説明

堰板型枠の施工方法及びそれに用いる金物

【課題】独立基礎や小梁を含む梁及び柱脚等の堰板型枠の施工において、堰板型枠を組立てる時の取扱が簡便で型枠形状を保持するセパレータの設置が容易なことから堰板型枠の施工能率に優れていると共に、余分な工作設備や加工部品を不要にすることで型枠の施工における総合コストの低減を図れる堰板型枠の施工方法及びそれに用いる金物の提供。
【解決手段】躯体が構築される位置に複数の横端太6で補強された型枠4を対峙させて、この横端太の上面に位置する型枠の空隙を通してセパレータ11を型枠間に所定の間隔毎に配設すると共に、その背面部に形成されている通し孔に配設したセパレータを通しながら腰掛型固定金物12を横端太の上面に取り付けて、次いでセパレータの両端からナット14を締め付けることで対峙している型枠を設置して、しかる後にナットの外側と腰掛型固定金物の背面部及び横端太の堰板側とを挟み込む状態に鞍型振れ止め金物15で固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立基礎、小梁をも含む梁及び柱脚等における堰板型枠の施工方法及びそれに用いる金物に関し、具体的には軽量にした堰板型枠とこれを固定する特別な金物を用いることで堰板型枠の施工を簡素で廉価にする堰板型枠の施工方法及びそれに用いる金物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からの合板による型枠工法は、一般的に市販されているフォームタイ金物のような締付金物を使用するものであって、コンクリートを打設する際の側圧に耐えて、撓み量が少なくなるように横端太と縦端太を組み合わせた形態においてこの締付金物を適当な間隔で型枠上に配置していることから、面倒な作業と所定期間の工期を必要とすると共に作業後にあっては多くの建築残材を発生させることで昨今の環境問題に対する注目度から批判を受けているものであった。
さらに、これに変わる工法としてキーストンプレートを一体成形した鋼製型枠用堰板工法も開発されたが、基礎工事にあっては独立基礎、地中梁及び柱脚に用いられており、梁工事においてもキーストンプレートを梁溝型に折り曲げて梁打ち込み型枠として数多く採用されていた。(特許文献1)
【0003】
鋼製型枠用堰板工法は、工程が急がれる基礎工事等に主として使用されることから、コンクリート打設後も型枠を取り外さずに埋め戻し工事に入ることで大幅な工期の短縮が図れて施工の合理化を達成していたが、堰板の外面側に突出させた凸状支柱部を設けることを必須にすると共に、凸状支柱部の中央には境界用板状部を形成して、この凸状支柱部と境界用板状部との間にラス網部を形成しているので、凸状支柱部を設けるという構成上の要件を加えてもラス網部を構成している板片部の傾斜方向によってはコンクリートの流出量が増加するために、堰板の上下方向の判別が重要になって結果的に作業性を損ねるという失敗を起こすことから、ラス網部を構成する網目の傾斜方向を、下方を片側に傾斜させながら境界用板状部を中心に対照的にすることで、設置方向の作業ミスを防止する型枠用堰板が提案されている。(特許文献2、3)
【0004】
又、作業現場での問題としても打ち込み型枠を締め付ける工法が今ひとつ画一化されないことや、図7、8に示すようにキーストン型堰板23の内法寸法を決めている鋼棒24を適当な長さにしてその両端部を堰板型枠に取り付けられた横端太25と溶接部26によって締結しているセパレータによる提案された従来工法にあっても、溶接作業が雨天時や水溜り箇所での作業を制限され、溶接機器等の設備自体を配置することも容易でないことから、現場作業としては満足されるものでなかった。
【0005】
以上のように、鋼製型枠用堰板工法は、工場生産による優れた精度品質、取り扱いの容易な型枠をセットするだけの簡単な作業とコンクリート打設後に型枠の脱型作業が不要である等の効能によって、作業効率を向上させると共に建築残材を無くする等の合理化対策において多くの貢献を果たしてきたが、いずれの鋼製型枠用堰板工法も、現場での打ち込み型枠を締め付ける工法が確立されていないことや各種の提案工法であっても夫々に解決されていない問題点を抱えているために、簡便で現場での作業者が容易に取り扱える新規な堰板型枠の施工方法とそれに用いる改良された取付金物の早急な確立が所望されていた。
【特許文献1】特許公開2001−73452号公報
【特許文献2】特許公開2002−138663号公報
【特許文献3】特許公開2002−138664号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、独立基礎、小梁をも含む梁及び柱脚等の堰板型枠の施工において、堰板型枠を組立てる時の取扱が簡便で型枠形状を保持するセパレータの設置が容易なことから堰板型枠の施工能率に優れていると共に、余分な工作設備や加工部品を不要にすることで堰板型枠の施工における総合コストの低減を図れる堰板型枠の施工方法及びそれに用いる金物の提供を目的にしている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による堰板型枠の施工方法は、コンクリート躯体が構築される所定の位置に複数の横端太で補強された堰板型枠を対峙させて配置し、この横端太の上面に位置する堰板型枠の空隙を通して少なくとも両端にねじ部を設けたセパレータを堰板型枠間に所定の間隔毎に配設すると共に、その背面部に形成されている通し孔に配設したセパレータを通しながら腰掛型固定金物を横端太の上面に取り付けており、次いでセパレータの両端からナットを締め付けることで対峙している堰板型枠を所定の位置に設置して、しかる後にナットの外側と腰掛型固定金物の背面部及び横端太の堰板側とを挟み込む状態に鞍型振れ止め金物で固定するように構成されている。
この際に、上記の横端太をL型鋼にしたり堰板型枠を薄鋼板のキーストン型枠にすることも特徴としている。
【0008】
本発明による腰掛型固定金物は、上記堰板型枠の施工方法に用いるものであって、横端太の上に載置される横端太の厚さに該当する奥行きから成る所定幅の平面部とこの平面部の先端に形成される横端太との係合部及び平面部後方の横端太の堰板側に一致する位置から立ち上り状態に形成される背面部から構成され、背面部の中央部分にはセパレータの通し孔を設けることを特徴としている。
【0009】
本発明による鞍型振れ止め金物は、上記堰板型枠の施工方法に用いるものであって、セパレータの端部から締め付けられたナットの外側と腰掛型固定金物の背面部及び横端太の堰板側とを挟み込む鞍型状に構成され、鞍型のナット側の下端をナットが越えられる位置まで伸長させ、鞍型の横端太の堰板側の下端を横端太の下方位置まで伸長させており、両下端から腰掛型固定金物における背面部の中央部分に設けたセパレータの通し孔に該当する位置までセパレータを通すための切込みを設けることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明による堰板型枠の施工方法は、独立基礎、小梁をも含む梁及び柱脚等の堰板型枠の施工において、堰板型枠を組立てる時の取扱が簡便で型枠形状を保持するセパレータの設置が容易であり、環境や設備の良し悪しとその作業性に左右されないことから堰板型枠の施工能率に優れていると共に、余分な工作設備や加工部品を不要にすることで堰板型枠の施工における総合コストの低減を図れる効果を奏している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明による堰板型枠の施工方法は、基本的にコンクリート躯体が構築される所定の位置に複数の横端太で補強された堰板型枠を対峙させて配置し、この横端太の上面に位置する堰板型枠の空隙を通して少なくとも両端にねじ部を設けたセパレータを堰板型枠間に所定の間隔毎に配設すると共に、その背面部に形成されている通し孔に配設したセパレータを通しながら腰掛型固定金物を横端太の上面に取り付けており、次いでセパレータの両端からナットを締め付けることで対峙している堰板型枠を所定の位置に設置して、しかる後にナットの外側と腰掛型固定金物の背面部及び横端太の堰板側とを挟み込む状態に鞍型振れ止め金物で固定するように構成されている。
【実施例1】
【0012】
本発明による堰板型枠の施工方法は、後述する腰掛型固定金物や鞍型振れ止め金物を適時に用いながら側面図と部分正面図で示す図1〜4の各工程及び図5、6の完成体に向けて実施されている。
独立基礎や柱脚等を構築するためのキーストン型枠1は、図1に示すようにコンクリート躯体を構築する位置の前後にキーストン型堰板型枠2、2を所定の内法寸法3を確保しながら対峙させて配置されている。キーストン型堰板型枠2は、通常の打ち抜き開口を形成しているキーストン型堰板4の上下端をランナー5、5で覆っていると共に、横手方向にコンクリートの押圧に耐えるように所定の上下間隔毎にL型鋼から成る横端太6を配置している。
【0013】
従って、横端太6の上方には任意の打ち抜き開口を活用したセパレータを通すための通し孔7を随時に形成できるものであって、従来の鋼製型枠用堰板工法で採用されていたようなセパレータ用の通し孔を特別に形成した凸状支柱部をキーストン型堰板の一部に配置する必要も無くなって、キーストン型堰板型枠2の構成を簡潔にすると同時に重量の軽減も図られている。
【0014】
キーストン型枠1が配置された後には、キーストン型堰板型枠2を部分的に拡大表示している図2に示す工程に移行する。図2では、キーストン型堰板型枠2の部分正面図とこれを矢印(A―A’)に沿って断面にした側断面図から構成している。
本工程では、キーストン型堰板型枠2の外表面側突出面8に沿って配置されている横端太6とキーストン型堰板型枠2の内面側平面9に形成されているセパレータを通すための通し孔7において施工が行われている。内面側平面9に存在するセパレータを通すための通し孔7には少なくとも端部にねじ部10を形成されて、コンクリート躯体を構築する位置の両面に配置されているキーストン型堰板型枠2間を亘る長さのセパレータ11が通されており、このセパレータ11の両端には図示のように腰掛型固定金物12が装備されようとしている。
【0015】
この腰掛型固定金物12は、キーストン型堰板4の外表面側突出面8と内面側平面9との間に形成されている空隙を利用してL型鋼から成る横端太6の上面に取り付けられながらその背面部の中央部分に形成されている通し孔13にセパレータ11の端部を挿通させているが、横端太6の上面に腰掛型固定金物12を先に取り付けてからセパレータ11の端部を腰掛型固定金物12の通し孔13に挿通させるか、キーストン型堰板型枠2の通し孔7にセパレータを通した後に腰掛型固定金物12をセパレータ11の端部に装備させると共に横端太6の上面に取り付けるようにするかは周辺状況に対応させて適宜に選択できるものである。
【0016】
キーストン型堰板型枠2にセパレータ11と腰掛型固定金物12が取り付けられた後には、キーストン型堰板型枠2を部分的に拡大表示している図3に示す工程に移行する。図3は、図2と同様にキーストン型堰板型枠2の部分正面図とこれを矢印(B―B’)に沿って断面にした側断面図から構成している。
本工程では、腰掛型固定金物12がその先端部をL型鋼から成る横端太6の上面に引っ掛けることによって最終的な位置に取り付けられるので、腰掛型固定金物12の背面部は、図示の様にその中央部分の通し孔13にセパレータ11の端部を挿通させると共にキーストン型堰板型枠2の外表面側突出面8と面一に成っているL型鋼から成る横端太6のキーストン型堰板4側と一致した位置に配置されている。
そこで、本工程においてはこの位置関係を最終的に設定させるためにナット14をセパレータ11の端部から図の点線の位置迄捻じ込むことによって対峙しているキーストン型堰板型枠2、2を締め付けながら所定の位置に設定するものであり、L型鋼から成る横端太6とセパレータ11及びナット14は互いに良好な位置関係と夫々の働きを効率的に発揮し合っている。
【0017】
対峙しているキーストン型堰板型枠2に装着したセパレータと腰掛型固定金物をナットの締め付けによって固定した後は、キーストン型堰板型枠2を部分的に拡大表示している図4に示す工程に移行する。図4は、上図と同様にキーストン型堰板型枠2の部分正面図とこれを矢印(C―C’)に沿って断面にした側断面図から構成している。
本工程では、締め付けたナットの外側と横端太上に定着された腰掛型固定金物の背面部及び横端太の堰板側とを鞍型振れ止め金物で挟み込む作業を実施して、キーストン型堰板型枠がコンクリート躯体を構築する側にも傾倒しないように安定化を図っている。
図示のように、対峙しているキーストン型堰板型枠2は、装着されたセパレータ11を横端太上に安定的に装備された腰掛型固定金物12にナット14で締め付けることによってその外側に倒れる心配は無くなっている。しかしながら、キーストン型堰板4に形成されているセパレータの通し孔7は、セパレータ11に対して余裕を持った空隙を形成していることと、横端太6の上に装備された腰掛型固定金物12もその先端部を横端太6に係合させているだけであることから、キーストン型堰板型枠2が構築するコンクリート躯体側に倒れないように保持している形態は、セパレータ11と腰掛型固定金物12の背面部に設けられた通し孔との結合状態だけに頼っている。
そこで、本工程では鞍型振れ止め金物15を採用しながらナット14の外側と腰掛型固定金物12の背面部及び横端太6の堰板側とを挟み込むようにして、セパレータ11と腰掛型固定金物12との結合関係を強固なものにすることでキーストン型堰板型枠2が構築するコンクリート躯体側に倒れないように保持力を強化している。
【0018】
鞍型振れ止め金物15は、セパレータ11の端部から締め付けられたナット14の外側と腰掛型固定金物12の背面部に加えて横端太6の堰板側とを挟み込む鞍型状に構成しており、鞍型のナット側下端16は、ナット14の外側に伸張しているセパレータ11の端部を越える位置まで伸長させて、その下端から設定した際にセパレータ11の上方に位置する深さまでセパレータを通すための切り込み17を設けると共に、鞍型の堰板側下端18は、横端太6の下方位置まで伸長させてその下端から腰掛型固定金物12の背面部に設けたセパレータの通し孔に該当する位置までセパレータを通すための切込み19を設けている。
【0019】
図4の状態は、キーストン型堰板4の外表面側突出面8と内面側平面9との間に形成されている空隙を利用して、ナット14の外側と腰掛型固定金物12の背面部及び横端太6の堰板側を鞍型振れ止め金物15で挟み込むように設置する早期の段階を表示しているが、この状態から鞍型振れ止め金物15を更に下方に押し下げることによって、鞍型振れ止め金物15はナット14の外側と腰掛型固定金物12の背面部及び横端太6の堰板側を強固に挟み込むものであり、これによってセパレータ11、腰掛型固定金物12及びキーストン型堰板4の横端太6の保持関係は更に強固になることから、対峙しているキーストン型堰板型枠2は、装着されたセパレータ11を横端太上に安定的に装備された腰掛型固定金物12にナット14で締め付けてその内外に倒れる心配の無い安定した構築形態になっている。
【0020】
以上の各工程に従って本発明による堰板型枠の施工方法は完了するので、実施例であるキーストン型堰板型枠の完成状態を部分斜視図5及び部分正面図6に沿って説明する。
独立基礎や柱脚等を構築するためのキーストン型枠1は、図5に示すようにコンクリート躯体を構築する位置の前後にキーストン型堰板型枠2、2をセパレータ11の装備とこれを固定する腰掛型固定金物12等によって所定の内法寸法を確保しながら対峙させた状態に配置されている。完成したキーストン型堰板型枠2は、キーストン型堰板4の上下端がランナー5、5で覆われていると共に打設する躯体コンクリートの押圧にも耐えるように所定の上下間隔でL型鋼から成る横端太6が配置されて、相互間に渡された複数のセパレータ11の装備によって前後方向に倒れることなく堅固に配置されている。
セパレータ11とこれを固定している腰掛型固定金物12等は、図6の部分拡大図で明らかなように、キーストン型堰板4の外表面側突出面8と内面側平面9との間に形成されている空隙を利用して装備されている。腰掛型固定金物12は、L型鋼から成る横端太6に先端部を引っ掛けながら上面に安定した状態で取り付けられており、キーストン型堰板4の外表面側突出面8と面一に成っている背面部では中央部分の通し孔13にセパレータ11の端部を挿通させてナット14の締め付けでセパレータ11を強固に保持している。又、鞍型振れ止め金物15は、ナット14の外側と腰掛型固定金物12の背面部及び横端太6の堰板側を強固に挟むことによって対峙しているキーストン型堰板型枠2、2がその内外に倒れないように安定した構築形態を維持している。
【0021】
以上のように、本発明による堰板型枠の施工方法は、採用する施工部品としてセパレータ、ナット、腰掛型固定金物及び鞍型振れ止め金物のみを用いて、他の施工設備は一切使用せずに、上記の実施例に何ら限定されること無く、合板型枠、メッシュ型堰板型枠及びキーストン型堰板型枠等の各種堰板面においてセパレータを挿通する為の開口部を有する堰板型枠に、フォームタイ金物、L型鋼横端太等から構成される堰板型枠の係合部を有する各種横端太と上記の施工部品とを効果的に組み合わせて互いに良好な位置関係を採ることで夫々の効率的な働きを発揮させているので、堰板型枠が内外に倒れる心配の無い安定した構築形態を低コストと短期間で形成するものである。
【実施例2】
【0022】
本発明による腰掛型固定金物は、上記した堰板型枠の施工方法に用いるものであって、横端太の上に載置される横端太の厚さに該当する奥行きから成る所定幅の平面部とこの平面部の先端に形成される横端太との係合部及び平面部後方の横端太の堰板側に一致する位置から立ち上り状態に形成される背面部から構成されて、背面部の中央部分にセパレータの通し孔を設けることを特徴としている。
【0023】
本発明による腰掛型固定金物は、前述の部分的に拡大表示した図2に示されているので、その部分正面図と側断面図に従って説明する。
腰掛型固定金物12は、キーストン型堰板型枠2の外表面側突出面8に沿って配置されている横端太6の上に載置される所定幅の平面部20とその先端に平面部20と同幅に形成される横端太との係合部21及び平面部20の後方において横端太6の堰板側と一致する位置から立ち上げて形成する背面部22から構成されている。
係合部21は、平面部20と一体であって図示のように横端太6の水平な平面部分を挟み込むように折り曲げて形成している。背面部22は、同様に平面部20と一体であって係合部21を横端太6の先端に嵌め込んだ際に横端太6の垂直部分と面一の状態を形成するように上方に折り曲げられて、キーストン型堰板の内面側平面9の通し孔7を通されて来るセパレータ11を越える位置まで伸長させて形成されており、その中央部分にはセパレータ11を通すため通し孔13を設けている。
【0024】
本発明による腰掛型固定金物は、以上の様に構成されているので、コンクリート躯体を構築する位置に配置されたキーストン型堰板型枠2を組み立てる際には、キーストン型堰板型枠2間に渡らせて来るセパレータ11の端部を背面部22の中央部分に設けた通し孔13に通しながらその係合部21を横端太6の先端に嵌め込んで横端太6の上に簡易に載置できるものである。
【実施例3】
【0025】
本発明による鞍型振れ止め金物は、上記した堰板型枠の施工方法に用いるものであって、セパレータの端部から締め付けられたナットの外側と腰掛型固定金物の背面部及び横端太の堰板側とを挟み込む鞍型状に構成されており、鞍型のナット側の下端をナットが越えられる位置まで伸長させて、鞍型の横端太の堰板側の下端を横端太の下方位置まで伸長させており、その両下端から腰掛型固定金物における背面部の中央部分に設けたセパレータの通し孔に該当する位置までセパレータを通すための切込みを設けることを特徴としている。
【0026】
本発明による鞍型振れ止め金物は、前述の部分的に拡大表示した図4に示されているので、その部分正面図と側断面図に従って説明する。
鞍型振れ止め金物15は、図示の様にセパレータ11の端部から締め付けられたナット14の外側と腰掛型固定金物12の背面部22及び横端太6の堰板側とを挟み込む鞍型状に構成されている。鞍型を形成して垂下しているナット側の下端16は、使用する際にナット14の外側迄伸張しているセパレータ11の端部を越える位置まで伸長させており、その下端16からは、最終的に設定した際にセパレータ11の上方に位置するであろう深さまでセパレータを通すための切り込み17を設けている。同様に、鞍型を形成して垂下している堰板側の下端18は、使用する際に横端太6の垂直部分の下端位置まで伸長させており、その下端18からは、最終的に設定した際に腰掛型固定金物12の背面部に設けたセパレータの通し孔13に該当するであろう位置までセパレータを通すための切込み19を設けている。
【0027】
本発明による鞍型振れ止め金物は、以上の様に構成されているので、コンクリート躯体を構築する位置に配置されたキーストン型堰板型枠2を組み立てる際には、キーストン型堰板型枠2間に渡らせて来るセパレータ11の端部を腰掛型固定金物の背面部22に設けた通し孔13に通しナット14で締め付けた後に、ナット14の外側と腰掛型固定金物12の背面部及び横端太6の堰板側を強固に挟むことによって対峙しているキーストン型堰板型枠2、2がその内外に倒れないように安定した構築形態を維持できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、独立基礎、小梁をも含む梁及び柱脚等の堰板型枠の施工において、堰板型枠を組立てる時の取扱が簡便で型枠形状を保持するセパレータの設置が容易なことから堰板型枠の施工能率に優れていると共に、余分な工作設備や加工部品を不要にすることで堰板型枠の施工における総合コストの低減を図れる堰板型枠の施工方法及びそれに用いる金物を提供している。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の堰板型枠の施工方法におけるキーストン型堰板型枠の配置図
【図2】本発明の堰板型枠の施工方法における腰掛型固定金物の部分正面図と側断面図
【図3】本発明の堰板型枠の施工方法におけるナット締め付けの部分正面図と側断面図
【図4】本発明の堰板型枠の施工方法における鞍型振れ止め金物の部分正面図と側断面図
【図5】本発明の堰板型枠の施工方法におけるキーストン型堰板型枠の完成配置図
【図6】本発明の堰板型枠の施工方法における腰掛型固定金物等の部分斜視図
【図7】従来の鋼製型枠用堰板工法における型枠の配置図
【図8】従来の鋼製型枠用堰板工法におけるセパレータの配置図
【符号の説明】
【0030】
1…キーストン型枠、2…キーストン型堰板型枠、3…内法寸法、4…キーストン型堰板、5…ランナー、6…横端太、7…通し孔、8…外表面側突出面、9…内表面側平面、10…ねじ部、11…展セパレータ、12…腰掛型固定金物、13…通し孔、14…ナット、15…鞍型振れ止め金物、16…ナット側下端、
17…切り込み、18…堰板側下端、19…切り込み、20…平面部、21…係合部、22…背面部、23…キーストン型堰板、24…鋼棒、25…横端太、26溶接部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート躯体が構築される所定の位置に複数の横端太で補強された堰板型枠を対峙させて配置し、該横端太の上面に位置する堰板型枠の空隙を通して少なくとも両端にねじ部を設けたセパレータを堰板型枠間に所定の間隔毎に配設すると共にその背面部に形成されている通し孔に該セパレータを通しながら腰掛型固定金物を横端太の上面に取り付け、次いで該セパレータの両端からナットを締め付けることで対峙している堰板型枠を所定の位置に設置し、しかる後にナットの外側と該腰掛型固定金物の背面部及び横端太の堰板側とを挟み込む状態に鞍型振れ止め金物で固定する堰板型枠の施工方法。
【請求項2】
横端太がL型鋼であることを特徴とする請求項1に記載の堰板型枠の施工方法。
【請求項3】
堰板型枠が薄鋼板のキーストン型枠であることを特徴とする請求項1、2に記載の堰板型枠の施工方法。
【請求項4】
横端太の上に載置される横端太の厚さに該当する奥行きから成る所定幅の平面部と該平面部の先端に形成される横端太との係合部及び該平面部後方の横端太の堰板側に一致する位置から立ち上り状態に形成される背面部から構成され、該背面部の中央部分にはセパレータの通し孔を設けることを特徴とする請求項1〜3に記載の堰板型枠の施工方法に用いる腰掛型固定金物。
【請求項5】
セパレータの端部から締め付けられたナットの外側と腰掛型固定金物の背面部及び横端太の堰板側とを挟み込む鞍型状に構成され、該鞍型のナット側の下端をナットが越えられる位置まで伸長させ、該鞍型の横端太の堰板側の下端を横端太の下方位置まで伸長させて、両下端から腰掛型固定金物における背面部の中央部分に設けたセパレータの通し孔に該当する位置までセパレータを通すための切込みを設けることを特徴とする請求項1〜3に記載の堰板型枠の施工方法に用いる鞍型振れ止め金物。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−19340(P2009−19340A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−180549(P2007−180549)
【出願日】平成19年7月10日(2007.7.10)
【出願人】(397028360)関包スチール株式会社 (11)
【出願人】(598170453)
【Fターム(参考)】