基板外観検査方法および基板外観検査装置
【課題】色彩と傾斜角度との関係の整合がとれた画像を生成するとともに、真上方向からの撮像では認識できない急峻なはんだ面の傾斜状態を認識できるようにする。
【解決手段】発光色の切り替えが可能な発光部が複数配列されたドーム型の照明装置2の上方にカラー撮像用のカメラ1を配置するとともに、照明装置2の中心線Cに直交する方向に対向するように反射ミラー31,32を配置し、これらのミラー31,32の位置を制御することにより、カメラ1に直視撮像モードおよび斜視撮像モードのいずれかを設定する。直視撮像モード下の照明装置2では、赤、緑、青の各発光領域が、各領域間の境界が全方位にわたって均一な状態で生じる。一方、斜視撮像モード下では、画像中の赤、緑、青の各色彩が直視撮像モードによる画像と同じ角度範囲を表し、より急峻な傾斜角度が紫色で表されるように、各発光部の発光色が制御される。
【解決手段】発光色の切り替えが可能な発光部が複数配列されたドーム型の照明装置2の上方にカラー撮像用のカメラ1を配置するとともに、照明装置2の中心線Cに直交する方向に対向するように反射ミラー31,32を配置し、これらのミラー31,32の位置を制御することにより、カメラ1に直視撮像モードおよび斜視撮像モードのいずれかを設定する。直視撮像モード下の照明装置2では、赤、緑、青の各発光領域が、各領域間の境界が全方位にわたって均一な状態で生じる。一方、斜視撮像モード下では、画像中の赤、緑、青の各色彩が直視撮像モードによる画像と同じ角度範囲を表し、より急峻な傾斜角度が紫色で表されるように、各発光部の発光色が制御される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、はんだ付け後の部品実装基板を対象として、複数種の色彩光をそれぞれ入射角が異なる方向から照射しつつ撮像を行い、生成された画像中の色彩パターンを用いて基板上の各はんだ付け部位の表面状態を検査する方法、およびこの種の検査に用いられる基板外観検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
出願人は、従前より、赤、緑、青の3種類の色彩光をそれぞれ入射角が異なる方向から照射する照明装置と2次元カラーカメラとを具備する基板外観検査装置を多数開発している。この検査装置は、上記の照明装置およびカメラにより、基板上のフィレットの傾斜状態が複数の色領域の分布パターンにより表された画像を生成するものである(特許文献1参照。)。
【0003】
上記の特許文献1に記載されている検査装置は、径の異なる3個のリング状光源を用いて各色彩光による照明を行っているが、近年では、内面に多数のLEDが配列されたドーム型の照明装置を用いるケースが増えている。この場合には、図13に示すように、中央に覗き穴23を有する照明装置2を基板Sの上方に配置するとともに、その上方にカメラ1を、覗き穴23の中心線Cに光軸を合わせた状態にして配置する。また、照明装置2の中心から下端縁に向かって赤、緑、青の発光領域が順に生じるように、各LEDの発光色を全周にわたって制御する。
【0004】
特許文献2には、上記のようなドーム型の照明装置の内部に、一対の反射ミラーを含む光学ユニットを配置し、各反射ミラーの位置を変更することによって、撮像装置の光軸を基板を直視する方向に設定する制御と、撮像装置の光軸を基板を斜めから撮像する方向に設定する制御とを、切り替えて実行することが記載されている。
【0005】
【特許文献1】特公平6−1173号公報
【特許文献2】特許第3433739号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されたような光学系では、照明装置の下端面が基板上の部品に触れることがないように、照明装置と基板との間にある程度の距離を確保する必要がある。このため、基板に対する照明光の入射角の範囲が限定され、それに伴い、画像中に照明色を反映させることのできる傾斜面の角度範囲も限定されてしまう。
【0007】
たとえば、図13の例の照明装置2では、最下端部が基板Sの上面から15°の角度方向に位置している。したがって、この最下端部からの青色光を受けてカメラ1に入射する方向(真上方向)に正反射させることのできる傾斜面が、この光学系により検出できる最も急峻な面となる。上記の光学系の構成によれば、この傾斜面の角度は37.5度となる(図14を参照。)。したがって、37.5度より急峻なフィレットでは、光が照射されても、正反射光をカメラ1に入射させることができないため、照明色を反映した画像を得ることもできないと考えられる。
【0008】
上記に対し、特許文献2に記載されている発明によれば、カメラの光軸の方向を鉛直方向から斜め方向に変更することによって、急峻な傾斜角度の面からの正反射光でもカメラに入射させることが可能になり、色彩により表すことのできる角度範囲を広げることができる。しかし、この方法では、フィレットの勾配が生じている方位とカメラの方位との角度差が大きくなるにつれて、撮像装置に入射する正反射光の色彩と傾斜角度との間の関係が変化するため、画像中の色彩と傾斜角度との関係を整合させるのが困難になる。よって、フィレットの傾斜状態を一定の基準に基づいて判別できない状態になる。
【0009】
この発明は上記の問題に着目し、基板を斜め上方から撮像した場合でも、色彩と傾斜角度との関係の整合がとれた画像を生成でき、かつ真上方向からの撮像による画像で認識できる角度範囲より急峻な角度の面でも照明色を反映した画像を生成できるようにし、もって、はんだ面の傾斜状態に対する判別の精度を向上することを、課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明が適用される基板外観検査方法は、複数種の部品がはんだ付けされた基板を検査対象とするもので、発光色を切り替えることが可能な発光部が、中心から遠ざかるほど入射角が大きくなるように全周にわたって複数配列された構成の照明装置を、中心線を鉛直方向に合わせた状態で基板の上方に配備する。またカラー撮影用の撮像装置を、基板を斜め上方から撮像するように配備する。
【0011】
さらにこの方法では、照明装置の各方位における発光部の配列にそれぞれ入射角の変化に応じて発光色が異なる複数のグループが生じるように各発光部の発光色を制御し、その制御による照明下での撮像により生成された画像中の色彩パターンを用いて、撮像装置の視野に含まれるはんだ付け部位の表面状態の適否を検査する。
【0012】
上記において、1つ1つの「発光部」は、それぞれ照明装置の発光面内の一局所領域に相当する。各発光部には、外部からの制御信号に応じて発光色を切り替えることが可能な発光体(LEDなど)が少なくとも1つ含まれる。
【0013】
上記した課題を解決するための第1の方法では、照明装置からの光を照明装置の中心線に沿う方向に正反射させることが可能な傾斜面の傾斜角度の範囲に当該範囲より急峻な角度範囲を連続させた角度範囲を複数に分割し、この分割により生じた複数の角度範囲にそれぞれ異なる色彩を対応づける。つぎに、照明装置の各発光部について、それぞれその発光部の基板に対する照明方向および撮像装置の撮像方向に基づき、当該発光部からの照明光を撮像装置に入射する方向に正反射させることが可能な傾斜面の傾斜角度を特定し、分割により生じた複数の角度範囲のうち、特定された傾斜角度が含まれる角度範囲に対応する色彩を当該発光部の発光色として決定する。
【0014】
そして、各発光部がそれぞれ決定した発光色を点灯するように制御して、この制御による照明下で撮像装置を駆動することにより、検査のための画像を生成する。
【0015】
照明装置内の特定の発光部からの光が、或るはんだの傾斜ラインに照射されて正反射し、この正反射光が撮像装置に入射したものとすると、上記の発光部の照明方向と撮像装置の撮像方向との間の方位の開きや基板に対する仰角の関係に基づき、上記の正反射が生じた傾斜ラインの傾斜角度を求めることができる。上記の方法はこの点に着目し、画像中の色彩と傾斜角度との対応関係を常に一定にすることを前提として、各発光部につき、それぞれその発光部からの照明光を撮像装置に入射する方向に正反射させることが可能な傾斜面の傾斜角度を特定し、特定された角度に対応する色彩で当該発光領域が発光するように制御するものである。
【0016】
上記の方法によれば、撮像装置に正反射光を入射させることが可能な範囲であれば、はんだの傾斜面の勾配がいずれの方位に生じていても、傾斜角度が等しければ、同一の色彩により傾斜面を表した画像を生成することが可能になる。
【0017】
さらに上記の方法では、基板を真上から撮像する場合に照明色に対応する色彩のある画像を生成することが可能な角度範囲に当該範囲より急峻な角度範囲を連続させた範囲を対象に、この範囲を複数に分割し、分割後の各角度範囲に対応する傾斜面がそれぞれ異なる色彩で表されるようにしている。よって、基板を真上から撮像する場合に認識できる傾斜角度より急峻な傾斜角度の面についても、照明色を反映した画像を生成することができ、急峻な面の傾斜状態も正しく認識することが可能になる。
【0018】
この発明による第2の基板外観検査方法は、上記したのと同様の構成の照明装置を中心線を鉛直方向に合わせた状態で部品実装基板の上方に配備するとともに、同じ基板の上方にカラー撮像用の撮像装置を、照明装置の中心線に沿う方向から基板を撮像する直視撮像状態と、基板を斜め上方から撮像する斜視撮像状態とを切り替え可能にして配置する。また、基板上の被検査部位に応じて撮像装置を直視撮像状態または斜視撮像状態に設定するとともに、照明装置の各方位における発光部の配列にそれぞれ入射角の変化に応じて発光色が異なる複数のグループが生じるように各発光部の発光色を制御し、その制御による照明下での撮像により生成された画像中の色彩パターンを用いて、撮像装置の視野に含まれる各はんだ付け部位の表面状態の適否を判別する。
【0019】
さらに上記の方法では、撮像装置が直視撮像状態に設定されているときには、照明装置の発光部のグループ間の境界位置が全周にわたって均一になるように、直視撮像状態における各発光領域の発光色を決定する。
【0020】
また、直視撮像状態下の撮像による画像中に照明装置の各発光色に対応する色彩をもって表された傾斜面について画像中の色彩と傾斜角度との対応関係が直視撮像状態のときと同一になるとともに、より急峻な面に対応する少なくとも1つの角度範囲に直視撮像状態下の画像には現れなかった色彩が対応するように、斜視撮像状態下の撮像による画像中の色彩と傾斜角度との対応関係を定め、各発光部につき、それぞれその発光部の基板に対する照明方向および斜視撮像状態下の撮像装置の撮像方向に基づき、当該発光部からの照明光を斜視撮像状態下の撮像装置に入射する方向に正反射させることが可能な傾斜面の傾斜角度を特定し、特定された傾斜角度が含まれる角度範囲に対応する色彩を当該発光領域の発光色とすることにより、斜視撮像状態下における各発光部の発光色を決定する。
【0021】
さらに、上記の方法では、照明装置の各発光部が、それぞれ撮像装置の撮像状態に応じた決定に基づく発光色を点灯するように制御して、各発光部による照明下で撮像装置を駆動することにより、検査のための画像を生成する。
【0022】
上記の方法によれば、撮像装置が直視撮像状態、斜視撮像状態のいずれに設定されていても、画像中の色彩と傾斜角度との対応関係を一定にすることができる。よって、撮像状態が切り替えられても、色彩に基づく傾斜角度の認識に同一の基準を適用することが可能になる。
また上記の方法によれば、斜視撮像状態に設定された場合には、直視撮像状態下で認識できる傾斜角度の範囲より急峻な角度範囲を、直視撮像状態下の画像には現れない色彩で表した画像を生成することができる。よって、斜視撮像状態が設定されている場合には、直視撮像状態下の画像には現れない色彩に基づいて、急峻な傾斜面を容易かつ精度良く認識することができる。
【0023】
つぎに、上記の第1の基板外観検査方法を実施するための基板外観検査装置は、以下の照明装置、カラー撮像用の撮像装置、反射ミラー、撮像方向制御手段、照明制御手段、および判別処理手段を具備する。
【0024】
照明装置は、中央に覗き穴を具備する鏡体内の全周にわたって、発光色を切り替えることが可能な発光部が覗き穴から筐体の下端縁までの範囲に複数配列され、覗き穴の中心線を鉛直方向に合わせた状態で検査対象の基板の上方に配備される。また撮像装置は、検査対象の基板の上方に、覗き穴の中心線に光軸を合わせた状態で配備され、一対の反射ミラーは、照明装置の筐体内に、それぞれの高さまたは傾きの変更が可能な状態で、覗き穴の中心線に直交する方向に沿って対向するように配置される。
【0025】
撮像方向手段は、各反射ミラーの一方の位置を覗き穴の中心線上に維持しながら、基板上の被検査部位に応じて各反射ミラーの高さまたは傾きを設定することによって、撮像装置の撮像方向を制御する。照明制御手段は、照明装置の各方位における発光部の配列にそれぞれ入射角の変化に応じて発光色が異なる複数のグループが生じるように各発光部の発光色を制御し、判別処理手段は、撮像方向制御手段および照明制御手段による制御下で撮像装置により生成された画像を入力し、その入力画像中の色彩パターンを用いて撮像装置の視野に含まれるはんだ付け部位の表面状態の適否を判別する。
【0026】
さらに、照明制御手段は、照明装置からの光を照明装置の中心線に沿う方向に正反射させることが可能な傾斜面の傾斜角度の範囲に当該範囲より急峻な角度範囲を連続させた角度範囲を対象に、対象の角度範囲を分割することにより設定された複数の角度範囲にそれぞれ異なる色彩を対応づけた関係テーブルと、照明装置の各発光部について、それぞれその発光部の基板に対する照明方向および撮像装置の撮像方向に基づき、当該発光部からの照明光を撮像装置に入射する方向に正反射させることが可能な傾斜面の傾斜角度を特定し、特定した傾斜角度により上記の関係テーブルを照合することにより当該発光部の発光色を決定する処理を、撮像制御手段により設定される撮像方向毎に実行する発光色決定手段とを具備する。そして、撮像装置の撮像方向に応じて、その撮像方向に対する発光色決定手段の決定に基づき各発光部の発光色を制御する。
【0027】
上記構成の装置によれば、検査対象のはんだ付け部位毎に、その傾斜角度や周囲の状況などに応じて撮像に適した撮像方向を選択できるとともに、どの撮像方向においても、画像中の色彩と傾斜角度との関係の整合性がとれた画像を生成して、同一の基準による検査を実行することが可能になる。
【0028】
つぎに、第2の基板外観検査方法を実施するための基板外観検査装置は、上記と同様の構成の照明装置および撮像装置と、照明装置の筐体内に、覗き穴の中心線に直交する方向に沿って対向し、かつ前記対向方向に沿って往復動可能に支持される一対の反射ミラーとを具備する。
【0029】
さらに、この基板外観検査装置は、以下の撮像制御手段、照明制御手段、判別処理手段を具備する。
撮像制御手段は、各反射ミラーを覗き穴の中心線を挟んで対向した状態で停止する第1の位置決めと、一方の反射ミラーが上記の中心線上に位置するようにして各反射ミラーを停止する第2の位置決めとを、基板上の被検査部位に応じて切り替えて実行することによって、撮像装置の撮像状態を切り替える。照明制御手段は、照明装置の各方位における発光部の配列にそれぞれ入射角の変化に応じて発光色が異なる複数のグループが生じるように各発光部の発光色を制御する。
【0030】
判別処理手段は、撮像制御手段および照明制御手段による制御下で撮像装置により生成された画像を入力し、その入力画像中の色彩パターンを用いて、撮像装置の視野に含まれるはんだ付け部位の表面状態の適否を判別する。
【0031】
上記の照明制御手段は、各発光部と発光色との関係を示す設定テーブルとして、第1の位置決めにより撮像手段が覗き穴の中心線に沿う方向から基板を撮像する直視撮像状態に設定されているときに使用する設定テーブルと、第2の位置決めにより撮像装置が基板を斜め上方から撮像する斜視撮像状態に設定されているときに使用する設定テーブルとが、それぞれ登録された登録手段を具備する。照明制御手段は、撮像装置に設定されている撮像状態に対応する設定テーブルを参照して、各発光領域の発光色を制御する。
【0032】
上記の設定テーブルについて、直視撮像状態の設定時に使用される設定テーブルでは、照明装置の発光部のグループ間の境界位置が全周にわたって均一になるように各発光領域の発光色が登録されている。
【0033】
一方、斜視撮像状態の設定時に使用される設定テーブルでは、直視撮像状態下での撮像による画像中に照明装置の各発光色に対応する色彩をもって表された傾斜面について画像中の色彩と傾斜角度との対応関係が直視撮影状態下での画像と同一になるとともに、より急峻な面に対応する少なくとも1つの角度範囲に、直視撮像状態下の画像には現れなかった色彩が対応するように、斜視撮像状態下の撮像による画像中の色彩と傾斜角度との対応関係を定め、各発光部について、それぞれその発光部の基板に対する照明方向および撮像装置の撮像方向に基づき、当該発光部からの照明光を斜視撮像状態下の撮像装置に入射する方向に正反射させることが可能な傾斜面の傾斜角度を特定し、特定された傾斜角度が含まれる角度範囲に対応する色彩を当該発光部の発光色として決定することにより、定められた各発光部の発光色が登録される。
【0034】
上記構成の装置によれば、検査対象のはんだ付け部位に応じて、撮像装置を直視撮像状態、斜視撮像状態のいずれかに設定して撮像を行うとともに、いずれの撮像においても、画像中の色彩と傾斜角度との対応関係を一定にして、同一の基準による検査を実行することができる。さらに、斜視撮像状態による検査では、直視撮像状態のときの画像には現れない色彩に基づきより急峻な傾斜面を検出して、はんだ付け部位の傾斜状態を精度良く判別することができる。
【0035】
上記の基板外観検査装置の好ましい態様では、各反射ミラーは、照明装置の中心に直交する方向に沿って対向する関係を維持したまま、それぞれの高さまたは傾きの変更が可能に支持される。また撮像制御手段は、反射ミラーに対して第2の位置決めを行う場合に、各反射ミラーの高さまたは傾きを変更することによって、撮像装置の撮像方向を複数とおりの方向のいずれかに設定する。
【0036】
さらに、照明制御手段の登録手段には、斜視撮像状態下での複数とおりの撮像方向について、それぞれ個別に設定テーブルが登録される。照明制御手段は、撮像制御手段により斜視撮像状態下の撮像装置の撮像方向が切り替えられる都度、切り替えられた撮像方向に対応する設定テーブルを用いて各発光部による照明パターンを変更する。
【0037】
上記の装置によれば、検査対象のはんだ面の傾斜ラインの方向に応じて、複数とおりの撮像方向の中から最適なものを選択して設定することにより、照明装置による照明パターンもその設定に適合したものに切り替えられ、その設定状態下で撮像を行うことができる。よって、いずれの撮像方向から斜視撮像を行った場合でも、画像中の色彩と傾斜角度とを整合させることができる。
【発明の効果】
【0038】
上記の基板外観検査方法および基板外観検査装置によれば、基板を照明装置の中心線に対して斜めに交わる方向から撮像する場合でも、各種色彩と傾斜角度の範囲との関係が整合した画像を生成するとともに、基板を真上から撮像する場合には認識することができない傾斜面にも、照明色を反映した画像を生成することができる。よって、従来より広い角度範囲を統一された基準に基づき精度良く認識し、はんだ面に対する検査の精度を高めることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
図1は、基板外観検査装置の電気構成を示すブロック図である。
この基板外観検査装置(以下、単に「検査装置」という。)は、はんだ付け後の基板を対象に、基板のランドと各部品との間に生じたフィレットの表面状態を検査するためのもので、カメラ1、照明装置2、ミラーユニット3、Xステージ部4、Yステージ部5、制御処理装置6などを具備する。また図示はしていないが、検査対象の基板を支持するために、基板支持テーブルが設けられる。
【0040】
カメラ1および照明装置2は、図2に示すような関係をもって配置される。ミラーユニット3は、カメラ1の光軸の方向を切り替えるためのものである。
【0041】
Xステージ部4は、カメラ1、照明装置2およびミラーユニット3を、基板支持テーブルの上方で支持し、Yステージ部5は基板支持テーブルを支持する。いずれのステージ部4,5とも、その支持対象を、一軸に沿って移動させることが可能である。また一方のステージ部による移動の方向は、他方のステージ部による移動の方向に直交する関係にある。
【0042】
制御処理装置6は、コンピュータによる制御部60に、画像入力部61、撮像制御部62、照明制御部63、ミラーユニット制御部64、Xステージ駆動部65、Yステージ駆動部66、入力部67、表示部68、通信用インターフェース69などが接続された構成のものである。
【0043】
画像入力部61には、カメラ1から出力されたR,G,Bの各画像信号を受け付けるインターフェース回路や、これらの画像信号をディジタル変換するA/D変換回路などが含まれる。撮像制御部62は、カメラ1の撮像タイミングを制御し、照明制御部63は、後記する照明装置2内の各発光ユニット21の点灯動作を制御する。ミラーユニット制御部64は、ミラーユニット3内の駆動系を制御することによって、後記する反射ミラー31,32の位置、方位、傾きを調整する。
【0044】
入力部67は、ティーチングの際の設定操作などを行うためのもので、キーボードやマウスなどを含む。表示部68は、検査用の画像や検査結果などを表示するためのもので、液晶パネルなどにより構成される。通信用インターフェース69は、検査結果を外部の装置に送信する目的で使用される。
【0045】
上記構成において、制御部60内のメモリには、検査対象の基板にカメラ1および照明装置2を位置合わせするのに必要なX,Yステージの移動量が登録される。また、フィレット検査用の検査データとして、基板上の部品毎に、検査領域の設定データ、各種色領域を検出するための2値化しきい値、検出された色領域の面積の適否を判断するための判定基準値などが登録される。また後記する斜視撮像モードの対象となる部品について、それぞれその部品の識別情報に撮像の際のカメラ1の撮像方向を示す情報が対応づけて登録される。これらの登録情報は、いずれも、検査に先立つティーチングにおいて、良品基板の画像やユーザの設定操作に基づき設定されたものである。
【0046】
さらにメモリには、ミラーユニット3に対する制御の内容を示す制御データや、照明装置2に対する照明制御用の情報が登録された設定テーブルが格納される。これらの内容については後で詳細に説明する。
【0047】
図2は、上記検査装置の光学系の構成を検査の原理とともに示したものである。
この実施例の照明装置2は、ドーム型の筐体22の内面に多数の発光体を同心円状に配列した構成のものである。筐体21の天頂部分にはカメラ1の覗き穴23が形成されており、カメラ1は、この覗き穴23の上方に、光軸を覗き穴23の中心線C(覗き穴23の中心を垂直方向に沿って通過する仮想線をいう。)に合わせた状態で配備される。照明装置2の最下端からの光が基板Sに対してなす角度は、図13の従来例と同じく15度である。
【0048】
ミラーユニット3は、一対の反射ミラー31,32が収容されたケース体30を本体部とする。各反射ミラー31,32は、ケース体30内に、水平方向に沿って対向するように配備されている。
【0049】
ケース体30の上面および下面には、それぞれ反射光を通過させるための窓部(図示せず。)が設けられている。また、このケース体30は、図示しない回動機構および水平移動機構ならびに上下動機構により、照明装置2の中心線Cに沿う方向を軸として回動でき、かつ水平方向ならびに垂直方向に移動可能に支持される。さらに、各反射ミラー31,32には、傾き調整用のモータ(図示せず。)が軸支されている。
【0050】
なお、上記の回動機構および水平移動機構は、特許文献2に記載の駆動機構33と同様の構成のものである。上下動機構は、スライドレールや駆動用のモータなどにより構成される。
【0051】
つぎに、この実施例の照明装置2では、発光体として、赤、緑、青の各発光素子を含む多色発光型のLEDチップ21が用いられる。これらのLEDチップ21は、覗き穴23を取り囲むように同心円状に配列されるが、回路上は、図3に示すように4個単位のグループ20に分割され、グループ20内の各素子に同じ制御信号が与えられるように配線される。以下、この4個のLEDチップ21によるグループ20を「発光部20」という。各発光部20内のLEDチップ21は、正方形状に、または同じ高さもしくは同じ方位に線状に並ぶように配列される。
【0052】
図3の回路構成によれば、照明装置2の発光色は発光部20単位で制御される。ただし、配線が可能であれば、1つ1つのLEDチップ21にそれぞれ独立した信号を与えて、LEDチップ21単位で発光色を制御してもよい。
【0053】
また照明装置2はドーム型のものに限定されるものではなく、カメラ1の覗き穴23を中心にその全周にわたって、各LEDチップ21が、覗き穴23から遠ざかるほど入射角が大きくなるように配列されていればよい。また、入射角を変更するために、フレネルレンズ等の光学部材を用いてもよい。
【0054】
図2に戻って、この実施例では、基板S上の各部品につき、それぞれ(A)(B)に示す2通りの撮像方法のいずれかを選択して、撮像を行うようにしている
図2(A)の方法では、各反射ミラー31,32が照明装置2の中心線Cを挟んで対向するようにミラーユニット3を位置決めすることによって、基板Sから中心線Cに沿う方向に反射した光がカメラ1に導かれるようにしている。この方法によれば、図13の従来例と同様に、カメラ1は基板Sを真上から撮像することになる。以下、この撮像状態を「直視撮像モード」という。
【0055】
上記に対し、図2(B)の方法では、一方の反射ミラー31が照明装置2の中心線C上に位置するようにミラーユニットの位置を調整することによって、基板Sからの反射光のうち、中心線Cから離れた方のミラー32に入射した光がミラー32からミラー31を介してカメラ1に導かれるようにしている。すなわち、実際のカメラ1の位置や姿勢は変わらないが、実質的な撮像方向は鉛直方向から斜め方向に変更されて、基板を斜め上から撮像しているのと同様の撮像状態になる。以下、この撮像状態を「斜視撮像モード」という。
【0056】
直視撮像モードでは、照明装置2に、赤、緑、青の各色彩光の発光領域間の境界位置が筐体22の全周にわたって均一になるように、各発光部20の発光色を制御する。これにより、直視撮像モードでは、照明についても、図13に示した従来例と同様の状態が設定される。
【0057】
一方、斜視撮像モード時の照明装置2には、赤、緑、青のほかに紫の発光領域が生じるようにするとともに、図4に示すように、各発光領域の境界位置が方位によって異なるように各発光部20の発光色を制御する。具体的には、直視撮像モードによる画像中に赤、緑、青の各色彩で表される傾斜面については、斜視撮像モードによる画像においても、同じ色彩により表されるようにし、より急峻な傾斜面が紫色で表されるようにする。
【0058】
図5は、画像中に現れる4種類の色彩と各色彩が表すフィレットの傾斜角度θとの関係を示す。
この実施例では、直視撮像モードにより正反射光像を生成することが可能な角度範囲(2.5度から37.5度まで)のうち、2.5度から15度までの範囲が赤色で表され、15度から25度までの範囲が緑色で表され、25度から37.5度までの範囲が青色で表されるようにしている。さらに、直視撮像モードでは正反射光像を生成することが困難な37.5度以上の角度の傾斜面が紫色で表されるようにしている。なお、図5では、紫色で表される角度の範囲を37.5度から90度までとしているが、実際の上限値は、ミラーユニット3により変更されたカメラ1の撮像方向に応じて変動する。
【0059】
図6では、斜視撮影モードにおける撮像例を2つ示す。各例とも、上段に、カメラ1に入射する正反射光の色彩とフィレットの傾斜面との関係を示し、下段に、上記の正反射光により生成された画像における色彩の分布状態を示している。なお、ここでは対比の便宜のために、上下段ともに、部品を100、フィレットを101の符号で示す。
【0060】
図6(1)の例のフィレット101には、赤、緑、青の各色彩に対応する傾斜角度の面が含まれるが、部品100に近い場所に、青色に対応する角度範囲よりも急峻な傾斜面が存在する。また、図6(2)の例のフィレット101では、下端部に青色に対応する傾斜角度の面が存在するものの、赤や緑に対応する傾斜角度の面は含まれておらず、大半が青色でも表すことのできない急峻な傾斜面になっている。直視撮像モードによると、これらの急峻な傾斜面は暗領域となるため、傾斜状態が適切であるか否かを判別するのが困難になるが、斜視撮像モードによれば、急峻な傾斜面が紫色で表されるので、傾斜状態の適否を精度良く判別することができる。
【0061】
一方で、斜視撮像モードでは、検査対象の部品がカメラ1の視野に含まれるようにカメラ1および照明装置2と基板との関係を調整しても、各フィレットの位置や勾配の方向に応じて撮像方向を切り替える必要があるため、処理時間が長くなるという欠点がある。たとえば、図2(B)の例においてチップ部品を検査する場合には、図示されている状態で右側のフィレットからの正反射光をカメラ1に入射させて撮像を行った後に、左側のフィレットからの正反射光がカメラ1に入射するようにミラーユニットを180°回転させて、再び撮像を行う必要がある。
【0062】
上記の点を考慮して、この実施例では、傾斜角度が37.5度を超えるフィレットや、真上からの確認が困難なフィレット(たとえば、Jリード(先端が内側に湾曲したタイプのリード))に形成されるフィレットなど、直視撮像モードによる画像に照明色を反映させるのが困難な部位に対象を限定して、斜視撮像モードによる検査を実行し、その他の部位に対しては、直視撮像モードによる検査を実行することにしている。また、斜視撮像モードが適用される部品については、フィレットの位置や方位に応じて、複数とおりの撮像方向が定められる。
【0063】
つぎに、カメラ1の撮像方向および発光部20からの照明方向を表すパラメータについて、図7を用いて説明する。
図7の(1)は、基板Sとカメラ1および照明装置2の関係を示す斜視模式図(1)であり、(2)は照明装置2を上方から見た模式図である。図中、点Oは照明装置2の中心線Cと基板Sの上面(以下、「基板面」という。)との交点であり、点Pは照明装置2内の一点を、点Qは撮像方向を決定する反射ミラー32の位置を、それぞれ示す。
【0064】
この実施例では、点Pから点Oに向かう方向を点Pからの照明の方向とし、この方向を仰角A(図7(1)に示す。)および方位角B(図7(2)に示す。)により表す。ここで、仰角Aは、点P,Oを通る直線が基板面に対してなす角度である。また方位角Bは、中心線Cから右に向かう直線mに対して上記の直線がなす角度である。
【0065】
また、斜視撮像モードにおける撮像方向は、点Qから点Oに向かう方向であり、仰角αおよび方位角βにより表される。仰角αは、点Q,Oを通る直線が基板面に対してなす角度であり、方位角βは、直線mに対して上記の直線がなす角度である。
【0066】
図8は、斜視撮影モードが適用される部品の例を示す。
この例の部品100は、フィレット101a,101bの傾斜が急峻なチップ部品である。このような部品100を対象とする場合には、両端のフィレット101a,101b毎に、撮像方向を個別に定める必要がある。また、図中の右側のフィレット101aについては、近傍に背の高い他の部品102が存在するので、この部品102により妨げられずに進行する正反射光がカメラ1に入射するように、撮像方向の仰角αの値を考慮する必要がある。
【0067】
図9は、斜視撮像モードにおける撮像方向を変更するための方法を示す。
まず、撮像方向の仰角αを変更するには、図9(1)に示すように、ミラーユニット3の高さや反射ミラー31,32の傾きを変更する。また方位角βを変更するには、図9(2)に示すように、ミラーユニット3を軸回転して各反射ミラーの対向方向の方位を変更する。
【0068】
この実施例の検査装置には、斜視撮像モード用の撮像方向として、仰角αおよび方位角βの組み合わせが複数とおり設定されるとともに、これらの組み合わせ毎に、照明装置2の各発光部20の発光色を定めた設定テーブルが登録される。
【0069】
撮像方向の設定は、α,βの組み合わせ毎に、その組み合わせによる方向が撮像方向となるように各反射ミラーの位置や傾きを定めるための制御データを割り出し、これを制御部60のメモリに登録することにより行われる。この場合の制御データは、上下動機構の移動量、回動機構の回転角度、反射ミラー31,32の傾き調整用のモータの回転角度などを示すものである。
【0070】
各発光部20の発光色を制御するための設定テーブルは、あらかじめ、α,βの組み合わせ毎に、以下に述べる演算を実行して各発光部20の発光色を決定することにより作成されたものである。すなわち、カメラ1の光軸方向を表すα,βの組み合わせと設定テーブルとは一対一の関係にある。
【0071】
以下、図10および図11を参照して、各発光部20の発光色を決定するために実行させる演算について説明する。
図10では、基板S上の所定のフィレット100内の一勾配方向に沿う傾斜ラインFLに、照明装置2内の一点Pからの照明光が照射され、この照明光に対する傾斜ラインFLからの正反射光がカメラ1に入射するものとして、傾斜ラインFLに対する点Pからの照明光の方向および正反射方向の関係を表している。具体的には、図10(A)は、基板Sを上方から見た場合の各方向の関係を示す。また(B)は、傾斜ラインFLの方向に沿う仮想垂直平面に、照明光の方向および正反射方向を示す各ベクトルを投影したものである。
【0072】
上記において、傾斜ラインFLからの正反射光はカメラ1に入射しているので、この正反射光の方向は撮像方向を反転させたものと考えられる。よって、正反射方向は、撮像方向の仰角αおよび方位角βにより表すことができる。また、図中、点Pの座標を(X,Y,Z)とし、傾斜ラインFLの方位角をδ、傾斜角度をθとする。
【0073】
まず、点Pからの照明光の方向を示す仰角Aおよび方位角Bと上記の座標X,Y,Zとの間には、下記の(1)(2)式が示す関係が成立する。
【0074】
【数1】
【数2】
【0075】
つぎに、図10(A)に示すように、傾斜ラインFLの方向は、点Pからの照明光の方向と正反射方向とがなす角度を二分するから、方位角B,β,δの間の関係を、以下のように表すことができる。
B−β=(δ−β)×2
よって、δ=(B+β)/2 ・・・(3)
【0076】
つぎに、図10(B)では、傾斜ラインFLに沿う仮想垂直平面に照明光の方向を投影することにより生じたベクトルの仰角をA´とし、当該垂直平面に正反射方向を投影することにより生じたベクトルの仰角をα´とする。これらの投影ベクトルの傾斜ラインFLに対する関係は、照明光と正反射光との関係を反映するから、仰角A´,α´と傾斜角度θとの間の関係を、以下のように表すことができる。
(α´−A´)/2=90°−(A´+θ)
よって、A´=180°−α´−2・θ ・・・(4)
【0077】
つぎに、上記の垂直平面への点Pの投影点をP´として、点O,Pを通る直線と点O,P´を通る直線との関係を真上から見ると、図11のようになる。よって、線分OP´は(5)式のように示される。
【0078】
【数3】
【0079】
よって、上記の(5)式および(1)式によれば、図10(B)の仰角A´と照明光の方向を示す仰角Aとの間に、以下の関係式(6)が成立する。
【0080】
【数4】
【0081】
したがって(6)式より、
A´=atan[tanA ・ cos(B−δ)] ・・・(7)
となる。
【0082】
また正反射方向とその投影ベクトルとの間にも、図11および(5)式と同様の関係が成立すると考えられるから、角度α´とαとの間には(6)式と同様の関係が成立し、これより、
α´=atan[tanα ・ cos(β−δ)]・・・(8)
となる。
【0083】
よって、上記の(7)(8)式の右辺により(4)式のA´,α´を置き換えて、式を整理すると、傾斜ラインの角度θを以下の(9)式により表すことができる。
【0084】
【数5】
【0085】
上記の(9)式中のδは、(3)式に示すとおり、Bおよびβから求められる。また(1)(2)式に示すように、角度A,Bは点Pの座標(X,Y,Z)を用いて算出することができ、角度α,βにはカメラ1の光軸方向を示す角度をあてはめることができる。したがって、各角度A,B,α,βを用いて(9)式を実行することにより、傾斜ラインFLの傾斜角度θを求めることができる。
【0086】
上記の傾斜角度θは、点Pからの照明光を受けて、α,βが示す方向、すなわちカメラ1に入射する方向に正反射させることのできる傾斜面の傾斜角度に相当する。したがって、(9)式によりθの値を算出することができれば、その算出値が図5に示したどの角度範囲に含まれるかを特定し、特定した角度範囲に対応する色彩の光を点Pから出射することによって、角度θの傾斜面がθの値に対応する色彩で表された画像を生成することが可能になる。
【0087】
上記の原理に基づき、この実施例では、照明装置2の各発光部20につき、それぞれ代表点を1つ定め、各代表点の座標を(X,Y,Z)として照明光の方向を表す仰角Aおよび方位角Bを求め、これらの角度と、撮像方向を表す仰角αおよび方位角βとを用いて(3)式および(9)式を実行することにより、傾斜角度θを算出する。そして、図5に示した関係に基づき、各発光部20につき、それぞれ傾斜角度θの算出値に対応する色彩を当該発光部20の発光色として決定し、決定した発光色を発光部20の識別情報に対応づけた設定テーブルを作成する。
【0088】
上記のように、照明制御用の設定テーブルを作成するには、各発光部20の照明方向とカメラの撮像方向とが必要になる。先に説明したように、斜視撮像モードの撮像方向は複数とおり設定されているので、これらの撮像方向毎に設定テーブルが作成され、登録されることになる。
また、直視撮像モードについても、設定テーブルを1つ作成してメモリに登録する必要がある。この場合の設定テーブルは、赤、緑、青の各色彩がそれぞれ図5に示した角度範囲の傾斜面を表すように、各発光部20の発光色を定めたものとなる。
【0089】
図12は、上記の検査装置が1枚の検査対象基板に対して実行する処理の流れを、撮像に関する制御を中心に示したものである。
同図の各ステップの符号を参照しながら説明すると、まずST1では、検査対象の基板を基板支持テーブル上に搬入する。
【0090】
この時点でのミラーユニット3は、直視撮像モードが実行される位置(図2(A)参照)に設定されている。これに応じてST2では、直視撮像用の設定テーブルを用いて各発光部20の照明色を制御する。
【0091】
この制御による照明下で、メモリに登録されている所定の撮像対象領域に、光学系(カメラ1、照明装置2、ミラーユニット3を含む。)を位置合わせして撮像を実行する(ST3)。さらに、この撮像により生成された画像中に含まれる検査対象部品について、登録されている検査データに基づき、フィレット検査のための画像処理や判定を実行する(ST4)。
【0092】
以下、直視撮像モードが適用される部品の検査がすべて終了するまで、撮像対象領域を変更しながら順次撮像を行い、検査のための画像処理および判定処理を実行する。
【0093】
直視撮像モードによる検査が終了すると、ST5,6が「YES」となってST7に進む。このステップでは、斜視撮像モードが適用される一部品に着目し、着目した部品につき登録されている撮像方向(通常、複数とおりの方向が含まれる。)を読み出す。
【0094】
以下、読み出された撮像方向に順に着目して、ST8〜11の各ステップを実行する。
ST8では、着目する撮像方向に対応する制御データに基づき、ミラーユニット3の高さや方位、反射ミラー31,32の傾きを変更することにより、カメラ1の撮像方向が着目する方向になるように調整する。ST9では、着目する撮像方向に対応する設定テーブルに基づき照明装置2の各発光部20の発光色を制御する。そして、ST10では、上記の制御による照明下で検査対象の部品に光学系を位置合わせして撮像を行い、ST11では、生成された画像を用いて、検査のための画像処理および判定処理を実行する。
【0095】
ST7で読み出された全ての撮像方向について、上記ST8〜11の処理が実行されると、ST12が「YES」となる。以下も、斜視撮像モードが適用される部品に順に着目して、同様の手順による処理を繰り返し実行する。対象部品のすべてに対する処理が終了すると、ST6が「NO」となるので、基板を搬出し(ST13)、しかる後に処理を終了する。
【0096】
なお、上記の実施例では、あらかじめ斜視撮像モード用の撮像方向を複数とおり定めて、これらの撮像方向の設定に関する制御データや各撮像方向に対応する照明制御用の設定テーブルをメモリに登録しているが、ユーザの指定操作などに応じて、適宜、撮像方向の変更や追加を行うことも可能である。具体的には、撮像方向の変更または追加指定に応じて、制御部60が制御データや設定テーブルの更新または新規作成を行うことになる。
【0097】
一方、照明制御用の設定テーブルを登録する代わりに、図5に示した傾斜角度と色彩との関係を表す関係テーブルをメモリに登録し、ティーチングにおいて、斜視撮像モードを適用する部品毎に、その部品に適した撮像方向を任意に定めた後に、この撮像方向と上記の関係テーブルとに基づき各発光部の発光色を決定してもよい。
具体的には、発光部毎に、その発光部の照明方向と定められた撮像方向とに基づき前出の(3)式および(9)式による演算を実行して、当該発光部からの照明光に対する正反射光をカメラ1に入射させることのできる傾斜面の傾斜角度θを求めた後に、この角度θにより図5に示した関係テーブルを照合して角度θが含まれる角度範囲に対応する色彩を特定し、この色彩を当該発光部の発光色として決定する。さらに、各発光部の決定した各発光色を撮像方向に対応づけてメモリに登録することにより、検査の際には、斜視撮像モード対応の各部品に対し、それぞれ登録情報に基づく照明と撮像方向とを設定して、撮像を行うことができる。
【0098】
また、上記の実施例では、直視撮像モードによる画像では照明色を反映させることができない角度範囲に紫色のみを割り当てたが、これに限らず、さらにこの角度範囲を複数に分割し、分割された各範囲に対応する傾斜面がそれぞれ異なる色彩により表されるようにしてもよい。
【0099】
また、上記の実施例では、反射ミラーを対向関係を維持したまま軸回転させることによって、撮像方向の方位角βを変更したが、これに代えて、基板支持テーブルを軸回転させることによって、基板を基準とする撮像方向の相対的な方位を変更するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】基板外観検査装置のブロック図である。
【図2】上記の検査装置で実行される直視撮像モードおよび斜視撮像モードを示す説明図である。
【図3】発光部の電気構成を示す回路図である。
【図4】斜視撮像モード時の照明装置の発光領域の設定例を示す説明図である。
【図5】フィレットの傾斜角度と画像に現れる色彩との関係を示すテーブルである。
【図6】斜視撮像モードにおける撮像の具体例を示す説明図である。
【図7】照明方向および撮像方向を表すパラメータを示す説明図である。
【図8】照明方向および撮像方向を表すパラメータを示す説明図である。
【図9】撮像方向を変更する方法の具体例を示す説明図である。
【図10】斜視撮像モードにおける各発光部の発光色を決定するための演算の原理を示す説明図である。
【図11】斜視撮像モードにおける各発光部の発光色を決定するための演算の原理を示す説明図である。
【図12】検査時に実行される処理のフローチャートである。
【図13】従来の基板外観検査装置の光学系を示す説明図である。
【図14】図13の光学系により認識可能な最大の傾斜角度を有する傾斜面と、照明光および正反射光との関係を示す説明図である。
【符号の説明】
【0101】
1 カメラ
2 照明装置
3 ミラーユニット
6 制御処理装置
20 発光部
21 LEDチップ
31,32 反射ミラー
60 制御部
101 フィレット
C 照明装置の中心線
S 基板
F 傾斜ライン
【技術分野】
【0001】
この発明は、はんだ付け後の部品実装基板を対象として、複数種の色彩光をそれぞれ入射角が異なる方向から照射しつつ撮像を行い、生成された画像中の色彩パターンを用いて基板上の各はんだ付け部位の表面状態を検査する方法、およびこの種の検査に用いられる基板外観検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
出願人は、従前より、赤、緑、青の3種類の色彩光をそれぞれ入射角が異なる方向から照射する照明装置と2次元カラーカメラとを具備する基板外観検査装置を多数開発している。この検査装置は、上記の照明装置およびカメラにより、基板上のフィレットの傾斜状態が複数の色領域の分布パターンにより表された画像を生成するものである(特許文献1参照。)。
【0003】
上記の特許文献1に記載されている検査装置は、径の異なる3個のリング状光源を用いて各色彩光による照明を行っているが、近年では、内面に多数のLEDが配列されたドーム型の照明装置を用いるケースが増えている。この場合には、図13に示すように、中央に覗き穴23を有する照明装置2を基板Sの上方に配置するとともに、その上方にカメラ1を、覗き穴23の中心線Cに光軸を合わせた状態にして配置する。また、照明装置2の中心から下端縁に向かって赤、緑、青の発光領域が順に生じるように、各LEDの発光色を全周にわたって制御する。
【0004】
特許文献2には、上記のようなドーム型の照明装置の内部に、一対の反射ミラーを含む光学ユニットを配置し、各反射ミラーの位置を変更することによって、撮像装置の光軸を基板を直視する方向に設定する制御と、撮像装置の光軸を基板を斜めから撮像する方向に設定する制御とを、切り替えて実行することが記載されている。
【0005】
【特許文献1】特公平6−1173号公報
【特許文献2】特許第3433739号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されたような光学系では、照明装置の下端面が基板上の部品に触れることがないように、照明装置と基板との間にある程度の距離を確保する必要がある。このため、基板に対する照明光の入射角の範囲が限定され、それに伴い、画像中に照明色を反映させることのできる傾斜面の角度範囲も限定されてしまう。
【0007】
たとえば、図13の例の照明装置2では、最下端部が基板Sの上面から15°の角度方向に位置している。したがって、この最下端部からの青色光を受けてカメラ1に入射する方向(真上方向)に正反射させることのできる傾斜面が、この光学系により検出できる最も急峻な面となる。上記の光学系の構成によれば、この傾斜面の角度は37.5度となる(図14を参照。)。したがって、37.5度より急峻なフィレットでは、光が照射されても、正反射光をカメラ1に入射させることができないため、照明色を反映した画像を得ることもできないと考えられる。
【0008】
上記に対し、特許文献2に記載されている発明によれば、カメラの光軸の方向を鉛直方向から斜め方向に変更することによって、急峻な傾斜角度の面からの正反射光でもカメラに入射させることが可能になり、色彩により表すことのできる角度範囲を広げることができる。しかし、この方法では、フィレットの勾配が生じている方位とカメラの方位との角度差が大きくなるにつれて、撮像装置に入射する正反射光の色彩と傾斜角度との間の関係が変化するため、画像中の色彩と傾斜角度との関係を整合させるのが困難になる。よって、フィレットの傾斜状態を一定の基準に基づいて判別できない状態になる。
【0009】
この発明は上記の問題に着目し、基板を斜め上方から撮像した場合でも、色彩と傾斜角度との関係の整合がとれた画像を生成でき、かつ真上方向からの撮像による画像で認識できる角度範囲より急峻な角度の面でも照明色を反映した画像を生成できるようにし、もって、はんだ面の傾斜状態に対する判別の精度を向上することを、課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明が適用される基板外観検査方法は、複数種の部品がはんだ付けされた基板を検査対象とするもので、発光色を切り替えることが可能な発光部が、中心から遠ざかるほど入射角が大きくなるように全周にわたって複数配列された構成の照明装置を、中心線を鉛直方向に合わせた状態で基板の上方に配備する。またカラー撮影用の撮像装置を、基板を斜め上方から撮像するように配備する。
【0011】
さらにこの方法では、照明装置の各方位における発光部の配列にそれぞれ入射角の変化に応じて発光色が異なる複数のグループが生じるように各発光部の発光色を制御し、その制御による照明下での撮像により生成された画像中の色彩パターンを用いて、撮像装置の視野に含まれるはんだ付け部位の表面状態の適否を検査する。
【0012】
上記において、1つ1つの「発光部」は、それぞれ照明装置の発光面内の一局所領域に相当する。各発光部には、外部からの制御信号に応じて発光色を切り替えることが可能な発光体(LEDなど)が少なくとも1つ含まれる。
【0013】
上記した課題を解決するための第1の方法では、照明装置からの光を照明装置の中心線に沿う方向に正反射させることが可能な傾斜面の傾斜角度の範囲に当該範囲より急峻な角度範囲を連続させた角度範囲を複数に分割し、この分割により生じた複数の角度範囲にそれぞれ異なる色彩を対応づける。つぎに、照明装置の各発光部について、それぞれその発光部の基板に対する照明方向および撮像装置の撮像方向に基づき、当該発光部からの照明光を撮像装置に入射する方向に正反射させることが可能な傾斜面の傾斜角度を特定し、分割により生じた複数の角度範囲のうち、特定された傾斜角度が含まれる角度範囲に対応する色彩を当該発光部の発光色として決定する。
【0014】
そして、各発光部がそれぞれ決定した発光色を点灯するように制御して、この制御による照明下で撮像装置を駆動することにより、検査のための画像を生成する。
【0015】
照明装置内の特定の発光部からの光が、或るはんだの傾斜ラインに照射されて正反射し、この正反射光が撮像装置に入射したものとすると、上記の発光部の照明方向と撮像装置の撮像方向との間の方位の開きや基板に対する仰角の関係に基づき、上記の正反射が生じた傾斜ラインの傾斜角度を求めることができる。上記の方法はこの点に着目し、画像中の色彩と傾斜角度との対応関係を常に一定にすることを前提として、各発光部につき、それぞれその発光部からの照明光を撮像装置に入射する方向に正反射させることが可能な傾斜面の傾斜角度を特定し、特定された角度に対応する色彩で当該発光領域が発光するように制御するものである。
【0016】
上記の方法によれば、撮像装置に正反射光を入射させることが可能な範囲であれば、はんだの傾斜面の勾配がいずれの方位に生じていても、傾斜角度が等しければ、同一の色彩により傾斜面を表した画像を生成することが可能になる。
【0017】
さらに上記の方法では、基板を真上から撮像する場合に照明色に対応する色彩のある画像を生成することが可能な角度範囲に当該範囲より急峻な角度範囲を連続させた範囲を対象に、この範囲を複数に分割し、分割後の各角度範囲に対応する傾斜面がそれぞれ異なる色彩で表されるようにしている。よって、基板を真上から撮像する場合に認識できる傾斜角度より急峻な傾斜角度の面についても、照明色を反映した画像を生成することができ、急峻な面の傾斜状態も正しく認識することが可能になる。
【0018】
この発明による第2の基板外観検査方法は、上記したのと同様の構成の照明装置を中心線を鉛直方向に合わせた状態で部品実装基板の上方に配備するとともに、同じ基板の上方にカラー撮像用の撮像装置を、照明装置の中心線に沿う方向から基板を撮像する直視撮像状態と、基板を斜め上方から撮像する斜視撮像状態とを切り替え可能にして配置する。また、基板上の被検査部位に応じて撮像装置を直視撮像状態または斜視撮像状態に設定するとともに、照明装置の各方位における発光部の配列にそれぞれ入射角の変化に応じて発光色が異なる複数のグループが生じるように各発光部の発光色を制御し、その制御による照明下での撮像により生成された画像中の色彩パターンを用いて、撮像装置の視野に含まれる各はんだ付け部位の表面状態の適否を判別する。
【0019】
さらに上記の方法では、撮像装置が直視撮像状態に設定されているときには、照明装置の発光部のグループ間の境界位置が全周にわたって均一になるように、直視撮像状態における各発光領域の発光色を決定する。
【0020】
また、直視撮像状態下の撮像による画像中に照明装置の各発光色に対応する色彩をもって表された傾斜面について画像中の色彩と傾斜角度との対応関係が直視撮像状態のときと同一になるとともに、より急峻な面に対応する少なくとも1つの角度範囲に直視撮像状態下の画像には現れなかった色彩が対応するように、斜視撮像状態下の撮像による画像中の色彩と傾斜角度との対応関係を定め、各発光部につき、それぞれその発光部の基板に対する照明方向および斜視撮像状態下の撮像装置の撮像方向に基づき、当該発光部からの照明光を斜視撮像状態下の撮像装置に入射する方向に正反射させることが可能な傾斜面の傾斜角度を特定し、特定された傾斜角度が含まれる角度範囲に対応する色彩を当該発光領域の発光色とすることにより、斜視撮像状態下における各発光部の発光色を決定する。
【0021】
さらに、上記の方法では、照明装置の各発光部が、それぞれ撮像装置の撮像状態に応じた決定に基づく発光色を点灯するように制御して、各発光部による照明下で撮像装置を駆動することにより、検査のための画像を生成する。
【0022】
上記の方法によれば、撮像装置が直視撮像状態、斜視撮像状態のいずれに設定されていても、画像中の色彩と傾斜角度との対応関係を一定にすることができる。よって、撮像状態が切り替えられても、色彩に基づく傾斜角度の認識に同一の基準を適用することが可能になる。
また上記の方法によれば、斜視撮像状態に設定された場合には、直視撮像状態下で認識できる傾斜角度の範囲より急峻な角度範囲を、直視撮像状態下の画像には現れない色彩で表した画像を生成することができる。よって、斜視撮像状態が設定されている場合には、直視撮像状態下の画像には現れない色彩に基づいて、急峻な傾斜面を容易かつ精度良く認識することができる。
【0023】
つぎに、上記の第1の基板外観検査方法を実施するための基板外観検査装置は、以下の照明装置、カラー撮像用の撮像装置、反射ミラー、撮像方向制御手段、照明制御手段、および判別処理手段を具備する。
【0024】
照明装置は、中央に覗き穴を具備する鏡体内の全周にわたって、発光色を切り替えることが可能な発光部が覗き穴から筐体の下端縁までの範囲に複数配列され、覗き穴の中心線を鉛直方向に合わせた状態で検査対象の基板の上方に配備される。また撮像装置は、検査対象の基板の上方に、覗き穴の中心線に光軸を合わせた状態で配備され、一対の反射ミラーは、照明装置の筐体内に、それぞれの高さまたは傾きの変更が可能な状態で、覗き穴の中心線に直交する方向に沿って対向するように配置される。
【0025】
撮像方向手段は、各反射ミラーの一方の位置を覗き穴の中心線上に維持しながら、基板上の被検査部位に応じて各反射ミラーの高さまたは傾きを設定することによって、撮像装置の撮像方向を制御する。照明制御手段は、照明装置の各方位における発光部の配列にそれぞれ入射角の変化に応じて発光色が異なる複数のグループが生じるように各発光部の発光色を制御し、判別処理手段は、撮像方向制御手段および照明制御手段による制御下で撮像装置により生成された画像を入力し、その入力画像中の色彩パターンを用いて撮像装置の視野に含まれるはんだ付け部位の表面状態の適否を判別する。
【0026】
さらに、照明制御手段は、照明装置からの光を照明装置の中心線に沿う方向に正反射させることが可能な傾斜面の傾斜角度の範囲に当該範囲より急峻な角度範囲を連続させた角度範囲を対象に、対象の角度範囲を分割することにより設定された複数の角度範囲にそれぞれ異なる色彩を対応づけた関係テーブルと、照明装置の各発光部について、それぞれその発光部の基板に対する照明方向および撮像装置の撮像方向に基づき、当該発光部からの照明光を撮像装置に入射する方向に正反射させることが可能な傾斜面の傾斜角度を特定し、特定した傾斜角度により上記の関係テーブルを照合することにより当該発光部の発光色を決定する処理を、撮像制御手段により設定される撮像方向毎に実行する発光色決定手段とを具備する。そして、撮像装置の撮像方向に応じて、その撮像方向に対する発光色決定手段の決定に基づき各発光部の発光色を制御する。
【0027】
上記構成の装置によれば、検査対象のはんだ付け部位毎に、その傾斜角度や周囲の状況などに応じて撮像に適した撮像方向を選択できるとともに、どの撮像方向においても、画像中の色彩と傾斜角度との関係の整合性がとれた画像を生成して、同一の基準による検査を実行することが可能になる。
【0028】
つぎに、第2の基板外観検査方法を実施するための基板外観検査装置は、上記と同様の構成の照明装置および撮像装置と、照明装置の筐体内に、覗き穴の中心線に直交する方向に沿って対向し、かつ前記対向方向に沿って往復動可能に支持される一対の反射ミラーとを具備する。
【0029】
さらに、この基板外観検査装置は、以下の撮像制御手段、照明制御手段、判別処理手段を具備する。
撮像制御手段は、各反射ミラーを覗き穴の中心線を挟んで対向した状態で停止する第1の位置決めと、一方の反射ミラーが上記の中心線上に位置するようにして各反射ミラーを停止する第2の位置決めとを、基板上の被検査部位に応じて切り替えて実行することによって、撮像装置の撮像状態を切り替える。照明制御手段は、照明装置の各方位における発光部の配列にそれぞれ入射角の変化に応じて発光色が異なる複数のグループが生じるように各発光部の発光色を制御する。
【0030】
判別処理手段は、撮像制御手段および照明制御手段による制御下で撮像装置により生成された画像を入力し、その入力画像中の色彩パターンを用いて、撮像装置の視野に含まれるはんだ付け部位の表面状態の適否を判別する。
【0031】
上記の照明制御手段は、各発光部と発光色との関係を示す設定テーブルとして、第1の位置決めにより撮像手段が覗き穴の中心線に沿う方向から基板を撮像する直視撮像状態に設定されているときに使用する設定テーブルと、第2の位置決めにより撮像装置が基板を斜め上方から撮像する斜視撮像状態に設定されているときに使用する設定テーブルとが、それぞれ登録された登録手段を具備する。照明制御手段は、撮像装置に設定されている撮像状態に対応する設定テーブルを参照して、各発光領域の発光色を制御する。
【0032】
上記の設定テーブルについて、直視撮像状態の設定時に使用される設定テーブルでは、照明装置の発光部のグループ間の境界位置が全周にわたって均一になるように各発光領域の発光色が登録されている。
【0033】
一方、斜視撮像状態の設定時に使用される設定テーブルでは、直視撮像状態下での撮像による画像中に照明装置の各発光色に対応する色彩をもって表された傾斜面について画像中の色彩と傾斜角度との対応関係が直視撮影状態下での画像と同一になるとともに、より急峻な面に対応する少なくとも1つの角度範囲に、直視撮像状態下の画像には現れなかった色彩が対応するように、斜視撮像状態下の撮像による画像中の色彩と傾斜角度との対応関係を定め、各発光部について、それぞれその発光部の基板に対する照明方向および撮像装置の撮像方向に基づき、当該発光部からの照明光を斜視撮像状態下の撮像装置に入射する方向に正反射させることが可能な傾斜面の傾斜角度を特定し、特定された傾斜角度が含まれる角度範囲に対応する色彩を当該発光部の発光色として決定することにより、定められた各発光部の発光色が登録される。
【0034】
上記構成の装置によれば、検査対象のはんだ付け部位に応じて、撮像装置を直視撮像状態、斜視撮像状態のいずれかに設定して撮像を行うとともに、いずれの撮像においても、画像中の色彩と傾斜角度との対応関係を一定にして、同一の基準による検査を実行することができる。さらに、斜視撮像状態による検査では、直視撮像状態のときの画像には現れない色彩に基づきより急峻な傾斜面を検出して、はんだ付け部位の傾斜状態を精度良く判別することができる。
【0035】
上記の基板外観検査装置の好ましい態様では、各反射ミラーは、照明装置の中心に直交する方向に沿って対向する関係を維持したまま、それぞれの高さまたは傾きの変更が可能に支持される。また撮像制御手段は、反射ミラーに対して第2の位置決めを行う場合に、各反射ミラーの高さまたは傾きを変更することによって、撮像装置の撮像方向を複数とおりの方向のいずれかに設定する。
【0036】
さらに、照明制御手段の登録手段には、斜視撮像状態下での複数とおりの撮像方向について、それぞれ個別に設定テーブルが登録される。照明制御手段は、撮像制御手段により斜視撮像状態下の撮像装置の撮像方向が切り替えられる都度、切り替えられた撮像方向に対応する設定テーブルを用いて各発光部による照明パターンを変更する。
【0037】
上記の装置によれば、検査対象のはんだ面の傾斜ラインの方向に応じて、複数とおりの撮像方向の中から最適なものを選択して設定することにより、照明装置による照明パターンもその設定に適合したものに切り替えられ、その設定状態下で撮像を行うことができる。よって、いずれの撮像方向から斜視撮像を行った場合でも、画像中の色彩と傾斜角度とを整合させることができる。
【発明の効果】
【0038】
上記の基板外観検査方法および基板外観検査装置によれば、基板を照明装置の中心線に対して斜めに交わる方向から撮像する場合でも、各種色彩と傾斜角度の範囲との関係が整合した画像を生成するとともに、基板を真上から撮像する場合には認識することができない傾斜面にも、照明色を反映した画像を生成することができる。よって、従来より広い角度範囲を統一された基準に基づき精度良く認識し、はんだ面に対する検査の精度を高めることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
図1は、基板外観検査装置の電気構成を示すブロック図である。
この基板外観検査装置(以下、単に「検査装置」という。)は、はんだ付け後の基板を対象に、基板のランドと各部品との間に生じたフィレットの表面状態を検査するためのもので、カメラ1、照明装置2、ミラーユニット3、Xステージ部4、Yステージ部5、制御処理装置6などを具備する。また図示はしていないが、検査対象の基板を支持するために、基板支持テーブルが設けられる。
【0040】
カメラ1および照明装置2は、図2に示すような関係をもって配置される。ミラーユニット3は、カメラ1の光軸の方向を切り替えるためのものである。
【0041】
Xステージ部4は、カメラ1、照明装置2およびミラーユニット3を、基板支持テーブルの上方で支持し、Yステージ部5は基板支持テーブルを支持する。いずれのステージ部4,5とも、その支持対象を、一軸に沿って移動させることが可能である。また一方のステージ部による移動の方向は、他方のステージ部による移動の方向に直交する関係にある。
【0042】
制御処理装置6は、コンピュータによる制御部60に、画像入力部61、撮像制御部62、照明制御部63、ミラーユニット制御部64、Xステージ駆動部65、Yステージ駆動部66、入力部67、表示部68、通信用インターフェース69などが接続された構成のものである。
【0043】
画像入力部61には、カメラ1から出力されたR,G,Bの各画像信号を受け付けるインターフェース回路や、これらの画像信号をディジタル変換するA/D変換回路などが含まれる。撮像制御部62は、カメラ1の撮像タイミングを制御し、照明制御部63は、後記する照明装置2内の各発光ユニット21の点灯動作を制御する。ミラーユニット制御部64は、ミラーユニット3内の駆動系を制御することによって、後記する反射ミラー31,32の位置、方位、傾きを調整する。
【0044】
入力部67は、ティーチングの際の設定操作などを行うためのもので、キーボードやマウスなどを含む。表示部68は、検査用の画像や検査結果などを表示するためのもので、液晶パネルなどにより構成される。通信用インターフェース69は、検査結果を外部の装置に送信する目的で使用される。
【0045】
上記構成において、制御部60内のメモリには、検査対象の基板にカメラ1および照明装置2を位置合わせするのに必要なX,Yステージの移動量が登録される。また、フィレット検査用の検査データとして、基板上の部品毎に、検査領域の設定データ、各種色領域を検出するための2値化しきい値、検出された色領域の面積の適否を判断するための判定基準値などが登録される。また後記する斜視撮像モードの対象となる部品について、それぞれその部品の識別情報に撮像の際のカメラ1の撮像方向を示す情報が対応づけて登録される。これらの登録情報は、いずれも、検査に先立つティーチングにおいて、良品基板の画像やユーザの設定操作に基づき設定されたものである。
【0046】
さらにメモリには、ミラーユニット3に対する制御の内容を示す制御データや、照明装置2に対する照明制御用の情報が登録された設定テーブルが格納される。これらの内容については後で詳細に説明する。
【0047】
図2は、上記検査装置の光学系の構成を検査の原理とともに示したものである。
この実施例の照明装置2は、ドーム型の筐体22の内面に多数の発光体を同心円状に配列した構成のものである。筐体21の天頂部分にはカメラ1の覗き穴23が形成されており、カメラ1は、この覗き穴23の上方に、光軸を覗き穴23の中心線C(覗き穴23の中心を垂直方向に沿って通過する仮想線をいう。)に合わせた状態で配備される。照明装置2の最下端からの光が基板Sに対してなす角度は、図13の従来例と同じく15度である。
【0048】
ミラーユニット3は、一対の反射ミラー31,32が収容されたケース体30を本体部とする。各反射ミラー31,32は、ケース体30内に、水平方向に沿って対向するように配備されている。
【0049】
ケース体30の上面および下面には、それぞれ反射光を通過させるための窓部(図示せず。)が設けられている。また、このケース体30は、図示しない回動機構および水平移動機構ならびに上下動機構により、照明装置2の中心線Cに沿う方向を軸として回動でき、かつ水平方向ならびに垂直方向に移動可能に支持される。さらに、各反射ミラー31,32には、傾き調整用のモータ(図示せず。)が軸支されている。
【0050】
なお、上記の回動機構および水平移動機構は、特許文献2に記載の駆動機構33と同様の構成のものである。上下動機構は、スライドレールや駆動用のモータなどにより構成される。
【0051】
つぎに、この実施例の照明装置2では、発光体として、赤、緑、青の各発光素子を含む多色発光型のLEDチップ21が用いられる。これらのLEDチップ21は、覗き穴23を取り囲むように同心円状に配列されるが、回路上は、図3に示すように4個単位のグループ20に分割され、グループ20内の各素子に同じ制御信号が与えられるように配線される。以下、この4個のLEDチップ21によるグループ20を「発光部20」という。各発光部20内のLEDチップ21は、正方形状に、または同じ高さもしくは同じ方位に線状に並ぶように配列される。
【0052】
図3の回路構成によれば、照明装置2の発光色は発光部20単位で制御される。ただし、配線が可能であれば、1つ1つのLEDチップ21にそれぞれ独立した信号を与えて、LEDチップ21単位で発光色を制御してもよい。
【0053】
また照明装置2はドーム型のものに限定されるものではなく、カメラ1の覗き穴23を中心にその全周にわたって、各LEDチップ21が、覗き穴23から遠ざかるほど入射角が大きくなるように配列されていればよい。また、入射角を変更するために、フレネルレンズ等の光学部材を用いてもよい。
【0054】
図2に戻って、この実施例では、基板S上の各部品につき、それぞれ(A)(B)に示す2通りの撮像方法のいずれかを選択して、撮像を行うようにしている
図2(A)の方法では、各反射ミラー31,32が照明装置2の中心線Cを挟んで対向するようにミラーユニット3を位置決めすることによって、基板Sから中心線Cに沿う方向に反射した光がカメラ1に導かれるようにしている。この方法によれば、図13の従来例と同様に、カメラ1は基板Sを真上から撮像することになる。以下、この撮像状態を「直視撮像モード」という。
【0055】
上記に対し、図2(B)の方法では、一方の反射ミラー31が照明装置2の中心線C上に位置するようにミラーユニットの位置を調整することによって、基板Sからの反射光のうち、中心線Cから離れた方のミラー32に入射した光がミラー32からミラー31を介してカメラ1に導かれるようにしている。すなわち、実際のカメラ1の位置や姿勢は変わらないが、実質的な撮像方向は鉛直方向から斜め方向に変更されて、基板を斜め上から撮像しているのと同様の撮像状態になる。以下、この撮像状態を「斜視撮像モード」という。
【0056】
直視撮像モードでは、照明装置2に、赤、緑、青の各色彩光の発光領域間の境界位置が筐体22の全周にわたって均一になるように、各発光部20の発光色を制御する。これにより、直視撮像モードでは、照明についても、図13に示した従来例と同様の状態が設定される。
【0057】
一方、斜視撮像モード時の照明装置2には、赤、緑、青のほかに紫の発光領域が生じるようにするとともに、図4に示すように、各発光領域の境界位置が方位によって異なるように各発光部20の発光色を制御する。具体的には、直視撮像モードによる画像中に赤、緑、青の各色彩で表される傾斜面については、斜視撮像モードによる画像においても、同じ色彩により表されるようにし、より急峻な傾斜面が紫色で表されるようにする。
【0058】
図5は、画像中に現れる4種類の色彩と各色彩が表すフィレットの傾斜角度θとの関係を示す。
この実施例では、直視撮像モードにより正反射光像を生成することが可能な角度範囲(2.5度から37.5度まで)のうち、2.5度から15度までの範囲が赤色で表され、15度から25度までの範囲が緑色で表され、25度から37.5度までの範囲が青色で表されるようにしている。さらに、直視撮像モードでは正反射光像を生成することが困難な37.5度以上の角度の傾斜面が紫色で表されるようにしている。なお、図5では、紫色で表される角度の範囲を37.5度から90度までとしているが、実際の上限値は、ミラーユニット3により変更されたカメラ1の撮像方向に応じて変動する。
【0059】
図6では、斜視撮影モードにおける撮像例を2つ示す。各例とも、上段に、カメラ1に入射する正反射光の色彩とフィレットの傾斜面との関係を示し、下段に、上記の正反射光により生成された画像における色彩の分布状態を示している。なお、ここでは対比の便宜のために、上下段ともに、部品を100、フィレットを101の符号で示す。
【0060】
図6(1)の例のフィレット101には、赤、緑、青の各色彩に対応する傾斜角度の面が含まれるが、部品100に近い場所に、青色に対応する角度範囲よりも急峻な傾斜面が存在する。また、図6(2)の例のフィレット101では、下端部に青色に対応する傾斜角度の面が存在するものの、赤や緑に対応する傾斜角度の面は含まれておらず、大半が青色でも表すことのできない急峻な傾斜面になっている。直視撮像モードによると、これらの急峻な傾斜面は暗領域となるため、傾斜状態が適切であるか否かを判別するのが困難になるが、斜視撮像モードによれば、急峻な傾斜面が紫色で表されるので、傾斜状態の適否を精度良く判別することができる。
【0061】
一方で、斜視撮像モードでは、検査対象の部品がカメラ1の視野に含まれるようにカメラ1および照明装置2と基板との関係を調整しても、各フィレットの位置や勾配の方向に応じて撮像方向を切り替える必要があるため、処理時間が長くなるという欠点がある。たとえば、図2(B)の例においてチップ部品を検査する場合には、図示されている状態で右側のフィレットからの正反射光をカメラ1に入射させて撮像を行った後に、左側のフィレットからの正反射光がカメラ1に入射するようにミラーユニットを180°回転させて、再び撮像を行う必要がある。
【0062】
上記の点を考慮して、この実施例では、傾斜角度が37.5度を超えるフィレットや、真上からの確認が困難なフィレット(たとえば、Jリード(先端が内側に湾曲したタイプのリード))に形成されるフィレットなど、直視撮像モードによる画像に照明色を反映させるのが困難な部位に対象を限定して、斜視撮像モードによる検査を実行し、その他の部位に対しては、直視撮像モードによる検査を実行することにしている。また、斜視撮像モードが適用される部品については、フィレットの位置や方位に応じて、複数とおりの撮像方向が定められる。
【0063】
つぎに、カメラ1の撮像方向および発光部20からの照明方向を表すパラメータについて、図7を用いて説明する。
図7の(1)は、基板Sとカメラ1および照明装置2の関係を示す斜視模式図(1)であり、(2)は照明装置2を上方から見た模式図である。図中、点Oは照明装置2の中心線Cと基板Sの上面(以下、「基板面」という。)との交点であり、点Pは照明装置2内の一点を、点Qは撮像方向を決定する反射ミラー32の位置を、それぞれ示す。
【0064】
この実施例では、点Pから点Oに向かう方向を点Pからの照明の方向とし、この方向を仰角A(図7(1)に示す。)および方位角B(図7(2)に示す。)により表す。ここで、仰角Aは、点P,Oを通る直線が基板面に対してなす角度である。また方位角Bは、中心線Cから右に向かう直線mに対して上記の直線がなす角度である。
【0065】
また、斜視撮像モードにおける撮像方向は、点Qから点Oに向かう方向であり、仰角αおよび方位角βにより表される。仰角αは、点Q,Oを通る直線が基板面に対してなす角度であり、方位角βは、直線mに対して上記の直線がなす角度である。
【0066】
図8は、斜視撮影モードが適用される部品の例を示す。
この例の部品100は、フィレット101a,101bの傾斜が急峻なチップ部品である。このような部品100を対象とする場合には、両端のフィレット101a,101b毎に、撮像方向を個別に定める必要がある。また、図中の右側のフィレット101aについては、近傍に背の高い他の部品102が存在するので、この部品102により妨げられずに進行する正反射光がカメラ1に入射するように、撮像方向の仰角αの値を考慮する必要がある。
【0067】
図9は、斜視撮像モードにおける撮像方向を変更するための方法を示す。
まず、撮像方向の仰角αを変更するには、図9(1)に示すように、ミラーユニット3の高さや反射ミラー31,32の傾きを変更する。また方位角βを変更するには、図9(2)に示すように、ミラーユニット3を軸回転して各反射ミラーの対向方向の方位を変更する。
【0068】
この実施例の検査装置には、斜視撮像モード用の撮像方向として、仰角αおよび方位角βの組み合わせが複数とおり設定されるとともに、これらの組み合わせ毎に、照明装置2の各発光部20の発光色を定めた設定テーブルが登録される。
【0069】
撮像方向の設定は、α,βの組み合わせ毎に、その組み合わせによる方向が撮像方向となるように各反射ミラーの位置や傾きを定めるための制御データを割り出し、これを制御部60のメモリに登録することにより行われる。この場合の制御データは、上下動機構の移動量、回動機構の回転角度、反射ミラー31,32の傾き調整用のモータの回転角度などを示すものである。
【0070】
各発光部20の発光色を制御するための設定テーブルは、あらかじめ、α,βの組み合わせ毎に、以下に述べる演算を実行して各発光部20の発光色を決定することにより作成されたものである。すなわち、カメラ1の光軸方向を表すα,βの組み合わせと設定テーブルとは一対一の関係にある。
【0071】
以下、図10および図11を参照して、各発光部20の発光色を決定するために実行させる演算について説明する。
図10では、基板S上の所定のフィレット100内の一勾配方向に沿う傾斜ラインFLに、照明装置2内の一点Pからの照明光が照射され、この照明光に対する傾斜ラインFLからの正反射光がカメラ1に入射するものとして、傾斜ラインFLに対する点Pからの照明光の方向および正反射方向の関係を表している。具体的には、図10(A)は、基板Sを上方から見た場合の各方向の関係を示す。また(B)は、傾斜ラインFLの方向に沿う仮想垂直平面に、照明光の方向および正反射方向を示す各ベクトルを投影したものである。
【0072】
上記において、傾斜ラインFLからの正反射光はカメラ1に入射しているので、この正反射光の方向は撮像方向を反転させたものと考えられる。よって、正反射方向は、撮像方向の仰角αおよび方位角βにより表すことができる。また、図中、点Pの座標を(X,Y,Z)とし、傾斜ラインFLの方位角をδ、傾斜角度をθとする。
【0073】
まず、点Pからの照明光の方向を示す仰角Aおよび方位角Bと上記の座標X,Y,Zとの間には、下記の(1)(2)式が示す関係が成立する。
【0074】
【数1】
【数2】
【0075】
つぎに、図10(A)に示すように、傾斜ラインFLの方向は、点Pからの照明光の方向と正反射方向とがなす角度を二分するから、方位角B,β,δの間の関係を、以下のように表すことができる。
B−β=(δ−β)×2
よって、δ=(B+β)/2 ・・・(3)
【0076】
つぎに、図10(B)では、傾斜ラインFLに沿う仮想垂直平面に照明光の方向を投影することにより生じたベクトルの仰角をA´とし、当該垂直平面に正反射方向を投影することにより生じたベクトルの仰角をα´とする。これらの投影ベクトルの傾斜ラインFLに対する関係は、照明光と正反射光との関係を反映するから、仰角A´,α´と傾斜角度θとの間の関係を、以下のように表すことができる。
(α´−A´)/2=90°−(A´+θ)
よって、A´=180°−α´−2・θ ・・・(4)
【0077】
つぎに、上記の垂直平面への点Pの投影点をP´として、点O,Pを通る直線と点O,P´を通る直線との関係を真上から見ると、図11のようになる。よって、線分OP´は(5)式のように示される。
【0078】
【数3】
【0079】
よって、上記の(5)式および(1)式によれば、図10(B)の仰角A´と照明光の方向を示す仰角Aとの間に、以下の関係式(6)が成立する。
【0080】
【数4】
【0081】
したがって(6)式より、
A´=atan[tanA ・ cos(B−δ)] ・・・(7)
となる。
【0082】
また正反射方向とその投影ベクトルとの間にも、図11および(5)式と同様の関係が成立すると考えられるから、角度α´とαとの間には(6)式と同様の関係が成立し、これより、
α´=atan[tanα ・ cos(β−δ)]・・・(8)
となる。
【0083】
よって、上記の(7)(8)式の右辺により(4)式のA´,α´を置き換えて、式を整理すると、傾斜ラインの角度θを以下の(9)式により表すことができる。
【0084】
【数5】
【0085】
上記の(9)式中のδは、(3)式に示すとおり、Bおよびβから求められる。また(1)(2)式に示すように、角度A,Bは点Pの座標(X,Y,Z)を用いて算出することができ、角度α,βにはカメラ1の光軸方向を示す角度をあてはめることができる。したがって、各角度A,B,α,βを用いて(9)式を実行することにより、傾斜ラインFLの傾斜角度θを求めることができる。
【0086】
上記の傾斜角度θは、点Pからの照明光を受けて、α,βが示す方向、すなわちカメラ1に入射する方向に正反射させることのできる傾斜面の傾斜角度に相当する。したがって、(9)式によりθの値を算出することができれば、その算出値が図5に示したどの角度範囲に含まれるかを特定し、特定した角度範囲に対応する色彩の光を点Pから出射することによって、角度θの傾斜面がθの値に対応する色彩で表された画像を生成することが可能になる。
【0087】
上記の原理に基づき、この実施例では、照明装置2の各発光部20につき、それぞれ代表点を1つ定め、各代表点の座標を(X,Y,Z)として照明光の方向を表す仰角Aおよび方位角Bを求め、これらの角度と、撮像方向を表す仰角αおよび方位角βとを用いて(3)式および(9)式を実行することにより、傾斜角度θを算出する。そして、図5に示した関係に基づき、各発光部20につき、それぞれ傾斜角度θの算出値に対応する色彩を当該発光部20の発光色として決定し、決定した発光色を発光部20の識別情報に対応づけた設定テーブルを作成する。
【0088】
上記のように、照明制御用の設定テーブルを作成するには、各発光部20の照明方向とカメラの撮像方向とが必要になる。先に説明したように、斜視撮像モードの撮像方向は複数とおり設定されているので、これらの撮像方向毎に設定テーブルが作成され、登録されることになる。
また、直視撮像モードについても、設定テーブルを1つ作成してメモリに登録する必要がある。この場合の設定テーブルは、赤、緑、青の各色彩がそれぞれ図5に示した角度範囲の傾斜面を表すように、各発光部20の発光色を定めたものとなる。
【0089】
図12は、上記の検査装置が1枚の検査対象基板に対して実行する処理の流れを、撮像に関する制御を中心に示したものである。
同図の各ステップの符号を参照しながら説明すると、まずST1では、検査対象の基板を基板支持テーブル上に搬入する。
【0090】
この時点でのミラーユニット3は、直視撮像モードが実行される位置(図2(A)参照)に設定されている。これに応じてST2では、直視撮像用の設定テーブルを用いて各発光部20の照明色を制御する。
【0091】
この制御による照明下で、メモリに登録されている所定の撮像対象領域に、光学系(カメラ1、照明装置2、ミラーユニット3を含む。)を位置合わせして撮像を実行する(ST3)。さらに、この撮像により生成された画像中に含まれる検査対象部品について、登録されている検査データに基づき、フィレット検査のための画像処理や判定を実行する(ST4)。
【0092】
以下、直視撮像モードが適用される部品の検査がすべて終了するまで、撮像対象領域を変更しながら順次撮像を行い、検査のための画像処理および判定処理を実行する。
【0093】
直視撮像モードによる検査が終了すると、ST5,6が「YES」となってST7に進む。このステップでは、斜視撮像モードが適用される一部品に着目し、着目した部品につき登録されている撮像方向(通常、複数とおりの方向が含まれる。)を読み出す。
【0094】
以下、読み出された撮像方向に順に着目して、ST8〜11の各ステップを実行する。
ST8では、着目する撮像方向に対応する制御データに基づき、ミラーユニット3の高さや方位、反射ミラー31,32の傾きを変更することにより、カメラ1の撮像方向が着目する方向になるように調整する。ST9では、着目する撮像方向に対応する設定テーブルに基づき照明装置2の各発光部20の発光色を制御する。そして、ST10では、上記の制御による照明下で検査対象の部品に光学系を位置合わせして撮像を行い、ST11では、生成された画像を用いて、検査のための画像処理および判定処理を実行する。
【0095】
ST7で読み出された全ての撮像方向について、上記ST8〜11の処理が実行されると、ST12が「YES」となる。以下も、斜視撮像モードが適用される部品に順に着目して、同様の手順による処理を繰り返し実行する。対象部品のすべてに対する処理が終了すると、ST6が「NO」となるので、基板を搬出し(ST13)、しかる後に処理を終了する。
【0096】
なお、上記の実施例では、あらかじめ斜視撮像モード用の撮像方向を複数とおり定めて、これらの撮像方向の設定に関する制御データや各撮像方向に対応する照明制御用の設定テーブルをメモリに登録しているが、ユーザの指定操作などに応じて、適宜、撮像方向の変更や追加を行うことも可能である。具体的には、撮像方向の変更または追加指定に応じて、制御部60が制御データや設定テーブルの更新または新規作成を行うことになる。
【0097】
一方、照明制御用の設定テーブルを登録する代わりに、図5に示した傾斜角度と色彩との関係を表す関係テーブルをメモリに登録し、ティーチングにおいて、斜視撮像モードを適用する部品毎に、その部品に適した撮像方向を任意に定めた後に、この撮像方向と上記の関係テーブルとに基づき各発光部の発光色を決定してもよい。
具体的には、発光部毎に、その発光部の照明方向と定められた撮像方向とに基づき前出の(3)式および(9)式による演算を実行して、当該発光部からの照明光に対する正反射光をカメラ1に入射させることのできる傾斜面の傾斜角度θを求めた後に、この角度θにより図5に示した関係テーブルを照合して角度θが含まれる角度範囲に対応する色彩を特定し、この色彩を当該発光部の発光色として決定する。さらに、各発光部の決定した各発光色を撮像方向に対応づけてメモリに登録することにより、検査の際には、斜視撮像モード対応の各部品に対し、それぞれ登録情報に基づく照明と撮像方向とを設定して、撮像を行うことができる。
【0098】
また、上記の実施例では、直視撮像モードによる画像では照明色を反映させることができない角度範囲に紫色のみを割り当てたが、これに限らず、さらにこの角度範囲を複数に分割し、分割された各範囲に対応する傾斜面がそれぞれ異なる色彩により表されるようにしてもよい。
【0099】
また、上記の実施例では、反射ミラーを対向関係を維持したまま軸回転させることによって、撮像方向の方位角βを変更したが、これに代えて、基板支持テーブルを軸回転させることによって、基板を基準とする撮像方向の相対的な方位を変更するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】基板外観検査装置のブロック図である。
【図2】上記の検査装置で実行される直視撮像モードおよび斜視撮像モードを示す説明図である。
【図3】発光部の電気構成を示す回路図である。
【図4】斜視撮像モード時の照明装置の発光領域の設定例を示す説明図である。
【図5】フィレットの傾斜角度と画像に現れる色彩との関係を示すテーブルである。
【図6】斜視撮像モードにおける撮像の具体例を示す説明図である。
【図7】照明方向および撮像方向を表すパラメータを示す説明図である。
【図8】照明方向および撮像方向を表すパラメータを示す説明図である。
【図9】撮像方向を変更する方法の具体例を示す説明図である。
【図10】斜視撮像モードにおける各発光部の発光色を決定するための演算の原理を示す説明図である。
【図11】斜視撮像モードにおける各発光部の発光色を決定するための演算の原理を示す説明図である。
【図12】検査時に実行される処理のフローチャートである。
【図13】従来の基板外観検査装置の光学系を示す説明図である。
【図14】図13の光学系により認識可能な最大の傾斜角度を有する傾斜面と、照明光および正反射光との関係を示す説明図である。
【符号の説明】
【0101】
1 カメラ
2 照明装置
3 ミラーユニット
6 制御処理装置
20 発光部
21 LEDチップ
31,32 反射ミラー
60 制御部
101 フィレット
C 照明装置の中心線
S 基板
F 傾斜ライン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種の部品がはんだ付けされた基板を検査対象として、
発光色を切り替えることが可能な発光部が、中心から遠ざかるほど入射角が大きくなるように全周にわたって複数配列された構成の照明装置を、中心線を鉛直方向に合わせた状態で前記基板の上方に配備するとともに、カラー撮像用の撮像装置を、前記基板を斜め上方から撮像するように配備し、
前記照明装置の各方位における発光部の配列にそれぞれ入射角の変化に応じて発光色が異なる複数のグループが生じるように各発光部の発光色を制御し、その制御による照明下での撮像により生成された画像中の色彩パターンを用いて、撮像装置の視野に含まれるはんだ付け部位の表面状態の適否を検査する方法において、
前記照明装置からの光を前記照明装置の中心線に沿う方向に正反射させることが可能な傾斜面の傾斜角度の範囲に当該範囲より急峻な角度範囲を連続させた角度範囲を複数に分割し、この分割により生じた複数の角度範囲にそれぞれ異なる色彩を対応づけし、
前記照明装置の各発光部について、それぞれその発光部の基板に対する照明方向および撮像装置の撮像方向に基づき、当該発光部からの照明光を前記撮像装置に入射する方向に正反射させることが可能な傾斜面の傾斜角度を特定し、前記分割により生じた複数の角度範囲のうち、前記特定された傾斜角度が含まれる角度範囲に対応する色彩を当該発光部の発光色として決定し、
各発光部がそれぞれ決定した発光色を点灯するように制御して、この制御による照明下で前記撮像装置を駆動することにより、検査のための画像を生成する、
ことを特徴とする基板外観検査方法。
【請求項2】
複数種の部品がはんだ付けされた基板を検査対象として、
発光色を切り替えることが可能な発光部が、中心から遠ざかるほど入射角が大きくなるように全周にわたって複数配列された構成の照明装置を、中心線を鉛直方向に合わせた状態で前記基板の上方に配備するとともに、前記基板の上方にカラー撮像用の撮像装置を、前記照明装置の中心線に沿う方向から基板を撮像する直視撮像状態と、前記基板を斜め上方から撮像する斜視撮像状態とを切り替え可能にして配置し、
基板上の被検査部位に応じて前記撮像装置を直視撮像状態または斜視撮像状態に設定するとともに、前記照明装置の各方位における発光部の配列にそれぞれ入射角の変化に応じて発光色が異なる複数のグループが生じるように各発光部の発光色を制御し、その制御による照明下での撮像により生成された画像中の色彩パターンを用いて、撮像装置の視野に含まれるはんだ付け部位の表面状態の適否を検査する方法において、
前記撮像装置が直視撮像状態に設定されているときに、前記照明装置の発光部のグループ間の境界位置が全周にわたって均一になるように、前記直視撮像状態における各発光領域の発光色を決定し、
前記直視撮像状態下の撮像による画像中に前記照明装置の各発光色に対応する色彩をもって表された傾斜面について画像中の色彩と傾斜角度との対応関係が直視撮像状態のときと同一になるとともに、より急峻な面に対応する少なくとも1つの角度範囲に直視撮像状態下の画像には現れなかった色彩が対応するように、前記斜視撮像状態下の撮像による画像中の色彩と傾斜角度との対応関係を定め、各発光部につき、それぞれその発光部の基板に対する照明方向および斜視撮像状態下の撮像装置の撮像方向に基づき、当該発光部からの照明光を前記斜視撮像状態下の撮像装置に入射する方向に正反射させることが可能な傾斜面の傾斜角度を特定し、特定された傾斜角度が含まれる角度範囲に対応する色彩を当該発光部の発光色とすることにより、前記斜視撮像状態下における各発光部の発光色を決定し、
前記照明装置の各発光部が、それぞれ前記撮像装置の撮像状態に応じた決定に基づく発光色を点灯するように制御して、各発光部による照明下で前記撮像装置を駆動することにより、検査のための画像を生成する、
ことを特徴とする基板外観検査方法。
【請求項3】
中央に覗き穴を具備する筐体内の全周にわたって、発光色を切り替えることが可能な発光部が前記覗き穴から筐体の下端縁までの範囲に複数配列され、前記覗き穴の中心線を鉛直方向に合わせた状態で検査対象の基板の上方に配備される照明装置と、
検査対象の基板の上方に、前記覗き穴の中心線に光軸を合わせた状態で配備されるカラー撮像用の撮像装置と、
前記照明装置の筐体内に、それぞれの高さまたは傾きの変更が可能な状態で、前記覗き穴の中心線に直交する方向に沿って対向するように配置された一対の反射ミラーと、
各反射ミラーの一方の位置を前記覗き穴の中心線上に維持しながら、基板上の被検査部位に応じて各反射ミラーの高さまたは傾きを設定することによって、前記撮像装置の撮像方向を制御する撮像方向制御手段と、
前記照明装置の各方位における発光部の配列にそれぞれ入射角の変化に応じて発光色が異なる複数のグループが生じるように各発光部の発光色を制御する照明制御手段と、
前記撮像方向制御手段および照明制御手段による制御下で撮像装置により生成された画像を入力し、その入力画像中の色彩パターンを用いて、撮像装置の視野に含まれるはんだ付け部位の表面状態の適否を判別する判別処理手段とを具備する基板外観検査装置において、
前記照明制御手段は、
前記照明装置からの光を前記照明装置の中心線に沿う方向に正反射させることが可能な傾斜面の傾斜角度の範囲に当該範囲より急峻な角度範囲を連続させた角度範囲を対象に、対象の角度範囲を分割することにより設定された複数の角度範囲にそれぞれ異なる色彩を対応づけた関係テーブルと、
前記照明装置の各発光部について、それぞれその発光部の基板に対する照明方向および前記撮像装置の撮像方向に基づき、当該発光部からの照明光を前記撮像装置に入射する方向に正反射させることが可能な傾斜面の傾斜角度を特定し、特定した傾斜角度により前記関係テーブルを照合することにより当該発光部の発光色を決定する処理を、撮像制御手段により設定される撮像方向毎に実行する発光色決定手段と、
を具備し、前記撮像装置の撮像方向に応じて、その撮像方向に対する前記発光色決定手段の決定に基づき各発光部の発光色を制御する、
基板外観検査装置。
【請求項4】
中央に覗き穴を具備する筐体内の全周にわたって、発光色を切り替えることが可能な発光部が前記覗き穴から筐体の下端縁までの範囲に複数配列され、前記覗き穴の中心線を鉛直方向に合わせた状態で検査対象の基板の上方に配備される照明装置と、
検査対象の基板の上方に、前記覗き穴の中心線に光軸を合わせた状態で配備されるカラー撮像用の撮像装置と、
前記照明装置の筐体内に、前記覗き穴の中心線に直交する方向に沿って対向し、かつ前記対向方向に沿って往復動可能に支持される一対の反射ミラーと、
各反射ミラーを前記中心線を挟んで対向した状態で停止する第1の位置決めと、一方の反射ミラーが前記中心線上に位置するようにして各反射ミラーを停止する第2の位置決めとを、前記基板上の被検査部位に応じて切り替えて実行することによって、前記撮像装置の撮像状態を切り替える撮像制御手段と、
前記照明装置の各方位における発光部の配列にそれぞれ入射角の変化に応じて発光色が異なる複数のグループが生じるように各発光部の発光色を制御する照明制御手段と、
前記撮像制御手段および照明制御手段による制御下で撮像装置により生成された画像を入力し、その入力画像中の色彩パターンを用いて、撮像装置の視野に含まれるはんだ付け部位の表面状態の適否を判別する判別処理手段とを具備する基板外観検査装置において、
前記照明制御手段は、各発光部と発光色との関係を示す設定テーブルとして、前記第1の位置決めにより前記撮像手段が前記覗き穴の中心線に沿う方向から基板を撮像する直視撮像状態に設定されているときに使用する設定テーブルと、前記第2の位置決めにより前記撮像手段が前記基板を斜め上方から撮像する斜視撮像状態に設定されているときに使用する設定テーブルとが、それぞれ登録された登録手段を具備するとともに、前記撮像装置に設定されている撮像状態に対応する設定テーブルを参照して、各発光部の発光色を制御し、
前記直視撮像状態の設定時に使用される設定テーブルでは、前記照明装置の発光部のグループ間の境界位置が全周にわたって均一になるように各発光領域の発光色が登録されており、
前記斜視撮像状態の設定時に使用される設定テーブルでは、
前記直視撮像状態下での撮像による画像中に前記照明装置の各発光色に対応する色彩をもって表された傾斜面について画像中の色彩と傾斜角度との対応関係が前記直視撮像状態下での画像と同一になるとともに、より急峻な面に対応する少なくとも1つの角度範囲に直視撮像状態下の画像には現れなかった色彩が対応するように、斜視撮像状態下の撮像による画像中の色彩と傾斜角度との対応関係を定め、各発光部について、それぞれその発光部の基板に対する照明方向および斜視撮像状態下の撮像装置の撮像方向に基づき、当該発光部からの照明光を前記斜視撮像状態下の撮像装置に入射する方向に正反射させることが可能な傾斜面の傾斜角度を特定し、特定された傾斜角度が含まれる角度範囲に対応する色彩を当該発光部の発光色として決定することにより、定められた各発光部の発光色が、登録されている、
基板外観検査装置。
【請求項5】
前記各反射ミラーは、前記照明装置の中心線に直交する方向に沿って対向する関係を維持したまま、それぞれの高さまたは傾きの変更が可能に支持され、
前記撮像制御手段は、前記反射ミラーに対して第2の位置決めを行う場合に、各反射ミラーの高さまたは傾きを変更することによって、前記撮像装置の撮像方向を複数とおりの方向のいずれかに設定し、
前記照明制御手段の登録手段には、前記斜視撮像状態下での複数とおりの撮像方向について、それぞれ個別に設定テーブルが登録され、
前記照明制御手段は、前記撮像制御手段により斜視撮像状態下の撮像装置の撮像方向が切り替えられる都度、切り替えられた撮像方向に対応する設定テーブルを用いて各発光部の発光色を変更する、
請求項4に記載された基板外観検査装置。
【請求項1】
複数種の部品がはんだ付けされた基板を検査対象として、
発光色を切り替えることが可能な発光部が、中心から遠ざかるほど入射角が大きくなるように全周にわたって複数配列された構成の照明装置を、中心線を鉛直方向に合わせた状態で前記基板の上方に配備するとともに、カラー撮像用の撮像装置を、前記基板を斜め上方から撮像するように配備し、
前記照明装置の各方位における発光部の配列にそれぞれ入射角の変化に応じて発光色が異なる複数のグループが生じるように各発光部の発光色を制御し、その制御による照明下での撮像により生成された画像中の色彩パターンを用いて、撮像装置の視野に含まれるはんだ付け部位の表面状態の適否を検査する方法において、
前記照明装置からの光を前記照明装置の中心線に沿う方向に正反射させることが可能な傾斜面の傾斜角度の範囲に当該範囲より急峻な角度範囲を連続させた角度範囲を複数に分割し、この分割により生じた複数の角度範囲にそれぞれ異なる色彩を対応づけし、
前記照明装置の各発光部について、それぞれその発光部の基板に対する照明方向および撮像装置の撮像方向に基づき、当該発光部からの照明光を前記撮像装置に入射する方向に正反射させることが可能な傾斜面の傾斜角度を特定し、前記分割により生じた複数の角度範囲のうち、前記特定された傾斜角度が含まれる角度範囲に対応する色彩を当該発光部の発光色として決定し、
各発光部がそれぞれ決定した発光色を点灯するように制御して、この制御による照明下で前記撮像装置を駆動することにより、検査のための画像を生成する、
ことを特徴とする基板外観検査方法。
【請求項2】
複数種の部品がはんだ付けされた基板を検査対象として、
発光色を切り替えることが可能な発光部が、中心から遠ざかるほど入射角が大きくなるように全周にわたって複数配列された構成の照明装置を、中心線を鉛直方向に合わせた状態で前記基板の上方に配備するとともに、前記基板の上方にカラー撮像用の撮像装置を、前記照明装置の中心線に沿う方向から基板を撮像する直視撮像状態と、前記基板を斜め上方から撮像する斜視撮像状態とを切り替え可能にして配置し、
基板上の被検査部位に応じて前記撮像装置を直視撮像状態または斜視撮像状態に設定するとともに、前記照明装置の各方位における発光部の配列にそれぞれ入射角の変化に応じて発光色が異なる複数のグループが生じるように各発光部の発光色を制御し、その制御による照明下での撮像により生成された画像中の色彩パターンを用いて、撮像装置の視野に含まれるはんだ付け部位の表面状態の適否を検査する方法において、
前記撮像装置が直視撮像状態に設定されているときに、前記照明装置の発光部のグループ間の境界位置が全周にわたって均一になるように、前記直視撮像状態における各発光領域の発光色を決定し、
前記直視撮像状態下の撮像による画像中に前記照明装置の各発光色に対応する色彩をもって表された傾斜面について画像中の色彩と傾斜角度との対応関係が直視撮像状態のときと同一になるとともに、より急峻な面に対応する少なくとも1つの角度範囲に直視撮像状態下の画像には現れなかった色彩が対応するように、前記斜視撮像状態下の撮像による画像中の色彩と傾斜角度との対応関係を定め、各発光部につき、それぞれその発光部の基板に対する照明方向および斜視撮像状態下の撮像装置の撮像方向に基づき、当該発光部からの照明光を前記斜視撮像状態下の撮像装置に入射する方向に正反射させることが可能な傾斜面の傾斜角度を特定し、特定された傾斜角度が含まれる角度範囲に対応する色彩を当該発光部の発光色とすることにより、前記斜視撮像状態下における各発光部の発光色を決定し、
前記照明装置の各発光部が、それぞれ前記撮像装置の撮像状態に応じた決定に基づく発光色を点灯するように制御して、各発光部による照明下で前記撮像装置を駆動することにより、検査のための画像を生成する、
ことを特徴とする基板外観検査方法。
【請求項3】
中央に覗き穴を具備する筐体内の全周にわたって、発光色を切り替えることが可能な発光部が前記覗き穴から筐体の下端縁までの範囲に複数配列され、前記覗き穴の中心線を鉛直方向に合わせた状態で検査対象の基板の上方に配備される照明装置と、
検査対象の基板の上方に、前記覗き穴の中心線に光軸を合わせた状態で配備されるカラー撮像用の撮像装置と、
前記照明装置の筐体内に、それぞれの高さまたは傾きの変更が可能な状態で、前記覗き穴の中心線に直交する方向に沿って対向するように配置された一対の反射ミラーと、
各反射ミラーの一方の位置を前記覗き穴の中心線上に維持しながら、基板上の被検査部位に応じて各反射ミラーの高さまたは傾きを設定することによって、前記撮像装置の撮像方向を制御する撮像方向制御手段と、
前記照明装置の各方位における発光部の配列にそれぞれ入射角の変化に応じて発光色が異なる複数のグループが生じるように各発光部の発光色を制御する照明制御手段と、
前記撮像方向制御手段および照明制御手段による制御下で撮像装置により生成された画像を入力し、その入力画像中の色彩パターンを用いて、撮像装置の視野に含まれるはんだ付け部位の表面状態の適否を判別する判別処理手段とを具備する基板外観検査装置において、
前記照明制御手段は、
前記照明装置からの光を前記照明装置の中心線に沿う方向に正反射させることが可能な傾斜面の傾斜角度の範囲に当該範囲より急峻な角度範囲を連続させた角度範囲を対象に、対象の角度範囲を分割することにより設定された複数の角度範囲にそれぞれ異なる色彩を対応づけた関係テーブルと、
前記照明装置の各発光部について、それぞれその発光部の基板に対する照明方向および前記撮像装置の撮像方向に基づき、当該発光部からの照明光を前記撮像装置に入射する方向に正反射させることが可能な傾斜面の傾斜角度を特定し、特定した傾斜角度により前記関係テーブルを照合することにより当該発光部の発光色を決定する処理を、撮像制御手段により設定される撮像方向毎に実行する発光色決定手段と、
を具備し、前記撮像装置の撮像方向に応じて、その撮像方向に対する前記発光色決定手段の決定に基づき各発光部の発光色を制御する、
基板外観検査装置。
【請求項4】
中央に覗き穴を具備する筐体内の全周にわたって、発光色を切り替えることが可能な発光部が前記覗き穴から筐体の下端縁までの範囲に複数配列され、前記覗き穴の中心線を鉛直方向に合わせた状態で検査対象の基板の上方に配備される照明装置と、
検査対象の基板の上方に、前記覗き穴の中心線に光軸を合わせた状態で配備されるカラー撮像用の撮像装置と、
前記照明装置の筐体内に、前記覗き穴の中心線に直交する方向に沿って対向し、かつ前記対向方向に沿って往復動可能に支持される一対の反射ミラーと、
各反射ミラーを前記中心線を挟んで対向した状態で停止する第1の位置決めと、一方の反射ミラーが前記中心線上に位置するようにして各反射ミラーを停止する第2の位置決めとを、前記基板上の被検査部位に応じて切り替えて実行することによって、前記撮像装置の撮像状態を切り替える撮像制御手段と、
前記照明装置の各方位における発光部の配列にそれぞれ入射角の変化に応じて発光色が異なる複数のグループが生じるように各発光部の発光色を制御する照明制御手段と、
前記撮像制御手段および照明制御手段による制御下で撮像装置により生成された画像を入力し、その入力画像中の色彩パターンを用いて、撮像装置の視野に含まれるはんだ付け部位の表面状態の適否を判別する判別処理手段とを具備する基板外観検査装置において、
前記照明制御手段は、各発光部と発光色との関係を示す設定テーブルとして、前記第1の位置決めにより前記撮像手段が前記覗き穴の中心線に沿う方向から基板を撮像する直視撮像状態に設定されているときに使用する設定テーブルと、前記第2の位置決めにより前記撮像手段が前記基板を斜め上方から撮像する斜視撮像状態に設定されているときに使用する設定テーブルとが、それぞれ登録された登録手段を具備するとともに、前記撮像装置に設定されている撮像状態に対応する設定テーブルを参照して、各発光部の発光色を制御し、
前記直視撮像状態の設定時に使用される設定テーブルでは、前記照明装置の発光部のグループ間の境界位置が全周にわたって均一になるように各発光領域の発光色が登録されており、
前記斜視撮像状態の設定時に使用される設定テーブルでは、
前記直視撮像状態下での撮像による画像中に前記照明装置の各発光色に対応する色彩をもって表された傾斜面について画像中の色彩と傾斜角度との対応関係が前記直視撮像状態下での画像と同一になるとともに、より急峻な面に対応する少なくとも1つの角度範囲に直視撮像状態下の画像には現れなかった色彩が対応するように、斜視撮像状態下の撮像による画像中の色彩と傾斜角度との対応関係を定め、各発光部について、それぞれその発光部の基板に対する照明方向および斜視撮像状態下の撮像装置の撮像方向に基づき、当該発光部からの照明光を前記斜視撮像状態下の撮像装置に入射する方向に正反射させることが可能な傾斜面の傾斜角度を特定し、特定された傾斜角度が含まれる角度範囲に対応する色彩を当該発光部の発光色として決定することにより、定められた各発光部の発光色が、登録されている、
基板外観検査装置。
【請求項5】
前記各反射ミラーは、前記照明装置の中心線に直交する方向に沿って対向する関係を維持したまま、それぞれの高さまたは傾きの変更が可能に支持され、
前記撮像制御手段は、前記反射ミラーに対して第2の位置決めを行う場合に、各反射ミラーの高さまたは傾きを変更することによって、前記撮像装置の撮像方向を複数とおりの方向のいずれかに設定し、
前記照明制御手段の登録手段には、前記斜視撮像状態下での複数とおりの撮像方向について、それぞれ個別に設定テーブルが登録され、
前記照明制御手段は、前記撮像制御手段により斜視撮像状態下の撮像装置の撮像方向が切り替えられる都度、切り替えられた撮像方向に対応する設定テーブルを用いて各発光部の発光色を変更する、
請求項4に記載された基板外観検査装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−19600(P2010−19600A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−178253(P2008−178253)
【出願日】平成20年7月8日(2008.7.8)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月8日(2008.7.8)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
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