説明

基板搬送装置

【課題】基板を浮上搬送する際に、基板との接触を回避して搬送することができる基板搬送装置を提供する。
【解決手段】浮上プレート2上に浮上した基板Gの下面の一部と面接触可能な表面を有する接触部材4と、搬送部3による基板Gの搬送方向に沿って延び、接触部材4が有する表面を浮上プレート2の上面よりも高い位置であって浮上プレート2上に浮上した基板Gの下面と接触する位置に配置し、基板Gと接触部材4とを接触させながら接触部材4の移動を案内する案内部5とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大型の基板を浮上させて搬送する基板搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶ディスプレイ(LCD)やプラズマディスプレイ(PDP)等のフラットパネルディスプレイ(FPD)の画面の大型化に伴い、FPDに使用するガラス基板(以下、基板という)のサイズが大型化してきている。このように大型の基板を搬送する基板搬送装置に関する技術として、上方に載置される基板の下面に対して圧搾した空気を吐出することによって基板を浮上させた状態で搬送する技術が知られている。
【0003】
例えば、下記特許文献1に記載の基板搬送装置は、基板の進行方向と直交する方向(幅方向)の両端を下面側から支持する支持ローラ機構と、支持ローラ機構に近接して配置され、基板の幅方向の端面に当接し、空気を吹き出す空気吹き出しブロックの幅方向の端部から突出する基板の端部を挟持することによって基板の幅方向の位置を規制する規制ローラ機構とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−193604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1に記載の技術において、規制ローラ機構は、空気吹出ブロックから離れて配置されているため、基板を浮上させる際には、規制ローラ機構によって狭持されている基板の端部が撓み、基板全体を水平に保持して搬送することができなかった。また、規制ローラ機構には支持ローラ機構が近接して配置されているため、空気吹出ブロックの側端部と支持ローラ機構との間で基板が下方へ撓むこともあった。
【0006】
基板を浮上搬送するタイプの基板搬送装置では、基板の浮上高さが0.2mm程度と微少である。このため、上述した基板の撓みがたとえ微少であっても、この撓みによって基板が浮上プレートと接触して基板が傷ついてしまうおそれがあった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、基板を浮上搬送する際に、基板との接触を回避して搬送することができる基板搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る基板搬送装置は、気体を吐出することによって平板状の基板を浮上させる浮上プレートと、前記浮上プレート上に浮上した前記基板を保持して搬送する搬送部と、前記浮上プレート上に浮上した前記基板の下面の一部と面接触可能な表面を有する接触部材と、前記搬送部による前記基板の搬送方向に沿って延び、前記接触部材が有する前記表面を前記浮上プレートの上面よりも高い位置であって前記浮上プレート上に浮上した前記基板の下面と接触する位置に配置し、前記基板と前記接触部材とを接触させながら前記接触部材の移動を案内する案内部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、浮上プレート上に浮上した基板の下面の一部と面接触可能な表面を有する接触部材と、搬送部による基板の搬送方向に沿って延び、接触部材が有する表面を浮上プレートの上面よりも高い位置であって浮上プレート上に浮上した基板の下面と接触する位置に配置し、基板と接触部材とを接触させながら接触部材の移動を案内する案内部とを備えているため、接触部材が接触している端部が下方へ撓むのを防止して基板の水平度を保つことができる。したがって、基板を浮上搬送する際に、基板との接触を回避して搬送することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1に係る基板搬送装置の要部の構成を示す図である。
【図2】図2は、図1のA−A線断面図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態1の変形例に係る基板搬送装置の要部の構成を示す図である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態2に係る基板搬送装置の要部の構成を示す縦断面図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態3に係る基板搬送装置の要部の構成を示す縦断面図である。
【図6】図6は、本発明の実施の形態4に係る基板搬送装置の要部の構成を示す斜視図である。
【図7】図7は、本発明の実施の形態5に係る基板搬送装置の要部の構成を示す部分縦断面図である。
【図8】図8は、本発明の実施の形態5の変形例に係る基板搬送装置の要部の構成を示す部分縦断面図である。
【図9】図9は、本発明の実施の形態6に係る基板搬送装置の要部の構成を示す部分縦断面図である。
【図10】図10は、本発明の実施の形態7に係る基板搬送装置の要部の構成を示す部分縦断面図である。
【図11】図11は、本発明の実施の形態8に係る基板搬送装置の要部の構成を示す部分縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)を説明する。なお、以下の説明で参照する図面は模式的なものであって、同じ物体を異なる図面で示す場合には、寸法や縮尺等が異なる場合もある。
【0012】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る基板搬送装置の要部の構成を示す図である。図2は、図1のA−A線断面図である。図1および図2に示す基板搬送装置1は、LCDやPDP等のFPDに使用する矩形状の基板Gを浮上させながら搬送する装置である。基板搬送装置1は、基板Gの下方から基板Gの下面に向けて気体を吐出することによって基板Gを浮上させる複数の浮上プレート2と、基板Gの端部であって搬送方向(図1の左右方向)と直交する方向の一端部を吸着して保持し、基板Gを搬送方向に沿って搬送する搬送部3と、基板Gの端部であって搬送方向と直交する方向の他端部で基板Gの下面と接触する接触部材4と、接触部材4の移動を案内する案内部5と、を備える。また、基板搬送装置1は、浮上プレート2および案内部5に所定の流路を介して気体を供給する気体供給部6と、搬送部3を吸着する際に真空吸引を行う真空吸引部7と、気体供給部6および真空吸引部7を含む基板搬送装置1の制御を行う制御部8と、を備える。
【0013】
浮上プレート2は、基板Gの搬送方向に沿って細長い帯状をなして延びている。複数の浮上プレート2は、互いに平行であり、かつ互いの高さが等しい状態で基板搬送装置1の本体に取り付けられている。なお、帯状をなす浮上プレート2を適用する代わりに、複数の浮上プレート2を一体で成形し、隣接する浮上プレート2の間に溝部を形成したものを適用してもよい。
【0014】
浮上プレート2には、上面に開口を有し、気体を上方へ吐出する複数の吐出孔21が、全面にわたってほぼ均一に設けられている。吐出孔21から吐出される気体は、例えばクリーンドライエアであり、気体供給部6から所定の流路を介して浮上プレート2へ供給される。吐出孔21から吐出された気体は、隣接する浮上プレート2の隙間を通して流れていくため、同じ場所に滞留することはない。ここで、吐出孔21から吐出される気体の吐出圧は、制御部8により、基板Gの浮上高さが0.2mm程度となるように制御される。なお、吐出孔21は、基板Gの搬送方向に沿って形成された細長いスリット状をなしていてもよい。
【0015】
搬送部3は、基板Gの搬送方向と直交する方向の一端部に設けられる。搬送部3は、基板Gの搬送方向に沿って直線的に延びるレール31と、レール31上を搬送方向に沿って駆動する駆動部32と、駆動部32の上面に取り付けられて基板Gの搬送方向と直交する端部を吸着する複数の吸着ユニット33とを有する。また、搬送部3は、吸着ユニット33を駆動部32に対して上下動させるために、エアアクチュエータまたは電磁アクチュエータ等を用いて実現される昇降機構を有する(図示せず)。
【0016】
駆動部32は、例えばリニアモータによって構成されている。駆動部32としてリニアモータを適用する場合には、レール31の上にリニアガイドを敷設しておけばよい。
【0017】
複数の吸着ユニット33は、基板Gの搬送方向に沿って並べられている。吸着ユニット33の上部には、基板Gの下面に吸着する吸着部331が、基板Gの搬送方向に沿って複数設けられている。吸着部331は、真空吸引部7に連通する吸引孔(図示せず)を有する。なお、図1では、基板Gの搬送方向と直交する端部を吸着保持して搬送する場合を示しているが、これに限らず例えば基板Gの中央部を保持して搬送するようにしてもよい。基板Gの中央部を保持して搬送する場合には、案内部5を基板Gの搬送方向と直交する両端部に設けることも可能である。また、吸着ユニットの構成は、ここで説明したものに限られるわけではない。例えば、吸着ユニットが基板Gの上面に吸着するようにしてもよいし、基板Gの上面と下面にそれぞれ吸着するようにしてもよい。また、基板Gを吸着して搬送する代わりに、基板Gを把持して搬送するようにしてもよい。
【0018】
接触部材4は、直方体形状をなしており、長手方向が基板Gの搬送方向と平行な状態で案内部5の上方に配置されている。接触部材4の長手方向の長さL1は、基板Gの搬送方向の長さL2よりも若干大きい。接触部材4の短手方向の長さ(幅)は、基板Gの端部と接触した状態で、基板Gのパターン形成領域と接触しない程度の大きさを有する。接触部材4は、軽量であり、かつ基板Gを搬送する際に基板Gに対して滑らない材料を用いて実現される。このような条件を満足しうる材料として、例えばエンジニアリングプラスチックを挙げることができる。
【0019】
案内部5は、基板Gの搬送方向に沿って直線的に延びた溝状をなしている。案内部5は、搬送部3から最も遠くに位置する浮上プレート2と一体で形成されており、その浮上プレート2よりも外縁側に位置する。案内部5は、接触部材4の上面(面接触可能な表面)を浮上プレート2の上面よりも高い位置であって浮上プレート2上に浮上した基板Gの下面と接触する位置に配置し、基板Gと接触部材4とを接触させながら接触部材4の移動を案内する。
【0020】
案内部5の底面には、気体を吐出する複数の吐出孔51が搬送方向に沿って設けられている。吐出孔51は、吐出孔21と流路を介して連通しており、気体供給部6によって気体が供給される。吐出孔51が吐出する気体は、案内部5に配置される接触部材4を浮上させる機能を有する。このように気体を上方へ吐出して接触部材4を浮上させることにより、接触部材4は、案内部5との移動抵抗が小さい状態で案内部5の上方を移動することが可能となる。なお、吐出孔51も、吐出孔21と同様、基板Gの搬送方向に沿って形成された細長いスリット状をなしていてもよい。
【0021】
接触部材4が気体によって浮上する際の上面の高さは、浮上プレート2の上面よりも高く、かつ基板Gが浮上したときの基板Gの下面の高さと同程度か若干高い程度でなければならない。したがって、吐出孔51の径や配置間隔、および気体の吐出圧は、前述した条件を満足するように設定される。ここで、吐出孔51から吐出される気体の吐出圧は、吐出孔21による気体の吐出圧と同じである必要はない。
【0022】
以上の構成を有する基板搬送装置1は、基板の欠陥を検査する基板検査装置や、レジストを表面に塗布した基板に対して所定のパターンを露光する露光装置などの基板搬送手段として適用することができる。
【0023】
基板搬送装置1において、吸着ユニット33が基板Gを保持する際には、搬送部3を基板Gが載置されている位置まで移動する。続いて、昇降機構が吸着ユニット33の吸着部331を基板Gの浮上高さまで上昇させることにより、基板Gの下面に吸着部331を当接させる。その後、真空吸引部7に吸着部331の上面側を真空引きさせることにより、基板Gの下面を吸着保持する。
【0024】
これに対し、基板Gを吸着ユニット33から離間させる際には、まず真空吸引部7の動作を停止して、基板Gの下面の吸着保持状態を解除する。その後、昇降機構が吸着ユニット33を下降させる。
【0025】
以上説明した本発明の実施の形態1によれば、浮上プレート2上に浮上した基板Gの下面の一部と面接触可能な表面を有する接触部材4と、搬送部3による基板Gの搬送方向に沿って延び、接触部材4が有する表面を浮上プレート2の上面よりも高い位置であって浮上プレート2上に浮上した基板Gの下面と接触する位置に配置し、基板Gと接触部材4とを接触させながら接触部材4の移動を案内する案内部5とを備えているため、接触部材4が接触している端部が下方へ撓むのを防止して基板Gの水平度を保つことができる。したがって、基板Gを浮上搬送する際に、基板Gとの接触を回避して搬送することが可能となる。
【0026】
また、本実施の形態1によれば、基板Gに反りが発生している場合であってもその反りを矯正することができるため、基板Gを搬送しながら基板G上の欠陥を検査する場合の検査精度や、基板Gに所定のパターンを露光する場合の露光精度を向上させることができる。
【0027】
図3は、本実施の形態1の変形例に係る基板搬送装置の要部の構成を示す図である。同図に示す基板搬送装置9は、案内部5が基板Gの中央部下方に設けられる。この場合、案内部5は、幅方向に隣接する二つの浮上プレート2と一体で形成される。また、基板搬送装置9では、基板Gの搬送方向と直交する方向の両端部に搬送部3が設けられる。
【0028】
このような本実施の形態1の変形例によれば、基板Gの中央部付近が下方に撓むのを防止して、基板Gとの接触を確実に回避することができる。
【0029】
なお、上述した基板搬送装置1において、基板Gの搬送方向と直交する方向の中央部に案内部5を設けるとともにその案内部5の上方に接触部材4を配置することも可能である。
【0030】
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2に係る基板搬送装置の要部の構成を示す縦断面図である。同図に示す基板搬送装置101は、接触部材102および案内部103の構成が、上述した基板搬送装置1と異なっている。
【0031】
接触部材102は、直方体形状をなしており、案内部103の上方に配置された状態で下方に位置する表面に、複数の磁石104(第1の磁石)が長手方向に沿って並べて設けられている。接触部材102の長さと幅は、接触部材4の長さと幅にそれぞれ等しい。
【0032】
案内部103は、搬送方向に沿って溝状をなしており、この溝の底面に、磁石104と反発しあう複数の磁石105(第2の磁石)が搬送方向に沿って並べて設けられている。案内部103は、搬送部3から最も遠い浮上プレート2と一体に形成されており、その浮上プレート2よりも外縁側に位置する。
【0033】
以上の構成を有する基板搬送装置101において、接触部材102は、磁石104が磁石105から受ける斥力によって案内部103から浮上している。接触部材102が浮上する際の上面の高さは、浮上プレート2の上面よりも高く、かつ基板Gが浮上したときの基板Gの下面の高さと同程度かまたは若干高くなければならない。したがって、磁石104、105の個数や磁力の強さは、前述した条件を満足するように適宜設定される。
【0034】
以上説明した本発明の実施の形態2によれば、接触部材102を浮上させるために磁石104、105を適用しているため、案内部103に対して気体を供給する必要がなく、構成を単純化することができる。
【0035】
なお、本実施の形態2においても、案内部103を基板Gの搬送方向と直交する方向の中央部に設け、その案内部103の上方に接触部材102を配置してもよい。
【0036】
(実施の形態3)
図5は、本発明の実施の形態3に係る基板搬送装置の要部の構成を示す縦断面図である。同図に示す基板搬送装置201は、基板Gの搬送方向と直交する方向の端部であって搬送部3が設けられる端部とは異なる端部に位置する浮上プレート202と、接触部材4を案内する案内部203を有し、浮上プレート202の外縁側に固着されるブロック材204とを有する。浮上プレート202およびブロック材204を除く基板搬送装置201の構成は、上述した基板搬送装置1の構成と同様である。
【0037】
浮上プレート202には、上面に開口を有し、気体を上方へ吐出する複数の吐出孔221が、全面にわたってほぼ均一に設けられている。吐出孔221には、気体供給部6から供給される気体を流す流路222が連通している。
【0038】
ブロック材204が有する案内部203は、基板Gの浮上プレート202に固着した状態で基板Gの搬送方向に沿って溝状をなして延びている。案内部203の底部には、接触部材4を浮上させる気体を上方へ吐出する吐出孔231、および吐出孔231を浮上プレート202の流路222と接続する流路206が形成されている。ブロック材204は、ネジ207によって浮上プレート202に固着されている。
【0039】
以上の構成を有する基板搬送装置201では、浮上プレート202の上面とブロック材204の上面との高さの関係を機械加工精度で規定することができる。また、浮上プレート202とブロック材204との取り付け、取り外しも容易に行うことができる。
【0040】
基板搬送装置201においても、接触部材4が浮上する際の上面の高さは、浮上プレート2の上面よりも高く、かつ基板Gが浮上したときの基板Gの下面の高さと同程度かまたは若干高くなければならない。
【0041】
以上説明した本発明の実施の形態3によれば、案内部203は浮上プレート202と別体で設けられるため、基板Gの種類等に応じて、吐出孔205の形状や個数が異なる別の案内部と取り替えることが可能である。したがって、基板Gの種類等に応じて最適な案内部を設置することができる。
【0042】
なお、図3に示すように、基板Gの搬送方向と直交する方向の中央部に案内部を設ける場合にも、この案内部を別体として隣接する浮上プレート2に取り付ける構成とすることができる。
【0043】
(実施の形態4)
図6は、本発明の実施の形態4に係る基板搬送装置の要部の構成を示す斜視図である。同図に示す基板搬送装置301は、接触部材の構成が、上述した基板搬送装置1と異なる。具体的には、基板搬送装置301の接触部材302は、長手方向の両端部で基板Gとの接触面(基板Gと面接触可能な表面)からそれぞれ上方へ突起した突起部321を有する。接触部材以外の基板搬送装置301の構成は、基板搬送装置1の構成と同様である。
【0044】
基板搬送装置301において、接触部材302が浮上する際の突起部321以外の上面の高さは、浮上プレート2の上面よりも高く、かつ基板Gが浮上したときの基板Gの下面の高さと同程度かまたは若干高くなければならない。
【0045】
以上説明した本発明の実施の形態4によれば、接触部材302を案内部5に配置したときの搬送方向の両端部の高さが中間部の高さよりも大きくなるように両端部に突起部321を設けたため、基板Gを搬送している最中に、何らかの要因によって接触部材302が基板Gに対して滑り出した場合であっても、突起部321が接触部材302の滑りを止めることができる。
【0046】
(実施の形態5)
図7は、本発明の実施の形態5に係る基板搬送装置の要部の構成を示す部分縦断面図である。同図に示す基板搬送装置401は、外部から基板Gを搬入する位置(以下、搬入位置という)で、案内部402が基板Gを静止させる機能を有する。
【0047】
案内部402は、基板Gの搬入位置の底面に、基板Gの搬送方向に沿って設けられた複数の電磁石403と、基板Gの搬送方向に沿って設けられ、気体供給部6から供給される気体を上方へ向けて吐出する複数の吐出孔404とを有する。案内部402は、搬送部3から最も遠い浮上プレート2と一体に形成されており、その浮上プレート2よりも外縁側に位置する。吐出孔404は、案内部402の全体にわたって基板Gの搬送方向に沿って形成されている。
【0048】
本実施の形態5では、案内部402の上方に、実施の形態2で説明した接触部材102が配置される。このため、電磁石403は、接触部材102に設けられる磁石104と同数かつ同じ間隔で設けられる。電磁石403は、制御部8による通電の切換によって磁力の発生および消失が制御される。
【0049】
基板搬送装置401において、接触部材102が浮上する際の上面の高さは、浮上プレート2の上面よりも高く、かつ基板Gが浮上したときの基板Gの下面の高さと同程度かまたは若干高くなければならない。
【0050】
上記以外の基板搬送装置401の構成は、上述した基板搬送装置1の構成と同様である。
【0051】
以上の構成を有する基板搬送装置401において、基板Gをロボット搬入装置(図示せず)によって搬入して浮上プレート2上に載置する際には、接触部材102を搬入位置まで移動し、制御部8が電磁石403への通電を開始して磁石104との間に引力を発生させることにより、接触部材102を浮上したまま拘束する。
【0052】
これに対し、基板Gの載置が完了した後は、制御部8が電磁石403への通電を終了する。これにより、接触部材102は案内部402から浮上しながら移動することが可能となる。
【0053】
以上説明した本発明の実施の形態5によれば、基板Gの搬入位置で接触部材102を浮上させたまま拘束することができるため、搬入時の基板Gの位置ずれを防止することができる。
【0054】
図8は、本実施の形態5の変形例に係る基板搬送装置の要部の構成を示す部分縦断面図である。同図に示す基板搬送装置501は、接触部材502と、案内部503と、各々が基板Gの搬送方向と直交する平面上で上下動可能であり、基板Gの搬送方向に沿って並べて配置される複数の固定ピン504と、を有する。これら以外の基板搬送装置501の構成は、上述した基板搬送装置401の構成と同様である。
【0055】
接触部材502は、直方体形状をなしており、長手方向が基板Gの搬送方向と平行な状態で案内部503の上方に配置されている。接触部材502の長手方向の長さおよび幅は、接触部材4の長さ(L1)および幅とそれぞれ同じである。接触部材502の表面のうち案内部503の上方に配置された状態で下方に位置する表面には、複数の凹部521が、長手方向に沿って並べて設けられている。この凹部521は、固定ピン504の先端部541を嵌入可能な形状をなしている。
【0056】
案内部503は、基板Gの搬入位置の底面に、基板Gの搬送方向に沿って設けられた複数の挿通孔531と、基板Gの搬送方向に沿って設けられ、気体供給部6から供給される気体を上方へ向けて吐出する複数の吐出孔532とを有する。このうち、挿通孔531は、少なくとも固定ピン504の先端部を挿通可能である。また、吐出孔532は、案内部503の全体にわたって基板Gの搬送方向に沿って形成されている。案内部503は、搬送部3から最も遠い浮上プレート2と一体に形成されており、その浮上プレート2よりも外縁側に位置する。
【0057】
固定ピン504は、棒状をなす先端部541と、先端部541よりも径が大きい棒状をなす基部542とを有する。基部542の下面側は外部へ露出しており、手動によって上下動可能な態様で基板搬送装置501に取り付けられている。固定ピン504は、先端部541が案内部503の挿通孔531を介しておよび接触部材502の凹部521に嵌入することにより、接触部材502を浮上させたまま拘束する機能を有する。
【0058】
基板搬送装置501において、接触部材502が浮上する際の上面の高さは、浮上プレート2の上面よりも高く、かつ基板Gが浮上したときの基板Gの下面の高さと同程度かまたは若干高くなければならない。
【0059】
以上の構成を有する基板搬送装置501において、基板Gをロボット搬入装置によって搬入して浮上プレート2上に載置する際には、接触部材502を搬入位置まで移動した後、固定ピン504の基部542を手動で押し上げることにより、先端部541を接触部材502の凹部521へ嵌入する。この結果、基板Gを確実に所定の位置に載置させることが可能となる。なお、基板Gの載置が完了した後は、固定ピン504を手動で引き下げることにより、接触部材502が案内部503上で浮上しながら移動することが可能となる。
【0060】
なお、固定ピン504の基部542に対して上下動可能な電動アクチュエータを接続することにより、固定ピン504の上下動を電動で行うようにしてもよい。
【0061】
(実施の形態6)
図9は、本発明の実施の形態6に係る基板搬送装置の要部の構成を示す部分縦断面図である。同図に示す基板搬送装置601は、接触部材602と、案内部603とを備える。上記以外の基板搬送装置601の構成は、上述した基板搬送装置1の構成と同様である。
【0062】
接触部材602は、略直方体形状をなしており、接触部材602が案内部603の上方に配置された状態で案内部603と対向する表面には、凹状の溝部621が形成されている。溝部621は接触部材602の長手方向に沿って延び、案内部603と嵌合可能な形状をなしている。接触部材602の長さおよび幅は、接触部材4の長さ(L1)および幅とそれぞれ同じである。接触部材602が浮上する際の上面の高さは、浮上プレート2の上面よりも高く、かつ基板Gが浮上したときの基板Gの下面の高さと同程度かまたは若干高くなければならない。
【0063】
案内部603は、基板Gの搬送方向に沿って延びており、一体に形成された浮上プレート2よりも上方へ凸状をなして突起している。案内部603は、搬送部3から最も遠い浮上プレート2と一体に形成されており、その浮上プレート2よりも外縁側に位置する。案内部603の上面には、気体供給部6から供給される気体を上方へ吐出する吐出孔631が、基板Gの搬送方向に沿って複数設けられている。
【0064】
以上の構成を有する基板搬送装置601では、接触部材602の上面が、基板Gの浮上高さと同程度かまたは若干高い位置となるように、吐出孔631の径や配置間隔、および気体の吐出圧が設定される。
【0065】
以上説明した本発明の実施の形態6によれば、上記実施の形態1と同様、基板Gを浮上搬送する際に、基板Gとの接触を回避して搬送することが可能となる。
【0066】
(実施の形態7)
図10は、本発明の実施の形態7に係る基板搬送装置の要部の構成を示す部分縦断面図である。同図に示す基板搬送装置701は、接触部材702が案内部703の底面と接触しながら移動する。
【0067】
接触部材702は、略直方体形状をなしており、接触部材702が案内部703の上方に配置された状態で案内部703と対向する表面には、凹状の溝部721が形成されている。接触部材702の長さおよび幅は、接触部材4の長さ(L1)および幅とそれぞれ同じである。また、接触部材702の上面の高さは、浮上プレート2の上面よりも高く、かつ基板Gが浮上したときの基板Gの下面の高さと同程度かまたは若干高くなければならない。
【0068】
案内部703は、基板Gの搬送方向に沿って溝状をなしており、この溝の底面には、溝部721と嵌合可能な凸部731が基板Gの搬送方向に沿って形成されている。案内部703は、搬送部3から最も遠い浮上プレート2と一体に形成されており、その浮上プレート2よりも外縁側に位置する。
【0069】
上記以外の基板搬送装置701の構成は、上述した基板搬送装置1の構成と同様である。
【0070】
溝部721と凸部731との摺動抵抗は、基板Gと接触部材702との最大静止摩擦力よりも小さいことが必要である。溝部721および凸部731の形状や材料は、この必要条件を満足するように適宜定められる。
【0071】
以上説明した本発明の実施の形態7によれば、接触部材702が案内部703に載置されるため、接触部材702の挙動を一段と安定させることができる。
【0072】
(実施の形態8)
図11は、本発明の実施の形態8に係る基板搬送装置の要部の構成を示す部分縦断面図である。同図に示す基板搬送装置801は、接触部材802が浮上プレート2の上に設けられる。このため、接触部材802が上方に設けられる浮上プレート2は、案内部の機能を兼ね備える。
【0073】
接触部材802は、略直方体形状をなしており、接触部材802が浮上プレート2の上方に配置された状態で浮上プレート2と対向する表面には、凹状の溝部821が形成されている。溝部821は接触部材802の長手方向に沿って延び、浮上プレート2と嵌合可能な形状をなしている。接触部材802の長さおよび幅は、接触部材4の長さ(L1)および幅とそれぞれ同じである。接触部材802が浮上する際の上面の高さは、浮上プレート2の上面よりも高く、かつ基板Gが浮上したときの基板Gの下面の高さと同程度かまたは若干高くなければならない。
【0074】
基板搬送装置801では、接触部材802を任意の浮上プレート2の上方に設置することができる。したがって、基板Gの反り具合に応じて接触部材802の載置位置を変更することができ、一段と確実に基板Gと浮上プレート2との接触を防止することが可能となる。
【0075】
以上説明した本発明の実施の形態8によれば、接触部材802を浮上プレート2の上方に配置したため、複数の浮上プレート2のいずれかが案内部の機能を兼備することとなる。したがって、基板搬送装置の大型化を抑制することが可能となる。
【0076】
また、本実施の形態8によれば、基板Gの状態に応じて接触部材802を載置する浮上プレート2を変更することができるので、一段と確実に基板Gと浮上プレート2との接触を防止することができる。
【0077】
なお、接触部材802は、上述した実施の形態1〜6においても適用することが可能である。
【0078】
本発明は、上述した実施の形態1〜8によってのみ限定されるべきものではない。すなわち、本発明は、特許請求の範囲により特定される技術的思想を逸脱しない範囲内において様々な実施の形態等を含みうるものである。
【符号の説明】
【0079】
1、9、101、201、301、401、501、601、701、801 基板搬送装置
2、202 浮上プレート
3 搬送部
4、102、302、502、602、702、802 接触部材
5、103、203、402、503、603、703 案内部
6 気体供給部
7 真空吸引部
8 制御部
21、51、205、221、231、404、532、631 吐出孔
31 レール
32 駆動部
33 吸着ユニット
104、105 磁石
204 ブロック材
206、222 流路
207 ネジ
321 突起部
331 吸着部
403 電磁石
504 固定ピン
521 凹部
531 挿通孔
541 先端部
542 基部
621、721、821 溝部
731 凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体を吐出することによって平板状の基板を浮上させる浮上プレートと、
前記浮上プレート上に浮上した前記基板を保持して搬送する搬送部と、
前記浮上プレート上に浮上した前記基板の下面の一部と面接触可能な表面を有する接触部材と、
前記搬送部による前記基板の搬送方向に沿って延び、前記接触部材が有する前記表面を前記浮上プレートの上面よりも高い位置であって前記浮上プレート上に浮上した前記基板の下面と接触する位置に配置し、前記基板と前記接触部材とを接触させながら前記接触部材の移動を案内する案内部と、
を備えたことを特徴とする基板搬送装置。
【請求項2】
前記案内部は、
前記搬送方向に沿って設けられ、上方へ気体を吐出して前記接触部材を浮上させる吐出孔を有することを特徴とする請求項1に記載の基板搬送装置。
【請求項3】
前記接触部材は、
前記面接触可能な表面を上面とするときの下面側に設けられた第1の磁石を有し、
前記案内部は、
前記接触部材の下面と対向する表面に設けられ、前記第1の磁石と反発しあう第2の磁石を有することを特徴とする請求項1に記載の基板搬送装置。
【請求項4】
前記案内部は、
前記接触部材を載置する載置部を有することを特徴とする請求項1に記載の基板搬送装置。
【請求項5】
前記接触部材は、
長手方向の両端部で前記面接触可能な表面からそれぞれ突起した突起部を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の基板搬送装置。
【請求項6】
前記搬送部は、
前記浮上プレート上に浮上した前記基板の端部であって該基板の搬送方向と直交する方向の端部のうち一方の端部を保持し、
前記案内部は、
前記基板の搬送方向と直交する方向の端部のうち他方の端部に設けられたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の基板搬送装置。
【請求項7】
前記案内部は、
前記基板の搬送方向と直交する方向の中央部に設けられたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の基板搬送装置。
【請求項8】
当該基板搬送装置の外部から前記基板を前記浮上プレート上へ搬入する搬入位置で前記接触部材の位置を固定する位置固定手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の基板搬送装置。
【請求項9】
前記案内部は、
前記浮上プレートと別体で設けられたことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の基板搬送装置。
【請求項10】
前記浮上プレートを複数有し、
前記案内部は、
複数の前記浮上プレートの少なくともいずれか一つであることを特徴とする請求項1に記載の基板搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−246213(P2011−246213A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−118720(P2010−118720)
【出願日】平成22年5月24日(2010.5.24)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】