説明

基板エッチング装置

【課題】基板エッチング装置を提供する。
【解決手段】エッチング槽、基板に装着されエッチング槽の内部に設置されたカセット、カセットの下部面に設置される多孔板、多孔板に形成されてそれぞれ複数の吐出口からなる吐出部、吐出口にそれぞれ連結され、ガスの供給を受けて吐出口を通じて基板にバブルを提供する第1ラインを含む基板エッチング装置を提供する。第1ラインは、複数のグループに区分され、複数のグループ中で少なくとも一つのグループは、残りのグループと異なる圧力のガスの供給を受ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エッチング装置に関する。より詳細には、溶液を利用して基板をエッチングする基板エッチング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に平板表示装置では、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、有機電界発光ディスプレイ(OELD)などが多く用いられている。平板表示装置は、大型TVやノートブックコンピュータのモニタ及び携帯電話のような多様な表示装置に用いられている。
【0003】
このような平板表示装置には、基板が具備される。例えば、液晶(liquid crystal)を用いる液晶表示装置には、液晶を間に挟んで二つの透明ガラス基板が互いに向き合っている。最近の軽量化及びスリム化の傾向に従って薄い平板表示装置を開発するための研究が進行されており、その目的は基板の厚さを減少させることである。基板の厚さを減少させる方法として、基板に対するエッチング技術が開発された。この技術によれば、エッチング液で基板をエッチングしてその厚さを減少させる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記のエッチング技術には、次のような二つの問題がある。
【0005】
第一に、エッチングの時、基板が均一の厚さでエッチングされず、表示装置の動作の時、画質に重大な欠陥をもたらす。
【0006】
第二に、基板の厚い領域をエッチングする場合、この領域の基板の厚さが薄くなる一方で、エッチング過程の中で基板が破損される場合がある。特に、多数の基板を一気にエッチングする場合、いずれか一枚の基板が損傷すると、その破片によって隣接する他の基板が破損されることがある。
本発明が解決しようとする技術的課題は、複数の基板を均一な厚さで同時にエッチングすることができる基板エッチング装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明1は、以下の構成要件を備える基板エッチング装置を提供する。
エッチング液が満たされるエッチング槽と、
・前記エッチング液によってエッチングされる複数の基板を装着するための、前記エッチング槽の内部に設置されたカセットと、
・前記カセットの下部面に配置される多孔板と、
・前記多孔板に前記複数の基板に対応するように複数で形成され、それぞれが複数の吐出口を有する吐出部と、
・前記吐出口にそれぞれ連結され、ガスの供給を受けて前記吐出口を通じて前記複数の基板にバブルを提供する第1ライン。
前記第1ラインは、複数のグループに区分され、前記複数のグループの中で少なくとも一つのグループは、残りのグループと異なる圧力のガスの供給を受ける。
発明2は、前記発明1において、前記第1ラインの前記複数のグループにそれぞれ連結され、同一のグループに属する前記第1ラインに同一の圧力のガスを供給する第2ラインをさらに含む基板エッチング装置を提供する。
発明3は、発明1において、前記複数のグループの中で同一のグループに属する前記第1ラインは、同一の前記吐出部に属する少なくとも一つ以上の前記吐出口に連結されている基板エッチング装置を提供する。
発明4は、前記発明1において、前記複数のグループの中で同一のグループに属する前記第1ラインは、互いに異なる前記吐出部に属する二つ以上の前記吐出口に連結されている基板エッチング装置を提供する。
発明5は、前記発明1において、前記グループ毎に属する第1ラインの数が互いに異なる基板エッチング装置を提供する。
発明6は、前記発明2において、前記第2ラインは圧力調節器を有する基板エッチング装置を提供する。
発明7は、前記発明1において、前記第1ラインは前記吐出口と直接連結されている基板エッチング装置を提供する。
発明8は、前記発明1において、前記同一の吐出部に属する前記吐出口は、前記カセットに装着される前記複数の基板面に沿って形成されている、基板エッチング装置を提供する。
発明9は、前記発明8において、前記吐出部は、前記カセットに装着される複数の基板の間に位置するように配置されている基板エッチング装置を提供する。
発明10は、前記発明1において、各吐出部は、前記複数の基板それぞれの装着位置に対応する位置に形成され、前記吐出部それぞれに属する吐出口は、前記各吐出部に対応した複数の基板の装着位置の両側に配置されている基板エッチング装置を提供する。
発明11は、前記発明10において、前記複数の基板の装着位置の両側に配置された吐出口は、前記装着位置を挟んでジグザグ状に配置されている基板エッチング装置を提供する。
【0008】
本発明によれば、前記基板の位置によって提供されるガスの圧力を調節して提供されるバブルの量を異なるようにするので、前記基板が均一な厚さでエッチングされることができる。
【0009】
本発明12は、以下の構成要件を備える基板エッチング装置を提供する。
・エッチング液が満たされるエッチング槽と、
・前記エッチング液によってエッチングされる複数の基板を装着するための、前記エッチング槽の内部に設置されたカセットと、
・前記カセットに形成され、前記複数の基板を隔離する隔壁と、
・前記カセットの下部面に下部面に配置される多孔板と、
・前記多孔晩に前記複数の基板に対応するように複数で形成され、それぞれが複数の吐出口を有する吐出部と、
・前記吐出口にそれぞれ連結され、ガスの供給を受けて前記吐出口を通じて前記複数の基板にバブルを提供する第1ライン。
【0010】
本発明によれば、前記隔壁が前記基板の間を隔離して前記基板のうちいずれか一つが破損されても、その破片が他の基板に損傷を与えることを防止する。
発明13は、前記発明12において、前記第1ラインは、複数のグループに区分され、前記複数のグループの中で少なくとも一つのグループは残りのグループと異なる圧力のガスの供給を受ける基板エッチング装置を提供する。
発明14は、前記発明13において、前記複数のグループにそれぞれ連結され、同一のグループに属した前記第1ラインには同一の圧力のガスを供給する第2ラインをさらに含む、基板エッチング装置を提供する。
発明15は、前記発明13において、前記複数のグループの中で同一のグループに属する前記第1ラインは、同一の前記吐出部に属する少なくとも一つ以上の前記吐出口に連結されている基板エッチング装置を提供する。
発明16は、前記発明13において、前記複数のグループの中で同一のグループに属する前記第1ラインは、互いに異なる前記吐出部に属する二つ以上の前記吐出口に連結されている基板エッチング装置を提供する。
発明17は、前記発明13において、同一の吐出部に属する前記吐出口は、前記カセットに装着される前記複数の基板面に沿って形成されている基板エッチング装置を提供する。
発明18は、前記発明13において、各吐出部は、前記複数の基板それぞれの装着位置に対応する位置に形成され、前記吐出部それぞれに属する吐出口は、前記各吐出部に対応した複数の基板の装着位置の両側に配置されている基板エッチング装置を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明を用いれば、基板を均一な厚さで一度にエッチングすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付する図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。単に、本発明はここで説明される実施形態に限定されず、多様な形態で応用されて変形されることもできる。むしろ、下記の実施形態は、本発明によって開示された技術思想をより明確にし、さらに本発明が属する分野で平均的な知識を有する当業者に本発明の技術思想が充分に伝達されるように提供されるものである。したがって、本発明の範囲が下記の実施形態によって限定されて解釈されない。また下記の実施形態と共に提示された図面において、領域の大きさは明確な説明を強調するために簡略化または誇張されたものであり、図面上同一の符号番号は同一の構成要素を示す。
【0013】
図1は、本発明の実施形態による基板エッチング装置の概略的な構成図である。
【0014】
図1を参照すれば、基板エッチング装置には、エッチング部100と供給ライン200及び供給源300が具備される。エッチング部100では、エッチング液を利用して基板のエッチングが進行される。エッチング部100でエッチングを進行しながら、エッチング部100にガスが供給され基板にバブルを提供する。ガスは、供給源300と供給ライン200を通じてエッチング部100に供給される。供給ライン200は、エッチング部100に連結された第1ライン210と供給源300に連結された第2ライン220とを含む。
【0015】
図2は、図1のエッチング部の断面図である。
【0016】
図2を参照すると、エッチング部100は、エッチング槽110、基板130、カセット120、多孔板140を含む。エッチング槽110は、エッチング液190で満たされている容器である。エッチング槽110は、内部がエッチング液で満たされることができるように多様な形状を有する。例えば、上部面が開放された円柱や六面体のような形状を有することができる。開放された上部面からエッチングの対象となる基板130が、搬入または搬出される。
【0017】
基板130は、表示装置に用いられ、表示装置が液晶表示装置の場合、基板130は透明なガラスやプラスチック材質で製造される。液晶表示装置の場合、互いに向き合うように結合された一対の基板が搬入され、エッチングによって向き合う一対の基板の外部面がそれぞれエッチングされる。図2に示した基板130は、一枚の基板または液晶表示装置の例のように互いに向き合いように結合された一対の基板であることもできる。
【0018】
一度に複数の基板130が搬入されて一気にエッチングされるために、カセット120が用いられる。一度にエッチングされる基板130の数は、10枚から20枚程度が一般的であるが、場合によっては10枚以下または20枚以上であることも可能である。カセット120は、上部面が開放され、互いに向き合う一対の側面に沿って複数の基板130が装着される。開放された上部面から基板130が挿入され装着される。
【0019】
カセット120の下部面には、多孔板140が設置される。多孔板140には、複数の吐出口150が規則的に形成される。多孔板140は、カセット120と一体に形成されるか、またはカセット120とは別に製造された後、カセット120の下部面に装着される。多孔板140をカセット120に装着する方法には、例えば、カセット120の下部面は中心部分が開放されてへり部分のみ残っている長方型の環形状に形成され、つまりカセット120は上部が開放された直方体状に形成されており、前記開放された部分で複数の吐出口150が露出し、前記へり部分に多孔板140に置かれるように設置する方法がある。
【0020】
一方、基板130がカセット120に装着される方法には、例えば、カセット120の向き合う一対の面に沿って溝が形成されたガイドを設置して、溝に基板130を挿入する方法がある。または、多孔板140に溝が形成されたガイドを設置して、溝に基板130を挿入する方法がある。
【0021】
エッチング液190は、カセット120の高さより高い水位になるようにエッチング槽110の内部に満たされる。エッチング液190は、別途の供給装置(図示しない)を利用して下部から上部まで順次に満たされる。エッチング液は、カセット120に装着される基板130と反応する。例えば、エッチングの対象となる基板130が液晶表示装置に用いられるガラス基板である場合、エッチング液190はフッ化水素を含み、フッ化水素とガラスの化学反応で基板130がエッチングされ、その厚さが減少される。
【0022】
多孔板140に形成される吐出口150を通じて、基板130の表面にバブルが提供される。バブルは、エッチングされるときに基板130の表面に蓄積される副産物を除去するために提供される。副産物は、基板130とエッチング液190との間の化学反応の結果で発生し基板130の表面に蓄積される場合、基板130とエッチング液190との間の化学反応を妨害する。
【0023】
バブルを発生させるガスは、主に空気や不活性ガスである窒素が用いられ、供給ライン200を通じて供給される。エッチング槽110の底と多孔板140との間には、供給ライン200と多孔板140を連結するバブル板180が形成されてもよい。バブル板180は、供給ライン200の第1ライン210と多孔板140の吐出口150を連結する中間媒体になる。バブル板180は、多孔板140と一体型で形成されることもできる。
【0024】
図3は、図1の供給ライン200の構造を示す断面図である。
【0025】
図3を参照すると、供給ライン200には、第1ライン210と第2ライン220とが具備される。第1ライン210は、吐出口150にそれぞれ連結される。また、第1ライン210は、複数のグループで区分される。第2ライン220は、区分された各グループに属する第1ライン210を一つのグループとしてまとめて連結する。第2ライン220は、供給源300に直接連結されたメインライン310から分岐される。
【0026】
第2ライン220には、圧力調節器225が具備される。圧力調節器225は、流量計及び圧力ゲージを含むことができる。流量計は、第2ライン220を通じて供給されるガスの圧力を調節する。例えば、使用者の操作で第2ライン220の流路を広げたりまたは狭めたりしながらガスの流量及び圧力を調節することができる。圧力ゲージは、現在の供給中であるガスの圧力を表示する。
【0027】
図3に図示されたように、各第2ライン220から二つずつの第1ライン210が分岐される場合、いずれか一つの特定の第2ライン220から分岐された二つの第1ライン210には同一の圧力のガスが供給される。また互いに異なる第2ライン220から分岐された互いに異なる第1ライン210においては、供給されるガスの圧力が互いに異なるように調節されてもよい。
【0028】
第1ライン210は、多孔板140の吐出口150とそれぞれ対応して連結されるので、第1ライン210を区分してグループ化すれば、各第1ライン210に対応する吐出口150も同様にグループ化して区分される。区分された第1ライン210の各グループによってガスの圧力が変わると、区分された吐出口150のグループから供給されるバブルによって副産物を除去する効率が変わる。すなわち、より強い圧力のガスが供給されて発生したバブルは、基板130の表面に蓄積された副産物をより効果的に除去することができる。
【0029】
副産物は、基板130がカセット120のどの位置に装着されたかによって、または同一基板130でも基板130内の領域によって蓄積される程度が異なる。このような差を考慮すれば、副産物がたくさん蓄積される領域に対応する第1ライン210にはより高い圧力のガスを供給し、副産物が少なく蓄積される領域に対応する第1ライン210にはより低い圧力のガスを供給することが望ましい。この場合、副産物は均一に除去されて基板130を均一な厚さでエッチングすることができる。
【0030】
上記のように、第1ライン210をグループで区分するときは、位置によって副産物が蓄積される程度が異なることを考慮して、次のような多様な方法で第1ライン210と吐出口150をグループ化することができる。
【0031】
図4Aから図4Eは、図2の多孔板において吐出口を区分する多様な実施形態を示す平面図である。
【0032】
図4Aを参照すれば、多孔板140に形成される複数の吐出口150は、互いに垂直をなす第1方向Dと第2方向Dに規則的に形成される。多孔板140には、第2方向Dに沿って複数の吐出部151〜160が形成される。各吐出部151〜160は、エッチング対象の基板130と対応付けられる。例えば、第1方向Dに沿って順に吐出部151を第1吐出部151、吐出部160を第10吐出部160とすると、第n吐出部(nは1と10との間の任意の自然数)は、第n吐出部に隣接して装着される基板130にバブルを提供する。
【0033】
本実施形態において、吐出口150は、吐出部151〜160を単位としてグループ化される。すなわち、互いに隣接する、例えば、第1吐出部151と第2吐出部152に属するすべての吐出口150は同一のグループに属し、同一のグループに属する吐出口150に連結された第1ライン210には同一の圧力のガスが供給される。このような構成は、基板130がカセット120で装着される位置によって副産物が発生する程度に差があって、エッチングの厚さに差がある場合に適用される。例えば、10枚の基板130を一気にエッチングする場合、同一の基板130の領域内ではエッチングの厚さの差があまり大きくないが、基板130の相互間ではカセット120に装着される位置によってエッチングの厚さの差が大きい場合、吐出部151〜160を単位として吐出口150を区分することが望ましい。
【0034】
上記のような場合、同一のグループに属する吐出部151〜160の個数は多様に決定される。10枚の基板130を一気にエッチングするとき、第1吐出部151及び第2吐出部152に対応する基板間ではエッチングの厚さの差が小さく、第2吐出部152及び第3吐出部153に対応する基板130との間ではエッチングの厚さの差が大きい場合、隣接する2つの吐出部151及び152を一つのグループとし、吐出口150及びここに連結された第1ライン210を区分することができる。
【0035】
もし、第1吐出部151、第2吐出部152、第3吐出部153に対応する基板130の間ではエッチングの厚さの差が小さくて、第3吐出部153及び第4吐出部154に対応する基板130の間ではエッチングの厚さの差が大きい場合は、隣接する3つの吐出部151〜153を一つのグループとし、吐出口150及びここに連結された第1ライン210をグループ化することができる。もし、第1吐出部151及び第2吐出部152に対応する基板130の間でエッチングの厚さの差が大きい場合は、第1吐出部151及び第2吐出部152をそれぞれ別のグループとし、吐出口150及びここに連結された第1ライン210をグループ化することができる。
【0036】
図4Bを参照すると、吐出部151〜160のうち同一グループに属する吐出部が、お互いに隣接せず他のグループに属する吐出部151〜160の間に配置される。例えば、カセット120の中心部に装着される基板130と端部に装着される基板130との間でエッチングの厚さの差が大きい場合は、中心部で隣接する第5吐出部155及び第6吐出部156に属する吐出口150を同一のグループとし、中心部を基準に対称的に配置された吐出部、例えば、第3吐出部153及び第8吐出部158に属する吐出口150を同一のグループとすることができる。
【0037】
ここで、各グループ当たりの吐出部151〜160の数が全部同一である必要はない。例えば、中心部で隣接する第4吐出部154、第5吐出部155、第6吐出部156、第7吐出部157を一つのグループとし、第3吐出部153及び第8吐出部158を他のグループとし、両端部に位置する第1吐出部151、第2吐出部152、第9吐出部159、第10吐出部160をさらに他のグループとすることができる。
【0038】
図4Cを参照すると、多孔板140には第2方向Dに沿って複数の吐出部151〜160が形成され、各吐出部151〜160は第1方向Dに沿って形成された複数の吐出口150からなる。前記の実施形態と同様に、第n吐出部(nは1と10との間の任意の自然数)は、第n吐出部に隣接して装着される特定基板130にバブルを供給する。
【0039】
吐出部151〜160のうち一つの吐出部に属する吐出口150の中で、一部の吐出口150がグループ化される。これはカセット120に装着された基板130が、カセット120で装着された位置によってエッチングの厚さに差があり、また同一の基板130でも領域別にエッチングの厚さに大きい差がある場合に適用される。
【0040】
図4Cに図示されたように、吐出部151〜160のうちいずれかひとつの吐出部が10個の吐出口150からなる場合、同一の吐出部に属する吐出口150を二等分して隣接する5個の吐出口150をそれぞれ一つのグループとすることができる。一つのグループに属する吐出口150の個数は、基板130をエッチングした後に現われるエッチングの厚さの差の分布が均一になるように調整して決定するとよい。すなわち、基板130の領域によってエッチングの厚さの差が大きければ、一つのグループに属する吐出口150の個数を減らすべきである。このように調整した結果、一つのグループが一つの吐出口150のみからなるようにすることができる。
【0041】
図4Dを参照すれば、吐出部151〜160いずれか一つの吐出部に属する吐出口150において、複数のグループが形成され、一つのグループに属する吐出口150一部が、他のグループに属する吐出口150との間に配置される。例えば、基板130の中心部分と端部分での領域別にエッチングの厚さの差が大きい場合は、中心に位置する一部の吐出口150を一つのグループとし、中心を基準として対称的に配置された吐出口150を他のグループとすることができる。
【0042】
各グループ当たりの吐出口150の数が全部同一である必要はない。すなわち、いずれか一つの吐出部151〜160に属する10個の吐出口150の中で中心に隣接する4つの吐出口150を一つのグループとし、中心を基準に対称的に位置する吐出口150を他のグループとし、両端部に位置する4つの吐出口150をさらに他のグループにすることができる。
【0043】
図4Eを参照すれば、多孔板140には第2方向Dに沿って複数の吐出部151〜160が形成され、各吐出部151〜160は第1方向Dに沿って形成された複数の吐出口150からなる。第n吐出部(nは1と10との間の任意の自然数)は、第n吐出部に隣接して装着される基板130にバブルを供給する。
【0044】
吐出口150は、異なる吐出部151〜160に属する吐出口150とグループ化される。これはカセット120に装着される基板130が、カセット120で装着された位置と関係なく基板130の領域別にエッチングの厚さに差がある場合に適用される。例えば、第1吐出部151に対応する基板130と第5吐出部155に対応する基板130との間にエッチングの厚さの差はないが、二つの基板130において中心部と端部でのエッチングの厚さの差の分布が同一または類似の場合に、このような構成を適用することができる。
【0045】
具体的に、第1吐出部151から第10吐出部160の間で中心部、端部及びその間に位置する吐出口150を区分してそれぞれ異なるグループにすることができる。
【0046】
図4Aから図4Dに図示された実施形態では、複数のグループの中で同一のグループに属する第1ライン210は、同一の吐出部151〜160に属する少なくとも一つ以上の吐出口150に連結される。これに比べて、図4Eに図示された実施形態では、複数のグループの中で同一のグループに属する第1ライン210は、互いに異なる吐出部151〜160に属する二つ以上の吐出口150に連結される。このように、第1ライン210は多様にグループで区分されることができ、それによってグループ毎に適切な圧力のガスを供給することができる。
【0047】
さらに、図4Aから図4Eの実施形態では、基板130と吐出部151〜160は、1対1に対応される。しかし、隣接する一対の吐出部151〜160との間に基板130が位置するようにして各吐出部151〜160と基板130が2対1の関係で対応することができ、この場合にも各吐出部151〜160に属する吐出口150がグループ化されて区分される。
【0048】
図5A及び図5Bは、基板をエッチングした後の基板表面の厚さの分布を測定して示したグラフである。横軸S1〜S11及び1〜15は多様なサイズの基板のそれぞれにおいて相対的位置を表示するものであり、横軸S1〜S11は、基板の長手方向(以下、第1方向)に対応していて、1〜15は基板の長手方向に垂直な方向(以下、第2方向)に対応している。図5A及び図5Bは、サンプルとする基板毎に第1方向を11区分に、第2方向を15区分に分け、それぞれ区分毎に基板の厚さを測定し、その測定値より算出された相対的な平均値を表しており、1区分の長さは、約数十mmである。
図5Aは、本発明の別の実施形態による基板エッチング装置を利用して、基板をエッチングした後の基板表面の厚さの分布を測定して示したグラフである。比較実施形態による基板エッチング装置は、基板(説明の便宜のために第1基板と称する)に全て同一の圧力のガスによってバブルを提供する。
【0049】
図5Aを参照すると、エッチングの後、第1基板の厚さの分布は非常に不均一であり、厚さが810〜820μmである領域と820〜830μmである領域及び830〜840μmである領域で形成された厚さの分布を有する。
【0050】
図5Bは、本発明の他の実施形態による基板のエッチング装置を利用して、基板をエッチングした後の基板表面の厚さの分布を測定して示したグラフである。比較実施形態による基板エッチング装置は、基板(説明の便宜のために第2基板と称する)に領域別に異なるバブルを提供する。すなわち、多孔板に形成された吐出口が均一に配置されず、特定領域では吐出口が多く形成されて多量のバブルが提供され、他の領域では吐出口が少なく形成されて少量のバブルが提供される。このような構造は、本発明の実施形態に導入された原理と類似の原理が適用されたものである。
【0051】
図5Bを参照すると、第2基板は一部領域を除外した大部分の領域で厚さが810〜820μmで、比較的に均一な厚さの分布を有する。したがって、第2基板は第1基板に比べてより均一な厚さ分布を有し、これによって本発明の実施形態によれば、均一な厚さの分布を有するように基板がエッチングされることを確認することができる。
【0052】
図6A及び図6Bは、図2の多孔板で吐出口を配置する多様な実施形態を示した平面図である。
【0053】
図6A及び図6Bを参照すると、多孔板140には第2方向Dに沿って複数の吐出部151〜160が形成され、各吐出部151〜160は第1方向Dに沿って形成された複数の吐出口150からなる。第1方向Dは、基板130がカセット120に装着された時、各基板130の長手方向に該当する。第2方向Dは第1方向Dに垂直であり、複数の基板130が装着される方向である。各基板130の底面に対応する領域に、第1方向Dと平行する仮想線175をおくと、各吐出部151〜160に属する吐出口150は、仮想線175を挟んで両側に均一に配置されている。
【0054】
各吐出部151〜160に属する吐出口150が、このように仮想線175を基準にその両側に均一に配置されれば、その吐出部に対応する基板130の両面に均一にバブルが提供される。したがって、ある一面に偏らず、基板130の両面を均一にエッチングすることができる。
【0055】
具体的には、図6Aに図示されたように、吐出口150は、仮想線175を挟んで両側にジグザグ状になるように交互に一つずつ配置される。または図6Bに図示されるように、吐出口150は、仮想線175を挟んで両側にジグザグ状になるように交互に単数及び複数で配置される。
【0056】
上記のように、吐出口150がジグザグ状に配置された場合でも、各吐出口150に連結された第1ライン210をグループ化することができる。その結果、基板130のカセット120での装着位置や、または1つの基板130の領域に提供されるバブルを調節して、基板130をより均一にエッチングすることができる。
【0057】
図7は、本発明の他の実施形態による基板のエッチング装置の概略的な構成図である。
【0058】
図7を参照すると、基板のエッチング装置には、エッチング部100と供給ライン200及び供給源300が具備される。エッチング部100では、エッチング液を利用して基板のエッチングが進行され、エッチングの時、エッチング部100にガスを供給して基板にバブルを提供し、ガスは供給源300と供給ライン200を通じてエッチング部100まで供給される。
【0059】
図8は、図7のエッチング部の構造を示した断面図である。
【0060】
図8を参照すると、エッチング部100は、エッチング槽110、基板130、隔壁125が形成されたカセット120、多孔板140を含む。エッチング槽110は、エッチング液190が満たされている容器で、上部面が開放される。基板130は、カセット120に装着されて、複数の基板130が一気にエッチングされる。カセット120は、開放された上部面を通じてエッチング槽110の内部に搬入される。
【0061】
カセット120は、上部面が開放され、互いに向き合う一対の両側面に沿って複数の基板130が装着される。複数の基板130の間には隔壁125が形成され、基板130を相互に隔離する。隔壁125は、一枚の基板130に1対1に対応するように設置されるか、またはいくつかの基板130に一つの隔壁125が対応するように形成される。またはカセット120の内部に複数のサブカセットを形成して、各サブカセットが隔壁125の役割をすることができる。
【0062】
カセット120の下部面には、多孔板140が設置される。多孔板140には、複数の吐出口150が規則的に形成される。多孔板140は、カセット120と一体に形成されるか、またはカセット120とは別に製造された後、カセット120の下部面に装着される。エッチングの時、基板130の両面が均一にエッチングされるように、吐出口150は多様に配置され、具体的には、図6A及び図6Bを参照して説明した実施形態の技術をそのまま適用することができる。
【0063】
図9は、図7の供給ラインの構造を示した断面図である。
【0064】
図9を参照すると、供給ライン200は、吐出口150のそれぞれに連結された第1ライン210と供給源300に連結された第2ライン220を含む。第2ライン220は、第1ライン210の中で少なくとも一つ以上の第1ライン210を一つのグループにして、第1ライン210を複数のグループで区分する。図面には、第1ライン210と第2ライン220が1対1で対応する実施形態が図示されている。
【0065】
第2ライン220には、圧力調節器225が具備される。圧力調節器225は、供給源300から伝達されるガスの圧力を調節する。いずれか一つの特定の第2ライン220から分岐されたすべての第1ライン210には、同一の圧力のガスが伝達される。また互いに異なる第2ライン220で分岐された互いに異なる第1ライン210のガスの圧力は、互いに異なるように調節される。
【0066】
上記のように、第2ライン220によって第1ライン210とそれぞれ連結された吐出口150がグループ化され、これらをグループ化するには図4Aから図4Eを参照して説明した実施形態の技術がそのまま適用される。
【0067】
図8をさらに参照すると、エッチング工程の時、基板130は、エッチング槽110に満たされたエッチング液190と化学反応してエッチングされる。化学反応の時、スラッジのような副産物が発生し、副産物は供給ライン200から供給されたガスで形成されたバブルによって基板130の表面に蓄積されず、基板130の表面から除去される。副産物が多く蓄積される位置に対しては、その位置に対応する吐出口150に連結された第2ライン220における圧力調節器225の圧力を高く調節して、副産物が速く除去されるようにする。この場合、副産物が均一に除去されて基板130を均一な厚さでエッチングすることができる。
【0068】
化学反応が進行するにつれて、基板130の一部の厚さが減少しすぎたために基板130の一部にクラックが発生し、基板130が破損する場合がある。破損された基板130の破片がエッチング槽110の内部で自由に移動すると、破片によってエッチング中である他の基板130が連鎖的に破損される。本実施形態によれば、上記のように基板130の中で一部が破損しても、隔壁125によって破片の移動が制限される。したがって、基板130の中で一部が破損されても、カセット120に装着された他の基板130は損傷を受けずにエッチングされる。
【0069】
以上、例示的な観点でいくつかの実施形態を見たが、本発明属するの技術分野の通常の知識を有する当業者なら、特許請求の範囲に記載した本発明の思想及び領域から外れない範囲内で本発明を多様に修正及び変更することができると理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の実施形態による基板のエッチング装置の概略的な構成図である。
【図2】図1のエッチング部の構造を示した断面図である。
【図3】図1の供給ラインの構造を示した断面図である。
【図4A】図2の多孔板で吐出口を区分する多様な実施形態を示した平面図である。
【図4B】図2の多孔板で吐出口を区分する多様な実施形態を示した平面図である。
【図4C】図2の多孔板で吐出口を区分する多様な実施形態を示した平面図である。
【図4D】図2の多孔板で吐出口を区分する多様な実施形態を示した平面図である。
【図4E】図2の多孔板で吐出口を区分する多様な実施形態を示した平面図である。
【図5A】本発明の比較形態による基板のエッチング装置を利用して基板をエッチングした後の基板表面の厚さの分布を測定して示したグラフである。
【図5B】本発明の他の比較実施形態による基板のエッチング装置を利用して基板をエッチングした後の基板表面の厚さの分布を測定して示したグラフである。
【図6A】図2の多孔板で吐出口を配置する多様な実施形態を示した平面図である。
【図6B】図2の多孔板で吐出口を配置する多様な実施形態を示した平面図である。
【図7】本発明の他の実施形態による基板のエッチング装置の概略的な構成図である。
【図8】図7のエッチング部の構造を示した断面図である。
【図9】図7の供給ラインの構造を示した断面図である。
【符号の説明】
【0071】
100 エッチング部
110 エッチング槽
120 カセット
125 隔壁
130 基板
140 多孔板
150 吐出口
180 バブル板
200 供給ライン
210 第1供給
220 第2ライン
225 圧力調節器
300 供給源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エッチング液が満たされるエッチング槽と、
前記エッチング液によってエッチングされる複数の基板を装着するための、前記エッチング槽の内部に設置されたカセットと、
前記カセットの下部面に配置される多孔板と、
前記多孔板に前記複数の基板に対応するように複数で形成され、それぞれが複数の吐出口を有する吐出部と、
前記吐出口にそれぞれ連結され、ガスの供給を受けて前記吐出口を通じて前記複数の基板にバブルを提供する第1ラインと、を含み、
前記第1ラインは、複数のグループに区分され、前記複数のグループの中で少なくとも一つのグループは、残りのグループと異なる圧力のガスの供給を受ける基板エッチング装置。
【請求項2】
前記第1ラインの前記複数のグループにそれぞれ連結され、同一のグループに属する前記第1ラインに同一の圧力のガスを供給する第2ラインをさらに含む、請求項1に記載の基板エッチング装置。
【請求項3】
前記複数のグループの中で同一のグループに属する前記第1ラインは、同一の前記吐出部に属する少なくとも一つ以上の前記吐出口に連結されている、請求項1に記載の基板エッチング装置。
【請求項4】
前記複数のグループの中で同一のグループに属する前記第1ラインは、互いに異なる前記吐出部に属する二つ以上の前記吐出口に連結されている、請求項1に記載の基板エッチング装置。
【請求項5】
前記グループ毎に属する第1ラインの数が互いに異なる、請求項1に記載の基板エッチング装置。
【請求項6】
前記第2ラインは圧力調節器を有する、請求項2に記載の基板エッチング装置。
【請求項7】
前記第1ラインは前記吐出口と直接連結されている、請求項1に記載の基板エッチング装置。
【請求項8】
前記同一の吐出部に属する前記吐出口は、前記カセットに装着される前記複数の基板面に沿って形成されている、請求項1に記載の基板エッチング装置。
【請求項9】
前記吐出部は、前記カセットに装着される複数の基板の間に位置するように配置されている、請求項8に記載の基板エッチング装置。
【請求項10】
各吐出部は、前記複数の基板それぞれの装着位置に対応する位置に形成され、
前記吐出部それぞれに属する吐出口は、前記各吐出部に対応した複数の基板の装着位置の両側に配置されている、請求項1に記載の基板エッチング装置。
【請求項11】
前記複数の基板の装着位置の両側に配置された吐出口は、前記装着位置を挟んでジグザグ状に配置されている、請求項10に記載の基板エッチング装置。
【請求項12】
エッチング液が満たされるエッチング槽と、
前記エッチング液によってエッチングされる複数の基板を装着するための、前記エッチング槽の内部に設置されたカセットと、
前記カセットに形成され、前記複数の基板を隔離する隔壁と、
前記カセットの下部面に配置される多孔板と、
前記多孔板に前記複数の基板に対応するように複数で形成され、それぞれが複数の吐出口を有する吐出部と、
前記吐出口にそれぞれ連結され、ガスの供給を受けて前記吐出口を通じて前記複数の基板にバブルを提供する第1ラインと、
を含む基板エッチング装置。
【請求項13】
前記第1ラインは、複数のグループに区分され、前記複数のグループの中で少なくとも一つのグループは残りのグループと異なる圧力のガスの供給を受ける、請求項12に記載の基板エッチング装置。
【請求項14】
前記複数のグループにそれぞれ連結され、同一のグループに属した前記第1ラインには同一の圧力のガスを供給する第2ラインをさらに含む、請求項13に記載の基板エッチング装置。
【請求項15】
前記複数のグループの中で同一のグループに属する前記第1ラインは、同一の前記吐出部に属する少なくとも一つ以上の前記吐出口に連結されている、請求項13に記載の基板エッチング装置。
【請求項16】
前記複数のグループの中で同一のグループに属する前記第1ラインは、互いに異なる前記吐出部に属する二つ以上の前記吐出口に連結されている、請求項13に記載の基板エッチング装置。
【請求項17】
同一の吐出部に属する前記吐出口は、前記カセットに装着される前記複数の基板面に沿って形成されている、請求項13に記載の基板エッチング装置。
【請求項18】
各吐出部は、前記複数の基板それぞれの装着位置に対応する位置に形成され、
前記吐出部それぞれに属する吐出口は、前記各吐出部に対応した複数の基板の装着位置の両側に配置されている、請求項13に記載の基板エッチング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図5A】
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【図5B】
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【公開番号】特開2007−324567(P2007−324567A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−72702(P2007−72702)
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【Fターム(参考)】