説明

基板取付構造

【課題】樹脂フルポッティング時に、子基板の電子部品に、リード切れや、はんだ割れ等の応力不具合が発生するのを抑制できる基板取付構造を提供する。
【解決手段】子基板21を親基板11に取り付ける基板取付構造であって、親基板11に設けられ、子基板21を取付ける取付孔12と、子基板21に設けられ、親基板11における取付孔12に取付けられる取付部22とを備え、親基板11の取付孔12には、スルーホールメッキ14および両面のランド15が設けられている。親基板11の取付孔12と、子基板21の取付部22とのはんだ付けによる接続強度が高くなるため、樹脂フルポッティング時に、リード切れや、はんだ割れ等の応力不具合の発生を抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、小基板を親基板に取り付ける基板取付構造としては、子基板における電子部品のリードにクリンチを設けるとともに、親基板のリード孔の内面にスルーホールメッキを施し、電子部品のリード切れや、はんだ割れの要因となる上下方向の応力を、リードのクリンチによって逃がすとともに、はんだ割れが発生しても、スルーホールメッキによって電気的導通を確保するモジュールの実装構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−289052号公報(請求項1、図1、図3、段落0033〜0036)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の基板取付構造は、製品の防水化等を目的として、ウレタン樹脂等による樹脂フルポッティングによって、電子部品を完全に樹脂で覆う状態とした場合、依然として、電子部品の動作時と不動作時との温度差や、周囲の温度差により、樹脂に応力が発生し、この応力が電子部品に加わることにり、電子部品のリード切れや、リードのはんだ付け部におけるはんだ割れ等の応力不具合が発生する虞があった。
【0005】
本発明は、樹脂フルポッティング時に、子基板における電子部品のリード切れや、はんだ割れ等の応力不具合が発生するのを抑制できる基板取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、子基板を親基板に取り付ける基板取付構造であって、前記親基板に設けられ、前記子基板を取付ける取付孔と、前記子基板に設けられ、前記親基板における前記取付孔に取付けられる取付部とを備え、前記親基板の前記取付孔には、スルーホールメッキおよび両面ランドが設けられている。
【0007】
本発明は、前記子基板における前記取付部には、両面ランドが設けられている。
【0008】
本発明は、前記子基板には電子部品が設けられ、前記電子部品には、前記親基板と電気的に導通するリードが設けられ、前記リードには、クリンチが設けられている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、子基板における取付部の親基板に対する接続強度を高くできるため、樹脂フルポッティング時に、子基板の電子部品に、リード切れや、はんだ割れ等の応力不具合が発生するのを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る第1実施形態の基板取付構造を示す一部断面正面図
【図2】第1実施形態の親基板を示す図1のA矢視図
【図3】第1実施形態の子基板を示す正面図
【図4】本発明に係る第2実施形態の親基板を示す平面図
【図5】図4のB矢視図
【図6】第2実施形態の子基板を示す正面図
【図7】図6のC矢視図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る実施形態の基板取付構造について、図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の基板取付構造10を示す。この基板取付構造10は、親基板11に設けられ、子基板21を取付ける平面視長方形の取付孔12と、子基板21に設けられ、親基板11における取付孔12に挿入されて、はんだ付けされることにより取付けられる取付部22とを備えている。
【0012】
図2にも示すように、親基板11の取付孔12は、複数個、本例では2個設けられている。これらの取付孔12,12は、互いに所定の間隔をあけて配置されている。2個の取付孔12,12の間には、平面視円形のリード孔13が複数設けられている。
【0013】
各取付孔12の内周面には、スルーホールメッキ14が設けられている。また、各取付孔12における開口の周囲の部分には、親基板11の表裏両面に広がるランド15が、スルーホールメッキ14に接続されて設けられている。
【0014】
リード孔13にも、スルーホールメッキ16、および親基板11の表裏面に広がるランド17が設けられている。ランド17は、スルーホールメッキ16に接続されている。
【0015】
図3に示すように、子基板21の取付部22は、一側端縁から側方に突出して、複数、ここでは2個設けられている。各取付部22の、少なくとも親基板11の取付孔12に挿入される部分には、全面にランド23が設けられている。
【0016】
2個の取付部22、22の間には、複数の電子部品(図示せず)が設けられ、そのリード24が、子基板21から取付部22と同一方向に突出されている。各リード24には、中間に位置するクリンチ25が設けられている。クリンチ25は、例えば円弧状に形成できる。
【0017】
次に、この基板取付構造10の作用を説明する。図1に示すように、子基板21を親基板11に取付ける場合は、子基板21の取付部22と、リード24とを、親基板11の取付孔12と、リード孔13とに挿入する。そして、取付部22を取付孔12のスルーホールメッキ14、およびランド15にはんだ付けするとともに、リード24をリード孔13のスルーホールメッキ16、およびランド17にはんだ付けする。
【0018】
第1実施形態によれば、親基板11の取付孔12に、スルーホールメッキ14および両面のランド15が設けられているため、子基板21の取付部22を親基板11にはんだ付けしたとき、はんだ付け部の接続強度が大幅に高くなる。
【0019】
これにより、子基板21への応力は、リード24と比べて接続強度が高く、逃がしがない取付部22へ集中する。その結果、リード24には殆ど応力がかからない。
【0020】
このため、防水性能の向上を目的とする例えばウレタン樹脂等による樹脂フルポッティング時に、子基板21における電子部品のリード切れ、はんだ割れ等の応力不具合が発生するのを抑制できる。
なお、子基板21の取付部22は、親基板11に対する電気的導通を必要としないため、取付部22のはんだ付け部に、はんだ割れが発生したとしても、問題はない。
【0021】
また、子基板21の取付部22には、全面にランド23が設けられているため、取付部22の親基板11に対するはんだ付け部の接続強度が、さらに高くなる。従って、リード24およびそのはんだ付け部に、リード切れや、はんだ割れ等の応力不具合が発生するのを、さらに抑制できる。
【0022】
また、子基板21における電子部品のリード24には、クリンチ25が設けられているため、子基板21の取付部22およびはんだ付け部の強度を超える応力のみ、クリンチ25によって逃がされる。これにより、リード24およびそのはんだ付け部に加わる応力は非常に小さくなる。従って、リード切れや、はんだ割れ等の応力不具合が発生するのを、さらに確実に抑制できる。
【0023】
(第2実施形態)
図4および図5は、第2実施形態の親基板31を示す。
なお、第1実施形態と同様な部分には、同一の符号を付けて詳細な説明を省略する。
この親基板31の取付孔32は、等間隔を開けて3個設けられている。これらの取付孔32は、親基板31の一側縁から内部に凹入し、一側面が開口されている。取付孔32の内面にはスルーホールメッキ34が設けられ、取付孔32における上下の開口には、親基板31の表裏両面に広がるランド35が設けられている。
リード孔13は、取付孔32の近傍に設けられている。
【0024】
図6に、第2実施形態の子基板41を示す。この子基板41には、一側縁から側方に突出する3個の取付部42が、互いに等間隔を開けて設けられている。各取付部42は、側面視ほぼT字状に形成され、T字における縦辺部分、および横辺部分の下端部に、全周にわたってランド43が設けられている。
【0025】
子基板41には、複数の電子部品(図示せず)が設けられ、図7に示すように、これらの電子部品における逆くの字状のリード44が、取付部42と同様に子基板41の側方に突出している。各リード44には、クリンチ45が設けられている。
【0026】
第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用および効果を奏する。
【符号の説明】
【0027】
10 基板取付構造
11 親基板
12 取付孔
13 リード孔
14 スルーホールメッキ
15 ランド
16 スルーホールメッキ
17 ランド
21 子基板
22 取付部
23 ランド
24 リード
25 クリンチ
31 親基板
32 取付孔
34 スルーホールメッキ
35 ランド
41 子基板
42 取付部
43 ランド
44 リード
45 クリンチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
子基板を親基板に取り付ける基板取付構造であって、
前記親基板に設けられ、前記子基板を取付ける取付孔と、
前記子基板に設けられ、前記親基板における前記取付孔に取付けられる取付部とを備え、
前記親基板の前記取付孔には、スルーホールメッキおよび両面ランドが設けられている基板取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載の基板取付構造において、
前記子基板における前記取付部には、ランドが設けられている基板取付構造。
【請求項3】
請求項1または2に記載の基板取付構造において、
前記子基板には電子部品が設けられ、前記電子部品には、前記親基板と電気的に導通するリードが設けられ、前記リードには、クリンチが設けられている基板取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−134225(P2012−134225A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−283150(P2010−283150)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】