説明

塗布具

【課題】液剤が浸潤保持される液剤保持部材の耐久性を向上させる。
【解決手段】液剤を被塗布面に塗布する塗布具1であって、内部が液剤を収容する液剤収容室44とされるとともに、液剤収容室44内の液剤を流出させる液剤流出孔46が頂面に形成された有頂筒状の本体部4と、液剤流出孔46を開閉可能に設けられた弁体5と、本体部4の頂面を覆うカバー6と、本体部4の頂面とカバー6の裏面との間に介装され、液剤流出孔46から流出した前記液剤を浸潤状態で保持する液剤保持部材7と、が備えられており、カバー6には、液剤流出孔46に液剤保持部材7を介して連通する開口62が形成されているとともに表面が塗布面64とされた弾性変形可能な天壁部60が備えられ、天壁部60が本体部4の頂面側に弾性変形することで、弁体5が液剤流出孔46を開状態にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の口部側に取り付けられ、液剤を被塗布面に直接塗布する塗布具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の塗布具としては、従来、例えば下記特許文献1に示されているような、スポンジ状の塗布部を有する構成が知られている。このような塗布具では、塗布部に液剤を適宜浸潤させることができるので、塗布部を被塗布面に軽く押し付けることで、塗布部に浸潤した液剤を被塗布面に直接塗布することができる。
【特許文献1】実公昭51−47562号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来の塗布具では、被塗布面に接触する塗布部がスポンジ状に形成されているので、この塗布部が損傷し易いという問題があった。このように塗布部が損傷すると、例えば液剤が無駄に流出したり、あるいは塗布面を交換する必要が生じたりすることになる。
【0004】
本発明は、上記した従来の問題が考慮されたものであり、液剤が浸潤保持される液剤保持部材(塗布面)の耐久性を向上させることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る塗布具は、液剤を被塗布面に塗布する塗布具であって、内部が前記液剤を収容する液剤収容室とされるとともに、該液剤収容室内の液剤を流出させる液剤流出孔が頂面に形成された有頂筒状の本体部と、前記液剤流出孔を開閉可能に設けられた弁体と、前記本体部の頂面を覆うカバーと、前記本体部の頂面と前記カバーの裏面との間に介装され、前記液剤流出孔から流出した前記液剤を浸潤状態で保持する液剤保持部材と、が備えられており、前記カバーには、前記液剤流出孔に前記液剤保持部材を介して連通する開口が形成されているとともに表面が塗布面とされた弾性変形可能な天壁部が備えられ、該天壁部が前記本体部の頂面側に弾性変形することで、前記弁体が前記液剤流出孔を開状態にすることを特徴としている。
【0006】
このような特徴により、液剤を浸潤させた液剤保持部材が、塗布操作によって損傷することを防止する。
詳しく説明すると、カバーの天壁部の塗布面を被塗布面に当接させた状態で当該カバーの天壁部を被塗布面に押し付ける。すると、天壁部が本体部の頂面側に弾性変形して弁体を押圧する。また、前記押し付け操作によって、液剤保持部材が押圧され、液剤保持部材に保持された内容液(液剤)が染み出て、カバー天壁部の開口から流出される。
【0007】
なお、上記した「開口」は、液剤を保持することなく液剤を流通させる貫通孔であり、金型による成形や機械加工などにより形成される開口である。
また、液剤保持部材の外表面を前記開口内に配置したり、前記開口から露出させて配置することも可能であり、前記押し付け状態によって当該配置状態に移行する構成を採用することもできる。
【0008】
また、本発明に係る塗布具は、前記天壁部の表面に、突起が設けられていることが好ましい。
【0009】
これにより、カバー天壁部の塗布面を被塗布面に押し当てながら擦り付けたとき、突起によって被塗布面に強い刺激が与えられる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る塗布具によれば、液剤が浸潤保持される液剤保持部材の耐久性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明に係る塗布具の第1、第2の実施の形態について図面に基いて説明する。
【0012】
[第1の実施の形態]
まず、第1の実施の形態について、図1に基いて説明する。
図1は容器2の口部20に塗布具1が装着された塗布具付容器の一部断面図である。
なお、図1に示す一点鎖線Oは塗布具1の中心軸線を示しており、以下、単に「軸線O」と記す。また、本実施の形態では、軸線Oに沿った方向を「軸方向」とし、軸線Oに直交する方向を「径方向」とする。また、本実施の形態では、塗布具1における塗布面64側を「先端側」とし、その反対側を「基端側」とする。
【0013】
本実施形態の塗布具1は、図1に示すように、容器2の口部20に装着されて使用されるものであり、容器2内に貯留された液剤を被塗布面に塗布するものである。なお、液剤としては、例えば、化粧液や、殺菌・消毒液、育毛剤、糊等であるが、液状の内容物(被塗布面への流出が可能なゲル状の内容物も含む)であれば種々の内容物(液剤)を採用することができる。
【0014】
容器2は、図1に示すように、樹脂材料等により形成されたボトル容器であり、この容器2の外形は、手で握ったときにフィットするように滑らかな曲線を描くような形状に形成されている。この容器2の内部には、液剤が貯留されている。また、容器2の口部20の外周面には、キャップ3を取り付けるための雄ねじ21が形成されている。これにより、未使用時等にキャップ3を捩じ込んで固定することができ、塗布具1に蓋をすることができるようになっている。
【0015】
塗布具1は、有頂筒状の本体部4と、本体部4の内側に配設された弁体5と、本体部4の頂面を覆うカバー6と、本体部4の頂面とカバー6の裏面との間に介装された液剤保持部材7と、を備えている。
【0016】
本体部4は、軸線Oに沿って延在する二重筒構造の筒部であり、例えばポリエチレンやポリプロピレン等の樹脂材料を射出成形等により成形した樹脂製部材である。この本体部4の概略構成としては、容器2の口部20に取り付けられる略円筒形状の外筒部40と、外筒部40の内側に配設されて外筒部40の先端部に連結された略円筒形状の内筒部41と、を備えている。
【0017】
外筒部40の基端部は、容器2の口部20の内側に嵌合されており、外筒部40の先端部は、口部20の先端から突出されている。また、外筒部40の中間部の外周面には、径方向外側に突出したフランジ部42が全周に亘って延設されている。このフランジ部42は、容器2の口部20の先端面に当接されている。また、外筒部40の先端部の外周面には、径方向外側に向けて突出した係合凸部43が全周に亘って延設されている。
【0018】
内筒部41は、その内部が液剤を収容する液剤収容室44となった筒部である。この内筒部41の底面の中央部分には、液剤収容室44と容器2の内部との間を連通して容器2内の液剤を液剤収容室44内に流入させる液剤流入孔45が形成されている。また、内筒部41の頂面の中央部分には、液剤収容室44とカバー6の内側との間を連通して液剤収容室44内の液剤を流出させる液剤流出孔46が形成されている。この液剤流出孔46の内周面は、基端側から先端側に向かうに従い漸次縮径されたテーパー形状になっている。また、内筒部41の頂面の外縁部分には、全周に亘って延在する筒状の周壁部47が立設されている。
【0019】
弁体5は、上記した液剤流出孔46を開閉するための部材であり、例えばポリエチレンやポリプロピレン等の樹脂材料を射出成形等により成形した樹脂製部材である。この弁体5の概略構成としては、液剤流出孔46の内径よりも外径が若干小さい略円柱形状の先端部50と、該先端部50の基端部から液剤収容室44側に向かうに従い漸次拡径されたテーパー部51と、テーパー部51の基端に設けられて前記した先端部50及びテーパー部51を先端側に向けて付勢するバネ部52と、を備えている。先端部50の先端面は、先端側に膨出した半球面形状に形成されており、液剤保持部材7の裏面に当接されている。
【0020】
テーパー部51の外周面は、液剤流出孔46の内周面に離間可能に当接されており、また、バネ部52の基端は、内筒部41の内側底面に当接されて掛止されている。つまり、液剤流出孔46の内周面と内筒部41の内側底面との間に、テーパー部51及びバネ部52が挟持された構成になっている。バネ部52は、軸線Oの周囲に螺旋状に配設された弾性変形可能な複数の板バネからなり、軸方向に弾性的に伸縮可能な構成になっている。
【0021】
カバー6は、本体部4の先端部を覆う部材であり、例えばポリエチレンやポリプロピレン等の樹脂材料を射出成形等により成形した樹脂製部材である。このカバー6の概略構成としては、軸線Oに直交する径方向に沿って延びる天壁部60と、この天壁部60の外縁から軸方向に沿って基端側に延設された周壁部61と、を備えている。
【0022】
天壁部60は、軸方向に弾性変形可能な形状に成形されている。この天壁部60には、液剤保持部材7及びカバー6の内側空間を介して液剤流出孔46に連通する開口62が複数形成されており、天壁部60の表面は、被塗布面に押し当てられる塗布面64となっている。具体的に説明すると、天壁部60は、網状に形成されているとともに先端側に膨出したドーム形状に形成されている。
【0023】
これにより、天壁部60は、軸方向に弾性変形可能になるとともに、平面視矩形の複数の開口62が全面的に形成される。これら複数の開口62は、液剤流出孔46からカバー6の内側に流入した液剤を外部に流出させるための流通路であり、天壁部60の網目形状は、金型による成形又は機械加工により形成される。すなわち、開口62は、液剤を保持することなく液剤を流通させることができる孔であって、天壁部60の裏面から表面に向かって直線的に延設された貫通孔である。
【0024】
周壁部61は、その外径が本体部4のフランジ部42の外径と略同一の略円筒形状の壁部である。この周壁部61の基端面は、本体部4のフランジ部42の上面に当接されている。また、周壁部61の下端部の内周面には、径方向内側に突出した係合凸部63が全周に亘って形成されており、この係合凸部63が、本体部4の外筒部40の係合凸部43の下側に掛止されることで、カバー6の周壁部61と本体部4の外筒部40とがアンダーカット嵌合されている。
【0025】
液剤保持部材7は、液剤流出孔46から流出した液剤を浸潤状態で保持する多孔質部材である。具体的に説明すると、液剤保持部材7は、弾性変形可能なシート状のスポンジ体からなり、カバー6の内面(天壁部60の裏面及び周壁部61の内周面)に沿って形成されてカバー6の内面を被覆している。つまり、カバー天壁部60の開口62の基端側(天壁部60の裏面側)の開口端は液剤保持部材7によって覆われている。この液剤保持部材7は、その外縁部が本体部4とカバー6との間に挟持されることで、本体部4の先端に固定されている。
【0026】
次に、上記した構成からなる塗布具1の作用について説明する。
【0027】
まず、被塗布面に液剤を塗布する場合には、容器2を手等で把持して口部20が下向きになるように逆さにする。この時点で、容器2内に貯留された液剤が液剤流入孔45を通って液剤収容室44内に流入し、この液剤収容室44内に一旦収容される。このとき、弁体5のテーパー部51の外周面は、バネ部52の付勢力によって液剤流出孔46の内周面に密接しているので、液剤流出孔46は閉状態となり、液剤収容室44内の液剤が液剤流出孔46から流出することはない。
【0028】
次に、カバー6の天壁部60の表面(塗布面64)を被塗布面に当接させ、さらに、カバー6の天壁部60を被塗布面に押し付ける。すると、先端側に膨出したドーム状の天壁部60及び液剤保持部材7がそれぞれ凹むように基端側に一体的に弾性変形する。これにより、弁体5の先端部50の先端面が、液剤保持部材7を介して天壁部60によって押圧される。このように弁体5の先端部50の先端面が押圧されることで、弁体5の先端部50及びテーパー部51が一体的に基端側に移動するとともに、バネ部52が圧縮されて軸方向に弾性変形する。その結果、テーパー部51の外周面が液剤流出孔46の内周面から離間するとともに、液剤流出孔46の内側に弁体5の先端部50が配置される。このとき、先端部50の外径は液剤流出孔46の内径よりも小径であるため、先端部50の外周面と液剤流出孔46の内周面との間には隙間が形成され、液剤流出孔46が開状態となる。これにより、液剤収容室44内の液剤が、液剤流出孔46から流出してカバー6(液剤保持部材7)の内側空間に流入する。そして、カバー6内に流入した液剤は、液剤保持部材7の内面から液剤保持部材7に浸透し、液剤保持部材7の内部に一旦保持される。これにより、液剤保持部材7は、全体的に液剤が浸潤された状態となる。
【0029】
その後、被塗布面に対するカバー6の天壁部60の押し付けを一旦解除した後、前記弁体5が移動しない程度の押圧力、あるいは前記弁体5が移動可能な押圧力で、カバー6の天壁部60を被塗布面に再び押し付ける。すると、カバー6の天壁部60が基端側に弾性変形し、この天壁部60により液剤保持部材7が押圧される。これにより、液剤保持部材7に保持された液剤が染み出て、その液剤がカバー天壁部60の開口62の基端側における開口端から開口62内に流入し、そして、この開口62内を流通して開口62の先端側の開口端から外部に流出し、被塗布面に塗布される。
【0030】
また、上述したようにカバー6の天壁部60の塗布面64を被塗布面に押し当てながら、塗布面64を被塗布面に擦り付ける。すなわち、塗布具1を被塗布面の表面に沿って繰り返し往復動させる。これにより、被塗布面に確実に液剤が塗布される。また、損傷しやすい液剤保持部材(スポンジ体)は、カバーによって保護されることとなり、前記損傷を回避できるとともに、スポンジ体よりも硬質の塗布感を得ることができる。
【0031】
上記した構成からなる塗布具1によれば、本体部4の液剤流出孔46から流出した液剤が液剤保持部材7内に一旦保持され、その後、液剤保持部材7から染み出て、カバー6の開口62から流出して被塗布面に塗布されるので、カバー6の開口62から一度に多量の液剤が流出することを防止することができ、被塗布面に適量の液剤を塗布することができる。
【0032】
また、液剤保持部材7は液剤により全体的に浸潤状態となるので、この液剤保持部材7がカバー6の天壁部60により押圧されたとき、液剤保持部材7の全体から液剤が染み出て、塗布面64全体に形成された各開口62からそれぞれ液剤が流出する。これにより、塗布面64全体で液剤を塗布することができ、液剤を被塗布面にムラ無く塗布することができる。
さらに、上記した液剤保持部材7はカバー6によって保護されているので、液剤保持部材7の破損を抑えることができる。
【0033】
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態について、図2に基づいて説明する。
図2は、カバー6を先端側からみたカバー6の平面図である。
なお、上述した第1の実施の形態と同様の構成については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0034】
本実施の形態におけるカバー6の天壁部60の表面(塗布面64)には、複数の突起65が突設されている。突起65は、横断面形状が楕円状若しくは真円状などの突起であり、先端が丸みを帯びた形状を成している。この突起65は、天壁部60の網目の交差部分にそれぞれ配設されており、平面視において、塗布面64の略全体に配設されている。
【0035】
上記した突起65を有する塗布具1では、カバー天壁部60の塗布面64を被塗布面に押し当てながら、塗布面64を被塗布面に擦り付けたとき、カバー天壁部60の開口62の先端側の開口端縁と突起65とによって、より明確な塗布感が付与される。
【0036】
上記した塗布具1によれば、突起65によって被塗布面に対する押圧感が高まる為、例えば、消炎剤や育毛剤などのマッサージ感が望まれるような容器に好適である。
【0037】
以上、本発明に係る塗布具の第1、第2の実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
具体的には、上記した実施の形態では、カバー6の天壁部60が網目状に形成されているが、本発明におけるカバーの天壁部の形状は、上記した網目状のものに限定されず、カバーの天壁部の形状や天壁部の開口の形状は適宜変更可能である。
【0038】
例えば、本発明は、図3に示すような平面視形状の天壁部160が備えられたカバー106を用いることも可能である。詳しく説明すると、このカバー106の天壁部160は、円環状の外周部160aの内縁から径方向内側に向けて複数(図3においては4つ)の凸部160bが延設された形状を成している。これら複数の凸部160bは、周方向に間隔をおいて均等に配設されている。このような構成の天壁部160では、外周部160aの内側が、液剤保持部材7を介して液剤流出孔46に連通する開口162となる。また、上記した凸部160bの表面には、複数の突起165がそれぞれ設けられている。この突起165は、平面視略矩形の略角錐形状の突起である。なお、突起165の形状は適宜変更可能であり、上述した第1の実施の形態における突起65と同様の形状の突起が突設されていてもよい。
【0039】
また、本発明は、図4に示すような平面視形状の天壁部260が備えられたカバー206を用いることも可能である。詳しく説明すると、この天壁部260には、その中央部分に平面視多角形状(図4では六角形)の中央開口262aが形成されているとともに、その中央開口262aの各角からが径方向外側に向けてそれぞれ延設された帯状のスリット262bが形成されている。そして、天壁部260の表面のうち、周方向に隣り合うスリット262b間の部分に、複数の突起265が均等に突設されている。
【0040】
また、上記した実施の形態では、液剤保持部材7は、その外縁部が本体部4とカバー6との間に挟持されることで、本体部4の先端に固定されているが、本発明は、このような構成に限定されるものではなく、液剤保持部材7の固定方法は適宜変更可能である。例えば、図5に示すように、カバー206の内側にリング状の固定具266が嵌合され、この固定具266の内周面と本体部204の外周面との間に、液剤保持部材207の外縁部(周壁部271)が挟持された構成にすることも可能である。さらに、この場合、カバー206で液剤保持部材207を保持する必要がないので、カバー206を軟材質の樹脂で形成することができる。軟材質の樹脂としては、例えば熱可塑性エラストマーや低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等の弾性変形可能な樹脂材料を用いることができる。これにより、被塗布面に接触する塗布面264や突起265が軟質になるので、塗布面264を被塗布面に強く擦り付け過ぎても、被塗布面に作用する応力が小さくなり、被塗布面に与える負担が小さくなる。
【0041】
また、上記した実施の形態では、外筒部40と内筒部41とが一体的に成形された本体部4が備えられているが、本発明における本体部は、上記した構成の本体部4に限定されるものではない。例えば、図5に示すように、容器2の口部20の内側に嵌合される第一筒部240と、この第一筒部240の先端部の内側に嵌合された第二筒部241と、の2つ部品からなる本体部204であってもよい。詳しく説明すると、第一筒部240は、先端側が開放された有底筒部であり、その底面の中央部分には、筒状の液剤流入孔245が形成されており、また、その先端部には、径方向外側に突出したフランジ部242が全周に亘って延設されている。第二筒部241は、基端側が開放された有頂筒部であり、その頂面の中央部分には、弁体5によって開閉される液剤流出孔246が形成されており、その頂面の外縁には、上記した固定具266との間で液剤保持部材207の周壁部271を挟み込む周壁部247が立設されている。また、上記した筒状の液剤流入孔245の先端面に、弁体5のバネ部52の基端が一体に連設されている。このような構成の本体部204によれば、液剤収容室244の内容積を大きくすることができる。
【0042】
また、上記した実施の形態では、カバー6によって液剤保持部材7を保持しているため、カバー6全体を同一の樹脂で成形しているが、本発明は、カバー6のうち、天壁部60を上記した軟材質の樹脂で成形し、周壁部61を前記軟質材よりも硬質で、良好な嵌合状態が得られるような樹脂で成形することも可能である。このようなカバー6の成形方法としては、公知の成形方法を用いることが可能であり、例えばインサート成形法により成形することが可能である。
【0043】
また、上記した実施の形態では、本体部4とカバー6との間に、液剤を保持する液剤保持部材7が介装されているが、本発明は、液剤保持部材7を省略した構成にすることも可能である。この場合、液剤流入孔45から流出した液剤は、そのままカバー6の天壁部60の開口62を通って被塗布面に塗布される。
上記した実施の形態では、液剤保持部材7、207の外表面が、カバー6、106、206の天壁部60、160、260の内表面に当接もしくは近接するように配置されているが、液剤保持部材7、207の外表面をカバー6、106、206に設けられた開口62、162内に配置したり、該開口62、162から突出もしくは露出するように配置することも可能である。また、液剤保持部材7、207の外表面とカバー6、106、206の外表面とを同一表面に配置することによって、2種の触感を同時に被塗布面に付与することが可能となる。
さらに、非使用状態においては、液剤保持部材7、207の外表面が、カバー6、106、206の内表面に当接もしくは近接するように配置されており、使用状態(押圧操作)においては液剤保持部材7、207の外表面がカバー6、106、206の開口62、162内に配置されたり、該開口62、162から露出される構成とすることも可能である。
【0044】
その他、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の第1の実施の形態を説明するための塗布具が装着された塗布具付容器の一部断面図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態を説明するためのカバーを先端側からみた平面図である。
【図3】本発明の他の実施の形態を説明するためのカバーを先端側からみた平面図である。
【図4】本発明の他の実施の形態を説明するためのカバーを先端側からみた平面図である。
【図5】本発明の他の実施の形態を説明するための塗布具の破断図である。
【符号の説明】
【0046】
1 塗布具
4、204 本体部
5 弁体
6、106、206 カバー
7、207 液剤保持部材
44、244 液剤収容室
46、246 液剤流出孔
60、160、260 天壁部
62、162 開口
65、165、265 突起
262a 中央開口(開口)
262b スリット(開口)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液剤を被塗布面に塗布する塗布具であって、
内部が前記液剤を収容する液剤収容室とされるとともに、該液剤収容室内の液剤を流出させる液剤流出孔が頂面に形成された有頂筒状の本体部と、
前記液剤流出孔を開閉可能に設けられた弁体と、
前記本体部の頂面を覆うカバーと、
前記本体部の頂面と前記カバーの裏面との間に介装され、前記液剤流出孔から流出した前記液剤を浸潤状態で保持する液剤保持部材と、が備えられており、
前記カバーには、前記液剤流出孔に前記液剤保持部材を介して連通する開口が形成されているとともに表面が塗布面とされた弾性変形可能な天壁部が備えられ、
該天壁部が前記本体部の頂面側に弾性変形することで、前記弁体が前記液剤流出孔を開状態にすることを特徴とする塗布具。
【請求項2】
請求項1記載の塗布具において、
前記天壁部の表面には、突起が設けられていることを特徴とする塗布具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−269631(P2009−269631A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−119397(P2008−119397)
【出願日】平成20年4月30日(2008.4.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】