基板収容装置
【課題】収容されている複数の基板の姿勢を、所望の状態となるよう一度に修正することが可能な基板収容装置を提供する。
【解決手段】基板収容装置1は、基板支持カセット12と、回動軸30A,30Bと、歯車32A,32Bと、チェーン34と、連結具38A,38Bと、L字アングル40A,40Bと、駆動機構と、ストッパ部材とを有する。基板支持カセット12は、複数の棚20を有し、各棚20にガラス基板18がそれぞれ支持される。L字アングル40Aは連結具38Aによって回動軸30Aに取り付けられており、L字アングル40Bは連結具38Bによって回動軸30Aに取り付けられている。回動軸30A,30Bは、歯車32A,32B及びチェーン34によって同期して回動する。駆動機構は、L字アングル40Aを回動軸30A周りに駆動させる。ストッパ部材は、L字アングル40A,40Bの回転を規制する。
【解決手段】基板収容装置1は、基板支持カセット12と、回動軸30A,30Bと、歯車32A,32Bと、チェーン34と、連結具38A,38Bと、L字アングル40A,40Bと、駆動機構と、ストッパ部材とを有する。基板支持カセット12は、複数の棚20を有し、各棚20にガラス基板18がそれぞれ支持される。L字アングル40Aは連結具38Aによって回動軸30Aに取り付けられており、L字アングル40Bは連結具38Bによって回動軸30Aに取り付けられている。回動軸30A,30Bは、歯車32A,32B及びチェーン34によって同期して回動する。駆動機構は、L字アングル40Aを回動軸30A周りに駆動させる。ストッパ部材は、L字アングル40A,40Bの回転を規制する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に対して成膜等の処理を施すための基板処理システムにおいて、成膜等の処理の前の基板を複数収容するために用いられる基板収容装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カセットの各棚に載置された各ガラス基板の位置ズレを一挙に修正して整列させ、検査台の所定の載置範囲に対応させることを目的とした、カセット内のガラス基板整列装置が知られている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0003】
このガラス基板整列装置は、鉛直方向に沿って延びる回動可能なローラがカセットの一方側に2個設けられて構成された第1のローラ群と、鉛直方向に沿って延びる回動可能なローラがカセットの他方側に2個設けられて構成された第2のローラ群と、当該第1のローラ群を構成する各ローラを、鉛直方向に沿って延びる回動軸周りに回動させる第1の回動機構と、当該第2のローラ群を構成する各ローラを、鉛直方向に沿って延びる回動軸周りに回動させる第2の回動機構と、当該第1及び第2のローラ群を昇降させる昇降機構とを備えている。
【特許文献1】特開平8−244909号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基板(例えば、ガラス基板)に対して成膜等の処理を施すための基板処理システムは、一般に、成膜等の処理の前の基板を複数収容するために用いられる基板収容装置(ロードロック・アンロードロックチャンバ(以下、LC/ULCと略称する。))と、プラズマ源から出射されたプラズマによって蒸発した成膜材料を基板に蒸着させる成膜チャンバと、LC/ULCに収容されている基板を受け取り成膜チャンバの基板支持手段に受け渡すロボットハンドとを備える。
【0005】
ところで、上記の成膜チャンバでは、基板の所望の領域に成膜材料を蒸着させるために、通常、所定形状の開口(マスクパターン)が形成されたマスクを基板に重ねた状態で成膜が行われる。その際、マスクと基板とを極めて高精度(例えば、±50nm程度)に位置合わせ(アライメント)する必要があるので、成膜チャンバには、一般に、位置合わせ調整手段が設けられている。
【0006】
ところが、成膜チャンバ内でのマスクと基板との位置合わせは上記のように極めて高精度に行われる必要があり、従って、位置合わせ前におけるマスクと基板との位置ズレの許容範囲が大きく制限されている。そのため、LC/ULC内での基板の位置ズレが大きいと、ロボットハンドには一般に基板の位置ズレを修正する機能が設けられていないので、もはや成膜チャンバ内の位置合わせ調整手段によってはマスクと基板とを位置合わせすることができなくなってしまう。つまり、成膜チャンバ内でのマスクと基板との位置合わせを確実に行うためには、位置合わせ前におけるマスクと基板との位置ズレが許容範囲内となるように、LC/ULC内において予め基板の姿勢を修正(プレアライメント)しておく必要がある。
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたような従来のガラス基板整列装置は、単にカセットの両側から一対のローラ群で基板を押圧して基板の整列を行っているに過ぎず、位置合わせ前におけるマスクと基板との位置ズレが許容範囲内となるように予め基板の姿勢を修正しようとする思想を有するものではなかったので、基板の姿勢を修正するには不十分な構成であった。
【0008】
そこで、本発明は、収容されている複数の基板の姿勢を、所望の状態となるよう一度に修正することが可能な基板収容装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る基板収容装置は、互いに対向する一対の主面と、互いに対向する第1及び第2の側面と、互いに対向すると共に第1及び第2の側面とそれぞれ隣り合う第3及び第4の側面とを有する平板状の基板を複数収容可能な基板収容装置であって、複数の基板の一対の主面がいずれも鉛直方向と交差すると共に複数の基板が鉛直方向において互いに離間した状態となるように、複数の基板をそれぞれ支持する基板支持カセットと、上端が基板支持カセットに支持される複数の基板のうち最も上方に位置する基板よりも上方に位置し且つ下端が基板支持カセットに支持される複数の基板のうち最も下方に位置する基板よりもよりも下方に位置するように鉛直方向に沿って延びる第1及び第2の回動軸と、上端が基板支持カセットに支持される複数の基板のうち最も上方に位置する基板よりも上方に位置し且つ下端が基板支持カセットに支持される複数の基板のうち最も下方に位置する基板よりもよりも下方に位置するように鉛直方向に沿って延びる第1及び第2の部分を有しており、第1の連結具を介して第1の回動軸に取り付けられ、これにより第1の回動軸が回動することで第1の回動軸の周りに回動可能とされている第1の移動規制具と、上端が基板支持カセットに支持される複数の基板のうち最も上方に位置する基板よりも上方に位置し且つ下端が基板支持カセットに支持される複数の基板のうち最も下方に位置する基板よりもよりも下方に位置するように鉛直方向に沿って延びる第1及び第2の部分を有しており、第2の連結具を介して第2の回動軸に取り付けられ、これにより第2の回動軸が回動することで第2の回動軸の周りに回動可能とされている第2の移動規制具と、第1の移動規制具を第1の回動軸周りに駆動させると共に第2の移動規制具を第2の回動軸周りに駆動させる少なくとも一つの駆動手段と、第1の移動規制具が記基板に接近する方向における第1の移動規制具の回転を規制して、第1の移動規制具の第1の部分が複数の基板の第1の側面に向かう状態となると共に第1の移動規制具の第2の部分が複数の基板の第3の側面に向かう状態となる所定位置にて第1の移動規制具を停止させるための第1のストッパと、第2の移動規制具が基板に接近する方向における第2の移動規制具の回転を規制して、第2の移動規制具の第1の部分が複数の基板の第2の側面に向かう状態となると共に第2の移動規制具の第2の部分が複数の基板の第4の側面に向かう状態となる所定位置にて第2の移動規制具を停止させるための第2のストッパとを備え、第1のストッパによって第1の移動規制具が所定位置にて停止すると共に第2のストッパによって第2の移動規制具が所定位置にて停止した状態で、第1の移動規制具の第1及び第2の部分並びに第2の移動規制具の第1及び第2の部分によって複数の基板の水平方向の移動を規制する移動規制領域が画成されることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る基板収容装置では、第1のストッパによって、第1の移動規制具の第1の部分が複数の基板の第1の側面に向かう状態となると共に第1の移動規制具の第2の部分が複数の基板の第3の側面に向かう状態となる所定位置にて第1の移動規制具を停止させるようにしており、第2のストッパによって、第2の移動規制具の第1の部分が複数の基板の第2の側面に向かう状態となると共に第2の移動規制具の第2の部分が複数の基板の第4の側面に向かう状態となる所定位置にて第2の移動規制具を停止させるようにしている。そして、第1のストッパによって第1の移動規制具が所定位置にて停止すると共に第2のストッパによって第2の移動規制具が所定位置にて停止した状態で、第1の移動規制具の第1及び第2の部分並びに第2の移動規制具の第1及び第2の部分によって複数の基板の水平方向の移動を規制する移動規制領域を画成している。そのため、例えば、後工程であるマスクと基板との位置合わせの前におけるマスクと基板との位置ズレが許容範囲内となるように、この移動規制領域を設定することで、基板収容装置に収容されている基板の姿勢を、所望の状態となるよう修正することが可能となっている。
【0011】
また、本発明に係る基板収容装置では、第1及び第2の回動軸並びに第1及び第2の移動規制具が、いずれも、上端が基板支持カセットに支持される複数の基板のうち最も上方に位置する基板よりも上方に位置し且つ下端が基板支持カセットに支持される複数の基板のうち最も下方に位置する基板よりもよりも下方に位置するように鉛直方向に沿って延びている。そのため、基板収容装置内に収容されている全ての基板に対して、上記の移動規制領域が画成されることとなる。その結果、収容されている複数の基板の姿勢を、所望の状態となるよう一度に修正することが可能となっている。
【0012】
好ましくは、第1の回動軸の回動に伴い第2の回動軸を同期して回動させる同期手段を更に備える。このようにすると、駆動手段によって、例えば第1の回動軸のみを駆動させることで、同期手段によって第2の回動軸も駆動されることとなる。つまり、一つの駆動手段を備えるのみで、第1及び第2の回動軸を共に駆動させることができる。その結果、基板収容装置の構成を簡便にすることが可能となると共に、コストの低減を図ることが可能となる。
【0013】
好ましくは、第1の連結具は、第1の移動規制具が固定され、第1の回動軸が貫通すると共に第1の回動軸の回動に付随することなく第1の回動軸を中心に回動可能とされた第1の部分と、第1の回動軸が貫通すると共に第1の回動軸に固着された第2の部分と、第1の連結具の第1の部分と第1の連結具の第2の部分とを連結する弾性部材とを有し、第2の連結具は、第2の移動規制具が固定され、第2の回動軸が貫通すると共に第2の回動軸の回動に付随することなく第2の回動軸を中心に回動可能とされた第1の部分と、第2の回動軸が貫通すると共に第2の回動軸に固着された第2の部分と、第2の連結具の第1の部分と第2の連結具の第2の部分とを連結する弾性部材とを有している。ここで、これらの弾性部材がない場合、第1及び第2の移動規制具から基板に作用する力の大きさは第1及び第2の回動軸を回動させるトルクに比例する。そのため、必要以上のトルクで第1及び第2の回動軸を回動させた場合には、基板に大きな外力が加えられることとなり、基板の破損に繋がる虞がある。しかしながら、上記のような弾性部材を有していることにより、必要以上のトルクで第1及び第2の回動軸を回動させた場合であっても、余剰のエネルギーは弾性部材に吸収されるようになるので、基板には基板を移動させるために必要十分な大きさの力が作用することとなる。その結果、基板が破損する虞を大きく低減することが可能となる。
【0014】
好ましくは、真空チャンバを更に備え、駆動手段の駆動源は、真空チャンバ外に配置され、基板支持カセット、第1及び第2の回動軸、第1及び第2の移動規制具、駆動手段のうち駆動源を除いた部分、並びに、第1及び第2のストッパは、真空チャンバ内に配置されている。ここで、駆動源が動作しなくなってしまうため、一般に、真空中には駆動源を設けない。真空中でも動作する駆動源を製造することもできるが、特注品となってしまうため、極めてコストが高くなる。しかしながら、上記のように駆動手段の駆動源を真空チャンバ外に配置することで、真空中で基板の姿勢を修正しようとする場合でも、コストアップを招くことなしに駆動源の動作を確保することが可能となる。
【0015】
好ましくは、第1及び第2の移動規制具は、共に、縦断面がL字形状を呈する棒状体である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、収容されている複数の基板の姿勢を、所望の状態となるよう一度に修正することが可能な基板収容装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明に係る基板収容装置1の好適な実施形態について、図面を参照して説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0018】
(基板収容装置の構成)
まず、基板収容装置1の構成について、図1〜図11を参照して説明する。基板収容装置1は、図1に示されるように、LC/ULC(真空チャンバ)10と、基板支持カセット12と、移動規制機構14と、その駆動機構16とを備える。
【0019】
LC/ULC10は、いわゆるクラスター式の基板処理システムの一部を構成するものである。基板処理システムとしては、LC/ULC10の他、図示しないロボットチャンバや成膜チャンバを備えており、いずれのチャンバも真空容器にて構成されている。
【0020】
LC/ULC10は、減圧及び大気開放可能とされており、複数のガラス基板(基板)18(図2参照)を支持する基板支持カセット12がその内部に配置されている。ロボットチャンバは、LC/ULC10の側壁に設けられた開口部10aを通じて、LC/ULC10と成膜チャンバとの間でガラス基板18をロボットアーム(図示せず)によって搬送する搬送ロボット(図示せず)を有している。
【0021】
成膜チャンバは、いわゆるイオンプレーティング法を用いて、ガラス基板18に対して成膜処理を行うための成膜チャンバである。成膜チャンバは、アライメント室と、トリートメント室と、退避室とを有しており(いずれも図示せず)、アライメント室、トリートメント室及び退避室がこの順に並んで配置されている。アライメント室では、マスク(図示せず)とガラス基板18との位置合わせが行われる。なお、マスクは、所定形状の開口(マスクパターン)が形成された矩形状の薄板である。
【0022】
LC/ULC10内に配置されている基板支持カセット12は、図2に示されるように、外形が直方体形状を呈している。具体的には、基板支持カセット12は、互いに対向する一対の上壁12a及び下壁12bと、互いに対向する一対の側壁12c,12dとを有しており、上壁12aと下壁12bとが側壁12c,12dによって連結されている。そのため、基板支持カセット12は、前後方向において、側壁を有しておらず、開放されている。
【0023】
ここで、側壁12cには、駆動機構16を構成するロッド74(詳しくは後述する)の先端部が通過可能な開口部Hが設けられている(図2、図11及び図12参照)。また、基板支持カセット12の下壁12bには、図示しない昇降機構に接続された昇降ロッドRの先端部が設けられており(図1〜図3参照)、基板支持カセット12がLC/ULC10内において昇降するようになっている。
【0024】
基板支持カセット12は、図2及び図3に示されるように、ガラス基板18を1枚ずつ支持するための棚20を複数(本実施形態においては10個)有している。そのため、基板支持カセット12は、ガラス基板18を複数(本実施形態においては10枚)収容可能である。
【0025】
ここで、ガラス基板18は、図5に示されるように、直方体形状を呈しており、互いに対向する一対の主面18a,18bと、互いに対向する一対の側面18c,18dと、互いに対向する一対の側面18e,18fとを有する。側面10c,10dは、主面10a,10b及び側面10e,10fと隣り合っており、主面10a,10b及び側面10e,10fを連結するように延びている。側面10e,10fは、主面10a,10b及び側面10c,10dと隣り合っており、主面10a,10b及び側面10c,10dを連結するように延びている。
【0026】
複数の棚20は、基板支持カセット12内において、鉛直方向に沿って並ぶように互いに離間して配置されている。1つの棚20は、図4において詳しく示されるように、4つの支持体20A〜20Dによって構成されている。
【0027】
支持体20A,20Bは、基板支持カセット12の側壁12cの内面に、基板支持カセット12の内方に向かうように突設されている。支持体20C,20Dは、基板支持カセット12の側壁12dの内面に、基板支持カセット12の内方に向かうように突設されている。
【0028】
支持体20A,20Cは、基板支持カセット12の前方側(図1〜図4の矢印A側)に配置されている。支持体20B,20Dは、基板支持カセット12の後方側(図1〜図4の矢印B側)に配置されている。
【0029】
支持体20Aは、支持板22Aと、支持アーム24Aとを有している。支持体20B〜20Dについても、同様に、支持板22B〜22Dと、支持アーム24B〜24Dとをそれぞれ有している。
【0030】
支持板22A,22Bは、共に、側壁12c上において、基板支持カセット12の前後方向(図1〜図4の矢印A,B方向)に延びている。支持板22C,22Dは、共に、12d上において、基板支持カセット12の前後方向(図1〜図4の矢印A,B方向)に延びている。
【0031】
支持アーム24Aは、基板支持カセット12の内方側を向く支持板22Aの端面のうち基板支持カセット12の前方側の領域に突設されている。支持アーム24Aは、鉛直方向(上壁12aと下壁12bとの対向方向)から見てL字形状を呈しており、支持板22Aの端面から支持体20C側に向けて延びた後、基板支持カセット12の後方側に向けて屈曲している。
【0032】
支持アーム24Bは、基板支持カセット12の内方側を向く支持板22Bの端面のうち基板支持カセット12の後方側の領域に突設されている。支持アーム24Bは、鉛直方向(上壁12aと下壁12bとの対向方向)から見てL字形状を呈しており、支持板22Bの端面から支持体20D側に向けて延びた後、基板支持カセット12の前方側に向けて屈曲している。
【0033】
支持アーム24Cは、基板支持カセット12の内方側を向く支持板22Cの端面のうち基板支持カセット12の前方側の領域に突設されている。支持アーム24Cは、鉛直方向(上壁12aと下壁12bとの対向方向)から見てL字形状を呈しており、支持板22Cの端面から支持体20Aに向けて延びた後、基板支持カセット12の後方側に向けて屈曲している。
【0034】
支持アーム24Dは、基板支持カセット12の内方側を向く支持板22Dの端面のうち基板支持カセット12の後方側の領域に突設されている。支持アーム24Dは、鉛直方向(上壁12aと下壁12bとの対向方向)から見てL字形状を呈しており、支持板22Dの端面から支持体20B側に向けて延びた後、基板支持カセット12の前方側に向けて屈曲している。
【0035】
支持板22A〜22Dには、基板支持カセット12の内方側における端部表面に、基板支持突起26及び移動規制突起28の組がそれぞれ3組ずつ設けられている。支持アーム24A〜24Dには、その先端部表面に、基板支持突起26及び移動規制突起28の組がそれぞれ1組ずつ設けられている。
【0036】
基板支持突起26は、円柱形状を呈しており、ガラス基板18と直接接触し、ガラス基板18を支持する。基板支持突起26の表面は、棚20を構成する支持体20A〜20Dにおいて全て略同一の高さに位置している。そのため、棚20に支持されるガラス基板18の主面18a,18bは、水平面と略平行となる。従って、複数のガラス基板18は、主面10a,10bがいずれも鉛直方向と交差すると共に鉛直方向において互いに離間した状態で、各棚20によって支持される。
【0037】
移動規制突起28は、基板支持カセット12の内方に向かうと共に鉛直方向に沿って延びる側面28aと、基板支持カセット12内方に向かうにつれて下る、下り傾斜の傾斜面(スロープ)28bとを有している。そのため、ガラス基板18が棚20によって支持される際には、ガラス基板18は、各移動規制突起28の傾斜面28bに沿って降り、その後、各基板支持突起26によって支持されることとなる。
【0038】
このとき、ガラス基板18は、各移動規制突起28の側面28aによって囲まれており、鉛直方向から見て各移動規制突起28の側面28aによって画成される領域内に位置することとなる。なお、この領域内にガラス基板18が位置することで、アライメント室でのマスクとガラス基板18との位置合わせの前におけるマスクとガラス基板18との位置ズレが±1mm程度となる。
【0039】
複数の棚20のうち最も上方に位置する棚20を構成する支持板22A,22D及び最も下方に位置する棚20を構成する支持板22A,22Dには、それぞれストッパ部材(ストッパ)Sが設けられている。ストッパ部材Sは、図4及び図9に示されるように、台座部S1と、雄ねじS2と、ナットS3とを含む。台座部S1は、L字形状を呈する板材であり、一方の平板部分が支持板22A,22Dの表面に固着されており、他方の平板部分が上方に向かって延びている。雄ねじS2は、台座部S1の当該他方の平板部分を貫通して形成された雌ねじ(図示せず)と螺合している。ナットS3は、基板支持カセット12の内側から雄ねじS2と螺合しており、雄ねじS2を台座部S1に固定している。
【0040】
図2及び図3に戻って、移動規制機構14は、回動軸30A,30Bと、歯車(同期手段)32A,32Bと、チェーン(同期手段)34と、テンショナー36と、連結具38A,38Bと、L字アングル40A(第1の移動規制具),40B(第2の移動規制具)と、回動補助部材42とを有する。
【0041】
回動軸30Aは、本実施形態において丸棒状を呈しており、鉛直方向に沿うように、基板支持カセット12の上壁12a、複数の棚20の各支持体20A及び基板支持カセット12の下壁12bをそれぞれ貫通して延びている。そのため、回動軸30Aは、上端が基板支持カセット12に支持されるガラス基板18のうち最も上方に位置するガラス基板18よりも上方に位置しており、下端が基板支持カセット12に支持されるガラス基板18のうち最も下方に位置するガラス基板18よりも下方に位置している。
【0042】
回動軸30Aは、外輪が上壁12aに固定されたベアリング(図示せず)の内輪に挿着されていると共に、外輪が下壁12bに固定されたベアリング(図示せず)の内輪に挿着されている。そのため、回動軸30Aは、自身の回動軸線を中心に回動可能とされている。
【0043】
回動軸30Aの先端は、基板支持カセット12の上壁12aよりも上方に突出している。回動軸30Aの当該先端には、歯車32Aが固着されている。そのため、歯車32Aは、回動軸30Aの回動に伴い回動する。
【0044】
回動軸30Bは、本実施形態において丸棒状を呈しており、鉛直方向に沿うように、基板支持カセット12の上壁12a、複数の棚20の各支持体20D及び基板支持カセット12の下壁12bをそれぞれ貫通して延びている。そのため、回動軸30Bは、上端が基板支持カセット12に支持されるガラス基板18のうち最も上方に位置するガラス基板18よりも上方に位置しており、下端が基板支持カセット12に支持されるガラス基板18のうち最も下方に位置するガラス基板18よりも下方に位置している。
【0045】
回動軸30Bは、外輪が上壁12aに固定されたベアリング(図示せず)の内輪に挿着されていると共に、外輪が下壁12bに固定されたベアリング(図示せず)の内輪に挿着されている。そのため、回動軸30Bは、自身の回動軸線を中心に回動可能とされている。
【0046】
回動軸30Bの先端は、基板支持カセット12の上壁12aよりも上方に突出している。回動軸30Bの当該先端には、歯車32Bが固着されている。そのため、歯車32Bは、回動軸30Bの回動に伴い回動する。
【0047】
各回動軸30A,30Bにそれぞれ取り付けられている歯車32A,32Bには、図2及び図3に示されるように、歯車32A,32Bとそれぞれ噛合するようにチェーン34が掛け渡されている。これにより、例えば、回動軸30Aが回動すると、歯車32A、チェーン34、歯車32B、回動軸30Bの順に回動することとなる。つまり、歯車32A,32B及びチェーン34は、回動軸30A,30Bを同期して回動させる同期手段を構成している。なお、チェーン34は、歯車32A,32Bに加えてテンショナー36にも掛け渡されており、テンショナー36によってチェーン34が外方に拡がる方向に付勢されている。
【0048】
回動軸30Aには、図3及び図6に示されるように、本実施形態において、連結具38Aが2つ取り付けられている。具体的には、連結具38Aの一方は、複数の棚20のうち最も上方に位置する棚20のやや上方に位置しており、連結具38Aの他方は、複数の棚20のうち最も下方に位置する棚20のやや上方に位置している(図3参照)。上方に位置する連結具38Aは、回動軸30AとL字アングル40Aの上端側とを連結しており、下方に位置する連結具38Aは、回動軸30AとL字アングル40Aの下端側とを連結している。
【0049】
連結具38Aは、図6〜図9に示されるように、ブラケット38A1(第2の部分),38A2(第1の部分)と、バネ44とを含む。ブラケット38A1は、回動軸30Aによって貫通されており、回動軸30Aの回動軸線に対して略直交する方向に延びている。ブラケット38A1は回動軸30Aに固着されている(図8参照)。そのため、ブラケット38A1も、回動軸30Aの回動に伴い、回動軸30Aの回動軸線を中心に回動する。
【0050】
ブラケット38A2は、回動軸30Aによって貫通されており、回動軸30Aの回動軸線に対して略直交する方向に延びている。ブラケット38A2には、ベアリング48の外輪が固着されており、回動軸30Aは、ベアリング48の内輪に挿着されている(図8参照)。そのため、ブラケット38A2は、回動軸30Aの回動に付随することなく、回動軸30Aの回動軸線を中心に回動可能とされている。
【0051】
ブラケット38A2には、L字アングル40Aが取り付けられている。ここで、L字アングル40Aは、縦断面がL字形状を呈する棒状体であり、平板部分40A1(第1の部分),40A2(第2の部分)を含んでいる。L字アングル40Aは、図3に示されるように、上端が基板支持カセット12に支持されるガラス基板18のうち最も上方に位置するガラス基板18よりも上方に位置しており、下端が基板支持カセット12に支持されるガラス基板18のうち最も下方に位置するガラス基板18よりも下方に位置している。
【0052】
L字アングル40Aのうち一方の平板部分40A1は、ブラケット38A2が回動軸30Aの回動軸線を中心に反時計回りをしたときに先行するブラケット38A2の側面と固着されている。そのため、L字アングル40Aのうち他方の平板部分40A2は、鉛直方向から見てブラケット38A2の当該側面と略直交している(図9参照)。
【0053】
ブラケット38A2には、回動軸30Aとは離れた側の先端部分であって、ブラケット38A2が回動軸30Aの回動軸線を中心に反時計回りで回転したときに先行する側の側面に、ボルト46が螺着されている。ボルト46は、対応するストッパ部材Sの雄ねじS2と略同一の高さに位置している。
【0054】
そのため、ブラケット38A2が回動軸30Aの回動軸線を中心に反時計回りで回転しているときに、ボルト46が雄ねじS2と当接すると、ブラケット38A2の回転が停止する(詳しくは後述する)。つまり、ストッパ部材Sの雄ねじS2は、回動軸30Aの回動軸線を中心とした反時計回りでのブラケット38A2の回転を規制する機能を有している。
【0055】
ブラケット38A1とブラケット38A2とは、バネ(弾性部材)44によって連結されている。具体的には、バネ44は、ブラケット38A1が回動軸30Aの回動軸線を中心に反時計回りをしたときに先行するブラケット38A1の側面と、ブラケット38A2の上面側に立設された壁部50とを接続している。
【0056】
回動軸30Aには、図3、図6、図10及び図11に示されるように、回動補助部材42が取り付けられている。具体的には、回転補助部材42は、上方に位置する連結具38Aと下方に位置する連結具38Aとの間に位置している(図6参照)。
【0057】
回動補助部材42は、回動軸30Aによって貫通されており、回動軸30Aの回動軸線に対して略直交する方向に延びている。回動補助部材42は回動軸30Aに固着されている。そのため、回動補助部材42は、回動軸30Aの回動に伴い、回動軸30Aの回動軸線を中心に回動する。
【0058】
回動補助部材42には、付勢部材52の一端が接続されている。付勢部材52の他端は、基板支持カセット12の側壁12cに固着された台座部54に接続されている。そのため、回動補助部材42及び回動軸30Aは、付勢部材52によって、常時、回動軸30Aの回動軸線を中心に反時計回りに回転する方向に付勢されている。
【0059】
回動補助部材42には、回動軸30Aとは離れた側の先端部分に、軸56を介してローラ58が軸支されている。このローラ58は、軸56の軸線を中心に回動可能とされている。
【0060】
回動軸30Aに取り付けられている連結具38A及びL字アングル40の構成は以上の通りであるが、回動軸30Bに取り付けられている連結具38B及びL字アングル40Bの構成も回動軸30Aに取り付けられている連結具38A及びL字アングル40Aの構成と同様であるので、その説明は省略する。なお、回動軸30Bには、回動補助部材42は取り付けられていない。
【0061】
続いて、図10及び図11を参照して、駆動機構16について説明する。駆動機構16は、シリンダ(駆動源)60と、支持体62と、連結具64と、フランジ部材66,68と、リニアブッシュ70と、ベローズ72と、ロッド74と、を含む。
【0062】
シリンダ60は、例えばエアシリンダであり、ピストンロッド60aを直線方向に進退させるものである。シリンダ60は、LC/ULC10の側壁10bの外表面に立設された支持体62によって支持されている。つまり、シリンダ60は、LC/ULC10の外側に位置している。
【0063】
ピストンロッド60aは、その先端が軸60bと接続されている。軸60bは、ベアリング60cの内輪に挿着されている。
【0064】
支持体62には、軸62aを介して連結具64が軸支されている。つまり、連結具64は、軸62aの軸線を中心に回動可能とされている。連結具64には、その両端に長孔64a,64bがそれぞれ形成されている。ベアリング60cの外輪は、連結具64の長孔64a内に挿入されており、ベアリング60cが長孔64a内を摺動可能とされている。
【0065】
フランジ部材66は、突出部66aを有しており、この突出部66aがLC/ULC10の側壁10bを貫通する貫通孔10cと嵌合した状態で、LC/ULC10の側壁10bに固着されている。突出部66a内には、リニアブッシュ70が配設されており、このリニアブッシュ70によって、丸棒形状を呈するロッド74がスライド自在に保持されている。
【0066】
フランジ部材66は、所定の範囲で伸縮可能なベローズ72によってフランジ部材68と連結されている。フランジ部材68は、ロッド74に固着されている。このベローズ72内は、気密状態が保たれており、そのため、LC/ULC10の側壁10bに貫通孔10cが設けられていても、LC/ULC10内を真空のまま保持することができるようになっている。
【0067】
ロッド74には、その先端に、ロッド74の直径よりも小さな直径を有する押し出しピン74aが設けられている。押し出しピン74aは、図10及び図11に示されるように、回動補助部材42のローラ58に対向している。つまり、押し出しピン74aは、回動補助部材42のローラ58の高さと略同一の高さとなるように、ロッド74に設けられている。
【0068】
ロッド74は、その基端が軸74bと接続されている。軸74bは、ベアリング74cの内輪に挿着されている。ベアリング74cの外輪は、連結具64の長孔64b内に挿入されており、ベアリング74cが長孔64b内を摺動可能とされている。
【0069】
(基板収容装置の動作)
次に、図9及び図11〜図14を参照して、基板収容装置1の動作を、特に回動軸30A,30Bの回動の様子を中心に説明する。
【0070】
まず、シリンダ60が駆動していない初期状態を図9及び図11に示す。この初期状態においては、ロッド74の押し出しピン74aが基板支持カセット12の外方に位置しており、ロッド74の押し出しピン74aとローラ58とが当接していない。これは、回動補助部材42及び回動軸30Aが、付勢部材52によって、回動軸30Aの回動軸線を中心に反時計回りに回転する方向に付勢されているためである。このとき、L字アングル40A,40Bは、ガラス基板18から離れて位置している。
【0071】
続いて、この初期状態からシリンダ60を駆動し、ピストンロッド60aを伸暢させる(図12参照)。このピストンロッド60aの伸暢に伴い、ベアリング60cが連結具64の長孔64a内を摺動しながら、連結具64の一端がLC/ULC10の側壁10bから遠ざかる方向に押される。このとき、連結具64は、軸62aの軸線を中心に反時計回りに回転する。
【0072】
これにより、連結具64の他端がLC/ULC10の側壁10bに近づく方向に移動すると共に、ベアリング74cが連結具64の長孔64b内を摺動しながら、ロッド74をLC/ULC10の内側に向かう方向に押す。こうして、ロッド74の先端に設けられている押し出しピン74aが基板支持カセット12の側壁12cに設けられた開口部Hを通過し、押し出しピン74aの先端がローラ58に当接する。
【0073】
ロッド74が更に押されると、回動補助部材42が回動軸30Aの回動軸線を中心に反時計回りに回転する。ここで、回動補助部材42は回動軸30Aに固着されているので、回動軸30Aも自身の回動軸線を中心に反時計回りに回転する。
【0074】
回動軸30Aが回転すると、回動軸30Aにブラケット38A1が固着されているので、ブラケット38A1も同時に反時計回りに回転する。ブラケット38A1とブラケット38A2とはバネ44によって接続されているので、ブラケット38A1が反時計回りに回転すると、バネ44がやや圧縮されながらブラケット38A2もブラケット38A1と共に反時計回りに回転する。従って、ブラケット38A2に固着されているL字アングル40Aも、ブラケット38A2と同時に反時計回りに(ガラス基板18に近づく方向に)回転することとなる(図13参照)。
【0075】
ブラケット38A2の反時計回りの回転は、図13に示されるように、ブラケット38A2に設けられているボルト46がストッパ部材Sの雄ねじS2に当接することにより、停止する。つまり、回動軸30Aの回動軸線を中心とするL字アングル40Aの反時計回りの回転は、所定位置で停止するようストッパ部材Sによって規制されている。
【0076】
この状態からロッド74が更に押されて、回動補助部材42及び回動軸30Aが回動軸30Aの回動軸線を中心に反時計回りに回転すると、図14に示されるように、ブラケット38A2は停止したままブラケット38A1が更に反時計回りに回転し、バネ44が大きく圧縮される。なお、歯車32A,32B及びチェーン34によって、回動軸30Bも、回動軸30Aと同期して回動軸30Bの回動軸線を中心に反時計回りに回転するので、回動軸30Bの回動軸線を中心とするL字アングル40Bの反時計回りの回転も、所定位置で停止するようストッパ部材Sによって規制される。
【0077】
ここで、ストッパ部材SによってL字アングル40A,40Bの回転が規制されると、図5に示されるように、L字アングル40Aの平板部分40A1がガラス基板18の側面18cに向かい、L字アングル40Aの平板部分40A2がガラス基板18の側面18eに向かい、L字アングル40Bの平板部分40B1がガラス基板18の側面18dに向かい、L字アングル40Bの平板部分40B2がガラス基板18の側面18fに向かう状態となる。つまり、鉛直方向から見て、ガラス基板18が、L字アングル40Aの平板部分40A1,40A2及びL字アングル40Bの平板部分40B1,40B2によって画成される領域(移動規制領域)内に位置することとなり、これにより、ガラス基板18は、L字アングル40Aの平板部分40A1,40A2及びL字アングル40Bの平板部分40B1,40B2によって水平方向の移動が規制される。なお、この領域内にガラス基板18が位置することで、アライメント室でのマスクとガラス基板18との位置合わせの前におけるマスクとガラス基板18との位置ズレを、例えば±0.5mm程度とすることができる。
【0078】
(作用)
以上のような本実施形態においては、L字アングル40Aの平板部分40A1がガラス基板18の側面18cに向かい、L字アングル40Aの平板部分40A2がガラス基板18の側面18eに向かい、L字アングル40Bの平板部分40B1がガラス基板18の側面18dに向かい、L字アングル40Bの平板部分40B2がガラス基板18の側面18fに向かう状態となるように、ストッパ部材SによってL字アングル40A,40Bの回転を規制している。そして、L字アングル40Aの平板部分40A1,40A2及びL字アングル40Bの平板部分40B1,40B2によって画成される移動規制領域により、ガラス基板18の水平方向の移動を規制している。そのため、アライメント室でのマスクとガラス基板18との位置合わせの前におけるマスクとガラス基板18との位置ズレが許容範囲内となるように、この移動規制領域を設定することで、基板収容装置1に収容されているガラス基板18の姿勢を、所望の状態となるよう修正することが可能となっている。
【0079】
また、本実施形態においては、回動軸30A,30B及びL字アングル40A,40Bが、いずれも、上端が基板支持カセット12に支持される複数のガラス基板18のうち最も上方に位置するガラス基板18よりも上方に位置し且つ下端が基板支持カセット12に支持される複数のガラス基板18のうち最も下方に位置するガラス基板18よりもよりも下方に位置するように鉛直方向に沿って延びている。そのため、基板収容装置1内に収容されている全てのガラス基板18に対して、上記の移動規制領域が画成されることとなる。その結果、収容されている複数のガラス基板18の姿勢を、所望の状態となるよう一度に修正することが可能となっている。
【0080】
また、本実施形態においては、歯車32A,32B及びチェーン34によって、回動軸30Bが、回動軸30Aの回動に同期して回動するようになっている。そのため、一つのシリンダ60によって、回動軸30A,30Bを共に駆動させることができるようになっている。その結果、その結果、基板収容装置1の構成を簡便にすることが可能となると共に、コストの低減を図ることが可能となる。
【0081】
また、本実施形態においては、ブラケット38A1が、回動軸30Aに固着され、ブラケット38A2が、回動軸30Aの回動に付随することなく、回動軸30Aの回動軸線を中心に回動可能とされており、ブラケット38A1とブラケット38A2とが、バネ44によって連結されている。連結具38Bにおいても同様である。ここで、バネ44がない場合、L字アングル40A,40Bからガラス基板18に作用する力の大きさは回動軸30A,30Bを回動させるトルクに比例する。そのため、必要以上のトルクで回動軸30A,30Bを回動させた場合には、ガラス基板18に大きな外力が加えられることとなり、ガラス基板18の破損に繋がる虞がある。しかしながら、上記のようなバネ44を有していることにより、必要以上のトルクで回動軸30A,30Bを回動させた場合であっても、余剰のエネルギーはバネ44に吸収されるようになるので、ガラス基板18にはガラス基板18を移動させるために必要十分な大きさの力がL字アングル40A,40Bから作用することとなる。その結果、ガラス基板18が破損する虞を大きく低減することが可能となる。
【0082】
また、本実施形態においては、シリンダ60がLC/ULC10の外側に位置しており、基板支持カセット12、移動規制機構14、及び、駆動機構16のうちシリンダ60、連結具64等を除いた部分がLC/ULC10の内側(真空中)に位置している。ここで、シリンダ60が動作しなくなってしまうため、一般に、真空中にはシリンダ60を設けない。真空中でも動作するシリンダを製造することもできるが、特注品となってしまうため、極めてコストが高くなる。しかしながら、上記のように駆動源であるシリンダ60をLC/ULC10外に配置することで、真空中でガラス基板18の姿勢を修正しようとする場合でも、コストアップを招くことなしにシリンダ60の動作を確保することが可能となる。
【0083】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記した実施形態に限定されるものではない。例えば、大気中においても本発明を適用することができる。
【0084】
また、本実施形態では駆動源として一つのシリンダ60を用いたが、回動軸30A,30Bをそれぞれ駆動させる駆動源を各回動軸30A,30Bに対応して設けるようにしてもよい。
【0085】
また、本実施形態ではL字アングル40A,40Bを用いたが、ガラス基板18の水平方向の移動を規制する移動規制領域を画成できれば、他の形状の部材を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】図1は、本実施形態に係る基板処理装置を示す斜視図である。
【図2】図2は、基板収容カセットを示す斜視図である。
【図3】図3は、基板収容カセットを一部破断して示す斜視図である。
【図4】図4は、基板支持カセットが有する棚を主として示す斜視図である。
【図5】図5は、ガラス基板を主として示す斜視図である。
【図6】図6は、回動軸及び当該回動軸に取り付けられている各種部材を主として示す斜視図である。
【図7】図7は、連結具を主として示す斜視図である。
【図8】図8は、連結具を主として示す分解斜視図である。
【図9】図9は、連結具を主として示す上面図である。
【図10】図10は、回動補助部材を主として示す斜視図である。
【図11】図11は、回動補助部材及び駆動機構を主として示す上面図である。
【図12】図12は、駆動機構によって回動軸が回転している様子を、回動補助部材及び駆動機構を主として示す上面図である。
【図13】図13は、駆動機構によって回動軸が回転している様子を、連結具を主として示す上面図である。
【図14】図14は、図13からさらに回動軸が回転した様子を、連結具を主として示す上面図である。
【符号の説明】
【0087】
1…基板収容装置、10…LC/ULC(真空チャンバ)、12…基板支持カセット、14…移動規制機構、16…駆動機構、18…ガラス基板(基板)、18a,18b…主面、18c…側面(第1の側面)、18d…側面(第2の側面)、18e…側面(第3の側面)、18d…側面(第4の側面)、20…棚、20A〜20D…支持体、30A,30B…回動軸、32A,32B…歯車(同期手段)、34…チェーン(同期手段)、38A,38B…連結具、38A1…ブラケット(第2の部分)、38A2…ブラケット(第1の部分)、40A…L字アングル(第1の移動規制具)、40B…L字アングル(第2の移動規制具)、40A1…平板部分(第1の部分)、40A2…平板部分(第2の部分)、40B1…平板部分(第1の部分)、40B2…平板部分(第2の部分)、42…回動補助部材、44…バネ(弾性部材)、S…ストッパ部材(ストッパ)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に対して成膜等の処理を施すための基板処理システムにおいて、成膜等の処理の前の基板を複数収容するために用いられる基板収容装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カセットの各棚に載置された各ガラス基板の位置ズレを一挙に修正して整列させ、検査台の所定の載置範囲に対応させることを目的とした、カセット内のガラス基板整列装置が知られている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0003】
このガラス基板整列装置は、鉛直方向に沿って延びる回動可能なローラがカセットの一方側に2個設けられて構成された第1のローラ群と、鉛直方向に沿って延びる回動可能なローラがカセットの他方側に2個設けられて構成された第2のローラ群と、当該第1のローラ群を構成する各ローラを、鉛直方向に沿って延びる回動軸周りに回動させる第1の回動機構と、当該第2のローラ群を構成する各ローラを、鉛直方向に沿って延びる回動軸周りに回動させる第2の回動機構と、当該第1及び第2のローラ群を昇降させる昇降機構とを備えている。
【特許文献1】特開平8−244909号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基板(例えば、ガラス基板)に対して成膜等の処理を施すための基板処理システムは、一般に、成膜等の処理の前の基板を複数収容するために用いられる基板収容装置(ロードロック・アンロードロックチャンバ(以下、LC/ULCと略称する。))と、プラズマ源から出射されたプラズマによって蒸発した成膜材料を基板に蒸着させる成膜チャンバと、LC/ULCに収容されている基板を受け取り成膜チャンバの基板支持手段に受け渡すロボットハンドとを備える。
【0005】
ところで、上記の成膜チャンバでは、基板の所望の領域に成膜材料を蒸着させるために、通常、所定形状の開口(マスクパターン)が形成されたマスクを基板に重ねた状態で成膜が行われる。その際、マスクと基板とを極めて高精度(例えば、±50nm程度)に位置合わせ(アライメント)する必要があるので、成膜チャンバには、一般に、位置合わせ調整手段が設けられている。
【0006】
ところが、成膜チャンバ内でのマスクと基板との位置合わせは上記のように極めて高精度に行われる必要があり、従って、位置合わせ前におけるマスクと基板との位置ズレの許容範囲が大きく制限されている。そのため、LC/ULC内での基板の位置ズレが大きいと、ロボットハンドには一般に基板の位置ズレを修正する機能が設けられていないので、もはや成膜チャンバ内の位置合わせ調整手段によってはマスクと基板とを位置合わせすることができなくなってしまう。つまり、成膜チャンバ内でのマスクと基板との位置合わせを確実に行うためには、位置合わせ前におけるマスクと基板との位置ズレが許容範囲内となるように、LC/ULC内において予め基板の姿勢を修正(プレアライメント)しておく必要がある。
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたような従来のガラス基板整列装置は、単にカセットの両側から一対のローラ群で基板を押圧して基板の整列を行っているに過ぎず、位置合わせ前におけるマスクと基板との位置ズレが許容範囲内となるように予め基板の姿勢を修正しようとする思想を有するものではなかったので、基板の姿勢を修正するには不十分な構成であった。
【0008】
そこで、本発明は、収容されている複数の基板の姿勢を、所望の状態となるよう一度に修正することが可能な基板収容装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る基板収容装置は、互いに対向する一対の主面と、互いに対向する第1及び第2の側面と、互いに対向すると共に第1及び第2の側面とそれぞれ隣り合う第3及び第4の側面とを有する平板状の基板を複数収容可能な基板収容装置であって、複数の基板の一対の主面がいずれも鉛直方向と交差すると共に複数の基板が鉛直方向において互いに離間した状態となるように、複数の基板をそれぞれ支持する基板支持カセットと、上端が基板支持カセットに支持される複数の基板のうち最も上方に位置する基板よりも上方に位置し且つ下端が基板支持カセットに支持される複数の基板のうち最も下方に位置する基板よりもよりも下方に位置するように鉛直方向に沿って延びる第1及び第2の回動軸と、上端が基板支持カセットに支持される複数の基板のうち最も上方に位置する基板よりも上方に位置し且つ下端が基板支持カセットに支持される複数の基板のうち最も下方に位置する基板よりもよりも下方に位置するように鉛直方向に沿って延びる第1及び第2の部分を有しており、第1の連結具を介して第1の回動軸に取り付けられ、これにより第1の回動軸が回動することで第1の回動軸の周りに回動可能とされている第1の移動規制具と、上端が基板支持カセットに支持される複数の基板のうち最も上方に位置する基板よりも上方に位置し且つ下端が基板支持カセットに支持される複数の基板のうち最も下方に位置する基板よりもよりも下方に位置するように鉛直方向に沿って延びる第1及び第2の部分を有しており、第2の連結具を介して第2の回動軸に取り付けられ、これにより第2の回動軸が回動することで第2の回動軸の周りに回動可能とされている第2の移動規制具と、第1の移動規制具を第1の回動軸周りに駆動させると共に第2の移動規制具を第2の回動軸周りに駆動させる少なくとも一つの駆動手段と、第1の移動規制具が記基板に接近する方向における第1の移動規制具の回転を規制して、第1の移動規制具の第1の部分が複数の基板の第1の側面に向かう状態となると共に第1の移動規制具の第2の部分が複数の基板の第3の側面に向かう状態となる所定位置にて第1の移動規制具を停止させるための第1のストッパと、第2の移動規制具が基板に接近する方向における第2の移動規制具の回転を規制して、第2の移動規制具の第1の部分が複数の基板の第2の側面に向かう状態となると共に第2の移動規制具の第2の部分が複数の基板の第4の側面に向かう状態となる所定位置にて第2の移動規制具を停止させるための第2のストッパとを備え、第1のストッパによって第1の移動規制具が所定位置にて停止すると共に第2のストッパによって第2の移動規制具が所定位置にて停止した状態で、第1の移動規制具の第1及び第2の部分並びに第2の移動規制具の第1及び第2の部分によって複数の基板の水平方向の移動を規制する移動規制領域が画成されることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る基板収容装置では、第1のストッパによって、第1の移動規制具の第1の部分が複数の基板の第1の側面に向かう状態となると共に第1の移動規制具の第2の部分が複数の基板の第3の側面に向かう状態となる所定位置にて第1の移動規制具を停止させるようにしており、第2のストッパによって、第2の移動規制具の第1の部分が複数の基板の第2の側面に向かう状態となると共に第2の移動規制具の第2の部分が複数の基板の第4の側面に向かう状態となる所定位置にて第2の移動規制具を停止させるようにしている。そして、第1のストッパによって第1の移動規制具が所定位置にて停止すると共に第2のストッパによって第2の移動規制具が所定位置にて停止した状態で、第1の移動規制具の第1及び第2の部分並びに第2の移動規制具の第1及び第2の部分によって複数の基板の水平方向の移動を規制する移動規制領域を画成している。そのため、例えば、後工程であるマスクと基板との位置合わせの前におけるマスクと基板との位置ズレが許容範囲内となるように、この移動規制領域を設定することで、基板収容装置に収容されている基板の姿勢を、所望の状態となるよう修正することが可能となっている。
【0011】
また、本発明に係る基板収容装置では、第1及び第2の回動軸並びに第1及び第2の移動規制具が、いずれも、上端が基板支持カセットに支持される複数の基板のうち最も上方に位置する基板よりも上方に位置し且つ下端が基板支持カセットに支持される複数の基板のうち最も下方に位置する基板よりもよりも下方に位置するように鉛直方向に沿って延びている。そのため、基板収容装置内に収容されている全ての基板に対して、上記の移動規制領域が画成されることとなる。その結果、収容されている複数の基板の姿勢を、所望の状態となるよう一度に修正することが可能となっている。
【0012】
好ましくは、第1の回動軸の回動に伴い第2の回動軸を同期して回動させる同期手段を更に備える。このようにすると、駆動手段によって、例えば第1の回動軸のみを駆動させることで、同期手段によって第2の回動軸も駆動されることとなる。つまり、一つの駆動手段を備えるのみで、第1及び第2の回動軸を共に駆動させることができる。その結果、基板収容装置の構成を簡便にすることが可能となると共に、コストの低減を図ることが可能となる。
【0013】
好ましくは、第1の連結具は、第1の移動規制具が固定され、第1の回動軸が貫通すると共に第1の回動軸の回動に付随することなく第1の回動軸を中心に回動可能とされた第1の部分と、第1の回動軸が貫通すると共に第1の回動軸に固着された第2の部分と、第1の連結具の第1の部分と第1の連結具の第2の部分とを連結する弾性部材とを有し、第2の連結具は、第2の移動規制具が固定され、第2の回動軸が貫通すると共に第2の回動軸の回動に付随することなく第2の回動軸を中心に回動可能とされた第1の部分と、第2の回動軸が貫通すると共に第2の回動軸に固着された第2の部分と、第2の連結具の第1の部分と第2の連結具の第2の部分とを連結する弾性部材とを有している。ここで、これらの弾性部材がない場合、第1及び第2の移動規制具から基板に作用する力の大きさは第1及び第2の回動軸を回動させるトルクに比例する。そのため、必要以上のトルクで第1及び第2の回動軸を回動させた場合には、基板に大きな外力が加えられることとなり、基板の破損に繋がる虞がある。しかしながら、上記のような弾性部材を有していることにより、必要以上のトルクで第1及び第2の回動軸を回動させた場合であっても、余剰のエネルギーは弾性部材に吸収されるようになるので、基板には基板を移動させるために必要十分な大きさの力が作用することとなる。その結果、基板が破損する虞を大きく低減することが可能となる。
【0014】
好ましくは、真空チャンバを更に備え、駆動手段の駆動源は、真空チャンバ外に配置され、基板支持カセット、第1及び第2の回動軸、第1及び第2の移動規制具、駆動手段のうち駆動源を除いた部分、並びに、第1及び第2のストッパは、真空チャンバ内に配置されている。ここで、駆動源が動作しなくなってしまうため、一般に、真空中には駆動源を設けない。真空中でも動作する駆動源を製造することもできるが、特注品となってしまうため、極めてコストが高くなる。しかしながら、上記のように駆動手段の駆動源を真空チャンバ外に配置することで、真空中で基板の姿勢を修正しようとする場合でも、コストアップを招くことなしに駆動源の動作を確保することが可能となる。
【0015】
好ましくは、第1及び第2の移動規制具は、共に、縦断面がL字形状を呈する棒状体である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、収容されている複数の基板の姿勢を、所望の状態となるよう一度に修正することが可能な基板収容装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明に係る基板収容装置1の好適な実施形態について、図面を参照して説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0018】
(基板収容装置の構成)
まず、基板収容装置1の構成について、図1〜図11を参照して説明する。基板収容装置1は、図1に示されるように、LC/ULC(真空チャンバ)10と、基板支持カセット12と、移動規制機構14と、その駆動機構16とを備える。
【0019】
LC/ULC10は、いわゆるクラスター式の基板処理システムの一部を構成するものである。基板処理システムとしては、LC/ULC10の他、図示しないロボットチャンバや成膜チャンバを備えており、いずれのチャンバも真空容器にて構成されている。
【0020】
LC/ULC10は、減圧及び大気開放可能とされており、複数のガラス基板(基板)18(図2参照)を支持する基板支持カセット12がその内部に配置されている。ロボットチャンバは、LC/ULC10の側壁に設けられた開口部10aを通じて、LC/ULC10と成膜チャンバとの間でガラス基板18をロボットアーム(図示せず)によって搬送する搬送ロボット(図示せず)を有している。
【0021】
成膜チャンバは、いわゆるイオンプレーティング法を用いて、ガラス基板18に対して成膜処理を行うための成膜チャンバである。成膜チャンバは、アライメント室と、トリートメント室と、退避室とを有しており(いずれも図示せず)、アライメント室、トリートメント室及び退避室がこの順に並んで配置されている。アライメント室では、マスク(図示せず)とガラス基板18との位置合わせが行われる。なお、マスクは、所定形状の開口(マスクパターン)が形成された矩形状の薄板である。
【0022】
LC/ULC10内に配置されている基板支持カセット12は、図2に示されるように、外形が直方体形状を呈している。具体的には、基板支持カセット12は、互いに対向する一対の上壁12a及び下壁12bと、互いに対向する一対の側壁12c,12dとを有しており、上壁12aと下壁12bとが側壁12c,12dによって連結されている。そのため、基板支持カセット12は、前後方向において、側壁を有しておらず、開放されている。
【0023】
ここで、側壁12cには、駆動機構16を構成するロッド74(詳しくは後述する)の先端部が通過可能な開口部Hが設けられている(図2、図11及び図12参照)。また、基板支持カセット12の下壁12bには、図示しない昇降機構に接続された昇降ロッドRの先端部が設けられており(図1〜図3参照)、基板支持カセット12がLC/ULC10内において昇降するようになっている。
【0024】
基板支持カセット12は、図2及び図3に示されるように、ガラス基板18を1枚ずつ支持するための棚20を複数(本実施形態においては10個)有している。そのため、基板支持カセット12は、ガラス基板18を複数(本実施形態においては10枚)収容可能である。
【0025】
ここで、ガラス基板18は、図5に示されるように、直方体形状を呈しており、互いに対向する一対の主面18a,18bと、互いに対向する一対の側面18c,18dと、互いに対向する一対の側面18e,18fとを有する。側面10c,10dは、主面10a,10b及び側面10e,10fと隣り合っており、主面10a,10b及び側面10e,10fを連結するように延びている。側面10e,10fは、主面10a,10b及び側面10c,10dと隣り合っており、主面10a,10b及び側面10c,10dを連結するように延びている。
【0026】
複数の棚20は、基板支持カセット12内において、鉛直方向に沿って並ぶように互いに離間して配置されている。1つの棚20は、図4において詳しく示されるように、4つの支持体20A〜20Dによって構成されている。
【0027】
支持体20A,20Bは、基板支持カセット12の側壁12cの内面に、基板支持カセット12の内方に向かうように突設されている。支持体20C,20Dは、基板支持カセット12の側壁12dの内面に、基板支持カセット12の内方に向かうように突設されている。
【0028】
支持体20A,20Cは、基板支持カセット12の前方側(図1〜図4の矢印A側)に配置されている。支持体20B,20Dは、基板支持カセット12の後方側(図1〜図4の矢印B側)に配置されている。
【0029】
支持体20Aは、支持板22Aと、支持アーム24Aとを有している。支持体20B〜20Dについても、同様に、支持板22B〜22Dと、支持アーム24B〜24Dとをそれぞれ有している。
【0030】
支持板22A,22Bは、共に、側壁12c上において、基板支持カセット12の前後方向(図1〜図4の矢印A,B方向)に延びている。支持板22C,22Dは、共に、12d上において、基板支持カセット12の前後方向(図1〜図4の矢印A,B方向)に延びている。
【0031】
支持アーム24Aは、基板支持カセット12の内方側を向く支持板22Aの端面のうち基板支持カセット12の前方側の領域に突設されている。支持アーム24Aは、鉛直方向(上壁12aと下壁12bとの対向方向)から見てL字形状を呈しており、支持板22Aの端面から支持体20C側に向けて延びた後、基板支持カセット12の後方側に向けて屈曲している。
【0032】
支持アーム24Bは、基板支持カセット12の内方側を向く支持板22Bの端面のうち基板支持カセット12の後方側の領域に突設されている。支持アーム24Bは、鉛直方向(上壁12aと下壁12bとの対向方向)から見てL字形状を呈しており、支持板22Bの端面から支持体20D側に向けて延びた後、基板支持カセット12の前方側に向けて屈曲している。
【0033】
支持アーム24Cは、基板支持カセット12の内方側を向く支持板22Cの端面のうち基板支持カセット12の前方側の領域に突設されている。支持アーム24Cは、鉛直方向(上壁12aと下壁12bとの対向方向)から見てL字形状を呈しており、支持板22Cの端面から支持体20Aに向けて延びた後、基板支持カセット12の後方側に向けて屈曲している。
【0034】
支持アーム24Dは、基板支持カセット12の内方側を向く支持板22Dの端面のうち基板支持カセット12の後方側の領域に突設されている。支持アーム24Dは、鉛直方向(上壁12aと下壁12bとの対向方向)から見てL字形状を呈しており、支持板22Dの端面から支持体20B側に向けて延びた後、基板支持カセット12の前方側に向けて屈曲している。
【0035】
支持板22A〜22Dには、基板支持カセット12の内方側における端部表面に、基板支持突起26及び移動規制突起28の組がそれぞれ3組ずつ設けられている。支持アーム24A〜24Dには、その先端部表面に、基板支持突起26及び移動規制突起28の組がそれぞれ1組ずつ設けられている。
【0036】
基板支持突起26は、円柱形状を呈しており、ガラス基板18と直接接触し、ガラス基板18を支持する。基板支持突起26の表面は、棚20を構成する支持体20A〜20Dにおいて全て略同一の高さに位置している。そのため、棚20に支持されるガラス基板18の主面18a,18bは、水平面と略平行となる。従って、複数のガラス基板18は、主面10a,10bがいずれも鉛直方向と交差すると共に鉛直方向において互いに離間した状態で、各棚20によって支持される。
【0037】
移動規制突起28は、基板支持カセット12の内方に向かうと共に鉛直方向に沿って延びる側面28aと、基板支持カセット12内方に向かうにつれて下る、下り傾斜の傾斜面(スロープ)28bとを有している。そのため、ガラス基板18が棚20によって支持される際には、ガラス基板18は、各移動規制突起28の傾斜面28bに沿って降り、その後、各基板支持突起26によって支持されることとなる。
【0038】
このとき、ガラス基板18は、各移動規制突起28の側面28aによって囲まれており、鉛直方向から見て各移動規制突起28の側面28aによって画成される領域内に位置することとなる。なお、この領域内にガラス基板18が位置することで、アライメント室でのマスクとガラス基板18との位置合わせの前におけるマスクとガラス基板18との位置ズレが±1mm程度となる。
【0039】
複数の棚20のうち最も上方に位置する棚20を構成する支持板22A,22D及び最も下方に位置する棚20を構成する支持板22A,22Dには、それぞれストッパ部材(ストッパ)Sが設けられている。ストッパ部材Sは、図4及び図9に示されるように、台座部S1と、雄ねじS2と、ナットS3とを含む。台座部S1は、L字形状を呈する板材であり、一方の平板部分が支持板22A,22Dの表面に固着されており、他方の平板部分が上方に向かって延びている。雄ねじS2は、台座部S1の当該他方の平板部分を貫通して形成された雌ねじ(図示せず)と螺合している。ナットS3は、基板支持カセット12の内側から雄ねじS2と螺合しており、雄ねじS2を台座部S1に固定している。
【0040】
図2及び図3に戻って、移動規制機構14は、回動軸30A,30Bと、歯車(同期手段)32A,32Bと、チェーン(同期手段)34と、テンショナー36と、連結具38A,38Bと、L字アングル40A(第1の移動規制具),40B(第2の移動規制具)と、回動補助部材42とを有する。
【0041】
回動軸30Aは、本実施形態において丸棒状を呈しており、鉛直方向に沿うように、基板支持カセット12の上壁12a、複数の棚20の各支持体20A及び基板支持カセット12の下壁12bをそれぞれ貫通して延びている。そのため、回動軸30Aは、上端が基板支持カセット12に支持されるガラス基板18のうち最も上方に位置するガラス基板18よりも上方に位置しており、下端が基板支持カセット12に支持されるガラス基板18のうち最も下方に位置するガラス基板18よりも下方に位置している。
【0042】
回動軸30Aは、外輪が上壁12aに固定されたベアリング(図示せず)の内輪に挿着されていると共に、外輪が下壁12bに固定されたベアリング(図示せず)の内輪に挿着されている。そのため、回動軸30Aは、自身の回動軸線を中心に回動可能とされている。
【0043】
回動軸30Aの先端は、基板支持カセット12の上壁12aよりも上方に突出している。回動軸30Aの当該先端には、歯車32Aが固着されている。そのため、歯車32Aは、回動軸30Aの回動に伴い回動する。
【0044】
回動軸30Bは、本実施形態において丸棒状を呈しており、鉛直方向に沿うように、基板支持カセット12の上壁12a、複数の棚20の各支持体20D及び基板支持カセット12の下壁12bをそれぞれ貫通して延びている。そのため、回動軸30Bは、上端が基板支持カセット12に支持されるガラス基板18のうち最も上方に位置するガラス基板18よりも上方に位置しており、下端が基板支持カセット12に支持されるガラス基板18のうち最も下方に位置するガラス基板18よりも下方に位置している。
【0045】
回動軸30Bは、外輪が上壁12aに固定されたベアリング(図示せず)の内輪に挿着されていると共に、外輪が下壁12bに固定されたベアリング(図示せず)の内輪に挿着されている。そのため、回動軸30Bは、自身の回動軸線を中心に回動可能とされている。
【0046】
回動軸30Bの先端は、基板支持カセット12の上壁12aよりも上方に突出している。回動軸30Bの当該先端には、歯車32Bが固着されている。そのため、歯車32Bは、回動軸30Bの回動に伴い回動する。
【0047】
各回動軸30A,30Bにそれぞれ取り付けられている歯車32A,32Bには、図2及び図3に示されるように、歯車32A,32Bとそれぞれ噛合するようにチェーン34が掛け渡されている。これにより、例えば、回動軸30Aが回動すると、歯車32A、チェーン34、歯車32B、回動軸30Bの順に回動することとなる。つまり、歯車32A,32B及びチェーン34は、回動軸30A,30Bを同期して回動させる同期手段を構成している。なお、チェーン34は、歯車32A,32Bに加えてテンショナー36にも掛け渡されており、テンショナー36によってチェーン34が外方に拡がる方向に付勢されている。
【0048】
回動軸30Aには、図3及び図6に示されるように、本実施形態において、連結具38Aが2つ取り付けられている。具体的には、連結具38Aの一方は、複数の棚20のうち最も上方に位置する棚20のやや上方に位置しており、連結具38Aの他方は、複数の棚20のうち最も下方に位置する棚20のやや上方に位置している(図3参照)。上方に位置する連結具38Aは、回動軸30AとL字アングル40Aの上端側とを連結しており、下方に位置する連結具38Aは、回動軸30AとL字アングル40Aの下端側とを連結している。
【0049】
連結具38Aは、図6〜図9に示されるように、ブラケット38A1(第2の部分),38A2(第1の部分)と、バネ44とを含む。ブラケット38A1は、回動軸30Aによって貫通されており、回動軸30Aの回動軸線に対して略直交する方向に延びている。ブラケット38A1は回動軸30Aに固着されている(図8参照)。そのため、ブラケット38A1も、回動軸30Aの回動に伴い、回動軸30Aの回動軸線を中心に回動する。
【0050】
ブラケット38A2は、回動軸30Aによって貫通されており、回動軸30Aの回動軸線に対して略直交する方向に延びている。ブラケット38A2には、ベアリング48の外輪が固着されており、回動軸30Aは、ベアリング48の内輪に挿着されている(図8参照)。そのため、ブラケット38A2は、回動軸30Aの回動に付随することなく、回動軸30Aの回動軸線を中心に回動可能とされている。
【0051】
ブラケット38A2には、L字アングル40Aが取り付けられている。ここで、L字アングル40Aは、縦断面がL字形状を呈する棒状体であり、平板部分40A1(第1の部分),40A2(第2の部分)を含んでいる。L字アングル40Aは、図3に示されるように、上端が基板支持カセット12に支持されるガラス基板18のうち最も上方に位置するガラス基板18よりも上方に位置しており、下端が基板支持カセット12に支持されるガラス基板18のうち最も下方に位置するガラス基板18よりも下方に位置している。
【0052】
L字アングル40Aのうち一方の平板部分40A1は、ブラケット38A2が回動軸30Aの回動軸線を中心に反時計回りをしたときに先行するブラケット38A2の側面と固着されている。そのため、L字アングル40Aのうち他方の平板部分40A2は、鉛直方向から見てブラケット38A2の当該側面と略直交している(図9参照)。
【0053】
ブラケット38A2には、回動軸30Aとは離れた側の先端部分であって、ブラケット38A2が回動軸30Aの回動軸線を中心に反時計回りで回転したときに先行する側の側面に、ボルト46が螺着されている。ボルト46は、対応するストッパ部材Sの雄ねじS2と略同一の高さに位置している。
【0054】
そのため、ブラケット38A2が回動軸30Aの回動軸線を中心に反時計回りで回転しているときに、ボルト46が雄ねじS2と当接すると、ブラケット38A2の回転が停止する(詳しくは後述する)。つまり、ストッパ部材Sの雄ねじS2は、回動軸30Aの回動軸線を中心とした反時計回りでのブラケット38A2の回転を規制する機能を有している。
【0055】
ブラケット38A1とブラケット38A2とは、バネ(弾性部材)44によって連結されている。具体的には、バネ44は、ブラケット38A1が回動軸30Aの回動軸線を中心に反時計回りをしたときに先行するブラケット38A1の側面と、ブラケット38A2の上面側に立設された壁部50とを接続している。
【0056】
回動軸30Aには、図3、図6、図10及び図11に示されるように、回動補助部材42が取り付けられている。具体的には、回転補助部材42は、上方に位置する連結具38Aと下方に位置する連結具38Aとの間に位置している(図6参照)。
【0057】
回動補助部材42は、回動軸30Aによって貫通されており、回動軸30Aの回動軸線に対して略直交する方向に延びている。回動補助部材42は回動軸30Aに固着されている。そのため、回動補助部材42は、回動軸30Aの回動に伴い、回動軸30Aの回動軸線を中心に回動する。
【0058】
回動補助部材42には、付勢部材52の一端が接続されている。付勢部材52の他端は、基板支持カセット12の側壁12cに固着された台座部54に接続されている。そのため、回動補助部材42及び回動軸30Aは、付勢部材52によって、常時、回動軸30Aの回動軸線を中心に反時計回りに回転する方向に付勢されている。
【0059】
回動補助部材42には、回動軸30Aとは離れた側の先端部分に、軸56を介してローラ58が軸支されている。このローラ58は、軸56の軸線を中心に回動可能とされている。
【0060】
回動軸30Aに取り付けられている連結具38A及びL字アングル40の構成は以上の通りであるが、回動軸30Bに取り付けられている連結具38B及びL字アングル40Bの構成も回動軸30Aに取り付けられている連結具38A及びL字アングル40Aの構成と同様であるので、その説明は省略する。なお、回動軸30Bには、回動補助部材42は取り付けられていない。
【0061】
続いて、図10及び図11を参照して、駆動機構16について説明する。駆動機構16は、シリンダ(駆動源)60と、支持体62と、連結具64と、フランジ部材66,68と、リニアブッシュ70と、ベローズ72と、ロッド74と、を含む。
【0062】
シリンダ60は、例えばエアシリンダであり、ピストンロッド60aを直線方向に進退させるものである。シリンダ60は、LC/ULC10の側壁10bの外表面に立設された支持体62によって支持されている。つまり、シリンダ60は、LC/ULC10の外側に位置している。
【0063】
ピストンロッド60aは、その先端が軸60bと接続されている。軸60bは、ベアリング60cの内輪に挿着されている。
【0064】
支持体62には、軸62aを介して連結具64が軸支されている。つまり、連結具64は、軸62aの軸線を中心に回動可能とされている。連結具64には、その両端に長孔64a,64bがそれぞれ形成されている。ベアリング60cの外輪は、連結具64の長孔64a内に挿入されており、ベアリング60cが長孔64a内を摺動可能とされている。
【0065】
フランジ部材66は、突出部66aを有しており、この突出部66aがLC/ULC10の側壁10bを貫通する貫通孔10cと嵌合した状態で、LC/ULC10の側壁10bに固着されている。突出部66a内には、リニアブッシュ70が配設されており、このリニアブッシュ70によって、丸棒形状を呈するロッド74がスライド自在に保持されている。
【0066】
フランジ部材66は、所定の範囲で伸縮可能なベローズ72によってフランジ部材68と連結されている。フランジ部材68は、ロッド74に固着されている。このベローズ72内は、気密状態が保たれており、そのため、LC/ULC10の側壁10bに貫通孔10cが設けられていても、LC/ULC10内を真空のまま保持することができるようになっている。
【0067】
ロッド74には、その先端に、ロッド74の直径よりも小さな直径を有する押し出しピン74aが設けられている。押し出しピン74aは、図10及び図11に示されるように、回動補助部材42のローラ58に対向している。つまり、押し出しピン74aは、回動補助部材42のローラ58の高さと略同一の高さとなるように、ロッド74に設けられている。
【0068】
ロッド74は、その基端が軸74bと接続されている。軸74bは、ベアリング74cの内輪に挿着されている。ベアリング74cの外輪は、連結具64の長孔64b内に挿入されており、ベアリング74cが長孔64b内を摺動可能とされている。
【0069】
(基板収容装置の動作)
次に、図9及び図11〜図14を参照して、基板収容装置1の動作を、特に回動軸30A,30Bの回動の様子を中心に説明する。
【0070】
まず、シリンダ60が駆動していない初期状態を図9及び図11に示す。この初期状態においては、ロッド74の押し出しピン74aが基板支持カセット12の外方に位置しており、ロッド74の押し出しピン74aとローラ58とが当接していない。これは、回動補助部材42及び回動軸30Aが、付勢部材52によって、回動軸30Aの回動軸線を中心に反時計回りに回転する方向に付勢されているためである。このとき、L字アングル40A,40Bは、ガラス基板18から離れて位置している。
【0071】
続いて、この初期状態からシリンダ60を駆動し、ピストンロッド60aを伸暢させる(図12参照)。このピストンロッド60aの伸暢に伴い、ベアリング60cが連結具64の長孔64a内を摺動しながら、連結具64の一端がLC/ULC10の側壁10bから遠ざかる方向に押される。このとき、連結具64は、軸62aの軸線を中心に反時計回りに回転する。
【0072】
これにより、連結具64の他端がLC/ULC10の側壁10bに近づく方向に移動すると共に、ベアリング74cが連結具64の長孔64b内を摺動しながら、ロッド74をLC/ULC10の内側に向かう方向に押す。こうして、ロッド74の先端に設けられている押し出しピン74aが基板支持カセット12の側壁12cに設けられた開口部Hを通過し、押し出しピン74aの先端がローラ58に当接する。
【0073】
ロッド74が更に押されると、回動補助部材42が回動軸30Aの回動軸線を中心に反時計回りに回転する。ここで、回動補助部材42は回動軸30Aに固着されているので、回動軸30Aも自身の回動軸線を中心に反時計回りに回転する。
【0074】
回動軸30Aが回転すると、回動軸30Aにブラケット38A1が固着されているので、ブラケット38A1も同時に反時計回りに回転する。ブラケット38A1とブラケット38A2とはバネ44によって接続されているので、ブラケット38A1が反時計回りに回転すると、バネ44がやや圧縮されながらブラケット38A2もブラケット38A1と共に反時計回りに回転する。従って、ブラケット38A2に固着されているL字アングル40Aも、ブラケット38A2と同時に反時計回りに(ガラス基板18に近づく方向に)回転することとなる(図13参照)。
【0075】
ブラケット38A2の反時計回りの回転は、図13に示されるように、ブラケット38A2に設けられているボルト46がストッパ部材Sの雄ねじS2に当接することにより、停止する。つまり、回動軸30Aの回動軸線を中心とするL字アングル40Aの反時計回りの回転は、所定位置で停止するようストッパ部材Sによって規制されている。
【0076】
この状態からロッド74が更に押されて、回動補助部材42及び回動軸30Aが回動軸30Aの回動軸線を中心に反時計回りに回転すると、図14に示されるように、ブラケット38A2は停止したままブラケット38A1が更に反時計回りに回転し、バネ44が大きく圧縮される。なお、歯車32A,32B及びチェーン34によって、回動軸30Bも、回動軸30Aと同期して回動軸30Bの回動軸線を中心に反時計回りに回転するので、回動軸30Bの回動軸線を中心とするL字アングル40Bの反時計回りの回転も、所定位置で停止するようストッパ部材Sによって規制される。
【0077】
ここで、ストッパ部材SによってL字アングル40A,40Bの回転が規制されると、図5に示されるように、L字アングル40Aの平板部分40A1がガラス基板18の側面18cに向かい、L字アングル40Aの平板部分40A2がガラス基板18の側面18eに向かい、L字アングル40Bの平板部分40B1がガラス基板18の側面18dに向かい、L字アングル40Bの平板部分40B2がガラス基板18の側面18fに向かう状態となる。つまり、鉛直方向から見て、ガラス基板18が、L字アングル40Aの平板部分40A1,40A2及びL字アングル40Bの平板部分40B1,40B2によって画成される領域(移動規制領域)内に位置することとなり、これにより、ガラス基板18は、L字アングル40Aの平板部分40A1,40A2及びL字アングル40Bの平板部分40B1,40B2によって水平方向の移動が規制される。なお、この領域内にガラス基板18が位置することで、アライメント室でのマスクとガラス基板18との位置合わせの前におけるマスクとガラス基板18との位置ズレを、例えば±0.5mm程度とすることができる。
【0078】
(作用)
以上のような本実施形態においては、L字アングル40Aの平板部分40A1がガラス基板18の側面18cに向かい、L字アングル40Aの平板部分40A2がガラス基板18の側面18eに向かい、L字アングル40Bの平板部分40B1がガラス基板18の側面18dに向かい、L字アングル40Bの平板部分40B2がガラス基板18の側面18fに向かう状態となるように、ストッパ部材SによってL字アングル40A,40Bの回転を規制している。そして、L字アングル40Aの平板部分40A1,40A2及びL字アングル40Bの平板部分40B1,40B2によって画成される移動規制領域により、ガラス基板18の水平方向の移動を規制している。そのため、アライメント室でのマスクとガラス基板18との位置合わせの前におけるマスクとガラス基板18との位置ズレが許容範囲内となるように、この移動規制領域を設定することで、基板収容装置1に収容されているガラス基板18の姿勢を、所望の状態となるよう修正することが可能となっている。
【0079】
また、本実施形態においては、回動軸30A,30B及びL字アングル40A,40Bが、いずれも、上端が基板支持カセット12に支持される複数のガラス基板18のうち最も上方に位置するガラス基板18よりも上方に位置し且つ下端が基板支持カセット12に支持される複数のガラス基板18のうち最も下方に位置するガラス基板18よりもよりも下方に位置するように鉛直方向に沿って延びている。そのため、基板収容装置1内に収容されている全てのガラス基板18に対して、上記の移動規制領域が画成されることとなる。その結果、収容されている複数のガラス基板18の姿勢を、所望の状態となるよう一度に修正することが可能となっている。
【0080】
また、本実施形態においては、歯車32A,32B及びチェーン34によって、回動軸30Bが、回動軸30Aの回動に同期して回動するようになっている。そのため、一つのシリンダ60によって、回動軸30A,30Bを共に駆動させることができるようになっている。その結果、その結果、基板収容装置1の構成を簡便にすることが可能となると共に、コストの低減を図ることが可能となる。
【0081】
また、本実施形態においては、ブラケット38A1が、回動軸30Aに固着され、ブラケット38A2が、回動軸30Aの回動に付随することなく、回動軸30Aの回動軸線を中心に回動可能とされており、ブラケット38A1とブラケット38A2とが、バネ44によって連結されている。連結具38Bにおいても同様である。ここで、バネ44がない場合、L字アングル40A,40Bからガラス基板18に作用する力の大きさは回動軸30A,30Bを回動させるトルクに比例する。そのため、必要以上のトルクで回動軸30A,30Bを回動させた場合には、ガラス基板18に大きな外力が加えられることとなり、ガラス基板18の破損に繋がる虞がある。しかしながら、上記のようなバネ44を有していることにより、必要以上のトルクで回動軸30A,30Bを回動させた場合であっても、余剰のエネルギーはバネ44に吸収されるようになるので、ガラス基板18にはガラス基板18を移動させるために必要十分な大きさの力がL字アングル40A,40Bから作用することとなる。その結果、ガラス基板18が破損する虞を大きく低減することが可能となる。
【0082】
また、本実施形態においては、シリンダ60がLC/ULC10の外側に位置しており、基板支持カセット12、移動規制機構14、及び、駆動機構16のうちシリンダ60、連結具64等を除いた部分がLC/ULC10の内側(真空中)に位置している。ここで、シリンダ60が動作しなくなってしまうため、一般に、真空中にはシリンダ60を設けない。真空中でも動作するシリンダを製造することもできるが、特注品となってしまうため、極めてコストが高くなる。しかしながら、上記のように駆動源であるシリンダ60をLC/ULC10外に配置することで、真空中でガラス基板18の姿勢を修正しようとする場合でも、コストアップを招くことなしにシリンダ60の動作を確保することが可能となる。
【0083】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記した実施形態に限定されるものではない。例えば、大気中においても本発明を適用することができる。
【0084】
また、本実施形態では駆動源として一つのシリンダ60を用いたが、回動軸30A,30Bをそれぞれ駆動させる駆動源を各回動軸30A,30Bに対応して設けるようにしてもよい。
【0085】
また、本実施形態ではL字アングル40A,40Bを用いたが、ガラス基板18の水平方向の移動を規制する移動規制領域を画成できれば、他の形状の部材を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】図1は、本実施形態に係る基板処理装置を示す斜視図である。
【図2】図2は、基板収容カセットを示す斜視図である。
【図3】図3は、基板収容カセットを一部破断して示す斜視図である。
【図4】図4は、基板支持カセットが有する棚を主として示す斜視図である。
【図5】図5は、ガラス基板を主として示す斜視図である。
【図6】図6は、回動軸及び当該回動軸に取り付けられている各種部材を主として示す斜視図である。
【図7】図7は、連結具を主として示す斜視図である。
【図8】図8は、連結具を主として示す分解斜視図である。
【図9】図9は、連結具を主として示す上面図である。
【図10】図10は、回動補助部材を主として示す斜視図である。
【図11】図11は、回動補助部材及び駆動機構を主として示す上面図である。
【図12】図12は、駆動機構によって回動軸が回転している様子を、回動補助部材及び駆動機構を主として示す上面図である。
【図13】図13は、駆動機構によって回動軸が回転している様子を、連結具を主として示す上面図である。
【図14】図14は、図13からさらに回動軸が回転した様子を、連結具を主として示す上面図である。
【符号の説明】
【0087】
1…基板収容装置、10…LC/ULC(真空チャンバ)、12…基板支持カセット、14…移動規制機構、16…駆動機構、18…ガラス基板(基板)、18a,18b…主面、18c…側面(第1の側面)、18d…側面(第2の側面)、18e…側面(第3の側面)、18d…側面(第4の側面)、20…棚、20A〜20D…支持体、30A,30B…回動軸、32A,32B…歯車(同期手段)、34…チェーン(同期手段)、38A,38B…連結具、38A1…ブラケット(第2の部分)、38A2…ブラケット(第1の部分)、40A…L字アングル(第1の移動規制具)、40B…L字アングル(第2の移動規制具)、40A1…平板部分(第1の部分)、40A2…平板部分(第2の部分)、40B1…平板部分(第1の部分)、40B2…平板部分(第2の部分)、42…回動補助部材、44…バネ(弾性部材)、S…ストッパ部材(ストッパ)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する一対の主面と、互いに対向する第1及び第2の側面と、互いに対向すると共に前記第1及び第2の側面とそれぞれ隣り合う第3及び第4の側面とを有する平板状の基板を複数収容可能な基板収容装置であって、
前記複数の基板の前記一対の主面がいずれも鉛直方向と交差すると共に前記複数の基板が鉛直方向において互いに離間した状態となるように、前記複数の基板をそれぞれ支持する基板支持カセットと、
上端が前記基板支持カセットに支持される前記複数の基板のうち最も上方に位置する基板よりも上方に位置し且つ下端が前記基板支持カセットに支持される前記複数の基板のうち最も下方に位置する基板よりもよりも下方に位置するように鉛直方向に沿って延びる第1及び第2の回動軸と、
上端が前記基板支持カセットに支持される前記複数の基板のうち最も上方に位置する基板よりも上方に位置し且つ下端が前記基板支持カセットに支持される前記複数の基板のうち最も下方に位置する基板よりもよりも下方に位置するように鉛直方向に沿って延びる第1及び第2の部分を有しており、第1の連結具を介して前記第1の回動軸に取り付けられ、これにより前記第1の回動軸が回動することで前記第1の回動軸の周りに回動可能とされている第1の移動規制具と、
上端が前記基板支持カセットに支持される前記複数の基板のうち最も上方に位置する基板よりも上方に位置し且つ下端が前記基板支持カセットに支持される前記複数の基板のうち最も下方に位置する基板よりもよりも下方に位置するように鉛直方向に沿って延びる第1及び第2の部分を有しており、第2の連結具を介して前記第2の回動軸に取り付けられ、これにより前記第2の回動軸が回動することで前記第2の回動軸の周りに回動可能とされている第2の移動規制具と、
前記第1の移動規制具を前記第1の回動軸周りに駆動させると共に前記第2の移動規制具を前記第2の回動軸周りに駆動させる少なくとも一つの駆動手段と、
前記第1の移動規制具が前記基板に接近する方向における前記第1の移動規制具の回転を規制して、前記第1の移動規制具の前記第1の部分が前記複数の基板の前記第1の側面に向かう状態となると共に前記第1の移動規制具の前記第2の部分が前記複数の基板の前記第3の側面に向かう状態となる所定位置にて前記第1の移動規制具を停止させるための第1のストッパと、
前記第2の移動規制具が前記基板に接近する方向における前記第2の移動規制具の回転を規制して、前記第2の移動規制具の前記第1の部分が前記複数の基板の前記第2の側面に向かう状態となると共に前記第2の移動規制具の前記第2の部分が前記複数の基板の前記第4の側面に向かう状態となる所定位置にて前記第2の移動規制具を停止させるための第2のストッパとを備え、
前記第1のストッパによって前記第1の移動規制具が所定位置にて停止すると共に前記第2のストッパによって前記第2の移動規制具が所定位置にて停止した状態で、前記第1の移動規制具の前記第1及び第2の部分並びに前記第2の移動規制具の前記第1及び第2の部分によって前記複数の基板の水平方向の移動を規制する移動規制領域が画成されることを特徴とする基板収容装置。
【請求項2】
前記第1の回動軸の回動に伴い前記第2の回動軸を同期して回動させる同期手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載された基板収容装置。
【請求項3】
前記第1の連結具は、
前記第1の移動規制具が固定され、前記第1の回動軸が貫通すると共に前記第1の回動軸の回動に付随することなく前記第1の回動軸を中心に回動可能とされた第1の部分と、
前記第1の回動軸が貫通すると共に前記第1の回動軸に固着された第2の部分と、
前記第1の連結具の前記第1の部分と前記第1の連結具の前記第2の部分とを連結する弾性部材とを有し、
前記第2の連結具は、
前記第2の移動規制具が固定され、前記第2の回動軸が貫通すると共に前記第2の回動軸の回動に付随することなく前記第2の回動軸を中心に回動可能とされた第1の部分と、
前記第2の回動軸が貫通すると共に前記第2の回動軸に固着された第2の部分と、
前記第2の連結具の前記第1の部分と前記第2の連結具の前記第2の部分とを連結する弾性部材とを有していることを特徴とする請求項1又は2に記載された基板収容装置。
【請求項4】
真空チャンバを更に備え、
前記駆動手段の駆動源は、前記真空チャンバ外に配置され、
前記基板支持カセット、前記第1及び第2の回動軸、前記第1及び第2の移動規制具、前記駆動手段のうち前記駆動源を除いた部分、並びに、前記第1及び第2のストッパは、前記真空チャンバ内に配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載された基板収容装置。
【請求項5】
前記第1及び第2の移動規制具は、共に、縦断面がL字形状を呈する棒状体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載された基板収容装置。
【請求項1】
互いに対向する一対の主面と、互いに対向する第1及び第2の側面と、互いに対向すると共に前記第1及び第2の側面とそれぞれ隣り合う第3及び第4の側面とを有する平板状の基板を複数収容可能な基板収容装置であって、
前記複数の基板の前記一対の主面がいずれも鉛直方向と交差すると共に前記複数の基板が鉛直方向において互いに離間した状態となるように、前記複数の基板をそれぞれ支持する基板支持カセットと、
上端が前記基板支持カセットに支持される前記複数の基板のうち最も上方に位置する基板よりも上方に位置し且つ下端が前記基板支持カセットに支持される前記複数の基板のうち最も下方に位置する基板よりもよりも下方に位置するように鉛直方向に沿って延びる第1及び第2の回動軸と、
上端が前記基板支持カセットに支持される前記複数の基板のうち最も上方に位置する基板よりも上方に位置し且つ下端が前記基板支持カセットに支持される前記複数の基板のうち最も下方に位置する基板よりもよりも下方に位置するように鉛直方向に沿って延びる第1及び第2の部分を有しており、第1の連結具を介して前記第1の回動軸に取り付けられ、これにより前記第1の回動軸が回動することで前記第1の回動軸の周りに回動可能とされている第1の移動規制具と、
上端が前記基板支持カセットに支持される前記複数の基板のうち最も上方に位置する基板よりも上方に位置し且つ下端が前記基板支持カセットに支持される前記複数の基板のうち最も下方に位置する基板よりもよりも下方に位置するように鉛直方向に沿って延びる第1及び第2の部分を有しており、第2の連結具を介して前記第2の回動軸に取り付けられ、これにより前記第2の回動軸が回動することで前記第2の回動軸の周りに回動可能とされている第2の移動規制具と、
前記第1の移動規制具を前記第1の回動軸周りに駆動させると共に前記第2の移動規制具を前記第2の回動軸周りに駆動させる少なくとも一つの駆動手段と、
前記第1の移動規制具が前記基板に接近する方向における前記第1の移動規制具の回転を規制して、前記第1の移動規制具の前記第1の部分が前記複数の基板の前記第1の側面に向かう状態となると共に前記第1の移動規制具の前記第2の部分が前記複数の基板の前記第3の側面に向かう状態となる所定位置にて前記第1の移動規制具を停止させるための第1のストッパと、
前記第2の移動規制具が前記基板に接近する方向における前記第2の移動規制具の回転を規制して、前記第2の移動規制具の前記第1の部分が前記複数の基板の前記第2の側面に向かう状態となると共に前記第2の移動規制具の前記第2の部分が前記複数の基板の前記第4の側面に向かう状態となる所定位置にて前記第2の移動規制具を停止させるための第2のストッパとを備え、
前記第1のストッパによって前記第1の移動規制具が所定位置にて停止すると共に前記第2のストッパによって前記第2の移動規制具が所定位置にて停止した状態で、前記第1の移動規制具の前記第1及び第2の部分並びに前記第2の移動規制具の前記第1及び第2の部分によって前記複数の基板の水平方向の移動を規制する移動規制領域が画成されることを特徴とする基板収容装置。
【請求項2】
前記第1の回動軸の回動に伴い前記第2の回動軸を同期して回動させる同期手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載された基板収容装置。
【請求項3】
前記第1の連結具は、
前記第1の移動規制具が固定され、前記第1の回動軸が貫通すると共に前記第1の回動軸の回動に付随することなく前記第1の回動軸を中心に回動可能とされた第1の部分と、
前記第1の回動軸が貫通すると共に前記第1の回動軸に固着された第2の部分と、
前記第1の連結具の前記第1の部分と前記第1の連結具の前記第2の部分とを連結する弾性部材とを有し、
前記第2の連結具は、
前記第2の移動規制具が固定され、前記第2の回動軸が貫通すると共に前記第2の回動軸の回動に付随することなく前記第2の回動軸を中心に回動可能とされた第1の部分と、
前記第2の回動軸が貫通すると共に前記第2の回動軸に固着された第2の部分と、
前記第2の連結具の前記第1の部分と前記第2の連結具の前記第2の部分とを連結する弾性部材とを有していることを特徴とする請求項1又は2に記載された基板収容装置。
【請求項4】
真空チャンバを更に備え、
前記駆動手段の駆動源は、前記真空チャンバ外に配置され、
前記基板支持カセット、前記第1及び第2の回動軸、前記第1及び第2の移動規制具、前記駆動手段のうち前記駆動源を除いた部分、並びに、前記第1及び第2のストッパは、前記真空チャンバ内に配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載された基板収容装置。
【請求項5】
前記第1及び第2の移動規制具は、共に、縦断面がL字形状を呈する棒状体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載された基板収容装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−246099(P2009−246099A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−90046(P2008−90046)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】
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