説明

基礎構造

【課題】外から加わる振動や衝撃に対して耐性を発揮しうる基礎構造を提供する
【解決手段】建物Aを支持する基礎構造であって、コンクリート製の支持体10と、支持体10上に設けられる鋼材基礎2と、鋼材基礎2から離間した状態で鋼材基礎2の外側面に立設される平板状の外装断熱材40とを備え、外装断熱材40は、補助材43を介して鋼材基礎2に支持されており、補助材43は、外装断熱材40に固定され、鋼材基礎2には当接するのみである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅等の建物の上部構造を支持する基礎構造に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の基礎として、鉄筋コンクリート製の基礎梁を備えるコンクリート基礎が知られているが、かかるコンクリート基礎は、当該基礎を施工するだけで工程にかなりの日数を要するばかりでなく、地業、配筋、型枠、アンカーセット等の作業に手間がかかり、かかる手間を改善することが現場から要望されている。その要望に応えるべく、基礎梁として鉄骨材を採用する構成が知られており、例えば特許文献1には、H型鋼の下部を基礎スラブに埋設させることで当該H型鋼を基礎梁とした基礎構造が開示されている。あるいは、特許文献2には、アンカー部材を介して基礎スラブにH型鋼を固定した基礎構造が開示されている。また、これらの基礎構造においては、風雨等に曝されることによるH型鋼の腐食等に考慮する必要があり、その対応として、H型鋼の外側面に化粧カバーが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−262586号公報
【特許文献2】特開2003−268782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1や特許文献2の基礎構造においては、基礎梁としての鉄骨梁にボルト等でブラケットやステーといった取付金物を剛接合し、当該取付金物に化粧カバーがビス等で固定されており、かかる固定方法では基礎梁に化粧カバーが剛接合されることとなり、基礎梁や化粧カバーに加わる振動や衝撃を吸収することができず、これによって化粧カバーを破損させてしまう虞があった。なお、特許文献2においては、外装材の具体的な固定方法についての開示が無い。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、外から加わる振動や衝撃に対して耐性を発揮しうる基礎構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上記課題を解決すべく、本発明に係る基礎構造は、
上部構造を受ける鋼材基礎と、
該鋼材基礎の下方に設けられて当該鋼材基礎を支持するコンクリート製の支持体と、
該鋼材基礎から離間した状態で当該鋼材基礎の外側面に立設される平板状の外装断熱材とを備え、
該外装断熱材は、補助材を介して前記鋼材基礎に支持されており、
該補助材は、前記鋼材基礎と前記外装断熱材のいずれか一方に固定され、他方には当接するのみであることを特徴としている。
これによれば、外装断熱材は鋼材基礎に剛接合されない状態で当該鋼材基礎に支持されるものとなり、建設中や建設後に外から加わる振動に追従して振動することができ、且つ、衝撃を逃がすことができ、これによって、これら振動や衝撃による外装断熱材の損傷を防止することができるものとなる。
【0007】
(2)また、前記補助材は、前記外装断熱材と同程度の強度を有する素材により形成されていることが好ましい。
これによれば、上記衝撃や振動によって補助材と外装断熱材との間で接触圧や摩擦等が発生することとなるものの、いずれも同程度の強度を有するので、上記衝撃等により一方が他方よりも先んじて磨耗等することが無く、これによって、外装断熱材と補助材の接触部にていずれかが他方に比して著しく抉れてしまう等の損傷を抑制することができる。
【0008】
(3)また、前記補助材は、前記外装断熱材の外側から差し込まれるピンによって当該外装断熱材に固定されていることが好ましい。
これによれば、外装断熱材の外側から容易に補助材を当該外装断熱材に取り付けることができる。
【0009】
(4)また、前記外装断熱材は、下端部が前記基礎スラブの側部にて前記地盤に埋設される共に上端部が前記鋼材基礎の上端部と略同一の高さ位置に設定されており、
前記補助材は、これら外装断熱材と鋼材基礎の上端部の間に設けられていることが好ましい。
これによれば、外装断熱材の下端部が地盤に埋設されているため、当該外装断熱材は下端部を固定端とすると共に上端部を自由端として振動等することとなるが、最も大きく変位することが考えられる外装断熱材の上端部に補助材を設けており、当該補助材が鋼材基礎に接することで外装断熱材の上端部は鋼材基礎に支持されることとなるので、より効率的に外装断熱材を支持することができるものとなっている。
【0010】
(5)また、前記補助材は、プラスチック系断熱材によりブロック状に形成されていることが好ましい。
これによれば、補助材も断熱性を有することとなるので、当該箇所の断熱性の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の基礎構造によれば、外から加わる振動や衝撃に対して外装断熱材の耐性を充分に発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る基礎構造の断面図である。
【図2】該基礎構造の隅部を示す平面図である。
【図3】鉄骨梁を設置する工程を示す斜視図である。
【図4】水平ブレースを設置する工程を示す斜視図である。
【図5】基礎スラブの外周部に板状断熱材等を設置する工程を示す斜視図である。
【図6】梁に上部構造の部材を設置する工程を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る基礎構造の実施形態について、図1〜図6に基づいて詳細に説明する。
【0014】
図1に示す如く、本実施形態の基礎構造は、鉄筋コンクリート造の基礎スラブ(支持体)10と、該基礎スラブ10の上部にて組み上げられた鋼材基礎2と、該基礎スラブ10及び鋼材基礎2を屋外側より覆う外装断熱材40とを備えている。
【0015】
本実施形態において上部構造として例示する建物Aは、305mmの平面モジュールを有する梁勝ち工法による2階建ての鉄骨造の工業化住宅である。ただし、これはあくまで好適な適用例であって、本発明の適用範囲がこれに限定されるものではない。
【0016】
建物Aにおいては、基礎スラブ10及び鋼材基礎2からなる基礎構造上に設けられており、該鋼材基礎2上に立設固定された柱(以下、1階柱ともいう)50(図6参照)と、該1階柱50の上端を連結するように配置された2階梁と、該2階梁上に配置された2階柱と、R階大梁と、隣接する2本の柱50間に設置された耐力要素等51の部材とが、直交する基準線(X方向基準線、Y方向基準線)の中からそれぞれ複数選択された(モジュールの整数倍の間隔となるように設定された)通りに対応して配置されて基本架構が構成されている。さらに、建物Aにおいては、小梁が適宜架け渡され、各階梁で支持されるALC(Autoclaved Light-weight Concrete;軽量気泡コンクリート)からなる床パネルにより各階床が構成され、外周部梁を利用してALC等からなる外壁パネルや開口パネルが取り付けられて外壁が構成されている。
【0017】
図1に示す如く、基礎スラブ10は、全面的にベタ基礎形式となっている。該基礎スラブ10においては、上記各通りに対応する所定の幅の範囲について地反力に対し耐力を発揮しうる基礎梁とみなして配筋量が算定されている(図3、図4参照)。基礎スラブ10のうち、これ以外の領域については、地反力を受ける4辺固定のスラブとみなして配筋量が決定されている。
【0018】
なお、本実施形態ではベタ基礎形式の基礎スラブ10を例示しているが、このようなベタ基礎形式に限定されることはなく、例えば、通りに沿って地耐力に応じた所望の幅を有するフーチング形式とする、構成も採用可能である。
【0019】
また、基礎スラブ10の上面は、地盤面よりも高い位置に設定されている。
鋼材基礎2は、基礎スラブ10の上端面に設置される鋼製の束20と、該束20に支持される鋼製の梁30と、これら梁30間に架設される水平ブレース31とを備えている。
【0020】
束20は、基礎スラブ10の上面に載置されており、梁30を支持する。基礎スラブ10には、予めアンカーボルト(アンカーフレーム)11が埋設されており、該アンカーボルト11の上端部にナット等によって接合固定されている。該束20は、建物Aの柱(1階柱)50から伝達される荷重を基礎スラブ10に効率よく伝達する役割を有し、少なくとも大梁30上(通り上)に立設される1階柱50の直下に設置され、ジョイントボックス21または1階大梁30の中間部の下フランジのボルト穴を用いて接合され、梁30を支持する。
【0021】
また、束20は、アンカーボルト11の上端部に接合される下フランジ20bと、例えばジョイントボックス21が接合される上フランジ20aと、これら両フランジ20a,20bを結合する横断面が例えば十字ないしクロス形状のウェブ20cとで構成されている。
【0022】
該束20は、図3に示す如く、建物Aの外周部(すなわち外壁寄りの部分)と内周部(すなわち建物Aの内部寄りの部分)とに適宜配置される。これらのうち、外周部(外通り)に配置される束20は、建物外側においては上フランジ20aと下フランジ20bの端縁位置が一致し、建物内側においては下フランジ20bが上フランジ20aよりも建物内側に向け延伸しており、延伸側のウェブ20cが上フランジ20aの端縁から下フランジ20bの端縁にかけて末広がり状に形成された形状(オフセット形状)となっている。また、建物Aの入隅部および出隅部においては、外壁に沿った2方向について、下フランジ20bが上フランジ20aよりも延伸し、延伸側のウェブ20cが上フランジ20aの端縁から下フランジ20bの端縁にかけて末広がり状に形成されている束20が採用されている。
【0023】
このようなオフセット形状の束20を用いることにより、基礎スラブ10のより広い範囲に荷重が分散して伝達され、該基礎構造にて構造計算上の基礎梁とみなせる幅が大きくとれるものとなっている。
【0024】
梁30は、例えばH形鋼(I形鋼と呼ばれるような形鋼を含む)からなり、長手方向の両端には、先端部をL字としてボルト穴を開設したガセットプレート34が溶接により接合されている。
【0025】
なお、梁30には、通り上に配置されるいわゆる大梁(1階大梁)のみならず、建物Aの1階床を形成する床パネルを支持するために設置される大梁間に架け渡される小梁30’も含まれる。なお、小梁は大梁と他の小梁との間に架け渡される場合もある。
【0026】
また、図3に示す如く、梁30の上フランジ30aおよび下フランジ30bにはモジュール柱を接合するためのボルトを挿通するボルト穴30dがモジュールに基づくピッチで等間隔に穿設されている。ボルト穴30dは、平面視基準線の交点上に位置するよう穿設されている。また、ウェブ30cにも他の梁30を接合するためのボルトを挿通するボルト穴30dがモジュールに基づくピッチで等間隔に穿設されている。さらに、梁30のウェブ30cには所定の間隔で大径の穴(一例として、直径125mm)30eが穿設されている。
【0027】
図2、図3に示す如く、梁30の端部どうしを接合する場合、本実施形態ではジョイントボックス21を用いている。
【0028】
ジョイントボックス21は、平面視十字状のウェブ21cの上下端に正方形の上フランジ21aおよび下フランジ21bが溶接され構成されている。このジョイントボックス21に梁30を接合する場合は、梁30のガセットプレート34の2面を直交するウェブ21cの2面に当接させ、該ガセットプレート34の屈曲部のボルト穴及びこれに対応するジョイントボックス21のボルト穴にボルトを挿通してボルト接合する。
【0029】
図4に示す如く、水平ブレース(補剛材)31は、1階の床構面に設置されて、コンクリート打設作業時等における梁30等の変形を抑制する(図5等参照)。床構面に設置された水平ブレース31は、そのまま建物完成後の1階床の面内剛性を確保する部材となる。
【0030】
また、図2に示す如く、該水平ブレース31は梁30の上端付近にて火打35を介して取り付けられており、これによって、梁30等の変形抑止効果と、基礎形成時の作業性・床下利用性とをさらに向上させることが可能となっている。
【0031】
なお、ここで例示する水平ブレース31の他、火打梁(火打土台、火打金物)等を補剛材として用いることも可能である。
【0032】
図6に示す如く、柱50は、通りと通りに直行する基準線との交点に配置され、下端部がジョイントボックス21または大梁30の中間部の上フランジ30aのボルト穴30dを用いて接合される。
【0033】
また、耐力要素51は、所定の間隔(例示すれば、610mm、915mmなど)で配置された2本の柱50の内側面にボルト接合される。耐力要素51は例えば筋交い(クロスフレーム)等で構成される。
【0034】
図1に示す如く、外装断熱材40は、建物Aの外周部には、基礎スラブ10の端縁および鋼材基礎2の外周部に位置することとなる梁30の外側面に沿って設けられている。本実施形態の場合、外装断熱材40は、押出法発泡ポリスチレンフォームやフェノールフォーム等のプラスチック系断熱材からなる板状の断熱板41と、該断熱板41の外側面を保護する保護層42とを備えている。
【0035】
また、該外装断熱材40は、基礎スラブ10の下端部から鋼材基礎2の上端部までを覆う高さに形成されており、下端部は基礎スラブ10に支持されると共に、上端部は補助材43を介して鋼材基礎2の梁30に支持されている。
【0036】
該補助材43は、外装断熱材40の断熱板41と同じ素材をブロック状に成形してなり、幅は、梁30のウェブ30aの屋外側側面から基礎スラブ10の側面までの距離と略等しい大きさに形成されている。また、図5に示す如く、梁30の長手方向に沿う長尺状に成形されている。また、本実施形態の補助材43は、ボルト等の他の部材との納まりを考慮して長手方向の一部が切り欠かれている。
【0037】
また、該補助材43は、外装断熱材40と鋼材基礎2の梁30との間に設けられており、当該外装断熱材40の上端部と対向する位置にて外装断熱材40の外側から差し込まれるピン44によって当該外装断熱材40に固定されている。該ピン44は、樹脂等の非金属素材によって形成されている。また、ピン44は、軸部の一端に頭部を備えたものが一般的であるが、当該軸部のみによるものや頭部を軸部に比して著しく小さいものを採用しても構わない。これにより、ピン44を断熱板41に押し込んでいくと、当該断熱板41の表面にピン44がほとんど露出しないものとなり、これによって、当該ピン44が保護層の形成の妨げになることを回避することができるものとなる。また、本実施形態のピン44には、軸部に多少の凹凸形状が形成されており、これによって断熱板41との摩擦抵抗力を持たせ抜け難いものとなっている。
【0038】
これによって、補助材43は、一方の小口面を外装断熱材40の断熱板41の上端部側面に当接させた状態で断熱板41に連結されることとなり、当該補助材43の他方の小口面は梁30のウェブ30aに接合されることはなく、単に当接のみすることとなる。
【0039】
また、該外装断熱材40は、基礎スラブ10のコンクリート打設前に梁30の前に立設させることにより、基礎スラブ10の外周における型枠(堰板)機能を兼ねるものとなる。したがって、この外装断熱材40の下端のレベルは基礎スラブ10の下端のレベルと同一となっている。外装断熱材40を予め設置することによって基礎スラブ10を形成するコンクリートとの密着度が高められるものとなる。
【0040】
また、基礎スラブ10は、上端面を地盤面より高くして形成されており、これによって外装断熱材40よりも屋内側となる建物Aの1階床下空間への水の進入が抑制されるものとなる。
【0041】
保護層42は、屋外に露出することとなる断熱板41の表面を保護するものであって、本実施形態では、該断熱板41の表面に全面に亘って樹脂モルタルを左官することで形成されている。また、断熱板41の表面に樹脂モルタルを左官していくにつき、断熱板41間の継目の部分に補強ネット等を設け、防水性や強度の向上を図る構成を採用することも可能である。また、該樹脂モルタルに換えて、タイルやサイディング等を仕上げ断熱材44表面に表面材として貼着して保護層42を形成する構成を採用することも可能である。
【0042】
また、梁30の上端部には、建物Aの外壁の下端部を受ける受け金物53が屋外方向に張り出した状態で取り付けられている。当該受け金物53は、先端部が外装断熱材40よりも僅かに屋外側となる位置に達しており、当該受け金物53によってこれら外装断熱材40及び補助材43の上部は覆われることとなる。また、当該受け金物53の先端部は下方に向けて屈曲しており、当該先端部と外装断熱材40との間にシール材54が挟装されている。また、当該受け金物53の先端部と外壁の下端部の間にもシール材が介装されている。
【0043】
続いて、上記基礎構造の施工手順について以下に説明する。
図3に示す如く、まず、地盤を根伐り(根切り)し、砕石17を敷きつめ転圧する。そして、根伐り底における束位置(束20が設置される位置)にPC板を設置する。PC板にアンカーボルト11の定着板を固定した後、該定着板にアンカーボルト11を固定する。
【0044】
続いて、鉄筋12を配筋する。本実施形態において鋼材基礎2の梁30を受ける基礎梁とみなしている部分(通りに沿った所定の幅の範囲)には、算定された配筋量に応じて鉄筋12が密に配筋される。
【0045】
その後、束20をアンカーボルト11に設置する。まず、アンカーボルト11に、束20を仮支持するための下部ナットをねじ入れ、束20のレベル(高さ)等を調整する。続いて、束20の下フランジ20bのボルト穴にアンカーボルト11を挿通し、更に上部ナットをねじ入れ、束20を固定する。
続いて、束20の上に梁30を載置し、ボルトおよびナットを用いて固定する。
【0046】
その後、図4に示す如く、1階床構面に水平ブレース31等の補剛材を取り付け、梁30の対角寸法を確認するなどして梁30位置の調整(ゆがみの補正)を行う。上述したように、構面の高い位置に水平ブレース(補剛材)31を設置することが好ましい。
【0047】
上記手順に至る間に、図5に示す如く、断熱板41の上端部に補助材43を取り付けておく。当該取付けは、断熱板41の上端部の一側面に補助材43の一方の小口面を当接させ、この状態で当該断熱板41の他側面から補助材43に向けてピン44を差し込んでいく。複数個所にピン44を差し入れていき、これによって補助材43を断熱板41に固定する。
【0048】
その後、既に配筋を完了した鉄筋の周囲に断熱板41を起立させる。このとき、補助材43の長さは、梁30のウェブ30cの側面からこれ以後にコンクリートを打設することで形成される基礎スラブ10の端面までの長さ相当であるので、補助材43の他方の小口面を基礎の梁30のウェブ30cの側面に当接させた状態で断熱板41を立設していくことで、当該断熱板41の立上り位置が精度良く定められることとなり、計測を要することなく基礎スラブ10の最外鉄筋のかぶり厚を正確に得ることが可能となっている。
【0049】
その後、断熱板41の外側に型枠を設置し、コンクリートを打設する。本実施形態では、束20の下端レベルに合わせてコンクリートを打設する(図6等参照)。コンクリートを数日程度養生する。そして、型枠を取り外した後、断熱板41の外側の側面に樹脂モルタルを左官して保護層42を形成し、断熱板41の外側面に強度を付与すると共に、断熱板41間の継目を埋める。これによって外装断熱材40が形成されることとなる。
【0050】
以上の工程により基礎構造が完成し、その後、図6に示す如く、梁30上部に柱50や耐力要素51といった建物Aの各部を順次組み上げていくこととなる。
【0051】
本実施形態の基礎構造によれば、当該外装断熱材40と梁30との間に補助材43を設け、当該補助材43を介して外装断熱材40が梁30に支持されることとなる。このため、外装断熱材40が梁30との間に間隔を有して設置されることとなるものの、当該外装断熱材40に屋外から衝撃等を受ける場合であっても、当該外装断熱材40の内側への入り込みを防止されるものとなっている。
【0052】
また、当該補助材43によって外装断熱材40は梁30に支持されるものの、当該外装断熱材40は鋼材基礎2の梁30に固定されない状態で当該梁30に支持される。すなわち、外装断熱材40は、鋼材基礎2の梁30との間で縁を切られた状態で支持されることとなり、建設中や建設後に外から加わる振動に追従して梁30とは無関係に振動等することが可能となる。特に、外装断熱材40は、下端部が基礎スラブ10に連結状態にあるため、当該下端部を固定端とすると共に上端部を自由端として振動することとが考えられるが、当該自由端となる上端部側が梁30に固定されることで拘束されると、当該梁30からの振動等がそのまま伝達されることとなり、これによって、下端部と上端部との間で割れ等が生じることが考えられるが、上述の如く梁30との縁を切ることにより、当該梁30からの振動や衝撃の入力を可及的抑制することができるのみならず、これら振動等を逃がすことができるものとなり、これによって、これら振動や衝撃による外装断熱材40の損傷も防止されるものとなる。
【0053】
また、上述の如く外装断熱材40に屋外側から衝撃等が作用することにより、補助材43と断熱板40との間で接触圧や摩擦等が発生することとなるものの、これらはいずれも同じ素材で形成されているので、強度としては同程度であり、上記衝撃等により一方が他方よりも先んじて磨耗等することが無く、これによって、外装断熱材40と補助材43の接触部にていずれかが抉れたり磨耗したりしてしまうことによる損傷が抑制される。もちろん、当該補助材43が外装断熱材40と同じ素材で形成されていることにより、当該外装断熱材40上端部周囲の断熱性能も向上するものとなる。
【0054】
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
例えば補助材43を鋼材基礎2の梁30に連結固定し、外装断熱材40と補助材43の間で縁を切る構成を採用する場合にも、上記実施例と同様の作用効果を奏する。また、補助材43の下方に補助材43をさらに設ける構成を採用することも可能である。
【0055】
また、基礎スラブ10は、外側部のみを地盤面よりも高くし、中央部を地盤面よりも低くする構成や外側部から地盤面に向けて緩やかに水勾配を設ける構成を採用することも可能である。
【0056】
また、上述した実施形態では、束20を基礎スラブ10に固定する方法としてアンカーボルト11を利用したが、これに替え、埋め込み式のナットとボルトによって該束20を固定するように構成することもできる。このように構成した場合、ボルトを取り外すことで束20の横方向の拘束をするものがなくなり、例えば増改築に伴って柱を移動、追加する際に、束20についても容易に撤去することができる。
【符号の説明】
【0057】
2 鋼材基礎
10 基礎スラブ(支持体)
11 アンカーボルト
12 鉄筋
13 コンクリート
20 束
30 梁
31 水平ブレース
40 外装断熱材
41 断熱板
42 保護層
43 補助材
44 ピン
50 柱
51 耐力要素
A…建物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部構造を受ける鋼材基礎と、
該鋼材基礎の下方に設けられて当該鋼材基礎を支持するコンクリート製の支持体と、
該鋼材基礎から離間した状態で当該鋼材基礎の外側面に立設される平板状の外装断熱材とを備え、
該外装断熱材は、補助材を介して前記鋼材基礎に支持されており、
該補助材は、前記鋼材基礎と前記外装断熱材のいずれか一方に固定され、他方には当接するのみである
ことを特徴とする基礎構造。
【請求項2】
前記補助材は、前記外装断熱材と同程度の強度を有する素材により形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の基礎構造。
【請求項3】
前記補助材は、前記外装断熱材の外側から差し込まれるピンによって当該外装断熱材に固定されていることを特徴とする請求項2に記載の基礎構造。
【請求項4】
前記外装断熱材は、下端部が前記基礎スラブの側部にて前記地盤に埋設される共に上端部が前記鋼材基礎の上端部と略同一の高さ位置に設定されており、
前記補助材は、これら外装断熱材と鋼材基礎の上端部の間に設けられている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の基礎構造。
【請求項5】
前記補助材は、プラスチック系断熱材によりブロック状に形成されている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の基礎構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−247009(P2011−247009A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−122464(P2010−122464)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(303046244)旭化成ホームズ株式会社 (703)
【Fターム(参考)】