説明

基板及び照明装置

【課題】 より光を取り出すことが可能な基板及び照明装置を提供する。
【解決手段】 絶縁層6と、前記絶縁層6上の一部に形成されている第1の配線層7と、前記第1の配線層7上に形成されている第2の配線層8と、前記第2の配線層8の一部を囲んで露出するように形成されている開口部Kを有し、前記絶縁層6と前記第2の配線層8を覆うように設けられ、光を反射する樹脂から形成されているレジスト層9とを有することを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、LEDを用いた基板及び照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、LEDを用いた照明装置は、基板上に形成され、例えばCuから形成されている配線層と、配線層の一部に形成されたレジスト層とを含んで形成している基板を使用し、露出した配線層上にLEDチップが設けられている構造であった。
【0003】
また、基板のレジスト層は、LEDチップからの光を出来るだけ取り出すために、高反射可能なレジスト層を用いてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−298117号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の照明装置では、配線層が透けて見えるような厚みのレジスト層であった場合、LEDチップからの光の一部がレジスト層を透過してしまい、Cu等の反射率が低い配線層に光が吸収されてしまい、光の取り出し効率が悪かった。
【0006】
そこで本発明では、より光を取り出すことが可能な基板及び照明装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、実施形態の基板は、絶縁層と、絶縁層上の一部に形成されている第1の配線層と、第1の配線層上に形成されている第2の配線層と、第2の配線層の一部を囲んで露出するように形成されている開口部を有し、絶縁層と第2の配線層を覆うように設けられ、光を反射する樹脂から形成されているレジスト層とを有することを特徴としている。
【0008】
また、実施形態の照明装置は、請求項1に記載の基板と、基板の開口部に設けられている接続材と、電極が形成されており、接続材上に位置合わせして設けられているLEDパッケージとを有することを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係る照明装置を示す図で、(a)は上面図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図。
【図2】本発明の実施形態に係る光の波長に対する反射率の関係を示す図。
【図3】本発明の応用例に係るLEDパッケージを示す上面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態に係るより光を取り出すことが可能な基板及び照明装置を、図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
まず、本発明の実施形態に係る照明装置について、図1,図2を参照して説明する。図1(a),(b)に示すように、照明装置1は、基板2と接合材3、LEDパッケージ4とから構成されている。
【0012】
基板2は、基材5、絶縁層6、第1の配線層7、第2の配線層8、レジスト層9とから構成されている。基材5は、Alから形成されているものを用いており、LEDチップに電流を流した際に発生する熱を効率よく放熱するために設けている。なお、本実施形態では基材5がAlから形成されているが、これに限られることはなく、放熱性の高い金属から形成されていればよい。また、本実施形態の基板2は基材5を有する構造となっているが、これに限られることはなく、絶縁層6の一部を第1の配線層7ではさみこむような構造であってもよく、例えばガラスエポキシ基板やコンポジット基板を用いてもよい。
【0013】
絶縁層6は、基材5上に設けられており、基材5と第1の配線層7との導通を防ぐために設けられている。また、絶縁層6は絶縁性の樹脂から形成されている。
【0014】
第1の配線層7は、絶縁層6上の一部に形成されており、Cuから形成されている。また、第2の配線層8は、第1の配線層7上に設けられており、Agのめっき層により形成されている。実際に、図2に示すようにAgとCuの可視光領域の波長である350nm〜700nmの波長の光反射率を比較すると、全波長に対してAgの光反射率が高いことが分かる。
【0015】
なお、本実施形態では、第2の配線層8はAgのめっき層から形成されているがこれに限られることはなく、例えばAlやSn、Au等の第1の配線層7よりも反射率の高い導電性金属から形成されていればよい。また、本実施形態では第1の配線層7上に直接第2の配線層8を設けているが、これに限られることはなく、第1の配線層7と第2の配線層8との間に複数の配線層を設けてもよい。その場合、複数の配線層は例えばNiやPd等の導電性金属を用いて形成するとよい。
【0016】
また、第2の配線層8は2μm以上の厚みに形成されている。これは、2μm未満の厚みに形成した場合、第1の配線層7へと光が透過してしまい、十分に光を反射させることができないため、2μm以上の厚みに形成している。
【0017】
この様に、第1の配線層7よりも光反射率の高い第2の配線層8を形成することにより、光がレジスト層9を透過した際に、光をより反射することが可能となるので、より光を取り出すことができる。
【0018】
レジスト層9は、第2の配線層8の一部を囲んで露出するように複数の開口部Kが形成されており、後述するLEDパッケージ4の第1,第2の電極10,11と接続させるために位置合わせして形成されている。そして、絶縁層6と第2の配線層8を覆うように形成されている。また、レジスト層9はLEDからの光が直接絶縁層6に入射するのを防ぐため、光を反射しやすい、白色の樹脂を用いて形成している。
【0019】
このように、開口部Kを除いて連続的にレジスト層9を形成することにより、LEDパッケージ4から出射される光がどのような所から入射しても反射することが可能となり、光をより取り出すことが可能となる。その結果、光の配光角を広くすることができる。また、LEDパッケージ4の第1,第2の電極10,11と接続するための複数の開口部Kの間にレジスト層9が設けられていることにより、対象となる電極とは異なる電極へと通電してショートを引き起こす等の不具合を抑制することが可能となる。
【0020】
接合材3は、レジスト層9に形成されている開口部K内に充填されている。そして、接合材3はレジスト層9の表面Hより高くなるように形成されている。これにより、LEDパッケージ4の第1,第2の電極10,11と第2の配線層8とを確実に接続させることが可能となる。接合材3の材質としては、例えば半田やAgペースト等の導電性のものを用いている。
【0021】
LEDパッケージ4は、基板2上に複数設けられており、第1,第2の電極10,11と、LEDチップ12と、第1,第2のワイヤ13,14と、封止樹脂15とから構成されている。なお、本実施形態では、LEDパッケージ4が基板2上に複数設けられているが、これに限られることはなく、1つでも良い。
【0022】
第1の電極10は、導電性の金属から形成されており、LEDチップ12を設けるための第1のフレームとしての役割を果たしている。また、第2の電極11も導電性金属から形成されており、第2のフレームとしての役割を果たしている。
【0023】
LEDチップ12は、第1の電極10上に設けられており、本実施形態では1つ設けられている。
【0024】
第1のワイヤ13は、LEDチップ12と第1の電極10とを接続しており、第2のワイヤ14は、LEDチップ12と第2の電極11とを接続している。第1,第2のワイヤ13,14の材質としては、例えばAu等の導電性の金属から形成されている。
【0025】
封止樹脂15は、第1,第2の電極10,11と、LEDチップ12と、第1,第2のワイヤ13,14とを覆うように設けられている。また、封止樹脂15は蛍光体を含む樹脂により形成されている。
【0026】
なお、本実施形態のLEDパッケージ4ではLEDチップ12が1つ設けられているが、これに限られることはなく、例えば図3に示すように複数のLEDチップ12を設けてもよい。
【0027】
この場合、第1,第2の電極10,11をそれぞれ1つ用意し、複数のLEDチップ12を第1の電極10上に一定間隔を空けて設けている。そして、それぞれのLEDチップ12と第1の電極10とを接続するために、複数の第1のワイヤ13が形成されている。また、ぞれぞれのLEDチップ12と第2の電極11とを接続するために、複数の第2のワイヤ14が形成されている。そして、封止樹脂15は、第1,第2の電極10,11と、複数のLEDチップ12と、複数の第1,第2のワイヤ13,14を覆うように設けられている。
【0028】
以上、本実施形態によれば、照明装置1は、絶縁層6上に第1の配線層7と、第1の配線層7上に形成されている第2の配線層8と、第2の配線層8の一部を囲んで露出するように複数の開口部Kが形成され、絶縁層6と第2の配線層8を覆うように形成されているレジスト層9を有する基板2を用いている。また、第2の配線層8は、第1の配線層7よりも光の反射率が高い材質のものを用いている。
【0029】
これにより、光がレジスト層9を透過して入射しても、第1の配線層7よりも光の反射率の高い第2の配線層8により反射することが可能となるので、より光を取り出すことができる。
【0030】
また、開口部Kを除いて連続的にレジスト層9を形成していることから、LEDパッケージ4から出射される光がどのような所から入射しても反射することが可能となるため、光をより取り出すことができ、その結果、光の配光角を広くすることができる。
【0031】
更に、LEDパッケージ4の第1,第2の電極10,11と接続するための複数の開口部Kの間にレジスト層9が設けられていることにより、対象となる電極とは異なる電極へと通電することで発生するショートを抑制することが可能となる。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他のさまざまな形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0033】
1…照明装置
2…基板
3…接合材
4…LEDパッケージ
5…基材
6…絶縁層
7…第1の配線層
8…第2の配線層
9…レジスト層
10…第1の電極
11…第2の電極
12…LEDチップ
13…第1のワイヤ
14…第2のワイヤ
15…封止樹脂
K…開口部
H…表面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁層と、
前記絶縁層上の一部に形成されている第1の配線層と、
前記第1の配線層上に形成されている第2の配線層と、
前記第2の配線層の一部を囲んで露出するように形成されている開口部を有し、前記絶縁層と前記第2の配線層を覆うように設けられ、光を反射する樹脂から形成されているレジスト層と、
を有することを特徴とする基板。
【請求項2】
前記第2の配線層は前記第1の配線層よりも反射率が高いことを特徴とする請求項1に記載の基板。
【請求項3】
前記第2の配線層は、Al、Ag、Sn、Auのうち、いずれか1つから形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の基板。
【請求項4】
前記レジスト層の前記樹脂は、白色樹脂であることを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の基板。
【請求項5】
請求項1に記載の基板と、
前記基板の前記開口部に設けられている接続材と、
電極が形成されており、前記接続材上に位置合わせして設けられているLEDパッケージと、
を有することを特徴とする照明装置。
【請求項6】
前記LEDパッケージは、前記レジスト層と一定の間隔を設けて配置されていることを特徴とする請求項5記載の照明装置。
【請求項7】
前記第2の配線層は前記第1の配線層よりも反射率が高いことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の照明装置。
【請求項8】
前記第2の配線層は、Al、Ag、Sn、Auのうち、いずれか1つから形成されていることを特徴とする請求項5乃至請求項7に記載の照明装置。
【請求項9】
前記レジスト層の前記樹脂は、白色樹脂であることを特徴とする請求項5乃至請求項8に記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−212711(P2012−212711A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−76409(P2011−76409)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】