング組成物は、その上にフォトレジストを有する位置を除いて、コアの表面全体に電気泳動的に堆積される;(IV)その上にフォトレジストを有する位置を除いてコアの表面全体に、硬化絶縁誘電性層を形成するために、上記の硬化条件下で、塗布したコーティング組成物を電気泳動的に硬化する工程;(V)抵抗で前もってコーティングした位置で、金属コアまで延びるバイアを有する回路アセンブリを形成するために、上記のようにフォトレジストを除去する工程;および(VI)必要に応じて、コアまで延びる金属化バイアを形成するために、前述の方法のいずれかにより、金属の相(通常は、銅金属)を、工程(V)の回路アセンブリの表面全体に塗布する工程。本発明の特定の実施形態において、金属コアの表面の所定の位置に工程(II)の抵抗を提供する前に、金属の相(代表的には銅金属)が、金属コアに塗布される。
【0090】
本発明の例証は、その詳細まで本発明を限定するとみなされない以下の実施例である。他に示さない場合、以下の実施例ならびに明細書全体にわたって、全ての部およびパーセントは、重量である。
【実施例】
【0091】
実施例Aおよび実施例Bは、本発明の電着可能コーティング組成物に使用されるカチオン化ハロゲン化樹脂結合剤の調製を記載する。比較例Cは、非ハロゲン化ビスフェノールAに基いた従来のカチオン化樹脂の調製を記載する。実施例1および実施例2は、それぞれ、実施例Aおよび実施例Bの樹脂結合剤を含有する本発明の電着コーティング組成物の調製を記載する。比較例3は、比較例Cの樹脂結合剤を含有する従来のカチオン性電着可能コーティング組成物の調製を記載する。比較例4および比較例5はそれぞれ、市販のカチオン性アクリル樹脂パッケージおよびエポキシ樹脂パッケージに基いた電着可能コーティング組成物の調製を記載する。
【0092】
(樹脂結合剤の調製)
以下の実施例A〜実施例Cはそれぞれ、実施例1、実施例2および比較例3の電着コーティング組成物において使用される樹脂結合系の調製を記載する。実施例1および実施例2の樹脂結合物はそれぞれ、テトラブロモビスフェノールAおよびテトラクロロビスフェノールAから調製される。比較例Cの樹脂結合剤は、非ハロゲン化ビスフェノールAから調製される。樹脂結合剤は、次の成分から、以下に従って調製される。列挙した値は、gで表記した重量部を示す。
【0093】
【化1】

【0094】
ポリイソシアネート硬化剤は、以下の成分から調整した:
【0095】
【化2】

【0096】
ビスフェノールA/エチレンオキシド付加物は、BASF CorporationからMACOL 98Bとして購入し得る。
BASF CorporationからMAZON 1651として得られる。
イソシアネートは、Bayer Corporationから得られる。
【0097】
最初の5成分を、適切に備え付けた反応容器に攪拌しながら加える。温度が約25℃に達すると、DESMODUR LS2096の添加を開始した。温度が105℃まで上昇した時点で、メチルイソブチルケトンの最後の添加を行なった。NCOの消失を赤外分光法によりモニタリングする間、温度を100℃に維持し、消失した時点で温度を80℃に下げた。
ビスフェノールAのジグリシジルエーテルは、Shell Oilおよび化学会社から得られる。
界面活性剤は、BASF Corporationから得られる。
88%水溶液
カチオン性樹脂は、以下の成分から調製した:
【0098】
【化3】

【0099】
アミンジオールは、BASF Corporationから得られる。
【0100】
最初の2成分を、適切に備え付けた反応容器に加え、10分間攪拌し、その時点でジブチル錫ジラウレートを添加した。反応が、100℃まで放熱することを可能とするように、トルエンジイソシアネートをゆっくり添加し、赤外分光法によりモニタリングしながら全てのNCOの消失までその温度を維持した。このように調製された樹脂を、攪拌しながらスルファミン酸および脱イオン水を添加することにより溶解した。最終分散物は、測定値26重量%の樹脂個体含量を有した。
【0101】
実施例A〜実施例Cの樹脂結合剤はそれぞれ、一般的に以下のように調製した。架橋剤を、適切に備え付けた反応容器に添加した。次の4つの成分を、穏やかに攪拌しながら反応容器に添加し、その反応混合物を75℃まで加熱し、その時点で、ジエタノールアミンを添加し、その反応混合物をその温度で30分間維持した。次いで、アミノプロピルジエタノールアミンを添加し、その反応混合物を132℃まで放熱させ、その温度で2時間維持した。蒸留物を除去した。溶解のために、穏やかに攪拌しながら、反応生成物をスルファミン酸、脱イオン水、乳酸溶液およびカチオン化樹脂中間体の混合物に添加した。次いで、ガムロジン溶液を、溶解した樹脂に添加し、その後脱イオン水を、2回連続的に添加した。過剰の水および溶媒を、温度60〜65℃で、減圧下で、逆抽出により除去した。最終反応生成物は、測定値約40重量%の樹脂個体含量を有した。
【0102】
(電着コーティング組成物の調製)
(実施例1〜3)
以下の実施例は、電着浴の形態の電着可能コーティング組成物の調製を記載する。実施例1および実施例2は、それぞれ、テトラブロモビスフェノールAおよびテトラクロロビスフェノールAを含む本発明の電着可能コーティング組成物の調製を記載する。比較例3は、非ハロゲン化ビスフェノールAを含む、類似した従来の電着コーティング組成物の調製を記載する。それぞれの組成物を、以下の成分から以下に記載されるように調製した。列挙した全ての値は、重量部をgで表す。
【0103】
【化4】

【0104】
触媒ペーストは、PPG Industries,Inc.から入手可能である。
【0105】
各組成物の成分を、組み合わせて、穏やかな攪拌により混合した。実施例1および比較例3の組成物を、50%限外ろ過し、脱イオン水で再構築した。実施例2の組成物を46%限外ろ過し、脱イオン水で再構築した。
【0106】
(比較例4)
この比較例は、市販のカチオン性アクリル系樹脂パッケージ、POWERCRON(登録商標)930(PPG Industries,Inc.から入手可能)から調製した電着可能コーティング組成物の調製を、電着浴の形態で記載する。組成物を、以下の成分から以下に記載されるように調製した。
【0107】
【化5】

【0108】
成分を攪拌しながら混合した。組成物を25%限外ろ過し、脱イオン水で再構築した。
【0109】
(比較例5)
この比較例は、市販のカチオン性エポキシ樹脂パッケージ、CR670 BL(PPG
Industries,Inc.から市販される)から調製した電着可能コーティング組成物の調製を、電着浴の形態で記載する。
【0110】
【化6】

【0111】
成分を攪拌しながら混合し、組成物を25%限外ろ過し、脱イオン水で再構築した。
【0112】
(試験パネル調製)
実施例1〜5の電着可能コーティング組成物のpHおよび導電率を測定し、以下の表1に報告した。Mill Finish 3105 H24(Q−Panel Lab Productsによって供給される)で標識したアルミニウム試験パネル(4’’×12’’×0.025’’)を、全ての誘電性試験に対する基板として使用した。電着条件は、平滑で、均一でかつ欠損のないコーティングを0.8ミル〜0.9ミル(20.32〜22.05μm)の範囲の厚さのコーティングフィルムを有する基板に塗布するような条件であった。それぞれの塗布されたコーティングを、350°F(177℃)の温度で、30分間硬化した。塗布条件および生じるフィルムの特徴は、以下の表1中の各組成物に対して提供される。それぞれのコーティングに対する誘電性定数および損失係数を、詳細に前述したように決定した。
【0113】
また、火炎遅延特性試験については、前述の条件下で、各組成物をアルミニウム箔上に電着した。火炎遅延特性を、詳細に前述したIPC−TM−650試験方法を使用して決定した。
【0114】
(表1)
【0115】
【表1】

【0116】
比較例
SE=自消性;B=燃焼(IPC−TM−650)
上記の表1に示されるデータは、テトラブロモビスフェノールAに基いた実施例1の組成物の硬化フィルムは自消性であるが、市販の非ハロゲン化組成物の硬化フィルムは火炎遅延特性試験に合格しないことを示した。比較例4および5の組成物を除く全ての組成物は、3.5より小さい誘電定数および0.02より小さい誘電損失係数を有する硬化フィルムを提供した。
【0117】
**塩素組成物の試験フィルムの半分は、自消性(SE)であったが、他の半分は、自消性ではなかった。しかし、IPC−TM−650に従って、これらの結果は、燃焼(B)と報告しなければならない。実施例2の硬化フィルムに存在する共有結合性塩素の重量が、実施例1の硬化フィルムに存在する共有結合性臭素の重量より実質的に少ないことが、当業者に理解されるべきである。従って、実施例2の組成物に類似するが、増量されたレベルの共有結合性塩素を有する組成物の硬化フィルムは、IPC−TM−650に従って試験した場合、「SE」の合格評点を得ると予測される。
【0118】
発明の広範な概念から逸脱することなく、前述の実施形態に対して改変がなされ得ることが、当業者に理解される。従って、本発明は、開示した特定の実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神および範囲内である改変を網羅することを意図することが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【公開番号】特開2010−13664(P2010−13664A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−238786(P2009−238786)
【出願日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【分割の表示】特願2008−108374(P2008−108374)の分割
【原出願日】平成15年6月27日(2003.6.27)
【出願人】(599087017)ピーピージー インダストリーズ オハイオ, インコーポレイテッド (267)
【Fターム(参考)】