説明

基板研磨装置

【課題】研磨中の被研磨基板の被研磨面の膜状態を精度良く、且つ安定して観測できる基板膜厚モニター装置を有する基板研磨装置を提供すること。
【解決手段】研磨材12に設けた貫通孔41を通し、照射光用光ファイバ43により被研磨基板21の研磨面に光を照射し、反射された反射光を反射光用光ファイバ44により受光する光学系と、受光した反射光を分析処理する分析処理手段を備え、被研磨基板21の薄膜の研磨進行状況を監視する基板膜厚モニター装置を有する基板研磨装置であって、貫通孔41に透明液Qを供給する給液孔42を定盤10に設け、該給液孔42は透明液Qが被研磨基板21の被研磨面21aに対し略垂直に進み、且つ貫通孔41を満たすよう配置形成され、各光ファイバ43、44は略垂直に進む流れ部分の透明液Qを通るよう配置され、貫通孔41に連通した流体流路に透明液Qを制御する電磁弁を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体ウエハ等の被研磨基板を研磨する基板研磨装置に関し、特に研磨中の被研磨基板の被研磨面の膜厚状態(膜厚測定に限らず残っている膜の状態等)をリアルタイムで連続的に監視する基板膜厚モニター装置を有する基板研磨装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種の基板研磨装置に用いる基板膜厚測定技術としては、例えば特許文献1に開示された基板膜厚測定装置がある。該基板膜厚測定装置は基板の被測定面に柱状の水流を当接させ、照射用光ファイバ及び該水流を通して基板の被測定面に光を照射させ、該被測定面で反射される反射光を水流及び受光用ファイバを通して受光し、該受光した反射光強度から被測定面の膜厚を測定するようにしたものである。
【0003】
上記基板膜厚測定装置においては、基板の被測定面に柱状の水流を当接させ、該水流を通して基板の被測定面に光を照射し、反射光を受光するので、該水流の被測定面の当接部周縁が水滴等で変動し一定せず不安定になって、安定して膜厚を精度良く測定できないことがあるという問題があった。
【0004】
また、同種の技術として、特許文献2に開示された研磨終点検出機構がある。該研磨終点検出機構は、定盤の表面の窪み内に先端の投受光面が臨むように取り付けられた光ファイバと、先端が窪み内に開口する洗浄液供給用の流路を具備し、該流路を通して洗浄液を窪み内に供給すると共に、窪み内の洗浄液を通して光ファイバからウエハの研磨面に光を照射し、該研磨面で反射された反射光を窪み内の洗浄液及びファイバを通して受光し、該反射光から得られた研磨面の表面情報に基づいて研磨終点を検出するようにしたものである。
【0005】
上記研磨終点検出機構においては、単に定盤の表面の窪み内に洗浄液供給用の流路を通して洗浄液を供給するだけで、特に多孔質部材を通して洗浄液を供給する場合は該窪み内の洗浄液の流れが整然とせず乱流状態となっているため、該窪み内に研磨液に含まれる砥粒、ウエハの研磨滓、研磨パッドの削れ滓が浸入し、これらが照射光及び反射光の進行の障害となり、精度の良い研磨面の表面情報を得られないという問題があった。
【特許文献1】特開2001−235311号公報
【特許文献2】特開2001−88021号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、基板研磨装置で研磨中の被研磨基板の被研磨面の膜状態を精度良く、且つ安定して観測できる基板膜厚モニター装置を設けた基板研磨装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上気課題を解決するため請求項1に記載の発明は、定盤と、該定盤の表面に固定された研磨材と、該研磨材に被研磨基板を押し付ける基板支持体を具備し、該研磨材と被研磨基板の相対的運動により被研磨基板を研磨する基板研磨装置に、前記研磨材に設けられた貫通孔を通して、光ファイバにより前記被研磨基板の被研磨面に光を照射し、反射された反射光を光ファイバにより受光する光学系と、該光学系で受光した反射光を分析処理する分析処理手段を設け、該分析処理手段で前記反射光を分析処理し、被研磨基板の被研磨面上に形成された薄膜の研磨進行状況を監視する基板膜厚モニター装置を設けた基板研磨装置であって、前記研磨材に設けられた貫通孔に透明液体を供給する給液孔を前記定盤に設け、該給液孔はそこから供給される透明液が前記被研磨基板の被研磨面に対して垂直に進む流れを形成し且つ前記貫通孔を満たすように配置形成され、前記光ファイバは照射光及び反射光が該被研磨面に対して垂直に進む流れ部分の透明液を通るように配置され、前記研磨材に設けられた貫通孔に連通した液体流路を流れる液体の供給を制御する電子弁を具備することを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の基板研磨装置において、前記貫通孔は前記研磨材の表面に形成された溝に干渉しないように配置されたことを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の基板研磨装置において、前記貫通孔と前記給液孔はその断面が等しく且つ連続していることを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の基板研磨装置において、前記研磨材表面上に前記貫通孔の内側面から、前記定盤の移動方向後方に前記透明液を排液する排液溝を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、研磨材に設けられた貫通孔に連通した液体流路を流れる液体の供給を制御する電磁弁を具備するので、例えば貫通孔が被研磨基板で塞がれていないときは、該貫通孔への液体の供給を停止又は抑制し、研磨特性への影響を低減することも可能である。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、貫通孔は研磨材の表面に形成された溝に干渉しないように配置されたので、被研磨基板と研磨材の密接性を確保して貫通孔内の密閉性が向上し、貫通孔内への研磨液中の研磨液中の研磨材粒や研磨材の削れ滓や研磨基板の削れ滓等のパーティクルが侵入することなく、被研磨基板と研磨材間への液体の流出を防止することが可能となる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、貫通孔と給液孔はその断面が等しく且つ連続しているので、給液孔から供給される透明液は、被研磨基板の被研磨面まで該被研磨面に対して垂直に進むため、少ない流量の透明液で照射光及び反射光が通る好適な光路を形成できる。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、研磨材表面上に貫通孔の内側面から、定盤の移動方向後方に排液溝を設けたので、特別の仕掛けなしに、貫通孔内の閉空間を満たす透明液を容易に排液することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本願発明の実施の形態例を図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る基板膜厚モニター装置を備えた基板研磨装置の構成を示す図であり、図2はセンサ部40の詳細構成例を示す図である。図1において、10は軸11を回転中心として回転する定盤であり、20は半導体ウエハ等の被研磨基板21を保持し軸22を回転中心として回転する基板支持体である。30はモニター部であり、該モニター部30はセンサ部40、分光器31、光源32及びデータ処理用パソコン33等を具備する構成である。
【0016】
上記構成の研磨装置において、定盤10の上面には、固定砥粒(砥石)や研磨パッド等の研磨材12が貼り付けられており、該研磨材12と被研磨基板21の相対的運動により、該被研磨基板21の被研磨面を研磨する。センサ部40は後に詳述するように、光源32からの光を被研磨基板21の被研磨面に照射すると共に、反射光を受光する。分光器31ではセンサ部40で受光した反射光を分光して被研磨基板21の被研磨面の表面情報を得る。データ処理用パソコン33は分光器31からの被研磨面の表面情報を電気信号系34を介して得、処理して被研磨面の膜厚情報を得て、図示しない研磨装置のコントローラに伝送する。研磨装置のコントローラは、この膜厚情報により研磨継続、研磨停止等の研磨装置の各種制御を行う。なお、50はセンサ部40に透明液の給排液を行う給排液系である。
【0017】
図2はセンサ部40の概略構成例を示す。図示するように、定盤10の上面に貼り付けられた固定砥粒や研磨パッド等の研磨材12には貫通孔41が設けられ、定盤10の該貫通孔41の底部に相当する部分に給液孔42が開口している。被研磨基板21の研磨時は該被研磨基板21で貫通孔41の上部は閉塞され、給液孔42から透明液(光が透過する液)Qを供給することにより、該貫通孔41内は該透明液Qで満たされる。透明液Qは研磨材12と被研磨面21aとの隙間から排出される。
【0018】
給液孔42はその中心線が被研磨基板21の被研磨面に対して垂直になるように定盤10に配設され、即ち該被研磨基板21から供給される透明液Qが被研磨基板21の被研磨面21aに対して略垂直に進む流れを形成するように配置形成されている。被研磨基板21の被研磨面21aに光を照射するための照射光用光ファイバ43と反射光を受光するための反射光用光ファイバ44はその中心線が給液孔42の中心線と平行になるように給液孔42内に配置されている。
【0019】
センサ部40を上記のように構成することにより、給液孔42から吐出された透明液Qは上記のように、被研磨基板21の被研磨面21aに対して略垂直に進む流れを形成する。照射光用光ファイバ43からの照射光は透明液Qの垂直な流れ部分を通って被研磨基板21の被研磨面21aに達し、該被研磨面21aで反射された反射光は同じく透明液Qの被研磨面21aに対して垂直な流れ部分を通って反射光用光ファイバ44に達する。この透明液Qの被研磨基板21の被研磨面21aに対して略垂直に進む流れには、被研磨基板21の被研磨面21aを洗浄する作用を奏すると共に、被研磨面21aと研磨材12の上面の間の隙間に存在する研磨液中の研磨材粒、研磨材12の削り滓、被研磨基板21の削り滓等のパーティクルの浸入が阻止され、照射光及び反射光の好適な光路となる。従って、被研磨面21aの薄膜の観測を安定且つ正確に行うことができる。
【0020】
なお、給液孔42に接続された図示しない液流路には電磁弁を設け、該電磁弁の制御により、貫通孔41が被研磨基板21で塞がれていないときは透明液Qの供給を停止又は抑制し、研磨特性への影響を低減することも可能である。また、上記構成のセンサ部40は、貫通孔41が被研磨基板で常に塞がれ、或いは定盤10が1軸を回転中心に回転するのではなく、定盤の各点が同一半径の円軌跡を描くように平面運動する場合も有効である。
【0021】
図3はセンサ部40の他の概略構成例(請求項1に記載の発明に係る実施形態例)を示す図である。図3のセンサ部40が図2のセンサ部40と相違する点は図3のセンサ部40では照射光が通る光ファイバと反射光が通る光ファイバを1本の照射・反射光用光ファイバ45としている点であり、他は図2と略同一の構成である。このように構成しても、図2のセンサ部40と略同様の作用効果が得られる。
【0022】
図4は図2及び図3に示す構成のセンサ部40の流れ状態を示す図で、被研磨基板21の被研磨面直近には、被研磨面と伴に動く流れがあるものと仮定した流れの数値解析の結果に基いている(以下、他の流れ状態を示す図6、図9、図10、図12、図13でも同様とする)。図4(a)は貫通孔41の側面流れを、図4(b)は貫通孔上部(被研磨面より略0.03mmの位置)の平面流れを示す。ここでは計算上、被研磨基板21の被研磨面と研磨材12の上面の間に0.1mmのクリアランス(CL)があるものと仮定している。貫通孔41内の側面流れは図4(a)の矢印で示すように、給液孔42から吐出された透明液Qが被研磨基板21の被研磨面21aに対して垂直に進む流れとなる。
【0023】
また、貫通孔41上部の透明液Qの平面流れは図4(b)の矢印に示すように概ね被研磨基板21の移動方向(定盤10の移動方向と逆)に向かって流れる。その一部は照射・反射光用光ファイバ45の上部を通っているが、このような流れが生じるのは、被研磨基板21の被研磨面の近傍に限られるため、光路の形成を妨げる程ではない。なお、図4において矢印Aは被研磨基板21の移動方向を示す。
【0024】
図5はセンサ部40の他の概略構成例を示す図である。図5のセンサ部40が図2のセンサ部40と相違する点は図4のセンサ部40では貫通孔41と給液孔42がその断面が等しく且つ連続している点である。照射光用光ファイバ43と反射光用光ファイバ44の中心線が給液孔42の中心線と平行になるように該給液孔42内に配置する点は、図2の場合と同様である。
【0025】
上記のように貫通孔41と給液孔42はその断面が等しく且つ連続しているので、給液孔42から供給される透明液Qは、被研磨基板21の被研磨面21aまで該被研磨面21aに対して垂直な流れとなって進むため、少ない流量の透明液Qでも照射光及び反射光が通る光路として好適な光路を形成できる。従って、透明液Qが研磨装置の研磨に与える影響を少なくすることができる。なお、図5のセンサ部40において、照射光用光ファイバ43と反射光用光ファイバ44に換えて、図3に示すように、1本の照射・反射光用光ファイバ45としてもよい。
【0026】
図6は図5に示す構成のセンサ部40の貫通孔41内の流れ状態を示す図である。図6(a)は貫通孔41の側面流れを、図6(b)は貫通孔上部(図4と同様被研磨面より略0.03mmの位置)の平面流れを示す。ここでは計算上、被研磨基板21の被研磨面と研磨材12の上面の間に0.1mmのクリアランス(CL)があるものと仮定している。貫通孔41内の側面流れは図6(a)の矢印で示すように、給液孔42から吐出された透明液Qが被研磨基板21の被研磨面21aに対して垂直に進む流れとなる。
【0027】
また、貫通孔41の上部の透明液Qの平面流れは図6(b)の矢印に示すように、貫通孔41内から外側に向かって流れ、ファイバ位置に向かって流れる成分がない。従って、図4の場合に比べて、被研磨基板21の被研磨面21aと研磨材12の上面の間から研磨液の混入を受け難いことが分る。なお、図6(a)において、矢印Bは被研磨基板21の移動方向を示す。
【0028】
図7はセンサ部40の貫通孔41の平面配置構成例を示す図である。図示するように、ここでは研磨材12の表面上に貫通孔41の内側面から、定盤10の移動方向(矢印C方向)後方に透明液Qを排液する排液溝23を設けている。これにより、特別の仕掛けなしに、貫通孔41内の閉空間を満たす透明液Qを容易に排液することが可能となる。本構成は、定盤が1軸を中心に回転するなど、被研磨基板が貫通孔に対し概ね同一方向に相対移動する場合に有効で、特に研磨材の表面上に格子状の溝がある場合には、排液溝の形成が容易になる。
【0029】
図8はセンサ部40の他の概略構成例(請求項4に記載の発明に係る実施形態例)を示す図である。本センサ部40は、貫通孔41内を満たした透明液Qを排液する排液孔46が給液孔42に対して定盤10の移動方向(矢印D方向)後方に位置し、且つ貫通孔41の被研磨基板21の反対側の端面に開口して設けられている。なお、照射光用光ファイバ43と反射光用光ファイバ44をその中心線が給液孔42の中心線と平行になるように該給液孔42内に配置する点は、図2の場合と同様である。なお、照射光用光ファイバ43と反射光用光ファイバ44に換えて、図3に示すように、1本の照射・反射光用光ファイバ45としてもよい。
【0030】
上記のように排液孔46を設けることにより、被研磨基板21と研磨材12の間に貫通孔41内の透明液Qを排出しここに存在するスラリー等の研磨液を稀釈することなく、該透明液Qを排出できる。図9及び図10は図8に示す構成のセンサ部40の貫通孔41内の側面流れを示す図である。図9及び図10において、矢印Dは定盤の移動方向、矢印E及びFは被研磨基板21の移動方向を示す。
【0031】
図9に示すように排液孔46を給液孔42に対して定盤10の移動方向(矢印D方向)後方に設けることにより、被研磨基板21の被研磨面21aに当った流れが、排液孔46からスムーズに排出されるため、給液孔42から貫通孔41内に供給される透明液Qが被研磨基板21の被研磨面21aに対して垂直な流れを形成する。しかし、図10に示すように、定盤10の移動方向(矢印D方向)に給液孔42、排液孔46の順に配置すると、被研磨基板21の被研磨面21aに当った流れの多くが貫通孔41の側面に当って戻ることにより、貫通孔41内の透明液Qの流れに乱れが生じる。本構成も、ターンテーブルのように、定盤が1軸を中心に回転するなど、被研磨基板が貫通孔に対して概ね同一方向に相対移動する場合に有効である。
【0032】
図11はセンサ部40の他の概略構成例を示す図で、同図(a)は平面図、同図(b)は側断面図である。図示するように、給液孔42の中心と排液孔46の中心とを結ぶ線分の中点が貫通孔41の中心点より定盤10の移動方向(矢印D方向)の前方になるように、給液孔42と排液孔46とを配設(定盤10の移動方向に排液孔46、給液孔42の順に配設)すると共に、貫通孔41の下端面外周が給液孔42と排液孔46の上端面を囲むように断面が概略長円状としている。このようにすることにより、給液孔42から貫通孔41内に供給される透明液Qの流れは被研磨基板21の被研磨面21aに対して垂直に進む流れとなる。また、貫通孔41の面積を断面を概略長円状とすることにより、最小化して、研磨特性への影響を低減できる。
【0033】
なお、照射光用光ファイバ43と反射光用光ファイバ44をその中心線が給液孔42の中心線と平行になるように該給液孔42内に配置する点は、図2の場合と同様である。なお、照射光用光ファイバ43と反射光用光ファイバ44に換えて、図3に示すように、1本の照射・反射光用光ファイバ45としてもよい。
【0034】
図12は給液孔42の中心と排液孔46の中心とを結ぶ線分の中点が貫通孔41の中心点より定盤10の移動方向(矢印D方向)の前方になるように、給液孔42と排液孔46とを配設した場合の貫通孔41内の透明液Qの側面流れを示す図である。上記図12迄の例では貫通孔41の断面が円形であるのに対し、図13は更に貫通孔41を下端面外周が給液孔42と排液孔46の端面を囲むように概略長円状とした場合の貫通孔41内の透明液Qの側面流れを示す図である。
【0035】
図12及び図13に示すように、給液孔42と排液孔46とを貫通孔に関し定盤10の移動方向(矢印D方向)に配設することにより、貫通孔41内の定盤10の移動方向後方の液が、図9の場合に比べてよりスムーズに排出されて、給液孔42から貫通孔41内に供給される透明液Qの流れは被研磨基板21の被研磨面21aに対して垂直に形成される。
【0036】
また、図示は省略するが、図8、図11に示すセンサ部において、強制排液機構で排液孔46から強制排液をすることにより、給液孔42に連通する給液管、排液孔46に連通する排液管や被研磨基板21の被研磨面21a、研磨材12の上面間の抵抗によらず、排液孔46から確実に透明液Qを排出することができる。また、貫通孔41が被研磨基板21に塞がれていない状態の透明液Qの給液量を絞っても、塞がれて貫通孔41内が密閉状態になった場合には、該貫通孔41内を負圧にしようとする力がはたらくから、給液側に適当な圧力調整機構を持った弁機構を組み合わせることにより給液量を大きくすることができ、複雑な制御機構を設けることなく、照射光及び反射光が通る光路の形成と研磨特性への影響の低減とを両立させることができる。また、貫通孔41が被研磨基板21で塞がれていない状態においても、貫通孔41に供給された透明液Qに対して一定の排液効果を期待でき、研磨特性への影響を低減できる。
【0037】
図14はセンサ部40の貫通孔41の平面配置構成例を示す平面図である。図示するように、貫通孔41は研磨材12の表面上に形成された溝12cを避けて形成されている。このように貫通孔41を研磨材12の表面上に形成された溝12cを避けて形成することにより、被研磨基板21と研磨材12の密接性を確保して貫通孔41内の密閉性を向上し、貫通孔41内への研磨液中の研磨材粒や研磨材の削れ滓や被研磨基板の削れ滓等のパーティクルが浸入することなく、被研磨基板21と研磨材12間への透明液Qの流出を防止することが可能となる。
【0038】
図15はセンサ部40の具体的構成例を示す図で、図示するように定盤10は定盤搭載台14の上に固定されており、該定盤10の下面の所定位置にセンサ取付用凹部12aを設け、該センサ取付用凹部12aにセンサ取付用ブラケット15をその先端部を挿入してその基部をボルト16、16で定盤搭載台14に取り付けている。センサ取付用凹部12aの中心部には、給液孔42と排液孔46を形成したセンサ部本体17の先端が挿入される孔12bが形成されている。また、センサ取付用ブラケット15にはセンサ部本体17を収容する穴15aが形成されている。センサ取付用ブラケット15の穴15aにセンサ部本体17を挿入し、その基部をボルト18、18で該センサ取付用ブラケット15に固定する。
【0039】
なお、定盤10の上面に貼り付けた砥石(固定砥粒)又は研磨パッド等の研磨材12にはセンサ部本体17に形成された給液孔42と排液孔46の上端が開口する貫通孔41が設けられている。また、センサ部本体17に形成された給液孔42と排液孔46にはそれぞれ給液管51と排液管52が接続されている。
【0040】
また、上記実施形態例では下方に配置された定盤10上面に貼り付けられた研磨材12に基板支持体20に支持された被研磨基板21を押し当て、研磨材12と被研磨基板21の相対運動で被研磨基板21の被研磨面を研磨する構成の研磨装置を例に説明したが、これに限定されるものではなく、例えば定盤が上方に配置され基板支持体が下方に配置された構成でもよく、要は研磨材と被研磨基板の相対運動で被研磨基板の被研磨面を研磨する構成の基板研磨装置であれば、本発明は適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係る基板研磨装置の構成例を示す図である。
【図2】本発明に係る基板研磨装置のセンサ部の概略構成例を示す図である。
【図3】本発明に係る基板研磨装置のセンサ部の他の概略構成例を示す図である。
【図4】図2及び図3に示すセンサ部の貫通孔内の流れ状態を示す図で、図4(a)は貫通孔内の側面流れを、図4(b)は貫通孔上部の平面流れを示す図である。
【図5】本発明に係る基板研磨装置のセンサ部の他の概略構成例を示す図である。
【図6】図5に示すセンサ部の貫通孔内の流れ状態を示す図で、図6(a)は貫通孔内の側面流れを、図6(b)は貫通孔上部の平面流れを示す図である。
【図7】本発明に係る基板研磨装置のセンサ部の貫通孔の平面配置構成例を示す図である。
【図8】本発明に係る基板研磨装置のセンサ部の他の概略構成例を示す図である。
【図9】図8に示すセンサ部の貫通孔内の側面流れを示す図である。
【図10】図8に示すセンサ部の貫通孔内の側面流れ(比較例)を示す図である。
【図11】本発明に係る基板研磨装置のセンサ部の他の概略構成例を示す図で、図11(a)は平面図、図11(b)は側断面図である。
【図12】図11に示すセンサ部の貫通孔内の側面流れを示す図である。
【図13】図11に示すセンサ部の貫通孔内の側面流れを示す図である。
【図14】本発明に係る基板研磨装置のセンサ部の貫通孔の平面配置構成例を示す図である。
【図15】本発明に係る基板研磨装置のセンサ部の具体的構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0042】
10 定盤
11 軸
12 研磨材
14 定盤搭載台
15 センサ取付用ブラケット
16 ボルト
17 センサ部本体
18 ボルト
20 基板支持体
21 被研磨基板
22 軸
23 排液溝
30 モニター部
31 分光器
32 光源
33 データ処理用パソコン
34 電気信号系
40 センサ部
41 貫通孔
42 給液孔
43 照射光用光ファイバ
44 反射光用光ファイバ
45 照射・反射光用光ファイバ
46 排液孔
50 給排液系
51 給液管
52 排液管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
定盤と、該定盤の表面に固定された研磨材と、該研磨材に被研磨基板を押し付ける基板支持体を具備し、該研磨材と被研磨基板の相対的運動により被研磨基板を研磨する基板研磨装置に、前記研磨材に設けられた貫通孔を通して、光ファイバにより前記被研磨基板の被研磨面に光を照射し、反射された反射光を光ファイバにより受光する光学系と、該光学系で受光した反射光を分析処理する分析処理手段を設け、該分析処理手段で前記反射光を分析処理し、被研磨基板の被研磨面上に形成された薄膜の研磨進行状況を監視する基板膜厚モニター装置を設けた基板研磨装置であって、
前記研磨材に設けられた貫通孔に透明液体を供給する給液孔を前記定盤に設け、該給液孔はそこから供給される透明液が前記被研磨基板の被研磨面に対して垂直に進む流れを形成し且つ前記貫通孔を満たすように配置形成され、前記光ファイバは照射光及び反射光が該被研磨面に対して垂直に進む流れ部分の透明液を通るように配置され、
前記研磨材に設けられた貫通孔に連通した液体流路を流れる液体の供給を制御する電磁弁を具備することを特徴とする基板研磨装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板研磨装置において、
前記貫通孔は前記研磨材の表面に形成された溝に干渉しないように配置されたことを特徴とする基板研磨装置。
【請求項3】
請求項1に記載の基板研磨装置において、
前記貫通孔と前記給液孔はその断面が等しく且つ連続していることを特徴とする基板研磨装置。
【請求項4】
請求項1に記載の基板研磨装置において、
前記研磨材表面上に前記貫通孔の内側面から、前記定盤の移動方向後方に前記透明液を排液する排液溝を設けたことを特徴とする基板研磨装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−305726(P2006−305726A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−208636(P2006−208636)
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【分割の表示】特願2001−400520(P2001−400520)の分割
【原出願日】平成13年12月28日(2001.12.28)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】