説明

基板を伴わない寸法安定性のエレクトロルミネセンスランプ

エレクトロルミネセンスパネルは、剥離層(21)、この剥離層の上の第一の絶縁層(22)、この第一の絶縁層の上の複数のランプ層(23、25、26、27)、およびランプ層の上にある第二の絶縁層(28)を含む。本発明の一つの面によれば、第一の絶縁層と第二の絶縁層は低分子量のPVDF/HFP樹脂を含む。本発明の別の面によれば、ランプ層のうちの少なくとも一つはUV硬化樹脂を含み、残りのランプ層は熱硬化樹脂を含む。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の背景
本発明は、厚膜で無機質のエレクトロルミネセンス(電場発光:EL)パネル、そして特に剥離層上に組み付けられたELパネル、そして剥離層から分離した後に実質的にカールまたはゆがみが発生しないELパネルに関する。
【0002】
本明細書において用いるとき、そして当業者には理解されているように、「厚膜(thick-film)」とは一つのタイプのELランプを指し、そして「薄膜(thin-film)」とは別のタイプのELランプを指す。これらの用語は、概括的に実際の厚さに関係しているにすぎず、そして異なる分野のものを実際に同一なものとして扱うものである。一般に、薄膜ELランプは、通常はガラス基板の上または前の層の上に、様々な層を真空蒸着することによって製造される。厚膜ELランプは一般に、基板上にインクの層を、例えばロール塗布法、スプレー法、または様々な印刷法によって、堆積することによって製造される。幾つかのランプ層は典型的には同じ方法で(例えばスクリーン印刷によって)堆積されるが、インクを堆積するための方法は限定的なものではない。薄厚膜(thin, thick-film)ELランプは用語として矛盾するものではなく、そのようなランプは薄膜ELランプよりもかなり厚いものである。
【0003】
厚膜ELランプに関連して、そして当業者には理解されているように、「無機質」とは結晶質で発光性の材料であって、ケイ素またはガリウムを含まないものを指す。この用語は、ELランプが製造される原料となるその他の材料を意味してはいない。
【0004】
本明細書において用いるとき、「EL」パネルとは、1以上の発光領域を含む単一のシートであり、このとき各々の発光領域がEL「ランプ」である。ELランプは本質的に、二つの導電性電極(これらのうちの一つは透明である)の間に誘電体層を有するコンデンサーである。誘電体層は発光物質の粒子を含みうるか、または誘電体層に隣接して発光物質の粒子からなる分離層が存在しうる。発光物質の粒子は、比較的わずかな電流を用いると、強い電界が存在するときに光を放射する。
【0005】
EL発光物質の粒子は典型的には硫化亜鉛系の材料であり、その材料としては、硫化銅(Cu2S)、セレン化亜鉛(ZnSe)、および硫化カドミウム(CdS)などの1以上の化合物が硫化亜鉛の結晶構造の中に固溶したものや、粒子構造の中に二次相または二次領域として存在するものがある。EL発光物質は典型的に、適度の量の他の物質を、ドーパント(例えば臭素、塩素、マンガン、銀など)として、色中心として、活性剤として、あるいは粒子の格子の欠陥を修正して発光物質の特性を所望なものに変更するために、含有する。放射光の色はドーピングの量によって決定される。原理としては理解されているけれども、EL発光物質粒子の輝度は詳細には理解されていない。発光物質の輝度は時間および使用にともなって低下し、発光物質が水分または(1000ヘルツを超える)高周波数の交流にさらされる場合は、なお一層そうである。
【0006】
異なるドーパントを有する発光物質を混合することによって、あるいは「色段階型(color cascading)」発光物質によって、様々な色を生み出すことができる。銅活性化硫化亜鉛の発光物質は加えられた電界の下で青色または緑色の光を生成し、銅/マンガン活性化硫化亜鉛は加えられた電界の下で橙色の光を生成する。全体として、発光物質は白色光に見えるものを生成する。色段階型の発光物質を使用すること、すなわち一つの発光物質によって放射される光を使用して別の発光物質または他の材料を刺激し、それによってもっと長い波長で光を放射することが、当分野で長い間知られてきた(例えば米国特許第3,052,810号(Mash)を参照されたい)。二重にした段階型発光材料も知られている。米国特許第6,023,371号(Onitsuka他)は、青色光を放射するELランプであって、蛍光染料と蛍光顔料を含有する層で被覆されたものを開示する。一つの例において、顔料は青色光を吸収して緑色光を放射し、一方、染料は緑色光を吸収して赤色光を放射する。
【0007】
現代の(1985年以降の)ELランプは典型的に、約0.18mmの厚さを有するポリエステル材料またはポリカーボネート材料からなる透明な基板を有する。酸化インジウム-スズまたは酸化インジウムからなる透明な前側電極が、基板の上にほぼ100nmの厚さに真空蒸着される。前側電極の上に発光物質の層がスクリーン印刷され、そして発光物質の層の上に誘電体層がスクリーン印刷される。誘電体層の上に裏側電極がスクリーン印刷される。これらの層をロール塗布によって堆積させることも、当分野で知られている。
【0008】
用いられるインクは、結合剤、溶剤、および充填剤を含み、充填剤はインクの性質を決定する。典型的な溶剤はジメチルアセトアミド(DMAC)である。結合剤は典型的には、ポリ弗化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン(PVDF/HFP)、ポリエステル、ビニル、エポキシ、またはKynar 9301(Atofinaによって販売されている独占権のあるターポリマー)などのフルオロポリマーである。発光物質の層は典型的には、溶剤、結合剤、および硫化亜鉛の粒子を含有するスラリーからスクリーン印刷される。誘電体層は典型的には、溶剤、結合剤、およびチタニア(TiO2)またはチタン酸バリウム(BaTiO3)の粒子を含有するスラリーからスクリーン印刷される。裏側の(不透明な)電極は典型的には、溶剤、結合剤、および銀または炭素などの導電性粒子を含有するスラリーからスクリーン印刷される。
【0009】
当分野で長い間知られているように、各々の層のための溶剤と結合剤は化学的に同一であるかあるいは化学的に類似しているので、隣接する層の間での化学的適合性と良好な接着性を与える(例えば米国特許第4,816,717号(Harper他)を参照されたい)。化学的に適合性のある発光物質、染料、結合剤、充填剤、溶剤またはキャリヤーを見出すこと、および、硬化した後に、可撓性などの所望の物理的特性および色彩や明るさなどの所望の光学的特性を付与することは容易ではない。
【0010】
先行技術に従って構成されたELランプは、典型的に約0.18mmの厚さしかないが、しかし比較的硬く、そのため、そのランプは、キーパッドなどの大きな可撓性を要する何らかの用途には適さないものになっている。層の厚さと剛性は直接には関係がない。層を製造するための材料が剛性に影響する。典型的には、ELランプは上に挙げた材料から製造される。例えば、キーパッドを背面から照らすELランプは典型的に、キーの作動に影響するのを避けるために、キーの下に穴を有している。基板の厚さを単に減少させることは、所望の可撓性を付与することにはならない。
【0011】
比較的可撓性の高いELランプは、当分野で米国特許第5,856,030号(Burrows)で知られていて、これは、剥離紙の上のUV硬化ウレタン層の上に形成されたELランプを開示している。剥離紙は本質的な構造上の支持を与え、ランプ層はビニルゲルを含有するインクから付与される。約0.18mm程度の厚さの基板上に形成されたパネルとは異なり、薄いシート上に可撓性の材料(例えば厚さ0.025mm〜0.127mmのウレタン)から形成されたELパネルは、その形状を保たないが、しかし曲がるかあるいはカールする。このことが、パネルを最終製品に、例えば携帯電話のためのキーパッドあるいは三次元の成形品における発光構造体として、オートメーション化したやり方で組立てることを極めて困難にしている。
【0012】
公表されたPCT出願WO 02/103718号は、UV硬化性インクから製造されるEL構造物の「選択された」層について言及している。選択のための根拠については何も記載されておらず、UV硬化性インクから形成されない層についても何も記載されていない。米国特許第5,565,733号(Krafcik他)は、溶液型(solvent based)材料から製造されるELランプであって、ELランプのための接続点ではない導電性トレースの部分の上に存在するUV硬化性誘電体層を有するものを開示している。米国特許第5,770,920号(Eckersley他)は、溶液型材料を用いて製造されるELランプの裏側電極の上に存在するUV硬化性絶縁層を開示している。米国特許第5,780,965号(Cass他)は、ELランプのためのポリウレタンアクリル保護層を開示している。一般に、この工業では、Harper他の特許で表明された「類似する化学的性質を有する層」の提唱、特に(電極の間の、および電極を含む)ランプ層のためのそのような提唱に追従してきた。
【0013】
従って、上述のことに鑑みて、本発明の目的は、剥離層から除去したときにカールまたはゆがみが発生しない薄厚膜で無機質のELパネルを提供することである。
【0014】
本発明の別の目的は、先行技術のウレタン系のELランプよりも寸法上安定な可撓性のELランプを提供することである。
【0015】
本発明のさらなる目的は、隣接するランプ層について類似する化学的性質が要求されない可撓性のELランプを提供することである。
【0016】
本発明の別の目的は、除去可能な基板または剥離層の上の溶液型インクから製造されるELランプを提供することである。
【0017】
本発明のさらなる目的は、先行技術の可撓性のELランプよりも明るい可撓性のELランプを提供することである。
【0018】
本発明の別の目的は、キーパッドに適した可撓性のELランプを提供することである。
【0019】
発明の概要
上記の目的は本発明で達成され、それにおいて、エレクトロルミネセンスパネルは、剥離層、この剥離層の上の第一の絶縁層、この第一の絶縁層の上の複数のランプ層、およびランプ層の上にある第二の絶縁層を含む。本発明の第一の面によれば、第一の絶縁層と第二の絶縁層は低分子量のPVDF/HFP樹脂を含む。本発明の第二の面によれば、ランプ層のうちの少なくとも一つはUV硬化樹脂を含み、残りのランプ層は熱硬化(heat cured)樹脂を含む。
【0020】
発明の詳細な説明
本発明のより完全な理解は、添付図面とともに以下の詳細な説明を考察することによって得られる。
【0021】
図1は、先行技術に従って構成されたELランプの断面である。様々な層は正しい比率では示されていない。ランプ10において、剥離フィルム11はUV硬化ポリウレタン外被層12を支持する。透明な前側電極13が層12の上にあり、これはビニルゲル中の酸化インジウム-スズ粉末からなる層である。発光物質(phosphor)の層15が前側電極の上にあり、そして誘電体層16が発光物質の層の上にある。層15と16は、何らかの適用においては合同される。誘電体層16の上に、不透明な裏側電極17がある。外被層18はランプ10を、その外面の周囲で密封する(図示せず)。いずれの層も一定の縮尺では描かれていない。例えば、層18は約0.025mmの厚さであり、発光物質の層と誘電体層も同様である。
【0022】
図2は、本発明の好ましい態様に従って構成されたELランプの断面である。ランプ20は、剥離層21と、その上に例えばスクリーン印刷または当分野で知られている他の方法によって堆積された絶縁層22を含む。ELランプを製造するのに公知の方法を用いることができることが、本発明の利点である。剥離層はコーティングされた紙またはポリエチレンテレフタレート(PET)などのプラスチックシートであり、ロール状で供給され、このことにより、ランプの取り扱いが容易になり、またランプを器具または成形装置に組み付けることが容易になる。
【0023】
電極23は炭素/PEDOT/PSS(ポリ-3,4-エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸)(OrgaconTMEL-P 4010;Agfa-Gevaert N.V.)であり、これは層22の上にスクリーン印刷される導電性ポリマー複合材である。誘電体層25が電極23の上にあり、そして発光物質の層26が誘電体層の上にある。電極27は、発光物質の層26の上に透明なPEDOT/PSSインク(OrgaconTM EL-P 3040;Agfa-Gevaert N.V.)をスクリーン印刷することによって形成される。電極層23と27は、ランプの点灯領域の範囲を定めるように、グラフィックデザインでパターン化することができる。絶縁層28が電極27の上にある。
【0024】
図3は、本発明の別の態様に従って構成されたELランプの断面である。ランプ30は、剥離層31と、その上に堆積された絶縁層32を含む。電極33は、層32の上にスクリーン印刷されたPEDOT/PSSの透明な導電性インクである。発光物質の層35が電極33の上にあり、誘電体層36が発光物質の層の上にある。電極37が誘電体層36の上にある。絶縁層38が電極37の上にある。電極層33と37はパターン化することができる。
【0025】
図2と図3の態様は、発光物質の層と誘電体層の位置において異なっている。図2の態様は図3の態様よりも上方へ多くの光を放射する。というのは、発光物質の層は透明な電極に隣接していて、そして誘電体層は発光物質の層からの光を透明な電極を通して反射する性質があるからである。逆に、図3の態様は図2の態様よりも下方へ多くの光を放射する。
【0026】
絵文字の上層や保護層など、その他の層を図2と図3に示される態様に付加することができる。単一のパネルの中に複数のランプを形成するために、いずれの層も分割することができる。
【0027】
本発明の一つの面に従って、UV硬化性かつ熱硬化性の(溶液型)層を隣接して伴うELランプを明るく、撓みやすく、長寿命の薄厚膜ELランプにすることが可能な材料が見出された。本発明の一つの態様において、図2を参照すれば、層22と28をUV硬化性樹脂(Lustercure Special Coat C;Kolorcure Corp.)とし、そして残りの層をフルオロポリマーと溶剤を含有するインクからスクリーン印刷することによって、ELランプが製造された。
【0028】
実施例1
例示するだけの目的によって、下記のデータは本発明に従うELランプの構成を記載する。図3を参照されたい。
層31 ポリエステル剥離層;例、Burkhardt/Freeman Inc. 5ミル(0.127mm)PET Sil C15-1806;
層32 前側絶縁体、例えば、Kolorcure Lustercure Special Release Liner C;
層33 前側電極;透明なPEDOT/PSS導電体、例えば、OrgaconTM EL-P 3040;
層35 発光物質の層;フルオロポリマー樹脂;
層36 誘電体層;フルオロポリマー樹脂、チタニアまたはチタン酸バリウム;
層37 裏側電極;炭素/PEDOT/PSS導電体、例えば、OrgaconTM EL-P 4010;
層38 裏側絶縁体、例えば、Kolorcure Lustercure Special Release Liner C。
【0029】
図4〜7は、本発明の好ましい態様に従って構成されたランプを示す。図4は基本的なランプを示し、これは、剥離層41、前側絶縁体42、前側電極43、発光物質の層44、前側バスバー(bus bar)45、誘電体層46、裏側電極47、裏側バスバー48、および裏側絶縁体49を含む。
【0030】
図5において、EMI(電磁干渉)や音響ノイズなどの電界の影響を低減するために、第三の電極51が付加されている。電極51は、適当な電源(図示せず)またはアース(electrical ground)に、バスバー52によって結合される。絶縁層53が電極51およびバスバー52の上にある。
【0031】
図6において、色段階型の層(color-cascading layer)が付加されている。図示されているように、この層は異なる色の三つの領域を有する。単一の色あるいはいかなる数の色を用いてもよい。この態様は、例えば携帯電話におけるキーパッドを背面から照らすために用いることのできるものであり、この場合、発光物質の層44によって与えられる基本的な色に加えて、幾つかの色を用いるのが望ましい。例えば、段階型の層は、赤色の領域61、白色の領域62、および緑色の領域63を含む。
【0032】
図7は、色段階型の層と第三の電極の両方を含むELランプの断面である。
【0033】
図8は、本発明に従う8個の可撓性のELランプを製造するために用いられる材料の幾つかの組み合わせを示す表である。灰色の領域は、その層が省かれたことを示す。ランプの層を構成するものの組み合わせを下に示す。この層について図7に示すランプを参照されたい。
【0034】
1. 前側絶縁体42
2. 色段階型の層
3. 前側電極43
4. 発光物質の層44
5. 誘電体層46
6. 裏側電極47
7. 銀のバスバー45および48
8. 中間絶縁体49
9. 第三の電極51
10. 裏側バスバー52
11. 裏側絶縁体53。
【0035】
図4に示すもののような単純な二電極ランプを製造するために、それにおいては層2、8、9、および10を省く。図5に示すパネルについては、層2を省く。図7に示すランプについては、層8、9、および10を省く。構成の組み合わせは、製造されるランプに応じて変えられる。
【0036】
上の組み合わせで用いられる順序で材料を採用して、本発明に従うELパネルを製造するための実現可能で適合する材料として、以下の実施例が提示される。これらの実施例は、組み合わせまたは割合について余す所のないものであることは意図されていない。三つの白色配合物は、異なる色合いの白色を生み出す。
【0037】
前側絶縁体
好ましい前側絶縁体は米国特許第6,445,128号(Bush他)に記載されている樹脂溶液を含み、その特許の内容は本明細書中に参考文献として援用される。このインクを用いて製造されたパネルは実施例1に従って製造されたパネルよりも薄かったが、それでも、もっと良好な寸法安定性を有し(もっと高い平坦性を維持し)、そしてもっと弾力性が高かった。
【0038】
樹脂溶液 RS
成分 質量%
ジメチルアセトアミド(DMAC) 60.0
Hylar(R) SN樹脂 40.0
前側絶縁体(FI-A)
成分 質量%
Care 22(Nazdar) 2.40
BYK(R)−306界面活性剤(Byk Chemie) 7.22
DMAC 11.00
RS 79.38
赤色段階型の層−(UV硬化性)
成分 質量%
7600 Mixing Base(Kolorcure) 59.8
BYK(R)−307 0.60
Disperbyk(R) 181 0.66
Lunar Yellow(Swada) 12.0
Laser Red(Swada) 13.0
Flame Orange(Swada) 14.0
緑色の領域−(UV硬化性)
成分 質量%
7600 Mixing Base(Kolorcure) 91.0
BYK(R)−307 0.60
Disperbyk(R) 181 0.45
Lunar Yellow(Swada) 5.37
Laser Red(Swada) 2.59
白色の領域(1)−(UV硬化性)
成分 質量%
7600 Mixing Base(Kolorcure) 90.0
BYK(R)−307 0.60
Disperbyk(R) 181 0.40
Laser Red 2.0
Flame Orange 7.0
白色の領域(2)−(UV硬化性)
成分 質量%
7600 Mixing Base(Kolorcure) 90.0
BYK(R)−307 0.60
Disperbyk(R) 181 0.40
Laser Red 3.0
Flame Orange 6.0
白色の領域(3)−(UV硬化性)
成分 質量%
7600 Mixing Base(Kolorcure) 90.0
BYK(R)−307 0.60
Disperbyk(R) 181 0.40
Astral Pink 6.15
Laser Red 2.38
Flame Orange 0.47
前側電極
OrgaconTM3040(Agfa-Gevaert)
発光物質の層1、2、3
異なる発色を有するが、しかし同じ配合を有する発光物質で製造されたもの:
成分 質量%
Kyx溶液 37.1
DMAC 12.2
EL発光物質 50.7
発光物質の層で用いられたKyx溶液は下記の組成を有する樹脂溶液である:
Kyx溶液
成分 質量%
DMAC 75.63
エチレングリコールブチルエーテルアセテート 15.13
Kynar 9301樹脂(Atofina) 7.56
ModaflowTM(Monsanto) 1.68
誘電体層
成分 質量%
Care 22(Nazdar) 0.45
Disperbyk(R) 111改質剤 0.15
Ti-Pure(R) R-700二酸化チタン 31.2
DMAC 16.0
RS 52.2
裏側電極
OrgaconTM4010(Agfa-Gevaert)
銀のバスバー(Ag Dur)
成分 質量%
Care 22(Nazdar) 0.45
ParaloidTMB48Nアクリル樹脂(Rohm & Haas) 3.83
DMAC 31.73
HylarTMSN 7.86
Silver Flake, Metz #7 56.13
絶縁体(1)−前側絶縁体と同じ
絶縁体(2)−Kolorcureウレタン剥離コート C(UV硬化)
絶縁体(3)−Kolorcureからの別のウレタン(UV硬化)
第三の電極
Orgacon(R) 4010(Agfa-Gevaert)
裏側絶縁体−絶縁体1、2、または3を参照。
【0039】
図8に示す様々な組み合わせによって機能的なELランプが製造されたが、全てが同じ明るさまたは所望の色ではなかった。しかし、全てのランプが、ポリウレタンの外被と様々な充填剤のための媒体としてのビニルゲルを用いる先行技術に従って製造されたランプよりも明るかった。また、本発明に従って製造されたパネルは、剥離層から除去されたときにカールしなかった。パネルは薄片に裂けることもなかった。
【0040】
図9は携帯電話70の斜視図であり、これは本発明に従って構成されたELパネルを含む。携帯電話70は、キーパッド71、LCD(液晶ディスプレー)72、およびファンクションキー73、74、および75など、幾つかの背面から照らされる領域を有する。そのような領域は全て、単一のELパネルによって背面から照らすことができるが、少なくとも二つのパネルを用いるのが好ましく、一つはLCDのためのもの、そして一つは残りの領域のためのものである。本発明によれば、キーパッド71は、図4に示すように、パネルの「基本的な」部分によって背面から照らされる。ファンクションキー73、74、および75は、図6における領域61、62および63に相当する個々のランプによって背面から照らされる。その結果、携帯電話70は、全ての色を利用できるために魅力的であり、また様々なキーを色コードで区別することにより使用するのが簡単である。その寸法上の安定性と可撓性のために、本発明に従って構成されたELパネルは、携帯電話70のためのカバーに容易に成形される。
【0041】
図10は、本発明に従って構成されたパネルの平面図であり、剥離層が除去されている。剥離層を除去する前に、パネル90は切り取って形が整えられた。パネル90はキーパッドを背面から照らすためのランプ91、92、93を含み、またファンクションキーを背面から照らすためのランプ96、97、98を含む。パネル90のような単一のパネルは、適用の仕方に応じて、図4〜7に示す構成を異なる領域に組み入れることができ、あるいは図4〜7の単一のものによって構成することができる。
【0042】
従って本発明は、剥離層から除去したときにカールまたはゆがみが発生せず、先行技術のウレタン系のELランプよりも寸法上安定な薄厚膜で無機質のELパネルを提供する。パネルは引き伸ばすことができ、離すと最初の形状に戻るだろう。パネルは、隣接するランプ層について類似する化学的性質が要求されず、またこのパネルは、除去可能な基板または剥離層の上の溶液型インクから製造することができる。得られたパネルは、先行技術の可撓性のELランプよりも明るく、そしてキーパッドや破壊しない可撓性が要求されるその他の用途に非常に適している。
【0043】
以上のように本発明を説明してきたが、本発明の範囲内で様々な変更を行いうることは当業者には理解されるだろう。例えば、段階型の層の代わりに、あるいは段階型の層に加えて、発光物質の層を、異なる色を生み出す発光物質を含むように複数の領域に分割することができる。例えば前側絶縁層に染料を含めることによって、一つよりも多い段階型の層を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1は、先行技術に従って構成されたELランプの断面である。
【図2】図2は、本発明の好ましい態様に従って構成されたELランプの断面である。
【図3】図3は、本発明の別の態様に従って構成されたELランプの断面である。
【図4】図4は、本発明の好ましい態様に従って構成されたELランプの断面である。
【図5】図5は、本発明の好ましい態様に従って構成され、そして第三の電極を有するELランプの断面である。
【図6】図6は、本発明の好ましい態様に従って構成され、そして段階型の層を含むELランプの断面である。
【図7】図7は、本発明の好ましい態様に従って構成され、そして段階型の層と第三の電極の両方を含むELランプの断面である。
【図8】図8は、本発明に従う可撓性のELランプを製造するのに適した材料の幾つかの組み合わせを示す表である。
【図9】図9は、本発明に従って構成されたELランプを含む成形カバーを有する携帯電話である。
【図10】図10は、本発明の好ましい態様に従って構成されたELランプの平面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレクトロルミネセンスパネルであって、
剥離層、
前記剥離層の上の第一の絶縁層、
前記第一の絶縁層の上の複数のランプ層、
前記ランプ層の上にある第二の絶縁層、
を含み、このとき、前記第一の絶縁層と前記第二の絶縁層は低分子量のPVDF/HFP樹脂を含む、前記エレクトロルミネセンスパネル。
【請求項2】
前記ランプ層のうちの少なくとも一つはUV硬化樹脂を含み、そして残りのランプ層は熱硬化樹脂を含む、請求項1に記載のエレクトロルミネセンスパネル。
【請求項3】
前記ランプ層のうちの一つはUV硬化性インクから製造された色段階型の層である、請求項1に記載のエレクトロルミネセンスパネル。
【請求項4】
前記第一の絶縁層は段階型の染料を含む、請求項3に記載のエレクトロルミネセンスパネル。
【請求項5】
前記ランプ層は前側電極、前側バスバー、裏側電極、および裏側バスバーを含み、前記バスバーのうちの少なくとも一つは低分子量のPVDF/HFP樹脂と導電性充填剤を含む、請求項1に記載のエレクトロルミネセンスパネル。
【請求項6】
前記第一の絶縁層は段階型の染料を含む、請求項1に記載のエレクトロルミネセンスパネル。
【請求項7】
前記ランプ層は第三の電極を含む、請求項1に記載のエレクトロルミネセンスパネル。
【請求項8】
エレクトロルミネセンスパネルであって、
剥離層、
前記剥離層の上の第一の絶縁層、
前記第一の絶縁層の上の複数のランプ層、
前記ランプ層の上にある第二の絶縁層、
を含み、このとき、前記ランプ層のうちの少なくとも一つはUV硬化樹脂を含み、そして残りのランプ層は熱硬化樹脂を含む、前記エレクトロルミネセンスパネル。
【請求項9】
前記第一の絶縁層と前記第二の絶縁層はUV硬化性樹脂を含む、請求項8に記載のエレクトロルミネセンスパネル。
【請求項10】
前記ランプ層のうちの少なくとも一つは低分子量のPVDF/HFP樹脂を含む、請求項8に記載のエレクトロルミネセンスパネル。
【請求項11】
前記ランプ層のうちの一つはUV硬化性インクから製造された段階型の層である、請求項8に記載のエレクトロルミネセンスパネル。
【請求項12】
前記第一の絶縁層は段階型の染料を含む、請求項11に記載のエレクトロルミネセンスパネル。
【請求項13】
前記第一の絶縁層は段階型の染料を含む、請求項8に記載のエレクトロルミネセンスパネル。
【請求項14】
前記ランプ層は第三の電極を含む、請求項8に記載のエレクトロルミネセンスパネル。
【請求項15】
少なくとも一つのエレクトロルミネセンスパネルを有する携帯電話であって、
前記エレクトロルミネセンスパネルは基板を含まず、しかしこのパネルは、除去されて前記電話の中には含まれない剥離層の上に形成され、
このとき、前記エレクトロルミネセンスパネルは、低分子量のPVDF/HFP樹脂で製造される第一の絶縁層と第二の絶縁層を含む、前記携帯電話。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2007−526615(P2007−526615A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−501857(P2007−501857)
【出願日】平成17年2月23日(2005.2.23)
【国際出願番号】PCT/US2005/006139
【国際公開番号】WO2005/084229
【国際公開日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(500105311)ワールド・プロパティーズ・インコーポレイテッド (23)
【Fターム(参考)】