説明

塗布ヘッドとこれを備えた塗布装置

【課題】塗布ヘッド内部で起こる様々な要因をもとに発生する塗布抜けや塗布斑を解消し、特に吐出加圧時に塗液溜まり部の液面の凹みや乱れを最小限に抑制することで、塗布不良なく高品位な塗布ができる塗布ヘッドを提供することを目的とする。
【解決手段】塗液溜まり部および
前記塗液溜まり部の上方に位置する空間部ならびに
前記空間部に連通する少なくとも1つの圧空供給口を有するマニホールドと
前記塗布ヘッドの長手方向に略一直線上に配列される複数の吐出孔を有し、
前記圧空供給口を通じて前記空間部へ吐出制御用気体を供給することにより前記吐出孔から塗液を吐出する塗布ヘッドであって、
前記圧空供給口は、前記吐出制御用気体を前記塗布ヘッドの長手方向に噴出するための噴出口を有することを特徴とする塗布ヘッド。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗液の塗布ヘッドとこれを備えた塗布装置に関するものであり、特に、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと略称することもある)、液晶ディスプレイ用カラーフィルター(以下、LCMと略称することもある)、光学フィルター、プリント基板、集積回路、半導体等の製造分野に使用されるものであり、また、これらの分野に用いられる塗布ヘッドと塗布装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
様々な方式で多様化するディスプレイの中で注目されているものの一つに、大型で薄型軽量化が可能なPDPがある。PDPは、前面板と背面板の間に形成された放電空間内で放電を生じさせ、この放電によりキセノンガスから波長147nmを中心とする紫外線が生じて、この紫外線が蛍光体を励起することによって表示が可能となる。赤(R)、緑(G)、青(B)に発光する蛍光体を塗り分けた放電セルを駆動回路によって発光させることにより、フルカラー表示に対応できる。
【0003】
このPDPにおいて、最近活発に開発が進められている交流(AC)型プラズマディスプレイは、表示電極/誘電体層/保護層を形成した前面ガラス板と、アドレス電極/誘電体層/リブ層/蛍光体層を形成した背面ガラス板とを貼り合わせ、ストライプ状あるいは格子状の隔壁で仕切られた放電空間内にHe−Xe、または、Ne−Xeの混合ガスを封入した構造を有している。R、G、Bの各蛍光体層は、粉末状の蛍光体粒子を主成分とする蛍光体ペーストが、背面板に形成された色毎に一方向に延びる隔壁、またはこのような隔壁とこれに直交する補助隔壁により形成された凹部に充填されてなる。このような構造のものを高い生産性と高品質で製造するには、蛍光体を一定のパターン状に塗り分ける塗布技術が重要となる。
【0004】
この蛍光体ペーストの塗布方法として、一般にスクリーン印刷法が用いられているが、近年は塗液の使用効率が高いことや安価で塗布が容易なことから、複数からなる微細な吐出開口部を有する塗布ヘッドを使用し、この塗布ヘッドを背面板と対向させ、相対的に移動させながら、塗液を凹部に充填する方法が提案、検討されている(特許文献1参照)。
【0005】
塗布ヘッドの具体的な構造としては、特許文献2、3に、塗布ヘッド内部に塗液溜まり部および塗液溜まり部の上方に空間部を有するマニホールドを形成し、この空間部に吐出制御用の高圧気体を供給することにより、塗液溜まり部にある塗液を加圧して吐出孔より押し出す方法が提案されている。
【0006】
近年、PDPやLCMをはじめ益々高精細化や基材の大型化が進んでいる。
例えば、特許文献2、3に示される塗布ヘッドの場合、高精細化が進むということは、吐出孔の配列ピッチが狭くなると同時に塗布ヘッドの吐出孔が小さくなること意味する。
もともと、PDPなどの塗液は高粘度な蛍光体ペーストであり、吐出孔から塗液を押し出すために高圧を付与しているが、吐出孔が小さくなることで、従来よりさらに高圧を付与する必要がある。
【0007】
また、基材の大型化が進むということは、塗布ヘッドが従来より長尺化することであり、長尺化が進むと、おのずと空間部の容積も増えていくことになる。
【0008】
特許文献2に記載された塗布ヘッドの場合、吐出制御用気体の圧空供給口と空間部に噴出するための噴出口を塗布ヘッドの長手方向に平行な側面に設け、吐出制御用気体を塗液の液面上で当該面と対向する面に向けて噴出するものである。
このような塗布ヘッドを用いて基材へ塗布した結果、塗布ヘッド長手方向において噴出口直下近傍の吐出孔に対応する基材の位置で塗液が吐出されず塗布されていない塗布抜け欠点や塗布量が少なくなる塗布斑と呼ぶ欠点が生じ、歩留まりが低下するという問題がある。
【0009】
発明者らは鋭意検討を重ね、上記欠点の発生原因をつきとめた。
つまり、吐出制御用気体は噴出口を設けた面に対向する面に激突後、向きを変えて塗液の液面に直撃し、その瞬間、液面が大きく凹み、乱れることが伺える。このとき、塗液溜まり部に入っている塗液の液面の高さによっては、液面が凹むことで吐出孔が塗液から露出する可能性があり、その結果、塗布すると露出した吐出孔近傍で空気を巻き込み塗液が吐出されない塗布抜けが発生するということが判明した。
【0010】
また、液面が凹むことで吐出孔が塗液から露出されなくても、当該箇所では液面が大きく乱れたことにより塗液の状態が変わり、その結果、塗布斑が発生するという問題がある。
特に特許文献2に記載された塗布ヘッドでは、吐出制御用気体の噴出口から対向する面までの距離が短いので、塗液の液面に直撃する力は大きく、液面の凹みは相当大きなものであることが伺える。これら問題は、吐出制御用気体の圧力が高圧であるほど、顕著になってくることがわかった。
【0011】
また、前述のとおり、基材の大型化にともない、空間部の容積が増えることで、空間部の圧力の立ち上がりが遅くなり、その結果、液面に作用する圧力が幅方向に不均一となる。具体的には、吐出制御用気体を供給した瞬間において、空間部の広い容積内において隅々まで圧力がいきわたる前に、噴出口の近傍部分で圧力が大きくなっている状態となっている。
【0012】
よって、容積が大きいと圧空供給口近傍では液面に直撃する圧力はより大きくなり、その結果、液面の凹み、乱れはより増大することになる。つまり、これら問題は、塗布ヘッドが長尺化し、空間部の容積が大きいほど顕著になってくることがわかった。また、これら問題は、特許文献2に記載されているような電界を利用した塗布を行ったところで解消されるようなものではなく、根本的な問題である。
【0013】
一方、特許文献3の塗布ヘッドは、2つの圧空供給口を塗布ヘッドの長手方向において両端部近傍に配し、使用する圧空供給口を切り替えることで、吐出制御用気体の供給と排出を繰り返すことで顕在化してくる温度斑を抑制し、これにより、塗液の温度変化による塗布斑を抑制する手段が提案されている。特許文献3の圧空供給口は吐出制御用気体の噴出口を液面に対して設けているので、吐出制御用気体は液面を直撃し、液面が大きく凹むことが伺える。よって、この場合も前述と同様に圧空供給口近傍部で塗布抜けや塗布斑が発生するという問題が解消されないままである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開平10−27543号公報(富士通)
【特許文献2】特開2001−137761号公報(DNP)
【特許文献3】特開2010−194473号公報(東レ)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、吐出加圧時に塗液溜まり部の液面の凹みや乱れを最小限に抑制することで、塗布抜けや塗布斑を解消し、塗布不良なく高品位な塗布ができる塗布ヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、本発明は、
塗液溜まり部および
前記塗液溜まり部の上方に位置する空間部ならびに
前記空間部に連通する少なくとも1つの圧空供給口を有するマニホールドと
前記塗布ヘッドの長手方向に略一直線上に配列される複数の吐出孔を有し、
前記圧空供給口を通じて前記空間部へ吐出制御用気体を供給することにより前記吐出孔から塗液を吐出する塗布ヘッドであって、
前記圧空供給口は、前記吐出制御用気体を前記塗布ヘッドの長手方向に噴出するための噴出口を有することを特徴とする塗布ヘッドを提供する。
【0017】
また、前記圧空供給口は、少なくとも2つの噴出口を有することが好ましい。
【0018】
また、前記圧空供給口が、塗布ヘッドの長手方向において、前記塗布ヘッドの端部近傍に配置されていおり、
前記噴出口が塗布ヘッドの長手方向において、前記塗布ヘッドの端部方向と中央方向に開口しており、前記塗布ヘッドの端部方向に開口する噴出口より中央方向に開口する噴出口の開口面積を大きくすることが好ましい。
【0019】
また、本発明は基材を固定するテーブルと、基材に対面して設けられ、基材に所定量の塗液を吐出する塗布ヘッドと、前記テーブルと前記塗布ヘッドを3次元的に相対移動させる移動手段とを備えた塗布装置において、前記塗布ヘッドに、本発明の塗布ヘッドを用いたことを特徴とする塗布装置を提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、塗液溜まり部および前記塗液溜まり部の上方に位置する空間部ならびに前記空間部に連通する少なくとも1つの圧空供給口を有するマニホールドと前記塗布ヘッドの長手方向に略一直線上に配列される複数の吐出孔を有し、前記圧空供給口を通じて前記空間部へ吐出制御用気体を供給することにより前記吐出孔から塗液を吐出する塗布ヘッドであって、前記圧空供給口は、前記吐出制御用気体を前記塗布ヘッドの長手方向に噴出するための噴出口を有するので、吐出制御用気体が液面を直撃することが無くなる。そのため、液面の凹みや乱れを抑制でき、塗布抜けや塗布斑などの欠点を生じさせることなく高品位な塗布が可能となる。
【0021】
また、前記圧空供給口は、少なくとも2つの噴出口を有するので、塗布ヘッドの長手方向に均一かつ効率よく吐出制御用気体を噴出すことができ、長手方向により均一な圧力付与が可能となる。
【0022】
また、前記圧空供給口が、塗布ヘッドの長手方向において、前記塗布ヘッドの端部近傍に配置されており、前記噴出口が塗布ヘッドの長手方向において、前記塗布ヘッドの端部方向と中央方向に開口しており、前記塗布ヘッドの端部方向に開口する噴出口より中央方向に開口する噴出口の開口面積を大きくするので、圧空供給口の位置から中央方向に位置する空間部容積と、端部方向に位置する空間部の容積に対して、略均一な吐出制御用気体の供給が可能となり、液面の凹みや乱れを抑制しつつ、長手方向により均一な圧力付与が可能となる。
【0023】
また、本発明は基材を固定するテーブルと、基材に対面して設けられ、基材に所定量の塗液を吐出する塗布ヘッドと、前記テーブルと前記塗布ヘッドを3次元的に相対移動させる移動手段とを備えた塗布装置において、前記塗布ヘッドに、本発明の塗布ヘッドを用いることで、高品位な塗布ができる塗液の塗布装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施態様に係る塗布ヘッドの、(a)正面断面図と、(b)側面断面図である。
【図2】本発明の一実施態様に係る他の塗布ヘッドの、(a)正面断面図と、(b)拡大断面図である。
【図3】本発明の一実施態様に係る他の塗布ヘッドの、(a)正面断面図と、(b)拡大断面図である。
【図4】本発明の一実施態様に係る他の塗布ヘッドの、(a)正面断面図と、(b)拡大断面図である。
【図5】本発明の塗布ヘッドを備えた塗布装置の概略構成図である。
【図6】従来の塗布ヘッドの、(a)正面断面図と、(b)側面断面図である。
【図7】従来の塗布ヘッドの、(a)正面断面図と、(b)側面断面図である。
【図8】従来の塗布ヘッドの、(a)正面断面図と、(b)側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照して説明する。但し、本発明はこれに限定されるものではなはない。
【0026】
図1(a)に、本発明の一実施態様に係る塗布ヘッドの正面断面図、図1(b)に図1(a)の塗布ヘッドの側面断面図を示す。
【0027】
図1(a)と図1(b)に示す塗布ヘッドは、塗布する基材のサイズに合わせて選択され、その基材に形成された全ての溝に対して1回の塗布動作で塗布を完了するために、複数の吐出孔が略一直線状に配列して設けられる。例えば、塗布する基材がプラズマディスプレイの背面板の場合は、R、G、B何れか1色の蛍光体粉末を含んだ塗液を塗布することが好ましく、その場合、塗布ヘッドにはその塗布する溝に対応した数、ピッチで吐出孔が略一直線状に設けられる。
【0028】
ここで、塗布ヘッドは、吐出孔の数を減らして複数回の塗布動作で基材1枚への塗布を完了するものであってもよい。つまり、短尺型の塗布ヘッドであったり、吐出孔のピッチを広げたものであってもよい。また、R、G、B3色の塗液を同時に塗布する場合にも本発明は適用できる。
【0029】
塗布ヘッド30は、略一直線状に配列された吐出孔33と、内部に塗液溜まり部35と塗液溜まり部35の上方に位置する空間部36を有するマニホールド34、塗液をマニホールド34内に補給するための入口となる塗液ポート31、空間部36へ吐出制御用気体の供給と排出をするための通路となる圧空供給口32、空間部36へ吐出制御用気体を噴出すための噴出口61からなる。圧空供給口32は、空間部36の上方に配され、塗布ヘッド30の長手方向においては、空間部36の中央に配されている。塗液ポート31は、マニホールド34上方から塗液を供給するように設けてもよいし、マニホールド34を構成する一側面に塗液溜まり部35と連通する開口部を設けて塗液を供給するようにしてもよい。なお、塗液に気泡が噛み込まないように塗液の供給口は常に液中に浸漬していることが好ましい。
【0030】
噴出口61は、吐出制御用気体を塗布ヘッド30の長手方向に噴出すように空間部36の長手方向の両端に向けて開口している。
【0031】
ここで、圧空供給口32は空間部36に連通した円筒状の部材であり、塗液の液面に対向する部分に蓋をしたような形状となっている。噴出口61は圧空供給口32である円筒状部材の円周上に塗布ヘッド30の長手方向に開口した丸穴であることが好ましいが、形状は特に限定するものではない。
【0032】
他の形状としては、圧空供給口32が空間部36上面に設けられた穴とし、空間部36上面から液面の間に邪魔板を設けて液面に吐出制御用気体が直撃しないようにしてもよい。
なお、この場合、短手方向(長手方向に直交する方向)において、図1(b)に示す、対向しているマニホールド内面の距離Wが、空間部36の長手方向の距離Lに比べて非常に小さいことから、吐出制御用気体が短手方向のマニホールド内面に激突し、向きを変えて液面に直撃することで液面が凹んだり乱れたりするので、空間部36の長手方向にのみ吐出制御用気体が噴出されるような邪魔板形状にすることが好ましい。
【0033】
塗液溜まり部35に補給された塗液の量は、塗液量検出手段41によって検出され、塗液の補給後、所定の量となるように管理されていることが好ましい。例えばレーザー式変位計でマニホールド34上面に設けたルッキングガラス越しに液面を管理することが好ましい。
【0034】
なぜなら、塗液の量を所定の量に管理するということは、空間部36の容積を常時一定にすることであり、つまりは、吐出制御用気体の圧力応答を毎回吐出ごとに同じにすることが可能となり、その結果、吐出が安定するからである。
【0035】
また、例えば塗液が多めに補給されると液面高さが高くなり、噴出口61が液面に浸漬する場合も想定され、この時、吐出制御用気体を供給すると塗液の飛散や気泡を生じる場合もある。
【0036】
液面の管理は、制御用コントローラ(図示しない)を用いてあらかじめ設定値を設けて管理する自動制御であってもよいし、塗液量検出手段41の出力結果を人が管理するようなものであっても良い。
【0037】
圧空供給口32の上流には吐出バルブ22が接続されている。吐出バルブ22は三方弁となっており、一方が吐出制御用気体源(図示しない)に接続され、もう一方は大気に開放されており、塗布ヘッド30内の空間部36が吐出制御用気体源と大気のどちらと連通するかを切り替えることが可能となっている。
【0038】
マニホールド34に設けられる圧空供給口32の位置は特に限定されるものではないが、例えば、液面高さ方向については、前述のとおり設定する液面の高さによっては噴出口61が液面に浸漬する場合が想定されることもあるので、空間部36の上方に設けることが好ましく、より好ましくはマニホールド34の上面に設けることで、万が一噴出口61が液面中に浸漬したり、噴出口61に塗液が付着浸入してきても圧空供給口32上流まで塗液が逆流して、例えば吐出バルブ22を破損させたりすることを防止できる。
【0039】
次に、空間部36に吐出制御用気体を供給したときの、液面の状態について従来の塗布ヘッドと本発明の塗布ヘッドを比較しながら説明する。
【0040】
図6(a)に、例えば塗布ヘッドの長手方向に噴出口をもたない従来の塗布ヘッドの正面断面図、図6(b)に図6(a)の塗布ヘッドの側面断面図を示す。
【0041】
図1(a)、図1(b)および図6(a)、図6(b)において、空間部36に吐出制御用気体を供給する前、空間部36は大気圧の状態にあり、塗液の補給が完了した後の塗液の液面は塗布ヘッド30長手方向において略均一な液面高さとなっている。
【0042】
図6(a)、図6(b)において、吐出孔33から塗液を吐出する時、吐出制御用気体が圧空供給口32を通り空間部36に供給される。この時、圧空供給口32は液面の真上に開口しているため、吐出制御用気体は空間部36の隅々まで圧力がいきわたるより先に最初に液面を直撃する。その結果、液面は瞬時に破線62で示すように凹み、乱れてしまう。この時、液面が大きく凹み、吐出孔33が塗液から露出すると空気を巻き込み、塗布する際に、塗布抜け欠点が発生するという問題がある。
【0043】
また、吐出孔が塗液から露出されなくても、液面が大きく凹んだ後、レベリングされるまでの課程において、塗液が空気を巻き込むことで塗液中に気泡を生じ、これが塗布中に吐出孔から吐出されると、同様に塗布抜け欠点が発生する場合もある。
【0044】
また、液面が凹んだ周囲は液面が盛り上がった状態になる場合が多く、このとき盛り上がった液面の一部が噴出口に入り込むことがある。塗布を繰り返し行うことで吐出制御用気体の供給と排気を繰り返すと、ますます塗液が入り込み、噴出口を塞いで吐出制御用気体の供給を妨げ、塗布に支障をきたす場合もある。
【0045】
上記問題が、顕著となってあらわれるのは、吐出孔33の開口面積や吐出量、塗布速度等の各条件によって変わるが、特に塗液の粘度が、1Pa・s〜200Pa・sの範囲で吐出制御用気体の圧が100kPa〜2000kPaの範囲の場合であることが多い。
【0046】
一方、本発明の図1(a)、図1(b)におては、吐出孔33から塗液を吐出する時、吐出制御用気体は圧空供給口32を通り、噴出口61から空間部36へ供給される。この時、噴出口61は吐出制御用気体を塗布ヘッド30の長手方向に噴出すように空間部36の長手方向の両端に向けて開口しているので、吐出制御用気体は、塗布ヘッド長手方向に進み、液面を直撃せず液面の凹みや乱れは生じない。
【0047】
次に本発明の塗布ヘッドの他の好ましい形態について説明する。
【0048】
図2(a)は、本発明の一実施態様に係る他の好ましい塗布ヘッドの正面断面図、図2(b)は図2(a)の圧空供給口の拡大断面図である。
【0049】
塗布ヘッド30は、略一直線状に配列された吐出孔33と、内部に塗液溜まり部35と塗液溜まり部35の上方に位置する空間部36を有するマニホールド34、塗液をマニホールド34内に補給するための入口となる塗液ポート31、空間部36へ吐出制御用気体の供給と排出をするための通路となる圧空供給口32a、32b、空間部36へ吐出制御用気体を噴出すための噴出口61a、61bからなる。
【0050】
圧空供給口32a、32bは、空間部36の上方に配され、塗布ヘッド30の長手方向において空間部36の両端部寄りに配されており、空間部36の長さLに対して空間部36の端部からL/10の位置に2つ配されている。
【0051】
ここで、吐出制御用気体の供給と排出を1回すると、吐出制御用気体の、断熱圧縮による温度上昇や流動による温度低下の影響から、空間部36における吐出制御用気体との接触面に温度斑が発生する場合がある。この温度斑は、塗液の成分や吐出制御用気体の圧力、空間部36の容積等の各条件によって発生するものであり、一般的には空間部36の長手方向で、圧空供給口32a、32bから離れる位置ほど温度が上昇するような分布となる。
【0052】
例えば、図6(a)に示す従来の塗布ヘッドの場合、圧空供給口32の位置が中央であるので、空間部36の両端部近傍で温度が上昇する場合があることが知られており、空間部36での吐出制御用気体の供給と排出を繰り返して塗布を行い続けることで、その温度斑は顕著となる場合がある。
【0053】
その結果、粘度に温度依存性のある塗液では粘度に斑が発生し、塗液の吐出量がばらつく塗布斑などが発生したり、塗布ヘッドが熱による伸びや収縮して変形し、吐出孔と基材との位置関係にずれが生じたり、吐出孔が変形する場合がある。
【0054】
よって、図2(a)に示すように、圧空供給口32a、32bは、空間部36の長手方向において空間部36の両端部寄りに2つ配されることが好ましい場合がある。つまり、例えば1回目の吐出制御用気体の供給と排出を圧空供給口32aから行い、2回目の吐出制御用気体の供給と排出を圧空供給口32bから行うようにして、使用する圧空供給口を毎回切り替えることで、温度上昇発生箇所が毎回切り替わり、交互に打ち消すようにすることができるので好ましい。その他、圧空供給口32aと32bを複数回ごとに切り替えることも同様の効果が得られることもある。
【0055】
また、交互に打ち消しあうという観点から、前記圧空供給口32a、32bは空間部36の長手方向の中心を対象に配置されることが好ましい。
なお、温度斑が発生しない場合や温度斑による塗布斑が塗布品位に影響しない程度であるのならば、この限りではなく、圧空供給口を1つだけ配置するようにすれば良い。
【0056】
ここで、圧空供給口32a、32bは、図2(b)に示すように、空間部36に連通した円筒状の部材であり、液面に対向する部分には吐出制御用気体が噴出されないような形状となっている。噴出口61a、61bは圧空供給口32a、32bである円筒状部材の円周上に空間部36の長手方向に開口した丸穴や長穴や切り欠き形状であることが好ましが、特に限定するものではない。
【0057】
空間部36の長手方向において、噴出口61a、61bは、空間部36の端部方向に開口する噴出口61aより空間部36の中央方向に開口する噴出口61bの開口面積を大きくすることが好ましく、圧空供給口32a、32bから中央方向にある空間部容積と圧空供給口から端部方向にある空間部容積の容積比を参考にしてそれぞれの噴出口61a、61bの開口面積を決定することが好ましい。
【0058】
開口面積は、丸穴や長穴や切り欠き形状の大きさを変更することで決定してもよいし、他には丸穴や長穴や切り欠き形状の開口個数で決定しても良い。例えば、中央方向に開口する噴出口61bを直径6mmの丸穴2個とし、端部方向に開口する噴出口61aを直径6mmの丸穴1個とすることもできる。
【0059】
次に吐出制御用気体が空間部36を広がり進む様相について説明する。図2(a)、図2(b)に示す矢印で吐出制御用気体の流れを模式的に示した。
【0060】
空間部36の長手方向において、圧空供給口32a、32bの位置から中央方向に位置する空間部容積(図2(a)では、L−L/10−L/10の範囲)の方が、端部方向に位置する空間部容積(図2(a)では、L/10の範囲)より大きいので、中央方向に開口した噴出口61bの開口面積を大きくすることで、より多くの吐出制御用気体が噴出すようにする。そして、端部方向に位置する空間部容積は小さいので端部方向に開口した噴出口61aの開口面積を小さくして、中央方向より少ない吐出制御用気体を噴出するようにする。
【0061】
以上のようにすることで、液面を凹みや乱れなく、空間部36に対して長手方向に効率よく、均一に吐出制御用気体を供給できる結果、圧力応答性が高く液面に均一な圧力付与が可能となる。
【0062】
特に、端部方向の噴出口61aの開口面積は、空間部36の端部から圧空供給口32a、32bまでの距離に応じて慎重に決定することが好ましい。なぜなら、当該距離が短く端部に接近している場合は、端部に吐出制御用気体が激突し、向きを変えて端部の液面に衝突する可能性があるからである。
【0063】
これを踏まえ、例えば空間部36の長手方向において、圧空供給口32a、32bの位置を、最両端部に配する場合は、中央方向に開口する噴出口61bのみ設け、端部方向に開口する噴出口61aを設けない方が好ましい場合がある。
【0064】
以上より、圧空供給口32a、32bを空間部36の長手方向において端部近傍に設ける場合は、その位置や塗液の粘度や吐出制御用気体の圧力等の各種条件を充分吟味して、噴出口61a、61bの開口面積を決定する必要がある場合が多く、例えば中央方向の噴出口61bに対して端部方向の噴出口61aの開口面積を1/1.5以下にすることで良好な結果が得られることが多いので好ましい。
【0065】
また、塗布ヘッドがより長尺化する場合は、圧空供給口32a、32bの位置から中央方向に位置する空間部容積(図2(a)では、L−L/10−L/10の範囲)の方が、端部方向に位置する空間部容積(図2(a)では、L/10の範囲)より、さらに大きくなるので、中央方向に位置する空間部容積に吐出制御用気体が充分広がりきるより先に、空間部36の端部に到達すること、端部の液面を凹ます可能性がある場合もある。したがって、このような場合には、中央方向に開口する噴出口61bの開口面積を大きくする、または、端部方向に開口する噴出口61aの開口面積を小さくするなどして、長手方向に均一に吐出制御用気体が広がり進むようにすることが好ましい。
【0066】
さらに本発明の塗布ヘッドの他の好ましい形態について説明する。
【0067】
図3(a)は、本発明の一実施態様に係る他の好ましい塗布ヘッドの正面断面図、図3(b)は図3(a)の圧空供給口の拡大断面図である。
【0068】
塗布ヘッド30は、略一直線状に配列された吐出孔33と、内部に塗液溜まり部35と塗液溜まり部35の上方に位置する空間部36を有するマニホールド34、塗液をマニホールド34内に補給するための入口となる塗液ポート31、空間部36へ吐出制御用気体の供給と排出をするための通路となる圧空供給口32a、32b、空間部36へ吐出制御用気体を噴出すための噴出口61a、61bからなる。
【0069】
この圧空供給口32a、32bは、空間部36の上方に開口していて、塗布ヘッド30の長手方向において空間部36の両端部寄りに配されており、空間部36の長さLに対して空間部36の端部からL/5の位置に2つ配されている。つまり、図2(a)、図2(b)で示した塗布ヘッドより中央寄りに配置されている。
【0070】
空間部36の長手方向において、圧空供給口32a、32bの位置から中央方向に位置する空間部容積(図3(a)では、L−L/5−L/5の範囲)の方が、端部方向に位置する空間部容積(図3(a)では、L/5の範囲)より大きいので、中央方向に開口した噴出口61bの開口面積を大きくすることで、より多くの吐出制御用気体が噴出すようにする。
【0071】
そして、端部方向に位置する空間部容積は、小さいので端部方向に開口した噴出口61aの開口面積を小さくして、中央方向より少ない吐出制御用気体を噴出するようにする。
【0072】
以上のようにすることで、液面を凹みや乱れなく、空間部36に対して長手方向に効率よく、均一に吐出制御用気体を供給できる結果、圧力応答性が高く液面に均一な圧力付与が可能となる。
【0073】
特に、端部方向の噴出口61aの開口面積は、空間部36の端部から圧空供給口32a、32bの距離に応じて慎重に決定することが好ましい。なぜなら、当該距離が短く端部に接近している場合は、端部に吐出制御用気体が激突し、向きを変えて端部の液面に衝突する可能性があるからである。
【0074】
したがって、圧空供給口32a、32bを空間部36の長手方向において端部近傍に設ける場合は、その位置や塗液の粘度や吐出制御用気体の圧力等の各種条件を充分吟味する必要がある場合が多く、例えば中央方向の噴出口61bに対して端部方向の噴出口61aの開口面積を1/1.5以下にすることで良好な結果が得られることが多いので好ましい。
【0075】
さらに好ましくは、図2(a)、図2(b)で示した端部方向の噴出口61aより図3(a)、図3(b)に示す端部方向の噴出口61aの開口面積を大きくすることが好ましい。なぜなら、端部方向に位置する空間部容積は、図2(a)では、L/10の範囲であるのに対し図3(a)では、L/5の範囲となり、容積が大きくなる。よって、より多くの吐出制御用気体を噴出する必要があるからである。または、図2(a)、図2(b)で示した中央方向の噴出口61bより図3(a)、図3(b)に示す中央方向の噴出口61bの開口面積を小さくすることで、端部方向の噴出口61aからの噴出しが多くなって、同様の効果を得られる場合もある。つまり、圧空供給口32a、32bの位置により、中央部方向に位置する空間部容積と端部方向に位置する空間部容積が決まるので、噴出口61a、61bは、それぞれの容積に略均一に吐出制御用気体を供給できるような開口面積とすること好ましい。
【0076】
次に、本発明に係る塗布ヘッドを備えた塗布装置について、図面を参照して説明する。
【0077】
図5は、本発明の塗布ヘッドを備えた塗布装置の概略構成図である。
【0078】
以下に示す塗布装置は、たとえば、プラズマディスプレイパネル用部材における蛍光体 塗布工程に特に好ましく適用することができるものである。
【0079】
すなわち、R(赤)、G(緑)、B(青)の3種類のいずれかの色に発光する蛍光体粉末を含む蛍光体ペーストをプラズマディスプレイパネル用の凹凸基材に塗布する際に好適に用いることができる。
【0080】
図5に示す塗布装置1は、図2(a)、図2(b)に示す本発明に係る塗布ヘッド30と、蛍光体ペーストなどの塗液を貯蔵する塗液容器11と、基材9を固定するテーブル2と、テーブル2と塗布ヘッド30とを3次元的に相対移動させる移動手段(図示しない)とを備える。
【0081】
塗布ヘッド30は、略一直線状に配列された吐出孔33と、内部に塗液溜まり部35と塗液溜まり部35の上方に位置する空間部36を有するマニホールド34、塗液をマニホールド34内に補給するための入口となる塗液ポート31、空間部36へ吐出制御用気体の供給と排出をするための通路となる圧空供給口32a、32b、空間部36へ吐出制御用気体を噴出すための噴出口61a、61bからなる。
【0082】
圧空供給口32a、32bは、空間部36の上方に開口していて、塗布ヘッド30の長手方向において空間部36の両端部寄りに配されており、空間部36の長さLに対して空間部36の端部からL/10の位置に2つ配されている。
【0083】
塗布する基材9がプラズマディスプレイの背面板の場合、塗布ヘッド30は、基材9上に形成された所望の全ての溝に対して1回、または複数回の塗布動作で塗布を完了するために、吐出孔が略一直線状に配列して設けられていることが好ましい。プラズマディスプレイの背面板の場合、R、G、Bいずれか1色の蛍光体粉末を含んだ塗液を塗布することが好ましく、その場合、塗布ヘッド30には塗布回数と、塗布する溝に対応した数、ピッチで吐出孔33が設けられる。
【0084】
吐出孔33の形状は特に限定されるものではなく、凹凸基材に安定して塗布できるのであれば丸穴形状や長穴形状などであってもよい。なお、プラズマディスプレイパネル用の凹凸基材の場合、溝の寸法や溝に充填する蛍光体ペーストの量を考慮すると、吐出孔66の1つあたりの開口面積が0.04mm以下であることが好ましい。
【0085】
塗液ポート31には、配管13が接続され、塗液の供給をコントロールする開閉バルブ12を経て塗液容器11が接続される。なお、塗液ポート31と配管13の間に塗液中の異物を除去するために濾過器を接続しても良い。
【0086】
吐出制御用気体の供給と排出をするための通路となる圧空供給口32a、32bには、配管24a、24bがそれぞれ接続され、その上流は、切替バルブ21に接続される。切替バルブ21は三方弁となっており、配管25と、塗布ヘッド30に接続する配管24a、24bのどちらか一方とを連通させて、もう一方を閉じた状態にすることができ、その連通を切り替えることができる。なお、切替バルブ21の切り替えは、コントローラ(図示しない)により制御される。その切替バルブ21に接続する配管25の上流には、吐出バルブ22が接続されている。吐出バルブ22は三方弁となっており、一方が減圧弁23を介して吐出制御用気体源29に接続する配管26を接続し、もう一方は大気に開放されている。
【0087】
減圧弁23は、吐出制御用気体源29の吐出制御用気体を塗布ヘッド30からの塗液の吐出に必要な圧力に調整することができる。吐出バルブ22は、塗布ヘッド30内の空間部36が吐出制御用気体源29と大気のどちらと連通するかを切り替えることができ、その切り替えはコントローラに制御される。
【0088】
なお、図5では、切替バルブ21と吐出バルブ22とは配管25を介して連通する構成となっているが、2つのバルブを、配管を介さずに直接接続しても構わない。
塗液容器11には、塗布ヘッド30に塗液を供給するための加圧気体を供給する配管28が接続されている。塗布ヘッド30への塗液供給は、開閉バルブ12を開くことにより行われる。
【0089】
塗液容器11より流れ出た塗液は、開閉バルブ12と配管13と塗液ポート31を通じて、塗布ヘッド30内の塗液溜まり部35に入り、マニホールド部34上部に空間部36を残す形で所定量が貯えられる。
【0090】
塗液の塗布は、塗液溜まり部35内に所定量の塗液が供給された後、塗布ヘッド30の下方で基材9を積載したテーブル2を所定の方向に移動、または基材9の上方で、塗布ヘッド30を所定の方向に移動させる。そして、例えば、切替バルブ21が配管24aと連通している状態にあるとき、吐出バルブ22を作動させ、圧空供給口32aから噴出口61a、61bを経て、空間部36に吐出制御用気体を供給することで、吐出孔33から塗液を吐出し、基材9上に塗液を塗布する。
【0091】
この時、本発明における塗布装置では、液面に吐出制御用気体が直撃しないように圧空供給口32a、32bは、吐出制御用気体を前記塗布ヘッドの長手方向に噴出するための噴出口61a、61bを有することが好ましい。
【0092】
なお、次の塗布では、コントローラの信号により切替バルブ21が制御され、配管24bと連通されることで、吐出制御用気体は圧空供給口32bからの供給となる。
【0093】
ここで、例えば1つの圧空供給口を通じて吐出制御用気体の供給と排出を繰り返すと、塗布ヘッド内の空間部における吐出制御用気体との接触面での温度斑が、例えば吐出孔の配列する方向で、圧空供給口から離れる位置ほど上昇するような温度分布になる場合がある。
そのため、圧空供給口を図2(a)、図2(b)に示すように塗布ヘッドの吐出孔の配列する方向において空間部の両端近傍、かつ中央を中心に対称に配することで、その2つの圧空供給口による温度斑が、吐出孔の配列方向における中央を中心とする対称の温度分布となるため、互いに対称に配した2つの圧空供給口の間では、温度斑を打ち消しやすくなるので好ましい場合がある。
【0094】
このとき、噴出口は塗布ヘッド30の長手方向において、前記塗布ヘッドの端部方向と中央方向に開口しており、前記塗布ヘッドの端部方向に開口する噴出口61aより中央方向に開口する噴出口61bの開口面積を大きくする方が好ましい。
【0095】
つまり、空間部36の長手方向において、圧空供給口32a、32bの位置から中央方向に位置する空間部容積(図2(a)では、L−L/10−L/10の範囲)の方が、端部方向に位置する空間部容積(図2(a)では、L/10の範囲)より大きいので、中央方向に開口した噴出口61bの開口面積を大きくすることで、より多くの吐出制御用気体が噴出すようにする。そして、端部方向に位置する空間部容積は、小さいので端部方向に開口した噴出口61aの開口面積を小さくして、中央方向より少ない吐出制御用気体を噴出するようにする。
【0096】
以上のようにすることで、液面を凹みや乱れなく、空間部36に対して長手方向に効率よく、均一に吐出制御用気体を供給できる結果、圧力応答性が高く液面に均一な圧力付与が可能となる。
【0097】
そして、吐出の停止は、吐出バルブ22を大気開放側に作動させ、空間部36から吐出制御用気体を排出することで停止する。
【0098】
塗布が終えた後は、塗布ヘッドへの塗液の補給や、基材の搬入、搬出、切替バルブ21の切り替えなどを行う。以後、塗布を繰り返す限り、これら一連の動作を繰り返す。
なお通常、PDP蛍光体塗布工程に用いられる蛍光体ペーストは、1〜数百Pa・sと、非常に高粘度であるが、このような高粘度の塗液の場合でも格別な効果を奏する。
以上のように、本発明に係る塗布ヘッド、およびこれを備えた塗布装置は、塗布ヘッド内部で起こる様々な要因をもとに発生する塗布抜けや塗布斑を解消し、特に吐出加圧時に塗液溜まり部の液面の凹み、乱れを最小限に抑制することで、塗布不良なく高品位な塗布ができる。
【実施例】
【0099】
次に、本発明の実施の形態に従って、プラズマディスプレイ背面版に塗液を塗布した場合の実施例を示す。
【0100】
実施例1
枚葉の基材であるプラズマディスプレイ背面板は、サイズ990×600mm、被塗布面に高さ0.12mmで頂部の幅0.05mmのリブが、ピッチ0.3mmで3097本形成されており、これにより隣り合うリブとの距離(溝幅)が0.25mm、溝の数が3096本のものを用いた。また、塗液は粘度50Pa・sの緑色の蛍光体粉末を含む蛍光体ペーストを使用した。
【0101】
この基材に塗布する塗布装置として、図1(a)、図1(b)および図5に示す本発明に係る塗布装置1、塗布ヘッド30を用いた。この塗布装置1は、気温が23℃一定に保たれている環境下に設置している。
【0102】
塗布ヘッド30は、孔径が0.12mm、孔数が1032孔、孔のピッチが0.9mmの吐出孔33が略一直線状に配列しており、その配列方向における塗布ヘッド30の幅が1000mm、材質はステンレス鋼製(SUS304)のものを用いた。
空間部36は、塗布ヘッドの長手方向寸法Lを950mm、Wを20mmとした。
【0103】
また、マニホールド34内に吐出制御用気体の供給と排出をするための通路となる圧空供給口32は、内径8mmの円筒形状のものを用い、その円周上に直径6mmの噴出口61が2つ端部方向に向けて開口させている。
【0104】
さらに、塗液を補給するための塗液ポート31は、内径5mmの円筒形状のものを用いた。圧空供給口32は、塗布ヘッド30の吐出孔33の配列する方向において中央位置に配した。
【0105】
なお、圧空供給口32は1つだけであるので、切替バルブ21は、動作させずに配管24aと常時連通している状態で塗布を行う。
塗布ヘッド30の圧空供給口32と接続し、塗布ヘッド30と吐出制御用気体源29をつなぐ配管24a、配管25、配管26、配管28は全て、内径5mmのポリウレタンチューブを使用した。また、配管24aの長さは700mmにした。
【0106】
複数回の塗布を行う中で、吐出バルブ22に三方弁の働きをする電磁弁を用いた。なお、塗液である蛍光体ペーストを吐出するために塗布ヘッド30に供給する吐出制御用気体の圧力は、減圧弁23により圧力0.60MPaに設定した。
【0107】
塗液容器11には、減圧弁27により圧力0.3MPaに調整された吐出制御用気体が付与されている。また、塗液容器11から塗布ヘッド30に塗液の補給を制御するための開閉バルブ12は、ダイアフラムバルブを用いた。
【0108】
塗布ヘッド30のマニホールド34内の蛍光体ペーストは、液面の高さが吐出孔33から25mmの高さで管理される。したがって、塗布ヘッド30より蛍光体ペーストを吐出した後は、開閉バルブ12の開閉の制御により、液面高さが25mmになるまで、蛍光体ペーストが塗布ヘッド30に補給される。その結果、空間部36の容積は、約290cmとなる。
【0109】
上記の条件にて、基材200枚に所定の長さの塗布を繰り返して行った。
その結果、塗布抜けや塗布斑の発生なかった。また、基材1枚目から200枚目まで塗布している間の、空間部36付近の塗布ヘッド30表面の温度を、K型熱電対にて測定したところ、吐出孔33の配列する方向において、温度斑は最大1℃程度であった。
【0110】
次に、液面が凹んだり乱れたりしたかを確認すべく、塗布ヘッドを分解して、塗液溜まり部35の塗液を抜いた。そしてマニホールド34の内壁の塗液の付着跡を確認する。つまり、液面に凹みが無ければ、塗液の付着跡は液面高さ25mmの位置で長手方向に一直線状となり、凹みが有れば、凹んだ周囲が盛り上がるので付着跡としては凸部が生じることになる。
【0111】
塗液の付着跡を確認した結果、一直線状であり大きな凹みが無いことがわかった。
蛍光体が塗布された基材を乾燥すると、隔壁による凹部に蛍光体層が形成された基材が得られた。この蛍光体層が形成された基材に、波長254nmの紫外線ランプを照射して蛍光体層を発光させ、目視で発光状態を確認したところ、いずれの基材についても、基材全面に渡って均一に発光しており、塗布抜けがないことを確認した。
【0112】
実施例2
塗布ヘッドに図2(a)、図2(b)のものを用い、それ以外は実施例1と同様にした。
マニホールド34内に吐出制御用気体の供給と排出をするための通路となる2つの圧空供給口32a、32bは、外径10mm/内径8mmの円筒形状のものを用いた。噴出口の形状は、中央方向に向く噴出口においては直径6mmの丸穴とし、一方、端部方向に向く噴出口は直径3mmの丸穴とした。
【0113】
よって、それぞれの噴出口の円筒面上における開口面積は、中央方向に向く噴出口約28mmに対し、端部方向に向く噴出口約7mmとなり、約1/4の開口面積比となる。
2つの圧空供給口32a、32bは、塗布ヘッド30の吐出孔33の配列する方向において端部から約95mmの位置に配した。
【0114】
複数回の塗布を行う中で、吐出バルブ22に三方弁の働きをする電磁弁を用いた。なお、塗液である蛍光体ペーストを吐出するために塗布ヘッド30に付与する圧力は、減圧弁23により圧力0.60MPaに設定した。圧空供給口は、切替バルブ21により塗布ごとに交互に切り替えるよう制御する。
【0115】
塗液容器11には、減圧弁27により圧力0.3MPaに調整された吐出制御用気体が付与されている。また、塗液容器11から塗布ヘッド30に塗液の補給を制御するための開閉バルブ12は、ダイアフラムバルブを用いた。
【0116】
塗布ヘッド30のマニホールド34内の蛍光体ペーストは、液面の高さが吐出孔33から25mmの高さで管理される。したがって、塗布ヘッド30より蛍光体ペーストを吐出した後は、開閉バルブ12の開閉の制御により、液面高さが25mmになるまで、蛍光体ペーストが塗布ヘッド30に補給される。その結果、空間部36の容積は、約290cmとなる。
【0117】
上記の条件にて、基材200枚に所定の長さの塗布を繰り返して行った。
【0118】
その結果、塗布抜けや塗布斑の発生なかった。また、基材1枚目から200枚目まで塗布している間の、空間部36付近の塗布ヘッド30表面の温度を、K型熱電対にて測定したところ、吐出孔33の配列する方向において、温度斑は最大0.3℃程度であった。
次に、液面が凹んだり乱れたりしたかを確認すべく、塗布ヘッドを分解し、塗液溜まり部35の塗液を抜いた。そしてマニホールド34の内壁の塗液の付着跡を確認する。つまり、液面に凹みが無ければ、塗液の付着跡は液面高さ25mmの位置で長手方向に一直線状となり、凹みが有れば、凹んだ周囲が盛り上がるので付着跡としては凸部が生じることになる。
【0119】
塗液の付着跡を確認した結果、一直線状であり大きな凹みが無いことがわかった。
蛍光体が塗布された基材を乾燥すると、隔壁による凹部に蛍光体層が形成された基材が得られた。この蛍光体層が形成された基材に、波長254nmの紫外線ランプを照射して蛍光体層を発光させ、目視で発光状態を確認したところ、いずれの基材についても、基材全面に渡って均一に発光しており、塗布抜けがないことを確認した。
【0120】
実施例3
塗布ヘッドに図3(a)、図3(b)のものを用い、それ以外は実施例1と同様にした。
マニホールド34内に吐出制御用気体の供給と排出をするための通路となる2つの圧空供給口32a、32bは、外径10mm/内径8mmの円筒形状のものを用いた。噴出口の形状は、中央方向に向く噴出口においては直径6mmの丸穴とし、一方、端部方向に向く噴出口は直径4mmの丸穴とした。
【0121】
よって、それぞれの噴出口の円筒面上における開口面積は、中央方向に向く噴出口約28mmに対し、端部方向に向く噴出口約12.5mmとなり、約1/2.2の開口面積比となる。
【0122】
2つの圧空供給口32a、32bは、塗布ヘッド30の吐出孔33の配列する方向において端部から約190mmの位置に配した。
【0123】
複数回の塗布を行う中で、吐出バルブ22に三方弁の働きをする電磁弁を用いた。なお、塗液である蛍光体ペーストを吐出するために塗布ヘッド30に付与する圧力は、減圧弁23により圧力0.60MPaに設定した。圧空供給口は、切替バルブ21により塗布ごとに交互に切り替えるよう制御する。
【0124】
塗液容器11には、減圧弁27により圧力0.3MPaに調整された吐出制御用気体が付与されている。また、塗液容器11から塗布ヘッド30に塗液の補給を制御するための開閉バルブ12は、ダイアフラムバルブを用いた。
【0125】
塗布ヘッド30のマニホールド34内の蛍光体ペーストは、液面の高さが吐出孔33から25mmの高さで管理される。したがって、塗布ヘッド30より蛍光体ペーストを吐出した後は、開閉バルブ12の開閉の制御により、液面高さが25mmになるまで、蛍光体ペーストが塗布ヘッド30に補給される。その結果、空間部36の容積は、約290cmとなる。
【0126】
上記の条件にて、基材200枚に所定の長さの塗布を繰り返して行った。
【0127】
その結果、塗布抜けや塗布斑の発生なかった。また、基材1枚目から200枚目まで塗布している間の、空間部36付近の塗布ヘッド30表面の温度を、K型熱電対にて測定したところ、吐出孔33の配列する方向において、温度斑は最大0.3℃程度であった。
【0128】
次に、液面が凹んだり乱れたりしたかを確認すべく、塗布ヘッドを分解し、塗液溜まり部35の塗液を抜いた。そしてマニホールド34の内壁の塗液の付着跡を確認する。つまり、液面に凹みが無ければ、塗液の付着跡は液面高さ25mmの位置で長手方向に一直線状となり、凹みが有れば、凹んだ周囲が盛り上がるので付着跡としては凸部が生じることになる。
【0129】
塗液の付着跡を確認した結果、一直線状であり大きな凹みが無いことがわかった。
蛍光体が塗布された基材を乾燥すると、隔壁による凹部に蛍光体層が形成された基材が得られた。この蛍光体層が形成された基材に、波長254nmの紫外線ランプを照射して蛍光体層を発光させ、目視で発光状態を確認したところ、いずれの基材についても、基材全面に渡って均一に発光しており、塗布抜けがないことを確認した。
【0130】
実施例4
塗布ヘッドに図4(a)、図4(b)のものを用い、それ以外は実施例1と同様にした。
マニホールド34内に吐出制御用気体の供給と排出をするための通路となる2つの圧空供給口32a、32bは、外径10mm/内径8mmの円筒形状のものを用いた。噴出口の形状は、中央方向に向く噴出口においては高さ(円筒軸方向)6mm×幅(円筒面円周方向)10mmの範囲で切り欠いた。一方、端部方向に向く噴出口は直径6mmの丸穴とした。
【0131】
よって、それぞれの噴出口の円筒面上における開口面積は、中央方向に向く噴出口約60mmに対し、端部方向に向く噴出口約28mmとなり、約1/2.1の開口面積比となる。
【0132】
2つの圧空供給口32a、32bは、塗布ヘッド30の吐出孔33の配列する方向において端部から約95mmの位置に配した。
【0133】
複数回の塗布を行う中で、吐出バルブ22に三方弁の働きをする電磁弁を用いた。なお、塗液である蛍光体ペーストを吐出するために塗布ヘッド30に付与する圧力は、減圧弁23により圧力0.60MPaに設定した。圧空供給口は、切替バルブ21により塗布ごとに交互に切り替えるよう制御する。
【0134】
塗液容器11には、減圧弁27により圧力0.3MPaに調整された吐出制御用気体が付与されている。また、塗液容器11から塗布ヘッド30に塗液の補給を制御するための開閉バルブ12は、ダイアフラムバルブを用いた。
【0135】
塗布ヘッド30のマニホールド34内の蛍光体ペーストは、液面の高さが吐出孔33から25mmの高さで管理される。したがって、塗布ヘッド30より蛍光体ペーストを吐出した後は、開閉バルブ12の開閉の制御により、液面高さが25mmになるまで、蛍光体ペーストが塗布ヘッド30に補給される。その結果、空間部36の容積は、約290cmとなる。
【0136】
上記の条件にて、基材200枚に所定の長さの塗布を繰り返して行った。
その結果、塗布抜けや塗布斑の発生なかった。また、基材1枚目から200枚目まで塗布している間の、空間部36付近の塗布ヘッド30表面の温度を、K型熱電対にて測定したところ、吐出孔33の配列する方向において、温度斑は最大0.3℃程度であった。
【0137】
次に、液面が凹んだり乱れたりしたかを確認すべく、塗布ヘッドを分解し、塗液溜まり部35の塗液を抜いた。そしてマニホールド34の内壁の塗液の付着跡を確認する。つまり、液面に凹みが無ければ、塗液の付着跡は液面高さ25mmの位置で長手方向に一直線状となり、凹みが有れば、凹んだ周囲が盛り上がるので付着跡としては凸部が生じることになる。
【0138】
塗液の付着跡を確認した結果、一直線状であり大きな凹みが無いことがわかった。
【0139】
蛍光体が塗布された基材を乾燥すると、隔壁による凹部に蛍光体層が形成された基材が得られた。この蛍光体層が形成された基材に、波長254nmの紫外線ランプを照射して蛍光体層を発光させ、目視で発光状態を確認したところ、いずれの基材についても、基材全面に渡って均一に発光しており、塗布抜けがないことを確認した。
【0140】
比較例1
従来の塗布ヘッドとして、図6に示す形状とし、それ以外は実施例1と同様にした。
圧空供給口32は、内径8mmの円筒状である。吐出制御用気体は、圧空供給口32から直接空間部36へ液面に向かって噴出されるものである。圧空供給口32は、塗布ヘッド30の吐出孔33の配列する方向において中央位置に配した。
【0141】
上記の条件にて、基材200枚に所定の長さの塗布を繰り返して行った。
【0142】
その結果、塗布抜けが発生した。また、基材1枚目から200枚目まで塗布している間の、空間部36付近の塗布ヘッド30表面の温度を、K型熱電対にて測定したところ、吐出孔33の配列する方向において、温度斑は最大1℃程度であった。
【0143】
次に、液面が凹んだり乱れたりしたかを確認すべく、塗布ヘッドを分解し、塗液溜まり部35の塗液を抜いた。そしてマニホールド34の内壁の塗液の付着跡を確認する。つまり、液面に凹みが無ければ、塗液の付着跡は液面高さ25mmの位置で長手方向に一直線状となり、凹みが有れば、凹んだ周囲が盛り上がるので付着跡としては凸部が生じることになる。
【0144】
塗液の付着跡を確認した結果、圧空供給口32直下の両側に大きな凸部が確認できたので、圧空供給口32直下で大きな凹みが発生したことがわかった。
【0145】
蛍光体が塗布された基材を乾燥すると、隔壁による凹部に蛍光体層が形成された基材が得られた。この蛍光体層が形成された基材に、波長254nmの紫外線ランプを照射して蛍光体層を発光させ、目視で発光状態を確認したところ、いずれの基材についても、基材長手方向の中央部に発光していない箇所を確認し、塗布抜けがあることを確認した。
【0146】
比較例2
従来の塗布ヘッドとして、図7に示す形状とし、それ以外は実施例1と同様にした。
吐出制御用気体は、マニホールド34の正面に配する圧空供給口32の直径6mmの丸穴から、対向する一側面に向かって直接噴出させる。圧空供給口32は、塗布ヘッド30の吐出孔33の配列する方向において中央位置に配した。
【0147】
上記の条件にて、基材200枚に所定の長さの塗布を繰り返して行った。
その結果、塗布抜けが発生した。また、基材1枚目から200枚目まで塗布している間の、空間部36付近の塗布ヘッド30表面の温度を、K型熱電対にて測定したところ、吐出孔33の配列する方向において、温度斑は最大1℃程度であった。
【0148】
次に、液面が凹んだり乱れたりしたかを確認すべく、塗布ヘッドを分解し、塗液溜まり部35の塗液を抜いた。そしてマニホールド34の内壁の塗液の付着跡を確認する。つまり、液面に凹みが無ければ、塗液の付着跡は液面高さ25mmの位置で長手方向に一直線状となり、凹みが有れば、凹んだ周囲が盛り上がるので付着跡としては凸部が生じることになる。
【0149】
塗液の付着跡を確認した結果、圧空供給口32直下の両側に大きな凸部が確認できたので、圧空供給口32直下で大きな凹みが発生したことがわかった。
また、塗布ヘッド30を分解して圧空供給口32近傍を確認したところ、塗液が圧空供給口32に侵入していた。
【0150】
蛍光体が塗布された基材を乾燥すると、隔壁による凹部に蛍光体層が形成された基材が得られた。この蛍光体層が形成された基材に、波長254nmの紫外線ランプを照射して蛍光体層を発光させ、目視で発光状態を確認したところ、いずれの基材についても、基材長手方向の中央部に発光していない箇所を確認し、塗布抜けがあることを確認した。
【0151】
比較例3
従来の塗布ヘッドとして、図8に示す形状とし、それ以外は実施例1と同様にした。
圧空供給口32は、図1(a)、図1(b)に示すものと同様であるが、噴出口61の開口している方向を90度回転させて取り付けたものであり、短手方向に向けて開口している。噴出口は6mmの丸穴である。圧空供給口32は、塗布ヘッド30の吐出孔33の配列する方向において中央位置に配した。
【0152】
上記の条件にて、基材200枚に所定の長さの塗布を繰り返して行った。
【0153】
その結果、塗布抜けが発生した。また、基材1枚目から200枚目まで塗布している間の、空間部36付近の塗布ヘッド30表面の温度を、K型熱電対にて測定したところ、吐出孔33の配列する方向において、温度斑は最大1℃程度であった。
【0154】
次に、液面が凹んだり乱れたりしたかを確認すべく、塗布ヘッドを分解し、塗液溜まり部35の塗液を抜いた。そしてマニホールド34の内壁の塗液の付着跡を確認する。つまり、液面に凹みが無ければ、塗液の付着跡は液面高さ25mmの位置で長手方向に一直線状となり、凹みが有れば、凹んだ周囲が盛り上がるので付着跡としては凸部が生じることになる。
【0155】
塗液の付着跡を確認した結果、圧空供給口32直下の両側にわずかな凸部が確認できたので、圧空供給口32直下で凹みが発生したことがわかった。
また、分解した噴出口61を確認したところ、塗液が噴出口に付着して汚れていた。
【0156】
蛍光体が塗布された基材を乾燥すると、隔壁による凹部に蛍光体層が形成された基材が得られた。この蛍光体層が形成された基材に、波長254nmの紫外線ランプを照射して蛍光体層を発光させ、目視で発光状態を確認したところ、いずれの基材についても、基材長手方向の中央部に発光していない箇所を確認し、塗布抜けがあることを確認した。
【産業上の利用可能性】
【0157】
本発明は、プラズマディスプレイパネルの塗布装置に限らず、液晶ディスプレイ用カラーフィルターの塗布装置などにも応用することができ、その応用範囲がこれらに限られるものではない。
【符号の説明】
【0158】
1 塗布装置
2 テーブル
3 θ軸部材
4 Y軸調整部
4a、4b Y軸ガイドレール
5 X軸搬送部
5a、5b X軸ガイドレール
6 機台
7 支持台
7a、7b ガイドレール
8a、8b Z軸移動部
9 基材
10 クリーナー
11 塗液容器
12 開閉バルブ
13 配管
14 Y1搬送部
15 Y2搬送部
16 Y3搬送部
17 カメラ
18 カメラ
19 カメラ
20 カメラ
21 切替バルブ
22 吐出バルブ
23 減圧弁
24a、24b 配管
25 配管
26 配管
27 減圧弁
28 配管
29 吐出制御用気体源
30 塗布ヘッド
31 塗液ポート
32 圧空供給口
32a、32b 圧空供給口
33 吐出孔
34 マニホールド
35 塗液溜まり部
36 空間部
40 コントローラ
41 塗液量検出手段
61 噴出口
61a、61b 噴出口
62 破線(加圧時の液面)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗液溜まり部および
前記塗液溜まり部の上方に位置する空間部ならびに
前記空間部に連通する少なくとも1つの圧空供給口を有するマニホールドと
前記塗布ヘッドの長手方向に略一直線上に配列される複数の吐出孔を有し、
前記圧空供給口を通じて前記空間部へ吐出制御用気体を供給することにより前記吐出孔から塗液を吐出する塗布ヘッドであって、
前記圧空供給口は、前記吐出制御用気体を前記塗布ヘッドの長手方向に噴出するための噴出口を有することを特徴とする塗布ヘッド。
【請求項2】
前記圧空供給口は、少なくとも2つの噴出口を有することを特徴とする請求項1に記載の塗布ヘッド。
【請求項3】
前記圧空供給口が、塗布ヘッドの長手方向において、前記塗布ヘッドの端部近傍に配置されていることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の塗布ヘッド。
【請求項4】
前記噴出口が塗布ヘッドの長手方向において、前記塗布ヘッドの端部方向と中央方向に開口しており、前記塗布ヘッドの端部方向に開口する噴出口より中央方向に開口する噴出口の開口面積を大きくすることを特徴とする請求項3に記載の塗布ヘッド。
【請求項5】
基材を固定するテーブルと、基材に対面して設けられ、基材に所定量の塗液を吐出する塗布ヘッドと、前記テーブルと前記塗布ヘッドを3次元的に相対移動させる移動手段とを備えた塗布装置において、前記塗布ヘッドに、請求項1〜4のいずれかに記載の塗布ヘッドを用いたことを特徴とする塗布装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−176344(P2012−176344A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−39574(P2011−39574)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】