説明

基板用端子

【課題】電気部品のタブ端子の挿抜作業が容易であり、電気部品のタブ端子を接続部との接触状態に保持して導通信頼性を安定して確保することができる、新規な構造の基板用端子を提供すること。
【解決手段】電気部品54のタブ端子56が挿入されて該タブ端子56の厚さ方向両側から押圧状態で当接する、相互に対向配置された一対の弾性舌片26a,26bからなる導通部27と、前記一対の弾性舌片26a,26bの対向面間が上方に開放された上方挿入口31と、前記一対の弾性舌片26a,26bの対向面間が両側方の一方の側に開放された側方挿入口32と、前記一対の弾性舌片26a,26bの対向面間の両側方の他方の側を覆うガイド部44とを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板の導電路に対して電気部品を接続するための基板用端子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、プリント基板の導電路に対して、ヒューズやリレー等の電気部品を接続するために、基板用端子が用いられている。このような基板用端子としては、例えば、特開2003−217437号公報(特許文献1)に記載されているように、一端側にプリント基板のスルーホールに挿通されて半田付けされる固定脚部を備える一方、他端側に電気部品のタブ端子が接続される二股状の圧接刃から構成された接続部を備えた音叉形状の基板用端子が広く用いられている。
【0003】
ところで、このような従来構造のプリント基板用端子においては、二股状の圧接刃間に電気部品のタブ端子を挿入して圧接させることにより、基板用端子の接続部と電気部品のタブ端子との接続を確保するようになっている。それ故、二股状の圧接刃間の距離やばね力を所定範囲に安定して維持することが、接続信頼性を確保する観点から重要となる。
【0004】
しかしながら、音叉形状の中継端子は、圧接刃が外部に露呈していることから、輸送時等に変形する場合があった。また、圧接刃が一旦変形すると、タブ端子との接触面積(導通面積)が小さいことと相俟って、所期の接続信頼性が確保し難く、タブ端子との導通不良を起こすおそれもあった。さらに、圧接刃間のばね力が高く設定されていることから、電気部品のタブ端子を圧接刃間に挿抜する際に大きな挿抜力が必要となり、作業者の負担となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−217437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、電気部品のタブ端子の挿抜作業が容易であり、電気部品のタブ端子を接続部との接触状態に保持して導通信頼性を安定して確保することができる、新規な構造の基板用端子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の態様は、プリント基板の導電路に対して電気部品を接続するための基板用端子であって、前記プリント基板に向かって下方に突設されて該プリント基板のスルーホールに半田付けされる固定脚部と、前記電気部品のタブ端子が挿入されて該タブ端子の厚さ方向両側から押圧状態で当接される相互に対向配置された一対の弾性舌片からなる導通部と、前記一対の弾性舌片の対向面間が上方に開放されることによって構成された上方挿入口と、前記一対の弾性舌片の対向面間が両側方のうち一方の側に開放されることによって構成された側方挿入口と、前記一対の弾性舌片の対向面間における両側方のうち他方の側を覆うガイド部とを、備えていることを、特徴とする。
【0008】
本発明に従う構造とされた基板用端子によれば、電気部品への接続部を、一対の弾性舌片で構成した。これにより、電気部品の挿抜作業時に必要な力を、従来の圧接刃等の場合に比して小さくすることが出来て、挿抜作業を容易にすることが出来る。また、タブ端子の両側から弾性舌片を押圧接触させることにより、圧接刃等に比して導通面積をより大きく確保することが出来、導通信頼性をより安定して確保することが出来る。
【0009】
すなわち、従来の音叉形状の端子では、金属板の打ち抜き加工で音叉形状が形成されていた。それ故、一対の圧接刃は、金属板の板面方向で対向形成されており、板面方向でのばね特性に基づいて電気部品のタブ端子を挟み込んで当接保持していた。しかし、このような構造では、一対の圧接刃の挟み込み方向でのばねは、その断面係数(Z)が大きいが故に期待し難い。要するに、断面係数(Z)が大きいから曲がり難く、一対の圧接刃の対向面間隙間に高度な寸法精度が要求される。一方、一対の圧接刃は、金属板の板厚方向となる相互こじれ方向においては、断面係数(Z)が比較的小さいことから強度を確保し難く、曲がり変形し易い。それ故、搬送時やストック時等において、何等かの外力が加えられると、一対の圧接刃が相互こじれ方向に変形し易い。こじれ方向の変形が発生すると、一対の圧接刃は、その対向面を構成する刃厚寸法が小さいことから、対向面が相互にずれてしまって、タブ端子に対する有効な挟み込みが困難となるという問題があった。
【0010】
これに対して、本発明の基板用端子によれば、所定幅の金属板を板厚方向で対向させた一対の弾性舌片の挟み込みで、電気部品のタブ端子が導通される。従って、板面方向となる弾性舌片の幅方向でタブ端子に対する接触面積を大きく確保することが出来る。しかも、板厚方向のばね特性を利用してタブ端子への当接力(挟み込み力)を得ることが出来る。板厚方向であれば、弾性的な当接力を、有効ストローク量を確保して容易に実現することが出来る。また、一対の弾性舌片の相互のこじり方向の変形も、大きな断面係数(Z)に基づいて効果的に防止することが可能となる。
【0011】
さらに、本発明の基板用端子によれば、上方挿入口に加えて、側方挿入口を備えている。これにより、弾性舌片の対向面の側方にはみ出す程に大きなタブ端子であっても、タブ端子を側方挿入口から突出させることによって弾性舌片間に挿入することが出来る。従って、例えば、所謂低背タイプのヒューズのように、タブ端子の部品本体からの突出量が小さく、部品本体の一部が一対のタブ端子間に介在するヒューズでも、一対の基板用端子を、各側方挿入口を対向位置させて所定間隔を隔てて基板に装着することにより、それぞれの側方挿入口から側方にタブ端子を突出させて、部品本体を両基板用端子の間に挿入することによって、低背ヒューズの装着部を容易に実現することが出来る。
【0012】
更にまた、一対の弾性舌片の対向面間の他方の側には、ガイド部を備えている。これにより、電気部品のタブ端子が弾性舌片の対向面間からスライドして抜け出すことを阻止することが出来る。その結果、電気部品のタブ端子と一対の弾性舌片との接触状態をより安定的に保持して、導通信頼性を安定して確保することが出来る。
【0013】
本発明の第二の態様は、前記第一の態様に記載のものにおいて、前記一対の弾性舌片の対向面間の下方に位置して底板部が設けられているものである。このようにすれば、基板用端子の全体強度を向上することが出来る。また、底板部に電気部品のタブ端子を接触させることによって、電気部品の基板用端子への挿入端の位置を規定することも可能となる。
【0014】
本発明の第三の態様は、前記第二の態様に記載のものにおいて、前記底板部の外周縁部から一対の側板が平行に突設されており、該一対の側板の少なくとも一部が相互に接近する方向に屈曲されて前記一対の弾性舌片が形成されていると共に、それら一対の側板の各対応する一方の側縁部を相互に連結する連結部が設けられており、該連結部によって前記ガイド部が構成されているものである。
【0015】
本態様によれば、一対の弾性舌片を連結部で相互に連結することによって、両側方の一方に開放された側方開口部を設けた場合に問題となり得る弾性舌片の開きを阻止することが出来る。また、連結部をガイド部として使用することによって、少ない部品点数で、弾性舌片の開きの阻止と電気部品の側方からの抜け出し防止を同時に実現することが出来る。
【0016】
本発明の第四の態様は、基板用端子によって電気部品と接続されるプリント基板であって、前記第一〜第三の何れか一つの態様に記載の前記基板用端子の一対が、前記側方挿入口を互いに対向位置させた状態で所定距離を隔てて前記プリント基板に設けられていることを特徴とするプリント基板にある。
【0017】
このようなプリント基板によれば、本発明に従う構造とされた基板用端子の一対を、側方挿入口を互いに対向させて配設することによって、電気部品の装着部を構成することが出来る。そして、このような電気部品の装着部によれば、一対の基板用端子の間に電気部品を挟むように装着出来ることから、例えば前述の如き所謂低背ヒューズの装着部を好適に構成することが出来る。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、開き変形が比較的容易な一対の弾性舌片によって、電気部品のタブ端子を両側から押圧状態で当接するようにした。これにより、従来の圧接刃等に比して、電気部品の挿抜を小さい力で容易に行なうことが出来る。更に、一対の弾性舌片によって所定幅寸法をもってタブ端子と接触することによって、タブ端子との導通信頼性を安定して確保することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第一の実施形態としての基板用端子の斜視図。
【図2】図1に示した基板用端子の正面図。
【図3】図1に示した基板用端子の平面図。
【図4】図1に示した基板用端子によって構成されたヒューズ装着部へのヒューズの装着状態を示す斜視図。
【図5】本発明の第二の実施形態としての基板用端子の正面図。
【図6】本発明の第三の実施形態としての基板用端子の斜視図。
【図7】図6に示した基板用端子の正面図。
【図8】図6に示した基板用端子の平面図。
【図9】本発明の第四の実施形態としての基板用端子の斜視図。
【図10】図9に示した基板用端子の正面図。
【図11】図9に示した基板用端子の平面図。
【図12】本発明の第五の実施形態としての基板用端子の斜視図。
【図13】図12に示した基板用端子の正面図。
【図14】図12に示した基板用端子の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0021】
先ず、図1〜図3に、本発明の第一の実施形態としての基板用端子10を示す。なお、以下の説明において、特に断りの無い限り、上下方向とは、図2における上下方向を言う。基板用端子10は、表面にメッキが施された例えば鉄や銅、黄銅などの導電性金属板が展開形状でプレス打ち抜き加工されて、屈曲されることによって形成された一体成形品とされており、上方および側方の一方に開口する略箱形状とされている。
【0022】
基板用端子10には、底板部12が形成されている。底板部12は、略矩形の板形状を有している。底板部12における一対の対角位置には、下方に突出する固定脚部14,14が形成されている。これら固定脚部14,14は、底板部12において対向する一対の外周縁部16a,16bから外方に突出する突片が下方に屈曲されることにより、底板部12に一体形成されている。
【0023】
また、底板部12において外周縁部16a,16bと異なる一対の外周縁部16c,16dには、側板18a,18bがそれぞれ形成されている。側板18a,18bは、底板部12の外周縁部16c,16dから互いに平行に、上方に突設されている。これにより、側板18a,18bは、互いに所定距離を隔てて対向位置されている。更に、側板18a,18bの上端縁部が開放されることにより、基板用端子10には、上方に開口する上方開口部20が形成されている。それと共に、側板18a,18bの一方の側縁部22aが開放されることにより、基板用端子10には、側方に開口する側方開口部24が形成されている。これら側板18a,18bは、底板部12の外周縁部16c,16dから外方に突出する突片がそれぞれ上方に屈曲されることにより、底板部12に一体形成されている。
【0024】
そして、側板18a,18bには、それぞれ、弾性舌片26a,26bが形成されており、これら一対の弾性舌片26a,26bによって、導通部27が構成されている。弾性舌片26a,26bは、それぞれの側板18a,18bが中央部分を残して打ち抜かれると共に、残された中央部分が側板18a,18bの板厚方向で、対向方向の内方に叩き加工等で突出されることにより、側板18a,18bに一体形成されている。これにより、一対の弾性舌片26a,26bは、それぞれ、所定幅寸法を有する板形状を有しており、その上端縁部28と下端縁部30が何れも側板18a,18bに連結されている。そして、弾性舌片26a,26bは板厚方向で、側板18a,18bの対向方向で相互に接近する方向に屈曲されて、所定距離を隔てて相互に対向位置されている。これにより、弾性舌片26a,26bの対向面間には、上方開口部20を通じて上方に開放された上方挿入口31が形成されていると共に、側方開口部24を通じて両側方の一方に開放された側方挿入口32が形成されている。また、弾性舌片26a,26bの対向面間の下方に位置して、底板部12が設けられている。
【0025】
なお、弾性舌片26a,26bは、上端縁部28と下端縁部30の間の中央部33において相互に最も接近されており、これら一対の弾性舌片26a,26bの中央部33,33における対向距離:dが、後述するヒューズ54のタブ端子56の厚さ寸法よりも僅かに小さくされている。また、図2から明らかなように、弾性舌片26a,26bは、上端縁部28および下端縁部30から中央部33にかけて緩やかに傾斜して突出されており、後述するタブ端子56を弾性舌片26a,26bの対向面間に滑らかに案内出来るようにされている。
【0026】
そして、側板18a,18bが部分的に切り起こされて弾性舌片26a,26bが形成されていることにより、弾性舌片26a,26bの周囲には、保護板部34が形成されている。保護板部34は、弾性舌片26a,26bの上方および下方と、側方挿入口32側の側方に位置して、側方挿入口32と反対側に開口する略コの字の板形状とされている。従って、本実施形態における側板18a,18bは、それぞれ、弾性舌片26a(26b)と保護板部34によって構成されている。
【0027】
さらに、側板18a,18bにおいて、側方開口部24と反対側の側縁部22b,22bには、連結板部36a,36bがそれぞれ一体形成されている。連結板部36a,36bは、側板18a,18bの側縁部22b,22bから連続して、側板18a,18bと等しい上下方向寸法を有する板形状とされている。そして、一方の連結板部36aには、他方の連結板部36bに向けて突出して、突出方向に拡開する略台形状の嵌合片38が形成されていると共に、他方の連結板部36bには、嵌合片38に対応する形状の嵌合切欠40が形成されている。
【0028】
これら連結板部36a,36bは、底板部12の外周縁部16c,16dから突出形成された、側板18aと連結板部36aを合わせた展開形状を有する突片と、側板18bと連結板部36bを合わせた展開形状を有する突片のそれぞれが、外周縁部16c,16dにおいてそれぞれ立ち上げられることにより側板18a,18bが形成されると共に、側板18a,18bの側縁部22b,22bからの突出部分が側板18a,18bに対して直交する方向にそれぞれ屈曲されることによって、連結板部36a,36bが形成される。そして、連結板部36a,36bを屈曲するに際して、嵌合片38と嵌合切欠40が互いに嵌め合わされる。これにより、連結板部36a,36bが相互に連結されて、側板18a,18bの側縁部22b, 22bが、これら連結板部36a,36bによって相互に連結されている。このように、本実施形態においては、連結板部36a,36bによって連結部42が構成されている。
【0029】
そして、連結部42が側方開口部24と反対側に設けられることにより、一対の弾性舌片26a,26bの対向面間における両側方のうち、側方挿入口32と反対の側方が、連結部42で覆われるようになっている。このように、本実施形態においては、連結部42によってガイド部44が構成されており、ガイド部44は、一対の側板18a,18bにおいて一方の側縁部22b, 22bを相互に連結すると共に、側板18a,18bと等しい上下方向寸法を有する壁部とされている。
【0030】
このような基板用端子10は、上述のように、導電性金属板が底板部12、固定脚部14、および側板18a,18bを含んだ展開形状でプレス打ち抜き加工されて屈曲されることによって形成されている。これにより、基板用端子10は、これら底板部12、固定脚部14、および側板18a,18bを備えた一体成形品とされている。従って、図示は省略するが、基板用端子10は、一枚の金属板に複数個分の展開形状を連続して形成することも出来る。
【0031】
このような構造とされた基板用端子10は、例えば、図4に示すように、一対の基板用端子10, 10がそれぞれの側方挿入口32, 32を互いに対向させて、所定距離を隔てた状態でプリント基板46に取り付けられることにより、本発明に従う構造とされたプリント基板46を構成する。それぞれの基板用端子10は、底板部12からプリント基板46に向けて突出された固定脚部14,14が、プリント基板46に貫設されたスルーホール48に挿通されて半田付けされることにより、プリント基板46に取り付けられると共に、プリント基板46上に設けられた導電路50と電気的に接続される。これにより、一対の基板用端子10, 10によって、ヒューズ装着部52が構成される。
【0032】
そして、ヒューズ装着部52には、電気部品としてのヒューズ54が装着される。ヒューズ54は従来公知の所謂低背ヒューズであり、一対のタブ端子56, 56を有すると共に、それら一対のタブ端子56, 56の間に設けられた図示しない溶断部が、部品本体としてのケース58内に収容された構造とされている。これにより、ヒューズ54は、一対のタブ端子56, 56の間にケース58が介在された構造とされている。そして、ヒューズ54のタブ端子56, 56が、それぞれ、基板用端子10の上方開口部20を通じて、弾性舌片26a,26bの上方挿入口31から弾性舌片26a,26bの対向面間に挿入される。弾性舌片26a,26bの対向面間距離:dは、タブ端子56の厚さ寸法よりもやや小さくされていることから、タブ端子56は、弾性舌片26a,26bを押し広げつつ、弾性舌片26a,26b間に挿入される。そして、弾性舌片26a,26bの相互に接近する方向の復元力によって、タブ端子56は、一対の弾性舌片26a,26bに厚さ方向の両側から押圧状態で当接保持される。これにより、ヒューズ54が、ヒューズ装着部52に装着されて、基板用端子10,10を介して、プリント基板46の導電路50と電気的に接続される。
【0033】
本実施形態に従う構造とされた基板用端子10によれば、ヒューズ54のタブ端子56が、一対の弾性舌片26a,26bで当接保持される。そして、弾性舌片26a,26bが所定の幅寸法を有していることから、弾性舌片26a,26bのタブ端子56への食い込みを抑えることが出来て、挿入力の低減を図ることが出来る。更に、弾性舌片26a,26bは、従来の音叉形状の端子のように、金属板の板厚面でタブ端子56に接触するのではなく、板平面でタブ端子56に接触することから、弾性舌片26a,26bとタブ端子56との接触面積をより大きく確保することが可能となり、導通信頼性の向上を図ることが出来る。また、弾性舌片26a,26bの板厚方向のばね特性を利用してタブ端子56への当接力を得ることにより、有効ストローク量を容易に確保出来ることから、挿抜力の増大を防ぎつつ、安定した導通信頼性を得ることの出来る当接力を、容易に設定することが出来る。一方、弾性舌片26a,26bの相互のこじり方向の変形は、板面方向の大きな断面係数(Z)に基づいて、効果的に防止することが出来る。
【0034】
さらに、本実施形態における基板用端子10によれば、側方挿入口32によって弾性舌片26a,26bの対向面間が両側方の一方に開口されていることから、所謂低背のヒューズ54のように、タブ端子56が両側方に開放されていないものでも、側方挿入口32からタブ端子56の側方を突出させることによって接続することが出来る。これにより、一対の基板用端子10,10の側方挿入口32,32を互いに対向させてヒューズ装着部52を構成することによって、側方挿入口32,32の間にケース58を挿入してヒューズ54を接続することが可能となるのであり、プリント基板46からの突出寸法を抑えつつ、ヒューズ装着部52を構成することが出来る。
【0035】
加えて、弾性舌片26a,26bの対向面間において、側方挿入口32と反対の側方は、ガイド部44で覆われている。これにより、タブ端子56がスライドして側方挿入口32の反対側から抜け出すことが阻止されており、一対の基板用端子10,10のガイド部44,44でヒューズ54を両側から挟むことによって、ヒューズ54をより安定的に保持することが出来る。また、一対のガイド部44,44でヒューズ54を案内することによって、ヒューズ54の挿抜をより安定的且つ円滑に行うことも出来る。
【0036】
また、弾性舌片26a,26bの周囲に、保護板部34が形成されている。これにより、弾性舌片26a,26bを他部材との接触等から保護して、弾性舌片26a,26bの変形を防止することが出来る。特に、保護板部34が弾性舌片26a,26bの上方にも位置されていることから、有効な保護効果を得ることが出来る。更に、ガイド部44と保護板部34が協働して、弾性舌片26a,26bを略全周に亘って囲むようにされており、より優れた保護効果が発揮されるようになっている。
【0037】
更にまた、保護板部34が弾性舌片26a,26bの周囲を囲むことによって、基板用端子10の全体強度の向上を図ることが出来る。また、弾性舌片26a,26bが上端縁部28と下端縁部30の両方で保護板部34に連結されていることから、弾性舌片26a,26bの変形をより効果的に抑えることが出来て、安定した弾性復元力を長期に亘って確保することも出来る。そして、これら弾性舌片26a,26bおよび保護板部34,34が形成された側板18a,18bが、連結部42で相互に連結されていることにより、側板18a,18b引いては弾性舌片26a,26bの開きをより効果的に抑えることが出来る。
【0038】
加えて、底板部12が設けられて、側板18a,18bが、下端縁部において底板部12で相互に連結されていることから、基板用端子10の全体強度がより向上されている。なお、底板部12にタブ端子56を接触させることによって、タブ端子56の挿入端を規定することも可能である。更に、固定脚部14,14が底板部12の対角に位置されていることから、タブ端子56が挿入される弾性舌片26a,26bの対向面間の両側に固定脚部14,14をバランス良く配設して、タブ端子56を挿入する際の押圧力に対する支持力を効果的に確保することも出来る。
【0039】
次に、図5に、本発明の第二の実施形態としての基板用端子70を示す。なお、以下の説明において、前記第一の実施形態と同様の構造とされた部材および部位には、図中に前記実施形態と同一の符号を付すことにより、その説明を適宜に省略する。
【0040】
基板用端子70は、前記第一の実施形態としての基板用端子10と略同様の構造とされており、弾性舌片26a,26bの下端縁部30が側板18a,18bに連結されていない自由端とされたものである。本実施形態から明らかなように、弾性舌片26a,26bは、必ずしも上端縁部28と下端縁部30の両方が側板18a,18bに連結されていなくとも良い。
【0041】
次に、図6〜図8に、本発明の第三の実施形態としての基板用端子80を示す。基板用端子80は、前記第一の実施形態としての基板用端子10に比して、より大きな上下方向寸法を有している。そして、側板18a,18bにおいて、連結部42と反対側の側縁部22a,22aには、前板84a,84bがそれぞれ形成されている。前板84a,84bは側板18a,18bから連続して一体形成されており、側板18a,18bが側縁部22a,22aで屈曲されることにより、底板部12の外周縁部16aに沿って配設されている。
【0042】
これら前板84a,84bは、互いの側端面86,86が側板18a,18bの対向方向で所定距離を隔てて対向位置されており、これら互いの側端面86,86の間に側方開口部24が形成されている。これにより、弾性舌片26a,26b
の側方挿入口32が、側方開口部24を通じて側方に開放されている。なお、側端面86,86の対向距離は、タブ端子56が挿通可能なように、タブ端子56の厚さ寸法よりも大きくされている。
【0043】
また、前板84a,84bの側端面86,86における下端部には、他方の側端面86に向けて突出する嵌合片88a,88bがそれぞれ形成されている。これら嵌合片88a,88bは、一方の嵌合片88aが他方の嵌合片88bの下方に位置するように形成されており、他方との対向部分に三角形状の切欠90,90がそれぞれ形成されることにより、一方の脚部が傾斜辺とされた台形状とされている。
【0044】
そして、展開形状とされた前板84a,84bが側板18a,18bの側縁部22a,22aから側板18a,18bに対して直交する方向にそれぞれ屈曲されるに際して、両嵌合片88a,88bが、他方の切欠90,90に相互に入り込んで、互いに嵌め合わされる。これにより、嵌合片88a,88bの嵌まり合いの境界線は、Z字形状とされている。そして、前板84a,84bが下端部において両嵌合片88a,88bで相互に連結されることにより、側板18a,18bの側縁部22a,22aが、前板84a,84bを介して相互に連結されている。このように、本実施形態においては、両嵌合片88a,88bによって、第二連結部92が構成されている。第二連結部92は、両嵌合片88a,88bが相互に嵌まり合うことによって、前板84a,84bの下端部を相互に連結する矩形板形状とされている。これにより、本実施形態における側方開口部24は、基板用端子80の上端縁部から第二連結部92にまで至るスリット形状とされている。
【0045】
このような基板用端子80によれば、前板84a,84bにより、弾性舌片26a,26bにおける側方挿入口32側の側面を覆うことが出来て、弾性舌片26a,26bをより効果的に保護することが出来る。また、側方開口部24がスリット形状とされることから、側方開口部24でタブ端子56を案内することも出来て、ヒューズ54の挿抜作業をより容易にすることも出来る。
【0046】
さらに、本実施形態によれば、連結部42に加えて第二連結部92を設けたことにより、側板18a,18bが、両方の側縁部22a,22bにおいて相互に連結されている。これにより、側板18a,18b、延いては弾性舌片26a,26bの開きをより効果的に抑えることが出来る。また、本実施形態における基板用端子80は、上下寸法が前記第一の実施形態における基板用端子10よりも大きくされていることから、タブ端子のケースからの突出寸法が大きな所謂ミニヒューズ等にも好適に採用することが出来る。
【0047】
次に、図9〜図11に、本発明の第四の実施形態としての基板用端子100を示す。基板用端子100には、底板部12における外周縁部16c,16dから上方に突出する側板18a,18bが形成されている。そして、側板18a,18bの上側部分が相互に接近する方向に屈曲されることにより、弾性舌片26a,26bが形成されている。これにより、弾性舌片26a,26bの上端縁部28は自由端とされている。なお、側板18a,18bは、弾性舌片26a,26bにおいて幅寸法がやや小さくされている。
【0048】
そして、側板18bにおける一方の側縁部22bには、他方の側板18aに向けて延び出す連結部104が一体形成されている。連結部104は側板18bの側縁部22bから、底板部12の外周縁部16bに沿って他方の側板18aの外面106にまで延び出す板形状とされており、その延出端部には、他方の側板18aの外面106に係止される係止片107が形成されている。これにより、一対の側板18a,18bが、それぞれの側縁部22b,22bにおいて、連結部104で相互に連結されて、弾性舌片26a,26bの開きが抑えられるようになっている。
【0049】
さらに、連結部104には、ガイド部108が一体形成されている。ガイド部108は、連結部104から上方に突出する板形状とされており、弾性舌片26a,26bの対向面間の両側方の一方の側に位置されている。これにより、弾性舌片26a,26bの対向面間の両側方の一方の側がガイド部108で覆われると共に、他方の側が開放された側方挿入口32とされている。
【0050】
このような構造とされた基板用端子100によれば、弾性舌片26a,26bが側板18a,18bの略全体を屈曲させて形成されている。これにより、弾性舌片26a,26bの有効面積延いてはばね特性を有効に確保しつつ、基板用端子100の全体寸法のコンパクト化を図ることが出来る。また、本実施形態の連結部104から明らかなように、連結部は、側板18a,18bを相互に嵌合して連結するものに限定されず、側板18a,18bを相互に係止して連結するものでも良い。
【0051】
次に、図12〜図14に、本発明の第五の実施形態としての基板用端子110を示す。基板用端子110の側板18a,18bの上側部分には、前記第四の実施形態としての基板用端子100(図9〜図11参照)と同様の弾性舌片26a,26bが一体形成されている。
【0052】
そして、側板18a,18bのそれぞれにおける一方の側縁部22b,22bには、他方に向けて延びる連結板部112a,112bが一体形成されている。これら連結板部112a,112bの延出端部には、前記第三の実施形態(図6〜図8参照)の嵌合片88a,88bと略同様の形状とされた嵌合片114a,114bが形成されている。そして、展開形状とされた連結板部112a,112bが側板18a,18bの側縁部22b,22bから底板部12に向けてそれぞれ屈曲されるに際して、両嵌合片114a,114bが互いに嵌め合わされる。これにより、連結板部112a,112bが相互に連結されて、側板18a,18bの側縁部22b, 22bが相互に連結されるようになっており、これら連結板部112a,112bによって、連結部116が形成されている。
【0053】
さらに、連結板部112bには、ガイド部118が一体形成されている。ガイド部118は、連結板部112bの側板18bからの延出端部において、上方に突出する板形状とされている。そして、弾性舌片26a,26bの対向面間の両側方の一方の側がガイド部118が位置されて覆われることにより、他方の側が開放された側方挿入口32とされている。
【0054】
一方、側板18a,18bにおける他方の側縁部22a,22aには、保護突片120,120が一体形成されている。保護突片120,120は、側縁部22a,22aから上方に突出する板形状とされており、弾性舌片26a,26bに対して、側方挿入口32の開口方向で離隔して位置されている。保護突片120の高さ寸法は、弾性舌片26a,26bの高さ寸法より僅かに小さくされている。
【0055】
本実施形態によれば、保護突片120,120を設けたことによって、ガイド部118と協働して、弾性舌片26a,26bを他部材との接触からより効果的に保護することが出来る。また、保護突片120,120でヒューズ54のケース58を案内して、ヒューズ54の挿抜をより安定的に行なうことも出来る。
【0056】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、前記各実施形態における底板部12は必ずしも必要ではなく、スルーホール48に挿通される固定脚部14,14を側板18a,18bから突出形成する等しても良い。なお、固定脚部の個数や形成位置についても何等限定されるものではない。
【0057】
また、前記第四の実施形態としての基板用端子100(図9〜図11参照)等からも明らかなように、前記第一の実施形態等において弾性舌片26a,26bの周囲を保護する保護板部34は必ずしも必要ではないが、保護板部34を形成する場合には、保護板部34は弾性舌片26a,26bを全周に亘って囲むものでも良いし、弾性舌片26a,26bの周囲の部分的に囲むものでも良い。
【0058】
さらに、本発明に従う構造とされた基板用端子は、側方挿入口の向きを適宜に設定してプリント基板に配設することによって、リレーなどの多種の電気部品の装着部を構成することが可能である。また、側方挿入口を対向させてプリント基板上に配設する場合には、装着される電気部品のタブ間距離に合わせて、対向する側方挿入口間の距離を任意に設定することが可能である。従って、装着される電気部品は低背ヒューズに限定されるものではなく、タブ端子がケースから突出された所謂ミニヒューズなどでも良い。
【符号の説明】
【0059】
10,70,80,100,110:基板用端子、12:底板部、14:固定脚部、16a〜d:外周縁部(底板部)、18a,b:側板、20:上方開口部、22a,b:側縁部(側板)、24:側方開口部、26a,b:弾性舌片、27:導通部、31:上方挿入口、32:側方挿入口、42,104,116:連結部、44,108,118:ガイド部、46:プリント基板、48:スルーホール、50:導電路、54:ヒューズ、56:タブ端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板の導電路に対して電気部品を接続するための基板用端子であって、
前記プリント基板に向かって下方に突設されて該プリント基板のスルーホールに半田付けされる固定脚部と、前記電気部品のタブ端子が挿入されて該タブ端子の厚さ方向両側から押圧状態で当接される相互に対向配置された一対の弾性舌片からなる導通部と、前記一対の弾性舌片の対向面間が上方に開放されることによって構成された上方挿入口と、前記一対の弾性舌片の対向面間が両側方のうち一方の側に開放されることによって構成された側方挿入口と、前記一対の弾性舌片の対向面間における両側方のうち他方の側を覆うガイド部とを、備えていることを特徴とする基板用端子。
【請求項2】
前記一対の弾性舌片の対向面間の下方に位置して底板部が設けられている請求項1に記載の基板用端子。
【請求項3】
前記底板部の外周縁部から一対の側板が平行に突設されており、該一対の側板の少なくとも一部が相互に接近する方向に屈曲されて前記一対の弾性舌片が形成されていると共に、それら一対の側板の各対応する一方の側縁部を相互に連結する連結部が設けられており、該連結部によって前記ガイド部が構成されている請求項2に記載の基板用端子。
【請求項4】
基板用端子によって電気部品と接続されるプリント基板であって、
請求項1〜3の何れか1項に記載の前記基板用端子の一対が、前記側方挿入口を互いに対向位置させた状態で所定距離を隔てて前記プリント基板に設けられていることを特徴とするプリント基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−171016(P2011−171016A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−31752(P2010−31752)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】