説明

基板洗浄装置

【課題】洗浄ムラの低減。
【解決手段】基板Pに対して相対的に近くに位置するノズル3を基板Pに対して相対的に遠くに位置するノズル3よりも速く回動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のように、プリント基板は、エッチング処理等の化学処理によってパターン配線を形成することによって製造される。
このようなプリント基板は、複数の製造工程を経て製造されるが、製造工程の1つに、穴あけ加工及びめっき処理からなるスルーホール形成工程を経た基板の表面を専用の基板洗浄装置によって洗浄する洗浄工程がある。下記特許文献1には、このようなプリント基板の製造工程に供される基板洗浄装置の一例が開示されている。
【0003】
そして、基板洗浄装置では、効率的な洗浄を行うために、例えば、洗浄槽内においてプリント基板を立てて配置し、基板の両側に配置されたノズルから洗浄水をプリント基板の両面に対して噴き付けることによってプリント基板の洗浄を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−363795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、基板洗浄装置のなかには、プリント基板の片側に対する洗浄力を向上させるために、プリント基板の片側に複数のノズルを縦方向に配列するものがある。このような基板洗浄装置では、縦方向に配列されたノズルからプリント基板に対して一度に洗浄水を噴き付けることによって短時間でプリント基板の洗浄を行う。
【0006】
しかしながら、縦方向に複数のノズルを配列した場合には、各ノズルからプリント基板までの距離が異なることとなる。このため、プリント基板に対して遠くに配置されたノズルから噴射された洗浄水は、プリント基板に対して近くに配置されたノズルから噴射された洗浄水よりもプリント基板に到達するまでに拡がってしまう。
この結果、遠くに配置されたノズルから洗浄水が噴射される領域における単位面積あたりの噴き付け量が、近くに配置されたノズルから洗浄水が噴射される領域よりも減少し、洗浄ムラが生じてしまう。
【0007】
さらには、プリント基板の両側に配置されたノズルから同時に洗浄水を噴射した場合には、これらの洗浄水同士が干渉してプリント基板の狙った領域に洗浄水が到達することが妨げられ、これによっても洗浄ムラが生じることとなる。
【0008】
このように、プリント基板に対して距離の異なる複数のノズルを備える基板洗浄装置においては、洗浄ムラが生じるという問題が生じる。特に、複数のプリント基板を配列し、洗浄槽内において一度に多数のプリント基板を洗浄する場合には、洗浄ムラが顕著に現れ、基板によって洗浄具合が異なってしまうといった不具合が生じる。
【0009】
なお、プリント基板の洗浄工程には、予備洗浄工程や主洗浄工程、仕上洗浄等の複数の工程が含まれている。
これらの工程では、使用される洗浄水の状態が異なるため、短時間で洗浄を完了するためには、各工程で使用された洗浄水を短時間で洗浄槽の外部に排出する必要がある。しかしながら、従来の開閉弁では、素早く開口するものは単位時間あたりの排水流量が少なく、単位時間あたりの排水流量が多いものは開口速度が遅い。
このため、素早くかつ単位時間あたりの排水流量が多い排水弁の提案が望まれている。
【0010】
また、従来の基板洗浄装置では、上述のように洗浄工程が複数の工程に分かれているが、使用する洗浄水の状態が異なるため、単一の洗浄槽の内部でこれらの工程を行う場合には、各工程専用のノズルを設けて洗浄を行っている。
しかしながら、このような場合には、ノズルの種類ごとに配管を配設する必要が生じ、配管が複雑化し、メンテナンスの煩雑化や装置の大型化を招く。
【0011】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、基板洗浄装置において以下のことを目的とするものである。
(1)洗浄ムラの低減
(2)洗浄時間の短縮化
(3)配管の簡素化
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
【0013】
第1の発明は、洗浄水を複数のノズルから噴射して基板に噴き付けることによって上記基板の洗浄を行う基板洗浄装置であって、上記ノズルを当該ノズルからの上記洗浄水の噴射方向と交差する回転軸を中心に回動させることにより当該ノズルからの上記洗浄水の噴射方向を移動し、上記基板に対して相対的に近くに位置する上記ノズルを上記基板に対して相対的に遠くに位置する上記ノズルよりも速く回動するノズル回動手段を備えるという構成を採用する。
【0014】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記ノズル回動手段が、モータと、該モータにより回転されるカムと、該カムによって往復直線移動されるロッドと、該ロッドに固定される固定ブラケットと、上記ノズルが形成されたシャワー管と上記固定ブラケットとを連結すると共に上記固定ブラケットの直線運動を回転運動として上記シャワー管に伝達する回動バーとを備え、上記回動バーにおいて上記シャワー管から上記固定ブラケットとの連結箇所までの距離が当該シャワー管に形成された上記ノズルの回動速度に応じて設定されているという構成を採用する。
【0015】
第3の発明は、基板を挟んだ両側に配置された複数のノズルから洗浄水を噴射して上記基板に噴き付けることによって上記基板の洗浄を行う基板洗浄装置であって、上記基板の一方側に配置されたノズルからの上記洗浄水の噴射タイミングと、上記基板の他方側に配置されたノズルからの上記洗浄水の噴射タイミングとをずらす制御手段を備えるという構成を採用する。
【0016】
第4の発明は、洗浄槽内部において洗浄水を複数のノズルから噴射して基板に噴き付けることによって上記基板の洗浄を行う基板洗浄装置であって、上記洗浄槽の底部に設けられた洗浄水排出口を閉鎖可能に構成されると共に自重により移動することで上記洗浄水排出口を開口する上記開閉蓋と、上記開閉蓋を下方から支えることによって上記開閉蓋によって上記洗浄水排出口を閉鎖するキャップ部と、該キャップ部を上記開閉蓋の下方から外れる位置と上記開閉蓋の下方位置との間で移動する第1移動手段と、自重により移動した上記開閉蓋を上記洗浄水排出口が閉鎖される位置に戻す第2移動手段とを備えるという構成を採用する。
【0017】
第5の発明は、上記第4の発明において、上記第1移動手段及び上記第2移動手段が、動力源としてソレノイドを備えるという構成を採用する。
【0018】
第6の発明は、洗浄水を複数のノズルから噴射して基板に噴き付けることによって上記基板の洗浄を行う基板洗浄装置であって、複数の洗浄水タンクと、全ての上記洗浄水タンクと上記ノズルとを接続する共通配管と、上記洗浄水タンクごとに設けられると共に当該洗浄水タンクから上記共通配管を介して上記ノズルに上記洗浄水を圧送するポンプと、各上記ポンプの下流に設置される逆止弁とを備えるという構成を採用する。
【発明の効果】
【0019】
第1及び第2の発明によれば、基板に対して相対的に近くに位置するノズルを基板に対して相対的に遠くに位置するノズルよりも速く回動する。このため、基板に対して相対的に近くに位置するノズルから洗浄水が噴射される領域では、遠くに位置するノズルから洗浄水を噴射される領域と比較して洗浄水が速く通過して噴射時間が短くなる。
この結果、単位面積あたりの洗浄水の噴射量が少ない領域の噴射時間が相対的に長くなり、単位面積あたりの洗浄水の噴射量が多い領域の噴射時間が相対的に短くなることで、洗浄ムラが解消される。
【0020】
第3の発明によれば、基板の一方側に配置されたノズルからの洗浄水の噴射タイミングと、基板の他方側に配置されたノズルからの洗浄水の噴射タイミングとがずらされる。このため、基板の一方側に配置されたノズルから噴射された洗浄水と基板の他方側に配置されたノズルから噴射された洗浄水とが干渉することを防止し、洗浄水を基板の狙った領域に到達させることができる。したがって、本発明によれば、洗浄ムラを解消することが可能となる。
【0021】
第4及び第5の発明によれば、キャップ部による開閉蓋の支持を止めることにより、開閉蓋が自重さらには洗浄槽に貯留する洗浄水の水圧によって勢い良く開き、洗浄水排出口が全開となる。洗浄水排出口の大きさは自由に設定することができるため、本発明によれば、洗浄水を短時間で洗浄槽の外部に排出することが可能となり、洗浄時間の短縮化を図ることができる。
【0022】
第6の発明によれば、複数の洗浄水タンクとノズルとが共通配管で接続されているため、ノズルから全ての洗浄水タンクに貯留された洗浄水を噴射することができる。つまり、洗浄水タンクに貯留される洗浄水の種類を変えることにより、洗浄工程に含まれる全ての工程において同一のノズルから洗浄水を噴射することができる。よって、本発明によれば、配管を簡素化することが可能となる。
なお、本発明によれば、各ポンプの下流に逆止弁が設置されているため、他のポンプが駆動している間に、駆動していないポンプに洗浄水が逆流することを防止することができ、配管を簡素化しながら、全ての工程において確実な洗浄を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態における基板洗浄装置の概略構成を示す縦断面図である。
【図2】本発明の一実施形態における基板洗浄装置の概略構成を示す平面図である。
【図3】本発明の一実施形態における基板洗浄装置が備える揺動機構の拡大斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態における基板洗浄装置が備える揺動機構の拡大正面図である。
【図5】本発明の一実施形態における基板洗浄装置における回動バーの連結箇所とシャワー管2の回動範囲との関係を示す説明図である。
【図6】本発明の一実施形態における基板洗浄装置が備える揺動機構の動作説明を行うための説明図であり、図1と同じ方向から見た正面図である。
【図7】本発明の一実施形態における基板洗浄装置が備える揺動機構の動作説明を行うための説明図であり、図6と直交する水平方向から見た側面図である。
【図8】本発明の一実施形態における基板洗浄装置が備える排水弁の概略構成図であり、(a)が正面図、(b)が下面図である。
【図9】本発明の一実施形態における基板洗浄装置が備える第1移動機構の概略構成を示す斜視図である。
【図10】本発明の一実施形態における基板洗浄装置が備える排水弁の動作を説明するための説明図である。
【図11】本発明の一実施形態における基板洗浄装置を模式的に示すフロー図である。
【図12】本発明の一実施形態における基板洗浄装置による洗浄工程を示すフローチャートである。
【図13】本発明の一実施形態における基板洗浄装置における予備洗浄を説明するためのフロー図である。
【図14】本発明の一実施形態における基板洗浄装置における第1主洗浄を説明するためのフロー図である。
【図15】本発明の一実施形態における基板洗浄装置における第2予備洗浄を説明するためのフロー図である。
【図16】本発明の一実施形態における基板洗浄装置における第2主洗浄を説明するためのフロー図である。
【図17】本発明の一実施形態における基板洗浄装置における仕上げ洗浄を説明するためのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明に係る基板洗浄装置の一実施形態について説明する。なお、以下の図面において、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0025】
図1及び図2は、本実施形態の基板洗浄装置Sの概略構成図であり、図1が縦断面図であり、図2が平面図である。
本実施形態の基板洗浄装置Sは、バスケットBに収容された複数のプリント基板Pに対して洗浄水を噴き付けることによってプリント基板Pの洗浄を行うものであり、図1及び図2に示すように筐体1、シャワー管2、ノズル3と、揺動機構4(回動手段)と、排水弁5と、制御装置6とを有している。
【0026】
筐体1は、本実施形態の基板洗浄装置Sの外形を成すものであり、天井部がバスケットBを出し入れ可能に開口されると共に内部が中空とされた箱形状を有している。図1に示すように、筐体1は、上部と下部に分かれて構成されており、上部が洗浄槽1A、下部が収容部1Bとされている。
【0027】
洗浄槽1Aは、その内部においてプリント基板Pの洗浄を行うものであり、バスケットBを収容かつ支持可能に構成されている。
収容部1Bは、その内部に洗浄水タンク、ポンプ、逆止弁、タンク排水弁等を収容するものである。なお、収容部1Bに収容される洗浄水タンク、ポンプ、逆止弁、タンク排水弁等については、後に説明を行う。
なお、プリント基板Pは、バスケットBに立設されて等間隔で配列されている。このため、バスケットBが洗浄槽1A内に設置されることにより、洗浄槽1A内に複数のプリント基板Pが等間隔で立設して配列される。
【0028】
シャワー管2は、内部に洗浄水Xが導水される直線状の円筒配管であり、洗浄槽1Aの内部において、バスケットBの設置領域の上方から両側に複数配置されている。
図1及び図2に示すように、シャワー管2は、バスケットBの設置領域の片側に対して4本設置されている。そして、これら4本のシャワー管2が同一の水平方向に延在するように、かつ、高さ方向に等間隔に配列されている。
また、シャワー管2は、図1に示すように、筐体1の内壁に固定される支持部7によって、延在方向周りに回転可能に軸支されている。
なお、シャワー管2に導水される洗浄水Xは、収容部1Bに収容されるポンプによって供給されるものである。
【0029】
ノズル3は、シャワー管2に導水された洗浄水Xをプリント基板Pに向けて噴射するものであり、図2に示すように、シャワー管2に対して、当該シャワー管2の延在方向に等間隔で複数設けられている。
【0030】
なお、図2に示すように、1つのシャワー管2に着目してみれば、全てのノズル3は同一方向に洗浄水Xを噴射するように取り付けられている。
ただし、バスケットBの設置領域の片側に配置される4本のシャワー管2に着目してみれば、図1に示すように、各シャワー管2に取り付けられたノズル3から噴射された洗浄水X同士がプリント基板Pに到達する前に干渉しないように、洗浄水Xの噴射方向がずれるようにノズル3が取り付けられている。
【0031】
揺動機構4は、シャワー管2を延在方向周りに往復して回動することによってノズル3を回動し、ノズル3から噴射される洗浄水Xの噴射方向を揺動させるものである。この揺動機構4は、図1及び図2に示すように、バスケットBの設置領域の片側に配置された4本のシャワー管2に対して1つ設けられており、本実施形態の基板洗浄装置Sにおいては2つ設けられている。
【0032】
図3は、揺動機構4の拡大斜視図である。この図に示すように、揺動機構4は、モータ4aと、溝カム4b(カム)と、ロッド4cと、固定ブラケット4dと、回動バー4eとを備えている。
【0033】
モータ4aは、シャワー管2を回動させるための動力を発生するものであり、制御装置6の制御の下、回転動力を発生する。
溝カム4bは、モータ4aのシャフトにおける回転運動をロッド4cに伝達することによって、ロッド4cを等速直線運動させるものであり、モータ4aのシャフトに対して接続されている。
ロッド4cは、溝カム4bの溝に摺動自在に嵌合する突起部を備える棒状部材であり、溝カム4bの回転に伴って上下方向に往復直線運動する。
【0034】
固定ブラケット4dは、ロッド4cに対して固定されており、ロッド4cの移動に伴って上下動する。なお、固定ブラケット4dは、各シャワー管2に対して設けられる回動バー4eを揺動可能に支持しており、各回動バー4eの支持箇所をシャワー管2の回動速度に応じて変えて回動バー4eを支持している。なお、各回動バー4eの支持箇所すなわち回動バー4eと固定ブラケット4dとの連結箇所4d1については、後に詳説する。
【0035】
回動バー4eは、各シャワー管2に対して設けられており、シャワー管2と固定ブラケット4dとを連結すると共に、固定ブラケット4dの直線運動を回転運動としてシャワー管2に伝達するものである。
【0036】
ここで、本実施形態の基板洗浄装置Sにおいては、揺動機構4は、プリント基板Pに対して相対的に近くに位置するノズル3をプリント基板Pに対して相対的に遠くに位置するノズル3よりも速く回動する。
【0037】
具体的には、本実施形態の基板洗浄装置Sにおいては、高さ方向に配列された4本のシャワー管2のうち、最も上方に位置するシャワー管2に設けられたノズル3が最もプリント基板Pに対して遠くに位置し、下方に向かうに連れてノズル3が順次プリント基板Pに対して近づき、最も下方に位置するシャワー管2に設けられたノズル3が最もプリント基板Pに対して近くに位置している。
そして、揺動機構4は、最も上方に位置するシャワー管2を最も遅い速度で回動し、下方に向かうに連れてシャワー管2の回動速度を速くし、最も下方に位置するシャワー管2を最も速い速度で回動する。
これによって、最も上方に位置するノズル3から噴射される洗浄水Xの噴射方向が緩やかに狭い範囲で移動し、最も下方に位置するノズル3から噴射される洗浄水Xの噴射方向が素早く広い範囲を移動することとなる。
【0038】
そして、本実施形態の基板洗浄装置Sにおいて揺動機構4は、図4に示すように、回動バー4eごとにシャワー管2から固定ブラケット4dとの連結箇所4d1までの距離dを変更することによって、ノズル3の回動速度を設定している。
つまり、本実施形態の基板洗浄装置Sにおいて、回動バー4eにおけるシャワー管2から固定ブラケット4dとの連結箇所4d1までの距離は、当該シャワー管2に設けられたノズル3の回動速度に応じて設定されている。
【0039】
より詳細に説明すると、図5に示すように、固定ブラケット4dが最上位点と最下位点との間に距離DBだけ移動するとし、シャワー管2の位置から順次遠方に配置されるA〜D点を連結箇所とすると、シャワー管2の回動範囲θは、点Aの場合にθAとなって最も広くなり、点Dの場合にθDとなって最も狭くなる。つまり、回動範囲θは、θA(点Aが連結箇所の回動範囲)>θB(点Bが連結箇所の回動範囲)>θC(点Cが連結箇所の回動範囲)>θD(点Dが連結箇所の回動範囲)となる。
ここで、固定ブラケット4dが最上位点と最下位点との間で移動する時間は一定であり、連結箇所がシャワー管2から近づくに連れて回動範囲が広がるため、連結箇所がシャワー管2に対して近づくに連れて、シャワー管2の回動速度が速くなる。すなわち、シャワー管2から連結箇所4d1までの距離dが短くなるほど、シャワー管2すなわちノズル3の回動速度が速くなる。
【0040】
そして、本実施形態の基板洗浄装置Sにおいて揺動機構4は、図4に示すように、最も上方に位置するシャワー管2から連結箇所4d1までの距離d1を最も長くし、下方に向かうに連れてシャワー管2から連結箇所4d1までの距離d2,d3を順次短くし、最も下方に位置するシャワー管2から連結箇所4d1までの距離d4を最も短くし、これによって最も上方に位置するシャワー管2(すなわちノズル3)を最も遅い速度で回動し、下方に向かうに連れてシャワー管2(すなわちノズル3)の回動速度を速くし、最も下方に位置するシャワー管2(すなわちノズル3)を最も速い速度で回動する。
【0041】
図6及ぶ図7は、揺動機構4によるノズル3の回動動作の様子を示す動作説明図であり、図6が図1と同じ方向から見た正面図、図7が図6と直交する水平方向から見た側面図である。また、図6及び図7において、(a)が最下位点に固定ブラケット4dが位置する場合を示し、(b)が最上位点に固定ブラケット4dが位置する場合を示している。
【0042】
そして、これらの図に示すように、固定ブラケット4dを最下位点から最上位点に移動させることによって、下方に位置するノズル3ほど速い速度で回動し、下方に位置するノズル3ほど大きく回動する。
【0043】
このように本実施形態の基板洗浄装置Sによれば、ノズル3を当該ノズル3からの洗浄水Xの噴射方向と交差する回転軸を中心に回動させることにより当該ノズル3からの洗浄水の噴射方向を揺動(移動)し、プリント基板Pに対して相対的に近くに位置するノズル3をプリント基板Pに対して相対的に遠くに位置するノズル3よりも速く回動する。
【0044】
このため、プリント基板Pに対して相対的に近くに位置するノズル3から洗浄水Xが噴射される領域では、遠くに位置するノズル3から洗浄水Xを噴射される領域と比較して洗浄水Xが速く通過して噴射時間が短くなる。
この結果、単位面積あたりの洗浄水Xの噴射量が少ない領域の噴射時間が相対的に長くなり、単位面積あたりの洗浄水Xの噴射量が多い領域の噴射時間が相対的に短くなることで、洗浄ムラが解消される。
【0045】
なお、本実施形態の基板洗浄装置Sにおいては、上述のようにプリント基板Pまでの距離に応じてノズル3の回動範囲が異なるが、各ノズル3から噴射された洗浄水X同士が干渉しないように、各ノズル3の取り付け角度及び回動範囲を設定することが好ましい。
これによって、洗浄水X同士の干渉を抑制し、プリント基板Pの所望の位置に洗浄水Xを到達させることが可能となる。
【0046】
図1に戻り、排水弁5は、洗浄槽1Aに溜まった洗浄水Xを洗浄槽1Aの外部に排出するものであり、洗浄槽1Aの底部に3つ設けられている。
なお、後に詳説するが、排水弁5は、1つが第1主洗浄排水弁5Aとして機能し、1つが第2主洗浄排水弁5Bとして機能し、1つが予備洗浄排水弁5Cとして機能する。そして、第1主洗浄排水弁5Aが収容部1Bに収容される第1洗浄水タンクに接続され、第2主洗浄排水弁5Bが収容部1Bに収容される第2洗浄水タンクに接続され、予備洗浄排水弁5Cが排水ドレンに接続されている。
【0047】
図8は、排水弁5の概略構成図であり、(a)が正面図、(b)が下面図である。
この図に示すように、排水弁5は、開閉蓋5aと、キャップ部5bと、第1移動機構5c(第1移動手段)と、第2移動機構5d(第2移動手段)とを備えている。
【0048】
開閉蓋5aは、洗浄槽1Aの底部に設けられた洗浄水排出口1A1を閉鎖可能に構成されると共に自重により落下移動することで洗浄水排出口1A1を開口するものであり、ヒンジ5eを介して洗浄槽1Aの底部に固定されている。
なお、開閉蓋5aの第2移動機構5d側には、斜め下方に向けて突出する突出板5fが設けられている。
【0049】
キャップ部5bは、開閉蓋5aを下方から支えることによって開閉蓋5aによって洗浄水排出口1A1を閉鎖するものである。なお、キャップ部5bは、突出板5fと反対側に配置されている。
【0050】
第1移動機構5cは、キャップ部5bを開閉蓋5aの下方から外れる位置と開閉蓋5aの下方位置との間で移動するものである。
図9は、第1移動機構5cの概略構成を示す斜視図である。この図に示すように、第1移動機構5cは、ソレノイド5c1と、軸部5c2と、圧縮バネ5c3とを有している。
ソレノイド5c1は、制御装置6の制御の下、電流が流されると、軸部5c2を引っ込める動力を発生するものである。軸部5c2は、ソレノイド5c1とキャップ部5bとを連結する棒状部材である。圧縮バネ5c3は、ソレノイド5c1による軸部5c2を引っ込めようとする力よりも弱い力によって軸部5c2を突き出る方向に付勢するものである。
【0051】
図8に戻り、第2移動機構5dは、自重により移動した開閉蓋5aを洗浄水排出口1A1が閉鎖される位置に戻すものであり、開閉蓋5aが開放された場合に突出板5fが当たる当接棒5d1と、制御装置6の制御の下において電流が流れると当接棒5d1を突き出すソレノイド5d2とを備えている。
【0052】
このように、第1移動機構5c及び第2移動機構5dが動力源として備えるソレノイド5c1とソレノイド5d2とを制御することによって、排水弁5の開閉動作が行われる。
具体的には、図10(a)に示すように、キャップ部5bによって開閉蓋5aを下方から支持している状態から、ソレノイド5c1に電流を流すことによってキャップ部5bを開閉蓋5aの下方から外れる位置に移動する。この結果、開閉蓋5aが自重及び洗浄槽1Aに貯留する洗浄水Xの水圧によって落下移動することで、瞬時に洗浄水排出口1A1が開口される。
一方、図10(b)に示すように、開閉蓋5aが開放され、突出板5fが第2移動機構5dの当接棒5d1に当接している状態から、ソレノイド5d2に電流を流すことによって、当接棒5d1が突き出され、これによって開閉蓋5aが洗浄水排出口1A1を閉鎖する。
その後、ソレノイド5c1に流れている電流をカットすることによって、圧縮バネ5c3の付勢力によってキャップ部5bが開閉蓋5aの下方に移動し、開閉蓋5aが下方から支持される。
【0053】
このような本実施形態の基板洗浄装置Sによれば、キャップ部5bによる開閉蓋5aの支持を止めることにより、開閉蓋5aが自重さらには洗浄槽1Aに貯留する洗浄水Xの水圧によって勢い良く開き、洗浄水排出口1A1が全開となる。洗浄水排出口1A1の大きさは洗浄槽1Aの底部が許す限り大きく設定することができるため、本実施形態の基板洗浄装置Sによれば、洗浄水Xを短時間で洗浄槽1Aの外部に排出することが可能となり、洗浄時間の短縮化を図ることができる。
【0054】
図1に戻り、制御装置6は、本実施形態の基板洗浄装置Sの動作全体を統括するものである。そして、本実施形態において制御装置6は、後述する第1開閉弁及び第2開閉弁を制御することによって、バスケットBの設置領域の片側に配置されたノズル3と、バスケットBの設置領域のもう一方の片側に配置されたノズル3とに交互に洗浄水Xを導水する。
つまり、制御装置6は、プリント基板Pの一方側に配置されたノズル3からの洗浄水Xの噴射タイミングと、プリント基板Pの他方側に配置されたノズル3からの洗浄水Xの噴射タイミングとをずらす。
なお、以下の説明において、プリント基板Pの一方側に配置されたノズル3をノズルAと称し、プリント基板Pの他方側に配置されたノズル3をノズルBと称する。
【0055】
このような本実施形態の基板洗浄装置Sによれば、プリント基板Pの設置領域の一方側に配置されたノズルAからの洗浄水Xの噴射タイミングと、プリント基板Pの他方側に配置されたノズルBからの洗浄水Xの噴射タイミングとがずらされる。このため、プリント基板Pの一方側に配置されたノズルAから噴射された洗浄水Xとプリント基板Pの他方側に配置されたノズルBから噴射された洗浄水Xとが干渉することを防止し、洗浄水Xをプリント基板Pの狙った領域に到達させることができる。したがって、本実施形態の基板洗浄装置Sによれば、洗浄ムラを解消することが可能となる。
【0056】
次に、本実施形態の基板洗浄装置Sにおける洗浄水Xのフローに関する構成を、図11を参照して説明する。
【0057】
本実施形態の基板洗浄装置Sは、上述したノズルA、ノズルB、第1主洗浄排水弁5A、第2主洗浄排水弁5B及び予備洗浄排水弁5Cの他に、第1洗浄水タンク10(洗浄水タンク)、第2洗浄水タンク11(洗浄水タンク)、仕上げ洗浄水タンク12(洗浄水タンク)、給水弁13、共通配管14、オーバーフロー管15、ポンプ16、逆止弁17、タンク排水弁18、第1開閉弁19及び第2開閉弁20を有している。
そして、第1洗浄水タンク10、第2洗浄水タンク11、仕上げ洗浄水タンク12、給水弁13、オーバーフロー管15、ポンプ16、逆止弁17、タンク排水弁18、第1開閉弁19及び第2開閉弁20は、図1に示す収容部1Bに収容されている。なお、必ずしもこれらの全てを収容部1Bに収容する必要はなく、一部を例えば筐体1の外部等の収容部1Bの外部に設置しても良い。
【0058】
第1洗浄水タンク10は、後述する第1主洗浄あるいは予備洗浄(図12参照)に用いられる洗浄水Xを貯留するものであり、第1主洗浄排水弁5Aの直下に配置されている。
第2洗浄水タンク11は、後述する第2主洗浄あるいは第2予備洗浄(図12参照)に用いられる洗浄水Xを貯留するものであり、第2主洗浄排水弁5Bの直下に配置されている。
仕上げ洗浄水タンク12は、後述する仕上洗浄(図12参照)に用いられる洗浄水Xを貯留するものであり、給水弁13を介して外部より直接洗浄水Xを供給可能に構成されている。なお、給水弁13は、開口することにより仕上げ洗浄水タンク12への洗浄水Xの給水を行い、閉鎖することにより仕上げ洗浄水タンク12への洗浄水Xの給水を停止するものである。また、仕上げ洗浄水タンク12に供給される洗浄水Xとしては、純水を用いる。
【0059】
共通配管14は、本実施形態の基板洗浄装置Sが備える3つの洗浄水タンク(第1洗浄水タンク10、第2洗浄水タンク11及び仕上げ洗浄水タンク12)とノズル3とを接続する配管であり、洗浄水タンクからノズル3まで洗浄水Xを導水するものである。
オーバーフロー管15は、洗浄水タンクに規定量以上の洗浄水Xが流れ込んだ場合に、規定量を超える分を他の洗浄水タンクあるいは排水ドレンに緊急的に流すものであり、仕上げ洗浄水タンク12と第2洗浄水タンク11とを接続し、第2洗浄水タンク11と第1洗浄水タンク10とを接続し、さらには第1洗浄水タンク10と排水ドレンとを接続している。なお、仕上げ洗浄水タンク12と第2洗浄タンク11とを接続しているオーバーフロー管15は第2洗浄タンク11から仕上げ洗浄タンク12へ逆流がないように接続されている。同様に第2洗浄タンク11と第1洗浄タンク10とを接続しているオーバーフロー管15は第1洗浄タンク10から第2洗浄タンク11への逆流がないように接続されている。
【0060】
ポンプ16は、洗浄水タンクから共通配管14を介してノズルA,Bに洗浄水Xを圧送するものであり、第1洗浄水タンク10、第2洗浄水タンク11及び仕上げ洗浄水タンク12の各々、すなわち洗浄水タンクごとに設けられている。
より詳細には、第1洗浄水タンク10に設けられたポンプ16は、第1洗浄水タンク10に貯留された洗浄水XをノズルA,Bに圧送する。また、第2洗浄水タンク11に設けられたポンプ16は、第2洗浄水タンク11に貯留された洗浄水XをノズルA,Bに圧送する。また、仕上げ洗浄水タンク12に設けられたポンプ16は、仕上げ洗浄水タンク12に貯留された洗浄水XをノズルA,Bに圧送する。
【0061】
逆止弁17は、各ポンプ16の下流側に設置されており、上流側に位置するポンプ16が停止状態であっても、浄水タンクに洗浄水Xが逆流することを抑制するものである。
タンク排水弁18は、洗浄水タンクに貯留された洗浄水Xを排水ドレンに流すためのものであり、第1洗浄水タンク10、第2洗浄水タンク11及び仕上げ洗浄水タンク12の各々、すなわち洗浄水タンクごとに設けられている。
【0062】
第1開閉弁19は、開口することによりノズルAへの洗浄水Xの給水を行い、閉鎖することによりノズルAへの洗浄水Xの給水を停止するものである。
第2開閉弁20は、開口することによりノズルBへの洗浄水Xの給水を行い、閉鎖することによりノズルBへの洗浄水Xの給水を停止するものである。
【0063】
次に、このように構成された本実施形態の基板洗浄装置Sによる、プリント基板Pの洗浄工程について、図12のフローチャート及び図13〜図17のフロー図を用いて説明する。なお、図13〜図17のフロー図において、ハッチング及び太矢印によって示されている領域は、洗浄水Xが流れる経路を示している。
【0064】
まず、本実施形態の基板洗浄装置Sによる洗浄工程は、図12に示すように、予備洗浄(ステップS1)と、第1主洗浄(ステップS2)と、第2予備洗浄(ステップS3)と、第2主洗浄(ステップS4)と、仕上げ洗浄(ステップS5)と、給水(ステップS6)との複数の工程を有している。そして、これらの工程は、制御装置6の制御の下、行われる。
【0065】
予備洗浄(ステップS1)は、第1洗浄水タンク10に貯留した洗浄水Xを用いてプリント基板Pに付着した大きな異物を簡易的に洗い流す工程であり、第1洗浄水タンク10に設置されるポンプ16を駆動すると共に予備洗浄排水弁5Cを開放することによって行われる。
ここで、第1洗浄水タンク10に貯留した洗浄水Xは、図13に示すように、ポンプ16の駆動により逆止弁17及び共通配管14を介して交互に開閉される第1開閉弁19及び第2開閉弁20に到達し、ノズルA及びノズルBから交互に噴射され、最後には予備洗浄排水弁5Cを介して排水ドレンに流れる。
そして、プリント基板PがノズルA及びノズルBから噴射された洗浄水Xによって洗浄されることで予備洗浄される。
【0066】
第1主洗浄(ステップS2)は、予備洗浄(ステップS1)と同じ洗浄水Xを用いて本格的にプリント基板Pを洗浄する工程であり、第1洗浄水タンク10に貯留した洗浄水Xを繰り返しノズルA,Bを介してプリント基板Pに噴射することによってプリント基板Pを洗浄する。
具体的には、第1主洗浄(ステップS2)は、図14に示すように、第1洗浄水タンク10に設置されるポンプ16を駆動すると共に第1主洗浄排水弁5Aを開放することによって、洗浄水Xを第1洗浄水タンク10、ポンプ16、逆止弁17、共通配管14、第1開閉弁19(第2開閉弁20)及びノズルA(ノズルB)を介して循環させる。
そして、プリント基板Pは、このように循環される洗浄水Xによって洗浄されることで第1主洗浄される。
【0067】
なお、第1主洗浄(ステップS2)で用いられる洗浄水Xは、予備洗浄(ステップS1)で用いられた洗浄水Xが混合されないので、汚れの濃度上昇が抑えられている。
【0068】
第2予備洗浄(ステップS3)は、第1主洗浄(ステップS2)よりもさらに綺麗な洗浄水Xを用いて簡易的にプリント基板Pを洗浄する工程であり、第2洗浄水タンク11に設置されるポンプ16を駆動すると共に第1主洗浄排水弁5Aを開放することによって行われる。
ここで、第2洗浄水タンク11に貯留した洗浄水Xは、図15に示すように、ポンプ16の駆動により逆止弁17及び共通配管14を介して交互に開閉される第1開閉弁19及び第2開閉弁20に到達し、ノズルA及びノズルBから交互に噴射される。
そして、プリント基板PがノズルA及びノズルBから噴射された洗浄水Xによって洗浄されることで第2予備洗浄される。
【0069】
なお、上述の第1主洗浄(ステップS2)で用いられる洗浄水Xは、本洗浄工程よりも前に行われた洗浄工程における第1主洗浄(ステップ2)に用いられた洗浄水Xに第2予備洗浄(ステップS3)で用いられた洗浄水Xが混合したものであり、当然ながら第2予備洗浄(ステップS3)で用いられる洗浄水Xよりも汚いものである。
つまり、第2予備洗浄(ステップS3)で用いられる洗浄水Xは、第1主洗浄(ステップS2)で用いられる洗浄水Xよりも綺麗なものとなる。
【0070】
第2主洗浄(ステップS4)は、第2予備洗浄(ステップS3)と同じ洗浄水Xを用いて本格的にプリント基板Pを洗浄する工程であり、第2洗浄水タンク11に貯留した洗浄水Xを繰り返しノズルA,Bを介してプリント基板Pに噴射することによってプリント基板Pを洗浄する。
具体的には、第2主洗浄(ステップS4)は、図16に示すように、第2洗浄水タンク11に設置されるポンプ16を駆動すると共に第2主洗浄排水弁5Bを開放することによって、洗浄水Xを第2洗浄水タンク11、ポンプ16、逆止弁17、共通配管14、第1開閉弁19(第2開閉弁20)及びノズルA(ノズルB)を介して循環させる。
そして、プリント基板Pは、このように循環される洗浄水Xによって洗浄されることで第2主洗浄される。
【0071】
なお、第2主洗浄(ステップS4)で用いられる洗浄水Xは、第2予備洗浄(ステップS3)で用いられた洗浄水Xが混合されないので、汚れの濃度上昇が抑えられている。
【0072】
仕上げ洗浄(ステップS5)は、第2主洗浄(ステップS4)よりもさらに綺麗な洗浄水X(純水)を用いてプリント基板Pを仕上げ洗浄する工程であり、仕上げ洗浄水タンク12に貯留した洗浄水XをノズルA,Bを介してプリント基板Pに噴射することによってプリント基板Pを洗浄する。
具体的には、仕上げ洗浄(ステップS5)は、仕上げ洗浄水タンク12に設置されるポンプ16を駆動すると共に第2主洗浄排水弁5Bを開放することによって行われる。
ここで、仕上げ洗浄水タンク12に貯留した洗浄水Xは、図17に示すように、ポンプ16の駆動により逆止弁17及び共通配管14を介して交互に開閉される第1開閉弁19及び第2開閉弁20に到達し、ノズルA及びノズルBから交互に噴射される。
そして、プリント基板PがノズルA及びノズルBから噴射された洗浄水Xによって洗浄されることで仕上げ洗浄される。
【0073】
なお、上述の第2主洗浄(ステップS4)で用いられる洗浄水Xは、本洗浄工程よりも前に行われた洗浄工程における第2主洗浄(ステップ4)に用いられた洗浄水Xに仕上げ洗浄(ステップS5)で用いられた洗浄水Xが混合したものであり、当然ながら仕上げ洗浄(ステップS5)で用いられる洗浄水Xよりも汚いものである。
つまり、仕上げ洗浄(ステップS5)で用いられる洗浄水Xは、第2主洗浄(ステップS4)で用いられる洗浄水Xよりも綺麗なものとなる。
【0074】
給水(ステップS6)は、外部から仕上げ洗浄水タンク12に対して純水を洗浄水Xとして供給する工程であり、給水弁13が開放されることによって行われる。
そして、以上の工程が完了すると、本実施形態の基板洗浄装置Sは、待機状態となる。
【0075】
そして、プリント基板Pは、上述の予備洗浄(ステップS1)と、第1主洗浄(ステップS2)と、第2予備洗浄(ステップS3)と、第2主洗浄(ステップS4)と、仕上げ洗浄(ステップS5)とを経ることにより洗浄される。
【0076】
ここで、洗浄水Xについて着目すると、図12のフローチャートに示すように、純水として給水された洗浄水Xは、まず仕上げ洗浄(ステップS5)で用いられ、次回の洗浄工程において第2主洗浄(ステップS4)で用いられ、さらに次回の洗浄工程において第2予備洗浄(ステップS3)で用いられ、さらに次回の洗浄工程において第1主洗浄(ステップS2)で用いられ、さらに次回の洗浄工程において予備洗浄(ステップS1)で用いられる。
つまり、本実施形態の基板洗浄装置Sによれば、洗浄工程が有する工程ごとに新たな洗浄水Xを用いる必要がなく、洗浄水Xを全工程で順次使いまわすことができる。したがって、洗浄水Xの使用量を大幅に削減することが可能となる。
【0077】
また、本実施形態の基板洗浄装置Sによれば、複数の洗浄水タンク(第1洗浄水タンク10、第2洗浄水タンク11及び仕上げ洗浄水タンク12)とノズルA,B(3)とが共通配管14で接続されているため、ノズルA,B(3)から全ての洗浄水タンクに貯留された洗浄水Xを噴射することができる。つまり、洗浄水タンクに貯留される洗浄水Xの種類(使用される用途)を変えることにより、洗浄工程に含まれる全ての工程において同一のノズル3から洗浄水Xを噴射することができる。よって、本実施形態の基板洗浄装置Sによれば、配管を簡素化することが可能となる。
なお、本実施形態の基板洗浄装置Sによれば、各ポンプ16の下流に逆止弁17が設置されているため、他のポンプ16が駆動している間に、駆動していないポンプ16に洗浄水Xが逆流することを防止することができ、配管を簡素化しながら、全ての工程において確実な洗浄を行うことができる。
【0078】
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0079】
例えば、上記実施形態において、プリント基板Pの設置領域の片側に対して4本のシャワー管2を高さ方向に配列する構成について説明した。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、プリント基板Pの設置領域の片側に対して2本以上のシャワー管2を有する基板洗浄装置に適用することができる。
【0080】
また、上記実施形態においては、洗浄槽1A内に複数のプリント基板Pを等間隔で立設して配列する構成について説明した。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、洗浄槽1A内に一枚のみのプリント基板Pを配置する基板洗浄装置に適用することも可能である。
【符号の説明】
【0081】
1A……洗浄槽、1A1……洗浄水排出口、2……シャワー管、3(A,B)……ノズル、4……揺動機構(ノズル回動手段)、4a……モータ、4b……溝カム(カム)、4c……ロッド、4d……固定ブラケット、4e……回動バー、5……排水弁、5a……開閉蓋、5b……キャップ部、5c……第1移動機構(第1移動手段)、5c1……ソレノイド、5d……第2移動機構(第2移動手段)、5d2……ソレノイド、6……制御装置(制御手段)、10……第1洗浄水タンク(洗浄水タンク)、11……第2洗浄水タンク(洗浄水タンク)、12……仕上げ洗浄タンク(洗浄タンク)、14……共通配管、16……ポンプ、17……逆止弁、S……基板洗浄装置、X……洗浄水、P……プリント基板(基板)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄水を複数のノズルから噴射して基板に噴き付けることによって前記基板の洗浄を行う基板洗浄装置であって、
前記ノズルを当該ノズルからの前記洗浄水の噴射方向と交差する回転軸を中心に回動させることにより当該ノズルからの前記洗浄水の噴射方向を移動し、前記基板に対して相対的に近くに位置する前記ノズルを前記基板に対して相対的に遠くに位置する前記ノズルよりも速く回動するノズル回動手段を備えることを特徴とする基板洗浄装置。
【請求項2】
前記ノズル回動手段は、
モータと、該モータにより回転されるカムと、該カムによって往復直線移動されるロッドと、該ロッドに固定される固定ブラケットと、前記ノズルが形成されたシャワー管と前記固定ブラケットとを連結すると共に前記固定ブラケットの直線運動を回転運動として前記シャワー管に伝達する回動バーとを備え、
前記回動バーにおいて前記シャワー管から前記固定ブラケットとの連結箇所までの距離が当該シャワー管に形成された前記ノズルの回動速度に応じて設定されている
ことを特徴とする請求項1記載の基板洗浄装置。
【請求項3】
基板を挟んだ両側に配置された複数のノズルから洗浄水を噴射して前記基板に噴き付けることによって前記基板の洗浄を行う基板洗浄装置であって、
前記基板の一方側に配置されたノズルからの前記洗浄水の噴射タイミングと、前記基板の他方側に配置されたノズルからの前記洗浄水の噴射タイミングとをずらす制御手段を備えることを特徴とする基板洗浄装置。
【請求項4】
洗浄槽内部において洗浄水を複数のノズルから噴射して基板に噴き付けることによって前記基板の洗浄を行う基板洗浄装置であって、
前記洗浄槽の底部に設けられた洗浄水排出口を閉鎖可能に構成されると共に自重により移動することで前記洗浄水排出口を開口する前記開閉蓋と、
前記開閉蓋を下方から支えることによって前記開閉蓋によって前記洗浄水排出口を閉鎖するキャップ部と、
該キャップ部を前記開閉蓋の下方から外れる位置と前記開閉蓋の下方位置との間で移動する第1移動手段と、
自重により移動した前記開閉蓋を前記洗浄水排出口が閉鎖される位置に戻す第2移動手段と
を備えることを特徴とする基板洗浄装置。
【請求項5】
前記第1移動手段及び前記第2移動手段は、動力源としてソレノイドを備えることを特徴とする請求項4記載の基板洗浄装置。
【請求項6】
洗浄水を複数のノズルから噴射して基板に噴き付けることによって前記基板の洗浄を行う基板洗浄装置であって、
複数の洗浄水タンクと、
全ての前記洗浄水タンクと前記ノズルとを接続する共通配管と、
前記洗浄水タンクごとに設けられると共に当該洗浄水タンクから前記共通配管を介して前記ノズルに前記洗浄水を圧送するポンプと、
各前記ポンプの下流に設置される逆止弁と
を備えることを特徴とする基板洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−92891(P2011−92891A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−250401(P2009−250401)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(000232357)横河電子機器株式会社 (109)
【Fターム(参考)】