塗布装置
【課題】生産性の向上を図ることができ、しかも、使用する塗布剤や被塗布部への塗布剤の量に応じて高精度に塗布剤を塗布することができる塗布装置を提供する。
【解決手段】ペースト状の塗布剤Pが溜められる塗布剤溜り部の塗布剤に下端を浸漬状乃至接触状として塗布剤Pを受け取りこの受け取った塗布剤Pを被塗布部20に転写する一対の転写ピンを備えた塗布装置である。一方の転写ピン21にて塗布剤Pを受け取ると同時に他方の転写ピン22から被塗布部20に塗布剤Pを転写するとともに、塗布剤Pを受け取るとき及び塗布剤Pを転写するときには転写ピン21,22が上下方向に沿って下降する。塗布剤Pが溜められる塗布剤溜り部を構成するペースト皿53と、このペースト皿53の上下方向高さ位置の調整を行う位置調整機構55とを備える。
【解決手段】ペースト状の塗布剤Pが溜められる塗布剤溜り部の塗布剤に下端を浸漬状乃至接触状として塗布剤Pを受け取りこの受け取った塗布剤Pを被塗布部20に転写する一対の転写ピンを備えた塗布装置である。一方の転写ピン21にて塗布剤Pを受け取ると同時に他方の転写ピン22から被塗布部20に塗布剤Pを転写するとともに、塗布剤Pを受け取るとき及び塗布剤Pを転写するときには転写ピン21,22が上下方向に沿って下降する。塗布剤Pが溜められる塗布剤溜り部を構成するペースト皿53と、このペースト皿53の上下方向高さ位置の調整を行う位置調整機構55とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造装置において、ペーストをリードフレーム等に塗布する工程がある。この塗布装置には、転写ピンを用いたものがある(特許文献1及び特許文献2)。このような転写ピンを用いたものは、図10と図11に示すように塗布装置である。
【0003】
この塗布装置は、基台1に配置されるXYZステージ2と、このXYZステージ2に付設される転写ピン3とを備える。XYZステージ2は、リニアガイド機構5を介して基台1上をX軸方向に往復動する第1テーブル6と、リニアガイド機構7を介して第1テーブル6上をY軸方向に往復動する第2テーブル8と、リニアガイド機構9を介して第2テーブル8上をZ軸方向に往復動する第3テーブル10とを備える。第3テーブル10に転写ピン3が付設されている。
【0004】
この場合、第1テーブル6には、鉛直方向に延びる第1部11aとこの第1部11aの下端から水平方向に延びる第2部11bとからなるL字状のアーム11が連設され、このアーム11の第2部11bに、ペーストが溜められるペースト皿12が設けられている。
【0005】
次にこのような塗布装置を用いて、ワーク(被塗布部)13にペーストを塗布する方法を説明する。まず、転写ピン3をペースト皿12上に位置させた状態とし、図12に示すように、この状態から転写ピン3を下降させて、転写ピン3の下端をペースト皿12のペーストに浸漬した後、転写ピン3を矢印Aのように上昇させる。これによって、転写ピン3にペーストが付着する。この状態で、転写ピン3を矢印B方向に水平移動させ、ワーク13の上方に位置させる。その後、転写ピン3を矢印Cのように下降させて、転写ピン3に付着したペーストPをワーク13に表面に転写することによって塗布する。その後は、転写ピン3を上昇させた後、矢印Bと反対方向に水平方向に移動させて、初期状態に戻す。この動作を繰り返すことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平1−183827号公報
【特許文献2】特開2002−198382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、図10と図11に示す装置では、転写ピン3をペースト皿12とワーク13との間を往復動させる必要がある。しかしながら、ペースト皿12上からワーク13上への移動は、転写ピン3にペーストPが付着しているので、高速で移動させた場合、ペーストPが転写ピン3から飛散するおそれがある。そのため、あまり高速で移動させることができず、塗布作業時間が大となり、生産性に劣ることになる。
【0008】
そこで、塗布剤を被塗布部に転写するための転写ピンを一対備え、一方の転写ピンにて塗布剤を受け取ると同時に他方の転写ピンから被塗布部に塗布剤を転写するように設定できる。例えば、回転体にこの回転体の回転軸に関して180度反対位置に転写ピンを配置するようにすればよい。
【0009】
このように設定すれば、一方の転写ピンをペースト皿上に対応させるとともに、他方の転写ピンを被塗布部上に対応させた状態として、回転体を下降させれば、一方の転写ピンにて塗布剤を受け取ると同時に他方の転写ピンから被塗布部に塗布剤を転写することができる。また、回転体を回転させて、他方の転写ピンをペースト皿上に対応させるとともに、一方の転写ピンを被塗布部上に対応させた状態として、回転体を下降させれば、他方の転写ピンにて塗布剤を受け取ると同時に一方の転写ピンから被塗布部に塗布剤を転写することができる。
【0010】
これによって、全体としての塗布作業時間の短縮を図ることができる。ところで、このような塗布作業において、塗布側において、転写ピンを被塗布部に接触させたい場合や接触させたくない場合等がある。また、ペースト皿側において、転写ピンをぺーストに深く浸漬させたい場合やぺーストに浅く浸漬させたい場合等がある。しかしながら、一対の転写ピンの上下動量は同一に設定されるので、このようなニーズに対応できない。
【0011】
そこで、本発明は斯かる実情に鑑み、生産性の向上を図ることができ、しかも、使用する塗布剤や被塗布部への塗布剤の量に応じて高精度に塗布剤を塗布することができる塗布装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の塗布装置は、ペースト状の塗布剤が溜められる塗布剤溜り部の塗布剤に下端を浸漬状乃至接触状として塗布剤を受け取りこの受け取った塗布剤を被塗布部に転写する一対の転写ピンを備え、一方の転写ピンにて塗布剤を受け取ると同時に他方の転写ピンから被塗布部に塗布剤を転写するとともに、他方の転写ピンにて塗布剤を受け取ると同時に一方の転写ピンから被塗布部に塗布剤を転写し、塗布剤を受け取るとき及び塗布剤を転写するときには転写ピンが上下方向に沿って下降する塗布装置であって、塗布剤が溜められる塗布剤溜り部を構成するペースト皿と、このペースト皿の上下方向高さ位置の調整を行う位置調整機構とを備えたものである。
【0013】
本発明の塗布装置によれば、一方の転写ピンをペースト皿上に対応させるとともに、他方の転写ピンを被塗布部上に対応させた状態として、各転写ピンを下降させれば、一方の転写ピンにて塗布剤を受け取ると同時に他方の転写ピンから被塗布部に塗布剤を転写することができる。また、他方の転写ピンをペースト皿上に対応させるとともに、一方の転写ピンを被塗布部上に対応させた状態として、転写ピンを下降させれば、他方の転写ピンにて塗布剤を受け取ると同時に一方の転写ピンから被塗布部に塗布剤を転写することができる。
【0014】
位置調整機構にて、ペースト皿の上下方向高さ位置の調整を行うことができる。このため、ペースト皿を上位に位置させれば、このペースト皿に対応する転写ピンを下降させた場合、このペースト皿に溜まっている塗布剤に深く浸漬させることができる。ペースト皿を下位に位置させれば、このペースト皿に対応する転写ピンを下降させた場合、このペースト皿に溜まっている塗布剤に浅く浸漬させたり、転写ピンの先端に塗布剤の上面に接触するだけの状態としたりできる。また、塗布剤に深く浸漬させた場合、浸漬時間を大とすることができ、塗布剤に浅く浸漬させた場合、浸漬時間を小とできる。このため、転写ピンに付着させる塗布剤の塗布量を調整することができる。また、被塗布部側においては、転写ピンの最下位置で被塗布部に接触するものであっても、転写ピンの先端の最下位置で転写ピンの先端が被塗布部に接触せずに、被塗布部との間に所定微小隙間が生じるものであってもよい。
【0015】
一対の転写ピンの上下動量を同一としたり、一対の転写ピンの上下動を同期させたりできる。また、ペースト皿の塗布剤の上面を平面状に均す均し部材を備えたものであってもよい。
【0016】
一対の転写ピンの上下動量を同一とした場合、下降時の被塗布部側の転写ピンの先端(下端)の高さ位置に基づいてペースト皿の高さ位置を調整することが可能である。すなわち、転写ピンの最下位置で転写ピンの先端が被塗布部に接触するものとしたり、転写ピンの最下位置で転写ピンの先端が被塗布部に接触せずに、被塗布部との間に所定微小隙間が生じるものとしたりできる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の塗布装置では、従来の装置や方法の2倍の作業性の向上を図ることができ、生産性に優れる。しかも、装置全体としてはコンパクト化を図ることができて低コスト化を達成できる。
【0018】
ペースト皿側において、転写ピンに付着させる塗布剤の塗布量を、使用する塗布剤の種類、被塗布部への塗布剤の塗布量等に応じたものとすることができ、被塗布部側においても、使用する塗布剤の種類、被塗布部への塗布剤の塗布量等に応じて転写ピンの被塗布部に対する高さ位置を調整することができる。このため、チップ等をこの被塗布部に高精度にマウントすることができる。
【0019】
特に、一対の転写ピンの上下動量を同一とした場合、ペースト皿の高さ位置を調整することによって、「塗布剤に深く浸漬させたり、塗布剤に浅く浸漬させたり、転写ピンの先端に塗布剤の上面に接触するだけの状態としたり」することが安定してでき、転写ピンによる被塗布部への塗布剤の塗布量の調整を高精度に行うことができる。また、一対の転写ピンの上下動を同期させることによって、一方の転写ピンによる塗布剤の受取と、他方の転写ピンによる塗布とを安定して同時に行うことができ、生産性の向上を図ることができる。
【0020】
均し部材を備えたものであれば、塗布剤の上面が均されることによって、転写ピンにてぺースト皿からの塗布剤の受取が安定し、高精度の塗布作業が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態の塗布装置の簡略側面図である。
【図2】前記図1の塗布装置の簡略正面図である。
【図3】前記図1の塗布装置の動作を示し、(a)は第1状態を示す簡略図であり、(b)は第2状態を示す簡略図である。
【図4】状態変位手段の簡略ブロック図である。
【図5】本発明の他の実施形態の塗布装置の簡略側面図である。
【図6】前記図5の塗布装置の簡略正面図である。
【図7】本発明の別の実施形態の塗布装置の要部簡略図である。
【図8】前記図7に示す塗布装置の要部簡略斜視図である。
【図9】前記図7に示す塗布装置の要部側面図である。
【図10】従来の塗布装置の簡略側面図である。
【図11】前記図10の塗布装置の簡略正面図である。
【図12】塗布工程を示す簡略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下本発明の実施の形態を図1〜図9に基づいて説明する。
【0023】
図1と図2は本発明にかかる塗布装置を示し、この塗布装置は、ぺースト状の塗布剤PをワークWの被塗布部20に塗布するための一対の転写ピン21、22を備えたものである。ぺースト状の塗布剤Pとしては、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂などの樹脂接着剤や、銀ペーストなどである。転写ピン21、22は、その先端面、又は先端面から先端面近傍の先端部に塗布剤Pが付着するものである。
【0024】
転写ピン21、22は、状態変位手段25にてその状態(位置)の変位が可能とされている。状態変位手段25は、図4に示すように、前記一対の転写ピン21,22が付設されるベルト部材26と、このベルト部材26を走行させる駆動機構27と、この駆動機構27を制御して、第1の転写ピン21と第2の転写ピン22とを交互に第1状態と第2状態とに変位させる制御手段28とを備える。
【0025】
駆動機構27は、例えば、図2に示すように、サーボモータ等のベルト駆動モータMと、このモータMの回転駆動力をベルト部材26に伝達する伝達機構(図示省略)とを備える。また、この走行はリニアガイド機構30にて案内される。リニアガイド機構30は、ガイドレール31と、このガイドレール31に沿って走行する走行ブロック32a,32bとを備える。一方の走行ブロック32aに第1の転写ピン21が付設され、他方の走行ブロック32bに第2の転写ピン22が付設されている。制御手段28は、例えばマイクロコンピュータ等からなる。
【0026】
ベルト部材26はエンドレスベルトであって、図3(a)(b)に示すように、長円形状に配設され、走行ブロック32a,32bが、それぞれ、長辺26a、26bの内面側に付設されている。この場合、図3(a)に示す状態では、第1の走行ブロック32aが一方の円弧辺26c側に位置するとともに、第2の走行ブロック32bが他方の円弧辺26d側に位置する。また、図3(b)に示す状態では、第1の走行ブロック32aが他方の円弧辺26d側に位置するとともに、第2の走行ブロック32bが一方の円弧辺26c側に位置する。
【0027】
図3(a)に示す状態を第1状態と呼び、図3(b)に示す状態を第2状態と呼ぶことができ、この第1状態と第2状態とに交互に変位する。すなわち、第1状態から第2状態への変位は、図3(a)に示す状態から、ベルト部材26が矢印E方向に図3(b)に示す状態となるまで走行し、第2状態から第1状態への変位は、図3(b)に示す状態から、ベルト部材26が矢印F方向に図3(a)に示す状態となるまで走行する。
【0028】
この状態変位手段のベルト部材26は、図1と図2に示すようなXYZステージからなる変位ステージ35に付設される。変位ステージ35は、リニアガイド機構37を介して基台36上をX軸方向に往復動する第1テーブル38と、リニアガイド機構39を介して第1テーブル38上をY軸方向に往復動する第2テーブル40と、リニアガイド機構41を介して第2テーブル40の鉛直壁42に沿ってZ軸方向に往復動する第3テーブル43とを備える。
【0029】
リニアガイド機構37は、X軸方向に沿って延びる平行な一対のガイドレール45、45と、各ガイドレール45、45上を走行する走行体46,46とを備える。ガイドレール45、45が基台36の上面に配置され、各走行体46,46が第1テーブル38の下面に連結されている。このため、走行体46,46のガイドレール45,45に沿った走行に伴って、第1テーブル38がX軸方向に走行する。
【0030】
リニアガイド機構39は、Y軸方向に沿って延びる平行な一対のガイドレール47、47と、各ガイドレール47、47上を走行する走行体48,48とを備える。ガイドレール47、47が第1テーブル38の上面に配置され、各走行体48,48が第2テーブル40の下面に連結されている。このため、走行体48,48のガイドレール47,47に沿った走行に伴って、第2テーブル40がY軸方向に走行する。
【0031】
リニアガイド機構41は、Z軸方向に沿って延びる平行な一対のガイドレール49、49と、各ガイドレール49、49上を走行する走行体50,50とを備える。ガイドレール49、49が第2テーブル40の鉛直壁42にの表面(外面)に配置され、各走行体50,50が第3テーブル43の裏面(内面)に連結されている。このため、走行体50,50のガイドレール49,49に沿った走行に伴って、第3テーブル43がZ軸方向に走行する。そして、この第3テーブル43の傾斜アーム51に、走行ブロック32a,32bをガイドするガイドレール31、31が配置されている。このため、図2に示すように、ベルト部材26が傾斜アーム51に沿って傾斜して配設されている。走行ブロック32a,32bのガイドレール31、31に沿った走行に伴ってベルト部材26が図3(a)(b)に示すような矢印E、Fの走行が可能となる。
【0032】
ところで、各走行体46、48、50は、自走式であっても、他の動力源からの動力付与によって、走行するものであってもよい。他の動力源からの動力付与する場合、走行体46、48、50に直接的に付与しても、各テーブル38、40、43にシリンダ機構等のアクチュエータにて付与するものであってもよい。
【0033】
このように、ベルト部材26はZ軸方向の変位が可能であり、このZ軸方向移動手段として、XYZステージである変位ステージ35のZ軸方向移動機構にて構成することができる。すなわち、第3テーブル43がリニアガイド機構41にガイドされつつZ軸方向に沿って上下動すれば、ベルト部材26に付設されている各転写ガイド21,22が軸方向に沿って上下動する。
【0034】
第2テーブル40の鉛直壁42には水平テーブル52が設けられ、この水平テーブル52に塗布剤Pが溜められるペースト皿53が配置されている。ところで、このペースト皿53は、塗布剤Pを塗布すべきワークWの被塗布部位よりも高位に配置されている。このため、前記したように、ベルト部材26は水平面に対して所定角度で傾斜している。すなわち、図3(a)に示す第1状態とした場合に、第1の転写ピン21がペースト皿53上に配置されるとともに、第2の転写ピン22が塗布位置に配置されているワークW上に配置される。図3(b)に示す第2状態とした場合に、第2の転写ピン22がペースト皿53上に配置されるとともに、第1の転写ピン21が塗布位置に配置されているワークW上に配置される。
【0035】
水平テーブル52は、位置調整機構55にて上下方向の位置調整が可能となっている。位置調整機構55は、例えば、リニアガイド機構56を備える。このリニアガイド機構は、鉛直方向に延びるガイドレール57と、このガイドレール57上を走行する走行体58とを備える。そして、ガイドレール57が鉛直壁42に付設され、走行体58が水平テーブル52に設けられている。
【0036】
このため、走行体58がガイドレール57に沿って上下動すれば、水平テーブル52が上下動して、この水平テーブル52上に配置されているペースト皿53が上下動する。なお、走行体58としては、自走式であっても、他の動力源からの動力付与によって走行するものであってもよい。また、水平テーブル52にシリンダ機構等のアクチュエータにて押圧力を付与するものであってもよい。位置調整機構55として、前記のようなリニアガイド機構を用いることなく、シリンダ機構、ボールナット機構、又は圧電アクチュエータ等でもって構成してもよい。さらには、モータと、このモータの回転駆動力を直動に変換するカム機構等にて構成してもよい。
【0037】
次に図1及び図2に装置を用いた塗布剤Pの塗布方法を説明する。なお、ワークWは半導体チップであり、図示省略のXYテーブルに複数枚のワークWが載置されている。そして、変位ステージ35を介してベルト部材26をX軸方向及び/又はY軸方向に移動させて、塗布剤Pを塗布すべきワークW上に、第2の転写ピン22を位置させる。
【0038】
すなわち、図3(a)に示す第1状態として、第1の転写ピン21をペースト皿53上に配置するとともに、第2の転写ピン22を塗布位置に配置されているワークW上に配置する。この状態で、ベルト部材26をZ軸方向に沿って下降させる。この下降によって、第1の転写ピン21の先端がペースト皿53の塗布剤Pに浸漬状乃至接触状となると同時に、(第2の転写ピン22の先端に付着していれば、)この第2の転写ピン22からワークWの被塗布部(塗布剤付着部)20に転写されて塗布される。ここで、浸漬状乃至接触状とは、転写ピンの先端が塗布剤に浸漬された状態や転写ピンの先端が塗布剤の接触した状態をいい、この転写ピンの先端に塗布剤が付着することが可能な状態(転写ピンの先端面、又は先端面から先端面近傍の先端部に塗布剤が付着することが可能な状態)である。
なお、塗布剤溜り部(ペースト皿53であって、塗布剤Pの受取位置)とワークWの被塗布部20との高低差としては、例えば、5mm程度とされ、第1状態では、第1の転写ピン21の下端と塗布剤溜り部との差、および第2の転写ピン22の下端とワークWの被塗布部20との差をそれぞれ5mm程度とされる。
【0039】
次に、ベルト部材26をZ軸方向に沿って上昇させた後、ベルト部材26を図3(a)に示す第1状態から矢印E方向に走行させるとともに、変位ステージ35を介してベルト部材26をX軸方向及び/又はY軸方向に移動させて、第1の転写ピン21を塗布剤Pを塗布すべき次のワークW上に配置して第2状態とする。すなわち、この第2状態では、第2の転写ピン22がペースト皿53上に配置されるとともに、第1の転写ピン21が塗布位置に配置されているワークW上に配置される。第2状態では、第2の転写ピン22の下端と塗布剤溜り部との差、および第1の転写ピン21の下端とワークWの被塗布部20との差をそれぞれ5mm程度とされる。
【0040】
その後、ベルト部材26をZ軸方向に沿って下降させる。この下降によって、第2の転写ピン22の先端がペースト皿53の塗布剤Pに浸漬状乃至接触状となると同時に、この第1の転写ピン21からワークWの被塗布部20に転写されて塗布される。
【0041】
次に、ベルト部材26をZ軸方向に沿って上昇させる。この上昇によって、図3(b)に示すような第2状態となる。そして、この第2状態から、ベルト部材26を矢印F方向に走行させるとともに、変位ステージ35を介してベルト部材26をX軸方向及び/又はY軸方向に移動させて、第2の転写ピン22を塗布剤Pを塗布すべき次のワークW上に配置して、図3(a)に示す第1状態に戻す。なお、矢印F方向にベルト部材26の移動量と、前記矢印E方向の移動量を同一とする。
【0042】
このように第1状態に戻した後は、再度、Z軸方向に沿って下降させる。この下降によって、第1の転写ピン21の先端がペースト皿53の塗布剤Pに浸漬状乃至接触状となると同時に、この第2の転写ピン22からワークWの被塗布部(塗布剤付着部)20に転写されて塗布される。
【0043】
以後、順次前記工程が繰替えされて、XYテーブル上の全ワークWに対する塗布剤Pの塗布作業が終了する。すなわち、この塗布方法は、第1の転写ピン21の先端をペースト状の塗布剤に浸漬状乃至接触状として塗布剤を受け取ると同時に、第2の転写ピン22に付着した塗布剤Pを被塗布部20に転写して塗布する第1工程と、第2の転写ピン22の先端をペースト状の塗布剤Pに浸漬状乃至接触状として塗布剤Pを受け取ると同時に、第1の転写ピン21に付着した塗布剤Pを被塗布部20に転写して塗布するこの第2工程とを備えるものであって、第1工程と第2工程とを交互に行うことになる。
【0044】
本発明の塗布装置によれば、第1状態と第2状態とが状態変位手段にて交互に変位することができる。しかも、第1の転写ピン21が塗布剤溜り部(ペースト皿53であって、塗布剤Pの受取位置)の上方に対応するときには、第2の転写ピン22が被塗布部20の上方に位置し、第2の転写ピン22が塗布剤溜り部(ペースト皿53であって、塗布剤Pの受取位置)の上方に対応するときには、第1の転写ピン21が被塗布部20の上方に位置する。すなわち、一の転写ピン21(22)にて塗布剤溜り部から塗布剤Pを受け取っている間に、他の転写ピン22(21)にて塗布剤Pを塗布することができる。このため、従来の装置の2倍の作業性の向上を図ることができ、生産性に優れる。しかも、装置全体としてはコンパクト化を図ることができて低コスト化を達成できる。
【0045】
転写ピン21、22をZ軸方向に移動させるためのZ軸方向移動手段を、変位ステージ35のZ軸方向移動機構にて構成しているので、第1の転写ピン21と第2の転写ピン22とを同時に上下動させることができ、移動時間の一層の短縮化を図ることができる。
【0046】
ペースト皿53が変位ステージ35上、具体的には変位ステージ35の第2テーブル40に付設されている。このため、ペースト皿53と被塗布部との距離が大となるのを防止でき、転写ピン21(22)の移動量を小さくできて移動時間が大となるのを有効に防止している。
【0047】
また、状態変位手段25が、ベルト部材26と駆動機構27と制御手段28とを備えたものであれば、第1の転写ピン21と第2の転写ピン22とを交互に第1状態と第2状態とに安定して変位させることができ、簡単な構成でもって、安定した塗布作業を行うことができ、低コストで構成できる。
【0048】
転写ピン21(22)がペースト状の塗布剤Pを受け取る受取位置(塗布剤溜り部に位置)が、塗布剤Pを転写する被塗布部20よりも高位であるので、被塗布部のワーク上にペースト皿を位置させることが可能となって、塗布剤を転写すべき全ワークの被塗布部に塗布剤を安定して塗布することができる。
【0049】
状態変位手段25のベルト部材26を前記受取位置と被塗布部20とに対応して水平面に対して傾斜して配設するようにしているので、第1の転写ピン21と第2の転写ピン22との上下方向長さを同一に設定できるとともに、Z軸方向のストロークも同一かつ小ストローク化することができ、Z軸が1軸で済み低コスト化が図れる。特に、この塗装装置では、ベルト部材26等を備えた状態変位手段25を追加することよって、定点移動でよくなる。このため、位置決め等が容易となって、前記状態変位手段25を安価な部材(ベルト部材等)で構成でき、低コスト化を達成できる。
【0050】
位置調整機構55にて、ペースト皿53の上下方向高さ位置の調整を行うことができる。このため、ペースト皿53を上位に位置させれば、このペースト皿53に対応する転写ピン21,22を下降させた場合、このペースト皿53に溜まっている塗布剤に深く浸漬させることができる。また、ペースト皿53を下位に位置させれば、このペースト皿に対応する転写ピンを下降させた場合、このペースト皿53に溜まっている塗布剤に浅く浸漬させたり、転写ピン21,22の先端に塗布剤Pの上面に接触するだけの状態としたりできる。また、塗布剤Pに深く浸漬させた場合、浸漬時間を大とすることができ、塗布剤Pに浅く浸漬させた場合、浸漬時間を小とできる。このため、転写ピン21,22に付着させる塗布剤Pの塗布量を調整することができる。また、被塗布部側においては、転写ピン21,22の最下位置で転写ピン21,22の先端が被塗布部20に接触するようにしたり、転写ピン21,22の最下位置で転写ピン21,22の先端が被塗布部20に接触せずに、被塗布部20との間に所定微小隙間が生じるようにしたりできる。
【0051】
これにより、ペースト皿53側において、転写ピン21,22に付着させる塗布剤Pの塗布量を、使用する塗布剤Pの種類、被塗布部への塗布剤Pの塗布量等に応じたものとすることができ、被塗布部側においても、使用する塗布剤Pの種類、被塗布部への塗布剤Pの塗布量等に応じて転写ピン21,22の被塗布部20に対する高さ位置を調整することができ、高精度にチップ等をマウントすることができる。
【0052】
この実施形態では、ベルト部材25がZ軸方向に沿って変位するので、このベルト部材25に付設されている転写ピン21,22の上下動量は同一である。このように、一対の転写ピン21,22の上下動量を同一とした場合、ペースト皿53の高さ位置を調整することによって、「塗布剤Pに深く浸漬させたり、塗布剤Pに浅く浸漬させたり、転写ピン21,22の先端に塗布剤Pの上面に接触するだけの状態としたり」することが安定してでき、転写ピン21,22による被塗布部への塗布剤の塗布量の調整を高精度に行うことができる。
【0053】
また、ベルト部材25がZ軸方向に沿って変位するので、このベルト部材25に付設されている転写ピン21,22の上下動は同期する。このように、一対の転写ピン21,22の上下動を同期させることによって、一方の転写ピン21,22による塗布剤Pの受取と、他方の転写ピン21,22による塗布とを安定して同時に行うことができ、生産性の向上を図ることができる。
【0054】
次に図5と図6は他の実施形態を示し、この場合、ベルト部材26を図6に示すように、水平状に配置している。このため、第1の転写ピン21と第2の転写ピン22とが、それぞれ独立したZ軸方向の往復動が可能とされている。
【0055】
この変位ステージ35は、XYステージで構成される。すなわち、図1に示すXYZステージにおいて、リニアガイド機構41及び第3テーブル43等に代えて、支持基板60等配置している。そして、この支持基板60に、ガイドレール31、31が配置されるガイド板63が連設されている。
【0056】
走行ブロック32a,32bはそれぞれピン支持ブロック61、62に支持され、このピン支持ブロック61、62にそれぞれ転写ピン21、22が支持されている。そして、転写ピン21、22は、それぞれ、例えばVCM等のリニアモータ65a、65bを備えた移動機構を介してZ軸方向に沿って往復動する。また。移動機構は、マイクロコンピュータ等からなる図示省略の制御手段にて制御される。
【0057】
また、このピン支持ブロック61、62が、図3に示す場合と同様に、ベルト部材26に付設される。この場合のベルト部材26は図6に示すように水平方向に沿って配設されている。そして、第1の走行ブロック32aに代えてピン支持ブロック61をベルト部材26に付設し、第2の走行ブロック32bに代えてピン支持ブロック62をベルト部材26に付設したものである。このため、この実施形態であっても、第1の転写ピン21がペースト状の塗布剤Pが溜められる塗布剤溜り部の上方に対応するとともに第2の転写ピン22が被塗布部20の上方に対応する第1状態と、第2の転写ピン22がペースト状の塗布剤Pが溜められる塗布剤溜り部の上方に対応するとともに第1の転写ピン21が被塗布部20の上方に対応する第2状態とに交互に変位させることができる。
【0058】
次にこの図5と図6に示す塗布装置を用いた塗布方法を説明する。この場合も、第1の転写ピン21と第2の転写ピン22とを第1状態とする。すなわち、第1の転写ピン21をペースト皿53上に配置するとともに、第2の転写ピン22を塗布位置に配置されているワークW上に配置する。
【0059】
この第1状態において、第1の転写ピン21と第2の転写ピン22とをそれぞれZ軸方向に沿って下降させる。この際、第1の転写ピン21の下降量は、この転写ピン21の先端が塗布剤Pに浸漬状乃至接触状となって、塗布剤Pの受け取りが可能となる量である。また、第2の転写ピン22の下降量は、この転写ピン22の先端に付着している塗布剤Pが被塗布部20に塗布剤Pを転写可能となる量である。
【0060】
これによって、第1の転写ピン21がペースト皿53から塗布剤Pを受け取り、第2の転写ピン22がワークWの被塗布部20に塗布剤Pを転写することができる。その後は、各転写ピン21、22をそれぞれ上昇させて第1状態に戻す。この場合、ベルト部材26の走行で、各転写ピン21、22がペースト皿53等に接触しないように上昇させる必要がある。次に、この第1状態からベルト部材26を走行させるとともに、変位ステージ35を介してベルト部材26をX軸方向及び/又はY軸方向に移動させて第2状態とする。すなわち、第2の転写ピン22がペースト皿53上に配置されるとともに、第1の転写ピン21が塗布位置に配置されているワークW上に配置される。
【0061】
この状態で、各転写ピン21,22をZ軸方向に沿って下降させる。この際、第2の転写ピン22の下降量は、この転写ピン22の先端が塗布剤Pに浸漬状乃至接触状となって、塗布剤Pの受け取りが可能となる量である。また、第1の転写ピン21の下降量は、この転写ピン21の先端に付着している塗布剤Pが被塗布部20に塗布剤Pを転写可能となる量である。
【0062】
このように、この塗布装置であっても、第1の転写ピン21の先端をペースト状の塗布剤に浸漬状乃至接触状として塗布剤Pを受け取ると同時に、第2の転写ピン22に付着した塗布剤Pを被塗布部20に転写して塗布する第1工程と、第2の転写ピン22の先端をペースト状の塗布剤Pに浸漬状乃至接触状として塗布剤Pを受け取ると同時に、第1の転写ピン21に付着した塗布剤Pを被塗布部20に転写して塗布するこの第2工程とを、交互に行うことになる。以後、順次前記工程が繰替えされて、XYテーブル上の全ワークWに対する塗布剤Pの塗布作業が終了する。
【0063】
このため、この図5と図6に示す塗布装置であっても、従来の装置の2倍の作業性の向上を図ることができ、生産性に優れる。しかも、装置全体としてはコンパクト化を図ることができて低コスト化を達成できる。特に、各転写ピン21,22をそれぞれ独立してZ軸方向に変位させることができるものであれば、塗布剤溜り部(ペースト皿53)と被塗布部20との高さ位置が相違していたとしても、これらの高さ位置に対応するように各転写ピン21,22を上下動させることができるとともに、転写ピン21、22毎の最下位点での高さ調整を簡単に行うことができる。さらには、ベースト皿53側において、転写ピン21、22を塗布剤Pに深く浸漬させたり、浅く浸漬させたりでき、また、被塗布部20側において、転写ピン21、22を被塗布部20に接触させたり、接触させずに被塗布部20の間に微小隙間を形成するようにしたりできる。
【0064】
このため、各転写ピン21、22が独立してZ軸方向に沿って上下動するようにすれば、位置調整機構55を介したペースト皿53のZ軸方向に沿った上下動を必要としない。ところが、各転写ピン21、22が独立して上下動するものでは、各転写ピン21、22を上下動させるために、前記したように、モータ等を備えた移動機構をそれぞれ必要とし、転写ピン21、22側が大型化して重量が大となる。これに対して、各各転写ピン21、22を独立して上下動できるものとせずに、ペースト皿53を上下動を行うようにすれば、転写ピン21、22側のコンパクト化を図って軽量化を達成できる。
【0065】
しかしながら、各転写ピン21、22が独立してZ軸方向に沿って上下動するものであれば、ベルト部材26等を傾斜させる必要がないので、この図例のように、位置調整機構55を介してペースト皿53がZ軸方向に沿って上下動するようにしてもよい。
【0066】
ところで、前記実施形態では、ベルト部材26を、変位ステージ35を介してX軸方向及び/又はY軸方向に移動させて、転写ピン21(22)を塗布剤Pが塗布されるワーク上に配置するものであったが、ワークWが載置されたテーブルをX軸方向及び/又はY軸方向に移動させて、転写ピン21(22)を塗布剤Pが塗布されるワーク上に配置するものであってもよい。
【0067】
前記各実施形態では、第1状態から第2状態へ変更したり、または第2状態から第1状態へ変更したりする場合、転写ピン21、22は、平面視において、図3に示すように、移動する方向に対して直交する方向に所定間隔に隔たれた状態で移動することになる。このため、第1の転写ピン21にて転写するときと、第2の転写ピン22にて転写するときには、このずれを吸収する方向に転写ピン21,22を変位させる必要がある。
【0068】
そこで、図7〜図9に示す状態変位手段25は、一対の転写ピン21,22の移動軌跡L1、L2を、平面視においてハの字状をなすようにしている。そして、転写ピン21,22が被塗布部20の上方に位置する状態では、この転写ピン21,22を移動軌跡L1、L2の交点O上に位置させるようにしている。
【0069】
状態変位手段25は、前記一対の転写ピン21,22をそれぞれ支持する支持アーム71,72と、各支持アーム71,72の移動軌跡L1、L2に沿った移動をガイドするアームガイド機構73、74と、一方(第1)の支持アーム71が塗布剤溜り部(ペースト皿)側から被塗布部側へ移動する際に他方(第2)の支持アーム72が被塗布部側から塗布剤溜り部側へ移動し、一方の支持アーム71が被塗布部側から塗布剤溜り部側へ移動する際に他方の支持アーム72が塗布剤溜り部側から被塗布部側へ移動するように前記アームガイド機構73,74を制御するアーム制御機構75とを備える。
【0070】
アームガイド機構73、74は、基盤77の傾斜側面78,78に設けられるガイドレール80、80と、ガイドレール80、80に沿って走行する走行ブロック81、81とを備え、この走行ブロック81,81に支持体82,82を介して支持アーム71,72が固着される。
【0071】
基盤77は、基端第1部77aと、この基端第1部77aから延びる先端側第2部77aとからなり、先端側第2部77aの側面が前記傾斜側面78,78を形成する。この基盤77は、基端側から先端側に向かって下傾している(図8参照)。また、傾斜側面78,78は、基端側から先端側に向かって順次接近するように傾斜している。なお、図8においては、支持アーム71,72の図示を省略している。
【0072】
このため、この傾斜側面に設けられるガイドレール80、80も基端側から先端側に向かって順次接近するように配置される。したがって、このガイドレール80,80に沿って走行する走行ブロック81、81に付設される支持アーム71,72は、このガイドレール80,80にガイドされつつスライドすることになる。また、この支持アーム71,72の先端の転写ピン支持部83、83には転写ピン21,22が付設されている。これによって、支持アーム71,72の走行によって転写ピン21,22は前記移動軌跡L1、L2に沿って移動することになる。なお、基盤77は基端側から先端側に向かって下傾しているが、支持アーム71,72は、図9に示すように、水平方向に延びている。
【0073】
アーム制御機構75は、基盤77の基端第1部77aの裏面側に配置される駆動用モータ(図示省略)と、基盤77の基端第1部77aの表面側に配設される揺動バー85と、揺動バー85の一方の端部と一方の支持アーム71の支持体82とを連結する連結体86aと、揺動バー85の他方の端部と他方の支持アーム72の支持体82とを連結する連結体86bとを備える。
【0074】
そして、駆動用モータの駆動軸が揺動バー85の中心部87に連結されている。また、揺動バー85における中心部87と一方の端部との間の部位と、一方の支持体82とが仮想線で示すようにスプリング88aにて連結され、揺動バー85における中心部87と他方の端部との間の部位と、他方の支持体82とが仮想線で示すようにスプリング88bにて連結されている。なお、スプリング88aは連結体86aよりも上位に配置され、スプリング88bは連結体86bよりも上位に配置されている。
【0075】
また、図7(c)に示すように、基盤77の先端第2部77bの先端側下方には、ペースト皿53が配置されている。このペースト皿53は、前記実施形態のように、第2テーブル40の鉛直壁42(図1等参照)に取付ければよい。
【0076】
駆動用モータの駆動によって、図7(b)に示す中立状態(基盤77の長手方向と直交する方向に沿って揺動バー85が配置されている状態)から図7(a)に示すように、揺動バー85を矢印H1方向に回転させれば、連結体86bにて他方の支持アーム72の支持体82が基端側へ引っ張られるとともに、連結体86aにて一方の支持アーム71の支持体82が先端側へ押圧される。これによって、支持アーム71に付設されている転写ピン21が移動軌跡L1に沿って、塗布剤溜り部側(ペースト皿側)から被塗布部側へ移動する。この際、転写ピン21は移動軌跡L1と移動軌跡L2との交点Oに対応する位置で停止する。また、支持アーム72に付設されている転写ピン22が移動軌跡L2に沿って、被塗布部側から塗布剤溜り部側(ペースト皿側)へ移動する。この際、転写ピン22はペースト皿53に対応する位置で停止する。
【0077】
図7(b)に示す状態から図7(c)に示すように矢印H2方向に回転させれば、連結体86aにて一方の支持アーム71の支持体82が基端側へ引っ張られるとともに、連結体86bにて他方の支持アーム72の支持体82が先端側へ押圧される。これによって、支持アーム72に付設されている転写ピン22が移動軌跡L2に沿って、塗布剤溜り部側(ペースト皿側)から被塗布部側へ移動する。この際、転写ピン22は移動軌跡L2と移動軌跡L2との交点Oに対応する位置で停止する。また、支持アーム71に付設されている転写ピン21が移動軌跡L1に沿って、被塗布部側から塗布剤溜り部側(ペースト皿側)へ移動する。この際、転写ピン21はペースト皿53に対応する位置で停止する。なお、基盤77は、図1等に示すように、リニアガイド機構41を介してZ軸方向の上下動が可能とされる。
【0078】
なお、支持アーム71、72が移動軌跡L1、L2に沿って移動するとは、支持アーム71、72全体が移動軌跡L1、L2上を移動するものでなくてもよく、少なくとも先端の転写ピン支持部83が移動軌跡L1、L2上を移動するものであればよい。
【0079】
図7〜図9に示す状態変位手段25を備えた装置であっても、前記図1に示す状態変位手段25を備えた装置と同様の転写作業を行うことができる。すなわち、図7(c)に示す状態とすれば、第1の転写ピン21が塗布剤溜り部(ペースト皿53)の上方に対応するとともに第2の転写ピン22が被塗布部の上方に対応する第1状態となり、図7(a)に示す状態とすれば、第2の転写ピン22が塗布剤溜り部(ペースト皿53)の上方に対応するとともに第1の転写ピン21が被塗布部の上方に対応する第2状態となる。
【0080】
そして、第1状態において、基盤77を下降させれば、第1の転写ピン21が、その先端がペースト皿53のペースト(塗布剤P)に接触状乃至浸漬状となり、ペースト(塗布剤)Pを受け取ることができ、第2の転写ピン22にて、被塗布部20にペースト(塗布剤)Pを転写することができる。また、第2状態となれば、第2の転写ピン22が、その先端がペースト皿53のペースト(塗布剤P)に接触状乃至浸漬状となり、ペースト(塗布剤P)を受け取ることができ、第1の転写ピン21にて、被塗布部20にペースト(塗布剤P)を転写することができる。そして、第1状態での第2の転写ピン22の位置と、第2状態での第1の転写ピン21の位置とは、共に移動軌跡L1、L2の交点O上であり、同一である。
【0081】
したがって、一対の転写ピン21、22がそれぞれ平面視においてハの字状の移動軌跡をなすものでは、第1の転写ピン21で転写する場合であっても、第2の転写ピン22で転写する場合であっても、同一の部位に転写することができ、転写動作の安定化を図ることができ、転写の高精度化を達成できる。しかも、第1状態から第2状態に変位させた場合でも、第2状態から第1状態で変位させた場合でも、転写ピン21,22のX方向やY方向の調整を必要とせず、制御性に優れる。
【0082】
この場合も、ペースト皿53は、Z軸方向に沿って上下動するものであって、前記図1に示す塗布装置と同様、使用する塗布剤Pや被塗布部20への塗布剤Pの量に応じて高精度に塗布剤Pを塗布することができる。
【0083】
ところで、図7から図9に示すものでは、図8に示すように、ぺースト皿53の塗布剤Pの上面を平面状に均す均し部材90を備えている。ぺースト皿53は、底壁53aと、この底壁53aの外周に沿って配設される周壁53bと、底壁53aの中央部の軸部53cとを備える。そして、図示省略の駆動手段を介してベースト皿53がこの軸部53c廻りに回転する。均し部材90は平板状体からなり、周壁53bと軸部53cとの間のリング状ぺースト溜り部に対応して配置され、ぺースト皿53がその軸部53cを中心として回転することによって、均し部材90の下端縁90aが、リング状ぺースト溜り部の塗布剤の上面に接触して、転写ピン21,22の浸漬等によって形成される塗布剤Pの上面の凹み等を均してこの上面を平面状とすることができる。
【0084】
この場合、逆に、ぺースト皿53を固定して、均し部材90を回転させるようにしてもよい。また、いずれの場合も、転写ピン21、22にて、ぺースト皿53から塗布剤Pを受け取る際には、均し部材90が障害物とならないように配置する必要がある。このため、均し部材90としては、移動可能なものであってもよい。また、リング状ぺースト溜り部の塗布剤Pの量は変動するので、上下動するものが好ましい。
【0085】
このように、均し部材90を備えるものであれば、塗布剤Pの上面が均されることによって、転写ピン21、22にてぺースト皿53からの塗布剤Pの受取が安定し、高精度の塗布作業が可能となる。
【0086】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、例えば、状態変位手段25として、ベルト部材26を用いることなく、リンク機構等を用いてもよい。実施形態では、ベルト部材26の走行は、往復動走行であるが、一方向の回転走行であってもよい。また、ベルト部材26の駆動機構27として、前記実施形態では、モータを用いたが、ソレノイド機構、シリンダ機構等の種々の既存の機構(アクチュエータ)を用いることができる。
【0087】
図1等に示すように、ベルト部材26全体がZ軸方向に上下動する場合、各転写ピン21、22自体が上下動する必要はないが、転写ピン21、22の誤差等を考慮して、各転写ピン21、22がZ軸方向に僅かに逃げることができるように設定してもよい。
【0088】
また、図5等に示すように、各転写ピン21,22が独立してZ軸方向に上下動させる移動機構として、シリンダ機構、ボールねじ機構等を用いたものであってもよい。
【0089】
ワークWの被塗布部に転写ピン21(22)を対応させる場合、ベルト部材26のX軸方向及び/又はY軸方向の移動とベルト部材26の矢印E(F)方向の走行とを同時に行っても、X軸方向及び/又はY軸方向の移動後にベルト26の矢印E(F)方向の走行を行うようにしても、ベルト26の矢印E(F)方向の走行を行った後にX軸方向及び/又はY軸方向の移動を行うようにしてもよい。
【0090】
塗布剤溜り部とワークWの被塗布部20との高低差としては、ワークWが載置されたテーブル上を、ペースト皿53を支持している水平テーブル52が通過できる範囲に種々設定できる。なお、このような高低差がないものであってもよい。また、図1等に示すように、ベルト部材26が下降することによって、転写ピン21(22)が下降するものである場合、その下降量として、転写ピン21(22)の下端が塗布剤溜り部に浸漬状乃至接触状となり、又は転写ピン21(22)がワークWの被塗布部20に対して塗布剤Pの転写が可能となる範囲で種々変更できる。
【0091】
転写ピン21(22)の径寸法、材質等も、塗布剤溜り部に対して浸漬状乃至接触状となって、塗布剤Pを受け取ることができるとともに、被塗布部20にその付着している塗布剤Pを転写できる範囲で種々変更できる。また、転写ピン21(22)の先端面の形状としても平坦面であっても、凹凸部を有するものであってもよい。第1状態から第2状態への変位速度及び第2状態から第1状態への変位速度等も、転写ピン21(22)に付着している塗布剤Pが飛散しない範囲で、塗布剤Pの材質、塗布剤Pの付着量、転写ピン21(22)の材質、形状、大きさ等に基づいて種々変更できる。
【0092】
図7〜図9に示す装置においては、支持アーム71、72をリンク機構(揺動バー85と連結体86a,86b等で構成されるリンク機構)及び駆動用モータ等を用いて変位させるものであったが、このようなリンク機構等を用いることなく、支持アーム71、72を変位させるようにしてもよい。すなわち、シリンダ機構やボールねじ機構を用いて、各支持アーム71、72が相反するように、移動軌跡L1、L2に沿って移動するようなものであってもよい。
【0093】
図7〜9に示す装置においても、図5と図6に示すように、各転写ピン21、22がそれぞれ独立して上下動するようにしてもよい。このように設定すれば、ペースト皿からの塗布剤Pの転写作業及び被塗布部20への塗布剤の塗布作業を安定して行うことができ、しかも基盤77を水平面に対して傾斜させる必要がない。また、図1や図5に示す装置であっても、均し部材90を配置するようにしてもよい。
【0094】
状態変位手段25として、回転体にこの回転体の回転軸に関して180度反対位置に転写ピンを配置するようにしたものであってもよい。
【符号の説明】
【0095】
21,22 転写ピン
53 ペースト皿
55 位置調整機構
P 塗布剤
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造装置において、ペーストをリードフレーム等に塗布する工程がある。この塗布装置には、転写ピンを用いたものがある(特許文献1及び特許文献2)。このような転写ピンを用いたものは、図10と図11に示すように塗布装置である。
【0003】
この塗布装置は、基台1に配置されるXYZステージ2と、このXYZステージ2に付設される転写ピン3とを備える。XYZステージ2は、リニアガイド機構5を介して基台1上をX軸方向に往復動する第1テーブル6と、リニアガイド機構7を介して第1テーブル6上をY軸方向に往復動する第2テーブル8と、リニアガイド機構9を介して第2テーブル8上をZ軸方向に往復動する第3テーブル10とを備える。第3テーブル10に転写ピン3が付設されている。
【0004】
この場合、第1テーブル6には、鉛直方向に延びる第1部11aとこの第1部11aの下端から水平方向に延びる第2部11bとからなるL字状のアーム11が連設され、このアーム11の第2部11bに、ペーストが溜められるペースト皿12が設けられている。
【0005】
次にこのような塗布装置を用いて、ワーク(被塗布部)13にペーストを塗布する方法を説明する。まず、転写ピン3をペースト皿12上に位置させた状態とし、図12に示すように、この状態から転写ピン3を下降させて、転写ピン3の下端をペースト皿12のペーストに浸漬した後、転写ピン3を矢印Aのように上昇させる。これによって、転写ピン3にペーストが付着する。この状態で、転写ピン3を矢印B方向に水平移動させ、ワーク13の上方に位置させる。その後、転写ピン3を矢印Cのように下降させて、転写ピン3に付着したペーストPをワーク13に表面に転写することによって塗布する。その後は、転写ピン3を上昇させた後、矢印Bと反対方向に水平方向に移動させて、初期状態に戻す。この動作を繰り返すことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平1−183827号公報
【特許文献2】特開2002−198382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、図10と図11に示す装置では、転写ピン3をペースト皿12とワーク13との間を往復動させる必要がある。しかしながら、ペースト皿12上からワーク13上への移動は、転写ピン3にペーストPが付着しているので、高速で移動させた場合、ペーストPが転写ピン3から飛散するおそれがある。そのため、あまり高速で移動させることができず、塗布作業時間が大となり、生産性に劣ることになる。
【0008】
そこで、塗布剤を被塗布部に転写するための転写ピンを一対備え、一方の転写ピンにて塗布剤を受け取ると同時に他方の転写ピンから被塗布部に塗布剤を転写するように設定できる。例えば、回転体にこの回転体の回転軸に関して180度反対位置に転写ピンを配置するようにすればよい。
【0009】
このように設定すれば、一方の転写ピンをペースト皿上に対応させるとともに、他方の転写ピンを被塗布部上に対応させた状態として、回転体を下降させれば、一方の転写ピンにて塗布剤を受け取ると同時に他方の転写ピンから被塗布部に塗布剤を転写することができる。また、回転体を回転させて、他方の転写ピンをペースト皿上に対応させるとともに、一方の転写ピンを被塗布部上に対応させた状態として、回転体を下降させれば、他方の転写ピンにて塗布剤を受け取ると同時に一方の転写ピンから被塗布部に塗布剤を転写することができる。
【0010】
これによって、全体としての塗布作業時間の短縮を図ることができる。ところで、このような塗布作業において、塗布側において、転写ピンを被塗布部に接触させたい場合や接触させたくない場合等がある。また、ペースト皿側において、転写ピンをぺーストに深く浸漬させたい場合やぺーストに浅く浸漬させたい場合等がある。しかしながら、一対の転写ピンの上下動量は同一に設定されるので、このようなニーズに対応できない。
【0011】
そこで、本発明は斯かる実情に鑑み、生産性の向上を図ることができ、しかも、使用する塗布剤や被塗布部への塗布剤の量に応じて高精度に塗布剤を塗布することができる塗布装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の塗布装置は、ペースト状の塗布剤が溜められる塗布剤溜り部の塗布剤に下端を浸漬状乃至接触状として塗布剤を受け取りこの受け取った塗布剤を被塗布部に転写する一対の転写ピンを備え、一方の転写ピンにて塗布剤を受け取ると同時に他方の転写ピンから被塗布部に塗布剤を転写するとともに、他方の転写ピンにて塗布剤を受け取ると同時に一方の転写ピンから被塗布部に塗布剤を転写し、塗布剤を受け取るとき及び塗布剤を転写するときには転写ピンが上下方向に沿って下降する塗布装置であって、塗布剤が溜められる塗布剤溜り部を構成するペースト皿と、このペースト皿の上下方向高さ位置の調整を行う位置調整機構とを備えたものである。
【0013】
本発明の塗布装置によれば、一方の転写ピンをペースト皿上に対応させるとともに、他方の転写ピンを被塗布部上に対応させた状態として、各転写ピンを下降させれば、一方の転写ピンにて塗布剤を受け取ると同時に他方の転写ピンから被塗布部に塗布剤を転写することができる。また、他方の転写ピンをペースト皿上に対応させるとともに、一方の転写ピンを被塗布部上に対応させた状態として、転写ピンを下降させれば、他方の転写ピンにて塗布剤を受け取ると同時に一方の転写ピンから被塗布部に塗布剤を転写することができる。
【0014】
位置調整機構にて、ペースト皿の上下方向高さ位置の調整を行うことができる。このため、ペースト皿を上位に位置させれば、このペースト皿に対応する転写ピンを下降させた場合、このペースト皿に溜まっている塗布剤に深く浸漬させることができる。ペースト皿を下位に位置させれば、このペースト皿に対応する転写ピンを下降させた場合、このペースト皿に溜まっている塗布剤に浅く浸漬させたり、転写ピンの先端に塗布剤の上面に接触するだけの状態としたりできる。また、塗布剤に深く浸漬させた場合、浸漬時間を大とすることができ、塗布剤に浅く浸漬させた場合、浸漬時間を小とできる。このため、転写ピンに付着させる塗布剤の塗布量を調整することができる。また、被塗布部側においては、転写ピンの最下位置で被塗布部に接触するものであっても、転写ピンの先端の最下位置で転写ピンの先端が被塗布部に接触せずに、被塗布部との間に所定微小隙間が生じるものであってもよい。
【0015】
一対の転写ピンの上下動量を同一としたり、一対の転写ピンの上下動を同期させたりできる。また、ペースト皿の塗布剤の上面を平面状に均す均し部材を備えたものであってもよい。
【0016】
一対の転写ピンの上下動量を同一とした場合、下降時の被塗布部側の転写ピンの先端(下端)の高さ位置に基づいてペースト皿の高さ位置を調整することが可能である。すなわち、転写ピンの最下位置で転写ピンの先端が被塗布部に接触するものとしたり、転写ピンの最下位置で転写ピンの先端が被塗布部に接触せずに、被塗布部との間に所定微小隙間が生じるものとしたりできる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の塗布装置では、従来の装置や方法の2倍の作業性の向上を図ることができ、生産性に優れる。しかも、装置全体としてはコンパクト化を図ることができて低コスト化を達成できる。
【0018】
ペースト皿側において、転写ピンに付着させる塗布剤の塗布量を、使用する塗布剤の種類、被塗布部への塗布剤の塗布量等に応じたものとすることができ、被塗布部側においても、使用する塗布剤の種類、被塗布部への塗布剤の塗布量等に応じて転写ピンの被塗布部に対する高さ位置を調整することができる。このため、チップ等をこの被塗布部に高精度にマウントすることができる。
【0019】
特に、一対の転写ピンの上下動量を同一とした場合、ペースト皿の高さ位置を調整することによって、「塗布剤に深く浸漬させたり、塗布剤に浅く浸漬させたり、転写ピンの先端に塗布剤の上面に接触するだけの状態としたり」することが安定してでき、転写ピンによる被塗布部への塗布剤の塗布量の調整を高精度に行うことができる。また、一対の転写ピンの上下動を同期させることによって、一方の転写ピンによる塗布剤の受取と、他方の転写ピンによる塗布とを安定して同時に行うことができ、生産性の向上を図ることができる。
【0020】
均し部材を備えたものであれば、塗布剤の上面が均されることによって、転写ピンにてぺースト皿からの塗布剤の受取が安定し、高精度の塗布作業が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態の塗布装置の簡略側面図である。
【図2】前記図1の塗布装置の簡略正面図である。
【図3】前記図1の塗布装置の動作を示し、(a)は第1状態を示す簡略図であり、(b)は第2状態を示す簡略図である。
【図4】状態変位手段の簡略ブロック図である。
【図5】本発明の他の実施形態の塗布装置の簡略側面図である。
【図6】前記図5の塗布装置の簡略正面図である。
【図7】本発明の別の実施形態の塗布装置の要部簡略図である。
【図8】前記図7に示す塗布装置の要部簡略斜視図である。
【図9】前記図7に示す塗布装置の要部側面図である。
【図10】従来の塗布装置の簡略側面図である。
【図11】前記図10の塗布装置の簡略正面図である。
【図12】塗布工程を示す簡略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下本発明の実施の形態を図1〜図9に基づいて説明する。
【0023】
図1と図2は本発明にかかる塗布装置を示し、この塗布装置は、ぺースト状の塗布剤PをワークWの被塗布部20に塗布するための一対の転写ピン21、22を備えたものである。ぺースト状の塗布剤Pとしては、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂などの樹脂接着剤や、銀ペーストなどである。転写ピン21、22は、その先端面、又は先端面から先端面近傍の先端部に塗布剤Pが付着するものである。
【0024】
転写ピン21、22は、状態変位手段25にてその状態(位置)の変位が可能とされている。状態変位手段25は、図4に示すように、前記一対の転写ピン21,22が付設されるベルト部材26と、このベルト部材26を走行させる駆動機構27と、この駆動機構27を制御して、第1の転写ピン21と第2の転写ピン22とを交互に第1状態と第2状態とに変位させる制御手段28とを備える。
【0025】
駆動機構27は、例えば、図2に示すように、サーボモータ等のベルト駆動モータMと、このモータMの回転駆動力をベルト部材26に伝達する伝達機構(図示省略)とを備える。また、この走行はリニアガイド機構30にて案内される。リニアガイド機構30は、ガイドレール31と、このガイドレール31に沿って走行する走行ブロック32a,32bとを備える。一方の走行ブロック32aに第1の転写ピン21が付設され、他方の走行ブロック32bに第2の転写ピン22が付設されている。制御手段28は、例えばマイクロコンピュータ等からなる。
【0026】
ベルト部材26はエンドレスベルトであって、図3(a)(b)に示すように、長円形状に配設され、走行ブロック32a,32bが、それぞれ、長辺26a、26bの内面側に付設されている。この場合、図3(a)に示す状態では、第1の走行ブロック32aが一方の円弧辺26c側に位置するとともに、第2の走行ブロック32bが他方の円弧辺26d側に位置する。また、図3(b)に示す状態では、第1の走行ブロック32aが他方の円弧辺26d側に位置するとともに、第2の走行ブロック32bが一方の円弧辺26c側に位置する。
【0027】
図3(a)に示す状態を第1状態と呼び、図3(b)に示す状態を第2状態と呼ぶことができ、この第1状態と第2状態とに交互に変位する。すなわち、第1状態から第2状態への変位は、図3(a)に示す状態から、ベルト部材26が矢印E方向に図3(b)に示す状態となるまで走行し、第2状態から第1状態への変位は、図3(b)に示す状態から、ベルト部材26が矢印F方向に図3(a)に示す状態となるまで走行する。
【0028】
この状態変位手段のベルト部材26は、図1と図2に示すようなXYZステージからなる変位ステージ35に付設される。変位ステージ35は、リニアガイド機構37を介して基台36上をX軸方向に往復動する第1テーブル38と、リニアガイド機構39を介して第1テーブル38上をY軸方向に往復動する第2テーブル40と、リニアガイド機構41を介して第2テーブル40の鉛直壁42に沿ってZ軸方向に往復動する第3テーブル43とを備える。
【0029】
リニアガイド機構37は、X軸方向に沿って延びる平行な一対のガイドレール45、45と、各ガイドレール45、45上を走行する走行体46,46とを備える。ガイドレール45、45が基台36の上面に配置され、各走行体46,46が第1テーブル38の下面に連結されている。このため、走行体46,46のガイドレール45,45に沿った走行に伴って、第1テーブル38がX軸方向に走行する。
【0030】
リニアガイド機構39は、Y軸方向に沿って延びる平行な一対のガイドレール47、47と、各ガイドレール47、47上を走行する走行体48,48とを備える。ガイドレール47、47が第1テーブル38の上面に配置され、各走行体48,48が第2テーブル40の下面に連結されている。このため、走行体48,48のガイドレール47,47に沿った走行に伴って、第2テーブル40がY軸方向に走行する。
【0031】
リニアガイド機構41は、Z軸方向に沿って延びる平行な一対のガイドレール49、49と、各ガイドレール49、49上を走行する走行体50,50とを備える。ガイドレール49、49が第2テーブル40の鉛直壁42にの表面(外面)に配置され、各走行体50,50が第3テーブル43の裏面(内面)に連結されている。このため、走行体50,50のガイドレール49,49に沿った走行に伴って、第3テーブル43がZ軸方向に走行する。そして、この第3テーブル43の傾斜アーム51に、走行ブロック32a,32bをガイドするガイドレール31、31が配置されている。このため、図2に示すように、ベルト部材26が傾斜アーム51に沿って傾斜して配設されている。走行ブロック32a,32bのガイドレール31、31に沿った走行に伴ってベルト部材26が図3(a)(b)に示すような矢印E、Fの走行が可能となる。
【0032】
ところで、各走行体46、48、50は、自走式であっても、他の動力源からの動力付与によって、走行するものであってもよい。他の動力源からの動力付与する場合、走行体46、48、50に直接的に付与しても、各テーブル38、40、43にシリンダ機構等のアクチュエータにて付与するものであってもよい。
【0033】
このように、ベルト部材26はZ軸方向の変位が可能であり、このZ軸方向移動手段として、XYZステージである変位ステージ35のZ軸方向移動機構にて構成することができる。すなわち、第3テーブル43がリニアガイド機構41にガイドされつつZ軸方向に沿って上下動すれば、ベルト部材26に付設されている各転写ガイド21,22が軸方向に沿って上下動する。
【0034】
第2テーブル40の鉛直壁42には水平テーブル52が設けられ、この水平テーブル52に塗布剤Pが溜められるペースト皿53が配置されている。ところで、このペースト皿53は、塗布剤Pを塗布すべきワークWの被塗布部位よりも高位に配置されている。このため、前記したように、ベルト部材26は水平面に対して所定角度で傾斜している。すなわち、図3(a)に示す第1状態とした場合に、第1の転写ピン21がペースト皿53上に配置されるとともに、第2の転写ピン22が塗布位置に配置されているワークW上に配置される。図3(b)に示す第2状態とした場合に、第2の転写ピン22がペースト皿53上に配置されるとともに、第1の転写ピン21が塗布位置に配置されているワークW上に配置される。
【0035】
水平テーブル52は、位置調整機構55にて上下方向の位置調整が可能となっている。位置調整機構55は、例えば、リニアガイド機構56を備える。このリニアガイド機構は、鉛直方向に延びるガイドレール57と、このガイドレール57上を走行する走行体58とを備える。そして、ガイドレール57が鉛直壁42に付設され、走行体58が水平テーブル52に設けられている。
【0036】
このため、走行体58がガイドレール57に沿って上下動すれば、水平テーブル52が上下動して、この水平テーブル52上に配置されているペースト皿53が上下動する。なお、走行体58としては、自走式であっても、他の動力源からの動力付与によって走行するものであってもよい。また、水平テーブル52にシリンダ機構等のアクチュエータにて押圧力を付与するものであってもよい。位置調整機構55として、前記のようなリニアガイド機構を用いることなく、シリンダ機構、ボールナット機構、又は圧電アクチュエータ等でもって構成してもよい。さらには、モータと、このモータの回転駆動力を直動に変換するカム機構等にて構成してもよい。
【0037】
次に図1及び図2に装置を用いた塗布剤Pの塗布方法を説明する。なお、ワークWは半導体チップであり、図示省略のXYテーブルに複数枚のワークWが載置されている。そして、変位ステージ35を介してベルト部材26をX軸方向及び/又はY軸方向に移動させて、塗布剤Pを塗布すべきワークW上に、第2の転写ピン22を位置させる。
【0038】
すなわち、図3(a)に示す第1状態として、第1の転写ピン21をペースト皿53上に配置するとともに、第2の転写ピン22を塗布位置に配置されているワークW上に配置する。この状態で、ベルト部材26をZ軸方向に沿って下降させる。この下降によって、第1の転写ピン21の先端がペースト皿53の塗布剤Pに浸漬状乃至接触状となると同時に、(第2の転写ピン22の先端に付着していれば、)この第2の転写ピン22からワークWの被塗布部(塗布剤付着部)20に転写されて塗布される。ここで、浸漬状乃至接触状とは、転写ピンの先端が塗布剤に浸漬された状態や転写ピンの先端が塗布剤の接触した状態をいい、この転写ピンの先端に塗布剤が付着することが可能な状態(転写ピンの先端面、又は先端面から先端面近傍の先端部に塗布剤が付着することが可能な状態)である。
なお、塗布剤溜り部(ペースト皿53であって、塗布剤Pの受取位置)とワークWの被塗布部20との高低差としては、例えば、5mm程度とされ、第1状態では、第1の転写ピン21の下端と塗布剤溜り部との差、および第2の転写ピン22の下端とワークWの被塗布部20との差をそれぞれ5mm程度とされる。
【0039】
次に、ベルト部材26をZ軸方向に沿って上昇させた後、ベルト部材26を図3(a)に示す第1状態から矢印E方向に走行させるとともに、変位ステージ35を介してベルト部材26をX軸方向及び/又はY軸方向に移動させて、第1の転写ピン21を塗布剤Pを塗布すべき次のワークW上に配置して第2状態とする。すなわち、この第2状態では、第2の転写ピン22がペースト皿53上に配置されるとともに、第1の転写ピン21が塗布位置に配置されているワークW上に配置される。第2状態では、第2の転写ピン22の下端と塗布剤溜り部との差、および第1の転写ピン21の下端とワークWの被塗布部20との差をそれぞれ5mm程度とされる。
【0040】
その後、ベルト部材26をZ軸方向に沿って下降させる。この下降によって、第2の転写ピン22の先端がペースト皿53の塗布剤Pに浸漬状乃至接触状となると同時に、この第1の転写ピン21からワークWの被塗布部20に転写されて塗布される。
【0041】
次に、ベルト部材26をZ軸方向に沿って上昇させる。この上昇によって、図3(b)に示すような第2状態となる。そして、この第2状態から、ベルト部材26を矢印F方向に走行させるとともに、変位ステージ35を介してベルト部材26をX軸方向及び/又はY軸方向に移動させて、第2の転写ピン22を塗布剤Pを塗布すべき次のワークW上に配置して、図3(a)に示す第1状態に戻す。なお、矢印F方向にベルト部材26の移動量と、前記矢印E方向の移動量を同一とする。
【0042】
このように第1状態に戻した後は、再度、Z軸方向に沿って下降させる。この下降によって、第1の転写ピン21の先端がペースト皿53の塗布剤Pに浸漬状乃至接触状となると同時に、この第2の転写ピン22からワークWの被塗布部(塗布剤付着部)20に転写されて塗布される。
【0043】
以後、順次前記工程が繰替えされて、XYテーブル上の全ワークWに対する塗布剤Pの塗布作業が終了する。すなわち、この塗布方法は、第1の転写ピン21の先端をペースト状の塗布剤に浸漬状乃至接触状として塗布剤を受け取ると同時に、第2の転写ピン22に付着した塗布剤Pを被塗布部20に転写して塗布する第1工程と、第2の転写ピン22の先端をペースト状の塗布剤Pに浸漬状乃至接触状として塗布剤Pを受け取ると同時に、第1の転写ピン21に付着した塗布剤Pを被塗布部20に転写して塗布するこの第2工程とを備えるものであって、第1工程と第2工程とを交互に行うことになる。
【0044】
本発明の塗布装置によれば、第1状態と第2状態とが状態変位手段にて交互に変位することができる。しかも、第1の転写ピン21が塗布剤溜り部(ペースト皿53であって、塗布剤Pの受取位置)の上方に対応するときには、第2の転写ピン22が被塗布部20の上方に位置し、第2の転写ピン22が塗布剤溜り部(ペースト皿53であって、塗布剤Pの受取位置)の上方に対応するときには、第1の転写ピン21が被塗布部20の上方に位置する。すなわち、一の転写ピン21(22)にて塗布剤溜り部から塗布剤Pを受け取っている間に、他の転写ピン22(21)にて塗布剤Pを塗布することができる。このため、従来の装置の2倍の作業性の向上を図ることができ、生産性に優れる。しかも、装置全体としてはコンパクト化を図ることができて低コスト化を達成できる。
【0045】
転写ピン21、22をZ軸方向に移動させるためのZ軸方向移動手段を、変位ステージ35のZ軸方向移動機構にて構成しているので、第1の転写ピン21と第2の転写ピン22とを同時に上下動させることができ、移動時間の一層の短縮化を図ることができる。
【0046】
ペースト皿53が変位ステージ35上、具体的には変位ステージ35の第2テーブル40に付設されている。このため、ペースト皿53と被塗布部との距離が大となるのを防止でき、転写ピン21(22)の移動量を小さくできて移動時間が大となるのを有効に防止している。
【0047】
また、状態変位手段25が、ベルト部材26と駆動機構27と制御手段28とを備えたものであれば、第1の転写ピン21と第2の転写ピン22とを交互に第1状態と第2状態とに安定して変位させることができ、簡単な構成でもって、安定した塗布作業を行うことができ、低コストで構成できる。
【0048】
転写ピン21(22)がペースト状の塗布剤Pを受け取る受取位置(塗布剤溜り部に位置)が、塗布剤Pを転写する被塗布部20よりも高位であるので、被塗布部のワーク上にペースト皿を位置させることが可能となって、塗布剤を転写すべき全ワークの被塗布部に塗布剤を安定して塗布することができる。
【0049】
状態変位手段25のベルト部材26を前記受取位置と被塗布部20とに対応して水平面に対して傾斜して配設するようにしているので、第1の転写ピン21と第2の転写ピン22との上下方向長さを同一に設定できるとともに、Z軸方向のストロークも同一かつ小ストローク化することができ、Z軸が1軸で済み低コスト化が図れる。特に、この塗装装置では、ベルト部材26等を備えた状態変位手段25を追加することよって、定点移動でよくなる。このため、位置決め等が容易となって、前記状態変位手段25を安価な部材(ベルト部材等)で構成でき、低コスト化を達成できる。
【0050】
位置調整機構55にて、ペースト皿53の上下方向高さ位置の調整を行うことができる。このため、ペースト皿53を上位に位置させれば、このペースト皿53に対応する転写ピン21,22を下降させた場合、このペースト皿53に溜まっている塗布剤に深く浸漬させることができる。また、ペースト皿53を下位に位置させれば、このペースト皿に対応する転写ピンを下降させた場合、このペースト皿53に溜まっている塗布剤に浅く浸漬させたり、転写ピン21,22の先端に塗布剤Pの上面に接触するだけの状態としたりできる。また、塗布剤Pに深く浸漬させた場合、浸漬時間を大とすることができ、塗布剤Pに浅く浸漬させた場合、浸漬時間を小とできる。このため、転写ピン21,22に付着させる塗布剤Pの塗布量を調整することができる。また、被塗布部側においては、転写ピン21,22の最下位置で転写ピン21,22の先端が被塗布部20に接触するようにしたり、転写ピン21,22の最下位置で転写ピン21,22の先端が被塗布部20に接触せずに、被塗布部20との間に所定微小隙間が生じるようにしたりできる。
【0051】
これにより、ペースト皿53側において、転写ピン21,22に付着させる塗布剤Pの塗布量を、使用する塗布剤Pの種類、被塗布部への塗布剤Pの塗布量等に応じたものとすることができ、被塗布部側においても、使用する塗布剤Pの種類、被塗布部への塗布剤Pの塗布量等に応じて転写ピン21,22の被塗布部20に対する高さ位置を調整することができ、高精度にチップ等をマウントすることができる。
【0052】
この実施形態では、ベルト部材25がZ軸方向に沿って変位するので、このベルト部材25に付設されている転写ピン21,22の上下動量は同一である。このように、一対の転写ピン21,22の上下動量を同一とした場合、ペースト皿53の高さ位置を調整することによって、「塗布剤Pに深く浸漬させたり、塗布剤Pに浅く浸漬させたり、転写ピン21,22の先端に塗布剤Pの上面に接触するだけの状態としたり」することが安定してでき、転写ピン21,22による被塗布部への塗布剤の塗布量の調整を高精度に行うことができる。
【0053】
また、ベルト部材25がZ軸方向に沿って変位するので、このベルト部材25に付設されている転写ピン21,22の上下動は同期する。このように、一対の転写ピン21,22の上下動を同期させることによって、一方の転写ピン21,22による塗布剤Pの受取と、他方の転写ピン21,22による塗布とを安定して同時に行うことができ、生産性の向上を図ることができる。
【0054】
次に図5と図6は他の実施形態を示し、この場合、ベルト部材26を図6に示すように、水平状に配置している。このため、第1の転写ピン21と第2の転写ピン22とが、それぞれ独立したZ軸方向の往復動が可能とされている。
【0055】
この変位ステージ35は、XYステージで構成される。すなわち、図1に示すXYZステージにおいて、リニアガイド機構41及び第3テーブル43等に代えて、支持基板60等配置している。そして、この支持基板60に、ガイドレール31、31が配置されるガイド板63が連設されている。
【0056】
走行ブロック32a,32bはそれぞれピン支持ブロック61、62に支持され、このピン支持ブロック61、62にそれぞれ転写ピン21、22が支持されている。そして、転写ピン21、22は、それぞれ、例えばVCM等のリニアモータ65a、65bを備えた移動機構を介してZ軸方向に沿って往復動する。また。移動機構は、マイクロコンピュータ等からなる図示省略の制御手段にて制御される。
【0057】
また、このピン支持ブロック61、62が、図3に示す場合と同様に、ベルト部材26に付設される。この場合のベルト部材26は図6に示すように水平方向に沿って配設されている。そして、第1の走行ブロック32aに代えてピン支持ブロック61をベルト部材26に付設し、第2の走行ブロック32bに代えてピン支持ブロック62をベルト部材26に付設したものである。このため、この実施形態であっても、第1の転写ピン21がペースト状の塗布剤Pが溜められる塗布剤溜り部の上方に対応するとともに第2の転写ピン22が被塗布部20の上方に対応する第1状態と、第2の転写ピン22がペースト状の塗布剤Pが溜められる塗布剤溜り部の上方に対応するとともに第1の転写ピン21が被塗布部20の上方に対応する第2状態とに交互に変位させることができる。
【0058】
次にこの図5と図6に示す塗布装置を用いた塗布方法を説明する。この場合も、第1の転写ピン21と第2の転写ピン22とを第1状態とする。すなわち、第1の転写ピン21をペースト皿53上に配置するとともに、第2の転写ピン22を塗布位置に配置されているワークW上に配置する。
【0059】
この第1状態において、第1の転写ピン21と第2の転写ピン22とをそれぞれZ軸方向に沿って下降させる。この際、第1の転写ピン21の下降量は、この転写ピン21の先端が塗布剤Pに浸漬状乃至接触状となって、塗布剤Pの受け取りが可能となる量である。また、第2の転写ピン22の下降量は、この転写ピン22の先端に付着している塗布剤Pが被塗布部20に塗布剤Pを転写可能となる量である。
【0060】
これによって、第1の転写ピン21がペースト皿53から塗布剤Pを受け取り、第2の転写ピン22がワークWの被塗布部20に塗布剤Pを転写することができる。その後は、各転写ピン21、22をそれぞれ上昇させて第1状態に戻す。この場合、ベルト部材26の走行で、各転写ピン21、22がペースト皿53等に接触しないように上昇させる必要がある。次に、この第1状態からベルト部材26を走行させるとともに、変位ステージ35を介してベルト部材26をX軸方向及び/又はY軸方向に移動させて第2状態とする。すなわち、第2の転写ピン22がペースト皿53上に配置されるとともに、第1の転写ピン21が塗布位置に配置されているワークW上に配置される。
【0061】
この状態で、各転写ピン21,22をZ軸方向に沿って下降させる。この際、第2の転写ピン22の下降量は、この転写ピン22の先端が塗布剤Pに浸漬状乃至接触状となって、塗布剤Pの受け取りが可能となる量である。また、第1の転写ピン21の下降量は、この転写ピン21の先端に付着している塗布剤Pが被塗布部20に塗布剤Pを転写可能となる量である。
【0062】
このように、この塗布装置であっても、第1の転写ピン21の先端をペースト状の塗布剤に浸漬状乃至接触状として塗布剤Pを受け取ると同時に、第2の転写ピン22に付着した塗布剤Pを被塗布部20に転写して塗布する第1工程と、第2の転写ピン22の先端をペースト状の塗布剤Pに浸漬状乃至接触状として塗布剤Pを受け取ると同時に、第1の転写ピン21に付着した塗布剤Pを被塗布部20に転写して塗布するこの第2工程とを、交互に行うことになる。以後、順次前記工程が繰替えされて、XYテーブル上の全ワークWに対する塗布剤Pの塗布作業が終了する。
【0063】
このため、この図5と図6に示す塗布装置であっても、従来の装置の2倍の作業性の向上を図ることができ、生産性に優れる。しかも、装置全体としてはコンパクト化を図ることができて低コスト化を達成できる。特に、各転写ピン21,22をそれぞれ独立してZ軸方向に変位させることができるものであれば、塗布剤溜り部(ペースト皿53)と被塗布部20との高さ位置が相違していたとしても、これらの高さ位置に対応するように各転写ピン21,22を上下動させることができるとともに、転写ピン21、22毎の最下位点での高さ調整を簡単に行うことができる。さらには、ベースト皿53側において、転写ピン21、22を塗布剤Pに深く浸漬させたり、浅く浸漬させたりでき、また、被塗布部20側において、転写ピン21、22を被塗布部20に接触させたり、接触させずに被塗布部20の間に微小隙間を形成するようにしたりできる。
【0064】
このため、各転写ピン21、22が独立してZ軸方向に沿って上下動するようにすれば、位置調整機構55を介したペースト皿53のZ軸方向に沿った上下動を必要としない。ところが、各転写ピン21、22が独立して上下動するものでは、各転写ピン21、22を上下動させるために、前記したように、モータ等を備えた移動機構をそれぞれ必要とし、転写ピン21、22側が大型化して重量が大となる。これに対して、各各転写ピン21、22を独立して上下動できるものとせずに、ペースト皿53を上下動を行うようにすれば、転写ピン21、22側のコンパクト化を図って軽量化を達成できる。
【0065】
しかしながら、各転写ピン21、22が独立してZ軸方向に沿って上下動するものであれば、ベルト部材26等を傾斜させる必要がないので、この図例のように、位置調整機構55を介してペースト皿53がZ軸方向に沿って上下動するようにしてもよい。
【0066】
ところで、前記実施形態では、ベルト部材26を、変位ステージ35を介してX軸方向及び/又はY軸方向に移動させて、転写ピン21(22)を塗布剤Pが塗布されるワーク上に配置するものであったが、ワークWが載置されたテーブルをX軸方向及び/又はY軸方向に移動させて、転写ピン21(22)を塗布剤Pが塗布されるワーク上に配置するものであってもよい。
【0067】
前記各実施形態では、第1状態から第2状態へ変更したり、または第2状態から第1状態へ変更したりする場合、転写ピン21、22は、平面視において、図3に示すように、移動する方向に対して直交する方向に所定間隔に隔たれた状態で移動することになる。このため、第1の転写ピン21にて転写するときと、第2の転写ピン22にて転写するときには、このずれを吸収する方向に転写ピン21,22を変位させる必要がある。
【0068】
そこで、図7〜図9に示す状態変位手段25は、一対の転写ピン21,22の移動軌跡L1、L2を、平面視においてハの字状をなすようにしている。そして、転写ピン21,22が被塗布部20の上方に位置する状態では、この転写ピン21,22を移動軌跡L1、L2の交点O上に位置させるようにしている。
【0069】
状態変位手段25は、前記一対の転写ピン21,22をそれぞれ支持する支持アーム71,72と、各支持アーム71,72の移動軌跡L1、L2に沿った移動をガイドするアームガイド機構73、74と、一方(第1)の支持アーム71が塗布剤溜り部(ペースト皿)側から被塗布部側へ移動する際に他方(第2)の支持アーム72が被塗布部側から塗布剤溜り部側へ移動し、一方の支持アーム71が被塗布部側から塗布剤溜り部側へ移動する際に他方の支持アーム72が塗布剤溜り部側から被塗布部側へ移動するように前記アームガイド機構73,74を制御するアーム制御機構75とを備える。
【0070】
アームガイド機構73、74は、基盤77の傾斜側面78,78に設けられるガイドレール80、80と、ガイドレール80、80に沿って走行する走行ブロック81、81とを備え、この走行ブロック81,81に支持体82,82を介して支持アーム71,72が固着される。
【0071】
基盤77は、基端第1部77aと、この基端第1部77aから延びる先端側第2部77aとからなり、先端側第2部77aの側面が前記傾斜側面78,78を形成する。この基盤77は、基端側から先端側に向かって下傾している(図8参照)。また、傾斜側面78,78は、基端側から先端側に向かって順次接近するように傾斜している。なお、図8においては、支持アーム71,72の図示を省略している。
【0072】
このため、この傾斜側面に設けられるガイドレール80、80も基端側から先端側に向かって順次接近するように配置される。したがって、このガイドレール80,80に沿って走行する走行ブロック81、81に付設される支持アーム71,72は、このガイドレール80,80にガイドされつつスライドすることになる。また、この支持アーム71,72の先端の転写ピン支持部83、83には転写ピン21,22が付設されている。これによって、支持アーム71,72の走行によって転写ピン21,22は前記移動軌跡L1、L2に沿って移動することになる。なお、基盤77は基端側から先端側に向かって下傾しているが、支持アーム71,72は、図9に示すように、水平方向に延びている。
【0073】
アーム制御機構75は、基盤77の基端第1部77aの裏面側に配置される駆動用モータ(図示省略)と、基盤77の基端第1部77aの表面側に配設される揺動バー85と、揺動バー85の一方の端部と一方の支持アーム71の支持体82とを連結する連結体86aと、揺動バー85の他方の端部と他方の支持アーム72の支持体82とを連結する連結体86bとを備える。
【0074】
そして、駆動用モータの駆動軸が揺動バー85の中心部87に連結されている。また、揺動バー85における中心部87と一方の端部との間の部位と、一方の支持体82とが仮想線で示すようにスプリング88aにて連結され、揺動バー85における中心部87と他方の端部との間の部位と、他方の支持体82とが仮想線で示すようにスプリング88bにて連結されている。なお、スプリング88aは連結体86aよりも上位に配置され、スプリング88bは連結体86bよりも上位に配置されている。
【0075】
また、図7(c)に示すように、基盤77の先端第2部77bの先端側下方には、ペースト皿53が配置されている。このペースト皿53は、前記実施形態のように、第2テーブル40の鉛直壁42(図1等参照)に取付ければよい。
【0076】
駆動用モータの駆動によって、図7(b)に示す中立状態(基盤77の長手方向と直交する方向に沿って揺動バー85が配置されている状態)から図7(a)に示すように、揺動バー85を矢印H1方向に回転させれば、連結体86bにて他方の支持アーム72の支持体82が基端側へ引っ張られるとともに、連結体86aにて一方の支持アーム71の支持体82が先端側へ押圧される。これによって、支持アーム71に付設されている転写ピン21が移動軌跡L1に沿って、塗布剤溜り部側(ペースト皿側)から被塗布部側へ移動する。この際、転写ピン21は移動軌跡L1と移動軌跡L2との交点Oに対応する位置で停止する。また、支持アーム72に付設されている転写ピン22が移動軌跡L2に沿って、被塗布部側から塗布剤溜り部側(ペースト皿側)へ移動する。この際、転写ピン22はペースト皿53に対応する位置で停止する。
【0077】
図7(b)に示す状態から図7(c)に示すように矢印H2方向に回転させれば、連結体86aにて一方の支持アーム71の支持体82が基端側へ引っ張られるとともに、連結体86bにて他方の支持アーム72の支持体82が先端側へ押圧される。これによって、支持アーム72に付設されている転写ピン22が移動軌跡L2に沿って、塗布剤溜り部側(ペースト皿側)から被塗布部側へ移動する。この際、転写ピン22は移動軌跡L2と移動軌跡L2との交点Oに対応する位置で停止する。また、支持アーム71に付設されている転写ピン21が移動軌跡L1に沿って、被塗布部側から塗布剤溜り部側(ペースト皿側)へ移動する。この際、転写ピン21はペースト皿53に対応する位置で停止する。なお、基盤77は、図1等に示すように、リニアガイド機構41を介してZ軸方向の上下動が可能とされる。
【0078】
なお、支持アーム71、72が移動軌跡L1、L2に沿って移動するとは、支持アーム71、72全体が移動軌跡L1、L2上を移動するものでなくてもよく、少なくとも先端の転写ピン支持部83が移動軌跡L1、L2上を移動するものであればよい。
【0079】
図7〜図9に示す状態変位手段25を備えた装置であっても、前記図1に示す状態変位手段25を備えた装置と同様の転写作業を行うことができる。すなわち、図7(c)に示す状態とすれば、第1の転写ピン21が塗布剤溜り部(ペースト皿53)の上方に対応するとともに第2の転写ピン22が被塗布部の上方に対応する第1状態となり、図7(a)に示す状態とすれば、第2の転写ピン22が塗布剤溜り部(ペースト皿53)の上方に対応するとともに第1の転写ピン21が被塗布部の上方に対応する第2状態となる。
【0080】
そして、第1状態において、基盤77を下降させれば、第1の転写ピン21が、その先端がペースト皿53のペースト(塗布剤P)に接触状乃至浸漬状となり、ペースト(塗布剤)Pを受け取ることができ、第2の転写ピン22にて、被塗布部20にペースト(塗布剤)Pを転写することができる。また、第2状態となれば、第2の転写ピン22が、その先端がペースト皿53のペースト(塗布剤P)に接触状乃至浸漬状となり、ペースト(塗布剤P)を受け取ることができ、第1の転写ピン21にて、被塗布部20にペースト(塗布剤P)を転写することができる。そして、第1状態での第2の転写ピン22の位置と、第2状態での第1の転写ピン21の位置とは、共に移動軌跡L1、L2の交点O上であり、同一である。
【0081】
したがって、一対の転写ピン21、22がそれぞれ平面視においてハの字状の移動軌跡をなすものでは、第1の転写ピン21で転写する場合であっても、第2の転写ピン22で転写する場合であっても、同一の部位に転写することができ、転写動作の安定化を図ることができ、転写の高精度化を達成できる。しかも、第1状態から第2状態に変位させた場合でも、第2状態から第1状態で変位させた場合でも、転写ピン21,22のX方向やY方向の調整を必要とせず、制御性に優れる。
【0082】
この場合も、ペースト皿53は、Z軸方向に沿って上下動するものであって、前記図1に示す塗布装置と同様、使用する塗布剤Pや被塗布部20への塗布剤Pの量に応じて高精度に塗布剤Pを塗布することができる。
【0083】
ところで、図7から図9に示すものでは、図8に示すように、ぺースト皿53の塗布剤Pの上面を平面状に均す均し部材90を備えている。ぺースト皿53は、底壁53aと、この底壁53aの外周に沿って配設される周壁53bと、底壁53aの中央部の軸部53cとを備える。そして、図示省略の駆動手段を介してベースト皿53がこの軸部53c廻りに回転する。均し部材90は平板状体からなり、周壁53bと軸部53cとの間のリング状ぺースト溜り部に対応して配置され、ぺースト皿53がその軸部53cを中心として回転することによって、均し部材90の下端縁90aが、リング状ぺースト溜り部の塗布剤の上面に接触して、転写ピン21,22の浸漬等によって形成される塗布剤Pの上面の凹み等を均してこの上面を平面状とすることができる。
【0084】
この場合、逆に、ぺースト皿53を固定して、均し部材90を回転させるようにしてもよい。また、いずれの場合も、転写ピン21、22にて、ぺースト皿53から塗布剤Pを受け取る際には、均し部材90が障害物とならないように配置する必要がある。このため、均し部材90としては、移動可能なものであってもよい。また、リング状ぺースト溜り部の塗布剤Pの量は変動するので、上下動するものが好ましい。
【0085】
このように、均し部材90を備えるものであれば、塗布剤Pの上面が均されることによって、転写ピン21、22にてぺースト皿53からの塗布剤Pの受取が安定し、高精度の塗布作業が可能となる。
【0086】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、例えば、状態変位手段25として、ベルト部材26を用いることなく、リンク機構等を用いてもよい。実施形態では、ベルト部材26の走行は、往復動走行であるが、一方向の回転走行であってもよい。また、ベルト部材26の駆動機構27として、前記実施形態では、モータを用いたが、ソレノイド機構、シリンダ機構等の種々の既存の機構(アクチュエータ)を用いることができる。
【0087】
図1等に示すように、ベルト部材26全体がZ軸方向に上下動する場合、各転写ピン21、22自体が上下動する必要はないが、転写ピン21、22の誤差等を考慮して、各転写ピン21、22がZ軸方向に僅かに逃げることができるように設定してもよい。
【0088】
また、図5等に示すように、各転写ピン21,22が独立してZ軸方向に上下動させる移動機構として、シリンダ機構、ボールねじ機構等を用いたものであってもよい。
【0089】
ワークWの被塗布部に転写ピン21(22)を対応させる場合、ベルト部材26のX軸方向及び/又はY軸方向の移動とベルト部材26の矢印E(F)方向の走行とを同時に行っても、X軸方向及び/又はY軸方向の移動後にベルト26の矢印E(F)方向の走行を行うようにしても、ベルト26の矢印E(F)方向の走行を行った後にX軸方向及び/又はY軸方向の移動を行うようにしてもよい。
【0090】
塗布剤溜り部とワークWの被塗布部20との高低差としては、ワークWが載置されたテーブル上を、ペースト皿53を支持している水平テーブル52が通過できる範囲に種々設定できる。なお、このような高低差がないものであってもよい。また、図1等に示すように、ベルト部材26が下降することによって、転写ピン21(22)が下降するものである場合、その下降量として、転写ピン21(22)の下端が塗布剤溜り部に浸漬状乃至接触状となり、又は転写ピン21(22)がワークWの被塗布部20に対して塗布剤Pの転写が可能となる範囲で種々変更できる。
【0091】
転写ピン21(22)の径寸法、材質等も、塗布剤溜り部に対して浸漬状乃至接触状となって、塗布剤Pを受け取ることができるとともに、被塗布部20にその付着している塗布剤Pを転写できる範囲で種々変更できる。また、転写ピン21(22)の先端面の形状としても平坦面であっても、凹凸部を有するものであってもよい。第1状態から第2状態への変位速度及び第2状態から第1状態への変位速度等も、転写ピン21(22)に付着している塗布剤Pが飛散しない範囲で、塗布剤Pの材質、塗布剤Pの付着量、転写ピン21(22)の材質、形状、大きさ等に基づいて種々変更できる。
【0092】
図7〜図9に示す装置においては、支持アーム71、72をリンク機構(揺動バー85と連結体86a,86b等で構成されるリンク機構)及び駆動用モータ等を用いて変位させるものであったが、このようなリンク機構等を用いることなく、支持アーム71、72を変位させるようにしてもよい。すなわち、シリンダ機構やボールねじ機構を用いて、各支持アーム71、72が相反するように、移動軌跡L1、L2に沿って移動するようなものであってもよい。
【0093】
図7〜9に示す装置においても、図5と図6に示すように、各転写ピン21、22がそれぞれ独立して上下動するようにしてもよい。このように設定すれば、ペースト皿からの塗布剤Pの転写作業及び被塗布部20への塗布剤の塗布作業を安定して行うことができ、しかも基盤77を水平面に対して傾斜させる必要がない。また、図1や図5に示す装置であっても、均し部材90を配置するようにしてもよい。
【0094】
状態変位手段25として、回転体にこの回転体の回転軸に関して180度反対位置に転写ピンを配置するようにしたものであってもよい。
【符号の説明】
【0095】
21,22 転写ピン
53 ペースト皿
55 位置調整機構
P 塗布剤
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペースト状の塗布剤が溜められる塗布剤溜り部の塗布剤に下端を浸漬状乃至接触状として塗布剤を受け取りこの受け取った塗布剤を被塗布部に転写する一対の転写ピンを備え、一方の転写ピンにて塗布剤を受け取ると同時に他方の転写ピンから被塗布部に塗布剤を転写するとともに、他方の転写ピンにて塗布剤を受け取ると同時に一方の転写ピンから被塗布部に塗布剤を転写し、塗布剤を受け取るとき及び塗布剤を転写するときには転写ピンが上下方向に沿って下降する塗布装置であって、
塗布剤が溜められる塗布剤溜り部を構成するペースト皿と、このペースト皿の上下方向高さ位置の調整を行う位置調整機構とを備えたことを特徴とする塗布装置。
【請求項2】
一対の転写ピンの上下動量を同一としたことを特徴とする請求項1に記載の塗布装置。
【請求項3】
一対の転写ピンの上下動を同期させたことを特徴とする請求項1に記載の塗布装置。
【請求項4】
ペースト皿の塗布剤の上面を平面状に均す均し部材を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の塗布装置。
【請求項1】
ペースト状の塗布剤が溜められる塗布剤溜り部の塗布剤に下端を浸漬状乃至接触状として塗布剤を受け取りこの受け取った塗布剤を被塗布部に転写する一対の転写ピンを備え、一方の転写ピンにて塗布剤を受け取ると同時に他方の転写ピンから被塗布部に塗布剤を転写するとともに、他方の転写ピンにて塗布剤を受け取ると同時に一方の転写ピンから被塗布部に塗布剤を転写し、塗布剤を受け取るとき及び塗布剤を転写するときには転写ピンが上下方向に沿って下降する塗布装置であって、
塗布剤が溜められる塗布剤溜り部を構成するペースト皿と、このペースト皿の上下方向高さ位置の調整を行う位置調整機構とを備えたことを特徴とする塗布装置。
【請求項2】
一対の転写ピンの上下動量を同一としたことを特徴とする請求項1に記載の塗布装置。
【請求項3】
一対の転写ピンの上下動を同期させたことを特徴とする請求項1に記載の塗布装置。
【請求項4】
ペースト皿の塗布剤の上面を平面状に均す均し部材を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の塗布装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−110524(P2011−110524A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−271462(P2009−271462)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000110859)キヤノンマシナリー株式会社 (179)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000110859)キヤノンマシナリー株式会社 (179)
【Fターム(参考)】
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