説明

基板処理用デバイスおよび方法

本発明は、少なくとも1つのプロセスエリア内に少なくとも1つのプロセスツールが配置される処理システムにおいて基板を処理するためのデバイスに関し、ツールは、少なくとも略垂直に位置合わせされるプロセスエリア内で互いに向かい合って配置される2つの基板レベルを有し、デバイスは、プロセスエリア内でプロセスツールによって少なくとも2つの基板を同時に処理するように適合化され、基板は、基板のコーティングが互いに対面しかつ少なくとも処理中は基板間に準閉鎖処理空間が形成されるように、基板レベル内に配置されることが可能である。本発明はさらに、処理システムにおいてコーティングされた基板を処理するための方法に関し、基板はコーティングを有し、かつ基板は各々、基板のコーティングが互いに面しかつ少なくとも処理中は基板間に準閉鎖処理空間が形成されるように互いに向かい合って配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロセスエリア内に少なくとも1つのプロセスツールが配置されている処理システムにおいて基板を処理するためのデバイスおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
このような処理は、具体的には、半導体コンポーネントの製造において着手され、かつとりわけ、コーティング、構造化、テンパリングまたはこれらに類似するものに存する可能性がある。特に、(例えば、建築用ガラス、建物内部からの熱反射、ディスプレイ、CIS/CIGS薄膜太陽電池等の薄膜太陽電池またはこれらに類似するもののための)受動素子および能動素子を用いるガラス基板の処理では、コーティングおよび温度処理が重大な役割を果たす。コーティングが揮発性成分(有機化合物、セレン、硫黄またはこれらに類似するもの等)を含んでいれば、揮発性成分はコーティングプロセスによって、但し特には温度処理によって、環境(コーティングチャンバの壁等)へと大量に失われる結果となる。その結果、コーティングの化学量論的変動は制御されなくなり、かつ/または必要な過剰分の揮発性成分を供給するためのコストが大幅に追加される。
【0003】
原則的には、これらの状況は、金属板、ガラスセラミック、セラミックおよびプラスチック等の他の多数の基板材料の処理にも当てはまる。
【0004】
国際公開第2009/135685号には、化学量論的組成を制御すると同時に揮発性成分の必要な過剰分に対するコストを低減するために、一時的な処理ボックスが提案されている。この処理ボックスを用いれば、基板が処理される処理空間は、揮発性成分に対する必要な分圧の生成が必然的に実質上より少量の揮発性成分に対してのみ行われるように大幅に縮小され、これは、コストが大幅に低減され得ることを意味する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2009/135685号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、これらのコストをさらに低減することにあり、かつ同時に、基板の、または基板上のコーティングの均一な処理を可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的は、本発明により、独立請求項に記載された特徴を有する基板を処理するためのデバイスおよび方法によって達成される。効果的な改良は、従属請求項に報告されている。
【0008】
少なくとも1つのプロセスエリア内に少なくとも1つのプロセスツール、具体的には、熱蒸発器デバイス、好ましくは回転可能な円筒形マグネトロンスパッタリングデバイスであるスパッタリングデバイス、構造化デバイス、加熱デバイスまたはこれらに類似するものが配置されている、好ましくは真空処理システムである処理システムにおいて、基板、具体的にはコーティングされた基板を処理するための本発明によるデバイスは、本デバイスが、プロセスエリア内でプロセスツールによって少なくとも2つの基板を同時に処理すべく適合化されるように、プロセスエリア内で互いに向かい合って配置される、略垂直に位置合わせされた2つの基板レベルを有することにおいて区別化され、基板はこれらの基板レベル内に配置されることが可能であり、基板レベルは、好ましくはそれらの垂直要素に対して平行に位置合わせされる。基板は基板レベルに、基板のコーティングが互いに対面しかつ少なくとも処理中は基板間に準閉鎖処理空間が形成されるように位置合わせされることが可能である。本発明によるデバイスの可能な一実施形態では、閉鎖された処理空間を形成するために、フレームガスが密に画定する処理空間が基板間に配置される。したがって、本デバイスは、互いから所定の距離を隔てて配置される基板が略閉鎖された処理空間または準閉鎖式処理空間を形成するように実装される。
【0009】
本発明のコンテキストにおいて、「準閉鎖」という表現は、縁が開放されている処理空間を記述するものであるが、少なくとも多層体の処理期間中は事実上処理空間とその周辺との間にガス交換が発生せず、よって、周辺とのガス交換に関連するエッジ効果が取るに足らないものであることに起因して処理空間内では処理状態に重大な変化は生じない。さらに、バリアガスが密封する処理空間またはフレームガスが密に包囲する処理空間が提供されることも可能である。
【0010】
基板は、基板間に距離を有し、よって周囲へ開放されている処理空間と外周囲との間にガス交換バリアまたは均圧抵抗が形成されるように配置されることが可能であり、これにより、気化する層成分、プロセスガスまたはプロセス反応ガスが量を制御されずに外周囲へ流れ込むことが防止される。これは、処理されるべき表面間、または互いに向かい合う基板の層間の(非ゼロ)距離の適切な選択によって達成されることが可能であるが、これは、処理空間の容積、ガス粒子の平均自由行程または処理空間におけるガスの個々の分圧に依存する。例えば、互いに向かい合う処理されるべき基板の層間の(非ゼロ)距離は50mm未満であり、好ましくは10mm未満、特に好ましくは1mmから8mmまでであり、かつ極薄基板(例えば、膜)では1mm未満である可能性もある。これらの値は、処理されるべき基板表面が、いずれの場合も、例えば100cmから200000cmまでの範囲内のサイズを有する基板を基礎とするものである。
【0011】
効果的には、本デバイスは、処理空間における、例えば加熱処理(気化および外方拡散)によって発生する例えばカルコゲン成分(S、Se)であるガスの質量損失が50%未満であること、好ましくは20%未満、特に好ましくは10%未満、極めて好ましくは1%未満、かつさらに好ましくは0.1%未満であることが、互いに向かい合う処理されるべき基板層間の距離によって達成されるように実装される。
【0012】
本発明によるデバイスでは、処理空間をガスで密に閉鎖するバリアまたはフレームがなく、互い向かい合う2つの基板の処理されるべき表面の縁間に、処理空間の開口(ガスが通過する開口)が存在する。この開口は、2基板間の距離dに依存して所定の開口面積Sを有する。距離d(多層体配置において互いに向かい合う処理されるべき2表面間の距離)で位置合わせされる辺の長さがaおよびbである長方形基板の場合、基板の縁における開口面積Sは、式S=(2・a+2・b)・dで表される。一方で、処理空間では、2基板のコーティング表面より成る2基板上の合計処理面積Tが処理される。合計処理面積Tは、式T=2・a・b(辺の長さaおよびbのコーティングされた2つの長方形基板)によって表される。開口面積Sの合計処理面積Tに対する関係性(A=S/Tと特定される)を考慮すれば、本発明による多層体配置において、Aは最大値0.4を有すること、好ましくは最大値0.2、特に好ましくは最大値0.02かつさらに好ましくは最大値0.002を有することが効果的である。
【0013】
したがって、本発明によれば、少なくとも2つの基板が同時に略垂直の位置合わせで処理され、これにより、2基板の処理が共通のプロセスエリア内で少なくとも1つのプロセスツールを用いて共に発生することが規定される。組合せ効果のコンテキストにおいては、一つには、強い応力および曲げがほとんどない基板の取付けが可能にされる。これに対して、水平処理の場合、具体的には処理ボックスを用いる水平処理の場合、基板は曲げに対して多数の支持ポイントで支えられなければならなかった。垂直処理では、基板内面に作用する支持エレメントなしでの実行が可能である。実際に、基板内面に作用するこのような支持ポイントは、一つには張力をもたらし、かつ他にも、シャドーイング効果を生じさせる。これらのシャドーイング効果は、コーティング処置に伴って発生するだけでなく、支持ポイントは基板内の温度プロファイルを局所的に修正することから、特にテンパリングにも付随して発生する。本発明では基板内面に支持ポイントを供給する必要がないということに起因して、基板内の張力および曲げは防止され、かつシャドーイング効果ももはや発生しない。本発明による設計の別の効果は、1つのプロセスツールに関連して2つの基板を同時に処理することが可能であって、このような真空処理システムのスループットが倍増し、結果的にコストが大幅に低減されることに存する。
【0014】
ある好適な実施形態では、基板を本デバイスからプロセスツールを通って移送するように適合化される基板移送デバイスが設けられる。このデバイスは、設計の観点から特に単純に構成される。さらに、複数のこのようなデバイスが次々と続く接続により、多くの基板を異なる処理ステーションで連続的に処理することができるインライン真空処理システムを単純な方法で構築することが可能である。しかしながら、代替として、または追加的に、プロセスツールをこのデバイスから基板を通って移送するように適合化されるプロセスツール移送デバイスを設けることもまた効果的である可能性がある。
【0015】
プロセスツールは、便宜上、2つの基板レベルの間に配置される。次にこれは、双方の基板レベルおよびそこへ位置づけられる基板に等しく、かつ特に効果的に作用する。しかしながら、熱源がプロセスツールである事例では、これが2つの基板レベルの外側に配置されることもまた可能である。したがって、熱源はコーティングに直近して配置される必要がないことから特に効果的かつ穏やかなテンパリングが発生し、かつそれでも、特に薄い基板の場合、各基板もまた反対側の基板によって間接的に加熱されることから、高度に均一なテンパリングが発生する可能性がある。
【0016】
特に効果的には、好ましくは基板移送デバイスである基板レベルは、基板を支持するように適合化される転動体を有し、転動体は好ましくは溝形で実装され、よって基板のガイドチャネルを形成する。
【0017】
さらに、プロセスエリアには、少なくとも1つのガス入口が便宜的に設けられることが可能である。
【0018】
ある好適な実施形態では、基板レベルの下に、好ましくはデバイスから引き出せるように実装される少なくとも1つのベイスンが配置される。このベイスンは、予想される基板の破損が生じた場合に生成される物質を、デバイスから容易に取り出すことができるように受け止めることができる。
【0019】
独立項としての保護を特許請求する対象は、少なくとも1つのプロセスエリア内に少なくとも1つのプロセスツール、具体的には、熱蒸発器デバイス、好ましくは回転可能な円筒形マグネトロンスパッタリングデバイスであるスパッタリングデバイス、加熱デバイスまたはこれらに類似するものが配置されている、好ましくは真空処理システムである処理システムにおいて、基板、具体的にはコーティングされた基板を処理するための方法であって、プロセスエリアには互いに向かい合って配置される基板レベル内に少なくとも2つの基板が配置され、基板レベルは略垂直に位置合わせされ、基板レベルは、好ましくはそれらの垂直要素に対して平行に位置合わせされる。好ましくは、本方法は、先に述べたデバイスにおいて実行される。基板はコーティングを有し、かつ基板はいずれの場合も、基板のコーティングが互いに向き合うように互いに面して配置される。したがって、空間的に極小の処理空間が画定される。この処理空間は、好ましくは、少なくとも処理中は基板間に閉鎖された処理空間が形成されるように、具体的には基板間にフレームを配置することによってさらに小さく画定されることが可能である。
【0020】
ある便宜的な実施形態では、基板レベル間にキャリアガスおよび/またはプロセスガスが導入され、好ましくはフレーム内に、少なくとも1つのガス入口および少なくとも1つのガス出口が設けられることが規定されている。処理空間は、ガス入口およびガス出口を除いて閉鎖される。効果的には、基板はプロセスツールを通って移動され、これに伴って、代替的または追加的に、プロセスツールも基板を通って移動される。
【0021】
本発明はさらに、好ましくは半導体層として黄銅鉱化合物、具体的にはCu(In、Ga)(S、Se)を含む薄膜太陽電池またはモジュールを製造するための、先に述べたようなデバイス並びに先に述べたような方法の使用にまで広がる。好ましくは、この使用は、CISまたは(CIGSSe)薄膜太陽電池またはCISまたは(CIGSSe)薄膜太陽モジュールの生産に貢献し、具体的には、各基板はガラス板の形式で実装され、少なくとも元素Cu、InまたはCu、In、GaまたはCu、In、Ga、黄銅鉱薄膜半導体のセレン化および/または硫化のためのセレンでコーティングされる。
【0022】
本発明の目的の様々な実施形態が個々に、または任意の組合せで実現され得ることは理解される。具体的には、上述の特徴および以下で説明される特徴は、示される組合せのみならず、本発明の枠組みを逸脱することなく、他の組合せで、または単独でも用いられることが可能である。
【0023】
以下、図面を参照して詳細に説明される例示的な実施形態を参照しながら、本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1の好適な実施形態における、本発明によるデバイスである。
【図2】第2の好適な実施形態における、本発明によるデバイスである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、第1の好適な実施形態における本発明によるデバイス1を純粋に略示した断面図である。デバイス1は、適切なポンプ技術によって比圧レベルが設定され得る脱気可能なハウジング(不図示)を有する。
【0026】
デバイス1のプロセスエリア2には、本事例では当業者に周知の回転可能な円筒形マグネトロンスパッタリングデバイス3として実装されている、少なくとも1つのプロセスツール3が配置されている。スパッタリングデバイス3は、デバイス1のハウジングの外側に位置づけられる電源デバイス4へ接続される。
【0027】
スパッタリングデバイス3の両側では、2つの基板移送デバイス5、6がデバイス内に設けられ、各移送デバイス5、6は個々に、平面内に水平に配置される転動体9の下側の列7、7’および上側の列8、8’によって形成される。下側の列7、7’および上側の列8、8’は、2つの移送デバイス5、6によって略垂直に延びる基板レベルA、Bが画定されるように略垂直に上下に配置される。転動体9は、軸Dの周りへ回転可能式に取り付けられ、かつ軸Dに沿ったその長手方向に凹形の曲りを有し、この凹形の曲りによって、基板11、11’を内部に配置することができるガイドチャネル10が形成される。
【0028】
基板11、11’は、転動体9を介して、基板レベルA、Bに沿った図面の平面に対して垂直な平面をスパッタリングデバイス3を通って移送されるが、インライン処理方法のコンテキストにおいては、コーティング処理の上流および/または下流側にスパッタリングデバイス3によって、例えばテンパリングステップおよびこれに類似するものである追加の処理ステップが接続されることが可能である。
【0029】
基板11、11’間には、両側がこれらの基板11、11’によって隣接される準閉鎖処理空間12が形成される。このために、平行して配置される2つの基板11、11’は、間に例えば5mmの距離を有する。長方形基板の基板面積は、例えば500cmである。
【0030】
また、場合により、処理空間12を画定するために、略転動体9の高さに上下の境界が設けられることが可能である。適切なガス入口エレメントおよびガス出口エレメント(不図示)を介して、プロセスガスはコーティング中に処理空間12へと入れられ、これにより、基板11、11’にコーティング13、13’を与えるために、処理空間12内でスパッタリングデバイス3によりスパッタリング処理、例えば反応スパッタリング処理が実行される。
【0031】
2つの基板11、11’は、コーティングされるべきそれらの側面が互いに対面した状態で配置されかつ共有される処理空間12を画定するということに起因して、コーティング13、13’による基板11、11’のコーティングは共有される1つのスパッタリングデバイス3によって実行されることが可能であり、その結果、一つには、スループットが単一の処理ラインよりも倍増され、かつ他方では、2つのスパッタリングデバイスの使用に比べて必要とされるプロセスガスの量が著しく低減される。さらに、処理空間12を縮小するために処理ボックスまたはこれに類似するものを使用しない実行も可能であるが、その理由は、この場合、基板11、11’自体が処理空間12を画定することにある。垂直の基板レベルA、Bにおける基板11、11’のこの配置を介して、基板11、11’が支持関連の張力およびシャドーイング効果を受けないこともまた達成される。したがって、コーティング13、13’の付着は高度に均一である。基板11、11’の温度関連で予想されるサイズ変化は回転可能な転動体9によって消散され、よって処理の間、基板の反りは存在しない。
【0032】
図2は、本発明によるデバイス20の第2の好適な実施形態を純粋に略示する断面図であって、この場合もやはり、デバイス20の壁および他の重要でないエレメントは示されていない。また、ここには基板移送デバイスも示されていない。同じエレメントおよび類似のエレメントには、同じ参照文字および類似の参照文字が付されている。
【0033】
この場合もやはり、コーティング13、13’を施される基板11、11’は、互いに向かい合って配置される2つの基板レベルA’、B’内に配置されていることが分かる。これらの基板は、コーティングされるべきそれらの側面を互いに対向させて位置合わせされ、かつ間に処理空間12’を画定する。但し、この場合、コーティングツールまたはこれに類似するものは配置されていない。代わりに、プロセスエリア2’はテンパリング用に設定され、そのために、多数の加熱エレメント22より成る熱源21が準備される。熱源は、確かに、2つの基板レベルA’、B’の外側に2列の加熱エレメント22で配置されるが、これは、一つには加熱エレメント22が纏まって動作されること、もう一つには基板11上の基板レベルA’内に配置される加熱エレメント22が基板レベルB’内の他の基板11’をも間接的に加熱しかつその逆でもあることから、単一のプロセスツール21である。
【0034】
テンパリングのためのこの効果的なデバイス20の場合、基板11、11’はやはり互いに対面して配置されかつ共有される処理空間12’を画定することから、一つには、少なくともこれらの2つの基板11、11’が同時にテンパリングされ得ること、かつもう一つには、揮発性成分の逃げを防止するために、この限定された処理空間12’にのみ過剰な揮発性成分を導入することが必要であって、この過剰分が同時に基板11、11’の双方に対して用いられることに起因して、テンパリング処理は極めて効果的かつ同時に費用効果的に実行されることが可能である。
【0035】
処理空間12’は、基板11、11’間に基板11、11’の幅に沿って延びる気密フレーム23が設けられることで、さらに画定されかつ気密式に閉鎖されることが可能である。このフレーム23は、例えばデバイス20内に定置式に配置されることが可能であって、基板11、11’は、基板移送デバイス(不図示)によって両者間に極小の間隙を保ちながらこのフレームを通って案内される。あるいは、フレーム23は2つの基板11、11’と共に移動されることが可能であり、かつ具体的には、これらに付着されることも可能である。このフレーム23には、ガス入口エレメントおよびガス出口エレメントも配置されることが可能である。図2に示されているように、このようなフレーム23の使用に関して、プロセスツールが2つの基板11、11’間に位置づけられることは規定されない。
【0036】
一方で、この好適な実施形態の場合、プロセスツール3、21を通る基板11、11’の通過は常に想定され、当然ながら、これらの基板が定置式に配置されかつプロセスツールがこれらの基板を通って案内されることもまた規定されることが可能である。
【0037】
また、インライン真空処理システムのコンテキストでは、基板が異なるプロセスエリア2、2’を介して連続的に案内され、達成されるべき特有のコーティングパラメータを設定するために、2つの基板11、11’の例えばコーティングエリアにおける処理の間はコーティングツール3もプロセスエリア2内部を固有の方式で移動されることにおいて、さらなる最適化が実行される可能性もある。
【0038】
デバイス1、20は任意の処理システムにおいて使用されることが可能であるが、好ましくは、特有のプロセス雰囲気下での処理を可能にするために真空処理システムにおいて使用される。当然ながら、処理は、例えば特別に適合化された状態の下で加熱処理を実行するために、大気圧下または過圧下でも実行されることが可能である。
【0039】
上記から、本発明によるデバイス1、20および本発明による方法を用いれば、実質上より効率的かつより費用効果的である基板処理が可能であり、かつさらに極めて均一な処理を可能にすることは明らかである。
【0040】
以下、本発明のさらなる態様について説明する。
【0041】
本発明は、少なくとも1つのプロセスエリア内に配置される少なくとも1つのプロセスツール、具体的には、熱蒸発器デバイス、好ましくは回転可能な円筒形マグネトロンスパッタリングデバイスであるスパッタリングデバイス、構造化デバイス、加熱デバイスまたはこれらに類似するものが配置されている、好ましくは真空処理システムである処理システムにおいて、基板、具体的にはコーティングされた基板を処理するためのデバイスに関し、本デバイスは、本デバイスが、プロセスエリア内でプロセスツールによって少なくとも2つの基板を同時に処理すべく適合化されるように、プロセスエリア内で互いに向かい合って配置される略垂直に位置合わせされた2つの基板レベルを有することにおいて区別化され、基板はこれらの基板レベル内に配置されることが可能であり、基板レベルは、好ましくはそれらの垂直要素に対して平行に位置合わせされる。ある実施形態によれば、本デバイスを通る基板をプロセスツールを通して移送するように適合化される基板移送デバイスが設けられ、かつ/または本デバイスを通るプロセスツールを基板を通して移送するように適合化されるプロセスツール移送デバイスが設けられる。ある実施形態によれば、プロセスツールは2つの基板レベル間に配置され、かつ/またはプロセスツールは2つの基板レベルの外側に配置される熱源である。ある実施形態によれば、好ましくは基板移送デバイスである基板レベルは、基板を支持するように適合化される転動体を有し、転動体は、好ましくは溝形で実装され、よって基板用のガイドチャネルを形成する。ある実施形態によれば、プロセスエリア内に少なくとも1つのガス入口が設けられ、かつ/または基板レベルの下に、好ましくはデバイスから抜き出せるように実装される少なくとも1つのベイスンが配置される。ある実施形態によれば、基板レベル間にフレームが配置される。
【0042】
少なくとも1つのプロセスエリア内に配置される少なくとも1つのプロセスツール、具体的には、熱蒸発器デバイス、好ましくは回転可能な円筒形マグネトロンスパッタリングデバイスであるスパッタリングデバイス、加熱デバイスまたはこれらに類似するものが配置されている、好ましくは真空処理システムである処理システムにおいて、基板、具体的にはコーティングされた基板を処理するための本発明による方法は、プロセスエリアにおいて互いに向かい合って配置される基板レベル内に少なくとも2つの基板が配置されることにおいて区別化され、基板レベルは略垂直に位置合わせされ、基板レベルは、好ましくはそれらの垂直要素に対して平行に位置合わせされ、本方法は、具体的には先に述べたようなデバイスにおいて実行される。ある実施形態によれば、基板はコーティングを有し、かつこれらの基板は、いずれの場合も、基板のコーティングが互いに面するように互いに向かい合って配置され、好ましくは、少なくとも処理の間、基板間に略閉鎖された処理空間が、具体的には基板間にフレームを配置することによって形成される。ある実施形態によれば、基板レベル間にキャリアガスおよび/またはプロセスガスが導入され、好ましくはフレーム内に、少なくとも1つのガス入口および少なくとも1つのガス出口が設けられる。ある実施形態によれば、基板はプロセスツールを通って移動され、かつ/またはプロセスツールが基板を通って移動される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのプロセスエリア(2;2’)内に少なくとも1つのプロセスツール(3;21)が配置される処理システムにおいて基板(11、11’)を処理するためのデバイス(1;20)であって、このデバイスは、少なくとも略垂直に位置合わせされるプロセスエリア(2;2’)内で互いに向かい合って配置される2つの基板レベル(A、B;A’、B’)を有し、デバイス(1;20)は、プロセスエリア(2;2’)内でプロセスツール(3;21)によって少なくとも2つの基板(11、11’)を同時に処理するように適合化され、基板(11、11’)は、基板(11、11’)のコーティング(13、13’)が互いに向き合い、かつ少なくとも処理中は基板(11、11’)間に準閉鎖処理空間(12;12’)が形成されるように基板レベル(A、B;A’、B’)内に配置されることが可能である、デバイス(1;20)。
【請求項2】
基板レベル(A、B;A’、B’)が、それらの垂直要素に対して平行に位置合わせされる、請求項1に記載のデバイス(1;20)。
【請求項3】
閉鎖された処理空間(12;12’)を形成するために、基板間にフレームが配置される、請求項1または2のいずれか一項に記載のデバイス(1;20)。
【請求項4】
デバイス(1;20)を通る基板(11、11’)をプロセスツール(3;21)を通して移送するように実装される基板移送デバイス(5、6)が設けられ、かつ/またはデバイスを通るプロセスツールを基板を通して移送するように実装されるプロセスツール移送デバイスが設けられる、請求項1から3のいずれか一項に記載のデバイス(1;20)。
【請求項5】
プロセスツール(3)が2つの基板レベル(A、B)間に配置され、かつ/またはプロセスツールは2つの基板レベル(A’、B’)の外側に配置される熱源(21)である、請求項1から4のいずれか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項6】
基板レベル(A、B;A’、B’)が基板(11、11’)を支持するように実装される転動体(9)を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載のデバイス(1;20)。
【請求項7】
基板移送デバイス(5、6)が転動体(9)を有する、請求項6に記載のデバイス(1;20)。
【請求項8】
転動体(9)が溝形で実装され、よって基板(11、11’)のガイドチャネル(10)を形成する、請求項6または7のいずれか一項に記載のデバイス(1;20)。
【請求項9】
プロセスエリア内に少なくとも1つのガス入口が設けられ、かつ/または基板レベルの下に少なくとも1つのベイスンが配置される、請求項1から8のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
基板レベル間にフレームが配置される、請求項1から9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
少なくとも1つのプロセスエリア(2;2’)内に少なくとも1つのプロセスツール(3;21)が配置される処理システムにおいてコーティングされた基板(11、11’)を処理するための方法であって、プロセスエリア(2;2’)において互いに向かい合って配置される基板レベル(A、B;A’、B’)内に少なくとも2つの基板(11、11’)が配置され、基板レベル(A、B;A’、B’)は少なくとも略垂直に位置合わせされ、基板(11、11’)はコーティング(13、13’)を有しかつ基板(11、11’)は、基板(11、11’)のコーティング(13、13’)が互いに面するように互いに向かい合って配置され、かつ少なくとも基板(11、11’)間の処理中は、基板間に準閉鎖処理空間(12;12’)が形成される、方法。
【請求項12】
閉鎖された処理空間(12;12’)を形成するために、基板間にフレーム(23)が配置される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
基板レベル(A、B;A’、B’)間にキャリアガスおよび/またはプロセスガスが導入される、請求項11または12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
基板(11、11’)がプロセスツール(3;21)を通って移動され、かつ/またはプロセスツールが基板を通って移動される、請求項11から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
薄膜太陽電池またはモジュール、具体的にはCIS(CIGSSe)薄膜太陽電池またはCIS(CIGSSe)薄膜太陽モジュールを製造するための、請求項1から10のいずれか一項に記載されたデバイス並びに請求項11から14のいずれか一項に記載された方法の使用であって、具体的には、各基板はガラス板の形式で実装され、かつ少なくとも元素Cu、InまたはCu、In、GaまたはCu、In、Ga、黄銅鉱薄膜半導体のセレン化および/または硫化のためのセレンでコーティングされる使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2013−521408(P2013−521408A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−555364(P2012−555364)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【国際出願番号】PCT/EP2011/052575
【国際公開番号】WO2011/107373
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(500374146)サン−ゴバン グラス フランス (388)
【Fターム(参考)】